説明

駆動装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】ウォームギヤを用いる駆動装置におけるウォーム回転軸側面側についての小型化を実現することを課題とする。
【解決手段】ウォームギヤを用いて駆動モータ71からの駆動力を伝達する駆動ユニットと、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所に潤滑剤85を供給する潤滑剤供給機構とを備え、潤滑剤供給機構をウォームの下端部に潤滑剤を供給するように配置し、ウォームに供給された潤滑剤をウォームの回転によってウォームの螺旋状溝内をウォーム回転軸方向上端側へ搬送することにより、ウォームとウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォームギヤを用いた駆動装置、及び、これを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、未定着トナーを担持した記録材を定着ローラや定着ベルトなどの定着部材と加圧ローラ等の加圧部材との間に挟持し、熱と圧力によってトナーを記録材へ定着させる定着装置を備えたものがある。このような画像形成装置の中には、定着装置の加圧部材を定着部材に対して加圧・脱圧動作させる加圧脱圧機構を備えたものがある。加圧部材の重量は比較的大きいので、加圧部材を加圧・脱圧させる加圧脱圧機構としては、大重量の加圧部材の位置を加圧位置や脱圧位置に保持できる構成が要求される。
【0003】
このような要求を満たす加圧脱圧機構としては、例えば、カムの回転位置によって加圧部材の位置を制御するものが知られている。この加圧脱圧機構では、カムを回転駆動させる駆動源としてステッピングモータを用い、カムの回転位置をステッピングモータの励磁保持力によって保持する。しかしながら、この加圧脱圧機構では、加圧部材の位置を保持するにあたって、ステッピングモータの励磁力を発生させておく必要があり、ステッピングモータへの通電が必要となる。そのため、電力消費量が大きいという不具合があった。
【0004】
一方で、ねじ歯車(ウォーム)とこれに噛み合うはす歯歯車(ウォームホイール)とを組み合わせたウォームギヤを利用した加圧脱圧機構も知られている。この加圧脱圧機構は、ウォームギヤによるセルフロック機能により、電力を消費することなく加圧部材の位置を保持することができる。ウォームギヤを利用した加圧脱圧機構では、ウォームとウォームホイールとの噛み合い箇所の摩擦を低減するために、その噛み合い箇所に潤滑剤を安定して介在させることが望まれる。特許文献1には、ギヤに対して常に確実に潤滑剤を供給することを目的に、潤滑剤を含浸した柔軟な多孔質材料からなる給油部材をウォームの外周面と当接するように配置した駆動装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動装置は、潤滑剤をウォームへ供給する給油部材(潤滑剤供給手段)を、ウォームに対してウォーム回転軸側面側に配置する必要があった。そのため、駆動装置がウォーム回転軸側面側に大型化するという問題があった。この問題は、加圧部材を加圧・脱圧動作させる加圧脱圧機構として用いられる駆動装置に限らず、ウォームギヤを用いたあらゆる駆動装置において生じるものである。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ウォームギヤを用いる駆動装置におけるウォーム回転軸側面側についての小型化を実現できる駆動装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、外周面に螺旋状溝が形成されたウォームと該ウォームの螺旋状溝と噛み合うはす歯歯車で構成されるウォームホイールとから構成されるウォームギヤを用いて駆動源からの駆動力を駆動対象へ伝達する駆動力伝達機構と、上記ウォームと上記ウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段とを備えた駆動装置において、上記潤滑剤供給手段は、上記ウォームの回転軸方向一端部に潤滑剤を供給するように配置し、該ウォームに供給された潤滑剤を該ウォームの回転によって該ウォームの螺旋状溝内をウォーム回転軸方向他端側へ搬送することにより、該ウォームと上記ウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を供給することを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、潤滑剤供給手段をウォームに対してウォーム回転軸端部側に配置しても、ウォームとウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を安定して供給することが可能である。よって、潤滑剤供給手段をウォームに対してウォーム回転軸端部側に配置することを実現でき、駆動装置におけるウォーム回転軸側面側についての小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、ウォームギヤを用いる駆動装置におけるウォーム回転軸側面側についての小型化を実現できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】実施形態における定着装置の加圧ローラを定着ベルトに対して加圧脱圧させる加圧脱圧機構である定着加圧機構を示す斜視図である。
【図3】同定着加圧機構と駆動部とを示す斜視図である。
【図4】駆動ユニットの構成を模式的に表した斜視図である。
【図5】図4中右側から同駆動ユニットを見たときの右側面図である。
【図6】同駆動ユニットの上面図である。
【図7】同駆動ユニットの正面図である。
【図8】実施形態における潤滑剤供給機構の構成を示す模式図である。
【図9】加圧ローラを定着ベルトに向けて加圧させる方向へ動作させる加圧動作時における潤滑剤の動きを説明するための説明図である。
【図10】加圧ローラを定着ベルトから脱圧させる方向へ動作させる脱圧動作時における潤滑剤の動きを説明するための説明図である。
【図11】加圧ローラが脱圧状態にあるときの脱圧機構カム及び加圧ローラの関係を示す説明図である。
【図12】(a)は、加圧ローラが脱圧状態にあるときのセンサーフィラー及び透過型フォトセンサの位置関係を示す説明図である。(b)は、加圧ローラが脱圧状態にあるときのウォームホイールの回転位置(回転角度)を示す説明図である。
【図13】加圧ローラが脱圧状態から加圧状態(又は加圧状態から脱圧状態)へ遷移する途中の状態(遷移状態)にあるときの脱圧機構カム及び加圧ローラの関係を示す説明図である。
【図14】(a)は、加圧ローラが遷移状態にあるときのセンサーフィラー及び透過型フォトセンサの位置関係を示す説明図である。(b)は、加圧ローラが遷移状態にあるときのウォームホイールの回転位置(回転角度)を示す説明図である。
【図15】加圧ローラが加圧状態にあるときの脱圧機構カム及び加圧ローラの関係を示す説明図である。
【図16】(a)は、加圧ローラが加圧状態にあるときのセンサーフィラー及び透過型フォトセンサの位置関係を示す説明図である。(b)は、加圧ローラが加圧状態にあるときのウォームホイールの回転位置(回転角度)を示す説明図である。
【図17】駆動モータの駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
【図18】(a)は、ウォームホイールをその表面側から見たときの斜視図である。(b)は、同ウォームホイールをその裏面側から見たときの斜視図である。
【図19】(a)は、ウォームホイールの正面図である。(b)は同図(a)中符号A−A’に沿ってウォームホイールを切断したときの断面図である。(c)は同図(a)中符号B−B’に沿ってウォームホイールを切断したときの断面図である。
【図20】(a)は、1サイクル目において、ウォームホイールの歯面がウォームの歯面から受ける面圧の大きさと、ウォームホイールの噛み合い箇所との関係を示すグラフである。(b)は、初期時から所定の1サイクル経過後におけるウォームホイールの歯面摩耗量を示すグラフである。
【図21】ウォームホイール軸に対するウォームホイールの取り付け位置を変えるときの説明図である。
【図22】(a)は、2サイクル目において、ウォームホイールの歯面がウォームの歯面から受ける面圧の大きさと、ウォームホイールの噛み合い箇所との関係を示すグラフである。(b)は、2サイクル目におけるウォームホイールの歯面摩耗量を示すグラフである。
【図23】初期時から2サイクル経過した後におけるウォームホイール76の歯面摩耗量を示すグラフである。
【図24】(a)は、変形例における、ウォームホイールの取り付け位置変更前におけるホームポジション時のウォームホイールの正面図である。(b)は、同ウォームホイールの取り付け位置変更後におけるホームポジション時のウォームホイールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用可能な電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
同図において、タンデム型中間転写式の画像形成装置の本体100は、記録材である用紙を収容して供給する記録材供給手段としての給紙部(給紙テーブル)200上に載せられている。図中の符号の添え字Y、M、C、Kはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の各色をそれぞれ示す。
【0012】
画像形成装置の本体100の中央付近には、複数の支持ローラ14,15,15’,16,63に掛け回されて図中時計回りに回転搬送可能な無端ベルト状の中間転写体としての中間転写ベルト10が設けられている。図示の例では、支持ローラ16の左に中間転写ベルト用のクリーニング装置17が設けられている。クリーニング装置17は、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する。また、支持ローラ14と支持ローラ15間に張り渡した中間転写ベルト10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つのトナー像形成手段18Y,18M,18C,18Kを横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
【0013】
タンデム画像形成装置20の上には、図1に示すように、光書込手段としての光書込装置(露光装置)21が設けられている。タンデム画像形成装置20の各トナー像形成手段18Y,18M,18C,18Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の潜像が形成される潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを有している。感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kそれぞれの表面は、帯電装置60Y,60M,60C,60Kで一様に帯電された後、画像データに基づいて光書込装置(露光装置)21で露光され、これにより、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kそれぞれの表面に潜像が形成される。
【0014】
感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの潜像はそれぞれ、現像装置61Y,61M,61C,61Kで現像され、これにより、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kそれぞれの表面に可視像である各色のトナー像が担持される。また、感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kから中間転写ベルト10にトナー像を転写する一次転写位置には、中間転写ベルト10を間に挟んで各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kに対向するように一次転写手段の構成要素としての一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kが設けられている。また、支持ローラ14は中間転写ベルト10を回転駆動する駆動ローラである。ブラック単色画像を中間転写ベルト10上に形成する場合には、駆動ローラ14以外の支持ローラ15,15’を移動させて、イエロー、マゼンタ、シアンの感光体ドラム40Y,40M,40Cを中間転写ベルト10から離間させることも可能である。
【0015】
中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示の例では、2次転写対向ローラ16に2次転写ローラ16’を押し当て転写電界を印加することにより、中間転写ベルト10上の画像を用紙に転写する。
【0016】
2次転写装置22の横には、用紙上の転写画像を定着する定着手段としての定着装置25が設けられている。定着装置25は、定着部材としての無端ベルトである定着ベルト26に加圧部材としての加圧ローラ27を押し当てて構成する。また、支持ローラ23に掛け回されて回転駆動される搬送ベルト24により、画像転写後の用紙が定着装置25へ搬送される。
【0017】
なお、図示例では、2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、用紙の両面に画像を記録すべく用紙を反転する用紙反転装置28を備える。
【0018】
上記構成の画像形成装置において、画像形成装置の本体100に画像データが送られ、作像開始の信号を受けると、不図示の駆動モータで支持ローラ14を回転駆動して他の複数の支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々のトナー像形成手段18Y,18M,18C,18Kで各感光体40Y,40M,40C,40K上にそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を一次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kが対向する一次転写部で順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0019】
また、給紙部の給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つから用紙を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して画像形成装置本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の用紙を繰り出し、分離ローラで1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22の2次転写ローラ16’との間に用紙を送り込み、2次転写装置22で転写して用紙上にカラー画像を記録する。画像転写後の用紙は、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込まれ、熱と圧力とを加えて転写画像を定着した後、排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、不図示の切換爪で切り換えて用紙反転装置28に入れ、そこで反転して再び2次転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0020】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルト用のクリーニング装置17により、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーが除去され、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0021】
図2は、本実施形態における定着装置25の加圧ローラ27を定着ベルト26に対して加圧脱圧させる加圧脱圧機構である定着加圧機構を示す斜視図である。
定着加圧機構は、定着ベルト26との間で用紙を加圧するための加圧ローラ27を支持する支持レバー101と、加圧ローラ27を加圧脱圧動作(往復動作)させるための脱圧機構カム80と、回転する脱圧機構カム80を保持するカム軸84、脱圧機構カム80のホームポジション(基準回転角度)を検出するためのセンサーフィラー83及び透過型フォトセンサ82とを備えている。
【0022】
図3は、定着加圧機構と駆動部とを示す斜視図である。
脱圧機構カム80は、駆動源である駆動モータ71で発生する駆動力を受け取って回転する。具体的には、図示しない電源から電流の入力を受ける駆動モータ71が入力信号に基づいて回転駆動すると、その回転駆動力が駆動ユニットケース86の上面から露出したウォーム回転軸の一端部(上端部分)に取り付けられたウォーム駆動ギヤ73に伝達される。これにより、ウォーム75が回転駆動する。ウォーム75は、その回転軸が略鉛直方向に沿うように配置されており、その本体部分(ウォーム駆動ギヤ73よりも下側部分)は駆動ユニットケース86内に収容されている。駆動ユニットケース86内には、ウォーム75の回転駆動力の回転軸方向を鉛直方向から水平方向へ変換するとともに、その回転数を落とす駆動力伝達機構である駆動ユニット70が配置されている。駆動ユニット70によって伝達された回転駆動力により駆動側継手78が回転し、この駆動側継手78に接続されている従動側継手79に回転駆動力が伝達される。従動側継手79は、脱圧機構カム80のカム軸84に固定されているので、従動側継手79の回転駆動により脱圧機構カム80が回転する。
【0023】
次に、駆動ユニット70について説明する。
図4は、駆動ユニット70の構成を模式的に表した斜視図である。
図5は、図4中右側から駆動ユニット70を見たときの右側面図である。
図6は、駆動ユニット70の上面図である。
図7は、駆動ユニット70の正面図である。
【0024】
駆動モータ71が回転すると、駆動モータ71のモータ軸に固定された駆動モータギヤ72が回転する。駆動モータギヤ72の回転駆動力はウォーム駆動ギヤ73に伝わり、これにより、ウォーム駆動ギヤ73とウォーム軸74とウォーム75とが一体回転する。ウォーム75の回転駆動力は、ウォーム75の歯面とウォームホイール76の歯面と間の摩擦力によってウォームホイール76に伝わり、これにより、ウォームホイール76、ウォームホイール軸77及び駆動側継手78が一体回転する。
【0025】
図8は、本実施形態における潤滑剤供給手段である潤滑剤供給機構の構成を示す模式図である。
この潤滑剤供給機構は、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所に流動性を有する潤滑剤85を供給するものである。本実施形態の潤滑剤供給機構では、駆動ユニットケース86の内部底部に潤滑剤85が貯留されており、その貯留された潤滑剤85にウォーム75の下端部(ウォーム回転軸方向一端部)が浸るようにウォーム75が配置されている。本実施形態で使用する潤滑剤85としては、例えば、半固形状態のグリスや液体状のオイルなどが挙げられる。
【0026】
図9は、加圧ローラ27を定着ベルト26に向けて加圧させる方向へ動作させる加圧動作時における潤滑剤の動きを説明するための説明図である。
駆動モータ71が逆転方向71bへ回転駆動すると、ウォーム75も逆転方向75bに回転駆動する。本実施形態ではウォーム75の外周面に形成されている螺旋状溝(谷)が右ねじれであるので、ウォーム75が逆転方向75bへ回転すると、ウォーム75の螺旋状溝を形成する下側壁面(斜め上方を向いている壁面)がウォーム75の回転方向進行側を向くことになる。その結果、潤滑剤85に浸っているウォーム75の下端部では、潤滑剤85が螺旋状溝の下端開口部分から螺旋状溝に沿って順次汲み上げられる。その結果、ウォーム75が逆転方向75bへ回転駆動することにより、図中矢印74bに示すように、潤滑剤85はウォーム75の螺旋状溝に沿って上昇していき、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所まで搬送される。
【0027】
加圧動作時は、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所において歯面にかかる力が大きいので、潤滑剤85を安定かつ十分に供給することが望まれる。本実施形態によれば、ウォーム75が逆転方向75bへ回転駆動する加圧動作の度に、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所へ潤滑剤85を供給できる。よって、加圧動作時に潤滑剤85を安定かつ十分に供給することができる。
【0028】
また、本実施形態では、駆動ユニットケース86の内部底部に貯留されている潤滑剤85に対し、ウォームホイール76の歯面も浸るように構成されている。これにより、潤滑剤85に浸っていたウォームホイール76の歯面部分がウォームホイール76の回転によってウォーム75との噛み合い箇所へ移動することで、その噛み合い箇所に潤滑剤85を供給することができる。
【0029】
このように、本実施形態では、ウォーム75の螺旋状溝に沿って潤滑剤85を噛み合い箇所まで汲み上げる供給方法と、ウォームホイール76の回転によって潤滑剤85を噛み合い箇所まで搬送する供給方法とを併用している。その結果、いずれか一方の供給方法だけで噛み合い箇所に潤滑剤を供給する場合と比較して、加圧動作時により安定かつ十分な潤滑剤を噛み合い箇所に供給できる。
【0030】
図10は、加圧ローラ27を定着ベルト26から脱圧させる方向へ動作させる脱圧動作時における潤滑剤の動きを説明するための説明図である。
駆動モータ71が正転方向71aに回転駆動すると、ウォーム75も正転方向75aに回転駆動する。本実施形態ではウォーム75の外周面に形成されている螺旋状溝(谷)が右ねじれであるので、ウォーム75が正転方向75aへ回転すると、ウォーム75の螺旋状溝を形成する下側壁面(斜め上方を向いている壁面)がウォーム75の回転方向進行側とは逆側を向くことになる。この場合、潤滑剤85に浸っているウォーム75の下端部で、潤滑剤85が螺旋状溝に沿って順次汲み上げられることがない。
【0031】
一方、駆動ユニットケース86の内部底部に貯留されている潤滑剤85の液面よりも上方でウォーム75の螺旋状溝に付着している潤滑剤85は、自重により螺旋状溝に沿って下方へ滑り落ちてくる。その結果、噛み合い箇所で潤滑機能を発揮して劣化した潤滑剤は、脱圧動作時に駆動ユニットケース86の内部底部に貯留されている潤滑剤85へ回収される。これにより、噛み合い箇所へ供給する潤滑剤85の入れ替えが促進されるので、同じ潤滑剤が継続的に使用されて噛み合い箇所の潤滑性が低下する事態を抑制できる。
【0032】
次に、駆動ユニット70によって回転する脱圧機構カム80の回転に応じた加圧ローラの加圧脱圧動作について説明する。
図11は、加圧ローラが脱圧状態にあるときの脱圧機構カム80及び加圧ローラ27の関係を示す説明図である。
図12(a)は、加圧ローラが脱圧状態にあるときのセンサーフィラー83及び透過型フォトセンサ82の位置関係を示す説明図であり、図12(b)は、加圧ローラが脱圧状態にあるときのウォームホイール76の回転位置(回転角度)を示す説明図である。
加圧ローラが脱圧状態にあるとき、脱圧機構カム80の回転位置(回転角度)がホームポジション(P=0)となるように設定されている。脱圧機構カム80がホームポジションにあるとき、センサーフィラー83が透過型フォトセンサ82によって検出される。よって、透過型フォトセンサ82の出力によって脱圧機構カム80の回転位置がホームポジション(P=0)であるか否かを把握することができる。
【0033】
図13は、加圧ローラが脱圧状態から加圧状態(又は加圧状態から脱圧状態)へ遷移する途中の状態(遷移状態)にあるときの脱圧機構カム80及び加圧ローラ27の関係を示す説明図である。
図14(a)は、加圧ローラが遷移状態にあるときのセンサーフィラー83及び透過型フォトセンサ82の位置関係を示す説明図であり、図14(b)は、加圧ローラが遷移状態にあるときのウォームホイール76の回転位置(回転角度)を示す説明図である。
脱圧状態と加圧状態とのちょうど中間にあるとき、脱圧機構カム80の回転位置(回転角度)はポジション1(P=1)となる。本実施形態において、ポジション1は、ホームポジションからウォームホイール76が90°回転した地点となるように構成されているが、任意に設定可能である。
【0034】
図15は、加圧ローラが加圧状態にあるときの脱圧機構カム80及び加圧ローラ27の関係を示す説明図である。
図16(a)は、加圧ローラが加圧状態にあるときのセンサーフィラー83及び透過型フォトセンサ82の位置関係を示す説明図であり、図16(b)は、加圧ローラが加圧状態にあるときのウォームホイール76の回転位置(回転角度)を示す説明図である。
加圧ローラが加圧状態にあるとき、脱圧機構カム80の回転位置(回転角度)はポジション2(P=2)となる。本実施形態において、ポジション2は、ホームポジションからウォームホイール76が180°回転した地点となるように構成されているが、任意に設定可能である。
【0035】
駆動モータ71の逆転駆動に伴ってウォームホイール76が逆転方向76bへ回転駆動すると、脱圧機構カム80が図11に示すホームポジション(脱圧状態)から図13に示すポジション1(遷移状態)を経て図15に示すポジション2(加圧状態)をとるように回転する。この脱圧機構カム80の回転により、脱圧機構カム80の外周面(カム面)に当接する支持レバー101の当接部材81が押し上げられる。加圧ローラ27を支持する支持レバー101は、その一端側がレバー回動軸103を中心に回動自在に構成されており、その他端側に当接部材81が設けられている。支持レバー101は、バネ等の付勢手段102によって当接部材81が常に脱圧機構カム80の外周面(カム面)に当接するように構成されている。脱圧機構カム80の回転により支持レバー101の当接部材81が押し上げられると、支持レバー101がレバー回動軸103を中心に回動し、その結果、加圧ローラ27が定着ベルト26に向けて移動し、加圧状態になる。
【0036】
図17は、駆動モータ71の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
駆動モータ71が正転駆動して加圧ローラを加圧状態から脱圧状態にしてから、駆動モータ71が逆転駆動して加圧ローラを脱圧状態から加圧状態にした後、次に駆動モータ71が正転駆動して加圧ローラを加圧状態から脱圧状態にするまでの間で、ウォーム75及びウォームホイール76が1往復移動する。駆動モータ71の逆転駆動時の駆動時間は適宜制御され、所定時間経過後あるいは所定の入力信号の受信後に、正転駆動へ切り替わる。同様に、駆動モータ71の正転駆動時の駆動時間は適宜制御され、所定時間経過後あるいは所定の入力信号の受信後に、逆転駆動へ切り替わる。
【0037】
ウォームホイール76は、ホームポジション時には、図12(b)中符号76cで示す箇所で、ウォーム75と噛み合う。ホームポジション時は脱圧状態なので、噛み合い箇所におけるウォーム75及びウォームホイール76の歯面には大きな力がかからない。ホームポジション(脱圧状態)からポジション1(遷移状態)を経てポジション2(加圧状態)へ向かうにつれて、ウォーム75との噛み合い箇所となるウォームホイール76の歯面は切り替わっていくとともに、その噛み合い箇所におけるウォーム75及びウォームホイール76の歯面にかかる力は徐々に大きくなり、ポジション2において最大となる。
【0038】
図18(a)は、ウォームホイール76をその表面側から見たときの斜視図であり、図18(b)は、ウォームホイール76をその裏面側から見たときの斜視図である。
図19(a)は、ウォームホイール76の正面図であり、図19(b)は、図19(a)中符号A−A’に沿ってウォームホイール76を切断したときの断面図であり、図19(c)は、図19(a)中符号B−B’に沿ってウォームホイール76を切断したときの断面図である。
本実施形態のウォームホイール76には、図示のように、ウォームホイール軸77を挿入するための貫通孔88aが形成されている。また、ウォームホイール76の表面側と裏面側には、それぞれ、その貫通孔88aからウォームホイール回転軸径方向へ伸びる2つのピン受け溝88b,88cとが形成されている。ウォームホイール軸77上には、ウォームホイール76の表裏に2つずつ設けられたピン受け溝88b,88cに嵌り込む2つのピン87(図21参照)が形成されている。ウォームホイール76をその表面側からウォームホイール軸77へ挿入して取り付ける場合、ウォームホイール軸77上のピン87が表面側のピン受け溝88bに嵌り込み、ウォームホイール76はウォームホイール軸77と一体回転可能となる。また、ウォームホイール76をその裏面側からウォームホイール軸77へ挿入して取り付ける場合、ウォームホイール軸77上のピン87が裏面側のピン受け溝88cに嵌り込み、ウォームホイール76はウォームホイール軸77と一体回転可能となる。ピン87及びピン受け溝88bの配置や数は適宜設定される。
【0039】
ここで、上述したように、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所における歯面にかかる力は、ポジション2(加圧状態)で最大となる。ウォームホイール76は、ポジション2の時には、常に、図16(b)に示すように、符号76eで示す箇所でウォームと噛み合うことになる。よって、ウォームホイール76の箇所76eは、加圧状態のたびに繰り返し大きな力を受けるので、他の箇所と比べて摩耗の進行状況が早い。
【0040】
図20(a)は、ウォームホイール76の歯面がウォーム75の歯面から受ける面圧の大きさと、ウォームホイール76の噛み合い箇所との関係を示すグラフである。
ウォームホイール76がウォーム75と噛み合う歯面部分は、ウォームホイール76がホームポジション(P=0)からポジション1(P=1)を経てポジション2(P=2)に至るまでの間に回転するウォームホイール半周分である。そして、図20(a)に示すように、その噛み合い箇所におけるウォーム75及びウォームホイール76の歯面にかかる力はホームポジション(P=0)からポジション2(P=2)に向かうについて徐々に大きくなる。
【0041】
図20(b)は、初期時から所定の1サイクル経過後におけるウォームホイール76の歯面摩耗量を示すグラフである。
初期時から所定の1サイクル経過後(画像形成装置の寿命期間終了後又は定期メンテナンス時期到来後)におけるウォームホイール76の歯面摩耗量は、その期間に歯面がうける力の大きさに比例し、ウォームホイール76におけるポジション2(P=2)の歯面76eの摩耗量が最大となる。このポジション2(P=2)の歯面76eの摩耗量が図中破線で示す摩耗上限値を超えると、ウォームホイール76は寿命を迎える。
【0042】
1サイクルを経過したウォームホイール76は、ポジション2(P=2)の歯面76eの摩耗量は摩耗上限値に近いので、そのまま使い続けると、2サイクル目の途中でポジション2(P=2)の歯面76eの摩耗量が摩耗上限値を超えてしまい、ウォームホイール76が寿命を迎えてしまう。この場合、ウォームホイール76の交換によるダウンタイムが発生してしまうので、このようなダウンタイムの発生を回避するために1サイクルを経過した時点でウォームホイール76を新品に交換するのが望ましい。
【0043】
しかしながら、1サイクルを経過した時点において、そのウォームホイール76のポジション2(P=2)以外の歯面については、未だ摩耗量が少ない。よって、ウォームホイール軸77に対するウォームホイール76の取り付け位置を変えて、ウォームから最大の力をうける歯面を切り替えることで、そのウォームホイール76を更に1サイクル使用することが可能である。
【0044】
図21は、ウォームホイール軸77に対するウォームホイール76の取り付け位置を変えるときの説明図である。
初期時には、ウォームホイール軸77に対してウォームホイール76の表面側からウォームホイール76を取り付ける。この場合、初期時から1サイクルを経過したとき、図20(b)に示すようにウォームホイール76のポジション2の歯面76eが最も摩耗した状態になる。1サイクルを経過したら、そのウォームホイール76をウォームホイール軸77から一旦取り外す。そして、図21に示すように、ウォームホイール76の表裏を入れ替えて再度ウォームホイール軸77に装着する。
【0045】
本実施形態のウォームホイール76は、その表面と裏面を入れ替えてウォームホイール軸77に取り付けてもウォーム75と適正に噛み合うことができるように、例えば、2つのはす歯歯車を同軸上で表面同士又は裏面同士が重なり合うようにして一体化した構造となっている。これにより、ウォームホイール76をその表面側からウォームホイール軸77へ挿入して取り付けた場合には、そのウォームホイール軸77の歯すじ方向に適合した歯すじ方向となる一方のはす歯歯車部分がウォームホイール軸77と噛み合う。一方、ウォームホイール76をその裏面側からウォームホイール軸77へ挿入して取り付けた場合には、そのウォームホイール軸77の歯すじ方向に適合した歯すじ方向となる他方のはす歯歯車部分がウォームホイール軸77と噛み合う。
【0046】
したがって、ウォームホイール76の表面と裏面とを入れ替えてウォームホイール軸77に取り付けることで、ウォームホイール76をどのような回転角で取り付けても、ウォームホイール軸77と噛み合う歯面を切り替えることができる。ただし、本実施形態においては、図19に示したように、ウォームホイール76を表面側から取り付けたときの回転角度とウォームホイール76を裏面側から取り付けたときの回転角度とが90度ずれるように構成されている。これにより、ウォームホイール76の表裏を入れ替えたとき、入れ替え後は、入れ替え前に強い力を受けていた歯から離れた歯で強い力を受けることができ、入れ替え後の駆動電圧がより安定する。
【0047】
図22(a)は、2サイクル目において、ウォームホイール76の歯面がウォーム75の歯面から受ける面圧の大きさと、ウォームホイール76の噛み合い箇所との関係を示すグラフである。
図22(b)は、2サイクル目におけるウォームホイール76の歯面摩耗量を示すグラフである。
本実施形態では、ウォームホイール76の表裏を入れ替えていることで、2サイクル目には、1サイクル目でウォーム75と噛み合っていなかった歯面がウォーム75と噛み合うことになる。したがって、2サイクル目の開始時における摩耗量はほぼゼロである。そのため、2サイクル目の期間に最も大きな力を受けて最も摩耗したとしても、図22(b)に示すように、2サイクル目の終了時点において未だ上限摩耗量に達しない。
【0048】
図23は、初期時から2サイクル経過した後におけるウォームホイール76の歯面摩耗量を示すグラフである。
上述したように、1サイクル終了時にウォームホイール76の表裏を入れ替えてウォームホイール76の取り付け位置を切り替えることで、図23に示すように、2サイクル終了時点においてウォームホイール76のいずれの歯面の摩耗量も上限摩耗量を超えることはない。したがって、同じウォームホイール76を2サイクル使用することが可能である。
【0049】
なお、ここでは、ウォームホイール軸77に対するウォームホイール76の取り付け位置を変える方法として、ウォームホイール76の表裏を入れ替える方法について説明したが、これに限られない。例えば、ウォームホイール76の表裏を入れ替えずにウォームホイール76の取り付け回転角度を例えば180°変える方法でも、同様の効果が得られる。
【0050】
図24(a)は、ウォームホイール76の取り付け位置変更前におけるホームポジション時のウォームホイール76の正面図であり、図24(b)は、ウォームホイール76の取り付け位置変更後におけるホームポジション時のウォームホイール76の正面図である。
ウォームホイール76の表裏を入れ替えずにウォームホイール76の取り付け回転角度を180°変える場合、2サイクル目では、1サイクル目のホームポジション時にウォーム75と噛み合っていた歯面76cが、ポジション2の時にウォーム75と噛み合うことになり、その歯面76cが最も強い力を受けることになる。この歯面76cは、1サイクル目において受けていた力が小さかったので、2サイクル目の開始時における摩耗量が十分に少ない。そのため、2サイクル目の期間に最も大きな力を受けて最も摩耗したとしても、図22(b)に示すように、2サイクル目の終了時点において未だ上限摩耗量に達しない。
【0051】
なお、ウォームホイール76の表裏を入れ替えずにウォームホイール76の取り付け回転角度を変える場合には、ウォームホイール76を単一のはす歯歯車で構成することができる。また、この場合、ウォームホイール軸77上のピン87に嵌り込むピン受け溝は、ウォームホイール軸77へ挿入するときに先頭側となる面にだけ設ければよい。
【0052】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
外周面に螺旋状溝が形成されたウォーム75とウォーム75の螺旋状溝と噛み合うはす歯歯車で構成されるウォームホイール76とから構成されるウォームギヤを用いて駆動モータ71などの駆動源からの駆動力を駆動対象である支持レバー101へ伝達する駆動ユニット70等の駆動力伝達機構と、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所に潤滑剤85を供給する潤滑剤供給機構等の潤滑剤供給手段とを備えた駆動装置において、上記潤滑剤供給手段は、上記ウォーム75の回転軸方向一端部(下端部)に潤滑剤85を供給するように配置し、ウォーム75に供給された潤滑剤をウォームの回転によってウォームの螺旋状溝内をウォーム回転軸方向他端(上端)側へ搬送することにより、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所に潤滑剤を供給するものである。
これよれば、上述したように、潤滑剤供給機構をウォーム75に対してウォーム回転軸端部側に配置しても、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所に潤滑剤85を安定して供給することが可能である。よって、駆動ユニット70におけるウォーム回転軸側面側についての小型化を図ることができる。
特に、本実施形態のように、貯留してある潤滑剤にウォーム75を接触させるという簡素な供給機構を採用する場合、ウォーム75の下方に潤滑剤を貯留しておく必要があるところ、従来のようにウォーム回転軸側面側から潤滑剤を供給する場合には、ウォーム回転軸を水平方向に配置するレイアウトしか採用できない。これに対し、本実施形態のように、ウォーム回転軸端部側から潤滑剤を供給できるようになれば、ウォーム回転軸を水平方向以外の方向(鉛直方向や水平面に対して傾斜した方向)に配置するレイアウトを採用することが可能となり、レイアウトの自由度が増す。
【0053】
(態様B)
態様Aにおいて、上記潤滑剤供給手段は、上記ウォームホイール76の歯面にも潤滑剤を供給するように配置されており、該ウォームホイールの回転によって潤滑剤が供給された歯面を該ウォームとの噛み合い箇所へ移動させることにより、該ウォームと該ウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を供給する。
これよれば、上述したように、より安定かつ十分な潤滑剤を噛み合い箇所に供給できる。
【0054】
(態様C)
態様A又はBにおいて、上記駆動力伝達機構は、上記ウォーム75を所定の回転範囲内で正転及び逆転させることにより、上記駆動対象を往復移動させるための駆動力を伝達する。
ウォーム75の回転方向が一方向のみである態様では、ウォーム75とウォームホイール76との噛み合い箇所に同じ潤滑剤が残りやすく、噛み合い箇所を潤滑させる潤滑剤の入れ替えが少ない。これに対し、本態様のようにウォームが正転及び逆転する構成であると、ウォーム回転方向が潤滑剤を供給する方向とは逆方向であるときに、ウォームに付着している潤滑剤を潤滑剤供給手段へと戻すことができる。その結果、上述したように、噛み合い箇所を潤滑させる潤滑剤の入れ替えを促進でき、噛み合い箇所の潤滑性を安定して維持できる。
また、ウォーム75の回転方向が一方向のみである態様では、ウォーム75やウォームホイール76に付着している潤滑剤が遠心力によって飛び散る量が多い。飛び散った潤滑剤を再度ウォーム75やウォームホイール76へ供給するように構成することは困難である。本態様によれば、潤滑剤の再利用が容易となり、その結果、潤滑剤の全体量を低減して小型化を図ることができる。
【0055】
(態様D)
態様A〜Cのいずれか1つにおいて、上記ウォームホイールは、上記ウォームに対して着脱自在に構成されていて、該ウォームから取り外したウォームホイールの回転角度を変えて該ウォームホイールを該ウォームに装着可能に構成されている。
これによれば、最も大きい力を受けてウォーム75と繰り返し噛み合うことになるウォームホイール76の歯面(最も摩耗する歯面)を、別の歯面に置き換えることが可能となる。その結果、上述したように、ウォームホイール76の寿命を延ばすことができる。
【0056】
(態様E)
態様A〜Dのいずれか1つにおいて、上記ウォームホイールは、上記ウォームに対して着脱自在に構成されていて、該ウォームから取り外したウォームホイールの表裏を入れ替えて該ウォームホイールを該ウォームに装着可能に構成されている。
これによれば、最も大きい力を受けてウォーム75と繰り返し噛み合うことになるウォームホイール76の歯面(最も摩耗する歯面)を、別の歯面に置き換えることが可能となる。その結果、上述したように、ウォームホイール76の寿命を延ばすことができる。
【0057】
(態様F)
態様A〜Eのいずれか1つにおいて、上記駆動力伝達機構は、駆動側と従動側とを連結する駆動力伝達経路上に脱着継手を備えている。
(態様G)
未定着画像を担持した記録材を定着部材との間で挟持して加圧する加圧部材を加圧状態と脱圧状態とに切り替える駆動手段を備えた定着加圧機構において、上記駆動手段として、上記態様A〜Fのいずれか1つの駆動装置を用いる。
【符号の説明】
【0058】
10 中間転写ベルト
18Y,18M,18C,18K トナー像形成手段
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
70 駆動ユニット
71 駆動モータ
72 駆動モータギヤ
73 ウォーム駆動ギヤ
74 ウォーム軸
75 ウォーム
76 ウォームホイール
77 ウォームホイール軸
78 駆動側継手
79 従動側継手
80 脱圧機構カム
81 当接部材
82 透過型フォトセンサ
83 センサーフィラー
84 カム軸
85 潤滑剤
86 駆動ユニットケース
101 支持レバー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2005−331075号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に螺旋状溝が形成されたウォームと該ウォームの螺旋状溝と噛み合うはす歯歯車で構成されるウォームホイールとから構成されるウォームギヤを用いて駆動源からの駆動力を駆動対象へ伝達する駆動力伝達機構と、上記ウォームと上記ウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段とを備えた駆動装置において、
上記潤滑剤供給手段は、上記ウォームの回転軸方向一端部に潤滑剤を供給するように配置し、該ウォームに供給された潤滑剤を該ウォームの回転によって該ウォームの螺旋状溝内をウォーム回転軸方向他端側へ搬送することにより、該ウォームと上記ウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を供給することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1の駆動装置において、
上記潤滑剤供給手段は、上記ウォームホイールの歯面にも潤滑剤を供給するように配置されており、該ウォームホイールの回転によって潤滑剤が供給された歯面を該ウォームとの噛み合い箇所へ移動させることにより、該ウォームと該ウォームホイールとの噛み合い箇所に潤滑剤を供給することを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2の駆動装置において、
上記駆動力伝達機構は、上記ウォームを所定の回転範囲内で正転及び逆転させることにより、上記駆動対象を往復移動させるための駆動力を伝達することを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置において、
上記ウォームホイールは、上記ウォームに対して着脱自在に構成されていて、該ウォームから取り外したウォームホイールの回転角度を変えて該ウォームホイールを該ウォームに装着可能に構成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動装置において、
上記ウォームホイールは、上記ウォームに対して着脱自在に構成されていて、該ウォームから取り外したウォームホイールの表裏を入れ替えて該ウォームホイールを該ウォームに装着可能に構成されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
被加圧対象に対して加圧部材を加圧状態と脱圧状態とに切り替える駆動手段を備えた画像形成装置において、
上記駆動手段として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−2571(P2013−2571A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135418(P2011−135418)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】