音響吸収性を有する構造化膜
音響吸収特性を有する構造化膜が開示された。さらに、構造化膜の製造及び使用の方法も、開示された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音響吸収性を有する構造化膜並びにそのような構造化膜の製造及び使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響吸収性を含む音響特性を提供する物品が当該技術では引き続き必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、ある範囲に音響吸収性を含む音響特性を提供する能力を持つ構造化膜を目的とするものである。本発明の1つの代表的実施形態によると、構造化膜は、第1の主表面と、第2の主表面と、及び平均的な膜部分厚さを有する実質的に平坦な膜部分と、並びに実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起とを備える構造化膜であって、1つ以上の管状の突起は、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って伸びる穴と、(ii)その孔の少なくとも一部を囲む突起の側壁と、その突起の側壁は、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁の厚さを有する、(iii)突起の長さの、平均的な膜部分厚さに対する比率が少なくとも約3.5である、第1の突起の末端から第1の主表面の距離で伸びる突起の長さと、を有する管状の突起と、を備える。一部の実施形態では、平均的な膜部分厚さに対する突起の長さの比率は、少なくとも約4.0で最大で約10.0以上にも達する。
【0004】
本発明の別の代表的実施形態によると、構造化膜は、第1の主表面と、第2の主表面と、及び平均的な膜部分厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、並びに実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起とを備える構造化膜であって、1つ以上の管状の突起は、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って伸びる穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、突起の側壁が熱形成可能な材料を含み、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)第1の突起の末端から第2の主表面の下の第2の突起の末端まで距離で伸びる末端から末端までの突起の長さと、を有する管状の突起とを備える。
【0005】
さらに別の本発明の代表的実施形態によると、構造化膜は、第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、並びに実質的に平坦な膜部分から延びる複数個の管状の突起とを備える構造化膜であって、1つ以上の管状の突起は(i)第1の主表面より上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分を通って、実質的に平坦な膜部分の下の第2の突起の末端まで伸びて、構造化膜を通る開口を提供する穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、その突起の側壁は熱形成可能な材料を含み、そして突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)第1の突起末端から第2の突起末端まで伸びる、末端から末端までの突起の長さと、を有する管状の突起とを備える。
【0006】
本発明はまた、構造化膜を製造する方法とともにこの構造化膜を多種多様な用途に使用する方法を目的とするものである。本発明の1つの代表的実施形態では、1つの構造化膜を使用する方法は、ある範囲の少なくとも1つの部分を構造化膜で取り囲む工程を含む、その範囲の音響を吸収する方法を含む。
【0007】
本発明の、これら及びその他の機能と利点は、以下に示す開示された実施形態の明細書と添付の請求項を検討することにより明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、エネルギーの消失性、エネルギーの反射性/方向付け性またはエネルギー転換性(運動粒子の運動エネルギーの摩擦による熱エネルギーへの転換)を含めるがそれらに限定されない、音響特性を提供できる構造化膜を目的とする。本願における「構造化」という用語は膜のトポグラフィ的な特徴を示しており、すなわち、この膜の実質的に平坦な膜部分の少なくとも1つの主要な外表面に沿った管状の突起の存在を示す。この「構造化」という用語、管状の突起および膜の実質的に平坦な膜部分を形成するために使用される材料の配向を記述するために使用するものではない。
【0009】
この構造化膜は(1)格別に高い音響吸収性を有し、(2)多種多様な用途に使用できる構造的な特徴を有し、かつ(3)費用対効果が高い方法で生産できる。本発明はまた、構造化膜を製造する方法とともに、この構造化膜を音響吸収用途を含む多種多様な用途に使用する方法を目的とするものである。
【0010】
本発明の代表的構造化膜が図1に示される。図1の、代表的構造化膜10は、実質的に平坦な膜部分11及び実質的に平坦な膜部分11の第1の主表面13より上に伸びる複数個の管状の突起12を備える。以下にさらに詳細に述べるように、管状の突起12は、第1の主表面13の上の第1の突起の末端16から実質的に平坦な膜部分11の中に、もしくは通って伸びる穴15、穴15の少なくとも一部を囲む突起の側壁18、および第1の突起の末端16から第1の主表面13までの距離で伸びる突起の長さL、を有する。さらに、代表的構造化膜10は以下に述べる追加的な層及び/又は要素を取り付けることが可能である。
【0011】
I.3次元構造化膜
図1の代表的構造化膜10に示すように、本発明の3次元構造化膜は、この構造化膜を多種多様な用途に使用できるようにする数々の要素を含む。例えば、一部の実施形態では、本発明の構造化膜は所与の基板及び/又は範囲に対して特に優れた音響特性を提供する能力を持つ。本発明の構造化膜に使用できる要素、並びに結果として得られる構造化膜の特徴の説明を以下に示す。
【0012】
A.構造化膜要素
本発明の構造化膜は、1つ以上の下記の要素を含んでもよい。
【0013】
1.実質的に平坦な膜部分
本発明の構造化膜は、図1に示す代表的な構造化膜10の実質的に平坦な膜部分11のような、実質的に平坦な膜部分を含む。実質的に平坦な膜部分は、第1の主表面、第1の主表面の反対側にある第2の主表面、及び第1の主表面から第2の主表面に伸びる平均的な膜部分厚さtを有する。本願における「実質的に平坦な膜部分」という用語は、複数個の管状の突起を各々囲みかつ分離する、本発明の構造化膜の部分を指すために用いられる。図1〜図4に示すように、実質的に平坦な膜部分には、この構造化膜の全幅w又長さlより大幅に小さい平均的な膜部分厚さtを有する平坦な膜部分が備わる。
【0014】
本発明において、実質的に平坦な膜部分の「平均的な膜部分厚さ」(tで表される)は、隣り合う管状の突起の間の実質的に平坦な膜部分の厚さを、結果として膜部分厚さの総数xにおよぶ数多くの位置で測定し、x個の膜部分厚さの平均的な部分厚さを計算することによって決定される。一般的にxは約3より大きく、好ましくは約3から約10である。望ましくは、管状の突起による測定に対する何らかの影響を最小限にするために、各測定は隣り合う管状の突起の間のおおよそ中ほどの位置で行う。
【0015】
この構造化膜の実質的に平坦な膜部分は、平均的な膜部の厚さを有し、その厚さはは構造化膜の具体的な最終用途に応じて変えられる。一般的には、実質的に平坦な膜部分は、約508ミクロン(μm)(20mil)未満の平均的な膜部分厚さを有する。一部の実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、約50.8μm(2.0mil)〜約508μm(20mil)の平均的な膜部分厚さを有する。他の実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、約101.6μm(4.0mil)〜約254μm(10mil)の平均的な膜部分厚さを有する。さらに他の実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、約101.6μm(4.0mil)〜約152.4μm(6.0mil)の平均的な膜部分厚さを有する。
【0016】
この構造化膜の実質的に平坦な膜部分は、1種以上の高分子材料を含んでもよい。好適な高分子材料としては、ポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリオレフィン類、オレフィン共重合体類(例えば酢酸ビニルとの共重合体)、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル類、ポリアミド(6ナイロン及び6,6−ナイロン)、ポリウレタン類、ポリブテン、ポリ乳酸類、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、液晶性ポリマー類、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン類、及びそれらの組合せを含むが、これに限るものではない。1つの代表的実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこれらブレンドのようなポリオレフィンを含む。
【0017】
実質的に平坦な膜部分は、以下に説明する1種以上の添加物をさらに含んでいても良い。存在する場合には、約25重量%までの1種以上の添加物とともに、少なくとも75重量%の上記高分子材料の一種が実質的に平坦な膜部分に含まれる。すべての重量は実質的に平坦な膜部分の全重量を基準にして、望ましくは、実質的に平坦な膜部分は少なくとも80重量%、さらに望ましくは少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、及び100重量%までの量の上記高分子材料のいずれか1種を含む。
【0018】
添加物を実質的に平坦な膜部分に組み込むために、各種の添加物を、上に示された1つ以上の重合物から形成された溶融重合物に加え、押し出し加工することができる。一般的に、添加物の量は構造化膜の全重量を基準にして、約25重量%未満で、望ましくは最高でも約5.0重量%である。適する添加物には、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、流動性調整剤、硬化速度遅延剤、接着促進剤(シラン、チタン酸塩など)、補助剤、衝撃改質剤、発泡性微小球、熱伝導性粒子、電気伝導性粒子、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズまたはバブル、酸化防止剤、蛍光増白剤、抗菌剤、界面活性剤、難燃剤、及びフッ素重合体が含まれるが、これに限るものではない。1種以上の上述の添加物を、重量及び/または結果として得られる実質的に平坦な膜部分の価格を減少するために、粘度を調整するために、若しくは実質的に平坦な膜部分の熱的特性を変性するために、又は添加物の物理的特性の活性に由来する、電気的、工学的、密度関連、液体遮断層、または接着剤の粘着性関連特性を含む物理的特性に幅を与えるために、使用してもよい。
【0019】
本発明の一つの代表的実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、第1及び第2の主表面を形成し、上述の平均的な膜部分厚さを有する、熱成形可能な材料の単層から構成され、その熱成形可能な材料は1種以上の上記の重合体及び任意選択の添加物を含む。さらに本発明のある代表的実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、第1及び第2の主表面を形成し、上述の平均的な膜部分厚さを有する、熱成形可能な材料の単層から構成され、第1と第2の主表面は露出しているので(すなわち被覆されていない)、所望の基材に配置可能及び/または取り付け可能である。
【0020】
2.管状の突起
本発明の構造化膜はさらに、図1に示す代表的構造化膜10の管状の突起12のような、実質的に平坦な膜部分の第1の主表面より上に伸びる複数個の管状の突起を含む。この管状の突起は望ましくは、上記の実質的に平坦な膜部分を形成するのに使用されたのと同じ熱成形可能な組成物から形成される。1つの望ましい実施形態では、実質的に平坦な膜部分及び複数個の管状の突起は、1種以上の上述の重合体及び任意選択の添加物を含む、単一の熱成形可能組成物から形成された、連続的な熱成形構造体から構成される。
【0021】
他の望ましい実施形態では、実質的に平坦な膜部分及び複数個の管状の突起は、(i)単一の熱成形可能な組成物から形成された、連続的な熱成形構造体を含み、かつ(ii)膜形成後に突起を形成する方向付けが無い。本願における「膜形成後に突起を形成する方向付け」と言う用語は、突起及び/または膜にある開口を形成するために使用される従来プロセスを記述するために使用される。このような従来プロセスには、前の工程で固化した膜構造に突起を形成する熱成形工程(例えば、溶融した膜押し出し品でない)、針による打ち抜き工程、またはその他の膜の打ち抜き工程が含まれるが、これに限るものではない。
【0022】
複数個の管状の突起は実質的に平坦な膜部分の第1の主表面上に一様に分布され、または第1の主表面上に不規則に分布されていてもよい。一部の実施形態では、複数個の管状の突起は実質的に平坦な膜部分の第1の主表面(及び、所望により第2の主表面の対応する位置)上に一様に分布している。
【0023】
1つの代表的実施形態において、本発明の構造化膜は、実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起を含み、1つ以上の管状の突起は(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って、伸びる穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)突起の長さLの平均的な膜部分厚さtに対する比率が少なくとも約3.5である、第1の突起の末端から第1の主表面までの距離で伸びる突起の長さLとを、有する突起を備える。他の実施形態においては、突起の長さLの平均的な膜部分厚さtに対する比率は少なくとも約4.0である。さらに他の実施形態においては、突起の長さLの平均的な膜部分厚さtに対する比率は約4.0ないし約10.0である。
【0024】
管状の突起は実質的に類似の突起の長さを有してよく、その長さは所与の構造化膜の最終用途に応じて、膜ごとに変化してよい。一般的に、管状の突起は、約25.4μm(1mil)〜約1.23cm(500mil)、より一般的には約50.8μm(2mil)〜約2.54mm(100mil)、さらにより一般的には約508μm(20mil)〜約1.02mm(40mil)の範囲の突起の長さを有する。
【0025】
この管状の突起は、その突起穴の長さ、突起穴の直径、及び突起の側壁厚に関してさらに説明されるが、これらの各部寸法はその構造化膜の最終用途により、異なっていてもよい。一般的に、管状の突起は約25.4μm(1mil)〜1.32cm(520mil)、より一般的には、約50.8μm(2mil)〜約2.79mm(110mil)、さらにより一般的には、約508μm(20mil)〜1.14mm(45mil)の範囲の突起穴の長さを有し;また約25.4μm(1mil)〜約6.35mm(250mil)、より一般的には、約25.4μm(1mil)〜約2.54mm(100mil)、さらにより一般的には約25.4μm(1mil)〜約254μm(10mil)の範囲の突起穴の直径を有し;また約25.4μm(1mil)〜約508μm(20mil)、より一般的には25.4μm(1mil)〜約254μm(10mil)、さらにより一般的には約25.4μm〜約127μm(5mil)の範囲の突起の側壁厚を有する。
【0026】
管状の突起は、さらに突起の側壁厚の上述の平均的な膜部分厚さtに対する点から説明することができる。一つの代表的実施形態では、管状の突起の少なくとも一部分の側壁厚は、実質的に平坦な膜部分の平均的な膜部分厚さtと同じまたはより厚い。
【0027】
図2A〜図2Fに示すように、管状の突起は多種多様な形状及び断面構成を有していても良い。一部の実施形態では、管状の突起は、実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に位置する、第2の突起の末端を有する。これらの実施形態において、本発明の構造化膜は、実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起を含み、1つ以上の管状の突起は、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って、伸びる穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)第1の突起の末端から第2の主表面の下の第2突起の末端までの距離で伸びる、末端から末端までの長さと、を有する突起を備える。例えば、図2A及び図2C〜図2Fに示すように、代表的な管状の突起12は、実質的に平坦な膜部分の第2の主表面14の下に位置する第2の末端17を含む。
【0028】
1つ以上の管状の突起が、その構造化膜の実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に第2の末端を有する、一部の実施形態では、1つ以上の管状の突起が望ましくは、第1の突起の末端から第1の主表面までの距離で伸びる上部の突起の長さを有し、上部の突起の長さ(例えば突起の長さL)の平均的な膜部分厚さtに対する比率が少なくとも約3.5である。さらに望ましくは、上部突起の長さ(例えば突起の長さL)の平均的な膜部分厚さtに対する比率が約4.0〜約10.0である。
【0029】
管状の突起は、突起の長さ(突起の長さL、または末端から末端までの突起の長さなど)に沿って変化する突起側壁厚を有していてもよい。図2A〜図2Fに示すように、代表的管状の突起12は、突起の長さに沿って実質的に一定である突起の側壁厚(図2Bの例を参照)、または突起の長さに沿って変化する突起の側壁厚(図2A及び図2C〜図2Fを参照)を有してもよい。1つの代表的実施形態では、1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部で第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、この突起の基部とこの第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、第1の壁厚と第2の壁厚が第3の壁厚よりも厚い(図2Fの例を参照)。他の代表的実施形態では、1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部で第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、この突起の基部とこの第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、第1の壁厚と第2の壁厚が第3の壁厚よりも薄い(図2Eの例を参照)。
【0030】
本発明のさらなる代表的実施例では、1つ以上の管状の突起は第1の断面積を実質的に平坦な膜部分の第1の主表面の上に有し、第2の断面積を実質的に平坦な膜部分内に有し、第3の断面積を実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に有し、第1の断面積は第2の断面積及び第3の断面積よりも小さい(図2Cの例を参照)。一部の実施形態では、1つ以上の管状の突起が、管状の突起に広がる穴(穴15など)と流体連通する気泡部(例、図2Cに示す気泡部19)を有する。これらの実施形態では、この気泡部は(i)実質的に平坦な膜部分内、(ii)第2の主表面の下、または(iii)(i)及び(ii)の両方、に存在し得る(図2Cの例を参照)。さらに一部の実施形態では、気泡部の下部を取り除いて、第1の突起の末端から第2の突起の末端まで構造化膜を通って伸びる開口を提供することができる。例えば、図2Cに示される管状の突起12の第2の末端17に沿った気泡部19の一部分を、図2Cに示される点線B〜Bに沿って気泡部分19をカットすることによって取り除いてもよい。
【0031】
管状の突起は、必要とする断面形状及び管状の突起を成形するために使用される治具の型式に応じて変化する、その他の突起の外側断面形状を有していても良い。例えば、これらの管状の突起は、円、楕円、多角形、正方形、三角形、6角形、多葉形、またはこれらの任意の組み合わせに形成した管状の突起の外側断面形状を有していてもよい。
【0032】
本発明の他の代表的実施形態では、1つ以上の管状の突起は、(上述の管状の突起の一部を取り除く必要がある又は無しで)実質的に平坦な膜部分を完全通って伸びる穴(穴15など)を有する。図2A〜図2B及び図2D〜図2Fに示されるように、代表的管状の突起12は、第1の突起の末端16から第2の突起の末端17まで突起の長さに沿って伸びる穴15を有する。図2A〜図2B及び図2D〜図2Fに示されるように、穴15の断面積は、第1の突起の末端16から第2の突起の末端17まで突起の長さに沿って変化(図2A及び図2D〜図2Fの例を参照)しても、または実質的に一定(図2Bの例を参照)でもよい。
【0033】
1つの望ましい実施形態では、構造化膜は、実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起を含み、管状の突起の少なくとも一部が、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分を通って第2の主表面の下の第2の突起の末端まで伸び、構造化膜を通る開口を提供する穴と、(ii)その穴の少なくとも一部分を囲む突起の側壁と、突起の外側の側壁表面と、内突起の側の側壁表面と、突起の側壁の厚さを有する、(iii)第1の突起の末端から第2の突起の末端までの距離で伸び、末端から末端までの突起の長さと、を有する突起を備える。
【0034】
一般的には、図2A〜図2Fに示されるように、管状の突起は実質的に平坦な膜部分に実質的に垂直に伸びるが、実質的に平坦な膜部分に対してその他の方向付けである管状の突起も本発明の範囲内である。
【0035】
管状の突起は、実質的に平坦な膜部分の片方または両方の主表面に沿って存在し、所望の管状の突起密度および構造化膜の最終用途に応じて変更される管状の突起密度であってもよい。1つの代表的実施形態では、管状の突起は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分の片方または両方の主表面に沿って、実質的に平坦な膜部分の外表面積に対し、約1000突起/cm2までの管状の突起密度で存在する。一般的には、管状の突起は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分の片方または両方の主表面に沿って、実質的に平坦な膜部分の外表面積に対し、約10突起/cm2〜約300突起/cm2の管状の突起密度で存在する。
【0036】
3.任意の追加的な層
本発明の構造化膜は、上述の構造化膜の要素と組み合わせた、1つ以上の追加的な層を含んでもよい。1つ以上の追加的な層が、(i)構造化膜の実質的に平坦な膜部分の第1の主表面より上に伸びる管状の突起の末端(第1の突起の末端16など)の上及び/または中に接触して、(ii)実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に伸びる管状の突起の末端(第2の突起の末端17など)の上及び/または中に接触して、(iii)実質的に平坦な膜部分の第2の主表面(第2の主表面14など)の上及び/または中に接触して、(iv)(i)及び(ii)の両方に、または(v)(i)及び(iii)の両方に、存在してもよい。
【0037】
好適な追加的な層には、布地の層(織布、不織布、及び編布など);紙層;着色層(印刷層など);米国特許出願番号No.60/728,230号に開示された、その主題となるもの全体を参考として本明細書に組み込まれるようなサブミクロン繊維層;発泡体層;粒子の層;箔層;フィルム;装飾布層;膜(すなわち、透析膜、逆浸透膜などのような透過性を調整された膜);網;メッシュ;ワイヤもしくはチューブによる網状組織(すなわち、加熱ブランケットの電線の網状組織及び冷却ブランケットに冷却材を流す配管の網状組織などのような、電気を搬送するための電線または各種の流体を搬送するための配管群/パイプ群の層);又はそれらの組合せを含むが、これに限るものではない。
【0038】
1つの代表的実施形態では、第1の追加的な層が本発明にかかる構造化膜の管状の突起の第1の突起の末端の上に配置し取り付けされている。このような複合品が図3に示されている。図3に示されるように、第1の追加的な層20の下の外表面21は代表的構造化膜10の第1の突起の末端16に対して接触している。この代表的実施形態では、第1の追加的な層20は、例えば、着色層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの任意の組合せから構成されてよい。
【0039】
さらに代表的実施形態では、第2の追加的な層が、本発明の構造化膜の第2の主表面または管状の突起の第2の突起の末端の上に配置し取り付けられていてよい。このような複合品は図3〜図4に示されている。図3に示されるように、第2の追加的な層30の上の外表面31は代表的構造化膜10の第2の突起の末端17に対して接触している。この代表的実施形態では、第2の追加的な層は、例えば、着色層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの任意の組合せから構成されてよい。
【0040】
図4に示すように、第1の追加的な層20の下の外表面21は、代表的構造化膜10の第1の突起の末端16に対して接触してあり、同時に第2の追加的な層30の上の外表面31は代表的構造化膜10の第2の主表面の末端14に対して接触している。
【0041】
4.取り付け手段
本発明の構造化膜(または構造化膜を含む複合品)は、さらにこの構造化膜(または複合品)を基材に取り付けるための1つ以上の取り付け手段を含んでいてもよい。例えば、構造化膜(複合品)をある基材に取り付けるために、接着剤を使用しても良い。好適な接着剤には、感圧接着剤(PSA)、熱活性化接着剤、またはこれらの組合せを含むが、これに限るものではない。接着剤に加えて、その他の取り付け手段を使用してもよい。好適な取り付け手段には、ネジ、釘、クリップ、ステープル、ステッチ、ねじ切り、フック及びループ材料などの機械的なファスナが含まれるが、これに限らない。
【0042】
構造化膜(または複合品)を各種の基材に取り付けるためには、1つ以上の取り付け手段を使用することができる。代表的基材にはこれらに限定されないが、車両構成要素;車両内装(即ち、乗客室、モータ室、トランク等);建物の壁(即ち、内壁表面または外壁表面);建物の天井(即ち、内装天井表面または外装天井表面);建物の壁または天井を形成するための建築材料(例えば、天井タイル、木材、石膏ボード等);部屋仕切り;金属シート;ガラス基板;ドア、窓;機械構成要素;電気器具構成要素(即ち、室内電気器具表面または屋外電気器具表面);パイプまたはホースの表面;コンピューターまたは電子構成要素;録音又は再生装置;電気器具、コンピューターなどのハウジングまたはケース、が挙げられる。
【0043】
II.多層品を製造する方法
本発明はさらに上述の構造化膜及びこれを含む複合品を製造する方法を目的とする。本発明の1つの実施形態において、構造化膜を製造する方法は、溶融した押出品の薄板をダイから押し出す工程と、溶融した押出品を成形型と接触するように持ち込み、溶融した押出品の一部分が成形型の外表面に配置された複数個の穴に入るようにし、その結果(i)成形型の1つ以上の穴の中のより高い空気圧と、成形型と反対側である溶融した押出品の外側の表面のより低い空気圧との間の空気圧の差をもたらし、及び(ii)溶融した押出品の表面に沿った複数個の突起の形成が得られるようにする工程と、即ち、(i)空気の差圧を減らし、そして(ii)複数個の突起の1つ以上の中に突起穴を形成するために、成形型の1つ以上の穴の中の空気が成形型と反対側の溶融した押出品の外表面の方向に移動できるようにする工程と、さらに第1及び第2の主表面並びに少なくとも第1の主表面から伸びる複数個の管状の突起を有する実質的に平坦な膜部分を含む構造化膜を形成するために、溶融した押出品および複数の突起を冷却する工程とを含む。
【0044】
上記の構造化膜を製造する代表的方法において、持ち込み工程は、溶融した押出品を成形型ロールからなる成形型とニップロールの間に挟むことを含む。さらに、この突起形成工程は、成形型ロール及びニップロールを回転することを含んでもよいものとし、これによりニップロールが成形型と反対側の溶融した押出品の外表面全体を覆って位置しないようにする。構造化膜を製造するどの代表的方法においても、1つ以上のプロセス・パラメータを調整し、その結果、成形工程により1つ以上の管状の突起の中の突起の穴が、第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中までまたは通って伸びるようにして得られる。調整されるプロセス・パラメータには、押出品の組成、押出品の温度、成形型の温度、成形型の速度、成形型の穴の深さ、溶融した押出品の薄板の厚さ、またはそれらの組合せが挙げられるがこれに限るものではない。
【0045】
構造化膜を製造する他の代表的方法では、1つ以上のプロセス・パラメータを調整してよく、その結果、突起形成工程により1つ以上の管状の突起の中の突起穴が、第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中までまたは通って伸びるようにして得られ、それにより突起穴と流体連通する気泡部分が形成される。この実施形態では、この気泡部分は(i)実質的に平坦な膜部分内に、(ii)実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に、又は(iii)(i)及び(ii)の両方に、位置してもよい。気泡状部を形成するために調整できるプロセス・パラメータには、押出品の組成、押出品の温度、成形型の温度、成形型の速度、成形型の穴の深さ、溶融した押出品の薄板の厚さ、またはそれらの組合せが挙げられるがこれに限るものではない。
【0046】
気泡部分が1つ以上の管状の突起で形成される一部の実施形態では、構造化膜を製造する方法には、気泡部分を開口して、1つ以上の管状の突起を完全に通って伸びる開口を提供することが含まれる。気泡部分を開口する工程は、気泡部分の先端を除去する(例えば、気泡部分の下表面の先端を切断する)、気泡部分に穴を開ける(例えば、針またはその他のとがった物体による)、突起穴を加圧する、気泡部分の先端を加熱する、または上記開口工程の任意の組合せを含んでもよい。
【0047】
他の構造化膜を製造する他の代表的方法では、1つ以上のプロセス・パラメータを調整してもよく、その結果、突起形成工程によって1つ以上の管状の突起の中の突起穴が、第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分を通って伸びるようにして得られ、それにより1つ以上の管状の突起を通って伸びる開口が提供される(例えば、上記の開口工程の必要が無い)。ここでも、1つ以上の管状の突起を完全に通って伸びる開口を形成するために調整できるプロセス・パラメータには、押出品の組成、押出品の温度、成形型の温度、成形型の速度、成形型の穴の深さ、溶融した押出品の薄板の厚さ、またはそれらの組合せが挙げられるがこれに限るものではない。
【0048】
構造化膜を製造するさらに代表的方法では、1つ以上の前記プロセス・パラメータを調整してよく、その結果、突起成形工程によって1つ以上の管状の突起が、構造化膜の第1の主表面の上から構造化膜の第2の主表面の下まで伸びるようにして得られる。この実施形態では、この方法は、冷却工程の後、必要に応じて、構造化膜の第2の外表面の下の熱成形された材料の少なくとも一部分を取り除き、これによって構造化膜の1つ以上の管状の突起を、第1の主表面の上の第1の突起の末端から第2の主表面の下の第2の突起の末端まで、完全に通って伸びる開口を提供することを更に含んでよい。この実施形態では、この方法はまた、構造化膜第2の主表面の下に位置する、実質的にすべての熱成形された材料が取り除かれる工程を所望により備えてもよく、その結果構造化膜は構造化膜の第1の主表面に沿ってのみ複数個の管状の突起を有する。
【0049】
1つの望ましい実施形態では、構造化膜を製造する方法は、溶融した押出品をダイから回転する成形型ロールと回転するニップロールの間に形成されるニップへの押し出す工程と、溶融した押出品の一部を回転する成形型に設置した複数個の穴の中に押し込み、(i)回転する成形型ロールの1つ以上の穴の中のより高い空気圧力と、回転成形型ロールと反対側の溶融した押出品の外表面のより低い空気圧力との間の空気圧力の差、及び(ii)溶融した押出品の表面に沿った複数個の突起の形成が結果として得られる工程と、成形型とニップロールを回転させることによって、回転成形型の1つ以上の穴の中の空気が回転成形型ロールと反対側である溶融した押出品の外側の方向に動くことができ、これによって複数の突起の1つ以上の中に突起の穴を形成する工程と、並びに溶融した押出品と複数個の突起を、溶融した押出品と複数個の突起の軟化温度以下まで冷却する工程とを含む。この代表的方法は図5に示す代表的装置50のような装置を使用して実行される。
【0050】
図5に示すように、代表的装置50は、溶融した押出品52が出てくるダイ・アセンブリ51を含む。溶融押出品52は、矢印A1で示された第1の方向に回転するニップロール53と、矢印A2で示された反対の方向に回転する成形型ロール54との間の溶融した押出品52が通過する点PAへと進む。点PAでは、ニップロール53は溶融した押出品52を成形型ロール54の外表面59の中にある穴(図示せず)に押し込む。ニップロール53の外表面58は一般的になめらかで、所望により離型材料(シリコンまたはPTFEなど)でコーティングされる。溶融した押出品52は成形型ロール54の外表面59の穴(図示せず)をニップロール53の外表面58の力により充填し、個々の穴(図示せず)の中の空気圧力が上昇し、個々の穴(図示せず)の中の高圧と成形型ロール54と反対側の溶融した押出品52の外表面56上の低圧との間に空気圧力の差を形成する。
【0051】
ニップロール53と成形型ロール54は回転するので、ニップロール53の外表面58は溶融した押出品52の外表面56から移動させられ、これによって個々の穴(図示せず)の中の空気が、個々の穴(図示せず)の中を、溶融した押出品52の外表面56に向けて(すなわち、低い空気圧力に向けて)溶融した押出品を通って移動することを可能とする。PB点付近では、成形型ロール54の外表面59の個々の穴(図示せず)の中の溶融した押出品は、固化し始める。成形型ロール54の外表面59に隣接する溶融した押出品及び個々の穴の側壁表面は、溶融した押出品の個々の穴の中央位置の中心部よりも前に固化するものと考えられている。溶融した押出品52が成形型ロール54の外表面59に沿って点PBから点PCに移動すると、上に説明した空気の動きは、溶融した押出品の外表面に向かって急速に移動し、溶融した押出品の中に穴を発生させるように作用する。上述のように空気移動は(i)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って伸びる穴、(ii)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分の中及び/又は下に形成された気泡部、(iii)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分を完全に通って伸びる穴、(iv)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下の第2の突起の末端、又は(v)(i)〜(iv)のいずれかの組合せを、結果的に生じる。
【0052】
点PC付近では、溶融した押出品52及びその中に形成される管状の突起12は実質的に固化している。その中に管状の突起12を伴う溶融した押出品52が、成形型ロール54の外表面59に沿って移動すると、実質的に固化した押出品52の外表面56は、矢印A3で示される方向に回転する、引き取りロール55の外表面60と接触するようになる。点PDにおいては、実質的に硬化した溶融押出品52は、成形型ロール54の外表面59から分離し、引き取りロール55の外表面60に沿って矢印A4で示される方向に進み、結果として管状の突起12をその上に有する構造化膜57をもたらす。
【0053】
本発明の構造化膜を製造する代表的開示方法は、上述の高分子材料及び任意の添加物のいかなるものを含んだ構造化膜を形成するのに使用してもよい。一般的には、熱成形方法の工程は、約120℃〜約370℃の範囲の溶融押出温度範囲において膜形成性の熱成形可能材料を溶融押出しすることを伴う。
【0054】
本発明の構造化膜を製造する開示方法の、従来の孔あき膜の製造方法に勝る重要な利点は、薄い実質的に平坦な膜部分を保つと同時に、比較的深い穴深さと比較的長い管状の突起の長さを有する構造化膜を製造できることである。穴の深さと管状の突起の長さを実質的に平坦な膜部分の層厚から分離可能にすることは、様々な用途の新世代構造化膜を製造する能力を提供する。例えば、穴の深さを増やすことは、音波が穴を通って伝播する時に、管状の突起を通過する空気量の増加及び摩擦抵抗の増加などのような利点をもたらす。穴の深さと管状の突起の長さを実質的に平坦な膜部分の層厚から分離することは、膜の曲げ剛性とは独立した音響質量抵抗の増加により、製品開発に自由度を加えることも可能にする。
【0055】
本発明の構造化膜の開示の製造方法は、本発明以前の安価な生産運転では達成し得なかった、比較的大きい穴の深さ/穴の直径比を有する構造化膜を製造する機会をも与える。例えば、一つの代表的実施形態では、開示された方法は、管状の突起の少なくとも一部分は、突起の穴の長さの突起の穴の直径に対する比率が少なくとも1:1である、構造化膜を製造できる。他の代表的実施例では、開示された方法は、少なくとも一部の管状の突起は、突起の穴の長さの突起の穴の直径に対する比率が少なくとも3:1であり、最高では5:1以上にも達する、構造化膜を製造できる。
【0056】
さらに、比較的薄い実質的に平坦な膜部分を提供する能力により、坪量が低い膜を得ることができ、重量に気を使う用途に対して好都合であることができる。坪量が低い本発明の構造化膜は、さらに原材料使用量が少ないこと及び製造費が安価であることにつながる。開示された方法は、少なくとも管状の突起の一部分は、突起の穴の長さの平均的な膜部分厚さに対する比率が、少なくとも約1.1:1である構造化膜を製造することが可能であり、一部の実施形態では、突起の穴の長さの平均的な膜部分厚さに対する比率が少なくとも約5:1であり、また一部の実施例では、突起の穴の長さの平均的な膜部分厚さに対する比率が少なくとも約10:1以上である。
【0057】
開示された本発明の構造化膜の製造方法は、上述のように、管状の突起が突起の長さLを有する管状の突起を製造するように成形型を利用してもよい。例えば、好適な成形型は、成形型の外表面に複数個の、最高1.5cm(588mil)に達するの平均的成形型穴深さを有する、穴を備えてもよい。他の実施形態においては、好適な成形型は、平均的な成形型穴深さが約27.9μm(1.1mil)〜約3.0mm(117mil)である穴を備えてもよく、他の実施形態では平均的な成形型穴深さが約747μm(29.4mil)〜約1.5mm(58.8mil)であってもよい。
【0058】
さらに、好適な成形型は、これによって管状の突起が所望の断面形状を有するように、1つ以上の穴断面の形状を有する穴を有していてもよい。好適な穴断面の形状には、円、楕円、多角形、正方形、三角形、6角形、多葉形、もしくはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これに限るものではない。
【0059】
これに加えて、好適な成形型は、成形型に沿って任意の所望穴密度を有してもよい(例えば成形型ロール54の外表面59において)。例えば、ある成形型は最高で約1000穴/cm2に達する成形型の外表面積における穴密度を有する。一般的には、成形型は約10穴/cm2〜約300穴/cm2の成形型の外表面積における穴密度を有する。
【0060】
構造化膜の開示された製造方法は、さらに1つ以上の追加的な層の構造化膜への取り付けを含んでいてもよい。1つの代表的実施形態において、構造化膜を製造する方法は、上述の冷却工程の前に、管状の突起の第1の突起の末端、管状の突起の第2の突起の末端、実質的に平坦な膜部分の第2の主表面、またはこれらの組合せを、少なくとも1つの追加的な層と接触させることを含む。他の代表的実施形態では、構造化膜の製造方法は、構造化膜を形成したあとに、構造化膜に追加的な層を取り付けることを含む(例えば熱ラミネーションプロセス工程を用いて)。上で述べたように、追加的な層には、着色層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾用布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの組合せを含んでもよいが、これに限るものではない。
【0061】
構造化膜を形成する上述の工程に加えて、構造化膜を製造する開示された方法は、以下の1つ以上のプロセス工程を含んでもよい。
【0062】
(1)構造化膜をプロセス経路に沿ってその先のプロセス作業に向けて進める、
(2)1つ以上の追加的な層を構造化膜の外表面と接触するように持ち込む、
(3)管状の突起の全面的長さに伸びる開口を形成するために、構造化膜の第2の主表面の下に伸びる1つ以上の管状の突起の一部分を取り除く、
(4)構造化膜の第2の主表面の下に伸びる1つ以上の管状の突起のいずれの部分も取り除いて、管状の突起が第2の主表面の下に延びないようにする、
(5)構造化膜の第1の主表面より上に伸びる1つ以上の管状の突起の一部を取り除く、
(6)構造化膜を表面処理剤または他の組成物でコーティングする(例えば、難燃剤組成物、接着剤組成物、または印刷層)、
(7)構造化膜を厚紙またはプラスチック・チューブに取り付ける、
(8)構造化膜をロールの形に巻く、
(9)構造化膜をスリットし、2つ以上のスリットしたロール巻きを形成する、
(10)存在する場合には、露出した感圧性接着剤の層の上に剥離ライナーを提供する、及び
(11)構造化膜を他の基材に接着剤または、これに限るものではないがクリップ、ブラケット、ボルト/ネジ、釘、及びストラップを含む他のいずれかの取り付け手段により取り付ける。
【0063】
III.構造化膜を使用する方法
本発明の構造化膜(及び構造化膜を含む複合品)は、多種多様な用途に使用することができる。構造化膜は、音響吸収及び音響障壁などへの応用のような、音響上の用途に特に有用である。本発明の1つの代表的実施形態では、構造化膜を使用する方法には、ある範囲の少なくとも1つの部分を構造化膜で取り囲む工程を含む、その範囲の音響を吸収する方法を含む。一部の実施形態では、ある範囲全体が構造膜のみ、または上述の1つ以上の追加的な層で囲まれていてもよい。
【0064】
ある範囲を囲む工程は、その範囲の少なくとも一部分に構造化膜を配置することを含んでもよく、ここで、構造化膜は、上述の構造化膜のいずれかの単独、または1つ以上の追加的な層と組み合わせたものを含む。一部の実施形態では、この囲む工程は、少なくともその範囲の一部分に、構造化膜または構造化膜を含む複合品を配置することを含んでもよい。囲む工程はさらに、構造化膜(または構造化膜を含む複合品)を基材に取り付ける工程を含んでいてもよい。構造化膜(または構造化膜を含む複合品)をある基材に取り付けるために、上述の取り付け手段のいずれかを使用することができる。好適な基材には、建物の壁、建物の天井、建物の壁もしくは天井を形成する建築材料、金属シート、ガラス基材、ドア、窓、自動車の構成要素、機械の構成要素、電子機器(例えばプリンター、ハードドライブなど)、または電気製品の構成要素を含むがこれに限るものではない。
【0065】
本発明の他の実施形態では、構造化膜の使用方法には、音を発生させる物体及びある範囲の間に音響障壁を提供する方法を含む。この代表的方法では、この方法は、構造化膜(または構造化膜を含む複合品)を、音を発生させる物体及びある範囲の間に提供する工程を含んでいてもよい。音を発生させる物体は、自動車のエンジン、機械の一部、電気製品のモータまたはその他の電気製品の稼動する構成要素、テレビなどの電子機器、動物等を含む音響を発生するいずれの物体であってもよいがこれに限るものではない。
【0066】
上述の代表的、構造化膜(または構造化膜を含む複合品)の使用方法のいずれかの範囲は、音響が吸収され及び/又は制限されるいずれかの範囲であってもよい。好適な範囲には、部屋の内装、自動車の内装、機械装置の一部、電気器具、事務室もしくは産業区域の分離した音響減少範囲、音響録音または再生範囲、劇場もしくは演奏会場の内装、音が有害である無響室、分析室もしくは実験室または無響チャンバー、分析チャンバー、もしくは実験チャンバー、雑音から耳を隔離し保護する耳あてもしくは耳覆いを含んでもよいがこれに限るものではない。
【0067】
本発明にかかる構造化膜は、カーペットの耐性膜層に使用してもよい。この実施形態では、積層体を形成するために、1つ以上の繊布層が構造化膜の各側に取り付けられる。
【0068】
本発明は以上に説明され、例示を手段としてさらに以下に図解されるが、実施例はいかなる形であれ本発明の範囲に制限を加えるとは解釈されない、一方、本明細書の説明を読んだ後、当業者自らが本発明の精神及び/又は添付の特許請求の範囲から離れることなく提案できる多種多様な他の実施形態、改造、及びその同等品に対する手段を有することは、明確に理解されなければならない。
【実施例】
【0069】
(実施例1):
図2Aないし図2Fに示す、代表的管状の突起12と同様の管状の突起構成を持つ構造化膜を、以下の手順および図5に示される代表的装置50と同様な装置を使用して調製した。6.35cm(2.5インチ)のデイビス−スタンダード(Davis-Standard)単一スクリュー押出成形機(デイビス−スタンダード社(コネチカット州パウカタック(Pawcatuck, CT))製)を使用し、ダイの間隔が508μm(20mil)である、25.4cm(10インチ)PVCキャストフィルム押出ダイの中にあるポリマー溶融物を供給し押出成形した。滴下ダイ形状物を水平の2つのロールニップに供給した。成形型ロールは直径31.75cm(12.5インチ)で、バックアップのスチールロールは直径30.48cm(12インチ)であった。成形型は、外表面に円筒状の止まり穴を穴あけしてある、外側のアルミニウム製外側シェルを有したロールを含んでいた。この穴の直径は398.8μm(15.7mil)で、穴の中心から中心までの間隔が1.70mmの正方配列である。穴のパターンは幅20.3cm(8.0インチ)で、成形型ロールの円周全体にわたる。穴の深さは成形型ロールの周囲によって異なっていた。成形型ロールの円周を3つの区域に分けた。第1の区域は深さ762μm(30mil)に穴あけされた穴があり、第2の区域は深さ635μm(25mil)に穴あけされた穴があり、第3の区域は深さ508μm(20mil)に穴あけされた穴があった。
【0070】
2つの市販されているプロピレン/エチレン耐衝撃共重合体、ハンツマン(Huntsman)PP AP5156−HA(MFI65)、及びハンツマン(Huntsman)PP 14S50V(MFI50)(ハンツマン・ポリマーズ(Huntsman Polymers)社(テキサス州ウッドランド(Woodlands, TX))製で市販されている)、を使用して構造化膜を形成した。以下のプロセス条件を使用した。
【0071】
【表1】
【0072】
結果として得られた構造化膜のサンプルの各種の構造的な特徴を、デジタル顕微鏡測定により得た。参考として図2Cないし図2Dを参照して、下記の表2に示すように、以下の測定が行われた。「−1」と示されたサンプルは、穴深さ762μm(30mil)で加工された。「−2」と示されたサンプルは、穴深さ635μm(25mil)で加工された。「−3」と示されたサンプルは、穴深さ508μm(20mil)で加工された。
【0073】
【表2】
【0074】
結果として得られた構造化膜は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分を通って伸びる、通り穴を備える中空の管状の突起を有した。穴深さが762μm(30mil)のパターン#1は、構造化膜の最も一貫して管状の突起形状、及び実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を提供した。他のパターンは時折通り穴を作り出すが、より頻繁に気泡またはふくれを構造化膜の第2の主表面上に作り出した。
【0075】
このサンプルを用いて音響吸収試験を行った。多種多様な周波数における吸収係数を測定するために、インピーダンス管試験器(ブリュエル・ケアー(Bruel & Kjaer)社(ジョージア州ノークロス(Norcross, GA))、モデル6205、64mm管使用)を使用した。試験は、ASTM1050を使用し、各々の構造化膜の後方に25mmの空間をとって行った。本発明の代表的な構造化膜(サンプル1−1及び1−4)のインピーダンス管試験結果を図6に示す。
【0076】
(実施例2):
図2A〜図2Fに示す、代表的な管状の突起12と同様の管状の突起構成を持つ、構造化膜を、上記の実施例1に使用したのと同様の手順と装置を使用して調製した。構造化膜を形成するために、市販されているポリプロピレン熱可塑性樹脂を使用した。MFIが65のハンツマン(Huntsman)PP AP5165−HAであった。以下のプロセス条件を使用した。
【0077】
【表3】
【0078】
実施例1で説明したように、結果として得られた構造化膜のサンプルの、各種の構造的な特徴を、デジタル顕微鏡測定により得た。結果を下記の表4に示す。実施例1と同様に、「−1」サンプルと示されたサンプルは、穴深さ762μm(30mil)で加工され、「−2」サンプルと示されたサンプルは、穴深さ635μm(25mil)で加工され、「−3」サンプルと示されたサンプルは、穴深さ508μm(20mil)で加工された。
【0079】
【表4】
【0080】
結果として得られた構造化膜は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を備える中空の管状の突起を有した。#1、#2、及び#3パターンは各々、構造化膜の一定した管状の突起形状及び実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を提供した。
【0081】
実施例1に説明したように、サンプルに対して音響吸収試験を行った。本発明の代表的構造化膜(サンプル7〜3、8〜1及び9〜3)のインピーダンス管試験結果を図6に示す。
【0082】
(実施例3)
図2A〜図2Fに示す、代表的管状の突起12と同様の管状の突起構成を有する構造化膜を、以下の手順および図5に示される代表的装置50と同様の装置を使用して調製した。ポリマー溶融物は、6.35cm(2.5インチ)のデイビス−スタンダード(Davis-Standard)単一スクリュー押出機(デイビス−スタンダード社(コネチカット州パウカタック(Pawcatuck, CT))製)を使用し、ダイの間隔が508μm(20mil)である30.5cm(12インチ)キャストフィルム押出ダイに供給して押出成形した。滴下ダイ形状物を水平の2つのロールニップに供給した。成形型ロールは直径31.75cm(12.5インチ)で、バックアップのスチールロールは直径30.48cm(12インチ)であった。成形型は、外表面に円筒状の止まり穴を穴あけしてある、外側のアルミニウム製外側シェルを有したロールを含んでいた。この穴の直径は0.5mm(19.7mil)で、穴の中心から中心までの間隔は1.70mm(67mil)の正方配列であった。穴のパターンは幅20.3cm(8.0インチ)で、成形型ロールの円周全体にわたった。穴の深さは成形型ロールの場所によって異なった。成形型ロールの円周は4つの区域に分けた。第1の区域は深さ1.143mm(45mil)に穴あけされた穴があり、第2の区域は深さ965μm(38mil)に穴あけされた穴があり、第3の区域は深さ787μm(31mil)に穴あけされた穴があり、第4の区域は深さ330μm(13mil)に穴あけされた穴があった。
【0083】
市販されているプロピレン/エチレン耐衝撃性共重合体、ハンツマン(Huntsman)PP AP5165−HA(MFI65)(ハンツマン・ポリマーズ(Huntsman Polymers)社(テキサス州ウッドランド(Woodlands, TX))製で市販されている)、を使用して構造化膜を形成した。以下のプロセス条件を使用した。
【0084】
【表5】
【0085】
表5に示したプロセス条件は、穴深さ965μm(38mil)で穴パターン2のための最適化した運転条件であった。結果として得られた構造化膜のサンプルの、各種の構造的な特徴を、デジタル顕微鏡測定により得た。参考として図2C〜図2Dを参照して、下記の表6に示すように、以下の測定が行われた。
【0086】
【表6】
【0087】
結果として得られた構造化膜は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を備える中空の管状の突起を有した。
【0088】
このサンプルを用いて音響吸収試験を行った。多種多様な周波数における吸収係数を決定するために、インピーダンス管試験器(ブリュエル・ケアー(Bruel & Kjaer)社(ジョージア州ノークロス(Norcross, GA))、モデル6205、64mm管使用)を使用した。試験は、ASTM1050を使用し、各々の構造化膜の後方に25mmの空間をとって行った。本発明の代表的構造化膜(サンプルE060504−16)のインピーダンス管試験結果を図7に示す。
【0089】
本明細書は、その特定の実施形態に関して詳細に説明されているが、上述の事項を理解することにより、当業者がこれらの実施形態に対する変更、その変形、及びそれらの相当物を容易に想起できることは明らかである。それゆえ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのいかなる等価物も含むと査定されるべきである。
【0090】
本発明は、添付の図を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の代表的構造化膜を示す。
【図2A】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2B】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2C】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2D】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2E】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2F】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図3】追加的な層を取り付けた、代表的本発明の構造化膜側面図。
【図4】追加的な層を取り付けた、他の代表的本発明の構造化膜側面図。
【図5】本発明の構造化膜を形成するのに好適な、代表的装置の概略図。
【図6】本発明の代表的構造化膜の周波数に対する音響吸収係数をグラフで示したもの。
【図7】本発明の代表的構造化膜のインピーダンス管試験データをグラフで示したもの。
【技術分野】
【0001】
本発明は音響吸収性を有する構造化膜並びにそのような構造化膜の製造及び使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音響吸収性を含む音響特性を提供する物品が当該技術では引き続き必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、ある範囲に音響吸収性を含む音響特性を提供する能力を持つ構造化膜を目的とするものである。本発明の1つの代表的実施形態によると、構造化膜は、第1の主表面と、第2の主表面と、及び平均的な膜部分厚さを有する実質的に平坦な膜部分と、並びに実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起とを備える構造化膜であって、1つ以上の管状の突起は、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って伸びる穴と、(ii)その孔の少なくとも一部を囲む突起の側壁と、その突起の側壁は、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁の厚さを有する、(iii)突起の長さの、平均的な膜部分厚さに対する比率が少なくとも約3.5である、第1の突起の末端から第1の主表面の距離で伸びる突起の長さと、を有する管状の突起と、を備える。一部の実施形態では、平均的な膜部分厚さに対する突起の長さの比率は、少なくとも約4.0で最大で約10.0以上にも達する。
【0004】
本発明の別の代表的実施形態によると、構造化膜は、第1の主表面と、第2の主表面と、及び平均的な膜部分厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、並びに実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起とを備える構造化膜であって、1つ以上の管状の突起は、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って伸びる穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、突起の側壁が熱形成可能な材料を含み、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)第1の突起の末端から第2の主表面の下の第2の突起の末端まで距離で伸びる末端から末端までの突起の長さと、を有する管状の突起とを備える。
【0005】
さらに別の本発明の代表的実施形態によると、構造化膜は、第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、並びに実質的に平坦な膜部分から延びる複数個の管状の突起とを備える構造化膜であって、1つ以上の管状の突起は(i)第1の主表面より上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分を通って、実質的に平坦な膜部分の下の第2の突起の末端まで伸びて、構造化膜を通る開口を提供する穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、その突起の側壁は熱形成可能な材料を含み、そして突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)第1の突起末端から第2の突起末端まで伸びる、末端から末端までの突起の長さと、を有する管状の突起とを備える。
【0006】
本発明はまた、構造化膜を製造する方法とともにこの構造化膜を多種多様な用途に使用する方法を目的とするものである。本発明の1つの代表的実施形態では、1つの構造化膜を使用する方法は、ある範囲の少なくとも1つの部分を構造化膜で取り囲む工程を含む、その範囲の音響を吸収する方法を含む。
【0007】
本発明の、これら及びその他の機能と利点は、以下に示す開示された実施形態の明細書と添付の請求項を検討することにより明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、エネルギーの消失性、エネルギーの反射性/方向付け性またはエネルギー転換性(運動粒子の運動エネルギーの摩擦による熱エネルギーへの転換)を含めるがそれらに限定されない、音響特性を提供できる構造化膜を目的とする。本願における「構造化」という用語は膜のトポグラフィ的な特徴を示しており、すなわち、この膜の実質的に平坦な膜部分の少なくとも1つの主要な外表面に沿った管状の突起の存在を示す。この「構造化」という用語、管状の突起および膜の実質的に平坦な膜部分を形成するために使用される材料の配向を記述するために使用するものではない。
【0009】
この構造化膜は(1)格別に高い音響吸収性を有し、(2)多種多様な用途に使用できる構造的な特徴を有し、かつ(3)費用対効果が高い方法で生産できる。本発明はまた、構造化膜を製造する方法とともに、この構造化膜を音響吸収用途を含む多種多様な用途に使用する方法を目的とするものである。
【0010】
本発明の代表的構造化膜が図1に示される。図1の、代表的構造化膜10は、実質的に平坦な膜部分11及び実質的に平坦な膜部分11の第1の主表面13より上に伸びる複数個の管状の突起12を備える。以下にさらに詳細に述べるように、管状の突起12は、第1の主表面13の上の第1の突起の末端16から実質的に平坦な膜部分11の中に、もしくは通って伸びる穴15、穴15の少なくとも一部を囲む突起の側壁18、および第1の突起の末端16から第1の主表面13までの距離で伸びる突起の長さL、を有する。さらに、代表的構造化膜10は以下に述べる追加的な層及び/又は要素を取り付けることが可能である。
【0011】
I.3次元構造化膜
図1の代表的構造化膜10に示すように、本発明の3次元構造化膜は、この構造化膜を多種多様な用途に使用できるようにする数々の要素を含む。例えば、一部の実施形態では、本発明の構造化膜は所与の基板及び/又は範囲に対して特に優れた音響特性を提供する能力を持つ。本発明の構造化膜に使用できる要素、並びに結果として得られる構造化膜の特徴の説明を以下に示す。
【0012】
A.構造化膜要素
本発明の構造化膜は、1つ以上の下記の要素を含んでもよい。
【0013】
1.実質的に平坦な膜部分
本発明の構造化膜は、図1に示す代表的な構造化膜10の実質的に平坦な膜部分11のような、実質的に平坦な膜部分を含む。実質的に平坦な膜部分は、第1の主表面、第1の主表面の反対側にある第2の主表面、及び第1の主表面から第2の主表面に伸びる平均的な膜部分厚さtを有する。本願における「実質的に平坦な膜部分」という用語は、複数個の管状の突起を各々囲みかつ分離する、本発明の構造化膜の部分を指すために用いられる。図1〜図4に示すように、実質的に平坦な膜部分には、この構造化膜の全幅w又長さlより大幅に小さい平均的な膜部分厚さtを有する平坦な膜部分が備わる。
【0014】
本発明において、実質的に平坦な膜部分の「平均的な膜部分厚さ」(tで表される)は、隣り合う管状の突起の間の実質的に平坦な膜部分の厚さを、結果として膜部分厚さの総数xにおよぶ数多くの位置で測定し、x個の膜部分厚さの平均的な部分厚さを計算することによって決定される。一般的にxは約3より大きく、好ましくは約3から約10である。望ましくは、管状の突起による測定に対する何らかの影響を最小限にするために、各測定は隣り合う管状の突起の間のおおよそ中ほどの位置で行う。
【0015】
この構造化膜の実質的に平坦な膜部分は、平均的な膜部の厚さを有し、その厚さはは構造化膜の具体的な最終用途に応じて変えられる。一般的には、実質的に平坦な膜部分は、約508ミクロン(μm)(20mil)未満の平均的な膜部分厚さを有する。一部の実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、約50.8μm(2.0mil)〜約508μm(20mil)の平均的な膜部分厚さを有する。他の実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、約101.6μm(4.0mil)〜約254μm(10mil)の平均的な膜部分厚さを有する。さらに他の実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、約101.6μm(4.0mil)〜約152.4μm(6.0mil)の平均的な膜部分厚さを有する。
【0016】
この構造化膜の実質的に平坦な膜部分は、1種以上の高分子材料を含んでもよい。好適な高分子材料としては、ポリプロピレン及びポリエチレンのようなポリオレフィン類、オレフィン共重合体類(例えば酢酸ビニルとの共重合体)、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル類、ポリアミド(6ナイロン及び6,6−ナイロン)、ポリウレタン類、ポリブテン、ポリ乳酸類、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、液晶性ポリマー類、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン類、及びそれらの組合せを含むが、これに限るものではない。1つの代表的実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこれらブレンドのようなポリオレフィンを含む。
【0017】
実質的に平坦な膜部分は、以下に説明する1種以上の添加物をさらに含んでいても良い。存在する場合には、約25重量%までの1種以上の添加物とともに、少なくとも75重量%の上記高分子材料の一種が実質的に平坦な膜部分に含まれる。すべての重量は実質的に平坦な膜部分の全重量を基準にして、望ましくは、実質的に平坦な膜部分は少なくとも80重量%、さらに望ましくは少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、及び100重量%までの量の上記高分子材料のいずれか1種を含む。
【0018】
添加物を実質的に平坦な膜部分に組み込むために、各種の添加物を、上に示された1つ以上の重合物から形成された溶融重合物に加え、押し出し加工することができる。一般的に、添加物の量は構造化膜の全重量を基準にして、約25重量%未満で、望ましくは最高でも約5.0重量%である。適する添加物には、充填剤、可塑剤、粘着付与剤、流動性調整剤、硬化速度遅延剤、接着促進剤(シラン、チタン酸塩など)、補助剤、衝撃改質剤、発泡性微小球、熱伝導性粒子、電気伝導性粒子、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズまたはバブル、酸化防止剤、蛍光増白剤、抗菌剤、界面活性剤、難燃剤、及びフッ素重合体が含まれるが、これに限るものではない。1種以上の上述の添加物を、重量及び/または結果として得られる実質的に平坦な膜部分の価格を減少するために、粘度を調整するために、若しくは実質的に平坦な膜部分の熱的特性を変性するために、又は添加物の物理的特性の活性に由来する、電気的、工学的、密度関連、液体遮断層、または接着剤の粘着性関連特性を含む物理的特性に幅を与えるために、使用してもよい。
【0019】
本発明の一つの代表的実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、第1及び第2の主表面を形成し、上述の平均的な膜部分厚さを有する、熱成形可能な材料の単層から構成され、その熱成形可能な材料は1種以上の上記の重合体及び任意選択の添加物を含む。さらに本発明のある代表的実施形態では、実質的に平坦な膜部分は、第1及び第2の主表面を形成し、上述の平均的な膜部分厚さを有する、熱成形可能な材料の単層から構成され、第1と第2の主表面は露出しているので(すなわち被覆されていない)、所望の基材に配置可能及び/または取り付け可能である。
【0020】
2.管状の突起
本発明の構造化膜はさらに、図1に示す代表的構造化膜10の管状の突起12のような、実質的に平坦な膜部分の第1の主表面より上に伸びる複数個の管状の突起を含む。この管状の突起は望ましくは、上記の実質的に平坦な膜部分を形成するのに使用されたのと同じ熱成形可能な組成物から形成される。1つの望ましい実施形態では、実質的に平坦な膜部分及び複数個の管状の突起は、1種以上の上述の重合体及び任意選択の添加物を含む、単一の熱成形可能組成物から形成された、連続的な熱成形構造体から構成される。
【0021】
他の望ましい実施形態では、実質的に平坦な膜部分及び複数個の管状の突起は、(i)単一の熱成形可能な組成物から形成された、連続的な熱成形構造体を含み、かつ(ii)膜形成後に突起を形成する方向付けが無い。本願における「膜形成後に突起を形成する方向付け」と言う用語は、突起及び/または膜にある開口を形成するために使用される従来プロセスを記述するために使用される。このような従来プロセスには、前の工程で固化した膜構造に突起を形成する熱成形工程(例えば、溶融した膜押し出し品でない)、針による打ち抜き工程、またはその他の膜の打ち抜き工程が含まれるが、これに限るものではない。
【0022】
複数個の管状の突起は実質的に平坦な膜部分の第1の主表面上に一様に分布され、または第1の主表面上に不規則に分布されていてもよい。一部の実施形態では、複数個の管状の突起は実質的に平坦な膜部分の第1の主表面(及び、所望により第2の主表面の対応する位置)上に一様に分布している。
【0023】
1つの代表的実施形態において、本発明の構造化膜は、実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起を含み、1つ以上の管状の突起は(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って、伸びる穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)突起の長さLの平均的な膜部分厚さtに対する比率が少なくとも約3.5である、第1の突起の末端から第1の主表面までの距離で伸びる突起の長さLとを、有する突起を備える。他の実施形態においては、突起の長さLの平均的な膜部分厚さtに対する比率は少なくとも約4.0である。さらに他の実施形態においては、突起の長さLの平均的な膜部分厚さtに対する比率は約4.0ないし約10.0である。
【0024】
管状の突起は実質的に類似の突起の長さを有してよく、その長さは所与の構造化膜の最終用途に応じて、膜ごとに変化してよい。一般的に、管状の突起は、約25.4μm(1mil)〜約1.23cm(500mil)、より一般的には約50.8μm(2mil)〜約2.54mm(100mil)、さらにより一般的には約508μm(20mil)〜約1.02mm(40mil)の範囲の突起の長さを有する。
【0025】
この管状の突起は、その突起穴の長さ、突起穴の直径、及び突起の側壁厚に関してさらに説明されるが、これらの各部寸法はその構造化膜の最終用途により、異なっていてもよい。一般的に、管状の突起は約25.4μm(1mil)〜1.32cm(520mil)、より一般的には、約50.8μm(2mil)〜約2.79mm(110mil)、さらにより一般的には、約508μm(20mil)〜1.14mm(45mil)の範囲の突起穴の長さを有し;また約25.4μm(1mil)〜約6.35mm(250mil)、より一般的には、約25.4μm(1mil)〜約2.54mm(100mil)、さらにより一般的には約25.4μm(1mil)〜約254μm(10mil)の範囲の突起穴の直径を有し;また約25.4μm(1mil)〜約508μm(20mil)、より一般的には25.4μm(1mil)〜約254μm(10mil)、さらにより一般的には約25.4μm〜約127μm(5mil)の範囲の突起の側壁厚を有する。
【0026】
管状の突起は、さらに突起の側壁厚の上述の平均的な膜部分厚さtに対する点から説明することができる。一つの代表的実施形態では、管状の突起の少なくとも一部分の側壁厚は、実質的に平坦な膜部分の平均的な膜部分厚さtと同じまたはより厚い。
【0027】
図2A〜図2Fに示すように、管状の突起は多種多様な形状及び断面構成を有していても良い。一部の実施形態では、管状の突起は、実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に位置する、第2の突起の末端を有する。これらの実施形態において、本発明の構造化膜は、実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起を含み、1つ以上の管状の突起は、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って、伸びる穴と、(ii)その穴の少なくとも1部分を囲む突起の側壁と、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁厚を有する、(iii)第1の突起の末端から第2の主表面の下の第2突起の末端までの距離で伸びる、末端から末端までの長さと、を有する突起を備える。例えば、図2A及び図2C〜図2Fに示すように、代表的な管状の突起12は、実質的に平坦な膜部分の第2の主表面14の下に位置する第2の末端17を含む。
【0028】
1つ以上の管状の突起が、その構造化膜の実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に第2の末端を有する、一部の実施形態では、1つ以上の管状の突起が望ましくは、第1の突起の末端から第1の主表面までの距離で伸びる上部の突起の長さを有し、上部の突起の長さ(例えば突起の長さL)の平均的な膜部分厚さtに対する比率が少なくとも約3.5である。さらに望ましくは、上部突起の長さ(例えば突起の長さL)の平均的な膜部分厚さtに対する比率が約4.0〜約10.0である。
【0029】
管状の突起は、突起の長さ(突起の長さL、または末端から末端までの突起の長さなど)に沿って変化する突起側壁厚を有していてもよい。図2A〜図2Fに示すように、代表的管状の突起12は、突起の長さに沿って実質的に一定である突起の側壁厚(図2Bの例を参照)、または突起の長さに沿って変化する突起の側壁厚(図2A及び図2C〜図2Fを参照)を有してもよい。1つの代表的実施形態では、1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部で第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、この突起の基部とこの第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、第1の壁厚と第2の壁厚が第3の壁厚よりも厚い(図2Fの例を参照)。他の代表的実施形態では、1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部で第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、この突起の基部とこの第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、第1の壁厚と第2の壁厚が第3の壁厚よりも薄い(図2Eの例を参照)。
【0030】
本発明のさらなる代表的実施例では、1つ以上の管状の突起は第1の断面積を実質的に平坦な膜部分の第1の主表面の上に有し、第2の断面積を実質的に平坦な膜部分内に有し、第3の断面積を実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に有し、第1の断面積は第2の断面積及び第3の断面積よりも小さい(図2Cの例を参照)。一部の実施形態では、1つ以上の管状の突起が、管状の突起に広がる穴(穴15など)と流体連通する気泡部(例、図2Cに示す気泡部19)を有する。これらの実施形態では、この気泡部は(i)実質的に平坦な膜部分内、(ii)第2の主表面の下、または(iii)(i)及び(ii)の両方、に存在し得る(図2Cの例を参照)。さらに一部の実施形態では、気泡部の下部を取り除いて、第1の突起の末端から第2の突起の末端まで構造化膜を通って伸びる開口を提供することができる。例えば、図2Cに示される管状の突起12の第2の末端17に沿った気泡部19の一部分を、図2Cに示される点線B〜Bに沿って気泡部分19をカットすることによって取り除いてもよい。
【0031】
管状の突起は、必要とする断面形状及び管状の突起を成形するために使用される治具の型式に応じて変化する、その他の突起の外側断面形状を有していても良い。例えば、これらの管状の突起は、円、楕円、多角形、正方形、三角形、6角形、多葉形、またはこれらの任意の組み合わせに形成した管状の突起の外側断面形状を有していてもよい。
【0032】
本発明の他の代表的実施形態では、1つ以上の管状の突起は、(上述の管状の突起の一部を取り除く必要がある又は無しで)実質的に平坦な膜部分を完全通って伸びる穴(穴15など)を有する。図2A〜図2B及び図2D〜図2Fに示されるように、代表的管状の突起12は、第1の突起の末端16から第2の突起の末端17まで突起の長さに沿って伸びる穴15を有する。図2A〜図2B及び図2D〜図2Fに示されるように、穴15の断面積は、第1の突起の末端16から第2の突起の末端17まで突起の長さに沿って変化(図2A及び図2D〜図2Fの例を参照)しても、または実質的に一定(図2Bの例を参照)でもよい。
【0033】
1つの望ましい実施形態では、構造化膜は、実質的に平坦な膜部分から伸びる複数個の管状の突起を含み、管状の突起の少なくとも一部が、(i)第1の主表面の上の第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分を通って第2の主表面の下の第2の突起の末端まで伸び、構造化膜を通る開口を提供する穴と、(ii)その穴の少なくとも一部分を囲む突起の側壁と、突起の外側の側壁表面と、内突起の側の側壁表面と、突起の側壁の厚さを有する、(iii)第1の突起の末端から第2の突起の末端までの距離で伸び、末端から末端までの突起の長さと、を有する突起を備える。
【0034】
一般的には、図2A〜図2Fに示されるように、管状の突起は実質的に平坦な膜部分に実質的に垂直に伸びるが、実質的に平坦な膜部分に対してその他の方向付けである管状の突起も本発明の範囲内である。
【0035】
管状の突起は、実質的に平坦な膜部分の片方または両方の主表面に沿って存在し、所望の管状の突起密度および構造化膜の最終用途に応じて変更される管状の突起密度であってもよい。1つの代表的実施形態では、管状の突起は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分の片方または両方の主表面に沿って、実質的に平坦な膜部分の外表面積に対し、約1000突起/cm2までの管状の突起密度で存在する。一般的には、管状の突起は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分の片方または両方の主表面に沿って、実質的に平坦な膜部分の外表面積に対し、約10突起/cm2〜約300突起/cm2の管状の突起密度で存在する。
【0036】
3.任意の追加的な層
本発明の構造化膜は、上述の構造化膜の要素と組み合わせた、1つ以上の追加的な層を含んでもよい。1つ以上の追加的な層が、(i)構造化膜の実質的に平坦な膜部分の第1の主表面より上に伸びる管状の突起の末端(第1の突起の末端16など)の上及び/または中に接触して、(ii)実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に伸びる管状の突起の末端(第2の突起の末端17など)の上及び/または中に接触して、(iii)実質的に平坦な膜部分の第2の主表面(第2の主表面14など)の上及び/または中に接触して、(iv)(i)及び(ii)の両方に、または(v)(i)及び(iii)の両方に、存在してもよい。
【0037】
好適な追加的な層には、布地の層(織布、不織布、及び編布など);紙層;着色層(印刷層など);米国特許出願番号No.60/728,230号に開示された、その主題となるもの全体を参考として本明細書に組み込まれるようなサブミクロン繊維層;発泡体層;粒子の層;箔層;フィルム;装飾布層;膜(すなわち、透析膜、逆浸透膜などのような透過性を調整された膜);網;メッシュ;ワイヤもしくはチューブによる網状組織(すなわち、加熱ブランケットの電線の網状組織及び冷却ブランケットに冷却材を流す配管の網状組織などのような、電気を搬送するための電線または各種の流体を搬送するための配管群/パイプ群の層);又はそれらの組合せを含むが、これに限るものではない。
【0038】
1つの代表的実施形態では、第1の追加的な層が本発明にかかる構造化膜の管状の突起の第1の突起の末端の上に配置し取り付けされている。このような複合品が図3に示されている。図3に示されるように、第1の追加的な層20の下の外表面21は代表的構造化膜10の第1の突起の末端16に対して接触している。この代表的実施形態では、第1の追加的な層20は、例えば、着色層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの任意の組合せから構成されてよい。
【0039】
さらに代表的実施形態では、第2の追加的な層が、本発明の構造化膜の第2の主表面または管状の突起の第2の突起の末端の上に配置し取り付けられていてよい。このような複合品は図3〜図4に示されている。図3に示されるように、第2の追加的な層30の上の外表面31は代表的構造化膜10の第2の突起の末端17に対して接触している。この代表的実施形態では、第2の追加的な層は、例えば、着色層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの任意の組合せから構成されてよい。
【0040】
図4に示すように、第1の追加的な層20の下の外表面21は、代表的構造化膜10の第1の突起の末端16に対して接触してあり、同時に第2の追加的な層30の上の外表面31は代表的構造化膜10の第2の主表面の末端14に対して接触している。
【0041】
4.取り付け手段
本発明の構造化膜(または構造化膜を含む複合品)は、さらにこの構造化膜(または複合品)を基材に取り付けるための1つ以上の取り付け手段を含んでいてもよい。例えば、構造化膜(複合品)をある基材に取り付けるために、接着剤を使用しても良い。好適な接着剤には、感圧接着剤(PSA)、熱活性化接着剤、またはこれらの組合せを含むが、これに限るものではない。接着剤に加えて、その他の取り付け手段を使用してもよい。好適な取り付け手段には、ネジ、釘、クリップ、ステープル、ステッチ、ねじ切り、フック及びループ材料などの機械的なファスナが含まれるが、これに限らない。
【0042】
構造化膜(または複合品)を各種の基材に取り付けるためには、1つ以上の取り付け手段を使用することができる。代表的基材にはこれらに限定されないが、車両構成要素;車両内装(即ち、乗客室、モータ室、トランク等);建物の壁(即ち、内壁表面または外壁表面);建物の天井(即ち、内装天井表面または外装天井表面);建物の壁または天井を形成するための建築材料(例えば、天井タイル、木材、石膏ボード等);部屋仕切り;金属シート;ガラス基板;ドア、窓;機械構成要素;電気器具構成要素(即ち、室内電気器具表面または屋外電気器具表面);パイプまたはホースの表面;コンピューターまたは電子構成要素;録音又は再生装置;電気器具、コンピューターなどのハウジングまたはケース、が挙げられる。
【0043】
II.多層品を製造する方法
本発明はさらに上述の構造化膜及びこれを含む複合品を製造する方法を目的とする。本発明の1つの実施形態において、構造化膜を製造する方法は、溶融した押出品の薄板をダイから押し出す工程と、溶融した押出品を成形型と接触するように持ち込み、溶融した押出品の一部分が成形型の外表面に配置された複数個の穴に入るようにし、その結果(i)成形型の1つ以上の穴の中のより高い空気圧と、成形型と反対側である溶融した押出品の外側の表面のより低い空気圧との間の空気圧の差をもたらし、及び(ii)溶融した押出品の表面に沿った複数個の突起の形成が得られるようにする工程と、即ち、(i)空気の差圧を減らし、そして(ii)複数個の突起の1つ以上の中に突起穴を形成するために、成形型の1つ以上の穴の中の空気が成形型と反対側の溶融した押出品の外表面の方向に移動できるようにする工程と、さらに第1及び第2の主表面並びに少なくとも第1の主表面から伸びる複数個の管状の突起を有する実質的に平坦な膜部分を含む構造化膜を形成するために、溶融した押出品および複数の突起を冷却する工程とを含む。
【0044】
上記の構造化膜を製造する代表的方法において、持ち込み工程は、溶融した押出品を成形型ロールからなる成形型とニップロールの間に挟むことを含む。さらに、この突起形成工程は、成形型ロール及びニップロールを回転することを含んでもよいものとし、これによりニップロールが成形型と反対側の溶融した押出品の外表面全体を覆って位置しないようにする。構造化膜を製造するどの代表的方法においても、1つ以上のプロセス・パラメータを調整し、その結果、成形工程により1つ以上の管状の突起の中の突起の穴が、第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中までまたは通って伸びるようにして得られる。調整されるプロセス・パラメータには、押出品の組成、押出品の温度、成形型の温度、成形型の速度、成形型の穴の深さ、溶融した押出品の薄板の厚さ、またはそれらの組合せが挙げられるがこれに限るものではない。
【0045】
構造化膜を製造する他の代表的方法では、1つ以上のプロセス・パラメータを調整してよく、その結果、突起形成工程により1つ以上の管状の突起の中の突起穴が、第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分の中までまたは通って伸びるようにして得られ、それにより突起穴と流体連通する気泡部分が形成される。この実施形態では、この気泡部分は(i)実質的に平坦な膜部分内に、(ii)実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下に、又は(iii)(i)及び(ii)の両方に、位置してもよい。気泡状部を形成するために調整できるプロセス・パラメータには、押出品の組成、押出品の温度、成形型の温度、成形型の速度、成形型の穴の深さ、溶融した押出品の薄板の厚さ、またはそれらの組合せが挙げられるがこれに限るものではない。
【0046】
気泡部分が1つ以上の管状の突起で形成される一部の実施形態では、構造化膜を製造する方法には、気泡部分を開口して、1つ以上の管状の突起を完全に通って伸びる開口を提供することが含まれる。気泡部分を開口する工程は、気泡部分の先端を除去する(例えば、気泡部分の下表面の先端を切断する)、気泡部分に穴を開ける(例えば、針またはその他のとがった物体による)、突起穴を加圧する、気泡部分の先端を加熱する、または上記開口工程の任意の組合せを含んでもよい。
【0047】
他の構造化膜を製造する他の代表的方法では、1つ以上のプロセス・パラメータを調整してもよく、その結果、突起形成工程によって1つ以上の管状の突起の中の突起穴が、第1の突起の末端から実質的に平坦な膜部分を通って伸びるようにして得られ、それにより1つ以上の管状の突起を通って伸びる開口が提供される(例えば、上記の開口工程の必要が無い)。ここでも、1つ以上の管状の突起を完全に通って伸びる開口を形成するために調整できるプロセス・パラメータには、押出品の組成、押出品の温度、成形型の温度、成形型の速度、成形型の穴の深さ、溶融した押出品の薄板の厚さ、またはそれらの組合せが挙げられるがこれに限るものではない。
【0048】
構造化膜を製造するさらに代表的方法では、1つ以上の前記プロセス・パラメータを調整してよく、その結果、突起成形工程によって1つ以上の管状の突起が、構造化膜の第1の主表面の上から構造化膜の第2の主表面の下まで伸びるようにして得られる。この実施形態では、この方法は、冷却工程の後、必要に応じて、構造化膜の第2の外表面の下の熱成形された材料の少なくとも一部分を取り除き、これによって構造化膜の1つ以上の管状の突起を、第1の主表面の上の第1の突起の末端から第2の主表面の下の第2の突起の末端まで、完全に通って伸びる開口を提供することを更に含んでよい。この実施形態では、この方法はまた、構造化膜第2の主表面の下に位置する、実質的にすべての熱成形された材料が取り除かれる工程を所望により備えてもよく、その結果構造化膜は構造化膜の第1の主表面に沿ってのみ複数個の管状の突起を有する。
【0049】
1つの望ましい実施形態では、構造化膜を製造する方法は、溶融した押出品をダイから回転する成形型ロールと回転するニップロールの間に形成されるニップへの押し出す工程と、溶融した押出品の一部を回転する成形型に設置した複数個の穴の中に押し込み、(i)回転する成形型ロールの1つ以上の穴の中のより高い空気圧力と、回転成形型ロールと反対側の溶融した押出品の外表面のより低い空気圧力との間の空気圧力の差、及び(ii)溶融した押出品の表面に沿った複数個の突起の形成が結果として得られる工程と、成形型とニップロールを回転させることによって、回転成形型の1つ以上の穴の中の空気が回転成形型ロールと反対側である溶融した押出品の外側の方向に動くことができ、これによって複数の突起の1つ以上の中に突起の穴を形成する工程と、並びに溶融した押出品と複数個の突起を、溶融した押出品と複数個の突起の軟化温度以下まで冷却する工程とを含む。この代表的方法は図5に示す代表的装置50のような装置を使用して実行される。
【0050】
図5に示すように、代表的装置50は、溶融した押出品52が出てくるダイ・アセンブリ51を含む。溶融押出品52は、矢印A1で示された第1の方向に回転するニップロール53と、矢印A2で示された反対の方向に回転する成形型ロール54との間の溶融した押出品52が通過する点PAへと進む。点PAでは、ニップロール53は溶融した押出品52を成形型ロール54の外表面59の中にある穴(図示せず)に押し込む。ニップロール53の外表面58は一般的になめらかで、所望により離型材料(シリコンまたはPTFEなど)でコーティングされる。溶融した押出品52は成形型ロール54の外表面59の穴(図示せず)をニップロール53の外表面58の力により充填し、個々の穴(図示せず)の中の空気圧力が上昇し、個々の穴(図示せず)の中の高圧と成形型ロール54と反対側の溶融した押出品52の外表面56上の低圧との間に空気圧力の差を形成する。
【0051】
ニップロール53と成形型ロール54は回転するので、ニップロール53の外表面58は溶融した押出品52の外表面56から移動させられ、これによって個々の穴(図示せず)の中の空気が、個々の穴(図示せず)の中を、溶融した押出品52の外表面56に向けて(すなわち、低い空気圧力に向けて)溶融した押出品を通って移動することを可能とする。PB点付近では、成形型ロール54の外表面59の個々の穴(図示せず)の中の溶融した押出品は、固化し始める。成形型ロール54の外表面59に隣接する溶融した押出品及び個々の穴の側壁表面は、溶融した押出品の個々の穴の中央位置の中心部よりも前に固化するものと考えられている。溶融した押出品52が成形型ロール54の外表面59に沿って点PBから点PCに移動すると、上に説明した空気の動きは、溶融した押出品の外表面に向かって急速に移動し、溶融した押出品の中に穴を発生させるように作用する。上述のように空気移動は(i)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分の中にまたは通って伸びる穴、(ii)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分の中及び/又は下に形成された気泡部、(iii)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分を完全に通って伸びる穴、(iv)溶融した押出品52の実質的に平坦な膜部分の第2の主表面の下の第2の突起の末端、又は(v)(i)〜(iv)のいずれかの組合せを、結果的に生じる。
【0052】
点PC付近では、溶融した押出品52及びその中に形成される管状の突起12は実質的に固化している。その中に管状の突起12を伴う溶融した押出品52が、成形型ロール54の外表面59に沿って移動すると、実質的に固化した押出品52の外表面56は、矢印A3で示される方向に回転する、引き取りロール55の外表面60と接触するようになる。点PDにおいては、実質的に硬化した溶融押出品52は、成形型ロール54の外表面59から分離し、引き取りロール55の外表面60に沿って矢印A4で示される方向に進み、結果として管状の突起12をその上に有する構造化膜57をもたらす。
【0053】
本発明の構造化膜を製造する代表的開示方法は、上述の高分子材料及び任意の添加物のいかなるものを含んだ構造化膜を形成するのに使用してもよい。一般的には、熱成形方法の工程は、約120℃〜約370℃の範囲の溶融押出温度範囲において膜形成性の熱成形可能材料を溶融押出しすることを伴う。
【0054】
本発明の構造化膜を製造する開示方法の、従来の孔あき膜の製造方法に勝る重要な利点は、薄い実質的に平坦な膜部分を保つと同時に、比較的深い穴深さと比較的長い管状の突起の長さを有する構造化膜を製造できることである。穴の深さと管状の突起の長さを実質的に平坦な膜部分の層厚から分離可能にすることは、様々な用途の新世代構造化膜を製造する能力を提供する。例えば、穴の深さを増やすことは、音波が穴を通って伝播する時に、管状の突起を通過する空気量の増加及び摩擦抵抗の増加などのような利点をもたらす。穴の深さと管状の突起の長さを実質的に平坦な膜部分の層厚から分離することは、膜の曲げ剛性とは独立した音響質量抵抗の増加により、製品開発に自由度を加えることも可能にする。
【0055】
本発明の構造化膜の開示の製造方法は、本発明以前の安価な生産運転では達成し得なかった、比較的大きい穴の深さ/穴の直径比を有する構造化膜を製造する機会をも与える。例えば、一つの代表的実施形態では、開示された方法は、管状の突起の少なくとも一部分は、突起の穴の長さの突起の穴の直径に対する比率が少なくとも1:1である、構造化膜を製造できる。他の代表的実施例では、開示された方法は、少なくとも一部の管状の突起は、突起の穴の長さの突起の穴の直径に対する比率が少なくとも3:1であり、最高では5:1以上にも達する、構造化膜を製造できる。
【0056】
さらに、比較的薄い実質的に平坦な膜部分を提供する能力により、坪量が低い膜を得ることができ、重量に気を使う用途に対して好都合であることができる。坪量が低い本発明の構造化膜は、さらに原材料使用量が少ないこと及び製造費が安価であることにつながる。開示された方法は、少なくとも管状の突起の一部分は、突起の穴の長さの平均的な膜部分厚さに対する比率が、少なくとも約1.1:1である構造化膜を製造することが可能であり、一部の実施形態では、突起の穴の長さの平均的な膜部分厚さに対する比率が少なくとも約5:1であり、また一部の実施例では、突起の穴の長さの平均的な膜部分厚さに対する比率が少なくとも約10:1以上である。
【0057】
開示された本発明の構造化膜の製造方法は、上述のように、管状の突起が突起の長さLを有する管状の突起を製造するように成形型を利用してもよい。例えば、好適な成形型は、成形型の外表面に複数個の、最高1.5cm(588mil)に達するの平均的成形型穴深さを有する、穴を備えてもよい。他の実施形態においては、好適な成形型は、平均的な成形型穴深さが約27.9μm(1.1mil)〜約3.0mm(117mil)である穴を備えてもよく、他の実施形態では平均的な成形型穴深さが約747μm(29.4mil)〜約1.5mm(58.8mil)であってもよい。
【0058】
さらに、好適な成形型は、これによって管状の突起が所望の断面形状を有するように、1つ以上の穴断面の形状を有する穴を有していてもよい。好適な穴断面の形状には、円、楕円、多角形、正方形、三角形、6角形、多葉形、もしくはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これに限るものではない。
【0059】
これに加えて、好適な成形型は、成形型に沿って任意の所望穴密度を有してもよい(例えば成形型ロール54の外表面59において)。例えば、ある成形型は最高で約1000穴/cm2に達する成形型の外表面積における穴密度を有する。一般的には、成形型は約10穴/cm2〜約300穴/cm2の成形型の外表面積における穴密度を有する。
【0060】
構造化膜の開示された製造方法は、さらに1つ以上の追加的な層の構造化膜への取り付けを含んでいてもよい。1つの代表的実施形態において、構造化膜を製造する方法は、上述の冷却工程の前に、管状の突起の第1の突起の末端、管状の突起の第2の突起の末端、実質的に平坦な膜部分の第2の主表面、またはこれらの組合せを、少なくとも1つの追加的な層と接触させることを含む。他の代表的実施形態では、構造化膜の製造方法は、構造化膜を形成したあとに、構造化膜に追加的な層を取り付けることを含む(例えば熱ラミネーションプロセス工程を用いて)。上で述べたように、追加的な層には、着色層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾用布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの組合せを含んでもよいが、これに限るものではない。
【0061】
構造化膜を形成する上述の工程に加えて、構造化膜を製造する開示された方法は、以下の1つ以上のプロセス工程を含んでもよい。
【0062】
(1)構造化膜をプロセス経路に沿ってその先のプロセス作業に向けて進める、
(2)1つ以上の追加的な層を構造化膜の外表面と接触するように持ち込む、
(3)管状の突起の全面的長さに伸びる開口を形成するために、構造化膜の第2の主表面の下に伸びる1つ以上の管状の突起の一部分を取り除く、
(4)構造化膜の第2の主表面の下に伸びる1つ以上の管状の突起のいずれの部分も取り除いて、管状の突起が第2の主表面の下に延びないようにする、
(5)構造化膜の第1の主表面より上に伸びる1つ以上の管状の突起の一部を取り除く、
(6)構造化膜を表面処理剤または他の組成物でコーティングする(例えば、難燃剤組成物、接着剤組成物、または印刷層)、
(7)構造化膜を厚紙またはプラスチック・チューブに取り付ける、
(8)構造化膜をロールの形に巻く、
(9)構造化膜をスリットし、2つ以上のスリットしたロール巻きを形成する、
(10)存在する場合には、露出した感圧性接着剤の層の上に剥離ライナーを提供する、及び
(11)構造化膜を他の基材に接着剤または、これに限るものではないがクリップ、ブラケット、ボルト/ネジ、釘、及びストラップを含む他のいずれかの取り付け手段により取り付ける。
【0063】
III.構造化膜を使用する方法
本発明の構造化膜(及び構造化膜を含む複合品)は、多種多様な用途に使用することができる。構造化膜は、音響吸収及び音響障壁などへの応用のような、音響上の用途に特に有用である。本発明の1つの代表的実施形態では、構造化膜を使用する方法には、ある範囲の少なくとも1つの部分を構造化膜で取り囲む工程を含む、その範囲の音響を吸収する方法を含む。一部の実施形態では、ある範囲全体が構造膜のみ、または上述の1つ以上の追加的な層で囲まれていてもよい。
【0064】
ある範囲を囲む工程は、その範囲の少なくとも一部分に構造化膜を配置することを含んでもよく、ここで、構造化膜は、上述の構造化膜のいずれかの単独、または1つ以上の追加的な層と組み合わせたものを含む。一部の実施形態では、この囲む工程は、少なくともその範囲の一部分に、構造化膜または構造化膜を含む複合品を配置することを含んでもよい。囲む工程はさらに、構造化膜(または構造化膜を含む複合品)を基材に取り付ける工程を含んでいてもよい。構造化膜(または構造化膜を含む複合品)をある基材に取り付けるために、上述の取り付け手段のいずれかを使用することができる。好適な基材には、建物の壁、建物の天井、建物の壁もしくは天井を形成する建築材料、金属シート、ガラス基材、ドア、窓、自動車の構成要素、機械の構成要素、電子機器(例えばプリンター、ハードドライブなど)、または電気製品の構成要素を含むがこれに限るものではない。
【0065】
本発明の他の実施形態では、構造化膜の使用方法には、音を発生させる物体及びある範囲の間に音響障壁を提供する方法を含む。この代表的方法では、この方法は、構造化膜(または構造化膜を含む複合品)を、音を発生させる物体及びある範囲の間に提供する工程を含んでいてもよい。音を発生させる物体は、自動車のエンジン、機械の一部、電気製品のモータまたはその他の電気製品の稼動する構成要素、テレビなどの電子機器、動物等を含む音響を発生するいずれの物体であってもよいがこれに限るものではない。
【0066】
上述の代表的、構造化膜(または構造化膜を含む複合品)の使用方法のいずれかの範囲は、音響が吸収され及び/又は制限されるいずれかの範囲であってもよい。好適な範囲には、部屋の内装、自動車の内装、機械装置の一部、電気器具、事務室もしくは産業区域の分離した音響減少範囲、音響録音または再生範囲、劇場もしくは演奏会場の内装、音が有害である無響室、分析室もしくは実験室または無響チャンバー、分析チャンバー、もしくは実験チャンバー、雑音から耳を隔離し保護する耳あてもしくは耳覆いを含んでもよいがこれに限るものではない。
【0067】
本発明にかかる構造化膜は、カーペットの耐性膜層に使用してもよい。この実施形態では、積層体を形成するために、1つ以上の繊布層が構造化膜の各側に取り付けられる。
【0068】
本発明は以上に説明され、例示を手段としてさらに以下に図解されるが、実施例はいかなる形であれ本発明の範囲に制限を加えるとは解釈されない、一方、本明細書の説明を読んだ後、当業者自らが本発明の精神及び/又は添付の特許請求の範囲から離れることなく提案できる多種多様な他の実施形態、改造、及びその同等品に対する手段を有することは、明確に理解されなければならない。
【実施例】
【0069】
(実施例1):
図2Aないし図2Fに示す、代表的管状の突起12と同様の管状の突起構成を持つ構造化膜を、以下の手順および図5に示される代表的装置50と同様な装置を使用して調製した。6.35cm(2.5インチ)のデイビス−スタンダード(Davis-Standard)単一スクリュー押出成形機(デイビス−スタンダード社(コネチカット州パウカタック(Pawcatuck, CT))製)を使用し、ダイの間隔が508μm(20mil)である、25.4cm(10インチ)PVCキャストフィルム押出ダイの中にあるポリマー溶融物を供給し押出成形した。滴下ダイ形状物を水平の2つのロールニップに供給した。成形型ロールは直径31.75cm(12.5インチ)で、バックアップのスチールロールは直径30.48cm(12インチ)であった。成形型は、外表面に円筒状の止まり穴を穴あけしてある、外側のアルミニウム製外側シェルを有したロールを含んでいた。この穴の直径は398.8μm(15.7mil)で、穴の中心から中心までの間隔が1.70mmの正方配列である。穴のパターンは幅20.3cm(8.0インチ)で、成形型ロールの円周全体にわたる。穴の深さは成形型ロールの周囲によって異なっていた。成形型ロールの円周を3つの区域に分けた。第1の区域は深さ762μm(30mil)に穴あけされた穴があり、第2の区域は深さ635μm(25mil)に穴あけされた穴があり、第3の区域は深さ508μm(20mil)に穴あけされた穴があった。
【0070】
2つの市販されているプロピレン/エチレン耐衝撃共重合体、ハンツマン(Huntsman)PP AP5156−HA(MFI65)、及びハンツマン(Huntsman)PP 14S50V(MFI50)(ハンツマン・ポリマーズ(Huntsman Polymers)社(テキサス州ウッドランド(Woodlands, TX))製で市販されている)、を使用して構造化膜を形成した。以下のプロセス条件を使用した。
【0071】
【表1】
【0072】
結果として得られた構造化膜のサンプルの各種の構造的な特徴を、デジタル顕微鏡測定により得た。参考として図2Cないし図2Dを参照して、下記の表2に示すように、以下の測定が行われた。「−1」と示されたサンプルは、穴深さ762μm(30mil)で加工された。「−2」と示されたサンプルは、穴深さ635μm(25mil)で加工された。「−3」と示されたサンプルは、穴深さ508μm(20mil)で加工された。
【0073】
【表2】
【0074】
結果として得られた構造化膜は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分を通って伸びる、通り穴を備える中空の管状の突起を有した。穴深さが762μm(30mil)のパターン#1は、構造化膜の最も一貫して管状の突起形状、及び実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を提供した。他のパターンは時折通り穴を作り出すが、より頻繁に気泡またはふくれを構造化膜の第2の主表面上に作り出した。
【0075】
このサンプルを用いて音響吸収試験を行った。多種多様な周波数における吸収係数を測定するために、インピーダンス管試験器(ブリュエル・ケアー(Bruel & Kjaer)社(ジョージア州ノークロス(Norcross, GA))、モデル6205、64mm管使用)を使用した。試験は、ASTM1050を使用し、各々の構造化膜の後方に25mmの空間をとって行った。本発明の代表的な構造化膜(サンプル1−1及び1−4)のインピーダンス管試験結果を図6に示す。
【0076】
(実施例2):
図2A〜図2Fに示す、代表的な管状の突起12と同様の管状の突起構成を持つ、構造化膜を、上記の実施例1に使用したのと同様の手順と装置を使用して調製した。構造化膜を形成するために、市販されているポリプロピレン熱可塑性樹脂を使用した。MFIが65のハンツマン(Huntsman)PP AP5165−HAであった。以下のプロセス条件を使用した。
【0077】
【表3】
【0078】
実施例1で説明したように、結果として得られた構造化膜のサンプルの、各種の構造的な特徴を、デジタル顕微鏡測定により得た。結果を下記の表4に示す。実施例1と同様に、「−1」サンプルと示されたサンプルは、穴深さ762μm(30mil)で加工され、「−2」サンプルと示されたサンプルは、穴深さ635μm(25mil)で加工され、「−3」サンプルと示されたサンプルは、穴深さ508μm(20mil)で加工された。
【0079】
【表4】
【0080】
結果として得られた構造化膜は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を備える中空の管状の突起を有した。#1、#2、及び#3パターンは各々、構造化膜の一定した管状の突起形状及び実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を提供した。
【0081】
実施例1に説明したように、サンプルに対して音響吸収試験を行った。本発明の代表的構造化膜(サンプル7〜3、8〜1及び9〜3)のインピーダンス管試験結果を図6に示す。
【0082】
(実施例3)
図2A〜図2Fに示す、代表的管状の突起12と同様の管状の突起構成を有する構造化膜を、以下の手順および図5に示される代表的装置50と同様の装置を使用して調製した。ポリマー溶融物は、6.35cm(2.5インチ)のデイビス−スタンダード(Davis-Standard)単一スクリュー押出機(デイビス−スタンダード社(コネチカット州パウカタック(Pawcatuck, CT))製)を使用し、ダイの間隔が508μm(20mil)である30.5cm(12インチ)キャストフィルム押出ダイに供給して押出成形した。滴下ダイ形状物を水平の2つのロールニップに供給した。成形型ロールは直径31.75cm(12.5インチ)で、バックアップのスチールロールは直径30.48cm(12インチ)であった。成形型は、外表面に円筒状の止まり穴を穴あけしてある、外側のアルミニウム製外側シェルを有したロールを含んでいた。この穴の直径は0.5mm(19.7mil)で、穴の中心から中心までの間隔は1.70mm(67mil)の正方配列であった。穴のパターンは幅20.3cm(8.0インチ)で、成形型ロールの円周全体にわたった。穴の深さは成形型ロールの場所によって異なった。成形型ロールの円周は4つの区域に分けた。第1の区域は深さ1.143mm(45mil)に穴あけされた穴があり、第2の区域は深さ965μm(38mil)に穴あけされた穴があり、第3の区域は深さ787μm(31mil)に穴あけされた穴があり、第4の区域は深さ330μm(13mil)に穴あけされた穴があった。
【0083】
市販されているプロピレン/エチレン耐衝撃性共重合体、ハンツマン(Huntsman)PP AP5165−HA(MFI65)(ハンツマン・ポリマーズ(Huntsman Polymers)社(テキサス州ウッドランド(Woodlands, TX))製で市販されている)、を使用して構造化膜を形成した。以下のプロセス条件を使用した。
【0084】
【表5】
【0085】
表5に示したプロセス条件は、穴深さ965μm(38mil)で穴パターン2のための最適化した運転条件であった。結果として得られた構造化膜のサンプルの、各種の構造的な特徴を、デジタル顕微鏡測定により得た。参考として図2C〜図2Dを参照して、下記の表6に示すように、以下の測定が行われた。
【0086】
【表6】
【0087】
結果として得られた構造化膜は、構造化膜の実質的に平坦な膜部分を通って伸びる通り穴を備える中空の管状の突起を有した。
【0088】
このサンプルを用いて音響吸収試験を行った。多種多様な周波数における吸収係数を決定するために、インピーダンス管試験器(ブリュエル・ケアー(Bruel & Kjaer)社(ジョージア州ノークロス(Norcross, GA))、モデル6205、64mm管使用)を使用した。試験は、ASTM1050を使用し、各々の構造化膜の後方に25mmの空間をとって行った。本発明の代表的構造化膜(サンプルE060504−16)のインピーダンス管試験結果を図7に示す。
【0089】
本明細書は、その特定の実施形態に関して詳細に説明されているが、上述の事項を理解することにより、当業者がこれらの実施形態に対する変更、その変形、及びそれらの相当物を容易に想起できることは明らかである。それゆえ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのいかなる等価物も含むと査定されるべきである。
【0090】
本発明は、添付の図を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の代表的構造化膜を示す。
【図2A】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2B】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2C】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2D】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2E】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図2F】図1の線A−Aに沿った、代表的構造化膜の実質的に平坦な膜部分上の代表的管状の突起の可能性のある断面構成を示す。
【図3】追加的な層を取り付けた、代表的本発明の構造化膜側面図。
【図4】追加的な層を取り付けた、他の代表的本発明の構造化膜側面図。
【図5】本発明の構造化膜を形成するのに好適な、代表的装置の概略図。
【図6】本発明の代表的構造化膜の周波数に対する音響吸収係数をグラフで示したもの。
【図7】本発明の代表的構造化膜のインピーダンス管試験データをグラフで示したもの。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分の厚さを有する実質的に平坦な膜部分と、
前記実質的に平坦な膜部分から伸びる複数の管状の突起と、
(1つ以上の管状の突起は、
(i)前記第1の主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部
分の中にまたは通って、伸びる穴と、
(ii)前記穴の少なくとも一部を囲む突起の側壁と、
前記突起の側壁は、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の
側壁の厚さを有する、
(iii)前記第1の突起の末端から前記第1の主表面までの距離で伸びる突起の
長さと、を有する管状の突起と、
を備え、前記突起の長さの、前記平均的な膜部分の厚さに対する比率が、少なくとも
約3.5である)
を備えた構造化膜。
【請求項2】
前記実質的に平坦な膜部分及び前記複数個の管状の突起が、膜形成後に突起を形成する配向付けの無い、連続的な熱成形された構造体を構成する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項3】
前記実質的に平坦な膜部分が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリスチレン、液晶性ポリマー、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、及び上記の2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の高分子材料を含む、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項4】
前記1つ以上の管状の突起が、実質的に類似の突起の長さを有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項5】
前記1つ以上の管状の突起が、第2の主表面より下に配置された第2の突起の末端を有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項6】
前記1つ以上の管状の突起の少なくとも一部分の突起の壁の厚さが、平均的な膜部分の厚さ以上である、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項7】
前記1つ以上の管状の突起の少なくとも一部分の突起の壁の厚さが、突起の長さに沿って変化する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項8】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚と第2の壁厚が、前記第3の壁厚よりも厚い、請求項7に記載の構造化膜。
【請求項9】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚と第2の壁厚が、第3の壁厚よりも薄い、請求項7に記載の構造化膜。
【請求項10】
前記複数の管状の突起が、前記実質的に平坦な膜部分に対して実質的に垂直に伸びる、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項11】
前記1つ以上の管状の突起の少なくとも一部分が、前記実質的に平坦な膜部分を通って伸びる穴を有している、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項12】
前記構造化膜が、
平均的な膜部分の厚さが、約76.2μm(3mil)〜約508μm(20mil)の範囲であり、
突起の長さが、約25.4μm(1mil)〜約1.27cm(500mil)の範囲であり、
突起の穴の長さが、約101.6μm(4mil)〜約1.32cm(520mil)の範囲であり、
突起の穴の直径が、約25.4μm(1mil)〜約6.35mm(250mil)の範囲であり、そして
突起の側壁の厚さが、約25.4μm(1mil)〜約508μm(20mil)の範囲である、
の寸法を有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項13】
前記突起の長さの、前記平均的な膜部分の厚さに対する比率が、少なくとも4.0である、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項14】
前記突起の長さの、前記平均的な膜部分の厚さに対する比率が、約4.0〜約10.0である、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項15】
前記管状の突起が、円、楕円、多角形、正方形、三角形、6角形、多葉形、またはこれらの任意の組み合わせを含む管状の突起の断面形状を有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項16】
前記管状の突起が、前記実質的に平坦な膜部分に沿って、約10突起/cm2〜約300突起/cm2の管状の突起密度で存在する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項17】
前記実質的に平坦な膜部分が、前記第1の主表面及び第2の主表面を形成し、そして前記平均的な膜部分の厚さを有する、単層の熱成形可能な材料を含む、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項18】
第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分の厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、
前記実質的に平坦な膜部分から伸びる複数の管状の突起と、
(1つ以上の管状の突起は、
(i)前記第1の主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部
分の中にまたは通って、伸びる穴と、
(ii)前記穴の少なくとも1部を囲む突起の側壁と、
前記突起の側壁は、熱成形可能な材料を含み、そして突起の外側の側壁表面、突
起の内側の側壁表面、及び突起の側壁の厚さを有する、
(iii)前記第1の突起の末端から前記第2の主表面より下の第2の突起の末端
までの距離で伸びる、末端から末端までの突起の長さと、
を有する)
を備えた構造化膜。
【請求項19】
前記構造化膜が、膜形成後に突起を形成する配向付けの無い、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項20】
前記実質的に平坦な膜部分は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリスチレン、液晶性ポリマー、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、及び上記の2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の高分子材料を含む、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項21】
前記穴が、前記第1主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部分を通って、前記第2の突起の末端まで伸びて、前記構造化膜を通る開口を提供する、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項22】
前記1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面より上に第1の断面積、前記実質的に平坦な膜部分内に第2の断面積、及び前記第2の主表面より下に第3の断面積を有し、前記第1の断面積が、第2の断面積及び第3の断面積より小さい、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項23】
前記1つ以上の管状の突起が、前記穴と流体連通する気泡部分を有し、前記気泡部分が、(i)前記実質的に平坦な膜部分内、(ii)前記第2の主表面より下、または(iii)(i)と(ii)の両方、にある、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項24】
前記気泡部分の下部が取り除かれて、前記第1の突起の末端から前記第2の突起の末端まで、前記構造化膜を通って伸びる開口を提供する、請求項23に記載の構造化膜。
【請求項25】
前記1つ以上の管状の突起が、前記第1の突起の末端から前記第1の主表面までの距離で伸びる上部の突起の長さを有し、前記上部の突起の長さの、前記平均的な膜部分厚さに対する比率が、少なくとも3.5である、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項26】
前記上部の突起の長さの、前記平均的な膜部分厚さに対する比率が、約4.0〜約10.0である、請求項25に記載の構造化膜。
【請求項27】
第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分の厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、
前記実質的に平坦な膜部分から伸びる複数の管状の突起と、
(1つ以上の管状の突起は、
(i)前記第1の主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部
分を通って、前記実質的に平坦な膜部分より下の第2の突起の末端まで伸びて、前
記構造化膜を通る開口を提供する穴と、
(ii)前記穴の少なくとも1部を囲む突起の側壁と、
前記突起の側壁は、前記熱成形可能な材料を含み、そして突起の外側の側壁表面
、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁の厚さを有する、
(iii)前記第1の突起末端から前記第2の主表面より下の第2の突起末端まで
の距離で伸びる末端から末端までの突起の長さと、
を有する)、
を備えた構造化膜。
【請求項28】
前記熱形成可能な材料が、ポリオレフィン、オレフィンを含む共重合体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項27に記載の構造化膜。
【請求項29】
前記管状の突起の前記第1の突起の末端の上に配置され、そして取り付けられている第1の追加的な層と組み合わせた、請求項1〜28のいずれか1項に記載の構造化膜。
【請求項30】
前記第1の追加的な層が、着色剤を含有する層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項29に記載の構造化膜。
【請求項31】
前記第2の主表面、または前記管状の突起の前記第2の突起の末端の上に配置され、そして取り付けられている第2の追加的な層と組み合わせた、請求項1〜30のいずれか1項に記載の構造化膜。
【請求項32】
前記第2の追加的な層が、着色剤を含有する層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾用布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項31に記載の構造化膜。
【請求項33】
建物の壁、建物の天井、建物の壁もしくは天井を形成する建築材料、金属シート、ガラス基材、ドア、窓、自動車の構成要素、機械の構成要素、または電気製品の構成要素を含む基材に取り付けられた、請求項1〜32のいずれか1項に記載の構造化膜。
【請求項34】
範囲の少なくとも一部を、請求項1〜30のいずれか1項に記載の構造化膜で囲む工程を含む、範囲の吸音方法。
【請求項35】
前記範囲が、部屋の内装、車両の内装、機械装置、電気器具、事務室もしくは産業区域の分離した吸音区域、音響録音もしくは再生区域、劇場もしくは演奏会場の内装、音が有害である、無響室、分析室もしくは実験室または無響チャンバー、分析チャンバー、もしくは実験チャンバー、または雑音から耳を隔離し保護する耳あてもしくは耳覆いを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記囲む工程が、建物の壁、建物の天井、建物の壁もしくは天井を形成する建築材料、金属シート、ガラス基材、ドア、窓、自動車の構成要素、機械の構成要素、又は電気製品の構成要素を含む基材に構造化膜を取り付けることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
音を発生させる物体と範囲との間に、請求項1〜32のいずれか1項に記載の構造化膜を提供する工程を含む、前記音を発生させる物体と前記範囲との間に防音障壁を提供する方法。
【請求項38】
前記音を発生させる物体が、自動車のエンジン、機械の一部、電気製品のモータもしくはその他の稼動する電気製品の構成要素、電子機器、テレビ、動物、またはこれらの組合せを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記範囲が、部屋の内装、車両の内装、機械装置の一部、電気器具、事務室もしくは産業区域の分離した吸音区域、音響録音もしくは再生区域、劇場もしくは演奏会場の内装、音が有害である無響室、分析室もしくは実験室または無響チャンバー、分析チャンバー、もしくは実験チャンバー、雑音から耳を隔離し保護する耳あてもしくは耳覆いを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚が、前記第2の壁厚及び第3の壁厚よりも厚い、請求項6に記載の構造化膜。
【請求項41】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚が前記第2の壁厚より厚く、そして前記第2の壁厚が前記第3の壁厚よりも厚い、請求項6に記載の構造化膜。
【請求項1】
第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分の厚さを有する実質的に平坦な膜部分と、
前記実質的に平坦な膜部分から伸びる複数の管状の突起と、
(1つ以上の管状の突起は、
(i)前記第1の主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部
分の中にまたは通って、伸びる穴と、
(ii)前記穴の少なくとも一部を囲む突起の側壁と、
前記突起の側壁は、突起の外側の側壁表面、突起の内側の側壁表面、及び突起の
側壁の厚さを有する、
(iii)前記第1の突起の末端から前記第1の主表面までの距離で伸びる突起の
長さと、を有する管状の突起と、
を備え、前記突起の長さの、前記平均的な膜部分の厚さに対する比率が、少なくとも
約3.5である)
を備えた構造化膜。
【請求項2】
前記実質的に平坦な膜部分及び前記複数個の管状の突起が、膜形成後に突起を形成する配向付けの無い、連続的な熱成形された構造体を構成する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項3】
前記実質的に平坦な膜部分が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリスチレン、液晶性ポリマー、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、及び上記の2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の高分子材料を含む、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項4】
前記1つ以上の管状の突起が、実質的に類似の突起の長さを有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項5】
前記1つ以上の管状の突起が、第2の主表面より下に配置された第2の突起の末端を有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項6】
前記1つ以上の管状の突起の少なくとも一部分の突起の壁の厚さが、平均的な膜部分の厚さ以上である、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項7】
前記1つ以上の管状の突起の少なくとも一部分の突起の壁の厚さが、突起の長さに沿って変化する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項8】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚と第2の壁厚が、前記第3の壁厚よりも厚い、請求項7に記載の構造化膜。
【請求項9】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚と第2の壁厚が、第3の壁厚よりも薄い、請求項7に記載の構造化膜。
【請求項10】
前記複数の管状の突起が、前記実質的に平坦な膜部分に対して実質的に垂直に伸びる、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項11】
前記1つ以上の管状の突起の少なくとも一部分が、前記実質的に平坦な膜部分を通って伸びる穴を有している、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項12】
前記構造化膜が、
平均的な膜部分の厚さが、約76.2μm(3mil)〜約508μm(20mil)の範囲であり、
突起の長さが、約25.4μm(1mil)〜約1.27cm(500mil)の範囲であり、
突起の穴の長さが、約101.6μm(4mil)〜約1.32cm(520mil)の範囲であり、
突起の穴の直径が、約25.4μm(1mil)〜約6.35mm(250mil)の範囲であり、そして
突起の側壁の厚さが、約25.4μm(1mil)〜約508μm(20mil)の範囲である、
の寸法を有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項13】
前記突起の長さの、前記平均的な膜部分の厚さに対する比率が、少なくとも4.0である、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項14】
前記突起の長さの、前記平均的な膜部分の厚さに対する比率が、約4.0〜約10.0である、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項15】
前記管状の突起が、円、楕円、多角形、正方形、三角形、6角形、多葉形、またはこれらの任意の組み合わせを含む管状の突起の断面形状を有する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項16】
前記管状の突起が、前記実質的に平坦な膜部分に沿って、約10突起/cm2〜約300突起/cm2の管状の突起密度で存在する、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項17】
前記実質的に平坦な膜部分が、前記第1の主表面及び第2の主表面を形成し、そして前記平均的な膜部分の厚さを有する、単層の熱成形可能な材料を含む、請求項1に記載の構造化膜。
【請求項18】
第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分の厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、
前記実質的に平坦な膜部分から伸びる複数の管状の突起と、
(1つ以上の管状の突起は、
(i)前記第1の主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部
分の中にまたは通って、伸びる穴と、
(ii)前記穴の少なくとも1部を囲む突起の側壁と、
前記突起の側壁は、熱成形可能な材料を含み、そして突起の外側の側壁表面、突
起の内側の側壁表面、及び突起の側壁の厚さを有する、
(iii)前記第1の突起の末端から前記第2の主表面より下の第2の突起の末端
までの距離で伸びる、末端から末端までの突起の長さと、
を有する)
を備えた構造化膜。
【請求項19】
前記構造化膜が、膜形成後に突起を形成する配向付けの無い、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項20】
前記実質的に平坦な膜部分は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリスチレン、液晶性ポリマー、ポリエチレン−コ−酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、及び上記の2種以上の組合せからなる群から選択される1種以上の高分子材料を含む、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項21】
前記穴が、前記第1主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部分を通って、前記第2の突起の末端まで伸びて、前記構造化膜を通る開口を提供する、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項22】
前記1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面より上に第1の断面積、前記実質的に平坦な膜部分内に第2の断面積、及び前記第2の主表面より下に第3の断面積を有し、前記第1の断面積が、第2の断面積及び第3の断面積より小さい、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項23】
前記1つ以上の管状の突起が、前記穴と流体連通する気泡部分を有し、前記気泡部分が、(i)前記実質的に平坦な膜部分内、(ii)前記第2の主表面より下、または(iii)(i)と(ii)の両方、にある、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項24】
前記気泡部分の下部が取り除かれて、前記第1の突起の末端から前記第2の突起の末端まで、前記構造化膜を通って伸びる開口を提供する、請求項23に記載の構造化膜。
【請求項25】
前記1つ以上の管状の突起が、前記第1の突起の末端から前記第1の主表面までの距離で伸びる上部の突起の長さを有し、前記上部の突起の長さの、前記平均的な膜部分厚さに対する比率が、少なくとも3.5である、請求項18に記載の構造化膜。
【請求項26】
前記上部の突起の長さの、前記平均的な膜部分厚さに対する比率が、約4.0〜約10.0である、請求項25に記載の構造化膜。
【請求項27】
第1の主表面、第2の主表面、及び平均的な膜部分の厚さを有する熱成形可能な材料を含む実質的に平坦な膜部分と、
前記実質的に平坦な膜部分から伸びる複数の管状の突起と、
(1つ以上の管状の突起は、
(i)前記第1の主表面より上の第1の突起の末端から、前記実質的に平坦な膜部
分を通って、前記実質的に平坦な膜部分より下の第2の突起の末端まで伸びて、前
記構造化膜を通る開口を提供する穴と、
(ii)前記穴の少なくとも1部を囲む突起の側壁と、
前記突起の側壁は、前記熱成形可能な材料を含み、そして突起の外側の側壁表面
、突起の内側の側壁表面、及び突起の側壁の厚さを有する、
(iii)前記第1の突起末端から前記第2の主表面より下の第2の突起末端まで
の距離で伸びる末端から末端までの突起の長さと、
を有する)、
を備えた構造化膜。
【請求項28】
前記熱形成可能な材料が、ポリオレフィン、オレフィンを含む共重合体、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項27に記載の構造化膜。
【請求項29】
前記管状の突起の前記第1の突起の末端の上に配置され、そして取り付けられている第1の追加的な層と組み合わせた、請求項1〜28のいずれか1項に記載の構造化膜。
【請求項30】
前記第1の追加的な層が、着色剤を含有する層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、またはこれらの任意の組合せを含む、請求項29に記載の構造化膜。
【請求項31】
前記第2の主表面、または前記管状の突起の前記第2の突起の末端の上に配置され、そして取り付けられている第2の追加的な層と組み合わせた、請求項1〜30のいずれか1項に記載の構造化膜。
【請求項32】
前記第2の追加的な層が、着色剤を含有する層、不織布、織布、編布、発泡体層、膜、紙層、粒子の層、箔層、装飾用布層、膜、網、メッシュ、ワイヤもしくはチューブによる網状組織、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項31に記載の構造化膜。
【請求項33】
建物の壁、建物の天井、建物の壁もしくは天井を形成する建築材料、金属シート、ガラス基材、ドア、窓、自動車の構成要素、機械の構成要素、または電気製品の構成要素を含む基材に取り付けられた、請求項1〜32のいずれか1項に記載の構造化膜。
【請求項34】
範囲の少なくとも一部を、請求項1〜30のいずれか1項に記載の構造化膜で囲む工程を含む、範囲の吸音方法。
【請求項35】
前記範囲が、部屋の内装、車両の内装、機械装置、電気器具、事務室もしくは産業区域の分離した吸音区域、音響録音もしくは再生区域、劇場もしくは演奏会場の内装、音が有害である、無響室、分析室もしくは実験室または無響チャンバー、分析チャンバー、もしくは実験チャンバー、または雑音から耳を隔離し保護する耳あてもしくは耳覆いを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記囲む工程が、建物の壁、建物の天井、建物の壁もしくは天井を形成する建築材料、金属シート、ガラス基材、ドア、窓、自動車の構成要素、機械の構成要素、又は電気製品の構成要素を含む基材に構造化膜を取り付けることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
音を発生させる物体と範囲との間に、請求項1〜32のいずれか1項に記載の構造化膜を提供する工程を含む、前記音を発生させる物体と前記範囲との間に防音障壁を提供する方法。
【請求項38】
前記音を発生させる物体が、自動車のエンジン、機械の一部、電気製品のモータもしくはその他の稼動する電気製品の構成要素、電子機器、テレビ、動物、またはこれらの組合せを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記範囲が、部屋の内装、車両の内装、機械装置の一部、電気器具、事務室もしくは産業区域の分離した吸音区域、音響録音もしくは再生区域、劇場もしくは演奏会場の内装、音が有害である無響室、分析室もしくは実験室または無響チャンバー、分析チャンバー、もしくは実験チャンバー、雑音から耳を隔離し保護する耳あてもしくは耳覆いを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚が、前記第2の壁厚及び第3の壁厚よりも厚い、請求項6に記載の構造化膜。
【請求項41】
1つ以上の管状の突起が、前記第1の主表面に近接して位置する突起の基部において第1の壁厚を有し、前記第1の突起の末端において第2の壁厚を有し、前記突起の基部と前記第1の突起の末端との間に位置する突起の中央部分において第3の壁厚を有し、前記第1の壁厚が前記第2の壁厚より厚く、そして前記第2の壁厚が前記第3の壁厚よりも厚い、請求項6に記載の構造化膜。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2009−535667(P2009−535667A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507972(P2009−507972)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/067577
【国際公開番号】WO2007/127890
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/067577
【国際公開番号】WO2007/127890
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]