説明

電話機およびその制御方法、電話機システム、電話機制御プログラム、並びに、該プログラムを記録した記録媒体

【課題】呼出しの報知を効率的に行う。
【解決手段】電話網からの呼出しを検知する呼出検知部と、報知を行うスピーカと、無線タグを検知する移動体検知部とを備える電話機の制御方法である。呼出検知部が呼出しを検知すると、移動体検知部が無線タグを検知したか否かを判断する(S10)。検知した場合には、直ちに呼出しの報知を開始する(S11)。一方、検知していない場合には、所定期間経過するまで待機し(S14)、その間に呼出しが終了しなかったときに、呼出しの報知を開始する(S11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話網に接続される電話機およびその制御方法、電話機システム、電話機制御プログラム、並びに、該プログラムを記録した記録媒体に関するものである。特に、本発明は、コードレス電話システムに利用される電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、コードレス電話システムの普及に伴い、一家屋に複数の電話機が設置されるようになっている。一方、人は移動する生物であるので、上記電話機を利用するユーザが、何れの電話機の近くに存在するか或いは存在しないかは、時間と共に変化することになる。このため、従来は、外部から着信が有った場合に、全ての電話機が着信報知を行うようになっていた。
【0003】
これに対し、ユーザが何れの電話機の近くに存在するかを検知し、該検知の結果に基づいて、各電話機の着信報知を制御する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の電話機等は、短距離検出波を周囲に送出し、利用者IDが応答された場合、サーバへ登録リクエストを送信するとともに、他の電話機に対し、近傍検出通知を電話網を介して送出する。また、上記電話機等は、長距離検出波に対し利用者IDが応答され、かつ、応答された利用者IDと他の電話機の電話機IDとを含む近傍検出通知を検出した場合、上記サーバに削除リクエストを送信する。これにより、自機からの長距離検出波の到達範囲内に応答器を検出した場合であっても当該応答器が他の電話機からの短距離検出波の到達範囲内にあるときは自機には着信及び鳴動しないようになる。
【0005】
また、特許文献2に記載の電話相手捜索装置では、応答器は所持する人に固有の識別符号を記憶しており、質問器は電波により上記応答器の識別符号を読み取る。ホストコンピュータは、上記質問器の最寄りの電話機の番号を該質問器ごとに記憶しておくとともに、上記質問器から出力される識別符号を受け、最寄りの電話機の番号と対応づけて該識別符号を記憶し、上記質問器から識別符号を受ける度に該識別符号に対応させて記憶する電話機番号を最新のものに更新する。
【0006】
構内交換機は、発呼者側電話機から被呼者(居場所の分からない電話相手)の識別符号を受けたとき、上記ホストコンピュータで該被呼者の識別符号の検索をし、上記被呼者の識別符号が検知されたときはその識別符号に対応する番号の上記電話機に上記発呼者側電話機を接続し、該被呼者の識別符号が検知されないときは上記発呼者側電話機に被呼者行き先不明の信号を送出する。これにより、オフィスビル等で所定位置から移動した人の最寄りの電話番号が分からなくても、その人の最寄りの電話機を呼び出すことができる。
【0007】
また、特許文献3に記載の親子電話装置では、着信時に、親機が無線タグを探索すると共に、子機に対し無線タグの探索を指示し、親機および子機による探索の結果に基づき親機および子機のそれぞれの出力音量を設定している。これにより、ユーザが電話装置の周辺にいても、あるいは離れた場所にいても、上記ユーザにとって適した音量にて着信音を鳴動させることができる。
【特許文献1】特開2004−289273号公報(2004年10月14日公開)
【特許文献2】特開平9−321877号公報(1997年12月12日公開)
【特許文献3】特開2006−109068号公報(2006年4月20日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1〜3では、ユーザの存在を検知するために、ユーザが携帯する応答器であって、ユーザの識別情報(ユーザID)を記憶した応答器を検知し、検知した応答器に記憶されたユーザIDを取得している。すなわち、ユーザの検知は、ユーザが上記応答器を携帯することを前提としている。
【0009】
しかしながら、ユーザが上記応答器を常に携帯しているとは限らず、置き忘れることもある。従って、電話機が上記応答器を近くで検知しなくても、該電話機の近くにユーザが存在する場合がある。この場合、特許文献1・2のように、応答器を近くで検知していない電話機に対し着信報知を行わないと、上記ユーザが電話に出ることができない。
【0010】
また、ユーザが上記応答器を携帯しており、かつ、電話機が上記応答器を近くで検知しない場合には、ユーザが家屋に存在するが上記電話機から遠い場合と、ユーザが不在である場合とが考えられる。ユーザが不在である場合に、特許文献3のように、上記応答器を近くで検知しない電話機に対し着信報知を行っても無駄となる。
【0011】
ところで、一般に着信報知は、ユーザに注意を喚起するような音や光が利用される、このため、ユーザが電話機付近に存在する場合に着信があったとき、ユーザが電話機のハンドセットを持つまで着信報知が継続されるので、ユーザが不快に感じることがある。
【0012】
また、特許文献1・2の場合、呼出元は、サーバまたはホストコンピュータが呼出先の電話機を呼び出すまで、通話を所望する人が存在すると推定される場所を把握できない。このため、例えば、会議室で会議中に会議室の電話機を呼び出してしまうことが起こり得る。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、呼出しの報知を効率的に行うことができる電話機などを提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、電話機付近に存在するユーザが呼出しの報知により不快に感じることを低減できる電話機などを提供することにある。
【0015】
また、本発明の別の目的は、呼出しを行う前に、人が存在すると推定される場所を把握できる電話機などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る電話機は、電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、報知を行う報知手段と、前記呼出検知手段が前記呼出しを検知すると、前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御する呼出報知制御手段とを備える電話機であって、上記課題を解決するために、移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段を備えており、前記呼出報知制御手段は、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知している場合、前記呼出しの検知時から前記呼出しの報知を行う一方、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知していない場合、前記呼出しの検知時から後に前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御することを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る電話機の制御方法は、電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、報知を行う報知手段と、移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段とを備える電話機の制御方法であって、上記課題を解決するために、前記呼出検知手段が前記呼出しを検知すると、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知している場合には、前記呼出しの検知時から前記呼出しの報知を行う一方、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知していない場合には、前記呼出しの検知時から後に前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御する呼出報知制御ステップを含むことを特徴としている。
【0018】
ここで、電話網としては、他の電話機と電話可能な通信網であれば、公衆網、私設電話網など、任意の通信網を利用することができる。また、移動体の例としては、人などの動物と、該動物によって携帯可能な、RFIDタグなどの携帯デバイスとが挙げられる。また、移動体検知手段が移動体を検知する例としては、RFIDリーダ等の無線通信手段が携帯デバイスと通信することにより検知することが挙げられる。なお、ビデオカメラ等の撮影手段が撮影した動画像から移動体を検知する、レーダが受信する電波の変化により移動体を検知する、マイク等の音入力手段から入力された音データから動物の音声を検知する、などの他の移動体検知手段を併用しても構わない。
【0019】
上記構成および方法によると、呼出しを検知すると、まず、上記移動体の存在を検知した電話機が呼出しの報知を行い、その後、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行う。これにより、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行う前に、上記移動体の存在を検知した電話機が通話を開始すると、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行わずに済む。その結果、呼出しの報知を効率的に行うことができる。
【0020】
なお、上記移動体の検知は、呼出しの検知時に行ってもよいし、周期的に行って検知結果を記憶部に記憶しておいてもよい。
【0021】
また、上記呼出しの報知制御は、上記移動体の存在を検知していない場合、上記呼出しの検出時から所定期間の経過後に上記呼出しの報知を行うようにすることが好ましい。さらに、上記所定期間は、上記移動体の存在を検知している場合に、上記呼出しの検知時からユーザが電話に出るまでの期間の平均値または最大値であることが好ましい。また、上記呼出しの報知制御は、上記移動体検知手段が上記移動体の存在を検知している場合、上記呼出しの検出時から所定期間の経過後に上記呼出しの報知を停止するようにしてもよい。
【0022】
本発明に係る電話機は、電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、呼出先と通話を行う通話手段とを備える電話機であって、上記課題を解決するために、移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段と、前記呼出検知手段が前記呼出しを検知し、かつ前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知する場合、通話を開始するように前記通話手段を制御する通話制御手段とを備えることを特徴としている。
【0023】
また、本発明に係る電話機の制御方法は、電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、呼出先と通話を行う通話手段と、移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段とを備える電話機の制御方法であって、上記課題を解決するために、前記呼出検知手段が前記呼出しを検知し、かつ前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知する場合、通話を開始するように前記通話手段を制御する通話制御ステップを含むことを特徴としている。
【0024】
上記の構成および方法によると、呼出しを検知し、かつ移動体の存在を検知すると、直ちに通話が開始される。これにより、呼出しの報知は、行われずに済み、或いは短期間で済むので、電話機付近に存在するユーザが呼出しの報知により不快に感じることを低減することができる。
【0025】
なお、上記通話は、ユーザがハンドセットを持つこと無く通話できるスピーカホン機能を利用して行われることが望ましい。この場合、ユーザの利便性を向上できる。
【0026】
なお、上記の本発明では、呼出しの報知のタイミング制御を呼出先の電話機が行っているが、下記のように呼出元の電話機が行うこともできる。
【0027】
すなわち、本発明に係る電話機は、電話網に接続される電話機であって、上記課題を解決するために、他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信手段と、複数の前記他機に対し呼出しを行う場合、前記移動体の存在を検知する検知結果の送信元である前記他機に対し呼出しを行うと共に、該呼出しから後に、残りの前記他機に対し呼出しを行う呼出し手段とを備えることを特徴としている。
【0028】
また、本発明に係る電話機の制御方法は、電話網に接続される電話機の制御方法であって、上記課題を解決するために、他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信ステップと、複数の前記他機に対し呼出しを行う場合、前記移動体の存在を検知する検知結果の送信元である前記他機に対し呼出しを行うと共に、該呼出しから後に、残りの前記他機に対し呼出しを行う呼出しステップとを含むことを特徴としている。
【0029】
上記構成および方法によると、呼出しを行う場合、まず、上記移動体の存在を検知した電話機を呼び出し、その後、上記移動体の存在を検知しない電話機を呼び出す。これにより、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行う前に、上記移動体の存在を検知した電話機が通話を開始すると、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行わずに済む。その結果、呼出しの報知を効率的に行うことができる。
【0030】
なお、上記検知結果は、呼出しを行うときに、他機に要求することにより受信してもよいし、他機が適宜送信してきたものを記憶部に記憶しておいてもよい。
【0031】
本発明に係る電話機は、電話網に接続される電話機であって、上記課題を解決するために、他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信手段と、該受信手段が受信した検知結果と、該検知結果の送信元である前記他機の識別情報とを対応付けた検知情報を記憶する記憶手段と、複数の前記他機から呼出先を選択する呼出先選択手段と、該呼出先選択手段が呼出先を選択する場合に、前記記憶手段が記憶する検知情報に基づいて、前記呼出先の候補を出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
【0032】
また、本発明に係る電話機の制御方法は、電話網に接続される電話機の制御方法であって、上記課題を解決するために、他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信ステップと、該受信ステップにて受信された検知結果と、該検知結果の送信元である前記他機の識別情報とを対応付けた検知情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、複数の前記他機から呼出先を選択する呼出先選択ステップとを含んでおり、該呼出先選択ステップは、前記記憶手段が記憶する検知情報に基づいて、前記呼出先の候補を出力する出力ステップとを含むことを特徴としている。
【0033】
上記の構成および方法によると、呼出先を選択する場合に、記憶手段が記憶する検知情報に基づいて、上記呼出先の候補を出力している。これにより、呼出元の電話機が呼出しを行う前に、人が携帯する携帯デバイスなどの移動体を上記呼出先の電話機が検知しているか否かを呼出元が把握できる。従って、人が存在すると推定される場所を把握した上で、呼出先を選択し、或いは呼び出すか否かを選択することができる。
【0034】
なお、前記呼出先の候補の出力形態としては種々のものが考えられる。例えば、前記出力手段は、前記他機の識別情報と、前記他機の検知結果に対応するマークを付した情報とを、前記他機ごとに出力してもよい。ここで、上記他機の識別情報の例としては、他機の名称、製造番号などが挙げられる。また、上記マークの例としては、○×などの記号、存在・不在などの文字などが挙げられる。
【0035】
また、前記出力手段は、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報を出力してもよい。この場合、移動体の存在を検知する他機のみを呼出先として選択することができる。
【0036】
また、前記出力手段は、複数の前記他機の識別情報を前記呼出先の候補として出力する場合に、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報を強調して出力してもよい。ここで、上記強調の例としては、文字情報であれば、太字にしたり、赤色などの目立つ色にしたりすることが挙げられる。また、情報の背景に目立つ色を付したり、下線・枠を施したりすることが挙げられる。また、音声情報であれば、音量を上げたり、音色を変更したりすることが挙げられる。
【0037】
本発明に係る電話機では、前記受信手段は、前記検知結果と共に、前記移動体の識別情報を受信しており、前記記憶手段が記憶する検知情報は、前記検知結果および前記移動体の識別情報と前記他機の識別情報とを対応付けたものであり、前記出力手段は、複数の前記他機の識別情報を前記呼出先の候補として出力する場合に、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報に対し、前記移動体の識別情報を追加して出力することが好ましい。この場合、上記移動体の識別情報を利用して、他機にて検知された移動体を識別することができる。
【0038】
本発明に係る電話機では、前記他機からの呼出しを検知する呼出検知手段と、報知を行う報知手段と、前記呼出検知手段が前記呼出しを検知すると、前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御する呼出報知制御手段とをさらに備えており、該呼出報知制御手段は、前記記憶手段の前記検知情報を参照して、呼出元の前記他機の識別情報に対応する前記移動体の識別情報を報知するように前記報知手段を制御してもよい。この場合、呼出元が検知する移動体の識別情報を呼出先にて呼出しの検知時に把握することができる。
【0039】
本発明に係る電話機では、前記呼出先選択手段が選択した呼出先の他機に対応する移動体の識別情報を、前記受信手段が別の他機から受信した場合、前記呼出先選択手段は、前記別の他機を呼出先として変更することことが好ましい。この場合、移動体が別の電話機の付近に移動しても、該電話機を呼び出すことができる。
【0040】
本発明に係る電話機では、前記受信手段は、前記検知結果と共に、ユーザが携帯可能な携帯デバイスに記憶された該携帯デバイスの識別情報を受信しており、前記記憶手段は、前記携帯デバイスの識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けたデバイス・ユーザ対応テーブルをさらに記憶しており、前記出力手段は、複数の前記他機の識別情報を前記呼出先の候補として出力する場合に、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報に対し、前記検知結果と共に受信した前記携帯デバイスの識別情報に対応する前記ユーザの識別情報を追加して出力してもよい。この場合、移動体として携帯デバイスを検知した場合でも、携帯デバイスの識別情報に対応するユーザの識別情報を出力できるので、他機の付近に存在するユーザを推定することができる。
【0041】
本発明に係る電話機では、前記呼出先選択手段が、前記検知結果が前記移動体の存在を検知するものである前記他機を呼出先として選択する場合、前記呼出先を呼び出して直ちに通話を開始する通話制御手段をさらに備えてもよい。この場合、移動体の存在を検知する他機を呼び出して直ちに通話を開始できるので、通話を効率よく行うことができる。
【0042】
なお、上記構成の電話機が電話網を介して複数個接続された電話システムであれば、上述と同様の効果を奏することができる。また、前記複数の電話機は、互いに無線で通信することが好ましい。この場合、電話網を敷設する労力および費用を削減することができる。
【0043】
なお、上記電話機の各手段を、電話機制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記電話機制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記電話機制御プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明に係る電話機は、呼出しを検知すると、まず、移動体の存在を検知した電話機が上記呼出しの報知を行い、その後、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行う。これにより、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行う前に、上記移動体の存在を検知した電話機が通話を開始すると、上記移動体の存在を検知しない電話機が呼出しの報知を行わずに済むので、呼出しの報知を効率的に行うことができるという効果を奏する。
【0045】
また、本発明に係る電話機は、呼出しを検知し、かつ移動体の存在を検知すると、直ちに通話が開始されるので、呼出しの報知は、行われずに済み、或いは短期間で済むので、電話機付近に存在するユーザが呼出しの報知により不快に感じることを低減できるという効果を奏する。
【0046】
また、本発明に係る電話機は、呼出先を選択する場合に、記憶手段が記憶する検知情報に基づいて、上記呼出先の候補を出力するので、呼出元の電話機が呼出しを行う前に、人が携帯する携帯デバイスなどの移動体を上記呼出先の電話機が検知しているか否かを呼出元が把握できる。従って、人が存在すると推定される場所を把握した上で、呼出先を選択でき、或いは呼び出すか否かを選択できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。図2は、本実施形態のコードレス電話システムの概要を示している。図示のように、コードレス電話システム10は、外部の電話網(外線)と接続された親機11と、親機11と無線で通話可能な複数の子機12とを備える構成である。なお、図示の例では、子機12は2台であるが、1台でもよいし、3台以上でもよい。以下では、子機12をそれぞれ区別する場合には「第1子機12a」・「第2子機12b」と記載し、総称する場合には「子機12」と記載する。また、親機11および子機12を総称する場合には「電話機T」と記載する。
【0048】
本実施形態では、電話機Tは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ(無線タグ)13と通信可能になっている。この無線タグ(携帯デバイス)13をユーザが所持することにより、電話機Tは、付近にユーザが存在するか否かを検知することができる。さらに、電話機Tは、無線タグ13を識別するための情報であるタグIDを、無線タグ13から取得することにより、付近に存在する無線タグ13を識別することができ、ひいては、付近に存在するユーザを識別することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、電話機Tは、外部の電話網からの呼出し(以下「外線呼出し」と称する。)、または電話機T間の呼出し(以下「内線呼出し」と称する。)があった場合には、付近にユーザの存在を検知していると、上記呼出しの検知時点から上記呼出しの報知を行う一方、付近にユーザの存在を検知していないと、上記呼出しの検知時点から所定期間経過後に、上記呼出しの報知を行っている。
【0050】
上記構成によると、コードレス電話システム10に含まれる電話機Tのうち、まず、上記ユーザの存在を検知しているものが、上記呼出し時から上記呼出しの報知を行い、上記呼出し時から所定期間経過後に、上記ユーザの存在を検知していないものが上記呼出しの報知を行う。これにより、上記ユーザの存在を検知していない電話機Tが上記呼出しの報知を行う前に、上記ユーザの存在を検知している電話機Tで上記ユーザが通話を開始すると、上記ユーザの存在を検知していない電話機が着信報知を行わずに済む。その結果、上記呼出しの報知を効率よく行うことができる。
【0051】
次に、コードレス電話システム10の詳細について説明する。図3〜図5は、それぞれ親機11、子機12、および無線タグ13の概略構成を示している。
【0052】
図3に示すように、親機11は、制御部(通話制御手段)20、記憶部(記憶手段)21、回線I/F(インタフェース)部22、着信検出部23、DTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号検出部24、DTMF信号生成部25、モデム部26、クロスポイントスイッチ部27、ハンドセット(通話手段)28、無線処理部(受信手段)29、表示部(報知手段、出力手段)30、操作部31、およびスピーカ(報知手段、通話手段)32を備える構成である。
【0053】
制御部20は、親機11内の各種構成を統括的に制御するものである。制御部20の機能は、例えばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。なお、制御部20の詳細は後述する。
【0054】
記憶部21は、各種データおよびプログラムを記憶するものである。記憶部21の例としては、制御部20が動作するときに必要なプログラムや、通信制御データなどの固定データを記憶する読出し専用の半導体メモリであるROM(Read Only Memory)と、通信に関するデータ、演算に使用するデータ、および演算結果などを一時的に記憶する、いわゆるワーキングメモリとしてのRAMと、各種の設定データ、電子メールデータなどを記憶する書換え可能な不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)とが挙げられる。なお、記憶部21の詳細は後述する。
【0055】
回線I/F部22は、外線と親機11とのインタフェースとして機能するものである。すなわち、回線I/F部22は、外線からの信号を、親機11での処理に適した形式に変換して、親機11内の各部に送信すると共に、親機11の各部からの信号を、外線での送信に適した形式に変換して、外線に送信するものである。なお、外部の電話回線の例としては、公衆交換回線網、専用回線などが挙げられる。
【0056】
着信検出部23は、外線から回線I/F部22を介して受信した通信信号のうち、着信を示す信号である着信信号を検出するものである。着信検出部23は、着信信号を検出した場合、その旨を制御部20に通知する。
【0057】
DTMF信号検出部24は、外線から回線I/F部22を介して受信した通信信号のうち、DTMF信号を検出するものである。DTMF信号は、0〜9の数字と、*・#・A・B・C・Dの記号とを含む16種類の文字を、低域および高域の音声周波数帯域の信号音に変換したものである。DTMF信号は、プッシュ式回線での電話番号入力など、音声回線での数字入力などで用いられる。DTMF信号検出部24は、検出したDTMF信号を元の文字に復号化して制御部20に送信する。
【0058】
DTMF信号生成部25は、制御部20から受信した記号に基づいてDTMF信号を生成するものである。DTMF信号生成部25は、生成したDTMF信号を、回線I/F部22を介して外線に送信する。
【0059】
モデム部26は、制御部20から受信したデジタルデータをアナログ信号に変調して回線I/F部22に送信すると共に、回線I/F部22から受信したアナログ信号をデジタルデータに復調して制御部20に送信するものである。
【0060】
クロスポイントスイッチ部27は、制御部20からの指示に基づき、回線I/F部22、ハンドセット28、および無線処理の何れか1つから受信した音声信号を、様々な出力先に送信するように切り換えるものである。
【0061】
ハンドセット28は、親機11にて通話を行うためのものであり、マイクなどの音声入力デバイスと、イヤホンなどの音声出力デバイスとを備えるものである。音声入力デバイスを介して入力された音声信号は、クロスポイントスイッチ部27に送信される一方、クロスポイントスイッチ部27から受信した音声信号は、音声出力デバイスを介して出力される。
【0062】
無線処理部29は、子機12との間で無線通信を行うためのものである。すなわち、無線処理部29は、制御部20およびクロスポイントスイッチ部27から受信した信号を無線送信に適した形式に変換し、変換した無線信号を、アンテナを介して子機12に送信すると共に、子機12からアンテナを介して受信した無線信号を元の形式に変換し、変換したデータを制御部20およびクロスポイントスイッチ部27に送信するものである。具体的には、無線処理部29では、データの変復調処理、RF(Radio Frequency)処理などが行われる。
【0063】
表示部30は、制御部20から画像データを受信し、受信した画像データに基づいて表示画面に画像を表示するものである。具体的には、表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示素子と、受信した画像データに基づいて表示素子を駆動するドライバ回路とを備える構成である。
【0064】
操作部31は、親機11の表面に設けられたダイヤルキーなどの入力デバイスをユーザが操作することにより、操作データを作成して制御部20に送信するものである。入力デバイスとしては、ボタンスイッチの他にタッチパネルなどが挙げられる。
【0065】
スピーカ32は、制御部20からの電気信号を音波に変換して、各種の情報を外部に音声出力するものである。特に、スピーカ32は、外線呼出し、内線呼出しなどの報知を行うものである。
【0066】
本実施形態では、親機11は、RFIDリーダ/ライタ(以下「リーダ/ライタ」と略称する。)33をさらに備えている。リーダ/ライタ33は、無線タグ13と無線通信を行って、無線タグ13に対しデータの読み書きを行うものである。
【0067】
リーダ/ライタ33および無線タグ13の間の通信方式としては、電磁誘導方式とマイクロ波方式とがある。電磁誘導方式は、125k〜135kHz帯や13.56MHz帯の周波数帯域で利用されている。一方、マイクロ波方式は、2.45GHz帯や、800MHz〜960MHz前後のいわゆるUHF帯で利用されている。本実施形態では、親機11の付近、具体的には親機11が設置された部屋に、ユーザが存在するか否かを検知する必要があるので、通信可能距離が1m〜数m程度であるマイクロ波方式のものを利用することが望ましい。
【0068】
子機12は、図4に示すように、制御部、記憶部、ハンドセット、無線処理部、表示部、操作部、スピーカ、およびリーダ/ライタを備える構成である。子機12の各構成は、親機11における制御部20、記憶部21、ハンドセット28、無線処理部29、表示部30、操作部31、スピーカ32、およびリーダ/ライタ33のそれぞれと同様の機能を有するので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
無線タグ13は、図5に示すように、アンテナ35とRFID用IC(Integrated Circuit)36とを備える構成である。RFID用IC36は、リーダ/ライタ33からアンテナ35を介して受信した信号に基づいて、リーダ/ライタ33からのデータを記憶したり、記憶されたデータを、アンテナ35を介してリーダ/ライタ33に送信したりするものである。
【0070】
なお、無線タグ13には、RFID用IC36を動作させる電池などの電力源を内部に有するものと有さないものとがある。内部に電力源を有さない無線タグ13は、リーダ/ライタ33からの電波を上記電力源として受け取ることになる。
【0071】
ところで、無線タグ13とユーザとは別々の物体であるから、電話機Tが無線タグ13を検知したとしても、電話機Tの付近にユーザが存在するとは限らない。従って、無線タグ13の存在を検知した場合にユーザが存在する可能性をより増大させるために、無線タグ13は、ユーザ自身、またはユーザが常に携帯する可能性の高い物体に取り付けることが望ましい。ユーザが常に携帯する可能性の高い物体の例としては、衣類や、携帯電話機、携帯型音楽プレーヤなどの携帯型電子デバイスが挙げられる。
【0072】
次に、電話機Tの制御部20および記憶部21の詳細について説明する。図3および図4に示すように、電話機Tの記憶部21は、リーダ/ライタ33が無線タグ13を検知したか否かを示す検知結果を含む検知情報テーブル40を記憶している。なお、親機11の記憶部21は、留守番電話などにおいて録音された録音データ41を記憶している。
【0073】
図6は、電話機Tの制御部20の概略構成を示している。図示のように、制御部20は、タグ検知部(移動体検知手段)45、呼出検知部(呼出検知手段)46、および報知制御部(呼出報知制御手段)47を備える構成である。
【0074】
タグ検知部45は、自機のリーダ/ライタ33に対し、無線タグ13を検知するように指示し、検知結果をリーダ/ライタ33から取得するものである。タグ検知部45は、取得した検知結果に基づいて記憶部21の検知情報テーブル40を更新する。本実施形態では、タグ検知部45は、リーダ/ライタ33による無線タグ13の検知を周期的に指示して、検知情報テーブル40を更新している。
【0075】
呼出検知部46は、他機から無線処理部29を介して呼出信号を取得することにより、呼出しを検知するものである。また、親機11の呼出検知部46は、着信検出部23が着信号を検出した旨の通知を受け取ることにより、外線呼出しを検知する。呼出検知部46は、呼出しを検知した旨を報知制御部47に通知する。
【0076】
報知制御部47は、呼出検知部46からの通知を受け取ると、上記呼出しの報知を行うように報知手段を制御するものである。具体的には、報知制御部47は、呼出検知部46からの通知を受け取ると、スピーカ32に呼出し用の報知音を出力させるものである。なお、報知制御部47は、LEDなどの発光手段を点滅させるなど、その他の報知手段を制御してもよい。
【0077】
本実施形態では、報知制御部47は、記憶部21における検知情報テーブル40を参照して、自機が無線タグ13を検知しているとき、呼出検知部46から通知を受け取ってから直ちに上記呼出しの報知を行うようにスピーカ32に指示する。一方、報知制御部47は、検知情報テーブル40を参照して、自機が無線タグ13を検知していないとき、呼出検知部46から通知を受け取ってから所定期間経過後に上記呼出しの報知を行うよう、スピーカ32に指示する。上記所定期間は任意に設定できるが、20秒程度であることが望ましい。
【0078】
上記構成の電話機Tにおける処理動作について、図1を参照して説明する。図1は、電話機Tの制御部20が行う処理動作を示している。
【0079】
図1に示すように、まず、呼出検知部46が内線呼出し(または外線呼出し)を検知すると、報知制御部47は、記憶部21における検知情報テーブル40を参照して、リーダ/ライタ33が無線タグ13を検知しているか否かを判断する((ステップS10(以下「S10」と略称することがある。他のステップについても同様である。))。
【0080】
無線タグ13を検知している場合(S10にてYES)、報知制御部47は、スピーカ32に呼出し用の報知音を出力させて、報知を開始する(S11)。次に、報知制御部47は、通話の開始または呼出しの終了が行われるまで待機する(S12)。通話の開始は、例えば、ユーザがハンドセット28をオフフック状態にしたり、操作部31の通話開始ボタンを押したりすることにより判断できる。また、呼出しの終了は、呼出し元からの通話終了の信号を、無線処理部29(または着信検出部23)が受信することにより判断できる。
【0081】
通話の開始または呼出しの終了が行われた場合(S12にてYES)、報知制御部47は、スピーカ32に対し、呼出し用の報知音の出力を停止させて、報知を終了する(S13)。その後、呼出しの検知による処理動作を終了する。
【0082】
一方、無線タグ13を検知していない場合(S10にてNO)、所定期間経過するまで待機し(S14)、その間に呼出しが終了した場合には(S15にてYES)、報知を行うこと無く処理を終了する。一方、呼出しが継続している場合に所定期間を経過した場合、(S14にてYES)、ステップS11に進み、上述の処理動作を行う。
【0083】
なお、本実施形態では、タグ検知部45は、リーダ/ライタ33による無線タグ13の検知を周期的に指示しているが、呼出検知部46が呼出しを検知したときにリーダ/ライタ33による無線タグ13の検知を指示してもよい。さらに、タグ検知部45は、検知結果を報知制御部47に送出し、報知制御部47は、受け取った検知結果に基づいて、上述の報知制御を行ってもよい。この場合、呼出しの検知から報知の開始までの時間が若干長くなるが、記憶部21に検知情報テーブル40を記憶させる必要がなくなる。
【0084】
また、本実施形態では、無線タグ13を検知している電話機Tは、上記所定期間を経過しても、無線タグ13を検知していない電話機Tと共に呼出しの報知を行っているが、上記所定期間経過後に呼出の報知を終了してもよい。この場合、制御部20が行う処理動作を図7に示す。
【0085】
図7に示す処理動作は、図1に示す処理動作に比べて、無線タグ13を検知している場合(S10にてYES)の処理動作が異なり、他の処理動作は同様である。なお、本実施形態で説明した処理動作と同様の処理動作には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0086】
無線タグ13を検知している場合(S10にてYES)、報知制御部47は、スピーカ32に呼出し用の報知音を出力させて、報知を開始する(S16)。次に、報知制御部47は、通話の開始または呼出しの終了が行われるか、或いは、所定期間経過するまで待機する(S17・S18)。その後、報知制御部47は、スピーカ32に対し、呼出し用の報知音の出力を停止させて、報知を終了する(S13)。その後、呼出しの検知による処理動作を終了する。
【0087】
ところで、無線タグ13を検知している電話機Tは、付近にユーザが存在する可能性が高い。そこで、制御部20は、無線タグ13を検知している場合に、呼出検知部46が内線呼出し(または外線呼出し)を検知すると、直ちに通話の開始処理を行ってもよい。この場合、報知制御部47は、ステップS11〜S13において、数秒程度の報知を行うことが望ましいが、報知を行わなくてもよい。また、上記の場合、ユーザがハンドセット28を持つこと無く通話が可能なスピーカホン機能を利用することが望ましい。この場合、ユーザの利便性が向上する。
【0088】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の別の実施形態について図8および図9を参照して説明する。図1〜図7に示されるコードレス電話システム10では、呼出先の電話機Tが呼出の報知のタイミングを制御していたが、本実施形態のコードレス電話システム10では、呼出元の電話機Tが呼出しのタイミングを制御している。
【0089】
本実施形態における電話機Tは、図1〜図7に示される電話機Tに比べて、制御部20の構成が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0090】
図8は、本実施形態における電話機Tの制御部20の概略構成を示している。図示のように、制御部20は、タグ検知部50、検知情報送出部51、検知情報取得部(受信手段)52、呼出指示取得部53、および呼出制御部(呼出し手段)54を備える構成である。
【0091】
タグ検知部50は、図6に示すタグ検知部45に比べて、リーダ/ライタ33から取得した検知結果を、記憶部21に記憶する代わりに、検知情報送出部51に送出する点が異なり、その他の機能は同様である。
【0092】
検知情報送出部51は、タグ検知部50から受け取った検知結果を含む検知情報を、無線処理部29に送出して、他の電話機Tに送信するものである。なお、検知情報送出部51は、周期的に上記検知情報を送出してもよいし、検知結果の内容に変更があった場合にのみ上記検知情報を送出してもよい。また、上記検知情報には、自機を識別するための電話機IDを含むことが好ましい。なお、電話機IDは、「親機」・「子機1」・「子機2」などのような、電話機Tの名称でもよい。
【0093】
検知情報取得部52は、他の電話機Tが送信した検知情報を、無線処理部29を介して取得するものである。検知情報取得部52は、取得した検知情報に、該検知情報を送信した電話機Tの電話機IDを対応付けて、記憶部21の検知情報テーブル40に記憶する。
【0094】
呼出指示取得部53は、ユーザによる内線呼出しの指示情報を、操作部31を介して取得するものである。呼出指示取得部53は、取得した内線呼出しの指示情報を呼出制御部54に送出する。
【0095】
呼出制御部54は、他の電話機Tへの呼出しを制御するものである。具体的には、呼出制御部54は、呼出指示取得部53から内線呼出しの指示を受け取ると、無線処理部29を介して各電話機Tに呼出信号を送信するものである。
【0096】
本実施形態では、呼出制御部54は、呼出指示取得部53から内線呼出しの指示を受け取ると、記憶部21に記憶された検知情報テーブル40を参照して、無線タグ13を検知している電話機Tに対し、直ちに呼出信号を送信する。一方、呼出制御部54は、検知情報テーブル40を参照して、無線タグ13を検知していない電話機Tに対し、上記内線呼出しの指示を受け取ってから所定期間経過後に呼出信号を送信する。
【0097】
従って、本実施形態のコードレス電話システム10では、呼出元の電話機は、呼出しを行う場合、まず、無線タグ13を検知している電話機を呼び出し、その後、無線タグ13を検知していない電話機を呼び出す。これにより、無線タグ13を検知していない電話機が呼出しの報知を行う前に、無線タグ13を検知した電話機が通話を開始すると、無線タグ13を検知しない電話機が呼出しの報知を行わずに済む。その結果、呼出しの報知を効率的に行うことができる。
【0098】
次に、上記構成の電話機Tにおける処理動作について、図9を参照して説明する。図9は、電話機Tの制御部20が行う内線呼出しの処理動作を示している。
【0099】
図9に示すように、まず、呼出制御部54が内線呼出しの指示を取得すると、呼出制御部54は、記憶部21における検知情報テーブル40を読み出す(S20)。次に、呼出制御部54は、読み出した検知情報テーブル40を参照して、無線タグ13を検知している電話機Tを特定し、特定した電話機Tに呼出し信号を送信することにより、当該電話機Tの呼出しを行う(S21)。
【0100】
次に、呼出制御部54は、通話の開始または呼出しの終了が行われるか、或いは所定期間が経過するまで待機する(S22・S23)。通話の開始または呼出しの終了が行われた場合(S22にてYES)、呼出制御部54は、上記内線呼出しの指示による処理動作を終了する。なお、通話の開始は、呼出先の電話機Tから通話開始の信号を、無線処理部29が受信することにより判断できる。また、呼出しの終了は、ユーザがハンドセット28をオンフック状態にしたり、操作部31の通話終了ボタンを押したりすることにより判断できる。
【0101】
一方、通話の開始または呼出しの終了が行われること無く、所定期間が経過した場合(S22にてNO、S23にてYES)、呼出制御部54は、記憶部21から読み出した検知情報テーブル40を参照して、無線タグ13を検知していない電話機Tを特定し、特定した電話機Tに呼出し信号を送信することにより、当該電話機Tの呼出しを行う(S24)。
【0102】
そして、呼出制御部54は、通話の開始または呼出しの終了が行われるまで待機し(S25)、その後、上記内線呼出しの指示による処理動作を終了する。
【0103】
なお、本実施形態では、無線タグ13を検知している電話機Tは、上記所定期間を経過しても、無線タグ13を検知していない電話機Tと共に内線呼出しを行うことになるが、上記所定期間経過後に内線呼出しを終了してもよい。この場合、ステップS24にて、無線タグ13を検知している電話機Tに通話終了の信号を送信すると共に、無線タグ13を検知していない電話機Tに呼出し信号を送信すればよい。
【0104】
また、本実施形態では、内線呼出しについて説明してきたが、外線呼出しの場合にも適用することができる。この場合、上述のような呼出しの制御を親機11が子機12に対して行うことになる。なお、親機11自体に関しては、上記呼出しの制御の代わりに、図6に示すような報知の制御を行えばよい。
【0105】
〔実施の形態3〕
次に、本発明の他の実施形態について図10〜図22を参照して説明する。図8および図9に示されるコードレス電話システム10では、呼出先を特定すること無く、呼出しを行っているが、本実施形態のコードレス電話システム10では、呼出先の候補を表示してユーザに選択させることにより、選択された呼出先を呼出している。
【0106】
本実施形態における電話機Tは、図8および図9に示される電話機Tに比べて、制御部20および記憶部21の構成が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成と同様の機能を有する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0107】
図10は、本実施形態における電話機Tの制御部20および記憶部21の概略構成を示している。図示のように、制御部20は、タグ検知部60、検知情報送出部61、検知情報取得部62、指示情報取得部63、呼出先選択部(呼出先選択手段)64、呼出制御部(呼出し手段、通話制御手段)65、呼出検知部(呼出検知手段)66、および報知制御部67を備える構成である。また、記憶部21は、検知情報テーブル70およびユーザ・タグ対応テーブル71を記憶している。
【0108】
ユーザ・タグ対応テーブル71は、無線タグ13のタグIDと、ユーザを識別するための情報であるユーザIDとが対応付けられたものである。
【0109】
検知情報テーブル70は、電話機Tが無線タグ13を検知したか否かを示す検知結果に、検知した無線タグ13に対応するユーザIDと電話機Tの電話機IDとが対応付けられたものである。
【0110】
タグ検知部60は、自機のリーダ/ライタ33に対し、無線タグ13を検知するように指示して、検知結果をリーダ/ライタ33から取得するものである。さらに、タグ検知部60は、無線タグ13を検知した場合には、無線タグ13に記憶されたタグIDを読み出すように指示して、タグIDをリーダ/ライタ33から取得する。
【0111】
また、タグ検知部60は、記憶部21のユーザ・タグ対応テーブル71を参照して、上記タグIDに対応するユーザIDを取得する。タグ検知部60は、取得した検知結果およびユーザIDを検知情報送出部61に送出する。なお、検知情報テーブル70に、自機の検知結果などが含まれる場合、タグ検知部60は、上記検知結果およびユーザIDで検知情報テーブル70を更新してもよい。
【0112】
検知情報送出部61は、図8に示す検知情報送出部51に比べて、タグ検知部60から受け取った検知結果およびユーザIDを含む検知情報を、無線処理部29に送出して、他の電話機Tに送信する点が異なり、その他の機能は同様である。なお、検知情報は、検知結果およびユーザIDを含む代わりに、無線タグ13を検知している場合にユーザIDを含み、無線タグ13を検知していない場合にヌル文字列を含むようにしてもよい。
【0113】
検知情報取得部62は、他の電話機Tが送信した検知情報を、無線処理部29を介して取得するものである。検知情報取得部62は、取得した検知情報に、送信元の電話機Tの電話機IDを含めて、記憶部21の検知情報テーブル70に記憶する。なお、上述のように、検知情報がユーザIDまたはヌル文字列を含むものである場合、検知情報取得部62は、検知情報にユーザIDが含まれる場合に、無線タグ13を検知していることを示す検知結果を作成する一方、検知情報にヌル文字列が含まれる場合に、無線タグ13を検知していないことを示す検知結果を作成してもよい。
【0114】
指示情報取得部63は、ユーザからの指示情報を、操作部31を介して取得するものである。指示情報取得部63は、取得した指示情報を、該指示情報に対応するブロックに送出する。具体的には、指示情報取得部63は、内線呼出しの指示情報または呼出先の指示情報を取得すると、取得した指示情報を呼出先選択部64に送出する。
【0115】
呼出先選択部64は、ユーザから内線呼出しが指示されると、ユーザに呼出先を選択させるものである。呼出先選択部64は、選択された呼出先の情報を呼出制御部65に送出する。
【0116】
具体的には、呼出先選択部64は、ユーザから操作部31および指示情報取得部63を介して、内線呼出しの指示情報を受け取ると、まず、記憶部21から検知情報テーブル70を読み出す。次に、呼出先選択部64は、読み出した検知情報テーブル70に含まれる検知結果およびユーザIDに基づいて、呼出先候補を作成し、作成した呼出先候補を表示部30に表示させる。
【0117】
図11(a)〜(c)は、親機11が4台の子機12の何れかを呼び出す場合に、親機11の表示部30に表示される呼出先候補の例を示している。なお、図示の例では、第1子機12aのみが無線タグ13を検知している。
【0118】
図11(a)の例では、子機12ごとに、子機12の名称(子機1〜子機4)が表示され、無線タグ13の検知の有無を示す情報が○×で表示されている。また、同図(b)の例では、無線タグ13を検知している第1子機12aの名称(子機1)のみが表示されている。また、同図(c)の例では、子機12ごとに、子機12の名称(子機1〜子機4)が表示され、さらに、無線タグ13を検知している第1子機12aの名称(子機1)が太字で強調して表示されている。
【0119】
このように、無線タグ13の検知の有無に基づいて子機12の名称を表示することにより、該表示を参照したユーザは、無線タグ13を検知している子機12を把握することができる。そして、呼出先選択部64は、ユーザから操作部31および指示情報取得部63を介して、ユーザによって選択された呼出先の指示情報を受け取ると、上記選択された呼出先の情報を呼出制御部65に送出する。
【0120】
呼出制御部65は、図8に示す呼出制御部54に比べて、呼出先選択部64から受け取った呼出先の電話機Tに対し、無線処理部29を介して呼出信号を送信する点が異なり、その他の機能は同様である。また、呼出検知部66は、図6に示す呼出検知部46と同様に機能する。
【0121】
報知制御部67は、図6に示す報知制御部47に比べて、呼出検知部66からの通知を受け取ると、スピーカ32に呼出し用の報知音を出力させると共に、検知情報テーブル70から呼出元の電話機Tに対応するユーザIDを取得し、取得したユーザIDと呼出元の電話機Tの名称とを表示部30に表示させる点が異なり、その他の機能は同様である。これにより、呼出元の電話機Tおよびユーザを把握することができる。
【0122】
従って、本実施形態のコードレス電話システム10では、呼出先を選択する場合に、記憶部21が記憶する検知情報テーブル70に基づいて、呼出先の候補を表示部30に表示させている。これにより、呼出元の電話機Tが呼出しを行う前に、無線タグ13を上記呼出先の電話機Tが検知しているか否かを呼出元のユーザが把握できる。従って、人が存在すると推定される場所を把握した上で、呼出先を選択し、或いは呼び出すか否かを選択することができる。
【0123】
次に、上記構成の電話機Tにおける処理動作について説明する。まず、無線タグ13を検知した場合の処理動作について、図12〜図16を参照して説明する。
【0124】
図12は、リーダ/ライタ33が無線タグ13を検知した場合に、電話機Tの制御部20が行う処理動作を示している。図示のように、まず、タグ検知部60は、リーダ/ライタ33を介して無線タグ13に対しタグIDを要求する(S30)。
【0125】
次に、タグ検知部60は、無線タグ13からリーダ/ライタ33を介してタグIDを取得することに成功した場合(S31にてYES)、ユーザ・タグ対応テーブル(デバイス・ユーザ対応テーブル)71を参照して、上記タグIDに対応するユーザIDを取得する(S32)。そして、タグ検知部60は、無線タグ13を検知していることを示す検知結果とユーザIDとを、検知情報送出部61および無線処理部29を介して、他の電話機Tに送信して(S33)、処理動作を終了する。一方、タグ検知部60は、上記タグIDを取得することに失敗した場合(S31にてNO)、無線タグ13を検知していないことを示す検知結果を、検知情報送出部61および無線処理部29を介して、他の電話機Tに送信して(S34)、処理動作を終了する。
【0126】
図13は、他の電話機Tからデータを受信した場合に、電話機Tの制御部20が行う処理動作を示している。まず、制御部20は、受信したデータに検知情報を含むか否かを判断する(S35)。検知情報を含む場合(S35にてYES)、検知情報取得部62は、検知情報テーブル70を更新して(S36)、処理を終了する。一方、検知情報を含まない場合(S35にてNO)、制御部20は、受信したデータに対応する処理を行って(S37)、処理を終了する。
【0127】
図14は、無線タグ13を検知する処理動作における情報の流れを例示している。図示の例では、第1子機12aが無線タグ13を検知して、親機11および第2子機12bに検知情報を送信している。また、図示の例では、無線タグ13は、タグIDと共にユーザIDを記憶しているとする。
【0128】
図14に示すように、第1子機12aは、周期的に無線タグ13の検索を行い(S40・S41)、無線タグ13を発見すると(S42)、無線タグ13に対しユーザIDその他の検知情報の取得を要求する(S43)。無線タグ13から検知情報を取得すると(S44)、第1子機12aは、取得した検知情報を含むデータを他機(親機11および第2子機12b)に送信する(S45)。このように、無線タグ13がユーザIDを記憶している場合、電話機Tは、タグIDをユーザIDに変換する必要はなく、ユーザ・タグ対応テーブル71を記憶部21に記憶する必要もない。
【0129】
図15は、ステップS45にて送信されるデータの一例を示している。図示の例では、送信元の情報の格納領域に第1子機12aの名称「子機1」が含まれ、ユーザIDの格納領域にユーザの呼称「お父さん」が含まれている。このように、ユーザIDは、「お父さん」・「お母さん」・「太郎くん」などのような、ユーザの呼称でもよい。
【0130】
次に、検知情報を含むデータを受信した親機11および第2子機12bは、取得した検知情報に基づいて、検知情報テーブル70を更新する。図16は、更新後の検知情報テーブル70の一例を示している。図示のように、検知情報テーブル70には、電話機Tの名称(端末名)と、検知結果と、ユーザIDとが、電話機Tごとに含まれている。また、図示の例では、第1子機(子機1)12aにて「お父さん」に対応する無線タグ13が検知されていることを示している。
【0131】
次に、ユーザが内線呼出しを指示した場合の処理動作について、図17〜図22を参照して説明する。図17は、ユーザが操作部31を介して内線呼出しを指示した場合に、電話機Tの制御部20が行う処理動作を示している。
【0132】
図17に示すように、まず、指示情報取得部63が内線呼出しの指示を取得すると、呼出先選択部64は、記憶部21における検知情報テーブル70に基づいて、呼出先候補を作成し、作成した呼出先候補を表示部30に表示させる(S50)。次に、ユーザが呼出先を決定するまで待機する(S51)。その後、ユーザが呼出先を決定して、ユーザから操作部31を介して呼出先の指示情報を指示情報取得部63が取得すると(S51にてYES)、呼出制御部65が、無線処理部29を介して上記呼出先に呼出信号を送信することにより、ユーザによって決定された呼出先を呼び出す(S52)。
【0133】
なお、ステップS52において、呼出先の電話機Tに対応する無線タグ13のタグIDを、別の電話機Tから受信した場合、当該別の電話機Tを呼出先として変更することが望ましい。この場合、ユーザが別の電話機Tの付近に移動しても、該電話機を呼び出すことができる。また、無線タグ13を検知している電話機Tを呼び出す場合、スピーカホンなどで直ちに通話を開始してもよい。この場合、通話を効率よく行うことができる。
【0134】
次に、呼出制御部65は、通話の開始または呼出しの終了が行われるまで待機する(S53)。その後、通話の開始または呼出しの終了が行われると(S53にてYES)、呼出制御部65は、上記内線呼出しの指示による処理動作を終了する。
【0135】
図18は、他の電話機Tから内線呼出しを検知した場合に、電話機Tの制御部20が行う処理動作を示している。図示のように、まず、報知制御部67は、呼出し信号に含まれる呼出元の情報を取得し(S60)、取得した呼出元の電話機Tに対応するユーザIDが検知情報テーブル70に存在するか否かを判断する(S61)。
【0136】
上記ユーザIDが検知情報テーブル70に存在する場合(S61にてYES)、報知制御部67は、上記ユーザIDと上記呼出元の電話機Tの名称とを表示部30に表示させることにより報知する(S62)。一方、上記ユーザIDが検知情報テーブル70に存在しない場合(S61にてNO)、報知制御部67は、上記呼出元の電話機Tの名称のみを表示部30に表示させることにより報知する(S63)。
【0137】
次に、報知制御部67は、スピーカ32に呼出し用の報知音を出力させるなど、その他の報知を開始し(S64)、通話の開始または呼出しの終了が行われるまで待機する(S65)。通話の開始または呼出しの終了が行われると(S65にてYES)、報知制御部47は、全ての報知を終了し(S66)。その後、呼出しの検知による処理動作を終了する。なお、ステップS64の処理は、ステップS60の処理の前に行ってもよい。
【0138】
図19は、内線呼出しに関する処理動作における情報の流れを例示している。図示の例では、親機11から第1子機12aへ内線呼出しを行っている。また、図20は、記憶部21に記憶される検知情報テーブル70の一例を示している。図示のように、親機11は、「お父さん」に対応するタグIDの無線タグ13を検知しており、第1子機12aは、「太郎くん」に対応するタグIDの無線タグ13を検知している一方、第2子機12bは、無線タグ13を検知していないとする。また、各電話機Tには、図20に示す検知情報テーブル70が記憶されているとする。
【0139】
図19に示すように、親機11は、ユーザからの指示に基づき、内線呼出しを開始すると(S70)、図20に示す検知情報テーブル70に基づいて、自機の表示部30に呼出先候補を表示させる(S71)。
【0140】
図21は、表示部30に表示される呼出先候補を示している。図示のように、親機11の他の電話機Tである第1子機12aおよび第2子機12bのそれぞれが呼出先候補として表示されている。第1子機12aに関しては、電話機Tの名称の欄には、第1子機12aの名称である「子機1」が表示され、ユーザIDの欄には、第1子機12aで検知された無線タグ13のタグIDに対応するユーザIDである「太郎くん」が表示されている。一方、第2子機12bに関しては、第2子機12bにて無線タグ13を検知していないため、電話機Tの名称の欄とユーザIDの欄との両方に、第2子機12bの名称である「子機2」が表示されている。
【0141】
次に、親機11は、ユーザからの指示により呼出先が決定されると(S72)、決定された呼出先に対し、内線呼出しの信号を送信すると共に、呼出先の情報を送信する。一方、第1子機12aは、内線呼出しの信号と呼出先の情報とを受信すると、内線呼出しの報知を行うと共に(S73)、呼出先のユーザIDを自機の表示部30に表示させる(S74)。
【0142】
図22は、第1子機12aの表示部30に表示される報知画面の一例を示している。図示のように、報知画面には、内線呼出し中である旨と、呼出元である親機11で検知された無線タグ13のタグIDに対応するユーザIDである「お父さん」とが含まれている。
【0143】
なお、本実施形態では、ユーザIDを送信しているが、タグIDを送信してもよい。この場合、タグIDからユーザIDへの変換は送信先で行われることになる。
【0144】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0145】
例えば、上記実施形態では、移動体として無線タグ13を利用しているが、携帯電話機など、人が携帯可能な任意の携帯デバイスを利用することができる。さらに、カメラで撮影した撮影画像に対し、顔認識技術を利用して顔認識を行うことにより、人間自体を検知したり識別したりしてもよい。
【0146】
最後に、電話機Tの各ブロック、特に制御部20は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0147】
すなわち、電話機Tは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである電話機Tの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記電話機Tに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0148】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0149】
また、電話機Tを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上のように、本発明に係る電話システムでは、移動体の存在の有無に応じて、呼出しの報知のタイミング、または呼出しのタイミングを制御することにより、呼出しの報知を効率的に行うことができる。また、呼出元の電話機が呼出しを行う前に、移動体を呼出先の電話機が検知しているか否かを呼出元が把握することができる。従って、本発明は、コードレス電話システムだけでなく、任意の電話システムに対して適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の一実施形態であるコードレス電話システムに含まれる電話機における制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】上記コードレス電話システムの概要を示す図である。
【図3】上記電話機のうち、親機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】上記電話機のうち、子機の概略構成を示すブロック図である。
【図5】上記コードレス電話システムに含まれる無線タグの概略構成を示すブロック図である。
【図6】上記電話機における制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】上記電話機における制御部が行う別の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の別の実施形態であるコードレス電話システムに含まれる電話機における制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図9】上記電話機における制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態であるコードレス電話システムに含まれる電話機における制御部および記憶部の概略構成を示すブロック図である。
【図11】同図(a)〜(c)は、上記電話機のうち、親機の表示部に表示される呼出先候補の例を示す図である。
【図12】上記コードレス電話システムに含まれる無線タグを検知した場合に、上記電話機の制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】他の上記電話機からデータを受信した場合に、上記電話機の制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】上記無線タグを検知する処理動作における情報の流れを例示するシーケンス図である。
【図15】上記処理動作において、上記電話機間で送信されるデータの一例を示す図である。
【図16】上記電話機の記憶部に記憶される更新後の検知情報テーブルの一例を表形式で示す図である。
【図17】内線呼出しが指示された場合に、上記電話機の制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】他の上記電話機からの内線呼出しを検知した場合に、上記電話機の制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】上記内線呼出しに関する処理動作における情報の流れを例示するシーケンス図である。
【図20】上記検知情報テーブルの一例を表形式で示す図である。
【図21】上記電話機の表示部に表示される呼出先候補を示す図である。
【図22】他の上記電話機の表示部に表示される報知画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0152】
10 コードレス電話システム
11 親機
12 子機
13 無線タグ(携帯デバイス)
20 制御部(通話制御手段)
21 記憶部(記憶手段)
22 回線I/F部
23 着信検出部
24 DTMF信号検出部
25 DTMF信号生成部
26 モデム部
27 クロスポイントスイッチ部
28 ハンドセット(通話手段)
29 無線処理部(受信手段)
30 表示部(報知手段、出力手段)
31 操作部
32 スピーカ(報知手段、通話手段)
33 RFIDリーダ/ライタ
40・70 検知情報テーブル
41 録音データ
45・50・60 タグ検知部(移動体検知手段)
46・66 呼出検知部(呼出検知手段)
47・67 報知制御部(呼出報知制御手段)
51・61 検知情報送出部
52・62 検知情報取得部(受信手段)
53 呼出指示取得部
54 呼出制御部(呼出し手段)
63 指示情報取得部
64 呼出先選択部(呼出先選択手段)
65 呼出制御部(呼出し手段、通話制御手段)
71 ユーザ・タグ対応テーブル(デバイス・ユーザ対応テーブル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、報知を行う報知手段と、前記呼出検知手段が前記呼出しを検知すると、前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御する呼出報知制御手段とを備える電話機であって、
移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段を備えており、
前記呼出報知制御手段は、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知している場合、前記呼出しの検知時から前記呼出しの報知を行う一方、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知していない場合、前記呼出しの検知時から後に前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御することを特徴とする電話機。
【請求項2】
電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、呼出先と通話を行う通話手段とを備える電話機であって、
移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段と、
前記呼出検知手段が前記呼出しを検知し、かつ前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知する場合、通話を開始するように前記通話手段を制御する通話制御手段とを備えることを特徴とする電話機。
【請求項3】
電話網に接続される電話機であって、
他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信手段と、
複数の前記他機に対し呼出しを行う場合、前記移動体の存在を検知する検知結果の送信元である前記他機に対し呼出しを行うと共に、該呼出しから後に、残りの前記他機に対し呼出しを行う呼出し手段とを備えることを特徴とする電話機。
【請求項4】
電話網に接続される電話機であって、
他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信手段と、
該受信手段が受信した検知結果と、該検知結果の送信元である前記他機の識別情報とを対応付けた検知情報を記憶する記憶手段と、
複数の前記他機から呼出先を選択する呼出先選択手段と、
該呼出先選択手段が呼出先を選択する場合に、前記記憶手段が記憶する検知情報に基づいて、前記呼出先の候補を出力する出力手段とを備えることを特徴とする電話機。
【請求項5】
前記出力手段は、前記他機の識別情報と、前記他機の検知結果に対応するマークを付した情報とを、前記他機ごとに出力することを特徴とする請求項4に記載の電話機。
【請求項6】
前記出力手段は、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報を出力することを特徴とする請求項4に記載の電話機。
【請求項7】
前記出力手段は、複数の前記他機の識別情報を前記呼出先の候補として出力する場合に、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報を強調して出力することを特徴とする請求項4に記載の電話機。
【請求項8】
前記受信手段は、前記検知結果と共に、前記移動体の識別情報を受信しており、
前記記憶手段が記憶する検知情報は、前記検知結果および前記移動体の識別情報と前記他機の識別情報とを対応付けたものであり、
前記出力手段は、複数の前記他機の識別情報を前記呼出先の候補として出力する場合に、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報に対し、前記移動体の識別情報を追加して出力することを特徴とする請求項4に記載の電話機。
【請求項9】
前記他機からの呼出しを検知する呼出検知手段と、
報知を行う報知手段と、
前記呼出検知手段が前記呼出しを検知すると、前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御する呼出報知制御手段とをさらに備えており、
該呼出報知制御手段は、前記記憶手段の前記検知情報を参照して、呼出元の前記他機の識別情報に対応する前記移動体の識別情報を報知するように前記報知手段を制御することを特徴とする請求項8に記載の電話機。
【請求項10】
前記呼出先選択手段が選択した呼出先の他機に対応する移動体の識別情報を、前記受信手段が別の他機から受信した場合、前記呼出先選択手段は、前記別の他機を呼出先として変更することを特徴とする請求項8に記載の電話機。
【請求項11】
前記受信手段は、前記検知結果と共に、ユーザが携帯可能な携帯デバイスに記憶された該携帯デバイスの識別情報を受信しており、
前記記憶手段は、前記携帯デバイスの識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けたデバイス・ユーザ対応テーブルをさらに記憶しており、
前記出力手段は、複数の前記他機の識別情報を前記呼出先の候補として出力する場合に、前記移動体の存在を検知する検知結果に対応する前記他機の識別情報に対し、前記検知結果と共に受信した前記携帯デバイスの識別情報に対応する前記ユーザの識別情報を追加して出力することを特徴とする請求項4に記載の電話機。
【請求項12】
前記呼出先選択手段が、前記検知結果が前記移動体の存在を検知するものである前記他機を呼出先として選択する場合、前記呼出先を呼び出して直ちに通話を開始する通話制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の電話機。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1項に記載の電話機が電話網を介して複数個接続された電話システム。
【請求項14】
前記複数の電話機は、互いに無線で通信することを特徴とする請求項13に記載の電話システム。
【請求項15】
請求項1ないし12の何れか1項に記載の電話機としてコンピュータを機能させるための電話機制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための電話機制御プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の電話機制御プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項17】
電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、報知を行う報知手段と、移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段とを備える電話機の制御方法であって、
前記呼出検知手段が前記呼出しを検知すると、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知している場合には、前記呼出しの検知時から前記呼出しの報知を行う一方、前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知していない場合には、前記呼出しの検知時から後に前記呼出しの報知を行うように前記報知手段を制御する呼出報知制御ステップを含むことを特徴とする電話機の制御方法。
【請求項18】
電話網からの呼出しを検知する呼出検知手段と、呼出先と通話を行う通話手段と、移動可能な物体である移動体を検知する移動体検知手段とを備える電話機の制御方法であって、
前記呼出検知手段が前記呼出しを検知し、かつ前記移動体検知手段が前記移動体の存在を検知する場合、通話を開始するように前記通話手段を制御する通話制御ステップを含むことを特徴とする電話機の制御方法。
【請求項19】
電話網に接続される電話機の制御方法であって、
他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信ステップと、
複数の前記他機に対し呼出しを行う場合、前記移動体の存在を検知する検知結果の送信元である前記他機に対し呼出しを行うと共に、該呼出しから後に、残りの前記他機に対し呼出しを行う呼出しステップとを含むことを特徴とする電話機の制御方法。
【請求項20】
電話網に接続される電話機の制御方法であって、
他の電話機である他機が、移動可能な物体である移動体を検知するかを示す検知結果を受信する受信ステップと、
該受信ステップにて受信された検知結果と、該検知結果の送信元である前記他機の識別情報とを対応付けた検知情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
複数の前記他機から呼出先を選択する呼出先選択ステップとを含んでおり、
該呼出先選択ステップは、前記記憶手段が記憶する検知情報に基づいて、前記呼出先の候補を出力する出力ステップとを含むことを特徴とする電話機の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−5026(P2009−5026A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163111(P2007−163111)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】