説明

電源制御回路及びそれを用いた携帯端末並びに電源制御方法

【課題】 電力消費量が多い多機能の携帯端末にも適用でき、他の電力源からの充電頻度を減少可能とた電源制御回路を提供すること。
【解決手段】 電池の電力により動作する携帯端末における電源制御回路において、ユーザのキー押圧操作に伴って発電をなす発電部100と、この発電部100による発電電力を蓄電する蓄電部101と、この蓄電部101の蓄電量と電池残量とに応じて、蓄電部を電池に並列接続制御する制御部102とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電源制御回路及びそれを用いた携帯端末並びに電源制御方法に関し、特に電池の電力を各部機能回路の動作電力として使用する携帯端末における電源制御方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの携帯端末は、充電可能な二次電池を装着してこの二次電池の出力電力を各部機能回路の動作電力として使用する様になっている。この電池の残量がなくなると、その都度、別の電源から当該電池への充電を行う必要がある。そのために、外出している場合や、携帯型の充電器を所持していない場合には、電池残量がなくなると、携帯端末を使用することができなくなる。
【0003】
また、ほぼ毎日の様に電池の充電を行う必要があるユーザにとっては、電気代が嵩むことになり、更には、地球環境的にみても、電池充電用の電力を提供するために、それだけ燃料を消費して発電しなければならないという課題もある。
【0004】
ここで、特許文献1を参照すると、自己発電機能を有する電子機器が開示されている。この電子機器においては、ユーザのキー押圧操作により電力を発生する圧電素子を設け、この圧電素子による発電電力を蓄電素子に蓄えておき、この蓄電素子の蓄電電力を、電子機器の各種機能回路の動作電力として用いるようにして、電池などの電力を一切使用しないようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−103015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電子機器においては、二次電池などの電池パックを一切使用することなく、ユーザのキー操作に伴う圧電素子による発電電力のみを電子機器の動作電力として使用するものである。よって、例えば、卓上型の電子計算機であるいわゆる電卓などの微弱な電力で動作可能な電子機器には適用できたとしても、昨今の携帯電話機の様に、通話の他に、いわゆるワンセグなどのテレビジョン機能、撮像機能、音楽再生機能、ゲーム機能など、電力を多く必要とする多機能の携帯端末には適用できない。
【0007】
本発明の目的は、電力消費量が多い多機能の携帯端末にも適用でき、他の電力源からの充電頻度を減少可能とた電源制御回路及びそれを用いた携帯端末並びに電源制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による電源制御回路は、電池の電力により動作する携帯端末における電源制御回路であって、ユーザのキー押圧操作に伴って発電をなす発電手段と、この発電手段による発電電力を蓄電する蓄電手段と、この蓄電手段の蓄電量と電池残量とに応じて、前記蓄電手段を前記電池に並列接続制御する制御手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明による携帯端末は、上記の電源制御回路を設けたことを特徴する。
【0010】
本発明による電源制御方法は、電池の電力により動作する携帯端末における電源制御方法であって、ユーザのキー押圧操作に伴って発電をなす発電ステップと、この発電ステップによる発電電力を蓄電手段に蓄電する蓄電ステップと、この蓄電手段の蓄電量と電池残量とに応じて、前記蓄電手段を前記電池に並列接続制御する制御ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キー操作に伴って生ずる発電素子による電力を蓄電素子に蓄え、この蓄電素子と電池とを並列接続制御することにより、この蓄電電力を電池の充電や電池の予備として使用する様にしたので、消費電力の削減を図ることができ、電気代の節約及び地球環境的な貢献度の向上が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の原理を説明するための概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の携帯端末におけるキー入力部と、圧電素子回路と、蓄電回路との関係を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明をより良く理解するために、図1を参照して本発明の原理を説明する。図1は、本発明の原理を説明するための概略図である。図1を参照すると、本発明は、基本的に、発電部100と、蓄電部101と、制御部102とを含んで構成される。
【0014】
発電部100は、ユーザのキー押圧操作に伴って発電をなす機能を有しており、圧電素子からなる。蓄電部101は、発電部100による発電電力を蓄電する機能を有しており、コンデンサからなる。制御部102は、蓄電部101の蓄電量と図示せぬ二次電池の電池残量とに応じて、この蓄電部101を二次電池に並列に接続するか否かを判断して並列接続の制御をなす機能を有している。
【0015】
ユーザのキー入力操作毎に、発電部100により発電がなされ、この発電電力が蓄電部101へ蓄電される。よって、制御部102は、この蓄電量と電池残量とを監視して、これらの監視結果に基づいて、蓄電部101を電池と並列接続制御する。
【0016】
例えば、蓄電量が所定値以上で、かつ電池残量が所定値以下になった時、制御部102は、蓄電部101を電池に並列接続するようにしておく。蓄電部101が電池により並列に接続されると、蓄電部101から電池の充電がなされるか、または電池の予備として電源回路へ蓄電部101から電力供給がなされることになるのである。
【0017】
以下に、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図2は、本発明の実施の形態を適用した携帯電話機の回路構成の要部を抽出して示した機能ブロック図である。本実施の形態における携帯電話機は、CPU(中央処理装置)1と、ROM(リードオンリメモリ)2と、RAM(ランダムアクセスメモリ)3と、無線部4と、表示部5と、キー入力部6と、イルミネーション部7と、これら各部を接続するバス8とを含んでいる。
【0018】
更に、この携帯電話機は、圧電素子回路9と、蓄電回路10と、制御回路11と、電池12と、電源回路13を有している。
【0019】
CPU1は、上述した各部の動作制御を司るコンピュータの機能を有しており、ROM2に格納されているプログラムの手順に従って各種の処理を実行するものである。ROM2は、CPU1のプログラムや仮名文字変換などに使用される辞書などの固定的なデータを格納したリードオンリメモリである。RAM3は、CPU1がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納する作業用のランダムアクセスメモリである。
【0020】
無線部4は、無線通信をなすものであり、表示部5は、ユーザに対して各種の情報を可視表示するためのものであり、LCD(Liquid Qrystal Display)である。キー入力部6は、各種の操作キーとこれら操作キーからの入力を受け付ける入力回路である。イルミネーション部7は、キー操作部のイルミネーションをなすものであり、このイルミネーションの点滅パターンはRAM3に格納されており、CPU1の制御により点滅制御される。
【0021】
圧電素子回路9は、図3の模式図に示す様に、キー入力部6に設けられており、各種キー61にそれぞれ対応して設けられた圧電素子91を有している。これら圧電素子91の各々は、ユーザによるキー操作に伴う押圧力を受けて、発電を行う。蓄電回路10は、これまた図3の模式図に示す様に、これら各圧電素子91からの各発電電力を蓄電する様に、各圧電素子と接続されており、コンデンサからなる。
【0022】
制御回路11は、この蓄電回路10と電池12とを電気的に並列接続するか否かを制御する回路である。電池12は、充電可能な二次電池であり、電源回路12へ電源供給を行う。電源回路13は、電池12からの電源供給を受けて各部へ動作電力を供給する。なお、携帯電話機には他の各種の機能が搭載されているが、これらは、本発明には直接関係せず、また既存の携帯電話機のそれと同等であるので、その説明は省略する。
【0023】
次に、本発明の実施の形態の動作について図4のフローチャートを参照して説明する。携帯電話機のユーザが電話番号や電子メールのアドレスを入力するために、キー入力部6のキー61の押圧操作を行うと(ステップS1)、この操作による振動が圧電素子回路9の圧電素子91へ伝播する(ステップS2)。圧電素子91は、この振動により発電を行い(ステップS3)、この発電電力が蓄電回路10のコンデンサへ蓄電されることになる(ステップS4)。
【0024】
制御回路11は、この蓄電回路10に蓄電された蓄電量と電池12の電池残量とを常時監視している。すなわち、電池残量が一定値以上で(ステップS5)、かつ蓄電量が一定値以上の場合に(ステップS6)、蓄電回路10のコンデンサを、電池12と並列接続するよう制御する。これにより、蓄電回路10から電池12への充電がなされるか、または蓄電回路10がこの電池12の予備として機能して電源回路13へ電源供給がなされることになる(ステップS7)。
【0025】
図4においては、点線で囲む部分のステップS5〜S7が、制御回路11の制御動作を示すものであり、この制御回路11は、IC(集積)回路により実現可能である。
【0026】
なお、電池残量に関しては、携帯電話機本体側で測定を行っているので、制御回路11は、電池残量を監視する代わりに、本体側からその測定結果の供給を受ける様にすることができることは勿論である。
【0027】
このように構成することにより、例えば、電池残量が10%(通話や電子メールが長くできないような電池残量)になった場合、制御回路11がこれを検出して、蓄電回路10を電池12に並列接続することにより、電池の充電が自動的に行われることになる。このように、自動的に電池の充電が行われるので、通話や電子メールを実行する時間が伸びるという利点がある。
【0028】
なお、ユーザのキー操作に伴う発電回路による発電を禁止したり、発電しても蓄電回路への蓄電を禁止したりするモードを、ユーザの選択により選べる様にすることも可能である。この場合には、そのためのキーが必要になるが、特定の操作キー(例えば、テンキーのいずれか)の長押しによる選択や、機能メニュー上において「キー操作充電ON/OFF」などの項目を設けておき、そのモードを選択できる様にしても良い。
【0029】
更に、電池の充電を、上記の様に、自動的になす代わりに、ユーザの選択により、電池の自動充電のオンオフ制御をなすことも可能である。すなわち、特定の操作キー(例えば、テンキーのいずれか)の長押しにより充電開始を行わせたり、また機能メニュー上において「充電開始」の項目を設けておき、これをユーザが選択することにより、充電(電池と蓄電回路との並列接続)を行わせることも可能である。
【0030】
なお、圧電素子回路9の圧電素子による発電効率が十分に得られない場合には、特定の機能回路のみの電源供給を、蓄電回路10の蓄電電力で代替するようにすることもできる。例えば、図2の例では、蓄電回路10の蓄電電力を、イルミネーション部7のみの電源供給に使用するよう構成することも可能である。
【0031】
上記の実施の形態においては、携帯電話機に本発明を適用した場合につき説明したが、携帯電話機に限らず、広く他の携帯型の情報処理機能を有する携帯端末に適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 無線部
5 表示部
6 キー入力部
7 イルミネーション部
8 バス
9 圧電素子回路
10 蓄電回路
11 制御回路
12 電池
13 電源回路
100 発電部
101 蓄電部
102 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の電力により動作する携帯端末における電源制御回路であって、
ユーザのキー押圧操作に伴って発電をなす発電手段と、
この発電手段による発電電力を蓄電する蓄電手段と、
この蓄電手段の蓄電量と電池残量とに応じて、前記蓄電手段を前記電池に並列接続制御する制御手段とを含むことを特徴とする電源制御回路。
【請求項2】
前記発電手段は、前記キーの各々に対応して設けられた圧電素子からなることを特徴とする請求項1記載の電源制御回路。
【請求項3】
前記制御手段は、前記蓄電手段の蓄電量が所定値以上でかつ前記電池残量が所定値以下の場合に、前記蓄電手段を前記電池に並列に接続することを特徴とする請求項1または2記載の電源制御回路。
【請求項4】
前記蓄電手段への蓄電の可否をユーザによる選択操作に基づき選択する手段を、更に含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の電源制御回路。
【請求項5】
前記制御手段による並列接続の可否をユーザによる選択操作に基づき選択する手段を、更に含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の電源制御回路。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の電源制御回路を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
電池の電力により動作する携帯端末における電源制御方法であって、
ユーザのキー押圧操作に伴って発電をなす発電ステップと、
この発電ステップによる発電電力を蓄電手段に蓄電する蓄電ステップと、
この蓄電手段の蓄電量と電池残量とに応じて、前記蓄電手段を前記電池に並列接続制御する制御ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記制御ステップは、前記蓄電手段の蓄電量が所定値以上でかつ前記電池残量が所定値以下の場合に、前記蓄電手段を前記電池に並列接続することを特徴とする請求項7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−171554(P2010−171554A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10462(P2009−10462)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】