説明

高ヒドロキシル量のセルロースエステルおよび液晶ディスプレイにおけるその使用

本発明は、ヒドロキシル基の高い置換度0.40〜2.00を有するセルロースエステル(高DSOHセルロースエステルともいう)の、LCD用途における基板および/または負C−板光学補償フィルムとしての製造および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、高ヒドロキシル量セルロースエステルに関する。より詳細には、本発明は、高ヒドロキシル量セルロースエステル、ヒドロキシル量セルロースエステルの製造方法および高ヒドロキシル量セルロースエステルの液晶ディスプレイにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
共同研究契約との関連
Eastman Chemical CompanyおよびAPS Corporationは、発明がなされた日の前に効力を発した共同研究契約を結んでおり、本発明は、該共同研究契約の範囲内で行われた活動の成果である。
【0003】
背景の議論
LCD用途におけるセルロースエステルの重要性は疑う余地のないものである。セルロースエステルは、LCDにおいて随所に見出される。LCDにおけるセルロースエステルの最も一般的な用途は、基板または偏光子の保護層としてである。セルロースエステル系基板は、幾つかの用途において、最も顕著には偏光子であるが、波長板および補償板としても使用されている。
【0004】
液晶ディスプレイ(LCD)は、比較的複雑な電子デバイスである。LCDに対する性能要求は、目的の市場により変化する。LCDテレビジョン(TV)は、視野角、コントラストおよび色歪みに関して極めて高い基準を満たさなければならない。Kelly,S.M.“Flat Panel Displays:Advanced Organic Materials,”Royal Society of Chemistry,Cambridge,UK,2000に見られる“schematic representation of the elements of a generalized liquid crystal display”は、以下の層:1)ミラー、2)アナライザ、3)光学位相差板(optical retarder)、4)背面基板および電極、5)パッシベーション層、6)配向層、7)ネマチック層(液晶層)、8)配向層、9)パッシベーション層、10)前面基板および電極、11)光学位相差板、ならびに12)偏光子、を記載する。Yehは、LCDの以下の典型的な光学部品:1)バックライト、2)拡散層、3)輝度向上フィルム、4)二重輝度向上フィルム、5)偏光子、6)補償フィルム、7)ガラス、8)薄膜トランジスタ、9)インジウムスズオキサイド電極、10)液晶層、11)カラーフィルター(RGB)、および12)補償フィルムを記載した(Yeh,P.SID Short Course,S−2:Fundamentals of Display Optics,2006)。上記の記載は、液晶ディスプレイ(LCD)の複雑な性質を示す。LCDの複雑な性質は、種々の層の性能を改善するための幾つかの機会を与え、そして場合により、多官能ポリマーを用いた層を組合せ、プロセスステップを排除することによって製造コストを低減させ、そして追加材料のコストを低減させる。
【0005】
TACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)(セルローストリアセテート(CTA)フィルムとしても公知)は、幾らか特異なブレンド物の特性、例えば所望の水浸透性レベル、寸法安定性、光学透明性、および最小複屈折値を与える。従来セルローストリアセテートフィルムは、溶媒キャスト法で製造され、次いで表面処理をしてフリーのヒドロキシル基を露出させてポリビニルアルコール系内部層への接着を改善する。追加の表面処理ステップの排除は、製造者にとって有利であり、そして加工速度を改善してフィルム中の欠陥による収率低下を排除できた。
【0006】
TACフィルムはまた、補償板用途において使用されている(WO第2006/016723号、米国特許第7,084,944号)。非延伸TACは、極めて低いレベルの補償を与え、そしてTACを補償用途で用いる場合、複雑な複層系または高価な添加剤,例えば棒状またはディスコティック液晶化合物が、許容できるレベルの補償を形成するために必要とされる。加えて、一軸および二軸の延伸プロセスは、フィルム欠陥を特に角部で招来する可能性がある。従って、基板および補償フィルムの両者として一軸延伸または二軸延伸なしで使用できたセルロースエステル系ポリマーは、LCDパネルおよびLCDにおいて使用される部品の存在および新たな製造の両者に有益である。
【0007】
セルロースアセテートプロピオネート(CAP)の従来の組成物(CAPの従来の組成物の例としては、CAP−482−20およびCAP−141−20が挙げられ、Eastman Chemical Companyから市販で入手可能である)もまた、種々のLCD用途における基板として使用される。従来のCAPは、典型的には、非ハロゲン化溶媒中で、CTA(TAC)と比べた場合に改善された溶解性能を有する。これは、偏光子フィルム、補償フィルムおよびLCDの製造者に対して環境的な利点を与える。従来のCAPはまた、TACに関連する多くの同じ不都合を被る。複雑な加工および延伸プロセス中に導かれるフィルム欠陥による収率損失を排除することは、技術的な利点という目的の後に長く探求されている。
【0008】
セルロースアセテートブチレート(CAB)は、補償フィルムにおいて主要なフィルム形成剤として用いられ、そして添加剤レベルで、補償シートのディスコティックまたは棒状の化合物層において、および波長板において、恐らくは流れおよびレベリングを補助する。
【0009】
セルロースエステルをLCD用途において使用するために、複雑な加工ステップが典型的に必要であり、これらのステップの各々は、フィルムにおける誤差または欠陥(収率損失をもたらす)を導く機会を生じさせる。表面改質の要求は、TACまたは従来のCAPの基板としての使用に関連する他の問題である。特別な注意をしてこれらの物質の加工を制御しなければならない。
【0010】
複雑な系を単純化してLCDの層を排除する方法についての必要性が存在する。LCD用途において使用される特定のセルロースエステルの現在の制限を解決する物質についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の簡単な説明
本発明は、複雑な系を単純化してLCDの層を排除する方法を提供する。本発明は、LCD用途において使用されるセルロースエステルの特定の現在の制限を解決するのに有用な物質、該物質を製造する方法を提供する。一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.40〜2.00のセルロースアセテート;0〜30質量パーセントの可塑剤;および0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテート、該可塑剤および該有機溶媒の総質量基準であり、そしてフィルムが非延伸である、フィルムを含む。
【0012】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.40〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.59、およびプロピオニル基の置換度0.01〜2.59、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0013】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.65〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.34、およびプロピオニル基の置換度0.01〜2.34、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0014】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.95〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.04、およびプロピオニル基の置換度0.01〜2.04、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0015】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度1.01〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜1.99、およびプロピオニル基の置換度0.01〜1.99、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;0〜30質量パーセントの、可塑剤または複数種の可塑剤の組合せ;ならびに0〜30質量パーセントの、有機溶媒または複数種の有機溶媒の混合物;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0016】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.40〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.59、およびブチリル基の置換度0.01〜2.59、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0017】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.65〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.34、およびブチリル基の置換度0.01〜2.34、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0018】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.95〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.04、およびブチリル基の置換度0.01〜2.04、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0019】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度1.01〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜1.99、およびブチリル基の置換度0.01〜1.99、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルムに関する。
【0020】
一側面において、本発明は、70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度が1.23超〜2.00であるセルロースアセテート;0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに0〜30質量パーセントの有機溶媒;を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテート、該可塑剤および該有機溶媒の総質量基準であり、そしてフィルムが延伸されている、フィルムに関する。
【0021】
セルロースエステル,例えば、これらに限定されるものではないが、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、およびセルロースアセテートブチレート(CAB)であってヒドロキシル基の高い置換度を有するもの、すなわちDSOHが約0.40〜約2.0および約1.01〜約2.0であるものが記載される。高ヒドロキシルセルロースエステル(ヒドロキシル基の高い置換度または高DSOH)の、液晶ディスプレイ(LCD)における使用が記載される。我々は、従来のセルロースエステルについて、DSOHが高くなるに従って、フィルムの633nmにおける複屈折Δn633は低くなる(すなわちより負になる)ことを見出した。従来のセルロースエステルは、市販で入手可能なセルロースのC2〜C4脂肪酸エステル,例えば、これらに限定されるものではないが、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、およびセルロースアセテートブチレート(CAB)等として記載される。本発明の一態様は、LCDに補償を与えるセルロースエステル組成物を開示する。本発明の別の態様は、二軸延伸なしでLCDに補償を与えるセルロースエステル組成物を開示する。高DSOHセルロースエステルの一態様は、延伸(一軸または二軸で)して補償性能を向上させるフィルムにおいて有用である。さらに、高DSOHセルロースエステルを含むこれらの本発明のフィルムは、表面改質が必要な標準的なセルローストリアセテート基板の有用な代替である。特定態様において、約3ミクロン〜1000ミクロンの範囲の標準厚みで、本明細書に記載する高ヒドロキシセルロースエステルを使用して、LCDにおいて2つの機能を与えることができる。これらの組成物は、LCDにおいて単層補償板/基板として作用できる。本発明に係る特定態様において、この方策の利点は2倍である。第1に、本発明の特定態様において、LCDの厚みは、高ヒドロキシルセルロースエステルの多機能性により不必要とされて排除される層によって低減できた。第2に、本発明の幾つかの態様において、コスト構造を改善できる。多機能単層フィルムの使用により、多くの加工ステップ、関連する資源コスト、プロセス制御コストおよび/または収率損失の排除が可能になるからである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、表2〜5による実施例1〜9および比較例21のヒドロキシルの置換度 対 複屈折のグラフである。
【図2】図2は、表2〜5による実施例10〜16および比較例22〜23のヒドロキシルの置換度 対 複屈折のグラフである。
【図3】図3は、表6による実施例1,3,4およびCAB−381−20の算出された遅延特性(retardance) 対 フィルム厚みのグラフである。
【図4】図4は、表6による実施例11および24、比較例22、およびCAP−482−20の算出された遅延特性 対 フィルム厚みのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、以下の発明の詳細な説明およびこれに包含される例を参照することによってより容易に理解できる。本発明の主題の組成物および方法を開示および説明する前に、本発明は、特記がない限り、具体的な合成方法または特定の配合に限定されず、そしてこれにより該開示から変形できることを理解すべきである。用いる専門用語は特定の態様を説明する目的のみであって発明の範囲の限定を意図するものではないこともまた理解すべきである。
【0024】
任意の、または任意に、とは、後続して記載される事象または状況が生じても生じなくてもよいことを意味する。記載は、事象または状況が生じる場合およびこれが生じない場合を包含する。
【0025】
各数値パラメータは、報告される有効数字の数を踏まえて、そして通常の四捨五入法を適用して少なくとも解釈すべきである。さらに、この開示および特許請求の範囲で記載される範囲は全範囲を具体的に包含しかつ1つまたは複数の端点のみではないことが意図される。例えば、0から10と記載される範囲は、例えば1、2、3、4等のような0から10の間の全ての整数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113等のような0から10の間の全ての端数、ならびに端点0および10を開示することが意図される。また、例えば「C1からC5の炭化水素」等の化学置換基に関連する範囲は、C1およびC5の炭化水素ならびにC2、C3およびC4の炭化水素を具体的に包含しかつ開示することが意図される。
【0026】
本発明の広範な範囲を説明する数値範囲およびパラメータが近似であることに関わらず、具体例において説明される数値は可能な限り厳密に記載される。しかしいずれの数値も、これらのそれぞれの試験測定で見られる標準偏差に起因して本質的にある程度の誤差を必然的に含有する。
【0027】
明細書および特許請求の範囲で使用される単数形"a" "an"および"the"は、他を指す明確な記載がない限りこれらの複数の指示対象を包含する。例えば、a "film"またはa "polarizer"の記載は、複数のフィルムまたは偏光子を加工または形成することを包含することが意図される。"an" additiveまたは"a" catalystを含有しまたは包含する組成物の記載は、名前の挙がったものに加えて他の含有成分または他の添加剤または他の触媒をそれぞれ包含することが意図される。
【0028】
"含む(comprising)"または"含有する(containing)"または"包含する(including)"によれば、少なくとも名前の挙がった化合物、成分、粒子、または方法ステップ等が組成物または物品または方法に存在するが、他の化合物、触媒、物質、粒子、方法ステップ等の存在は、他のこのような化合物、物質、粒子、方法ステップ等が名前の挙がったものと同じ機能を有しても、特許請求の範囲において明確に排除していない限りは排除されないことが意味される。
【0029】
また、1以上の方法ステップの記載は、組合された列挙されるステップの前もしくは後の追加の方法ステップ、または明確に規定されるこれらのステップの間の途中の方法ステップの存在を排除しないことを理解すべきである。さらに、プロセスステップまたは含有成分の表記は別々の働きまたは含有成分を規定するための便宜的な手段であり、そして列挙された表記は他の記載がない限り任意の配列に並べることができる。
【0030】
本件全体を通じて、特許または公開公報が参照される場合、これらの参照文献のこれらの全体における開示は、本発明が関連する技術水準をより完全に説明するために、これらが本発明と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組入れられることが意図される。
【0031】
本明細書で用いるCABは、セルロースアセテートブチレートを意味し;CAPは、セルロースアセテートプロピオネートを意味し;CAは、セルロースアセテートを意味し;CTAは、セルローストリアセテートを意味し;TACは、トリアセチルセルロースまたはセルローストリアセテートを意味し;DSは、モル基準でのセルロース骨格上の具体的な置換基の置換度を意味し、最大置換レベルは、無水グルコース単位当たり3.0であり;DSACは、アセチルエステルの置換度を意味し、;DSprは、プロピオニルエステルの置換度を意味し;DSBUは、ブチリルエステルの置換度を意味し;DSOHは、セルロース骨格の無水グルコース単位当たりでの非置換位置のモル数であるヒドロキシル基の置換度を意味し;DSMaxは、最大置換度を意味し、そして一般的に3.0として認められるが、セルロースエステルの重合度に応じてこれより高いことができ;DSEsterは、セルロースエステル上のエステル置換基の総置換度を意味し、CEは、セルロースエステルを意味し;GPCは、ゲル浸透クロマトグラフィを意味し;DSCは、示差走査熱量計を意味し;Tgは、摂氏温度でのガラス転移温度を意味し;Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィで測定した場合の数平均分子量を意味し;Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィで測定した場合の重量平均分子量を意味し;Mw/Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィで測定した場合の多分散度を意味し;Δn633は、633ナノメートルでの複屈折を意味し;IVは、インヘレント粘度を意味し;
【0032】
LCDは、液晶ディスプレイを意味し;C−板は、z方向がフィルム厚み方向を表す場合にx−y面において等方性である補償フィルムを意味し;正C−板は、x−y方向において等方性でかつnx=ny<nz(ここでz方向はフィルム厚み方向を表す)である補償フィルムを意味し;負C−板は、z方向がフィルム厚み方向を表す場合にx−y方向において等方性でかつnx=ny>nzである補償フィルムを意味し;A−板は、z方向がフィルム厚み方向を表す場合にy−z方向において等方性である補償フィルムを意味し;正A−板は、z方向がフィルム厚み方向を表す場合にy−z方向において等方性でかつnx>ny=nzである補償フィルムを意味し;負A−板は、z方向がフィルム厚み方向を表す場合にy−z方向において等方性でかつnx<ny=nzである補償フィルムを意味し;O板は、分子軸が斜角で傾斜している補償フィルムを意味し;
【0033】
TNは、ねじれネマチックを意味し;TN−LCDは、ねじれネマチック液晶セルを基にする液晶ディスプレイを意味し;STNは、超ねじれネマチックを意味し;STN−LCDは、超ねじれネマチック液晶セルを基にする液晶ディスプレイを意味し;VAは、垂直配向を意味し;VA−LCDは、垂直配向した液晶セルを基にする液晶ディスプレイを意味し;二軸延伸フィルムは、x軸およびy軸の両者で延伸されている重合フィルムを意味し;IPSは、横電界方式(in-plane switching)を意味し;IPS−LCDは、横電界方式液晶セルを基にする液晶ディスプレイを意味し;OCBは、光学補償ベンド(曲げ)(optically compensated bend)を意味し;OCB−LCDは、光学補償ベンド液晶セルを基にする液晶ディスプレイを意味し;HANは、ハイブリッド配向ネマチックを意味し;HAN−LCDは、ハイブリッド配向ネマチック液晶セルを基にする液晶ディスプレイを意味し;R0およびReは、両者とも面内レタデーション(in- plane retardation)を意味するために用い;RthおよびRtは、両者とも面外レタデーション(out-of plane retardation)を意味するために用いる。
【0034】
用語「アシル基」は、セルロース化合物のヒドロキシル基とカルボン酸との反応中にエステル中に導入されたカルボン酸の部分を意味する。面延伸は、機械方向にフィルムを延伸する一方でフィルムを横方向で束縛してフィルムがたわむのを防止するか、または横方向にフィルムを延伸する一方でフィルムを機械方向で束縛してフィルムがたわむのを防止することを意味する。
【0035】
本発明の特定態様において、セルロースエステルは、C2−C7アルカノエートエステルまたはC2−C4アルカノエートエステルを含む。望ましいセルロースエステルの例としては、これらに限定されるものではないが、ヒドロキシル基の置換度が高い、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネートブチレート(CAPB)、セルロースアセテートイソブチレート(CAiBu)、セルロースプロピオネートブチレート(CPB)、セルロースアセテートバレレート(CAV)、セルロースアセテートヘキサノエート(CAHex)、およびセルロースアセテートヘプタノエート(CAHep)が挙げられ、好ましくはDSOHが約0.5〜約2.0の間、およびDSOHが約0.75〜約2.0の間;およびDSOHが約1.01〜約2.00の間;およびDSOHが約1.01〜約1.75の間である。
【0036】
本発明の特定態様において、DSOHの下限範囲は、0.4または0.5または0.6または0.65または0.7または0.8または0.9または0.95または1.0または1.01または1.1または1.2または1.23超または1.25または1.3または1.4,または1.5または1.6または1.7または1.8または1.9である。本発明の特定態様において、DSOHの上限範囲は、0.5または0.6または0.65または0.7または0.8または0.9または0.95または1.0または1.01または1.1または1.2であり、または1.23超または1.25または1.3または1.4,または1.5または1.6または1.7または1.8または1.9または2.0である。任意の下限範囲DSOHは、任意の上限範囲DSOHと組合せることができる。
【0037】
本発明に係る他の態様において、DSOHは、0.4〜0.5または0.4〜0.6または0.4〜0.65または0.4〜0.7または0.4〜0.8または0.4〜0.9または0.4〜0.95または0.4〜1.0または0.4〜1.01または0.4〜1.1または0.4〜1.2または0.4〜1.23超または0.4〜1.25または0.4〜1.3または0.4〜1.4または0.4〜1.5または0.4〜1.6または0.4〜1.7または0.4〜1.8または0.4〜1.9または0.4〜2.0または0.5〜0.6または0.5〜0.65または0.5〜0.7または0.5〜0.8または0.5〜0.9または0.5〜0.95または0.5〜1.0または0.5〜1.01または0.5〜1.1または0.5〜1.2または0.5〜1.23超または0.5〜1.25または0.5〜1.3または0.5〜1.4または0.5〜1.5または0.5〜1.6または0.5〜1.7または0.5〜1.8または0.5〜1.9または0.5〜2.0または0.6〜0.65または0.6〜0.7または0.6〜0.8または0.6〜0.9または0.6〜0.95または0.6〜1.0または0.6〜1.01または0.6〜1.1または0.6〜1.2または0.6〜1.23超または0.6〜1.25または0.6〜1.3または0.6〜1.4または0.6〜1.5または0.6〜1.6または0.6〜1.7または0.6〜1.8または0.6〜1.9または0.6〜2.0または0.65〜0.7または0.65〜0.8または0.65〜0.9または0.65〜0.95または0.65〜1.0または0.65〜1.01または0.65〜1.1または0.65〜1.2または0.65〜1.23超または0.65〜1.25または0.65〜1.3または0.65〜1.4または0.65〜1.5または0.65〜1.6または0.65〜1.7または0.65〜1.8または0.65〜1.9または0.65〜2.0または0.7〜0.8または0.7〜0.9または0.7〜0.95または0.7〜1.0または0.7〜1.01または0.7〜1.1または0.7〜1.2または0.7〜1.23超または0.7〜1.25または0.7〜1.3または0.7〜1.4または0.7〜1.5または0.7〜1.6または0.7〜1.7または0.7〜1.8または0.7〜1.9または0.7〜2.0または0.8〜0.9または0.8〜0.95または0.8〜1.0または0.8〜1.01または0.8〜1.1または0.8〜1.2または0.8〜1.23超または0.8〜1.25または0.8〜1.3または0.8〜1.4または0.8〜1.5または0.8〜1.6または0.8〜1.7または0.8〜1.8または0.8〜1.9または0.8〜2.0または0.9〜0.95または0.9〜1.0または0.9〜1.01または0.9〜1.1または0.9〜1.2または0.9〜1.23超または0.9〜1.25または0.9〜1.3または0.9〜1.4または0.9〜1.5または0.9〜1.6または0.9〜1.7または0.9〜1.8または0.9〜1.9または0.9〜2.0または0.95〜1.0または0.95〜1.01または0.95〜1.1または0.95〜1.2または0.95〜1.23超または0.95〜1.25または0.95〜1.3または0.95〜1.4または0.95〜1.5または0.95〜1.6または0.95〜1.7または0.95〜1.8または0.95〜1.9または0.95〜2.0または1.01〜1.1または1.01〜1.2または1.01〜1.23超または1.01〜1.25または1.01〜1.3または1.01〜1.4または1.01〜1.5または1.01〜1.6または1.01〜1.7または1.01〜1.8または1.01〜1.9または1.01〜2.0または1.1〜1.2または1.1〜1.23超または1.1〜1.25または1.1〜1.3または1.1〜1.4または1.1〜1.5または1.1〜1.6または1.1〜1.7または1.1〜1.8または1.1〜1.9または1.1〜2.0または1.2〜1.23超または1.2〜1.25または1.2〜1.3または1.2〜1.4または1.2〜1.5または1.2〜1.6または1.2〜1.7または1.2〜1.8または1.2〜1.9または1.2〜2.0または1.23超〜1.3または1.23超〜1.4または1.23超〜1.5または1.23超〜1.6または1.23超〜1.7または1.23超〜1.8または1.23超〜1.9または1.23超〜2.0または1.3〜1.4または1.3〜1.5または1.3〜1.6または1.3〜1.7または1.3〜1.8または1.3〜1.9または1.3〜2.0または1.4〜1.5または1.4〜1.6または1.4〜1.7または1.4〜1.8または1.4〜1.9または1.4〜2.0または1.5〜1.6または1.5〜1.7または1.5〜1.8または1.5〜1.9または1.5〜2.0または1.6〜1.7または1.6〜1.8または1.6〜1.9または1.6〜2.0または1.7〜1.8または1.7〜1.9または1.7〜2.0または1.8〜1.9または1.8〜2.0または1.9〜2.0の範囲であることができる。
【0038】
本発明に係る他の態様において、セルロースエステルは、最大置換度(DSMax)3.0のセルロースアセテートを含む。ここで、DSOHは、0.4〜0.5または0.4〜0.6または0.4〜0.65または0.4〜0.7または0.4〜0.8または0.4〜0.9または0.4〜0.95または0.4〜1.0または0.4〜1.01または0.4〜1.1または0.4〜1.2または0.4〜1.23超または0.4〜1.25または0.4〜1.3または0.4〜1.4または0.4〜1.5または0.4〜1.6または0.4〜1.7または0.4〜1.8または0.4〜1.9または0.4〜2.0または0.5〜0.6または0.5〜0.65または0.5〜0.7または0.5〜0.8または0.5〜0.9または0.5〜0.95または0.5〜1.0または0.5〜1.01または0.5〜1.1または0.5〜1.2または0.5〜1.23超または0.5〜1.25または0.5〜1.3または0.5〜1.4または0.5〜1.5または0.5〜1.6または0.5〜1.7または0.5〜1.8または0.5〜1.9または0.5〜2.0または0.6〜0.65または0.6〜0.7または0.6〜0.8または0.6〜0.9または0.6〜0.95または0.6〜1.0または0.6〜1.01または0.6〜1.1または0.6〜1.2または0.6〜1.23超または0.6〜1.25または0.6〜1.3または0.6〜1.4または0.6〜1.5または0.6〜1.6または0.6〜1.7または0.6〜1.8または0.6〜1.9または0.6〜2.0または0.65〜0.7または0.65〜0.8または0.65〜0.9または0.65〜0.95または0.65〜1.0または0.65〜1.01または0.65〜1.1または0.65〜1.2または0.65〜1.23超または0.65〜1.25または0.65〜1.3または0.65〜1.4または0.65〜1.5または0.65〜1.6または0.65〜1.7または0.65〜1.8または0.65〜1.9または0.65〜2.0または0.7〜0.8または0.7〜0.9または0.7〜0.95または0.7〜1.0または0.7〜1.01または0.7〜1.1または0.7〜1.2または0.7〜1.23超または0.7〜1.25または0.7〜1.3または0.7〜1.4または0.7〜1.5または0.7〜1.6または0.7〜1.7または0.7〜1.8または0.7〜1.9または0.7〜2.0または0.8〜0.9または0.8〜0.95または0.8〜1.0または0.8〜1.01または0.8〜1.1または0.8〜1.2または0.8〜1.23超または0.8〜1.25または0.8〜1.3または0.8〜1.4または0.8〜1.5または0.8〜1.6または0.8〜1.7または0.8〜1.8または0.8〜1.9または0.8〜2.0または0.9〜0.95または0.9〜1.0または0.9〜1.01または0.9〜1.1または0.9〜1.2または0.9〜1.23超または0.9〜1.25または0.9〜1.3または0.9〜1.4または0.9〜1.5または0.9〜1.6または0.9〜1.7または0.9〜1.8または0.9〜1.9または0.9〜2.0または0.95〜1.0または0.95〜1.01または0.95〜1.1または0.95〜1.2または0.95〜1.23超または0.95〜1.25または0.95〜1.3または0.95〜1.4または0.95〜1.5または0.95〜1.6または0.95〜1.7または0.95〜1.8または0.95〜1.9または0.95〜2.0または1.01〜1.1または1.01〜1.2または1.01〜1.23超または1.01〜1.25または1.01〜1.3または1.01〜1.4または1.01〜1.5または1.01〜1.6または1.01〜1.7または1.01〜1.8または1.01〜1.9または1.01〜2.0または1.1〜1.2または1.1〜1.23超または1.1〜1.25または1.1〜1.3または1.1〜1.4または1.1〜1.5または1.1〜1.6または1.1〜1.7または1.1〜1.8または1.1〜1.9または1.1〜2.0または1.2〜1.23超または1.2〜1.25または1.2〜1.3または1.2〜1.4または1.2〜1.5または1.2〜1.6または1.2〜1.7または1.2〜1.8または1.2〜1.9または1.2〜2.0または1.23超〜1.3または1.23超〜1.4または1.23超〜1.5または1.23超〜1.6または1.23超〜1.7または1.23超〜1.8または1.23超〜1.9または1.23超〜2.0または1.3〜1.4または1.3〜1.5または1.3〜1.6または1.3〜1.7または1.3〜1.8または1.3〜1.9または1.3〜2.0または1.4〜1.5または1.4〜1.6または1.4〜1.7または1.4〜1.8または1.4〜1.9または1.4〜2.0または1.5〜1.6または1.5〜1.7または1.5〜1.8または1.5〜1.9または1.5〜2.0または1.6〜1.7または1.6〜1.8または1.6〜1.9または1.6〜2.0または1.7〜1.8または1.7〜1.9または1.7〜2.0または1.8〜1.9または1.8〜2.0または1.9〜2.0範囲であることができ、そしてDSAcの範囲は、下記等式に従って決定される。
DSAc=DSMax−DSOH 等式1
【0039】
1つの例は、DSOHが例えば0.4〜0.5の範囲である場合を示し、よって以下の計算により決定されるDSAcは2.5〜2.6の間の範囲である。
DSAC=3.0−0.4=2.6
DSAc=3.0−0.5=2.5
【0040】
本発明に従った他の態様において、セルロースエステルは、最大置換度(DSMax)が3.0のセルロースアセテートプロピオネートを含み、DSOHは、0.4〜0.5または0.4〜0.6または0.4〜0.65または0.4〜0.7または0.4〜0.8または0.4〜0.9または0.4〜0.95または0.4〜1.0または0.4〜1.01または0.4〜1.1または0.4〜1.2または0.4〜1.23超または0.4〜1.25または0.4〜1.3または0.4〜1.4または0.4〜1.5または0.4〜1.6または0.4〜1.7または0.4〜1.8または0.4〜1.9または0.4〜2.0または0.5〜0.6または0.5〜0.65または0.5〜0.7または0.5〜0.8または0.5〜0.9または0.5〜0.95または0.5〜1.0または0.5〜1.01または0.5〜1.1または0.5〜1.2または0.5〜1.23超または0.5〜1.25または0.5〜1.3または0.5〜1.4または0.5〜1.5または0.5〜1.6または0.5〜1.7または0.5〜1.8または0.5〜1.9または0.5〜2.0または0.6〜0.65または0.6〜0.7または0.6〜0.8または0.6〜0.9または0.6〜0.95または0.6〜1.0または0.6〜1.01または0.6〜1.1または0.6〜1.2または0.6〜1.23超または0.6〜1.25または0.6〜1.3または0.6〜1.4または0.6〜1.5または0.6〜1.6または0.6〜1.7または0.6〜1.8または0.6〜1.9または0.6〜2.0または0.65〜0.7または0.65〜0.8または0.65〜0.9または0.65〜0.95または0.65〜1.0または0.65〜1.01または0.65〜1.1または0.65〜1.2または0.65〜1.23超または0.65〜1.25または0.65〜1.3または0.65〜1.4または0.65〜1.5または0.65〜1.6または0.65〜1.7または0.65〜1.8または0.65〜1.9または0.65〜2.0または0.7〜0.8または0.7〜0.9または0.7〜0.95または0.7〜1.0または0.7〜1.01または0.7〜1.1または0.7〜1.2または0.7〜1.23超または0.7〜1.25または0.7〜1.3または0.7〜1.4または0.7〜1.5または0.7〜1.6または0.7〜1.7または0.7〜1.8または0.7〜1.9または0.7〜2.0または0.8〜0.9または0.8〜0.95または0.8〜1.0または0.8〜1.01または0.8〜1.1または0.8〜1.2または0.8〜1.23超または0.8〜1.25または0.8〜1.3または0.8〜1.4または0.8〜1.5または0.8〜1.6または0.8〜1.7または0.8〜1.8または0.8〜1.9または0.8〜2.0または0.9〜0.95または0.9〜1.0または0.9〜1.01または0.9〜1.1または0.9〜1.2または0.9〜1.23超または0.9〜1.25または0.9〜1.3または0.9〜1.4または0.9〜1.5または0.9〜1.6または0.9〜1.7または0.9〜1.8または0.9〜1.9または0.9〜2.0または0.95〜1.0または0.95〜1.01または0.95〜1.1または0.95〜1.2または0.95〜1.23超または0.95〜1.25または0.95〜1.3または0.95〜1.4または0.95〜1.5または0.95〜1.6または0.95〜1.7または0.95〜1.8または0.95〜1.9または0.95〜2.0または1.01〜1.1または1.01〜1.2または1.01〜1.23超または1.01〜1.25または1.01〜1.3または1.01〜1.4または1.01〜1.5または1.01〜1.6または1.01〜1.7または1.01〜1.8または1.01〜1.9または1.01〜2.0または1.1〜1.2または1.1〜1.23超または1.1〜1.25または1.1〜1.3または1.1〜1.4または1.1〜1.5または1.1〜1.6または1.1〜1.7または1.1〜1.8または1.1〜1.9または1.1〜2.0または1.2〜1.23超または1.2〜1.25または1.2〜1.3または1.2〜1.4または1.2〜1.5または1.2〜1.6または1.2〜1.7または1.2〜1.8または1.2〜1.9または1.2〜2.0または1.23超〜1.3または1.23超〜1.4または1.23超〜1.5または1.23超〜1.6または1.23超〜1.7または1.23超〜1.8または1.23超〜1.9または1.23超〜2.0または1.3〜1.4または1.3〜1.5または1.3〜1.6または1.3〜1.7または1.3〜1.8または1.3〜1.9または1.3〜2.0または1.4〜1.5または1.4〜1.6または1.4〜1.7または1.4〜1.8または1.4〜1.9または1.4〜2.0または1.5〜1.6または1.5〜1.7または1.5〜1.8または1.5〜1.9または1.5〜2.0または1.6〜1.7または1.6〜1.8または1.6〜1.9または1.6〜2.0または1.7〜1.8または1.7〜1.9または1.7〜2.0または1.8〜1.9または1.8〜2.0または1.9〜2.0の範囲であることができ、そして、DSAcは、0.1〜0.25または0.25〜0.5または0.5〜0.75または0.75〜1.0または1.0〜1.25または1.25〜1.5または1.5〜1.75または1.75〜2.0または2.0〜2.25または2.25〜2.5の範囲であり、そして、DSPrの範囲は、等式2に従って決定される。
DSpr=DSMax−DSAc−DSOH 等式2
【0041】
1つの例は、4つの可能なDSPr値を計算することおよび4つの数のうち2つの極値を選択することにより決定した場合、DSOHが例えば0.4〜0.5の間の範囲、DSAcが0.1〜0.25の範囲、そしてDSPrの範囲が2.25〜2.5の範囲である場合を示し、そしてこの例において、以下のDSPr値が可能である:
DSPr=3.0−0.4−0.1=2.5
DSPr=3.0−0.4−0.25=2.35
DSPr=3.0−0.5−0.1=2.4
DSPr=3.0−0.5−0.25=2.25
【0042】
本発明に従った他の態様において、セルロースエステルは、最大置換度(DSMax)が3.0であるセルロースアセテートブチレートを含む。ここで、DSOHは、0.4〜0.5または0.4〜0.6または0.4〜0.65または0.4〜0.7または0.4〜0.8または0.4〜0.9または0.4〜0.95または0.4〜1.0または0.4〜1.01または0.4〜1.1または0.4〜1.2または0.4〜1.23超または0.4〜1.25または0.4〜1.3または0.4〜1.4または0.4〜1.5または0.4〜1.6または0.4〜1.7または0.4〜1.8または0.4〜1.9または0.4〜2.0または0.5〜0.6または0.5〜0.65または0.5〜0.7または0.5〜0.8または0.5〜0.9または0.5〜0.95または0.5〜1.0または0.5〜1.01または0.5〜1.1または0.5〜1.2または0.5〜1.23超または0.5〜1.25または0.5〜1.3または0.5〜1.4または0.5〜1.5または0.5〜1.6または0.5〜1.7または0.5〜1.8または0.5〜1.9または0.5〜2.0または0.6〜0.65または0.6〜0.7または0.6〜0.8または0.6〜0.9または0.6〜0.95または0.6〜1.0または0.6〜1.01または0.6〜1.1または0.6〜1.2または0.6〜1.23超または0.6〜1.25または0.6〜1.3または0.6〜1.4または0.6〜1.5または0.6〜1.6または0.6〜1.7または0.6〜1.8または0.6〜1.9または0.6〜2.0または0.65〜0.7または0.65〜0.8または0.65〜0.9または0.65〜0.95または0.65〜1.0または0.65〜1.01または0.65〜1.1または0.65〜1.2または0.65〜1.23超または0.65〜1.25または0.65〜1.3または0.65〜1.4または0.65〜1.5または0.65〜1.6または0.65〜1.7または0.65〜1.8または0.65〜1.9または0.65〜2.0または0.7〜0.8または0.7〜0.9または0.7〜0.95または0.7〜1.0または0.7〜1.01または0.7〜1.1または0.7〜1.2または0.7〜1.23超または0.7〜1.25または0.7〜1.3または0.7〜1.4または0.7〜1.5または0.7〜1.6または0.7〜1.7または0.7〜1.8または0.7〜1.9または0.7〜2.0または0.8〜0.9または0.8〜0.95または0.8〜1.0または0.8〜1.01または0.8〜1.1または0.8〜1.2または0.8〜1.23超または0.8〜1.25または0.8〜1.3または0.8〜1.4または0.8〜1.5または0.8〜1.6または0.8〜1.7または0.8〜1.8または0.8〜1.9または0.8〜2.0または0.9〜0.95または0.9〜1.0または0.9〜1.01または0.9〜1.1または0.9〜1.2または0.9〜1.23超または0.9〜1.25または0.9〜1.3または0.9〜1.4または0.9〜1.5または0.9〜1.6または0.9〜1.7または0.9〜1.8または0.9〜1.9または0.9〜2.0または0.95〜1.0または0.95〜1.01または0.95〜1.1または0.95〜1.2または0.95〜1.23超または0.95〜1.25または0.95〜1.3または0.95〜1.4または0.95〜1.5または0.95〜1.6または0.95〜1.7または0.95〜1.8または0.95〜1.9または0.95〜2.0または1.01〜1.1または1.01〜1.2または1.01〜1.23超または1.01〜1.25または1.01〜1.3または1.01〜1.4または1.01〜1.5または1.01〜1.6または1.01〜1.7または1.01〜1.8または1.01〜1.9または1.01〜2.0または1.1〜1.2または1.1〜1.23超または1.1〜1.25または1.1〜1.3または1.1〜1.4または1.1〜1.5または1.1〜1.6または1.1〜1.7または1.1〜1.8または1.1〜1.9または1.1〜2.0または1.2〜1.23超または1.2〜1.25または1.2〜1.3または1.2〜1.4または1.2〜1.5または1.2〜1.6または1.2〜1.7または1.2〜1.8または1.2〜1.9または1.2〜2.0または1.23超〜1.3または1.23超〜1.4または1.23超〜1.5または1.23超〜1.6または1.23超〜1.7または1.23超〜1.8または1.23超〜1.9または1.23超〜2.0または1.3〜1.4または1.3〜1.5または1.3〜1.6または1.3〜1.7または1.3〜1.8または1.3〜1.9または1.3〜2.0または1.4〜1.5または1.4〜1.6または1.4〜1.7または1.4〜1.8または1.4〜1.9または1.4〜2.0または1.5〜1.6または1.5〜1.7または1.5〜1.8または1.5〜1.9または1.5〜2.0または1.6〜1.7または1.6〜1.8または1.6〜1.9または1.6〜2.0または1.7〜1.8または1.7〜1.9または1.7〜2.0または1.8〜1.9または1.8〜2.0または1.9〜2.0の範囲であることができ、そしてDSAcは、0.1〜0.25または0.25〜0.5または0.5〜0.75または0.75〜1.0または1.0〜1.25または1.25〜1.5または1.5〜1.75または1.75〜2.0または2.0〜2.25または2.25〜2.5の範囲であり、そしてDSBuの範囲は、等式3に従って決定される。
DSBu=DSMax−DSAc−DSOH 等式3
【0043】
1つの例は、4つの可能なDSBu値を計算することおよび4つの数のうち2つの極値を選択することにより決定した場合、DSOHが例えば0.4〜0.5の範囲、DSAcが0.1〜0.25の範囲、そしてDSBuの範囲が2.25〜2.5の範囲である場合を示し、よって以下のDSBu値が可能である:
DSBu=3.0−0.4−0.1=2.5
DSBu=3.0−0.4−0.25=2.35
DSBu=3.0−0.5−0.1=2.4
DSBu=3.0−0.5−0.25=2.25
【0044】
本発明に従った特定態様において、633nmにおける複屈折は、0未満または−0.001もしくはそれ未満または−0.002もしくはそれ未満または−0.003もしくはそれ未満または−0.004もしくはそれ未満または−0.005もしくはそれ未満または−0.006もしくはそれ未満または−0.007もしくはそれ未満または−0.008もしくはそれ未満または−0.009もしくはそれ未満または−0.010である。負の複屈折値を議論する場合、用語「未満」はより負の値であることを意味し、例えば、−0.005未満は−0.006,−0.007,−0.010等であることができる。
【0045】
本発明に係る他の態様において、633nmにおける複屈折は、0未満〜−0.001または0未満〜−0.002または0未満〜−0.003または0未満〜−0.004、0未満〜−0.005または0未満〜−0.006または0未満〜−0.007または0未満〜−0.008、0未満〜−0.009または0未満〜−0.010または−0.001〜−0.002または−0.001〜−0.003または−0.001〜−0.004または−0.001〜−0.005または−0.001〜−0.006または−0.001〜−0.007または−0.001〜−0.008または−0.001〜−0.009または−0.001〜−0.010または−0.002〜−0.003または−0.002〜−0.004または−0.002〜−0.005または−0.002〜−0.006または−0.002〜−0.007または−0.002〜−0.008または−0.002〜−0.009または−0.002〜−0.010または−0.003〜−0.004または−0.003〜−0.005または−0.003〜−0.006または−0.003〜−0.007または−0.003〜−0.008または−0.003〜−0.009または−0.003〜−0.010または−0.004〜−0.005または−0.004〜−0.006または−0.004〜−0.007または−0.004〜−0.008または−0.004〜−0.009または−0.004〜−0.010または−0.005〜−0.006または−0.005〜−0.007または−0.005〜−0.008または−0.005〜−0.009または−0.005〜−0.010または−0.006〜−0.007または−0.006〜−0.008または−0.006〜−0.009または−0.006〜−0.010または−0.007〜−0.008または−0.007〜−0.009または−0.007〜−0.010または−0.008〜−0.009または−0.008〜−0.010または−0.900〜−0.010の範囲である。
【0046】
本発明に従った特定態様において、セルロースエステルの数平均分子量(Mn)は、1,500〜200,000の範囲である。特定態様において、Mnの下限範囲は、1,500または2,000または3,000または4,000または5,000または10,000または20,000または30,000または40,000または50,000または75,000または100,000または125,000または150,000または175,000g/molである。特定態様において、セルロースエステルのMnの上限範囲は、2,000または3,000または4,000または5,000または10,000または20,000または30,000または40,000または50,000または75,000または100,000または125,000または150,000または175,000または200,000g/molである。Mnの任意の下限範囲はMnの任意の上限範囲と組合せることができる。
【0047】
本発明に従った特定態様において、セルロースエステルの数平均分子量(Mn)の範囲は、1,500〜2,000または1,500〜3,000または1,500〜4,000または1,500〜5,000または1,500〜10,000または1,500〜20,000または1,500〜30,000または1,500〜40,000または1,500〜50,000または1,500〜75,000または1,500〜100,000または1,500〜125,000または1,500〜150,000または1,500〜175,000または1,500〜200,000または2,000〜3,000または2,000〜4,000または2,000〜5,000または2,000〜10,000または2,000〜20,000または2,000〜30,000または2,000〜40,000または2,000〜50,000または2,000〜75,000または2,000〜100,000または2,000〜125,000または2,000〜150,000または2,000〜175,000または2,000〜200,000または3,000〜4,000または3,000〜5,000または3,000〜10,000または3,000〜20,000または3,000〜30,000または3,000〜40,000または3,000〜50,000または3,000〜75,000または3,000〜100,000または4,000〜125,000または4,000〜150,000または4,000〜175,000または4,000〜200,000または4,000〜5,000または4,000〜10,000または4,000〜20,000または4,000〜30,000または4,000〜40,000または4,000〜50,000または4,000〜75,000または4,000〜100,000または4,000〜125,000または4,000〜150,000または4,000〜175,000または4,000〜200,000または5,000〜10,000または5,000〜20,000または5,000〜30,000または5,000〜40,000または5,000〜50,000または5,000〜75,000または5,000〜100,000または5,000〜125,000または5,000〜150,000または5,000〜175,000または5,000〜200,000または10,000〜20,000または10,000〜30,000または10,000〜40,000または10,000〜50,000または10,000〜75,000または10,000〜100,000または10,000〜125,000または10,000〜150,000または10,000〜175,000または10,000〜200,000または20,000〜30,000または20,000〜40,000または20,000〜50,000または20,000〜75,000または20,000〜100,000または20,000〜125,000または20,000〜150,000または20,000〜175,000または20,000〜200,000または30,000〜40,000または30,000〜50,000または30,000〜75,000または30,000〜100,000または30,000〜125,000または30,000〜150,000または30,000〜175,000または30,000〜200,000または40,000〜50,000または40,000〜75,000または40,000〜100,000または40,000〜125,000または40,000〜150,000または40,000〜175,000または40,000〜200,000または50,000〜75,000または50,000〜100,000または50,000〜125,000または50,000〜150,000または50,000〜175,000または50,000〜200,000または100,000〜125,000または100,000〜150,000または100,000〜175,000または100,000〜200,000または123,000〜150,000または125,000〜175,000または125,000〜200,000または150,000〜175,000または150,000〜200,000または175,000〜200,000g/molであることができる。
【0048】
本発明に従った特定態様において、セルロースエステルのインヘレント粘度(IV)は、約0.05〜約3.0デシリットル/グラム(dL/g)の範囲である。本発明に従った幾つかの態様において、IVの下限は、0.05または0.10または0.15または0.20または0.25または0.30または0.35または0.40または0.45または0.50または0.55または0.60または0.65または0.70または0.75または0.80または0.85または0.90または0.95または1.00または1.10または1.20または1.30または1.40または1.50または1.60または1.70または1.80または1.90または2.00または2.10または2.20または2.30または2.40または2.50または2.60または2.70または2.80または2.90dL/gである。本発明に従った幾つかの態様において、IVの上限は、0.10または0.15または0.20または0.25または0.30または0.35または0.40または0.45または0.50または0.55または0.60または0.65または0.70または0.75または0.80または0.85または0.90または0.95または1.00または1.10または1.20または1.30または1.40または1.50または1.60または1.70または1.80または1.90または2.00または2.10または2.20または2.30または2.40または2.50または2.60または2.70または2.80または2.90または3.00dL/gである。IVの任意の下限は、IVの任意の上限と組合せることができる。
【0049】
本発明の一態様において、高ヒドロキシルセルロースエステルの液晶ディスプレイ(LCD)における使用が記載される。我々は、従来のセルロースエステルについて、DSOHが増大するに従い、フィルムの633nmでの複屈折Δn633がより負になることを発見した。従来のセルロースエステルとしては、セルロースのC2−C7脂肪酸エステル、例えば、これらに限定されるものではないが、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、およびセルロースアセテートブチレート(CAB)が挙げられる。従って、大きい負のΔn633,例えば約−0.002〜約−0.010を有する高DSOHセルロースエステルは、多機能層としてLCDにおいて使用できる。大きい負のΔn633を有する高ヒドロキシルセルロースエステルは、LCDにおける単層補償板/基板として作用できる。大きい負のΔn633は、約−0.002〜約−0.010の範囲である。この方策の利点は2倍である。第1に、LCDの厚みは、高ヒドロキシルセルロースエステルの多機能性により不必要とされて排除される層によって低減できる。第2に、コスト構造を改善できる。多機能単層フィルムの使用により、多くの加工ステップの排除が可能になるからである。
【0050】
一態様において、本発明は、DSOHが約0.5〜約2.00、好ましくは0.75〜約2.00、より好ましくは約1.01〜約2.00、およびΔn633<0、のC2−C7アシル基を含むセルロースエステルを含む、溶媒キャストによって作製される単層フィルムに関する。
【0051】
別の態様において、本発明は、DSOHが約0.5〜約2.00、好ましくは0.75〜約2.00、より好ましくは約1.01〜約2.00、およびΔn633が約−0.002〜約−0.010の間のC2−C7アシル基を含むセルロースエステルを含む、溶媒キャストによって作製される単層フィルムに関する。
【0052】
別の態様において、本発明は、DSOHが約0.5〜約2.00、好ましくは0.75〜約2.00、より好ましくは約1.01〜約2.00、およびΔn633が約−0.003〜約−0.007の間のC2−C7アシル基を含むセルロースエステルを含む、溶媒キャストによって作製される単層フィルムに関する。
【0053】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基を含み、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0054】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基を含み、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0055】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基を含み、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0056】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基を含み、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0057】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0058】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0059】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0060】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0061】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0062】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0063】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0064】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0065】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0066】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0067】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0068】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、フィルムに関する。
【0069】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、フィルムに関する。
【0070】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、フィルムに関する。
【0071】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、フィルムに関する。
【0072】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、フィルムに関する。
【0073】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、フィルムに関する。
【0074】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0075】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0076】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0077】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0078】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0079】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0080】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0081】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0082】
別の態様において、本発明は、別の1つまたは複数の表面上にラミネートされた単層フィルムであって、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムに関する。
【0083】
さらなる態様において、上記の単層フィルムは、より複雑な光学フィルムシートの1つの部品であることができる。例えば、上記の単層シートは、偏光子用の基板であることができる。
【0084】
別の態様において、上記の単層フィルムは、他のフィルム上にラミネートできる。例えば、上記の単層シートは、存在するLCD部品(例えば液晶セルまたは偏光子)の表面上にラミネートできる。
【0085】
一態様において、本発明は、上記のセルロースエステル、および任意に1種以上の追加の添加剤,例えば上記の可塑剤および/または有機溶媒を含む単層フィルムに関し、ここで該フィルムによって示される補償の量はフィルムの厚みによって制御される。
【0086】
上記のフィルムは、厚み約3ミクロン〜約30ミクロン、もしくは約30ミクロン〜約80ミクロン、もしくは約80ミクロン〜約120ミクロン、もしくは約120ミクロン〜約300ミクロンを有することができ、または該厚みは300ミクロン超である。
【0087】
可塑剤の例としては、これらに限定されるものではないが、以下の、リン酸系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、およびクエン酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、およびアルジトールエステル系可塑剤のうち1種以上が挙げられる。
【0088】
リン酸エステル系可塑剤の例としては、これらに限定されるものではないが、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、およびトリブチルホスフェートが挙げられる。フタル酸エステル系可塑剤としては、これらに限定されるものではないが、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、およびジベンジルフタレートが挙げられる。クエン酸エステル系可塑剤としては、これらに限定されるものではないが、アセチルトリメチルシトレート、およびアセチルトリブチルシトレートが挙げられる。グリコレート系可塑剤としては、これらに限定されるものではないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート,例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、およびオクチルフタリルエチルグリコレートが挙げられる。他の有用な可塑剤としては、これらに限定されるものではないが、ブチルオレエート、メチルアセチルリシノレエート、ジブチルセバケート、およびトリアセチンが挙げられる。
【0089】
炭水化物エステル系可塑剤としては、これらに限定されるものではないが、6−炭素アルドース糖のエステル,例えばグルコースペンタプロピオネート、グルコースペンタイソブチレート、およびグルコースペンタブチレート;6−炭素ケトース糖のエステル,例えばフルクトースペンタプロピオネート、フルクトースペンタイソブチレート、フルクトースペンタブチレート;5−炭素アルドース糖のエステル,例えばキシローステトラプロピオネート、キシローステトライソブチレート、およびキシローステトラブチレートが挙げられる。アルジトールエステル系可塑剤としては、これらに限定されるものではないが、5−炭素アルジトールエステル,例えばキシリトールペンタプロピオネート、キシリトールペンタイソブチレート、およびキシリトールペンタブチレート;6−炭素アルジトールエステル,例えばマンニトールヘキサプロピオネート、マンニトールヘキサイソブチレート、およびマンニトールヘキサブチレートが挙げられる。
【0090】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースエステル「ドープ」に関する。
【0091】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースエステル「ドープ」に関し、ここでセルロースエステルは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0092】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースエステル「ドープ」に関し、ここでセルロースエステルは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0093】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースエステル「ドープ」に関し、ここでセルロースエステルは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0094】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテート「ドープ」に関する。
【0095】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0096】
別の態様において、本発明は、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0097】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0098】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートプロピオネート「ドープ」に関する。
【0099】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートプロピオネート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートプロピオネートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0100】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートプロピオネート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートプロピオネートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0101】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートプロピオネートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートプロピオネート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートプロピオネートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0102】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートブチレート「ドープ」に関する。
【0103】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートブチレート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートブチレートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0104】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートブチレート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートブチレートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0105】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースアセテートブチレートを含み、そして任意に1種以上の可塑剤、および有機溶媒または1種より多い有機溶媒のブレンド物を含むセルロースアセテートブチレート「ドープ」に関し、ここでセルロースアセテートブチレートは、「ドープ」の組成物の約1〜約50wt%含まれ、そして可塑剤は「ドープ」の組成物の約0〜約30wt%含まれ、そして有機溶媒または有機溶媒のブレンド物は、「ドープ」の組成物の約20〜約99%含まれる。
【0106】
本発明に係る「ドープ」を作製するために有用な有機溶媒は、これらが同時にセルロースエステルおよび任意の追加の添加剤,例えば可塑剤を溶解させることができる限りにおいて何らの制限なしで使用できる。本発明の特定態様において、有機溶媒は、ハロゲン化溶媒および/または非ハロゲン化溶媒を含む。ハロゲン化溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノールが挙げられる。非ハロゲン化溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、酢酸メチル、酢酸エチル、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、イソブチルアセテート、sec−ブチルアセテート、tert−ブチルアセテート、アミルアセテート、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、エチルホルメート、およびニトロエタンが挙げられる。
【0107】
本発明に係る特定態様において、ドープを形成するために用いる溶媒に加え、典型的にはハロゲン化有機溶媒または非ハロゲン化有機溶媒、1〜4個の炭素原子を有するアルコールをドープ中に0.1〜40質量パーセントの量で組込む。本発明に係る特定態様において、ドープ中のアルコール比率の増大により、キャストフィルムの金属支持体からのより容易な取出しがもたらされる。アルコール比率が低い場合(例えば、セルロースエステル、有機溶媒、可塑剤およびアルコールの質量基準で約0.1wt%〜約15wt%の範囲)、非ハロゲン化有機溶媒系中でのセルロースエステルの溶解が促進される。1〜4個の炭素原子を有するアルコールの例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、およびtert−ブタノールが挙げられる。
【0108】
本発明に係る特定態様において、上記の高DSOHセルロースエステルフィルムは、光学異方性化合物,例えば米国特許第6,569,502号に記載されるものとの組合せで使用できる。
【0109】
上記の高DSOHセルロースエステルフィルムは、単独または追加の1つまたは複数の光学補償フィルム,例えば、1種以上の光学異方性化合物および/またはディスコティックまたは棒状の液晶化合物を含有する多層または単層のフィルムとの組合せで使用できる。
【0110】
上記の高DSOHセルロースエステルフィルムは、1種以上の添加剤,例えば、これらに限定されるものではないが、可塑剤および/またはUV阻害剤、を含有でき、そして、これらに限定されるものではないが、米国特許第6,569,502号に開示されるもの等の光学異方性化合物を含有するフィルムとの組合せで使用できる。
【0111】
可塑剤、艶消し剤、UV吸収剤、酸化防止剤、色素等もまたドープ中に組込むことができる。
【0112】
本発明において使用される、アセチル基、さらにプロピオニル基またはブチリル基を有するセルロースエステルは、可塑剤を必要としないが、可塑剤はしばしば使用される。結果として、十分なフィルム特性が可塑剤の添加なしで、または高々少量の添加でしばしば得られる。しかし、本発明に係る幾つかの態様において、可塑剤は他の目的で添加できる。例えば、フィルムの耐湿性を向上させる目的で、アルキルフタリルアルキルグリコレート、リン酸エステル、カルボン酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、クエン酸エステル等を使用できる。
【0113】
アルキルフタリルアルキルグリコレートの例としては、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
【0114】
リン酸エステルの例としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
【0115】
カルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが挙げられる。フタル酸エステルの例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等が挙げられる。クエン酸エステルの例としては、アセチルトリメチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、およびアセチルトリブチルアセテートが挙げられる。
【0116】
加えて、ブチルオレエート,メチルアセチルリシノレエート、ジブチルセバケート,トリアセチン等が、個々にまたは組合せで使用される。
【0117】
所望の場合、2種以上の可塑剤を組合せで使用できる。本発明の幾つかの態様において、リン酸エステル系可塑剤が好ましい。ドープの総質量基準で50質量パーセント以下の比率で使用する場合、セルロースエステルフィルムは、リン酸エステル系可塑剤によって加水分解または分解されないからである。さらに、低量のリン酸系可塑剤が好ましい。特に好ましくは、フタル酸エステル系またはグリコール酸エステル系の可塑剤の単独使用であり、このうち、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、およびオクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、そしてより特に好ましくは、エチルフタリルエチルグリコレートである。代替として、2種以上のこれらのアルキルフタリルアルキルグリコレートが組合せで使用される。使用される可塑剤の量は、典型的には、セルロースエステルに対して1〜30パーセントの間、または4〜13パーセントの間である。これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の間にセルロースエステルおよび溶媒とともに添加でき、または該溶液の調製の間または該調製の後に、添加してもよい。
【0118】
本発明の幾つかの態様において、色素は、典型的には、フィルムの黄色相を改善するために添加する。セルロースエステルフィルムはしばしば若干黄色に色付くため、一般的な写真用支持体において見られるような灰色に色付けできる色素が好ましい。よって、青色および紫色の色素は好ましく使用される。しかし、写真用支持体とは異なり光のパイピングを最小化することが不要であるため、少量の色素の添加のみが必要である場合がある。具体的には、色素の量は、好ましくは、セルロースエステルに対して1〜100ppmの間であり、そしてより好ましくは2〜50ppmの間である。灰色は、複数の色素を適切に組合せることにより得ることができる。
【0119】
フィルムが互いにブロッキングを被る場合、ハンドリングの容易性が損なわれる。本発明の幾つかの態様において、艶消し剤,例えば無機微粒子,例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、焼結ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、架橋ポリマー等が典型的に特定フィルム中に組込まれてブロッキングを低減する。
【0120】
さらに、フィルムのヘイズを低減するために、微粒子,例えば二酸化ケイ素を有機物質を用いる表面処理に好ましく供する。表面処理のための有機物質の例としては、ハロシラン、アルコキシシラン、シラザン、シロキサン等が挙げられる。艶消し効果は、微粒子の平均粒径が増大するに従って増大し、一方、透明性は、前記の径が低減されるに従って増大する。典型的には、微粒子の平均一次粒径は、0.1ミクロン以下であり、好ましくは5〜50nmの間であり、そしてより好ましくは7〜14nmの間である。二酸化ケイ素の微粒子の例は、Aerosil 200,200V,300,R972,R972V,R974,R202,R812,OX50,TT600等であり、これらの全てはNihon Aerosil Co.,ltd製である。これらの中で、好ましい例は、Aerosil R972,R972V,R974,R202,R812等である。艶消し剤は、典型的にはブレンドして、フィルムヘイズ0.6パーセント以下、および摩擦係数0.5以下を得る。使用される艶消し剤の量は、典型的には、セルロースエステルに対して0.005〜0.3パーセントの間である。これらの微粒子は、通常、凝集形状でフィルム中に存在し、そして典型的には、フィルム表面の粗さは、0.01〜1.0ミクロンの範囲である。
【0121】
液晶ディスプレイは開放雰囲気中でますます使用されている。よって、紫外線を吸収するための偏光板用保護フィルムの提供が重要である。UV吸収剤は本発明のフィルム中に組込んでもよい。典型的なUV吸収剤は、波長370nm以下の紫外線を効率的に吸収するものであり、これは液晶の分解を低減し、そして波長少なくとも400nmの可視光の吸収は最小限である。典型的には、波長370nmでの透過率は10パーセント以下である。UV吸収剤の添加量は、典型的には、セルロースエステルに対して0.5〜5質量パーセントの範囲、または0.6〜2.0質量パーセントまたは0.8〜2.0質量%の範囲である。
【0122】
UV吸収剤は、好ましくは可視光領域において吸収を有さない。このようなUV吸収剤の例は、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸系化合物等である。このようなUV吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ジ−t−ブチル−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、フェニルサリチレート、メチルサリチレート等が挙げられる。
【0123】
本発明の幾つかの態様において、少なくとも1種のこれらのUV吸収剤を典型的には使用し、そして少なくとも2種の異なるUV吸収剤を組込んでもよい。
【0124】
前記のUV吸収剤の添加方法としては以下の方法が挙げられる。UV吸収剤は有機溶媒,例えばアルコール、塩化メチレン、ジオキソラン等の中に溶解させることができ、そして得られる溶液をドープに添加する。代替として、UV吸収剤を直接ドープに添加できる。UV吸収剤,例えば無機粉末(これは有機溶媒中に可溶ではない)を、有機溶媒とセルロースエステルとの混合物中に、溶解機またはサンドミルを用いて分散させ、そしてドープに添加することができる。
【0125】
本発明において、UV吸収剤の使用量は、一般的に、セルロースエステルに対して0.1〜2.5質量パーセントの間または0.5〜2.0質量パーセントの間または0.8〜2.0パーセントの間である。UV吸収剤の2.5パーセント超の使用は、しばしばセルロースエステルの透明性を低下させる。
【0126】
フィルムの耐熱性を向上させるために、ヒンダードフェノール系化合物がしばしば使用される。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して1ppm〜1.0質量パーセントまたは10〜1,000ppmの間である。さらに、これらの化合物に加えて、熱安定剤,例えばアルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等を含むもの)もまた添加できる。
【0127】
上記化合物に加え、さらに、帯電防止剤、難燃剤、潤滑剤、オイル等を添加できる。
【0128】
上記の高DSOHセルロースエステルフィルムは、光学フィルムまたは光学板にコーティングとして適用できる。
【0129】
上記の高DSOHセルロースエステルフィルムは、溶融押出によって形成できる。
【0130】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0131】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0132】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0133】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0134】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0135】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0136】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムであって、一軸延伸または二軸延伸されている単層フィルムに関する。
【0137】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムであって、一軸延伸または二軸延伸されている単層フィルムに関する。
【0138】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムであって、一軸延伸または二軸延伸されている単層フィルムに関する。
【0139】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムであって、一軸延伸または二軸延伸されている単層フィルムに関する。
【0140】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムであって、一軸延伸または二軸延伸されている単層フィルムに関する。
【0141】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムであって、一軸延伸または二軸延伸されている単層フィルムに関する。
【0142】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0143】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0144】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0145】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0146】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0147】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含む液晶ディスプレイに関する。
【0148】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含み、該フィルムが非延伸であるかまたは一軸延伸されている液晶ディスプレイに関する。
【0149】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含み、該フィルムが非延伸であるかまたは一軸延伸されている液晶ディスプレイに関する。
【0150】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含み、該フィルムが非延伸であるかまたは一軸延伸されている液晶ディスプレイに関する。
【0151】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含み、該フィルムが非延伸であるかまたは一軸延伸されている液晶ディスプレイに関する。
【0152】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含み、該フィルムが非延伸であるかまたは一軸延伸されている液晶ディスプレイに関する。
【0153】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層補償フィルムを含み、該フィルムが非延伸であるかまたは一軸延伸されている液晶ディスプレイに関する。
【0154】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む、液晶ディスプレイにおける基板に関する。
【0155】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む、液晶ディスプレイにおける基板に関する。
【0156】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む、液晶ディスプレイにおける基板に関する。
【0157】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む、液晶ディスプレイにおける基板に関する。
【0158】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む、液晶ディスプレイにおける基板に関する。
【0159】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、単層フィルムを含む、液晶ディスプレイにおける基板に関する。
【0160】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、多機能単層基板および補償フィルムを含む、液晶ディスプレイに関する。
【0161】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、多機能単層基板および補償フィルムを含む、液晶ディスプレイに関する。
【0162】
別の態様において、本発明は、C2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0であるセルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、多機能単層基板および補償フィルムを含む、液晶ディスプレイに関する。
【0163】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.5〜約2.00であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、多機能単層基板および補償フィルムを含む、液晶ディスプレイに関する。
【0164】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約0.75〜約1.75であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、多機能単層基板および補償フィルムを含む、液晶ディスプレイに関する。
【0165】
別の態様において、本発明は、1つより多いC2−C7アシル基で置換され、そしてヒドロキシル基の置換度が約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0である混合セルロースエステルを含み、そして任意に1種以上の可塑剤を含む、多機能単層基板および補償フィルムを含む、液晶ディスプレイに関する。
【0166】
本発明で記載するセルロースエステルは多くの合成ルートで調製でき、これらに限定されるものではないが、適切な溶媒中または溶媒の混合物中での予め調製したセルロースエステルの酸触媒加水分解、および、適切な溶媒中または溶媒の混合物中での予め調製したセルロースエステルの塩基触媒加水分解が挙げられる。加えて、高DSOHセルロースエステルは、セルロースから多くの公知の方法で調製できる。高DSOHセルロースエステルを調製するための合成ルートのさらなる詳細については、米国特許第2,327,770号;Gedon,S.およびFengl,R.,“Cellulose Esters,Organic Esters,”Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fifth Edition,vol.5,pp412−444,2004,John Wiley&Sons,Hoboken,NJより;Klemm,D.ら“Comprehensive Cellulose Chemistry:Volume 2 Functionalization of Cellulose,”Wiley−VCH,New York,1998)を参照のこと。
【0167】
一態様において、従来のセルロースエステル(例えば、限定されるものではないがCAB−381−20およびCAP−482−20,Eastman Chemical Companyから市販で入手可能)は、有機カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸または酪酸)中または有機カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸または酪酸)の混合物中に溶解してドープを形成する。得られるセルロースエステルドープを水および無機酸触媒,たとえば、これらに限定されるものではないが、硫酸、塩酸、およびリン酸で処理できる。当業者はまた、反応時間、温度、触媒種、触媒量、および場合により固体レベルが、最終セルロースエステル中のDSOHに影響すること、およびこれらの因子はまた最終セルロースエステル中のセルロース骨格の重合度に影響する可能性があることを理解するであろう。これらの変化は、多くの物理特性,例えばTg、IV、分子量に影響し、そして、例えばエステルの溶解性、ならびにエステルおよびエステルのフィルムの水浸透性の変化を生じさせることによりポリマー性能に影響する可能性がある。
【0168】
上記の同じ加水分解プロトコルは、非酸触媒,例えば塩基で実現できる。加えて、固体触媒,例えばイオン交換樹脂を使用できる。加えて、加水分解前に初期セルロースエステルを溶解させるために用いる溶媒は、有機酸溶媒でない有機溶媒であることができ、その例としては、これらに限定されるものではないが、ケトン、アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。
【0169】
高DSOHセルロースエステルを調製するための追加の方法としては、木材またはコットンからのセルロースからの高DSOHセルロースエステルの調製が挙げられる。セルロースは、高純度溶解グレード木材パルプまたはコットンリンターであることができる。セルロースは、代替として、任意の多くのバイオマス源(これらに限定されるものではないがコーン繊維が挙げられる)から単離されることができる。
【0170】
当業者は、上記の高DSOHセルロースエステルフィルムに当てはまる光学品質フィルムを作製するための公知の多くの可能なプロセスが存在することを理解する。高DSOHセルロースエステルフィルムを商業スケールで作製するために用いられる一般的な方法は溶媒キャスト法(高DSOHセルロースエステルを溶媒中に溶解させてベルト上またはロール上にキャストして溶媒を除去してフィルムを形成する)である。このプロセスには多くの変形があり、全てではないとしても多くは、本発明の高DSOHセルロースエステルフィルムを形成するために適用できる。
【0171】
セルロースアセテートフィルムのための溶媒キャストの一例は、米国特許第7,084,944号に開示されている。セルロースアセテートフィルムは、好ましくは溶媒キャスト法に従って作製される。溶媒としては有機溶媒が好ましく用いられる。溶媒キャスト法は、セルロースアセテートを有機溶媒中に溶解させて溶液(ドープ)を調製するステップと、該ドープをキャストしてフィルムを作製するステップとを含む。
【0172】
特定態様において、有機溶媒は、好ましくは、3〜12個の炭素原子を有するエーテル、3〜12個の炭素原子を有するケトン、3〜12個の炭素原子を有するエステル、1〜6個の炭素原子を有するハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0173】
エーテル、ケトンおよびエステルは環状構造を有することができる。エーテル(−O−)、ケトン(−CO−)およびエステル(−COO−)の2つ以上の官能基を有する化合物もまた有機溶媒として使用できる。有機溶媒は、別の官能基,例えばアルコール性ヒドロキシルを有することができる。
【0174】
3〜12個の炭素原子を有するエーテルの例としては、これらに限定されるものではないが、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。
【0175】
3〜12個の炭素原子を有するケトンの例としては、これらに限定されるものではないが、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。
【0176】
3〜12個の炭素原子を有するエステルの例としては、これらに限定されるものではないが、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。
【0177】
2種以上の官能基を有する化合物の例としては、これらに限定されるものではないが、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
【0178】
ハロゲン化炭化水素は、好ましくは1個または2個の炭素原子を有し、より好ましくは1個の炭素原子を有する。ハロゲン化炭化水素のハロゲン原子は、好ましくは塩素である。本発明の特定態様において、ハロゲンで置換される水素の比率は、好ましくは25〜75mol%の範囲、より好ましくは30〜70mol%の範囲、さらに好ましくは35〜65mol%の範囲、および最も好ましくは40〜60mol%の範囲である。塩化メチレンは代表的なハロゲン化炭化水素である。
【0179】
本発明の幾つかの態様において、2種以上の有機溶媒を組合せで用いることができる。
【0180】
セルロースアセテート溶液は、従来法に従って調製できる。従来法とは、温度0℃以上(室温または高温)で溶液を調製することを意味する。溶液の調製は、従来の溶媒キャスト法で用いられるプロセスおよび装置によって実施できる。従来の方法は、典型的には、ハロゲン化炭化水素(特に塩化メチレン)を有機溶媒として用いる。
【0181】
特定態様において、溶液中のセルロースアセテートの量は、典型的には、セルロースエステルおよび溶媒の質量基準で約10〜40質量%の範囲である。幾つかの態様において、セルロースアセテートの量は、より好ましくは10〜30質量%である。任意の添加剤(以下記載)を有機溶媒に添加できる。
【0182】
溶液は、セルロースアセテートおよび有機溶媒を約0〜40℃の温度で撹拌することにより調製できる。より高濃度のセルロースエステルを有する溶液は、これらを高温で高圧下にて撹拌することにより調製できる。典型的には、セルロースアセテートおよび有機溶媒は、閉じた容器内に入れ、そして高温で高圧下にて撹拌する。反応器温度は、一般的には、増大した反応器圧力で雰囲気沸点より高いが溶媒の沸点よりは低い。従って、反応器温度は、通常40℃以上、好ましくは60〜120℃の範囲、およびより好ましくは80〜110℃の範囲である。
【0183】
成分は、予備的に粗く分散させることができ、そして粗い分散物を容器内に入れることができる。そうでなければ、成分を連続的に、そして任意に分割量で容器内に導入することもできる。容器は、典型的には撹拌装置を備える。容器は、不活性ガス,例えば窒素ガスを用いて、または溶媒の加熱および蒸発で蒸気圧を増大させることによって、加圧できる。
【0184】
容器は、典型的には、外側から、例えばジャケット型の加熱装置で、または容器の外側に置いたプレートヒーターで加熱された液体を容器の周りに巻いたパイプを通って循環させてもよいが、容器全体を加熱する。他の従来の加熱方法,例えば内部パイプを介した加熱を用いてもよい。
【0185】
混合物は、好ましくは容器内に備えたプロペラミキサーで撹拌する。プロペラの翼は、好ましくは、容器の内側壁に届く長さを有する。さらに、翼の先端に、内側壁上に付着する混合物を引掻いて更新するための引掻き手段を備える。
【0186】
幾つかの態様において、成分を容器内の溶媒中に溶解してドープを形成する。ドープは、冷却し、次いで容器から取出すことができ、または取出し、次いで熱交換器で冷却することができる。
【0187】
セルロースアセテート溶液はまた、冷却溶解法に従って調製できる。この方法を用い、セルロースアセテートを有機溶媒中に溶解させることができ、ここでセルロースアセテートは、典型的には、従来法を用いて溶解させることはできない。この方法を用いて、迅速かつ均一にセルロースアセテートを有機溶媒中に溶解させることもでき、ここでセルロースアセテートは従来方法によって溶解させることができる。
【0188】
冷却溶解法において、セルロースアセテートまたはセルロースエステルは、撹拌しながら、有機溶媒中に室温で徐々に添加する。
【0189】
幾つかの態様において、混合物中のセルロースアセテートの量は、約10〜約40質量%、または約10〜約30質量%の範囲である。下記の種々の添加剤を混合物中に添加できる。
【0190】
次の段階で、調製した混合物を温度−100〜−10℃、または−80〜−10℃、または−50〜−20℃、または−50〜−30℃に冷却する。冷却手順は、例えば、ドライアイス−メタノール浴(−75℃)で、または冷却したエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)で実施できる。冷却手順を経て、混合物は固化する。
【0191】
冷却速度は4℃/分以上、または8℃/分以上、または12℃/分または20℃/分である。
【0192】
冷却した混合物は、次いで、温度0〜200℃、または0〜150℃、または0〜120℃、または0〜50℃に加温する。ポリマーは、加温手順中に有機溶媒中に溶解する。
【0193】
加温速度は4℃/分以上、または8℃/分以上、または12℃/分以上である。
【0194】
よって、均一溶液を調製できる。ポリマーが十分に溶解しない場合には、冷却および加温の手順を反復できる。
【0195】
冷却溶解法のプロセスにおいて、密閉容器を好ましくは使用して水(これは結露に起因する場合がある)の汚染を防止する。
【0196】
特定態様において、ポリマーフィルムは、調製されたポリマー溶液(ドープ)から、溶媒キャスト法を用いて形成される。
【0197】
ドープをドラム上またはバンド上でキャストし、そして溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。特定態様において、ドープの固体量は、典型的には、溶媒およびセルロースエステルの総質量基準で約18〜35%の範囲である。ドラムまたはバンドの表面は、好ましくは研磨してミラー様仕上げとする。溶媒キャスト法の典型的なキャストおよび乾燥のステップは、米国特許第2,336,310号,第7,208,205号,第2,492,977号,第2,492,978号,第2,607,704号,第2,739,069号,第2,739,070号,英国特許第640,731,736,892号,特公(Japanese Patent Publication)昭45(1970)−4554号,49(1974)−5614号,特開(Japanese Patent Provisional Publication)昭60(1985)−176834号,60(1985)−203430号および62(1987)−115035号に記載されている。
【0198】
特定態様において、ドラムまたはバンドの表面温度は10℃以下である。特定態様において、ドープがドラムまたはバンドの上にキャストされた後、ドープに空気を2秒間以上吹き付けてフィルムを乾燥させる。形成されたフィルムを、次いでドラムから取出し、そして、残存溶媒を蒸発させるために、高温空気を吹き付けてその温度を首尾よく100℃から160℃に変える。この手順は、特公(Japanese Patent Publication)平5(1993)−47855号に記載されている。
【0199】
2つ以上の層をドープから同時キャスト(共キャスト)法,例えば、これに限定されるものではないが溶媒キャスト法を用いて形成できる。ドープをドラム上またはバンド上でキャストし、そして溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。幾つかの態様において、ドープの固体量は、溶媒およびセルロースエステルの総質量基準で約10〜40%の範囲である。
【0200】
2つ以上のセルロースアセテート溶液を用いる場合、支持体の移動方向に間隔をおいて与えられるノズルから溶液をキャストして層状フィルムを形成できる。この方法は、例えば、特開(Japanese Patent Provisional Publication)昭61(1986)−158414号、1(1989)−122419号および11(1999)−198285号に記載されている。溶液を2つのノズルから同時にキャストして層状フィルムを形成してもよい。この方法は、例えば、特公昭60(1985)−27562号、特開昭61(1986)−94724号,61(1986)−947245号,61(1986)−104813号,61(1986)−158413号および6(1994)−134933号に記載されている。
【0201】
さらに、特開昭56(1981)−162617号に記載される方法もまた採用できる。その方法において、高度に粘性のセルロースアセテート溶液は低粘度のものに包囲されており、次いで、これによって、組合される溶液は同時に押出しおよびキャストされる。
【0202】
さらに、例えば、特公昭44(1969)−20235号に記載される方法を採用できる。該方法において、フィルムはまず2つのノズルのうち1つから押出される溶液から形成する。形成されたフィルムを剥離して支持体上に置いた後、別の溶液を他のノズルから押出してフィルム上(支持体に対向した表面上)にキャストして層状フィルムを形成する。
【0203】
セルロースアセテート溶液は、互いに同じまたは異なることができる。幾つかの機能層が形成されることになる場合、各々の機能に対応する各々のセルロースアセテート溶液を各ノズルから押出すことができる。さらに、本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、色素層、帯電防止層、ハレーション防止層、紫外層、偏光層)のための他のドープと同時にキャストできる。
【0204】
単層を有する厚膜を、従来の溶媒キャスト法で形成する場合、高濃度および高粘度のドープを押出すことが有用である。そのドープは、一般的には極めて不安定であり、固体粒子がしばしば堆積し、そして形成されるフィルムはしばしば均一性に乏しい。粘性のドープを同時に複数のノズルから支持体上に押出す場合、優れた均一性を有する厚いフィルムを作製できる。さらに、濃いドープは迅速に乾燥するため、フィルムを迅速に形成できる。
【0205】
幾つかの態様において、可塑剤をセルロースアセテートフィルムに添加して機械的強度を改善できる。可塑剤はまた、乾燥プロセス時間の短縮のために機能する。リン酸エステルおよびカルボン酸エステルが、典型的に可塑剤として使用される。リン酸エステルの例としては、これらに限定されるものではないが、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が挙げられる。カルボン酸エステルの例としては、これらに限定されるものではないが、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが挙げられる。フタル酸エステルの例としては、これらに限定されるものではないが、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が挙げられる。クエン酸エステルの例としては、これらに限定されるものではないが、トリエチルo−アセチルシトレート(OACTE)およびトリブチルo−アセチルシトレート(OACTB)が挙げられる。他のカルボン酸エステルの例としては、これらに限定されるものではないが、ブチルオレエート、メチルアセチルリシノレエート、ジブチルセバケートおよび種々のトリメリット酸エステルが挙げられる。幾つかの態様において、フタル酸エステル可塑剤(DMP,DEP,DBP,DOP,DPP,DEHP)が好ましい。他の態様において、DEPおよびDPPが特に好ましい。
【0206】
可塑剤の量は、フィルム中またはドープ中のセルロースエステルの総質量基準で約0.1〜25質量%、または約1〜20質量%、または約3〜15質量%の範囲である。
【0207】
劣化抑制剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル阻害剤、金属不活性化剤、酸素捕捉剤、アミン)をセルロースアセテートフィルム中に組込むことができる。幾つかの劣化抑制剤は、特開平3(1991)−199201号,5(1993)−1907073号,5(1993)−194789号,5(1993)−271471号および6(1994)−107854号に記載されている。劣化抑制剤は、典型的には、調製された溶液(ドープ)量基準で約0.01〜1質量%、または約0.01〜0.2質量%の範囲である。該量が0.01質量%未満の場合、劣化抑制剤の効果は通常効果的ではない。該量が1質量%より多い場合、阻害剤がフィルムの表面上にブリードアウトする。特定態様において、ブチレート化ヒドロキシトルエン(BHT)およびトリベンジルアミン(TBA)は、特に好ましい劣化抑制剤である。
【0208】
本発明の特定態様において、高DSOHセルロースエステルフィルムは溶融押出しによって作製する。
【0209】
上記の高DSOHセルロースエステルフィルムは、多くの光学フィルム用途,例えば、これに限定されるものではないがLCDにおいて使用できる。
【0210】
別の態様において、本発明は、高DSOHセルロースエステル/溶媒混合物、換言すると高DSOHセルロースエステルドープの、光学フィルム用途,例えばLCDにおける基板、補償フィルムとしての役割および他の個別の役割において有用なフィルムの形成のプロセスにおける使用に関する。別の態様において、高DSOHセルロースエステルフィルムは、LCDにおける多機能の役割,例えば補償板/基板において使用できる。
【0211】
別の態様において、本発明は、基板として使用される高DSOHセルロースエステルフィルムに関し、該フィルムは、後処理,例えば表面鹸化(多くの偏光子用途およびLCDにおける他の光学フィルム用途において、TACフィルムのPVA層に対する接着を向上させるために一般的に用いられる)の必要性が少ないかまたはない。表面鹸化の一例は、米国特許第7,084,944号においてセルロースアセテートフィルムについて開示されている。他の表面処理を用いて、TACフィルムのPVA層に対する接着を向上させることができる。
【0212】
表面処理の例としては、鹸化処理、プラズマ処理、火炎処理および紫外線(UV)処理が挙げられる。鹸化処理としては、酸鹸化処理およびアルカリ鹸化処理が挙げられる。プラズマ処理としては、グロー放電処理およびコロナ放電処理が挙げられる。幾つかの態様において、アンダーコート層が、特開平7(1995)−333433号に記載されるように付与される。
【0213】
光学補償シートを偏光板の透明保護フィルムとして用いる特定態様において、セルロースアセテートフィルムを酸またはアルカリの鹸化処理に供して偏光膜への接着を改善する。
【0214】
アルカリ鹸化処理は、典型的には、セルロースエステルフィルムをアルカリ溶液中に浸漬するステップ、フィルムを酸溶液で中和するステップ、フィルムを水で洗浄するステップおよび乾燥のステップを含む。アルカリ溶液の例としては、これらに限定されるものではないが、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムの水性溶液が挙げられる。幾つかの態様において、アルカリ溶液中のヒドロキシルイオンの規定度は、約0.1〜3.0N、または約0.5〜2.0Nである。アルカリ溶液は、ほぼ室温から90℃、または40〜70℃の範囲で維持する。
【0215】
幾つかの態様において、アルカリは、アルカリ金属水酸化物,例えば水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを含む。アルカリ溶液は、典型的には、pH値10〜14を有する。典型的には、偏光膜に対向するフィルム表面のみを浸漬するが、セルロースアセテートフィルムの両表面を浸漬してもよい。浸漬時間は、約1〜300秒、または約5〜240秒の範囲である。鹸化反応の温度は、約25〜70℃、または35〜60℃の範囲である。アルカリ溶液中の浸漬後、フィルムを好ましくは水で洗浄する。
【0216】
一方の表面のみをアルカリ鹸化処理に供する態様において、これは好ましくは、アルカリ溶液が適用された後に水で洗浄する。この場合、アルカリ溶液の溶媒は、好ましくはセルロースエステルフィルムを膨潤させず、そして従って好ましくはアルコール(例えば、イソプロパノール、ブタノール)である。さらに、コーティング特性およびアルカリ溶解性を改善するために他の溶媒(例えば、プロピレングリコールおよび水)を含有する混合物を溶媒として用いてもよい。
【0217】
コロナ放電処理は、誘電体のロールと高電圧発生器に接続された電極との間に高電圧を印加するステップ、およびセルロースアセテートフィルムを、該ロールと該電極との間に発生したコロナ放電中に配置または移動させるステップを含む。ロールと電極との間に印加される高電圧の周波数を「放電周波数」という。コロナ放電処理は空気中で容易に実施されるが、空気以外のガスの存在下で、または空気が混入したガスとともに行なってもよい。ガスの例としては、窒素、アルゴンおよび酸素が挙げられる。
【0218】
放電周波数は、通常50Hz〜5,000kHzの範囲、または5〜数百kHzの範囲である。放電周波数が低すぎると、放電が不安定すぎ、得られるフィルムが多くのピンホールを有する。放電周波数が高すぎると処理が高価すぎる。インピーダンス整合装置も使用しなければならないからである。
【0219】
セルロースアセテートフィルムの濡れ性を改善する1つの方法は、フィルムを、約0.001〜5kVA分/m2、または約0.01〜1kVA分/m2の範囲のコロナ放電処理に供することを与える。ロールと電極との間のギャップは、約0.5〜2.5mm、または約1.0〜2.0mmの範囲である。
【0220】
グロー放電処理は、一対の(またはそれより多い)電極に、低圧ガス雰囲気下で高電圧を印加するステップ、およびセルロースアセテートフィルムを、電極間で発生したグロー放電中に配置または移動させるステップを含む。
【0221】
ガス圧は、典型的には、約0.005〜20Torr、または0.02〜2Torrの範囲である。ガス圧が低すぎると表面処理が効果的ではない。ガス圧が高すぎると過剰の電流フローがスパークの原因となってフィルムを損傷させる。放電は、減圧タンク内の一対の(またはそれより多い)金属の板または棒の間に電圧を印加することにより発生させる。電圧は、ガスおよびその圧力に左右されるが、通常500〜5,000Vの範囲であり、安定な定常グロー放電を形成する。接着を向上させるためのプロセスにおいて用いる電圧は、典型的には約2,000〜4,000Vの範囲である。放電周波数は、約0(直流)〜数千MHzの範囲、または約50Hz〜20MHzの範囲である。セルロースアセテートフィルムを、約0.01〜5kVA分/m2、または約0.15〜1kVA分/m2の範囲のグロー放電処理に供して、所望の接着強度を得る。
【0222】
紫外線(UV)処理においては、セルロースアセテートフィルムを紫外線に曝露する。フィルム表面が、フィルムへの悪影響なしで約150℃に加熱できる場合、高圧水銀ランプ(主波長:365nm)が好適な光源である。フィルムを低温で処理しなければならない場合、低圧水銀ランプ(主波長:254nm)が好適である。他の好適な光源としては、オゾンレス型の高圧および低圧の水銀ランプが挙げられる。フィルムのUV光曝露を増大させることによって接着が改善される。過剰のUV光曝露は、フィルムが着色し、そして機械的に弱くなる原因となる。高圧水銀ランプ(主波長:365nm)を用いる場合、UV光の曝露レベルは、約20〜10,000mJ/cm2、または約50〜2,000mJ/cm2の範囲である。低圧水銀ランプ(主波長:254nm)を用いる場合、UV光の曝露レベルは、約100〜10,000mJ/cm2、または約300〜1,500mJ/cm2の範囲である。
【0223】
さらなる態様は、DSOHが約0.4〜約2.00、好ましくは0.75〜約1.75、より好ましくは約1.01〜約1.55であり、そしてΔn633<0、好ましくは<−0.001、より好ましくは<−0.0025であるセルロースC2−C7エステルを含み、セルロースエステルを溶媒中で溶解させてドープを形成し、該ドープをベルト上にキャストし、そして溶媒を除去してフィルムを形成することにより作製される多機能フィルムに関する。フィルムは、液晶ディスプレイにおける基板、保護層、および/または補償シートとして作用できる。
【0224】
高DSOHのセルロースエステルは公知の方法で調製でき、例えば、鉱酸触媒(これらに限定されるものではないが、塩酸、硫酸、硝酸、およびリン酸ならびにこれらの混合物が挙げられる)での加水分解、塩基触媒(これらに限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられる)での加水分解/鹸化、固体酸触媒(これに限定されるものではないが、H+カチオン交換樹脂が挙げられる)を用いた加水分解、およびルイス酸触媒(これらに限定されるものではないが、金属トリフラート,例えば銀トリフラート、スカンジウムトリフラート、等が挙げられる)を用いた加水分解が挙げられる。
【0225】
当業者は、触媒、触媒量、水の量、溶媒、溶媒量、時間および温度の選択が反応速度および生じる生成物に影響する場合があることを理解するであろう。
【0226】
実験
NMRによる置換度の評価
プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を、JEOLモデルGX−400NMRスペクトロメータ(400MHzで操作)を用いて得た。サンプルチューブのサイズは5mmであった。各実験について、サンプル温度は80℃であり、パルス遅延5秒および64スキャンを確保した。内部標準としての残DMSOで、テトラメチルシランから化学シフトをppm単位で記録した。残DMSOの化学シフトは2.49ppmに設定される。
【0227】
特記がない限り:
DSAC1H−NMRによって評価した場合のアセチルの置換度
DSpr1H−NMRによって評価した場合のプロピオニルの置換度
DSBu1H−NMRによって評価した場合のブチリルの置換度
【0228】
セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートの置換度は、1H−NMRスペクトルを分析し、そして積分されたアルキルエステルプロトンのピーク面積を、セルロース骨格プロトンのピーク面積と比較することによって評価した。この方法に従い、アセチルは、より高級のエステル,例えばブチリルまたはプロピオニルから区別できるが、ブチリルはプロピオニルから区別できない。結果として、全てのより高級なエステルのピークが、使用する無水物に応じ、ブチリルまたはプロピオニルのいずれかに由来すると想定しなければならない。これはセルロースアセテートブチレートについては合理的な想定である。CAB中のプロピオニルのレベルは、無水酪酸が反応物質である場合ほぼ0であるからである。1H−NMRは、ヒドロキシル基の置換度は示さない。ヒドロキシル基の置換度を評価するための許容される方法は一致せず、すなわち、理論的な最大置換度(DSMax)を想定し、その数から、アセチル(セルロースアセテートについて)、アセチルおよびプロピオニル(セルロースアセテートプロピオネートについて)、およびアセチルおよびブチリル(セルロースアセテートブチレートについて)の置換度を差し引く。結果は、ヒドロキシル基の置換度であり、等式4〜6に示す通りである。
セルロースアセテートについて:
DSMax−DSAc=DSOH 等式4
セルロースアセテートプロピオネートについて:
DSMax−DSPr−DSAc=DSOH 等式5
セルロースアセテートブチレートについて:
DSMax−DSBu−DSAc=DSOH 等式6
【0229】
従来の分子量のセルロースエステルのエステル置換は、DSMaxが3.0であることに基づいて算出され、これは従来のセルロースエステルの高い重合度による。セルロースエステルの重合度(すなわち分子量)が低くなるに従い、C1およびC4の末端基ヒドロキシルはより重要になり、そして最大置換度、DSMaxは>3.0となる。DSMaxが3.0を超える低分子量セルロースエステルは本発明の範囲内に包含される。DSMaxが3.0を超える(例えば最大約3.67)セルロースエステルは本発明の範囲内である。本発明の例の殆どについて、DSMax3.0が特記のない限り想定される。
【0230】
従来、セルロースエステルは、最大置換度3.0を有すると考えられる。3.0のDSは、3.0の誘導体化できる反応性ヒドロキシル基がセルロース中に存在することを示す。天然セルロースは、重合度700〜2,000の大きな多糖であり、そしてこれにより、最大DSが3.0であるという想定はおおよそ正しい。しかし、重合度が低くなるに従い、多糖骨格の末端基は相対的により重要になる。
【0231】
表1は、種々の重合度でのDSMaxを与える。最大DS3.00を有するために、数学的に重合度401が必要である。表が示すように、DPの低下で生じるDSMaxの増大は遅く、そして殆どの部分について、最大DS3.00を想定することが許容できる。しかし、DPが十分低くなるならば(例えばDP21)、異なる最大DSを全ての計算に用いることが適切になる。
【0232】
【表1】

【0233】
質量パーセントヒドロキシル(wt%OH)、質量パーセントアセチル(wt%アセチル)、質量パーセントプロピオニル(wt%Pr)、および質量パーセントブチリル(wt%Bu)の算出
置換wt%は、置換度(DS)の値から以下に従って算出できることを注記する:
CABのブチリルwt%は、以下の等式を用いて算出される:
wt%Bu=(DSBu*MWBu)/((DSAc*MWAcKet)+(DSBu*MWBuKet)+MWanhydroglu
CABのアセチルwt%は、以下の等式を用いて算出される:
wt%Ac=(DSAc*MWAc)/((DSAc*MWAcKet)+(DSBu*MWBuKet)+MWanhydroglu
CABのヒドロキシルwt%は、以下の等式を用いて算出される:
wt%OH=(DSMax−DSAc−DSBu*MWOH/((DSAc*MWAcKet)+(DSBu*MWBuKet)+MWanhydroglu
CAPのブチリルwt%は、以下の等式を用いて算出される:
wt%Bu=(DSPr*MWPr)/((DSAc*MWAcKet)+(DSPr*MWPrKet)+MWanhydroglu
CAPのアセチルwt%は、以下の等式を用いて算出される:
wt%Ac=(DSAc*MWAc)/((DSAc*MWAcKet)+(DSPr*MWPrKet)+MWanhydroglu
CABのヒドロキシルwt%は、以下の等式を用いて算出される:
wt%OH=(DSMax−DSAc−DSPr*MWOH/((DSAc*MWAcKet)+(DSPr*MWPrKet)+MWanhydroglu
【0234】
式中、MWBuはブチリル基の分子量(71.099)を意味し;MWAcは、アセチル基の分子量(43.045)を意味し;MWPrは、プロピオニル基の分子量(57.072)を意味し;MWOHは、ヒドロキシル基の分子量(17.007)を意味し;MWBuKetは、ブチリルケトンの分子量(70.091)を意味し;MWAcKetは、アセチルケトンの分子量(42.037)を意味し;MWPrKetは、プロピオニルケトンの分子量(56.064)を意味し;MWanhydrogluは、無水グルコースユニットの分子量(162.141)を意味する。
【0235】
示差走査熱量計(DSC)、によるセルロースエステルの評価
示差走査熱量計(TA Instruments DSC 2920、典型的なサンプルサイズ8〜10mgおよび加熱速度20℃/分、2回目スキャン、220〜250℃への20℃/分での加熱後(サンプルの安定性に応じ)、および0℃未満への冷却後で)を用いてガラス転移温度Tgを評価した。
【0236】
インヘレント粘度(IV)によるセルロースエステルの評価
セルロースエステルのインヘレント粘度(IV)は、特記がない限り、公知のポリマー濃度の溶液のフロー時間および溶媒ブランクのフロー時間を、キャピラリ粘度計で測定し、次いでIVを算出することにより評価した。
IVは、以下の等式7によって定義される:
【0237】
【数1】

【0238】
式中、
(n)=ポリマー濃度0.50g/100mL溶媒で25℃でのインヘレント粘度
ln=自然対数
s=サンプルフロー時間
0=溶媒−ブランクフロー時間
C=溶媒100mL当たりのグラム単位でのポリマーの濃度=0.50
【0239】
サンプルは、溶媒(60質量%フェノールおよび40質量%1,1,2,2−テトラクロロエタン、本明細書で「PM95」とも記載する)100mL当たりのグラム単位での濃度0.50gに調製した。サンプル(0.25g)を、撹拌棒を収容するカルチャーチューブ内に計り入れた。50.0mLの60質量%フェノールおよび40質量%1,1,2,2−テトラクロロエタン(本明細書で「PM95」とも記載する)を添加する。混合物をヒーター内に入れて撹拌(300rpm)しながら125℃に加熱した(目的温度に到達するまで7分間、そして15分間125℃で維持)。サンプルを室温(25℃)まで冷却させ、次いでろ過して粘度計(Model AVS 500−Schott America,Glass&Scientific Products,Inc.,Yonkers,N.Y.)内に置いた。IVは、上記の等式に従って算出した。
【0240】
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によるセルロースエステルの評価
セルロースエステルサンプルの分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、以下に列挙する方法を用いて評価した。
【0241】
セルロースエステルサンプルの分子量分布は、THFを溶媒としてGPCによって試験されるものとして示され、環境温度(約25℃)で、Burdick and Jackson GPC−グレード THF(BHTで安定化されたもの)中、流速1mL/分で評価した。サンプル溶液は、約50mgのセルロースエステルを10mlのTHF中に溶解させ、これに10マイクロリットルのトルエンを流速マーカーとして添加することによって調製した。オートサンプラーを用いて50マイクロリットルの各溶液をPolymer Laboratories PLgel(商標)カラムセット(直列で、5ミクロンGuard、Mixed−C(商標)およびOligopore(商標)カラムからなる)上に注入した。溶離するセルロースエステルは、示差屈折率測定(30℃に保持された検出器セルで)によって検出した。検出器信号を積分し、そして一連の18のほぼ単分散のポリスチレン標準(分子量266〜3,200,000g/モルを有する)および1−フェニルへキサン(162g/モルにて)で較正カーブを決定した。分子量分布および平均は、当量ポリスチレン値として、または以下のパラメータによる汎用較正手順によって算出される真の分子量としてのいずれかで記録する:
PS=0.0128 aPS=0.712(Polymer Handbook,Fourth Edition,Eds.Brandrup,J.;Immergut,E.H.;Grulke,E.A.;John Wiley&Sons,Inc.,New York,1999に報告)
CE=0.00757 aCE=0.842(ポリスチレン当量からセルロースエステルの絶対分子量に変換するために用いる補正係数)
【0242】
本発明の特定態様を、好ましい態様の以下の例によってさらに説明するが、これらの例は単に例示の目的で包含され、特記がない限り本発明の範囲の限定を意図しないことが理解されよう。
【0243】
実験室スケールのフィルムキャスト
セルロースエステルフィルムは、適切な溶媒(例えばシクロペンタノン(CP)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、NMP、および溶媒の混合物,例えば塩化メチレン/メタノール(85/15,wt/wt)、塩化メチレン/メタノール(90/10,wt/wt)、および塩化メチレン/メタノール/n−ブタノール(85/14/1,wt/wt))(これらの溶媒および溶媒混合物に限定されるものではない)中、約5〜40質量%固形分で溶解させたセルロースエステルの溶液から、平滑表面(例えば、ガラス、ステンレススチール、アルミニウムまたはテフロン(登録商標))上に、キャスティングブレードを用いてキャストした。溶媒を蒸発させ、そしてフィルムを表面から剥離した。
【0244】
一般的なフィルムキャスティング条件
例24〜72のCAPフィルムを、以下の条件下で作製した。CAPサンプルを、減圧オーブン内で1晩乾燥させて、ドープ調製前に水を除去した。乾燥させたCAP(21.6g)を4オンス広口瓶に添加した。次いで、トリフェニルホスフェート(2.4g)を瓶に添加した。塩化メチレン、メタノール、およびn−ブタノール(85/14/1,wt/wt/wt)を含有する溶媒混合物を瓶に添加してCAPを溶解させた。溶媒混合物の量を調整して、系内の目的質量パーセントの固体に到達した。典型的な固体レベルは、14,12,10,8および6質量%であった。CAP、TPP、CH2Cl2、MeOH、n−BuOHの混合物を、ローラー上で、全てのセルロースが溶解して明澄なドープを形成するまで混合した。フィルムキャストの間フィルム厚みを制御するためにキャスティングナイフ(すなわちドクターブレード)を用いた。ドープの一部を、ブレードとキャスティングナイフの側部との間のガラス板上に注ぎ、そして、キャスティングナイフでガラス板を引き下ろすことによりフィルムを直ちにキャストした。ガラス板および湿潤フィルムを蓋で覆い(約1/4インチ深さ)、溶媒蒸発の速度を遅らせた。1時間後、蓋を除去してフィルムをガラス板から、1つの角を注意深く持ち上げて僅かに引っ張り、フィルムに過剰の応力がかからずにフィルムがガラス板から離れるようにして取出した。
【0245】
一般的なフィルム延伸条件
CAPフィルムを約4インチ×4インチ角にペーパーカッターを用いて切断した。フィルムを、Brucknerフィルム延伸機のグリップ内に置いた。延伸条件を、機器のソフトウエアパッケージを用いて設定した。典型的には、フィルムを温度10〜30℃の範囲で、キャストフィルムの初期DSCスキャンによって評価した場合のフィルムのTgよりも高温で延伸した。次いで、フィルムを、目的の温度設定点、浸漬時間、延伸倍率、および延伸時間を用いて延伸した。
【0246】
複屈折測定
Metricon(登録商標)2010 Prism Couplerを用いて複屈折値を測定した。この機器は、異なる波長633、827および1542nmの3つのレーザー源をそれぞれ備える。
【0247】
複屈折の算出
複屈折値はまた、エリプソメーター(偏光解析器)(例えば、M−2000/EC−400 Spectroscopic Ellipsometer、J.A.Woollam Co.,Inc.より)で測定されるレタデーションデータから、等式8に従って算出できる。
Δn=Rth/(1000×DFT) 等式8
式中、Δn=複屈折、
th=エリプソメーターによって測定した場合のフィルムの直通レタデーション、および
DFT=ミクロン単位でのドライフィルム厚み。
【0248】
直通レタデーション(Rth)の算出
直通レタデーション(Rth)値もまた、Metricon 複屈折データから等式9に従って算出できる。
th=Δn×1000×DFT 等式9
式中、Δn=複屈折、
th=エリプソメーターによって測定した場合のフィルムの直通レタデーション、および
DFT=ミクロン単位でのドライフィルム厚み。
【0249】

高DSOHのセルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートの調製
実施例1〜20および比較例21〜23
セルロースエステルドープは、セルロースエステル(例えば、CAB−381−20,CAP−482−20,CAP−141−20、全てEastman Chemical Company,Kingsport,Tennesseeから市販で入手可能)を、酢酸、プロピオン酸、酪酸および水の混合物を収容する適切な反応容器(例えば、オーバーヘッド撹拌器および熱電対および温度制御器を備える1000mL三つ口丸底フラスコ)に添加することによって調製する。混合物を撹拌し、そして適切な温度(典型的には、40℃〜85℃の間)まで、セルロースエステルが溶解して明澄で粘稠な混合物が生成するまで加熱する。触媒混合物は、硫酸、酪酸および/またはプロピオン酸を含み、そして酢酸をセルロースエステルドープに添加する。酪酸および/またはプロピオン酸、酢酸、水、および任意に硫酸を含む加水分解混合物を適切な様式で(例えば、滴下、分割量で、定常流で、または単独添加で)セルロースエステルドープに添加する。加水分解混合物を十分遅い速度で添加してセルロースエステルの沈殿を防止することに注意する。幾らかかの局所的な沈殿が観察される場合があるが、セルロースエステルは、典型的には、撹拌で速く再溶解する。混合物を加熱して適切な長さの時間撹拌して、所望のDSOH、Mn、およびIVのセルロースエステルを生成する。加水分解反応は、過剰の金属アセテート塩を添加することにより硫酸を中和することにより停止させる。次いで、中和したドープを、粗いフリット漏斗内のガラスウールのパッド経由で任意にろ過する。所望の生成物は、ドープの細い流れを、バッフルを備えるステンレススチールバケツ中の水中に、Omniホモジナイザー/ミキサーを用いて急速に混合しながら注ぐことにより沈殿させる。セルロースエステルを、ナイロンバッグ内に置き、そして水(典型的には脱イオン水または脱塩水)で1晩洗浄する。洗浄したセルロースエステルを、フリット漏斗上でのろ過により脱水し、次いで真空中で40〜65℃の間で乾燥させる。実施例および比較例において記載されるセルロースエステルについての分析データを表2〜5に示す。
【0250】
【表2】

【0251】
【表3】

【0252】
【表4】

【0253】
【表5】

【0254】
実施例13〜14
CAPドープは、250グラム(約319.67g/mol,0.78mol,無水グルコースユニット基準,Eastman Chemical Company,Lot#BP−04951−B)のCAP−482−20、1226.6グラム(20.43mol)の酢酸を、オーバーヘッド撹拌器およびJ−Kem温度制御器に接続された熱電対を備える5000mLの三つ口丸底フラスコに添加し、混合物を55℃で、固体が溶解して明澄なドープまたは僅かに濁った粘稠な混合物になるまで撹拌することにより調製した。ドープを室温まで撹拌しながら1晩冷却した。ドープを70℃まで加熱し、そして253.6グラム(14.07mol)の脱塩水および3.775グラム(0.038mol)の硫酸を含む触媒溶液をCAPドープに添加した。695グラム(11.57mol)の酢酸、695グラム(38.61mol)の脱塩水を含む加水分解溶液を、添加漏斗に添加し、次いでCAPドープ/触媒溶液混合物に滴下添加した。水溶液を十分遅い速度で添加してCAPの沈殿を防止することに注意した。幾らかかの局所的な沈殿が観察される場合があるが、CAPは、撹拌で速く再溶解する。混合物を70℃で適切量の時間撹拌して、以下の特性を有するCAPを生成した:DSAc=0.08;DSPr=2.35;DSOH=0.57;IV=0.794;Mn=23485;Mw=59972;Mw/Mn=2.55;Tg=151.43またはDSAc=0.05;DSPr=2.58;DSOH=0.37;IV=1.535;Mn=50662;Mw=149572;Mw/Mn=2.95;Tg=136.89
【0255】
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(好ましくはアセテート)、水、および酢酸を含む中和溶液を添加して加水分解反応を停止させた。
【0256】
中和したドープを分割量で250mL添加漏斗に移した。CAPは、バッフルを備えるステンレススチールバケツ中の水に、細い流れでゆっくり添加し、そして、Omniホモジナイザー/ミキサーを用いて急速に混合した。CAPは、白色の塊状の固体として単離される。各サンプルをナイロンバッグ内に置き、そして脱塩水で1晩洗浄し、フリット漏斗上でのろ過により脱水し、次いで真空中約50℃で乾燥させた。
【0257】
実施例15〜16
CAPドープは、250グラム(約319.67g/mol,0.78mol,無水グルコースユニット基準,Eastman Chemical Company,Lot#BP−04951−B)のCAP−482−20、1226.6グラム(13.92mol)の酪酸を、オーバーヘッド撹拌器およびJ−Kem温度制御器に接続された熱電対を備える5000mLの三つ口丸底フラスコに添加し、混合物を55℃で、固体が溶解して明澄なドープまたは僅かに濁った粘稠な混合物になるまで撹拌することにより調製した。ドープを室温まで撹拌しながら1晩冷却した。ドープを70℃まで加熱し、そして96.4グラムの酪酸(1.09mol)および3.775グラム(0.038mol)の硫酸を含む触媒溶液をCAPドープに添加した。1200グラム(19.98mol)の酢酸、1200グラム(66.59mol)の脱塩水を含む加水分解溶液を、添加漏斗に添加し、次いでCAPドープ/触媒溶液混合物に滴下添加した。水溶液を十分遅い速度で添加してCAPの沈殿を防止することに注意した。幾らかかの局所的な沈殿が観察される場合があるが、CAPは、撹拌で速く再溶解する。混合物を70℃で適切量の時間撹拌して、以下の特性を有するセルロースアセテートプロピオネートブチレートを生成した:DSAc=0.07;DSPr=1.87;DSBu=0.07;DSOH=0.99;IV=1.101;Mn=26611;Mw=81016;Mw/Mn=3.04;Tg=176.39またはDSAc=0.07;DSPr=1.89;DSBu=0.07;DSOH=0.97;IV=1.104;Mn=24707;Mw=76888;Mw/Mn=3.11;Tg=174.4
【0258】
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(好ましくはアセテート)、水、および酢酸を含む中和溶液を添加して加水分解反応を停止させた。
【0259】
中和したドープを分割量で250mL添加漏斗に移した。CAPBは、バッフルを備えるステンレススチールバケツ中の水に、細い流れでゆっくり添加し、そして、Omniホモジナイザー/ミキサーを用いて急速に混合した。CAPBは、白色から淡黄色の塊状の固体として単離された。各サンプルをナイロンバッグ内に置き、そして脱塩水で1晩洗浄し、フリット漏斗上でのろ過により脱水し、次いで真空中約50℃で乾燥させた。
【0260】
複屈折およびレタデーションのデータ
複屈折データを表2〜5に示す。レタデーションRthの値は、フィルム厚みに左右され、幾つかのフィルム厚み:40,60,80,100および120ミクロンについて、算出して表6に示す。
【0261】
本発明の高ヒドロキシルセルロースエステルフィルムの例のレタデーション(RthおよびRe)に対する延伸の効果を表8〜13に示す。用いる延伸条件(例えば、温度、延伸倍率、および予熱(すなわち浸漬時間)、フィルムの組成(例えば、高ヒドロキシルセルロースエステルのDSOH,DSPr,DSAc,DSBu,分子量およびTg、可塑剤量および用いる可塑剤の種類、ならびに任意の追加の添加剤の影響)ならびに環境条件(例えば環境温度および相対湿度))は、得られるフィルムのRthおよびReの値に影響する場合がある。延伸条件、フィルム組成、および環境条件を調整して、フィルムの延伸によりもたらされるレタデーション値(RthおよびRe)を最適化できることにも留意すべきである。予期しないことに、本発明の高ヒドロキシルセルロースエステルおよびフィルムにより、従来の市販セルロースエステルの結果に基づいて予測される予測Rth値よりも大幅に高い生成が可能になり、そしてその結果、高価なレタデーション向上添加剤を用いることなく、VAモードLCD用の片側レタデーションフィルムについて、より低いゲージのフィルム厚み(<80ミクロン、典型的には40〜60ミクロン)を用いて市販の実行可能なレタデーション(すなわちRth)値、例えばRth約−240〜−300に到達できる。
【0262】
【表6】

【0263】
【表7】

【0264】
溶媒系A=シクロペンタノン
溶媒系B=塩化メチレン/メタノール/n−ブタノール(84/15/1,wt/wt/wt)
CEレベルは、フィルムキャスティングドープ中のセルロースエステルの、フィルムキャスティングドープの総質量基準での質量%を意味する。
【0265】
可塑剤レベルは、フィルムキャスティングドープ中の可塑剤の、フィルムキャスティングドープ中のセルロースエステルの質量基準での質量%を意味する。
【0266】
【表8】

【0267】
【表9】

【0268】
【表10】

【0269】
【表11】

【0270】
表8〜11についての備考:「初期Re」は、延伸またはアニールの前にエリプソメトリーによって測定されるReであり;「初期Rth」は、延伸またはアニールの前にエリプソメトリーによって測定されるRthであり;「初期厚み」は、延伸またはアニールの前にマイクロメーターで測定した場合のフィルムのミクロン単位での厚みであり;「初期算出Δn」は、初期Rth測定から算出されるΔn値であり;「初期Rth、60μmに標準化」は、ドライフィルム厚み60μmに標準化された算出Rth値を意味し;「温度設定点」は、延伸についての摂氏での温度設定点であり;「延伸倍率,MD」は、機械方向における延伸倍率であって、延伸無しで1.0であることとの関係で与えられ;「延伸倍率,TD」は、機械方向における延伸倍率であって、延伸無しで1.0であることとの関係で与えられ;「延伸Re」は、記載される条件下での延伸後のReであり;「延伸Rth」は、記載される条件下での延伸後のRthであり;「延伸厚み」は、マイクロメーターによって測定した場合の延伸後のフィルムのミクロン単位での厚みであり;「延伸Rth、60μmDFTに標準化」は、ドライフィルム厚み60μmに標準化された算出Rth値であり;「算出Δn」は、延伸Rthから算出される延伸フィルムの複屈折の値である。
【0271】
【表12】

【0272】
備考:表12において、算出Δnは、以下の等式に従って得た:
Δn=Rth/(フィルム厚み*−1000)
「−1000」は、複屈折データの符号を変換して本件でのものに合致させるために用いる。参照列挙において、発明者らは、我々が用いるのと異なる計算を用いてRthを評価し、結果として、我々が測定した値と同じ大きさで上記のRthの大きさが与えられるが、符号は逆である。
【0273】
【表13】

【0274】
表13についての備考:MA=メチルアセテート;ET=メタノール;MC=塩化メチレン;AC=アセトン;米国特許第6,503,581号によって定義される通り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.40〜2.00のセルロースアセテート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;および
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテート、該可塑剤および該有機溶媒の総質量基準であり、そして、
フィルムが非延伸である、フィルム。
【請求項2】
nx=ny、およびnx>nz、およびny>nzである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
ヒドロキシル基の置換度が、0.65〜2.00の範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
ヒドロキシル基の置換度が、0.95〜2.00の範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
ヒドロキシル基の置換度が、1.01〜2.00の範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
633nmにおける複屈折Δn633が、0未満から約−0.010である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
633nmにおける複屈折Δn633が、−0.001またはそれ未満から約−0.010の範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
フィルムが厚み3ミクロン〜300ミクロンを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
フィルム厚みが300ミクロン超〜1000ミクロンの範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
可塑剤が、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、トリエチルシトレート、アセチルトリメチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート、ブチルオレエート、メチルアセチルリシノレエート、ジブチルセバケート、トリアセチン、グルコースペンタプロピオネート、グルコースペンタイソブチレート、グルコースペンタブチレート、フルクトースペンタプロピオネート、フルクトースペンタイソブチレート、フルクトースペンタブチレート、キシローステトラプロピオネート、キシローステトライソブチレート、キシローステトラブチレート、キシリトールペンタプロピオネート、キシリトールペンタイソブチレート、キシリトールペンタブチレート、マンニトールヘキサプロピオネート、マンニトールヘキサイソブチレート、マンニトールヘキサブチレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
有機溶媒が、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール,1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、メチルアセテート、エチルアセテート、アミルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、エチルホルメート、ニトロエタン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン(MAK)、メチルイソアミルケトン(MIAK)、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、酢酸、プロピオン酸、酪酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
請求項1に記載の少なくとも1つのフィルムを含む、液晶ディスプレイ。
【請求項13】
請求項1に記載の少なくとも1つのフィルムを含む、液晶ディスプレイ用の偏光板。
【請求項14】
請求項1に記載の少なくとも1つのフィルムを含む、液晶ディスプレイ用の波長板。
【請求項15】
請求項1に記載のフィルムを含む、単層補償シート。
【請求項16】
請求項1に記載の少なくとも1つのフィルムを含む、複層補償シート。
【請求項17】
LCD部品用基板として、および液晶ディスプレイにおける補償シートとしての両者で機能する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項18】
少なくとも1つの層の多機能フィルムを含み、液晶ディスプレイ部品用の基板または保護層として機能し、そして補償を与える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項19】
フィルム厚みが約3ミクロン〜約1000ミクロンの範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項20】
0〜30質量パーセントの、艶消し剤、UV吸収剤、酸化防止剤、および色素を含む群から選択される添加剤を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項21】
添加剤が、液晶化合物、ディスコティック化合物、および/または棒状化合物からなる群から選択される複屈折増強物質である、請求項20に記載のフィルム。
【請求項22】
請求項1に記載のフィルムおよび別の基板層を含み、該第2の基板が、TACフィルム、DSOHが0〜0.399の間のCAPフィルム、DSOHが0〜0.399の間のCABフィルム、または環状オレフィンポリマー(COP)フィルムを含む、液晶ディスプレイ用の偏光子。
【請求項23】
請求項1に記載のフィルムおよびポリマー層を含み、該フィルムが該ポリマー層の上にラミネートされている、液晶ディスプレイ。
【請求項24】
請求項1に記載のフィルムおよび第2の層を含み、該フィルムが該第2の層の上に溶媒キャストされている、液晶ディスプレイ。
【請求項25】
第1および第2の請求項1に記載のセルロースアセテートフィルム、ならびに第1および第2の表面を有するポリビニルアルコールフィルムを含み、該第1および第2のセルロースアセテートフィルムが該ポリビニルアルコールフィルムの該第1および第2の表面に接触し、該第1および第2の請求項1に記載のセルロースアセテートフィルムが鹸化されていない、液晶ディスプレイ用の偏光子。
【請求項26】
第1および第2の請求項1に記載のセルロースアセテートフィルム、ならびに第1および第2の表面を有するポリビニルアルコールフィルムを含み、該第1および第2のセルロースアセテートフィルムが該ポリビニルアルコールフィルムの該第1および第2の表面に接触し、該第1および第2の請求項1に記載のセルロースアセテートフィルムが鹸化されている、液晶ディスプレイ用の偏光子。
【請求項27】
フィルム厚みが約3ミクロン〜約1000ミクロンの範囲である、請求項2に記載のフィルム。
【請求項28】
0〜30質量パーセントの、艶消し剤、UV吸収剤、酸化防止剤、および色素からなる群から選択される添加剤を含む、請求項2に記載のフィルム。
【請求項29】
添加剤が、液晶化合物、ディスコティック液晶化合物、および棒状液晶化合物からなる群から選択される複屈折増強物質である、請求項28に記載のフィルム。
【請求項30】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.50〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.59、およびプロピオニル基の置換度0.01〜2.59、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項31】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.65〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.34、およびプロピオニル基の置換度0.01〜2.34、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項32】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.95〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.04、およびプロピオニル基の置換度0.01〜2.04、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項33】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度1.01〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜1.99、およびプロピオニル基の置換度0.01〜1.99、そしてアセチル基、プロピオニル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートプロピオネート;
0〜30質量パーセントの、可塑剤または複数種の可塑剤の組合せ;ならびに
0〜30質量パーセントの、有機溶媒または複数種の有機溶媒の混合物;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートプロピオネート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項34】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.40〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.59、およびブチリル基の置換度0.01〜2.59、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項35】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.65〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.34、およびブチリル基の置換度0.01〜2.34、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項36】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度0.95〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜2.04、およびブチリル基の置換度0.01〜2.04、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項37】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度1.01〜2.00、アセチル基の置換度0.01〜0.98、およびブチリル基の置換度0.01〜0.98、そしてアセチル基、ブチリル基およびヒドロキシル基の置換度の合計が3.0であるセルロースアセテートブチレート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;ならびに
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテートブチレート、該可塑剤および該有機溶媒の総量基準である、フィルム。
【請求項38】
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって評価した場合の、セルロースアセテートの数平均分子量(Mn)が、1,500〜200,000の範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項39】
セルロースアセテートのインヘレント粘度(IV)が、0.050〜3.0デシリットル/グラムの範囲である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項40】
高DSOHフィルムを製造する方法であって、
アシル基の置換度が2.6〜3.0の範囲であるセルロースエステルを、該セルロースエステルを酸性または塩基性の鹸化剤と接触させることによって加水分解して加水分解セルロースエステルを生成すること、および、
該加水分解されたセルロースエステルからフィルムを形成すること
を含み、該フィルムの633nmにおける複屈折Δn633が、加水分解されていないセルロースエステルから形成されたフィルムと比べて負である、方法。
【請求項41】
セルロースエステルを、有機溶媒中に溶解させ、そして約0℃〜約100℃の範囲の温度まで水および鹸化触媒の存在下で加熱する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
鹸化剤を中和することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
有機溶媒が、有機カルボン酸を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
有機溶媒が、酢酸、プロピオン酸、酪酸、またはこれらの混合物を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
鹸化剤が、鉱酸を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
鹸化剤が硫酸を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
鹸化剤が塩酸を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
鹸化剤が塩基を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
鹸化剤が固体である、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度1.23超〜2.00のセルロースアセテート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;および
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテート、該可塑剤および該有機溶媒の総質量基準であり、そして、
フィルムが延伸されている、フィルム。
【請求項51】
二軸延伸されている、請求項50に記載のフィルム。
【請求項52】
一軸延伸されている、請求項50に記載のフィルム。
【請求項53】
面延伸されている、請求項50に記載のフィルム。
【請求項54】
フィルムのTgよりも高い温度で延伸されている、請求項50に記載のフィルム。
【請求項55】
thが−240から−300の間であり、そして延伸後に60ミクロン厚である、請求項50に記載のフィルム。
【請求項56】
thが−300を超え(すなわちこれよりも負であり)、そして延伸後に60ミクロン厚である、請求項50に記載のフィルム。
【請求項57】
70〜100質量パーセントの、ヒドロキシル基の置換度1.01超〜2.00のセルロースアセテート;
0〜30質量パーセントの可塑剤;および
0〜30質量パーセントの有機溶媒;
を含み、該質量パーセントが、該セルロースアセテート、該可塑剤および該有機溶媒の総質量基準であり、そして、
フィルムが延伸されている、フィルム。
【請求項58】
二軸延伸されている、請求項57に記載のフィルム。
【請求項59】
一軸延伸されている、請求項57に記載のフィルム。
【請求項60】
面延伸されている、請求項57に記載のフィルム。
【請求項61】
フィルムのTgよりも高い温度で延伸されている、請求項57に記載のフィルム。
【請求項62】
60ミクロン厚であり、そしてRthが−240から−300の間である、請求項57に記載のフィルム。
【請求項63】
60ミクロン厚であり、そしてRthが−300を超える(すなわちこれよりも負である)、請求項57に記載のフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−529216(P2010−529216A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508363(P2010−508363)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/005557
【国際公開番号】WO2008/143765
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】