説明

高速再充電可能なバッテリー

複数の2回路のリレーを介して直列接続され、かつバッテリー管理コントローラによって制御された複数の電気化学的セルからなり、電気モータに高い効率で電力を供給するバッテリー。本発明は、現代の自動車に応用されるとき、中型自動車を1500kmの距離まで駆動する。この新規な電気化学的セルシステムは、500回充電可能であり(毎回1500km駆動可能)、大気汚染を除去し、内燃機関に関係するその他の多くの環境問題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再充電可能なバッテリーに関する。この再充電可能なバッテリーは、多数の電気化学的セル、リレー及びバッテリーコントローラを備え、現代の中型自動車の電気モータに対して1500kmまでの距離にわたって動力を供給する高い能力を有している。また、バッテリーは500回まで再充電が可能である。
【背景技術】
【0002】
従来の電気化学は、電気分解のプロセス中において蓄えられた電気的エネルギーを解放する効果的な方法を提供してはいない。
固体高分子型燃料電池(PEMFC)は、最も前途有望な技術の1つである。しかし、非常に重大な理由により、このPEMFC技術は市場に導入される可能性は非常に低い。PEMFCに要求される動作寿命は、5000時間である。燃料電池の金属性コンポーネントの電気化学的腐食作用は、5000時間よりもかなり短い時間内に発生する。低耐腐食性のために、大抵のコーティングされていない金属は使用されない。コーティングされた金属が使用された場合には、イオン化は非常に低率でしか生じない。バイポーラPEMFCプレートに対する耐腐食性合金コーティング及びポリマーコーティングは、それらの開発が事業化可能なレベルに達していない。幾人かの科学者は、信頼性のあるプロセスを発生させ得ると主張するが、未だに答えのない多くの問題が存在する。まだ十分に解明されていない電気分解プロセス中において、腐食及び電気化学的材料の特定の要件が存在することがこれまでに知られている。しかしながら、最も重大な問題は、爆発の危険性があるということである。5000psiの水素(幾つかの企業は10000psi用の水素タンクを設計し、製造している)は、非常に爆発し易く、貯蔵し又は分配することが非常に難しく、よって、非常に危険である。それがもし使用されれば、最初のPEMFC駆動自動車が強い衝撃の衝突において爆発し、その結果、1人又は複数の人間が瞬時にして死亡するというのは時間の問題である。この状況は、多くの安全対策がPEMFC駆動自動車に施されようとも、回避することができない。最初の事故を公衆が知ったとき、顧客はもうそれ以上PEMFC駆動自動車の購入を決めることはないだろう。もし、強い衝撃を伴う衝突の結果として、従来の自動車のガソリンタンクが燃え始めた場合、大抵の場合、運転者及び乗客は、炎に包まれる前に自動車から脱出するための短い時間的余裕をもつことができる。金属水素化物は、通常の自動車に組み込むためには、あまりにも複雑な化学的プロセスを必要とする。その他の水素を利用するよく知られた蓄電法は、貯蔵能力が不十分である。PEMFC駆動自動車はまた、一般の顧客にとってはあまりにも高価である。PEMFC電池は、水素を必要とする。炭化水素又はアルコールを水素に変える改質装置を用いることによって、熱及びその他のガスが発生し、環境が汚染される。自動車の電気モータに動力を与えるPEMFCの全体的効率は、約25〜31%と非常に低い。PEMFCは、一般のメディアによって非常に誤った注目を受けている。この情報は、水素の製造のために大量のエネルギーが消費され、非常に高いコストがかかること、また、公衆の安全が脅かされ、どれほど環境を汚染するかということを明らかにはしていない。
【0003】
バッテリー駆動される電気自動車(BEA)は、非常に高い効率を有している。バッテリーは約90%の効率を有し、電気モータ又はインバータは約80%の効率を有している。これは全体として約72%の効率をもたらすことになる。これは、その他の自動車駆動機構と比較すると、突出した数値である。従来の垂直に並べ置かれ、重ねられたアノード及びカソードプレートを有する鉛−酸バッテリーの構造において、硫酸(H2SO4)がバッテリーケースの上層部に集中する一方、水(HO2)が下層に生成される。その結果、バッテリーの深さが異なると、異なる性能が生ずることになる。幾つかの異なる化学反応が鉛−酸バッテリーの電解放電プロセスの間に生じる。鉛又は酸化鉛とペーストの間の腐食は、多くの専門家により同様な化学反応の1つであると信じられている。一般に、プレート間の間隔が広がると、ディープサイクル性が生じ、より広い面積のプレート面と組み合わせられた狭いプレート間隔はハイレート性を生じさせる。バッテリーが放電するとき、硫酸鉛(PbSO4)が両方のグリッド上に形成され、水が酸中に生成される。放電の間に、バッテリーの能力は急速に低下する。従来の鉛−酸バッテリーが自動車に組み込まれていない理由は、この形式のバッテリーが現代の自動車にとっては不十分な能力しか発揮し得ないからである。
【0004】
燃焼機関を備えたガソリン駆動自動車の効率は、非常に低く、20%にすぎない。すなわち、ガソリンの熱エネルギー量の約20%だけしか機械的な仕事に変換されない。しかし、燃焼機関は、それよりも好ましい代替装置が存在しないがために、経済的であるとみなされている。環境的な観点からすると、燃焼機関は地球環境を荒廃させる。人間の健康の観点からすると、燃焼機関は実際、非常に深刻な問題を引き起こしている。燃焼機関を備えた自動車は、多くの人間にとって生活を非常に便利にしている一方で、長期間にわたって環境及び健康の問題に影を投げかけてきた。大気は、世界中の多くの大都市圏において著しく汚染されてきた。高レベルの大気汚染の結果として、多くの人間が深刻な健康上の問題を抱えるようになってきた。自動車が高密度で使用されるような都市における一酸化炭素(CO)の濃度が上昇すると、血中のヘモグロビンに結合すべき酸素が一酸化炭素(CO)に置き換えられ、それによって、人間の心臓は非常に激しく動かねばならなくなる。一酸化炭素(CO)が喘息疾患を引き起こすことを証明することは、より複雑であろう。幾つかの異なる医学的診断は、喘息に向けられている。アメリカ合衆国内を考えてみても、400万人の子供を含む1700万人の人が深刻な喘息疾患であると診断されてきた。今やアメリカ合衆国の全人口の50%が非常に高い汚染値をもつエリアで生活をしている。エンジンの燃焼プロセスにおいて発生した二酸化炭素(CO2)の正味の量は、大気中の二酸化炭素俊(CO2)の濃度を増大させ、温室効果を促進している。地球温暖化が地球エコシステムのバランスを崩し、地球温暖化をさらに加速するという事実は、回復不可能で、十分な脅威である。汚染された大気はまた、幾つかの他の健康上又は環境上の問題を引き起こしている。
【0005】
コバルトベースのリチウムイオン電池は、現代の自動車に対して動力を与える唯一のポテンシャルをもっているが、有害な化学反応を引き起こす熱散逸が深刻な問題となっている。このため、従来のリチウムイオンバッテリーに対するこれらの問題はまだ解決されていない。それ以外の物質から構成されるリチウムイオンバッテリーは、異なる温度レベルにおける熱散逸の問題に直面している。従来技術において、アノード及びカソードの多重層を有するリチウムイオンバッテリーは、次のような問題に直面している。すなわち、(i)多くの異なるアノード及びカソード層の間に熱が発生し、それを低減することは技術的に容易ではないこと、(ii)リチウムの融点が低いので(180℃)、リチウムが溶けてアノードと接触し、それによって有害な化学反応が生じること、(iii)製造工程では、同一の充電値をもつ2つのセルを製造することができないので、リチウムイオンセルはそれぞれ独立に再充電され、そして、十分に再充電される直前に回路から切り離されなければならないこと。非常に少数のセルがオーバーヒートし、直列接続回路から切り離されなければならない。電圧降下は、どのセルが直列接続回路から切り離されねばならないかを決定するための別の方法である。どのセルが直列接続回路から切り離されねばならないかを決定し、また、その時刻を決定するためには、バッテリーセル管理コントローラを用いなければならない。セルを切り離す時刻になったとき、当該セルは、残りの直列接続されたセルが安定的に動作し続け得るために、その直列接続回路から切り離されなければならない。80個の直列接続されたリチウムイオンセルから任意の1個のセルを選択して切り離すには、1個のセル当たり少なくとも3個の電子リレーを必要とし、大きな回路上に複雑な配線によって接続された約275個の独立な電子的リレーを備えた莫大なリレーボックスを必要とする。一連のセルを切り離すことは適切ではない。その代わりに、もしセルが壊れるたびにセルの配線が交換されるならば、275個の電子リレーのうちの幾つかが取り除かれ得るが、これは非常に非現実的である。このようなパワーユニットは、非常に嵩張り、重量も大きく、実現不可能な、非常に複雑な技術的作業が要求される。80個のシリコンベースのマルチサーキットトランジスタ素子(ロジック)が1つの選択肢となる。2ポートの電子ロジックリレーが経済的な理由からこれまでに選択されてきた。
【0006】
このロジックリレーは必要不可欠である。リチウムイオンセルによって駆動される電気モータを備えた自動車は、排気ガスの出ない自動車(ZEV)と呼ばれる。ZEVは環境を保全する主要な因子となり、よりよい研究をもたらす推進手段を提供する。
【0007】
軽量、高い貯蔵エネルギー密度、低い自己放電率、及び多数回のリサイクル(500回のリサイクル)及び高速再充電サイクル(50〜60分)を実現するために、リチウイムイオンセルは、本発明による最も期待がもてるセル構造である。
【0008】
本発明によれば、多数の互いに交差するコンダクタを伴う内冷式のセル構造を有する大面積のリチウムイオンセルは、長時間にわたって動作し、ロジックリレーコントローラと組み合わされ、要求される高い性能を有し、そして、セル内の発熱を制御し、有害な化学反応を除去する安全かつ信頼し得る手段となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上述の従来技術において知られた電気化学的パワーユニットの欠点を改善することにある。
本発明の別の目的は、より経済的なバッテリーを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、よりよい方法で環境を保全することのできるバッテリーを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、公衆の安全を確保できるバッテリーを提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、人の健康上の問題を解決するバッテリーを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、天然資源の無駄な消費を抑制するバッテリーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、特に、広い表面積を有し、低メンテナンスコストを実現する、コイルの形に巻かれた薄い層状のセルとして構成される。3.7ボルトのリチウムイオンセルは、6mA/cm2の電流密度を発生する。現代の中型自動車を1500kmの距離まで駆動させるのに必要なセルの面積の計算値は、約800cm2である。セルは、12μmの炭素/銅(CCu)アノードフィルム層と、無機リチウムヘクサフルオロホスフェート(LiPF6)溶液(電解液)に浸された15μmの平行に突出したポリエチレン/ポリプロピレン(PE+PP)微小多孔膜と、12μmのリチウムコバルトオキサイド(LiCOO2)カソードフィルム層とを備えている。15μmイオン非透過性ポリプロピレン(PP)のバリヤフィルム層がセルのアノード及びカソードフィルム層の間に配置されている。セルは、薄い壁から形成された多数の通路を備えた合金製チューブ構造(コア)のまわりに巻かれている。コア構造は、内部空冷バーを備えている。自動車が前進するとき、フロントグリルに進入する空気流(必要に応じてファンによって補助される)がマニホールドによってすべての合金製チューブ構造の各通路に分岐され、セルを構成する各層を冷却する。
【0012】
複数のアノード及びカソード電流コレクタフィルム層がセルの全体にわたってのび、アノードフィルム層をカソードフィルム層に接触させ、さらに、異なる巻き位置において、各電流コレクタ間に等間隔に配置され、電流を集める。複数の電流コレクタフィルム層は、セルの端縁又は端部(一方の側においてアノードフィルム層が他方の側においてカソードフィルム層が)に接触し、コア構造及び分離されたアノード及びカソード電流コレクタ素子との間で偏平に形成され、そして、セルの両側から分離されたアノード及びカソード電流を集める。電流コレクタの別の構成は、電流コレクタ片を必要としない。アノードフィルム層の一部がコイルの一端に向かって突出し、カソードフィルム層の一部がコイルの他方の端に向かって突出していて、これらの電極積層体は共に極性によってそれぞれ独立に偏平に形成され、セルから正及び負電流を集める。(各セル層の)一方の側において、バリヤフィルム層がアノードフィルム層の端縁を被覆し、(各セル層の)他方の側において、バリヤフィルム層がカソードフィルム層の端縁を被覆しており、それによって、アノード及びカソードは互いに分離された状態に維持され、有害な化学反応が阻止される。多数のセル層のエッジを切断するために、多軸CNCウォータジェットを用いることによって突出するアノード及びカソード電流コレクタフィルム層が正確に形成され、セル層にダメージが及ぶことが防止される。内部空気圧を用いることによって、コア構造を設ける際に、セルはチューブ状のコア構造上を容易にスライド運動する。
【0013】
必要とされる電圧を発生させるためには、約80個の直列接続されたセルが必要とされる。直列接続された80個のセルは直流の300Vを発生させる。各セルの面積は10m2であり、幅は400mmであり、長さは25mとなる。そして、各セルはコイルの形に巻かれている。セルは、押出合金チューブ構造のまわりに巻かれ、両端がシール係合手段によって閉じられることによって、2枚のパネル壁の間に気密シールされた状態で収容される。
【0014】
2回路のリレーがセルのアノード及びカソードのそれぞれからの電流を集める。第1のリレー回路は、セルの直列接続に1つのセルを組み入れる。第2のリレー回路は、セルの直列接続回路から1つのセルを切り離す。1つのセルが再充電を必要とされるとき、そのセルの温度が予め決定されたレベルまで上昇すると、電圧は予め決定されたレベルまで降下し、あるいは、自動車が強い衝撃を伴う衝突を起こした場合にも、同様のことが起こる。すべてのセルはそれぞれのリレーを介して直列接続される。リレーは2回路の電磁リレー又は2回路のソリッドステートリレーから構成される。一連の電圧分割回路及び各回路を個別に用いるバッテリーセル管理コントローラは、個々のセルのプラス端子に接続されたノードを備えている。直列又は並列接続が形成される。セルが予め決定された非常に高温のレベルまで加熱されたとき、コントローラに対してコントロール信号が送られ、それによって、そのセルがセルの直列接続回路から切り離される。セルの電圧が予め決定されたレベルまで降下したとき、コントローラに対してコントロール信号が送られ、それによって、そのセルはセルの直列又は並列接続から切り離される。マイクロチップに組み込まれた加速度計は、センサに対してコントローラへ信号を送るようにさせ、それによって、自動車が強い衝撃を伴う衝突を起こした場合に、すべてのセルがセルの直列接続回路から切り離される。エアバッグ用のマイクロチップ内に加速時計を組み込まれている自動車の場合、この信号は実際にコントローラへ送られる信号として使用され得る。
【0015】
目的は、再充電ユニットを、現存する電力線の性能の改善を行うことなく、正規の家庭用電源(100〜200A)の電力供給口に接続すことによって、バッテリーを再充電することである。個々のリチウムイオンセル(電池)を再充電するには、約50〜60分かかる。10個の電池をそれぞれ独立に同時に再充電すると、80個のセルから構成されるバッテリーを再充電するのに要する時間は、約7時間である。10個のセルを再充電するとき、再充電ユニットに対して要求される電力は、夜間の家庭での消費電力としては十分に低い。10個のセルからなる1つのグループを再充電した後、コントローラはその再充電された10個のセルのグループを切り離し、次の10個のセルからなるグループを接続して再充電する。最も現実的なのは、自動車の所有者のガレージ内に据え付けられた再充電ユニットを用いることである。ある状況では、異なる位置にある外部電力供給口にプラグインすることは、自動車のトランク内に再充電ユニットを据え付けるという別の選択肢を実現する(実際には、取り外し可能な再充電ユニットとなる)。もし、本発明によるバッテリーがハイブリッド自動車に用いられるならば、バッテリーを充電可能なブレーキ発電器及び/又は内燃機関によって駆動される発電器によって、バッテリーを再充電することも可能である。
【0016】
(現段階では、予備的に計算された概算値にすぎないが、)セルを500回再充電すれば、現代の中型自動車を1回1500km、合計750000kmの距離まで駆動することができる。容器、リレー及びセル内で用いられるコンポーネントはすべてリサイクル可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図2を参照して、リレーは、1つのセル7を、直列接続された放電モードに組み入れている。番号2は、シングルセル直列アノード接続を表している。接極子5の接点13により、直列アノード接点3およびセルアノード接点4をブリッジ接続することによって、回路又は電流は、1つのセル7の一方の電極側にアクセスする。番号8は、シングルセル直列カソード接続を表している。接極子5の接点6によって直列カソード接点9及びセルカソード接点10をブリツジ接続することによって、回路又は電流は1つのセル7の他方の電極側にアクセスする。コイル12が、接極子5に接続された強磁性鉄ロッドプランジャ11を引っ張ると、接極子5は約30°回転し、1つのセル7が図3に示したセルの直列接続回路から切り離される。
【0018】
図3を参照して、番号14は、シングルセル直列アノードバイパス接続を表わしている。シングルセル直列アノードバイパス接点18を接極子の接点15に係合させ、直列カソードバイパス接点19を接極子の接点17に係合させることによって、1つのセル21は内部接極子接点16によって、接極子の接点15及び17の間をバイパスされる。コントローラは、再充電ユニットを、シングルバイパスされたセル21を再充電するために、ライン20及び22に接続する。
【0019】
図4を参照して、長さ25mの多層セル構造は、12μmの炭素‐銅(CCu)アノードフィルム層と、無機リチウムヘキサフルオロ‐フォスフエート(LiPF6)の溶液(電解液)中に浸された15μmの同時押出ポリエチレン/ポリプロピレン(PE+PP)微小多孔膜と、セルのアノード及びカソード電極間に配置された15μmのイオン非浸透性ポリプロピレン(PP)のバリヤフィルム層を備えた12μmのリチウムコバルトオキサイド(LiCOO2)カソードフィルム層と、を有している。これらの全ての層は、チューブ状のコア構造25のまわりに巻かれ、コイル(セル)33を形成する。冷却空気24が、多数のチューブ状の通路を備えたコア構造25を通して供給され、コイル(セル)33の全体を冷却する。複数のアノード電流コレクタフィルム層31は、セルの全長にわたってのび、異なる巻き位置34において、アノードフィルム層及び電解フィルム層の間に配置され、複数のアノード電流コレクタフィルム層31によるセルからのアノード電流を集め、そして、電流を、圧縮された複数のアノート電流コレクタフィルム層の領域29を通じて、圧縮されたアノード電流コレクタフィルム層部分30に分配し、さらに、アノード電流出口28に供給する。複数のカソード電流コレクタフィルム層及び複数のカソード電流コレクタフィルム層及びカソード電流出口は、偏平なセル構造の対向する側に配置される。セルの互いに対向する2つの容器パネル壁35は容器の縁32に沿って気密シールされるとともに、シール係合手段(雄型の電流コレクタと、それに係合する雌型の三次元的配置)によって容器の両端が閉じられ、さらに、チューブ状のコア構造25及び容器パネル壁26の間に配置されたOリング27によって気密シールされる。活性点を伴う材料がコア内において使用される場合は、絶縁フィルム層がコア及びセルの間に挿入される。
【0020】
図5を参照して、このセル構造は別の電流コレクタを備えることができ、この構成によれば、電流コレクタ片が、セル(コイル)の一方の端縁38に向かって突出するアノードフィルム層の一部とセル(コイル)の他方の端縁39に向かって突出するカソードフィルム層の一部とによって置き換えられ、これらの電極形成層は、いずれも極性によって分離され、セルからの正及び負の電流を集める。セル(コイル)の端縁38において、バリヤフィルム層37はアノードフィルム層の端縁に重なり、セル(コイル)の端縁39において、バリヤフィルム層40はカソードフィルムバリヤ端縁に重なり、それによって、アノード及びカソードは分離された状態に維持され、有害な化学反応の生じることが防止される。
【0021】
上では、本発明が特定の実施例に基づいて説明されたにすぎず、本発明の構成は上述の実施例に限定されるものではない。本発明の構成の範囲内において上述の実施例以外の種々の変形例を創作することは当業者にとって容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】現代の自動車の車体の後輪ハウジングに備えられた本発明のバッテリーを、1:1の比率で描いた側断面である。
【図2】セルの直列接続回路内に組み入れられた1つのセルを備えた2回路の電磁リレーからなる回路図である。
【図3】セルの直列接続回路から切り離され、再充電されている1つのセルを備えた2回路の電磁リレーからなる回路図である。
【図4】セル(コイル)を有し、コイルの外側においてアノード電流コレクタ素子に対して圧縮されたアノード電流コレクタフィルム層を備えたリチウムイオンセルの等角投影図である。
【図5】セル(コイル)を有し、(電流を集める)、セルの一方の端縁に向かって突出する圧縮されたアノードフィルム層部分とセルの他方の端縁に向かって突出する圧縮されたカソードフィルム層部分と、を備えたリチウムイオン電池の等角投影図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードフィルム層、電解液中に浸された電解フィルム層、カソードフィルム層、及び前記アノード及びカソードフィルム層の間に配置された少なくとも1つのバリヤフィルム層を備え、
コイルの形に巻かれ、前記コイルは、異なる巻き位置において、前記アノードフィルム層及び前記電解フィルム層の間に配置された複数のアノード電流コレクタフィルム層と、前記カソードフィルム層及び前記電解フィルム層の間に配置された複数のカソード電流コレクタフィルム層と、を有し、
前記複数の前記アノード電流コレクタフィルム層は、それぞれ、少なくとも、前記アノードフィルム層の1巻きの10%の面積に接触し、前記複数のカソード電流コレクタフィルム層は、それぞれ、少なくとも、前記カソードフィルム層の1巻きの10%の面積に接触し、前記複数のアノード電流コレクタフィルム層及び前記複数のカソード電流コレクタフィルム層は、外側において、極性によって分離され、かつ圧縮されていることを特徴とする再充電可能なバッテリーセル。
【請求項2】
アノードフィルム層、電解液中に浸された電解フィルム層、カソードフィルム層、及び前記アノード及びカソードフィルム層の間に配置された少なくとも1つのバリヤフィルム層を備え、
コイルの形に巻かれ、前記コイルは、異なる巻き位置において、前記アノードフィルム層に接触する複数のアノード電流コレクタフィルム層と、前記カソードフィルム層に接触する複数のカソード電流コレクタフィルム層と、を有し、
前記複数のアノード電流コレクタフィルム層及び前記複数のカソード電流コレクタフイルム層は、外側において、極性によって分離され、かつ圧縮されていることを特徴とする再充電可能なバッテリーセル。
【請求項3】
アノードフィルム層、電解液中に浸された電解フィルム層、カソードフィルム層、及び前記アノード及びカソードフィルム層の間に配置された少なくとも1つのバリヤフィルム層を備え、
コイルの形に巻かれ、前記コイルは、一方の側に向かって突出するアノードフィルム層部分と、他方の側に向かって突出するカソードフィルム層部分とを有し、
前記アノードフィルム層部分および前記カソードフィルム層部分は、それぞれ、極性によって分離され、かつ圧縮され、セルからの電流を集めることを特徴とする再充電可能なバッテリーセル。
【請求項4】
前記セル又は前記コイルは、扁平なコア構造を有し、前記コア構造は、拡張されたパネル壁の間に配置された内部空冷バーを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項5】
前記コア構造は、2つの導電断面を有し、前記2つの導電断面の間には少なくとも1つの絶縁素子が配置され、前記コア構造の一部が前記アノード電流コレクタフィルム層に接続され、前記コア構造の他の部分が前記カソード電流コレクタフィルム層に接続されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項6】
少なくとも1つの前記アノード電流コレクタフィルム層が、実質上、前記セルの一方の側に配置され、少なくとも1つの前記カソード電流コレクタフィルム層が、実質上、前記セルの他方の側に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項7】
少なくとも1つの前記アノード電流コレクタフィルム層が、実質上四角形のコア横断面形状を有する第1の対向する拡張パネル壁に実質上平行に配置され、少なくとも1つの前記カソード電流コレクタフィルム層が、実質上四角形のコア横断面形状を有する第2の対向する拡張パネル壁に実質上平行に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項8】
少なくとも1つの前記アノード電流コレクタフィルム層が、電流コレクタフィルム領域内において、前記アノードのコア横断面に一致する横断面を有し、少なくとも1つの前記カソード電流コレクタフィルム層が、電流コレクタフィルム領域内において、前記カソードのコア横断面に一致する横断面を有していること特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項9】
前記セルの長さは、実質上、前記アノード電流コレクタおよび前記カソード電流コレクタ間の間隔に等しいことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項10】
少なくとも1つの前記アノード電流コレクタフィルム層及び少なくとも1つのカソード電流コレクタフィルム層が、セル容器の内側又は外側の任意の位置に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項11】
少なくとも1つの絶縁層が、前記コア構造及び前記アノード電流コレクタフィルム層および前記カソード電流コレクタフィルム層のそれぞれと、前記コア構造との間に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項12】
少なくとも1つのセル容器のパネル壁が、閉じられた状態で、前記コア構造のまわりを包むことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項13】
セル容器の端面に、前記セル容器のパネル壁及び前記コア構造の間に作用する気密シールが施されていることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項14】
少なくとも1つのセル容器のパネル壁の端面が、等高線状に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項15】
前記セルは、気密シールされた容器内に収容されていることを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項16】
前記セルは、自動車が前進するときに又はファンによって、空冷されることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項17】
前記コア構造は、実質上四角形の横断面を有していることを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項18】
前記バリヤフィルム層の各部は、前記コイルの両端縁を覆っていることを特徴とする請求項3に記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項19】
前記セルの一方の側において、前記バリヤフィルム層が前記アノードフィルム層の端縁を覆い、前記セルの他方の側において、前記バリヤフィルム層が前記カソードフィルム層の端縁を覆うことを特徴とする請求項3又は請求項18に記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項20】
少なくとも1つのアノード積層体及び少なくとも1つのカソード積層体をさらに備えていることを特徴とする請求項3又は請求項18又は請求項19に記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項21】
前記アノードおよびカソード電流コレクタフィルム層は、互いに溶接されていることを特徴とする請求項1〜請求項20のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項22】
前記コア構造のチューブ状の各通路に分岐する通気路を有し、自動車が前進しているときに各セルを冷却するマニホールドをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜請求項21のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項23】
直列及び/又は並列に接続された複数の前記セルは、ハイブリット形式の自動車を含む自動車の電気モータに動力を供給することを特徴とする請求項1〜請求項22のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセル。
【請求項24】
セルの直列接続回路に1つのセルを組み込み、前記1つのセルを前記セルの直列接続回路から切り離すことを特徴とする2回路の電磁リレー。
【請求項25】
セルの直列接続回路に1つのセルバイパスを形成し、または前記セルバイパスを遮断することを特徴とする2回路の電磁リレー。
【請求項26】
1組の第1の回路接点の間に、第1の回路を配置する接極子を備え、前記接極子は第2の位置において、第2の回路を回路接点の第2の組の間に配置し、前記接極子の外側において、少なくとも1つの第1の回路接点が少なくとも1つの第2の回路接点に接続されることを特徴とする電磁リレー。
【請求項27】
1組の第1の回路接点の間に、第1の回路を配置する接極子を備え、前記接極子は、回動して第2の回路を1組の第2の回路接点に配置し、前記接極子の接点は、回路毎に前記接極子の旋回点の反対側に配置され、前記接極子の外側において、少なくとも1つの前記第1の回路接点が少なくとも1つの前記第2の回路接点に接続されることを特徴とする電磁リレー。
【請求項28】
1組の第1の回路接点の間に、第1の回路を配置する接極子を備え、前記接極子は直線上に動きかつその軸のまわりに回動し、第2の回路を1組の第2の回路接点の間に配置し、前記接極子の外側において、少なくとも1つの前記第1の回路接点が少なくとも1つの前記第2の回路接点に接続されることを特徴とする電磁リレー。
【請求項29】
請求項1〜請求項23のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセルの複数個と組み合わされ、セルの直列接続回路に少なくとも1つの前記セルを接続し、前記セルを前記セルの直列接続回路から切り離すことを特徴とする請求項24〜請求項28のいずれかに記載の電磁リレー。
【請求項30】
請求項24〜請求項28のいずれかに記載の少なくとも1つの前記電磁リレー、又は前記接点、又は任意のスイッチ、又はそれらの組み合わせを有していることを特徴とする回路素子の配列。
【請求項31】
少なくとも1つの前記リレー又は前記接極子又は前記任意のスイッチがコンピュータによって制御されることを特徴とする請求項30に記載の回路素子の配列。
【請求項32】
セルが予め決定された高温度レベルに達したとき、コントローラに対して制御信号を送り、当該セルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項33】
セルが予め決定された時間内に予め決定された高温レベルまで達したとき、コントローラに対して制御信号を送り、当該セルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項34】
セルがそれ以外のセルの予め決定された平均温度と比較された予め決定された高温レベルに達したとき、コントローラに対して制御信号を送り、当該セルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項35】
セルの電圧が予め決定されたレベルまで降下したとき、コントローラに対して制御信号を送り、当該セルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項36】
セルの電圧が予め決定された時間内に予め決定されたレベルまで降下したとき、コントローラに対して制御信号を送り、当該セルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項37】
セルの電圧が予め決定されたレベルまで上昇したとき、コントローラに対して制御信号を送り、当該セルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項38】
セルの電圧が予め決定された時間内に予め決定されたレベルまで上昇したとき、コントローラに対して制御信号を送り、当該セルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項39】
マイクロチップ内に加速度計を組み込み、自動車が強い衝撃を伴う衝突を起こしたとき、センサからコントローラに対して信号を送り、少なくとも1つのセルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項40】
マイクロチップ内に加速度計を組み込み、自動車が強い衝撃を伴う衝突を起こしたとき、センサからコントローラに対して信号を送り、すべてのセルをセルの直列又は並列接続回路から切り離すことを特徴とするバッテリー管理法。
【請求項41】
請求項1〜請求項23のいずれかに記載の再充電可能なバッテリーセルの複数個と組み合わされ、
少なくとも1つの直列接続されたセルと、少なくとも2つの並列接続されたセルとの組み合せをセルの直列接続回路から切り離すことを特徴とする請求項24〜請求項28のいずれかに記載の電磁リレー。
【請求項42】
前記リレーはソリッドステートリレーからなっていることを特徴とする請求項24〜請求項29のいずれかに記載のリレー。
【請求項43】
それぞれ個々のセルのプラス端子に接続されたノードを備えた、一連の電圧分割回路を用いることを特徴とする請求項35〜請求項38のいずれかに記載のバッテリー管理法。
【請求項44】
個々のセルのコイルに組み込まれたノードをそれぞれ備えた一連の温度分割回路を用いることを特徴とする請求項35〜請求項38のいずれかに記載のバッテリー管理法。
【請求項45】
セルの直列接続回路を構成する1組のセルを再充電完了後にラインから切り離し、前記セルの直列接続回路を構成するセルの別の組を再充電することを特徴とするバッテリー管理法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−516355(P2009−516355A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541336(P2008−541336)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044471
【国際公開番号】WO2007/059269
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508148219)
【Fターム(参考)】