説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】ソース線によって正反射された光に起因する視認性の低下を防止することが可能な4色の色相を有する電気光学装置等を提供する。
【解決手段】電気光学装置の一例としての液晶装置はR、G、B及びC(シアン)の4色の着色層を用いて構成され色再現範囲が大きくなっている。また、この液晶装置は、4色の着色層を有するカラーフィルタ基板と、アルミニウム等にて形成されたソース線及びソース線の上側に設けられた散乱層とを有する素子基板との間に液晶層を挟持してなる。散乱層は液晶層と屈折率が異なる材料にて形成されている。特に、ソース線と平面的に重なる散乱層の表面は凹部及び凸部を有する曲面形状に形成されているので、屈折率の相異なる、液晶層と凸部との間に凹レンズが形成され、これにより、ソース線にて正反射された正反射光を拡散させることができる。よって、ぎらついた表示状態となるのを防止できる結果、当該ソース線にて正反射された光により視認性が低下するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種情報の表示に用いて好適な電気光学装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマディスプレイ装置、及びフィールドエミッション表示装置などの各種の電気光学装置が知られている。
【0003】
そのような電気光学装置の一例としての液晶装置は、一般的に、ソース線、ゲート線、及び画素電極等を有する素子基板と、着色層、遮光層及び共通電極を有するカラーフィルタ基板との間に液晶層が挟持された構成を有する。
【0004】
この種の構成を有する透過型の液晶装置において、観察側にカラーフィルタ基板が配置されると共に観察側と反対側に素子基板が配置され、さらに、ソース線が、チタン、モリブデン、アルミニウム等の金属材料により形成されている場合、液晶の駆動時に観察側から入射した外光がソース線によって正反射されることにより、ぎらついた表示となり視認性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、このような不具合を解消するために、かかる透過型の液晶装置では、カラーフィルタ基板側において、ソース線に対応する位置に遮光性を有する遮光層を設けたり、或いは、光を拡散させる機能を有する偏光板を設けたりしている。
【0006】
なお、この種の構成を有する液晶装置として、例えば、アルミニウム等の材料により形成されるソースバス配線(ソース線に相当)のほぼ全面を覆うように絶縁層を形成し、その絶縁層の全表面を滑らかな凹凸面に形成することで、反射光強度を向上させて輝度を向上させることが可能な反射型液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
なお、この種のカラー表示型の液晶装置では、一般的に、原色系の赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に対応する色層が画素電極毎に配置されている。かかる液晶装置では、その各色に対応する画素電極毎に階調に応じた電圧を印加して、各画素電極の透過率を調整することにより複雑な中間色を表示することが可能となっている。さらに、近年では、そのような原色系のR、G、Bの3色のサブ画素に加え、補色系のシアン(C)の色のサブ画素を備えることで広範な色を表示することが可能な画像表示装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平6−342153号公報
【特許文献2】特開2001−306023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような、カラーフィルタ基板側のソース線に対応する位置に遮光性を有する遮光層を設けてなる液晶装置の製造過程において、素子基板とカラーフィルタ基板との貼り合せ時に位置ずれが生じて、遮光層の一部と画素電極の一部とが重なってしまったような場合には、開口率の低下は避けられないという問題がある。
【0010】
また、上記の液晶装置において、光を拡散させる機能を有する偏光板を設けた場合には、ソース線からの正反射光を拡散させることができるため、ぎらついた表示状態となるのを抑制できるという利点を有するものの、そのような偏光板は、通常、液晶パネルの全面に亘って配置されるので、本来、光を拡散させたくない場所、即ち有効表示領域内におけるソース線以外の場所でも光が拡散してしまい、透過特性が低下して、ぼやけた表示の液晶パネルになってしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ソース線によって正反射された光に起因する視認性の低下を防止することが可能な4色の色相を有する電気光学装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの観点では、電気光学装置は、電気光学層を挟持する一対の基板を備え、前記一対の基板のうち一方の基板は、配線と、前記配線の上側に設けられ、前記配線と平面的に重なる表面に凹部及び凸部を有するとともに、前記配線で反射された光を散乱させるための散乱層と、を有する。
【0013】
上記の電気光学装置は、電気光学層を挟持する一対の基板を備えている。好適な例では、前記一方の基板は観察側と反対側(以下、「背面側」と称す)に配置されていると共に、他方の基板は前記観察側に配置されている。
【0014】
特に、この電気光学装置では、一対の基板のうち一方の基板は、例えばソース線などの配線と、その配線の上側に設けられ、その配線と平面的に重なる表面に凹部及び凸部を有するとともに、その配線で反射された光を散乱させるための散乱層と、を有する。好適な例では、配線はアルミニウムなどの反射性を有する材料にて形成することができる。また、散乱層は、電気光学層と屈折率の異なる絶縁層とすることができる。例えば、散乱層は、約1.49の屈折率を有するアクリル樹脂とすることができる。
【0015】
よって、散乱層の表面に形成された凸部により、配線で反射された光が散乱層を透過することにより散乱され、その散乱された光は観察側へ出射される。これにより、ぎらついた表示状態となるのを防止できる結果、当該配線に起因して視認性が低下するのを防止できる。
【0016】
例えば、散乱層の表面が電気光学層と接する構成を有する電気光学装置では、その使用時、観察側から背面側に外光が入射する場合、まず、外光は電気光学層を通過して、散乱層の下側に設けられた配線にて正反射され、その正反射された正反射光は、散乱層の凸部と電気光学層との間に形成される凹レンズの作用により、当該凸部において屈折して拡散し、その拡散光は、上記と逆の経路を辿って最終的に観察側へ出射する。つまり、かかる作用により、配線にて正反射された正反射光を拡散させることができる。これにより、ぎらついた表示状態となるのを防止できる結果、当該配線に起因して視認性が低下するのを防止できる。
【0017】
また、このような構造を適用すれば、他方の基板の配線に対応する位置に遮光性を有するBMを設ける必要がなくなるので、開口率が低下するのを防止できる。即ち、他方の基板の配線に対応する位置にBMを設けた場合に(比較例)、万が一、一方の基板と他方の基板との貼り合せ時に位置ずれが生じて、BMの一部と表示領域の一部とが重なってしまったような場合には、開口率の低下は避けられないが、上記の構造によれば、そのような位置にBMを設けていないので、かかる不具合が生じるのを防止できる。また、この電気光学装置を透過型表示モードに設定したような場合、偏光板に光を拡散させる機能を付加する必要がなくなるので、表示領域内における配線以外の部分において不必要に光を拡散させるのを防止でき、透過特性が低下するのを防止できる。
【0018】
好適な例では、前記凹部及び前記凸部は、前記配線の延在方向又は前記配線の延在方向と交差する方向に交互に且つ周期的に形成されているのが好ましい。または、前記凹部又は前記凸部は行列状に設けられているのが好ましい。
【0019】
上記の電気光学装置の一つの態様では、前記散乱層は当該散乱層の表面側に設けられた上層を有し、前記散乱層と前記散乱層の前記上層とは屈折率が異なり、前記配線で反射された光は、前記散乱層を透過して、前記上層に入射する際に屈折して散乱される。
【0020】
この態様では、散乱層は、当該散乱層の表面側に設けられた上層(例えば、配向膜や平坦化膜など)を有する。このため、散乱層の表面に形成された凹部及び凸部を反映するように、上層の表面にも凹部及び凸部が形成される。また、散乱層と、その散乱層の上層とは屈折率が異なり、配線で反射された光は、当該散乱層を透過して、当該上層に入射する際に屈折して散乱され、その散乱光は観察側へと出射される。これにより、ぎらついた表示状態となるのを防止できる結果、当該配線に起因して視認性が低下するのを防止できる。
【0021】
上記の電気光学装置の他の態様では、前記散乱層は絶縁層による多層構造をなし、前記電気光学層側に位置する前記絶縁膜の表面には前記凹部及び前記凸部が設けられている。
【0022】
この態様では、散乱層は絶縁層による多層構造をなしている。そして、電気光学層側に位置する絶縁層の表面には凹部及び凸部が設けられている。これにより、この電気光学装置の製造過程において、複数層の絶縁層のうち、電気光学層側に位置する絶縁層以外の1又は複数の絶縁層を土台として、当該電気光学層側に位置する絶縁層の表面に対してのみ1度の露光を実施することにより凹部及び凸部を安定的に形成することができ且つ製造工程も簡略化することが可能となる。
上記の電気光学装置の他の態様では、複数のサブ画素により構成される単位画素を備え、前記配線は相隣接する前記サブ画素の間に設けられている。
【0023】
この態様では、複数のサブ画素により構成される単位画素を備えている。そして、配線は相隣接するサブ画素の間に設けられているので、上記の比較例のような不具合が生じるのを防止できる。
【0024】
上記の電気光学装置の他の態様では、前記配線はソース線であり、前記ソース線は、前記散乱層の前記凹部及び前記凸部と平面的に重なる位置に設けられた第1部分と、第2部分と、を有し、前記第2部分の近傍位置に設けられ、補助容量を形成する補助容量部を有し、前記補助容量部及び前記第2部分を遮光する位置に遮光層を有し、前記第2部分の上側に位置する前記散乱層には前記凹部及び前記凸部が設けられていない。
【0025】
この態様では、前記配線はソース線とすることができる。そして、ソース線は、散乱層の凹部及び凸部と平面的に重なる位置に設けられた第1部分と、第2部分とを有して構成される。このため、散乱層の凸部は、第1部分にて反射された光を散乱させることができる。また、ソース線の要素である第2部分の近傍位置には、補助容量を形成する補助容量部を有する。これにより、画素容量に補助容量が付加されるため、表示品質の向上を図ることができる。また、補助容量部及び第2部分を遮光する位置に遮光層を有し、第2部分の上側に位置する散乱層には凹部及び凸部を設けない構成とすることができる。かかる構成によれば、第2部分にて正反射された光は遮光層により遮光されるため、その反射光が表示品質に悪影響を与えるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。尚、以下の実施形態は、本発明を電気光学装置の一例としての液晶装置に適用したものである。
【0027】
本実施形態は、本発明を、1画素が4色の色相の着色領域を有する透過型の液晶装置に適用したものである。ここで、4色の色相の着色領域は、赤(R)、緑(G)、青(B)、シアン(C)の各色相の着色領域を有する。
【0028】
(液晶装置の構成)
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る液晶装置100の構成等について説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る液晶装置100の概略構成を模式的に示す平面図である。図1では、紙面手前側(観察側)にカラーフィルタ基板92が、また、紙面奥側(観察側と反対側)に素子基板91が夫々配置されている。なお、図1では、紙面縦方向(列方向)をY方向と、また、紙面横方向(行方向)をX方向と規定する。また、図1において、4色の各着色層6に対応する領域は1つのサブ画素領域SGを示していると共に、それら4つのサブ画素領域SGにより構成される1行4列の画素配列は、1つの画素領域AGを示している。なお、以下では、1つのサブ画素領域SG内に存在する1つの表示領域を「サブ画素」と称し、また、1つの画素領域AG内に対応する表示領域を「1画素」と称する。
【0030】
液晶装置100は、素子基板91と、その素子基板91に対向して配置されるカラーフィルタ基板92とが枠状のシール材5を介して貼り合わされ、そのシール材5の内側に、例えば、TN(Twisted Nematic)型の液晶が封入されて液晶層4が形成されてなる。かかる液晶層4は、後述する散乱層25の屈折率と異なる液晶材料にて形成されている。この液晶層4の屈折率は、例えば、約1.60に設定されている。ここで、「液晶の屈折率」とは、液晶の異常光屈折率をnとし、常光屈折率をneとした場合のnとneとの平均値と定義する。
【0031】
液晶装置100は、4色の色相の着色領域に対応する複数の着色層6を用いて構成されるカラー表示用の液晶装置であると共に、スイッチング素子としてα−Si型のTFT素子を用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置である。また、液晶装置100は、透過型表示のみを行う透過型の液晶装置である。
【0032】
まず、素子基板91の平面構成について説明する。素子基板91の内面上には、主として、複数のソース線32、複数のゲート線33、複数の補助容量線34、複数のα−Si型TFT素子21、複数の画素電極10、ドライバIC40、外部接続用配線35及びFPC(Flexible Printed Circuit)41などが形成若しくは実装されている。
【0033】
図1に示すように、素子基板91は、カラーフィルタ基板92の一辺側から外側へ張り出してなる張り出し領域36を有しており、その張り出し領域36上には、ドライバIC40が実装されている。ドライバIC40の入力側の端子(図示略)は、複数の外部接続用配線35の一端側と電気的に接続されていると共に、複数の外部接続用配線35の他端側はFPC41と電気的に接続されている。FPC41の一端側は、図示しない電子機器と接続されている。
【0034】
各ソース線32は、Y方向に延在するように且つX方向に適宜の間隔をおいて形成されており、各ソース線32の一端側は、ドライバIC40の出力側の端子(図示略)に電気的に接続されている。
【0035】
各ゲート線33は、Y方向に延在するように形成された第1配線33aと、その第1配線33aの終端部からX方向に且つ後述する有効表示領域V内に延在するように形成された第2配線33bとを備えている。各ゲート線33の第2配線33bは、各ソース線32と交差する方向、即ちX方向に延在するように且つY方向に適宜の間隔をおいて形成されており、各ゲート線33の第1配線33aの一端側は、ドライバIC40の出力側の端子(図示略)に電気的に接続されている。
【0036】
各補助容量線34は、ゲート線33の第2配線33bと同方向に延在するように設けられ、且つ、Y方向に相隣接する、ゲート線33の第2配線33bの間に設けられている。
【0037】
各α−Si型TFT素子21は、各ソース線32と各ゲート線33の第2配線33bの交差位置付近に対応して設けられている。そして、各α−Si型TFT素子21は、各ソース線32、各ゲート線33及び各画素電極10等に電気的に接続されている。各画素電極10は、各サブ画素領域SG内に設けられている。
【0038】
1つの画素領域AGがX方向及びY方向に複数個、マトリクス状に並べられた領域が有効表示領域V(2点鎖線により囲まれる領域)である。この有効表示領域Vに、文字、数字、図形等の画像が表示される。なお、有効表示領域Vの外側の領域は表示に寄与しない額縁領域38となっている。
【0039】
次に、カラーフィルタ基板92の平面構成について説明する。カラーフィルタ基板92は、遮光層(一般に「ブラックマトリクス」と呼ばれ、以下では、単に「BM」と略記する)、4色の色相の着色領域に対応する複数の着色層6、及び共通電極8などを備える。
【0040】
4色の色相の着色領域に対応する複数の着色層は、赤(R)の色相の着色領域を有する着色層6Rと、緑(G)の色相の着色領域を有する着色層6Gと、青(B)の色相の着色領域を有する着色層6Bと、シアン(C)の色相の着色領域を有する着色層6Cと、を備えている。なお、以下の説明において、色を問わずに着色層を指す場合は単に「着色層6」と記し、色を区別して着色層を指す場合は「着色層6R」などと記す。BMは、後述する各補助容量部70、各ゲート線33の第2配線3b及び各α−Si型TFT素子21及び補助容量部70(図3及び図4を参照)に対応する位置などに形成されている。共通電極8は、画素電極と同様にITOなどの透明導電材料からなり、シール材5の内側の領域に略一面に亘って形成されている。共通電極8は、シール材5の隅の領域E1において配線15の一端側と電気的に接続されていると共に、当該配線15の他端側は、ドライバIC40のCOMに対応する出力端子(接地用端子)と電気的に接続されている。
【0041】
以上の構成を有する液晶装置100は、図2に示すような等価回路を有し、その駆動時に次のようにして動作を行う。
【0042】
まず、画像信号を供給するソース線32はα−Si型TFT素子21のソース電極32x(図3及び図4を参照)に繋がっており、画素電極10は、α−Si型TFT素子21のドレイン電極37(図3及び図4を参照)に接続されている。そして、α−Si型TFT素子21のゲート電極33x(図3及び図4を参照)にはゲート線33が繋がっており、スイッチング素子であるα−Si型TFT素子21を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、ソース線32から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。この画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、或いは、相隣接する複数のゲート線32同士に対して、グループ毎に供給するようにしても良い。また、ゲート信号G1、G2、…、Gmは、ゲート線33に所定のタイミングでパルス的に、この順に線順次で印加される。
【0043】
画素電極10を介して液晶層4に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、カラーフィルタ基板92に設けられた共通電極8(図4を参照)との間で一定期間保持される。そして、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極10と共通電極8との間に形成される液晶容量Clcと並列に、前述の補助容量線34等にて構成される補助容量部70(図3及び図4を参照)の補助容量Csを付加する。このようにして、例えば画素電極10の電圧は、補助容量部70の補助容量Csによりソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持され、保持特性はさらに改善され、コントラスト比を向上させることができる。以上のようにして、この液晶装置100では、液晶層4の表示状態が、非表示状態または中間表示状態に切り替えられ、液晶層4内の液晶分子の配向状態が制御されることとなる。これにより、有効表示領域V内において所望の画像を表示することができる。
【0044】
(画素構成)
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る画素構成について説明する。
【0045】
図3は、カラーフィルタ基板92を透視した状態で、当該カラーフィルタ基板92側から素子基板91側を平面視したときの1画素分に対応する液晶装置100の部分平面図である。図4は、図2における切断線X1−X2に沿った部分断面図であり、具体的には液晶装置100における1画素内の一部分を通る位置で切断した部分断面図である。
【0046】
まず、素子基板91における画素構成について説明する。
【0047】
下側基板1の内面上には、複数のゲート線33の第2配線33b及び補助容量線34が夫々X方向に延在するように設けられている。複数のゲート線33の第2配線33b及び補助容量線34は、遮光性を有する導電材料、例えばアルミニウム、モリブデン、クロム或いはこれらの合金等の導電材料にて形成されているのが好ましい。本実施形態では、複数のゲート線33は、上記の導電材料による多層構造をなしている。これは、素子基板91の製造過程において生じる温度変化によって、ゲート線33を含む各種の配線の剥離等が起こらないようにするために多層構造としているものである。各第2配線33bは、Y方向に適宜の間隔をおいて設けられている一方、補助容量線34は、その相隣接する第2配線33bの間に且つ当該各第2配線33bのうち一方の第2配線33b側の近傍位置に設けられている。各第2配線33bは、サブ画素毎にゲート電極33xを有し、後述する他の要素と共にα−Si型TFT素子21を構成する。補助容量線34は、サブ画素毎に、その一部を幅広とすることにより形成された補助容量電極34xを有する。
【0048】
下側基板1、各第2配線33b及び各補助容量電極34x等の内面上には、窒化シリコンなどの透明樹脂材料よりなるゲート絶縁膜50が設けられている。ゲート絶縁膜50の内面上であって、各ゲート電極33xに対応する位置には、α−Si型TFT素子21を構成する、α−Si層36が島状に設けられている。ゲート絶縁膜50の内面上であって、各サブ画素領域SGの間にはソース線32がY方向に延在するように設けられている。
【0049】
各ソース線32は、アルミニウム等の導電材料にて形成され、第1部分32a、第2部分32b及びソース電極32xを有する。各ソース線32において、各第1部分32aは、X方向に相隣接する画素電極10の間に設けられていると共に、各第2部分32bは、X方向に相隣接する補助容量部70の間に設けられている。各第2部分32bの線幅(X方向の長さ)は、各第1部分32aの線幅(X方向の長さ)より相対的に小さくなるように形成されている。このように、第2部分32bの線幅を第1部分32aの線幅より小さくしている理由は、第2部分32bと補助容量電極34xとの間において表示品質に悪影響を与える寄生容量が生じるのを防止するためである。また、各ソース電極32xは、第1部分32aの一端側から各α−Si層36側に分岐してなる。各ソース電極32xは、各α−Si層36と部分的に重なっており、その両者は電気的に接続されている。補助容量部70に位置するゲート絶縁膜50、及び各α−Si層36等の内面上には、例えばソース線32と同一の材料により形成されたドレイン電極37が設けられている。このため、ドレイン電極37の一端側は、各α−Si層36と電気的に接続されている。こうして、各ゲート線33の第2配線33bと各ソース線32との交差位置には、α−Si型TFT素子21が形成されている。そして、α−Si層36とゲート電極33xとの間には、ゲート絶縁膜50を誘電体とする素子容量Ctftが形成されている。一方、各補助容量電極34xとドレイン電極37との間には、ゲート絶縁膜50を誘電体とする補助容量Csが形成されている。なお、本明細書中では、補助容量Csが形成されている領域を「補助容量部70」と称する。
【0050】
ゲート絶縁膜50、各α−Si型TFT素子21、及び各補助容量電極34xの内面上には、例えば無機絶縁材料よりなる保護絶縁膜51が設けられている。保護絶縁膜51は、各補助容量電極34xに対応する位置にコンタクトホール51aを有する。このため、各補助容量部70に対応するドレイン電極37の内面上には保護絶縁膜51が設けられていない。保護絶縁膜51の内面上には、例えば有機絶縁材料よりなる層間絶縁膜52が設けられている。層間絶縁膜52は、補助容量部70に対応する位置にコンタクトホール52aを有する。
【0051】
層間絶縁膜52及び各補助容量部70に対応するドレイン電極37の内面上であって、各サブ画素領域SGに対応する位置には、例えばITO(Indium-Tin Oxide)などの透明導電材料よりなる画素電極10が設けられている。このため、各画素電極10は、コンタクトホール51a及び52aを夫々通じて、各補助容量部70に位置するドレイン電極37と電気的に接続されている。また、層間絶縁膜52及び画素電極10等の内面上には、所定の方向にラビング処理が施された配向膜19が設けられている。また、下側基板1の外面上には、偏光板11が設けられている。偏光板11の外面上には、照明装置としてのバックライト15が配置されている。
【0052】
次に、上記の素子基板91の画素構成に対応するカラーフィルタ基板92の構成について説明する。
【0053】
上側基板2の内面上であって、各補助容量部70、各ゲート線33の第2配線33b、各α−Si型TFT素子21、各ソース線32の一部及び各補助容量部70の各々と重なる位置には遮光性を有するBMが設けられている。BM及び上側基板2の内面上には、サブ画素領域SG毎に、着色層6R、着色層6G、着色層6B及び着色層6Cが設けられている。ここで、1画素に着目した場合、各着色層6の配列順序は、X方向に向かって、着色層6R、着色層6G、着色層6B、着色層6Cに設定されている。各着色層6の内面上には、画素電極10と同一の材料よりなる共通電極8が設けられている。共通電極8の内面上には、所定の方向にラビング処理が施された配向膜18が設けられている。また、上側基板2の外面上には、偏光板12が配置されている。
【0054】
上記した画素構成を有する、素子基板91とカラーフィルタ基板92とはシール材5(図1を参照)を介して対向しており、その両基板の間にはTN型の液晶が封入されて液晶層4が形成されている。また、この液晶装置100では、素子基板91に設けられた配向膜19と、カラーフィルタ基板92に設けられた配向膜18との間であって、且つ、各α−Si型TFT素子21と各補助容量部70との間に設けられたスペーサ39によって液晶層4の厚さが一定の厚さに規定されている。
【0055】
以上の構成を有する液晶装置100において透過型表示がなされる場合、バックライト15から出射した照明光は、図4に示す経路Tに沿って進行し、画素電極10及びR、G、B、Cの各着色層6等を通過して観察者に至る。この場合、その照明光は、その各着色層6を通過することにより所定の色相及び明るさを呈する。こうして、所望のカラー表示画像が観察者により視認される。特に、この液晶装置100は、原色系のR、G、Bの3色に加え、補色系のCの1色を用いて構成されているので、人間の視感度が高いGの色の光の輝度の低下が抑制され、また、後述の国際照明委員会(CIE)のxy色度図において、R、G、Bの3色にて構成される液晶装置と比較して、色再現範囲(色度域)が大きくなっており、高演色表示を実現することが可能となっている。
【0056】
(ソース線からの正反射光に起因する視認性低下の防止構造)
次に、図3及び図5を参照して、本発明の実施形態に係るソース線32からの正反射光に起因する視認性低下の防止構造について説明する。
【0057】
上記したように、ソース線32aは、一般にアルミニウム等の導電材料により形成されることが多い。この点、本実施形態でも、ソース線32は鏡面性を有し光を正反射する性質を有するアルミニウムにより形成されている。このため、以下に述べるような問題が生じる。即ち、観察側から液晶装置内に外光が進入する場合、まず、外光は観察側に位置する偏光板を通過することにより直線偏光になり、かかる直線偏光はさらに液晶層を通過して反射性を有するソース線によって正反射され、さらにその正反射光は、その逆の経路を辿って観察側へと出射する。かかる作用により液晶装置を屋外で使用したような場合には、その正反射光によってぎらついた表示になってしまい、視認性が低下してしまうという問題がある。このような、ソース線からの正反射光による視認性の低下を防止する方法としては、例えば、カラーフィルタ基板側において、ソース線に対応する位置に遮光性を有するBMを設ける(以下、「比較例1」と称す)、或いは、カラーフィルタ基板に設けられる偏光板に光を拡散させる機能を付加する(以下、「比較例2」と称す)等の方法が考えられる。
【0058】
しかしながら、比較例1に係る方法を適用した場合、万が一、カラーフィルタ基板と素子基板との貼り合せ時に位置ずれが生じ、BMの一部が画素電極の一部と重なってしまったような場合には、開口率が低下してしまうという新たな問題が生じ得る。一方、比較例2に係る方法を適用した場合、光拡散性を有する偏光板(例えば、拡散フィルムを貼り付けた偏光板など)がソース線からの正反射光を拡散させることができるため、ぎらついた表示状態となるのを抑制できるという利点を有するものの、そのような偏光板は、通常、液晶パネルの全面に亘って配置されるので、本来、光を拡散させたくない場所、即ち有効表示領域V内におけるソース線以外の場所でも光が拡散してしまい、透過特性が低下して、ぼやけた表示の液晶パネルになってしまうという欠点を有する。
【0059】
そこで、これらの問題を解消するため、本発明の実施形態では、光を正反射する性質を有するソース線32の上側に対応する位置に光を拡散させる構造を形成する。
【0060】
具体的には、本実施形態では、ソース線32の上側に、上記の液晶層4と異なる屈折率を有する散乱層25を設け、その散乱層25の表面を凹凸状の曲面形状に形成する。なお、本実施形態では、散乱層25は、絶縁層17と、その絶縁層17の上側に設けられた上層としての配向膜19と、を有して構成されている。好適な例では、散乱層25は、約1.49の屈折率を有するアクリル樹脂にて形成されているのが好ましい。これにより、上記のようにしてソース線32にて正反射された光は、当該凹凸状の曲面形状を有する散乱層25と液晶層4との屈折率の差により、その正反射光を適度に散乱させることができ、視認性の低下が生じるのを防止できる。この点について、以下に詳述する。
【0061】
まず、図5の断面構成について説明する。図5は、図3における切断線X3−X4に沿った部分断面図であり、1つのソース線32の一部分を通る位置で切断した部分断面図である。
【0062】
図5において、下側基板1上には、ゲート絶縁膜50が形成されていると共に、ゲート絶縁膜50上には、第1部分32a及び第2部分32bを含むソース線32が形成されている。ソース線32上には、保護絶縁膜51が形成されている。保護絶縁膜51上には、アクリル樹脂からなる散乱層25の一要素たる絶縁層17が形成されている。上記したように、本実施形態では、絶縁層17は、例えばアクリル樹脂にて形成されており、当該絶縁層17の屈折率(例えば、約1.49)と、液晶層4の屈折率(例えば、約1.60)とは異なっている。少なくとも、ソース線32の第1部分32aに位置する絶縁層17の表面は、光を拡散させる機能を有する凹凸状の曲面形状に形成されている。言い換えれば、絶縁層17の表面は、凹部17a及び凸部17bを有する曲面形状に形成されている。凹部17a及び凸部17bは、図3にも示されるように、ソース線32の延在方向に交互に且つ周期的に配置されている。絶縁層17上には、当該絶縁層17と共に散乱層25を構成する配向膜19が形成されている。このため、凹凸状の曲面形状に形成された絶縁層17上に設けられた配向膜19は、その凹凸形状を反映した形状に形成されている。即ち、配向膜19は、絶縁層17の凹部17a及び凸部17bに対応する位置に凹部19a及び凸部19bを有する。このため、凹部19a及び凸部19bは、図3にも示されるように、ソース線32の延在方向に交互に且つ周期的に配置されている。また、配向膜19は、絶縁層17と同一の材料、例えばアクリル樹脂等により形成されており、絶縁層17の屈折率と、配向膜19の屈折率は同じ値に設定されている。一方、上側基板2上であって、ソース線32の第2部分32bに対応する位置には遮光性を有するBMが形成されているが、ソース線32の第1部分32aに対応する位置には当該BMは形成されていない。上側基板2及びBM上には、着色層6が形成されている。着色層6上には共通電極8が形成されていると共に、共通電極8上には配向膜18が形成されている。そして、かかる部分に対応する、素子基板91とカラーフィルタ基板92とは液晶層4を介して対向配置されている。
【0063】
以上の構成を有する本実施形態では、上記のように、少なくとも、ソース線32の要素である第1部分32aの上側に液晶層4と屈折率の異なる、絶縁層17及び配向膜19を含む散乱層25が設けられ、さらに、その散乱層25の表面は凹凸状の曲面形状に形成されている。また、上記したように絶縁層17の屈折率と、配向膜19の屈折率とは同一の値に設定されている。このため、液晶層4と、散乱層25の凸部17b及び19bとの間に凹レンズ80(破線領域E10の部分)が形成され、これにより、次のような作用効果を生じる。
【0064】
即ち、この液晶装置100の使用時に、図5において観察側から背面側に外光L1が入射する場合、まず、外光L1は偏光板12を通過することにより直線偏光L2となり、その直線偏光L2は、さらに液晶層4、配向膜19及び絶縁膜17を有する散乱層25等を通過して、その散乱層25の下側に設けられたソース線32の第1部分32aにて正反射され、その正反射された光L2は、屈折率の相異なる、散乱層25のの凸部17b及び19bと液晶層4との間に形成される凹レンズ80の作用により当該凸部17b及び19bにおいて屈折して拡散し、その拡散光L3は、上記と逆の経路を辿り最終的に観察側へ出射する。つまり、かかる作用により、ソース線32にて正反射された光を拡散させることができる。これにより、ぎらついた表示状態となるのを防止できる結果、ソース線32に起因して視認性が低下するのを防止できる。また、このような構造を適用すれば、上記した比較例1のようにBMを設ける必要がなくなるので開口率が低下するのを防止できると共に、上記した比較例2のように偏光板に光を拡散させる機能を付加する必要がなくなるので、有効表示領域V内におけるソース線32以外の部分において不必要に光を拡散させるのを防止でき、透過特性が低下するのを防止できる。
【0065】
なお、本実施形態では、ソース線32の第2部分32bの上側に位置する散乱層25の表面は意図的に凹凸状の曲面形状を形成していない。これは、当該第2部分32bは、補助容量部70に近いこともあり、当該補助容量部70と共にBMによって遮光されるため、その位置では、上記したような問題は生じないからである。つまり、この場合、ソース線32の第2部分32bにより正反射された光はBMによって遮光されるため、その正反射光が表示品質に悪影響を与えるのを防止できる。
【0066】
好適な例では、凹部17a及び凸部17b、並びに、凹部19a及び凸部19bは、ソース線32の延在方向に交互に且つ周期的に設けているのが好ましい。また、本発明では、これに代えて、図6(a)に示すように、凹部17a及び凸部17b並びに凹部19a及び凸部19bを、ソース線32の延在方向と同方向に延在するように形成し、さらに、凹部17aと凸部17bとを、また、凹部19aと凸部19bとを、それぞれ、ソース線32の延在方向と交差する方向に交互に且つ周期的に設けるようにしても構わない。また、これに代えて、本発明では、図6(b)に示すように、凹部17a及び凹部19aを行列状に設けて、絶縁層17の表面上の各凹部17a以外の部分及び配向膜19の表面上の各凹部19a以外の部分を、それぞれ凸部17b及び凸部19bとなるように形成しても構わない。また、その逆に、本発明では、図6(b)において、凸部17b及び凸部19bを行列状に設けて、絶縁層17の表面上の各凸部17b以外の部分及び配向膜19の表面上の各凸部19b以外の部分を、それぞれ凹部17a及び凹部19aとなるように形成しても構わない。ここで、図6(a)及び図6(b)は、それぞれ図3における1つのソース線32の部分に対応する平面図を示している。即ち、本発明では、凹部17a及び19a並びに凸部17b及び19bの形状や、ソース線32に対する凹部17a及び19a並びに凸部17b及び19bの配置等は上記のものに限定されず、それらは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0067】
[液晶装置の製造方法]
次に、図7乃至図10並びに上記した適当な図を参照して、本発明の液晶装置の製造方法について説明する。なお、以下では、本発明の特徴的な部分の製造について詳述し、その他の部分の製造については簡略化して説明する。
【0068】
図7は、本発明の液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。図8は、本発明の凹凸状の曲面形状を有する散乱層25の形成方法を示すフローチャートである。図9〜図10は、図8に対応する各製造工程図であり、当該各製造工程図は、図5の素子基板91の部分断面図に対応している。
【0069】
本発明の液晶装置の製造方法では、図7に示すように、工程P1〜工程P11を経て素子基板91が作製されると共に、工程P21〜工程P25を経てカラーフィルタ基板92が作製され、さらに、工程P31〜工程P34を経て本発明の液晶装置が製造される。特に、本発明の液晶装置の製造方法では、工程P6及び工程P9において、散乱層25に凹部及び凸部を有する曲面形状が形成される点、具体的には、絶縁層17の表面に凹部17a及び凸部17bを有する曲面形状が形成されると共に、配向膜19に凹部19a及び凸部19bを有する曲面形状が形成される点に特徴を有している。なお、本発明では、素子基板91及びカラーフィルタ基板92の作製順序に特に限定はない。
【0070】
まず、図3及び図4等を参照して、上記した素子基板91を作製する方法について説明する。
【0071】
まず、ガラスや石英等の絶縁性を有する下側基板1上に、ゲート電極33xを含むゲート線33、及び、補助容量電極34xを含む補助容量線34等を作製する(工程P1)。次いで、ゲート線33及び補助容量線34並びに下側基板1の上に絶縁性及び透明性を有するゲート絶縁膜50を形成する(工程P2)。次いで、ゲート絶縁膜50上に、半導体層としてのα−Si層を形成し、それをパターニングすることにより、ゲート電極33xと平面的に重なる位置に島状のα−Si層36を形成する(工程P3)。次いで、ゲート絶縁膜50等の上に、第1部分32a、第1部分32aより線幅の小さい第2部分32b、及びソース電極32xを含むソース線32、並びにドレイン電極37を形成する(工程P4)。このとき、ソース電極32x及びドレイン電極37は、それぞれα−Si層52の一部上に且つ一定の間隔をおいて形成する。これにより、α−Si型TFT素子21が形成されるべき位置にα−Si型TFT素子21が作製されると共に、ゲート電極33xとドレイン電極37とが平面的に重なる位置にゲート絶縁膜50を誘電体とする補助容量Csを有する補助容量部70が形成される。次いで、ソース線32、α−Si型TFT素子21及びドレイン電極37等の上に、絶縁性及び透明性を有する保護絶縁膜51を形成する(工程P5)。また、このとき、補助容量部70に対応する位置にコンタクトホール51aを形成する。次に、図5に示すように、少なくとも、ソース線32上に、絶縁性及び透明性を有し且つ感光剤を含むアクリル樹脂等からなり、上記した散乱層25の要素となる絶縁層17を形成する。このとき、ソース線32の要素である第1部分32aに位置する絶縁層17の表面にのみ凹凸状の曲面形状を形成する。
【0072】
ここで、図8乃至図10を参照して、本発明の特徴をなす凹凸状の曲面形状を有する絶縁層17の形成方法の一例について説明する。
【0073】
まず、図9(a)に示すように、ゲート絶縁膜50上の一面に亘って、感光剤を含むアクリル樹脂17zを塗布する(工程P41)。次いで、図9(b)に示すように、面積階調型の多階調露光マスク90を用いて露光を実施する(工程P42)。ここで、面積階調型の多階調露光マスク90は、露光装置の特性である露光解像限界よりも小さい遮光パターンの集合によって透過光量が異なる複数の領域を形成してなる面積階調マスクである。例えば、露光装置の解像限界が3μmである場合に、直径が1μmの複数の遮光パターンを1μmの間隔で集合させて遮光領域を形成するような態様が考えられる。露光解像限界よりも小さい遮光パターンは、例えば、Cr(クロム)によって形成することができる。図9(b)では、複数の遮光パターンの集合の密度を高くして完全遮光領域A2(二点鎖線にて囲まれた部分)を形成し、また、複数の遮光パターンの集合の密度を低くして部分光透過領域A1(ハッチングの部分)を形成し、さらに、複数の遮光パターンを形成しないことによって完全光透過領域(図9では図示を省略)を形成している。
【0074】
以上の構成を有する面積階調型の多階調露光マスク90を通じて、アクリル樹脂17zへ一定量の露光光Lxを照射すると、鎖線で示す潜像がそのアクリル樹脂17zの中に形成される。この潜像のうち完全遮光領域A2に対応する部分は露光光Lxを受けないので、これに対応するアクリル樹脂17zの部分は除去されずそのままの高さで残る。また、潜像のうち部分光遮光領域A1に対応する部分は露光光Lxのうちの一部光量を受けることにより、完全遮光領域A2に対応する部分よりも低い潜像が形成される部分(破線にて示す略半円状の部分)である。なお、図9(b)では図示を省略しているが、潜像のうち完全光透過領域に対応する部分は露光光Lxが十分に照射されてアクリル樹脂17zが完全に除去される部分である。
【0075】
上記のようにして潜像が形成された後に現像処理を実施することによって(工程P43)、露光によって光分解した部分が除去されて、図10に示すように潜像が顕在化する。こうして、ソース線32の要素である第1部分32aに対応する位置に凹部17a及び凸部17bの曲面形状を有する絶縁層17が形成されると共に、ソース線32の要素である第2部分32b等に対応する位置に略平坦性を有する絶縁層17が形成される。このとき、本製造方法では、図3に示すように、凹部17a及び凸部17bを、ソース線32の延在方向に交互に且つ周期的に配置されるように形成することができる。また、これに代え、本製造方法では、図6(a)に示すように、凹部17a及び凸部17bを、ソース線32の延在方向と同方向に延在するように形成し、さらに、凹部17aと凸部17bとを、ソース線32の延在方向と交差する方向に交互に且つ周期的に配置するように形成しても構わない。また、これに代え、本製造方法では、図6(b)に示すように、凹部17aが行列状の配置となるように形成して、その各凹部17a以外の、絶縁層17の表面上の部分が凸部17bとなるように形成しても構わない。または、これと逆に、本製造方法では、図6(b)において、凸部17bを行列状の配置となるように形成して、その各凸部17b以外の、絶縁層17の表面上の部分が凹部17aとなるように形成しても構わない。なお、本製造方法では、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、凹部17a及び凸部17bの形状や、ソース線32に対する凹部17a及び凸部17bの配置等を自由に変えることができる。
【0076】
なお、本発明では、絶縁層17の表面に凹凸状の曲面形状を形成するためのマスクは、上記した面積階調型の多階調露光マスク90に限定されない。即ち、本発明では、凹凸状の曲面形状を形成用の第1のマスク及び第2のマスクを用いて2度露光を実施することにより、或いは、ハーフトーン型の多階調マスクを用いることにより、絶縁層17の表面に凹凸状の曲面形状を形成するようにしても構わない。ここで、後者の「ハーフトーン型の多階調マスク」とは、ガラス等の透光性材料によって形成された基板上に部分光透過パターンを設けることによって形成される。この部分光透過パターンは、光を減衰して透過させる材料を基板上に塗布した後、その材料を光描画によって所定パターンに形成したものである。光を減衰して透過させる材料としては、例えばモリブデンシリサイドを用いることができる。
【0077】
図4及び図7に戻り、保護絶縁膜51等の上に、絶縁性及び透明性を有し且つ感光剤を含むアクリル樹脂やシリコン酸化膜等からなる層間絶縁膜52を形成する(工程P7)。また、このとき、コンタクトホール51aに対応する位置にコンタクトホール52aを形成する。次いで、層間絶縁膜52上であって、各サブ画素領域SG内に対応する位置に、ITO等の透明導電材料よりなる画素電極10を形成する(工程P8)。これにより、画素電極10は、コンタクトホール51a及び52aを通じてドレイン電極37と電気的に接続される。次いで、図5に示すように、凹部17a及び凸部17bを有する絶縁層17の上及び画素電極10等の上に、絶縁層17と共に散乱層25を構成する、例えば絶縁層17と屈折率が同一の材料よりなる配向膜19を形成し(工程P9)、その配向膜19にラビング処理を施す(工程P10)。このとき、凹部17a及び凸部17bが形成された絶縁層17上に位置する配向膜19は、その凹部17a及び凸部17bを反映した形状に形成される。即ち、配向膜19は、凹部17a及び凸部17bに対応する位置に凹部19a及び凸部19bを有する。こうして、凹部17a及び凸部17bを有する絶縁層17、並びに、凹部19a及び凸部19bを有する配向膜19を有する、本発明の特徴をなす散乱層25が形成される。次いで、ディスペンサーやスクリーン印刷等により、有効表示領域Vを囲むように枠状のシール材5を形成する(工程P11)。なお、このとき、シール材5の所定の位置には液晶を注入するための開口が設けられる。こうして、図4等に示される素子基板91が作製される。
【0078】
次に、図3及び図4等を参照して、上記したカラーフィルタ基板92を作製する方法について説明する。
【0079】
まず、下側基板1と同一の大きさ及び材料よりなる上側基板2上であって、ソース線32の要素である第2部分32b及びソース電極32x、ゲート線33の第2配線33b、並びに補助容量部70の各々に対応する位置等に遮光性を有するBMを形成する(工程P21)。次いで、BM及び上側基板2の上であって、各サブ画素領域SGに対応する位置に、R、G、B、Cの4色の着色層6をその配列順序で形成する(工程P22)。次いで、各着色層6上の略一面に亘って、ITO等の透明導電材料よりなる共通電極8を形成し(工程P23)、続いて、共通電極8上にポリイミド樹脂等よりなる配向膜18を形成し(工程P24)、その配向膜18にラビング処理を施す(工程P25)。こうして、図4等に示されるカラーフィルタ基板92が製造される。
【0080】
次に、素子基板91とカラーフィルタ基板92とを適切な位置に位置決めした状態で、その両者を枠状のシール材5を介して貼り合せる(工程P31)。次に、素子基板91とカラーフィルタ基板92とを圧着した状態でシール材5の硬化特性に応じて光照射処理や加熱処理等を施すことによりシール材5を硬化させる(工程P32)。次いで、シール材5に設けられた各開口(図示しない各液晶注入口)を通じて、上記の散乱層25と屈折率の異なる液晶を注入し、当該各開口に封止材を塗布して硬化させることにより液晶を封入する(工程P33)。次いで、図1に示す素子基板91の張り出し領域36にドライバIC40を実装し(工程P34)、さらに、偏光板11及び12、並びにバックライト15等を取り付ける(工程P34)。こうして、本発明の液晶装置100が製造される。
【0081】
[他の実施形態]
上記の説明では、4色の色相の着色領域として、R、G、B、Cの4色の色相の着色領域の一例を挙げて説明したが、本発明の適用はこれには限定されず、他の4色の色相の着色領域により1画素を構成することもできる。
【0082】
この場合、4色の色相の着色領域は、波長に応じて色相が変化する可視光領域(380〜780nm)のうち、青系の色相の着色領域(「第1着色領域」とも呼ぶ。)、赤系の色相の着色領域(「第2着色領域」とも呼ぶ。)と、青から黄までの色相の中で選択された2種の色相の着色領域(「第3着色領域」、「第4着色領域」とも呼ぶ。)からなる。ここで「系」との語を用いているが、例えば青系であれば純粋の青の色相に限定されるものでなく、青紫や青緑等を含むものである。赤系の色相であれば、赤に限定されるものでなく橙を含む。また、これら着色領域は単一の着色層で構成されても良いし、複数の異なる色相の着色層を重ねて構成されても良い。また、これら着色領域は色相で述べているが、当該色相は、彩度、明度を適宜変更し、色を設定し得るものである。
【0083】
具体的な色相の範囲は、
・青系の色相の着色領域は、青紫から青緑であり、より好ましくは藍から青である。
・赤系の色相の着色領域は、橙から赤である。
・青から黄までの色相で選択される一方の着色領域は、青から緑であり、より好ましくは青緑から緑である。
・青から黄までの色相で選択される他方の着色領域は、緑から橙であり、より好ましくは緑から黄である。もしくは緑から黄緑である。
【0084】
ここで、各着色領域は、同じ色相を用いることはない。例えば、青から黄までの色相で選択される2つの着色領域で緑系の色相を用いる場合は、他方は一方の緑に対して青系もしくは黄緑系の色相を用いる。
【0085】
これにより、従来のRGBの着色領域よりも広範囲の色再現性を実現することができる。
【0086】
他の具体的な例として、着色領域を透過する波長で表現すると以下のようになる。
・青系の着色領域は、該着色領域を透過した光の波長のピークが415〜500nmにある着色領域、好ましくは、435〜485nmにある着色領域である。
・赤系の着色領域は、該着色領域を透過した光の波長のピークが600nm以上にある着色領域で、好ましくは、605nm以上にある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される一方の着色領域は、該着色領域を透過した光の波長のピークが485〜535nmにある着色領域で、好ましくは、495〜520nmにある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される他方の着色領域は、該着色領域を透過した光の波長のピークが500〜590nmにある着色領域、好ましくは510〜585nmにある着色領域、もしくは530〜565nmにある着色領域である。
【0087】
この波長は、透過表示の場合は、照明装置としてのバックライト15からの照明光がカラーフィルタ(着色層)を通して得られた数値である。反射表示の場合は、外光を反射して得られた数値である。
他の具体的な例として、x、y色度図で表現すると以下のようになる。
・青系の着色領域は、x≦0.151、y≦0.200にある着色領域であり、好ましくは、0.134≦x≦0.151、0.034≦y≦0.200にある着色領域である。
・赤系の着色領域は、0.520≦x、y≦0.360にある着色領域であり、好ましくは、0.550≦x≦0.690、0.210≦y≦0.360にある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される一方の着色領域は、x≦0.200、0.210≦yにある着色領域であり、好ましくは、0.080≦x≦0.200、0.210≦y≦0.759にある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される他方の着色領域は、0.257≦x、0.450≦yにある着色領域であり、好ましくは、0.257≦x≦0.520、0.450≦y≦0.720にある着色領域である。
【0088】
このx、y色度図は、透過表示の場合は、照明装置としてのバックライト15からの照明光がカラーフィルタ(着色層)を通して得られた数値である。反射表示の場合は、外光を反射して得られた数値である。
【0089】
これら4色の着色領域は、1つのサブ画素領域SGに透過領域と反射領域を備えた場合、透過領域及び反射領域も上述した範囲で適用することができるものである。
【0090】
なお、バックライト15にはRGBの光源としてLED(Light Emitting Diode)、蛍光管、有機EL(organic electroluminescence)などを用いても良い。または白色光源を用いても良い。なお、白色光源は青の発光体とYAG蛍光体により生成される白色光源でもよい。
【0091】
但し、RGB光源としては、以下のものが好ましい。
・Bは発光する光の波長のピークが435nm〜485nmにあるもの
・Gは発光する光の波長のピークが520nm〜545nmにあるもの
・Rは発光する光の波長のピークが610nm〜650nmにあるもの
そして、RGB光源の波長によって、上記した着色層を適切に選定すればより広範囲の色再現性を得ることができる。また、波長が例えば、450nmと565nmにピークがくるような、複数のピークを持つ光源を用いても良い。
【0092】
上記の4色の色相の着色領域の構成の例としては、具体的には以下のものが挙げられる。
・色相が、赤、青、緑、シアン(青緑)の着色領域。これは、上記の各実施形態の構成例である。
・色相が、赤、青、緑、黄の着色領域
・色相が、赤、青、深緑、黄の着色領域
・色相が、赤、青、エメラルド、黄の着色領域
・色相が、赤、青、深緑、黄緑の着色領域
・色相が、赤、青緑、深緑、黄緑の着色領域
[変形例]
上記の実施形態では、ソース線32の上側に対応する位置に散乱層25を一層のみ設け、さらに、ソース線32の第1部分32aと平面的に重なる散乱層25の表面を凹部及び凸部を有する曲面形状に形成した。これに限らず、本発明では、散乱層25を絶縁層による2層構造としても構わない。即ち、この場合、例えば、まず、ソース線32の上側に対応する位置に平坦性を有する一層目の絶縁層17を形成し、さらに、その絶縁層17上に2層目の絶縁層17を形成すると共に、ソース線32と平面的に重なる部分以外の2層目の絶縁層17を除去すると共に、ソース線32の第1部分32aと平面的に重なる2層目の絶縁層17の表面を凹凸状の曲面形状を有するようにして、散乱層25を形成するようにしても構わない。この場合、2層目の絶縁層17の表面に対してのみ1度の露光を実施することにより、当該散2層目の絶縁層17の凹部及び凸部を安定的に形成することができ且つ製造工程も簡略化できるという利点を有する。また、上記同様の効果を得るため、本発明では、ソース線32の上側に重なるように設けられる散乱層25は、絶縁層による2層以上の多層構造となっていても構わない。また、上記同様の効果を得るため、本発明では、1種類の材料よりなる絶縁膜にて当該多層構造を形成するのではなく、屈折率の夫々異なる絶縁膜にて当該多層構造を形成するようにしても構わない。
【0093】
また、上記の実施形態では、散乱層25を構成する、絶縁層17と配向膜19とをそれぞれ屈折率が同一の材料により形成したが、これに限らず、本発明では、絶縁層17と配向膜19とを夫々屈折率の異なる材料により形成しても構わない。かかる構成及びその作用効果について、図11(a)を参照して説明する。
【0094】
図11(a)は、図5の破線領域E11に対応する素子基板の部分断面図である。なお、図11(a)では、説明に必要な最小限の要素のみ図示している。
【0095】
図11(a)において、散乱層25を構成する、絶縁層17と配向膜19は屈折率の異なる材料により形成されている。このため、かかる構成を有する液晶装置では、その使用時、まず、観察側から偏光板12を通じて液晶層4内に入射された直線偏光L2は、反射性を有するソース線32の第1部分32aにて正反射される。そして、その正反射された反射光は、凹レンズ80の作用により、絶縁層17の凸部17bを透過して配向膜19に入射するときに当該絶縁層17と当該配向膜19の界面で屈折し、さらに、その屈折した光は、配向膜19の凸部19bを透過して液晶層4に入射するときに当該配向膜19と当該液晶層4の界面で再び屈折し、その屈折した光は拡散光L3となって観察側へと出射する。これにより、上記の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、かかる構成では、実質的に散乱される方(屈折率の大きい方、即ち、屈折率差の大きい方)の界面が絶縁層17の表面になっている。
【0096】
また、本発明では、図11(b)に示すように、上記の実施形態を若干変更してなる態様、具体的には、凹部a及び凸部17bを有する絶縁層17の内面上に、平坦性を有し且つ絶縁層17と屈折率の異なる絶縁材料よりなる平坦化層20を形成し、また、その平坦化層20の内面上に、当該平坦化層20と屈折率が同一の絶縁材料よりなる配向膜19を形成して構成される散乱層25を有する態様でも、上記の実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。即ち、かかる態様では、絶縁層17、平坦化層20及び配向膜19により散乱層25が形成されている。このとき、好適な例では、液晶層4の屈折率と同一の材料によりなる絶縁材料を用いて、平坦化層20を形成することができる。
【0097】
即ち、かかる態様を有する液晶装置では、その使用時、まず、観察側から偏光板12を通じて液晶層4内に入射された直線偏光L2は、反射性を有するソース線32の第1部分32aにて正反射される。そして、その正反射された反射光は、凹レンズ80の作用により、絶縁層17の凸部17bを透過して平坦化層20に入射するときに当該絶縁層17と当該平坦化層20の界面で屈折して、その屈折した光は散乱光L3となって観察側へと出射される。これにより、上記の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、本発明では、かかる構成おいて平坦化膜20と屈折率の異なる材料を用いて配向膜19を形成するようにしても構わない。
【0098】
また、上記の各実施形態では、画素領域AG単位毎に、R、G、C、Bの配列順序で着色層6をストライプ状に配置するように構成したが、本発明では、R、G、C、Bの4色の着色層6の配列順序について特に限定はなく、例えば、図12(a)に示すように、B、G、R、Cの配列順序で着色層6をストライプ状に配置するように構成しても構わない。また、これに代えて、本発明では、図12(b)に示すように、画素領域AG単位毎に、R、G、C、Bの各々に対応する各着色層6を田型若しくはモザイク型となるように配置しても構わない。
【0099】
また、上記の実施形態では、スイッチング素子としてα−Si型のTFT素子21を用いた液晶装置に本発明を適用したが、これに限らず、本発明では、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子を用いた液晶装置に本発明を適用するようにしても構わない。
【0100】
また、上記の実施形態では、ソース線32の上側に対応する位置に散乱層25を設け、さらに、ソース線32の第1部分32aと重なる位置に対応する散乱層25の表面に凹部及び凸部を有する曲面形状を形成するようにしたが、これに限らず、本発明では、ソース線32以外の各種配線に対しても上記同様の構成とすることで、本発明の効果を得るようにしても構わない。
【0101】
その他、本発明は、上記の各実施形態及び変形例の構成に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形をすることが可能である。
【0102】
[電子機器]
次に、上述した実施形態に係る液晶装置100を適用可能な電子機器の具体例について図13を参照して説明する。
【0103】
まず、各実施形態に係る液晶装置100を、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)の表示部に適用した例について説明する。図13(a)は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ710は、キーボード711を備えた本体部712と、本発明に係る液晶装置100等を適用した表示部713とを備えている。
【0104】
続いて、各実施形態に係る液晶装置100を、携帯電話機の表示部に適用した例について説明する。図13(b)は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機720は、複数の操作ボタン721のほか、受話口722、送話口723とともに、本発明に係る液晶装置100を適用した表示部724を備える。
【0105】
なお、各実施形態に係る液晶装置100を適用可能な電子機器としては、図13(a)に示したパーソナルコンピュータや図13(b)に示した携帯電話機の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶装置の構成を模式的に示す平面図。
【図2】本実施形態に係る液晶装置の等価回路図。
【図3】本実施形態の画素構成を示す平面図。
【図4】図3における切断線X1−X2に沿った部分断面図。
【図5】図3における切断線X3−X4に沿った部分断面図。
【図6】ソース線上に設けられた絶縁膜の凹部及び凸部の各種パターンを示す平面図。
【図7】本発明の液晶装置の製造方法を示すフローチャート。
【図8】本発明の凹部及び凸部を有する絶縁膜の製造方法を示すフローチャート。
【図9】図8に対応する製造工程図。
【図10】図8に対応する製造工程図。
【図11】図5の領域E11に対応する各種変形例に係る素子基板の部分断面図。
【図12】変形例に係る各種画素構成を示す平面図。
【図13】本発明の液晶装置を適用した電子機器の例。
【符号の説明】
【0107】
4 液晶層、 6 着色層、 8 共通電極、 10 画素電極、 17 絶縁層、 17a、19a 凹部、 17b、19b 凸部、 19 配向膜、 20 平坦化膜、 21 α−Si型TFT素子、 25 散乱層、32 ソース線、 32a 第1部分、 32b 第2部分、 33 ゲート線、 34 補助容量線、 70 補助容量部、 50 ゲート絶縁膜、 51 保護絶縁膜、 52 層間絶縁膜、 91 素子基板、 92 カラーフィルタ基板、 100 液晶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学層を挟持する一対の基板を備え、
前記一対の基板のうち一方の基板は、配線と、前記配線の上側に設けられ、前記配線と平面的に重なる表面に凹部及び凸部を有するとともに、前記配線で反射された光を散乱させるための散乱層と、を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記散乱層は当該散乱層の表面側に設けられた上層を有し、
前記散乱層と前記散乱層の前記上層とは屈折率が異なり、
前記配線で反射された光は、前記散乱層を透過して、前記上層に入射する際に屈折して散乱されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記一方の基板は観察側と反対側に配置されていると共に、他方の基板は前記観察側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記凹部及び前記凸部は、前記配線の延在方向又は前記配線の延在方向と交差する方向に交互に且つ周期的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記凹部又は前記凸部は行列状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記散乱層は絶縁層による多層構造をなし、
前記電気光学層側に位置する前記絶縁膜の表面には前記凹部及び前記凸部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記散乱層はアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
複数のサブ画素により構成される単位画素を備え、
前記配線は相隣接する前記サブ画素の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記配線はソース線であり、
前記ソース線は、前記散乱層の前記凹部及び前記凸部と平面的に重なる位置に設けられた第1部分と、第2部分と、を有し、
前記第2部分の近傍位置に設けられ、補助容量を形成する補助容量部を有し、
前記補助容量部及び前記第2部分を遮光する位置に遮光層を有し、前記第2部分の上側に位置する前記散乱層には前記凹部及び前記凸部が設けられていないことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−147969(P2007−147969A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341909(P2005−341909)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】