説明

電源装置および測定用デバイス

【課題】プラズマ発生器内のセンサの電源の具体的な構成を提供する。
【解決手段】プラズマ発生器は、容器10と、容器10に取り付けられ互いに対向するアンテナ(第一電極)22および下部ステージ(第二電極)32とを有し、アンテナ22に所定の周波数の電圧が印加されて下部ステージ32に交流バイアス電圧が印加されることにより、容器10内にプラズマ1が発生する。プラズマ発生器内の下部ステージ(第二電極)32にウェハ2が載せられており、測定装置4がウェハ2に載せられている。測定装置4は、電源装置41、センサ42、マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44を有する。センサ42は、プラズマ発生器の内部の状態を測定する。電源装置41は、センサ42の電源となり、プラズマ1の発生に伴って生ずる光を受けて、電力に変換する太陽電池41aを備える。センサ42は太陽電池41aから電力を受けて作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ発生器内のセンサの電源に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラズマを発生させて、所定の処理を行う(例えば、半導体ウェハを加工する)プラズマ発生器が知られている。このようなプラズマ発生器内にセンサを配置することもまた知られている(例えば、特許文献1の要約、特許文献2の要約を参照)。このようなセンサを作動させるためには、電源が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−236199号公報
【特許文献2】特表2009−510699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術においては、センサを作動させるための電源を具体的にどのように構成すればよいかが具体的には記載されていない。
【0005】
そこで、本発明は、プラズマ発生器内のセンサの電源の具体的な構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる第一の電源装置は、容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置であって、前記プラズマの発生に伴って生ずる光を受けて、電力に変換する光電変換部を備え、前記センサは前記光電変換部から前記電力を受けて作動し、前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置されるように構成される。
【0007】
上記のように構成された第一の電源装置は、容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置である。光電変換部は、前記プラズマの発生に伴って生ずる光を受けて、電力に変換する。前記センサは前記光電変換部から前記電力を受けて作動する。前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置される。
【0008】
なお、本発明にかかる第一の電源装置は、前記光電変換部が太陽電池であるようにしてもよい。
【0009】
本発明にかかる第二の電源装置は、容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置であって、インダクタと、該インダクタに接続されたキャパシタとを有する共振回路を備え、該共振回路が、前記交流バイアス電圧の印加に伴う磁界の変化により、共振を起こし、前記センサは前記共振回路から電力を受けて作動し、前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置されるように構成される。
【0010】
上記のように構成された第二の電源装置は、容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置である。共振回路は、インダクタと、該インダクタに接続されたキャパシタとを有する。該共振回路が、前記交流バイアス電圧の印加に伴う磁界の変化により、共振を起こす。前記センサは前記共振回路から電力を受けて作動する。前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置される。
【0011】
なお、本発明にかかる第二の電源装置は、前記インダクタがコイルであり、前記交流バイアス電圧を印加する交流バイアス電圧源および前記第二電極を接続する接続部材の延伸方向と、前記コイルの軸方向とが直交するようにしてもよい。
【0012】
本発明にかかる第三の電源装置は、容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置であって、インダクタと、該インダクタに接続されたキャパシタとを有する共振回路を備え、該共振回路が、前記所定の周波数の電圧の印加により生じる電磁波により、共振を起こし、前記センサは前記共振回路から電力を受けて作動し、前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置されるように構成される。
【0013】
上記のように構成された第三の電源装置は、容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置である。共振回路は、インダクタと、該インダクタに接続されたキャパシタとを有する。該共振回路が、前記所定の周波数の電圧の印加により生じる電磁波により、共振を起こす。前記センサは前記共振回路から電力を受けて作動する。前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置される。
【0014】
なお、本発明にかかる第二または第三の電源装置は、前記共振回路において、前記インダクタと前記キャパシタとが直列または並列に接続されているようにしてもよい。
【0015】
なお、本発明にかかる第一、第二または第三の電源装置は、前記第二電極にウェハが載せられており、前記センサが前記ウェハに載せられているようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明にかかる第一、第二または第三の電源装置は、前記センサが、電圧または電流を測定することにより、前記プラズマ発生器の内部の状態を測定するようにしてもよい。
【0017】
なお、本発明にかかる第一、第二または第三の電源装置は、前記センサにバイアス電圧が印加されるようにしてもよい。
【0018】
なお、本発明にかかる第一の電源装置は、前記センサから測定結果を受ける測定結果処理器が前記容器内に配置され、前記測定結果処理器は前記光電変換部から前記電力を受けて作動するようにしてもよい。
【0019】
なお、本発明にかかる第二または第三の電源装置は、前記センサから測定結果を受ける測定結果処理器が前記容器内に配置され、前記測定結果処理器は前記共振回路から前記電力を受けて作動するようにしてもよい。
【0020】
本発明にかかる測定用デバイスは、本発明にかかる第一、第二または第三の電源装置と、前記センサと、前記測定結果処理器とを有する測定装置と、該測定装置が載せられたウェハとを備えるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態にかかる測定装置4が使用されるプラズマ発生器の透視斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる測定装置4が使用されるプラズマ発生器の正面断面図である。
【図3】プラズマ発生器のガラス蓋25を開口10aから見た図である。
【図4】第一の実施形態にかかる測定装置4の平面図(図4(a))、斜視図(図4(b))である。
【図5】第一の実施形態にかかる測定装置4の機能ブロック図である。
【図6】第二の実施形態にかかる測定装置4の平面図(図6(a))、正面断面図(図6(b))である。
【図7】第二の実施形態にかかる測定装置4の機能ブロック図(図7(a))、共振回路410の変形例(図7(b))である。
【図8】第三の実施形態にかかる測定装置4の平面図(図8(a))、正面断面図(図8(b))である。
【図9】第三の実施形態にかかる測定装置4の機能ブロック図(図9(a))、共振回路420の変形例(図9(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態にかかる測定装置4が使用されるプラズマ発生器の透視斜視図である。図2は、本発明の実施形態にかかる測定装置4が使用されるプラズマ発生器の正面断面図である。図3は、プラズマ発生器のガラス蓋25を開口10aから見た図である。
【0024】
本発明の実施形態にかかるプラズマ発生器は、容器10、パイプ12、第一電源20、アンテナ収容体21、アンテナ(第一電極)22、フランジ24、ガラス蓋25、パイプ26、第二電源30、接続部材31、下部ステージ(第二電極)32、セラミック部34、セラミック部36、台38を備える。
【0025】
容器10は、その内部で、プラズマ1が発生する。容器10は、円筒形であり、その上部に開口10aを有する。
【0026】
パイプ12は、容器10の側壁に取り付けられ、図示省略した真空ポンプに接続されている。真空ポンプにより、容器10の内部の空気が吸引される。
【0027】
容器10の開口10aは、フランジ24およびガラス蓋25により覆われている。ガラス蓋25は円筒形である。フランジ24はリング状であり、リングの中央の孔の部分にガラス蓋25が配置されている。フランジ24は、ガラス蓋25の外周面に接している。図3を参照して、ガラス蓋25の底面には、孔25aが開けられている。孔25aは、パイプ26に接続される。パイプ26には、アルゴンガスが進入し、孔25aを通過して、容器10の内部へと進入する。
【0028】
アンテナ収容体21は、容器10に取り付けられている。具体的には、アンテナ収容体21は、フランジ24およびガラス蓋25の上に配置される。アンテナ収容体21は、その内部にアンテナ(第一電極)22を収容する。
【0029】
アンテナ(第一電極)22は、渦巻き状のアンテナである。アンテナ22は、アンテナ収容体21と共に、容器10に取り付けられている。
【0030】
第一電源20は、アンテナ22に接続され、アンテナ(第一電極)22に所定の周波数の電圧(例えば、13.56MHz)を印加する。
【0031】
台38は、容器10の底面に配置された台である。台38は、その中心部分に凹部を有する円筒形の台である。セラミック部36は、台38の凹部に嵌まるセラミックである。セラミック部36は、その中心部分に凹部を有する円筒形である。
【0032】
下部ステージ(第二電極)32は、容器10に取り付けられている。具体的には、下部ステージ32は、セラミック部36の凹部に嵌まる電極である。下部ステージ32は円筒形である。アンテナ(第一電極)22および下部ステージ32は、容器10に取り付けられ互いに対向する。
【0033】
第二電源(交流バイアス電圧源)30は、接続部材31を介して、下部ステージ(第二電極)32と接続される。第二電源30は、下部ステージ32に交流バイアス電圧(例えば、1MHz)を印加する。アンテナ(第一電極)22に所定の周波数の電圧(例えば、13.56MHz)が印加され、下部ステージ(第二電極)32に交流バイアス電圧(例えば、1MHz)が印加されることにより、容器10内にプラズマ1が発生する。
【0034】
第二電極32にウェハ2が載せられている。センサ42(図5参照)を有する測定装置4がウェハ2に載せられている。なお、測定装置4は図示の便宜上、ウェハ2の中央近傍に一個だけ図示している。しかし、測定装置4を複数個、ウェハ2に載せてもかまわない。また、測定装置4は、ウェハ2の任意の箇所に載せることができる。なお、測定装置4とウェハ2とを一体とし、測定用デバイスとして、色々なプラズマ発生器の内部状態の測定に利用してもよい。
【0035】
セラミック部34は、第二電極32に載せられており、リング状である。リングの中央の孔の部分にウェハ2が配置されている。セラミック部34は、ウェハ2の外周面に接している。
【0036】
接続部材31は、第二電源(交流バイアス電圧源)30および下部ステージ(第二電極)32を接続する導体である。
【0037】
本発明の実施形態においては、プラズマ発生器の構成は共通しており、測定装置4の構成が異なる。以下、測定装置4の構成を、各実施形態について説明する。
【0038】
第一の実施形態
図4は、第一の実施形態にかかる測定装置4の平面図(図4(a))、斜視図(図4(b))である。図5は、第一の実施形態にかかる測定装置4の機能ブロック図である。
【0039】
第一の実施形態にかかる測定装置4は、電源装置41、センサ42、マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44を備える。測定装置4は、図1および図2を参照して説明したように、容器10の内部に配置される。
【0040】
センサ42は、プラズマ発生器の容器10の内部の状態を測定する。センサ42は、周知のものであり、例えば、特許文献1(特開2005−236199号公報)のエンドポイントモニタ11(特許文献1の図4参照:チャージアップ電圧の測定に関連)およびプラズマ誘起電流測定用センサ12(特許文献1の図6参照:紫外光の測定に関連)や特許文献2(特表2009−510699号公報)の容量性感知素子(図4A、図4B参照)、誘導性感知素子(図5A、図5B参照)といったものであるが、これらに限定はされない。これらのセンサは、電圧(例えば、特許文献1の図4参照)または電流(例えば、特許文献1の図6参照)を測定することにより、プラズマ発生器の内部の状態を測定する。これらのセンサにはバイアス電圧(例えば、特許文献1の図6参照)が印加されるものがある。センサ42は、電圧または電流の測定およびバイアス電圧の印加のために電力が供給される必要がある。かかる電力を供給するのが、電源装置41である。
【0041】
マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44は、センサ42から測定結果を受ける。受けた測定結果について色々な演算を施す等の周知の処理を行う。なお、マイクロコンピュータ44が、センサ42を制御するようにすることも考えられる。
【0042】
電源装置41は、センサ42の電源である。電源装置41は、太陽電池(光電変換部)41a、増幅回路41b、安定回路41c、41dを備える。
【0043】
太陽電池(光電変換部)41aは、プラズマ1の発生に伴って生ずる光を受けて、電力に変換する。光電変換部としては、例えば太陽電池を採用することが考えられる。
【0044】
増幅回路41bは、太陽電池41aの出力を増幅する。センサ42がバイアス電圧の印加を必要とするものの場合、太陽電池41aの出力電圧を増幅して、バイアス電圧として使用できるようにしておくことが好ましい。
【0045】
安定回路41cは、増幅回路41bの出力電圧を安定させ、ほぼ一定にするものである。センサ42は、太陽電池(光電変換部)41aから、増幅回路41bおよび安定回路41cを介して、電力を受けて作動する。
【0046】
安定回路41dは、太陽電池41aの出力電圧を安定させ、ほぼ一定にするものである。マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44は、太陽電池(光電変換部)41aから、安定回路41dを介して、電力を受けて作動する。マイクロコンピュータ44を作動させるための電圧は、センサ42に印加するバイアス電圧に比べて低いので、増幅させることを要しない。
【0047】
次に、第一の実施形態の動作を説明する。
【0048】
真空ポンプにより、容器10の内部の空気が吸引される。しかも、パイプ26には、アルゴンガスが進入し、孔25aを通過して、容器10の内部へと進入する。
【0049】
ここで、第一電源20が、アンテナ(第一電極)22に所定の周波数の電圧(例えば、13.56MHz)を印加し、第二電源30が、下部ステージ(第二電極)32に交流バイアス電圧(例えば、1MHz)を印加する。これにより、容器10内にプラズマ1が発生する。プラズマ1は光を発する。太陽電池41aは、この光を受け、直流電圧に変換する。この直流電圧は、増幅回路41bおよび安定回路41cを介して、センサ42に与えられる。センサ42は、この直流電圧を受けて作動する。また、太陽電池41aの出力する直流電圧は、安定回路41dを介して、マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44に与えられる。マイクロコンピュータ44は、この直流電圧を受けて作動する。
【0050】
第一の実施形態にかかる測定装置4によれば、プラズマ発生器内のセンサ42の電源装置41の具体的な構成が提供されている。特に、電源装置41を容器10内に配置する場合の電源装置41の具体的な構成として、電源装置41に太陽電池41aを採用した点が特徴である。
【0051】
電源装置41を容器10の外部に配置すると、電源装置41とセンサ42とを接続する配線により異常放電が発生しセンサ42による測定が困難となる。または、かかる配線によりプラズマ発生器の容器10の内部の状態が変化してしまう。よって、電源装置41を容器10の内部に配置することが望まれているのであり、かかる場合の電源装置41の具体的な構成が必要とされていたのである。かかる電源装置41の具体的な構成が第一の実施形態に開示されたものである。
【0052】
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる測定装置4は、太陽電池(光電変換部)41aにかえて、共振回路410を使用した点が第一の実施形態と異なる。なお、共振回路410は、第二電源30による交流バイアス電圧の印加に伴う磁界の変化により共振を起こすものである。
【0053】
図6は、第二の実施形態にかかる測定装置4の平面図(図6(a))、正面断面図(図6(b))である。図7は、第二の実施形態にかかる測定装置4の機能ブロック図(図7(a))、共振回路410の変形例(図7(b))である。
【0054】
第二の実施形態にかかる測定装置4は、電源装置41、センサ42、マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44を備える。測定装置4は、図1および図2を参照して説明したように、容器10の内部に配置される。以下、第一の実施形態と同様な部分は同一な符号を付して説明を省略する。
【0055】
センサ42およびマイクロコンピュータ(測定結果処理器)44は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0056】
電源装置41は、センサ42の電源である。電源装置41は、共振回路410、増幅回路41b、安定回路41c、41d、ブリッジ整流回路41e、キャパシタ41fを備える。
【0057】
増幅回路41bおよび安定回路41c、41dは、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0058】
共振回路410は、インダクタ410aと、インダクタ410aに直列に接続されたキャパシタ410bを有する。共振回路410の共振周波数は、インダクタ410aのインダクタンスと、キャパシタ410bのキャパシタンスとに基づき定められる。共振回路410の共振周波数は、第二電源30の周波数に合わせてある。
【0059】
インダクタ410aはコイルであり、コイルの軸方向(図6(b)において紙面に垂直)は、接続部材31の延伸方向と直交する。なお、図6(b)においては、インダクタ410aの位置関係を明示すべく、インダクタ410aを拡大して図示している。実際は、インダクタ410aは、測定装置4の上に配置され、測定装置4から、はみでない程度の大きさである。
【0060】
ブリッジ整流回路41eは、ダイオード4個を有する周知の整流回路であり、共振回路410の出力を整流する。キャパシタ41fは、ブリッジ整流回路41eの出力の2本の線を接続する。ブリッジ整流回路41eの出力は、増幅回路41bおよび安定回路41dに与えられ、増幅または安定化される。
【0061】
次に、第二の実施形態の動作を説明する。
【0062】
真空ポンプにより、容器10の内部の空気が吸引される。しかも、パイプ26には、アルゴンガスが進入し、孔25aを通過して、容器10の内部へと進入する。
【0063】
ここで、第一電源20が、アンテナ(第一電極)22に所定の周波数の電圧(例えば、13.56MHz)を印加し、第二電源30が、下部ステージ(第二電極)32に交流バイアス電圧(例えば、1MHz)を印加する。これにより、容器10内にプラズマ1が発生する。
【0064】
第二電源30が、下部ステージ32に交流バイアス電圧を印加する際に、接続部材31に電流が流れる。接続部材31に流れる電流は、接続部材31の延伸方向(図6(b)において上下)に変動する。その際、電界が、図6(b)において紙面に垂直方向を中心軸として発生する。すると、磁界が電界に垂直に発生する。具体的には、磁界が接続部材31の延伸方向を中心軸として発生する(図6(b)参照)。この磁界が変化する。
【0065】
上記のように、第二電源30による交流バイアス電圧の印加に伴い、磁界が変化する。この磁界の変化は、インダクタ410aに電磁誘導を生じさせる。図6(b)において図示した磁界を、図6(a)にも図示した。インダクタ410aに生じた電磁誘導により、インダクタ410aに電流が流れる。この電流は、キャパシタ410bにも流れる。共振回路410の共振周波数は、第二電源30の周波数に合わせてあるので、共振回路410において共振が起きる。
【0066】
共振回路410の出力は、ブリッジ整流回路41eおよびキャパシタ41fにより整流され、増幅回路41bおよび安定回路41cを介して、センサ42に与えられる。センサ42は、共振回路410の出力を受けて作動する。
【0067】
また、共振回路410の出力は、ブリッジ整流回路41eおよびキャパシタ41fにより整流され、安定回路41dを介して、マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44に与えられる。マイクロコンピュータ44は、共振回路410の出力を受けて作動する。
【0068】
第二の実施形態にかかる測定装置4によれば、プラズマ発生器内のセンサ42の電源装置41の具体的な構成が提供されている。特に、電源装置41を容器10内に配置する場合の電源装置41の具体的な構成として、電源装置41に共振回路410を採用した点が特徴である。
【0069】
電源装置41を容器10の外部に配置すると、電源装置41とセンサ42とを接続する配線により異常放電が発生しセンサ42による測定が困難となる。または、かかる配線によりプラズマ発生器の容器10の内部の状態が変化してしまう。よって、電源装置41を容器10の内部に配置することが望まれているのであり、かかる場合の電源装置41の具体的な構成が必要とされていたのである。かかる電源装置41の具体的な構成が第二の実施形態に開示されたものである。
【0070】
なお、図6(a)および図7(a)においては、インダクタ410aとキャパシタ410bとは直列に接続されている。しかし、図7(b)に示すように、インダクタ410aとキャパシタ410bとを並列に接続してもよい。
【0071】
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる測定装置4は、共振回路410にかえて、共振回路420を使用した点が第二の実施形態と異なる。なお、共振回路420は、第一電源20による所定の周波数の電圧の印加により生じる電磁波により共振を起こすものである。
【0072】
図8は、第三の実施形態にかかる測定装置4の平面図(図8(a))、正面断面図(図8(b))である。図9は、第三の実施形態にかかる測定装置4の機能ブロック図(図9(a))、共振回路420の変形例(図9(b))である。
【0073】
第三の実施形態にかかる測定装置4は、電源装置41、センサ42、マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44を備える。測定装置4は、図1および図2を参照して説明したように、容器10の内部に配置される。以下、第二の実施形態と同様な部分は同一な符号を付して説明を省略する。
【0074】
センサ42およびマイクロコンピュータ(測定結果処理器)44は、第二の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0075】
電源装置41は、センサ42の電源である。電源装置41は、共振回路420、増幅回路41b、安定回路41c、41d、ブリッジ整流回路41e、キャパシタ41fを備える。
【0076】
増幅回路41b、安定回路41c、41d、ブリッジ整流回路41e、キャパシタ41fは、第二の実施形態と同様であり説明を省略する。
【0077】
共振回路420は、インダクタ420aと、インダクタ420aに直列に接続されたキャパシタ420bを有する。共振回路420の共振周波数は、インダクタ420aのインダクタンスと、キャパシタ420bのキャパシタンスとに基づき定められる。共振回路420の共振周波数は、第一電源20の周波数に合わせてある。
【0078】
次に、第三の実施形態の動作を説明する。
【0079】
真空ポンプにより、容器10の内部の空気が吸引される。しかも、パイプ26には、アルゴンガスが進入し、孔25aを通過して、容器10の内部へと進入する。
【0080】
ここで、第一電源20が、アンテナ(第一電極)22に所定の周波数の電圧(例えば、13.56MHz)を印加し、第二電源30が、下部ステージ(第二電極)32に交流バイアス電圧(例えば、1MHz)を印加する。これにより、容器10内にプラズマ1が発生する。
【0081】
ところで、第一電源20が所定の周波数の電圧を印加することにより、電磁波が生じる。この電磁波が、インダクタ420aに電磁誘導を生じさせる。インダクタ420aに生じた電磁誘導により、インダクタ420aに電流が流れる。この電流は、キャパシタ420bにも流れる。共振回路420の共振周波数は、第一電源20の周波数に合わせてあるので、共振回路420において共振が起きる。
【0082】
共振回路420の出力は、ブリッジ整流回路41eおよびキャパシタ41fにより整流され、増幅回路41bおよび安定回路41cを介して、センサ42に与えられる。センサ42は、共振回路420の出力を受けて作動する。
【0083】
また、共振回路420の出力は、ブリッジ整流回路41eおよびキャパシタ41fにより整流され、安定回路41dを介して、マイクロコンピュータ(測定結果処理器)44に与えられる。マイクロコンピュータ44は、共振回路420の出力を受けて作動する。
【0084】
第三の実施形態にかかる測定装置4によれば、プラズマ発生器内のセンサ42の電源装置41の具体的な構成が提供されている。特に、電源装置41を容器10内に配置する場合の電源装置41の具体的な構成として、電源装置41に共振回路420を採用した点が特徴である。
【0085】
電源装置41を容器10の外部に配置すると、電源装置41とセンサ42とを接続する配線により異常放電が発生しセンサ42による測定が困難となる。または、かかる配線によりプラズマ発生器の容器10の内部の状態が変化してしまう。よって、電源装置41を容器10の内部に配置することが望まれているのであり、かかる場合の電源装置41の具体的な構成が必要とされていたのである。かかる電源装置41の具体的な構成が第二の実施形態に開示されたものである。
【0086】
なお、図8(a)および図9(a)においては、インダクタ420aとキャパシタ420bとは直列に接続されている。しかし、図9(b)に示すように、インダクタ420aとキャパシタ420bとを並列に接続してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 プラズマ
2 ウェハ
4 測定装置
41 電源装置
41a 太陽電池(光電変換部)
410、420 共振回路
410a、420a インダクタ
410b、420b キャパシタ
41b 増幅回路
41c、41d 安定回路
41e ブリッジ整流回路
41f キャパシタ
42 センサ
44 マイクロコンピュータ(測定結果処理器)
10 容器
12 パイプ
20 第一電源
21 アンテナ収容体
22 アンテナ(第一電極)
24 フランジ
25 ガラス蓋
25a 孔
26 パイプ
30 第二電源
31 接続部材
32 下部ステージ(第二電極)
34、36 セラミック部
38 台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置であって、
前記プラズマの発生に伴って生ずる光を受けて、電力に変換する光電変換部を備え、
前記センサは前記光電変換部から前記電力を受けて作動し、
前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置される、
電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記光電変換部が太陽電池である、
電源装置。
【請求項3】
容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置であって、
インダクタと、該インダクタに接続されたキャパシタとを有する共振回路を備え、
該共振回路が、前記交流バイアス電圧の印加に伴う磁界の変化により、共振を起こし、
前記センサは前記共振回路から電力を受けて作動し、
前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置される、
電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記インダクタがコイルであり、
前記交流バイアス電圧を印加する交流バイアス電圧源および前記第二電極を接続する接続部材の延伸方向と、前記コイルの軸方向とが直交する、
電源装置。
【請求項5】
容器と、該容器に取り付けられ互いに対向する第一電極および第二電極とを有し、前記第一電極に所定の周波数の電圧が印加されて前記第二電極に交流バイアス電圧が印加されることにより、前記容器内にプラズマが発生するプラズマ発生器の内部の状態を測定するセンサの電源となる電源装置であって、
インダクタと、該インダクタに接続されたキャパシタとを有する共振回路を備え、
該共振回路が、前記所定の周波数の電圧の印加により生じる電磁波により、共振を起こし、
前記センサは前記共振回路から電力を受けて作動し、
前記センサおよび前記電源装置が前記容器内に配置される、
電源装置。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記共振回路において、前記インダクタと前記キャパシタとが直列または並列に接続されている、
電源装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記第二電極にウェハが載せられており、
前記センサが前記ウェハに載せられている、
電源装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記センサは、電圧または電流を測定することにより、前記プラズマ発生器の内部の状態を測定する、
電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置であって、
前記センサにバイアス電圧が印加される、
電源装置。
【請求項10】
請求項1または2に記載の電源装置であって、
前記センサから測定結果を受ける測定結果処理器が前記容器内に配置され、
前記測定結果処理器は前記光電変換部から前記電力を受けて作動する、
電源装置。
【請求項11】
請求項3ないし6のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記センサから測定結果を受ける測定結果処理器が前記容器内に配置され、
前記測定結果処理器は前記共振回路から前記電力を受けて作動する、
電源装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の電源装置と、前記センサと、前記測定結果処理器とを有する測定装置と、
該測定装置が載せられたウェハと、
を備えた測定用デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−243844(P2012−243844A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110312(P2011−110312)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人 科学技術振興機構「研究成果最適展開支援事業 フィージビリティスタディ 可能性発掘タイプ(起業検証)における研究開発課題 「プラズマプロセスのための欠陥予測システムの実用化」」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】