説明

電気絶縁性熱伝導性組成物及び電子装置

【課題】電気絶縁性熱伝導性組成物及び電子装置を提供する。
【解決手段】5〜80重量部の樹脂、20〜95重量部の電気絶縁性熱伝導性粉末、及び0.0001〜2重量部のグラフェンを含む電気絶縁性熱伝導性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性材料に関し、特に、電気絶縁性熱伝導性組成物(electrically insulating and thermally conductive composition、電気絶縁性を有する熱伝導性組成物)及びその応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、技術情報の進歩に伴い、電子製品の製造技術も改善されている。電子製品の軽量薄型の需要に加えてその優れた性能も必要とされている。
【0003】
コンピュータを例に取ると、コンピュータの集積回路の体積は、半導体技術の進歩とともに徐々に縮小されている。現在の集積回路における継続的な流れは、単位面積当たりの電子デバイスの数を増加して、より多くのデータを処理することにある。しかしながら、集積回路の電子デバイスの数が増加すると、動作中、電子デバイスで発生される熱も増加する。
【0004】
コンピュータのマザーボード上の中央処理装置(CPU)を例に取ると、CPUが最大負荷にある時、CPUで発生される熱は、CPUを焼損させるほど高くなる。よって、動作中、電子デバイスで発生された廃熱を効果的に取り除くことができなければ、電子デバイスの温度は上がり、電子デバイスの性能を低下させるか、または更には電子デバイスにダメージを与えることになる。
【0005】
よって、電子デバイスは、通常、散熱装置に接続され、電子デバイスで発生される熱を散熱装置に伝導し、次いで、熱は、熱対流、または熱放射などによって放散される。しかしながら、電子デバイス及び放熱装置の表面は、両方とも平らでなく、かつ、滑らかな表面でないため、電子デバイスと散熱装置は、互いに密着させることができない。よって、その間に間隙を生じる。空気の熱伝導特性は、良好でないため、電子デバイスと散熱装置間の間隙は、熱伝導率を大幅に低減させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気絶縁性熱伝導性組成物及び電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、5〜80重量部の樹脂、20〜95重量部の電気絶縁性熱伝導性粉末(電気絶縁性を有する熱伝導性粉末)、及び0.0001〜2重量部のグラフェンを含む電気絶縁性熱伝導性組成物を提供する。
【0008】
本発明の実施形態は、発熱素子、散熱素子、及び発熱素子と散熱素子との間に配置され、且つ5〜80重量部の樹脂、20〜95重量部の電気絶縁性熱伝導性粉末、及び0.0001〜2重量部のグラフェンを含む電気絶縁性熱伝導性層(電気絶縁性を有する熱伝導性層)を含む電子装置を提供する。
【0009】
詳細な説明は、添付の図面と併せて以下の実施形態に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施形態に基づく電子装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、添付の図面と併せて後に続く詳細な説明と実施例を解釈することによって、より完全に理解されることができる。
【0012】
以下の説明は、本発明を実施するベストモードが開示されている。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のためのもので本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される。
【0013】
以下の開示によって、本発明の様々な特徴点を実現するための、多くの様々な実施形態や実施例を提供できることが理解できる。本開示を簡素化するために、複数の要素および複数の配列からなる特定の実施例が以下に述べられる。これらは単に実施例であり、これらに制限されるものではないことは勿論である。また、本開示は、種々の実施例において、参照番号および/または参照文字を繰り返し用いている。この反復は、簡素化と明確さの目的のためであって、種々の実施の形態および/または議論された構成との間の関係を規定するものではない。また、「第2層“の上の”第1層(a first layer “on” a second layer)」、「第2層“の上部の”第1層(a first layer “overlying” a second layer)」という表現(及びこれと同様の表現)は、第1層と第2層が直接接触している実施形態及び1つ以上の層が第1層と第2層との間に介在する実施形態を含む。
【0014】
本発明の電気絶縁性熱伝導性組成物(電気絶縁性を有する熱伝導性組成物)は、グラフェン、樹脂、及び電気絶縁性熱伝導性粉末(電気絶縁性を有する熱伝導性粉末)を含む。グラフェンは、優れた熱伝導特性を有し、その絶縁特性を低下させることなく、電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率を向上させる。また、従来の電気絶縁性熱伝導性組成物に比べ、本発明の電気絶縁性熱伝導性組成物は、より少ない電気絶縁性熱伝導性粉末にて従来と同等の熱伝導率を達成することができるため、本発明の組成物は、より低い粘度とより良い成形性を有する。
【0015】
本発明の電気絶縁性熱伝導性組成物は、5〜80重量部の樹脂、20〜95重量部の電気絶縁性熱伝導性粉末、及び0.0001〜2重量部のグラフェンを含む。1つの実施形態では、電気絶縁性熱伝導性組成物は、0.01〜1重量部のグラフェンを含み、グラフェンの厚さは、例えば、0.2ナノメートル〜50ナノメートルで、グラフェンの長さ(または幅)は、ナノメートルからマイクロメートルに至る。本実施形態では、電気絶縁性熱伝導性組成物の体積抵抗率は、1012オームセンチメートル(Ωcm)より大きい。
【0016】
ここで注目すべき点としては、グラフェンは、二次元構造であるため、グラフェンの熱伝導率は非常に高いことである。本実施形態では、少量のグラフェンを加えることで、ほとんどの熱が電気絶縁性熱伝導性粉末とグラフェン(両方とも良好な熱導体)に伝導され得るため、樹脂の熱伝導経路を短くすることができ、よって、電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、大幅に向上される。しかしながら、グラフェンの添加量(additional amount)が多過ぎた場合、電気絶縁性熱伝導性組成物の絶縁特性は低下し、電気絶縁性熱伝導性組成物は、半導体または更には導体となってしまう場合がある。よって、グラフェンの添加量は、適当な範囲内、例えば上述の量の範囲内でなければならないが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態では、グラフェンは、電気絶縁性熱伝導性組成物の体積抵抗率が1012オームセンチメートルより大きい量で加えられる。
【0017】
電気絶縁性熱伝導性粉末は、電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率を向上させることができるものであればよいが、電気絶縁性熱伝導性粉末は、例えば、金属酸化物、セラミック材料、ダイアモンド、木炭、またはその組み合わせである。具体的に言うと、電気絶縁性熱伝導性粉末は、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、酸化ベリリウム、ダイアモンド、炭化タングステン、またはその組み合わせを含む。例えば、本実施形態の電気絶縁性熱伝導性粉末は、異なる粒度及び/または異なる組成の2種類の粉末を含むことで、電気絶縁性熱伝導性組成物の絶縁特性を許容範囲に維持しながら、充填率(packing ratio)及び電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率を上げることができる。
【0018】
樹脂は、様々な用途に要求される条件、例えば絶縁特性、機械的強度、可撓性、または接着特性などの必要条件を満たす種々の特性を有する電気絶縁性熱伝導性組成物を提供する。樹脂は、例えば、有機樹脂、無機樹脂、またはその組み合わせである。具体的に言えば、樹脂は、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シロキサン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、高分子樹脂、エラストマー、ゴム、またはその組み合わせを含む。
【0019】
ここで用いられるグラフェンとしては、有機分子及び無機分子と結合した(grafted with)グラフェンや、有機分子及び無機分子に吸着したグラフェンなどの化学的に改質された、または物理的に改質されたグラフェンでもよい。
【0020】
本発明の電気絶縁性熱伝導性組成物は、当技術分野で周知のように種々の添加剤を更に含んで電気絶縁性熱伝導性組成物の物理的及び/または化学的特性を強化し得る。しかしながら、添加剤の添加量が多過ぎた場合、電気絶縁性熱伝導性組成物の成形性または粘度は、影響を受け、加工を困難にし、且つ熱伝導性を低下させる。よって、本実施形態の添加剤の重さは、樹脂の重さの5分の1より少ないのが望ましい。例えば、樹脂の重さが80重量部の時、添加剤の重さは、16重量部より少なくすることが望ましい。添加剤は、硬化剤、促進剤、消泡剤、抑制剤、酸化防止剤、難燃剤、平滑剤、離型剤、またはその組み合わせを含むことができ、促進剤及び抑制剤は、反応速度及び樹脂の硬化程度を調整する。
【0021】
上述の電気絶縁性熱伝導性組成物を用いた電気絶縁性熱伝導性層の電子装置の実施形態が以下の説明で詳述される。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に基づく電子装置の概略図である。図1を参照下さい。本実施形態の電子装置100は、発熱素子110、散熱素子120、及び電気絶縁性熱伝導性層(電気絶縁性を有する熱伝導性層)130を含む。電気絶縁性熱伝導性層130は、発熱素子110と散熱素子120との間に配置され、且つ電気絶縁性熱伝導性層130は、本発明のグラフェンを有する電気絶縁性熱伝導性組成物を含む。具体的に言えば、5〜80重量部の樹脂、20〜95重量部の電気絶縁性熱伝導性粉末、及び0.0001〜2重量部のグラフェンを含む本発明の電気絶縁性熱伝導性組成物を含む。
【0023】
発熱素子110は、例えば、消費性(consumer)3C(即ち、コンピュータ、通信機器、家電製品)、工業、自動車、医療、航空宇宙工学、または通信などに用いられる電子製品である。電子製品は、例えば、マザーボード、中央処理装置(CPU)、チップ、またはディスプレイなど、または例えば発光ダイオードランプ、金属配線(metal wiring)、熱機関(heat engine)、冷却機関(cooling engine)、またはエンジン(engine)などの発熱デバイスである。
【0024】
発熱素子110上の散熱素子120は、動作中に発熱素子110で発生された、累積した熱を迅速に除去する働きをし、発熱素子110の性能低下及び破損を回避する。散熱素子120は、例えば、ヒートシンク、ファン、金属シート、複数の金属フィン、ヒートパイプ、その組み合わせ、または他の好適な散熱装置である。
【0025】
発熱素子110と散熱素子120との間に配置された電気絶縁性熱伝導性層130は、その間の間隙を充填することによって、発熱素子110と散熱素子120を密着させることができるため、その間の熱伝導を効果的に向上させる。電気絶縁性熱伝導性層130は、発熱素子110と散熱素子120との間の電気絶縁層(electric isolating layer)として用いられ得る。
【実施例】
【0026】
電気絶縁性熱伝導性層の実施例及び比較例が以下に記述される。
【0027】
熱伝導率は、ISO規格22007のホットディスク法によって測定され、粘度は、「TA AR−G2 レオメーター」を用いて測定される。例えば、熱伝導率、抵抗率、及び粘度などの物理的特性は、表1に記載されている。
【0028】
以下に記述されている実施例及び比較例は、同じ種類のエポキシ樹脂(ShellのEPON828、その化学式は、以下の化学式1で表されている)及びアミン系硬化剤(HuntsmanのD2000、その化学式は、以下の化学式2で表されている)を用いた。
【0029】
EPON828の化学式は、化学式1で表されており、nは、約1〜2である。
【化1】

【0030】
D2000の化学式は、以下の化学式2で表されており、xは、約33である。
【化2】

【0031】
<実施例1>
9グラムのエポキシ樹脂と24グラムのアミン系硬化剤を反応器(250ml)に入れ、高速攪拌で十分に混合した。次いで、187グラムの酸化アルミニウム粉末を加え、混合物を形成した。混合物を、高速で5分間攪拌し、次いで、50ミリグラムのグラフェン(厚さ2〜3ナノメータ)を混合物に加え、高速攪拌で十分に混合した。次いで混合物を、3回、ローラーで分散し、150℃のオーブンに2時間置くことで硬化させ、これにより、高い熱伝導率を有する電気絶縁性熱伝導性組成物を形成した。電気絶縁性熱伝導性組成物の粉末の固形成分含有量(a solid content of powders)は、約85wt%であった。表1に表されているように、電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、3.2W/mKであった。
【0032】
<実施例2>
9グラムのエポキシ樹脂と24グラムのアミン系硬化剤を反応器(250ml)に入れ、高速攪拌で十分に混合した。次いで、187グラムの窒化ホウ素粉末を加え、混合物を形成した。混合物を、高速で5分間攪拌し、次いで、50ミリグラムのグラフェン(厚さ2〜3ナノメータ)を混合物に加え、高速攪拌で十分に混合した。次いで混合物を、3回、ローラーで分散し、150℃のオーブンに2時間置くことで硬化させ、これにより、高い熱伝導率を有する電気絶縁性熱伝導性組成物を形成した。電気絶縁性熱伝導性組成物の粉末の固形成分含有量(a solid content of powders)は、約85wt%であった。表1に表されているように、電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、3.7W/mKであった。
【0033】
<比較例1>
9グラムのエポキシ樹脂と24グラムのアミン系硬化剤を反応器(250ml)に入れ、高速攪拌で十分に混合した。次いで、187グラムの酸化アルミニウム粉末を加え、混合物を形成し、混合物を、高速で5分間攪拌した。次いで、混合物を、3回、ローラーで分散し、150℃のオーブンに2時間置くことで硬化させ、これにより、電気絶縁性熱伝導性組成物を形成した。電気絶縁性熱伝導性組成物の粉末の固形成分含有量(a solid content of powders)は、約85wt%であった。
【0034】
表1に表されているように、比較例1の電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、2W/mKである。実施例1と比較例1を比較すると、少量のグラフェン(約0.05wt%)でも、電気絶縁性熱伝導性組成物の抵抗率を保持しながら、熱伝導率を大幅に増加させることができる。
【0035】
<比較例2>
9グラムのエポキシ樹脂と24グラムのアミン系硬化剤を反応器(250ml)に入れ、高速攪拌で十分に混合した。次いで、187グラムの窒化ホウ素粉末を加え、混合物を形成し、混合物を、高速で5分間攪拌した。次いで、混合物を、3回、ローラーで分散し、150℃のオーブンに2時間置くことで硬化させ、これにより、電気絶縁性熱伝導性組成物を形成した。電気絶縁性熱伝導性組成物の粉末の固形成分含有量(a solid content of powders)は、約85wt%であった。
【0036】
表1に表されているように、比較例2の電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、2.6W/mKである。実施例2と比較例2を比較すると、少量のグラフェン(約0.05wt%)でも、電気絶縁性熱伝導性組成物の抵抗率を保持しながら、熱伝導率を大幅に増加させることができる。
【0037】
<比較例3>
9グラムのエポキシ樹脂と24グラムのアミン系硬化剤を反応器(250ml)に入れ、高速攪拌で十分に混合した。次いで、297グラムの酸化アルミニウム粉末を加え、混合物を形成し、混合物を、高速で5分間攪拌した。次いで、混合物を、3回、ローラーで分散し、150℃のオーブンに2時間置くことで硬化させ、これにより、電気絶縁性熱伝導性組成物を形成する。電気絶縁性熱伝導性組成物の粉末の固形成分含有量(a solid content of powders)は、約90wt%であった。
【0038】
表1に表されているように、比較例3の電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、3.3W/mKであった。しかしながら、電気絶縁性熱伝導性組成物の粘度は、約300万センチポアズ(about 3 million centi-Poises;cP)程度であり、組成物を更に加工することが難しいものであった。
【0039】
<比較例4>
9グラムのエポキシ樹脂と24グラムのアミン系硬化剤を反応器(250ml)に入れ、高速攪拌で十分に混合し、次いで50ミリグラムのグラファイトを加えた。次いで、187グラムの酸化アルミニウム粉末を反応器に加え、混合物を形成し、混合物を、高速攪拌で十分に混合した。次いで、混合物を、3回、ローラーで分散し、150℃のオーブンに2時間置くことで硬化させ、これにより、電気絶縁性熱伝導性組成物を形成した。電気絶縁性熱伝導性組成物の粉末の固形成分含有量(a solid content of powders)は、約85wt%であった。
【0040】
表1に表されているように、比較例4の電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、2.1W/mKであることから、50ミリグラムのグラファイト(0.05wt%)の添加が電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率を増加させないことを示している。
【0041】
<比較例5>
9グラムのエポキシ樹脂と24グラムのアミン系硬化剤を反応器(250ml)に入れ、高速攪拌で十分に混合し、次いで4.8グラムのグラファイトを加えた。次いで、183グラムの酸化アルミニウム粉末を反応器に加え、混合物を形成し、混合物を、高速攪拌で十分に混合した。次いで、混合物を、3回、ローラーで分散し、150℃のオーブンに2時間置くことで硬化させ、これにより、電気絶縁性熱伝導性組成物を形成する。電気絶縁性熱伝導性組成物の粉末の固形成分含有量(a solid content of powders)は、約85wt%である。
【0042】
表1に表されているように、比較例5の電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率は、4.2W/mKであった。これは、4.8グラムのグラファイト(2.2wt%)の添加量が電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導率を増加させることを示しているが、電気絶縁性熱伝導性組成物の体積抵抗率は、大幅に低下される(1.5×1010Ωcm)ため、電気絶縁性熱伝導性組成物は、十分に絶縁されない。
【0043】
【表1】

【0044】
上述のように、本発明は、良好な熱伝導特性を有する少量のグラフェンが電気絶縁性熱伝導性組成物に加えられることで、電気絶縁性熱伝導性組成物の絶縁特性を許容範囲に維持しながら、電気絶縁性熱伝導性組成物の熱伝導特性を効果的に向上させる。また、グラフェンの添加は、電気絶縁性熱伝導性組成物の電気絶縁性熱伝導性粉末の量を減少させ、熱伝導率を維持するため、本発明の電気絶縁性熱伝導性組成物は、低粘度及び良好な成形性を有する。また、本発明の電気絶縁性熱伝導性組成物は、発熱素子と散熱素子との間に配置されることで、発熱素子と散熱素子とを互いに密着させるため、その間の熱伝導を効果的に向上させる。
【0045】
この発明は、実施例の方法及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は、これらを限定するものではないことは理解される。逆に、種々の変更及び同様の配置をカバーするものである(当業者には明白なように)。よって、添付の請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0046】
100 電子装置
110 発熱素子
120 散熱素子
130 電気絶縁性熱伝導性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5〜80重量部の樹脂、
20〜95重量部の電気絶縁性熱伝導性粉末、及び
0.0001〜2重量部のグラフェンを含む電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項2】
前記グラフェンの厚さは、0.2ナノメートル〜50ナノメートルの範囲である請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項3】
前記電気絶縁性熱伝導性粉末は、金属酸化物、セラミック材料、ダイアモンド、木炭、またはその組み合わせを含む請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項4】
前記電気絶縁性熱伝導性粉末は、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、酸化ベリリウム、ダイアモンド、炭化タングステン、またはその組み合わせを含む請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項5】
前記電気絶縁性熱伝導性組成物は、0.01〜1重量部のグラフェンを含む請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項6】
前記樹脂は、有機樹脂、無機樹脂、またはその組み合わせである請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項7】
前記樹脂は、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ゴム、またはその組み合わせを含む請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項8】
前記電気絶縁性熱伝導性組成物の体積抵抗率は、1012オームセンチメートル(Ωcm)より大きい請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項9】
前記グラフェンは、有機分子及び無機分子と結合した(grafted with)グラフェンか、または有機分子及び無機分子に吸着したグラフェンを含む請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項10】
硬化剤、促進剤、消泡剤、抑制剤、酸化防止剤、難燃剤、平滑剤、離型剤、またはその組み合わせを含む添加剤を更に含む請求項1に記載の電気絶縁性熱伝導性組成物。
【請求項11】
発熱素子、
散熱素子、及び
前記発熱素子と前記散熱素子との間に配置され、且つ5〜80重量部の樹脂、20〜95重量部の電気絶縁性熱伝導性粉末、及び0.0001〜2重量部のグラフェンを含む電気絶縁性熱伝導性層を含む電子装置。
【請求項12】
前記発熱素子は、チップ、中央処理装置、マザーボード、ディスプレイ、発光ダイオードランプ、金属配線、熱機関、冷却機関、またはエンジンを含む請求項11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記散熱素子は、ファン、ヒートパイプ、ヒートシンク、金属シート、その組み合わせを含む請求項11に記載の電子装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−188645(P2012−188645A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258586(P2011−258586)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】