説明

駐車場情報提供システム、サーバー及びナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置がサーバーに送信した情報に基づきサーバーにて目的地付近の駐車場の位置を推定することで、ナビゲーション装置に目的地に対応した駐車場情報を提供する駐車場情報提供システム、サーバー及びナビゲーション装置を得る。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、目的地から所定の範囲内で自車両が駐車したことを検知する駐車検知部8と、そのときの駐車場所の位置情報を目的地付近の駐車位置情報として取得する駐車位置情報取得部9を有している。サーバー21は、目的地に対応する駐車場であると見なす駐車場判定部13と、駐車場判定部13に判定された駐車場の位置情報を施設情報に対応付けて保存する施設情報データベース16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設情報を管理するサーバーからナビゲーション装置に駐車場情報を提供する技術に係り、特に、ナビゲーション装置がサーバーにアップロードした情報に基づいて、サーバーに未登録であった駐車場情報を構築する駐車場情報提供システム、サーバー及びナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク環境を利用して、情報管理用のサーバーからナビゲーション装置に種々の情報を提供するシステムが知られている。この情報提供システムによれば、ナビゲーション装置内の記憶手段に、大量の情報を保存していなくても、ユーザーが希望する情報に関してサーバーに配信要求を行うことで、サーバーから取得することが可能である。
【0003】
ところで、ナビゲーション装置にしたがって目的地に到着した車両が、その目的地にとどまるのであれば、駐車場は不可欠である。したがって、目的地に駐車場があるか、あるいは目的地付近に駐車場がすぐに見つかるかといった問題は、ナビゲーション装置のユーザーたるドライバーにとって、非常に重要である。そこで、情報提供システムの1つとして、駐車場情報をサーバーからナビゲーション装置に提供する駐車場情報提供システムが注目を集めている。
【0004】
ただし、ユーザーが望む駐車場情報がサーバーに予め登録されているとは限らない。特に、小規模な店舗などの施設では、付属する駐車場についてはサーバーに未登録となっていることが多い。この場合、ユーザーは目的地である店舗などの施設に到着した後、わざわざ車両を降りて施設の店員などに駐車場の場所を尋ねなくてはならず、面倒であった。
【0005】
しかも、住宅地などに位置する店舗などでは、駐車場が店舗から離れている場合や、店舗に来るまでの経路を引き返したりする場合があり、駐車するまでにかなりの時間を要することが珍しくない。このため、目的地近くに有料駐車場にあれば、そこに駐車してしまうことがあり、思わぬ出費がかかることになった。
【0006】
そこで、特許文献1のように、道路の路面に検出装置を敷設しておき、検出装置からサーバーに駐車に関する情報を集め、集めた情報に基づいて駐車可能スペースをサーバーで特定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3891490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の従来技術には次のような課題があった。すなわち、特許文献1では、駐車可能スペースをサーバーで把握、特定するために、受圧素子によるセンサを有する検出装置にて車両の存在を検出し、検出結果を無線通信装置によってサーバーに送る必要がある。
【0009】
したがって、道路面に検出装置を敷設し、道路に沿って所定の間隔で無線通信装置を設置しなくてはならない。このような技術では、設備コストが高く、目的地となる施設が密集した都市部では有効となるものの、目的地となる施設が点在するような地域では、実現が困難であった。そこで従来から、検出装置を道路面に敷設するなど特段の設備を用いることなく、通信機能を有するナビゲーション装置とサーバーだけで、サーバーに未登録の駐車場情報を獲得する技術が求められていた。
【0010】
本発明は、以上の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、ナビゲーション装置がサーバーに送信した情報に基づきサーバーにて目的地付近の駐車場の位置を推定することにより、ナビゲーション装置に対し、目的地に対応した駐車場情報を提供する駐車場情報提供システム、サーバー及びナビゲーション装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、駐車場情報を含む施設情報を集約的に管理するサーバーと、前記サーバーとの間で各種の情報を送受信するナビゲーション装置とからなり、前記ナビゲーション装置に対し前記サーバーから前記駐車場情報を提供するように構成した駐車場情報提供システムにおいて、以下のような特徴を有している。
【0012】
前記ナビゲーション装置は、前記施設情報及び地図情報を保存する情報保存手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、出発地を設定する出発地設定手段と、前記地図情報上の任意の地点を目的地として設定する目的地設定手段と、前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段の探索した経路についての経路案内を制御する経路案内制御手段、を有している。
【0013】
さらに、ナビゲーション装置は、本発明の特徴的な部分として、前記目的地設定手段にて設定した目的地から所定の範囲内で自車両が駐車したことを検知する駐車検知手段と、前記駐車検知手段及び前記自車位置検出手段の検知結果に基づいて、自車両が駐車した場所の位置情報を、目的地付近の駐車位置情報として取得する駐車位置情報取得手段、を有している。
【0014】
また、前記サーバーの構成は次の通りである。すなわち、前記サーバーは、前記ナビゲーション装置側より、前記目的地付近の駐車位置情報を取得するようになっており、同一内容の前記駐車位置情報の取得数が所定数を超えると、当該駐車位置情報が示す駐車場所を、前記目的地に対応する駐車場であると見なす駐車場判定手段と、前記駐車場判定手段が駐車場と見なした駐車場所の駐車位置情報を、駐車場情報として保存する情報保存手段、を備えた点に特徴がある。
【0015】
以上のような本発明は、ナビゲーション装置に対しサーバーが駐車場情報を提供する駐車場情報提供システムであるが、システムを構成するナビゲーション装置が、単にサーバーから施設情報をダウンロードするだけではなく、目的地付近の駐車位置情報をサーバーにアップロードするようになっている。
【0016】
このため、駐車場情報提供システムが構築された当初にはサーバーに駐車場情報が蓄積されていなかったとしても、サーバーにアップロードした目的地付近の駐車位置情報を判断材料として、目的地付近の駐車場所を駐車場と見なし、この駐車場の情報を保存していくことが可能である。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載の駐車場情報提供システムにおいて、前記ナビゲーション装置は、前記駐車検知手段にて駐車したことを検出された自車両が、駐車状態から発車したことを検知する発車検知手段を有しており、前記サーバーは、前記ナビゲーション装置から前記駐車検知手段及び前記発車検出手段の検知結果を取得して、これらの結果に基づき前記駐車場判定手段が駐車場と見なした駐車場所での駐車状況の日時の重なり具合から、当該駐車場所における最大駐車台数及び任意の時点での駐車台数を求め、両者の差より前記駐車場所での駐車可能台数を算出する駐車可能台数算出手段を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
上記の請求項2の発明では、サーバーにおいて、駐車可能台数算出手段が駐車場における駐車可能な残り台数を算出するので、この情報を情報送受信手段にて駐車場情報に含めて、ナビゲーション装置は取得することができる。したがって、ナビゲーション装置のユーザーは、駐車場に到着する前に、その駐車場に駐車が可能かどうかを知ることができ、無駄足を踏むことが無い。
【0019】
請求項3〜7の発明は、請求項1又は2に記載の駐車場情報提供システムに用いられる施設情報管理用のサーバーに関するものである。請求項3の発明は、前記駐車場判定手段にて取得した前記目的地付近の駐車位置情報について、同一の前記駐車位置情報の受信回数を計測する受信回数計測手段を備えたことを特徴としている。
【0020】
以上の請求項3記載のサーバーでは、受信回数計測手段が、内容が同一である駐車位置情報の受信回数を計測するので、サーバーの情報送受信手段はナビゲーション装置に対し、前記受信回数についての情報を加味して、駐車場情報を送信可能である。このため、受信回数の多寡により、ユーザーは駐車場の規模を推定することができる。
【0021】
請求項4記載のサーバーでは、前記情報保存手段は、予め開催期間が限定的であるイベントに関する情報を保存しており、前記駐車場判定手段は、判定対象である前記駐車位置に近接した前記目的地が前記イベントの開催位置と合致した場合、前記目的地に対応する駐車場を臨時駐車場として判定するように構成したことを特徴とする。
【0022】
このような請求項4の発明においては、サーバーの情報保存手段がイベントの情報を保存している場合に、目的地付近の駐車位置情報を取得した際、元々の目的地がイベントの開催位置と合致するのであれば、駐車場判定手段は、駐車場と見なしている駐車場所を、臨時駐車場として判定することができる。これにより、現状に即した判定が可能である。
【0023】
請求項5の発明は、前記情報保存手段が、予め施設情報として有料駐車場の位置情報を保存しており、前記駐車場判定手段は、前記目的地に対応する駐車場であると見なした駐車場所が、前記有料駐車場と合致した場合、前記目的地に対応する駐車場を有料駐車場として判定するように構成したことを特徴としている。
【0024】
上記の請求項5の発明では、ナビゲーション装置からサーバーに送られる駐車位置情報が、サーバーで保存していた有料駐車場の位置情報と合致するのであれば、駐車場判定手段は、駐車場と見なした駐車場所を、有料駐車場として判定する。
【0025】
したがって、ナビゲーション装置からアップロードされた情報に基づいて駐車場として見なされた駐車場所と、予めサーバーに登録されている有料駐車場とが同一であるにもかかわらず、別々の駐車場であるかのように見なされることがなく、ユーザーに混乱を与える心配がない。
【0026】
請求項6の発明は、前記駐車場判定手段にて、駐車場と見なされる駐車場所が1つの目的地に対して複数存在すると判定した場合、前記駐車場所の位置情報をリスト化して駐車場リストを作成する駐車場リスト作成手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
以上のような請求項6の発明においては、駐車場判定手段が、同一の目的地に複数の前記駐車場が存在すると判定した場合に、駐車場リスト作成手段にて、駐車場所の位置情報をリスト化して駐車場リストを作成することができる。したがって、情報送受信手段は、施設情報と共にこの駐車場リストをナビゲーション装置に配信することができる。そのため、ユーザーは駐車場リストの中から、所望の駐車場を選択可能であって、使い勝手が向上する。
【0028】
請求項7の発明は、請求項1又は2に記載の駐車場情報提供システムに用いられるナビゲーション装置であって、前記サーバーに対し任意の施設の駐車場について問い合わせを行い、前記施設の駐車場に関する駐車位置情報を取得した際、前記経路探索手段は、前記駐車場情報に基づいて、前記出発地から前記駐車場までの経路を探索するように構成したことを特徴としている。
【0029】
請求項7の発明に係るナビゲーション装置では、前記サーバーに対し任意の施設の駐車場について問い合わせを行った場合、前記施設の駐車場に関して駐車位置情報を取得すると、経路探索手段は出発地から目的地までの経路を探索するのではなく、目的地に対応した駐車場までの経路を探索する。したがって、ユーザーは目的地を経由してから駐車場に向かうのではなく、目的地に対応した駐車場に直行することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上述べたように、本発明によれば、ナビゲーション装置がサーバーに送信した情報に基づきサーバーにて目的地付近の駐車場の位置を推定することにより、ナビゲーション装置に対し、目的地に対応した駐車場情報を提供する駐車場情報提供システム、サーバー及びナビゲーション装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る代表的な実施形態の一例について、図1〜図3を参照して具体的に説明する。本実施形態は、ネットワーク環境で利用される駐車場情報提供システムであって、施設情報を管理するサーバーからナビゲーション装置に駐車場情報を提供するシステムである。図1は本実施形態の全体構成図、図2は本実施形態の概念図、図3及び図4は本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0032】
(1)本実施形態の構成
図1に示すように、本実施形態に係る駐車場情報提供システムは、通信端末20を介してネットワークNに接続されたナビゲーション装置1及びサーバー21から構成されている。
【0033】
ナビゲーション装置1及びサーバー21にはそれぞれ、情報送受信部2、12が設けられ、各情報送受信部2、12が通信端末20によってネットワークNに接続されることで、ナビゲーション装置1からサーバー21へ情報のアップロードが行われ、サーバー21からナビゲーション装置1へ情報のダウンロードが行われるようになっている。
【0034】
ナビゲーション装置1側の情報送受信部2が、通信端末20を介してサーバー21へとアップロードする情報としては、後述する施設位置情報取得部11の取得した施設位置情報と、これに対応させた駐車位置情報取得部9の取得した駐車位置情報がある。また、ナビゲーション装置1側の情報送受信部2が、サーバー21からダウンロードする情報としては、近隣駐車場の位置情報を含む施設情報がある。
【0035】
[ナビゲーション装置1の構成]
ナビゲーション装置1には、ナビゲーション機能を実現するための基本的な構成として、情報保存部3、目的地設定部4、自車位置検出部5、経路探索部6、経路案内制御部7が設けられている。
【0036】
このうち、情報保存部3は、サーバー21側から送られてきた施設情報や地図情報を取り込んで保存する記憶領域である。施設情報としては、施設の名称を始めとして、経度・緯度の各座標にて示される施設の位置情報、施設の住所や電話番号などがある。
【0037】
目的地設定部4は、ユーザー操作により地図情報上の任意の地点を目的地として設定する部分である。自車位置検出部5は、GPS衛星からのGPS電波や車速センサからの車速パルスなどに基づいて、自車位置を検出する部分である。自車位置検出部5は、出発地設定部を兼ねており、自車位置検出部5にて検出された自車位置が出発地として設定されるようになっている。
【0038】
経路探索部6は、自車位置検出部5にて検出される自車位置を出発地として、この出発地から、目的地設定部4にて設定される目的地までの経路を、情報保存部3に保存された地図情報に基づいて探索する部分である。経路案内制御部7は、経路探索部6の探索した経路について、画像出力や音声出力を制御することで経路案内を行う部分である。
【0039】
また、ナビゲーション装置1には、駐車場情報提供システムの構築に寄与する特徴的な部分として、駐車検知部8、駐車位置情報取得部9、発車検知部10、施設位置情報取得部11が設置されている。このうち、駐車検知部8は、目的地設定部4にて設定した目的地から所定の範囲内、具体的には、目的地を中心として半径500mの範囲内の位置で、自車両のエンジンを切りACC電源をオフ状態として駐車状態となったことを検知する部分である。
【0040】
駐車位置情報取得部9は、駐車検知部8が自車両の駐車状態を検出した時点での自車位置の位置情報を、自車位置検出部5より駐車位置情報として取得する部分である。発車検知部10は、目的地を中心として半径500mの範囲内の位置で、駐車状態にある自車両のACC電源がオン状態となりエンジンをかけて発車状態となったことを検知する部分である。
【0041】
また、施設位置情報取得部11は、目的地設定部4にて任意の施設を目的地として設定した場合に、その施設の位置情報を前記情報保存部3より取得する部分である。さらに、上記情報送受信部2は、施設位置情報取得部11の取得した施設位置情報と、駐車位置情報取得部9の取得した駐車位置情報とを、対応させてサーバー21に送信すると共に、サーバー21が配信する施設情報を受信するようになっている。
【0042】
[サーバー21の構成]
サーバー21では、駐車場情報を含む施設情報を集約的に管理している。サーバー21における情報送受信部12は、ナビゲーション装置1の情報送受信部2から、駐車位置情報取得部9及び施設位置情報取得部11の取得した施設や駐車場所の位置情報、さらには駐車検知部8や発車検知部10の検知結果を受信すると共に、ナビゲーション装置1の情報送受信部2に対し、施設の近隣駐車場の位置情報を含む施設情報を配信するように構成された部分である。
【0043】
また、サーバー21には、駐車場判定部13と、駐車可能台数算出部14と、駐車場リスト作成部15と、施設情報データベース16が設けられている。施設情報データベース16には、次の3つのデータベース、駐車場情報データベース17、イベント情報データベース18及び有料駐車場情報データベース19が包含されている。
【0044】
このうち、駐車場判定部13は、本実施形態の主要部であって、情報送受信部12が受信した施設位置情報及び駐車位置情報に基づいて、駐車位置情報が示す駐車場所を、施設位置情報が示す施設の近隣に位置する駐車場であると見なす部分である。
【0045】
より詳しくは、情報送受信部12が受信した施設位置情報及び駐車位置情報の中で、互いに対応する施設位置情報及び駐車位置情報の組合せが同一であるものが、所定数以上存在する場合に、駐車場判定部13は、駐車位置情報が示す駐車場所を、施設位置情報が示す施設の近隣に位置する駐車場であると見なしている。
【0046】
ここでは、施設が小規模な飲食店などであり、その施設が持つ駐車場としては駐車スペースがある2台分であると想定して、駐車場判定部13が駐車場所を駐車場と見なす際の位置情報の取得数を、2回に設定する。
【0047】
具体的には、ナビゲーション装置1側で、任意の施設Aを目的地として経路案内を行った際、施設Aを中心として半径500m以内に自車両が駐車した位置B、Cがあったとすると、施設Aの位置情報aと、自車両の駐車した位置Bの位置情報bの組合せで2回取得した場合に(位置情報a、bの組合せで、情報送受信部12が2回受信するとき)、駐車場判定部13は、駐車位置Bを施設Aの近隣駐車場と判定することになる。
【0048】
また、自車両の駐車した位置が前記駐車位置Bとは異なる位置Cであった場合、この駐車位置Cが施設Aを中心として半径500m以内であって、施設Aの位置情報aと、駐車位置Cの位置情報cの組合せで2回取得すれば(位置情報a、cの組合せで情報送受信部12が2回受信すれば)、駐車場判定部13は、駐車位置Cについても施設Aの近隣駐車場と見なすことにする。
【0049】
以上述べたように、駐車場判定部13は、同一の施設Aに関して、その施設位置情報aに関連付けられた駐車位置Bと、これとは別の駐車位置Cを、ナビゲーション装置1側からそれぞれ2回以上取得すれば、駐車場が複数存在すると判定するようになっている。
【0050】
また、駐車場判定部13は、駐車位置情報が示す駐車場所が、臨時駐車場であるか否か、さらには、有料駐車場であるかどうかを判定する部分である。臨時駐車場であるかどうかは、イベント情報データベース18のイベント情報に基づいて判定され、有料駐車場であるかどうかは、有料駐車場情報データベース19の有料駐車場情報に基づいて判定される。
【0051】
駐車可能台数算出部14は、ナビゲーション装置1の駐車検知部8及び発車検出部10の検知結果を取得し、これらの結果に基づいて駐車場判定部13が駐車場と見なした駐車場所での駐車状況の日時の重なり具合から、当該駐車場所における最大駐車台数及び任意の時点での駐車台数を求め、さらには両者の差から、この駐車場所での駐車可能台数を算出する部分である。
【0052】
上記の駐車場判定部13が、同一の施設に対応する駐車場が複数存在すると判定した場合に、駐車場リスト作成部15は、駐車場所の位置情報をリスト化して駐車場リストを作成するように構成されている。
【0053】
施設情報データベース16に含まれるデータベースのうち、駐車場情報データベース17は、駐車場判定部13の判定結果に基づいて、駐車場における位置情報を施設情報に対応付けて保存する部分である。
【0054】
また、イベント情報データベース18は、開催期間が限定的であるイベントの情報を保存する部分であり、イベント情報としては開催期間やイベント施設の位置情報、有料であればその料金などがある。さらに、有料駐車場情報データベース19は有料駐車場の情報を保存する部分であって、位置情報や料金、営業時間などを保存するようになっている。
【0055】
(2)本実施形態の制御処理
以上のような本実施形態における制御処理について、図2の概念図及び図3、図4のフローチャートを参照して説明する。本実施形態は、サーバー21が駐車場情報1をナビゲーション装置1に提供するシステムであるが、その前段階として、サーバー21がナビゲーション装置1から駐車場情報を構築するための情報収集を行う。さらに、サーバー21において、収集した情報に基づき駐車場情報を示す駐車場所が任意の施設に隣接した駐車場であるかどうかの判定を下すことで、サーバー21が駐車場情報を獲得するようになっている。
【0056】
図2に示した概念図では、この駐車場情報を構築するための情報収集を担うナビゲーション装置1搭載の車両の動きについて示している。すなわち、車両Vは、目的地を設定して出発し、目的地に到着する。しかし、目的地に駐車場がないため、目的地の施設にいる人に駐車場の場所を聞いたり、看板などの案内を頼りにしながら、目的地付近(目的地から500m以内)の駐車場に到着したとする。ここでエンジンを切りACC電源を切ることで自車両の駐車状態を検出し、駐車場所の自車位置情報を駐車位置情報としてサーバー21に送信する。
【0057】
[ナビゲーション装置1側]
上記のナビゲーション装置1における情報収集から、駐車位置情報のサーバー21への送信までを、図3のフローチャートにて説明する。すなわち、通常のナビゲーション装置1と同じく、本発明に係るナビゲーション装置1でも、自車位置検出部5にて検出した自車位置を出発地に設定し(S101)、目的地設定部4にて任意の施設を目的地に設定して(S102)、経路探索部6が出発地から目的地までの経路を探索した上で(S103)、経路案内制御部7が探索した経路案内を実施する(S104)。
【0058】
経路案内制御部7による経路案内に従って、自車両が目的地に到着した後、ユーザーは駐車場を探し、目的地付近の駐車場を見つけたとする。このとき、目的地とした施設から500mの範囲内で、且つ自車両が駐車したかどうかを確認する(S105)。
【0059】
そして、駐車検知部8は自車両が前記施設から500mの範囲内の位置で駐車状態となったことを検知すると(S105のYes)、駐車位置情報取得部9は、駐車検知部8が駐車状態を検知した時点での自車位置検出部5による自車位置を、駐車位置情報として取得する(S106)。
【0060】
また、施設位置情報取得部11は、目的地設定部4にて目的地とした施設の位置情報に関して、情報保存部3から取得する(S107)。そして、情報送受信部2が、前記駐車位置情報を前記施設位置情報に関連付けてサーバー21側に送信する(S108)。
【0061】
さらに、目的地とした施設から500mの範囲内で駐車していた自車両が、駐車状態から発車したかどうかを確認し(S109)、発車検知部10が自車両が発車したことを検知すれば(S109のYes)、情報送受信部2は、駐車検知部8及び発車検知部10の検知結果についてもサーバー21側に送信する(S110)。
【0062】
[サーバー21側]
続いて、サーバー21側の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。ナビゲーション装置1側の情報送受信部2から、通信端末20を介して各種の情報を受信したサーバー21は、受信した情報に基づき、駐車場判定部13において、駐車場判定を実施する。
【0063】
すなわち、同一の施設位置情報に関して同一の駐車位置情報について、駐車場判定部13での取得数をカウントし(S201)、同一の施設位置情報に関して同一の駐車位置情報を、駐車場判定部13がナビゲーション装置1側から2回以上取得した場合には(S201のYes)、2台以上の車両が当該駐車位置に駐車したことを意味している。この時、駐車場判定部13は、駐車位置情報の示した駐車場所を、目的地である施設に隣接した駐車場であると見なす(S202)。
【0064】
前述したように、駐車場と見なす駐車場所は、複数存在しても構わない。これは、施設の駐車場が複数箇所に離れて点在する場合などに相当している。そのため、駐車場判定部13にて、駐車場と見なす駐車場所が1つしかないかどうかを確認し(S203)、駐車場所が複数存在する場合には(S203のNo)、駐車場リスト作成部15が駐車場所の位置情報をリスト化して駐車場リストを作成する(S204)。
【0065】
また、目的地付近の駐車位置情報が示す駐車場所について、この時の目的地がイベント情報データベース18に保存されているイベントの開催位置と合致した場合には(S205のYes)、駐車場判定部13は、目的地に隣接した駐車場と見なした駐車場所を、臨時駐車場として判定する(S206)。
【0066】
さらに、駐車場判定部13は、目的地付近の駐車位置情報が示す駐車場所が、有料駐車場情報データベース19に保存されている有料駐車場の位置情報と合致した場合は(S207のYes)、駐車場と見なした駐車場所を有料駐車場として判定する(S208)。そして、以上の駐車場判定部13の判定結果に基づき、駐車場の位置情報を施設情報に対応付けて駐車場情報データベース17に保存する(S209)。
【0067】
[駐車場情報の配信]
サーバー21が、ナビゲーション装置1から任意の施設情報について、配信要求を受けたとき、この施設情報に対応付けられた駐車場情報が駐車場情報データベース17に存在するならば、情報送受信部12が施設情報と共に駐車場情報をナビゲーション装置1に送信する。
【0068】
(3)本実施形態の作用効果
以上述べた本実施形態によれば、ナビゲーション装置1側から集めた駐車位置情報に基づいて、任意の施設付近に存在する駐車場情報について構築可能である。したがって、道路の路面に敷設する検出装置などの大規模な設備は不要であり、低コストで、サーバー21に未登録であった駐車場情報について、ナビゲーション装置1に提供することが可能である。
【0069】
また、本実施形態では、駐車可能台数算出部14にて任意の時点での駐車場所での駐車可能台数を算出するので、この情報を提供されたナビゲーション装置1では駐車場に駐車が可能かどうかを事前に把握することが可能である。したがって、ユーザーは満車で駐車できない駐車場に向かうことがなくなり、良好な使用感を得ることができる。
【0070】
さらに、本実施形態のサーバー21では、駐車場判定部13にて駐車場が臨時駐車場であることや、有料駐車場であることを判定しているので、これらの情報を駐車場情報に含めてナビゲーション装置1に配信可能である。このうち、臨時駐車場についての情報配信を行うことで次のような効果がある。
【0071】
一般に、花火大会など、開催される期間や時間が限定的なイベントでは、周辺状況が判り難いので、臨時駐車場情報は通常の駐車場情報にも増して重要度が高い。ところが、イベント会場を示すイベントの開催位置はサーバー21に登録されていたとしても、イベント時の臨時駐車場については、当日の混み具合などによって駐車スペースの増減や変更などもあるので、サーバー21に登録されていなかった。
【0072】
そこで本実施形態に係るシステムによれば、サーバー21に臨時駐車場の情報が無いという状況を改善でき、ユーザーの要望に的確に応えることができる。しかも、駐車可能台数算出部14の算出結果を合わせて駐車場情報の提供可能なので、駐車スペースの増減や変更にも柔軟に対応することができ、駐車場情報としての質を高めることが可能である。
【0073】
また、有料駐車場についての情報配信によって以下のような効果が得られる。有料駐車場の位置情報は、臨時駐車場とは異なり、施設情報としてサーバー21側に予め保存されていることが多い。そこで、駐車場判定部13にて駐車場と見なした駐車場所が、有料駐車場と一致するのであれば、有料駐車場であるという判定を優先させる。これにより、駐車場所と有料駐車場とが同一であるにもかかわらず、別々の駐車場であるかのように見なすことを回避でき、ユーザーに混乱を与えることがない。
【0074】
さらに、本実施形態では、駐車場判定部13が、同一の施設に対応する駐車場が複数存在すると判定した場合に、駐車場リスト作成部15により駐車場所の位置情報をリスト化して駐車場リストを作成している。したがって、サーバー21の情報送受信部12から、ナビゲーション装置1に対し、この駐車場リストを含めて駐車場情報を提供可能である。そのため、ユーザーは、ナビゲーション装置1側で、受信した駐車場リストの中から、所望の駐車場を選択することができ、高い使い勝手を得ることができる。
【0075】
(4)他の実施形態
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、各部の構成などは適宜変更可能であり、例えば、ナビゲーション装置1の駐車検知部8としては、駐車情報アップロード専用の操作ボタンを、車両に設置するようにしてもよい。
【0076】
また、サーバー21側の他の形態としては、情報送受信部12にて受信される同一の駐車位置情報の受信回数を計測する手段を設け、この計測結果を駐車場情報に加えるようにしてもよい。サーバー21における駐車位置情報の受信回数は、駐車場判定部13にて駐車場であると見なした駐車位置に関して、確実に駐車場であるかどうかの判断の指標となり得る。すなわち、駐車位置情報の受信回数の多寡により、ユーザーは、サーバー21の駐車場判定部13による駐車場判定の正確度、並びにその駐車場の規模を推定することができる。
【0077】
また、本発明に係るナビゲーション装置1として、駐車場判定部13が駐車場と見なした駐車場所の駐車位置情報を、駐車場情報としてサーバー21より受信した場合に、ナビゲーション装置1に組み込んだ経路探索部6により、駐車場情報に基づいて、出発地から駐車場までの経路を探索するように構成してもよい(図5参照)。
【0078】
このような実施形態では、サーバー21側に任意の施設情報に関して配信要求を行い、サーバー21側に当該施設情報に対応付けられた駐車場情報が存在するならば、この駐車場情報がサーバー21側から配信されて、これを受信する。
【0079】
このとき、経路探索部6は、ユーザーがサーバー21側に配信要求した施設を目的地とするのではなく、この施設に対応する駐車場を目的地と見なして経路探索を行う。このため、ユーザーは施設を経由することなく、施設に対応した駐車場(より正確にはサーバー21にて施設付近の駐車場であると見なされた駐車場所)にまで直接向かうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る代表的な実施形態の全体構成図。
【図2】本実施形態の概念図。
【図3】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図4】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明に係る他の実施形態の概念図。
【符号の説明】
【0081】
1…ナビゲーション装置
2、12…情報送受信部
3…情報保存部
4…目的地設定部
5…自車位置検出部
6…経路探索部
7…経路案内制御部
8…駐車検知部
9…駐車位置情報取得部
10…発車検知部
11…施設位置情報取得部
13…駐車場判定部
14…駐車可能台数算出部
15…駐車場リスト作成部
16…施設情報データベース
17…駐車場情報データベース
18…イベント情報データベース
19…有料駐車場情報データベース
20…通信端末
21…サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場情報を含む施設情報を集約的に管理するサーバーと、前記サーバーとの間で各種の情報を送受信するナビゲーション装置とからなり、前記ナビゲーション装置に対し前記サーバーから前記駐車場情報を提供するように構成した駐車場情報提供システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
前記施設情報及び地図情報を保存する情報保存手段と、
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
出発地を設定する出発地設定手段と、
前記地図情報上の任意の地点を目的地として設定する目的地設定手段と、
前記出発地から前記目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段の探索した経路についての経路案内を制御する経路案内制御手段と、
前記目的地設定手段にて設定した目的地から所定の範囲内で自車両が駐車したことを検知する駐車検知手段と、
前記駐車検知手段及び前記自車位置検出手段の検知結果に基づいて、自車両が駐車した場所の位置情報を、目的地付近の駐車位置情報として取得する駐車位置情報取得手段、を有しており、
前記サーバーは、
前記ナビゲーション装置側より、前記目的地付近の駐車位置情報を取得するようになっており、同一内容の前記駐車位置情報の取得数が所定数を超えると、当該駐車位置情報が示す駐車場所を、前記目的地に対応する駐車場であると見なす駐車場判定手段と、
前記駐車場判定手段が駐車場と見なした駐車場所の駐車位置情報を、駐車場情報として保存する情報保存手段、を備えたことを特徴とする駐車場情報提供システム。
【請求項2】
前記ナビゲーション装置は、前記駐車検知手段にて駐車したことを検知された自車両が、駐車状態から発車したことを検知する発車検知手段を有しており、
前記サーバーは、
前記ナビゲーション装置から前記駐車検知手段及び前記発車検出手段の検知結果を取得して、これらの結果に基づき前記駐車場判定手段が駐車場と見なした駐車場所での駐車状況の日時の重なり具合から、当該駐車場所における最大駐車台数及び任意の時点での駐車台数を求め、両者の差より前記駐車場所での駐車可能台数を算出する駐車可能台数算出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の駐車場情報提供システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駐車場情報提供システムに用いられる施設情報管理用のサーバーであって、
前記駐車場判定手段にて取得した前記目的地付近の駐車位置情報について、同一の前記駐車位置情報の受信回数を計測する受信回数計測手段を備えたことを特徴とするサーバー。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の駐車場情報提供システムに用いられる施設情報管理用のサーバーであって、
前記情報保存手段は、予め開催期間が限定的であるイベントに関する情報を保存しており、
前記駐車場判定手段は、判定対象である前記駐車位置に近接した前記目的地が前記イベントの開催位置と合致した場合、前記目的地に対応する駐車場を臨時駐車場として判定するように構成したことを特徴とするサーバー。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の駐車場情報提供システムに用いられる施設情報管理用のサーバーであって、
前記情報保存手段は、予め施設情報として有料駐車場の位置情報を保存しており、
前記駐車場判定手段は、前記目的地に対応する駐車場であると見なした駐車場所が、前記有料駐車場と合致した場合、前記目的地に対応する駐車場を有料駐車場として判定するように構成したことを特徴とするサーバー。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の駐車場情報提供システムに用いられる施設情報管理用のサーバーであって、
前記駐車場判定手段にて、駐車場と見なされる駐車場所が1つの目的地に対して複数存在すると判定した場合、前記駐車場所の位置情報をリスト化して駐車場リストを作成する駐車場リスト作成手段を備えたことを特徴とするサーバー。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の駐車場情報提供システムに用いられるナビゲーション装置であって、
前記サーバーに対し任意の施設の駐車場について問い合わせを行い、前記施設の駐車場に関する駐車位置情報を取得した際、前記経路探索手段は、前記駐車場情報に基づいて、前記出発地から前記駐車場までの経路を探索するように構成したことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−176500(P2010−176500A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19850(P2009−19850)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】