説明

非接触型ICラベル

【課題】 不必要にアンテナが断線してしまう可能性を低減しながらも不正に再利用されることを防止する。
【解決手段】 ベース基材14の一方の面にアンテナ12が形成されるとともに、アンテナ12を介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ11がアンテナ12と接続されるようにベース基材14に搭載され、ベース基材14のアンテナ12が形成された面に粘着剤20が塗布されてなる非接触型ICラベル1において、アンテナ12上の一部に剥離剤30を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能な非接触型ICラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。また、商品等に貼付されるラベルに情報を記録し、このラベルを用いての商品等の管理も行われている。
【0003】
このようなカードやラベルを用いた情報管理においては、カードやラベルに対して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICカードや非接触型ICラベルがその優れた利便性から急速に普及しつつある。
【0004】
図9は、一般的な非接触型ICラベルの一構成例を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0005】
本構成例は図9に示すように、樹脂シート等からなるベース基材414の一方の面上に、コイル状の導電性材料からなるアンテナ412及び導電性材料からなる接点413が形成されるとともに、アンテナ412を介して外部からの情報の書き込み及び読み出しが非接触状態にて可能なICチップ411が搭載され、さらに、ベース基材414のアンテナ412が形成された面に粘着剤420が塗布され、この粘着剤420によって剥離紙440が剥離可能に貼着されている。なお、接点413は、コイル状のアンテナ412の両端に形成され、この接点413にICチップ411が接続されるように導電性接着剤(不図示)によってICチップ411がベース基材414上に接着されることにより、アンテナ412、接点413及びICチップ411からなる回路が形成されている。
【0006】
上記のように構成された非接触型ICラベル401においては、剥離紙440が剥離されて粘着剤420によって物品等の被着体に貼着され、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電磁誘導によりアンテナ412に電流が流れ、この電流が接点413を介してICチップ411に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ411に情報が書き込まれたり、ICチップ411に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0007】
ここで、上述したような非接触型ICラベル401においては、物品等の被着体に貼付して使用された後、不正に再利用されてしまうことを防止する必要がある。
【0008】
そこで、ベース基材のアンテナが形成される領域の一部に剥離剤を塗布しておき、その上から蒸着形成やエッチングによって金属薄膜からなるアンテナを形成し、それにより、非接触型ICラベルが被着体に貼着された後に被着体から剥離された場合、ベース基材に形成されたアンテナのうち、剥離剤が塗布されていない領域に形成された部分を被着体から剥離させ、また、剥離剤が塗布された領域に形成された部分をベース基材から剥離して被着体に残存させる技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。このように構成された非接触型ICラベルにおいては、被着体に貼着された後に被着体から剥離された場合、ベース基材に形成されたアンテナのうち、剥離剤が塗布されていない領域に形成された部分が被着体から剥離し、また、剥離剤が塗布された領域に形成された部分がベース基材から剥離して被着体に残存するため、アンテナが断線して非接触型ICラベルとして機能しなくなり、不正に再利用されることを防止することができる。
【特許文献1】特開2000−105806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したように、ベース基材のアンテナが形成される領域の一部に剥離剤が塗布され、その上から蒸着形成やエッチングによって金属薄膜からなるアンテナが形成されているものにおいては、剥離剤が塗布された領域に形成されたアンテナを構成する金属薄膜のベース基材に対する接着力が必要以上に弱くなり、それにより、製造過程において、剥離剤が塗布された領域に形成された金属薄膜がベース基材から剥離し、アンテナが断線してしまう可能性が高くなってしまうという問題点がある。
【0010】
また、ベース基材を可撓性樹脂や紙等で構成した場合、剥離紙を剥離する際等、非接触型ICラベルの使用時においてもアンテナが断線してしまう虞れがある。
【0011】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、不必要にアンテナが断線してしまう可能性を低減しながらも不正に再利用されることを防止することができる非接触型ICラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材の少なくとも一方の面に導電性パターンが形成されるとともに、前記導電性パターンを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが前記導電性パターンと接続されるように前記ベース基材に搭載され、前記ベース基材の前記導電性パターンが形成された面に粘着剤が塗布されてなる非接触型ICラベルにおいて、
前記導電性パターン上の一部に、剥離剤が塗布されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記導電性パターンは、導電粒子と樹脂材とを含有してなる導電ペーストによって形成され、
前記剥離剤は、樹脂成分が含有されていることを特徴とする。
【0014】
また、ベース基材の少なくとも一方の面にブースターアンテナが形成されるとともに、アンテナを具備し、該アンテナ及び前記ブースターアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うICチップが前記ベース基材に搭載され、前記ベース基材の前記ブースターアンテナが形成された面に粘着剤が塗布されてなる非接触型ICラベルにおいて、
前記ブースターアンテナ上の一部に、剥離剤が塗布されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記ブースターアンテナは、導電粒子と樹脂材とを含有してなる導電ペーストによって形成され、
前記剥離剤は、樹脂成分が含有されていることを特徴とする。
【0016】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材の導電性パターンが形成された面に塗布された粘着剤によって被着体に貼着された後に被着体から剥離されると、ベース基材に形成された導電性パターンのうち、剥離剤が塗布されていない部分は粘着剤によってベース基材から剥離して被着体に残存し、また、剥離剤が塗布されている部分は剥離剤によって粘着剤から剥離し、ベース基材とともに被着体から剥離される。それにより、導電性パターンが断線して非接触型ICラベルとして機能しなくなり、不正に再利用されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明においては、ICチップに対して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うためにベース基材上に形成された導電性パターン上の一部に、剥離剤が塗布されている構成としたため、被着体に貼着された後に被着体から剥離された場合、ベース基材に形成された導電性パターンのうち、剥離剤が塗布されていない部分は粘着剤によってベース基材から剥離して被着体に残存し、また、剥離剤が塗布されている部分は剥離剤によって粘着剤から剥離し、ベース基材とともに被着体から剥離されることになり、それにより、導電性パターンが断線して非接触型ICラベルとして機能しなくなり、不正に再利用されることを防止することができる。
【0018】
また、導電性パターンが、導電粒子と樹脂材とを含有してなる導電ペーストによって形成され、剥離剤に樹脂成分が含有されているものにおいては、導電ペーストに含有された樹脂材と剥離剤に含有された樹脂成分とによって、導電性パターンと剥離剤との分子間力が強まり、それにより、非接触型ICラベル全体の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の非接触型ICラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【0021】
本形態は図1に示すように、樹脂シートやコート紙等といった表面の平滑性が高い素材からなるベース基材14の一方の面上に、コイル状の導電性材料からなるアンテナ12及び導電性材料からなる接点13が形成されるとともに、アンテナ12を介して外部からの情報の書き込み及び読み出しが非接触状態にて可能なICチップ11が搭載され、さらに、ベース基材14のアンテナ12が形成された面に粘着剤20が塗布され、この粘着剤20によって剥離紙40が剥離可能に貼着されている。なお、アンテナ12と接点13とから導電性パターンが構成され、接点13は、コイル状のアンテナ12の両端に形成され、この接点13にICチップ11が接続されるように導電性接着剤(不図示)によってICチップ11がベース基材14上に接着されることにより、アンテナ12、接点13及びICチップ11からなる回路が形成されている。また、本形態においては、アンテナ12が形成されたベース基材14のうちアンテナ12が形成された面上に、樹脂成分を含有してなる剥離剤30が縞状に塗布されている。これにより、アンテナ12上の一部に剥離剤30が塗布されている。
【0022】
上記のように構成された非接触型ICラベル1においては、剥離紙40が剥離されて粘着剤20によって物品等の被着体に貼着され、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電磁誘導によりアンテナ12に電流が流れ、この電流が接点13を介してICチップ11に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ11に情報が書き込まれたり、ICチップ11に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0023】
以下に、上述した非接触型ICラベル1の製造方法について説明する。
【0024】
図2は、図1に示した非接触型ICラベル1の製造方法を説明するための図である。
【0025】
まず、ベース基材14の一方の面上にアンテナ12及び接点13を形成する(図2(a))。なお、アンテナ12及び接点13は、金属薄膜からなるものを蒸着形成やエッチングによって形成することや、導電粒子と樹脂材とを含有してなる導電ペーストを用いてスクリーン印刷等の手法によって形成することが考えられる。
【0026】
次に、ベース基材14のアンテナ12及び接点13が形成された面上に、樹脂バインダーを使用した剥離剤30を縞状に塗布する(図2(b))。それにより、アンテナ12上の一部に剥離剤30が塗布されることになる。ここで、樹脂バインダーとしては、例えば、UV硬化型のシリコンを用いることが考えられ、ラジカル重合タイプのものや、ラジカル付加タイプのものあるいはカチオン硬化タイプのものを用いることができる。また、その場合、アンテナ12及び接点13を、導電粒子と樹脂材とを含有してなる導電ペーストを用いて形成すれば、剥離剤30に含有された樹脂成分とアンテナ12に含有された樹脂材とによって、剥離剤30とアンテナ12との分子間力が強まり、それにより、非接触型ICラベル1全体の安定性が向上する。また、その場合、導電ペーストに含有された樹脂材としては、エポキシ系成分が50%以下のものが好ましく、さらには、ポリエステル系樹脂が100%であるものが好ましい。
【0027】
次に、ICチップ11を接点13に接続されるようにベース基材14上に搭載し、導電性接着剤(不図示)によってICチップ11をベース基材14上に接着する(図2(c))。これにより、ICチップ11が接点13と電気的に接続され、アンテナ12、接点13及びICチップ11からなる回路が形成される。
【0028】
その後、一方の面に粘着剤20が塗布された剥離紙40を、ベース基材14のアンテナ12が形成された面に粘着剤20によって貼着し、図1に示したような非接触型ICラベル1を完成させる(図2(d))。
【0029】
このように製造された非接触型ICラベル1においては、アンテナ12及び接点13の全ての領域がベース基材14上に直接形成されているため、製造過程や、剥離紙40を剥離する際等の非接触型ICラベル1の使用時において、アンテナ12がベース基材14から剥離して断線してしまう可能性を低減することができる。
【0030】
以下に、上述した非接触型ICラベル1が物品等の被着体に貼着された状態から剥がされる場合の作用について説明する。
【0031】
図3は、図1に示した非接触型ICラベル1が被着体に貼着された状態から剥がされる場合の状態を示す図である。
【0032】
被着体50に貼着された非接触型ICラベル1を被着体50から剥がし始めると、まず、ベース基材14と粘着剤20とが剥がれていく(図3(a))。
【0033】
その後、非接触型ICラベル1を被着体50から剥がすために非接触型ICラベル1を被着体50から離れる方向に引っ張っていくと、ベース基材14に剥離剤30が塗布されていない領域においては、ベース基材14と粘着剤20とが剥がれ、その領域のアンテナ12においては、ベース基材14が樹脂シートやコート紙等といった表面の平滑性が高い素材からなるものであるため、ベース基材14から剥離する。これにより、その領域のアンテナ12は粘着剤20とともに被着体50に残存する。また、ベース基材14に剥離剤30が塗布された領域においては、剥離剤30と粘着剤20とが剥離し、それにより、その領域のアンテナ12はベース基材14とともに被着体50から剥離していく(図3(b))。
【0034】
そして、被着体50から非接触型ICラベル1を完全に剥がした状態においては、剥離剤30が塗布されていない部分のアンテナ12が粘着剤20から剥離されずに被着体50に残存し、また、剥離剤30が塗布された部分のアンテナ12がベース基材14とともに被着体50から剥離されることになる(図3(c))。
【0035】
図4は、図1に示した非接触型ICラベル1が被着体に貼着された後に完全に剥がされた状態を示す図であり、(a)は非接触型ICラベル1の状態を示す図、(b)は非接触型ICラベル1が貼着されていた被着体の状態を示す図である。
【0036】
図4(a)に示すように、図1に示した非接触型ICラベル1が被着体に貼着された後に完全に剥がされた状態においては、非接触型ICラベル1のうち、剥離剤30が塗布されていない領域のアンテナ12や接点13、ICチップ11がベース基材14から剥離しており、剥離剤30が塗布された領域のアンテナ12のみが剥離剤30とともにベース基材14上に存在している。
【0037】
一方、図4(b)に示すように、非接触型ICラベル1が貼着されていた被着体50には、貼着されていた非接触型ICラベル1のうち、剥離剤30が塗布されていない領域のアンテナ12や接点13、ICチップ11が粘着剤20によって貼着されたまま残存している。
【0038】
このように、図1に示した非接触型ICラベル1が被着体50に貼着された後に被着体50から剥がされると、非接触型ICラベル1のアンテナ12のうち、剥離剤30が塗布された部分がベース基材14とともに被着体50から剥離する一方、剥離剤30が塗布されていない部分が粘着剤20によって被着体50に貼着されたまま残存するため、アンテナ12が断線して非接触型ICラベル1として機能しなくなり、不正に再利用されることを防止することができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の非接触型ICラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【0040】
本形態は図5に示すように、樹脂シートやコート紙等といった表面の平滑性が高い素材からなるベース基材114の一方の面上に、コイル状の導電性材料からなるアンテナ112及び導電性材料からなる接点113が形成されるとともに、アンテナ112を介して外部からの情報の書き込み及び読み出しが非接触状態にて可能なICチップ111が搭載され、さらに、ベース基材114のアンテナ112が形成された面に粘着剤120が塗布され、この粘着剤120によって剥離紙140が剥離可能に貼着されている。なお、アンテナ112と接点113とから導電性パターンが構成され、接点113は、コイル状のアンテナ112の両端に形成され、この接点113にICチップ111が接続されるように導電性接着剤(不図示)によってICチップ111がベース基材114上に接着されることにより、アンテナ112、接点113及びICチップ111からなる回路が形成されている。また、本形態においては、ベース基材114のアンテナ112が形成された面のうち、コイル状のアンテナ112の角部に、樹脂成分を含有してなる剥離剤130がそれぞれ塗布されている。これにより、アンテナ112上の一部に剥離剤130が塗布されている。
【0041】
上記のように構成された非接触型ICラベル101においても、第1の実施の形態にて示したものと同様に、アンテナ112及び接点113の全ての領域がベース基材114上に直接形成されているため、製造過程や、剥離紙140を剥離する際等の非接触型ICラベル101の使用時において、アンテナ112がベース基材114から剥離して断線してしまう可能性を低減することができる。
【0042】
その後、この非接触型ICラベル101を物品等の被着体に貼着し、被着体から剥離していくと、ベース基材114に剥離剤130が塗布されていない領域においては、ベース基材114と粘着剤120とが剥がれ、その領域のアンテナ112においては、ベース基材114が樹脂シートやコート紙等といった表面の平滑性が高い素材からなるものであるため、ベース基材114から剥離する。これにより、その領域のアンテナ112は粘着剤120とともに被着体に残存する。また、ベース基材114に剥離剤130が塗布された領域においては、剥離剤130と粘着剤120とが剥離し、それにより、その領域のアンテナ112はベース基材114とともに被着体から剥離していく。
【0043】
図6は、図5に示した非接触型ICラベル101が被着体に貼着された後に完全に剥がされた状態を示す図であり、(a)は非接触型ICラベル101の状態を示す図、(b)は非接触型ICラベル101が貼着されていた被着体の状態を示す図である。
【0044】
図6(a)に示すように、図5に示した非接触型ICラベル101が被着体に貼着された後に完全に剥がされた状態においては、非接触型ICラベル101のうち、剥離剤130が塗布されていない領域のアンテナ112や接点113、ICチップ111がベース基材114から剥離しており、剥離剤130が塗布された領域のアンテナ112のみが剥離剤130とともにベース基材114上に存在している。
【0045】
一方、図6(b)に示すように、非接触型ICラベル101が貼着されていた被着体150には、貼着されていた非接触型ICラベル101のうち、剥離剤130が塗布されていない領域のアンテナ112や接点113、ICチップ111が粘着剤120によって貼着されたまま残存している。
【0046】
このように、図5に示した非接触型ICラベル101が被着体150に貼着された後に被着体150から剥がされると、非接触型ICラベル101のアンテナ112のうち、剥離剤130が塗布された部分がベース基材114とともに被着体150から剥離する一方、剥離剤130が塗布されていない部分が粘着剤120によって被着体150に貼着されたまま残存するため、アンテナ112が断線して非接触型ICラベル101として機能しなくなり、不正に再利用されることを防止することができる。
【0047】
(第3の実施の形態)
図7は、本発明の非接触型ICラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【0048】
本形態は図7に示すように、樹脂シートやコート紙等といった表面の平滑性が高い素材からなるベース基材214の一方の面上に、コイル状の導電性材料からなるアンテナ212及び導電性材料からなる接点213が形成されるとともに、アンテナ212を介して外部からの情報の書き込み及び読み出しが非接触状態にて可能なICチップ211が搭載され、さらに、ベース基材214のアンテナ212が形成された面に粘着剤220が塗布され、この粘着剤220によって剥離紙240が剥離可能に貼着されている。なお、アンテナ212と接点213とから導電性パターンが構成され、接点213は、コイル状のアンテナ212の両端に形成され、この接点213にICチップ211が接続されるように導電性接着剤(不図示)によってICチップ211がベース基材214上に接着されることにより、アンテナ212、接点213及びICチップ211からなる回路が形成されている。また、本形態においては、ベース基材214のアンテナ212が形成された面のうち、コイル状のアンテナ212の角部に、樹脂成分を含有してなる剥離剤230がそれぞれ塗布されており、さらに、アンテナ212においては、剥離剤230が塗布された領域と塗布されていない領域との境界近傍における線幅が他の領域における線幅よりも狭くなっている。これにより、アンテナ212上の一部に剥離剤230が塗布されている。
【0049】
上記のように構成された非接触型ICラベル201においては、第2の実施の形態に示したものと同様に、物品等の被着体に貼着した後に被着体から剥離すると、アンテナ212のうち、剥離剤230が塗布された領域と塗布されていない領域との境界にてアンテナ212が断線することになるが、剥離剤230が塗布された領域と塗布されていない領域との境界近傍における線幅が他の領域における線幅よりも狭くなっているため、物品等の被着体に貼着した後に被着体から剥離した際にアンテナ212を断線しやすくすることができる。
【0050】
なお、上述した3つの実施の形態においては、2つの接点のうち一方の接点から延びたアンテナがコイル形状となってベース基材上を周回し、その後、アンテナの他の部分と交差して他方の接点と接続されているが、このアンテナどうしが交差する領域においては、交差するアンテナどうしを絶縁させる必要がある。そのため、実際には、絶縁層を介してアンテナどうしを交差させたり、アンテナが交差する部分において、交差するアンテナのうち一方を表裏導通部を介してベース基材の反対側の面にブリッジと称して形成したりしている。そこで、ベース基材の反対側の面に形成されたブリッジ上の一部に、上述したように剥離剤を塗布し、かつ、非接触型ICラベルを被着体に貼着するための粘着剤をその面に塗布した構成としても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(第4の実施の形態)
図8は、本発明の非接触型ICラベルの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【0052】
本形態は図8に示すように、樹脂シートやコート紙等といった表面の平滑性が高い素材からなるベース基材314の一方の面上に、コイル状の導電性材料からなるブースターアンテナ315が形成されるとともに、アンテナ312を具備し、このアンテナ312及びブースターアンテナ315介して外部からの情報の書き込み及び読み出しを非接触状態にて行うICチップ311が搭載され、さらに、ベース基材314のブースターアンテナ315が形成された面に粘着剤320が塗布され、この粘着剤320によって剥離紙340が剥離可能に貼着されている。また、本形態においては、また、ブースターアンテナ315が形成されたベース基材314のうちブースターアンテナ315が形成された面上に、樹脂成分を含有してなる剥離剤330が塗布されている。これにより、ブースターアンテナ315上の一部に剥離剤330が塗布されている。
【0053】
上記のように構成された非接触型ICラベル301においては、剥離紙340が剥離されて粘着剤320によって物品等の被着体に貼着され、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させると、ICチップ311に設けられたアンテナ312と情報書込/読出装置側のアンテナとの間にて電磁誘導が発生し、それにより、ICチップ311に書き込まれた情報が非接触状態で情報書込/読出装置にて読み出されたり、情報書込/読出装置から非接触状態でICチップ311に情報が書き込まれたりする。ここで、ICチップ311における受信のしやすさを示す先鋭度Qにおいては、アンテナ312のインダクタンスと静電容量と抵抗成分とによって決まる。そのため、例えば、アンテナ312の導体径が大きくなった場合、先鋭度Qが高くなり、それにより、ICチップ311の通信可能距離が延びることになる。本形態においては、ベース基材314上にブースターアンテナ315が形成されているため、このブースターアンテナ315とアンテナ312とが電磁結合し、それにより、アンテナ312の見かけ上の導体径が大きくなり、先鋭度Qが高くなる。そのため、本形態においては、ICチップ311は、アンテナ312及びブースターアンテナ315を介して情報の書き込み及び読み出しが行われている。
【0054】
上述した非接触型ICラベル301においても、第1に実施の形態にて示したものと同様に、ブースターアンテナ315及び接点313の全ての領域がベース基材314上に直接形成されているため、製造過程や、剥離紙340を剥離する際等の非接触型ICラベル301の使用時において、ブースターアンテナ315がベース基材314から剥離して断線してしまう可能性を低減することができる。
【0055】
その後、この非接触型ICラベル301を物品等の被着体に貼着し、被着体から剥離していくと、ベース基材314に剥離剤330が塗布されていない領域においては、ベース基材314と粘着剤320とが剥がれ、その領域のブースターアンテナ315においては、ベース基材314が樹脂シートやコート紙等といった表面の平滑性が高い素材からなるものであるため、ベース基材314から剥離する。これにより、その領域のブースターアンテナ315は粘着剤320とともに被着体に残存する。また、ベース基材314に剥離剤330が塗布された領域においては、剥離剤330と粘着剤320とが剥離し、それにより、その領域のブースターアンテナ315はベース基材314とともに被着体から剥離していく。
【0056】
なお、本形態においては、ベース基材314のICチップ311が搭載された面にブースターアンテナ315が形成されているが、ベース基材314のICチップ311が搭載されていない面にブースターアンテナ315を形成することも考えられる。ただし、その場合においても、ブースターアンテナ315上の一部に剥離剤330が塗布された構成とする必要がある。
【0057】
また、上述した4つの実施の形態においては、ベース基材上に形成されたコイル状のアンテナあるいはブースターアンテナに電磁誘導によって電流が流れることによりICチップに対して情報の書き込みや読み出しが行われる電磁誘導式の非接触型ICラベルを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、ベース基材上に所定の間隔を有して互いに対向して形成された2つのアンテナを有してなる電波方式のもの等、アンテナが断線した場合にICチップに対する情報の書き込みや読み出しが不可能となったり通信距離が大きく異なったりするものであれば適用することができる。
【0058】
また、上述した4つの実施の形態においては、アンテナが形成されたベース基材上に縞状あるいはアンテナの角部に剥離剤が塗布されているが、アンテナ上の一部に剥離剤が塗布された構成となるものであれば、剥離剤が塗布される領域はこれらに限らない。ただし、上述したような非接触型ICラベルは、被着体に貼着された後に被着体から剥がされる場合、外周部から剥がされていくことになるため、アンテナが形成された領域のうち、ベース基材の外周部側の一部に剥離剤を塗布することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の非接触型ICラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【図2】図1に示した非接触型ICラベルの製造方法を説明するための図である。
【図3】図1に示した非接触型ICラベルが被着体に貼着された状態から剥がされる場合の状態を示す図である。
【図4】図1に示した非接触型ICラベルが被着体に貼着された後に完全に剥がされた状態を示す図であり、(a)は非接触型ICラベルの状態を示す図、(b)は非接触型ICラベルが貼着されていた被着体の状態を示す図である。
【図5】本発明の非接触型ICラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【図6】図5に示した非接触型ICラベルが被着体に貼着された後に完全に剥がされた状態を示す図であり、(a)は非接触型ICラベルの状態を示す図、(b)は非接触型ICラベルが貼着されていた被着体の状態を示す図である。
【図7】本発明の非接触型ICラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【図8】本発明の非接触型ICラベルの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は(a)に示したB−B’断面図である。
【図9】一般的な非接触型ICラベルの一構成例を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1,101,201,301 非接触型ICラベル
11,111,211,311 ICチップ
12,112,212,312 アンテナ
13,113,213 接点
14,114,214,314 ベース基材
20,120,220,320 粘着剤
30,130,230,330 剥離剤
40,140,240,340 剥離紙
50,150 被着体
315 ブースターアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材の少なくとも一方の面に導電性パターンが形成されるとともに、前記導電性パターンを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが前記導電性パターンと接続されるように前記ベース基材に搭載され、前記ベース基材の前記導電性パターンが形成された面に粘着剤が塗布されてなる非接触型ICラベルにおいて、
前記導電性パターン上の一部に、剥離剤が塗布されていることを特徴とする非接触型ICラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触型ICラベルにおいて、
前記導電性パターンは、導電粒子と樹脂材とを含有してなる導電ペーストによって形成され、
前記剥離剤は、樹脂成分が含有されていることを特徴とする非接触型ICラベル。
【請求項3】
ベース基材の少なくとも一方の面にブースターアンテナが形成されるとともに、アンテナを具備し、該アンテナ及び前記ブースターアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うICチップが前記ベース基材に搭載され、前記ベース基材の前記ブースターアンテナが形成された面に粘着剤が塗布されてなる非接触型ICラベルにおいて、
前記ブースターアンテナ上の一部に、剥離剤が塗布されていることを特徴とする非接触型ICラベル。
【請求項4】
請求項3に記載の非接触型ICラベルにおいて、
前記ブースターアンテナは、導電粒子と樹脂材とを含有してなる導電ペーストによって形成され、
前記剥離剤は、樹脂成分が含有されていることを特徴とする非接触型ICラベル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−209617(P2006−209617A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23265(P2005−23265)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】