説明

駐車支援システム

【課題】各種障害物を含む駐車支援用の画像提供を車両側の負担を極力少なくして行えるようにする。
【解決手段】駐車施設Tが、駐車施設T内の物体を検出するセンサ類19と、駐車スペース1を上方から撮像するカメラCと、カメラCで撮像された車両Vおよびその周囲の映像を含む駐車支援情報を生成する映像処理部12を有する。駐車支援用の画像が、映像処理部12から双方向通信によって車両Vに送信される。駐車支援用の画像は、センサ等19で検出された非定常物(例えば買物カートや人間)のデータを含むものとして生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を利用して駐車支援を行う駐車支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車支援を行うために、車両(自車両)の周囲状況を撮像した映像を車両に搭載された表示手段に表示させることが行われている。特許文献1には、車両に装備された制御部によって、車両に搭載された車載カメラで撮像された映像に対して駐車施設に装備された施設側カメラで撮像された映像を加味した駐車支援情報を生成して、この駐車支援情報を車両に装備された表示手段に表示させることが開示されている。
【0003】
特許文献2には、車両に搭載された制御部によって、駐車施設に装備された施設側カメラでもって駐車場全体を上方から撮像した映像を得て、駐車場平面の作成と空き駐車スペースの検出を行って、車両の現在位置から空き駐車スペースまでの誘導経路を作成して、この誘導経路を車両に搭載された表示手段に表示することが開示されている。特許文献3には、自車両が後退するときに、自車両に搭載したカメラでは死角となる領域の映像を、他車両に搭載したカメラで撮像するようにして、この他車両で撮像された死角領域の映像を自車両に搭載された表示手段に表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−148472号公報
【特許文献2】特開2005−182504号公報
【特許文献3】特開2004−64696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の駐車支援システムにあっては、車両に駐車支援用の映像を撮像するための撮像手段を搭載する他、この撮像手段で撮像された映像を含む駐車支援要の映像を生成するための特別の制御部(つまりプログラム)や駐車支援情報生成のための膨大な各種データを記憶しておく必要がある。このことは、車両側にとってみれば、開発コストや製造コストがアップしたり複雑な制御を実行しなければならない等の原因となる。
【0006】
また、駐車施設は、支柱や樹木等の既知の固定物が存在することも多いが、駐車の際に障害物となるこれらの固定物は駐車施設にとっては既知である一方、駐車しようとする車両(の運転者)にとってはその存在を知らないことも多く、駐車に際して誤って固定物に衝突させてしまう事態も生じやすいものとなる。このような駐車施設内の固定物を車両に搭載したカメラやレーダ等によって検出することは、カメラ等を装備するコストが極めて高くなると共に、カメラ等の撮像範囲に入らない(死角にある)固定物までを完全に検出することは難しいものとなる。さらに、駐車施設内には、既知の固定物以外に、駐車の際に障害物となる種々の非定常物、例えば買い物カートや人間等が存在することも多いが、これらを含めて全ての障害物を車両側で検知して駐車支援情報として生成することは非常に難しいものとなる。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、駐車の際に障害物となる非定常物や既知の固定物を含む駐車支援用の画像を車両側の負担を極力少なくして提供できるようにした駐車支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
駐車施設が、駐車施設内をセンシングして物体を検出する物体検出手段と、駐車施設内に入場した車両に搭載された車載側通信手段との間で双方向通信を行うための施設側通信手段と、駐車施設内における既知の固定物の位置データを記憶している記憶手段と、施設側制御手段と、を備え、
前記施設側制御手段は、前記車両およびその周辺における駐車施設の俯瞰画像中に、前記物体検出手段手段で検出された非定常物と前記記憶手段に記憶されている既知の固定物とが表示されるように処理した支援画像を生成して、該支援画像を前記双方向通信を介して車両側に送信する制御を行う、
ようにしてある。
【0009】
上記解決手法によれば、車両およびその周辺の駐車施設の俯瞰画像となる支援画像が車両に提供されるが、この支援画像中には、既知の固定物の他、物体検出手段で検出された非定常物が含まれているので、駐車の際に、誤って非定常物や固定物に衝突してしまう事態を防止することができる。とりわけ、非定常物は、駐車施設内に設けた物体検出手段で検出するので、非定常物を死角なく(くまなく)検出することが可能であり、また駐車の際に障害となる既知の固定物の種類や位置等は駐車施設側において極めて正確に把握できるので、駐車しようとする車両にとって、障害物を確実に把握した状態で駐車の操作を行うことができ、障害物に誤って衝突してしまう事態を防止する上で極めて好ましいものとなる。以上に加えて、支援画像の生成は駐車施設側で行われるので、車両側で支援画像を生成する場合に比して、車両側の負担が極めて小さくてすむものとなる。
【0010】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記駐車施設が、前記双方向通信を介して、車両に搭載された表示手段を制御する車両側制御部に対して制御プログラムを送信するためのプログラム送信手段を有し、
前記車両側制御部は、受信した前記プログラムの実行に基づいて、前記支援画像を前記施設側制御部でもって設定した態様でもって前記表示手段に表示させる、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、支援画像を、車両側でとり得る表示態様に限定されることなく、駐車施設側で設定した態様、例えば移動物を強調して表示する等の表示態様とすることができ、駐車支援用の画像として好適なものとする上でより好ましいものとなる。また、制御プログラムが駐車施設側から提供されるので、車両側ではこの制御プログラムに対応したプログラムを有している必要がなくなり、車両側の負担がより軽減されることになる。
【0011】
前記支援画像が、前記非定常物と前記既知の固定物とが異なる表示態様でもって表示されるように生成される、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、特に認識もれを生じやすい非定常物をより明確に車両(の運転者)に認識させる上で好ましいものとなる。
【0012】
前記支援画像が、前記非定常物を静止物と移動物に分別して互いに異なる表示態様でもって表示されるように生成される、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、特に危険な移動物をより明確に車両(の運転者)に認識させる上で好ましいものとなる。
【0013】
前記支援画像が、簡易な画像でしかも前記非定常物と前記既知の固定物とをシンボル化した表示態様でもって生成される、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、支援画像のデータ容量を小さくしつつ、非定常物と既知の固定物とを強調して明確に表示する上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駐車施設内の非定常物や既知の固定物を含む駐車支援用の俯瞰画像を、車両側の負担を極力少なくして車両に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】駐車施設の一例を示す図。
【図2】駐車施設側と車両側とに装備されるシステムの一例を示す図。
【図3】表示される駐車支援情報の一例を示す図。
【図4】表示される駐車支援情報の別の例を示す図。
【図5】本発明の制御例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、Tは屋外に設置された駐車施設を示し、図中1は多数の駐車スペースであり、隣り合う駐車スペース1同士は区分線2で区画され、各駐車スペース1の後端(奥側)位置には車止め(用のブロックで縁石)3が設置されている。駐車施設Tの入口4には、開閉されるゲートバー5が設置され、車両Vは、入口4から開いたゲートバー5を通過して、走行路6を通って任意の駐車スペース1に到達できるようにされている。なお、駐車施設Tの出口は、図示を略すが入口4とは別の場所に設けられている。
【0017】
入口4の脇には、管理棟7が設置され、この管理棟7内に、駐車施設側のコントローラUTが装備されている。また、駐車施設Tには、高い位置において、各駐車スペース1を上方から撮像する撮影手段としてのカメラC設けられている。なお、全駐車スペース1を上方から撮影するために1台のカメラCでは不十分な場合は、複数のカメラCを設けておけばよい。また、駐車施設Tには、センサ、カメラ、レーダ等の物体特に非定常物を検出するためのセンサ類19が設置され、このセンサ類19によって、検出された非定常物の大きさ(種類)や非定常物までの距離が検出可能とされている。なお、センサ類19は、図1では1つのみ示されているが、実際には、駐車施設T内の非定常物をくまなく検出できるように、駐車施設Tの隅々まで検出できるように複数(多数)設置されているものである。
【0018】
カメラCで撮像された映像は、施設側コントローラUTに入力されて、施設側コントローラUTでもって、車両Vおよびその周辺の映像を含む駐車支援用の画像としての映像が生成される。そして、施設側コントローラUTでもって生成された駐車施設用の映像は、無線通信手段を介して車両Vに送信されて、車両Vに装備された表示手段に表示されるようになっている。
【0019】
図2は、施設側コントローラUTと、車両Vに搭載された車両側コントローラUVのシステム構成例が示される。この図2において、施設側と車両側とで互いに無線によって双方向通信するために、施設側コントローラUTが無線通信部11を有する一方、車両側コントローラUVが無線通信部31を有する。
【0020】
施設側コントローラUTは、映像処理部12、障害物検出手部13,車両挙動推定部14、支援プログラム配布部15,ネットワーク状態監視部16、トリガ発生部17を有する。また、施設側コントローラUTは、駐車施設を上方から見た詳細な地図データをデータベースとして記憶しているハードディスク等の記憶手段18を有する。記憶手段18に記憶されている地図データには、駐車施設T内に存在する各種の既知の固定物、例えば支柱、樹木、縁石、仕切壁、消火栓、建屋等々の大きさおよび位置が合わせて記憶されている。さらに、施設側コントローラUTには、前述した高所に設置されたカメラCで撮像された映像の他、センサ類19で検出された非定常物に関する情報が入力される。
【0021】
障害物検出部13は、地図データを記憶した記憶手段18とセンサ類19とからの出力を受けて、検出された障害物としての非定常物と既知の固定物とに関する大きさ(種類)や位置を地図データ中に組み込んで、映像処理部12に出力する。
【0022】
車両挙動推定部14は、後述するように車両側から送信されてくる車体の寸法に関する車体情報や舵角、車速、現在選択されている変速段(特に後退段)等の運転情報に基づいて、その後、車両Vが現在位置からどのような移動軌跡をたどるかの予測(推定)を行って、その予測結果を映像処理部12に出力する。映像処理部12で生成された映像は、圧縮処理された後、無線通信部11を介して車両V側に送信される。
【0023】
映像処理部12は、基本的に、カメラCで撮像された映像つまり駐車施設を受ける車両Vおよびその周辺の映像を取り込む。また、映像処理部12は、カメラCで撮像された映像中に、障害物検出部13で検出された障害物(非定常物および既知の固定物)を組み込む処理(合成)と、車両挙動推定部で予測されたその後の車両の移動軌跡を映像で示すための処理を行う。
【0024】
トリガ発生部17は、駐車支援開始の信号を発生するためのもので、実施形態では、入口4近くに設置したスイッチ9(図1参照)を車両Vの運転者が操作したときに駐車施設を受ける意思があるということで、駐車施設開始信号を出力するようになっている。支援プログラム配布部15は、車両Vでの制御に必要なプログラムを記憶していて(記憶手段)、トリガ発生部17から駐車支援開始の信号を受けたときに、記憶しているプログラムを車両Vに向けて送信する。なお、ネットワーク状態監視部16は、施設側コントローラUTが正常に作動しているか否かを監視するためのものであり、このネットワーク状態監視部16には、例えばGPSシステム等からの極めて正確な時刻情報が入力されるようになっている。
【0025】
一方、車両側コントローラUVは、無線通信部31の他、映像処理部32,車両情報送信部33,車両状態管理部34、表示装置35を有する。映像処理部32は、無線通信部31で受信した駐車支援用の圧縮された映像(映像信号)を解凍して、車両Vに搭載された表示装置35に出力する。表示装置35は、表示画面(ディスプレイ)35aと表示画面35aへの表示制御等を行う制御部35bとを有する。勿論、表示画面35aは、運転者に目視し易い位置に設置されているものである(例えばナビゲーション用の表示画面を利用することができる)。なお、表示画面35aは1つに限らず複数であってもよく、例えば運転者が後方を向いたときに運転者によって目視可能なバックモニタを表示画面35aとして利用することもできる。
【0026】
車両状態管理部34は、例えばGPS等からの正確な位置と時刻の情報が入力され、また各種車両情報が入力される。車両情報としては、実施形態では、車体の寸法(例えば全長、全幅、全高、ホイールベース等)に関する車体情報と、車速、舵角、変速段(特に後退段)等の運転情報との両方を含むものとされている。この車体情報と運転情報とは、車両Vが駐車する際に、現在位置から所定時間後(例えば1〜3秒後)までの移動軌跡を推定するために必要なデータとされる。そして、車両状態管理部34で入手された各種情報は、車両情報送信部33から無線通信部31を介して、施設側コントローラUT(の車両挙動推定部14)に送信される。
【0027】
ここで、施設側コントローラUTにおける支援プログラム配布部15から車両側コントローラUVに対して配布されるプログラムは、車両側コントローラUVの映像処理部32での映像処理と車両情報送信部33での車両情報送信を行うために必要なプログラムとされる。具体的には、映像処理部32においては、施設側コントローラUTの映像処理部12から出力される映像が圧縮されていることから、この圧縮映像を解凍(復元)して、通常の表示画面で表示可能な映像信号とするために必要なプログラムとされる。また、車両情報送信部33においては、車両挙動推定部14での移動軌跡の予測に必要な情報を選択して、施設側コントローラUT側に送信するために必要なプログラムとされる。
【0028】
図3は、車両Vに搭載された表示画面35aに表示される駐車支援用の画像としての映像例を示すものである。すなわち、表示画面35aに表示される映像は、施設側コントローラUTの映像処理部12から出力される映像信号に対応していて、車両側コントローラUVの映像処理部32から表示画面35a(の制御部35b)へ出力される映像信号に対応しているものとなる。
【0029】
図3の例では、複数の駐車スペース1を区別するために、個別に1a、1b、1c・・・の符合を付してある。車両Vは、駐車スペース1cに駐車しようとしているが、左隣りの駐車スペース1bには他車両VX1が既に駐車しており(静止物)、右前方の駐車スペース1fには他車両VX2が駐車しようとしている最中となっている(移動物)。この他車両VX1およびVX2は、車両Vにとっては障害物となっている。また、車両Vの周辺には、既知の固定物として例えば支柱K1、K2および仕切壁K3が位置し、非定常物のうち静止物として例えば買い物カートZ1が位置し、非定常物のうち移動物として人間M1、M2が位置している。
【0030】
図3に示す車両Vとその周辺の映像は、車両Vの現在位置が、駐車スペース1cや他車両VX1、VX2との関係で、上方から(俯瞰的に)見た映像として示されるので、車両Vを運転する運転者は、表示画面35aを目視しつつハンドル操作を行う等によって、各種の障害物(他車両VX1、VX2、既知の固定物K1〜K3、非定常物Z1、M1、M2)を確実に把握して、これらの障害物を避けつつ駐車することができる(駐車支援を受ける)。
【0031】
車両Vの予測されたその後(所定時間後)の移動軌跡が、破線で示される。この破線で示す移動軌跡のうち、α1、α2は、車両Vの左右外側面位置を示すものであり、β1,β2は、車両Vの後端位置を示すものである。この移動軌跡をみると、そのままでは、図3左側の他車両VX2に衝突してしまう可能性はないものの、駐車スペース1cの左側に寄り過ぎた位置に駐車してしまう可能性が高いことが理解され、車両Vの運転者は、より大きくハンドルを切る(右側に切る)操作をするよう促されることになる。
【0032】
図4は、図3に対応した駐車支援用の別の画像例を示すものである。図4では、図3の映像を簡易化する共に、障害物をシンボル化して簡易に示すものとなっている。具体的には、区分線2を表示する他に、車両V、他車両VX1、VX2が、上方から見た外形線(外形線が大きさを示すことになる)中にハッチングを付して示すようにされて、駐車支援を受ける車両Vについては特に明確に示すべく、例えば二重の外形線で示すと共にその4隅を点滅表示させるようになっている。また、既知の固定物K1〜K3については、その外形線中にハッチングを付して示してある。さらに、非定常物のうち、静止物Z1はその外形線にハッチングを付して示し、移動物となる他車両VX2と人間M1、M2についてはその移動方向を矢印で示すようにしてある。特に、人間M1、M2については、例えば二重丸でかつ実際の寸法よりも大きく表示して、他の物体と明確に区別できるような表示態様としてある。なお、図4では、予測される移動軌跡の表示は行わないようにしてあるが、移動軌跡の表示を行うようにすることもできる。
【0033】
図4のような表示態様は、漫画あるいはイラスト的な表示態様となって、駐車に際して不用な表示が全てあるいは殆ど削除された極めて簡素な表示態様とされるが、その分通信容量をより小さくでき、かつ車両Vの周辺にある駐車支援を受ける車両BVの運転者に対して障害物としての物体を明確に認識させる上で極めて好ましいものとなる。なお、図4のような表示態様は、滑らかな動画的な表示とすることもできるが、例えば毎秒数回程度表示内容を更新するコマ送り表示とすることもでき、こま送りの場合は、滑らかに映像が変化する動画の場合に比して、通信容量をはるかに小さくすることができる。
【0034】
図5は、前述した図3あるいは図4に示すような映像表示を車両Vの表示画面35aに行わせるための制御例を示すものである。以下、図5について説明するが、以下の説明でSはステップを示す。また、図中、左側のステップS1〜S10は施設側コントローラUTの制御内容を示し、右側のステップS21〜S25は車両側コントローラUVの制御内容を示す。図4に示すような表示態様は、車両V側の表示用プログラムで対応できない場合でも、施設側コントローラUT側から送信されるプログラムを利用して、車両Vの表示画面35aに表示させることが可能である。
【0035】
まず、S1において、管理棟7に装備された車両センサ8によって、車両Vが入口4に到達したか否かが判別される(車両センサ8については図1参照)。このS1の判別でYESのときは、S2において、駐車支援を受けるか否かの問い合わせ、および駐車支援を希望する場合にはスイッチ9を操作する旨の案内が、車両V(の運転者)に対してなされる(例えば音声案内)。この後、S3において、入口4にある車両Vの運転者が操作可能な位置に設けられた駐車支援確認スイッチ9が操作されたか否かが判別される。すなわち、駐車支援を受ける意思があるか否かの問い合わせを受けた車両BVの運転者がスイッチ9を操作することによって、S3の判別がYESとなって、駐車支援の制御が開始される。上記S1〜S3の処理が、図2におけるトリガ発生部17での制御内容に相当する。
【0036】
S3の判別でYESのときは、S4において、無線通信部11を用いた双方向通信が開始される(車両側ではS21が対応)。この後、S5において、駐車支援のためのプログラムが、双方向通信によって、施設側コントローラUTから車両側コントローラUVに送信される。S5での処理に対応して、車両側ではS22で駐車支援用プログラムが受信されて、起動される。この後、車両側コントローラUVでは、S23において、車両情報(車体寸法に関する車体情報と、車速、舵角、選択されている変速段等に関する運転情報)が、施設側コントローラUTに向けて送信され、これに対応して、施設側コントローラUTでは、S6において、車両情報を受信する。
【0037】
S6の後、S7において、カメラCで撮像された映像を含む駐車支援情報が生成される(例えば図3、図4に示すような駐車支援の映像の生成)。生成された駐車支援の映像は、S8において、車両側コントローラUVに送信される。車両側コントローラUVでは、S24において、駐車支援用の映像を受信して、表示画面35aに表示させる。
【0038】
S8の後、S9において、車両Vの駐車が完了したか否かが判別される。この判別は、例えば、カメラCで撮像された車両Vの映像が、ある駐車スペース1内に存在し、かつ所定時間以上不動状態であることが確認されたときに、駐車完了であると判断することができる。このS9の判別でNOのときは、S6に戻って、前述した処理が繰り返される。また、S9の判別でYESのときは、S10において、駐車支援を打ち切る(終了する)旨の信号が、車両側コントローラUVに向けて送信されて、施設側コントローラUTでの制御が終了される。車両側コントローラUVでは、駐車支援が打ち切る旨の信号を受信すると、車両側コントローラUV側での駐車支援に関する制御が終了される(駐車支援終了を音声案内してもよい)。
【0039】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。図5のS1〜S3の処理は、施設側コントローラUTとは別の施設側コントローラで行って、駐車支援開始スイッチ9がON操作されたときに、別の施設側コントローラから施設側コントローラUTに対して駐車支援開始のトリガ情報を送信して、このトリガ情報を受信したことを条件として、施設側コントローラUTでS4の制御から開始するようにすることもできる。図5のS1S3の処理を行うに際して、車両Vが入口4に到達した時点で駐車支援プログラムを車両Vに送信して、このプログラムの実行に基づいて、駐車支援を受けるか否かの問い合わせと、その応答(車両Vの運転者からの応答)を車両V側から施設側コントローラUTに対して送信させるようにすることもできる。さらに、入口4に到達した車両Vに対して、無条件に駐車支援を行うようにしてもよい。
【0040】
カメラCが斜めから駐車施設Tを撮像する場合に、真上から見た映像に変換する処理を行うのが好ましいものである(複数台のカメラCを用いて撮像する場合も同じ)。駐車する可能性が低いと考えられる場合(例えば所定車速以上で直進しているときや、車両Vが駐車スペースの近くに位置しない場合等)は、例えば、駐車施設の地図データ上に車両Vの現在位置や既に駐車済みの駐車スペースを表示させて、駐車支援用の映像とすることもできる(駐車スペースの案内表示)。カメラCは必ずしも必要としないものである(センサ類19で代用する)。
【0041】
障害物の表示に際して、色分けによって、障害物の種類をより明確に(強調して)識別させるようにしてもよい。この場合、例えば、他車両VX1、VX2、既知の固定物K1〜K3、非定常物のうち静止物Z1、非定常物のうち移動物M1、M2について色分け表示することができる。特に、移動物(人間や他車両で、特に人間)については、他の物体と明確に認識できるような色使いをしたり、この色分けに代えてあるいは色分けと共に点滅表示を行うこともできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、車両の駐車支援を行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
T:駐車施設
V:車両(駐車希望する車両)
VX1、VX2:他車両
K1〜K3:既知の固定物
Z1:非定常物(静止物)
M1、M2:非定常物(移動物)
C:カメラ(撮像手段)
UT:施設側コントローラ
UV:車両側コントローラ
1:駐車スペース
2:区分線
3:車止め
4:入口
5:ゲートバー
6:走行路
7:管理棟
8:車両センサ
9:スイッチ(駐車支援要請用)
11:無線通信部
12:映像処理部
13:障害物検出部
14:車両挙動推定部
15:支援プログラム配布部
17:トリガ発生部
19:センサ類(非定常物検出)
31:無線通信部
32:映像処理部
33:車両情報送信部
34:車両状態管理部
35:表示装置
35a:表示画面
35b:制御部(表示画面制御用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車施設が、駐車施設内をセンシングして物体を検出する物体検出手段と、駐車施設内に入場した車両に搭載された車載側通信手段との間で双方向通信を行うための施設側通信手段と、駐車施設内における既知の固定物の位置データを記憶している記憶手段と、施設側制御手段と、を備え、
前記施設側制御手段は、前記車両およびその周辺における駐車施設の俯瞰画像中に、前記物体検出手段手段で検出された非定常物と前記記憶手段に記憶されている既知の固定物とが表示されるように処理した支援画像を生成して、該支援画像を前記双方向通信を介して車両側に送信する制御を行う、
ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記駐車施設が、前記双方向通信を介して、車両に搭載された表示手段を制御する車両側制御部に対して制御プログラムを送信するためのプログラム送信手段を有し、
前記車両側制御部は、受信した前記プログラムの実行に基づいて、前記支援画像を前記施設側制御部でもって設定した態様でもって前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記支援画像が、前記非定常物と前記既知の固定物とが異なる表示態様でもって表示されるように生成される、ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記支援画像が、前記非定常物を静止物と移動物に分別して互いに異なる表示態様でもって表示されるように生成される、ことを特徴とする駐車支援システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記支援画像が、簡易な画像でしかも前記非定常物と前記既知の固定物とをシンボル化した表示態様でもって生成される、ことを特徴とする駐車支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175508(P2011−175508A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39791(P2010−39791)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】