説明

飲食物に関した廃棄物処理装置

飲食物に関した廃棄物処理装置において、廃棄物の乾燥のための熱源として従来使用しているヒータ類を使わず、マイクロ波を単純に発生させることができるマグネトロン(発振器)を使用する。
この廃棄物処理装置は、処理物自体を直接発熱させ乾燥させるというマイクロ波の利点を利用すると同時に、空気が乾燥の促進に一番効率よく働くように流れる構造を有するために、従来のヒータ乾燥に比較して、処理中に処理物が過熱され異臭を発することがなく、乾燥時間が短くなり、乾燥に使うエネルギーの消費を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば食品工場、飲食店などから出る飲食物の廃棄物をマイクロ波加熱の乾燥方式で、廃棄物を横置き回転ドラムの処理容器に入れローリング回転させながら撹拌羽根で撹拌及び破砕をしながらマイクロ波を照射して、効率良く加熱乾燥させて再利用できる原料に換える処理装置の構造と、処理動作の制御方法に関するものである。
【背景技術】
従来のこの部類の処理装置は、乾燥処理容器に処理物を入れて単純に回転させて石油、ガス又は、電気ヒータにより乾燥処理容器を直に加熱したり、温風を吹き込んでの温風乾燥機で乾燥処理容器の構造が、回転動作するものが無く、撹拌動作も低回転動作のため、その結果、乾燥時間が長くなり、それによりランニングコストが余分に掛かると共に、乾燥処理容器の内部が高温になることにより、処理中に処理ゴミが焦げて異臭が発生したり、ゴミが乾燥容器表面に焦げ付いて付着して機械の故障となる問題があった。
従来の技術の欠点例を説明すると、ヒータ乾燥方式及び、その他の乾燥方式においても長時間運転が伴いその理由として処理物の表面から乾燥するため処理物が団子状になった場合、非常に乾燥効率が悪化すると共にヒータ温風の温風温度が高いため、処理物の表面が焦げ付き機械自体が高温になるため機械自体を傷めることによりメンテナス費用が高価になる。
本発明は、このような不具合を解決することを目的とするもので、処理物を100℃以下の低温で乾燥させることが可能で、乾燥処理容器及び、機械自体が高温度による傷みを生じないと、処理物が焦げないことでの異臭発生がないと、乾燥処理容器の構造上において、処理物の表面の空気接触面積を広く取れることにより、処理物の水分を空気中に放出しやすくして、マイクロ波乾燥の特徴である処理物の内部まで均一に乾燥すると共に処理物自体が発熱することを利用して処理物を高速乾燥させることを特徴とするものである。
【発明の開示】
本発明は、乾燥処理容器に減圧構造の回転ドラム構造、回転ドラム構造の内側に撹拌羽根を装着した構造、回転ドラム構造に水切り機能を付加し高速に回転する撹拌機能と乾燥処理容器の処理物投入口に処理物と異物を分ける機能を持った選別装置を乾燥処理容器内、又は乾燥処理容器の外に設けた構造になっている。
マイクロ波乾燥の特徴は処理物の内部まで均一に乾燥すると共に処理物に含まれている水分が発熱するため乾燥効率が非常に高い。
減圧容器内で処理物が空気にふれる面積を広くとれる構造とすればより高能率で乾燥は加速することを踏まえて機械の構造を考えると、撹拌の羽根が付いた回転軸と乾燥容器内に撹拌軸が付いた構造で、任意の回転数で各々回転させることで効率よく処理物を撹拌させ、このことにより乾いた処理物を湿った処理物の中に混ぜ、湿った処理物を空気に触れさせ処理物に含まれる水分を空気に同伴させ、湿った空気を乾燥容器外へ強制的に排気させ効率のよい乾燥をさせることが出来、乾燥が進んで来た時に出来る塊を破砕できるよう撹拌の羽根の形状が破砕刃構造となっていて、乾燥容器内にも固定の破砕刃が付きこの固定刃に塊を押し付け撹拌波根の回転する破砕刃構造で挟み込んで破砕する動作を機能として持つことにより乾燥時間の短縮を実現することが出きる特徴をもつ飲食物に関した廃棄物処理装置である。
図2,図3、図5は、異物を分ける機能を持った選別装置6を乾燥処理容器8内と、乾燥処理容器8外に持つどちらか構造と、乾燥処理容器8が減圧構造で横置き回転ドラム構造と、乾燥処理容器8内に破砕刃15cによる破砕構造が付加された撹拌装置15が装着された構造で、乾燥処理容器8内にも破砕刃16が装着されていて乾燥処理容器8と撹拌装置15が各々任意に回転しながらマグネトロン11(マイクロ波発振器)から放射されるマイクロ波で乾燥させる一実施例の全体機構図であり図1はこの装置の概観図である。
処理物を処理物投入扉2、乾燥処理容器8の処理物投入開閉扉8b開け、処理物投入口7に投入すると破砕ローラ6aで砕かれた紙類やビニール類はエアーブロー14の空気で飛ばされ、排気ダクト10に排気装置12の吸引動作により排気装置12内に回収され吸引された空気のみを排気ダクト外部13で機械外部に排気される。
排気装置12の吸引動作により排気装置12内に回収され異物は、機械正面ドアを開けて取出し出来る構造になっている。
選別された処理物は、破砕物落下穴6bを通って乾燥容器底に溜まり破砕ローラ6aを駆動するモータ5は乾燥動作開始時に停止する。
乾燥動作の開始は、各ドアが閉状態のセンサスイッチの信号と操作パネル1のスタートスイッチで起動する。
乾燥動作が起動すると、撹拌装置15が回転して撹拌羽根1(15a)撹拌羽根2(15b)で処理物を撹拌して撹拌羽根ヘラ15dで底部の処理物を空気面に移動させると同時に乾燥処理容器ドラム8の内側に装着してある撹拌羽根81で撹拌を効率的に行う。
乾燥途中で処理物が塊状になった時、撹拌羽根破砕刃15cと固定破砕刃16との間で破砕動作をさせて、撹拌羽根1(15a)、撹拌羽根2(15b)の面が撹拌装置15の回転軸中央方向に向かって各々、撹拌羽根1(15a),撹拌羽根2(,15b)の付け根から先端方向に緩やかに湾曲して先端部は極度に湾曲して撹拌羽根ヘラ15dは、直角に湾曲している構造になっているため処理物が撹拌装置15の回転軸中央に集まり易くなり、破砕動作と撹拌動作がより効果的に行うことが出来、これにより乾燥速度を上げることが出来るだけではなく、より乾燥度を上げることが出来ると共に安全に乾燥させる事が出来る。
乾燥容器8の廃液穴8aから出る廃液は、廃液トレイ20に流れて廃液受け容器21に回収され、容器洗浄用水配管22から出る水により洗浄され、水量と洗浄タイミング時間は洗浄用水コントロール装置24で制御され、洗浄水は廃液配管23から下水に流される。
乾燥処理が終了して乾燥容器内の乾燥物を廃棄物容器3に排出する場合、乾燥容器回転位置センサで廃棄物容器3の上に処理物排出口8dを乾燥容器駆動モータ20の動作で位置合わせをして、本体側の可動フックで排出口開閉ドア開閉バー8kに押し当て排出ドア8hを開き乾燥容器8内部の処理物を出し廃棄物容器3に回収する。
廃棄物容器3に回収された後、本体側の可動フックが引っ込み排出口開閉ドア可動バネ8jで排出ドア8hを閉める。
乾燥動作過程における撹拌装置15の回転動作、乾燥容器8の回転動作とマグネトロン11動作は、温度センサ17a、水分センサ10a、ガスセンサ10bの測定値を基準に制御される。
処理物の温度検出に使用する温度センサ17aは、マグネトロン11の電力制御、撹拌装置15の回転制御、乾燥容器8の回転制御における各制御回路に的確な指令値を出して効率の良い乾燥動作をさせる。
排気中の水分を検出する水分センサ10aは、撹拌装置15の回転制御とマグネトロン11の電力制御を行い処理中において的確な指令値を電力制御回路に送り省電力、マグネトロン11の保護をさせる。
排気中のガスを検出するガスセンサ10bは、処理物の過度の過熱を検出してマグネトロン11の電力制御を行い処理中において的確な指令値を電力制御回路に送り省電力、マグネトロン11の保護と処理物の過熱を抑える動作をさせる。
図6に縦軸に湿度とガス濃度軸、横軸に時間軸として乾燥過程におけるマイクロ波電力の関係を示し、乾燥過程におけるマイクロ波電力回路の制御方法をグラフ図で説明している。
湿度グラフmのa時間まで100%電力で加熱し、a時間からb時間までの湿度の傾きを計算してb時間のマイクロ波電力を算出してマイクロ波電力回路の制御を行う。
ガス濃度グラフGのP時間の濃度を起点にしてQ時間を越えても、Q時間の濃度以下になるマイクロ波電力を算出してマイクロ波電力回路の制御を行う。
尚、本発明は上記実施の形態例に限られたものではなく、乾燥容器ドラム8の形状、乾燥容器ドラム8の表面構造及び内部構造、撹拌装置15、撹拌装置15に付加される撹拌羽根1,2(15a,15b)、撹拌羽根破砕刃15c、撹拌羽根ヘラ15dなどに使用される材質及び構造は、適宜変更して設計され、各センサの取付け場所は、機械の性能が最大限の性能になる所に再配置される。
【図面の簡単な説明】
図1.乾燥処理容器を減圧構造及び回転ドラム構造として回転しながら水切りをする機能と低速からむ段階に高速に回転する撹拌羽根に破砕刃が付加されて固定破砕刃との間で塊を破砕する機能を持ち、乾燥処理容器の処理物投入口に処理物と異物を分ける機能を持った選別装置を乾燥容器内と排気装置内に設けた方式とした一実施例の概観図である。
図2.同上の内部装置部品の配置図である。
図3.同上の乾燥容器内部図と乾燥処理容器周辺に接続する装置部品の配置図である。
図4.乾燥処理容器の回転ドラム表面の構造図である。
図5.撹拌羽根に破砕刃を付加した撹拌羽根の正面図と左右側面図である。
図6.乾燥室内部の湿度とガス濃度に対するマイクロ波電力値のグラフ図である。
【符号の説明】
1・機械操作パネル 2・処理物投入扉 3・廃棄物容器 4・異物選別用のエアーブロー装置 5・破砕ローラ駆動用モータ 6・異物選別装置 6a・破砕ローラ 6b・破砕物落下穴 6c・排気フィルター 7・処理物投入口 8・乾燥処理容器ドラム 8a・廃液穴 8b・処理物投入開閉扉 8c・処理物投入開閉扉ロック金具 8d・処理物排出口 8e・排出口開閉扉用ガイドブロック 8f・排出口開閉扉用ガイド摺動溝 8g・排出口開閉扉用摺動ローラ 8h・排出扉 8i・排出口開閉扉可動バネ固定ブロック 8j・排出口開閉扉可動バネ 8k・排出口開閉扉開閉バー 8l・撹拌羽根 9・乾燥容器ドラム支持用固定ブロック 10・排気ダクト内部 10a・水分センサ 10b・ガスセンサ 11・マグネトロン 12・排気装置 13・排気ダクト外部 14・異物選別用のエアーブロー噴射口 15・撹拌羽根装置 15a・撹拌羽根1 15b・撹拌羽根2 15c・撹拌羽根破砕刃 15d・撹拌羽根ヘラ 16・固定破砕刃 17・固定破砕刃取付けブロック 17a・温度センサ 18・撹拌羽根駆動用歯車 19・乾燥容器駆動モータ 20・廃液トレイ 21・廃液受け容器 22・容器洗浄用水配管 23・廃液配管 24・洗浄用水コントロール装置 25・撹拌羽根駆動モータ 26・異物選別装置
【産業上の利用可能性】
本発明は、処理物をマイクロ波で直接加熱でき物質の成分を損なうことなく、水分のみを取り去ることにより、資源再利用として肥料や飼料の原料とすることが出来る。
処理中における有害物質の発生を生じさせない。
又、燃やした時に発生するダイオキシンや、地球温暖化ガスなどは、低温乾燥処理で水分のみを除去するので有害ガスを発生させない。
この発明にあっては、他の燃焼方式の機械に比較して機械の大きさを小さく出来るため狭い場所にも設置が可能となり船舶等の厨房の中へ搭載も出来る。
ランニングコストもマイクロ波乾燥の利点である内部を均一に加熱することが出来るため乾燥効率が非常に高いため、減圧構造内で乾燥空気を効率良く処理物に当て強制排気することで両者の相乗効果で乾燥時間を短く出来、乾燥に費やすコストを低く抑えることが出来る。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物を入れる乾燥処理容器を横置き構造で回転させ、この乾燥処理容器内面に破砕刃を設置して乾燥過程で出来る塊を破砕しながらマグネトロン(発振器)から放出するマイクロ波で加熱乾燥させる構造を乾燥処理容器内の中に持った特徴を備えた飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項2】
処理物を入れる乾燥処理容器の中に、撹拌装置を持って乾燥処理容器と個別に撹拌装置の軸を回転させ、撹拌羽根の破砕刃と乾燥処理容器内部の破砕刃との間に塊を挟み込んで破砕する特徴を備えた飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項3】
減圧構造を持った乾燥処理容器で強制排気する特徴を持った飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項4】
撹拌装置の撹拌羽根の回転制御において、間欠回転に撹拌羽根が回転して乾燥して行く過程で間欠回転する時間を替えていくと共に撹拌速度も高回転方向に回転制御する特徴を備えた飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項5】
乾燥開始時からある任意の時間で乾燥処理容器ドラムの回転数を段階的及び、無段階に上げて行き任意の時間後、正回転及び反転回転動作する特徴を備えた飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項6】
水分センサで検出する排気中の水分量が、低下の度合いに応じて撹拌羽根の回転速度を段階的に、及び連続的に高速で回転させる特徴を持つことにより効率よく乾燥させる特徴を持った飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項7】
温度センサを乾燥容器内部の底部及び、処理物に隠れる所に装着することにより処理物の温度を直接測定する事が出来る特徴の他、乾燥処理物が入っていない状態で乾燥動作を行った場合、マグネトロンから放射されるマイクロ波によって、直接、乾燥容器自体や温度センサ周辺金属が短時間で高温になることを利用してマグネトロンの無負荷運転を防ぎマグネトロンの保護が出来る特徴を持った飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項8】
水分センサで撹拌装置の回転制御を行い、撹拌装置の回転制御に対しての水分センサの変化量を計算してマグネトロン電力制御を行う特徴を持った飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項9】
ガスセンサで撹拌装置の回転制御を行い、撹拌装置の回転制御に対しての水分センサの変化量を計算してマグネトロン電力制御を行う特徴を持った飲食物に関した廃棄物処理装置。
【請求項10】
乾燥処理容器の内面に撹拌羽根を装着した特徴を持った飲食物に関した廃棄物処理装置。

【国際公開番号】WO2005/007311
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504393(P2005−504393)
【国際出願番号】PCT/JP2003/009251
【国際出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願人】(506264225)
【出願人】(504185636)グランゼット有限会社 (2)
【Fターム(参考)】