説明

2−アミノ−2−フェニル−アルカノール誘導体、それらの製造、及びそれらを含む医薬組成物

一般式(I):


[式中、
1は水素原子、直鎖又は分岐鎖である1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルバモイルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド又はアルキルウレイドによって置換された、直鎖又は分岐鎖である2〜4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は−CO−R基であり、ここでRは、水素原子、アルキル基、アリール、ヘテロシクリル、ベンジル又はヘテロシクリルメチル基であり、或いはR2は−CO−Y−R4基であり、ここでYは、−O−、−S−、−NH−、−Nalk−であり、ここでalkは、直鎖又は分岐鎖(1〜4C)アルキル基であり、そしてR4は、アルキル、アリール、アラルキル又はヘテロシクリルアルキル基から選択され、そしてそれは1個以上のハロゲン原子、又はヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖(1〜4C)アルキル基、アルコキシ、アルキルチオ、アシルアミノアルキルチオ、アルコキシカルボニル又はアシルアミノ、直鎖又は分岐鎖(1〜4C)アルキル基、又はオキソによって置換され得、又はR5COO−基によって置換され得、ここでR5は、ベンジルオキシカルボニルアミノ、アシルアミノによって、若しくはアミノ酸残基によって場合によって置換されるアルキル基であり、又はヘテロシクリル基を表し、或いは、R2はヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノによって置換された(2〜4C)アルキル基であり、前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5又は6員環のヘテロ環を形成し得、ここで前記ヘテロ環は、場合により別のヘテロ原子(酸素若しくは窒素)を有し、又はアルキルカルバモイルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド若しくはアルキルウレイドによって置換され、直鎖又は分岐鎖である前記置換されたアルキル基は、少なくとも2個の炭素原子を、N−R2と前記置換基との間に含むものと理解され、R3は、直鎖又は分岐鎖(1〜4C)アルキル基であり、特に言及されない限り、アルキル又はアシルは直鎖若しくは分岐鎖(1〜7C)である]
で表される2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体のR若しくはS体、又はそれらの混合物、及び存在する場合にはそれらの医薬として許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鎮痛作用に関して特に有用である、種々に置換された2−アミノ−2−フェニル−アルカノール誘導体に関する。本発明はまた、これらの誘導体の製造、及びそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート、及び慢性痛の処置におけるその使用は、国際公開第99/01417号に記載されている。
【0003】
炎症性疾患及び疼痛の処置における、トリメブチン、2−ジメチルアミノ−2−フェニルブチル−3,4,5−トリメトキシベンゾエートマレイン酸水素塩、又はその立体異性体の使用は、欧州特許出願公開第1,110,549号明細書に記載されている。
【0004】
以下の構造:
【0005】
【化1】

【0006】
[式中、
1〜R3は、特に水素であり得、R4はアルキル基であり得、R7は1〜3個のアルコキシ基によって場合により置換されるアリールであり得、そしてR5及びR6は、水素原子、アルキル、又はアラルキル基を表すか、或いはそれらが結合する窒素原子と一緒になってヘテロ環を形成する]
を有するアミノアルコールのエステルが、英国特許出願GB1,434,826号明細書に記載されている。当該製造物は鎮痙剤として有用である。当該英国出願はまた、R7が−NH−R”7の構造を有するカルバメートについて記載している。したがって、構成されるアリールカルバメートは、鎮痛性及び抗炎症性活性を有する。しかし、アミンになされる修飾は非常に限定的であり、そして強力な鎮痛剤をもたらすことができなかった。
【発明の概要】
【0007】
一般式:
【0008】
【化2】

【0009】
[式中、
1は水素原子、直鎖又は分岐鎖である1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルバモイルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド又はアルキルウレイドによって置換された、直鎖又は分岐鎖である2〜4個の炭素原子を含むアルキル基であり、
2は−CO−R基であり、ここでRは、水素原子、アルキル基、アリール、ヘテロシクリル、ベンジル又はヘテロシクリルメチル基であり、
−CO−Y−R4基であり、ここでYは、−O−、−S−、−NH−、−Nalk−から選択されるヘテロ原子であり、ここでalkは、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、そしてR4は、アルキル、アリール、アラルキル又はヘテロシクリルアルキル基から選択され、そしてそれは1個以上のハロゲン原子、又はヒドロキシ、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基、アルコキシ、アルキルチオ、アシルアミノアルキルチオ、アルコキシカルボニル又はアシルアミノ、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基、又はオキソによって置換され得、又はR5COO−基によって置換され得、ここでR5は、ベンジルオキシカルボニルアミノ、アシルアミノによって、若しくはアミノ酸残基によって場合によって置換されるアルキル基であり、又はヘテロシクリル基を表し、或いは、
2は2〜4個の炭素原子を含む、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノによって置換されたアルキル基であり、前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5又は6員環のヘテロ環を形成し得、ここで前記ヘテロ環は、場合により酸素若しくは窒素から選択される別のヘテロ原子を含み、又はアルキルカルバモイルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド若しくはアルキルウレイドによって置換され、前記置換されたアルキル基は、直鎖又は分岐鎖であり、そして少なくとも2個の炭素原子を、R2を生じる窒素原子と前記置換基との間に含むものと理解され;
3は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基である]
で表される2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体のR若しくはS体、又はそれらの混合物、及び存在する場合にはそれらの医薬として許容される塩が、鎮痛剤として、特に慢性痛の処置において特に有用な活性を有することが今回見出された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に言及されない限り、残基のアルキル又はアシル基は直鎖又は分岐鎖であり、そして1〜7個の炭素原子を含み、特にアシル基はアセチル基であり得ると理解される。アリール又はアラルキル基は、6〜10員環を含む単環又は二環の基であり得、例えばフェニル、ナフチル、ベンジル、フェネチル又はナフチルアルキルであり得る。
【0011】
ヘテロシクリル基は、単環又は二環の基であり得、芳香族又は非芳香族であり得、5〜10員環を含み、そして酸素、窒素又は硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含み得ると理解される。特に、それらは、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニルピペリジルピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピペラジニル、ジオキソリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、テトラゾリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、インドリル、インドリジニル、キノリル、ナフチリジニル基から選択され得る。
【0012】
上で言及されたアミノ酸は、L又はD体である、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、バリン、フェニルアラニンから特に選択され得ると理解され、そしてこれらの群は、合成に先立ってアミド又はカルバメートの形態で保護され;当該保護基の保護及び除去は、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第4版,ISBN978−0−471−69754−1,12月,2006に記載された方法に従って行われる。
【0013】
ハロゲン原子は、塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素から選択される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態において、アルキル又はアシル基は、直鎖又は分岐鎖であり、そして1〜4個の炭素原子を含む。
【0015】
本発明の好ましい実施形態に従って、一般式(I)の2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体は、一般式:
【0016】
【化3】

【0017】
[式中、Zは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は反応性エステルである]
の誘導体で、一般式:
【0018】
【化4】

【0019】
[式中、R1及びR3は先に定義された通りであり、そしてR’2は、水素原子、又はR2として先に定義された通りである]
で表される2−アミノ−2−フェニル−アルカノール誘導体をアシル化し、その後、適切な場合には、一般式:
【0020】
【化5】

【0021】
[式中、R1、及びR’2、及びR3は上で定義された通りである]
で表される、得られた2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体のアミンの置換を、その後に以下のいずれかで行い:
・R’2がHであるとき、R2が−CO−Rである誘導体を得ることが所望であるならば、一般式;
【0022】
【化6】

【0023】
[式中、Rは先に定義された通りである]
で表される酸の反応性誘導体と作用させることによって行い、
・或いは、R’2がHであるとき、R2が−CO−Y−R4であって、YがO、S、NH、又はNakである誘導体を得ることが所望であるならば以下のいずれかで行い、
−ホスゲンを作用させ、その後、一般式:
【0024】
【化7】

【0025】
[式中、
4は、場合により置換されたアルキル基であり、そして適切な場合には、当該反応によって変化し得る官能基は先立って保護されており、又はアリール、アラルキル、又はヘテロシクリルアルキル基であり、そしてYは、酸素又は硫黄原子、又はNH若しくはNalk基である]
で表されるアルコール、チオール、又はアミンとその後反応させることによって行い、
−又は、一般式:
【0026】
【化8】

【0027】
[式中、
4は、先に定義された通りであり、好ましくは分岐したアリール、又はアルキルであり、Yは、酸素又は硫黄原子であり、そしてHalは、ハロゲン原子、好ましくは塩素である]
で表されるハロゲン化物と反応させることによって行い、
−又は、−C(alk)−O−CO−R5置換を生じるR4基であって、ここでalkは請求項2で定義された通りであり、そしてR5は請求項1で定義された通りである、前記R4基を得ることが所望であるとき、クロロアルキルクロロホルメートを作用させ、得られた製造物を、その後対応する酸であるR5COOHのアルカリ金属塩、例えば対応する酸のナトリウム塩、カリウム塩、又はセシウム塩:R5COOCs、或いは代わりに前記酸の銀塩、又は四級アンモニウム塩(例えばtert−ブチルアンモニウム塩)と反応させることによって行い、
・或いは、R’2がHであるとき、そしてR2が置換されたアルキルである誘導体を得ることが所望である場合、又はR1が水素原子であり、そしてR’2がR2として定義されたものである一般式(IV)の誘導体が得られたとき、R1が場合により置換されたアルキルである一般式(I)の製造物を得ることが所望である場合、以下の構造:
【0028】
【化9】

【0029】
[式中、R1又はR2は上で定義されたものであり、そしてZはハロゲン原子、又は反応性エステルの残基である]
で表される酸ハロゲン化物又は反応性エステルとアシル化し、その後アミドをアミンへ還元することによって行い、
・或いは同様に、R1が水素原子であり、そしてR’2がR2として定義されたものである一般式(IV)の誘導体が得られたとき、そしてR1がアルキルである一般式(I)の製造物を得ることが所望である場合、式:
【0030】
【化10】

【0031】
[式中、R1はアルキル基であり、そしてXはハロゲン原子、又はスルホニック基である]
で表されるハロゲン化誘導体を、塩基の存在下で反応させることによって行うことによって製造される。
【0032】
一般式(II)の製造物は、反応性の3,4,5−トリメトキシ安息香酸誘導体、例えば酸ハロゲン化物、又は反応性エステルであり得る。
【0033】
一般式(III)の2−アミノ−2−フェニルアルカノール誘導体の反応は、好ましくはR’2が水素原子である誘導体を使用して行われる。
【0034】
一般式(II)の製造物が、3,4,5−トリメトキシ安息香酸、例えば酸ハロゲン化物、又は反応性エステルであるとき、一般式(II)の誘導体と一般式(III)の2−アミノ−2−フェニルアルカノール誘導体との反応は、一般式(II)が酸ハロゲン化物の場合、窒素性塩基、例えばトリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミンの存在下で優先的に行われ、そして当該反応は、有機溶媒、例えば塩素系溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)中で、0〜70℃の温度で、好ましくは窒素下で一般的に行われる。そして一般式(II)が反応性エステルである場合、ナトリウムメチレートの存在下、有機溶媒、例えばトルエン中、アルコール、例えばメタノール又はエタノールの存在下、25〜150℃の温度で行われる。
【0035】
Zがハロゲン原子であるとき、それは塩素又は臭素から優先的に選択される。
【0036】
一般式(II)の製造物が3,4,5−トリメトキシ安息香酸であるとき、当該反応は、カルボジイミドの存在下、ハロゲン性溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)中で、0〜70℃の温度で一般的に行われる。
【0037】
R又はS体である一般式(IV)の誘導体を得ることが所望であるとき、R又はS体である一般式(III)の2−アミノ−2−フェニルアルカノールの誘導体を反応させることが理解される。同様に、R又はS体である一般式(IV)の誘導体は、R又はS体である一般式(I)の誘導体をもたらすことが理解される。
【0038】
一般式(V)の酸の反応性誘導体の活性化による、一般式(IV)の誘導体のアミンの置換は、酸ハロゲン化物、又はエステルを使用して、特に反応性エステルを使用して、好ましくは縮合剤、例えば三級アミン(特にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン)の存在下で優先的に行われる。当該反応は、有機溶媒、例えば塩素系溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)中、0〜70℃の温度で一般的に行われる。R2がホルミルである誘導体を得ることが所望であるとき、操作は、溶媒の使用をしながら、エステルとの反応によって優先的に行われる。
【0039】
一般式(VI)のアルコール又はチオールの反応は、(芳香族性溶媒、例えばトルエンの溶液形態で)一般式(IV)の誘導体のアミンをホスゲンと作用させた後に、有機溶媒、例えばハロゲン性溶媒(例えば塩素系溶媒、例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、又はクロロホルム)中、三級アミン(特にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン)の存在下、0〜25℃の温度で行われる。一般式(VI)のアルコール又はチオールの反応は、上記の三級アミンの存在下、0〜70℃の温度で、ハロゲン性溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)中で、一般式(VI)の誘導体を添加することによって行われる。好ましくは、窒素下で当該操作は行われる。置換基が反応の間で変化する危険性があるとき、当該置換基はあらかじめ保護されることが理解される。保護基の保護、及び除去は、T.W.GreeneandP.G.M.Wuts,ProtectiveGroupsinOrganicSynthesis,第4版,ISBN978−0−471−69754−1,12月,2006に記載された方法に従って行われる。
【0040】
一般式(IV)の誘導体のアミンとの、一般式(VII)の誘導体の反応は、縮合剤、例えば三級アミン(特にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン)の存在下で行われる。当該反応は、有機溶媒、例えば塩素系溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)、又はテトラヒドロフラン中で、0〜70℃の温度で一般的に行われる。好ましくは、当該操作は窒素下で行われる。
【0041】
4基が−C(alk)−O−CO−R5の置換を有する化合物を得ることが所望であるとき、当該反応は、一般式(IV)の化合物に対するクロロアルキルクロロホルメートの反応を通じて行われ、そして当該反応は、有機溶媒、例えば塩素系溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン)又は例えばエーテル(例えばテトラヒドロフラン)中、−10〜50℃の温度で行われる。その後、得られた化合物を、対応する酸であるR5COOHのアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、又はセシウム塩、銀塩又は四級アンモニウム塩と、有機溶媒、例えばアミド、例えばジメチルホルムアミド、塩素系溶媒(例えばジクロロメタン)、エステル(例えば酢酸エチル)、芳香族性炭化水素(例えばトルエン)、ニトリル(例えばアセトニトリル)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン)中、場合により、ヨウ化ナトリウムの存在下、0〜60℃の温度で反応させる。
【0042】
2が置換されたアルキルであるか、又はR1が場合により置換されたアルキルである一般式(I)の化合物を得ることが所望であるとき、一般式(IV)の誘導体のアミンのアルキル化反応は、ハロゲン性溶媒(例えばジクロロメタン、ジクロロエタン)又はエーテル(テトラヒドロフラン)中、0〜70℃の温度で行われる。必要ならば、反応性エステルは、ヒドロキシベンゾトリアゾールを使用して調製され得る。還元は、ボランの存在下、テトラヒドロフラン中、0〜70℃の温度で行われる。
【0043】
一般式(IX)の製造物の反応は、ハロゲンが塩素、臭素、又はヨウ素であるハロゲン系誘導体を使用して、又はスルホニック誘導体、例えばトシレート、メシレート、又はトリフラートを使用して、塩基、例えばアルカリ金属カーボネート(例えばNaHCO3又はKHCO3)の存在下で行われる。
【0044】
一般式(II)の3,4,5−トリメトキシ安息香酸の誘導体が、分子の残りの部分を変化させないそれらの反応性誘導体への、カルボン酸の変換のための一般的な方法に従って製造され得る。
【0045】
一般式(III)の誘導体は、特許出願FR2,765,218若しくはEP510,168,に記載された方法に従って、又はこれらの出願に記載された方法の類似法によって製造され得る。
【0046】
一般式(VII)のハロゲン化誘導体は、対応する一般式(VI)のアルコール又はチオールに対するホスゲンの反応によって製造され得る。
【0047】
当該操作は、一般式(IV)の誘導体のアミンに対するホスゲンの反応に関する、先に記載された条件と類似する条件下で行われる。
【0048】
S又はR体である一般式(I)の製造物を得ることが所望であるとき、S又はR体である一般式(III)の2−アミノ−2−フェニルアルカノールの誘導体が反応される。
【0049】
S又はR体である一般式(III)の2−アミノ−2−フェニルアルカノール誘導体は、欧州特許出願EP510,168に記載された方法に従って、又は当該分子の残りの部分に影響を与えることなく、エナンチオマーを分離するための通常の方法に従った分離によって製造され得る。
【0050】
存在するときには、医薬として許容される塩は、酸を有する付加塩であり得る。特に、無機酸を用いた塩であり、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩であり、又は有機酸を用いた塩であり、例えば酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩である。
【0051】
一般式(I)の誘導体は、通常の方法、特にクロマトグラフィー又は結晶化によって精製され得る。
【0052】
一般式(I)の誘導体は、それらの強力な鎮痛性活性、特に慢性痛に対して特に有用である。
【0053】
それらの活性は、G.B.Brown,3H−batrachotoxinin−A benzoate binding to voltage−sensitive sodium channels:inhibition by the channel blockers tetrodotoxin and saxitoxin,J.Neurosci.,6,2064(1986)の方法の適用による、インビトロでのナトリウムチャンネルの阻害試験で実証された。このインビトロでの試験において、本発明の製造物は、3.2(M)の濃度で25〜90%の阻害活性を示した。
【0054】
さらに、インビボでのそれらの活性が、Wheeler−Aceto et al., psychopharmacology,104,35−44(1991)の方法を適応させた、ラットにおける、ホルマリンで誘導された短期間又は長期間の疼痛試験において実証された。この方法において、実施例4の製造物が、皮下経路による、39.3mg/kg用量で、短期間及び長期間における活性を示した。Langlois et al.,Euro.J.Pharmacol.,324,211−217(1997)に記載された方法を適応させた方法に従って、ラットにおける結腸の刺激及び膨張による腹痛の試験において、インビボでの活性が同様に示された。この試験において、実施例4の製造物は、皮下経路における13.1mg/kg〜26.2mg/kgの用量で、ラットにおける活性を示した。
【0055】
さらに、ラットにおけるi.v.注射の後において、本発明の特定の製造物の半減期が特に高いことが示された。
【0056】
最後に、本発明の製造物は毒性を示さない。実際マウスにおいて、腹腔内経路で26.2mg/kgの用量を、2日かけて7回投与を繰り返し、そしてラットにおいて、経口経路で39.3mg/kgで投与したが、死亡、及び異常行動の兆候は観察されなかった。
【0057】
1及びR3が先に定義された通りであり、そして-NR12におけるR2が、−CO−O−R4基であり、ここでR4が以下の構造:
【0058】
【化11】

【0059】
[式中、
−alkは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、そしてR5は、一般式(I)において定義された通りである]
を有する、今後(Ia)と呼ばれる一般式(I)の製造物、或いは、R3が先に定義された通りであり、そして-NR12中におけるR1が水素原子であり、そしてR2が先に定義された−CO−R基である、今後(Ia’)と呼ばれる一般式(I)の製造物が特に有用である。
【0060】
そして一般式(Ia)及び(Ia’)製造物から、一般式(Ia)の製造物がより特に好ましく、ここでR1は水素原子、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基(特にメチル基)又は2−メトキシエチル基である。
【0061】
1及びR3が先に定義された通りであり、そして-NR12におけるR2は、一般式(I)において、R2として先に定義された通りの置換されたアルキル基である、今後(Ib)と呼ばれる一般式(I)の製造物が同様に好ましい。
【0062】
以下の実施例は本発明を示す。
【0063】
以下の実施例において、使用される省略形は以下の意味を有する:
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
THF テトラヒドロフラン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【実施例】
【0064】
実施例1 ORC012
【0065】
【化12】

【0066】
0.300g(0.8mmol,1eq.)の(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート、及び0.442g(2.4mmol,3eq.)のニコチノイルクロリド塩酸塩を窒素雰囲気下で置き、その後3mlの乾燥1,2−ジクロロエタンに懸濁させた。その後、0.4ml(2.4mmol,3eq.)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加した。撹拌を20時間、室温で維持した。
【0067】
反応混合物を6mlの飽和NaHCO3で処理し、その後12mlのジクロロメタンで抽出した。有機層を6mlの飽和NaHCO3で再度洗浄し、その後Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして蒸発乾固した。得られた残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン、グラジエント3:7〜6:4、v/v)で精製し、0.189g(46%)の所望の製造物、(S)2−(メチル3−ピリジルカルボニルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを白色泡状物質の形態で得た。
【0068】
【化13】

【0069】
(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートは、出願FR2,765,218及びEP0510,168に記載された方法に従って製造され得る。
【0070】
実施例2 ORC011の合成
【0071】
【化14】

【0072】
段階1:
1.17g(2.83mmol;1eq.)の(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを窒素下に置き、その後1mlの1,2−ジクロロエタンに溶解した。0.77ml(8.50mmol;3eq.)のクロロメチルクロロホルメートをその後ゆっくりと滴下した。反応混合物を6時間室温で撹拌し、その後10mlの飽和NaHCO3で処理し、その後20mlのジクロロメタンで抽出した。有機層をその後10ml飽和NaHCO3で再度洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、その後蒸発乾固させた。
【0073】
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン2:8、v/v)にて精製し、0.830g(63%)の所望の製造物、(S)2−(クロロメトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを無色油状物の形態で得た。
【0074】
【化15】

【0075】
0.289g(0.62mmol;1eq.)の(S)2−(クロロメトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、10.2mlのN,N−ジメチルホルムアミド溶液中に置き、その後0℃とした。その後、0.125g(0.62mmol;1eq.)の酢酸セシウムの、4.1mlのN,N−ジメチルホルムアミド白色懸濁液をゆっくりと加えた。撹拌を17時間、室温で維持した。
【0076】
その後、さらに0.038g(0.18mmol;0.3eq.)の酢酸セシウムを加え、そして撹拌を7時間、室温で続けた。
【0077】
反応混合物をその後、20mlの酢酸エチルに希釈した。有機層を2x12mlのNaHCO3(10%)、2x12mlの水、そして12mlの飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして蒸発乾固した。
【0078】
得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/シクロヘキサン,グラジエント1:9〜3:7,v/v)で精製し、0.065g(20%)の所望の製造物、(S)2−(アセトキシメトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを無色油状物の形態で得た。
【0079】
【化16】

【0080】
実施例3 ORC0007の合成
【0081】
【化17】

【0082】
0.40g(1.07mmol;1eq.)の(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを窒素下に置き、その後53mlのジクロロメタンの溶液中に置いた。その後、1.3ml(2.53mmol;2.36eq.)の20%ホスゲンのトルエン溶液を加え、その後0.16ml(1.18mmol;1.1eq.)のトリエチルアミンを加えた。撹拌を22時間で室温にて維持した。0.69g(5.35mmol;5eq.)の4−(ヒドロキシメチル)−5−メチル−1,3−ジオキソール−2−オンをその後加えた。室温でさらに24時間後、反応混合物をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、その後蒸発乾固した。
【0083】
得られた残渣を2回のシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン、その後酢酸エチル/シクロヘキサン、グラジエント1:9〜3:7,v/v)で精製し、0.085g(15%)の所望の製造物、(S)2−(5−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン−4−イルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、無色油状物の形態で得た。
【0084】
【化18】

【0085】
実施例4 ORC020の合成
【0086】
【化19】

【0087】
段階1:
(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(1.49g;4.0mmoles;1eq.)を、100ml三つ口フラスコ中、窒素気流下、40mlのジクロロメタン中に置いた。当該溶液を0℃に冷却した。ホスゲンの20%トルエン溶液(4.95ml;9.4mmoles;2.4eq.)、その後N,N−ジイソプロピルエチルアミン(730μl;4.4mmoles;1.1eq.)を、5℃を超えないように加えた。氷浴を除去し、そして当該混合物を20時間撹拌した。(S)2−(クロロホルミルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを得た。
【0088】
段階2:
2.53mlの4−メトキシベンジルアルコール(20mmoles;10eq.)を、10mlジクロロメタン中で溶液とし、その後、反応混合物の半分の容量(871.8mg;2mmoles;1eq.)の(S)2−(クロロホルミルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(段階1)、すなわち、20mlの得られた溶液を滴下した。室温で1時間後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.30ml;8mmoles;4eq.)を加え、その後撹拌を20時間維持した。反応混合物を20mlの飽和NH4Cl溶液(pH=7〜8)へと注いだ。デカンテーションの後、水層を2x20mlのジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせて、2x20mlの飽和NH4Cl溶液(pH=7、その後pH=6)で、そして20mlの半飽和NaCl溶液で洗浄し、その後Na2SO4で乾燥した。粗精製物をシリカゲル(35パート,溶出液:酢酸エチル/シクロヘキサン7/3)で精製し、(S)2−(4−メトキシベンジルオキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(15%;170mg)の透明油状物を得た。当該油状物を1mlのエーテル、及び1mlのペンタンに取り、エマルションとした。フラスコを2時間、4℃で冷却し、その後に溶媒上清を、パスツールピペットを使用して除去した。ベーンポンプを使用して固体を乾燥させ、白色泡状物質を得た。
【0089】
【化20】

【0090】
実施例5 ORC009の合成
【0091】
【化21】

【0092】
0.081g(0.54mmol;1eq.)の4−アセトアミドフェノールを、窒素下、3.6mlの乾燥酢酸エチルで懸濁液とし、そして0℃とした。その後、0.43ml(0.82mmol;1.54 eq.)の20%ホスゲンのトルエン溶液を加えた。その後(なお0℃で)0.075ml(0.54mmol;1eq.)のトリエチルアミンを加えた。その後、それを室温で置いた。1時間後、0.40g(1.07mmol;2eq.)の(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを加えた。撹拌を18時間、室温で継続した。
【0093】
反応混合物を5mlの酢酸エチルで希釈し、その後、8mlの水、及び8mlの1M HClで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、その後蒸発乾固した。
【0094】
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン〜ジクロロメタン/メタノール,グラジエント9:1,v/v)で精製した。得られた製造物を2回、1.5mlのペンタン/エーテル1:1中で粉砕化し、0.092g(31%)の白色固体、(S)2−(4−アセチルアミノフェニルオキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを得た。
【0095】
【化22】

【0096】
実施例6 ORC021の合成
【0097】
【化23】

【0098】
400μl(2.4mmoles;3eq.)のDIPEAを窒素下、室温で、300mg(0.8mmoles;1eq.)の(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートの、3mlのジクロロメタン溶液へ滴下し、その後、337μl(2.4mmoles;3eq.)の4−クロロフェニルクロロホルメートを滴下した。当該混合物を室温で70時間撹拌した。反応混合物を30mlの飽和NaHCO3(pH=7)へと加え、その後、30mlのジクロロメタンで、その後10mlのジクロロメタンで抽出した。有機層を20mlの飽和NaCl(pH=7〜8)で洗浄し、その後Na2SO4で乾燥し、そして蒸発乾固し、油状物を得た。それをシリカゲルカラム(50パート;溶出液;酢酸エチル/シクロヘキサン2/8)で精製した。得られた油状物を−50℃で窒素下にて冷却し、製造物を沈殿させるために2x2mlのペンタンを加えた。製造物をその後真空下で1時間乾燥し、蒸発できない4%の溶媒を含む白色粉末を得た。当該粉末を1mlのCH2Cl2に溶解し、その後蒸発乾固して、20時間の真空乾燥後に、白色泡状物質の(S)2−(4−クロロフェノキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(360mg,85%)を得た。
【0099】
【化24】

【0100】
実施例7 ORC018
【0101】
【化25】

【0102】
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.4ml;2.4mmoles;3eq.)を窒素下、室温にて、(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(300mg;0.8mmoles;1eq.)のジクロロエタン溶液へ滴下し、その後エチルクロロチオホルメート(260μl;2.4mmoles;3eq.)を滴下した。撹拌を室温で70時間維持した。反応混合物を30mlの飽和NaHCO3(pH=7)へと注ぎ、その後、30mlのジクロロメタン、及び10mlのジクロロメタンで抽出した。有機層を20mlの飽和NaCl(pH=7〜8)で洗浄し、その後Na2SO4で乾燥し、そして蒸発乾固した。得られた油状物を3mlのエーテルに溶解し、その後穏やかに加熱しながら、3mlのペンタンを滴下した。濁った溶液を20時間冷やし続け、その後に上清をピペットで除去した。当該操作を、5mlのエーテル/ペンタンで2回行った。その後、結晶をフラスコ内で乾燥し、白色粉末の(S)2−(エチルチオカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(251mg,68%)を得た。
【0103】
【化26】

【0104】
実施例8 ORC033
【0105】
【化27】

【0106】
ニコチン酸(0.081g,0.00064mol)を、窒素雰囲気下、DMF(1mL)に溶解した。フッ化セシウム(0.098g,0.00064mol)を加え、そして当該溶液を室温で15分間撹拌した。当該溶液を0℃に冷却し、そしてあらかじめDMF(1ml)に溶解した(S)2−(クロロメトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(100.0mg,0.0002146mol)を滴下した。当該混合物を70℃で17時間加熱した。
【0107】
冷却後、酢酸エチル(5mL)を加え、そして有機層をNaHCO3の飽和溶液で、その後飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、そして蒸発乾固して120mgの黄色油状物を得た。当該製造物を精製[(SiO2;シクロヘキサン/AcOEt(3/7)]し、86mgの(S)−2−(ニコチニルオキシ−メトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、アモルファス白色固体として得た。
【0108】
【化28】

【0109】
実施例9 ORC035
【0110】
【化29】

【0111】
N−カルボベンジルオキシグリシン(0.20g,0.00096mol)をDMF(2mL)中に窒素雰囲気下で溶解した。フッ化ナトリウム(0.15g,0.00096mol)を加え、そして当該混合物を室温で15分間撹拌した。
【0112】
当該混合物を0℃に冷却し、そして(S)2−(クロロメトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(150.0mg,0.0003219mol)のDMF(2mL)溶液を滴下した。反応混合物を70℃で2時間撹拌した。冷却後、酢酸エチル(8mL)を加え、そして有機層を飽和炭酸水素ナトリウム(3mL)で、その後飽和塩化ナトリウム(3mL)溶液で洗浄し、その後有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、その後蒸発乾固して黄色油状物を得た。当該製造物を:SiO2,シクロヘキサン/AcOEt(7/3、その後6/4)で精製し、197mgの3,4,5−トリメトキシ−安息香酸(S)−2−[(2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−アセトキシメトキシカルボニル)−メチル−アミノ]−2−フェニル−ブチルエステルを黄色油状物として得た。
【0113】
【化30】

【0114】
実施例10 ORC036
【0115】
【化31】

【0116】
N−アセチル−グリシン(0.075g,0.00064mol)をDMF(1mL,0.01mol)に窒素雰囲気下で溶解した。フッ化セシウム(0.098g,0.00064mol)を加え、そして当該混合物を室温で15分間撹拌した。当該混合物を0℃に冷却し、そして(S)2−(クロロメトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート(100.0mg,0.0002146mol)のDMF(1mL)溶液を滴下した。当該反応混合物を70℃で17時間加熱した。
【0117】
冷却後、酢酸エチル(5mL)を加え、そして有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で、その後飽和塩化ナトリウム水溶液(2mL)で洗浄し、最後にNa2SO4で乾燥し、ろ過し、そして蒸発乾固して3,4,5−トリメトキシ−安息香酸(S)−2−[(2−アセチルアミノ−アセトキシメトキシカルボニル)−メチル−アミノ]−2−フェニル−ブチルエステルを黄色油状物として得た(205mg)。
【0118】
【化32】

【0119】
実施例11 ORC037
【0120】
【化33】

【0121】
段階1:
(S)−2−アミノ−2−フェニル−ブタン−1−オール(15.0g,0.0908mol)を窒素雰囲気下、塩化メチレン(150mL)に溶解した。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(13.5g,0.0998mol)、メトキシ酢酸(7.82mL,0.0998mol)、及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(19.5g,0.0998mol)を加えた。生じる無色の溶液を室温で4日間攪拌した。
【0122】
当該混合物を0.1N HCl(100mL)で、その後飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして濃縮して22.4gの橙色油状物を得、そしてそれを、SiO2,CH2Cl2/MeOH(99/1及び98/2)にてクロマトグラフィーを行い、13.12gの微かに黄色の固体を得た。
【0123】
【化34】

【0124】
段階2:
13.120g、0.055290molのN−((S)−1−ヒドロキシメチル−1−フェニル−プロピル)−2−メトキシ−アセトアミドを、窒素雰囲気下、THF(100mL)に溶解した。当該溶液を10℃に冷却し、その後、ボラン−ジメチルスルフィド複合体(16mL,0.16mol)を滴下した。当該混合物を室温で2日間攪拌した。70mLのメタノールをゆっくりと加え、そして当該溶液を15分間攪拌した。100mLの10%炭酸カリウム溶液、その後400mLの酢酸エチルを加えた。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、その後蒸発乾固させて、12.4gの黄色油状物を得た。
【0125】
【化35】

【0126】
段階3:
蒸留管を装着したフラスコへ、12.40g(0.05553mol)の(S)−2−(2−メトキシ−エチルアミノ)−2−フェニル−ブタン−1−オールを入れ、その後トルエン(400mL)/エタノール(20mL)混合物へ溶解させた。
【0127】
18.71g(0.08107mol)の3,4,5−トリメトキシ−安息香酸メチルを加えた。当該溶液をその後、130℃へ加熱した。
【0128】
1.5g、0.028molのナトリウムメチレートを130℃にて一部ずつ加えた。得られた白色懸濁液を130℃にて17時間攪拌した。1.0gのナトリウムメチレートを再度、130℃にて一部ずつ加え、そして当該懸濁液をさらに3時間攪拌した。
【0129】
冷却後、反応混合物を蒸発乾固し、その後3NのNaOH(200ml)で処理した。
【0130】
当該混合物を15分間攪拌し、その後酢酸エチル(300mL)で抽出した。
【0131】
有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして蒸発乾固して、18.6gの橙色油状物を得た。
【0132】
当該製造物をSiO2(CH2Cl2、その後CH2Cl2/MeOH(95/5))で精製し、8.3gの黄色油状物を得た。
【0133】
【化36】

【0134】
(S)2−アミノ−2−フェニル−nブタノールは、出願FR2765218、及びEP510168に記載された方法に従って製造され得る。
【0135】
実施例12 ORC050
【0136】
【化37】

【0137】
段階1:
3,4,5−トリメトキシ安息香酸の(S)−2−メチルアミノ−2−フェニル−ブチルエステル(2.0g,0.0054mol)を窒素雰囲気下、塩化メチレン(20mL)に溶解した。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(796mg,0.00589mol)、メトキシ酢酸(541mg,0.00589mol)、及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1150mg,0.00589mol)を加えた。当該無色溶液を40℃にて2日間攪拌した。当該混合物を0.1N塩酸(20mL)で、その後飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、そして蒸発乾固し、1.84gの黄色油状物を得た。当該産物を,SiO2(シクロヘキサン/AcOEt(1/1))にて精製し、796mgの黄色油状物を得た。
【0138】
【化38】

【0139】
段階2:
335mgの先の製造物を、THF(1mL)に溶解した。0.28mL(0.0030mol)のボラン−ジメチルスルフィド複合体を滴下し、そして当該混合物を室温で3日間攪拌した。メタノール(0.7mL)を当該反応混合物へ加え、そして当該溶液を30分間攪拌した。10%炭酸カリウム溶液(1mL)、その後3mLの酢酸エチル(3mL)を加えた。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(1mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、そして蒸発乾固して、135mgの微かに黄色の油状物を得た。当該製造物を、SiO2(シクロヘキサン/AcOEt(7/3))で精製し、221mgの3,4,5−トリメトキシ−安息香酸(S)−2−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−2−フェニル−ブチルエステルを、無色油状物として得た。
【0140】
【化39】

【0141】
実施例13:ORC051
【0142】
【化40】

【0143】
段階1:
200.0mg(0.0005356mol)の、(R)2−(クロロメトキシカルボニルメチルアミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、窒素雰囲気下、塩化メチレン(1.0mL)中に溶解した。無色溶液を−1℃に冷却し、そしてクロロメチルクロロホルメート(210mg,0.0016mol)を滴下した。当該反応混合物を室温で17時間攪拌した。無色溶液をその後、−5℃に冷却して、そしてクロロメチルクロロホルメート(0.106mg,1.5eq)を再度滴下した。当該溶液を室温で3時間攪拌した。当該混合物を0℃に冷却し、そしてクロロメチルクロロホルメート(106mg,1.5eq)を再度滴下した。当該溶液を室温で2時間攪拌し、その後40℃で1時間加熱し、その後室温で15時間攪拌した。3mLの塩化メチレンを加えた後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(3.0mL)で処理した。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(3.0mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、その後蒸発乾固して150mgの微かに黄色の油状物を得た。
【0144】
【化41】

【0145】
段階2:
3,4,5−トリメトキシ−安息香酸(R)−2−(クロロメトキシ-カルボニル−メチル−アミノ)−2−フェニル−ブチルエステル(150.0mg,0.0003219mol)を、窒素雰囲気下、DMF(2.0mL)に溶解した。当該溶液を0℃に冷却し、そして酢酸ナトリウム(195mg,0.000965mol)のDMF(2.0mL)溶液を滴下した。当該混合物を70℃で15時間加熱した。冷却後、酢酸エチル(13.0mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液(13.0mL)を加えた。
【0146】
当該混合物を15分間室温で攪拌した。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、その後蒸発乾固して、黄色油状物を得た。得られた製造物をSiO2カラム(シクロヘキサン/AcOEt(8/2))で精製し、蒸発乾固の後に、116mgの3,4,5−トリメトキシ−安息香酸(R)−2−(アセトキシメトキシカルボニル−メチル−アミノ)−2−フェニル−n−ブチルエステルを、黄色油状物として得た。
【0147】
【化42】

【0148】
実施例14 ORC052
【0149】
【化43】

【0150】
段階1:
オートクレーブ中、水酸化ナトリウム(17.120g,0.42803mol)を水(74mL,4.1mol)中に溶解し、その後、(5R)−5−エチル−5−フェニルイミダゾリン−2,4−ジオン(20.0g,0.0979mol)を一部分ずつ加えた。当該反応混合物を130℃にて48時間、攪拌しながら加熱した。当該混合物を冷却し、そして白色沈殿物が形成された。
【0151】
pHを7に調節し、その後当該沈殿物を酢酸エチルで洗浄した。当該混合物を、0℃に冷却された300mLの水に希釈した。12M HCl(50mL)にてpHを1に調節した。沈澱物を完全に溶解した。混合物を0℃にて維持し、20mLの5N NaOH溶液を用いてpHを7に調整し、白色沈殿物を得た。当該混合物を濾過し、沈殿物を水(150mL)で洗浄し、その後真空下、40℃にて乾燥し、22.8gの白色固体を得た。
【0152】
【化44】

【0153】
段階2:
(2R)−2−アミノ−2−フェニルブタン酸(21.60g,0.1205mol)を、窒素雰囲気下、THF(200mL)に溶解した。ボラン−THFの1M THF溶液(94mL,0.96mol)を滴下した。
【0154】
当該混合物を70℃にて48時間、攪拌しながら加熱した。ボラン−THFの1M THF溶液(47mL,4eq)を滴下した。当該混合物を70℃にて2時間加熱した。当該操作を繰り返した。
【0155】
当該混合物を最終的に0℃に冷却し、その後飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100.0mL)を加えた。塩化メチレンを加えた後、有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、最終的にNa2SO4で乾燥し、その後ろ過し、そして蒸発乾固し、13.06gの微かに黄色の固体を得た。
【0156】
【化45】

【0157】
段階3:
(R)−2−アミノ−2−フェニル−ブタン−1−オール(13.060g,0.079040mol)を、窒素雰囲気下、塩化メチレン(300mL)に溶解した。メトキシ酢酸(7.99g,0.0869mol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(11.8g,0.0870mol)、及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(HCl)(16.70g,0.08537mol)を、最少量の塩化メチレントと共に当該混合物へ直接加えた。当該溶液を室温で17時間攪拌した。当該混合物を0.1MのHCl(300.0mL)で洗浄した。水層を塩化メチレン(3回、200.0mL)で抽出した。
【0158】
有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(600.0mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、その後蒸発乾固して、14gの黄色油状物を得た。当該製造物をSiO2(CH2Cl2/MeOH(99/1,98/2,100%MeOH))で精製し、5.17gの微かに黄色の油状物を得た。
【0159】
【化46】

【0160】
段階4:
N−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニル−プロピル)−2−メトキシ−アセトアミド(5.170g,0.02179mol)を、窒素雰囲気下、THF(50.0mL)に溶解した。当該溶液を10℃に冷却し、その後、ボラン−ジメチルスルフィド複合体(6.2mL,0.065mol)を滴下した。当該混合物を室温にて24時間攪拌した。当該溶液を10℃に冷却し、その後ボラン−ジメチルスルフィド複合体(6.2mL,3eq)を滴下した。当該混合物を室温にて3時間攪拌した。当該混合物をその後、0℃へと冷却し、そしてメタノール(27.0mL)を滴下した。40mLの10%炭酸カリウム溶液、その後80mLの酢酸エチルを当該混合物へ加えた。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、その後蒸発乾固して、4.92gの黄色油状物を得た。
【0161】
【化47】

【0162】
段階5:
蒸留管を装着したフラスコ中で、(R)−2−(2−メトキシ−エチルアミノ)−2−フェニル−ブタン−1−オール(4.840g,0.02167mol)を、トルエン(150mL)/メタノール(7.60mL)混合物に溶解した。3,4,5−トリメトキシ安息香酸のメチルエステル(5.50g,0.0238mol)を加え、そして当該混合物を130℃に加熱した。ナトリウムメチレート(0.58g,0.011mol)を一部分ずつ加え、そして当該混合物を130℃にて3時間攪拌した。
【0163】
ナトリウムメチレート(0.47g,0.0087mol)を一部分ずつ再度加え、そして当該混合物を15時間、130℃にて攪拌した。当該混合物を冷却し、その後蒸発乾固した。70mLの3M水酸化ナトリウム水溶液を加え、その後当該混合物を15分間攪拌し、その後酢酸エチルにて抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、その後蒸発乾固して、8.87gの橙色油状物を得た。当該製造物を、SiO2クロマトグラフィー(シクロヘキサン/AcOEt(9/1,8/2)その後100%AcOEt))にて精製し、4.37gの3,4,5−トリメトキシ−安息香酸(R)−2−(2−メトキシ−エチルアミノ)−2−フェニル−ブチルエステルを、微かに黄色の油状物として得た。
【0164】
【化48】

【0165】
実施例15:ORC055
【0166】
【化49】

【0167】
段階1:
500mg(1.34mmol;1.0eq.)の(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、窒素下、1mlのジクロロメタンに溶解した。当該混合物を2℃に冷却し、440μl(4.0mmol;3.0eq.)のα−クロロエチルクロロホルメートを滴下した。当該混合物を室温で5時間攪拌した。反応をTLCで観測した。ジクロロメタンを窒素下で蒸発させた。無色油状物形態で得られる残渣を、さらなる精製無しに、以下の段階において使用した。
【0168】
【化50】

【0169】
段階2:
先の段階で得られた(S)2−[(1−クロロ−エトキシカルボニル)−メチル−アミノ]−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、2mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した。807mg(3.67mmol,2.7eq.)のセシウムイソブチレートを加えた。当該混合物を55℃にて一晩攪拌した。当該反応をTLCにて観測した。
【0170】
10mlの水を当該混合物へ加えた。当該製造物を酢酸エチル(3回、10mL)で抽出し、その後有機層を、水及び飽和塩化ナトリウム溶液(15mL)で連続的に洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、その後濃縮乾固し、褐色油状物を得た。当該油状物を、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液:シクロヘキサン/酢酸エチル:85/15)で精製し、105mgの所望の製造物、(S)2−[(1−イソブチリルオキシ−エトキシカルボニル)−メチル−アミノ]−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、無色油状物の形態で得た(収率=15%)。
【0171】
【化51】

【0172】
実施例16 ORC056
【0173】
【化52】

【0174】
段階1:
2g(5.4mmol;1.0eq.)の(S)2−メチルアミノ−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、窒素下において4mlのジクロロメタンに溶解した。当該混合物を2℃に冷却した。この温度において、884μl(8.0mmol;1.5eq.)のα−クロロエチルクロロホルメートを滴下した。当該混合物を室温にて5時間攪拌した。当該反応をTLCにて観測した。ジクロロメタンを窒素下にて蒸発させた。無色油状物の形態で得られた残渣を、さらなる精製無しで次の段階に使用した。
【0175】
【化53】

【0176】
段階2:
先の段階において得られた(S)2−[(1−クロロ−エトキシカルボニル)−メチル−アミノ]−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを、3mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した。2.0g(8.03mmol,1.5eq.)のセシウム(アセチルアミノ)アセテートを加えた。当該混合物を55℃で一晩攪拌した。当該反応をTLCで観測した。
【0177】
20mLの水を当該混合物へ加えた。当該製造物を酢酸エチル(3回、50mL)で抽出し、その後当該有機層を水、及び飽和塩化ナトリウム溶液(10mL)で連続的に洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、その後濃縮乾燥して褐色油状物を得た。当該油状物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:シクロヘキサン/酢酸エチル:3/7)で精製し、200mgの所望の製造物、(S)2−{[1−(2−アセチルアミノ−アセトキシ)−エトキシカルボニル]−メチル−アミノ}−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエートを褐色固体の形態で得た(収率=7%)。
【0178】
【化54】

【0179】
一般式(I)の製造物は、経口、非経口、経舌(perlingual)、直腸経路によって、エアロゾル又は局所形態で投与され得る。
【0180】
本発明はまた、少なくとも一つの、一般式(I)で表される2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体を、及び/又は存在する場合にはそれらの塩を、純品の状態で、又は一つ以上の、適合性があり、かつ医薬として許容される希釈剤又は助剤と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。
【0181】
これらの組成物は、固体組成物の形態で存在し得、特に錠剤、コーティング錠、丸薬、ゼラチンカプセル、溶液若しくは懸濁液にされる粉剤、又は顆粒、並びに液体組成物の形態、例えば注射可能溶液又は懸濁液、飲用の溶液若しくは懸濁液、シロップ、エマルション、水のような希釈剤を含むエリキシル、又はパラフィンオイル、或いは坐剤、クリーム、軟膏、及びローションの形態、或いは同様に、スプレー組成物の形態で存在する。これらの医薬形態は、通常の方法に従って製造される。
【0182】
経口投与のための固体組成物において、本発明の活性成分は、一つ以上の不活性希釈剤又は助剤と、例えばショ糖、ラクトース、デンプン、又はその誘導体、微結晶セルロース、コロイド状シリカ、ポビドン、タルク、アラビアゴムと混合される。
【0183】
これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、又は制御放出を意図したコーティングを含み得る。
【0184】
経口投与のための、液体組成物の液体は、水性又は非水性ビヒクル、例えば希釈剤を含み、同様に、他の物質、例えば、湿潤剤、甘味剤、又は香味剤を含み得る。非水性組成物は、動物若しくは植物由来の脂肪性物質、パラフィン誘導体、グリコール、大豆レシチンを含み得る。
【0185】
非経口経路で投与され得る組成物は、より特に、筋肉内又は静脈内経路で投与され得る組成物である。非経口投与のための組成物は、滅菌溶液又はエマルションであり得る。溶媒又はビヒクルとして、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油が使用され得、特に、オリーブ油、注射可能有機エステル、例えばオレイン酸エチルが使用され得る。
【0186】
これらの組成物はまた、助剤、特に湿潤剤、等張剤、乳化剤、分散剤、及び安定化剤、及び/又は保存剤を含み得る。
【0187】
滅菌化は、幾つかの方法で行われ得、例えば細菌学的フィルターを使用して、照射によって、又は加熱によって行われ得る。当該組成物はまた、使用時において滅菌水又は任意の他の滅菌注射可能媒体によって溶解される、滅菌固体組成物の形態で製造され得る。
【0188】
直腸投与のための組成物は、活性成分とは別に、賦形剤、例えばココアバター、半合成グリセリド、又はポリエチレングリコールを含む、坐剤又は直腸用カプセルである。
【0189】
局所投与のための組成物は、例えば、シリコーンオイル、パラフィンのような適合可能な賦形剤、及び活性成分を含むパッチであり得る。
【0190】
当該組成物はまた、エアロゾルであり得る。液体エアロゾルの形態での使用のために、当該組成物は、安定な滅菌溶液、又は非発熱性の滅菌水、血清、又は任意の他の薬学的に許容されるビヒクル中に、使用時において溶解される固体組成物であり得る。直接吸入されることが意図された乾燥エアロゾルの形態における使用のために、活性成分は粉砕され、そして希釈剤又は粒子径30〜80pmの水溶性固体ビヒクル、例えばデキストラン、マンニトール、又はラクトースと混合される。
【0191】
ヒトの治療のために、医療従事者は、年齢、体重、及び処置されるべき患者に関連する他の因子に従って、治療との関連で最も好適であると考えられる投与量計画を決定するだろう。処置されるべき患者、及び問題の疾患に従って変化するが、通常の投与量は、例えば経口経路で、成人において一日あたり50mg〜2gであり得る。
【0192】
以下の実施例は、本発明の組成物を説明する。
【0193】
実施例:
以下の組成を有する、経口経路で投与され得る組成物が調製される:
(S)2−(クロロメトキシカルボニル メチル アミノ)−2−フェニル−n−ブチル3,4,5−トリメトキシベンゾエート
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100mg
ラクトース一水和物、
改良トウモロコシデンプン、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
ナトリウムカルボキシメチルデンプン、
酒石酸、
コロイド状シリカ、
ステアリン酸マグネシウム、
マクロゴール4000、
二酸化チタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】

[式中、
1は水素原子、直鎖又は分岐鎖である1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルバモイルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド又はアルキルウレイドによって置換された、直鎖又は分岐鎖である2〜4個の炭素原子を含むアルキル基であり、
2は−CO−R基であり、ここでRは、水素原子、アルキル基、アリール、ヘテロシクリル、ベンジル又はヘテロシクリルメチル基であり、
−CO−Y−R4基であり、ここでYは、−O−、−S−、−NH−、−Nalk−から選択されるヘテロ原子であり、ここでalkは、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、そしてR4は、アルキル、アリール、アラルキル又はヘテロシクリルアルキル基から選択され、そしてそれは1個以上のハロゲン原子、又はヒドロキシ、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基、アルコキシ、アルキルチオ、アシルアミノアルキルチオ、アルコキシカルボニル又はアシルアミノ、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基、又はオキソによって置換され得、又はR5COO−基によって置換され得、ここでR5は、ベンジルオキシカルボニルアミノ、アシルアミノによって、若しくはアミノ酸残基によって場合によって置換されるアルキル基であり、又はヘテロシクリル基を表し、或いは、
2は2〜4個の炭素原子を含む、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノによって置換されたアルキル基であり、前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5又は6員環のヘテロ環を形成し得、ここで前記ヘテロ環は、場合により酸素若しくは窒素から選択される別のヘテロ原子を含み、又はアルキルカルバモイルオキシ、アルコキシカルボニルアミノ、ウレイド若しくはアルキルウレイドによって置換され、前記置換されたアルキル基は、直鎖又は分岐鎖であり、そして少なくとも2個の炭素原子を、R2を生じる窒素原子と前記置換基との間に含むものと理解され;
3は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖アルキル基である]
で表される2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体のR若しくはS体、又はそれらの混合物、及び存在する場合にはそれらの医薬として許容される塩。
【請求項2】
1及びR3が請求項1で定義された通りであり、そして−NR12におけるR2が、−CO−O−R4基であり、ここでR4が以下の構造:
【化2】

[式中、
−alkは、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、そしてR5は請求項1で定義された通りである]
を有する、一般式(I)に相当する、式(Ia)に相当することを特徴とする、或いは、R3が請求項1で定義された通りであり、そして−NR12中におけるR1が水素原子であり、そしてR2が請求項1で定義された−CO−R基である、一般式(I)に相当する、式(Ia’)に相当することを特徴とする、請求項1に記載の2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体。
【請求項3】
1が水素原子、好ましくはメチル基である1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、又は2−メトキシエチル基であり、そしてR2及びR3は請求項2で定義された通りである、一般式(Ia)に相当することを特徴とする、請求項2に記載の2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体。
【請求項4】
1及びR3が請求項1で定義された通りであり、そして-NR12におけるR2が、請求項1において、R2として定義された通りの置換されたアルキル基である、一般式(I)の式(Ib)に相当することを特徴とする、請求項1に記載の2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体。
【請求項5】
一般式:
【化3】

[式中、Zは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は反応性エステルの残基である]
で表される誘導体を、一般式:
【化4】

[式中、R1及びR3は先に定義された通りであり、そしてR’2は水素原子であり、又はR2として請求項1で定義されている]
で表される2−アミノ−2−フェニル−アルカノール誘導体と反応させ、その後、適切な場合には、一般式:
【化5】

[式中、R1、及びR’2、及びR3は上で定義された通りである]
で表される、得られた2−アミノ−2−フェニル−アルカノールエステル誘導体のアミンの置換を以下のいずれかで行い、
・R’2がHであるとき、R2が−CO−Rである誘導体を得ることが所望であるならば、一般式:
【化6】

[式中、Rは請求項1に定義された通りである]
で表される酸の反応性誘導体と作用させることによって行い、
・或いは、R’2がHであるとき、R2が−CO−Y−R4であって、YがO、S、NH、又はNakである誘導体を得ることが所望であるならば以下のいずれかで行い、
−ホスゲンを作用させ、その後、一般式:
【化7】

[式中、
4は、場合により置換されたアルキル基であり、そして適切な場合には、反応によって変化し得る官能基は先立って保護されており、又はアリール、アラルキル、若しくはヘテロシクリルアルキル基であり、そしてYは、酸素若しくは硫黄原子、又はNH若しくはNalk基である]
で表されるアルコール、チオール、又はアミンとその後反応させることによって行い、
−又は、一般式:
【化8】

[式中、
4は、請求項1において定義された通りであり、好ましくは分岐したアリール、又はアルキルであり、Yは酸素又は硫黄原子であり、そしてHalはハロゲン原子、好ましくは塩素である]
で表されるハロゲン化物と反応させることによって行い、
−又は、−C(alk)−O−CO−R5置換を生じるR4基であって、ここでalkは請求項2で定義された通りであり、そしてR5は請求項1で定義された通りである、前記R4基を得ることが所望であるとき、クロロアルキルクロロホルメートを作用させ、得られた製造物を、その後対応する酸であるR5COOHのアルカリ金属塩、或いは代わりに前記酸の銀塩、又は四級アンモニウム塩と反応させることによって行い、
・或いは、R’2がHであるとき、そしてR2が置換されたアルキルである誘導体を得ることが所望である場合、又は、R1が水素原子であり、そしてR’2がR2として定義されたものである一般式(IV)の誘導体が得られたとき、R1が場合により置換されたアルキルである一般式(I)の製造物を得ることが所望である場合、以下の構造:
【化9】

[式中、R1又はR2は上で定義されたものであり、そしてZはハロゲン原子、又は反応性エステルの残基である]
で表される酸ハロゲン化物又は反応性エステルとアシル化し、その後アミドをアミンへ還元することによって行い、
・或いは同様に、R1が水素原子であり、そしてR’2がR2として定義されたものである一般式(IV)の誘導体が得られたとき、R1がアルキルである一般式(I)の製造物を得ることが所望である場合、式:
【化10】

[式中、R1はアルキル基であり、そしてXはハロゲン原子、又はスルホニック基である]
で表されるハロゲン化誘導体を、塩基の存在下で反応させることによって行い、
その後場合により、得られた製造物を医薬として許容される塩へと、存在する場合には、変換することを特徴とする、請求項1に記載された誘導体の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載された少なくとも一つの製造物を、純品の状態で、又は一つ以上の、適合性があり、かつ薬学的に許容される希釈剤又は助剤と組み合わせて含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2011−510961(P2011−510961A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544757(P2010−544757)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000106
【国際公開番号】WO2009/112703
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(510207508)
【出願人】(510207519)
【Fターム(参考)】