説明

電磁軸受を利用するターボ機械内にてシールを位置決めする方法

電磁軸受を利用するターボ機械内にて軸及び関係したシールを位置決めする方法である。該方法は、電磁軸受の巻線に電力を印加して、軸の中心が第一の位置にあり、軸は、関係したシールと接触している。電磁軸受に対する電力を調節することにより、ターボ機械の通常の作動中に、軸がその中心合わせした位置にて回転するとき、シールが軸と非接触状態となる位置まで減少する振幅の一連の動きにて軸を動かすことにより、シールは、軸により操作することができる。軸の軸線が電磁軸受の軸線と実質的に同軸状となるとき、通常の作動中に、軸はその中心決めした位置にある。減少する振幅の一連の動きは、1つの以上の軸線の回りにて減少する振幅の揺動を含むことができ、又は軸を当初の位置すら最終位置まで動きさせる減少する振幅の半径を有するスパイラル状の回転を含むことができる。軸の動きは、電磁軸受の巻線に対する電力を調節することにより、実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書に記載した過程及び装置は、全体として、能動的な磁気技術を利用する軸受を有する圧縮機又はタービンのようなターボ機械に関し、より具体的には、ターボ機械の軸の密封の仕組みを改良することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 電磁軸受の形態をした能動的な磁気技術は、現在、ころ要素の軸受又は流体膜軸受のような従来の技術と異なり、ロータ及び軸を浮揚させるため一部のターボ機械にて利用されている。ロータの位置は、位置センサによって監視される。通常、磁気軸受のボアの回りにて等間隔に配設された少なくとも4つの位置センサがある。これらのセンサは、コントローラに情報を提供する一方、このコントローラは、電磁軸受に供給される電流を調節して軸の中心を所望の位置又は所望の許容公差の範囲内に維持する。軸受の電子要素は、通常、軸を全てのセンサから等距離に維持しようとする。この位置において、軸の軸線及び電磁軸受の軸線は、実質的に同軸状である。実質的に同軸状とは、ターボ機械の作動に影響を与えないが、ターボ機械の設計に依存して変化し、また、不均衡、突発的又は不安定な空気力学的力のような、理想的状況からの色々な変化に依存して変化する可能性のある、許容可能な公差により電磁軸受の軸線から軸が偏位し得ることを意味する。本明細書にて使用したように、軸の通常の作動位置は、軸の軸線が軸受の軸線と一致する(又は、その許容可能な公差範囲内に位置する)ことを意味する、中心決めした位置とも称される。ターボ機械は、通常、少なくとも2組みのラジアル軸受、この場合、電磁軸受を含むため、本明細書に記載した説明は、軸受の各組みに当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 回転中、軸受電子要素への電力を損失し、又は、制御電子要素が故障した場合、磁気軸受は不作動となり、また、軸受は、最早、電磁軸受によって支持されなくなる。このとき、軸は、この目的のため、供給された及び(又は)シールにより支持された電磁軸受の機械的構成要素により支持されることになろう。これらの要素及び軸は、特に、ターボ機械が回転しているとき、機械と恒久的に接触するようには設計されていない。このため、磁気軸受が作動不能となったとき、軸を支持する補助部又は安全作用部としてメカニカル軸受が設けられる。メカニカル軸受は、電磁軸受に対して固定され、また、製造許容公差により許容されるように、メカニカル軸受に対し同心状で且つ同軸状に固定される。このため、本明細書にて使用するように、電磁軸受及びメカニカル軸受のこの共通の中心は、電磁軸受及びメカニカル軸受は共に同心状で且つ同軸状であることを意味する、軸受の中心と称される。磁気軸受が不作動となったとき、軸は、重力及び存在するであろうその他の静止力の下、休止する。軸線がターボ機械内にて水平に向き決めされたとき、休止位置は、通常、メカニカル軸受の許容可能な隙間内にて最低の位置となるであろう。軸線が垂直であるとき、休止位置は予見不能である。軸及び軸受のような部品間の隙間は、装置の寸法に依存して異なるが、典型的に遠心圧縮機に対する軸と電磁軸受の間の半径方向隙間は、1mm(0.040インチ)程度である。ターボ機械の通常の又は電力作動の間、回転機械は、メカニカル軸受が静止したままである間、軸及び軸受の双方の摩耗を避けるため、メカニカル軸受と接触することなく、作動しなければならない。このため、軸が磁気的に浮揚されたとき、軸とメカニカルな補助的軸受との間に多少の隙間がなければならない。軸とメカニカル軸受との間の半径方向隙間は、通常、約0.25mm(0.010インチ)である。電磁軸受が不作動となったとき、メカニカル軸受は、軸と電磁軸受とが接触せずに、ターボ機械が停止しており又は惰力にて停止しようとする間、軸を支持している。多様な軸受の任意の1つは、補助的軸受又は安全軸受として使用することができるが、ころがり要素型式の軸受が好まれることが多い。
[0004] ターボ機械において、軸は、また、全体として、軸に沿った漏洩を少なくし又は防止するためガスシールとも関係付けられる。遠心圧縮機の場合、ガスの漏洩は、シュラウド付きインペラを利用する装置に対してインペラの入口にて減少し又は防止される。補助的軸受としてメカニカル軸受を使用することは、ターボ機械内にてガスの漏洩を減少させるため使用されるシールの設計及び機械的配置に影響を与える。シールの最も簡単な設計は、僅かな隙間にて軸に面する円筒形スリーブを有することである。軸に沿った漏洩流れを少なくするため使用される代替的な設計は、ラビリンスシールとも称される、ラビリンス幾何学的形態を有するシールである。単一の長い障壁にて密封しようとするのではなく、ラビリンスシールは、漏洩流れを減少させるため多数の流れ絞りステップを使用する。
[0005] ガスシールは、通常、通常の作動中に、隣接する面と接触しないように、慎重に適合させた直径及び幾何学的形態を有する2つの硬い面から成っている。軸とシールとの間の機械的摩擦が減少し又は解消されるのみならず、より重要なことに、シール及び軸の摩耗が減少し又は解消される。上述したように、ガスの漏洩を減少させる最も簡単で且つ最良の方法は、接触を防止すると同時に、シールと軸との間の隙間を最小にすることである。ガスシールに対する典型的な所望の半径方向隙間は、軸とシールとの間の0.1から0.15mm(0.004−0.006インチ)であり、これは、典型的に、0.25mm(0.010インチ)の補助的メカニカル軸受の典型的な半径方向隙間よりも小さい。シールの所望のシール隙間よりも大きいメカニカル軸受の隙間を有することは、かかるシールの設計を複雑にする。シールの設計は、メカニカル軸受の効果を考慮しなければならない。シールが軸に隣接してハウジングに剛性に固定される場合、シール隙間は、磁気軸受が不作動となり、また、軸の支持体を提供するためメカニカル軸受が利用されるとき、シールと軸との接触を避けるため、軸とメカニカル軸受との間の隙間に少なくとも等しくなければならない。この隙間を提供できない場合、シールは摩耗する結果となり、このことは、機械の効率を損失させる結果となるであろう。より酷い場合、軸は損傷し、また、摩擦に起因する高温度のため、接触する部品、すなわち軸及びシールが過熱するであろう。更に、シールを軸に対し適正に整合させることが難しいため、軸に隣接して固定したシールを組み立てることは、困難で且つ時間を消費する。
[0006] 軸とシールとの間の隙間を少なくする1つの方法は、シールがハウジングに剛性に取り付けられないように、シールを取り付けることである。シールは、軸の位置がシールを妨害するとき、制限された抵抗にて軸の動きに従動するようシールが半径方向に摺動するような仕方にて可動に取り付けられる。シールの動きを付勢し且つシールを軸に対して実質的に自己中心合わせするためばねを使用することは周知である。かかる設計において、電磁軸受に対する電力を供給し且つ停止させるとき、シールは、軸がシールの位置を妨害する限り、軸の動きに従動する。しかし、軸及びシールは、必ずしも同心状である必要はなく、接触したままであるようにしてもよい。例えば、水平に向き決めされた軸の場合、電力が電磁軸受から除去されたとき、軸は、補助的なメカニカル軸受と接触する迄、重力の結果として軸受上に落下する。次に、シールは、その休止位置にて軸に対して下方に偏倚されるが、この場合、シール及び軸は、相互に接触し且つ同心状ではない。電力が低下する間、軸が惰力にて停止しようとするときのような、軸がこの位置にて回転する場合、軸とシールの間に多少の摩耗が生じる。電磁軸受への電力が回復されたとき、軸は、その通常の作動位置まで浮揚され、シールを上方に押し、シールは、軸と残留接触している。シールは依然として、軸と接触しているから、機械がこの位置にて回転しているとき、摩耗が生じる。
[0007] 電力が回復されたとき、電磁軸受が再浮揚される場合、接触力は小さいが、ターボ機械の回転が再開するとき、軸とシールとの間に依存として摩擦が存在する。シールの設計は、この摩擦に対応しなければならない。材料は、過剰な摩耗及び加熱を伴わずに、この摩擦に耐えるよう選択しなければならず、このことは、より複雑で且つ費用のかかる設計となる。これらの設計上の努力にも拘わらず、シールは最終的に多少の程度の摩耗及び性能の劣化を示す。ターボ機械の作動特徴を回復するため定期的な保守が必要とされ、このことは、軸を保護するため追加的な摩耗スリーブが設けられる設計とされない限り、シールを交換し且つ(又は)軸を修理し又は交換することが必要となり、この場合、保守する間、これらのスリーブを交換することが必要となる。
[0008] コスト高で且つ複雑な設計とされたシールを必要とせずに、シールと軸との間に最小の隙間を許容するシステムが必要とされる。最小の隙間は、機械を組み立て且つ作動させる間、維持しなければならない。本発明は、これら必要性の1つ以上を満足させ且つその他の有益な特徴を提供する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0009] 1つの実施の形態は、ターボ機械の始動前に、電磁軸受を利用するターボ機械内にて軸に対して軸のシールを中心合わせすることに関する。本明細書にて使用するように、「電磁軸受」という語は、電流を印加したときにのみ作用する永久磁石無しの「電磁軸受」のみならず、能動的な電磁的作用を永久磁石の受動的効果と組み合わせて、重量のような、永久的な静荷重を補償する軸受を含む。通常、ガスシールの隙間は、ターボ機械の効率的な作動にとって望まれる、補助的軸受の隙間よりも小さい。軸をシールに対して実質的に中心合わせすることにより、軸及びシールは、実質的に同心状である。本明細書にて使用するように、同心状という語は、軸及びシールの幾何学的中心が実質的に同一であることを意味する。軸がある軸方向長さを有し、また、シール、特に、ラビリンスシールもある軸方向長さを有する限り、シールの幾何学的軸線及び軸の軸線は、また、本明細書に記載したように、同心状という語に包含される実質的に同軸状とすることもできる。
[0010] コントローラにより制御される電磁軸受を利用するターボ機械内にて半径方向に可動のシールを位置決めする方法が本明細書にて記載されている。この方法は、コントローラによって電磁軸受に電力を印加する工程を含む。コントローラは、電力をプログラム化した順序にて電磁軸受の巻線に印加することにより軸の動作を制御する。軸は、コントローラによって電力を軸受に印加することにより移動してシールと接触し、このことは、軸を半径方向に動かし、これによりシールを或る半径方向位置に動かしる。この半径方向位置は、軸がその中心合わせした位置にあり且つ回転するとき、軸とシールとの接触を回避するよう選ばれる。
[0011] この方法は、シールが軸により所望の位置に配置された後、追加的なステップを含むことができ、この場合、軸は、シールと接触しないように動き、また、中心合わせされ、このため、軸の軸線は、軸の回転が開始する前、電磁軸受の軸線に対して実質的に同軸状である。
[0012] コントローラ内にてプログラミングとして代替的に説明した、論理装置は、軸の中心を所定の軌跡で動かし得るように電磁軸受に印加される電力を制御する。軌跡は、それに従ったとき、軸がシールと接触し、これによりシールを所望の位置まで動かすように設計されている。
[0013] シールを軸受の中心に対して完全に中心合わせすることは、通常の作動中に、軸とシールとの間の接触及び摩耗の危険性を最小にすることにより実質的な利点を提供する。しかし、このことは、潜在的な短所ももたらす。電力が停止し、又は軸受電子要素が故障したとき、軸は、機械が依然として惰力にて停止しようとする間、その休止位置に達し、このことは、多少の摩耗を生じさせる。全体的な又は理想的な結果は、通常の作動時に、また、かかる異常な状況にて、全体的な接触の危険性を最小にすることである。シールを軸受に対して完全に中心合わせしようとすることに代えて、シールの中心を完全な中心合せとその休止位置における軸の中心との間のどこかに位置決めする結果となるようにして、兼ね合いを計ることができる。例えば、水平に取り付けた機械の場合、シールの中心は、その休止時の位置から上方に動かさなければならない。しかし、シールを軸受の中心まで全行程を動かさず、休止位置と軸受の中心との間の中間位置まで動かし、通常の作動時に、軸とシールとの間の接触を避けるのに十分、シールが移動されるようにする選択が可能である。シールの変位をこの最小値まで少なくすることは、異常な状況時、摩耗の危険性を少なくする。以下に説明する色々な方法は、暗黙的に軸受の中心と一致すると想定される、望ましい位置にてシールの中心を配置することを目的とする。軸受の中心と異なる位置がシールの中心として選ばれる場合、同一の方法が適用されよう、すなわち、標的位置のみが変更される。
[0014] 単に説明のためにのみ、軸は水平に取り付けることができるが、そのようにのみ限定されるものではない。水平方向に向き決めしたとき、電磁軸受から電力が除去された後、ターボ機械の軸は、重力の力により下方に引っ張られる。軸の中心は、軸が軸受の中心と一致する第一の通常の回転位置から軸が補助的軸受と接触する、安全作用部として提供される、第二の休止位置まで変位する。軸が休止位置まで下方に引っ張られたとき、軸は、最初に、シールと接触する、すなわち、同様に下方に動き、軸が補助的なメカニカル軸受と接触したとき、軸及びシールが休止する迄、シールの中心を軸受の中心に対して動かす。このとき、軸及びシールの双方は、第二の下方の休止位置にある。機械を再始動させる前、電力が電磁軸受の巻線に印加され、軸の中心を第一の予め選んだ半径方向軸線に沿って動かす。通常、この軸線は、休止位置にあるとき、軸の中心を通ってその通常の中心合わせした位置にて軸の中心まで伸びる。水平に向き決めした軸の場合、この半径方向軸線は、通常、垂直に伸び、当初の動作は、垂直軸線に沿って中心決めした位置まで上方に向かい、次に、中心合わせした位置を超え、すなわち、中心合わせした位置を行き過ぎ、メカニカルな安全軸受と接触せずに、中心合わせした位置の上方にて軸とメカニカルな安全軸受との間の直径方向隙間の約1/2の位置にある第三の位置に達する。この動きの結果、軸は、シールと接触し、軸を新たな位置まで動かす。次に、電力が電磁軸受に印加され軸をその中心合わせした位置まで戻すように動かす。このことは、上述したように、第一の予め選んだ軸線、すなわち軸の垂直軸線をシールに対して整合させる。
[0015] 上記の方法は、シール隙間は既知であると想定する。実際上、シール隙間は、製造許容公差及び生じるであろう摩耗を含む、多数の因子に起因して正確には分からない。この不確実さを克服するため、シールの位置決めは、更に改良することができる。第一の予め選んだ軸線に沿って隙間だけ行き過ぎることに代えて、行き過ぎは、最初に、理論的なシール隙間よりも大きいが、メカニカル軸受の隙間よりも小さい距離だけでなければならない。次に、軸は、電磁軸受の幾何学的中心の回りにて減衰する振幅の揺動又は往復運動にてこの軸線に沿って前後に動くことができる。このようにして、軸は、運動振幅がシールの隙間よりも大きい間、シールを前後に動かす。幾何学的中心を介して益々小さい振幅にて軸を連続的に揺動させ又は往復運動させる結果、最終的にシールの隙間よりも小さい運動となり、また、軸は、これらの運動中、シールに接触しない。その結果、シールは、第一の予め選んだ軸線の回りにて完全に中心合わせされる。
[0016] 別の実施の形態において、電磁軸受を利用するターボ機械内にて半径方向に可動の軸及び関係したシールを中心合わせする方法は、第一の位置にて軸の中心が軸の軸線上に配置される、電磁軸受の巻線に電力を印加する工程を備え、この場合、軸は、関係したシールと接触しており、また、軸の中心と電磁軸受の軸線との間にて半径を規定することができる。電磁軸受の軸線に対する電力は、絶えず減少する半径を有するばね内にて軸及びその中心を動かすように調節され、当初の半径は、電磁軸受の軸線から軸の中心まで伸びる垂直線により規定され、また、軸の軸線が軸受の軸線に対して実質的に同軸状であるとき、最終半径は零に近くなり、これにより軸の中心を軸受の軸線に沿って(又は許容された許容公差の範囲内にて)配置する。絶えず減少する半径が零に近付く迄、電磁軸受の巻線に対する電力は調節される。次に、位置センサは、軸の位置を測定し、その値を固定された電磁軸受の位置と比較し、通常の作動形態における軸の軸線と、電磁軸受の軸線とが実質的に同軸状であることを決定し且つ確認する。測定の結果、同軸性が要求される許容公差の範囲内になく、又は、軸の中心が要求される許容公差の範囲内にて、その通常の作動形態にて電磁軸受の軸線上にないと決定された場合、軸の軸線及び電磁軸受が実質的に同軸状となる迄、これらのステップを必要なだけ繰り返すことができる。
[0017] 更に別の実施の形態において、電磁軸受を利用するターボ機械内にて軸を中心合わせし且つ関係したシールを配置する方法は、半径方向に移動することのできるシールを提供するステップを備えている。軸が休止し且つシールが休止する当初の位置から軸及びシールを動かして互いに接触させるよう電力が電磁軸受に印加される。軸及びシールを半径方向に配置し、シールが軸と電磁軸受との間にて隙間を提供する第二の位置に配置されるように、電力が電磁軸受に提供される。この隙間領域は、軸の半径と軸受の半径との間の半径方向空間であり、この半径方向空間において、軸が軸受内にて中心合わせされたとき、軸及びシールは接触しない。電磁軸受に対する電力を更に操作することにより、軸の軸線は、電磁軸受の軸線に対して実質的に同軸状に配置し、軸が電磁軸受の軸線上にて中心合わせされ且つシールと接触しないようにされる。シールの位置が軸によって操作されたとき、軸がその中心合わせした位置にて通常の作動中に、回転すると、回転する軸と第二の位置に配置されたシールとの間の接触は最小であり、理想的には全く、接触しないようにする。最小隙間は、回転する軸がシールと接触するが、シール隙間に悪影響を与えるであろう感得し得る程度の摩耗が存在しないときに生じる。最小隙間の状態は好ましくないが、この状態は生じ、また、許容可能な状態として含まれ且つ本発明の範囲内にあることが認識される。軸の軸線は電磁軸受の軸線に対して実質的に同軸状であり、シールがその第二の位置に配置されたとき、半径方向隙間は、軸とシールとの間にて軸の円周の回りにて360゜に存在する。
[0018] 該手順のこの工程にて、このとき、シールは、第一の所定の半径方向軸線の回りにて実質的に完全に中心合わせされるが、必ずしも軸受の幾何学的中心の回りにはない。幾何学的中心の回りにてシールの中心合わせを実現するため、軸を第一の軸線に沿って中心合わせされた状態に維持しつつ、第一の軸線に対して垂直な第二の半径方向軸線が選ばれる。上述したように、減衰、揺動又は往復運動するステップは、このとき、第二の軸線に沿って繰り返される。これと代替的に、軸の中心は、電磁軸受の軸線から短くなる距離にて動かし、軸の中心の動きが減衰するスパイラルであり、その結果、軸の中心は、電磁軸受の半径方向軸線上に配置され、また、軸の長手方向軸線は、電磁軸受の長手方向軸線と同軸状である。減少する振幅にて軸の揺動し又は往復運動する動きは、電磁軸受の巻線に対する電力の印加を制御する適正にプログラム化したコントローラによって容易に制御される。
[0019] ターボ機械の再始動前、上述したように軸が動かされたとき、軸及びシールは、軸受に対して実質的に同心状に配置することができ、また、ターボ機械は、通常の作動時に、軸とシールとの間にて僅かな空隙にて回転を再開することができ、このため、シールは軸と接触しない。シール及び軸をこれらが実質的に同心状となる位置に戻すことにより、軸と軸受との間の残留接触、及びこれと関係した摩耗の問題点は解消される。減衰する振幅にて過程を繰り返すことにより、製造許容公差の変化又は電力の損失に続く惰力により動く間の軸の偏心的な動きの何れかに起因する、シールに対する軸の全ての変化を補正することができる。更に、予め選んだ半径方向軸線は、単純に、互いに垂直な第一及び第二の予め選んだ半径方向軸線にのみ限定されるものではない。減衰するスパイラルは、電磁軸受を制御するコントローラを適正にプログラミングすることにより所望なように正確に近似値を見いだすことができる。
[0020] 位置決めする過程は、追加的な装置を追加することなく、既存のターボ機械に組み込むことができる。この過程は、シールと軸との間の残留接触に起因する摩耗を少なくし、その結果、シールの寿命は長くなる一方にて、軸の損傷原因を解消する。更に、剛性に取り付けたシールを有するターボ機械におけるよりも小さい空隙をシールと軸との間に維持することができる。シールと軸との間にて生じる接触は少なくなるから、シールと軸との間の半径方向隙間を減少させ且つ、より長時間、維持することができる。
[0021] 代替的な一例としての実施の形態は、全体として請求項に記載されるであろう特徴及びそれら特徴の組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】地下室に配置されたターボ機械及び遠心圧縮機と、屋上の冷却塔とを含む、加熱及び冷却システムを有する建物を示す。
【図2】電磁軸受を利用する図1の遠心圧縮機の断面図である。
【図3】軸の回りにて中心合わせされたラビリンスシールを示す、本発明の遠心圧縮機の詳細図である。
【図4】色々な位置にある、軸及びラビリンスシールの相対的位置の断面図であり、図4Aは、電磁軸受に対する電力を失った後の軸に対するラビリンスシールの位置を示す、図4Bは、中心合わせ手順中、中間位置におけるラビリンスシールの位置を示し、図4Cは、中心合わせ手順の完了後、軸に対して中心合わせされたラビリンスシールを示す。
【図5】軸の回りに実質的に均一な隙間を提供しつつ、軸及びシールが同心状となるように電力を電磁軸受に印加することにより、減少する振幅を使用して1つの予め選んだ半径方向軸線に沿った軸の一連の動きを示す。
【図6】軸及びシールの同心性を実現するため、減少するスパイラルにて軸の代替的な一連の動きを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0028] 図1は、典型的な加熱及び冷却システムを具備する建物10を示す。加熱及び冷却システムは、蒸発器及び凝縮器15と共に、地階にボイラー12及び遠心圧縮機14を含む。遠心圧縮機14には、電磁軸受が設けられている。凝縮器15は、ルーフトップ上に配置されたものとして示した冷却塔16と流体的に連絡しているが、この冷却塔の位置は、このように限定されるものではない。建物10の各床には、空気を建物の各床に分配し得るように空気取り扱いシステム18が設けられている。
[0029] 図2は、図1の遠心圧縮機14の断面図である。遠心圧縮機14は、軸22の各端を取り囲む電磁軸受20が設けられる点を除いて、その他の先行技術の遠心圧縮機と同様である。作動されたとき、電磁軸受20は、軸受20及びモータ24の双方内にて軸22を懸架させ、このため、軸22は、最小の摩擦損失にてインペラ26を回転させることができる。流体が軸22とハウジング30との間の空隙から漏洩するのを防止するため、軸22とハウジング30との間にガスシール28が設けられている。
[0030] 図3は、密封した開口部を有するハウジング30の端部における遠心圧縮機14の詳細図である。詳細図にて理解し得るように、ラビリンスシール28は、可撓性の座金40を備えるばね状の組み合わせ体により回転する軸22に押し付けられ、該可撓性の座金40は、ラビリンスシール28の後部に対して当接し、軸22が回転するとき、シール28を軸22に対して維持する。可撓性の座金40は、ボルト44によりその位置に維持される座金支持体42によりその位置に維持される。
[0031] 空気調和又は冷凍の用途にて使用される、例えば、遠心圧縮機14のような、ターボ機械の回転する軸22及びシール28は、電磁軸受20を利用して軸22を中心合わせする。しかし、意図的に又は意図せずに、遠心圧縮機14から電力が除去されたとき、軸22は、最早、中心合わせされていない。図4Aは、電力が電磁軸受20から除去されたときの、軸及びシールの位置を示す。遠心圧縮機14は、通常、ころがり要素軸受である安全メカニカル補助用軸受46を含み、この軸受は、従来の仕方にて軸22の回りを360゜伸びて、電磁軸受20に対する電力が失われたとき、ターボ機械が停止点まで安全に惰力にて動くことを許容する。シール28、軸22及びころがり要素軸受は、図4Aに示したように、電力が失われ、圧縮機14が停止したとき、下方接点60にて交差する円弧を有している。この位置において、軸22の中心62は、最早、シール28の中心64と同心状でなく、このとき、中心は、軸22と軸受28との間の隙間だけ偏位され、軸の中心62は、図4にて一定の参照線である線72上に配置される。図4Bは、本明細書にて概説した手順を実行することなく、軸が電磁軸受により通常、浮揚されたときの軸及びシールの位置を示す。電力が回復したとき、軸22は、軸受の電磁界により動かされ、このため、軸の中心62は、同様に、基準線72の上方に位置する、これも図4の目的のための、一定の基準線である、線70上の位置まで動く。また、電磁軸受20により軸22が動く結果、ラビリンスシール28は動くが、シールの中心64及び軸の中心62は、線70に沿って同心状でなく、軸の中心62は、シールの中心64の上方に配置され、シール28及び軸22は、上方接点74にて交差する。電磁軸受20に対する電力が回復したとき生じる、この状況において、軸の中心62及びシールの中心64は、図4Bにて明らかであるように、同心状ではない。軸22が回転すると、接点74に近い交差する円弧に沿って、望ましくない摩耗が生じる。不必要な磨耗を回避するため、軸の中心62及びシールの中心64は、図4Cに示したように同心状でなければならない。
[0032] 勿論、電力が回復した後、軸22及びシール28が図4Bに示した位置にある状態にて圧縮機14のような、ターボ機械を運転しないことが好ましい。図4Cは、本明細書に記載した過程を使用して軸22を操作した後の、軸22及びシール28の位置を表わし、この位置は、軸の中心62及びシールの中心64が同心状であるように、軸22とシール28との間の適正な隙間を回復する。
[0033] 再度、図4Bを参照すると、電力が回復したときに生じるように、電磁軸受20を使用して、軸の中心62が上方基準線70上の位置まで変位する位置まで軸22は最初に浮揚される。これは、軸の中心62が垂直の基準線76に沿って軸22の通常の作動中心位置まで単に平行移動することである。しかし、当該技術の当業者は、図4Bに示した垂直線は、最初、軸22の当初の中心位置に相応しないが、明らかとなるように、上方基準線70に沿って当初の中心位置の左側又は右側に変位することが理解されよう。また、軸22の当初の移動は、任意の直線に沿うように予め選ぶことができ、それは、軸22の移動は、電磁軸受20に印加される電流によって操作することができるからであることが明らかであろう。軸22は、当初の中心位置を通って直線にて進行するよう操作することができ、この中心位置は、図4にて基準線70、76の交点に配置されることが好ましい。軸22は、この中心位置にてラビリンスシール28と接触するよう動かすことができ、又は、軸22は、その当初の中心点を超えて、この場合、図5に示したように、垂直方向に向けて僅かに動くことができる。軸22は、この線に沿って図5にて点Bで示した、第一の予め選んだ位置まで動き続け、このことは、シールの中心64を同様に、この方向に向けて更に動かし、この方向に向けてシール28に軸22の要求される隙間を提供する。次に、軸の中心を線70と交差する位置まで戻し、好ましくは、図5の点Cにより示したその当初の中心位置まで戻し、この方向に向けて軸とシールとの間の隙間が残るようにする。次に、軸22は、同一の軸線に沿って動かすが、その動く方向は反対方向でその距離は短くなる。この過程を繰り返し、各動きの結果、軸22は、図5にて距離の短くなる振幅により示したように、短くなる距離を動く。図5において、移動の順序は、垂直軸線に沿ってのみ示され、このことは、シール28は、垂直軸線に沿って軸22の通常の運転位置にて、適正に中心合わせされることを保証する。この順序が垂直軸線に沿って実行された後、この順序は、水平軸線に沿って繰り返し軸22を水平軸線に沿って適正に中心合わせする。また、この順序は、所望であれば、別個の工程としてでなく、共に実行し、垂直方向整合及び水平方向整合の双方が距離が短くなる一連の動きにて、実行されるようにすることができる。更に、この順序は、垂直方向軸線及び水平方向軸線にのみ制限されるものではなく、任意の組みの軸線を選ぶことができ、又は、2つの軸線を選ぶことができるが、2つの軸線のみが選ばれ、これらの軸線が直交状に配置されるようにすることが好ましい。
[0034] 軸22の動きは、電磁軸受20に印加される電流を変化させることにより実現される。軸の中心位置は、コントローラに記憶させることのできる座標値によって規定され、また、軸22の位置は、上述したように、既に存在する位置センサによって監視される。軸22の中心の所望の軌跡は、磁気軸受のコントローラ内にプログラム化することができる。コントローラは、位置センサによって知った軸の実際の位置をプログラム化した所望の位置と比較し、次に、十分な電流を電磁軸受28に送り、軸22を要求されるように動かすことができる。所望の結果に依存して、多様なプログラムをコントローラ内に具体化することができる。軸の所望の位置は、通常、一定の既知の位置であるそれらの通常の作動位置にて電磁軸受の軸線と軸の軸線が同軸状となる位置である。
[0035] 示したように、軸22は、軸の当初の中心点を通って第二の予め選んだ位置まで軸22の以前の動きに対して90゜の方向に向けて位置の線70に沿って動かす。上述した軸22の以前の動きは、垂直方向であるため、この軸22の動きは水平方向である。シール28が中心合わせされていない場合、軸22の動きの結果、軸22が動くとき、シール28と接触し且つシール28を変位させる。第二の予め選んだ位置は、シール28と軸22との間に隙間がある状態にてその当初の位置にシール28を配置するよう選ばれ、このため、シールの中心及び軸の中心62は、実質的に同心状である。次に、軸22が浮揚されたとき、軸は、図4Cに示した位置まで実質的に回復され、軸の中心62をシールの中心64と実質的に同心状に配置する。この手順は、電磁軸受20の通常の作動中に、圧縮機14のような、ターボ機械の作動中、軸22とシール28との間に十分な隙間が存在する、それぞれの位置まて軸22及びシール28を回復する。
[0036] 図5に示したように、振幅減少手順を使用することにより上述した「クロス移動」手順を最初に使用することにより、シールの中心64及び軸の中心62をより正確に位置決めすることができる。上述したように、次に、この手順は、異なる対の軸線(好ましくは、各対は互いに直交状であるものとする)に沿って数回、繰り返すことができ、連続的位置に対して振幅は減少するものとする。このことは、隙間が正確に知られていなくても、軸及びシールを実質的に完全に中心合わせすることを許容する。
[0037] 上述した手順は、例えば、製造許容公差及び摩耗に起因するように、シール隙間が正確に知られていないときでさえ、許容可能なシールの中心合わせを許容する。この手順は、シール28と軸22との間の隙間を少なくすることのできるシール28を使用することを許容し、それは、中心合わせ手順は、軸22の回りにて周方向にシール28と軸22との間の隙間を等しくするからである。圧縮機14が停止したとき、シール隙間及び軸受隙間を監視することができる。「クロス」移動技術を用いて、シールを連れ込み始めるとき、軸を動かすのに必要とされるインクルメンタル力は、電磁軸受20により要求される電流(アンペア)を監視することにより測定し、シール28と軸22との間の摩耗を表示することができる。シールの位置を操作するため要求されるプログラミング命令は、コントローラにより動かすことのできる軸受の制御システム内に容易に含めることができる。定常的な保守間隔の間でさえ中間的なシール隙間の保守を行うことを許容し、「賢い」保守を行うことを許容する。
[0038] 1つの実施の形態にて且つ単に説明のためにのみいえば、軸は、水平に取り付けることができるが、そのように限定されるものではない。この向き状態にあるとき、電磁軸受から電力が除去された後、ターボ機械の軸は重力によって下方に引っ張られる。軸は、第一の回転位置から軸が安全作用部として設けられた補助的軸受と接触する第二の休止位置まで変位する。軸が休止位置まで下方に引っ張られたとき、軸は、最初にシールと接触し、このシールもまた、下方に動かされて、同様に、軸が補助的メカニカル軸受と接触するとき、軸及びシールが休止する迄、シールの中心を軸の中心に対して動かす。軸及びシールは、共に、このとき、第二の下方の休止位置にある。ターボ機械の回転を再作動させる前、電磁軸受は、所定の順序にて作動され、軸をシールに対して中心合わせする。
[0039] 電力は電磁軸受の巻線に印加されて、軸の中心を第一の予め選んだ半径方向軸線に沿って動かす。通常、この軸線は、軸が休止しているとき、軸の中心を通って、通常の中心合わせにした位置に達する。水平に向き決めした軸の場合、この半径方向軸線は、通常、垂直軸線であり、当初の動作は、垂直軸線に沿って上方に中心合わせした位置に達し、次に、その中心合わせした位置を超える、すなわち、その中心合わせした位置を行き過ぎて、メカニカル安全軸受と接触せずに、中心合わせした位置の上方にて軸とシールとの間の直径方向隙間の約1/2に配置された位置に達する。このように、この動作の結果、軸はシールと接触し、シールを新たな位置まで動かす。次に、電磁軸受に対する電力を変化させ、軸をその中心合わせした位置まで戻すように動かす。この動きは、第一の予め選んだ半径方向軸線、すなわち上述したように、軸の垂直軸線をシールに対して整合させる。軸の位置は、位置センサによって監視される。上述した方法は、シール隙間が知られているものと想定する。実際上、シール隙間は、製造許容公差及び生じたであろう摩擦を含む、多数の因子のため、正確には分からない。この不確実性を克服するため、シールの位置決めは更に改良することができる。第一の予め選んだ軸線に沿って(不明の)半径方向隙間を行き過ぎることに代えて、行き過ぎは、当初、理論上のシール隙間よりも大きいが、メカニカル軸受の隙間よりもの小さい距離でなければならない。次に、軸は、軸線の幾何学的中心の回りにて振幅が減衰する揺動又は往復運動の動きにてこの半径方向軸線に沿って前後に動かすことができる。このようにして、軸は、動作振幅がシール隙間よりも大きい間、前後に動くことになろう。益々小さくなる振幅にて幾何学的中心をわたって軸が連続的に揺動し又は往復運動する結果、最終的にシール隙間よりも小さい動作となり、また、これらの動作の間、軸がシールに接触することはない。その結果、シールは、第一の予め選んだ半径方向軸線の回りにて完全に中心合わせされる。
[0040] この手順のこのステップにおいて、シールは、このとき、第一の所定の半径方向軸線の回りにて実質的に完全に中心合わせされるが、必ずしも軸受の幾何学的中心の回りにて中心合わせされるとは限らない。この中心の回りにてシールの中心合わせを実現するため、軸を第一の軸線に沿って中心合わせされた状態に保つ一方にて、第一の軸線に対して垂直な第二の半径方向軸線が選ばれる。このとき、上述したように、減衰し、揺動し又は往復運動する動作のステップは、第二の軸線に沿って繰り返される。これと代替的に、軸の中心は、電磁軸受の軸線からの距離が減少する状態にて動かし、軸の中心の動きが減衰するスパイラルとなり、その結果、軸の中心は電磁軸受の軸線上に配置され、また、軸の長手方向軸線は電磁軸受の長手方向軸線に対して同軸状となるようにする。減少する振幅にて軸の揺動し又は往復運動する動作は、電磁軸受の巻線に対する電力の印加を制御する適正にプログラム化したコントローラにより容易に制御される。
[0041] ターボ機械を再始動させる前に、軸が上述したように動いたとき、軸及びシールは、互いに非接触状態となるように位置決めすることができ、また、ターボ機械は、通常の作動時に、軸とシールとの間に小さい隙間があり、従って、シールと全く接触しない状態にて回転を再開することができる。シール及び軸をこれらが非接触状態となる位置に戻すことにより、軸とシールとの間の残留接触及びこれに関連した摩耗は解消される。減衰する振幅にてこの過程を繰り返すことにより、製造許容公差の変化に起因し又は電力を失った後に続く惰力による動き中、軸の偏心的な動作に起因する、シールに対する軸の全ての変化を補正することができる。
[0042] 更に別の実施の形態において、軸22及びその中心62を減衰するスパイラル、すなわち図6に示したように、連続的に減少する半径のスパイラルにて動かすことにより軸22及びシール28の中心合わせが実現され、この場合、当初の半径rは、軸受12が点Aで示したように不作動状態にあるとき、点Cにて表した電磁軸受20及び軸の中心62内にて実質的に中心合わせされた軸線からの距離である。これは、軸線に沿って振幅又は距離が減少する状態にて個別の半径方向軸線に沿って軸を動かす、上述した方法と相違する。この実施の形態において、第一の予め選んだ位置は、シール28と軸22との間にて最大の可能な隙間を提供するよう選ぶことができる一方にて、最終位置は、軸の中心62及びシールの中心64が電磁軸受20内にて実質的に中心合わせした軸線に沿って同心状であるように、該軸の中心及びシールの中心を配置する。巻線に対する電力は、軸22及び軸の中心62を当初の半径から零に近付く半径まで動かすよう滑らかに且つ連続的に調節される。半径が零に近付くと、軸の中心62及びシールの中心64は、位置インジケータ装置により決定されたように、電磁軸受の間にて中心合わせされた軸線に沿って実質的に同心状となるであろう。減衰するスパイラルは、電磁軸受を制御するコントローラを適正にプログラミングすることにより所望なように正確に近似値を見い出すことができる。
[0043] 色々な一例としての実施の形態にて示したような軸及びシールの構造及び配置は、単に一例にしか過ぎないことを認識することが重要である。適用例は、以下の説明に記載し又は図面に示した詳細又は方法にのみ限定されるものではないことを理解すべきである。また、本明細書にて採用した記述及び技術用語は、説明の目的のためのみであり、限定的なものとみなすべきではないとも理解すべきである。
[0044] 図面に示し且つ本明細書にて説明した一例としての実施の形態は、現在、好ましいものであるが、これらの実施の形態は、単に一例としてのみ掲げたものであることを理解すべきである。従って、本発明は、特定の実施の形態にのみ限定されるものではなく、依然として特許請求の範囲に属する色々な変更例まで拡張されるものである。任意の過程又は方法のステップの順番又は順序は、代替的な実施の形態に従って変更し又は再順序決めすることができる。
[0045] 本発明は、その作用を実現する任意の機械読み取り可能な媒体の要求された動作を実現する方法、システム及びプログラム製品を対象とする。本発明の実施の形態は、既存のコンピュータプロセッサ又はコントローラを使用し、又は、この目的又は別の目的のため組み込んだ、適正なシステム用の特殊目的のコンピュータプロセッサ又はハードワイヤーシステムにより実現することができる。
[0046] 本明細書にて幾つかの実施の形態についてのみ詳細に説明したが、本明細書を参照する当該技術の当業者は、特許請求の範囲に記載した主題事項の新規な教示内容及び利点から実質的に逸脱せずに、多くの改変例(例えば、寸法、大きさ、構造体、色々な要素の形状及び比率、パラメータの値、取り付けの配置、材料の使用、色、向き等)が可能であることが容易に理解されよう。例えば、一体的に形成したものとして示した要素は、多数の部分又は要素にて構成することができ、要素の位置は、逆にし又はその他の点にて変更することができ、別個の要素又は位置の性質又は数は、変更し又は変化させることができる。従って、かかる改変の全ては、本出願の範囲に含めることを意図するものである。任意の過程又は方法のステップの順番又は順序は、代替的な実施の形態に従って変更し又は再順序化することができる。請求項において、任意の手段プラス機能クレームは、説明した機能を実施するものとして本明細書に記載した構造を包含し、構造的等価物のみならず、等価的構造体をも包含することを意図いるものである。本発明の範囲から逸脱せずに、一例としての実施の形態の設計、作動状態及び配置の点にてその他の置換、改変例、変更及び省略が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラにより制御される電磁軸受を利用するターボ機械内にて軸を中心合わせし且つ半径方向に可動の関係したシールを位置決めする方法において、
前記軸の動作を制御する前記コントローラにより前記電磁軸受に対して電力を印加する工程と、
前記コントローラによって電力を軸受に印加し且つ前記軸を半径方向に動かすことにより前記軸を動かして前記シールと接触させ、これにより前記シールを或る半径方向位置に動かし、これにより、前記半径方向位置は、前記軸がその中心合わせした位置にあり且つ回転するとき、前記軸と前記シールとの接触を回避するようにする工程と、を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記軸の回転を開始させる前、軸の軸線が前記電磁軸受の軸線と実質的に同軸状となるように、前記軸を動かして前記シールと非接触状態にし且つ前記軸を中心合わせする追加的な工程を更に含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記ターボ機械は、軸の回転の開始前、前記軸の軸線と前記軸受の軸線との同軸性を決定する位置表示装置を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記ターボ機械は、前記電磁軸受に印加される電力を制御する前記コントローラ内に論理装置を更に含み、該論理装置は、前記軸を前記シールと接触させる所定の軌跡に沿った軸の中心の移動を制御し、これにより前記シールを動かし、前記所定の軌跡は、前記シールを所定の位置に配置する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記電磁軸受を利用する前記ターボ機械は、遠心圧縮機である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記電磁軸受に電力を印加する直前、前記軸は、前記シールと接触しており且つ、メカニカル軸受と更に接触している、方法。
【請求項7】
電磁軸受を利用するターボ機械内にて軸及び関係したシールを中心合わせする方法において、
(a)軸の中心の当初の位置と軸の中心の最終位置との間の初期半径を決定し、前記軸は前記軸の当初の位置にて前記シールと接触し且つ、前記軸の最終位置にて前記シールと非接触状態にある、工程と、
(b)前記電磁軸受の巻線に電力を印加する工程と、
(c)前記軸及びその中心を連続的に減少する半径にて前記当初の位置からその最終位置まで円形の動作にて動かすよう、前記電磁軸受の前記巻線に対する電力を調節する工程と、
(d)前記軸の中心がその最終の位置に近付き、また、前記減少する半径が零に近付く迄、前記電磁軸受の前記巻線に対する前記電力を調節することを続行する工程とを備える、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記軸の中心の前記最終位置は、その通常の作動位置にて前記電磁軸受の軸線に沿って位置し、このため、前記軸の軸線は、前記電磁軸受の前記軸線と実質的に同軸状である、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、前記電磁軸受を利用する前記ターボ機械は、遠心圧縮機である、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法において、前記軸は、前記シールと接触し且つメカニカル軸受と更に接触している、方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法において、前記電磁軸受の前記巻線に対して電力を印加する工程は、前記シールと前記軸との間に最大の隙間を提供する第一の予め選んだ位置まで前記軸を動かす工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法において、前記軸は水平に取り付けられ、前記軸及びその軸線の位置を決定する工程と、通常の作動時に、前記軸の軸線と前記電磁軸受の水平方向軸線の同軸性を比較する工程と、前記軸が約1mmの半径方向隙間だけ前記電磁軸受から隔てられる迄、前記軸の前記位置を調節する工程とを更に含む、方法。
【請求項13】
電磁軸受を利用するターボ機械内にて軸及び関係したシールを中心合せする方法において、
半径方向に向け移動することのできるシールを提供する工程と、
前記軸及び前記シールを半径方向に配置し、前記軸がその通常の回転する中心合わせした位置にて回転するとき、前記軸及び前記シールが接触しない第二の位置に前記シールが配置されるように前記電磁軸受に提供される電力を調節する工程と、
前記軸の軸線が前記電磁軸受の軸線に対して実質的に同軸状となり、前記軸が中心合わせされるように前記電磁軸受に提供される電力を操作する工程と、
前記軸がその中心合わせした位置にて通常の作動中に、回転するとき、前記回転する軸と前記第二の位置に配置された前記シールとの間の接触が最小であるようにする工程とを備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記軸が休止し且つ前記シールが休止する当初の位置から前記軸及び前記シールを動かして互いに接触するように前記調節する工程の前に、前記電磁軸受に対して電力を必要とされるように印加する工程を更に含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、前記軸が、通常の作動時に、その中心合わせした位置にて回転するとき、前記回転する軸と前記第二の位置に配置された前記シールとは接触しない、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、前記軸の軸線は、前記電磁軸受の前記軸線と実質的に同軸状であり、前記シールは、その第二の位置に配置されるとき、
前記軸と前記シールとの間の前記軸の円周の回りにて360°の半径方向隙間が存在するようにする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−537104(P2010−537104A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521192(P2010−521192)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/073272
【国際公開番号】WO2009/023815
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(598147400)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (224)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【Fターム(参考)】