説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】例えば液晶装置等の電気光学装置において、例えばフレキシブル基板等の接続基板に実装されたコンデンサの振動に起因する雑音を低減する。
【解決手段】電気光学装置は、電気光学パネル(100)と、電気光学パネルに接続された接続基板(210)と、接続基板に実装され、電気光学パネルを駆動するための駆動回路に含まれるコンデンサ(223)と、接続基板上に設けられ、接続基板の質量密度よりも高い質量密度を有し、電気光学パネルの駆動時にコンデンサの振動が伝播することによる接続基板の振動を抑制するための振動抑制部材(202)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、例えば液晶パネル等の電気光学パネルと、この電気光学パネルに電気的に接続されたフレキシブル基板とを備える。フレキシブル基板には、例えば積層セラミックコンデンサ等のコンデンサが実装される。このようなコンデンサは、例えば、電気光学パネルを駆動するための昇圧回路におけるフライングコンデンサとして設けられる。昇圧回路では、チャージポンプ動作により複数の電圧が生成されるが、この際にフライングコンデンサに交流電圧が入力されることで、フライングコンデンサが機械的に振動して雑音(例えば高周波数の音)が発生してしまうおそれがある。更に、このようなフライングコンデンサの振動がフレキシブル基板、及びフレキシブル基板を介して電気光学パネル等にまで伝播し、フレキシブル基板や電気光学パネルも振動することで雑音が大きくなってしまう場合もある。尚、上述したフライングコンデンサと同様に、フレキシブル基板上の他のコンデンサについても交流電圧が入力されることによる振動が生じ、雑音の発生源となり得る。
【0003】
このような雑音を低減するために、例えば昇圧回路におけるフライングコンデンサの動作について電気光学装置の駆動方法に変更を加えるか、或いは特許文献1に示されるような構成を適用して、フライングコンデンサ(及びその他のフレキシブル基板上のコンデンサ)の振動がフレキシブル基板等へ伝播するのを抑制することが考えられる。ここに、特許文献1には、表面波素子を有する表面波装置において、表面波素子上に反射層及び保護層を設けて、表面波素子から反射層に伝播した振動を、反射層及び保護層の界面で反射する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−338730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気光学装置の駆動方法を変更したり、フレキシブル基板上のコンデンサについて上述した特許文献1のような構成を適用したりするのは、製造プロセスが煩雑となる等の困難を伴うため実現し難いという技術的問題点がある。従って、コンデンサの振動に基づく雑音を低減するために、容易に実現可能な対策を施す必要がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えばフレキシブル基板等の接続基板に実装されたコンデンサの振動に起因する雑音を低減することが可能な電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、電気光学パネルと、前記電気光学パネルに接続された接続基板と、前記接続基板に実装され、前記電気光学パネルを駆動するための駆動回路に含まれるコンデンサと、前記接続基板上に設けられ、前記接続基板の質量密度よりも高い質量密度を有し、前記電気光学パネルの駆動時に前記コンデンサの振動が伝播することによる前記接続基板の振動を抑制するための振動抑制部材とを備える。
【0008】
本発明に係る電気光学装置は、例えば液晶パネル等の電気光学パネルと、この電気光学パネルを駆動する駆動回路の少なくとも一部を構成する集積回路が実装された例えばフレキシブル基板等の接続基板とを備える。電気光学パネルは、駆動回路によって駆動され、例えば、後の実施形態において詳述するような画像表示を行う。
【0009】
接続基板は、典型的にはフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)により構成され、駆動回路の少なくとも一部を構成する集積回路が実装されると共に、この集積回路を電気光学パネルに電気的に接続させるための配線等が作り込まれる。接続基板が電気光学パネルに接続されることで、集積回路が配線等を介して電気光学パネルと電気的に接続される。
【0010】
集積回路は各種電子素子を含み、これらの電子素子は典型的には交流信号に基づいて所定の駆動周波数(例えばクロック信号の周期に基づく周波数)で駆動される。この際、電子素子であるコンデンサには所定周期の交流電圧が印加され、コンデンサが機械的に振動することがある。例えば、集積回路に含まれる電源回路における昇圧回路では、チャージポンプ動作により入力電圧を所定の出力電圧に昇圧する。この際、昇圧回路ではクロック信号に基づくタイミングでチャージポンプ動作が行われ、昇圧回路に含まれるフライングコンデンサにはクロック信号の周期に同期した交流電圧が印加される。その結果、フライングコンデンサが機械的に振動してしまうことがある。尚、フライングコンデンサ、及びその他の集積回路に含まれるコンデンサは、接続基板に実装される。
【0011】
上述のような集積回路におけるコンデンサの振動により雑音が発生するおそれがある。更に、コンデンサの振動が接続基板、及び接続基板を介して電気光学パネル等にまで伝播することで、雑音が大きくなってしまう場合もある。
【0012】
本発明では特に、接続基板上に例えばステンレス鋼等の金属からなる金属板やPET(Polyethylene Terephthalate)等の樹脂材料からなるプラスチック板により構成された振動抑制部材が設けられる。振動抑制部材は、接続基板よりも高い質量密度(単位体積あたりの質量)を有している。本発明によれば、振動抑制部材が接続基板の少なくとも一部に所謂「おもり」として配置されることで、接続基板の少なくとも一部の重さを形式的に大きくし、コンデンサの振動を伝播し難くする、或いはコンデンサの振動が伝播して生じる振動を低減することが可能となる。従って、コンデンサの振動の伝播に起因する雑音(例えば高周波数の音)を低減することができる。つまり、本発明によれば、振動抑制部材によって、接続基板の音響インピーダンス(即ち、振動の伝わりにくさ)を、接続基板の少なくとも一部において大きくすることができ、コンデンサの振動が接続基板に伝播することで発生する雑音を低減することができる。尚、振動抑制部材は、例えば粘着テープで接続基板に貼り付けるなど、製造プロセスを煩雑化することなく接続基板に容易に設けることができ、電気光学装置の駆動方法やコンデンサの構成に変更を伴うこともない。また、振動抑制部材は、接着材、粘着材、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、半田付けなどを用いて接続基板に取り付けてもよい。
【0013】
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置によれば、製造プロセスの煩雑化を殆ど或いは全く招くことなく、接続基板におけるコンデンサの振動に起因する雑音を低減することができる。
【0014】
本発明に係る電気光学装置の一態様では、前記接続基板は、前記電気光学パネルに接続される接続部及び前記コンデンサが実装される本体部を有しており、前記振動抑制部材は、前記本体部における前記コンデンサと前記接続部との間に配置される。
【0015】
この態様によれば、本体部において、コンデンサと接続部との間の振動抑制部材が配置された一部の重さを形式的に大きくすることが可能となる。よって、本体部において、コンデンサと接続部との間の一部で、電気光学パネルの駆動時に生じるコンデンサの機械的な振動を伝播し難くする、或いはコンデンサの振動が伝播して生じる振動を低減することが可能となる。従って、接続部に対しコンデンサの振動が伝播するのをより有効に抑制することができる。この結果、コンデンサの振動が接続基板の接続部を介して電気光学パネルに伝播し、電気光学パネルが振動して雑音が大きくなるのをより有効に防止することが可能となる。
【0016】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記振動抑制部材は、前記コンデンサの周囲を少なくとも部分的に包囲するように配置される。
【0017】
この態様によれば、接続基板において振動抑制部材はコンデンサの周囲を少なくとも部分的に包囲するように配置される。例えば、振動抑制部材はコンデンサの周囲を連続的に包囲するように配置されるか、或いは数箇所に個別的に配置される。従って、接続基板において、コンデンサの周囲を少なくとも部分的に包囲する振動抑制部材が配置された一部の重さを形式的に大きくして、コンデンサの振動を伝播し難くする、或いはコンデンサの振動が伝播して生じる振動を低減することが可能となる。その結果、接続基板においてコンデンサからその周囲へ、更には接続基板を介して電気光学パネル等にまで振動が伝播するのをより有効に抑制することができる。
【0018】
本発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記振動抑制部材は、前記接続基板における前記コンデンサが実装されている側に配置される。
【0019】
この態様によれば、振動抑制部材は接続基板上においてコンデンサが実装されている側に配置される。ここに、電気光学装置には一例として、電気光学パネルの光源としてバックライトが設けられることがあり、接続基板は電気光学パネルに接続された一方側に対して他方側がバックライト(即ち電気光学パネルにおいて接続基板が接続された側と反対側)に向かって折り曲げられ、電気光学パネル及びバックライトと共に実装ケース内に収容される場合もある。振動抑制部材とコンデンサとが接続基板上において互いに反対側に設けられると、接続基板のコンデンサが配置された側と反対側に振動抑制部材を配置するスペースを設ける必要があり、接続基板を上記のように折り曲げる場合により広いスペースを要することとなる。これに対してこの態様では、接続基板を上記のように折り曲げる場合に、接続基板上においてコンデンサが実装された側とは反対側に振動抑制部材を配置するためのスペースを確保する必要がないため、より省スペース化を図ることが可能となる。
【0020】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備してなる。
【0021】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、接続基板上のコンデンサの振動に起因する雑音が低減された、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0022】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る液晶パネルの構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’線断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の主要部の構成例を概略的に示す斜視図である。
【図4】液晶装置の駆動に係る主要な構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る液晶装置の電源回路の主要な構成を示すブロック図である。
【図6】昇圧回路の動作例を概略的に説明するためのタイミングチャートを示す図である。
【図7】フレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサの配置関係を概略的に示す平面図である。
【図8】フレキシブル基板の折り曲げ構造の一例を概略的に示す概略図である。
【図9】本実施形態の一変形例について、フレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサの配置関係を概略的に示す平面図である。
【図10】本実施形態の他の変形例について、フレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサの配置関係を概略的に示す平面図である。
【図11】フレキシブル基板の折り曲げ構造の他の例を概略的に示す概略図である。
【図12】本発明に係る電気光学装置を適用した電子機器の一例たるタッチパネル機能を有するポータブルコンピュータの構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電気光学装置及び電子機器の各実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係る電気光学装置の一例としてアクティブマトリクス駆動方式を採用した液晶装置を挙げる。
【0025】
先ず、本実施形態に係る液晶装置が備える液晶パネルの構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る液晶パネルの構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線断面図である。
【0027】
図1及び図2において、本発明に係る「電気光学パネル」の一例としての液晶パネル100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0028】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、例えば対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0029】
尚、本実施形態では、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104が液晶パネル100に内蔵されるように構成したが、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104の少なくとも一方(或いは、その一部)が、後述するフレキシブル基板上の集積回路(IC:Integrated Circuit)内に作り込まれてもよい。
【0030】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9上には、配向膜(図示省略)が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上に、例えばITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には配向膜(図示省略)が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0031】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、データ線に画像信号をサンプリングして供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0032】
次に、本実施形態に係る液晶装置の主要部の構成について、図3を参照して説明する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る液晶装置の主要部の構成を概略的に示す斜視図である。尚、図3においては、図1及び図2を参照して説明した液晶パネル100の詳細な構成については図示を省略し、概略的に示してある。
【0034】
図3において、本実施形態に係る液晶装置の主要部には、液晶パネル100と、この液晶パネル100に接続されたフレキシブル基板(FPC)210とが含まれている。
【0035】
フレキシブル基板210は、本発明に係る「接続基板」の一例であり、集積回路が実装されると共に、この集積回路を液晶パネル100に電気的に接続させるための配線等(図示省略)が作り込まれている。フレキシブル基板210は、当該フレキシブル基板210に作り込まれた配線等を介して液晶パネル100の外部回路接続端子102に接続される。尚、図3では、フレキシブル基板210における集積回路(IC)の配置部分220aを示し、集積回路の詳細な構成については図示を省略してある。
【0036】
液晶パネル100の駆動回路は、図1及び図2を参照して説明したデータ線駆動回路101や走査線駆動回路104、或いは図4を参照して後述するような電源回路300や表示コントローラ400を含む。フレキシブル基板210上の集積回路は、駆動回路の少なくとも一部(例えば電源回路や表示コントローラ(図4参照))を構成し、各種電子素子を含んでなる。
【0037】
フレキシブル基板210は、集積回路が実装される本体部210a、及び液晶パネル100に電気的に接続される接続部210bを有している。集積回路は電子素子としてコンデンサ223を有している。更に、本実施形態では特に、例えば後述するように交流電圧が印加されることによるコンデンサ223の振動に起因する雑音を低減するため、フレキシブル基板210の本体部210a上には振動抑制部材202が設けられている。図3中では、フレキシブル基板210の集積回路の配置部分220aに実装されたコンデンサ223の配置例を概略的に示してある。尚、振動抑制部材202の構成については、図3に加えて図7を参照して後に詳細に説明する。
【0038】
次に、本実施形態に係る液晶装置の駆動について、図4を参照して説明する。
【0039】
図4は、本実施形態に係る液晶装置の駆動に係る主要な構成の一例を示すブロック図である。
【0040】
図4において、本実施形態に係る液晶装置は、液晶パネル100における画像表示領域10aにマトリクス状に設けられた複数の画素部72を駆動するために、走査線駆動回路104と、データ線駆動回路101と、表示コントローラ400とを含む駆動回路を備えており、更に、これら駆動回路に対して複数の電圧を供給する電源回路300を備えている。
【0041】
表示コントローラ400は、図示しない中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)等のホストにより設定された内容に従って、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104或いは電源回路300の動作を制御する。データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は夫々、表示コントローラ400で生成されるタイミング信号に基づいて、走査線11に走査信号G1、・・・、Gmを出力すると共に画像信号D1、・・・、Dnをデータ線6に順次に出力する。画像信号D1、・・・、Dnは、外部から供給される画像データ(或いは階調データ)に応じて生成される。
【0042】
電源回路300は、外部から供給されるシステム電源電圧を昇圧するなどして、複数の画素部72を駆動するのに必要な各種の電圧(例えば階調電圧)を生成可能に構成されている。電源回路300は、図5を参照して後述するように、複数の昇圧回路310(即ち、昇圧回路310−1、…、310−n)を含んで構成され、複数の電圧をデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に供給する。
【0043】
図4において、液晶パネル100における画像表示領域10aにマトリクス状に形成された複数の画素部72には、それぞれ、画素電極9と、この画素電極9をスイッチング制御するための画素スイッチング用TFT30とが形成されており、画像信号D1、・・・、Dnが供給されるデータ線6の各々は画素スイッチング用TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号D1、・・・、Dnは、この順に線順次に供給しても構わないし、互いに隣り合う複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、画素スイッチング用TFT30のゲートに走査線11が電気的に接続されている。走査線11には、上述したように、走査線駆動回路104から所定のタイミングで走査信号G1、G2、・・・、Gmが、この順に線順次で印加される。尚、本実施形態では、説明の簡単のため、走査信号G1、G2、・・・、Gmがこの順に線順次で走査線11に印加されるように構成しているが、走査信号G1、G2、・・・、Gmが走査線11に印加される順序は、任意の順序であってもよい。画素電極9は、画素スイッチング用TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子である画素スイッチング用TFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号を所定のタイミングで書き込む。
【0044】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号は、対向基板20(図3参照)に形成された対向電極21(図3参照)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0045】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9と対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9と並列して画素スイッチング用TFT30のドレインに電気的に接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量配線8に電気的に接続されている。
【0046】
次に、本実施形態に係る液晶装置の電源回路の主要な構成について、図5を参照して説明する。
【0047】
図5は、本実施形態に係る液晶装置の電源回路の主要な構成を示すブロック図である。
【0048】
図5において、電源回路300は、複数の昇圧回路310(即ち、昇圧回路310−1、…、310−n)を備えており、複数の入力電圧Vin(即ち、入力電圧Vin−1、…、Vin−n)を夫々昇圧して、複数の出力電圧Vout(即ち、出力電圧Vin−1、…、Vout−n)を出力する。尚、複数の入力電圧Vinは、互いに異なる電圧である。
【0049】
昇圧回路310−1、…、310−nは好ましくは互いに概ね同様の構成を有する。即ち、昇圧回路310−i(但し、i=1、…、n)は、チャージポンプ回路510−iと、フライングコンデンサFCiと、出力側コンデンサ520−iとを含んで構成され、入力電圧Vin−iを例えば2倍に昇圧して出力電圧Vout−iとして出力する。フライングコンデンサFCiは、図3に示すコンデンサ223の一例である。フライングコンデンサFCiは夫々チャージポンプ回路510−iに電気的に接続された一対の電極間に誘電体材料を挟持してなる。出力側コンデンサ520−iの一方の電極はチャージポンプ回路510−iに電気的に接続され、他方の電極は接地電位GNDに電気的に接続されている。
【0050】
昇圧回路310−iは、チャージクロック信号CKに基づいて、チャージポンプ回路510−iにおいてチャージポンプ動作を行うことにより、入力電圧Vin−iを昇圧して、出力電圧Vout−iとして出力する。
【0051】
図6には、昇圧回路の動作例を概略的に説明するためのタイミングチャートを示してある。
【0052】
図5に示すチャージクロック信号CKは、チャージポンプ回路510−iの構成に応じて複数種類で供給されることもあり、互いに同期して所定周期で電位レベルがローレベル(L)及びハイレベル(H)に切り替わる複数種類のうちの一つについて、一例として図6に示してある。また、図6には、フライングコンデンサFCiの一方の電極に電気的に接続された端子Aiにおける電位V−Ai(言い換えれば、フライングコンデンサFCiの一方の電極の電位V−Ai)の時間的変化の一例と、これに対応して、フライングコンデンサFCiの他方の電極に電気的に接続された端子Biにおける電位V−Bi(言い換えれば、フライングコンデンサFCiの他方の電極の電位V−Bi)の時間的変化の一例が示されている。
【0053】
図6において、期間T1においてチャージクロック信号CKがローレベル(L)となるのに同期して、フライングコンデンサFCiの一方の電極の電位V−Aiが接地電位GNDとされると共に、他方の電極の電位V−Biが、入力電圧Vin−iとされる。よって、期間T1において、フライングコンデンサFCiに入力電圧Vin−iに応じた電荷が蓄積される(即ち、入力電圧Vin−i分だけフライングコンデンサFCiの充電が行われる)。
【0054】
続いて、期間T2においてチャージクロック信号CKがローレベル(L)からハイレベル(H)となるのに同期して、それまで接地電位GND(例えば0V)であったフライングコンデンサFCiの一方の電極の電位V−Aiが、入力電圧Vin−iに高められると共に、それまで入力電圧Vin−iであったフライングコンデンサFCiの他方の電極の電位V−Biが、入力電圧Vin−iの2倍の電圧2×Vin−iに高められる。更に、期間T2において、フライングコンデンサFCiに蓄積された電荷が、チャージポンプ回路510−iを介して出力側トランジスタ520−iに移動する(即ち、フライングコンデンサFCiの放電が行われる)。出力側トランジスタ520−iの一方の電極は、接地電位GNDに電気的に接続されているので、結果として、昇圧回路310−iから、入力電圧Vin−iの2倍の電圧2×Vin−iが出力電圧Vout−iとして出力される。
【0055】
期間T2に続く期間T3では、期間T1と同様に、フライングコンデンサFCiの充電が行われ、期間T3に続く期間T4では、期間T2と同様に、フライングコンデンサFCiの放電が行われる。
【0056】
以上のように、昇圧回路310−iの動作時には、チャージクロック信号CKに基づいて、フライングコンデンサFCiの充電及び放電が繰り返される。この際にフライングコンデンサFCiには、チャージクロック信号CKと同じ周期で入力電圧Vin−iと同じ大きさの振幅を有する交流電圧が印加される。その結果、フライングコンデンサFCiが機械的に振動してしまうことがある。
【0057】
図3に戻り、上述したフライングコンデンサFCiと同様に交流電圧が印加されてコンデンサ223が振動すると、コンデンサ223の振動がフレキシブル基板210、及びフレキシブル基板210を介して液晶パネル100等にまで伝播することで、雑音が大きくなってしまう場合もある。
【0058】
図3において、本実施形態では特に、振動抑制部材202がフレキシブル基板210の本体部210a上に設けられている。
【0059】
図7は、フレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサの配置関係を概略的に示す平面図であり、図8は、フレキシブル基板の折り曲げ構造の一例を概略的に示す概略図である。尚、図7ではフレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサのみに着目して示してあり、図3を参照して説明したそれ以外の構成要素については図示を省略してある。
【0060】
図3及び図7において、本実施形態では特に、例えばステンレス鋼等の金属からなる金属板やPET等の樹脂材料からなるプラスチック板により構成された振動抑制部材202が、例えばフレキシブル基板210上に粘着テープで貼り付けられている。振動抑制部材202は、フレキシブル基板210よりも高い質量密度(単位体積あたりの質量)を有している。本実施形態によれば、振動抑制部材202がフレキシブル基板210の少なくとも一部に所謂「おもり」として配置されることで、フレキシブル基板210の少なくとも一部の重さを形式的に大きくし、コンデンサ223の振動を伝播し難くする、或いはコンデンサ223の振動が伝播して生じる振動を低減することが可能となる。従って、コンデンサ223の振動の伝播に起因する雑音(例えば高周波数の音)を低減することができる。つまり、本実施形態によれば、振動抑制部材202によって、フレキシブル基板210の音響インピーダンス(即ち、振動の伝わりにくさ)を、フレキシブル基板210の少なくとも一部において大きくすることができ、コンデンサ223の振動がフレキシブル基板210に伝播することで発生する雑音を低減することができる。
【0061】
尚、振動抑制部材202は、フレキシブル基板210における当該振動抑制部材202が貼り付けられる部分(或いは接触する部分)の質量密度よりも高い質量密度を有するのが好ましい。この場合には、より確実に、コンデンサ223の振動を伝播し難くすることができる。但し、振動抑制部材202が、フレキシブル基板210を構成する例えばポリイミド等からなるフィルム状のベース部材の質量密度よりも高い質量密度を有すれば、コンデンサ233の振動を伝搬し難くすることができるという効果を得ることができる。
【0062】
更に、本実施形態では特に、振動抑制部材202は、本体部210a上におけるコンデンサ223と接続部210bとの間に配置されている。従って、本体部210aにおいて、コンデンサ223と接続部210bとの間における振動抑制部材202が配置された一部の重さを形式的に大きくすることが可能となる。よって、本体部210aにおいて、コンデンサ223と接続部210bとの間の一部で、図7中例えば波線矢印で示されるようなコンデンサ223の機械的な振動の伝播を生じ難くする、或いはコンデンサ223の振動が伝播して生じる振動を低減することが可能となる。従って、接続部210bに対しコンデンサ223の振動が伝播するのをより有効に抑制することができる。この結果、コンデンサ223の振動が接続部210bを介して液晶パネル100に伝播し、液晶パネル100が振動して雑音が大きくなるのをより有効に防止することが可能となる。
【0063】
ここで、図8に示すように、液晶装置には液晶パネル100の光源としてバックライト600が設けられることがある。フレキシブル基板210は、液晶パネル100に接続された一方側(図3及び図7に示す接続部210b側)に対して他方側(図3及び図7に示す本体部210a側)が、バックライト600(即ち液晶パネル100においてフレキシブル基板210が接続された表側と反対の裏側)に向かって折り曲げられ、液晶パネル100及びバックライト600と共に、図8には図示しない実装ケース内に収容される場合がある。尚、図8中でも図7と同様にコンデンサ223の機械的な振動の伝播の一例を波線矢印で示してある。
【0064】
仮に図8において、振動抑制部材202とコンデンサ223とがフレキシブル基板210上における互いに反対側の基板面に設けられると、フレキシブル基板210のコンデンサ223が配置された側と反対側に振動抑制部材202を配置するスペースを設ける必要があり、フレキシブル基板210を折り曲げる際により広いスペースを要することとなる。これに対し本実施形態では、振動抑制部材202はフレキシブル基板210上においてコンデンサ223が実装されている側に配置され(即ち、振動抑制部材202及びコンデンサ223は、フレキシブル基板210における同一の基板面に配置され)、フレキシブル基板210上においてコンデンサ223が実装された側とは反対側に振動抑制部材202を配置するためのスペースを確保する必要がないため、より省スペース化を図ることが可能となる。
【0065】
以上説明したような本実施形態によれば、振動抑制部材202は製造プロセスを煩雑化することなく容易に設けることができ、液晶装置の駆動方法やコンデンサ223の構成に変更を伴うこともない。従って、フレキシブル基板210におけるコンデンサ223の振動に起因する雑音を容易に低減することが可能となる。
【0066】
尚、本実施形態は以上説明したような構成に限定されず、例えば図8を参照し説明した構成とは異なり、フレキシブル基板が折り曲げられないで実装ケース内に収容されるような構成も適用可能であり、フレキシブル基板上においてコンデンサ及び振動抑制部材は互いに同じ側に配置されてもよいし、異なる側に配置されてもよい。また、図9から図11に示すように振動抑制部材が配置されるようにしてもよい。
【0067】
図9は、本実施形態の一変形例について、フレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサの配置関係を概略的に示す平面図であり、図10は、本実施形態の他の変形例について、フレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサの配置関係を概略的に示す平面図であり、図11は、フレキシブル基板の折り曲げ構造の他の例を概略的に示す概略図である。尚、図9及び図10では、フレキシブル基板上における振動抑制部材及びコンデンサのみに着目して示してあり、例えば図3を参照して説明したそれ以外の構成要素については図示を省略してある。
【0068】
図9或いは図10に示すように、フレキシブル基板210において振動抑制部材202はコンデンサ223の周囲を少なくとも部分的に包囲するように配置されるようにしてもよい。
【0069】
即ち、図9に示すように、振動抑制部材202は、フレキシブル基板210上においてコンデンサ223を周囲から概ね連続的に包囲するように配置されてもよい。
【0070】
或いは、図10に示すように、振動抑制部材202は、フレキシブル基板210上にコンデンサ223を挟んで2箇所に個別に配置され、一方の箇所でコンデンサ223と接続部210bとの間に配置されると共に、他方の箇所では一方の箇所とはコンデンサ223に対して異なる側に配置されてもよい。
【0071】
図9及び図10に示すような構成によれば、フレキシブル基板210において、コンデンサ223の周囲を少なくとも部分的に包囲する振動抑制部材202が配置された一部の重さを形式的に大きくして、コンデンサ223の振動を伝播し難くする、或いはコンデンサ223の振動が伝播して生じる振動を低減することが可能となる。例えば、図9又は図10に示すような構成によれば、図11において一例として波線矢印で示すような、液晶パネル100側及びバックライト600側へのコンデンサ223の振動の伝播を生じ難くする、或いはコンデンサ223の振動が液晶パネル100側及びバックライト600側へ伝播して生じる振動を低減することができる。よって、フレキシブル基板210においてコンデンサ223からその周囲へ、更にはフレキシブル基板210を介して液晶パネル100等にまで振動が伝播するのをより有効に抑制することができる。
【0072】
次に、上述した本実施形態に係る液晶装置を適用可能な電子機器の具体例について、図12を参照して説明する。
【0073】
上述した液晶装置を、タッチパネル機能(或いはタッチスクリーン機能)を有するゲーム機器等のポータブルコンピュータの表示部に適用した例について説明する。図12は、このポータブルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、ポータブルコンピュータ4000は、本体部に操作ボタン4001や電源スイッチ4002を備え、上述した液晶装置を適用した表示部4003を備えている。表示部4003においてはタッチペン等による入力操作が可能となっており、本体部では操作ボタン4001等に加えてタッチペン等による入力内容に従った動作を行うことが可能なように構成されている。
【0074】
尚、図12を参照して説明した電子機器の他にも、プロジェクタや、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0075】
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
100…液晶パネル、202…振動抑制部材、210…フレキシブル基板、210a…本体部、210b…接続部、223…コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルに接続された接続基板と、
前記接続基板に実装され、前記電気光学パネルを駆動するための駆動回路に含まれるコンデンサと、
前記接続基板上に設けられ、前記接続基板の質量密度よりも高い質量密度を有し、前記電気光学パネルの駆動時に前記コンデンサの振動が伝播することによる前記接続基板の振動を抑制するための振動抑制部材と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記接続基板は、前記電気光学パネルに接続される接続部及び前記コンデンサが実装される本体部を有しており、
前記振動抑制部材は、前記本体部における前記コンデンサと前記接続部との間に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記振動抑制部材は、前記コンデンサの周囲を少なくとも部分的に包囲するように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記振動抑制部材は、前記接続基板における前記コンデンサが実装されている側に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−204567(P2010−204567A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52418(P2009−52418)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】