説明

電源制御装置および画像形成装置

【課題】 ユーザの利便性を損なうことなく、安価な部品構成で電気機器の待機時の消費電力を削減する。
【解決手段】 電源制御装置20では、ヒステリシスコンパレータ回路25およびパルス生成回路26が、太陽電池21によって光エネルギーから変換された電力で駆動する。そして、ヒステリシスコンパレータ回路25が、太陽電池21の出力電圧に基づいて当該電源制御装置20の設置環境での照度の変化を検出し、その検出結果を照度検出信号としてパルス生成回路26へ出力する。パルス生成回路26は、ヒステリシスコンパレータ回路25からの照度検出信号がトグルしたことをエッジ検出して、パルス状の電源制御信号を生成し、制御対象機器であるプリンタへ出力することにより、そのプリンタの電源起動/遮断の指示を出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部機器の電源を制御する電源制御装置、およびそれを備えたプリンタ,デジタル複写機,デジタル複合機,ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置を含む多くの電気機器では、当該機器(以下単に「機器」ともいう)を利用していない時間も、例えばユーザの遠隔からの動作指示(通信可能なパーソナルコンピュータ等の外部からの指示)を受け付けるため、主電源をオンにした「待機」の状態を保って一部の回路を稼動させている。一方で、商用電源にACプラグを挿入しただけで主電源をオフとした「プラグイン」状態や、商用電源にACプラグを挿さない「プラグオフ」とすれば、ユーザの遠隔からの動作指示は受け付けられないが、待機よりも低い消費電力を実現できる。
【0003】
しかし、このような従来の電気機器では、ユーザが夜間や休日などで長時間機器を利用しないことが明確であっても、主電源をオフにする操作や次回利用時に主電源をオンにする操作を省くために、ACプラグを引き抜いたり、主電源をオフにする操作を行われず、常に待機状態を維持させてしまっていることが多い。そのため、プラグインやプラグオフよりも高い電力を消費してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、その問題を解消するため、ユーザの遠隔からの操作は受け付け続け、必要な動作電力は太陽電池から供給することで、商用電源からの省電力を低減する技術が既に知られている。
例えば、特許文献1には、待機時の消費電力を低減するため、省エネルギーモード(以下単に「省エネモード」ともいう)時に、太陽電池で発電した電力をプリンタ装置に供給し、商用電源からの消費電力を低減する装置について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような、省エネモード時の動作電力を太陽電池から供給させることで商用電源からの消費電力を低減する装置では、屋内の人工照明による低い照度環境で充分な電力を発電する必要があるため、大きな太陽電池を使用する必要があり、装置の大型化と高額化を伴うという問題があった。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性を損なうことなく、安価な部品構成で電気機器の待機時の消費電力を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するため、以下に示す電源制御装置および画像形成装置を提供する。
この発明による電源制御装置は、外部機器の電源を制御する電源制御装置であって、光エネルギーを電力に変換する光電変換手段を設ける。また、その光電変換手段によって変換された電力で駆動する手段であり、その光電変換手段の出力電圧に基づいて当該電源制御装置の設置環境での照度の変化を検出し、その検出結果に応じて上記外部機器の電源を起動もしくは遮断させる電源制御信号をその外部機器へ出力する電源制御信号出力手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の電源制御装置によれば、電源制御信号出力手段が、光電変換手段によって光エネルギーから変換された電力で駆動する。そして、その光電変換手段の出力電圧に基づいて当該電源制御装置の設置環境での照度の変化を検出し、その検出結果に応じて画像形成装置等の外部機器(電気機器)の電源を起動もしくは遮断させる電源制御信号をその外部機器へ出力する。それによって、ユーザの利便性を損なうことなく、且つ制御対象の電気機器から電力の供給を受けず、照度検出に専用のセンサを必要としない安価な電源制御装置で電気機器の待機時の消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の第1実施形態である電源制御装置と通信可能なプリンタの主要部の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のコントローラIC5の印刷制御に関わる部分の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図3】この発明の第1実施形態である太陽電池を用いた電源制御装置の構成の第1例を示すブロック図である。
【図4】図3に示した電源制御装置20の主要動作の一例を示すフロー図である。
【図5】この発明の第2実施形態である太陽電池を用いた電源制御装置の構成の第2例を示すブロック図である。
【図6】図5に示した電源制御装置30の主要動作の一例を示すフロー図である。
【0009】
【図7】図5に示した電源制御装置30が屋内照明の点灯/消灯を検出して電源制御信号を出力する場合で照度検出イネーブル信号を使用せずに正常に動作している場合のプリンタの電源状態を示すタイミング図である。
【図8】同じく屋内照明の点灯/消灯を検出して電源制御信号を出力する場合で照度検出イネーブル信号を使用しないために正常に動作していない場合のプリンタの電源状態を示すタイミング図である。
【図9】同じく屋内照明の点灯/消灯を検出して電源制御信号を出力する場合でプリンタからの電源状態通知信号を照度検出イネーブル信号として使用して正常に動作している場合のプリンタの電源状態を示すタイミング図である。
【図10】この発明の第3実施形態である太陽電池を用いた電源制御装置の構成の第3例を示すブロック図である。
【図11】図10に示した電源制御装置40の主要動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態を説明する。
以下の実施形態では、ユーザの利便性を損なうことなく、外部機器(電気機器)であるプリンタの待機時の消費電力を削減するため、そのプリンタの主電源(以下単に「電源」ともいう)を制御する電源制御装置が以下の特徴を有する。
【0011】
すなわち、光電変換手段(光電変換素子)である太陽電池の発生電圧を監視することで電源制御装置の設置環境(プリンタの設置環境と同じ)での照度の変化を検出し、その検出結果に応じてプリンタの電源をオン(起動)/オフ(遮断)させる電源制御信号をプリンタへ出力させる。例えば、プリンタの電源を、夜間や休日などでプリンタの設置環境が暗くなったら自動的にオフに、明るくなったらオンにそれぞれさせる電源制御信号をプリンタへ出力させる。それによって、小規模かつ安価な太陽電池や制御回路で機能を達成でき、ユーザ操作を介さずに自動で夜間や休日などにプリンタの電源をオフにしてプラグイン状態にできることが特徴になっている。
【0012】
そこで、その特徴について図1〜図11を参照して具体的に説明する。
〔第1実施形態〕
まず、この発明の第1実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1実施形態である電源制御装置と通信可能なプリンタの主要部の構成例を示すブロック図である。
【0013】
このプリンタ10は、AC(交流)プラグ1、AC/DC(直流)電源回路2、電源起動/遮断回路3、操作部4、コントローラIC5、OR回路6,7、プルアップ抵抗8、およびコネクタ9を備えている。
ACプラグ1は、商用電源のコンセント(差し込み口)に挿入して、商用電源からのAC電源(「AC電力」ともいう)を機器(プリンタ10)に供給するためのものである。
AC/DC電源回路2は、ACプラグ1からのAC電源をDC電源(「DC電力」ともいう)に変換し、電源Aを生成する回路である。
【0014】
電源起動/遮断回路3は、電源Aによって駆動し、OR回路7から入力される信号に応じてコントローラIC5を動作させるためのプリンタ10(以下「機器」ともいう)の電源をオン/オフにする回路である。なお、機器の電源をオンにする場合、電源Bを生成する。
操作部4は、機器の電源を手動でオン/オフにさせる電源ボタン4aを含む各種ボタンを有する入力部と、機器の状態を表示する表示部とを備えている。電源ボタン4aは、押下されると、その旨を示すボタン押下信号(電源オン/オフ信号)をOR回路6の一方の入力端子へ入力する。
【0015】
コントローラIC5は、電源Bによって駆動し、OR回路6の出力端子から入力される信号に応じて電源保持信号の出力を制御したり、後述するホストPC17(図2参照)からの印刷データに基づいて印刷(画像形成)用の画像データを生成して印刷部に印刷を行わせるなど、機器全体をソフトウェアによって制御するものである。画像データの生成を含む印刷制御については、図2によって後述する。
コネクタ9は、後述する電源制御装置20のコネクタ27(図3参照)と通信可能に接続するためのものであり、その電源制御装置20からの電源制御信号をピン9aによってOR回路6の他方の入力端子へ入力することができる。
【0016】
ここで、このプリンタ10におけるこの発明に関わる制御について説明する。
ACプラグ1が商用電源のコンセントに挿入されると、AC/DC電源回路2が電源Aを生成して電源起動/遮断回路3に供給する。
電源起動/遮断回路3は、この状態では機器内部へ供給する電源Bを生成せず、機器としては機器の電源オフの状態を保つが、操作部4の電源ボタン4aがユーザによって押下されると、OR回路6,7経由でボタン押下信号が通知されるため、電源Bを生成して、機器の電源をオンにする。
【0017】
これにより、コントローラIC5が動作を始め、OR回路7への電源保持信号をアサートにすることで、ユーザが電源ボタン4aの押下をやめても、機器内部への電源Bの供給を維持する。そのため、機器は電源オンを保持する。なお、この第1実施形態を含む各実施形態では、各信号の「アサート(有効)」をハイレベル“H”、「ネゲート(無効)」をローレベル“L”とするが、逆にしても構わない。
また、電源オフのために電源ボタン4aを再度押下すれば、コントローラIC5にボタン押下信号が通知される。
【0018】
すると、コントローラIC5は、電源保持信号をソフトウェアの制御でネゲートにすることにより、電源起動/遮断回路3によって機器の電源をオフにさせることができる。
また、ボタン押下信号に模した電源制御信号がコネクタ9のピン9aより入力され、コントローラIC5に通知された場合にも、コントローラIC5は同様に電源起動/遮断回路3に機器の電源のオン又はオフを行わせる。つまり、あたかもユーザが電源ボタン4aを押下したかのように機器の電源のオン/オフを制御することができる。
【0019】
よって、電源起動/遮断回路3およびコントローラIC5が、電源起動/遮断手段としての機能を果す。
なお、電源ボタン4aの押下によって発行されるボタン押下信号に加え、あるいはそのボタン押下信号に代えて、後述するホストPC17(図2参照)上での操作等によって発行される、機器の電源をオン/オフさせる電源オン/オフ信号を入力することもできる。
【0020】
図2は、図1のコントローラIC5の印刷制御に関わる部分の概略構成を説明するためのブロック図である。
このコントローラIC5は、プリンタコントローラであり、図1には図示を省略した印刷部であるプリンタエンジン16と共にプリンタ10を構成するものであり、パーソナルコンピュータ等のホストPC17から印刷データがプリンタに送られてくると、インタプリタ11がその印刷データを受け取って中間データメモリ12に保存する。
【0021】
そして、中間データメモリ12から印刷データが図形描画処理部13に渡され、その印刷データを構成する描画コマンドに従ってレンダリング処理が行われる。つまり、描画メモリであるページメモリ14がアクセスされることにより、そのページメモリ14上で描画が行われる。
なお、ページメモリ14の代わりにバンドメモリを用いてもよい。また、ページメモリ14又はバンドメモリとしてRAMを用いるとよい。
【0022】
図形描画処理部13は、レンダリング処理を行う際に、メモリワード幅を最小単位としてメモリアクセスを行うレンダリングエンジン(レンダラ)に相当する。
実際に印刷を行うプリンタエンジン16は、ページメモリ14における描画結果を参照して用紙等の印刷媒体上への印刷を行う。
このように、プリンタ10で描画を行う場合、印刷データは描画コマンドの集合としてホストPC17からコントローラIC5に渡される。この描画コマンドの中には、文字,グラフィック,イメージなどの種類があり、それぞれに特徴がある。
【0023】
なお、実際には、コントローラIC5全体を制御するCPU15が、図示しないROMおよびRAM内のソフトウェア(その一部がインタプリタ11および図形描画処理部13となる)を実行することにより、ホストPC17からの印刷データを受信して中間データメモリ12に保存する処理やレンダリング処理を行うことができる。
【0024】
図3は、この発明の第1実施形態である太陽電池を用いた電源制御装置の構成の第1例を示すブロック図である。
この電源制御装置20は、太陽電池21、整流平滑回路22、レギュレータ(REG)23、基準電圧生成回路24、ヒステリシスコンパレータ回路25、パルス生成回路26、およびコネクタ27を備えた電源制御信号生成回路によって構成されている。
【0025】
太陽電池21は、光エネルギーを電力に変換する光電変換手段である。なお、光エネルギーを電力に変換できるものであれば、太陽電池21以外の光電変換手段を用いることもできる。
整流平滑回路22は、整流ダイオード22aと平滑コンデンサ22bとを備えた回路であり、太陽電池21で発電された電力に対して電流の整流および電圧の平滑を行うものである。
【0026】
レギュレータ23は、出力する電圧・電流を常に一定に保つように制御する回路である。
基準電圧生成回路24は、ヒステリシスコンパレータ回路25のオペアンプ25aの一方の入力端子に順次入力される、予め決められた2つの異なる基準電圧REFを生成する回路である。
【0027】
ヒステリシスコンパレータ回路25は、太陽電池21によって発電された電力から整流平滑回路22およびレギュレータ23によって生成された電源Cで駆動し、太陽電池21の出力電圧を上記の2つの基準電圧REFと比較し、その比較結果を照度検出信号として出力する回路である。なお、ヒステリシスコンパレータ回路25の代わりに、1つの基準電圧と太陽電池21の出力電圧とを比較し、その結果を照度検出信号として出力する通常のコンパレータ回路を用いることもできる。その場合、基準電圧生成回路24は、予め決められた1つの基準電圧を生成する。
【0028】
パルス生成回路26は、ヒステリシスコンパレータ回路25から入力される照度検出信号に基づいて図1に示したプリンタ10の電源(機器の電源)をオンもしくはオフにさせる電源制御信号を生成する回路である。
コネクタ27は、プリンタ10のコネクタ9と通信可能に接続するためのものであり、パルス生成回路26からの電源制御信号をピン27aによってプリンタ10へ出力することができる。
【0029】
ここで、この電源制御装置20におけるこの発明に関わる制御について説明する。
この電源制御装置20は、電源制御信号を利用して、プリンタ10の電源の制御を行うことができる。
太陽電池21は、発電した電力を整流平滑回路22経由でレギュレータ23に供給することで、電源制御装置20内部で使用する電源Cを生成させ、装置の稼動電力を賄う。
【0030】
また、太陽電池21の出力電圧をヒステリシスコンパレータ回路25に入力して、2つの基準電圧REFと比較することで、当該電源制御装置20の設置環境(プリンタ10の設置環境と同じ)での照度が規定の照度を上回ったか下回ったか(照度の変化)を検出する。そして、その検出結果を照度検出信号としてパルス生成回路26へ出力する。
パルス生成回路26は、ヒステリシスコンパレータ回路25からの照度検出信号がトグルしたことをエッジ検出(以下単に「検出」ともいう)してパルス状の電源制御信号を生成し、接続先のプリンタ10に出力することにより、電源オン/オフの指示を出すことができる。
【0031】
図4は、図3に示した電源制御装置20の主要動作の一例を示すフローチャートである。なお、この図を含む各図において、ステップを「S」と略記する。
この電源制御装置20では、その設置環境での照度が屋内照明の点灯や消灯で変化すると、太陽電池21の出力電圧の変化(上昇又は下降)として、それをヒステリシスコンパレータ回路25が検出する(S1)。
【0032】
ヒステリシスコンパレータ回路25は、太陽電池21の出力電圧の上昇により、検出したその出力電圧が2つの基準電圧REFを跨いで上回った(照度が規定の照度を上回った)場合には、出力する照度検出信号をアサートにする(S2,S3)。また、太陽電池21の出力電圧の下降により、検出したその出力電圧が2つの基準電圧REFを跨いで下回った(照度が規定の照度を下回った)場合には、出力する照度検出信号をネゲートにする(S5,S6)。
【0033】
パルス生成回路26は、ヒステリシスコンパレータ回路25からの照度検出信号の変化(トグル)を検出し、その検出結果を示すパルス状の電源制御信号を生成する。そして、その電源制御信号をコネクタ27経由でプリンタ10に対して出力することにより、プリンタ10へ電源のオン/オフを指示する(S4)。
よって、ヒステリシスコンパレータ回路25およびパルス生成回路26が、電源制御信号出力手段としての機能を果す。
【0034】
このように、電源制御装置20では、ヒステリシスコンパレータ回路25およびパルス生成回路26が、太陽電池21によって光エネルギーから変換された電力で駆動する。そして、その太陽電池21の出力電圧に基づいて当該電源制御装置20の設置環境での照度の変化を検出し、その検出結果に応じてプリンタ10(制御対象の機器)の電源を起動もしくは遮断させる電源制御信号をそのプリンタ10へ出力する。
【0035】
この機能は、小規模かつ安価な太陽電池21や制御回路で達成できるため、ユーザの利便性を損なうことなく、且つプリンタ10から電力の供給を受けず、照度検出に専用のセンサを必要としない安価な電源制御装置でプリンタ10の待機時の消費電力を削減することができる。また、ユーザ操作を介さずに自動で夜間や休日にプリンタ10の電源をオフにしてプラグイン状態にすることができる。
さらに、上記照度の変化をヒステリシスコンパレータ回路25によって検出することにより、その検出結果が頻繁に変動することがないため、プリンタ10の電源を無駄に起動もしくは遮断させずに済む。
【0036】
〔第2実施形態〕
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
図5はこの発明の第2実施形態である太陽電池を用いた電源制御装置の構成の第2例を示すブロック図であり、図3と対応する部分には同一符号を付して、それらの説明のほとんどを省略する。
【0037】
この第2実施形態の電源制御装置30では、図1に示したプリンタ10から照度検出イネーブル信号を入力するためのピン27bをコネクタ27に追加している。
図3,図4によって説明した第1実施形態の電源制御装置20は、照度の変化で必ず電源制御信号を出力する構成であったが、第2実施形態の電源制御装置30では、次のようにする。つまり、プリンタ10から照度検出イネーブル信号(又は電源制御信号の出力イネーブル信号)をパルス生成回路26に入力可能にしたことで、電源制御信号の生成出力を制御対象のプリンタ10での設定により無効化することができる。
【0038】
図6は、図5に示した電源制御装置30の主要動作の一例を示すフローチャートである。
この電源制御装置30では、ヒステリシスコンパレータ回路25が、ステップS11〜S13,S16,S17で図4のステップS1〜S3,S5,S6と同様の動作を行う。
パルス生成回路26は、ステップS13でのヒステリシスコンパレータ回路25による照度検出信号のアサートへの変化により、その変化を検出した場合(照明点灯検出時)に、プリンタ10からの照度検出イネーブル信号を監視する(S14)。
【0039】
そして、プリンタ10からの照度検出イネーブル信号がアサート(“H”)状態の場合には、ヒステリシスコンパレータ回路25からの照度検出信号の変化を無効にする(つまり電源制御信号の出力を禁止する)ディセーブル状態と判定して、ステップS11へ戻る。
また、プリンタ10からの照度検出イネーブル信号がネゲート(“L”)状態の場合には、ヒステリシスコンパレータ回路25からの照度検出信号の変化を有効にする(つまり電源制御信号の出力を許可する)イネーブル状態と判定して、その照度検出信号の検出結果を示すパルス状の電源制御信号を生成する。そして、その電源制御信号をコネクタ27経由でプリンタ10に対して出力することにより、プリンタ10へ電源のオン/オフを指示する(S15)。
【0040】
一方、ステップS17でのヒステリシスコンパレータ回路25による照度検出信号のネゲートへの変化により、その変化を検出した場合(照明消灯検出時)にも、プリンタ10からの照度検出イネーブル信号を監視する(S18)。
そして、プリンタ10からの照度検出イネーブル信号がネゲート(“L”)状態の場合には、ヒステリシスコンパレータ回路25からの照度検出信号の変化を無効にするディセーブル状態と判定して、ステップS11へ戻る。
【0041】
また、プリンタ10からの照度検出イネーブル信号がアサート(“H”)状態の場合には、ヒステリシスコンパレータ回路25からの照度検出信号の変化を有効にするイネーブル状態と判定して、その照度検出信号の検出結果を示すパルス状の電源制御信号を生成する。そして、その電源制御信号をコネクタ27経由でプリンタ10に対して出力することにより、プリンタ10へ電源の起動/遮断を指示する(S15)。
【0042】
ここで、電源制御装置30が屋内照明の点灯/消灯を検出して電源制御信号を出力する場合のプリンタ10の電源状態について説明する。
図7は、電源制御装置30が屋内照明の点灯/消灯を検出して電源制御信号を出力する場合で照度検出イネーブル信号を使用せずに正常に動作している場合のプリンタ10の電源状態を示している。
電源制御装置30およびプリンタ10が設置されているオフィス等の屋内照明が図7の(a)に示すように点灯すると、同図の(b)に示すように、照度が上昇し、その照度に対応する電源制御装置30の太陽電池21の出力電圧(照度対応電圧)も上昇する。
【0043】
そして、照度対応電圧が2つの基準電圧REFa,REFbを上回ると、ヒステリシスコンパレータ回路25が照度検出信号をアサートにする。それによって、パルス生成回路26は、その照度検出信号の変化を検出し、同図の(c)に示すように、その検出結果を示すパルス状の電源制御信号を生成してプリンタ10へ出力する。
プリンタ10では、その電源制御信号の入力により、コントローラIC5が電源起動/遮断回路3によって、同図の(d)に示すように機器の電源をオンにさせる。
【0044】
一方、屋内照明が図7の(a)に示すように消灯すると、同図の(b)に示すように、照度が下降し、照度対応電圧も下降する。そして、その照度対応電圧が2つの基準電圧REFa,REFbを下回ると、ヒステリシスコンパレータ回路25が照度検出信号をネゲートにする。それによって、パルス生成回路26は、その照度検出信号の変化を検出し、同図の(c)に示すように、その検出結果を示すパルス状の電源制御信号を生成してプリンタ10へ出力する。
【0045】
プリンタ10では、その電源制御信号の入力により、コントローラIC5が電源起動/遮断回路3によって、同図の(d)に示すように機器の電源をオフにさせる。
プリンタ10がこのような電源状態であれば、オフィス等に設置されたプリンタ10の電源を夜間や休日の照明が消灯されている期間にオフに維持でき、消費電力を低減することができる。
【0046】
しかし、このような電源制御で、プリンタ10の電源状態の初期値が「電源オン」であったり、屋内照明が点灯中にユーザ操作などにより制御対象のプリンタ10の電源がオフにされた場合には、ヒステリシスコンパレータ回路25が照度の変化を検出してパルス生成回路26が電源制御信号を出力すると、プリンタ10の電源状態は狙いの状態とは逆になってしまう。
【0047】
図8は、電源制御装置30が屋内照明の点灯/消灯を検出して電源制御信号を出力する場合で照度検出イネーブル信号を使用しないために正常に動作していない場合のプリンタ10の電源状態を示している。
この例では、屋内照明が図8の(a)に示すように点灯中に、同図の(d)に示すように、ユーザ操作などによりプリンタ10の電源がオフにされた後、屋内照明が消灯すると、それをトリガーにしてプリンタ10の電源がオンになる。
【0048】
すなわち、屋内照明の消灯により、図8の(b)に示すように、照度が下降し、照度対応電圧も下降する。そして、その照度対応電圧が2つの基準電圧REFa,REFbを下回ると、ヒステリシスコンパレータ回路25が照度検出信号をネゲートにする。それによって、パルス生成回路26は、その照度検出信号の変化を検出し、同図の(c)に示すように、その検出結果を示すパルス状の電源制御信号を生成してプリンタ10へ出力する。
【0049】
プリンタ10では、その電源制御信号の入力により、コントローラIC5が電源起動/遮断回路3によって、同図の(d)に示すように機器の電源をオンにさせる。
このように、屋内照明が消灯されたことをトリガーにしてプリンタ10の電源がオンしてしまうので、屋内照明が消灯されているのに消費電力を低減することができない。
【0050】
図9は、電源制御装置30が屋内照明の点灯/消灯を検出して電源制御信号を出力する場合でプリンタ10からの電源状態通知信号を照度検出イネーブル信号として使用して正常に動作している場合のプリンタ10の電源状態を示している。
そこで、プリンタ10のコントローラIC5又は電源起動/遮断回路3が、機器の電源状態を通知する電源状態通知信号をコネクタ9の図示しないピン経由で電源制御装置30へ出力する。
【0051】
電源制御装置30のパルス生成回路26は、制御対象のプリンタ10からの電源状態通知信号(STATUS)を入力することにより、プリンタ10の電源状態を監視する。そして、その電源状態通知信号を照度検出イネーブル信号(又は電源制御信号の出力イネーブル信号)として利用する。
このときの照度検出イネーブル信号としての電源状態通知信号は、照度上昇により照度検出信号の変化を検出した場合(照明点灯検出時)と、照度下降により照度検出信号の変化を検出した場合(照明消灯検出時)とで逆の論理として利用することで、照明点灯時の電源オフ、照明消灯時の電源オンの双方を回避している。
【0052】
なお、プリンタ10が電源状態通知信号以外の信号(例えば図1の操作部4又は図2のホストPC17上での操作によって生成されたもの)を電源制御装置30へ出力し、その出力信号を電源制御装置30のパルス生成回路26が入力し、照度検出イネーブル信号(又は電源制御信号の出力イネーブル信号)として利用することもできる。
【0053】
このように、電源制御装置30では、パルス生成回路26が、制御対象の外部機器であるプリンタ10から入力される照度検出イネーブル信号(又は電源制御信号の出力イネーブル信号)の状態に基づいて、電源制御信号の出力の要否を判定する。つまり、電源制御装置30の設置環境での照度変化以外の要因も考慮し、その照度変化を検出しても電源制御信号を出力しないこともある。よって、不要なタイミングでのプリンタ10の電源起動を抑制できるため、消費電力の低減を確実に行え、最大限の消費電力削減を達成することができる。
【0054】
また、照度検出イネーブル信号(又は電源制御信号の出力イネーブル信号)を、プリンタ10の電源状態を通知する電源状態通知信号とすることにより、照度低下で機器の電源オン、照度増大で機器の電源オフにする動作を防ぎ、誤った使用による消費電力を削減することができる。
【0055】
〔第3実施形態〕
次に、この発明の第3実施形態について説明する。
図10はこの発明の第3実施形態である太陽電池を用いた電源制御装置の構成の第3例を示すブロック図であり、図5と対応する部分には同一符号を付して、それらの説明のほとんどを省略する。
【0056】
この第3実施形態の電源制御装置40では、図1に示したプリンタ10への所定の通知信号を出力するためのピン27cをコネクタ27に追加している。
第2実施形態の電源制御装置30では、図9によって説明したように、無用な電源制御信号の出力を停止させるようにした。しかし、例えばプリンタ10の設置場所が屋内であっても窓の近傍であるような場合には、太陽光の影響を受けて、休日であっても電源をオンにさせてしまう可能性がある。
【0057】
制御対象のプリンタ10の電源制御を行う場合には、図1の電源ボタン4aの押下によるボタン押下信号等と電源制御装置40からの電源制御信号とがORとして電源起動/遮断回路3およびコントローラIC5に伝達されて機器の電源がオン/オフにされる。そのため、ソフトウェアによって動作するコントローラIC5は、機器の電源のオン/オフが、電源制御装置40側の照度検出によるか、ユーザ操作によるかを区別することはできない。
【0058】
そこで、第3実施形態の電源制御装置40では、パルス生成回路26が、電源制御信号をプリンタ10へ出力する際に、所定の通知信号もプリンタ10へ出力する。所定の通知信号としては、電源制御信号の出力が照度変化の検出によってなされた旨を通知する照度検出通知信号や、電源制御信号の出力元が電源制御装置40である旨を示す出力元通知信号(電源制御装置40の識別信号等)がある。
【0059】
プリンタ10のコントローラIC5は、電源制御信号と共に入力された所定の通知信号から電源制御信号の出力要因を判別し、電源制御信号のトリガー要因別に制御を分けることができる。但し、所定の通知信号はコネクタ9の図示しないピン経由でコントローラIC5に直接入力されるものとする。
【0060】
図11は、図10に示した電源制御装置40の主要動作の一例を示すフローチャートである。
この電源制御装置40では、ヒステリシスコンパレータ回路25が、ステップS21〜S24,S27〜S29で図6のステップS11〜S14,S16〜S18と同様の動作を行う。
【0061】
パルス生成回路26は、ステップS25で図6のステップS15と同様に電源制御信号を生成した後、その電源制御信号を上述した所定の通知信号と共にコネクタ27経由でプリンタ10に対して出力することにより、プリンタ10へ電源のオン/オフを指示する(S26)。
プリンタ10の電源起動/遮断回路3は、ユーザによる電源ボタン4aの押下に対しては、前述したように必ず機器の電源のオン/オフを行う。
【0062】
コントローラIC5は、電源制御信号が所定の通知信号と共に入力された場合に、OR回路6への電源保持信号がアサート状態であった場合には、機器の電源がオン状態であり、ソフトウェアが起動しているため、次の制御を行う。つまり、電源保持信号をネゲートにすることにより、電源起動/遮断回路3に機器の電源をオフにさせる。
それに対し、電源制御信号が所定の通知信号と共に入力された場合に、OR回路7への電源保持信号がネゲート状態であった場合には、電源起動/遮断回路3より機器の電源がオンにされるため、ソフトウェアを起動した後、次の制御を行う。
【0063】
すなわち、OR回路7への電源保持信号をアサートにし、入力された所定の通知信号から電源制御信号の出力が電源制御装置側の照度変化の検出によってなされたことを認識すると、内部のカレンダーを参照して本日が平日(稼働日)か休日かを判定する。
そして、その判定の結果、本日が休日であれば、機器の電源の遮断を判断して、OR回路7への電源保持信号をネゲートにし、電源起動/遮断回路3によって機器の電源をオフにさせる。また、本日が平日であれば、機器の電源の保持を判断し、OR回路7への電源保持信号のアサートを保持し、電源起動/遮断回路3による機器の電源のオン状態を保持させる。
【0064】
このように、電源制御装置40では、プリンタ10へ電源制御信号を出力する際に、所定の通知信号も出力することにより、制御対象機器であるプリンタ10のソフトウェアにて電源制御信号が照度変化による起動/遮断指示であることを判断でき、ソフトウェアを介したユーザビリティの高い電源制御を実行できる。
【0065】
なお、この発明をプリンタと通信可能な電源制御装置に適用した実施形態について説明したが、この発明はこれに限らない。つまり、デジタル複写機,デジタル複合機,ファクシミリ装置等の他の画像形成装置を含む各種電機機器とそれぞれ通信可能な電源制御装置に、この発明を適用可能である。また、このような電源制御装置を画像形成装置を含む各種電機機器にそれぞれ搭載することもできる。
【0066】
例えば、電源制御装置を搭載した画像形成装置によれば、電源制御装置から入力される上記電源制御信号に基づいて当該画像形成装置の電源を起動もしくは遮断するが、その電源が起動した場合に、画像形成を可能にする。それによって、ユーザの利便性を損なうことなく、照度検出に専用のセンサを必要としない安価な部品構成(電源制御装置)で待機時の消費電力を削減することができる。
また、この発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
1:ACプラグ 2:AC/DC電源回路 3:電源起動/遮断回路 4:操作部
4a:電源ボタン 5:コントローラIC 6,7:OR回路
8:プルアップ抵抗 9,27:コネクタ 10:プリンタ
12:中間データメモリ 13:図形描画処理部 14:ページメモリ
15:CPU 16:プリンタエンジン 17:ホストPC
20,30,40:電源制御装置 21:太陽電池 22:整流平滑回路
23:レギュレータ(REG) 24:基準電圧生成回路
25:ヒステリシスコンパレータ回路 26:パルス生成回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2002−063011号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器の電源を制御する電源制御装置であって、
光エネルギーを電力に変換する光電変換手段と、
該光電変換手段によって変換された電力で駆動する手段であり、該光電変換手段の出力電圧に基づいて当該電源制御装置の設置環境での照度の変化を検出し、その検出結果に応じて前記外部機器の電源を起動もしくは遮断させる電源制御信号を該外部機器へ出力する電源制御信号出力手段とを設けたことを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記電源制御信号出力手段は、前記外部機器から入力される信号の状態に基づいて、前記電源制御信号の出力の可否を判定する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記外部機器から入力される信号は、該外部機器の電源の状態を通知する信号であることを特徴とする請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記電源制御信号出力手段は、前記電源制御信号を出力する際に、所定の通知信号も出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記光電変換手段は、太陽電池であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記電源制御信号出力手段は、前記照度の変化を検出するヒステリシスコンパレータ回路を有し、該ヒステリシスコンパレータ回路の出力に応じて前記電源制御信号を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電源制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電源制御装置を備えた画像形成装置であって、
前記電源制御装置から入力される前記電源制御信号に基づいて当該画像形成装置の電源を起動もしくは遮断する電源起動/遮断手段を設け、
前記電源起動/遮断手段によって当該画像形成装置の電源が起動した後、画像形成を可能にすることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−31961(P2013−31961A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169334(P2011−169334)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】