説明

電気的接続構造およびこの構造が適用された画像形成装置

【課題】装置コストの高騰を抑えた上で、ユニットの装置本体に対する装着状態のロックを迅速、かつ、確実に確認し得るようにする。
【解決手段】画像形成装置10の装置本体11と、この装置本体11に対し着脱自在に装着される所定の用紙搬送ユニット20とを電気的に接続する電気的接続構造30であって装置本体11側に設けられた本体側コネクタ42と、本体側コネクタ42に対向するように用紙搬送ユニット20側に設けられたユニット側コネクタ41と、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、両コネクタ41,42が完全に接続された状態で当該負荷を解消する負荷付与手段60とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の装置本体に対し所定のユニットを着脱自在に装着するに際し両者を電気的に接続する電気的接続構造およびこの構造が適用された画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているような、電気的接続構造が採用された紙幣入出金装置が知られている。この紙幣入出金装置は、装置本体と、この装置本体に設けられた装着凹部に対して着脱自在に装着されるユニットとを備えている。装置本体の装着凹部の奥部には、本体側コネクタが設けられているとともに、ユニットには前記本体側コネクタに対応したユニット側コネクタが設けられている。そして、ユニットを装置本体の装着凹部に押し込んでいくことにより、両コネクタが互いに嵌り合い、これによって装置本体側とユニット側とが電気的に接続されるようになっている。
【0003】
装置本体には、装着凹部の底部側にユニットの挿脱方向に延びるホールドレールが設けられている一方、ユニットには、当該ユニットが挿脱されるときに前記ホールドレールに案内されつつユニットと一体的に移動するシーソリンクが設けられている。シーソリンクは、スプリングの付勢力で先端がホールドレールに押圧当接されている。従って、装着凹部に対するユニットの挿脱操作時に、シーソリンクは、先端がホールドレールに押圧当接しながら移動することになる。
【0004】
かかるシーソリンクの先端には、ホールドレールに向けて突設された係止突起(特許文献1では干渉部分5b)が設けられている。そして、ユニットが装着凹部内に押し込まれ、かつ、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続された状態で前記係止突起がホールドレールの端部に係止され、これによってユニットの装着凹部への装着状態がロックされるようになっている。
【0005】
ユニットには、前記ロックを解除するべくシーソリンクを操作する操作部(特許文献1ではつまみ5C)が設けられ、この操作部の操作によるシーソリンクの所定の軸回りの回動で係止突起のホールドレール端部に対する係止が解消され(すなわちロックが解除され)、これによってユニットを装置本体から引き出すことができる。
【特許文献1】特開平10−222593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ユニット側コネクタと、本体側コネクタとの間の電気的な接続構造を、ユニット側に設けられた先端に係止突起を有するシーソリンクと、ユニットの装置本体に対する挿脱操作時にこのシーソリンクが案内されるとともに、ユニットが装着凹部に装着された状態で係止突起が係止される、装置本体側に設けられたホールドレールとを備えて構成することにより、ユニットが装置本体の装着凹部に装着され、かつ、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続された状態で当該ユニットが引き出されないようにロックされるため、ユニットの予期せぬ移動で両コネクタの電気的な接続状態が解消するような不都合の発生が防止される。
【0007】
しかしながら、このような電気的な接続構造においては、ユニットを装置本体の装着凹部に押し込んだときに、シーソリンクの係止突起がホールドレールの端部に確実に係止されていない、いわゆるロックが半効き状態になっているにも拘わらず、ユニット側コネクタと本体側コネクタとが電気的に接続されてしまうことがある。かかるロックの半効き状態では、ユニットと装置本体との間の電気的な接続状態は確保されているとはいいながら、誤ってユニットに装置本体から引き出し方向へ向かう力が加わったような場合、両コネクタの接続状態が解消されてしまうという不都合が生じることがある。
【0008】
かかる不都合を解消するべく、特許文献1に記載の発明では、ユニットの押し込み時に係止突起がシーソリンクに係止されたか否かを検出するセンサが設けられ、このセンサが前記係止を検出したときに、ユニット側コネクタと本体側コネクタとが接続されることにより形成された電気回路に通電されるようになっている。
【0009】
従って、両コネクタが確実に接続されていない状態では、紙幣入出金装置が電気的に機能しないため、オペレータは、これによってユニットが装置本体に確実に押し込まれていないことを認識することができる。
【0010】
しかしながら、ユニットが装置本体に確実にロックされたか否かを、センサを用いて検出し、この検出結果に基づき電気回路への通電をオン・オフするとなると、そのためにセンサおよび制御手段を設けなければならず、その分、装置コストが高騰するという問題点が生じる。
【0011】
また、ユニットを装置本体に押し込んだ後、紙幣入出金装置を操作してみて始めてロックされた否かが認識されるため、ロックの確認に手間取り、迅速性に欠けるという問題点も存在する。
【0012】
本発明は、従来の上記のような状況に鑑みなされたものであって、装置コストの高騰を抑えた上で、ユニットの装置本体に対する装着状態のロックを迅速、かつ、確実に確認することができる電気的接続構造およびこの構造が適用された画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明(電気的接続構造)は、所定の装置本体と、この装置本体に対し着脱自在に装着される所定のユニットとを電気的に接続する電気的接続構造であって、前記装置本体側に設けられた本体側コネクタと、前記本体側コネクタに対向するように前記ユニット側に設けられたユニット側コネクタと、前記ユニット側コネクタが前記本体側コネクタに接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、前記両コネクタが完全に接続された状態で当該負荷を解消する負荷付与手段とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
かかる構成によれば、ユニットを装置本体に押し込んでいくことにより、ユニットに設けられたユニット側コネクタが本体側に対向配置された本体側コネクタに接続され、これによって装置本体とユニットとが電気的に接続された状態になる。
【0015】
そして、電気的接続構造は、ユニットの装置本体に対する装着操作に対し負荷の付与と解除とを行う負荷付与手段を有し、この負荷付与手段は、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、両コネクタが完全に接続された状態で当該負荷を解消するように構成されている。従って、ユニットの装置本体に対する装着操作(すなわち押し込み操作)を行うオペレータは、ユニット側コネクタが本体側コネクタに完全に接続される直前に押し込み操作に対して負荷を感じるとともに、両コネクタが完全に接続された時点でユニットの押圧操作が急に軽くなり、これらの負荷の付与と解消とでクリック感を感得するとともに、このクリック感によって両コネクタが確実に接続されたことを認識する。
【0016】
このように、負荷付与手段を、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、両コネクタが完全に接続された状態で当該負荷を解消するように構成することで、オペレータは、ユニットの装置本体への押し込み操作時に感得したクリック感によって両コネクタの完全な接続状態を認識する。
【0017】
従って、従来のように、両コネクタの接続操作時にクリック感が得られない場合において、ユニット側コネクタが本体側コネクタに完全に接続されていないが両者間で不安定に通電可能になった、いわゆる半効き状態が生じたとしても、オペレータは、クリック間を感得していないことに基づき半効き状態を認識することができ、ひいては装置本体とユニットとの間で常に確実な通電状態が得られる。
【0018】
請求項2記載の発明(電気的接続構造)は、請求項1記載の発明において、前記負荷付与手段は、前記装置本体側または前記ユニット側に設けられた弾性発生部材を備え、前記弾性発生部材の弾性変形によって前記負荷を付与するとともに、前記弾性発生部材の前記弾性変形からの復元によって負荷を解消するように構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
かかる構成によれば、ユニットを装置本体に押し込んでいくと、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続される直前に弾性発生部材が弾性変形し、この弾性変形でユニットの押し込み操作に対し負荷が付与されるとともに、押し込み操作の完了による弾性発生部材の弾性変形からの復元により負荷が解消される。
【0020】
このように、負荷付与手段を、装置本体側またはユニット側に設けられた弾性発生部材の弾性変形によって負荷を付与するとともに、弾性発生部材の弾性変形からの復元によって負荷を解消するように構成することで、負荷付与手段の構造を簡単なものにした上でユニットの装置本体への装着操作においてコネクタが完全に接続されたことが確実に認識される。
【0021】
請求項3記載の発明(電気的接続構造)は、請求項2記載の発明において、前記弾性発生部材は、前記装置本体側に設けられた支点回りに回動可能な前記ユニットの着脱方向と平行に延びるアームと、前記アームの先端に形成された前記ユニットの側面に向けて突出するアーム側突片と、前記アームを前記ユニット側に向けて付勢する付勢部材とを備え、前記ユニットには、前記ユニット側コネクタが前記本体側コネクタに接続される直前の位置から同接続された直後の位置の間で前記アーム側突片と干渉するユニット側突片が設けられ、前記アームは、前記直前の位置と前記直後の位置との間で前記付勢部材の付勢力に抗して支点回りに回動することを特徴とするものである。
【0022】
かかる構成によれば、ユニットを装置本体内に押し込んでいくことにより、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続される直前の位置でユニット側突片が装置本体側に設けられたアームのアーム側突片と干渉し、これによる付勢部材の付勢力に抗したアームの支点回りの回動により負荷が付与される。そして、両コネクタが接続された直後の位置でユニット側突片は、アーム側突片と干渉しなくなり、これによってユニットの押し込み操作に対する負荷が解消され、オペレータは、このアームの一連の動きによる負荷の付与と負荷の解消とでクリック感を感得する。
【0023】
このように、弾性発生部材を、前記装置本体側に設けられた支点回りに回動可能なアームと、このアームの先端に形成されたアーム側突片と、アームをユニット側に向けて付勢する付勢部材とで構成することにより、当該弾性発生部材の構造を簡単なものにした上でユニットの装置本体への装着操作においてコネクタが完全に接続されたことが確実に認識される。
【0024】
請求項4記載の発明(電気的接続構造)は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記ユニットには、当該ユニットが前記装置本体に装着された状態で前記装置本体側の駆動力を伝達するための継手部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0025】
かかる構成によれば、ユニットが前記装置本体に装着された状態で装置本体側の駆動力が継手部材を介してユニット側に伝達されるため、ユニット側に駆動源を備える必要がなく、その分ユニットの軽量化およびコンパクト化に貢献する。
【0026】
請求項5記載の発明(画像形成装置)は、前記ユニットに画像形成用の各種の機器が装着されてなる画像形成装置において、請求項1乃至4のいずれかに記載の電気的接続構造が適用されていることを特徴とするものである。
【0027】
かかる構成によれば、画像形成装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の電気的接続構造の作用を享受し得るものになる。
【発明の効果】
【0028】
請求項1記載の発明(電気的接続構造)によれば、電気的接続構造は、ユニットの装置本体に対する装着操作に対し負荷の付与と解除とを行う負荷付与手段を有し、この負荷付与手段は、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、両コネクタが完全に接続された状態で当該負荷を解消するように構成されているため、ユニットの装置本体に対する押し込み操作を行うオペレータは、ユニット側コネクタが本体側コネクタに完全に接続される直前に押し込み操作に対して負荷を感じるとともに、両コネクタが完全に接続された時点でユニットの押圧操作が急に軽くなり、これらの負荷の付与と解消とでクリック感を感得するとともに、このクリック感によって両コネクタが確実に接続されたことを認識することができる。
【0029】
従って、従来のように、両コネクタの接続操作時にクリック感が得られない場合にユニット側コネクタが本体側コネクタに完全に接続されていないが両者間で不安定に通電可能になった、いわゆる半効き状態が生じることはなく、装置本体とユニットとの間で常に確実な通電状態を得ることができる。
【0030】
請求項2記載の発明(電気的接続構造)によれば、負荷付与手段は、装置本体側またはユニット側に設けられた弾性発生部材の弾性変形によってオペレータに負荷を付与するとともに、弾性発生部材の弾性変形からの復元によって負荷を解消するように構成されているため、負荷付与手段の構造を簡単なものにした上でユニットの装置本体への装着操作においてコネクタが完全に接続されたことを確実に認識することができる。
【0031】
請求項3記載の発明(電気的接続構造)によれば、弾性発生部材が前記装置本体側に設けられた支点回りに回動可能なアームと、このアームの先端に形成されたアーム側突片と、アームをユニット側に向けて付勢する付勢部材とで構成されているため、当該弾性発生部材の構造を簡単なものにした上でユニットの装置本体への装着操作においてコネクタが完全に接続されたことを確実に認識することができる。
【0032】
請求項4記載の発明(電気的接続構造)によれば、ユニットが前記装置本体に装着された状態で装置本体側の駆動力が継手部材を介してユニット側に伝達されるため、ユニット側に駆動源を備える必要がなく、その分ユニットの軽量化およびコンパクト化に貢献することができる。
【0033】
請求項5記載の発明(画像形成装置)によれば、画像形成装置を、請求項1乃至4のいずれかに記載の電気的接続構造の作用を享受し得るものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
まず、本発明にかかる電気的接続構造が適用される装置としての画像形成装置について説明する。図1は、本発明に係る電気的接続構造が適用された画像形成装置の一実施形態の内部構造の概要を説明するための説明図である。図1に示すように、本実施形態においては、複写機を画像形成装置10の一例として挙げている。
【0035】
画像形成装置10は、箱形の装置本体11の下部に配設された給紙部12と、この給紙部12の上方に配設された画像形成部13と、この画像形成部13の図1における左方に配設された定着部14と、これらの画像形成部13および定着部14の上方に配設された光学系部材を有する画像読取部15と、前記給紙部12から画像形成部13および定着部14を経て用紙排出に至る用紙搬送部16とを備えている。
【0036】
画像読取部15は、コンタクトガラス151上に載置または供給された原稿に、図略の露光ランプからの光を照射し、その反射光を、反射鏡を介して光電変換部に導くことによって、原稿の画像情報を読み取るものであり、この画像情報が後述の露光装置133に伝えられる。
【0037】
前記給紙部12は、給紙カセット121に積層載置された用紙Pの束を1枚ずつ用紙搬送部16に給紙するようになっている。用紙搬送部16は、給紙部12から給紙された用紙Pを、搬送ローラ対161およびレジストローラ対162を介して画像形成部13に向けて搬送し、さらに画像形成部13および定着部14を介した後、排出ローラ対163の駆動により装置本体11の外壁に設けられた排出トレイ164上へ向けて排出するようになっている。
【0038】
前記画像形成部13は、電子写真プロセスによって用紙Pに所定のトナー像を転写するものであり、軸心回りに回転可能な感光体ドラム131と、この感光体ドラム131の周囲にその回転方向に沿って配設された、帯電器132、露光装置133、現像装置134、転写装置135、クリーニング装置136および除電器137とを備えている。
【0039】
前記感光体ドラム131は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものである。かかる感光体ドラム131は、本実施形態においては、周面に強靱で耐摩耗性に優れた極めて平滑なアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。
【0040】
かかる各感光体ドラム131は、図1において時計方向へ向けて回転されつつ対応した現像装置134から現像剤(トナー)の供給を受けるようになっている。
【0041】
前記帯電器132は、コロナ放電によって感光体ドラム131の表面に所定電位を与えるものである。
【0042】
前記露光装置133は、前記画像読取部15によって読み取られた原稿の画像データに基づくレーザー光を感光体ドラム131に照射することにより、当該感光体ドラム131の周面の電位を選択的に減衰させて、この感光体ドラム131の表面に静電潜像を形成するものである。
【0043】
前記現像装置134は、前記静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム131の表面にトナー像を形成させるものである。
【0044】
前記転写装置135は、感光体ドラム131の表面のトナー像を用紙Pに転写させるものである。かかる転写装置135は、用紙Pに感光体ドラム131の周面のトナー像の電荷と逆の電荷を付与し、これによって感光体ドラム131の周面のトナー像を静電気的に引き剥がして用紙P上に転写させるようになっている。
【0045】
前記クリーニング装置136は、転写後の感光体ドラム131の表面に残留しているトナーを除去するものであり、除電器137は、感光体ドラム131の表面の残留電荷を除去するものである。
【0046】
前記定着部14は、画像形成部13で用紙Pに転写されたトナーを用紙Pへ定着させる処理を施すものである。かかる定着部14は、前記画像形成部13の用紙搬送方向の下流側に配置された定着装置141と、この定着装置141の下流側に配設されて定着装置141から排出された用紙Pを排出ローラ対163へ向けて案内するガイドとしての案内プレート145とを備えている。
【0047】
定着装置141は、箱形を呈した筐体142と、この筐体142内で軸心回りに回転可能に軸支されたヒートローラ143と、周面がこのヒートローラ143の周面に押圧当接された加圧ローラ144とを備えている。
【0048】
画像形成部13から搬送された用紙Pは、ヒートローラ143と加圧ローラ144との間のニップ部において両者に押圧挟持されながらこれらの回転によって搬送されつつヒートローラ143からの熱を得てトナー像の用紙Pへの定着処理が施され、案内プレート145および排出ローラ対163を介して排出トレイ164へ向けて排出される。
【0049】
そして、本実施形態においては、レジストローラ対162、排出ローラ対163および定着部14を含んだ主に用紙搬送部16からなる、図1に二点鎖線で示した装置本体11に対して挿脱可能な用紙搬送ユニット20が設けられている。かかる用紙搬送ユニット20が装置本体11に対して挿脱可能に設けられるのは、用紙搬送ユニット20を装置本体11から引き出すことによって紙詰まりの解消や各種のメンテナンス作業を容易に行い得るようにするためである。
【0050】
図2は、図1に示す画像形成装置10の外観視の斜視図であり、図2(A)は、蓋体17が閉止された状態、図2(B)および図2(C)は、蓋体17が開放された状態をそれぞれ示している。そして特に図2(B)は、用紙搬送ユニット20(点描で表示)が装置本体11内に収納されている状態(収納位置U1に位置設定された状態)、図2(C)は、用紙搬送ユニット20が装置本体11から引き出された状態(引出位置U2に位置設定された状態)をそれぞれ示している。因みに、図2においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0051】
まず、図2(A)に示すように、画像形成装置10は、縦長の直方体状を呈した装置本体11の下部に設けられた、複数の給紙カセット121を有する前記給紙部12を備えている。各給紙カセット121は、前方に向けて引き出し可能になっている。かかる給紙部12の直上位置に、前記定着部14と前記用紙搬送部16とを備えた、図2(B)に点描で示す前記用紙搬送ユニット20が内装されているとともに、これらの上方位置に前記画像形成部13が形成されている。
【0052】
また、装置本体11の天板の前方位置には、テンキーや液晶を有する表示板、さらには各種の操作キー等を備えた操作パネル111が設けられているとともに、天板の後方位置には、コンタクトガラス151(図1)を覆うように開閉可能な原稿自動供給装置152が設けられている。
【0053】
かかる装置本体11における前面の給紙部12より上方位置には、横開きで開閉可能な蓋体17が設けられている。この蓋体17は、図2(A)に示すように普段は閉止されているが、紙詰りの解消作業時や各種のメンテナンス作業時には、図2(B)および図2(C)に示すように、右方に向けて開放されるようになっている。
【0054】
前記用紙搬送ユニット20は、図2(B)(特に図2(B)では点描によって用紙搬送ユニット20を他の部材と見分け易くしている)および図2(C)に示すように、正面視でL字状を呈した枠体21を有している。この枠体21には、用紙搬送部16の一部である前記レジストローラ対162や転写装置135、この転写装置135の直下流側に設けられた搬送ベルト165、さらには前記定着装置141および案内プレート145等が搭載されている。かかる用紙搬送ユニット20は、図2(B)に示すように、装置本体11内に収納された収納位置U1と、図2(C)に示すように装置本体11から引き出された引出位置U2との間で位置変更し得るようになっている。
【0055】
そして、枠体21が装置本体11から引き出されて引出位置U2に位置設定されることにより、レジストローラ対162、転写装置135、搬送ベルト165、定着装置141および案内プレート145等が、図2(C)に示すように、外部に露出された状態になるため、この部分で生じた紙詰りの解消作業や、部品交換等の各種のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0056】
そして、本発明に係る電気的接続構造は、このような枠体21と、用紙搬送ユニット20が装着されるユニット収納室Vの奥部との間に形成されている。以下、電気的接続構造について図3および図4を基に説明する。
【0057】
図3および図4は、電気的接続構造の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図3は、ユニット収納室Vに押し込まれた用紙搬送ユニット20のユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前の状態、図4は、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続された状態をそれぞれ示している。なお、図3および図4における方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
【0058】
用紙搬送ユニット20の構成要素である前記枠体21は、平面視で矩形状に形成され、左右方向に長尺の前方板22と、後部でこの前方板22と対向配置された後方板23と、前方板22および後方板23の左縁部間に架設された左方板24と、前方板22および後方板23の右縁部間に架設された右方板25とを備えている。これら前方板22、後方板23、左方板24および右方板25によって囲繞された空間に前記レジストローラ対162、転写装置135、搬送ベルト165、定着装置141および案内プレート145等が装着されている。
【0059】
一方、装置本体11には、ユニット収納室Vの奥部(後方)に垂直に立設された左右方向に延びる奥部フレーム板112と、この奥部フレーム板112の下縁部から前方に向かって延設された底板113と、この底板113の左縁部から立設された左側板114と、底板113の右縁部から立設された右側板115とを備えている。前記ユニット収納室Vは、これら奥部フレーム板112,底板113,左側板114および右側板115により囲繞された空間で形成されている。
【0060】
前記用紙搬送ユニット20は、左方板24および右方板25間に挟持された状態で底板113上を前後にスライドされることにより、ユニット収納室Vに対して着脱されるようになっている。
【0061】
そして、前記電気的接続構造30は、装置本体11および枠体21間に介設されるコネクタ40と、用紙搬送ユニット20がユニット収納室V内における収納位置U1に位置設定された状態で当該用紙搬送ユニット20の移動をロックするロック機構50と、用紙搬送ユニット20がユニット収納室V内へ押し込まれて確実に収納位置U1に位置設定される直前に当該押し込み動作に対して負荷を付与するとともに、負荷を付与した後に当該負荷を解消する(すなわち、オペレータに対して用紙搬送ユニット20の押し込み操作に対しクリック間を付与する)負荷付与手段60とを備えている。
【0062】
前記コネクタ40は、用紙搬送ユニット20側に設けられるユニット側コネクタ41と、このユニット側コネクタ41に対向して装置本体11側に設けられる本体側コネクタ42とから構成されている。
【0063】
前記ユニット側コネクタ41は、枠体21の後方板23の左右方向の略中央部に設けられている。これに対し前記本体側コネクタ42は、奥部フレーム板112における前記ユニット側コネクタ41と対向した位置に設けられている。かかる本体側コネクタ42の前面には、ユニット側コネクタ41が嵌り込む装着孔421が凹設されている。従って、用紙搬送ユニット20をユニット収納室V内に押し込んでいくことにより、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42の装着孔421に嵌り込み、これによって両コネクタは41,42が電気的に接続されるようになっている。
【0064】
前記ロック機構50は、枠体21側に設けられた係止爪51と、この係止爪51に対向して装置本体11側に設けられたストッパ52と、前記係止爪51のストッパ52に対する係止状態を解除させる操作桿53とを備えている。
【0065】
前記係止爪51は、左方板24の前後方向の略中央位置に穿設された角孔241から外部に突出されている。かかる係止爪51は、角孔241から外部に突出した状態における平面視で直角三角形状に形成され、前縁面に左右方向に延びた係止縁面511が形成されているとともに、この係止縁面511の左端部から後方に向けて先下がりに傾斜した傾斜縁面512が形成されている。係止縁面511および傾斜縁面512は、いずれも角孔241の内部にまで延設されている。
【0066】
このような係止爪51は、枠体21内に設けられた図略の付勢部材の付勢力によって角孔241から外部に突出するように付勢されている。
【0067】
前記ストッパ52は、装置本体11の左側板114における前記係止爪51に対応した位置に設けられている。具体的には、用紙搬送ユニット20が収納位置U1に位置設定された状態(すなわちユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続された状態)で左側板114における前記係止爪51と斜めで対向した位置にストッパ52が設けられている。
【0068】
かかるストッパ52は、本実施形態においては、左側板114が左方から右方に向けて押し起こしされることによって形成されている。そして、このようなストッパ52は、前記係止爪51の係止縁面511に対応した左側板114と直交する係止縁面521と、この係止縁面521の右端から前方に向かって先下がりに傾斜した傾斜縁面522とを有している。
【0069】
かかるストッパ52の左側板114からの突出量は、係止爪51の左方板24からの突出量と略同一に設定されている。また、用紙搬送ユニット20は、前記突出量と略同一距離だけ左側板114と離間した状態でユニット収納室Vに対し挿脱されるようになっている。
【0070】
そのために、底板113には当該底板113を上方へ向かって押し起こしすることによって形成された前後方向へ延びる左右方向一対のガイドレール113aが設けられている一方、枠体21に前記一対のガイドレール113aに対応した一対の被ガイド凹部210が設けられている。用紙搬送ユニット20は、前記被ガイド凹部210がガイドレール113aに案内されることにより、左右方向が位置決め状態でユニット収納室Vに対し挿脱し得るようになされている。
【0071】
そして、用紙搬送ユニット20がユニット収納室V内で収納位置U1にまで押し込まれていくことにより、係止爪51の傾斜縁面512がストッパ52の傾斜縁面522と当接する。そして、係止爪51は、その傾斜縁面512がストッパ52の傾斜縁面522に相対的に押圧されることにより付勢部材の付勢力に抗して一旦角孔241内に没入する。その後、係止爪51は、ストッパ52を遣り過ごしてから付勢部材の付勢力で角孔241から外部に突出する。
【0072】
従って、用紙搬送ユニット20が収納位置U1に位置設定されてユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続された状態においては、係止爪51の係止縁面511がストッパ52の係止縁面521に当接し、これによって用紙搬送ユニット20のユニット収納室V内への装着状態がロックされる。
【0073】
前記負荷付与手段60は、前記装置本体11側に設けられた後に詳述述する弾性発生部材61の一部の部材の弾性変形によって用紙搬送ユニット20のユニット収納室V内への押し込み操作に対し負荷を付与するとともに、弾性発生部材61の弾性変形からの復元によって負荷を解消するように構成されたものである。
【0074】
弾性発生部材61の弾性変形による負荷付与は、用紙搬送ユニット20がユニット収納室V内に押し込まれることによりユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42の装着孔421へ嵌入され始めた時に開始され、本体側コネクタ42がユニット側コネクタ41の装着孔421に完全に差し込まれたとき(すなわち、両コネクタ41,42が電気的に完全に接続されたとき)に解消されるようになされている。
【0075】
かかる負荷の付与および負荷の解消によってオペレータは、用紙搬送ユニット20をユニット収納室Vへ押し込むときにクリック感を得るため、このクリック感によって両コネクタ41,42が確実に接続されたことを感得することができ、これによって両コネクタが完全に接続されていないが通電状態になっている、いわゆる半効き状態が解消される。
【0076】
このような負荷付与手段60は、装置本体11側に設けられた弾性発生部材61と、用紙搬送ユニット20側に設けられたユニット側突片62とを備えている。
【0077】
前記弾性発生部材61は、前記装置本体11側に設けられた前記用紙搬送ユニットの着脱方向と平行に延びるアーム611と、このアーム611の先端に形成された用紙搬送ユニット20の側面に向けて突出するアーム側突片612と、前記アーム611を前記用紙搬送ユニット20側に向けて付勢するコイルスプリング(付勢部材)613とを備えている。
【0078】
前記アーム611は、装置本体11の奥部フレーム板112における左側板114上のストッパ52と対向した位置に設けられている。かかるアーム611は、基端側(後端側)に形成された、上下方向に延びる軸孔を有する軸孔部611aを備えている。
【0079】
一方、装置本体11側の奥部フレーム板112には、左側板114と対向した位置に後方へ向かって切り起こすことにより形成された、前記アーム611を支持するための上下一対のブラケット112aが設けられている。これら一対のブラケット間には、上下方向に延びる支持軸(支点)112bが架設されている。そして、アーム611は、前記軸孔部611aの軸孔がこの支持軸112bに外嵌されることによって支持軸112b回りに回動可能に軸支されている。
【0080】
前記アーム側突片612は、アーム611の先端(前端)が右方へ向かって折り返されることによって形成されている。かかるアーム側突片612は、アーム611の先端から後方に向かって先上がりに傾斜した傾斜縁面612aと、この傾斜縁面612aの後端からアーム611と直交するように当該アーム611へ向けて延びた直交縁面612bとを備えている。前記傾斜縁面612aと直交縁面612bとの交点部分に先鋭部612cが形成されている。
【0081】
前記コイルスプリング613は、前記アーム611を図3における平面視で支持軸112b回りに反時計方向へ向けて付勢するものである。かかるコイルスプリング613は、アーム611の上縁部の基端近傍に設けられたアーム側係止突片611bと、このアーム側係止突片611bより右方であって、当該アーム側係止突片611bと対向するように奥部フレーム板112の一部が前方へ向けて切り起こされることによって形成した切起こし片112cとの間に伸長状態で架設されている。
【0082】
一方、奥部フレーム板112には、アーム611の直右方位置の部分が当該アーム611へ向けて切り起こされることによって形成したストッパ112dが設けられている。このストッパ112dは、その先端が奥部フレーム板112に対し直交した状態のアーム611の右面に当止するように切り起こし量が設定されている。
【0083】
従って、アーム611は、前記コイルスプリング613の付勢力により図3における平面視で支持軸112b回りに反時計方向に付勢されてストッパ112dに当止し、これによって普段は奥部フレーム板112に対して直交した状態で前方へ向いている。
【0084】
前記ユニット側突片62は、用紙搬送ユニット20の左方板24における前記係止爪51の若干後方位置において、前記アーム611と対応するように左方に向けて突設されている。かかるユニット側突片62は、平面視で直角三角形状に形成されており、後端に左方板24と直交する直交縁面621が形成されているとともに、この直交縁面621の左端から前方に向けて先下がりに形成された傾斜縁面622が形成されている。この傾斜縁面622と前記直交縁面621との交点部分に先鋭部623が形成されている。
【0085】
かかるユニット側突片62と前記弾性発生部材61とは、用紙搬送ユニット20がユニット収納室V内に押し込まれることによりユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42の装着孔421に嵌り始めたときに弾性発生部材61の傾斜縁面612aがユニット側突片62の直交縁面621に当接するとともに、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に完全に接続されたときには、アーム側突片612の先鋭部612cがユニット側突片62の先鋭部623を遣り過ごしてユニット側突片62の傾斜縁面622上に位置するように互いの設置位置が設定されている。
【0086】
そして、本実施形態においては、装置本体11内に設けられた図略の駆動源の駆動力を用紙搬送ユニット20内の定着装置141、レジストローラ対162および搬送ベルト165等へ伝達するための駆動力伝達機構70が設けられている。
【0087】
前記駆動力伝達機構70は、奥部フレーム板112に当該奥部フレーム板112を摺接状態で貫通した前記駆動源の駆動力が伝達される駆動軸71と、用紙搬送ユニット20側に設けられ、当該用紙搬送ユニット20が装置本体11に装着された状態で前記駆動軸71に連結される継手部材72とを備えている。前記継手部材72は、枠体21の後方板23を貫通した図略の従動軸の後端部に同心で一体回転可能に設けられている。
【0088】
前記駆動軸71は、本実施形態においては、本体側コネクタ42の若干左側に設けられているとともに、前記従動軸は、駆動軸71と同心で対向するように設置位置が設定されている。
【0089】
そして、前記駆動軸71の前端面には、所定のキー突起711が突設されている一方、前記継手部材72の後端面には、前記キー突起711に一体回転可能に外嵌されるキーホール721が凹設されている。駆動軸71の奥部フレーム板112からの突出量および継手部材72の後方板23からの突出量は、用紙搬送ユニット20が装置本体11のユニット収納室V内へ押し込まれることによりユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続した状態でキー突起711がキーホール721に嵌り込むようにそれぞれ適正に設定されている。
【0090】
従って、用紙搬送ユニット20を装置本体11のユニット収納室V内へ押し込んでいき、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続されたときには、同時に駆動軸71と継手部材72とが互いに連結され、これによって装置本体11側の駆動源の駆動力が用紙搬送ユニット20側に伝達されることになる。
【0091】
図5は、電気的接続構造30の作用を説明するための平面視の模式的な説明図であり、図5(A)は、用紙搬送ユニット20が装置本体11のユニット収納室Vから引き出された状態、図5(B)は、用紙搬送ユニット20がユニット収納室V内へ押し込まれることによりユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続しつつある状態、図5(C)は、用紙搬送ユニット20がユニット収納室V内に完全に押し込まれたことによってユニット側コネクタ41と本体側コネクタ42とが確実に接続された状態をそれぞれ示している。なお、図5におけるXおよびYによる方向表示は、図2の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。因みに、図5では、駆動力伝達機構70の図示を省略している。
【0092】
まず、図5(A)に示すように、用紙搬送ユニット20がユニット収納室Vから引き出された状態では、ロック機構50の係止爪51が図略の付勢部材の付勢力によって枠体21から左方へ向けて突出した状態になっている。また、弾性発生部材61のアーム611前方に向けて真っ直ぐに延びた状態になっている。
【0093】
この状態において、用紙搬送ユニット20をユニット収納室V内へ押し込んでいくと、図5(B)に示すように、用紙搬送ユニット20側の係止爪51の傾斜縁面512が装置本体11側のストッパ52の傾斜縁面522に押圧当接し、これによって係止爪51が図略の付勢部材の付勢力に抗して枠体21内へ没入し始める。
【0094】
また、同時にユニット側突片62の先鋭部623が装置本体11に設けられたアーム611のアーム側突片612の傾斜縁面612aを押圧しながら当該傾斜縁面612aに摺接し、これによってアーム611は、前端側がコイルスプリング613の付勢力に抗して左方へ向けて傾いた状態になっている。
【0095】
また、このときには、前記ユニット側コネクタ41が前記本体側コネクタ42に対して接続を開始し、これによって両コネクタ41,42は、電気的に接続されつつある状態、あるいは不安定ではあるが電気的に接続された状態になっている。
【0096】
この状態において、用紙搬送ユニット20のユニット収納室Vに対する押し込み操作を継続すると、ユニット側コネクタ41の本体側コネクタ42に対する接続状態が確実になるとともに、用紙搬送ユニット20側の係止爪51が装置本体11側のストッパ52を乗り越え、これによって、図5(C)に示すように、係止爪51の係止縁面511と、ストッパ52の係止縁面521とが互いに当接したロック状態になる。従って、この状態では、用紙搬送ユニット20が前方へ移動してユニット側コネクタ41の本体側コネクタ42に対する接続が解消されることはない。
【0097】
また、このとき同時にユニット側突片62の先鋭部623が装置本体11側のアーム側突片612の傾斜縁面612aに摺接しながら当該傾斜縁面612aを左方へ向けて押圧するため、アーム611は、コイルスプリング613の付勢力に抗して支持軸112b回りに時計方向へ向けて回動する(図5(B))。このとき、オペレータは、コイルスプリング613の弾性変形に基づく負荷を感得する。
【0098】
そして、用紙搬送ユニット20の押し込み操作を継続すると、ユニット側突片62の先鋭部623がアーム側突片612の先鋭部612cを乗り越え、これによってアーム611は、コイルスプリング613の付勢力により支持軸112b回りに反時計方向に向けて回動してアーム側突片612の先鋭部612cがユニット側突片62の傾斜縁面622を叩打する(図5(C))。このときオペレータは、コイルスプリング613による負荷から解放されてクリック感を感得するとともに、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に確実に接続されたことを認識することができる。
【0099】
なお、図5(C)に示すように、一旦装置本体11のユニット収納室V内に収納された用紙搬送ユニット20を引き出すに際しては、操作桿53が所定の方向に向けて操作される。こうすることでストッパ52が用紙搬送ユニット20の枠体21内に没入され、これによって係止爪51のストッパ52に対する係止状態が解消されるため、用紙搬送ユニット20をユニット収納室Vから引き出すことができる。
【0100】
以上詳述したように、本実施形態に係る電気的接続構造30は、画像形成装置10の装置本体11と、この装置本体11に対し着脱自在に装着される所定の用紙搬送ユニット20とを電気的に接続するものであり、装置本体11側に設けられた本体側コネクタ42と、本体側コネクタ42に対向するように用紙搬送ユニット20側に設けられたユニット側コネクタ41と、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、両コネクタ41,42が完全に接続された状態で当該負荷を解消する負荷付与手段60とを備えている。
【0101】
電気的接続構造30をこのように構成することにより、用紙搬送ユニット20を装置本体11に押し込んでいくと、用紙搬送ユニット20に設けられたユニット側コネクタ41が本体側に対向配置された本体側コネクタ42に接続され、これによって装置本体11と用紙搬送ユニット20とを電気的に接続された状態にすることができる。
【0102】
そして、電気的接続構造30は、用紙搬送ユニット20の装置本体11に対する装着操作に対し負荷の付与と解除とを行う負荷付与手段60を有し、この負荷付与手段60は、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、両コネクタ41,42が完全に接続された状態で当該負荷を解消するように構成されている。
【0103】
従って、用紙搬送ユニット20の装置本体11に対する装着操作、すなわち押し込み操作を行うオペレータは、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に完全に接続される直前に押し込み操作に対して負荷を感じるとともに、両コネクタ41,42が完全に接続された時点で用紙搬送ユニット20が急に軽くなり、この負荷の付与と解消とでクリック感を感得するとともに、このクリック感によって両コネクタ41,42が確実に接続されたことを認識することができる。
【0104】
このように、負荷付与手段60を、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、両コネクタ41,42が完全に接続された状態で当該負荷を解消するように構成することで、オペレータは、用紙搬送ユニット20の装置本体11への押し込み操作時に感得したクリック感によって両コネクタ41,42の完全な接続状態を認識することができる。
【0105】
従って、従来のように、両コネクタ41,42の接続操作時にクリック感が得られない場合には、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に完全に接続されていないが両者間で不安定に通電可能になった、いわゆる半効き状態が生じることがあるが、本実施形態ではかかる不都合が生じることはなく、装置本体11と用紙搬送ユニット20との間で常に確実な通電状態を得ることができる。
【0106】
そして、負荷付与手段60は、装置本体11側または用紙搬送ユニット20側に設けられた弾性発生部材61を備え、弾性発生部材61の弾性変形によって負荷を付与するとともに、弾性発生部材61の弾性変形からの復元によって負荷を解消するようになされているため、用紙搬送ユニット20を装置本体11に押し込んでいくと、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前に弾性発生部材61が弾性変形し、この弾性変形で用紙搬送ユニット20の押し込み操作に対し負荷が付与されるとともに、押し込み操作の継続による弾性発生部材61の弾性変形からの復元により負荷が解消される。
【0107】
このように、負荷付与手段60を、装置本体11側または用紙搬送ユニット20側に設けられた弾性発生部材61の弾性変形によって負荷を付与するとともに、弾性発生部材61の弾性変形からの復元によって負荷を解消するように構成することで、負荷付与手段60の構造を簡単なものにした上で用紙搬送ユニット20の装置本体11への装着操作において両コネクタ41,42が完全に接続されたことを確実に認識することができる。
【0108】
このような弾性発生部材61は、装置本体11側に設けられた支持軸112b回りに回動可能な用紙搬送ユニット20の着脱方向と平行に延びるアーム611と、アーム611の先端に形成された用紙搬送ユニット20の側面に向けて突出するアーム側突片612と、アーム611を用紙搬送ユニット20側に向けて付勢するコイルスプリング613とを備えている。
【0109】
一方、用紙搬送ユニット20には、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前の位置から同接続された直後の位置の間でアーム側突片612と干渉するユニット側突片62が設けられ、アーム611は、直前の位置と直後の位置との間でコイルスプリング613の付勢力に抗して支持軸112b回りに回動するようになされている。
【0110】
弾性発生部材61のこのような構成によれば、用紙搬送ユニット20を装置本体11内に押し込んでいくことにより、ユニット側コネクタ41が本体側コネクタ42に接続される直前の位置でユニット側突片62が装置本体11側に設けられたアーム611のアーム側突片612と干渉し、これによるコイルスプリング613の付勢力に抗したアーム611の支持軸112b回りの回動により負荷が付与され、両コネクタ41,42が接続された直後の位置でユニット側突片62は、アーム側突片612と干渉しなくなり、これによって用紙搬送ユニット20の押し込み操作に対する負荷が解消され、オペレータは、このアーム611の一連の動きによる負荷の付与と負荷の解消とでクリック感を感得することができる。
【0111】
このように、弾性発生部材61を、装置本体11側に設けられた支持軸112b回りに回動可能なアーム611と、このアーム611の先端に形成されたアーム側突片612と、アーム611を用紙搬送ユニット20側に向けて付勢するコイルスプリング613とで構成することにより、当該弾性発生部材61の構造を簡単なものにした上で用紙搬送ユニット20の装置本体11への装着操作において両コネクタ41,42が完全に接続されたことを確実に認識することができる。
【0112】
また、特に本実施形態においては、用紙搬送ユニット20に当該用紙搬送ユニット20が装置本体11に装着された状態で装置本体11側の駆動力を伝達するための継手部材72が設けられているため、用紙搬送ユニット20が装置本体11に装着された状態で装置本体11側の駆動力を継手部材72を介して用紙搬送ユニット20側に伝達することができる。従って、用紙搬送ユニット20側に駆動源を備える必要がなく、その分用紙搬送ユニット20の軽量化およびコンパクト化に貢献することができる。
【0113】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0114】
(1)上記の実施形態においては、本発明に係る電気的接続構造30が画像形成装置10に適用されているが、本発明は、電気的接続構造30を画像形成装置10に適用することに限定されるものではなく、コンピュータや紙幣入出金装置、さらには券売機等の各種の電気機器に適用することができる。
【0115】
(2)上記の実施形態においては、本発明に係る電気的接続構造30が適用される画像形成装置10として複写機を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置10が複写機であることに限定されるものではなく、ファクシミリ装置やプリンタ等であってもよい。
【0116】
(3)上記の実施形態においては、装置本体11側に設けられたアーム611は、コイルスプリング613によって付勢力が付与されるようになされているが、こうする代わりにアーム611を金属製や合成樹脂製の板バネ材によって形成し、当該アーム611自体を弾性変形させるようにしてもよい。
【0117】
(4)上記の実施形態においては、負荷付与手段60におけるアーム611が装置本体11側に設けられ、当該アーム611と対応する突片(ユニット側突片62)が用紙搬送ユニット20側に設けられているが、本発明は、アーム611を装置本体11側に設け、当該アーム611と対応する突片を用紙搬送ユニット20側に設けることに限定されるものではなく、逆にしてもよい。
【0118】
(5)上記の実施形態において、用紙搬送ユニット20の設けられた係止爪51に付勢力を付与する付勢部材の付勢力を強力なものにすれば、用紙搬送ユニット20の装置本体11内への押し込み操作時においてストッパ52に当接した係止爪51を枠体21内へ没入させるために大きな力で用紙搬送ユニット20を押し込むことが必要になるとともに、係止爪51がストッパ52を乗り越えたときにオペレータは大きなクリック感を得ることができる。従って、本発明に係る負荷付与手段60によるクリック感と合わせて二重でクリック感を得ることができるため、ユニット側コネクタ41と本体側コネクタ42との間のより確実な接続状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明に係る電気的接続構造が適用される画像形成装置の一実施形態の内部構造の概要を説明するための説明図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の外観視の斜視図であり、(A)は、蓋体が閉止された状態、(B)および(C)は、蓋体が開放された状態をそれぞれ示している。
【図3】電気的接続構造の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、ユニット収納室に押し込まれた用紙搬送ユニットのユニット側コネクタが本体側コネクタに接続される直前の状態を示している。
【図4】電気的接続構造の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、ユニット側コネクタが本体側コネクタに接続された状態を示している。
【図5】電気的接続構造の作用を説明するための平面視の模式的な説明図であり、(A)は、用紙搬送ユニットが装置本体のユニット収納室から引き出された状態、(B)は、用紙搬送ユニットがユニット収納室内へ押し込まれることによりユニット側コネクタが本体側コネクタに接続しつつある状態、(C)は、用紙搬送ユニットがユニット収納室内に完全に押し込まれたことによってユニット側コネクタと本体側コネクタとが確実に接続された状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0120】
10 画像形成装置 11 装置本体
111 操作パネル 112 奥部フレーム板
112a ブラケット 112b 支持軸(支点)
112c 切起こし片 112d ストッパ
113 底板 113a ガイドレール
114 左側板 115 右側板
12 給紙部 121 給紙カセット
13 画像形成部 131 感光体ドラム
132 帯電器 133 露光装置
134 現像装置 135 転写装置
136 クリーニング装置 137 除電器
14 定着部 141 定着装置
142 筐体 143 ヒートローラ
144 加圧ローラ 145 案内プレート
15 画像読取部 151 コンタクトガラス
152 原稿自動供給装置 16 用紙搬送部
161 搬送ローラ対 162 レジストローラ対
163 排出ローラ対 164 排出トレイ
165 搬送ベルト 17 蓋体
20 用紙搬送ユニット 21 枠体
210 被ガイド凹部 22 前方板
23 後方板 24 左方板
241 角孔 25 右方板
30 電気的接続構造 40 コネクタ
41 ユニット側コネクタ 42 本体側コネクタ
421 装着孔 50 ロック機構
51 係止爪 511 係止縁面
512 傾斜縁面 52 ストッパ
521 係止縁面 522 傾斜縁面
53 操作桿 60 負荷付与手段
61 弾性発生部材 611 アーム
611a 軸孔部 611b アーム側係止突片
612 アーム側突片 612a 傾斜縁面
612b 直交縁面 612c 先鋭部
613 コイルスプリング(付勢部材)
62 ユニット側突片 621 直交縁面
622 傾斜縁面 623 先鋭部
70 駆動力伝達機構 71 駆動軸
711 キー突起 72 継手部材
721 キーホール P 用紙
U1 収納位置 U2 引出位置
V ユニット収納室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装置本体と、この装置本体に対し着脱自在に装着される所定のユニットとを電気的に接続する電気的接続構造であって、
前記装置本体側に設けられた本体側コネクタと、
前記本体側コネクタに対向するように前記ユニット側に設けられたユニット側コネクタと、
前記ユニット側コネクタが前記本体側コネクタに接続される直前に当該接続操作に対し所定の負荷を付与するとともに、前記両コネクタが完全に接続された状態で当該負荷を解消する負荷付与手段とを備えることを特徴とする電気的接続構造。
【請求項2】
前記負荷付与手段は、前記装置本体側または前記ユニット側に設けられた弾性発生部材を備え、前記弾性発生部材の弾性変形によって前記負荷を付与するとともに、前記弾性発生部材の前記弾性変形からの復元によって負荷を解消するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の電気的接続構造。
【請求項3】
前記弾性発生部材は、前記装置本体側に設けられた支点回りに回動可能な前記ユニットの着脱方向と平行に延びるアームと、
前記アームの先端に形成された前記ユニットの側面に向けて突出するアーム側突片と、
前記アームを前記ユニット側に向けて付勢する付勢部材とを備え、
前記ユニットには、前記ユニット側コネクタが前記本体側コネクタに接続される直前の位置から同接続された直後の位置の間で前記アーム側突片と干渉するユニット側突片が設けられ、
前記アームは、前記直前の位置と前記直後の位置との間で前記付勢部材の付勢力に抗して支点回りに回動することを特徴とする請求項2記載の電気的接続構造。
【請求項4】
前記ユニットには、当該ユニットが前記装置本体に装着された状態で前記装置本体側の駆動力を伝達するための継手部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電気的接続構造。
【請求項5】
前記ユニットに画像形成用の各種の機器が装着されてなる画像形成装置において、請求項1乃至4のいずれかに記載の電気的接続構造が適用されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−83202(P2008−83202A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261032(P2006−261032)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】