説明

電磁誘導加熱式の食品焼成機

【課題】被焼成物受け体としての金型を自動間歇的に移動中、オーブンの焼成室内において熱効率良く大量に焼成できる電磁誘導加熱式の食品焼成機を提供する。
【解決手段】被焼成物成形用金型(M)が通過するオーブン(T)の焼成室(6)内を、その周囲に巻き付けられた螺旋状の電磁誘導加熱コイル(8)によって、被焼成物(1)の目標焼成温度よりも常に高い雰囲気温度に加熱維持すると共に、その金型(M)の加熱温度を被焼成物(1)の焼成温度とみなして温度センサー(36)により検知し、その目標焼成温度に到達するまでの間は、上記センサー(36)の検知出力信号に基き焼成室(6)内の送風ファン(20)を高速回転させて、その熱風を上記金型(M)へ直接吹き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は煎餅やクッキーなどを工場において大量生産したり、或いはハンバーグやステーキなどを飲食店において即席的に焼き上げたりするために有用な電磁誘導加熱式の食品焼成機に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子やパンなどの食品をコンベアでの移動過程において、上下方向から加熱し焼成するトンネルオーブンは、特許文献1、2に記載されているとおり、従来から公知である。
【0003】
他方、ファミリーレストランやコンビニエンスストアー、その他の飲食店において、ハンバーグやステーキ、グラタン、シューマイなどの各種食品を即席的にすばやく加熱調理するためのコンベアオーブン/トースターは、特許文献3に記載されている。
【0004】
又、通常のオーブン機能(天火焼き、焦げ目の付与)に加えて、食品を蒸気によって焼いたり、蒸したりするスチームコンベクションオーブンも、例えば特許文献4に記載のとおり、従来から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−166号公報
【特許文献2】特開2004−194564号公報
【特許文献3】特開平11−264550号公報
【特許文献4】特開2000−104924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載のトンネルオーブンでは、その被焼成物(1)の上部加熱装置(31)としてガスバーナーが採用されているため、作業環境の悪化を招き、火力の精密な調整を行ない難いほか、大量の高温排気ガスを処理する換気設備工事が不可欠となる。
【0007】
又、被焼成物(1)の下部加熱装置(30)が電気ヒータ(51)によって熱風を生成する加熱炉(55)を初め、ファン(36)やファンモータ(37)、供給ダクト(38)、排気ダクト(39)、加熱ダクト(40)などから構成されているため、その熱風を循環させる複雑な設備工事が必要であり、しかも熱風での加熱された加熱ダクト(40)の輻射熱によって、被焼成物(1)を焼成するようになっているため、加熱速度が遅く、加熱温度を容易に調整制御できない問題もある。
【0008】
更に、特許文献2に記載のトンネルオーブンでは、焼き板(4)上の食品生地を上ヒータ(7)と下ヒータ(8)により加熱し、その電気ヒータの輻射熱によって焼成するようになっているため、やはり加熱速度が遅いばかりでなく、加熱温度を精密に調整制御し難く、熱効率が悪い問題もある。
【0009】
他方、上記特許文献4に開示のスチームコンベクションオーブンは、蒸気を発生するスチーム装置(17)と、熱風の強制循環用ファン(12)とを焼成室(7)内に装備している点で、本発明に近似していると考えられるが、そのスチーム装置(17)は給水用の内管(40)とこれを包囲する外管(41)並びにこれらの内外相互間に介挿された複数の蓄熱部材(丸鋼)(44)とから成り、極めて複雑・特殊な構造であるため、被焼成物を焼成する処理量との関係上、製造コストが高価になり過ぎる。
【0010】
又、上記内管(40)の給水を加熱するためのヒーター(15)が、スチーム装置(17)とかなり離隔した片隅位置にあり、そのヒーター(15)の熱をたとえスチーム装置(17)の蓄熱部材(44)によって蓄熱し、その蓄熱により内管(40)の給水を加熱し、水蒸気又は熱湯として外管(41)の吐出孔(43)から、吸引開口(10)と熱風通路(11)へ吐出するとしても、「水蒸気とならなかった水もその温度は沸騰温度に近い温度となる」(公報の段落〔0041〕参照)と記載されているとおり、焼成室(7)の内部に100℃以上の過熱蒸気を生成することは不可能である。
【0011】
更に、焼成室内の循環する熱風によって、被焼成物を焼成すると共に、その焼成室内へ蒸気も供給し得るようになっているが、その被焼成物が製菓・製パン生地であればともかく、例えばハンバーグやステーキ、ギョーザ、グラタン、その他の加熱皿と一緒に焼き上げ直後、その加熱皿に載せた状態のままで、来客の食卓へ提供する被焼成物の場合には、これを加熱皿と接触している下方(裏側)からもすばやく、その上方(表側)からとの全体的な均一温度に焼き上げることができず、業務用としての即応性や利便性などに劣る。
【0012】
しかも、上記したような各種被焼成物の内部に蒸気が封じ込められたシットリ感やジューシー感に富む焼き上がり状態を得ることは不可能であり、このことは上記特許文献3に開示されているコンベアオーブン/トースターについても、同様に言える。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこのような諸問題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では磁性体金属から成る焼成室の周囲に、電磁誘導加熱コイルが螺旋状に巻き付けられたオーブンと、
【0014】
食品やその生地などの被焼成物を保持する被焼成物受け体と、
【0015】
上記オーブンの電磁誘導加熱コイルにより電磁誘導加熱される焼成室内の雰囲気温度を検知する第1温度センサーと、
【0016】
上記被焼成物又は被焼成物受け体の加熱温度を検知する第2温度センサーと、
【0017】
上記被焼成物又は被焼成物受け体を目指す複数個として、上記オーブンの焼成室内に設置された送風ファンとを備え、
【0018】
上記焼成室内の雰囲気温度を被焼成物の目標とする焼成温度よりも常に高い温度に保つと共に、
【0019】
上記第2温度センサーにより検知した被焼成物又は被焼成物受け体の現在加熱温度が、被焼成物の目標とする焼成温度よりも低い間は、その第2温度センサーの出力電気信号に基づき上記送風ファンの回転速度を速く調整して、その送風ファンにより被焼成物又は被焼成物受け体へ熱風を直接吹き付けることを特徴とする。
【0020】
又、請求項2では送風ファンの少なくとも1個を目指す水投射ノズルを、オーブンの焼成室内に設置して、
【0021】
そのノズルから投射した水を上記送風ファンの回転によりミスト状に拡散させて、オーブンの焼成室内に過熱蒸気を生成することを特徴とする。
【0022】
請求項3では送風ファンの熱風を被焼成物又は被焼成物受け体へ吹き付けるための導風板を、オーブンの焼成室内に設置したことを特徴とする。
【0023】
請求項4では焼成室がトンネル型に造形されたオーブンの複数個を、その隣り合う電磁誘導加熱コイルによる相互誘導の影響を回避できる必要長さの中間ダクトを接手として着脱自在に、且つ同芯の直列状態に連通接続したことを特徴とする。
【0024】
請求項5ではオーブンの焼成室をトンネル型とし、被焼成物受け体を被焼成物成形用の開閉可能な金型として、その金型を上記オーブンの貫通状態に固定支持されたガイドレール上へ、移動できる係合状態に搭載すると共に、
【0025】
上記オーブンの入口側において被焼成物を充填された金型の加熱温度が、その被焼成物の目標とする焼成温度に到達したか否かを検知する非接触式の第2温度センサーを、上記オーブンの出口側において未だ閉合状態にある金型を目指すように設置したことを特徴とする。
【0026】
請求項6ではオーブンの焼成室をトンネル型とし、被焼成物受け体を被焼成物成形用の開閉可能な金型として、その金型を上記オーブンの貫通状態に固定支持されたガイドレール上へ、移動できる係合状態に搭載し、
【0027】
上記オーブンの入口側において未だ被焼成物が充填される前の展開状態にある金型を、電磁誘導加熱コイルによって予熱し、その金型の予熱温度を非接触式の第3温度センサーによって検知すると共に、
【0028】
上記電磁誘導加熱コイルによる金型の予熱温度を、第2温度センサーによって検知された金型の加熱温度に基づいてフィードバック制御することを特徴とする。
【0029】
更に、請求項7ではオーブンの焼成室を前面だけが開閉できる断面ほぼコ字形に造形して、その周囲へ電磁誘導加熱コイルを螺旋状に巻き付けると共に、
【0030】
被焼成物受け体を金属製の平板又は皿として通気性がある棚上へ、上記オーブンの前面から出し入れ自在に搭載し、
【0031】
上記平板又は皿の加熱温度がその被焼成物の目標とする焼成温度に到達したか否かを検知する接触式の第2温度センサーを、上記オーブンの焼成室へ差し込み固定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の上記構成によれば、オーブンにおける焼成室内の空気(雰囲気)温度を被焼成物の目標とする焼成温度よりも常に高い加熱温度に保っておき、その上で被焼成物の現在加熱温度又はこれとみなされる被焼成物受け体の現在加熱温度を、第2温度センサーにより検知(測定)して、その現在加熱温度が未だ被焼成物の目標とする焼成温度に到達せず、低いうちは上記第2温度センサーの検知出力信号に基き、送風ファンを高速回転させるべく調整して、その送風ファンから被焼成物又は被焼成物受け体へ熱風を直接吹き付けることにより、加熱(昇温)するようになっているため、上記焼成室の内部温度(雰囲気温度)を短時間での容易に変更(昇温)し難い点を、被焼成物又はその受け体へ直接集中的に吹き付ける熱風での加熱によって補なうことができ、その加熱温度の調整制御も容易・精密に行なえる効果がある。
【0033】
又、オーブンの磁性体金属から成る焼成室の周囲に、電磁誘導加熱コイルが螺旋状に巻き付けられているため、そのコイルの磁力線が焼成室内の中心線上を貫通し、被焼成物又はその被焼成物受け体を効率良く均一に加熱しやすい効果がある。
【0034】
更に、電磁誘導加熱コイルはオーブンをなす焼成室の周囲(外周面)に巻き付けられているため、これを保護する電気絶縁や断熱などの施工が容易となるほか、上記焼成室の内部に電気部品が存在しないため、その焼成作業終了後や定期的な内部の洗浄作業に必要な配水管などの設置を支障なく行なえる効果もある。
【0035】
冒頭に述べた従来のガスバーナーを加熱源とするトンネルオーブンと比較しても、排熱・燃焼排気(煙すす、CO2)がなく、クリーン・クールな作業環境並びに高い昇温速度(急速加熱)を得られるほか、食品焼成作業者の熟練度や高いランニングコストなどを必要としない。他方、シーズヒーターやその他の電気ヒーターを加熱源とするトンネルオーブンと比較しても、その磁性体金属から成る焼成室を電磁誘導加熱することにより、その室内空気(雰囲気)を間接的に急速加熱することができ、その加熱温度の維持制御も行ないやすい。
【0036】
特に、請求項2の構成を採用するならば、オーブンの焼成室内に設置された水投射ノズルから、送風ファンの羽根に向かって投射した水を、その送風ファンの回転によりミスト状に拡散して、上記焼成室内に過熱蒸気を発生させるようになっているため、その過熱蒸気により被焼成物を目標とする焼成温度まで、ますます短時間での効率良く加熱できる効果がある。
【0037】
請求項3の構成を採用するならば、送風ファンの熱風をその導風板によって、被焼成物又は被焼成物受け体へロスなく吹き付けることができ、その急速加熱と熱効率の向上などに役立つ。
【0038】
請求項4の構成を採用するならば、被焼成物を焼成するために必要となる処理時間との関係上、接手となる中間ダクトを介して、複数個のオーブンを着脱自在に継ぎ足し連通させることができ、しかもその隣り合う電磁誘導加熱コイルによる相互誘導の悪影響を、上記中間ダクトの介在によって回避し得る効果がある。
【0039】
又、請求項5の構成を採用するならば、被焼成物受け体が被焼成物の成形用金型として、オーブンのトンネル型焼成室を貫通する固定ガイドレールに沿い移動し、その焼成室内において金型を加熱することにより、これに充填されている被焼成物を焼成するようになっているため、煎餅やクッキー、ケーキなどの生地(材料)を被焼成物とする自動生産ラインにふさわしく、その大量の焼成作業に著しく有効である。
【0040】
その場合、請求項6の構成を採用するならば、被焼成物が充填されることによる金型の温度低下を、その充填前の展開状態にある金型の予熱によって、自づと効果的に防止することができ、被焼成物を目標とする焼成温度まで、ますます短時間での効率良く焼成し得る効果がある。
【0041】
更に、請求項7の構成を採用するならば、被焼成物受け体を金属製の平板又は皿として、これにより保持した裸状態にある単品の被焼成物や、同じく天蓋での被覆された被焼成物でも、電磁誘導加熱コイルが巻き付けられたオーブンの焼成室内において、送風ファンの熱風により、目標する焼成温度まですばやく高効率に焼成することができ、ファミリーレストランやコンビニエンスストアーなどの飲食店における即席性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る電磁誘導加熱式食品焼成機の第1実施形態を示す全体概略側面図である。
【図2】図1のオーブンを抽出して示す拡大図である。
【図3】図2の3−3線拡大断面図である。
【図4】金型の展開状態を示す平面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】金型の閉合状態を示す図4に対応する平面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】図7の正面図である。
【図10】図7の10−10線断面図である。
【図11】図7の11−11線断面図である。
【図12】図1のX部分を抽出して示す拡大側面図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】図12の正面図である。
【図15】図1のY部分を抽出して示す拡大側面図である。
【図16】図15の平面図である。
【図17】図15の正面図である。
【図18】本発明に係る電磁誘導加熱式食品焼成機の第2実施形態を示す側断面図である。
【図19】図18の19−19線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1はその本発明の第1実施形態として、工場における煎餅やクッキー、ケーキなどの自動生産ラインにふさわしい電磁誘導加熱式食品焼成機の概略全体を例示しており、その煎餅やクッキーなどの生地(材料)が被焼成物(1)になっている。
【0044】
そして、上記食品焼成機はその被焼成物(1)を成形するための開閉可能な金型(M)と、金型(M)と延いてはその内部の被焼成物(1)を焼成するためのオーブン(T)と、そのオーブン(T)の入口側において展開状態の金型(M)へ、被焼成物(1)を自動的に充填する充填機(2)と、その充填後に閉合された金型(M)をオーブン(T)の内部へ、前進移動させる往路になる固定ガイドレール(3)と、オーブン(T)の出口側において被焼成物(1)が取り出された展開状態の金型(M)を、再び充填機(2)の位置まで後退復帰させる無端なチェンコンベア(4)などを主要な構成部材として、その剛性な機体フレーム(5)に装備している。
【0045】
先ず、上記オーブン(T)は図2、3に抽出拡大して示す如く、ステンレス鋼(SUS430)や鉄、その他の磁性体金属からトンネル型に造形された焼成室(6)を有しており、その周囲(上下左右)にグラスウールなどの断熱材(7)を介して、1本の電磁誘導加熱コイル(8)が螺旋状に巻き付けられている。そのため、コイル磁界は金型(M)の移動方向に発生することとなり、その金型(M)の加熱温度(被焼成物の焼成温度)を均一化しやすい利点がある。
【0046】
その場合、図示したオーブン(T)の焼成室(6)は断面四角形(横辺が縦辺よりも大きな長方形)をなしているが、その他の断面(正)多角形や断面円形、断面半円形などに造形しても良い。
【0047】
又、図示の実施形態では被焼成物(1)を目標の焼成温度まで短時間での速く焼成する所要時間との関係上、前後一対(2個)のオーブン(T)を機体フレーム(5)におけるほぼ中央部の共通する天板(9)上へ、支持ステーやネジ締結具などによって据え付け固定している。しかも、前後一対のオーブン(T)における就中焼成室(6)同士を、その隣り合う電磁誘導加熱コイル(8)による相互誘導の悪影響を回避できる必要長さ(D)の中間ダクト(10)を接手として着脱自在に、且つ同芯の直列状態に連通接続している。
【0048】
その1本づつの電磁誘導加熱コイル(8)における切り離し両端部は図外の接続端子を介して、その励磁用高周波電源(共振型インバータ)の出力端子と接続配線されており、電磁誘導加熱コイル(8)毎の電力制御によって、その各加熱コイル(8)における発熱量の均一化を図っている。
【0049】
上記中間ダクト(10)はオーブン(T)の焼成室(6)と同種の金属から、その焼成室(6)よりも小口径の相似な断面形状(図例では長方形)に造形されており、その中間ダクト(10)の径大な端部フランジ(11)と隣り合うオーブン(T)の焼成室(6)から対応的に張り出す端部フランジ(12)とが、複数のネジ締結具(13)などを介して着脱自在に締結一体化されている。
【0050】
(14a)(14b)は上記中間ダクト(10)とほぼ同じ口径と断面形状並びに端部フランジ(15)を備えた入口ダクトと出口ダクトとの前後一対であり、同芯の直列状態に連通しているオーブン(T)の入口と出口において、そのオーブン(T)の焼成室(6)から張り出す端部フランジ(12)へ、各々複数のネジ締結具(16)などにより締結一体化されている。(17)(18)は上記中間ダクト(10)の外周面と入口ダクト(14a)並びに出口ダクト(14b)の外周面へ、各々包囲状態に被着一体化されたグラスウールなどの断熱材である。
【0051】
尚、上記オーブン(T)の前後一対(2個)は互いに同じ構成を備えているため、そのうちの1個だけを説明し、残る1個については同じ符号を図示するにとどめる。但し、そのオーブン(T)の設置個数は図示のような前後一対(2個)に限らず、比較的長い1個又は3個以上に増減することができる。
【0052】
上記オーブン(T)の電磁誘導加熱コイル(8)により電磁誘導加熱される焼成室(6)内の空気温度(雰囲気温度)は、被焼成物(例えばクッキーの生地)(1)の目標とする焼成温度(例えば約175℃)よりも常に高い温度(例えば約300℃)に設定されている。
【0053】
(19)はその焼成室(6)内の雰囲気温度を検知する第1温度センサーであって、サーミスターや放射温度計などから成り、上記オーブン(T)の焼成室(6)へ上方から差し込み固定されている。第1温度センサー(19)の検知出力信号に基いて、上記電磁誘導加熱の温度制御を行なうことにより、焼成室(6)内の高い設定温度を維持できるようになっている。
【0054】
(20)は上記オーブン(T)における焼成室(6)内の望ましくは中央部に設置された上下一対(2個)の送風ファンであり、そのオーブン(T)の外部からファンモーター(21)によって各々回転駆動されるようになっている。茲に、送風ファン(20)は焼成室(6)内に対流を起生するだけにとどまらず、上記ガイドレール(3)に沿って移動する被焼成物受け体としての金型(M)を目指し、これに上下方向(表裏方向)から熱風を積極的に直接吹き付けることにより、その金型(M)の加熱と延いては被焼成物(1)の焼成を促進するものである。
【0055】
従って、その場合オーブン(T)の焼成室(6)内へ上下一対(2個)の導風板(22)も対応設置し、上記送風ファン(20)からの熱風を導風板(22)により、図3の矢印で示す方向へ循環流動させて、上記金型(M)へ繰り返しロスなく吹き付けることが好ましい。(23)はその上下一対(2個)の導風板(22)における左右両サイド面を一括して、焼成室(6)の壁面へ各々固定した一対の取付ベースである。
【0056】
尚、上記送風ファン(20)やその導風板(22)は図示のような上下一対(2個)に限らず、全体的な放射対称配置型の3個以上に増設して、上記金型(M)に熱風をできるだけ多く吹き付けるように定めても良い。
【0057】
更に、(24)は上記オーブン(T)の焼成室(6)へ上方から固定状態に差し込み配管された水投射ノズル、(25)はその給水配管上に介在する開閉用電磁弁であり、タイマーによって自動間歇的に開閉されるようになっている。水投射ノズル(24)から上記送風ファン(20)の羽根に向かって投水し、これをファン羽根の回転によりミスト状に拡散させて、その焼成室(6)内に生成した過熱蒸気により、被焼成物(1)の充填直後における金型(M)の温度低下を補ない、その金型(M)の加熱と延いては被焼成物(1)の焼成をますます短時間での効率良く完遂できるようになっている。
【0058】
その場合、図示の実施形態では水投射ノズル(24)を1個として、上側送風ファン(20)の羽根を目指して投水するようになっているが、下側の送風ファン(20)も含む送風ファン(20)の個数と配置に応じた個数と配置の水投射ノズル(24)を増設しても良い。
【0059】
次に、上記金型(M)は被焼成物(1)を保持する被焼成物受け体として、図4〜11に抽出拡大して示す如く、水平のヒンジ(26)を介して開閉自在に枢支連結された金型本体(27)と蓋体(28)とから成り、その金型本体(27)の成形凹溝(29)に充填された目的の被焼成物(1)(上記クッキーなどの生地)が、上方から蓋体(28)により被覆されることとなる。
【0060】
又、金型本体(27)の左右両サイド面に軸支された前後一対づつ(合計4個)の転動ローラー(30)が、上記オーブン(T)への往路となるガイドレール(3)と係合しつつ、そのガイドレール(3)に沿って図1、12、13の矢印(F)方向へ前進移動できるようになっている。
【0061】
他方、蓋体(28)の先端部には金型本体(27)の先端部と係合することにより、その金型(M)を閉合状態に保つ左右一対のロック金具(31)が、水平な支点ピン(32)によって回動自由に枢着されているほか、同じく蓋体(28)の左右両サイド面には上記ガイドレール(3)と係合する一対(2個)の転動ローラー(33)が軸支されてもいる。
【0062】
その場合、蓋体(28)側の転動ローラー(33)は上記金型本体(27)側の転動ローラー(30)よりも横外方へ大きく張り出した設置状態にあり、金型(M)を図7〜11のように閉合した時、その転動ローラー(30)(33)同士が干渉しないようになっている。
【0063】
しかも、金型(M)を図1の金型閉合部(A)において、その被焼成物(1)が充填された展開状態から閉合したり、更に図1の金型展開部(B)において、その焼成後の被焼成物(1)を取り出すために、閉合状態から展開したりする際、金型閉合機構のエヤーシリンダー(図示省略)などを上記蓋体(28)側の転動ローラー(33)だけに係止させつつ、その蓋体(28)を後方から押圧することにより、金型本体(27)へ覆いかぶせ閉合したり、金型展開機構のエヤーシリンダー(図示省略)などをやはり蓋体(28)側の転動ローラー(33)だけに係止させつつ、その蓋体(28)を下方から押圧することにより、金型本体(27)から起し上げ展開したりすることができるようになってもいる。
【0064】
先に一言したガイドレール(3)は金型(M)を搭載する左右一対として、その一定長さ(L)だけ機体フレーム(5)へ図1のように固定支持されており、上記オーブン(T)の焼成室(6)内を貫通する水平状態にあるが、その一端部(後端部)はガイドレール(3)への高い金型滑降台(34)として、残る他端部(前端部)はガイドレール(3)からの低い金型滑降台(35)として、何れも金型(M)が自づと滑降し得る傾斜状態に形作られている。
【0065】
そして、上記オーブン(T)の入口ダクト(14a)とガイドレール(3)の高い金型滑降台(34)との前後相互間に、被焼成物(1)の自動充填機(2)とその充填直後の金型閉合機構による金型閉合部(A)とが介在している。その金型閉合部(A)において閉合された金型(M)は、金型押し込み機構のエヤーシリンダー(図示省略)などにより、ガイドレール(3)上を図1の矢印(F)方向へ自動間歇的に前進移動されて、オーブン(T)の内部に挿入されることとなる。つまり、被焼成物受け体としての金型(M)は、その1個づつ別個独立する状態にあり、順次後方からオーブン(T)の内部へ押し込み通過されるようになっている。
【0066】
他方、上記ガイドレール(3)の低い金型滑降台(35)とオーブン(T)の出口ダクト(14b)との前後相互間に、上記金型展開機構による金型展開部(B)が介在しており、ここで展開された金型(M)の内部から、焼成後の被焼成物(1)が自づと落下する如く取り出されて、図外の収納容器へ収納されるのである。その金型(M)の展開時に上記ロック金具(31)が解除する方向へ回動されることは、言うまでもない。
【0067】
その場合、上記金型展開部(B)とオーブン(T)の出口ダクト(14b)との前後相互間には、サーモパイルや放射温度計などの第2温度センサー(36)が設置されており、これによって未だ閉合状態にある金型(M)の加熱温度を被焼成物(1)の焼成温度とみなして検知するようになっている。その被焼成物(1)の目標とする焼成温度は、先に例示した約175℃であり、その設定を手動で行なうようになっている。
【0068】
そして、その第2温度センサー(36)により検知した金型(M)の現在温度が、未だ被焼成物(1)の目標とする焼成温度に到達しておらず、これよりも低い間はその温度センサー(36)の検知出力信号に基いて、上記送風ファン(20)の駆動モーター(21)を高速回転させ、その送風ファン(20)から金型(M)へ多量の熱風を吹き付ける。つまり、第2温度センサー(36)の検知出力信号に基いて、上記駆動モーター(21)の回転速度を金型(M)の現在温度と対応するように調整し、その送風ファン(20)から金型(M)へ直接吹き付ける単位時間当りの熱量を増減するのである。
【0069】
更に、上記被焼成物(1)が取り出された展開状態にある金型(M)を、再度被焼成物(1)の充填し得る位置まで後退復帰させる無端なチェンコンベア(4)は、図1のように上記ガイドレール(3)の低い金型滑降台(35)から滑降する金型(M)を捕捉できる位置から、同じくガイドレール(3)の高い金型滑降台(34)へ金型(M)を押し上げ得る位置までの作用長さとして、機体フレーム(5)に内蔵された駆動モーター(37)により、同図の矢印(R)方向へ循環回走されるようになっている。(38)はそのチェンコンベア(4)の駆動スプロケット、(39)は同じく従動スプロケット、(40)は複数個の径小な変向ガイドスプロケットである。
【0070】
しかも、上記チェンコンベア(4)は図15〜17の部分拡大図から明白なように、一定間隔おきに分布する多数の駆動フック(41)を具備しており、図1、15、16の矢印(R)方向へ回走されるに連れて、その駆動フック(41)が金型(M)の展開状態にある蓋体(28)に係止しつつ、これを後方(R)へ押し進めることができるようになっている。
【0071】
そのため、展開状態の金型(M)を上記ガイドレール(3)における一端部(後端部)の高い金型滑降台(34)まで、支障なく押し上げ搬送することができ、そこに到達した展開状態の金型(M)は、自づと前方(F)へ滑降して、再び充填機(2)により被焼成物(1)を充填されることとなる。このような工程サイクルを繰り返すのである。
【0072】
その場合、上記チェンコンベア(4)による金型(M)の後退復帰過程、就中充填機(2)の手前(上流側)となる金型押し上げ個所には、そのチェンコンベア(4)と金型(M)を包囲する螺旋状の電磁誘導加熱コイル(42)と、これが巻き付けられた磁性体金属(例えばSUS430)のダクト(43)とから成る金型予熱部(C)を設置することが好ましい。
【0073】
そうすれば、被焼成物(1)の取り出し後、展開状態において復帰中の金型(M)が、自然に冷めることを予防できるほか、再度被焼成物(1)の充填により、冷え過ぎることも予防し得るからである。上記金型予熱部(C)での予熱温度は、被焼成物(1)の目標とする焼成温度(先に例示した約175℃)とほぼ同等に設定すれば良い。
【0074】
(44)は上記金型予熱部(C)での予熱温度を検知する第3温度センサーであって、やはり放射温度計などから成るが、その予熱温度は先の第2温度センサー(36)により検知された金型(M)の加熱温度に基いてフィードバック制御し、被焼成物(1)の目標とする焼成温度を常に修正することが望ましい。被焼成物(1)の焼成をますます短時間での熱効率良く得られるからである。
【0075】
先に例示したクッキーの生地(材料)を被焼成物(1)として、上記食品焼成機の作用を説明すると、オーブン(T)の入口側において展開状態の金型(M)へ、図1の充填機(2)により被焼成物(1)が自動的に充填される。その充填された金型(M)はその直後の金型閉合部(A)において、図7〜11のように閉合されるや否や、オーブン(T)の内部に向かって順次自動間歇的に押し込み移動される。
【0076】
そして、そのオーブン(T)の内部では空気温度(雰囲気温度)が、被焼成物(1)の目標とする焼成温度(例えば約175℃)よりもはるかに高い温度(例えば約300℃)として維持されており、未だ金型(M)の加熱温度が被焼成物(1)の目標とする焼成温度よりも低い間は、これを検知した第2温度センサー(36)の出力信号に基き、送風ファン(20)が高速回転されることにより、上下方向(表裏方向)から多量の熱風が吹き付けられるため、その金型(M)の加熱温度は短時間での効率良く被焼成物(1)の目標とする焼成温度に到達する。
【0077】
その場合、送風ファン(20)の熱風を金型(M)に直接吹き付けるだけでなく、上記高い雰囲気温度(約300℃)に保たれているオーブン(T)の内部へ、水投射ノズル(24)から送風ファン(20)の回転を介して拡散されるミスト水により、過熱蒸気も発生させるならば、その過熱蒸気の強い乾燥力と高い凝縮伝熱性によって、上記金型(M)をますます高速に熱効率良く、被焼成物(1)の目標とする焼成温度まで加熱できるのである。
【0078】
何れにしても、上記金型(M)が閉合状態のままで、オーブン(T)の出口側まで通過したならば、図1の金型展開部(B)において、その金型(M)が図4〜6のように展開され、被焼成物(1)が金型(M)から取り出されることとなる。その空になった展開状態の金型(M)は、ガイドレール(3)の低い金型滑降台(35)を自づと滑降して、循環回走しているチェンコンベア(4)の駆動フック(41)に捕捉されることとなり、そのチェンコンベア(4)の駆動フック(41)によって、後方から図1の矢印(R)方向へ移動されるのである。
【0079】
そして、その金型(M)が上記ガイドレール(3)の高い金型滑降台(34)まで押し上げられる途中において、金型予熱部(C)での予熱を受けた後、その高い金型滑降台(34)から自づと滑降して、上記充填機(2)の存在する位置まで復帰し、金型(M)に再度被焼成物(7)が充填され、引き続き同様な上記作用を繰り返すことにより、大量の被焼成物(1)を焼成できるのである。
【0080】
要するに、上記食品焼成機を構成しているオーブン(T)は、そのトンネル型の焼成室(6)内における空気(雰囲気)温度を被焼成物(1)の目標とする焼成温度に応じて調整制御することにより、その被焼成物(1)を直接焼成する方式ではない。
【0081】
あくまでも、焼成室(6)内の空気(雰囲気)温度はこれだけの加熱に専念する電磁誘導加熱コイル(8)を使って、被焼成物(1)の目標とする焼成温度よりも遙かに高い温度に維持しておき、その上で被焼成物(1)の焼成温度とみなす金型(M)の加熱温度を、第2温度センサー(36)によりリアルタイムに検知して、その加熱温度が未だ低く、目標の焼成温度まで到達しないうちは、その現在加熱温度に応じた回転速度の送風ファン(20)から、上記金型(M)へ熱風を直接吹き付けて、その金型(M)を加熱(昇温)し、目標とする焼成温度の被焼成物(1)を得るようになっている。
【0082】
その結果、被焼成物受け体である金型(M)の加熱温度や延いては被焼成物(1)の目標とする焼成温度を容易に、しかも高精度に調整制御することができる。そして、上記焼成室(6)内の雰囲気温度や金型(M)の加熱温度、被焼成物(1)の目標とする焼成温度、金型(M)の予熱温度は、その何れも被焼成物(1)となる食品又は食品生地の種類や充填量(大きさ)などに応じて、最適に設定することができるため、各種食品やその生地(材料)の焼成作業に広く適用し得るのである。
【0083】
更に言えば、オーブン(T)の電磁誘導加熱コイル(8)が巻き付けられている焼成室(6)と、その内部を貫通している固定ガイドレール(3)に沿って前進移動される金型(M)との間隙を、制約なく広く確保することが可能になるため、機械製作上の高度な技術や加工を要さず、食品焼成機としての量産効果を最大限に発揮させ得る利点もある。
【0084】
図18、19は本発明の第2実施形態として、ファミリーレストランやコンビニエンスストアーなどの飲食店におけるハンバーグやステーキ、ピザ、グラタン、シチュー、ギョーザなどの即席調理にふさわしい電磁誘導加熱式の食品焼成機を例示しており、そのハンバーグやステーキなどの食品が被焼成物(1)となる。
【0085】
このような食品焼成機のオーブン(T)も上記第1実施形態のそれと同じく、ステンレス鋼(SUS430)や鉄などの磁性体金属から成る焼成室(6)を有するが、その焼成室(6)は前面(正面)だけが開閉できる断面ほぼコ字形に造形されており、その周囲(上下左右)にやはりグラスウールなどの断熱材(7)を介して、1本の電磁誘導加熱コイル(8)が螺旋状に巻き付けられている。(45)は上記焼成室(6)内の透視窓(46)を備えた前面(正面)開閉扉である。
【0086】
そして、オーブン(T)の電磁誘導加熱コイル(8)により電磁誘導加熱される焼成室(6)内の雰囲気温度は、やはり被焼成物(例えばハンバーグ)(1)の目標とする焼成温度(例えば約230℃)よりも常に高い温度(例えば約350℃)に設定されており、これを検知する非接触式の第1温度センサー(19)が図18のように、上記オーブン(T)の焼成室(6)へ上方から差し込み固定されている。
【0087】
又、(47)は上記オーブン(T)における焼成室(6)内の中途高さ位置に架設された水平な棚であって、網目やその他の通気性を有し、これには上記被焼成物(1)を裸状態に受け持つ金属製の皿(M)が搭載される。その皿(M)は上記被焼成物受け体として、上記第1実施形態の金型(M)に相当する。
【0088】
但し、金属製の凹曲面を備えた皿(M)に代えて、金属製の平板(ホットプレート)や金網などを採用しても良く、更には上記皿(M)に着脱自在の天蓋(48)を覆いかぶせても良い。何れにしても、このような被焼成物受け体としての皿(M)や平板などは、オーブン(T)の前面(正面)から焼成室(6)内の棚(47)上へ、人手によって自由自在に出し入れすることができる。
【0089】
第2実施形態の食品焼成機では、上下一対(2個)の送風ファン(20)が上記棚(47)上の皿(M)又は裸状態の被焼成物(1)を目指して、これに上下方向(表裏方向)から熱風を積極的に吹き付け、その皿(M)の加熱と延いては被焼成物(1)の焼成を促進する。その送風ファン(20)を回転駆動するファンモーター(21)は、やはりオーブン(T)の外部に設置されている。
【0090】
更に、第2実施形態の場合上記皿(M)の加熱温度を、その皿(M)に受け持たれた被焼成物(1)の焼成温度とみなして検知する第2温度センサー(36)は、熱電対や測温抵抗体などの接触式温度センサーとして、オーブン(T)の外部(好ましくは背後)から焼成室(6)へ差し込み固定されている。その第2温度センサー(36)が現在温度を検知した出力信号に基き、上記送風ファン(20)の回転速度を高めて、皿(M)又は被焼成物(1)に直接吹き付ける単位時間当りの熱風量を増すことは、先の第1実施形態と同じである。
【0091】
又、第2実施形態の場合水投射ノズル(24)はオーブン(T)の焼成室(6)へ、その背後から上側送風ファン(20)の羽根を目指して、固定状態に差し込み配管されており、これからの投水をやはり回転羽根によってミスト状に拡散し、焼成室(6)内に過熱蒸気を発生させ得るようになっている。
【0092】
上記第2実施形態の被焼成物(1)が先に例示したハンバーグやステーキなどの食品である場合、その過熱蒸気の強い乾燥力と、凝縮伝熱時の凝縮水により、表面が乾燥するも、中芯がジューシーな焼成状態を得られる。
【0093】
尚、第2実施形態の食品焼成機では上記第1実施形態の導風板(22)や金型予熱部(C)などが設置されていない。その他の主としてオーブン(T)に関する構成は、上記第1実施形態と実質的に同一であるため、その図18、19に図1〜17との対応符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0094】
(1)・被焼成物
(2)・充填機
(3)・ガイドレール
(4)・チェンコンベア
(5)・機体フレーム
(6)・焼成室
(7)(17)(18)・断熱材
(8)・電磁誘導加熱コイル
(9)・天板
(10)・中間ダクト
(11)(12)(15)・端部フランジ
(13)(16)・ネジ締結具
(14a)・入口ダクト
(14b)・出口ダクト
(19)・第1温度センサー
(20)・送風ファン
(21)・ファンモーター
(22)・導風板
(23)・取付ベース
(24)・水投射ノズル
(25)・電磁弁
(26)・ヒンジ
(27)・金型本体
(28)・蓋体
(29)・成形凹溝
(30)(33)・転動ローラー
(31)・ロック金具
(32)・支点ピン
(34)(35)・金型滑降台
(36)・第2温度センサー
(37)・駆動モーター
(38)・駆動スプロケット
(39)・従動スプロケット
(40)・変向ガイドスプロケット
(41)・駆動フック
(42)・電磁誘導加熱コイル
(43)・ダクト
(44)・第3温度センサー
(45)・開閉扉
(46)・透視窓
(47)・棚
(48)・天蓋
(A)・金型閉合部
(B)・金型展開部
(C)・金型予熱部
(M)・金型(皿)(被焼成物受け体)
(T)・オーブン
(F)・前進方向
(R)・後退方向
(D)・中間ダクトの長さ
(L)・ガイドレールの長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体金属から成る焼成室の周囲に、電磁誘導加熱コイルが螺旋状に巻き付けられたオーブンと、
食品やその生地などの被焼成物を保持する被焼成物受け体と、
上記オーブンの電磁誘導加熱コイルにより電磁誘導加熱される焼成室内の雰囲気温度を検知する第1温度センサーと、
上記被焼成物又は被焼成物受け体の加熱温度を検知する第2温度センサーと、
上記被焼成物又は被焼成物受け体を目指す複数個として、上記オーブンの焼成室内に設置された送風ファンとを備え、
上記焼成室内の雰囲気温度を被焼成物の目標とする焼成温度よりも常に高い温度に保つと共に、
上記第2温度センサーにより検知した被焼成物又は被焼成物受け体の現在加熱温度が、被焼成物の目標とする焼成温度よりも低い間は、その第2温度センサーの出力電気信号に基づき上記送風ファンの回転速度を速く調整して、その送風ファンにより被焼成物又は被焼成物受け体へ熱風を直接吹き付けることを特徴とする電磁誘導加熱式の食品焼成機。
【請求項2】
送風ファンの少なくとも1個を目指す水投射ノズルを、オーブンの焼成室内に設置して、
そのノズルから投射した水を上記送風ファンの回転によりミスト状に拡散させて、オーブンの焼成室内に過熱蒸気を生成することを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式の食品焼成機。
【請求項3】
送風ファンの熱風を被焼成物又は被焼成物受け体へ吹き付けるための導風板を、オーブンの焼成室内に設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の電磁誘導加熱式の食品焼成機。
【請求項4】
焼成室がトンネル型に造形されたオーブンの複数個を、その隣り合う電磁誘導加熱コイルによる相互誘導の影響を回避できる必要長さの中間ダクトを接手として着脱自在に、且つ同芯の直列状態に連通接続したことを特徴とする請求項1又は2記載の電磁誘導加熱式の食品焼成機。
【請求項5】
オーブンの焼成室をトンネル型とし、被焼成物受け体を被焼成物成形用の開閉可能な金型として、その金型を上記オーブンの貫通状態に固定支持されたガイドレール上へ、移動できる係合状態に搭載すると共に、
上記オーブンの入口側において被焼成物を充填された金型の加熱温度が、その被焼成物の目標とする焼成温度に到達したか否かを検知する非接触式の第2温度センサーを、上記オーブンの出口側において未だ閉合状態にある金型を目指すように設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の電磁誘導加熱式の食品焼成機。
【請求項6】
オーブンの焼成室をトンネル型とし、被焼成物受け体を被焼成物成形用の開閉可能な金型として、その金型を上記オーブンの貫通状態に固定支持されたガイドレール上へ、移動できる係合状態に搭載し、
上記オーブンの入口側において未だ被焼成物が充填される前の展開状態にある金型を、電磁誘導加熱コイルによって予熱し、その金型の予熱温度を非接触式の第3温度センサーによって検知すると共に、
上記電磁誘導加熱コイルによる金型の予熱温度を、第2温度センサーによって検知された金型の加熱温度に基づいてフィードバック制御することを特徴とする請求項5記載の電磁誘導加熱式の食品焼成機。
【請求項7】
オーブンの焼成室を前面だけが開閉できる断面ほぼコ字形に造形して、その周囲へ電磁誘導加熱コイルを螺旋状に巻き付けると共に、
被焼成物受け体を金属製の平板又は皿として通気性がある棚上へ、上記オーブンの前面から出し入れ自在に搭載し、
上記平板又は皿の加熱温度がその被焼成物の目標とする焼成温度に到達したか否かを検知する接触式の第2温度センサーを、上記オーブンの焼成室へ差し込み固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の電磁誘導加熱式の食品焼成機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−165691(P2012−165691A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29348(P2011−29348)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(391026209)中井機械工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】