説明

風景画像合成装置、風景画像合成方法及び風景画像合成プログラム

【課題】走行途上の視覚的な有益情報を運転手に提供すること。
【解決手段】第1の車10の車載カメラ11aで撮影された第1の風景画像を入力し、第2の車20の車載カメラ21aで撮影された第2の風景画像を無線通信ネットワーク700を介して受信して、第1の風景画像の一領域と第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、その特定領域でそれら2枚の風景画像を重ね合わせて、重ね合わされた合成風景画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる車の車載カメラでそれぞれ撮影された2枚の風景画像を合成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、通信ネットワークは、家庭や会社といった位置的に不動な環境のみならず、モバイル通信と称されるように人や車等の移動を伴うような環境にも急速に普及されている。特に、車には高機能なナビゲーションシステムが搭載されており、GPSから得られた緯度・経度の位置情報や国土交通省道路局が提供しているITSのVICSサービスを利用することにより、渋滞や事故に関する情報がリアルタイムで入手可能となっている(非特許文献1乃至3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「カーナビゲーション」、[online]、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、[平成22年6月15日検索]、インターネット<URL : http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%93%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3>
【非特許文献2】「グローバル・ポジショニング・システム」、[online]、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、[平成22年6月15日検索]、インターネット<URL : http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0>
【非特許文献3】「カーナビ&VICS 道路交通情報通信システム」、[online]、国土交通省、[平成22年6月15日検索]、インターネット<URL : http://www.mlit.go.jp/road/style/cont1/index.html>
【非特許文献4】「OpenCV-1.0 リファレンス マニュアル(日本語訳)」、[online]、[平成22年6月15日検索]、インターネット<URL : http://opencv.jp/opencv-1.0.0/document/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、交通量の観測区間が粗く、交通状況の観測センサが設置されている場所が主要道路に限られているため、道路交差点での事故の削減に利用されるような有益な情報がドライバーに十分に提供されていない。また、シンボル化された渋滞情報を主に配信するため、先の道路状態や交通状況を把握することは困難である。
【0005】
なお、現在では車載カメラが搭載された車も販売されているが、そのような車載カメラは視覚的な支援を駐車時に行うことを主な目的としているに過ぎない。また、全方位の車載カメラにあっては、ウェブ上で提供される地図に付加される風景画像を撮影するのみであり、その風景画像は静止画であって、時々刻々と変化する人や車の状態を適時適切に反映するものではない。
【0006】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、走行途上の視覚的な有益情報を運転手に提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の風景画像合成装置は、第1の車の車載カメラで撮影された第1の風景画像を入力する入力手段と、入力された前記第1の風景画像を記憶する記憶手段と、第2の車の車載カメラで撮影された第2の風景画像を通信ネットワークを介して受信する受信手段と、前記第1の風景画像を前記記憶手段から取得し、前記第1の風景画像の一領域と前記第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、当該特定領域で前記2枚の風景画像を重ね合わせる合成手段と、重ね合わされた合成風景画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1の車の車載カメラで撮影された第1の風景画像を入力し、第2の車の車載カメラで撮影された第2の風景画像を通信ネットワークを介して受信して、第1の風景画像の一領域と第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、その特定領域でそれら2枚の風景画像を重ね合わせて、重ね合わされた合成風景画像を表示するため、異なる視点から撮影された画像情報を統合すること、換言すれば、第1の車の車載カメラで撮影されない風景画像(第2の車の車載カメラでのみ撮影された風景画像)を表示することが可能となり、これにより、走行途上の視覚的な有益情報を第1の車の運転手に提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の風景画像合成装置は、請求項1に記載の風景画像合成装置において、ランドマークを部位毎に撮影した複数のランドマーク画像と各部位の位置情報とをそれぞれ関連付けて蓄積しておく蓄積手段と、前記合成風景画像と前記各ランドマーク画像とをそれぞれつき合わせて照合する照合手段と、照合度が最も高いランドマーク画像に対応する部位の位置情報を前記蓄積手段から取得し、前記合成風景画像と共に表示する表示手段と、衛星測位システムから前記第1の車の現在位置情報を受信する受信手段と、表示された前記部位の位置情報を前記現在位置情報に補正する補正手段と、を更に有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の風景画像合成装置は、請求項1又は2に記載の風景画像合成装置において、前記合成手段は、走行中に撮影された時系列な複数の前記第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の前記第2の風景画像とをそれぞれ順次重ね合わせ、前記表示手段は、重ね合わされた複数の合成風景画像を時系列順に連続表示することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、走行中に撮影された時系列な複数の第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の第2の風景画像とをそれぞれ順次重ね合わせ、重ね合わされた複数の合成風景画像を時系列順に連続表示するため、第1の車の運転手からは確認できない未知の道路や環境情報の最新状況を時々刻々と該運転手に提供可能となり、より確実に交通事故を削減することができる。
【0012】
請求項4に記載の風景画像合成装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の風景画像合成装置において、前記合成手段は、前記類似度が所定の閾値以下の場合には、前記2枚の風景画像を重ね合わせないことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、類似度が所定の閾値以下の場合には、2枚の風景画像を重ね合わせないため、重ね合わされる箇所が全く無いような異なる2枚の風景画像が誤って重ね合わされることを防ぐことが可能となり、より適切な有益情報を第1の車の運転手に提供することができる。
【0014】
請求項5に記載の風景画像合成方法は、コンピュータにより、第1の車の車載カメラで撮影された第1の風景画像を入力する第1のステップと、入力された前記第1の風景画像を記憶手段に記憶する第2のステップと、第2の車の車載カメラで撮影された第2の風景画像を通信ネットワークを介して受信する第3のステップと、前記第1の風景画像を前記記憶手段から取得し、前記第1の風景画像の一領域と前記第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、当該特定領域で前記2枚の風景画像を重ね合わせる第4のステップと、重ね合わされた合成風景画像を表示する第5のステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、第1の車の車載カメラで撮影された第1の風景画像を入力し、第2の車の車載カメラで撮影された第2の風景画像を通信ネットワークを介して受信して、第1の風景画像の一領域と第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、その特定領域でそれら2枚の風景画像を重ね合わせて、重ね合わされた合成風景画像を表示するため、異なる視点から撮影された画像情報を統合すること、換言すれば、第1の車の車載カメラで撮影されない風景画像(第2の車の車載カメラでのみ撮影された風景画像)を表示することが可能となり、これにより、走行途上の視覚的な有益情報を第1の車の運転手に提供することができる。
【0016】
請求項6に記載の風景画像合成方法は、請求項5に記載の風景画像合成方法において、ランドマークを部位毎に撮影した複数のランドマーク画像と各部位の位置情報とをそれぞれ関連付けて蓄積手段に蓄積しておくステップと、前記合成風景画像と前記各ランドマーク画像とをそれぞれつき合わせて照合するステップと、照合度が最も高いランドマーク画像に対応する部位の位置情報を前記蓄積手段から取得し、前記合成風景画像と共に表示するステップと、衛星測位システムから前記第1の車の現在位置情報を受信するステップと、表示された前記部位の位置情報を前記現在位置情報に補正するステップと、を更に有することを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の風景画像合成方法は、請求項5又は6に記載の風景画像合成方法において、前記第4のステップは、走行中に撮影された時系列な複数の前記第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の前記第2の風景画像とをそれぞれ順次重ね合わせ、前記第5のステップは、重ね合わされた複数の合成風景画像を時系列順に連続表示することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、走行中に撮影された時系列な複数の第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の第2の風景画像とをそれぞれ順次重ね合わせ、重ね合わされた複数の合成風景画像を時系列順に連続表示するため、第1の車の運転手からは確認できない未知の道路や環境情報の最新状況を時々刻々と該運転手に提供可能となり、より確実に交通事故を削減することができる。
【0019】
請求項8に記載の風景画像合成方法は、請求項5乃至7のいずれかに記載の風景画像合成方法において、前記第4のステップは、前記類似度が所定の閾値以下の場合には、前記2枚の風景画像を重ね合わせないことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、類似度が所定の閾値以下の場合には、2枚の風景画像を重ね合わせないため、重ね合わされる箇所が全く無いような異なる2枚の風景画像が誤って重ね合わされることを防ぐことが可能となり、より適切な有益情報を第1の車の運転手に提供することができる。
【0021】
請求項9に記載の風景画像合成プログラムは、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の風景画像合成方法における各ステップをコンピュータによって実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、走行途上の視覚的な有益情報を運転手に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】道路交差点近隣を走行中の複数の車を上方から見た図である。
【図2】風景画像合成システムの機能ブロック構成を示す図である。
【図3】風景画像の合成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。但し、本発明は多くの異なる様態で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。
【0025】
図1は、道路交差点近隣を走行中の複数の車を上方から見た図である。この道路交差点500には5本の道路が交差しており、図1の中心から見て左の道路には第1の車10が、下の道路には第2の車20が、左上の道路には第3の車30が道路交差点500に向かってそれぞれ走行している。
【0026】
第1の車10には4台の車載カメラ11a〜11dが搭載され、前後左右の四方の風景や景観を走行中にそれぞれ撮影し、所定時間間隔で撮影した時系列な複数の風景画像を各車載カメラ毎又は各方向毎に取得可能となっている。そして、撮影された風景画像は時系列順に連続表示され、環境情報として運転手に提供可能となっている。
【0027】
また、第2の車20や第3の車30にも同様に4台の車載カメラがそれぞれ搭載され、全ての車は、無線通信ネットワーク700を介して他の全ての車と相互にデータ通信可能となっている。なお、このように車に搭載される車載カメラは、車から車外を撮影する専用の監視カメラやWebカメラを利用してもよいし、駐車目的に装備された車載カメラを利用するようにしてもよい。
【0028】
図2は、本実施の形態に係る風景画像合成システムの機能ブロック構成を示す図である。この風景画像合成システム1は、風景画像合成装置100と、風景画像送信装置200とで構成されている。なお、運用上は両装置が1台の車に搭載されるものであるが、発明の理解を容易にするため、ここでは、風景画像合成装置100は第1の車10に搭載され、風景画像送信装置200は第2の車20に搭載されるものとする。
【0029】
風景画像送信装置200は、第2の車20が走行中に車載カメラ21a〜21dによって所定時間間隔でそれぞれ撮影された時系列な複数の風景画像(以下、第2の風景画像という)を入力する入力部201と、入力された複数の第2の風景画像を各車載カメラ毎又は各方向毎に時系列で記憶する記憶部202と、その時系列な複数の第2の風景画像を記憶部202から取得して無線通信ネットワーク700を介して風景画像合成装置100に送信する送信部203とで構成されている。
【0030】
一方、風景画像合成装置100は、入力部101と、記憶部102と、第1の受信部103と、合成部104と、蓄積部105と、照合部106と、表示部107と、第2の受信部108と、補正部109とで構成されている。
【0031】
入力部101は、車載カメラ11a〜11dに電気的にそれぞれ接続されており、第1の車10が走行中に車載カメラ11a〜11dによって所定時間間隔でそれぞれ撮影された時系列な複数の風景画像(以下、第1の風景画像という)を入力する機能を有している。
【0032】
記憶部102は、入力された複数の第1の風景画像を各車載カメラ毎又は各方向毎に時系列で記憶する機能を有している。
【0033】
第1の受信部103は、無線通信ネットワーク700を介して風景画像送信装置200から送信された時系列な複数の第2の風景画像を受信する機能を有している。
【0034】
合成部104は、時系列な複数の第1の風景画像を記憶部102から取得して、同時刻又は同時間帯に撮影された第1の風景画像の一領域と第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、その特定領域でそれら2枚の風景画像(第1の風景画像と第2の風景画像)を重ね合わせる機能を有している。なお、合成部104は、この画像の重ね合わせ処理を、時系列な複数の第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の第2の風景画像とを用いてそれぞれ順次行う。これにより、重ね合わされた時系列な複数の合成風景画像が生成されることになる。また、合成部104は、上記類似度が所定の閾値以下の場合には、全く別方向の風景を撮影した画像(例えば、車載カメラ21cと車載カメラ11cとで撮影された画像)であると判断し、それら2枚の風景画像を重ね合わせない機能を有している。
【0035】
蓄積部105は、ランドマークを部位毎に撮影した複数のランドマーク画像と各部位の緯度経度情報やランドマーク情報とをそれぞれ関連付けて蓄積しておく機能を有している。ランドマーク画像としては、例えば、東京タワーTの門や角(かど)を撮影した各画像や、有名な建築物の窓の画像等が挙げられる。蓄積部105には、東京タワーTの門の画像と、その門の緯度経度や東京タワーTの門であることを表す情報とが関連付けて蓄積されている。
【0036】
照合部106は、合成風景画像と各ランドマーク画像とをそれぞれつき合わせて照合し、照合度を算出する機能を有している。なお、合成風景画像は時系列順に複数生成されるため、照合部106は、この照合処理を各合成風景画像を用いてそれぞれ順次行う。
【0037】
表示部107は、照合部106での照合の結果、照合度が最も高いランドマーク画像に対応する部位の緯度経度情報を蓄積部105から取得して、合成風景画像と共に表示する機能を有している。なお、合成風景画像は時系列順に複数生成されるため、表示部107は、複数の合成風景画像を時系列順に連続表示(更新表示)する。
【0038】
第2の受信部108は、GPS等の衛星測位システムから第1の車10の現在の緯度経度情報を受信する機能を有している。
【0039】
補正部109は、現在表示されている位置情報を、第2の受信部108で衛星測位システムから受信した現在の経度緯度情報に補正する機能を有している。
【0040】
次に、風景画像合成システムの処理動作について説明する。なお、理解を容易にするため、第1の風景画像は第1の車10の車載カメラ11aにより撮影された風景Aの画像(図1参照)であり、第2の風景画像は第2の車20の車載カメラ21aにより撮影された風景Bの画像であるものとする。また、それら第1の風景画像及び第2の風景画像は、同時刻に撮影された各1枚の画像であるものとする。
【0041】
最初に、風景画像送信装置200の入力部201により、車載カメラ21aによって撮影された風景Bの第2の風景画像が入力され、記憶部202に記憶される(S1)。第2の風景画像には、東京タワーTと第3の車30とが撮影されている。
【0042】
次いで、送信部203により、その第2の風景画像が無線通信ネットワーク700を介して風景画像合成装置100に送信される(S2)。
【0043】
次いで、風景画像合成装置100の第1の受信部103により、無線通信ネットワーク700を介して風景画像送信装置200から送信された第2の風景画像が受信される(S3)。
【0044】
一方、風景画像合成装置100の入力部101により、車載カメラ11aによって撮影された第1の風景画像が入力され、記憶部102に記憶される(S4)。第1の風景画像には、東京タワーTが撮影されている。なお、S4は、S3よりも前に処理しておくことも可能である。
【0045】
次いで、合成部104により、第1の風景画像の一領域と第2の風景画像の一領域とが比較されて類似度が最も高い領域が特定され、その特定領域で第1の風景画像と第2の風景画像とが重ね合わされる(S5)。
【0046】
例えば、第1の風景画像の各画素又は一定領域の輝度値と、第2の風景画像の各画素又は一定領域の輝度値との差が最小となる箇所を特定し、その特定箇所をのりしろ部分として2枚の画像を重ね合わせて合成風景画像を生成する(図3参照)。具体的には、それら2枚の風景画像に共通して撮影された東京タワーTのある画像領域がのりしろ部分となり、東京タワーTと第3の車30とを含む広範囲な合成風景画像が生成されることになる。
【0047】
なお、車載カメラ11aの照明度と車載カメラ21aの照明度とに差異がある可能性が高いため、それら2枚の風景画像に輝度の分散を用いて正規化処理を施した後に、輝度値の差分計算を行って上記特定箇所を検出することが好ましい。
【0048】
次いで、表示部107により、S5で重ね合わされた合成風景画像が画面に表示される(S6)。
【0049】
なお、S5において、合成部104は、類似度が最も高い領域であっても、その類似度が一定の閾値以下の場合(一領域間の輝度値の差分が一定の閾値以上の場合)には、それら2枚の風景画像を重ね合わせない。これにより、全く異なる方向が撮影された2枚の風景画像が誤って合成されることを防止することができる。
【0050】
以上より、合成風景画像には第3の車30が撮影されているため、道路交差点500に向かって運転している第1の車10の運転手に対して、第3の車30の存在を視覚的に通知することが可能となる。また、S1〜S6を所定時間間隔で繰り返し、複数の合成風景画像を時系列順に連続表示することにより、最新の合成風景画像を運転手に提供することが可能となる。
【0051】
以上のS1〜S6に対して、更に以下の処理を施すことが可能である。
【0052】
風景画像合成装置100の照合部106により、S5で生成された合成風景画像と、蓄積部105に蓄積された複数のランドマーク画像とがそれぞれマッチングされ、各ランドマーク画像に対する合成風景画像のマッチング度が算出される(S7)。
【0053】
次いで、表示部107により、S7でのマッチングの結果、マッチング度が最も高いランドマーク画像に対応する部位の緯度経度情報及びランドマーク情報が蓄積部105から取得され、合成風景画像と共に表示される(S8)。
【0054】
次いで、第2の受信部108により、GPS等の衛星測位システムから第1の車10の現在の緯度経度情報が受信される(S9)。
【0055】
最後に、補正部109により、S8で現在表示されている位置情報が、S9で受信した現在の経度緯度情報に補正される(S10)。
【0056】
以上より、合成風景画像に併せて表示される緯度経度情報がGPS等から取得した緯度経度情報に補正されるので、合成風景画像が生成された際の正確な位置を運転手に提供することが可能となる。
【0057】
なお、前述したように、複数の合成風景画像を時系列順に連続表示して動画として表示することも可能であるが、人や自転車等の移動対象のみを差分画像処理から特定して合成することも可能である。これにより、必要最小限の情報を運転手に提供することができる。また、その差分画像については、位置変化がある情報のみに絞るために、表示する階調レベルを粗くしたり、エッジ画像(非特許文献4参照)を用いることも可能である。これにより、人物のプライバシー問題を回避した上で有益情報を運転手に提供し、交通事故を削減することができる。
【0058】
本実施の形態によれば、第1の車10の車載カメラ11aで撮影された第1の風景画像を入力し、第2の車20の車載カメラ21aで撮影された第2の風景画像を無線通信ネットワーク700を介して受信して、第1の風景画像の一領域と第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、その特定領域でそれら2枚の風景画像を重ね合わせて、重ね合わされた合成風景画像を表示するので、異なる視点から撮影された画像情報を統合すること、換言すれば、第1の車10の車載カメラで撮影されない風景画像(第2の車20の車載カメラでのみ撮影された風景画像)を表示することが可能となり、これにより、走行途上の視覚的な有益情報を第1の車10の運転手に提供することができる。
【0059】
本実施の形態によれば、走行中に撮影された時系列な複数の第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の第2の風景画像とをそれぞれ順次重ね合わせ、重ね合わされた複数の合成風景画像を時系列順に連続表示するので、第1の車10の運転手からは確認できない未知の道路や環境情報の最新状況を時々刻々と該運転手に提供可能となり、より確実に交通事故を削減することができる。
【0060】
本実施の形態によれば、類似度が所定の閾値以下の場合には、2枚の風景画像を重ね合わせないので、重ね合わされる箇所が全く無いような異なる2枚の風景画像が誤って重ね合わされることを防ぐことが可能となり、より適切な有益情報を第1の車の運転手に提供することができる。
【0061】
最後に、本実施の形態で説明した風景画像合成システム1は、交通工学分野、マルチメディア分野、符号化分野、通信分野、実環境におけるモニタリングや画像センシング,映像製作等に関する産業分野に適用することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態で説明した風景画像合成システム1は、コンピュータで構成される。すなわち、記憶部202と、記憶部102と、蓄積部108とは、メモリ等の記憶手段で実現される。また、入力部201と、送信部203と、入力部101と、第1の受信部103と、合成部104と、照合部106と、表示部107と、第2の受信部108と、補正部109とは、CPU等の演算手段で実現され、プログラムで実行される。
【0063】
また、本実施の形態で説明した風景画像合成システム1をプログラムとして光記憶装置や磁気記憶装置等の記録媒体に読出可能に記録し、この記録媒体をコンピュータに組み込んだり、若しくは記録媒体に記録されたプログラムを、任意の通信回線を介してコンピュータにダウンロードしたり、又は記録媒体からインストールし、該プログラムでコンピュータを動作させることにより、上述した各処理動作を風景画像合成システム1として機能させることができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
1…風景画像合成システム
10…第1の車
11a〜11d…車載カメラ、
20…第2の車
21a〜21d…車載カメラ、
30…第3の車
31a〜31d…車載カメラ、
100…風景画像合成装置
101…入力部
102…記憶部
103…第1の受信部
104…合成部
105…蓄積部
106…照合部
107…表示部
108…第2の受信部
109…補正部
200…風景画像送信装置
201…入力部
202…記憶部
203…送信部
500…道路交差点
700…無線通信ネットワーク
A、B…風景
S…ステップ
T…東京タワー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車の車載カメラで撮影された第1の風景画像を入力する入力手段と、
入力された前記第1の風景画像を記憶する記憶手段と、
第2の車の車載カメラで撮影された第2の風景画像を通信ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記第1の風景画像を前記記憶手段から取得し、前記第1の風景画像の一領域と前記第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、当該特定領域で前記2枚の風景画像を重ね合わせる合成手段と、
重ね合わされた合成風景画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする風景画像合成装置。
【請求項2】
ランドマークを部位毎に撮影した複数のランドマーク画像と各部位の位置情報とをそれぞれ関連付けて蓄積しておく蓄積手段と、
前記合成風景画像と前記各ランドマーク画像とをそれぞれつき合わせて照合する照合手段と、
照合度が最も高いランドマーク画像に対応する部位の位置情報を前記蓄積手段から取得し、前記合成風景画像と共に表示する表示手段と、
衛星測位システムから前記第1の車の現在位置情報を受信する受信手段と、
表示された前記部位の位置情報を前記現在位置情報に補正する補正手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の風景画像合成装置。
【請求項3】
前記合成手段は、
走行中に撮影された時系列な複数の前記第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の前記第2の風景画像とをそれぞれ順次重ね合わせ、
前記表示手段は、
重ね合わされた複数の合成風景画像を時系列順に連続表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の風景画像合成装置。
【請求項4】
前記合成手段は、
前記類似度が所定の閾値以下の場合には、前記2枚の風景画像を重ね合わせないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の風景画像合成装置。
【請求項5】
コンピュータにより、
第1の車の車載カメラで撮影された第1の風景画像を入力する第1のステップと、
入力された前記第1の風景画像を記憶手段に記憶する第2のステップと、
第2の車の車載カメラで撮影された第2の風景画像を通信ネットワークを介して受信する第3のステップと、
前記第1の風景画像を前記記憶手段から取得し、前記第1の風景画像の一領域と前記第2の風景画像の一領域とを比較して類似度が最も高い領域を特定し、当該特定領域で前記2枚の風景画像を重ね合わせる第4のステップと、
重ね合わされた合成風景画像を表示する第5のステップと、
を有することを特徴とする風景画像合成方法。
【請求項6】
ランドマークを部位毎に撮影した複数のランドマーク画像と各部位の位置情報とをそれぞれ関連付けて蓄積手段に蓄積しておくステップと、
前記合成風景画像と前記各ランドマーク画像とをそれぞれつき合わせて照合するステップと、
照合度が最も高いランドマーク画像に対応する部位の位置情報を前記蓄積手段から取得し、前記合成風景画像と共に表示するステップと、
衛星測位システムから前記第1の車の現在位置情報を受信するステップと、
表示された前記部位の位置情報を前記現在位置情報に補正するステップと、
を更に有することを特徴とする請求項5に記載の風景画像合成方法。
【請求項7】
前記第4のステップは、
走行中に撮影された時系列な複数の前記第1の風景画像と、同時間帯で走行中に撮影された複数の前記第2の風景画像とをそれぞれ順次重ね合わせ、
前記第5のステップは、
重ね合わされた複数の合成風景画像を時系列順に連続表示することを特徴とする請求項5又は6に記載の風景画像合成方法。
【請求項8】
前記第4のステップは、
前記類似度が所定の閾値以下の場合には、前記2枚の風景画像を重ね合わせないことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の風景画像合成方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれか1項に記載の風景画像合成方法における各ステップをコンピュータによって実行させることを特徴とする風景画像合成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−9923(P2012−9923A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141407(P2010−141407)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】