説明

風車発電設備の制御装置及び制御方法

【課題】風車発電設備において、電力貯蔵要素の小容量化による低コスト化を図る。
【解決手段】風車出力制限算出部23は風速によって定まる平準化目標Ptをキャパシタ7の充電の容量率Ccapに基づいて補正して、風車の発電機4の出力の制限値である風車出力制限Pcを算出する。系統出力制限算出部25は、平準化目標Ptを容量率Ccapに基づいて補正し、系統出力Pgの制限値である系統出力制限Pg’を算出する。インバータ制御歩27は、風車の発電機4の出力が風車出力制限Ptを越えないように、かつ系統出力Pgが系統出力制限Pg’を越えないようにインバータ6を制御する。ピッチ制御歩29は、風速によって定まる目標回転数Ntを維持するように、風車のロータのピッチ角θを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風車発電設備の制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、二次電池とキャパシタを電力貯蔵要素として備える風車発電設備の制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】浅沼圭司、外3名、「風力発電向け電力安定化装置」、富士時報、富士電気株式会社、2008年5月10日、第81巻、第3号、p203−206
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の制御装置は主に大型風車用であり、比較的長周期(1〜24時間程度)の出力変動の平準化のために、電力貯蔵要素としての二次電池とキャパシタは大容量のものを採用する必要がある。電力貯蔵要素が大型であると、製造等がコスト高となる。また、非特許文献1を含め風車発電に関する従来の技術では、比較的短周期(例えば数10秒以下程度)の出力変動の効率的な平準化は困難であった。以上の点で、従来の風車発電に関する技術は、例えば100kWクラスの規模の風車発電設備の制御には適していなかった。
【0005】
本発明は、風車発電設備において、電力貯蔵要素の小容量化による低コスト化を目的とする。また、本発明は、風車発電設備において、比較的短周期(例えば数10秒以下程度)の出力変動の効率的な平準化を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、ピッチを制御可能であって発電機に連結された風車と、前記発電機と系統の間に介在するインバータと、前記発電機により充電可能かつ前記系統へ放電可能な電力貯蔵要素とを備える風車発電設備の制御装置であって、前記電力貯蔵要素の目標電力蓄積量に対する容量率を検出する容量率測定器と、風速によって定まる平準化目標を前記容量率に基づいて補正して、前記風車の発電機の出力の制限値である風車出力制限を算出する風車出力制限算出部と、前記平準化目標を前記容量率に基づいて補正し、前記系統への出力の制限値である系統出力制限を算出する系統出力制限算出部と、前記風車の発電機の出力が前記風車出力制限を越えないように、かつ前記系統への出力が前記系統出力制限を越えないように前記インバータを制御するインバータ制御部と、風速によって定まる目標回転数を維持するように、前記風車のピッチを制御するピッチ制御部とを備えることを特徴とする、風車発電設備の制御装置を提供する。
【0007】
風車出力制限算出部による風車出力制限の算出と、系統出力制限算出部による系統出力制限の算出とはいずれも、容量率測定器で検出される電力貯蔵要素の容量率(電力貯蔵要素がどの程度充電されているか)に基づいて実行される。また、風車出力制限と系統出力制限に基づいてインバータ制御部によりインバータを制御され、併せてピッチ制御部で風車のピッチが制御される。つまり、電力貯蔵要素の容量率を反映した風車出力制限と系統出力制限に基づいて、風車出力制御(インバータの制御、ピッチの制御)と系統出力制御がなれる。このように容量率を監視しつつ制御を行うことで、電力貯蔵要素として比較的小容量のもの(例えば小容量のキャパシタ)を採用でき、製造等のコストを低減できる。
【0008】
具体的には、前記風車出力制限算出部は、前記容量率が高いほど前記風車出力制限の値を大きく設定する。
【0009】
さらに具体的には、前記風車出力制限は以下の式(1)に基づいて算出される。
【0010】
【数1】

【0011】
また、前記電力貯蔵要素の充放電を制御する充放電制御部をさらに備え、前記系統出力制限算出部は、前記容量率が予め設定された閾値を上回る場合には前記平準化目標を前記系統出力制限に設定し、前記容量率が前記閾値以下の場合には、前記容量率が低いほど前記系統出力制限の値を小さく設定し、前記充放電制御部は、前記容量率が前記閾値を上回る場合には前記系統への出力が前記平準化目標となるように前記電力貯蔵要素を充放電させ、前記容量率が前記閾値以下の場合には前記系統への出力にかかわらず前記電力貯蔵要素を充電させることが好ましい。
【0012】
第1に、この構成により、電力貯蔵要素の容量率が閾値を上回る状態、つまり電力貯蔵要素が十分に充電されている状態のときには、電力貯蔵要素は系統への出力が平準化目標となるように充放電する。この場合、風車の発電機の出力の短時間減少時に電力貯蔵要素が放電し平準化目標に対する不足分を補う。また、電力貯蔵要素の容量率が閾値以下の状態、つまり電力貯蔵要素が十分に充電されていない状態では、系統出力制限の値を小さく設定することで系統への出力を制限して電力貯蔵要素への充電を優先する。その結果、比較的短周期(例えば数10秒以下程度)の出力変動を効果的に抑制できる。
【0013】
第2に、この構成により、インバータ制御部によるインバータの制御において、風車出力制限算出部により算出される風車出力制限と比較すると、系統出力制限算出部により算出される系統出力制限が影響しにくくなり、系統への出力が平準化目標から外れるのを抑制できる。
【0014】
さらに具体的には、前記容量率が前記閾値以下の場合、前記系統出力制限は以下の式に基づいて算出される。
【0015】
【数2】

【0016】
本発明の第2の態様は、ピッチを制御可能であって発電機に連結された風車と、前記発電機と系統の間に介在するインバータと、前記発電機により充電可能かつ前記系統へ放電可能な電力貯蔵要素とを備える風車発電設備の制御方法であって、前記電力貯蔵要素の目標電力蓄積量に対する容量率を検出し、風速によって定まる平準化目標を前記容量率に基づいて補正して、前記風車の発電機の出力の制限値である風車出力制限を算出し、前記平準化目標を前記容量率に基づいて補正し、前記系統への出力の制限値である系統出力制限を算出し、前記風車の発電機の出力が前記風車出力制限を越えないように、かつ前記系統への出力が前記系統出力制限を越えないように前記インバータを制御し、風速によって定まる目標回転数を維持するように、前記風車のピッチを制御することを特徴とする、風車発電設備の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の風車発電設備の制御装置及び制御方法によれば、電力貯蔵要素の容量率を監視しつつ制御を行うことで、電力貯蔵要素として比較的小容量のもの(例えば小容量のキャパシタ)を採用でき、それによって製造等のコストを低減できる。また、比較的短周期(例えば数10秒以下程度)の出力変動を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る制御装置を備える風車発電設備の模式図。
【図2】本発明の実施形態に係る風車発電設備の制御装置のブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る風車発電設備の制御装置の動作の一例を示す線図。
【図4】本発明の実施形態に係る風車発電設備の制御装置の動作の一例を示す線図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2を参照すると、風車発電設備1の風車2は、ピッチ調整機構3によってピッチ角θを調整可能なロータ2aを有する。また、風車2は発電機4に連結され、発電機4と系統5の間にはインバータ6が介在している。インバータ6は風車2の回転により発電機4が発生する交流電力を直流電力にいったん変換した後に、系統5と同周波数の交流電力に変換する。また、インバータ6には、系統5への出力(系統出力Pg)の平準化に使用されるキャパシタ7(電力貯蔵要素)が充放電制御回路8を介して接続されている。キャパシタ7は充放電制御回路8により、発電機4の発生する電力によって充電される状態、蓄積した電力をインバータ6を介して系統5へ放電する状態、及び充放電のいずれも行わない保持状態のいずれかの状態とされる。
【0021】
風車2のロータ2aへの風速Vdを測定する風速計11が設けられている。また、風車2の回転数Ndを検出する回転数検出器12が設けられている。さらに、キャパシタ7が実際に充電されている容量の充電目標(例えばキャパシタ7の定格容量)に対する割合(容量率Ccap(%))を検出する容量率測定回路13が設けられている。
【0022】
制御部15は、風速計11から入力される風速Vd、回転数検出器12から入力される回転数Nd、及び容量率測定回路13から入力される容量率Ccapを用いて、インバータ6、キャパシタ7の充放電制御回路8、及びピッチ調整機構3を制御する。後述するように、インバータ6の制御とピッチ調整機構3を介したロータ2aのピッチ角θの制御により風車2の発電機4の出力が制御される。また、インバータ6の制御によって系統出力Pgが制御される。
【0023】
図2に示すように、制御部15は、平均化風速算出部21、平準化目標算出部22、風車出力制限算出部23、発電トルク算出部24、系統出力制限算出部25、及び目標回転数算出部26を備える。また、制御部15はインバータ6を制御するインバータ制御部27、充放電制御回路8を制御する充放電制御部28、及びピッチ調整機構3を制御するピッチ制御部29を備える。
【0024】
次に、制御部15により実行されるインバータ6、キャパシタ7の充放電制御回路8、及びピッチ調整機構3の制御を詳細を説明する。
【0025】
まず、風車2の発電機4の出力の制御について説明する。なお、図2においてPwは制御しなかった場合の風車2の発電機4の出力(風車出力)を示す。
【0026】
平均化風速算出部21が、風速計11から入力される測定された風速Vdを平均化処理して平均化風速Vaを算出する。平均化処理は、例えば時定数15秒程度の1次ローパスフィルターで行う。平均化速度算出部21で算出された平均化風速Vaは平準化目標算出部22と目標回転数算出部26に出力される。
【0027】
平準化目標算出部22は、平均化風速Vaを使用して平準化目標Ptを算出する。この平準化目標Ptは風車2が受ける風の平均的なエネルギーを表すものであり、インバータ6を制御する際の目標(目標出力)である。本実施形態では、平準化目標算出部22は、以下の式(3)に基づいて平準化目標Ptを算出する。
【0028】
【数3】

【0029】
平準化目標算出部22で算出された平準化目標Ptは風車出力制限算出部23、系統出力制限算出部25、及び充放電制御部28に出力される。
【0030】
目標回転数算出部26は、平均化風速Vaを使用して風車2aの目標回転数Ntを算出する。この目標回転数目標Ntはロータ2aのピッチ角θを制御する際の目標となる。本実施形態における目標回転数算出部26は、以下の式(4)に基づいて目標回転数Ntを算出する。
【0031】
【数4】

【0032】
目標回転数算出部26で算出された目標回転数Ntは、ピッチ制御部29に出力される。
【0033】
風車出力制限算出部23には、平準化目標算出部22から平準化目標Ptが入力され、容量率測定回路13から容量率Ccapが入力される。風車出力制限算出部23は、平準化目標Ptを容量率Ccapに基づいて補正することで、風車2の発電機4の出力の制限値である風車出力制限Pcを算出する。風車出力制限Pc、つまり容量率Ccapに基づいて補正された平準化目標Ptが実際にインバータ6を制御する際の目標となる。風車出力算出部23は容量率Ccapが高いほど、すなわちキャパシタ6の充電量が目標に近いほど、風車出力制限Pcの値を大きく設定する。具体的には、本実施形態における風車出力算出部23は、以下の式(5)に基づいて風車出力制限Pcを算出する。
【0034】
【数5】

【0035】
風車出力制限算出部23で算出された風車出力制限Pcは、発電トルク算出部24に出力される。
【0036】
発電トルク算出部24は、風車出力制限Pcを発電トルクTgに換算する。発電トルクTgは、風車2が発電機4を回転させようとするのに対してインバータ6が発生する抵抗トルクである。本実施形態における発電トルク算出部24は、以下の式(6)に基づいて発電トルクTgを算出する。
【0037】
【数6】

【0038】
発電トルク算出部24で算出された発電トルクTgは、インバータ制御部27に出力される。
【0039】
インバータ制御部27は、発電トルクTgを発電トルク算出部24で算出された値となるようにインバータ6を制御する。つまり、インバータ制御部7は、風車2の発電機4の出力が、風車出力制限Pc以上、つまりキャパシタ7の容量率Ccapで補正された平準化目標Pt以上とならないように、インバータ6を制御する。
【0040】
ピッチ制御部29には、目標回転数算出部26で算出された目標回転数Ntが入力されると共に、回転数検出器12が検出した風車2の回転数Ndが入力される。前述のようにインバータ制御部27は、発電トルクTgが風車出力制限Pc以下に相当する値となるよにインバータ6を制御する。もし仮に、このインバータ制御部27によるインバータ6の制御に対して、ロータ2aのピッチ角θを調整しないとすると、風車2に入力される風のエネルギーが過大となる。そこでピッチ制御部29はピッチ角θを調整することで風車2に入力される風のエネルギーを抑制する。具体的には、ピッチ調整部29は、回転数検出器12で回転数Ndが目標回転数Ntで維持されるようにピッチ調整機構3によってロータ2aのピッチ角θを制御する。
【0041】
以上のように、インバータ制御部27のインバータ6の制御(インバータ制御)と、ピッチ調整機構3を介してピッチ調整部29によるロータ2aのピッチ角θの制御(ピッチ制御)とにより、風車2の発電機4の出力が風車出力制限Pc以下となるように制御される。
【0042】
次に、系統出力Pgの制御について説明する。
【0043】
系統出力制限算出部25には、平準化目標算出部22から平準化目標Ptが入力され、容量率測定回路13から容量率Ccapが入力される。系統出力制限算出部25は、系統出力Pgの制限値である系統出力制限Pg’を算出する。系統出力制限Pg’はインバータ制御部27に出力される。インバータ制御部27は系統出力Pgが系統出力制限Pg’を越えないように、インバータ6を制御する。
【0044】
系統出力制限算出部25では、容量率測定回路13から入力される容量率Ccapが予め定められた閾値Ccapthを上回るか否かにより、異なる方法で系統出力制限Pg’を算出する。閾値Ccapthは、キャパシタ7の充電されている容量が充電目標に近い値であることを示す。つまり、閾値Ccapthはキャパシタ7の充電が充電であるか不足しているかを示す。
【0045】
まず、容量率Ccapが閾値Ccapthを上回る場合、すなちわキャパシタ7が充電に充電されている場合、系統出力制限算出部25は平準化目標算出部22が算出した平準化目標Ptを系統出力制限Pg’に設定する。一方、容量率Ccapが閾値Ccapth以下の場合、すなちわキャパシタ7が充電に充電されていない場合、系統出力制限算出部25は、容量率Ccapが小さいほど、すなわちキャパシタ7の充電が不足しているほど、系統出力制限Pg’の値を小さく設定する。具体的には、本実施形態における系統出力制限算出部25では、容量率Ccapが閾値Ccapth以下の場合、以下の式(7)に基づいて系統出力制限Pg’を算出する。
【0046】
【数7】

【0047】
以上のように、風車出力制限算出部23による風車出力制限Pcの算出と、系統出力制限算出部25による系統出力制限Pg’の算出とはいずれも、容量率測定回路13で検出されるキャパシタ7の容量率Ccap(キャパシタ7がどの程度充電されているか)に基づいて実行される。また、風車出力制限Pcと系統出力制限Pg’に基づいてインバータ制御部27によりインバータ6が制御され、併せてピッチ制御部29によりロータ2aのピッチ角θが制御される。つまり、キャパシタ7の容量率Ccapを反映した風車出力制限Pcと系統出力制限Pg’に基づいて、風車出力制御(インバータ6の制御、ロータ2aのピッチ角θの制御)と系統出力Pgの制御がなれる。このように容量率Ccapを監視しつつ制御を行うことで、比較的小容量のキャパシタ7を採用でき、製造等のコストを低減できる。
【0048】
次に、とキャパシタ7の充放電の制御について説明する。
【0049】
充放電制御部28には、平準化目標算出部22から平準化目標Ptが入力され、容量率測定回路13から容量率Ccapが入力される。
【0050】
容量率Ccapが閾値Ccapthを上回る場合(キャパシタ7が十分に充電されている場合)には、充放電制御部28は、系統出力Pgが平準化目標Ptとなるように、充放電制御回路8によりキャパシタ7を充放電させる。この場合、風車2の発電機4の出力の短時間減少時にキャパシタ7が放電し平準化目標Ptに対する系統出力Pgの不足分を補う。
【0051】
一方、容量率Ccapが閾値Ccapth以下の場合(キャパシタ7が十分に充電されていない場合)、充放電制御部28は、系統出力Pgにかかわらず、つまり系統出力Pgが平準化目標Ptを下回っていているか否かにかかわらず、充放電制御回路8によりキャパシタ7を充電させる。前述のように、容量率Ccapが閾値Ccapth以下の場合には、系統出力制限算出部25は式(7)に基づいて系統出力制限Pg’の値を小さく設定することで系統出力Pgを制限するので、キャパシタ7への充電が優先される。
【0052】
以上の制御の結果、キャパシタ7が少容量であっても、比較的短周期(例えば数10秒以下程度)の系統出力Pgの変動を効果的に抑制できる。
【0053】
本実施形態では、インバータ制御部27によるインバータ6の制御において、風車出力制限算出部23により算出される風車出力制限Pcと比較すると、系統出力制限算出部により算出される系統出力制限Pg’が影響しにくいので、系統出力Pgが平準化目標Ptから外れるのを抑制できる。
【0054】
図3及び図4は本実施形態の風車発電設備1の制御の模式的な例を示している。この例では、約35秒から約40秒の期間と、約55秒から約60秒の期間において、ピッチθを制御することで、風車出力PWが風車出力制限Pcの値に制限されている。
【符号の説明】
【0055】
1 風車発電設備
2 風車
2a ロータ
3 ピッチ調整機構
4 発電機
5 系統
6 インバータ
7 キャパシタ
8 充放電制御回路
11 風速計
12 回転数検出器
13 容量率測定回路
14
15 制御部
21 平均化風速算出部
22 平準化目標算出部
23 風車出力制限算出部
24 発電トルク算出部
25 系統出力制限算出部
26 目標回転数算出部
27 インバータ制御部
28 充放電制御部
29 ピッチ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチを制御可能であって発電機に連結された風車と、前記発電機と系統の間に介在するインバータと、前記発電機により充電可能かつ前記系統へ放電可能な電力貯蔵要素とを備える風車発電設備の制御装置であって、
前記電力貯蔵要素の目標電力蓄積量に対する容量率を検出する容量率測定器と、
風速によって定まる平準化目標を前記容量率に基づいて補正して、前記風車の発電機の出力の制限値である風車出力制限を算出する風車出力制限算出部と、
前記平準化目標を前記容量率に基づいて補正し、前記系統への出力の制限値である系統出力制限を算出する系統出力制限算出部と、
前記風車の発電機の出力が前記風車出力制限を越えないように、かつ前記系統への出力が前記系統出力制限を越えないように前記インバータを制御するインバータ制御部と、
風速によって定まる目標回転数を維持するように、前記風車のピッチを制御するピッチ制御部と
を備えることを特徴とする、風車発電設備の制御装置。
【請求項2】
前記風車出力制限算出部は、前記容量率が高いほど前記風車出力制限の値を大きく設定することを特徴とする、請求項1に記載の風車発電設備の制御装置。
【請求項3】
前記風車出力制限は以下の式に基づいて算出されることを特徴とする、請求項2に記載の風車発電設備の制御装置。
【数1】

【請求項4】
前記電力貯蔵要素の充放電を制御する充放電制御部をさらに備え、
前記系統出力制限算出部は、前記容量率が予め設定された閾値を上回る場合には前記平準化目標を前記系統出力制限に設定し、前記容量率が前記閾値以下の場合には、前記容量率が低いほど前記系統出力制限の値を小さく設定し、
前記充放電制御部は、前記容量率が前記閾値を上回る場合には前記系統への出力が前記平準化目標となるように前記電力貯蔵要素を充放電させ、前記容量率が前記閾値以下の場合には前記系統への出力にかかわらず前記電力貯蔵要素を充電させることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の風車発電設備の制御装置。
【請求項5】
前記容量率が前記閾値以下の場合、前記系統出力制限は以下の式に基づいて算出されることを特徴する、請求項4に記載の風車発電設備の制御装置。
【数2】

【請求項6】
ピッチを制御可能であって発電機に連結された風車と、前記発電機と系統の間に介在するインバータと、前記発電機により充電可能かつ前記系統へ放電可能な電力貯蔵要素とを備える風車発電設備の制御方法であって、
前記電力貯蔵要素の目標電力蓄積量に対する容量率を検出し
風速によって定まる平準化目標を前記容量率に基づいて補正して、前記風車の発電機の出力の制限値である風車出力制限を算出し、
前記平準化目標を前記容量率に基づいて補正し、前記系統への出力の制限値である系統出力制限を算出し、
前記風車の発電機の出力が前記風車出力制限を越えないように、かつ前記系統への出力が前記系統出力制限を越えないように前記インバータを制御し、
風速によって定まる目標回転数を維持するように、前記風車のピッチを制御する
ことを特徴とする、風車発電設備の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−50050(P2013−50050A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187471(P2011−187471)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000152170)株式会社酉島製作所 (89)
【Fターム(参考)】