説明

2次元上を動く物体の経路の検出装置および検出方法

本発明は、平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く生物または物体の反復動作による経路の2次元での再構築方法であって、下記ステップを含む。
−前記生物または物体に結合されまたは配置された2軸または3軸の磁気計の少なくとも2軸における地磁気フィールドの少なくとも2つの変化投影成分の計測と、
−前記磁気計の少なくとも一つの軸に沿った少なくとも一つの前記変化成分の計測に対応する信号の周期または周波数の計測と、
−前記磁気計の少なくとも二つの軸に沿った少なくとも二つのフィールドの計測からの動作の方位、または方向の計測と、
−一方では周期または周波数の、他方では方位または方向の計測からの前記経路の再構築。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ、医学または工業動作に適用される物体との通信と磁気計測学の分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、周期的(または擬似周期的)な人の歩行動作の計測に関する。本発明は、この動作の方位および歩調、または周期のコンジョイント計測を可能にする。
【0003】
より一般的には、本発明は、平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く歩行者または物体の反復運動に適用する。
【背景技術】
【0004】
現在、多数の物体が、ある環境との通信機能を実行する電子部品の挿入により、「知的」になってきている。例えば、スポーツの分野では、装備されたシューズは、例えば規則的な間隔の、または脚がある動作(ステップ、ランニング、またはジャンプ)を行う際の、LED照明など、非常に簡単な機能を実行する。
【0005】
健康分野では、我々の特徴的なデスクワーク生活は、ウォーキングへの関心を増している。多数の人々が、運動を評価するために、日常的に歩数計を使用している。この装置は、一日にまたは所与の時間間隔で移動した距離を測定し、装着者の身体活動のレベルを得る。
【0006】
歩数計で用いられるシステムの大部分は、加速度計で構成されている。これらのセンサーは、ウォーキング動作により、周期的な加速度信号を出力する。程度の差はあるが、洗練された処理操作は、ステップを検出してカウントし(従って、ステップ長の事前校正により移動距離を導き)またはリアルタイムでステップ長を見積もることができる。
【0007】
特許文献1では、脚に垂直に配置された加速度計の信号が用いられ、閾値処理および/または周波数解析型の処理操作により、移動距離が計測される。コンパスまたはGPSと一体化したこの装置は、ウォーキングに基づくナビゲーションシステムを形成する。
【0008】
加速度の計測は、重力フィールドおよび動作速度に関する量である。従って、他の処理操作は、程度の差はあるが、特に動作に対する加速度を分離しようとし、(2重積分により生じるドリフトの危険性を伴って)距離を得るために信号を積分する。
【0009】
動作速度と、動作中にセンサーが受ける全振動に対して非常に敏感である場合、加速度信号の動向は、ウォーキングの方向に左右されない。従って、システムは、歩行者による方位に対して本質的にロバストである。他方、方位は、本タイプの計測では、入手できない。
【0010】
他方、磁気測定は、センサーの検出軸上における地磁気フィールドの投影に対応する。従って、環境磁気フィールドにおけるセンサーによるパスに関連する。ウォーキングまたはランニング動作に対して、周期的信号の動向は、動作速度または地面の堅さに左右されず、センサーの方位により変化する。これにより、磁気測定は、通常、地磁気フィールドから方位を計測するために用いられ、ステップ数または移動距離を計測するためには用いられない。
【0011】
幾つかの発明、特に、特許文献2に記述された発明が、ウォーキングの方向を決定するために、多くの場合全地球即位システム(GPS型の)を伴った磁気計を用いている。
【0012】
他の研究は、移動距離を導くための磁気計測の利用について言及しているが、これらのシステムは、信号のばらつきを制限するために、第一の靴に配置された補助磁気源と、第二の靴に配置された磁気センサーを全て含んでいる。例えば特許文献3に記述されるように、ステップ数、歩幅長、および移動距離を見積もるために用いられる処理操作は、程度の差はあるものの複合的(閾値、校正)である。
【0013】
ステップ数(例えばステップ長の事前校正による、移動距離に対する)および方位の双方を提供するために、先行発明は、2つのタイプの計測(加速度計および磁気計)を必要とする。
【0014】
要約すると、加速度計による距離計測方法が知られている。
【0015】
動作特性(距離、速度等)を得るための、物体に埋め込まれる必要のある磁気源を備えた、移動物体における侵襲的磁気システムの利用も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの公知技術により得られる計測結果は、2タイプの計測結果である距離および方位を得るための2タイプのセンサーを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による方法は、平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く生物または物体の反復動作による経路の2次元での再構築または投影の実行を可能とする。
【0018】
本手法は、以下のステップを含む。
−前記生物または物体に結合されまたは配置された2軸または3軸の磁気計の少なくとも2軸における地磁気フィールドの少なくとも2つの投影成分の計測、これらの成分の少なくとも一つは変化し、場合によっては双方が変化する。
−前記磁気計の少なくとも一つの軸に沿って変化する少なくとも一つの前記成分の計測からの前記反復動作の発生の検出、または、前記磁気計の少なくとも一つの軸に沿って変化する少なくとも一つの前記成分の計測に応じた信号の周期、または周波数の計測。
−前記磁気計の少なくとも二つの軸に沿った少なくとも二つのフィールドの計測からの前記動作の方位、または方向の計測。
−検出された前記発生と前記方位または方向の計測からの、または、一方では周期または周波数、他方では方位または方向の計測からの、前記経路の再構築。
【0019】
反復運動の「発生」という表現は、以降、反復がこの動作を構成する周期的または擬似周期的動作の初期フェーズを意味する。
【0020】
本方法を実行するために、最低2軸の磁気計により提供される信号が用いられる。歩行者または動物または移動物体は、一方では周波数または周期情報、または動作の発生に関する情報、または距離、および他方では方位を得るために、例えば2軸または3軸の磁気フィールドセンサーが取り付けられる。
【0021】
本発明は、特に加速度計に基づく歩数計、または加速度計を用いない。
【0022】
観察動作の歩調の情報を含む、上述した意味の動作の発生、または動作の周期または周波数の検出は、必要であれば、平面または2次元空間の一つ以上の方向における移動距離を見出すことを可能とする。
【0023】
本発明は、2タイプの計測結果である距離および方位の獲得の問題を、加速度計または加速度計に基づく歩数計等の手段からの情報を利用することなく、少なくとも動作((T)の発生または歩調を決定する、2つ(または3つ)のセンサーまたは磁気軸を用いる簡単な方法で解決する。歩調データから、周期の数を抽出することができる。
【0024】
地磁気フィールドの直接の利用は、動作の方位を与える。従って、同じ磁気計が、方位を検出するために用いられてもよい。
【0025】
適応処理は、歩調を決定するために、磁気信号の変化を排除することができる。
【0026】
処理ユニットは、センサーにより供給された信号を処理することができる。センサーおよび関連する電子部品は、微細化技術に関連する大きさの低減の恩恵を受けることができる。このように、本発明によるシステムは、2つの機能性:動作の発生または歩調の計測および磁北に対する方位の計測を提供するために、移動物体に関連し得る。
【0027】
例えば、本発明によるシステムは、ウォーキング(またはランニング)の方位および歩調を提供するために、運動靴のヒールに挿入することができる。
【0028】
本発明によるシステムは、電波または他のリンクにより、情報(そのまままたは前処理計測結果)を表示ユニットに通信することができる。
【0029】
本発明は、平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く生物または物体の反復動作による経路の2次元での再構築または投影装置に関する。この装置は、
−前記生物または物体に結合されまたは配置され、少なくとも2軸における地磁気フィールドの少なくとも2つの投影成分〜それらの少なくとも一方、場合により双方が変化する〜を計測するための2軸または3軸の磁気計。
−前記磁気計の少なくとも一つの軸に沿って変化する少なくとも一つの前記成分の計測からの前記反復動作の発生の検出手段、または、前記磁気計の少なくとも一つの軸に沿った少なくとも一つの前記変化成分に対応する信号の周期または周波数の計測手段。
−前記磁気計の少なくとも二つの軸に沿った少なくとも二つのフィールドの計測からの前記動作の方位、または方向の計測手段。
−一方では周期または周波数データ、他方では方位または方向データからの、または、検出された前記発生と前記方位または方向計測からの、前記経路の再構築手段。
【0030】
本発明は、幾つかの利点を有する。
−本発明による計測システムは、例えば2軸の磁気計を利用するため、(加速度計やGPS等の他のタイプのセンサーに比べて)簡単でエネルギーを節約する。
−本発明による歩調の計測システムは、事前校正を必要としない。
−本システムは、環境磁気フィールドを用い、人工的な磁気源を必要とせず、さらに、小型電波送信機に結合され、小型でどのような物体にも取り付けられるため、実行が容易である。
【0031】
本発明による装置は、例えば電波タイプ等の、磁気計から処理および/または表示ユニットへのデータ通信手段も含んでもよい。
【0032】
装置は、磁気計データの処理手段を含んでもよい。
【0033】
本発明のアプリケーションの例は、上述した装置を含む靴である。
【0034】
本発明は、以下を含む、場所情報および/または位置情報システムに関する。
−平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く生物または物体の反復動作による経路の2次元での再構築または投影のための上述した本発明の装置。
−衛星または固定地上局への参照による、位置情報装置。
−衛星によるまたは固定地上局への参照による位置情報装置に機能障害がある場合に、本発明による計測装置が動作を続けまたは動作するようにプログラムされたシステム。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】靴でのテスト中の本発明による装置の使用を示す。
【図2】本発明による装置の利用中の計算および表示ユニットを示す。
【図3】ウォーキング中の磁気フィールドの3つの成分の動向を示す。
【図4】磁気信号の自己相関による、歩行者の多数のステップにわたるウォーキング歩調の見積もりを示す。
【図5A】本発明により行われた計測結果から再構築された2つの経路を示す。
【図5B】本発明により行われた計測結果から再構築された2つの経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
まず第一に、本発明を、図1に関する靴、ここでは、スポーツホールで使用されるタイプのマシンで運動中の人の靴への適用に照らして説明する。
【0037】
第一に、磁気センサー2(例えばフラックスゲートまたはGMR型)は、検出軸上の地磁気フィールドの投影を計測する。歩行者に装着された物体4に固定されているため、センサーはこの物体の周期的運動を追随する。手段6は、センサーのデータの取得を可能にし、場合によっては、例えば無線リンクにより、処理および記憶手段8への送信を可能とする。
【0038】
図2に、そのような処理手段8を示す。それは、受信データの計算の実行と、前記データおよび計算結果の記憶とを可能とする中央ユニット80を含んでいる。ディスプレイユニット82は、例えば図3におけるグラフのようなグラフ形態の受信データ、または、例として図2に示される、例えば欄820および822等の計算データのようなデータを表示する。これらの2つの欄に含まれるデータは、靴に対するアプリケーションに照らして、それぞれ、方位データおよびウォーキングの歩調または使用者の動きのデータに相当する。
【0039】
データ処理は、携帯型計算処理ユニットタイプ、またはDSP等によっても実行可能である。
【0040】
変形例として、少なくとも一つの処理操作または処理は、図1に示すユーザーにより運ばれる手段6により実行されてもよい。この場合、ユニット80は、少なくとも幾つかの処理操作から解放される。
【0041】
後述するように、本発明による方法および装置は、大まかに言えば、物体または歩行者または動物の動作の方位または方向の計測を可能とする。従って、大まかに言えば、本発明による装置は、方位、または方位データ、および歩調データおよび場合によっては速度および/または移動距離を得るためのデータ処理を行う手段、電子回路またはコンピュータを有している。このような装置は、例えば歩行者が特定の場所において正確な位置への道を見つけるのを支援するための表示手段をも備え得る。これは、地図作成手段と組み合わせてもよい。
【0042】
手段2により計測されるフィールドは、周期的(または低速な可変歩調での擬似周期的)パターンまたは少なくとも一つの可変成分を有する。このパターンまたは可変成分は、動作センサーにより検知される地上場の投影における変化に相当する(図3参照)。それは、寄生電磁環境に左右されるノイズレベルの影響を受ける。
【0043】
この計測により、動作の歩調およびセンサーの方位が抽出できる。例えば移動距離データ等の他のデータは、これらの歩調および/または方位データから算出または予測できる。
【0044】
手段6による送信後に受信したデータの受信および処理の周波数解析技術は、手段80(図2)により、または場合によっては手段6により実行され得る。
【0045】
本発明による装置および方法は、歩数計または加速度計タイプのセンサー等の補助的な装置を必要としない。加速度計により実行される歩数計は、例えば閾値処理により検出されるパルスのカウントによりステップの数を計測する。この原理の磁気計への適用は、方位により信号の大きさが変化するため、原理的に困難である。
【0046】
従って、例えば、周期的信号から歩調を決定することが可能な周波数解析技術等、この変動性を要しない技術を使うことができる(例えば特許文献1に開示されるようなFFTによる、または適応フィルタによる、またはウェーブレットによる処理)。
【0047】
信号は、連続的にモデルと比較される。このモデルは、例えば数学的に構築され、または前の瞬間に信号自体により形成される。
【0048】
スライディング・ウインドウ自己相関に基づく処理によるウォーキングへの本発明の適用例は、図4に示す結果を提供する。この処理の原理は、自己相関は信号の周期パターンの速度によらず同じ歩調で最大となる、という周期的信号の自己相関の特性に基づく。
【0049】
周期を決定するために、相関関数の第一の最大値に対応する非ゼロの瞬間が計測される。より詳細には、少なくとも4つの周期を含む信号長Lが選択され、その自己相関が算出される。第一の最大値に対応する時間が、ウィンドウ処理および閾値処理により探索される。これが、第一の歩調の評価値を提供する。この評価値が、新しい長さL’の決定に用いられ、L’は歩調の4倍より大きくなるように算出される。続いて、上述した算出方法が適用される。従って、この歩調の評価方法は、繰り返される。周期の最終見積もりは、次の算出に役立つ信号長の決定に用いられる。この技術は、ウォーキングの動向を排除する。
【0050】
歩幅数、すなわち、経過時間による動作の周期性を、図4に示す。遅いウォーキングリズムと共存する速いウォーキングリズムは、明確に識別される。
【0051】
自己相関処理は、図2に示す手段80のような手段、または可搬型手段6(図1)によっても実行することができる。自己相関は、信号形状の数学モデルを用いない。観察ウィンドウが十分長い場合、信号の周期特性は、方位に関する動向における変化を特色付け、自己相関は、方位に無関係に、良好な歩調の評価を提供する。
【0052】
十分長い観察ウィンドウで用いられることにより、本発明は、方位に関する信号の動向における変化を排除することが可能である。
【0053】
センサーの方位に関しては、方位は、磁気フィールドの水平要素と地理的北との間の角度である。この角度は、例えば閾値処理による、3軸センサーの3つのフィールド計測、または2軸センサーの2つのフィールド計測から決定できる。歩行者の場合、このセンサーは、脚に平行に配置されるのが好ましい。例えば閾値処理により、脚の水平位置に応じた時間範囲を設置することができる。例えば、図3の信号BxおよびByの閾値処理により、この範囲は、2つの信号の最も穏やかな傾斜を備えた範囲に対応する。
【0054】
一方では方位または方向と、他方では歩調またはリズムのデータの統合が実行され得る。歩調またはリズム情報(所与の距離の移動に対する発生動作数)から、単一発生動作に対する距離を決定することができる。続いて、距離および方位情報が、例えば各瞬間で、2Dで選択された2方向のそれぞれに対して、現在の方向での移動距離を評価するために統合される。図5Aおよび5Bに、2つの移動タイプである、2回反復された矩形の第一移動(図5A)および2回反復された円形の第二移動(図5B)に対して得られた結果を示す。これらの図それぞれにおいて、再構築経路が、x軸が西―東方向であり、y軸が南―北方向である参照フレームに示されている。
【0055】
さらに、本発明は、物体が動く平面または表面の2方向に沿って成分が配置される、物体の経路の視覚表現を提供することができる。
【0056】
本発明に記述する基本システムは、図2の手段80により、または可搬型手段6により実行できる補足的機能を提供するために、拡張することができる。
【0057】
例えば、「カウンター」機能が実行できる。歩調Tの決定は、周期的動作の発生数Nのカウントを可能とする。ウォーキングの場合、周期毎のステップがカウントされる。
【0058】
「歩数計」機能は、使用者の校正後に、発生動作数Nの情報から実行でき、詳細な動作特性を決定する。ランニングの場合、移動距離Dは、校正された歩幅長Lから提供される。
D=N×L
【0059】
歩幅長Lは、使用者により入力される、または、装置の校正フェーズの間に算出されるパラメータである(事前に決定された距離にわたって行われる標準的ウォーキング)。
【0060】
校正後の歩幅長の評価が十分でないと、各ステップでの距離にエラーが生じる。実位置と本発明により見積もられた位置との間の時間で増加するバイアスとなるドリフトを管理する必要があり得る。装置の改善の一方策は、通常以下のようなデータによりそれをリセットまたは再度位置調整することである。
―位置情報装置が動作可能である場合、例えばGPSによる、位置情報データ、
―地球基準データベースにより提供され、本発明による装置に対して情報を提供可能な位置データ。例えば、動作が建物内でなされ、見積もり経路がこの場所である場合、人の経路を、壁の貫通からドアの中央にリセットすることが可能である。
【0061】
多数の計測軸が用いられ、磁気源(双極または非双極)が移動物体の近くに付加される場合、磁気反転計測の公知技術により、この磁気源に対する物体の経路(またはその逆)の見積もり(位置および/または標高)がなされる(例えば非特許文献1に記載の最適化、カルマンフィルター)。例えば、一方の脚に磁気センサー(上述した文献に記載される計測技術を用いる、磁気勾配センサー)を、他方の脚に磁石を取り付けることにより、これらの反転技術により、他方に対する一方の脚の経路を見積もることが可能となり、従って、リアルタイムで歩幅長を決定することができる。このアプローチは、前述したステップ長の校正よりも、より詳細である。
【0062】
上述した本発明による方法および装置は、磁気フィールドの変化成分を計測後、動作の周期または周波数の計測を利用する。
【0063】
上記と同じ磁気フィールドデータから、より簡単に、閾値処理(単一、またはよりロバストであるためにヒステリシスタイプ)を磁気フィールドの変化成分の計測から得られる信号に適用することができる。そして、周期的または擬似周期的発生動作それぞれ、またはこの動作の初期フェーズそれぞれの識別が、信号がある閾値を超えると直ちになされる。従って、初期動作数のカウントが可能である。初期動作に対する距離を知ることで、総移動距離が算出される。信号は、その変動性から(少なくとも部分的に)解放されるように、例えばスライディング・ウインドウでの信号の標準化により(このウインドウにおいて、信号の最小値が0に、最大値が1とされる)、前処理されてもよい。このような処理は、必ずしもロバストではないが、正しい結果を与える。さらに、本実施形態では、方位計測は、前述したものと同一である。例えば、図5Aおよび5Bに示すように、経路を再構築することもできる。そして、距離および方位情報は、例えば各瞬間で、2Dで選択された2方向のそれぞれに対して、現在の方向での移動距離を見積もるために統合される。本発明は、物体が動く平面または表面の2方向に沿って成分が示される物体の経路の視覚表現を提供することができる。
【0064】
どのような実施形態であっても、本発明による可搬型装置は、人または動物またはウォーキングロボットでさえも運搬可能である。装置は、人または動物またはロボットに固定される。装置は、装着者の地面の経路を再構築し、必要であればこの経路を、例えば図5Aおよび5Bにおけるグラフ形態で、表示スクリーンに表示することができる。計測原理は、装着者が地面を滑るより「擦れた」(通常の)進行をなす場合に、よりよく機能する。本発明による方法および装置は、ウォーキング、脚によるランニング、小走りおよび疾走の動作を処理することができる。
【0065】
本発明による装置は、例えばGPSタイプの場所情報または位置情報装置と関連することができる。変形例では、固定地上局への参照による位置検出用の、UWB電波位置情報またはUWB電波場所情報タイプの装置であってもよい。衛星のロスト、または建物内、森林内、高い建物の間で取り囲まれた街路上の状況のような条件により、後者が使用できない場合、本発明の装置は、一方では方位または方向の、他方では歩調またはリズムまたは速度の情報を、使用者に提供する。システムは、場所情報または位置情報装置の機能障害がある場合に、本発明の装置が動作を続け、または動作するように、全体としてプログラムされ得る。
【0066】
本発明による装置は、例えば上述した位置情報システムと結合して、地図作成ソフトウェアに関連することもできる。
【0067】
このような装置は、歩行者が特定の場所で詳細な地点への道を見つけるのに便利である。
【0068】
利用の一例は、以下の通りである。
【0069】
使用者は、本発明による装置と、GPSタイプの位置情報装置とからなるシステムを有している。
【0070】
この使用者は、非接触データ伝送手段(例えばBluetoothタイプ)を備えた無線電話を有している。
【0071】
使用者は、大きな屋内ショッピングセンターで、モールへのアクセスとこのモールの地図のための情報端末へ接近する。
【0072】
自動的に、地図は、使用者の無線電話でベクトル形態(例えばsvg形態)に移され、使用者は、端末が存在する位置に配置された赤点(「あなたはここです!」を意味する)とともにスクリーンに表示されたこの地図を見る。
【0073】
ストアでは衛星が見えないため、GPSタイプの位置情報手段は、動作不能である。
【0074】
携帯電話は(衛星を見ずに)、磁気計により、自動的に「相対」位置検出モードに切り替わる。
【0075】
使用者は、モールの他方の側の要求場所、例えば靴屋へ行こうとする。使用者は、地図でその場所を指し示す。アプリケーションは、北に対する、取るべきグローバルな方位を知る。歩行者は、自身の位置と実方向の目標とを調整する。
【0076】
使用者が行うべきことは、要求場所に到着するまで、各瞬間の彼の位置を示す点を動かすように前に進むことである。
【0077】
本発明は、歩行者の動作に照らして説明してきたが、動物の動作にも適用される。生き物、人および動物の動作は、実質上、水平面上または2次元空間上で生じる。本発明は、平面または表面上の、または平面または表面に沿った、物体の動作の特性解析にも適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】US 5 583 776
【特許文献2】US 6 132 391
【特許文献3】WO 2005/034751
【非特許文献】
【0079】
【非特許文献1】≪Inversion of the magnetic field gradient equations for a magnetic dipole field≫NCSL Informal report 135-72, 1972

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く生物または物体の反復動作による経路の2次元での再構築方法であって、
−前記生物または物体に結合されまたは配置された2軸または3軸の磁気計の少なくとも2軸における地磁気フィールドの少なくとも2つの投影成分の計測と、
−前記磁気計の少なくとも一つの軸に沿って変化する少なくとも一つの前記成分の計測からの前記反復動作の発生の検出と、
−前記磁気計の少なくとも二つの軸に沿った少なくとも二つのフィールドの計測からの前記動作の方位、または方向の計測と、
−検出された前記発生と前記方位または方向計測からの前記経路の再構築と、
を含む方法。
【請求項2】
前記経路が、検出された前記発生、発生毎の移動距離、および方位または方向計測から再構築される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変化成分の計測に応じた信号の周期、または周波数の検出を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記反復動作の前記発生数が、前記周期(T)により決定される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記地磁気フィールドの投影の計測が連続して行われる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記地磁気フィールドの投影の計測の処理を含み、この処理が、計測信号と、数学モデルまたは前の瞬間に計測された信号との比較ステップを含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記比較が、自己相関、またはFFT、または適応フィルタ、またはウェ−ブレットにより行われる、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記周期の最終見積もり値を、続く計算に便利な信号長の決定に用いる、繰り返し評価法が用いられる、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
磁気源が、前記生物または移動物体の近くに配置され、前記方法が、位置および/または姿勢に関し、この源に対する相対経路の見積もりを含む、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記相対経路の見積もりは、最適化、またはカルマンフィルターによる磁気反転計測を用いる、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
位置データにより、装置がリセットまたは再度位置調整される、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く生物または物体の反復動作による経路の2次元での再構築装置であって、
−前記生物または物体に結合されまたは配置され、少なくとも2軸における地磁気フィールドの少なくとも2つの投影成分を計測するための2軸または3軸の磁気計(2)と、
−前記磁気計の少なくとも一つの軸に沿って変化する少なくとも一つの前記成分の計測からの前記反復動作の発生の検出手段と、
−前記磁気計の少なくとも二つの軸に沿った少なくとも二つのフィールドの計測からの前記動作の方位、または方向の計測手段と、
−検出された前記発生と前記方位または方向計測からの前記経路の再構築手段と、
を含むこと、
を特徴とする装置。
【請求項13】
前記反復動作の前記発生検出手段が、前記変化成分に応じた信号の周期、または周波数の計測手段を含む、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記磁気計から処理および/または表示ユニットまでのデータ伝達手段(6)を含む、
請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記磁気計から前記再処理および/または表示ユニットまでのデータの無線伝達手段(6)を含む、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記磁気計データを処理する手段(6)を含む、
請求項12〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項の装置を含む靴。
【請求項18】
−平面または2次元表面において、または平面または2次元表面に沿って動く生物または物体の反復運動の前記周期、または周波数、および、前記方位、または方向を計測する請求項12〜17のいずれか1項に記載の装置と、
−衛星によるまたは固定地上局への参照による、例えばUWB電波位置情報またはUWB電波場所情報タイプの位置情報装置と、
−衛星位置情報装置に機能障害がある場合に、本発明による計測装置が動作を続けまたは動作するようにプログラムされたシステムと、
を含む場所情報および位置情報システム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−519525(P2010−519525A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550280(P2009−550280)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052004
【国際公開番号】WO2008/101925
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】