説明

駅用無線管理装置

【課題】 駅用無線管理装置において、たとえば外来電波や操作ミス等が原因して障害が発生する虞れがあるが、その原因追及を迅速かつ確実に行えるようにする。
【解決手段】 駅用無線管理装置1は、駅ホームで用いられるワイヤレスマイク等を有する送信機2と、該送信機が送信する各種の制御情報を受信し駅ホームでのスピーカや発車ベルを制御する機能を備えた受信機3とを備えている。この受信機は、送信機からの各種の制御情報のうち、たとえば受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を、不揮発性メモリ等の内部記憶装置20または外部記憶装置30に記録する機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の駅ホームにおける乗降客の案内放送、列車の発車ベルの鳴動、駅舎への通常連絡用、あるいはホームに緊急事態が生じたときの非常連絡用などに使用される駅用無線管理装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道駅のホーム等において、駅員が携帯し乗降客の案内放送等を行うワイヤレスマイク等からなる送信機と、駅舎等に設けられ各ホームの放送用スピーカ等に接続される受信機とを備えてなる駅用無線管理装置が従来から知られている。そして、この種の駅用無線管理装置は、駅ホームでの乗降客の案内放送を始めとして、列車の発車ベルの鳴動、駅舎への通常連絡用、あるいはホームに緊急事態が生じたときの駅舎への非常連絡用にも用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
すなわち、この種の駅用無線管理装置において、送信機は、ホーム選択スイッチ、放送スイッチ、発車ベルスイッチ、非常放送転送スイッチ等を備えたワイヤレスマイクからなり、受信機は、送信機から送信される各種の制御情報を受信するとともに、各ホームに設けられた案内放送用スピーカや発車ベル、駅舎スピーカ等に接続されてなる構造を備えている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−26235号公報
【特許文献2】特開平4−79532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した駅用無線管理装置において、たとえば外来電波等のノイズや操作ミス等が原因して、装置動作等に障害が発生するおそれがある。しかし、従来この種の装置では、障害の発生原因を究明することが難しく、復旧に手間取ったり、あるいは原因が不明であることから、度々同様の障害が発生してしまう等の問題があった。
【0006】
特に、この種の駅用無線管理装置では、装置動作に障害が発生することは、乗降客の案内放送や列車の運行制御、さらにはホームと駅舎との連絡などが行えないことになるため、大きな問題であり、その原因究明を簡単かつ迅速に、しかも確実に行えるような何らかの対策を講じることが要望されている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、たとえば外来電波等のノイズや操作ミス等が原因して障害が発生した場合において、その原因追及を迅速かつ確実に行える駅用無線管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る駅用無線管理装置は、駅ホームで使用される送信機から送信される各種制御情報を受信する受信機を備え、この受信機は、放送用スピーカ、発車ベル等に接続されてこれらを制御するように構成されている駅用無線管理装置において、前記受信機は、前記送信機からの各種制御情報を含む記録情報を記録する内部記憶装置を備え、この内部記憶装置に受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を記録するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明(請求項2記載の発明)に係る駅用無線管理装置は、駅ホームで使用される送信機から送信される各種制御情報を受信する受信機を備え、この受信機は、放送用スピーカ、発車ベル等に接続されてこれらを制御するように構成されている駅用無線管理装置において、前記受信機は、前記送信機からの各種制御情報を含む記録情報を外部に出力するように構成されるとともに、該受信機の外部には外部記録装置が接続されており、この外部記録装置に受信機から出力した受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を記録するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明(請求項3記載の発明)に係る駅用無線管理装置は、駅ホームで使用される送信機から送信される各種制御情報を受信する受信機を備え、この受信機は、放送用スピーカ、発車ベル等に接続されてこれらを制御するように構成されている駅用無線管理装置において、前記受信機は、前記送信機からの各種制御情報を含む記録情報を記録する内部記憶装置を備えるとともに、該受信機の外部には外部記録装置が接続されており、前記内部記憶装置に受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を記録するように構成するとともに、これらの記録情報を所定タイミングで受信機から外部に出力し、前記外部記録装置に記録するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明(請求項4記載の発明)に係る駅用無線管理装置は、請求項1、請求項2または請求項3において、前記内部記憶装置または外部記憶装置に記録された情報のうち内容に応じて選択された情報およびアラーム信号を、駅事務室または集中管理センタに転送する手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
ここで、受信機に設ける内部記憶装置としては、たとえば不揮発性メモリ等であればよい。また、外部記録装置としては、たとえば不揮発性メモリを始め、ハードディスク、その他の記録媒体への記録を行えるものであればよい。要は、必要とされる情報を記憶し駅用無線管理装置に障害が発生したときに該障害の原因を追及できるものであればよい。
【0013】
本発明によれば、受信機は送信機が送信する各種の制御情報を受信し、受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を受信機内部の内部記憶装置に記録したり、あるいは受信機外部に出力し、その出力された情報を受信機外部に接続された外部記録装置に記録することができるのである。また、記録した情報のうち、必要に応じて選択された情報は、アラーム信号と共に駅事務室や集中管理センタ等の転送先に転送される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明に係る駅用無線管理装置によれば、送信機から送信される各種の制御情報等といった受信情報を含む記録情報を記録できる機能を受信機内部または外部に持たせたことにより、外来電波やノイズ等による妨害や誤操作による障害をいち早く、しかも確実に追求することができるという優れた効果がある。
【0015】
また、本発明によれば、記録した情報のうちの必要に応じて選択した情報を、アラーム信号と共に駅事務室や集中管理センタ等の転送先に転送することにより、種々の情報を瞬時に把握し、不具合等に対しての適宜の対策を講じることができる等の利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明に係る駅用無線管理装置の一実施形態を示し、図において、符号1は駅用無線管理装置であり、駅員が携帯し駅ホーム等で使用される複数台の送信機2と、これらの送信機2から送信される各種の制御情報を受信する受信機3とを備えている。
【0017】
前記送信機2は、図示は省略したが、ホーム選択スイッチ、放送スイッチ、発車ベルスイッチ、非常放送転送スイッチ等を備えるとともに、ワイヤレスマイクを有し、また各種の制御情報を送信するためのアンテナ2aを備えている。
【0018】
前記受信機3は、送信機2から送信される各種の制御情報を受信するものであって、アンテナ3aに接続された無線部11と、これに接続されて受信データを復調し、各種制御情報に伴ってデータ処理を行うとともに、出力情報の処理等も行うデータ処理部12と、発車ベル等の外部制御機器14に接続される制御出力手段13、外部アンプ16に接続される音声出力手段15等を備えている。
【0019】
そして、この受信機3は、上述したように、各ホームに設けられた案内放送用スピーカ(外部アンプ16に接続される)と発車ベル(外部制御機器14)、駅舎スピーカ(外部アンプ16に接続される)等に接続されて、各ホームでの案内放送、発車ベルの鳴動、駅舎、駅事務室等との通話処理等を行う。
【0020】
本発明によれば、上述した構成による駅用無線管理装置1において、前記受信機3に、前記送信機2からの各種制御情報を含む記録情報を記録する内部記憶装置20を設け、この内部記憶装置20に受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を記録するように構成している。
【0021】
さらに、本発明によれば、前記受信機3の外部に外部記録装置30を接続するとともに、前記送信機2からの各種制御情報を含む記録情報を外部に出力するように構成し、受信機3から出力した受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を外部記録装置30に記録するように構成している。
【0022】
ここで、この実施形態では、データ処理部12に対して、外部機器としてのパーソナルコンピュータ(PC)18を、RS232C等の通信出力手段17を介して接続し、このパーソナルコンピュータ18内のメモリやハードディスク、あるいは該パーソナルコンピュータ18に接続したメモりやハードディスクを外部記録装置30としている。
【0023】
また、上記の受信機2またはパーソナルコンピュータ18には、駅事務室等で機器異常等を警告表示する表示器19が接続されるとともに、上述した内部記憶装置20や外部記憶装置30に記録される情報のうち、たとえば警告が必要な情報が記録されたときに該情報およびそのアラーム信号を転送する手段(図示せず)が設けられている。そして、その情報転送時において、表示器19は、必要とされる表示や警告を行う。なお、上記の情報転送先としては、表示器19が配置されている駅事務室等でもよいが、集中管理センタ等であってもよい。
【0024】
このような構成によれば、駅用無線管理装置1における動作状況が内部記憶装置20または外部記録装置30に記録されることから、装置1の動作に障害が発生したときに、その障害の原因を追求することが比較的簡単に行えることになる。すなわち、たとえば外来電波によるノイズが原因した障害であるか、操作ミスが原因している障害であるか、等が迅速に、しかも簡単に追求できるため、障害の回復が迅速に行えるとともに、該障害の再度の発生を未然に防止するうえでも効果を発揮し得るものである。
【0025】
ここで、受信機3の内部に設ける内部記憶装置20としては、たとえば不揮発性メモリ等であればよい。また、外部記録装置30としては、たとえば不揮発性メモリを始め、ハードディスク、その他の記録媒体への記録を行えるものであればよい。要は、必要とされる情報を記憶し駅用無線管理装置1に障害が発生したときに該障害の原因を追及できるものであればよい。
【0026】
そして、上述した構成によれば、受信機3は送信機2が送信する各種の制御情報を受信し、所要の動作を行う。すなわち、図1および図2に示すように、送信機2からの制御情報に基づき、該受信データの処理をデータ処理部12で行うとともに、制御出力手段13を介して発車ベル等の外部制御機器14を制御したり、音声出力手段15により外部アンプ16を介して放送用スピーカからの放送を行ったりする。
【0027】
さらに、受信データ処理部12は、上述した受信データのうち、たとえば受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を、受信機3内部に設けた内部記憶装置20に記録するとともに、受信機3外部に出力し、その出力された情報を、パーソナルコンピュータ18やその他の機器に設けた外部記録装置30に記録するように構成している。また、記録した情報によっては、当該記録情報およびそのアラーム信号が駅事務室や集中管理センタに転送され、機器異常表示として表示器19等に表示される。
【0028】
なお、記憶容量が十分であれば、内部記憶装置20または外部記録装置30のいずれか一方のみに記録するように構成すればよい。また、場合によっては、内部記憶装置20に一時的に記憶し、適宜のタイミングで外部記録装置30に出力して記録するように構成する等、種々の変形例が考えられる。
【0029】
また、上述した内部記憶装置20または外部記録装置30に記録する情報としては、以下のものが考えられる。
1、受信周波数およびチャネル
2、受信レベル
3、ダイバシティ選択情報
4、制御出力情報
5、送信機番号
6、送信機バッテリ残量
【0030】
勿論、上記に列挙した情報に限定されず、駅用無線管理装置1において生じる虞れがある障害の原因を究明できるような情報であれば、適宜選定して記憶するように構成すればよい。
【0031】
また、上述した説明では、送信機2の具体的な構成やその動作、さらには受信機3での各部の制御動作等についての具体的な説明は省略したが、これらは周知の通りであり、ここでの具体的な説明は省略する。要するに、鉄道の駅ホームにおける乗降客の案内、列車の発車ベルの鳴動、駅舎への通常連絡用、あるいはホームに緊急事態が生じたときの非常連絡用などに使用される駅用無線管理装置1であればよい。
【0032】
さらに、本発明は上述した実施形態で説明した構造には限定されず、駅用無線管理装置1、受信機3等といった各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る駅用無線管理装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る駅用無線管理装置における受信機での受信状態を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1…駅用無線管理装置、2…送信機、3…受信機、11…無線部、12…データ処理部、13…制御出力手段、14…外部制御機器、15…音声出力手段、16…外部アンプ、17…通信出力手段、18…パーソナルコンピュータ、19…表示器、20…内部記憶装置、30…外部記録装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅ホームで使用される送信機から送信される各種制御情報を受信する受信機を備え、この受信機は、放送用スピーカ、発車ベル等に接続されてこれらを制御するように構成されている駅用無線管理装置において、
前記受信機は、前記送信機からの各種制御情報を含む記録情報を記録する内部記憶装置を備え、この内部記憶装置に受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を記録するように構成したことを特徴とする駅用無線管理装置。
【請求項2】
駅ホームで使用される送信機から送信される各種制御情報を受信する受信機を備え、この受信機は、放送用スピーカ、発車ベル等に接続されてこれらを制御するように構成されている駅用無線管理装置において、
前記受信機は、前記送信機からの各種制御情報を含む記録情報を外部に出力するように構成されるとともに、該受信機の外部には外部記録装置が接続されており、この外部記録装置に受信機から出力した受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を記録するように構成したことを特徴とする駅用無線管理装置。
【請求項3】
駅ホームで使用される送信機から送信される各種制御情報を受信する受信機を備え、この受信機は、放送用スピーカ、発車ベル等に接続されてこれらを制御するように構成されている駅用無線管理装置において、
前記受信機は、前記送信機からの各種制御情報を含む記録情報を記録する内部記憶装置を備えるとともに、該受信機の外部には外部記録装置が接続されており、
前記内部記憶装置に受信レベル、ダイバシティアンテナ選択、制御情報、送信機番号等を記録するように構成するとともに、これらの記録情報を所定タイミングで受信機から外部に出力し、前記外部記録装置に記録するように構成したことを特徴とする駅用無線管理装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3記載の駅用無線管理装置において、
前記内部記憶装置または外部記憶装置に記録された情報のうち内容に応じて選択された情報およびアラーム信号を、駅事務室または集中管理センタに転送する手段を備えていることを特徴とする駅用無線管理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−287709(P2006−287709A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106281(P2005−106281)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】