説明

電気回路間の導通接合方法及びその装置

【課題】微細ピッチの接続端子同士であっても少ない工数で正確に導通接続できる電気回路間の導通接合方法を提供する。
【解決手段】作業台1上の規定位置に液晶表示パネル2が保持され、この液晶表示パネルのチップ搭載エリアに異方性導電接着材13が配置され、この上に駆動回路素子としてのLSIチップ7が位置合わせを行いつつ正確に載置され、このLSIチップ7に熱圧着ユニット14を当接させ、これを加熱しつつ加圧して熱圧着させる。これにより、LSIチップ7の突起電極7aと引き出し配線6の接続端子8や図示されていない入力配線の接続端子とが導電性粒子13bを挟圧した状態で導通接続される。この導通接続状態を、作業台1に液晶表示パネル2を規定位置に保持したままプローブユニット16を下降させて各プローブ16aを対応する入力配線に導通接触させて検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの接続端子間ピッチが微細な電気回路間の導通接合方法とその方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示パネルは画面の高精細化に伴い電極配線の接続端子間のピッチも微細化しており、このような微細ピッチに配列された接続端子に対して駆動回路素子としてのLSIチップやフレキシブル配線基板を正確に導通接合することが求められている。
【0003】
従来、微細ピッチの接続端子同士が正確に導通接合された製品を得るため、微細ピッチの接続端子同士を導通接続した後、実際に通電してその導通接続状態を検査している。例えば特許文献1に示されるように、液晶表示パネルのガラス基板にLSIチップをCOG(Chip On Glass)搭載する場合、まず、LSIチップをガラス基板上の駆動回路に異方性導電接着材を介し熱圧着することにより双方の接続端子同士を導通接続し、この後、検査工程に移送して通電点灯検査を行い、表示される画像によりLSIチップの導通接合の良否を判定する。
【0004】
しかし、上述の方法による場合、LSIチップを熱圧着する工程と導通接続状態を検査する工程とを異なる場所で実施する為、それぞれの工程でその都度、ワークとしての液晶表示パネルを作業台上の所定位置に正確に位置決めする必要があり、また、工程間の液晶表示パネルの搬送にも時間を費やすから、製造工数が大幅に増加してしまう。
【特許文献1】特開2003−195249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、微細ピッチの接続端子同士であっても正確に導通接続できると共に、接続端子間の導通接続からその導通接続状態の検査が完了するまでの導通接合工程を少ない工数で実施することが可能な電気回路間の導通接合方法とその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気回路間の導通接合方法は、電気回路間の第1の電気回路に設けられている複数の第1接続端子と第2の電気回路に設けられている複数の第2接続端子とを導通接続すると共にこの導通接続状態を検査する電気回路間の導通接合方法であって、前記第1の電気回路を備えた第1の部材を作業台上の所定位置に位置決めして保持する工程と、前記第2の電気回路を備えた第2の部材の前記第2接続端子を前記作業台に保持された前記第1の部材の対応する第1接続端子に導通部材を介して導通接続させる工程と、前記第1の部材を前記作業台上の所定位置に保持したまま前記第1の電気回路に前記第2の電気回路を介して通電し、前記第2接続端子と前記第2接続端子の導通接続状態を検査する工程とを有することを特徴とするものである。
【0007】
本発明の電気回路間の導通接合装置は、第1の電気回路に設けられている複数の第1接続端子と第2の電気回路に設けられている複数の第2接続端子とを導通接続すると共にこの導通接続状態を検査する電気回路間の導通接合装置であって、前記第1の電気回路を備えた第1の部材を所定位置に位置決めして保持する作業台と、前記作業台に保持された前記第1の部材の前記第1接続端子に、前記第2の電気回路を備えた第2の部材の対応する前記第2接続端子を、導通部材を介して導通接続する導通接続ユニットと、前記作業台に保持された前記第1の部材の前記第1の電気回路に前記第2の電気回路を介して通電し、前記第2接続端子と前記第1接続端子との導通接続状態を検査する導通検査ユニットとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気回路間の導通接合方法及びその装置によれば、ワークとなる一方の電気回路を備える部材を移動させずに接続端子同士の導通接続とその導通接続状態の検査の双方を実施するから、そのワーク部材を移送せず且つ作業台上に位置決めする作業が1回で済み、共にピッチが微細な接続端子を備えた電気回路間の導通接合作業であってもその作業工数を大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の電気回路間の導通接合方法は、第1の部材が液晶表示パネルで、第2の部材がその駆動回路素子としてのLSIチップである場合に、好適であり、これにより、液晶表示パネルの製造工数が大幅に低減される。
【0010】
また、本発明の電気回路間の導通接合方法は、第1の部材が液晶表示パネルで、第2の部材が前記液晶表示パネルと外部回路基板とを電気接続するフレキシブル配線基板である場合にも好適であり、この場合にも、液晶表示パネルの製造工数が大幅に低減される。
【0011】
そして、導通部材としては異方性導電接着材を用いることが好ましく、これにより、ワークとなる第1の部材が液晶表示パネルの場合、小型薄型化が促進された高精細の液晶表示パネルを少ない工数で製造することが可能となる。
【0012】
また、本発明の電気回路間の導通接合装置においては、導通接続ユニットと導通検査ユニットとが一体的に移動可能に結合することが好ましく、これにより、導通接合装置全体の駆動制御機構が簡素化される。
【0013】
更に、本発明の電気回路間の導通接合装置は、導通部材として異方性導電接着材を用い、導通接続ユニットが第1の部材に第2の部材を加熱しつつ圧着する熱圧着ユニットであり、導通検査ユニットが第1の電気回路または第2の電気回路に導通接触させるプローブを備えたプローブユニットである場合に、特に好適であり、これにより、微細ピッチの接続端子間の導通接合を少ない工数で確実に実施することが可能となる。
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は本発明方法の一実施形態としての液晶表示モジュール製造プロセスにおけるLSIチップ導通接合工程を示す模式的説明図で、図2は本製造プロセスにより製造される液晶表示モジュールを示す分解斜視図である。
【0015】
図1において、作業台1上にワークとしての液晶表示パネル2が規定位置に位置決めして載置され、図示しないエアー吸引装置により吸着保持されている。この液晶表示パネル2は、図2に示されるように、電極(不図示)が形成された一対のガラス基板3、4を、それぞれの電極形成面を対向させて枠状シール材(不図示)により所定の間隙を保って接合し、枠状シール材で囲まれたガラス基板3、4間に液晶(不図示)を封入して、構成されている。ガラス基板3、4の各外面には、前偏光板5と後偏光板(不図示)がそれぞれ貼着されている。本実施形態の液晶表示パネル2は単純マトリクス方式の液晶表示パネルであり、一対のガラス基板3、4の各対向面(内面)には、それぞれ、互いに直交する方向に複数のストライプ電極が平行に配設されている。そして、これら双方のストライプ電極の対向部が画素部となり、それら画素部がマトリックス配置された表示領域Dd が形成されている。
【0016】
ガラス基板3、4のうちの一方のガラス基板4には、縁部を他方のガラス基板5の対応する端面よりも外側へ延出させて、延出部4aが形成されている。この延出部4aの表面(電極形成面の延長面)には、両基板3、4の各電極に接続されている複数の引き出し配線6が配設されている。これら引き出し配線6は、駆動回路素子としてのLSIチップ7の搭載エリア(以下、チップ搭載エリアという)Acに向けて延出され、それぞれの配線6の接続端子8が搭載エリアAcの対応する縁部に所定ピッチで配列されている。また、チップ搭載エリアAcから延出部4aの長手縁部に向けて複数の入力配線9が所定ピッチで配設され、各入力配線9の先端部には入力端子10が形成され、これら入力端子10は延出部4aの長手縁部に沿って所定のピッチで配設されている。なお、各入力配線9のチップ搭載エリアAc側の端部にも接続端子11が形成され、これら接続端子11もチップ搭載エリアAcの対応する縁部に所定のピッチで配設されている。また、入力端子10が配設されている長手縁部の両サイドには、液晶表示パネル2の位置決め用アライメントマーク12が、それぞれ配設されている。
【0017】
チップ搭載エリアAcには、液晶を駆動する駆動回路素子としてのLSIチップ7がCOG(Chip On Glass)方式により直接搭載される。LSIチップ7は、導通部材としての異方性導電接着材13を介してチップ搭載エリアAcに導通接合される。異方性導電接着材13は、バインダとしてのエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂中に平均粒径が5μm以下の導電性粒子を分散混合してなり、端子間ピッチが50μm程度の微細ピッチの接続端子同士をも導通接続できる。LSIチップ7を搭載する際は、チップ搭載エリアAcに異方性導電接着材13を介してLSIチップ7を載置した後、これを加熱しつつ加圧するが、この熱圧着プロセスについては、後程詳述する。
【0018】
図1に戻って、作業台1の上方には、熱圧着ユニット14が作業台1に対して昇降自在に設置されている。この熱圧着ユニット14は、駆動部15に装着されており、この駆動部15内に設置されている図示しない昇降機構により作業台1に対して昇降移動される。熱圧着ユニット14は、内部にヒータ(不図示)が内蔵されており、これにより圧接面となる先端面14aが所望の温度に加熱される。
【0019】
熱圧着ユニット14に隣り合わせて、プローブユニット16が設置されている。このプローブユニット16では、複数本のプローブ16aがホルダ16bにより所定の間隔を保ち作業台1表面に垂直に且つ互いに平行に保持されている。ホルダ16bは、アーム17により前述のツール駆動部15に連結されている。プローブユニット16は、ツール駆動部15内の図示しない駆動機構により、アーム17と一体に、作業台1に対して昇降移動されるとともに作業台1の表面に平行にプローブ16aのアレイ方向(図中紙面垂直方向)へ往復移動される。そして、熱圧着ユニット14、駆動部15、プローブユニット16及びアーム17は、接合作業ユニットUとして一体移動可能にユニット化され、図示しない駆動機構により水平及び垂直の両方向つまり3次元方向へ自在に一体移動される。なお、各プローブ16aの被検査対象に接触させる尖端部とは反対側の頭部には、検査信号電圧を印加するためのケーブル18がそれぞれ電気接続されている。
【0020】
次に、上記導通接合工程において実施される作業の動作手順について述べる。
まず、ワークとしての液晶表示パネル2を作業台1上の規定位置に載置する。このとき、図示しないカメラによりガラス基板4に形成されている一対のアライメントマーク12、12(図2(a)参照)を画像認識しつつ位置合わせを行い、液晶表示パネル2を作業台1上の規定位置に正確に載置し、エアー吸引により保持する。
【0021】
次に、図2に示すように、液晶表示パネル2における延出部4aのチップ搭載エリアAcを被う位置に異方性導電接着材13を配置し、この上に、LSIチップ7を位置合わせを行いながら配置する。このLSIチップ7の位置合わせも、カメラにより図示しないアライメントマークを画像認識しつつ行う。
【0022】
次いで、接合作業ユニットUを移動させ、熱圧着ユニット14の圧接面14aが液晶表示パネル2上の規定位置(チップ搭載エリアAc)に載置されたLSIチップ7に対向する位置に停止させる。そして、熱圧着ユニット14を下降させて所要温度に加熱された圧接面14aをLSIチップ7に適長時間にわたり当接させ、この間に、LSIチップ7を所定圧力で加圧すると共に異方性導電接着材13のバインダを硬化温度以上に加熱する。
【0023】
これにより、図1(b)に示されるように、LSIチップ7の底面に設けられている複数の突起電極7aとチップ搭載エリアAcに配設されている対応する接続端子8等とが、異方性導電接着材13中の導電性粒子13aを挟圧した状態で導通接触し、この導通接触状態がバインダのエポキシ樹脂13bが加熱されて硬化することにより固定される。このようにして、LSIチップ7が液晶表示パネル2の延出部4aに形成されている引き出し配線6や入力配線9(図2参照)からなる駆動回路に確実に導通接続される。
【0024】
上述のLSIチップ搭載作業に併行して、プローブユニット16を画像認識による位置合わせを行いつつ下降させるとともにプローブアレイ方向に水平移動させて、各プローブ16aの尖端を液晶表示パネル2側の対応する各入力配線或いはその接続端子に当接させる。すなわち、液晶表示パネル2の点灯表示検査を実施するための準備を行う。
【0025】
そして、LSIチップ7の搭載が完了したら、直ちにケーブル18から各プローブ16aを介して各入力配線9(図2参照)に検査信号電圧を印加し、液晶表示パネル2を点灯させ、テストパターンを表示させる。作業者はこのテストパターンを目視し、LSIチップ7の導通接続状態の良否を判定する。この検査において「良」と判定された時点で、LSIチップ7の液晶表示パネル2への導通接合が完了する。
【0026】
なお、本実施形態においては、入力配線9の本数と同数のプローブ16aを装備したプローブユニット16を用いたが、入力配線9を複数のブロックに分割し、分割されたブロックの本数と同数のプローブ16aを装備したプローブ部ユニットを用い、このプローブユニットをプローブ16aのアレイ方向に移動させてブロック毎に点灯表示検査を行うようにしてもよい。
【0027】
以上のように、本実施形態においては、液晶表示パネル2を作業台1上の規定位置に正確に位置決めして保持した状態のまま、LSIチップ7の搭載とその導通接続状態の検査の両工程を実施するから、それらの工程を場所を移して行う従来の方法に比べて、工程毎の位置合わせや工程間の搬送に要する工数が大幅に削減される。また、LSIチップ7の熱圧着搭載の後、直ちに導通接続状態の検査を行うから、僅かな位置ずれによる導通不良は、作業者が手操作でLSIチップ7の搭載位置を修正することにより解消することができ、液晶表示モジュールとしての製品の歩留りをその分向上させることができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、LSIチップ7を搭載する際には熱圧着ユニット14により加圧しつつ加熱したが、これに限らず、まず加圧して導通接続させた状態で導通状態の検査を行い、この後、導通状態が良好であることを確認し、導通不良の場合はLSIチップ7の位置を調整して導通不良を解消した後、熱圧着ユニット14による加熱を開始して異方性導電接着材13中のバインダ13bを硬化させ、導通接合を完了するようにしてもよい。これにより、液晶表示モジュールの製品歩留りが大幅に向上する。
【0029】
次に、本発明の他の実施形態について、図3に基づき説明する。本実施形態の導通接合工程は、液晶表示モジュールの製造プロセスにおける液晶表示パネルを外部回路基板に電気接続するフレキシブル配線基板と液晶表示パネルとの導通接合工程である。なお、上記実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0030】
作業台1には、上記実施形態においてLSIチップ7が搭載された液晶表示パネル2がそのまま同じ位置に保持されている。そして、作業台1の上方には、LSIチップ7の搭載に使用した接合作業ユニットUに替わり、同様に3次元方向に移動自在に設けられた単独の熱圧着ユニット20が進出している。熱圧着ユニット20は、熱圧着ヘッド20aとこれを昇降移動させるヘッド駆動部20bとからなる。
【0031】
また、作業台1の作業が行われる端部の側方には、プローブユニット21が配設されている。プローブユニット21においては、複数のプローブ21aが図3の紙面垂直方向へ所定のピッチ(検査対象部材の接続端子ピッチに対応したピッチ)で並んだ状態でホルダ21bにより保持されている。そして、このプローブユニット21は、プローブ駆動部22により昇降自在且つプローブアレイ方向に移動自在に支持されている。なお、各プローブ21aの被検査対象部材に当接させる尖端とは反対側の頭部には、検査信号電圧入力用のケーブル23がそれぞれ電気接続されている。
【0032】
次に、上述のフレキシブル配線基板導通接合工程において実施される導通接合作業の動作手順について説明する。
【0033】
図3(b)に示されるように、フレキシブル配線基板24は、フレキシブルなベースシート25の一方の表面に複数の配線26が所定のパターンに配設されてなる。これら配線26の両端部はそれぞれ幅広の接続端子に形成され、それら接続端子はベースシート26の両端部に所定のピッチで配設されている。
【0034】
上述のように構成されたフレキシブル配線基板24の接合すべき一方の端部を、この端部に形成されているアライメントマーク(不図示)と液晶表示パネル2側のアライメントマーク12(図2参照)をカメラで画像認識して位置合わせを行いつつ、液晶表示パネル2の入力端子10(図2参照)が所定のピッチで配設された基板延出部4aの長手縁部に、異方性導電接着材27を介して載置する。
【0035】
次に、図3(a)に示すように、熱圧着ユニット20を下降させて所要温度に加熱されたヘッド圧接面20cを、液晶表示パネル2の延出部4aに載置されたフレキシブル配線基板24の端部に適長時間にわたり当接させ、この間に、フレキシブル配線基板24の端部を所定圧力で加圧すると共に異方性導電接着材27をバインダの硬化温度以上に加熱する。
【0036】
これにより、図3(b)に示されるように、フレキシブル配線基板24の端部に配設されている各配線26の接続端子26aと対応する液晶表示パネル側入力配線9の接続端子10とが、異方性導電接着材27中の導電性粒子27aを挟圧した状態で導通接触し、この導通接触状態がエポキシ樹脂のバインダ27bが加熱されて硬化することにより固定される。このようにして、フレキシブル配線基板24の各配線26と液晶表示パネル2の対応する入力配線9とが確実に導通接続される。
【0037】
上述のフレキシブル配線基板設置作業に併行して、プローブユニット21を画像認識による位置合わせを行いつつ上昇させるとともにプローブアレイ方向に水平移動させて、各プローブ21aの尖端を対応する配線26の他方の接続端子(不図示)に当接させ、液晶表示パネル2の点灯表示検査を実施するための準備を行う。
【0038】
そして、フレキシブル配線基板24の導通接続が終了したら、直ちにケーブル23から各プローブ21aを介して各配線26に検査信号電圧を印加し、液晶表示パネル2を点灯させ、テストパターンを表示させる。作業者はこのテストパターンを目視し、フレキシブル配線基板24の各配線26と液晶表示パネル2の各入力配線9との導通接続状態の良否を判定する。この検査において「良」と判定された時点で、フレキシブル配線基板24の液晶表示パネル2への導通接合が完了する。
【0039】
以上のように、本実施形態においては、液晶表示パネル2を作業台1上の規定位置に正確に位置決めして保持した状態のまま、LSIチップ7の搭載とその導通接続状態の検査の両工程に引き続いて、フレキシブル配線基板24の導通接続作業とその導通接続状態の検査の両工程を実施するから、それぞれの工程を別個の場所で行う従来の方法に比べて、工程毎の位置合わせや工程間の搬送に要する工数がより一層顕著に削減される。なお、LSIチップ7の搭載とその導通接続状態の検査の両工程と、フレキシブル配線基板24の導通接続作業とその導通接続状態の検査の両工程を、場所を移動させて実施するようにしても良く、その場合でも、従来の方法に比べて、工程毎の位置合わせや工程間の搬送に要する工数が顕著に削減される。
【0040】
次に、上記実施形態の変形例について、図4に基づき説明する。
本変形例は、上記実施形態とは、液晶表示パネル2に導通接合されるフレキシブル配線基板30が、液晶表示パネル2の駆動回路素子としてのLSIチップ31がCOF(Chip On Film)搭載されたものである点で異なっている。従って、作業台1に載置される液晶表示パネル2には、LSIチップがCOG搭載されていない。その他の構成は、上記実施形態と同じである。
【0041】
本変形例においても、上記実施形態と同様に、液晶表示パネル2を作業台1上の規定位置に正確に位置決めして保持した状態のまま、LSIチップ31がCOF搭載されたフレキシブル配線基板30の導通接続作業とその導通接続状態の検査の両工程を実施するから、それぞれの工程を別個の場所で行う従来の方法に比べて、工程毎の位置合わせや工程間の搬送に要する工数が大幅に削減される。
【0042】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明は、導通接合の媒体となる導通部材として、異方性導電接着材ではなく、半田或いはワイヤを用いる場合にも、良好に適用可能である。
【0043】
また、本発明は、液晶表示パネルとLSIチップやフレキシブル配線基板の導通接合に限らず、他の種々の電気回路を備えた部材或いは素子同士の導通接合に広く適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は本発明の一実施形態としての液晶表示パネル製造プロセスにおけるLSIチップ導通接合工程を示す説明図で、(b)はそのQ部詳細図である。
【図2】上記実施形態における液晶表示パネルとLSIチップの配置関係を示す分解斜視図である。
【図3】(a)は本発明の他の実施形態としての液晶表示パネル製造プロセスにおけるフレキシブル配線基板導通接合工程を示す説明図で、(b)はそのQ部詳細図である。
【図4】図3に示す実施形態の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 作業台
2 液晶表示パネル
3、4 ガラス基板
6 引き出し配線
7、31 LSIチップ
8、11 接続端子
9 入力配線
10 入力端子
12 アライメントマーク
13、27 異方性導電接着材
14、20 熱圧着ユニット
15 駆動部
16、21 プローブユニット
17 アーム
18、23 ケーブル
22 プローブ駆動部
24、30 フレキシブル配線基板
25 ベースシート
26 配線(フレキシブル配線基板の)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気回路に設けられている複数の第1接続端子と第2の電気回路に設けられている複数の第2接続端子とを導通接続すると共にこの導通接続状態を検査する電気回路間の導通接合方法であって、
前記第1の電気回路を備えた第1の部材を作業台上の所定位置に位置決めして保持する工程と、
前記第2の電気回路を備えた第2の部材の前記第2接続端子を前記作業台に保持された前記第1の部材の対応する第1接続端子に導通部材を介して導通接続させる工程と、
前記第1の部材を前記作業台上の所定位置に保持したまま、前記第1の電気回路に前記第2の電気回路を介して通電し、前記第2接続端子と前記第1接続端子の導通接続状態を検査する工程とを、有することを特徴とする電気回路間の導通接合方法。
【請求項2】
前記第1の部材は液晶表示パネルであり、前記第2の部材は駆動回路素子としてのLSIチップであることを特徴とする請求項1に記載の電気回路間の導通接合方法。
【請求項3】
前記第1の部材は液晶表示パネルであり、前記第2の部材は前記液晶表示パネルと外部回路基板とを電気接続するフレキシブル配線基板であることを特徴とする請求項1に記載の電気回路間の導通接合方法。
【請求項4】
前記導通部材は異方性導電接着材であり、前記第1の部材に前記第2の部材を加熱しつつ加圧して導通接合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかの請求項に記載の電気回路間の導通接合方法。
【請求項5】
第1の電気回路に設けられている複数の第1接続端子と第2の電気回路に設けられている複数の第2接続端子とを導通接続すると共にこの導通接続状態を検査する電気回路間の導通接合装置であって、
前記第1の電気回路を備えた第1の部材を所定位置に位置決めして保持する作業台と、
前記作業台に保持された前記第1の部材の前記第1接続端子に、前記第2の電気回路を備えた第2の部材の対応する前記第2接続端子を、導通部材を介して導通接続する導通接続ユニットと、
前記作業台に保持された前記第1の部材の前記第1の電気回路に前記第2の電気回路を介して通電し、前記第2接続端子と前記第1接続端子との導通接続状態を検査する導通検査ユニットとを、有することを特徴とする電気回路間の導通接合装置。
【請求項6】
前記導通接続ユニットと前記導通検査ユニットとが一体的に移動可能に結合されていることを特徴とする請求項5に記載の電気回路間の導通接合装置。
【請求項7】
前記導通部材は異方性導電接着材であり、前記導通接続ユニットは前記第1の部材に前記第2の部材を加熱しつつ圧着する熱圧着ユニットであり、前記導通検査ユニットは前記第1の電気回路または前記第2の電気回路に導通接触させるプローブを備えたプローブユニットであることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の電気回路間の導通接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−86328(P2006−86328A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269415(P2004−269415)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】