説明

電源装置、画像形成装置

【課題】コスト及び装置全体の消費電力の抑制を好適に図ることが可能な電源装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】制御部10は、通常モードでは、ノイズフィルタ17内の線間コンデンサC9と放電抵抗R2との並列回路と電源ラインLとの間に配置されたスイッチング部SW1をオンさせるとともに、電源電圧生成部16により装置Aの動作用電源電圧を生成させ、スリープモードでは、スイッチング部SW1をオフさせるとともに、電源電圧生成部16による動作用電源電圧の生成を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
装置の消費電力の抑制を図るスリープモードと、装置の消費電力の抑制を図らない通常モードとを有する、画像形成装置などの各種の装置が存在する。
【0003】
この種の装置としては、例えば、特許文献1〜3における装置が存在する。
【0004】
特許文献1における装置は、本体の消費電力の抑制を図る省エネモードでは、本体の消費電力の抑制を図らない動作モードで使用される主電源と、主電源に商用交流電力を入力させるための商用交流電源との間に配置されたリレー回路をオフすることにより、主電源への商用交流電力の入力を遮断している。
【0005】
また、特許文献2における装置は、本体の消費電力の抑制を図る待機モードでは、スイッチング電源のスイッチング周波数を、本体の消費電力の抑制を図らない通常動作時よりも低くしている。
【0006】
そしてまた、特許文献3における装置は、画像形成装置の消費電力の低減を図るスリープモードでは、省エネパルスのオンデューティでスイッチング電源を間欠動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−10492号公報
【特許文献2】特開2000−116027号公報
【特許文献3】特開2006−287429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1における装置では、スリープモードで、主電源への商用交流電力の入力が遮断されたとき、主電源における損失が無くなるため、装置全体の消費電力を好適に抑制できる。
【0009】
ところが、主電源への商用交流電力の入力を遮断するためには、主電源への商用交流電力の入力を遮断するリレー回路やトライアックを、商用交流電源と主電源との間に配置することが必要となる。
【0010】
この場合、リレー回路やトライアックには、大電力の商用交流電力が入力されるため、耐圧が大きなリレー回路やトライアックを用いる必要があり、コストがかさむ。
【0011】
また、スリープモードで、主電源による動作用電源電圧の供給を遮断するため、主電源に配置されたスイッチング電源の動作を停止することが行われる場合がある。
【0012】
この場合、主電源では、スイッチング電源の前段に設けられたノイズフィルタには電流が流れ続けて損失が生じるため、主電源への商用交流電力の入力を遮断する場合と比べて、装置全体の消費電力が大きくなる。
【0013】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、コスト及び装置全体の消費電力の抑制を好適に図ることが可能な電源装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一局面に係る電源装置は、消費電力を抑制するスリープモードと、消費電力を抑制しない通常モードとを有する装置に動作用電源電圧を供給する電源装置であって、前記スリープモードにおいて前記動作用電源電圧を前記装置に供給するスリープ電源部と、
前記通常モードにおいて前記動作用電源電圧を前記装置に供給する通常電源部と、制御部と、を備え、前記通常電源部は、商用交流電力のノイズを除去するためのノイズフィルタであって、前記商用交流電力が入力される電源ラインに接続された線間コンデンサと、前記線間コンデンサに並列接続された放電抵抗と、前記放電抵抗と前記電源ラインとの間に接続されたスイッチング部とを備えたノイズフィルタと、前記ノイズフィルタにより前記ノイズが除去された前記商用交流電力に基づき前記動作用電源電圧を生成する電源電圧生成部と、を備え、前記制御部は、前記通常モードでは、前記スイッチング部をオンさせるとともに、前記電源電圧生成部によって前記動作用電源電圧の生成を実行させ、前記スリープモードでは、前記スイッチング部をオフさせるとともに、前記電源電圧生成部による前記動作用電源電圧の生成を停止させることを特徴とする。
【0015】
ノイズフィルタ内の線間コンデンサに並列接続された放電抵抗は、線間コンデンサに蓄積された電荷を放電させる。そして、放電抵抗は入力電圧に対して実負荷となるため、放電抵抗の消費電力は、ノイズフィルタ内のその他の要素に比べて大きい。
【0016】
この構成によれば、制御部は、装置の消費電力を抑制するスリープモードでは、通常電源部において、スイッチング部をオフにしてノイズフィルタ内の放電抵抗と電源ラインとの間の接続を遮断するとともに、電源電圧生成部による動作用電源電圧の生成を停止させる。
【0017】
これにより、通常電源部では、放電抵抗には商用交流電力が入力されなくなるから、ノイズフィルタ内で最も消費電力の大きな放電抵抗における損失がなくなり、また、電源電圧生成部による動作用電源電圧の生成が停止するから、電源電圧生成部における損失がなくなる。
【0018】
そのため、耐圧の大きなリレー回路やトライアックを用いることなく、消費電力の抑制を好適に図ることができる。その結果、コスト及び消費電力の抑制を好適に図ることが可能となる。
【0019】
上記構成において、前記スイッチング部は、前記線間コンデンサと前記放電抵抗との並列回路と、前記電源ラインとの間に接続されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、スイッチング部は、線間コンデンサと放電抵抗との並列回路と、電源ラインとの間に接続されているから、スリープモードでスイッチング部がオフされたとき、線間コンデンサと放電抵抗との並列回路と、電源ラインとの間の接続が遮断される。
【0021】
これにより、スリープモードでは、放電抵抗だけではなく線間コンデンサについても、電源ラインとの間の接続が遮断されるから、放電抵抗及び線間コンデンサにおける損失がなくなる。その結果、消費電力の抑制をより好適に図ることが可能となる。
【0022】
また、スリープモードで、線間コンデンサと電源ラインとが接続されたまま放電抵抗が線間コンデンサから切り離されると、線間コンデンサの充電電圧が電源装置の外部入力端子に現れるため、安全上好ましくはない。
【0023】
しかしながら、この構成によれば、線間コンデンサと放電抵抗との並列回路を電源ラインから切り離すから、並列回路では、線間コンデンサに蓄積された電荷が放電抵抗により放電される。これにより、線間コンデンサの充電電圧が電源装置の外部入力端子に現れないから、安全上好ましい。
【0024】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、先述の電源装置と、原稿の画像データを読み取る画像読取部と、前記画像読取部により読み取られた画像データを記録紙に形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、先述の電源装置を備えるから、コスト及び装置全体の消費電力の抑制を好適に図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、コスト及び装置全体の消費電力の抑制を好適に図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を模式的に示した縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電源装置の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
【図3】電源装置の基本動作の概要の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を模式的に示した縦断面図である。
【0029】
尚、図1における画像形成装置Aは、本発明の一実施形態に係る電源装置1(図2参照)を備えて構成されている。
【0030】
画像形成装置Aは、画像読取部200と画像形成本体部3とを備える。画像読取部200は、原稿給紙部210と、スキャナ本体220と、CIS231と、スキャナ本体220の前面に露出するように配置されたユーザインタフェース部Iと、後述する反転機構を備えてなる。
【0031】
原稿給紙部210は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、プラテン213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。
【0032】
原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は、1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれ、間隙を介して順次プラテン213へ搬送される。プラテン213を経由した原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ順次排出される。
【0033】
前記プラテン213の周面に対向する位置のうち、原稿の搬送方向において読取位置Pより手前の予め定められた位置には、用紙を検出する図略のタイミングセンサが設置されており、該タイミングセンサの出力要求に基づき、前記読取位置Pへの原稿の搬送タイミングが図られる。前記タイミングセンサは、例えばフォトインタラプタにより構成される。
【0034】
スキャナ本体220は、原稿の画像データを光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ本体220は、ガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、ラインセンサ229を備える。
【0035】
スキャナ本体220では、光源222から照射された光が、ガラス221上の原稿に反射して反射光となり、この反射光が、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、ラインセンサ229に導かれる。
【0036】
そして、ラインセンサ229に導かれた光は、ラインセンサ229により、画像データを表す電荷に変換される。
【0037】
ガラス221には、前記原稿給紙部210によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
【0038】
画像読取部200の原稿読取方式として、ガラス221上に載置された原稿をスキャナ本体220が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部210(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
【0039】
フラットベッド読取モードでは、光源222がガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はラインセンサ229の受光面で結像される。
【0040】
ラインセンサ229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像データを重複して処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向Y)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、副走査方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
【0041】
ADF読取モードでは、原稿給紙部210が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方に位置する予め定められた読取位置P下方に配置される。
【0042】
原稿給紙部210による原稿搬送で、原稿がプラテン213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はラインセンサ229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部210によって搬送され、次のラインが読み取られる。
【0043】
更に、原稿給紙部210は、切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218を備えた反転機構を有する。この反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に再搬送することで、再度ラインセンサ229によって裏面の読み取りが行われる。
【0044】
この反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。
【0045】
両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿をプラテン213へ再給紙する。以下、反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
【0046】
更に、本実施形態の画像読取部200は、ADF読取モード時において、前述したように原稿の搬送途中でラインセンサ229(スキャナ本体220)によって原稿の表面の読み取りを行わせると略重複して(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部210により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにラインセンサ229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。
【0047】
このようにラインセンサ229とCIS231を用いることで、原稿給紙部210による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。
【0048】
画像形成装置Aは、画像形成本体部3と、画像形成本体部3の左方に配設されたスタックトレイ6とを有している。画像形成本体部3は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像データを形成する画像形成部40とを備える。また、画像形成本体部3は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された原稿を1枚ずつ画像形成部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
【0049】
画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ本体220で取得された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、前記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像データが転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
【0050】
なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色の供給は、図略のトナーカートリッジから行われる。また、画像形成部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等が設けられている。
【0051】
記録紙の両面に画像データを形成する場合は、画像形成部40で記録紙の一方の面に画像データを形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像データを形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
【0052】
ユーザインタフェース部Iは、表示部5と操作部18とを備えている。操作部18には、不図示の電源ボタンが含まれており、電源ボタンのオンオフ操作に応じて、例えば、図2に示す両切りの電源スイッチ19がオンオフする。そして、電源スイッチ19がオンのときには、電源装置1により画像形成装置Aの動作用電源電圧が供給され、電源スイッチがオフのときには、電源装置1による動作用電源電圧の供給が停止する。
【0053】
図2は、本発明の一実施形態に係る電源装置の機能モジュールの一例を示したブロック図である。
【0054】
電源装置1は、制御部10と、スリープ電源部11と、通常電源部12と、電源スイッチ19と、を備える。
【0055】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備えて構成されている。制御部10は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
【0056】
制御部10は、スリープ電源部11から電圧値V3の動作用電源電圧を受けて動作する。制御部10は、画像形成装置Aの消費電力を抑制させるスリープモードと、画像形成装置Aの消費電力を抑制させない通常モードとを有する。
【0057】
ここで、スリープ電源部11は、具体的には、ノイズフィルタ14、ダイオードブリッジDB1、平滑コンデンサC6、トランスTR1、スイッチング素子Q1、ダイオードD2、平滑コンデンサC8、スリープ制御部13、検出回路15、ダイオードD1、平滑コンデンサC7、及び、平滑コンデンサC8とダイオードD2との接続点に接続された外部出力端子T3を備える。
【0058】
また、通常電源部12は、スイッチSW1を有するノイズフィルタ17、ダイオードブリッジDB2、平滑コンデンサC14、トランスTR2、スイッチング素子Q2、ダイオードD4、平滑コンデンサC16、通常制御部(電源電圧生成部)16、検出回路18、及び、スイッチSW2を有し、通常制御部16の動作用電源電圧を生成する電源回路B、DC−DCコンバータ20、平滑コンデンサC16とダイオードD4との接続点に接続された外部出力端子T1、及びDC−DCコンバータ20の電圧出力端子に接続された外部出力端子T2を備える。
【0059】
制御部10は、スイッチSW1及びSW2をオンオフ制御する。制御部10は、スリープモードのときには、スイッチSW1及びSW2をオフし、通常モードのときには、スイッチSW1及びSW2をオンする。
【0060】
スリープ電源部11は、通常モード、スリープモードのいずれにおいても、電圧値V3(例えば5V)の動作用電源電圧を、画像形成装置Aにおける、電圧値V3を電源電圧として動作する部分へ供給する。
【0061】
ここにおいて、スリープ電源部11により電圧値V3の動作用電源電圧が供給されるべき部分は、通常モード及びスリープモードのいずれにおいても動作する必要があり、且つ動作するのにさほど大きな動作用電源電圧を必要としない部分であり、例えば、制御部10やネットワークインタフェースが挙げられる。
【0062】
通常電源部12は、通常モードにおいて、電圧値V1(例えば24V)の動作用電源電圧を、画像形成装置Aにおける、電圧値V1を電源電圧として動作する部分へ供給する。また、通常電源部12は、通常モードにおいて、電圧値V1よりも小さな電圧値V2(例えば5V)の動作用電源電圧を、電圧値V2を電源電圧として動作する部分へ供給する。
【0063】
ここにおいて、通常電源部12により電圧値V1の動作用電源電圧が供給されるべき部分は、スリープモードでは動作する必要がないが、動作するのに電圧値V2よりも大きな動作用電源電圧を必要とする部分であり、例えば、モータが挙げられる。
【0064】
また、通常電源部12により電圧値V2の動作用電源電圧が供給されるべき部分は、スリープモードでは動作する必要がないが、動作するのに電圧値V1ほど大きな動作用電源電圧を必要としない部分であり、例えば、画像形成装置Aにおける画像形成処理を制御するプリント制御部が挙げられる。
【0065】
電源スイッチ19は、商用交流電源による商用交流電力の、通常電源部11及びスリープ電源部12への入力をオンオフするスイッチである。電源スイッチ19は、具体的には、商用交流電力が入力される電源ラインL上であって、商用交流電源ACと、通常電源部11及びスリープ電源部12との間に配置された両切りのスイッチで構成されている。
【0066】
スリープ電源部11において、ノイズフィルタ14は、商用交流電源ACから電源ラインLを通じて入力された商用交流電力のノイズを除去する。ダイオードブリッジDB1は、ノイズフィルタ14によってノイズが除去された商用交流電力を整流する。
【0067】
平滑コンデンサC6は、電解コンデンサからなり、ダイオードブリッジDB1によって整流された商用交流電力を平滑する。トランスTR1は、平滑コンデンサC6によって平滑された商用交流電力の電圧を所定の電圧値にまで変圧させる。スイッチング素子Q1は、平滑コンデンサC6によって平滑された商用交流電力を所定周期でトランスTR1の一次側巻線W1に入力させる。
【0068】
ダイオードD2は、トランスTR1によって電圧値が変圧され二次側巻線W3を通じて出力された商用交流電力を整流する。平滑コンデンサC8は、電解コンデンサからなり、ダイオードD2によって整流された商用交流電力を平滑する。
【0069】
スリープ制御部13は、スリープ電源部11を制御する。検出回路15は、平滑コンデンサC8の両端電圧を検出する。ダイオードD1及び平滑コンデンサC7は、スリープ制御部13の動作用電源電圧を生成するために配置されている。
【0070】
スリープ電源部11において、トランスTR1の一次側では、2本の一次側巻線W1及びW2が巻き回されており、二次側では、1本の二次側巻線W3が巻き回されている。
【0071】
一次側巻線W1には、平滑コンデンサC6により平滑された商用交流電力が、スイッチング素子Q1のPWM制御により間欠的に入力され、一次側巻線W1に間欠的に入力された商用交流電力の電圧がトランスTR1により変圧され、変圧された電圧が二次側巻線W3に現れる。
【0072】
これにより、二次側巻線W3には、トランスTR1により変圧された電圧が間欠的に現れ、二次側巻線W3に間欠的に現れた電圧は、トランスTR1によって、一次側巻線W2と二次側巻線W3との巻数比に応じて変圧され、変圧された電圧が一次側巻線W2に現れる。
【0073】
これにより、一次側巻線W2には、変圧された電圧が間欠的に現れるので、一次側巻線W2に間欠的に現れた電圧は、ダイオードD1により整流された後、平滑コンデンサC7により平滑される。その結果、スリープ制御部13の動作用電源電圧Vccが生成され、スリープ制御部13に入力される。これにより、スリープ制御部13が動作する。
【0074】
スリープ制御部13は、CPU、RAM、ROMなどを備えて構成されている。スリープ制御部13は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより実現されている。
【0075】
スリープ制御部13は、スイッチング素子Q1を、PWM(Pulse Width Modulation)制御する。スリープ制御部13は、検出回路15により検出された、平滑コンデンサC8の両端電圧を参照電圧Vrefとして参照し、参照電圧Vrefの電圧値が電圧値V3となるように、スイッチング素子Q1に出力されるパルス信号のデューティ比を制御する。
【0076】
これにより、スリープ電源部11の外部出力端子T3には、電圧値V3の動作用電源電圧が出力されるので、スリープ電源部11は、外部出力端子T3を通じて、電圧値V3の動作用電源電圧を供給する。
【0077】
また、スリープ電源部11において、ノイズフィルタ14は、公知のノイズフィルタを用いることにより構成することができる。
【0078】
ノイズフィルタ14は、具体的には、2本の電源ラインLの間に接続された線間コンデンサC1と、線間コンデンサC1に並列接続され、線間コンデンサC1に蓄積された電荷を放電させる放電抵抗R1と、2本の電源ラインLの間に接続され、線間コンデンサC1及び放電抵抗R1の後段に配置されたラインバイパスコンデンサC2及びC3の直列回路と、電源ラインLに接続され、ラインバイパスコンデンサC2及びC3の後段に配置されたコモンモードチョークコイルCC1と、2本の電源ラインLの間に接続され、コモンモードチョークコイルCC1の後段に配置されたラインバイパスコンデンサC4及びC5の直列回路と、を備える。
【0079】
尚、ラインバイパスコンデンサC2とC3との接続点、及び、ラインバイパスコンデンサC4とC5との接続点は接地されている。
【0080】
ノイズフィルタ14において、線間コンデンサC1は、いわゆるXコンデンサであり、電源ラインLに入力された商用交流電力のノーマルモードノイズを抑制する。また、放電抵抗R1は、線間コンデンサC1の電荷を放電させることにより、例えば、電源スイッチ19がオフされたときに線間コンデンサC1の充電電圧が電源装置1の外部入力端子に現れることを防ぐブリーダ抵抗として機能する。
【0081】
さらにまた、ラインバイパスコンデンサC2〜C5は、いわゆるYコンデンサであり、電源ラインLに入力された商用交流電力のコモンモードノイズを抑制する。さらにまた、コモンモードチョークコイルCC1は、電源ラインLに入力された商用交流電力のコモンモードノイズを抑制する。
【0082】
この構成のスリープ電源部11では、ノイズフィルタ14によって、電源ラインLを通じて供給された商用交流電力からノイズが除去され、ノイズ除去後の商用交流電力がダイオードブリッジDB1によって整流され、整流後の商用交流電力が平滑コンデンサC6により平滑される。これにより、商用交流電力が直流電力に変換される。
【0083】
そして、ダイオードブリッジDB1と平滑コンデンサC6とにより得られた直流電力は、スイッチング素子Q1がオンするタイミングで、間欠的に、トランスTR1の一次側巻線W1に出力される。
【0084】
ここに、スイッチング素子Q1に出力されるパルス信号のオンデューティは、スリープ電源部11から供給される動作用電源電圧の電圧値が、電圧値V3となるように、スリープ制御部13によって制御されている。
【0085】
トランスTR1の一次側巻線W1に間欠的に出力された直流電力は、トランスTR1の一次側巻線W1の巻数と二次側巻線W3との巻数比や、スイッチング素子Q1のオンデューティ等に応じて変圧され、変圧された直流電力が、トランスTR1の二次側巻線W3から出力される。これにより、変圧された直流電力は、トランスTR1の二次側から間欠的に出力される。
【0086】
そして、トランスTR1の二次側から間欠的に出力された直流電力が、ダイオードD2により整流され、整流後の電力が平滑コンデンサC8により平滑され、平滑後の電力により、電圧値V3の動作用電源電圧が、スリープ電源部11の外部出力端子T3に現れる。これにより、電圧値V3の動作用電源電圧が供給される。
【0087】
一方、通常電源部12において、スイッチSW1、電源回路B、通常制御部16、及びDC−DCコンバータ20のそれぞれの機能は、以下の通りである。
【0088】
尚、通常制御部12において、スイッチSW1、電源回路B、通常制御部16、及びDC−DCコンバータ20以外については、スリープ電源部11と同様であるので、説明を省略する。
【0089】
スイッチSW1は、線間コンデンサC9と放電抵抗R2との並列回路と電源ラインLとの間に配置され、前記並列回路への商用交流電力の入力をオンオフさせる。スイッチSW1は、制御部10によりオンオフ制御される。制御部10は、スリープモードのときにはスイッチSW1をオフし、通常モードのときには、スイッチSW1をオンする。
【0090】
電源回路Bは、通常制御部16の動作用電源電圧を生成する電源回路である。電源回路Bでは、トランスTR2の一次側巻線W2と、ダイオードD3と、スイッチSW2とが直列に接続されている。そして、トランスTR2の一次側巻線W2とダイオードD3との直列回路と並列に平滑コンデンサC15が接続されて、電源回路Bが構成されている。
【0091】
そして、平滑コンデンサC15の両端電圧がスイッチSW2を介して通常制御部16へ電源電圧Vccとして供給されるようになっている。
【0092】
スイッチSW2は、制御部10によりオンオフ制御され、制御部10は、スリープモードのときにはスイッチSW2をオフし、通常モードのときにはスイッチSW2をオンする。
【0093】
通常制御部16は、CPU、RAM、ROMなどを備えて構成されている。通常制御部16は、CPUが所定の制御プログラムを実行することにより実現される。
【0094】
通常制御部16は、検出回路18により検出される電圧値、すなわち、外部出力端子T1から出力される電圧の電圧値が、電圧値V1となるように、スイッチング素子Q2へ出力されるパルス信号のデューティ比を制御する。これにより、通常電源部12の外部出力端子T1から、電圧値V1の動作用電源電圧が、通常モードで動作すべき画像形成装置Aの各部へ供給される。
【0095】
DC−DCコンバータ20は、平滑コンデンサC16の両端電圧を、電圧値V2に降圧させ、電圧値V2を、外部出力端子T2へ出力する。これにより、通常電源部12の外部出力端子T2から、電圧値V1とは異なる電圧値V2の動作用電源電圧が、通常モードで動作すべき画像形成装置Aの各部へ供給される。
【0096】
このような構成の通常電源部12では、制御部10が通常モードのときには、スイッチSW1がオンなので、線間コンデンサC9に商用交流電力が入力され、線間コンデンサC9により商用交流電力のノーマルモードノイズが抑制される。
【0097】
また、スイッチSW2がオンなので、通常制御部16が作動し、通常制御部16が、外部出力端子T1からの出力電圧が電圧値V1となるように、スイッチング素子Q1のオンオフを制御する。
【0098】
これにより、外部出力端子T1から、電圧値V1の動作用電源電圧が出力され、外部出力端子T2から、電圧値V2の動作用電源電圧が出力される。
【0099】
これにより、電圧値V1の動作用電源電圧、及び、電圧値V2の動作用電源電圧のそれぞれが、画像形成装置Aの各部へ供給される。
【0100】
一方で、制御部10がスリープモードのときには、スイッチSW1がオフなので、ノイズフィルタ17内の線間コンデンサC9と放電抵抗R2との並列回路には、商用交流電力が入力されない。
【0101】
ここにおいて、放電抵抗R2は入力電圧に対して実負荷となるため、放電抵抗R2の消費電力は、ノイズフィルタ17内のその他の要素に比べて大きい。そして、スリープモードでは、線間コンデンサC9と放電抵抗R2との並列回路には商用交流電力が入力されないため、ノイズフィルタ17内で最も消費電力の大きな放電抵抗における損失がなくなる。
【0102】
また、制御部10がスリープモードのときには、スイッチSW2がオフなので、通常制御部16への動作用電源電圧の供給が遮断される。これにより、通常制御部16の動作が停止するから、通常電源部12による動作用電源電圧の画像形成装置Aへの供給が遮断される。これにより、通常モードで動作していた画像形成装置Aの各部の動作が停止するから、画像形成装置Aの消費電力が通常モードにおける消費電力よりも小さくなる。
【0103】
さらにまた、制御部10がスリープモードのときには通常制御部16の動作が停止するから、通常制御部16における損失がなくなる。
【0104】
そのため、通常電源部12への一次側入力電圧を遮断するための耐圧の大きなリレー回路やトライアックを用いることなく、スリープモードにおける消費電力の抑制を好適に図ることができる。その結果、コスト及び消費電力の抑制を好適に図ることが可能となる。
【0105】
さらにまた、スリープモードでは、放電抵抗R2だけでなく線間コンデンサC9にも商用交流電力が入力されないため、放電抵抗R2及び線間コンデンサC9における損失がなくなる。その結果、消費電力の抑制をより好適に図ることが可能となる。
【0106】
さらにまた、スリープモードでは、線間コンデンサC9と放電抵抗R2との並列回路を電源ラインLから切り離すから、並列回路では、線間コンデンサC9に蓄積された電荷が放電抵抗R2により放電される。これにより、線間コンデンサC9の充電電圧が電源装置1の外部入力端子に現れないから、安全上好ましい。
【0107】
尚、本実施形態では、2本の電源ラインLの間に、スイッチSW1と、線間コンデンサC9と放電抵抗R2との並列回路とを直列に接続しているが、この例には限られず、2本の電源ラインLの間に線間コンデンサC9を接続するとともに、線間コンデンサC9の隣に当該線間コンデンサC9と並列に、スイッチSW1と放電抵抗R2との直列回路を接続してもよい。
【0108】
図3は、電源装置の基本動作の概要の一例を示したフローチャートである。尚、以下の処理の前提として、制御部10のモードが通常モードであるものとする。
【0109】
制御部10は、スリープモードに移行すべきタイミングが到来したときには(ステップS1のYES)、スリープモードに移行する(ステップS2)。尚、スリープモードに移行すべきタイミングとしては、例えば、所定時間の間、ユーザインタフェース部Iの操作部18が操作されなかったときが挙げられる。
【0110】
制御部10は、スリープモードに移行すると、スイッチSW1及びSW2をオフする(ステップS3)。これにより、通常電源部12による、電圧値V1の動作用電源電圧及び電圧値V2の動作用電源電圧の供給が停止する。
【0111】
そして、通常モードに移行すべきタイミングが到来したときには(ステップS4のYES)、制御部10は、通常モードに移行する(ステップS5)。尚、通常モードに移行すべきタイミングとしては、例えば、ユーザインタフェース部Iの操作部18が操作されたときが挙げられる。
【0112】
制御部10は、通常モードに移行したときには、スイッチSW1及びSW2をオンする(ステップS6)。これにより、通常電源部12による、電圧値V1の動作用電源電圧及び電圧値V2の動作用電源電圧の供給が開始される。その後、制御部10は、ステップS1に戻る。
【符号の説明】
【0113】
A 画像形成装置
1 電源装置
10 制御部
11 スリープ電源部
12 通常電源部
16 通常制御部
17 ノイズフィルタ
C9 線間コンデンサ
R2 放電抵抗
SW1,SW2 スイッチ
L 電源ライン
40 画像形成部
200 画像読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力を抑制するスリープモードと、消費電力を抑制しない通常モードとを有する装置に動作用電源電圧を供給する電源装置であって、
前記スリープモードにおいて前記動作用電源電圧を前記装置に供給するスリープ電源部と、
前記通常モードにおいて前記動作用電源電圧を前記装置に供給する通常電源部と、
制御部と、を備え、
前記通常電源部は、
商用交流電力のノイズを除去するためのノイズフィルタであって、前記商用交流電力が入力される電源ラインに接続された線間コンデンサと、前記線間コンデンサに並列接続された放電抵抗と、前記放電抵抗と前記電源ラインとの間に接続されたスイッチング部とを備えたノイズフィルタと、
前記ノイズフィルタにより前記ノイズが除去された前記商用交流電力に基づき前記動作用電源電圧を生成する電源電圧生成部と、を備え、
前記制御部は、
前記通常モードでは、前記スイッチング部をオンさせるとともに、前記電源電圧生成部によって前記動作用電源電圧の生成を実行させ、前記スリープモードでは、前記スイッチング部をオフさせるとともに、前記電源電圧生成部による前記動作用電源電圧の生成を停止させる
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記スイッチング部は、前記線間コンデンサと前記放電抵抗との並列回路と、前記電源ラインとの間に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電源装置と、
原稿の画像データを読み取る画像読取部と、
前記画像読取部により読み取られた画像データを記録紙に形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−137910(P2012−137910A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289316(P2010−289316)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】