電気光学装置、及び電子機器
【課題】高いコストパフォーマンスを有する電気光学装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】表示領域の周辺部に引き廻される、画素のトランジスターを構成するゲート電極と同じ配線層に設けられた検査配線71と、ゲート電極と第1層間絶縁膜45を挟んで配置されたビデオ信号配線72と、を有し、検査配線71とビデオ信号配線72とが平面的に交差する部分では、ビデオ信号配線72が異なる配線層に設けられた中継配線72aを経由して接続されている。
【解決手段】表示領域の周辺部に引き廻される、画素のトランジスターを構成するゲート電極と同じ配線層に設けられた検査配線71と、ゲート電極と第1層間絶縁膜45を挟んで配置されたビデオ信号配線72と、を有し、検査配線71とビデオ信号配線72とが平面的に交差する部分では、ビデオ信号配線72が異なる配線層に設けられた中継配線72aを経由して接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、例えば、画素電極をスイッチング制御する素子としてトランジスターを画素ごとに備えたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置がある。この液晶装置の製造方法としては、例えば、上記トランジスターを含む画素回路が形成された素子基板が複数面付けされた素子側マザー基板と、素子基板に対向配置される対向基板が同じく複数面付けされた対向側マザー基板とを液晶層を介して貼り合わせる。その後、上記一対のマザー基板を分断して個々の液晶装置を取り出す。
【0003】
一方、上記液晶装置の製造過程や検査時において、絶縁膜を挟んで重畳された配線間に電位差が生じることによって、これらの間で放電し、絶縁膜の絶縁破壊が生じる場合がある。そこで、例えば、特許文献1に記載のように、絶縁膜を挟んで重畳される配線部分の面積差を小さくすることにより、該配線間での放電を抑制し、絶縁破壊を低減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO08/010342号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一定の電位が与えられる電源配線は、電気的な損失をできるだけ少なくするために、他の配線に比べて幅広に形成されることが多く、上記特許文献1に示されたように絶縁膜を挟んで重畳される配線部分の面積差を小さくすることが難しかった。また、画素に設けられたトランジスターへの遮光性を向上させるべく、電源配線と同じ配線層に設けられた配線をトランジスターに近づけるため、当該配線とトランジスターとの間の絶縁膜の厚みを薄くする必要があった。これらにより、液晶装置の製造過程において、電源配線に蓄えられた静電気により、少なくとも一方が電源配線に接続された配線間で放電が起り、薄くなった絶縁膜が破壊されるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る電気光学装置は、複数の画素が配置された画素領域の周辺部に、前記画素のトランジスターを構成するゲート電極と同じ配線層に設けられた第1信号配線と、前記ゲート電極と絶縁膜を挟んで配置され前記トランジスターを遮光する遮光層と同じ配線層に設けられた第2信号配線と、を有し、前記第2信号配線は、前記第1信号配線と重ならないように、前記遮光層とは異なる配線層に設けられ前記第1信号配線と交差するように設けられた中継配線を経由して電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、2つの信号配線のうち第2信号配線が、第1信号配線と平面的に交差する部分において遮光層とは異なる配線層に設けられた中継配線を経由して接続されているので、第1信号配線と第2信号配線とにおける厚み方向の距離を、中継配線を用いない場合と比較して、遠くすることができる(第1信号配線と第2信号配線との間の絶縁膜を厚くすることができる)。よって、2つの信号配線が重なる交差部分において絶縁性が向上し、製造過程において、2つの信号配線間の絶縁膜が静電破壊されることを低減できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第1信号配線と前記中継配線との間に2つ以上の絶縁膜が設けられていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第1信号配線から多くの絶縁膜を介して中継配線を設けることにより、第1信号配線と第2信号配線(中継配線)との距離を遠くすることが可能となり、交差部分における絶縁性をより向上させることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る電気光学装置において、前記トランジスターに画像信号を供給するデータ線駆動回路と外部接続端子とが前記周辺部に設けられ、前記第1信号配線は、前記データ線駆動回路のシフトレジスターの一の段からの出力と前記外部接続端子とを電気的に接続する配線であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1信号配線と第2信号配線(中継配線)との距離を遠くすることができるので、絶縁膜が絶縁破壊されることを抑えることが可能となり、シフトレジスターの一の段からの出力を確実に検査することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第2信号配線は、定電位配線であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第2信号配線が定電位配線であり、他の配線と比較して面積が大きく電荷の帯電量が多い傾向にあるものの、第1信号配線との交差部では、いずれか一方が一旦分断された後に異なる配線層に設けられた中継配線を経由して接続されているので、第1信号配線と第2信号配線とにおける厚み方向の距離を遠くすることが可能となり、交差部分における絶縁性を向上させることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第2信号配線は、前記データ線駆動回路に供給されるクロック信号配線であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第2信号配線がクロック信号配線として用いられるので、クロック信号の出力を確実に検査することができる。
【0017】
[適用例6]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、製造過程における絶縁膜の静電破壊が低減され、歩留まりよく製造可能な電気光学装置を備えているので、高いコストパフォーマンスを有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マザー基板の構成を示す模式平面図。
【図2】図1に示すマザー基板のA部を拡大して示す拡大平面図。
【図3】液晶装置の構造を示す模式平面図。
【図4】図3に示す液晶装置のB−B'線に沿う模式断面図。
【図5】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図6】液晶装置の構造を示す模式断面図。
【図7】図3に示す液晶装置のC部の構造を具体的に示す拡大図であり、(a)はC部の構造を具体的に示す拡大平面図、(b)は(a)に示す液晶装置のE−E'線に沿う拡大断面図。
【図8】図3に示す液晶装置のD部の構造を具体的に示す拡大図であり、(a)はD部の構造を具体的に示す拡大平面図、(b)は(a)に示す液晶装置のF−F'線に沿う拡大断面図。
【図9】図3に示す液晶装置の電気的な構成をより具体的に示す等価回路図。
【図10】図9に示す液晶装置のH部を拡大して示す等価回路図。
【図11】液晶装置を備えた電子機器の一例として液晶プロジェクターの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0021】
<マザー基板の構成>
図1は、マザー基板の構成を示す模式平面図である。図2は、図1に示すマザー基板のA部を拡大して示す拡大平面図である。以下、マザー基板の構成を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、マザー基板100は、例えば、液晶装置11(図3参照)を製造するために用いられるものであり、液晶装置11を構成する一対の基板のうち一方の基板(例えば、素子基板)が複数個分、マトリクス状に面付けされる。マザー基板100の大きさは、例えば、8インチである。マザー基板100の厚みは、例えば、1.2mmである。マザー基板100の材質は、例えば、石英である。
【0023】
なお、マザー基板100は、平面的に円形であることに限定されず、円周の一部が切り欠かれたオリフラを有する形状であってもよい。
【0024】
図2に示すように、各液晶装置11には、表示領域19の周辺に、周辺回路としてのデータ線駆動回路22、走査線駆動回路24、及び外部接続用端子23が形成されている。データ線駆動回路22及び走査線駆動回路24と外部接続用端子23とは、互いに信号配線29によって、電気的に接続されている。以下、マザー基板100に処理を施し、最終的に形成される液晶装置11の構造について説明する。
【0025】
<電気光学装置の構成>
図3は、電気光学装置としての液晶装置の構造を示す模式平面図である。図4は、図3に示す液晶装置のB−B'線に沿う模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0026】
図3及び図4に示すように、液晶装置11は、例えば、薄膜トランジスター(以下、「TFT(Thin Film Transistor)素子」と称する。)を画素のスイッチング素子として用いたTFTアクティブマトリクス方式の液晶装置である。液晶装置11は、一対の基板を構成する素子基板200と対向基板300とが、平面視略矩形枠状のシール材14を介して貼り合わされている。
【0027】
素子基板200を構成する第1基板12及び対向基板300を構成する第2基板13は、例えば、ガラスや石英などの透光性材料から構成されている。液晶装置11は、シール材14に囲まれた領域内に液晶層15が封入された構成になっている。なお、シール材14には液晶を注入するための注入口16が設けられ、注入口16は封止材17により封止されている。
【0028】
液晶層15としては、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料が用いられる。液晶装置11は、シール材14の内周近傍に沿って遮光性材料からなる平面視矩形枠状の額縁遮光膜18が第2基板13に形成されており、この額縁遮光膜18の内側の領域が表示領域19となっている。
【0029】
額縁遮光膜18は、例えば、遮光性材料であるアルミ(Al)で形成されており、第2基板13側の表示領域19の外周を区画するように設けられている。
【0030】
表示領域19内には、画素領域21がマトリクス状に設けられている。画素領域21は、表示領域19の最小表示単位となる1画素を構成している。シール材14の外側の領域には、データ線駆動回路22及び外部接続用端子23が第1基板12の一辺(図3における下側)に沿って形成されている。
【0031】
また、シール材14の内側の領域には、この一辺に隣接する二辺に沿って走査線駆動回路24がそれぞれ形成されている。第1基板12の残る一辺(図3における上側)には、検査回路25が形成されている。第2基板13側に形成された額縁遮光膜18は、例えば、第1基板12上に形成された走査線駆動回路24及び検査回路25に対向する位置(言い換えれば、平面的に重なる位置)に形成されている。
【0032】
一方、対向基板300の各角部(例えば、シール材14のコーナー部の4箇所)には、素子基板200と対向基板300との間の電気的導通をとるための上下導通端子26が配設されている。
【0033】
また、図4に示すように、第1基板12の液晶層15側には、複数の画素電極27が形成されており、これら画素電極27を覆うように第1配向膜28が形成されている。画素電極27は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0034】
一方、第2基板13の液晶層15側には、格子状の遮光膜(BM:ブラックマトリクス)(図示せず)が形成され、その上に平面ベタ状の共通電極31が形成されている。そして、共通電極31上には、第2配向膜32が形成されている。共通電極31は、ITO等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0035】
液晶装置11は透過型であって、素子基板200及び対向基板300における光の入射側と出射側とにそれぞれ偏光板(図示せず)等が配置されて用いられる。なお、液晶装置11の構成は、これに限定されず、反射型や半透過型の構成であってもよい。
【0036】
図5は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶装置の電気的な構成を、図5を参照しながら説明する。
【0037】
図5に示すように、液晶装置11は、表示領域19を構成する複数の画素領域21を有している。各画素領域21には、それぞれ画素電極27が配置されている。また、画素領域21には、TFT素子33が形成されている。
【0038】
TFT素子33は、画素電極27へ通電制御を行うスイッチング素子である。TFT素子33のソース側には、データ線34が電気的に接続されている。各データ線34には、例えば、データ線駆動回路22(図3参照)から画像信号S1,S2,…,Snが供給されるようになっている。
【0039】
また、TFT素子33のゲート電極には、走査線41が電気的に接続されている。走査線41には、例えば、走査線駆動回路24(図3参照)から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1,G2,…,Gmが供給されるようになっている。また、TFT素子33のドレイン側には、画素電極27が電気的に接続されている。
【0040】
走査線41から供給された走査信号G1,G2,…,Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子33が一定期間だけオン状態となることで、データ線34から供給された画像信号S1,S2,…,Snが、画素電極27を介して画素領域21に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0041】
画素領域21に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、画素電極27と共通電極31(図4参照)との間で形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1,S2,…,Snがリークするのを防止するために、画素電極27と容量線36との間に蓄積容量37が形成されている。
【0042】
このように、液晶層15に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより、液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶層15に入射した光が変調されて、画像光が生成されるようになっている。
【0043】
図6は、液晶装置の構造を示す模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図6を参照しながら説明する。なお、図6は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、明示可能な尺度で表されている。また、図6は、液晶装置を構成する素子基板及び対向基板のうち素子基板のみを示している。
【0044】
図6に示すように、液晶装置11は、素子基板200と、図示しない対向基板300とを有する。素子基板200の第1基板12上には、Ti(チタン)やCr(クロム)等からなる下側遮光膜(走査線)41が形成されている。下側遮光膜41は、後に述べるゲート電極35とコンタクトホールを介して電気的に接続され、平面的にストライプ状にパターニングされており、前述の走査線として機能すると共に、各画素領域21の開口領域の一部を規定している。第1基板12及び下側遮光膜41上には、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜42が形成されている。
【0045】
下地絶縁膜42上には、TFT素子33が形成されている。TFT素子33は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、ポリシリコン等からなる半導体層43と、半導体層43上に形成されたゲート絶縁膜44と、ゲート絶縁膜44上に形成されたポリシリコン膜等からなるゲート電極35とを有する。
【0046】
半導体層43は、チャネル領域43aと、低濃度ソース領域43bと、低濃度ドレイン領域43cと、高濃度ソース領域43dと、高濃度ドレイン領域43eとを備えている。チャネル領域43aは、ゲート電極35からの電界によりチャネルが形成される。ゲート絶縁膜44上には、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜45が形成されている。なお、第1層間絶縁膜45は、TFT素子33への遮光性を向上させるべく、アルミニウムなどからなる中継層51をTFT素子33に近づけて、遮光層として機能させるため、他の絶縁膜と比較して薄く形成されている。
【0047】
TFT素子33の高濃度ソース領域43dは、第1層間絶縁膜45上に形成された中継層46と、コンタクトホール47を介して電気的に接続されている。一方、高濃度ドレイン領域43eは、中継層46と同層に形成された中継層51に、コンタクトホール52を介して電気的に接続されている。
【0048】
中継層46は、第2層間絶縁膜53上に形成されたデータ線34と、コンタクトホール54を介して電気的に接続されている。一方、中継層51は、データ線34と同層に形成された中継層55に、コンタクトホール56を介して電気的に接続されている。
【0049】
中継層55は、更に、コンタクトホール56を介して、後述する容量電極57と同層に設けられた中継層58と電気的に接続されている。また中継層58は、コンタクトホール59を介して、画素電極27と電気的に接続されている。即ち、TFT素子33の高濃度ドレイン領域43eと画素電極27とは、中継層51、中継層55、及び中継層58を順に介して、電気的に中継接続されている。
【0050】
データ線34及び中継層55の上層側には、第3層間絶縁膜61を介して蓄積容量62が形成されている。蓄積容量62を液晶容量に並列に電気的に接続することで、画素電極27の電圧を、実際に画像信号が印加されている時間よりも、例えば3桁も長い時間だけ保持することが可能となり、液晶素子の保持特性が改善されるため、高コントラスト比を有する液晶装置11を実現することができる。
【0051】
容量電極57は、液晶容量に電気的に並列に接続された蓄積容量62の片方の電極として機能すると共に、固定電位に保持されている。容量電極57は、例えばITO等の透明電極によって構成されている。このため、容量電極57を、開口領域を含む表示領域19に重なるように形成しても、開口領域における光透過率が低下することを抑えることができる。
【0052】
容量電極57上には、誘電体膜63が形成されている。誘電体膜63は、容量電極57上を覆うようにベタ状に形成されている。尚、誘電体膜63は透明な誘電性材料である窒化シリコン等で構成されるため、誘電体膜63を、開口領域を含む表示領域19に広く形成しても、開口領域における光透過率が低下することを抑えることができる。尚、誘電体膜63の膜厚が薄いほうが、蓄積容量62の容量値を高めるためにはより好ましい。
【0053】
また容量電極57上には、蓄積容量62を画素間で分離するための容量分離膜64が形成されている。蓄積容量62の容量値は、容量分離膜64の面積を増減させることによって、調整することができる。
【0054】
容量分離膜64上には、画素電極27が形成されている。画素電極27は、データ線34及び走査線41によってマトリクス状に区分けされた画素毎に、島状に形成されている。尚、ここでの図示は省略しているが、画素電極27上には、液晶層15(図4参照)に含まれる液晶分子の配向状態を規制するための第1配向膜28(図4参照)が形成されている。
【0055】
蓄積容量62は、各々が透明な容量電極57、誘電体膜63及び画素電極27によって構成されているため、開口領域を狭めることもなく、画素のうち開口領域が占める割合である開口率を低下させることもない。加えて、このような蓄積容量62によれば、開口領域に蓄積容量62を形成可能であるため、非開口領域にのみ蓄積容量を形成する場合に比べてその容量値を増大させることが可能である。
【0056】
図示しないが、対向基板300における第2基板13の液晶層15に面する側には、アルミニウム等からなるブラックマトリクス(BM)が形成されており、その上には、シリコン酸化膜(SiO2)が形成されている。更に、シリコン酸化膜上には、透明な共通電極31(図4参照)が全面に形成されており、ITOなどからなる共通電極31を覆って第2配向膜32(図4参照)が形成されている。
【0057】
図7は、図3に示す液晶装置のC部の構造を具体的に示す拡大図である。(a)は、C部の構造を具体的に示す拡大平面図である。(b)は、(a)に示す液晶装置のE−E'線に沿う拡大断面図である。図8は、図3に示す液晶装置のD部の構造を具体的に示す拡大図である。(a)は、D部の構造を具体的に示す拡大平面図である。(b)は、(a)に示す液晶装置のF−F'線に沿う拡大断面図である。
【0058】
また、図9は、図3に示す液晶装置の電気的な構成をより具体的に示す等価回路図である。図10は、図9に示す液晶装置のH部を拡大して示す等価回路図である。以下、液晶装置の周縁部の構造を、図7〜図10を参照しながら説明する。
【0059】
図7(a)に示すように、液晶装置11の周縁部(C部)には、例えば、画素領域21におけるゲート電極35と同層に設けられた第1信号配線としてのデータ線駆動回路検査配線(以下、「検査配線71」と称する。)と、検査配線71と第1層間絶縁膜45を介して平面的に交差して設けられた複数の第2信号配線としてのビデオ信号配線72(上記した、中継層51と同層)とが設けられている。検査配線71は、外部接続用端子23に接続されると共に、データ線駆動回路22から検査信号を外部に取り出すための配線であり、また、ビデオ信号配線72は、データ線駆動回路22によってサンプリングされてデータ線34に画像信号を供給するための配線である。
【0060】
検査配線71(図9、図10参照)とビデオ信号配線72(図7参照)とが平面的に交差する部分K(図10参照)では、ビデオ信号配線72がその上層の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線72a(上記した、データ線34と同層)を経由して接続されている。ビデオ信号配線72及び中継配線72aの材料としては、例えば、アルミニウム(Al)が挙げられる。
【0061】
具体的には、図7(b)に示すように、ビデオ信号配線72は、検査配線71とビデオ信号配線72とが交差する部分において途切れている。途切れているビデオ信号配線72は、ビデオ信号配線72上の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線72aと、コンタクトホール74a,74bによって電気的に接続されている。
【0062】
ビデオ信号配線72と中継配線72aとを電気的に接続するコンタクトホール74a,74bは、中継配線72aを介すことによってビデオ信号配線72の抵抗値が極端に増えないように複数設けられている。具体的には、ビデオ信号配線72と中継配線72aとが平面的に重なる領域では、例えば、10個程度のコンタクトホールが設けられている。
【0063】
また、コンタクトホール74a,74bの下方における検査配線71が設けられた層には、その上層の第1層間絶縁膜45表面の凹凸を抑えるために、コンタクトホール下地膜75a,75bが設けられている。これにより、検査配線71とビデオ信号配線72との距離が近くなることを抑えることができる。
【0064】
このように、ビデオ信号配線72と検査配線71とが交差する部分において、中継配線72aを介してビデオ信号配線72を接続することにより、検査配線71とビデオ信号配線72(中継配線72a)との距離Fを、中継配線72aを介さない場合(距離E)と比較して、第2層間絶縁膜53の厚み分遠くすることができる。よって、検査配線71とビデオ信号配線72との距離が最も近くなる、互いが交差する部分において、絶縁性を向上させることが可能となり、製造過程において、2つの配線間の第1層間絶縁膜45が絶縁破壊することを抑えることができる。
【0065】
また、図8(a)に示すように、液晶装置11の周縁部(D部)には、上記したように、画素領域21におけるゲート電極35と同層に設けられた検査配線71と、検査配線71と第1層間絶縁膜45を介して平面的に交差して設けられたVDD電源配線81(例えば、駆動電圧15V程度)、複数の駆動信号配線82、VSSY電源配線83(基準電位)、及びLCCOM配線84とが設けられている。VDD電源配線81およびVSSY電源配線83は定電位配線である。
【0066】
これらの配線は、外部接続用端子23に接続されると共に、データ線駆動回路22及び走査線駆動回路24等に信号が入力される前の配線である。また、これらの配線は、上記した、中継層51と同層に設けられている。複数の駆動信号配線82は、例えば、走査線駆動回路のシフトレジスターを駆動するためのクロック信号(CLY)やその極性反転信号(CLYB)、あるいはシフトレジスターの出力パルスのパルス幅を規定して所望の走査信号パルスを形成するためのイネーブル信号等を含む。また、LCCOM配線84は、対向基板に設けられた共通電極に上下導通端子26を介して共通電位であるLCCOMを供給するための配線である。
【0067】
上記配線(VDD電源配線81、複数の駆動信号配線82、VSSY電源配線83、及びLCCOM配線84)と検査配線71とが交差する部分では、上記配線がその上層の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線83a(上記した、データ線34と同層)を経由して接続されている。これらの配線の材料としては、上記したように、例えば、アルミニウム(Al)が挙げられる。以下、上記配線のうちVSSY電源配線83と検査配線71との交差部分について、図8(b)を参照しながら説明する。
【0068】
図8(b)に示すように、VSSY電源配線83は、検査配線71とVSSY電源配線83とが交差する部分において途切れている。途切れているVSSY電源配線83は、VSSY電源配線83上の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線83aと、コンタクトホール74c,74dによって電気的に接続されている。
【0069】
コンタクトホール74c,74dは、上記したように、中継配線83aを介すことによってVSSY電源配線83の抵抗値が極端に増えないように複数設けられている。また、コンタクトホール74c,74dの下方における検査配線71が設けられた層には、その上層の第1層間絶縁膜45表面の凹凸を抑えるために、コンタクトホール下地膜75c,75dが設けられている。これにより、検査配線71とVSSY電源配線83との距離が近くなることを抑えることができる。
【0070】
このように、検査配線71とVSSY電源配線83とが交差する部分において、中継配線83aを介してVSSY電源配線83を接続することにより、検査配線71とVSSY電源配線83(中継配線83a)との距離Fを、中継配線83aを介さない場合(距離E)と比較して、第2層間絶縁膜53の厚み分遠くすることができる。なお、その他の配線(VDD電源配線81、駆動信号配線82、及びLCCOM配線84)においても、中継配線を用いて同様の構造にすることにより、製造過程において、配線間の第1層間絶縁膜45が絶縁破壊することを抑えることができる。
【0071】
<電子機器の構成>
図11は、上記した液晶装置を備えた電子機器の一例として液晶プロジェクターの構成を示す模式図である。以下、液晶装置を備えた液晶プロジェクターの構成を、図11を参照しながら説明する。
【0072】
図11に示すように、液晶プロジェクター901は、上記した液晶装置11が採用された液晶モジュールを3つ配置し、それぞれRGB用のライトバルブ911R,911G,911Bとして用いた構造となっている。
【0073】
詳しくは、メタルハイドロランプ等の白色光源のランプユニット912から投射光が発せられると、3枚のミラー913及び2枚のダイクロイックミラー914によって、RGBの三原色に対応する光成分R,G,Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ911R,911G,911Bにそれぞれ導かれる。特に光成分Bは、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ915、リレーレンズ916、出射レンズ917からなるリレーレンズ系918を介して導かれる。
【0074】
ライトバルブ911R,911G,911Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分R,G,Bは、ダイクロイックプリズム919により再度合成された後、投射レンズ920を介して、スクリーン921にカラー画像として投射される。
【0075】
なお、上記したように、3つの液晶モジュールを配置した液晶プロジェクター901に限定されず、例えば、1つの液晶モジュールを配置した液晶プロジェクターに適用するようにしてもよい。
【0076】
このような構成の液晶プロジェクター901は、上記した液晶装置11が採用された液晶モジュールを介すことによって、かかるコストを抑え、効率よく組み立てることができる。なお、液晶装置11を備えた電子機器は、上記した液晶プロジェクター901の他、高精細EVF(Electric View Finder)、携帯電話機、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、照明機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0077】
以上詳述したように、本実施形態の液晶装置11及び電子機器によれば、以下に示す効果が得られる。
【0078】
(1)本実施形態の液晶装置11によれば、電源配線(定電位配線)であるビデオ信号配線72と検査配線71とのうちビデオ信号配線72が平面的に交差する部分において異なる配線層に設けられた中継配線72aを経由して接続されているので、検査配線71とビデオ信号配線72とにおける厚み方向の距離を、中継配線72aを用いない場合と比較して、遠くすることができる(検査配線71とビデオ信号配線72との間の絶縁膜を厚くすることができる)。よって、2つの信号配線(検査配線71、ビデオ信号配線72)が重なる交差部分において絶縁性が向上し、製造過程において、2つの信号配線間の絶縁膜(第1層間絶縁膜45)が静電破壊されることを低減できる。
【0079】
(2)本実施形態の液晶装置11によれば、ビデオ信号配線72が定電位配線であり、他の配線と比較して面積が大きく電荷の帯電量が多い傾向にあるものの、検査配線71との交差部では、ビデオ信号配線72が一旦分断された後に異なる配線層に設けられた中継配線72aを経由して接続されているので、検査配線71とビデオ信号配線72とにおける厚み方向の距離を遠くすることが可能となり、交差部分における絶縁性を向上させることができる。また、定電位配線側(ビデオ信号配線72)を分断して接続しているので、蓄えられる電荷の帯電量を少なくすることが可能となり、交差部分における絶縁性を向上させることができる。
【0080】
(3)本実施形態の電子機器によれば、製造過程における絶縁膜の静電破壊が低減され、歩留まりよく製造可能な電気光学装置を備えているので、高いコストパフォーマンスを有する電子機器を提供することができる。
【0081】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0082】
(変形例1)
上記したように、ビデオ信号配線72と中継配線72aとを電気的に接続するコンタクトホール74a,74bは、10個程度であることに限定されず、平面的に配線が交差する配線幅に応じてコンタクトホールの数量を設定するようにしてもよい。例えば、配線幅の太い部分に、他の配線と比べてコンタクトホールを多く設けることによって、中継配線を介すことによる配線抵抗が増加することを抑えることができる。
【0083】
(変形例2)
上記したように、ビデオ信号配線72やVSSY電源配線83は、第2層間絶縁膜53を挟んで設けられた中継配線72a,83aを介して電気的に接続されることに限定されず、例えば、ビデオ信号配線72やVSSY電源配線83上において2つ以上の層間絶縁膜を介して設けられた中継配線を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0084】
これによれば、2つ以上の層間絶縁膜を介して設けられた中継配線と電気的に接続するので、検査配線71と中継配線72a,83aとの間の絶縁膜の厚みを厚くすることが可能となる。よって、2つの配線の交差部分において絶縁性を高めることができ、上記した実施形態と比較して、絶縁膜が絶縁破壊することを抑えることができる。
【符号の説明】
【0085】
11…電気光学装置としての液晶装置、12…第1基板、13…第2基板、14…シール材、15…液晶層、16…注入口、17…封止材、18…額縁遮光膜、19…表示領域、21…画素領域、22…データ線駆動回路、23…外部接続用端子、24…走査線駆動回路、25…検査回路、26…上下導通端子、27…画素電極、28…第1配向膜、29…信号配線、31…共通電極、32…第2配向膜、33…TFT素子、34…データ線、35…ゲート電極、36…容量線、37…蓄積容量、41…走査線(下側遮光膜)、42…下地絶縁膜、43…半導体層、43a…チャネル領域、43b…低濃度ソース領域、43c…低濃度ドレイン領域、43d…高濃度ソース領域、43e…高濃度ドレイン領域、44…ゲート絶縁膜、45…第1層間絶縁膜、46,51,55,58…中継層、47,52,54,56,59…コンタクトホール、53…第2層間絶縁膜、57…容量電極、61…第3層間絶縁膜、62…蓄積容量、63…誘電体膜、64…容量分離膜、71…第1信号配線としての検査配線、72…第2信号配線としてのビデオ信号配線、72a,83a…中継配線、74a,74b,74c,74d…コンタクトホール、75a,75b,75c,75d…コンタクトホール下地膜、81…VDD電源配線、82…駆動信号配線、83…VSSY電源配線、84…LCCOM配線、100…マザー基板、200…素子基板、300…対向基板、901…液晶プロジェクター、911R,911G,911B…ライトバルブ、912…ランプユニット、913…ミラー、914…ダイクロイックミラー、915…入射レンズ、916…リレーレンズ、917…出射レンズ、918…リレーレンズ系、919…ダイクロイックプリズム、920…投射レンズ、921…スクリーン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記電気光学装置として、例えば、画素電極をスイッチング制御する素子としてトランジスターを画素ごとに備えたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置がある。この液晶装置の製造方法としては、例えば、上記トランジスターを含む画素回路が形成された素子基板が複数面付けされた素子側マザー基板と、素子基板に対向配置される対向基板が同じく複数面付けされた対向側マザー基板とを液晶層を介して貼り合わせる。その後、上記一対のマザー基板を分断して個々の液晶装置を取り出す。
【0003】
一方、上記液晶装置の製造過程や検査時において、絶縁膜を挟んで重畳された配線間に電位差が生じることによって、これらの間で放電し、絶縁膜の絶縁破壊が生じる場合がある。そこで、例えば、特許文献1に記載のように、絶縁膜を挟んで重畳される配線部分の面積差を小さくすることにより、該配線間での放電を抑制し、絶縁破壊を低減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO08/010342号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一定の電位が与えられる電源配線は、電気的な損失をできるだけ少なくするために、他の配線に比べて幅広に形成されることが多く、上記特許文献1に示されたように絶縁膜を挟んで重畳される配線部分の面積差を小さくすることが難しかった。また、画素に設けられたトランジスターへの遮光性を向上させるべく、電源配線と同じ配線層に設けられた配線をトランジスターに近づけるため、当該配線とトランジスターとの間の絶縁膜の厚みを薄くする必要があった。これらにより、液晶装置の製造過程において、電源配線に蓄えられた静電気により、少なくとも一方が電源配線に接続された配線間で放電が起り、薄くなった絶縁膜が破壊されるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る電気光学装置は、複数の画素が配置された画素領域の周辺部に、前記画素のトランジスターを構成するゲート電極と同じ配線層に設けられた第1信号配線と、前記ゲート電極と絶縁膜を挟んで配置され前記トランジスターを遮光する遮光層と同じ配線層に設けられた第2信号配線と、を有し、前記第2信号配線は、前記第1信号配線と重ならないように、前記遮光層とは異なる配線層に設けられ前記第1信号配線と交差するように設けられた中継配線を経由して電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、2つの信号配線のうち第2信号配線が、第1信号配線と平面的に交差する部分において遮光層とは異なる配線層に設けられた中継配線を経由して接続されているので、第1信号配線と第2信号配線とにおける厚み方向の距離を、中継配線を用いない場合と比較して、遠くすることができる(第1信号配線と第2信号配線との間の絶縁膜を厚くすることができる)。よって、2つの信号配線が重なる交差部分において絶縁性が向上し、製造過程において、2つの信号配線間の絶縁膜が静電破壊されることを低減できる。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第1信号配線と前記中継配線との間に2つ以上の絶縁膜が設けられていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第1信号配線から多くの絶縁膜を介して中継配線を設けることにより、第1信号配線と第2信号配線(中継配線)との距離を遠くすることが可能となり、交差部分における絶縁性をより向上させることができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る電気光学装置において、前記トランジスターに画像信号を供給するデータ線駆動回路と外部接続端子とが前記周辺部に設けられ、前記第1信号配線は、前記データ線駆動回路のシフトレジスターの一の段からの出力と前記外部接続端子とを電気的に接続する配線であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1信号配線と第2信号配線(中継配線)との距離を遠くすることができるので、絶縁膜が絶縁破壊されることを抑えることが可能となり、シフトレジスターの一の段からの出力を確実に検査することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第2信号配線は、定電位配線であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第2信号配線が定電位配線であり、他の配線と比較して面積が大きく電荷の帯電量が多い傾向にあるものの、第1信号配線との交差部では、いずれか一方が一旦分断された後に異なる配線層に設けられた中継配線を経由して接続されているので、第1信号配線と第2信号配線とにおける厚み方向の距離を遠くすることが可能となり、交差部分における絶縁性を向上させることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係る電気光学装置において、前記第2信号配線は、前記データ線駆動回路に供給されるクロック信号配線であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第2信号配線がクロック信号配線として用いられるので、クロック信号の出力を確実に検査することができる。
【0017】
[適用例6]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、製造過程における絶縁膜の静電破壊が低減され、歩留まりよく製造可能な電気光学装置を備えているので、高いコストパフォーマンスを有する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マザー基板の構成を示す模式平面図。
【図2】図1に示すマザー基板のA部を拡大して示す拡大平面図。
【図3】液晶装置の構造を示す模式平面図。
【図4】図3に示す液晶装置のB−B'線に沿う模式断面図。
【図5】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図6】液晶装置の構造を示す模式断面図。
【図7】図3に示す液晶装置のC部の構造を具体的に示す拡大図であり、(a)はC部の構造を具体的に示す拡大平面図、(b)は(a)に示す液晶装置のE−E'線に沿う拡大断面図。
【図8】図3に示す液晶装置のD部の構造を具体的に示す拡大図であり、(a)はD部の構造を具体的に示す拡大平面図、(b)は(a)に示す液晶装置のF−F'線に沿う拡大断面図。
【図9】図3に示す液晶装置の電気的な構成をより具体的に示す等価回路図。
【図10】図9に示す液晶装置のH部を拡大して示す等価回路図。
【図11】液晶装置を備えた電子機器の一例として液晶プロジェクターの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0021】
<マザー基板の構成>
図1は、マザー基板の構成を示す模式平面図である。図2は、図1に示すマザー基板のA部を拡大して示す拡大平面図である。以下、マザー基板の構成を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、マザー基板100は、例えば、液晶装置11(図3参照)を製造するために用いられるものであり、液晶装置11を構成する一対の基板のうち一方の基板(例えば、素子基板)が複数個分、マトリクス状に面付けされる。マザー基板100の大きさは、例えば、8インチである。マザー基板100の厚みは、例えば、1.2mmである。マザー基板100の材質は、例えば、石英である。
【0023】
なお、マザー基板100は、平面的に円形であることに限定されず、円周の一部が切り欠かれたオリフラを有する形状であってもよい。
【0024】
図2に示すように、各液晶装置11には、表示領域19の周辺に、周辺回路としてのデータ線駆動回路22、走査線駆動回路24、及び外部接続用端子23が形成されている。データ線駆動回路22及び走査線駆動回路24と外部接続用端子23とは、互いに信号配線29によって、電気的に接続されている。以下、マザー基板100に処理を施し、最終的に形成される液晶装置11の構造について説明する。
【0025】
<電気光学装置の構成>
図3は、電気光学装置としての液晶装置の構造を示す模式平面図である。図4は、図3に示す液晶装置のB−B'線に沿う模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0026】
図3及び図4に示すように、液晶装置11は、例えば、薄膜トランジスター(以下、「TFT(Thin Film Transistor)素子」と称する。)を画素のスイッチング素子として用いたTFTアクティブマトリクス方式の液晶装置である。液晶装置11は、一対の基板を構成する素子基板200と対向基板300とが、平面視略矩形枠状のシール材14を介して貼り合わされている。
【0027】
素子基板200を構成する第1基板12及び対向基板300を構成する第2基板13は、例えば、ガラスや石英などの透光性材料から構成されている。液晶装置11は、シール材14に囲まれた領域内に液晶層15が封入された構成になっている。なお、シール材14には液晶を注入するための注入口16が設けられ、注入口16は封止材17により封止されている。
【0028】
液晶層15としては、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料が用いられる。液晶装置11は、シール材14の内周近傍に沿って遮光性材料からなる平面視矩形枠状の額縁遮光膜18が第2基板13に形成されており、この額縁遮光膜18の内側の領域が表示領域19となっている。
【0029】
額縁遮光膜18は、例えば、遮光性材料であるアルミ(Al)で形成されており、第2基板13側の表示領域19の外周を区画するように設けられている。
【0030】
表示領域19内には、画素領域21がマトリクス状に設けられている。画素領域21は、表示領域19の最小表示単位となる1画素を構成している。シール材14の外側の領域には、データ線駆動回路22及び外部接続用端子23が第1基板12の一辺(図3における下側)に沿って形成されている。
【0031】
また、シール材14の内側の領域には、この一辺に隣接する二辺に沿って走査線駆動回路24がそれぞれ形成されている。第1基板12の残る一辺(図3における上側)には、検査回路25が形成されている。第2基板13側に形成された額縁遮光膜18は、例えば、第1基板12上に形成された走査線駆動回路24及び検査回路25に対向する位置(言い換えれば、平面的に重なる位置)に形成されている。
【0032】
一方、対向基板300の各角部(例えば、シール材14のコーナー部の4箇所)には、素子基板200と対向基板300との間の電気的導通をとるための上下導通端子26が配設されている。
【0033】
また、図4に示すように、第1基板12の液晶層15側には、複数の画素電極27が形成されており、これら画素電極27を覆うように第1配向膜28が形成されている。画素電極27は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0034】
一方、第2基板13の液晶層15側には、格子状の遮光膜(BM:ブラックマトリクス)(図示せず)が形成され、その上に平面ベタ状の共通電極31が形成されている。そして、共通電極31上には、第2配向膜32が形成されている。共通電極31は、ITO等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0035】
液晶装置11は透過型であって、素子基板200及び対向基板300における光の入射側と出射側とにそれぞれ偏光板(図示せず)等が配置されて用いられる。なお、液晶装置11の構成は、これに限定されず、反射型や半透過型の構成であってもよい。
【0036】
図5は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶装置の電気的な構成を、図5を参照しながら説明する。
【0037】
図5に示すように、液晶装置11は、表示領域19を構成する複数の画素領域21を有している。各画素領域21には、それぞれ画素電極27が配置されている。また、画素領域21には、TFT素子33が形成されている。
【0038】
TFT素子33は、画素電極27へ通電制御を行うスイッチング素子である。TFT素子33のソース側には、データ線34が電気的に接続されている。各データ線34には、例えば、データ線駆動回路22(図3参照)から画像信号S1,S2,…,Snが供給されるようになっている。
【0039】
また、TFT素子33のゲート電極には、走査線41が電気的に接続されている。走査線41には、例えば、走査線駆動回路24(図3参照)から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1,G2,…,Gmが供給されるようになっている。また、TFT素子33のドレイン側には、画素電極27が電気的に接続されている。
【0040】
走査線41から供給された走査信号G1,G2,…,Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子33が一定期間だけオン状態となることで、データ線34から供給された画像信号S1,S2,…,Snが、画素電極27を介して画素領域21に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0041】
画素領域21に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、画素電極27と共通電極31(図4参照)との間で形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1,S2,…,Snがリークするのを防止するために、画素電極27と容量線36との間に蓄積容量37が形成されている。
【0042】
このように、液晶層15に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより、液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶層15に入射した光が変調されて、画像光が生成されるようになっている。
【0043】
図6は、液晶装置の構造を示す模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図6を参照しながら説明する。なお、図6は、各構成要素の断面的な位置関係を示すものであり、明示可能な尺度で表されている。また、図6は、液晶装置を構成する素子基板及び対向基板のうち素子基板のみを示している。
【0044】
図6に示すように、液晶装置11は、素子基板200と、図示しない対向基板300とを有する。素子基板200の第1基板12上には、Ti(チタン)やCr(クロム)等からなる下側遮光膜(走査線)41が形成されている。下側遮光膜41は、後に述べるゲート電極35とコンタクトホールを介して電気的に接続され、平面的にストライプ状にパターニングされており、前述の走査線として機能すると共に、各画素領域21の開口領域の一部を規定している。第1基板12及び下側遮光膜41上には、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜42が形成されている。
【0045】
下地絶縁膜42上には、TFT素子33が形成されている。TFT素子33は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、ポリシリコン等からなる半導体層43と、半導体層43上に形成されたゲート絶縁膜44と、ゲート絶縁膜44上に形成されたポリシリコン膜等からなるゲート電極35とを有する。
【0046】
半導体層43は、チャネル領域43aと、低濃度ソース領域43bと、低濃度ドレイン領域43cと、高濃度ソース領域43dと、高濃度ドレイン領域43eとを備えている。チャネル領域43aは、ゲート電極35からの電界によりチャネルが形成される。ゲート絶縁膜44上には、シリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜45が形成されている。なお、第1層間絶縁膜45は、TFT素子33への遮光性を向上させるべく、アルミニウムなどからなる中継層51をTFT素子33に近づけて、遮光層として機能させるため、他の絶縁膜と比較して薄く形成されている。
【0047】
TFT素子33の高濃度ソース領域43dは、第1層間絶縁膜45上に形成された中継層46と、コンタクトホール47を介して電気的に接続されている。一方、高濃度ドレイン領域43eは、中継層46と同層に形成された中継層51に、コンタクトホール52を介して電気的に接続されている。
【0048】
中継層46は、第2層間絶縁膜53上に形成されたデータ線34と、コンタクトホール54を介して電気的に接続されている。一方、中継層51は、データ線34と同層に形成された中継層55に、コンタクトホール56を介して電気的に接続されている。
【0049】
中継層55は、更に、コンタクトホール56を介して、後述する容量電極57と同層に設けられた中継層58と電気的に接続されている。また中継層58は、コンタクトホール59を介して、画素電極27と電気的に接続されている。即ち、TFT素子33の高濃度ドレイン領域43eと画素電極27とは、中継層51、中継層55、及び中継層58を順に介して、電気的に中継接続されている。
【0050】
データ線34及び中継層55の上層側には、第3層間絶縁膜61を介して蓄積容量62が形成されている。蓄積容量62を液晶容量に並列に電気的に接続することで、画素電極27の電圧を、実際に画像信号が印加されている時間よりも、例えば3桁も長い時間だけ保持することが可能となり、液晶素子の保持特性が改善されるため、高コントラスト比を有する液晶装置11を実現することができる。
【0051】
容量電極57は、液晶容量に電気的に並列に接続された蓄積容量62の片方の電極として機能すると共に、固定電位に保持されている。容量電極57は、例えばITO等の透明電極によって構成されている。このため、容量電極57を、開口領域を含む表示領域19に重なるように形成しても、開口領域における光透過率が低下することを抑えることができる。
【0052】
容量電極57上には、誘電体膜63が形成されている。誘電体膜63は、容量電極57上を覆うようにベタ状に形成されている。尚、誘電体膜63は透明な誘電性材料である窒化シリコン等で構成されるため、誘電体膜63を、開口領域を含む表示領域19に広く形成しても、開口領域における光透過率が低下することを抑えることができる。尚、誘電体膜63の膜厚が薄いほうが、蓄積容量62の容量値を高めるためにはより好ましい。
【0053】
また容量電極57上には、蓄積容量62を画素間で分離するための容量分離膜64が形成されている。蓄積容量62の容量値は、容量分離膜64の面積を増減させることによって、調整することができる。
【0054】
容量分離膜64上には、画素電極27が形成されている。画素電極27は、データ線34及び走査線41によってマトリクス状に区分けされた画素毎に、島状に形成されている。尚、ここでの図示は省略しているが、画素電極27上には、液晶層15(図4参照)に含まれる液晶分子の配向状態を規制するための第1配向膜28(図4参照)が形成されている。
【0055】
蓄積容量62は、各々が透明な容量電極57、誘電体膜63及び画素電極27によって構成されているため、開口領域を狭めることもなく、画素のうち開口領域が占める割合である開口率を低下させることもない。加えて、このような蓄積容量62によれば、開口領域に蓄積容量62を形成可能であるため、非開口領域にのみ蓄積容量を形成する場合に比べてその容量値を増大させることが可能である。
【0056】
図示しないが、対向基板300における第2基板13の液晶層15に面する側には、アルミニウム等からなるブラックマトリクス(BM)が形成されており、その上には、シリコン酸化膜(SiO2)が形成されている。更に、シリコン酸化膜上には、透明な共通電極31(図4参照)が全面に形成されており、ITOなどからなる共通電極31を覆って第2配向膜32(図4参照)が形成されている。
【0057】
図7は、図3に示す液晶装置のC部の構造を具体的に示す拡大図である。(a)は、C部の構造を具体的に示す拡大平面図である。(b)は、(a)に示す液晶装置のE−E'線に沿う拡大断面図である。図8は、図3に示す液晶装置のD部の構造を具体的に示す拡大図である。(a)は、D部の構造を具体的に示す拡大平面図である。(b)は、(a)に示す液晶装置のF−F'線に沿う拡大断面図である。
【0058】
また、図9は、図3に示す液晶装置の電気的な構成をより具体的に示す等価回路図である。図10は、図9に示す液晶装置のH部を拡大して示す等価回路図である。以下、液晶装置の周縁部の構造を、図7〜図10を参照しながら説明する。
【0059】
図7(a)に示すように、液晶装置11の周縁部(C部)には、例えば、画素領域21におけるゲート電極35と同層に設けられた第1信号配線としてのデータ線駆動回路検査配線(以下、「検査配線71」と称する。)と、検査配線71と第1層間絶縁膜45を介して平面的に交差して設けられた複数の第2信号配線としてのビデオ信号配線72(上記した、中継層51と同層)とが設けられている。検査配線71は、外部接続用端子23に接続されると共に、データ線駆動回路22から検査信号を外部に取り出すための配線であり、また、ビデオ信号配線72は、データ線駆動回路22によってサンプリングされてデータ線34に画像信号を供給するための配線である。
【0060】
検査配線71(図9、図10参照)とビデオ信号配線72(図7参照)とが平面的に交差する部分K(図10参照)では、ビデオ信号配線72がその上層の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線72a(上記した、データ線34と同層)を経由して接続されている。ビデオ信号配線72及び中継配線72aの材料としては、例えば、アルミニウム(Al)が挙げられる。
【0061】
具体的には、図7(b)に示すように、ビデオ信号配線72は、検査配線71とビデオ信号配線72とが交差する部分において途切れている。途切れているビデオ信号配線72は、ビデオ信号配線72上の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線72aと、コンタクトホール74a,74bによって電気的に接続されている。
【0062】
ビデオ信号配線72と中継配線72aとを電気的に接続するコンタクトホール74a,74bは、中継配線72aを介すことによってビデオ信号配線72の抵抗値が極端に増えないように複数設けられている。具体的には、ビデオ信号配線72と中継配線72aとが平面的に重なる領域では、例えば、10個程度のコンタクトホールが設けられている。
【0063】
また、コンタクトホール74a,74bの下方における検査配線71が設けられた層には、その上層の第1層間絶縁膜45表面の凹凸を抑えるために、コンタクトホール下地膜75a,75bが設けられている。これにより、検査配線71とビデオ信号配線72との距離が近くなることを抑えることができる。
【0064】
このように、ビデオ信号配線72と検査配線71とが交差する部分において、中継配線72aを介してビデオ信号配線72を接続することにより、検査配線71とビデオ信号配線72(中継配線72a)との距離Fを、中継配線72aを介さない場合(距離E)と比較して、第2層間絶縁膜53の厚み分遠くすることができる。よって、検査配線71とビデオ信号配線72との距離が最も近くなる、互いが交差する部分において、絶縁性を向上させることが可能となり、製造過程において、2つの配線間の第1層間絶縁膜45が絶縁破壊することを抑えることができる。
【0065】
また、図8(a)に示すように、液晶装置11の周縁部(D部)には、上記したように、画素領域21におけるゲート電極35と同層に設けられた検査配線71と、検査配線71と第1層間絶縁膜45を介して平面的に交差して設けられたVDD電源配線81(例えば、駆動電圧15V程度)、複数の駆動信号配線82、VSSY電源配線83(基準電位)、及びLCCOM配線84とが設けられている。VDD電源配線81およびVSSY電源配線83は定電位配線である。
【0066】
これらの配線は、外部接続用端子23に接続されると共に、データ線駆動回路22及び走査線駆動回路24等に信号が入力される前の配線である。また、これらの配線は、上記した、中継層51と同層に設けられている。複数の駆動信号配線82は、例えば、走査線駆動回路のシフトレジスターを駆動するためのクロック信号(CLY)やその極性反転信号(CLYB)、あるいはシフトレジスターの出力パルスのパルス幅を規定して所望の走査信号パルスを形成するためのイネーブル信号等を含む。また、LCCOM配線84は、対向基板に設けられた共通電極に上下導通端子26を介して共通電位であるLCCOMを供給するための配線である。
【0067】
上記配線(VDD電源配線81、複数の駆動信号配線82、VSSY電源配線83、及びLCCOM配線84)と検査配線71とが交差する部分では、上記配線がその上層の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線83a(上記した、データ線34と同層)を経由して接続されている。これらの配線の材料としては、上記したように、例えば、アルミニウム(Al)が挙げられる。以下、上記配線のうちVSSY電源配線83と検査配線71との交差部分について、図8(b)を参照しながら説明する。
【0068】
図8(b)に示すように、VSSY電源配線83は、検査配線71とVSSY電源配線83とが交差する部分において途切れている。途切れているVSSY電源配線83は、VSSY電源配線83上の第2層間絶縁膜53を介して設けられた中継配線83aと、コンタクトホール74c,74dによって電気的に接続されている。
【0069】
コンタクトホール74c,74dは、上記したように、中継配線83aを介すことによってVSSY電源配線83の抵抗値が極端に増えないように複数設けられている。また、コンタクトホール74c,74dの下方における検査配線71が設けられた層には、その上層の第1層間絶縁膜45表面の凹凸を抑えるために、コンタクトホール下地膜75c,75dが設けられている。これにより、検査配線71とVSSY電源配線83との距離が近くなることを抑えることができる。
【0070】
このように、検査配線71とVSSY電源配線83とが交差する部分において、中継配線83aを介してVSSY電源配線83を接続することにより、検査配線71とVSSY電源配線83(中継配線83a)との距離Fを、中継配線83aを介さない場合(距離E)と比較して、第2層間絶縁膜53の厚み分遠くすることができる。なお、その他の配線(VDD電源配線81、駆動信号配線82、及びLCCOM配線84)においても、中継配線を用いて同様の構造にすることにより、製造過程において、配線間の第1層間絶縁膜45が絶縁破壊することを抑えることができる。
【0071】
<電子機器の構成>
図11は、上記した液晶装置を備えた電子機器の一例として液晶プロジェクターの構成を示す模式図である。以下、液晶装置を備えた液晶プロジェクターの構成を、図11を参照しながら説明する。
【0072】
図11に示すように、液晶プロジェクター901は、上記した液晶装置11が採用された液晶モジュールを3つ配置し、それぞれRGB用のライトバルブ911R,911G,911Bとして用いた構造となっている。
【0073】
詳しくは、メタルハイドロランプ等の白色光源のランプユニット912から投射光が発せられると、3枚のミラー913及び2枚のダイクロイックミラー914によって、RGBの三原色に対応する光成分R,G,Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ911R,911G,911Bにそれぞれ導かれる。特に光成分Bは、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ915、リレーレンズ916、出射レンズ917からなるリレーレンズ系918を介して導かれる。
【0074】
ライトバルブ911R,911G,911Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分R,G,Bは、ダイクロイックプリズム919により再度合成された後、投射レンズ920を介して、スクリーン921にカラー画像として投射される。
【0075】
なお、上記したように、3つの液晶モジュールを配置した液晶プロジェクター901に限定されず、例えば、1つの液晶モジュールを配置した液晶プロジェクターに適用するようにしてもよい。
【0076】
このような構成の液晶プロジェクター901は、上記した液晶装置11が採用された液晶モジュールを介すことによって、かかるコストを抑え、効率よく組み立てることができる。なお、液晶装置11を備えた電子機器は、上記した液晶プロジェクター901の他、高精細EVF(Electric View Finder)、携帯電話機、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、照明機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0077】
以上詳述したように、本実施形態の液晶装置11及び電子機器によれば、以下に示す効果が得られる。
【0078】
(1)本実施形態の液晶装置11によれば、電源配線(定電位配線)であるビデオ信号配線72と検査配線71とのうちビデオ信号配線72が平面的に交差する部分において異なる配線層に設けられた中継配線72aを経由して接続されているので、検査配線71とビデオ信号配線72とにおける厚み方向の距離を、中継配線72aを用いない場合と比較して、遠くすることができる(検査配線71とビデオ信号配線72との間の絶縁膜を厚くすることができる)。よって、2つの信号配線(検査配線71、ビデオ信号配線72)が重なる交差部分において絶縁性が向上し、製造過程において、2つの信号配線間の絶縁膜(第1層間絶縁膜45)が静電破壊されることを低減できる。
【0079】
(2)本実施形態の液晶装置11によれば、ビデオ信号配線72が定電位配線であり、他の配線と比較して面積が大きく電荷の帯電量が多い傾向にあるものの、検査配線71との交差部では、ビデオ信号配線72が一旦分断された後に異なる配線層に設けられた中継配線72aを経由して接続されているので、検査配線71とビデオ信号配線72とにおける厚み方向の距離を遠くすることが可能となり、交差部分における絶縁性を向上させることができる。また、定電位配線側(ビデオ信号配線72)を分断して接続しているので、蓄えられる電荷の帯電量を少なくすることが可能となり、交差部分における絶縁性を向上させることができる。
【0080】
(3)本実施形態の電子機器によれば、製造過程における絶縁膜の静電破壊が低減され、歩留まりよく製造可能な電気光学装置を備えているので、高いコストパフォーマンスを有する電子機器を提供することができる。
【0081】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0082】
(変形例1)
上記したように、ビデオ信号配線72と中継配線72aとを電気的に接続するコンタクトホール74a,74bは、10個程度であることに限定されず、平面的に配線が交差する配線幅に応じてコンタクトホールの数量を設定するようにしてもよい。例えば、配線幅の太い部分に、他の配線と比べてコンタクトホールを多く設けることによって、中継配線を介すことによる配線抵抗が増加することを抑えることができる。
【0083】
(変形例2)
上記したように、ビデオ信号配線72やVSSY電源配線83は、第2層間絶縁膜53を挟んで設けられた中継配線72a,83aを介して電気的に接続されることに限定されず、例えば、ビデオ信号配線72やVSSY電源配線83上において2つ以上の層間絶縁膜を介して設けられた中継配線を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
【0084】
これによれば、2つ以上の層間絶縁膜を介して設けられた中継配線と電気的に接続するので、検査配線71と中継配線72a,83aとの間の絶縁膜の厚みを厚くすることが可能となる。よって、2つの配線の交差部分において絶縁性を高めることができ、上記した実施形態と比較して、絶縁膜が絶縁破壊することを抑えることができる。
【符号の説明】
【0085】
11…電気光学装置としての液晶装置、12…第1基板、13…第2基板、14…シール材、15…液晶層、16…注入口、17…封止材、18…額縁遮光膜、19…表示領域、21…画素領域、22…データ線駆動回路、23…外部接続用端子、24…走査線駆動回路、25…検査回路、26…上下導通端子、27…画素電極、28…第1配向膜、29…信号配線、31…共通電極、32…第2配向膜、33…TFT素子、34…データ線、35…ゲート電極、36…容量線、37…蓄積容量、41…走査線(下側遮光膜)、42…下地絶縁膜、43…半導体層、43a…チャネル領域、43b…低濃度ソース領域、43c…低濃度ドレイン領域、43d…高濃度ソース領域、43e…高濃度ドレイン領域、44…ゲート絶縁膜、45…第1層間絶縁膜、46,51,55,58…中継層、47,52,54,56,59…コンタクトホール、53…第2層間絶縁膜、57…容量電極、61…第3層間絶縁膜、62…蓄積容量、63…誘電体膜、64…容量分離膜、71…第1信号配線としての検査配線、72…第2信号配線としてのビデオ信号配線、72a,83a…中継配線、74a,74b,74c,74d…コンタクトホール、75a,75b,75c,75d…コンタクトホール下地膜、81…VDD電源配線、82…駆動信号配線、83…VSSY電源配線、84…LCCOM配線、100…マザー基板、200…素子基板、300…対向基板、901…液晶プロジェクター、911R,911G,911B…ライトバルブ、912…ランプユニット、913…ミラー、914…ダイクロイックミラー、915…入射レンズ、916…リレーレンズ、917…出射レンズ、918…リレーレンズ系、919…ダイクロイックプリズム、920…投射レンズ、921…スクリーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配置された画素領域の周辺部に、前記画素のトランジスターを構成するゲート電極と同じ配線層に設けられた第1信号配線と、前記ゲート電極と絶縁膜を挟んで配置され前記トランジスターを遮光する遮光層と同じ配線層に設けられた第2信号配線と、を有し、
前記第2信号配線は、前記第1信号配線と重ならないように、前記遮光層とは異なる配線層に設けられ前記第1信号配線と交差するように設けられた中継配線を経由して電気的に接続されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記第1信号配線と前記中継配線との間に2つ以上の絶縁膜が設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電気光学装置であって、
前記トランジスターに画像信号を供給するデータ線駆動回路と外部接続端子とが前記周辺部に設けられ、前記第1信号配線は、前記データ線駆動回路のシフトレジスターの一の段からの出力と前記外部接続端子とを電気的に接続する配線であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気光学装置であって、
前記第2信号配線は、定電位配線であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電気光学装置であって、
前記第2信号配線は、前記データ線駆動回路に供給されるクロック信号配線であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の画素が配置された画素領域の周辺部に、前記画素のトランジスターを構成するゲート電極と同じ配線層に設けられた第1信号配線と、前記ゲート電極と絶縁膜を挟んで配置され前記トランジスターを遮光する遮光層と同じ配線層に設けられた第2信号配線と、を有し、
前記第2信号配線は、前記第1信号配線と重ならないように、前記遮光層とは異なる配線層に設けられ前記第1信号配線と交差するように設けられた中継配線を経由して電気的に接続されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記第1信号配線と前記中継配線との間に2つ以上の絶縁膜が設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電気光学装置であって、
前記トランジスターに画像信号を供給するデータ線駆動回路と外部接続端子とが前記周辺部に設けられ、前記第1信号配線は、前記データ線駆動回路のシフトレジスターの一の段からの出力と前記外部接続端子とを電気的に接続する配線であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電気光学装置であって、
前記第2信号配線は、定電位配線であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電気光学装置であって、
前記第2信号配線は、前記データ線駆動回路に供給されるクロック信号配線であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−230152(P2012−230152A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96850(P2011−96850)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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