説明

風力発電装置、風力発電装置の制御方法、風力発電システム及び風力発電システムの制御方法

【課題】突発的に電力系統の周波数に変動が生じた場合であっても、電力系統を安定化させることを目的とする。
【解決手段】風力発電装置1は、風力によって回転するロータ7と、ロータ7の回転により駆動される発電機5と、電力系統13の周波数が所定の定格周波数以下となった場合であって、かつ、発電機5の回転数が第一の所定値以上である場合に、発電機5の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させるように制御する制御装置20とを備える。これにより、電力系統13の周波数が変動した場合であっても、周波数変動を抑制することができ、電力系統13を安定化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置、風力発電装置の制御方法、風力発電システム及び風力発電システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力の供給システムでは、電力量の需給バランス、電圧、周波数を一定に維持することが求められる。従来、風力発電装置においては、発電出力や風車ロータの回転数等を検出し、検出結果をフィードバックすることにより発電出力を制御しているが、電力系統の周波数や電圧の変動を低減させるような制御はなされていない。このため、電力系統の状態(電力需要、負荷率、周波数、電圧等)と無関係に風力発電装置から発電出力を供給することにより、電力系統が不安定となる虞がある。
【0003】
このため、風力発電装置を電力系統へ接続する際には、電圧や周波数の安定性、無効電力の供給安定性及び故障時の即応性などを定めた送電網規格に適合させる必要がある。例えば、電力系統の周波数に所定の定格周波数を基準として変動があった場合であっても、この変動が、送電網規格で定める所定の時間内(例えば、10秒)及び所定の値以内(例えば基準周波数の5%)である場合には、解列することなく風力発電装置の運転を継続することが求められる。
【0004】
更に、電力系統が不安定になった場合に、単に解列しないだけでなく、より積極的に電力系統の安定化に貢献する運転が望まれるようになってきている。そこで、電力系統の状態を考慮して風力発電装置の発電出力を制御する技術として、特許文献1(特表2003−535561号公報)には、電力系統の周波数が上昇した場合に、風力発電装置からの発電出力を低下させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2003−535561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された技術では、電力系統の周波数が上昇した場合に発電出力を制御するのみで、周波数が低下した場合について考慮されておらず、必ずしも電力の品質を維持することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、例えば、電力系統の周波数に変動が生じた場合に、電力系統の安定化に貢献することのできる風力発電装置、風力発電装置の制御方法、風力発電システム及び風力発電システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合であって、かつ、前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させるように制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする風力発電装置を提供する。
【0009】
本発明によれば、制御装置は、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合に、発電出力を増加させるように風力発電装置を制御する。一般に、系統の周波数は、系統に接続する発電装置の発電出力と系統における消費電力のバランスで変動し、消費電力に比して発電出力が小さい場合には、周波数が低下する。そこで、周波数が低下した場合に発電出力を増加させることで、周波数を上昇させ電力系統の安定化を図ることができる。この際、十分な風力が得られずブレードピッチ角の操作のみでは発電出力を増加できなくても、発電機の回転数が第一の所定値以上であれば、インバータ装置を制御し、風車ロータの慣性エネルギーを発電出力に変換することで、発電出力を増加させることができる。なお、本発明は、発電機の回転数が第一の所定値以上である場合には、回転数の変動に拘わらず、即ち、回転数が減少している場合であっても発電出力を増加させるように制御する。換言すると、本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合であって、かつ、前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を増加させるように制御する制御装置と、を備えた風力発電装置を提供する。
【0010】
上記した風力発電装置において、前記制御装置は、前記発電機の回転数が第一の所定値未満となった場合に、前記発電出力を減少させるように制御することが好ましい。
【0011】
発電機の回転数が第一の所定値を下回る場合には、更に回転数が低下すると運転継続ができなくなるため、前記発電機の回転数が第一の所定値未満となった場合に、前記発電出力を減少させるように制御して発電機の回転数低下を防止する。
【0012】
上記した風力発電装置において、前記制御装置は、前記発電出力が所定の定格出力に達したときに、該定格出力を維持するように制御することが好ましい。
【0013】
風力発電装置の発電出力は、風力発電装置及び電力系統の安定化等の観点から、その変動が少なく、定格出力が維持されることが最も好ましい。このため、発電出力を増加させ、定格出力に維持するように制御する。
【0014】
また、本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合であって、且つ、前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させるように制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする風力発電装置を提供する。
【0015】
本発明によれば、制御装置は、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合に、発電出力を減少させるように風力発電装置を制御する。一般に、系統の周波数は、系統に接続される発電装置の発電出力と系統における消費電力のバランスで変動し、消費電力に比して発電出力が大きい場合には、周波数が上昇する。そこで、周波数が上昇した場合に発電出力を減少させることで、周波数を低下させ電力系統の安定化を図ることができる。この際、ブレードピッチ角の操作のみでは発電出力を十分に減少できなくても、発電機の回転数が第二の所定値未満であれば、インバータ装置を制御し、風力を風車ロータの慣性エネルギーに変換することで、発電出力を減少させることができる。なお、本発明は、発電機の回転数が第二の所定値未満である場合には、回転数の変動に拘わらず、即ち、回転数が増加している場合であっても発電出力を減少させるように制御する。換言すると、本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合であって、且つ、前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を減少させるように制御する制御装置と、を備えた風力発電装置を提供する。
【0016】
上記した風力発電装置において、前記発電機の回転数が第二の所定値以上となった場合に、前記発電出力を増加させるように制御することが好ましい。
【0017】
上述のように、発電機の回転数が第二の所定値以上となる場合には、更に回転数が上昇すると過回転で発電装置が破損する虞があるため、前記発電機の回転数が第二の所定値以上となった場合に、前記発電出力を増加させるように制御して発電機の回転数上昇を防止する。
【0018】
上記した風力発電装置において、前記発電出力が所定の発電出力まで低下したときに、該所定の発電出力を維持するように制御することが好ましい。
【0019】
風力発電装置の発電出力が低下しすぎると、一旦系統から解列し、風力発電装置を再起動することが必要となる。再起動には時間がかかるため、短時間の周波数変動が起きても系統連係を維持するよう、最低限の発電出力(所定の出力)を維持するように制御する。
【0020】
本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、を備えた風量発電装置の制御方法であって、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合であって、かつ、前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させるように制御することを特徴とする風力発電装置の制御方法を提供する。
【0021】
また、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、を備えた風力発電装置の制御方法であって、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合であって、かつ、前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させるように制御することを特徴とする風力発電装置の制御方法を提供する。
【0022】
さらに、本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備え、前記管理制御装置は、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を増加させる第一の制御信号を送信し、前記各風力発電装置は、前記第一の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させることを特徴とする風力発電システムを提供する。
【0023】
本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備え、前記管理制御装置は、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を減少させる第二の制御信号を送信し、前記各風力発電装置は、前記第二の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させることを特徴とする風力発電システムを提供する。
【0024】
本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備えた風力発電システムの制御方法であって、前記管理制御装置により、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を増加させる第一の制御信号を送信するステップと、前記各風力発電装置により、前記第一の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させるステップと、を備えたことを特徴とする風力発電システムの制御方法を提供する。
【0025】
本発明は、風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備えた風力発電システムの制御方法であって、前記管理制御装置により、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を減少させる第二の制御信号を送信するステップと、前記各風力発電装置は、前記第二の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させるステップと、を供えたことを特徴とする風力発電システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、例えば、電力系統の周波数に変動が生じた場合であっても、電力系統を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる風力発電装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかる風力発電装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかる風力発電装置において、電力系統の周波数が低下した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかる風力発電装置において、電力系統の周波数が低下する場合の、周波数、発電出力、回転数、風速の変化を表すグラフである。
【図5】本発明の第一の実施形態にかかる風力発電装置において、電力系統の周波数が上昇した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第一の実施形態にかかる風力発電装置において、電力系統の周波数が上昇する場合の、周波数、発電出力、回転数、風速の変化を表すグラフである。
【図7】本発明の第一の実施形態にかかる風力発電装置に適用する発電機とインバータ装置の他の例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る風力発電システムにおいて、電力系統の周波数が低下した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第二の実施形態に係る風力発電システムにおいて、電力系統の周波数が上昇した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第一の実施形態〕
以下に、本発明の第一の実施形態に係る風力発電装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態における風力発電装置1の構成を示す側面図である。風力発電装置1は、タワー2、タワー2の上部に設けられたナセル3及び風車ロータ7を備えている。ナセル3は、発電機5及び増速器6を備えており、風車ロータ7、増速機6及び発電機5は機械的に連結され、回転が伝達されるようになっている。風車ロータ7は、複数枚のブレード8とハブ9を備えており、ブレード8は、ハブ9に放射状に、且つ、そのピッチ角が可変制御可能となるように設けられている。即ち、ハブ9は、ブレード8を駆動する油圧シリンダ(図示せず)と、油圧シリンダに油圧を供給するサーボバルブ(図示せず)とを備えており、後述するピッチ制御部からの制御信号に基づいてサーボバルブの開度を調整することで油圧シリンダに供給される油圧を制御し、ブレード8を所望のピッチ角に制御する。
このように、風力発電装置1は、ブレード8が風力エネルギーを受けて風車ロータ7が回転し、風車ロータ7の回転を増速機6によって増速した後、その回転により発電機5を駆動して発電することにより風力エネルギーを電気エネルギーに変換するようになっている。
【0029】
図2は、風力発電装置1の概略構成を示すブロック図である。風力発電装置1は、2重供給可変速風力タービンシステム(doubly-fed variable speed wind turbine system)の一種である。即ち、本実施形態の風力発電システム1は、発電機5が発生する電力がステータ巻線及びロータ巻線の両方から電力系統13に出力可能であるように構成されている。具体的には、発電機5は、そのステータ巻線が電力系統13に直接に接続され、ロータ巻線がインバータ装置17を介して電力系統13に接続されている。
【0030】
インバータ装置17は、発電機側インバータ14、DCバス15、及び系統側インバータ16から構成されており、ロータ巻線から受け取った交流電力を電力系統13の周波数に適合した交流電力に変換する。発電機側インバータ14は、ロータ巻線に発生された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をDCバス15に出力する。系統側インバータ16は、DCバス15の電圧制御を行い、これにより系統側インバータ16は系統側と電力の受給を行う。即ち、系統側インバータ16は、DCバス15から受け取った直流電力を電力系統13と同一の周波数の交流電力に変換し、その交流電力を電力系統13に出力する。発電機5が電力系統13に出力する発電出力は、発電機側インバータ14によって制御される。
【0031】
インバータ装置17は、電力系統13から受け取った交流電力をロータ巻線の周波数に適合した交流電力に変換する機能も有しており、風力発電システム1の運転の状況によってはロータ巻線を励起するためにも使用される。この場合、系統側インバータ16は、交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をDCバス15に出力する。発電機側インバータ14は、DCバス15から受け取った直流電力をロータ巻線の周波数に適合した交流電力に変換し、その交流電力を発電機5のロータ巻線に供給する。
【0032】
風力発電システム1の制御系は、PLG(pulse logic generator)18と、センサ19、制御装置20を備えている。PLG18は、発電機5の回転数(以下、「回転数」という。)を測定し、測定結果を制御装置20へ出力する。
【0033】
センサ19は、発電機5を電力系統13に接続する電力線に設けられており、電力系統13の電圧Vgrid、発電機5から電力系統13に出力される電流Igrid及び電力系統13の周波数(以下、「系統周波数」という。)を測定し、測定結果を制御装置20に出力する。
【0034】
制御装置20は、コンバータ制御部21、ピッチ制御部22及び主制御部23を備えている。主制御部23は、センサ19の出力である出力電流Igrid及び電圧Vgridから、電力系統13に出力される発電出力を算出する。また、主制御部23は、PLG18の出力である回転数及びセンサ19の出力である出力電流Igrid、電圧Vgrid及び系統周波数に応答して、コンバータ制御部21及びピッチ制御部22に対する制御信号を生成する。コンバータ制御部21は、主制御部23からの制御信号に基づいて発電機側インバータ14のパワートランジスタを制御することにより、風力発電装置1の発電出力を制御する。また、系統側インバータ16のパワートランジスタを制御することにより、DCバス15の電圧を所定の値に制御する。
ピッチ制御部22は、主制御部23からの制御信号に基づいて、ブレード8のピッチ角を制御する。
【0035】
コンバータ制御部21は、系統周波数が所定の定格周波数以下となった場合であって、且つ、発電機5の回転数が下限値(第一の所定値)以上である場合には、発電機5の回転数の変動に拘わらず、発電出力を増加させるように制御する。より具体的には、例えば、風速が低下し、発電機5の回転数が低下した場合、そのままでは発電出力も低下するところ、本実施形態におけるコンバータ制御部21では、発電機5の回転数が低下しても発電出力を増加させるように制御する。発電出力を増加させるには、例えば、主制御部23からの制御信号に基づいて、ピッチ角制御部22により、ブレード8のピッチ角をファインとなるように制御する。また、主制御部23からの制御信号に基づいて、コンバータ制御部21によりインバータ装置17を制御して発電機トルクを高め、風車ロータ7の慣性エネルギーを発電出力に変換・回収する。
【0036】
そして、ピッチ角制御部22及びコンバータ制御部21は、風力発電装置1の発電出力が増加し、定格出力に達した場合には、定格出力を維持するようにブレード8及びインバータ装置17を夫々制御する。さらに、発電機5の回転数が下限値未満となった場合には、発電出力を減少させるように制御し、これにより発電機5の回転数を上昇させる。
【0037】
コンバータ制御部21は、系統周波数が所定の定格周波数以上となった場合であって、且つ、発電機5の回転数が上限値(第二の所定値)未満である場合に、発電出力を減少させるように制御する。発電出力を減少させるには、例えば、主制御部23からの制御信号に基づいて、ピッチ角制御部22により、ブレード8のピッチ角をフェザーとなるように制御する。また、主制御部23からの制御信号に基づいて、コンバータ制御部21によりインバータ装置17を制御して発電機トルクを低め、ブレード8に作用する風力を風車ロータ7の慣性エネルギーに変換・保存することで発電出力を低減する。
【0038】
そして、ピッチ角制御部22及びコンバータ制御部21は、風力発電装置1の発電出力が減少し、発電出力が予め定めた下限値(所定の出力)まで減少したときに、下限値の発電出力を維持するように制御する。さらに、発電機5の回転数が上限値以上となった場合に、発電出力を増加させるように制御する。これにより発電機5の過回転を防止する。
【0039】
以下、このように構成された風力発電装置1の制御方法について、図3〜図6を参照して説明する。
【0040】
図3は、本実施の形態にかかる風力発電装置1において、電力系統13の周波数が低下した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
【0041】
風力発電装置1では、センサ19により系統周波数が検出され、検出結果が制御装置20に出力される。図3のステップS11において、制御装置20では、センサ19からの出力に応答して、系統周波数が低下して、所定の定格値周波数以下となったか否かを判定する。系統周波数が定格周波数以下になっていないと判断された場合には、ステップS11の処理を繰り返し、引き続きセンサ19からの検出結果に対して所定の時間間隔で系統周波数が低下したか否かを判定する。ステップS11で系統周波数が所定の定格値周波数以下となったと判定された場合には、次のステップS12に進む。
【0042】
次のステップS12では、制御装置20が、系統周波数の低下に応答して、風力発電装置1に対してその発電出力を増加させるように制御する。発電出力を上昇させて系統周波数の変動を抑制することにより電力系統13を安定化させるためである。具体的には、主制御装置23が、発電出力を増加させるようにコンバータ制御装置21及びピッチ角制御部22に出力増加制御信号を出力する。そして、この出力増加制御信号に応答して、ピッチ角制御部22によりブレード8をそのピッチ角がファインとなるように制御する、又は、コンバータ制御装置21により、発電出力を増加させるよう発電機側インバータ14を制御する。
【0043】
例えば、図4(a)に示すように、風速が定格風速付近である場合において、系統周波数が低下すると、主制御装置23が出力増加制御信号を出力する。ピッチ角制御部22は出力増加制御信号に応答し、ブレード8をそのピッチ角がファインとなるように制御して発電出力を増加させる。風速が低下してブレード8のピッチ角がファインであっても発電機5の回転数が低下し、ピッチ角制御では発電出力を定格値に維持するに足りない場合には、更に、コンバータ制御装置21により、ロータ慣性エネルギーを発電出力に変換して発電出力を増加させるよう発電機側インバータ14を制御する。
【0044】
また、図4(b)に示すように、風速が定格風速未満である場合においては、発電出力も定格値未満となっている。この場合において、通常は、ブレード8のピッチ角は既にファインとされているため、系統周波数が低下した場合は、コンバータ制御装置21により、ロータ慣性エネルギーを発電出力に変換して発電出力を増加させるよう発電機側インバータ14を制御する。
【0045】
次のステップS13では、主制御部23が、センサ19から出力電流Igrid及び電圧Vgridの検出結果に応答して、電力系統13に出力される発電出力を算出し、算出結果である発電出力が所定の定格値以上であるか否かを判定する。この判定において、発電出力が所定の定格値未満である場合にはステップS15に進み、所定の定格値以上である場合にはステップS14に進む。ステップS14では、制御装置20により、ブレード8のピッチ角、発電機側インバータ14を制御することにより発電出力を定格値に維持する。
【0046】
ステップS15では、発電機5の回転数が下限値未満であるか否かを判定する。この判定において発電機5の回転数が下限値未満でないと判断された場合には、ステップS13に戻り上述した処理を繰り返し、発電機5の回転数が下限値未満であると判定された場合には、次のステップS16に進む。ステップS16では、発電機5の回転数が下限値未満となった場合に、更に回転数が減少すると風力発電装置1の運転が継続できなくなるため、これを避けるべく、制御装置20は発電出力を減少させるように風力発電装置1を制御することで、発電機5の回転数を上昇させ、本ルーチンを終了する。
【0047】
図5は、本実施の形態にかかる風力発電装置1において、電力系統13の周波数が上昇した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
【0048】
風力発電装置1では、センサ19により系統周波数が検出され、検出結果が制御装置20に出力される。図5のステップS21において、制御装置20では、センサ19からの出力に応答して、系統周波数が上昇して、所定の定格値周波数以上となったか否かを判定する。系統周波数が定格周波数以上になっていないと判断された場合には、ステップS21の処理を繰り返し、引き続きセンサ19からの検出結果に対して所定の時間間隔で系統周波数が低下したか否かを判定する。ステップS21で系統周波数が所定の定格値周波数以上となったと判定された場合には、次のステップS22に進む。
【0049】
次のステップS22では、制御装置20が、系統周波数の上昇に応答して、風力発電装置1に対してその発電出力を減少させるように制御する。発電出力を減少させて系統周波数の変動を抑制することにより電力系統13を安定化させるためである。具体的には、主制御装置23が、発電出力を減少させるようにコンバータ制御装置21及びピッチ角制御部22に出力減少制御信号を出力する。そして、この出力減少制御信号に応答して、ピッチ角制御部22によりブレード8をそのピッチ角がフェザーとなるように制御する、又は、コンバータ制御装置21により、発電出力を減少させるよう発電機側インバータ14を制御する。
【0050】
例えば、図6(a)に示すように、風速が定格風速以上である場合において、系統周波数が上昇した場合は、ピッチ角制御部22により、出力減少制御信号に応答して、ブレード8をそのピッチ角がフェザーとなるように制御する。ブレード8のピッチ角がフェザーであっても十分に発電出力が減少しない場合又は更に出力を減少させたい場合には、発電出力を減少させるように発電機側インバータ14を制御する。
【0051】
また、図6(b)に示すように、風速が定格風速未満である場合においては、発電出力も定格値未満となっている。この場合において、系統周波数が上昇した場合は、更に発電出力を減少させるように発電機側インバータ14を制御する。
【0052】
次のステップS23では、主制御部23が、センサ19から出力電流Igrid及び電圧Vgridの検出結果に応答して、電力系統13に出力される発電出力を算出し、算出結果である発電出力が所定の下限値以下であるか否かを判定する。この判定において、発電出力が所定の下限値以下であると判定された場合にはステップS25に進み、所定の下限値以下でないと判定された場合にはステップS24に進む。ステップS24では、制御装置20により、ブレード8のピッチ角、発電機側インバータ14を制御することにより発電出力を下限値に維持する。
【0053】
ステップS25では、発電機5の回転数が上限値以上であるか否かを判定する。ステップS22のインバータ制御は、発電機5の回転数が上昇する方向に作用するためである。この判定において発電機5の回転数が上限値以上でないと判定された場合には、ステップS23に戻り上述した処理を繰り返し、発電機5の回転数が上限値以上であると判定された場合には、次のステップS26に進む。ステップS26では、発電機5の回転数が上限値以上となった場合に、そのまま風力発電装置1の運転を継続すると過回転により発電装置が破損する虞があるため、これを避けるべく、回転数が低下するように、即ち制御装置20は発電出力を増加させるように発電機側インバータ14を制御し、本ルーチンを終了する。
【0054】
尚、上述したように、系統周波数に変動があった場合に、発電出力を増加又は減少させるように制御したにも拘わらず、所定の時間が経過しても周波数が所定の定格周波数以下である場合、又は、所定の時間が経過しても周波数が所定の定格周波数以上である場合には、電力系統への影響を考慮して、風力発電装置1の運転を停止させる。
上述した実施形態においては、所定の定格周波数を基準に周波数の変動を判断する構成としたが、このような構成に限られることはなく、所定の定格周波数に対して許容範囲を定め、周波数が許容範囲内に入るか否かに基づいて周波数の変動を判断する構成とすることもできる。
【0055】
このように、電力系統に周波数変動が発生した場合に、通常は発電出力は風況や発電機回転数に依存するところ、本実施形態によれば、幅広い風況・発電機回転数条件下で、電力系統の周波数の変動に対応して、風力発電装置の発電出力を任意に増加又は減少させることにより、電力系統の安定化を図ることができる。
【0056】
なお、上述した本実施形態においては、発電機5として所謂巻線型誘導発電機を用いると共に、発電機側インバータ14、DCバス15、及び系統側インバータ16から構成されるインバータ装置17を用い、発電機5のステータ巻線が電力系統13に直接に接続され、ロータ巻線がインバータ装置17を介して電力系統13に接続される構成とした(図2参照)。この場合、発電機の固定子巻線が直接電力系統と接続されているため、電力系統の周波数が変動すれば、発電機出力に直接影響が生じる。
一方、上述した構成のみならず、図7に示すように、発電機として多極同期発電機を用い、そのステータ巻線がインバータとコンバータからなるインバータ装置を介して電力系統に接続される構成とすることもできる。
このような構成では、発電機と電力系統がインバータ装置を介して接続されているため、電力系統の周波数変動は発電機に影響を与えない。すなわち、電力系統の周波数が変動したときの発電機側インバータの制御は上述した図2に示す発電機5の構成に比べると容易となる。
【0057】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について、図8又は図9を用いて説明する。
本実施形態は、上述した第一の実施形態に係る風力発電装置1が複数設けられた、ウィンドパークないしはウィンドファームと称される風力発電システムに関する。本実施形態の風力発電システムは、複数の風力発電装置1と、この複数の風力発電装置1と制御信号等の情報を送受信可能なように通信ラインで相互に接続され、各風力発電装置を管理・制御する管理制御装置を備えている。
【0058】
管理制御装置としては、CPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えた汎用又は専用のコンピュータ及びこのコンピュータ上で動作するプログラムを利用して実現することができる。この場合、CPU等により、上記処理の全て或いは一部を実現させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されているプログラムを読み出して、プログラムをROMやRAMなどに展開し、情報の加工・演算処理を実行することにより、管理制御装置として機能し、風力発電装置を管理・制御する。
【0059】
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0060】
以下に、図8及び図9を参照して、風力発電システムにおける制御方法について説明する。
【0061】
図8は、本実施の形態にかかる風力発電システムにおいて、電力系統の周波数が低下した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
ステップS31において、管理制御装置では、系統周波数を検出し、系統周波数が所定の定格値以下となったことを検出し、次のステップS32に進む。なお、系統周波数の検出は、各風力発電装置に設けられたセンサからの出力に基づくものでもよく、また管理制御装置が独自に系統周波数を検出するセンサを備えていてもよいし、電力系統を管理する電力会社からの指令をこれに換えても良い。
【0062】
次のステップS32では、管理制御装置が、系統周波数の低下に応答して、風力発電システムの発電出力を増加させる旨決定し、次のステップS33に進む。発電出力を上昇させて系統周波数の変動を抑制することにより電力系統を安定化させるためである。ステップS33では、管理制御装置から、管理制御装置と接続された全ての風力発電装置1に対して、各風力発電装置1の発電出力を増加させるための発電増指令(第一の制御信号)を送信する。
ステップS34では、各風力発電装置1の制御装置20が管理制御装置からの発電増指令を受信し、この発電増指令に応答して、自己の発電出力を増加させるように制御する。具体的には、上述した第一の実施形態における風力発電装置1と同様に、ピッチ角制御部22によりブレード8をそのピッチ角がファインとなるように制御する、又は、コンバータ制御装置21により、発電出力を増加させるよう発電機側インバータ14を制御する。
【0063】
次のステップS35では、風力発電装置1の主制御部23が、センサ19から出力電流Igrid及び電圧Vgridの検出結果に応答して、電力系統13に出力される発電出力を算出し、算出結果である発電出力が所定の定格値以上であるか否かを判定する。この判定において、発電出力が所定の定格値未満である場合にはステップS37に進み、所定の定格値以上である場合にはステップS36に進む。ステップS36では、制御装置20により、ブレード8のピッチ角、発電機側インバータ14を制御することにより発電出力を上限値(定格値)に固定する。
【0064】
ステップS37では、発電機5の回転数が下限値未満であるか否かを判定する。この判定において発電機5の回転数が下限値未満でないと判断された場合には、ステップS35に戻り上述した処理を繰り返し、発電機5の回転数が下限値未満であると判定された場合には、次のステップS38に進む。ステップS38では、発電機5の回転数が下限値未満となった場合に、更に回転数が低下すると風力発電装置1の運転が継続できなくなるため、これを避けるべく、制御装置20は発電出力を減少させるように風力発電装置1を制御する。制御装置20は、風力発電装置1の発電出力を減少させた場合には、その情報を管理制御装置に送信する。
【0065】
ステップS39では、管理制御装置が各風力発電装置1からの発電出力を減少させた旨の情報を受けて、全ての風力発電装置1の発電出力が減少したか否かを判定する。この判定は、全ての風力発電装置1の発電出力が減少するまで繰り返され、全ての風力発電装置の発電出力が減少したと判定された場合に、次のステップS40に進む。ステップS40では、全ての風力発電装置1の発電出力が減少したことに応答して、全ての風力発電装置1に対して、ステップS33で送信した発電増指令を解除する旨の、解除指令を送信し、本ルーチンを終了する。
【0066】
図9は、本実施の形態にかかる風力発電システムにおいて、電力系統の周波数が上昇した場合の制御の過程を示すフローチャートである。
【0067】
ステップS41において、管理制御装置では、系統周波数を検出し、系統周波数が所定の定格値以上となったことを検出し、次のステップS42に進む。なお、系統周波数の検出は、各風力発電装置に設けられたセンサからの出力に基づくものでもよく、また管理制御装置が独自に系統周波数を検出するセンサを備えていてもよいし、電力系統を管理する電力会社からの指令をこれに換えても良い。
【0068】
次のステップS42では、管理制御装置が、系統周波数の上昇に応答して、風力発電システムの発電出力を減少させる旨決定し、次のステップS43に進む。系統周波数を低下させて系統周波数の変動を抑制することにより電力系統を安定化させるためである。ステップS43では、管理制御装置から、管理制御装置と接続された全ての風力発電装置1に対して、各風力発電装置1の発電出力を低下させるための発電減指令(第二の制御信号)を送信する。
ステップS44では、各風力発電装置1の制御装置20が管理制御装置からの発電減指令を受信し、この発電減指令に応答して、自己の発電出力を減少させるように制御する。具体的には、上述した第一の実施形態における風力発電装置1と同様に、ピッチ角制御部22によりブレード8をそのピッチ角がフェザーとなるように制御する、又は、コンバータ制御装置21により、発電出力を減少させるよう発電機側インバータ14を制御する。
【0069】
次のステップS45では、風力発電装置1の主制御部23が、センサ19から出力電流Igrid及び電圧Vgridの検出結果に応答して、電力系統13に出力される発電出力を算出し、算出結果である発電出力が所定の下限値以上であるか否かを判定する。この判定において、発電出力が所定の下限値未満である場合にはステップS47に進み、所定の下限値以上である場合にはステップS46に進む。ステップS46では、制御装置20により、ブレード8のピッチ角、発電機側インバータ14を制御することにより発電出力を下限値に固定する。
【0070】
ステップS47では、発電機5の回転数が上限値以上であるか否かを判定する。この判定において発電機5の回転数が上限値以上でないと判断された場合には、ステップS45に戻り上述した処理を繰り返し、発電機5の回転数が上限値以上であると判定された場合には、次のステップS48に進む。ステップS48では、発電機5の回転数が上限値以上となった場合に、更に回転数が上昇すると風力発電装置1が破損する虞があるため、これを避けるべく、制御装置20は発電出力を増加させるように風力発電装置1を制御する。制御装置20は、風力発電装置1の発電出力を増加させた場合には、その情報を管理制御装置に送信する。
【0071】
ステップS49では、管理制御装置が各風力発電装置1からの発電出力を増加させた旨の情報を受けて、全ての風力発電装置1の発電出力が増加したか否かを判定する。この判定は、全ての風力発電装置1の発電出力が増加するまで繰り返され、全ての風力発電装置の発電出力が増加したと判定された場合に、次のステップS50に進む。ステップS50では、全ての風力発電装置1の発電出力が減少したことに応答して、全ての風力発電装置1に対して、ステップS43で送信した発電減指令を解除する旨の、解除指令を送信し、本ルーチンを終了する。
【0072】
なお、解除指令は、系統周波数が回復し定格周波数となった場合、あるいは、所定の時間が経過した場合に送信される構成とすることもできる。また、上述した実施形態においては、管理制御装置からの発電増指令又は発電減指令等の制御信号は、全ての風力発電装置に対して送信していたが、必ずしもこのような構成である必要はなく、一部の風力発電装置に対して送信する構成とすることもできる。
さらに、各風力発電装置が、管理制御装置からの発電増指令又は発電減指令を受信したことにより、これらの指令に従って直ちに発電出力を制御する構成とすることができる。この他、各風力発電装置が、管理制御装置からの発電増指令又は発電減指令に基づいて、夫々自己の風力発電装置の制御装置において発電出力の制御を行うか否かを判断する構成とすることもできる。
上述した実施形態においては、所定の定格周波数を基準に周波数の変動を判断する構成としたが、このような構成に限られることはなく、所定の定格周波数に対して許容範囲を定め、周波数が許容範囲内に入るか否かに基づいて周波数の変動を判断する構成とすることもできる。
【0073】
このように、本実施形態によれば、電力系統に周波数変動が発生した場合に、幅広い風況・発電機回転数条件下で、電力系統の周波数の変動に対応して、複数の風力発電装置を備える風力発電システムの発電出力を任意に増加又は減少させることにより、電力系統の安定化を図ることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 風力発電装置
2 タワー
3 ナセル
5 発電機
6 増速機
7 風車ロータ
8 ブレード
9 ハブ
13 電力系統
14 発電機側インバータ
15 DCバス
16 系統側インバータ
17 インバータ装置
18 PLG
19 センサ
20 制御装置
21 コンバータ制御部
22 ピッチ制御部
23 主制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力によって回転するロータと、
前記ロータの回転により駆動される発電機と、
電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合であって、かつ、前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させるように制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記発電機の回転数が第一の所定値未満となった場合に、前記発電出力を減少させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記発電出力が所定の定格出力に達した場合に、該定格出力を維持するように制御する請求項1又は請求項2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
風力によって回転するロータと、
前記ロータの回転により駆動される発電機と、
電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合であって、且つ、前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させるように制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする風力発電装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記発電機の回転数が第二の所定値以上となった場合に、前記発電出力を増加させるように制御することを特徴とする請求項4に記載の風力発電装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記発電出力が所定の発電出力まで低下ときに、該所定の発電出力を維持するように制御する請求項4又は請求項5に記載の風力発電装置。
【請求項7】
風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、を備えた風量発電装置の制御方法であって、
電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合であって、かつ、前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させるように制御することを特徴とする風力発電装置の制御方法。
【請求項8】
風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機と、を備えた風力発電装置の制御方法であって、
電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合であって、かつ、前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させるように制御することを特徴とする風力発電装置の制御方法。
【請求項9】
風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、
前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備え、
前記管理制御装置は、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を増加させる第一の制御信号を送信し、
前記各風力発電装置は、前記第一の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させることを特徴とする風力発電システム。
【請求項10】
風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、
前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備え、
前記管理制御装置は、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を減少させる第二の制御信号を送信し、
前記各風力発電装置は、前記第二の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させることを特徴とする風力発電システム。
【請求項11】
風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備えた風力発電システムの制御方法であって、
前記管理制御装置により、電力系統の周波数が所定の定格周波数以下となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を増加させる第一の制御信号を送信するステップと、
前記各風力発電装置により、前記第一の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第一の所定値以上である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の減少を伴いつつ増加させるステップと、を備えたことを特徴とする風力発電システムの制御方法。
【請求項12】
風力によって回転するロータと、前記ロータの回転により駆動される発電機とを有する複数の風力発電装置と、前記複数の風力発電装置に対して所定の制御信号を送信することにより前記複数の風力発電装置を制御する管理制御装置と、を備えた風力発電システムの制御方法であって、
前記管理制御装置により、電力系統の周波数が所定の定格周波数以上となった場合に、前記風力発電装置に対して発電出力を減少させる第二の制御信号を送信するステップと、
前記各風力発電装置は、前記第二の制御信号に応答して、自己の前記発電機の回転数が第二の所定値未満である場合に、前記発電機の発電出力を、前記回転数の増加を伴いつつ減少させるステップと、を供えたことを特徴とする風力発電システムの制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−38406(P2011−38406A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183532(P2009−183532)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】