説明

3−(4−置換アルキル−フェニル)−2−フランカルボン酸誘導体およびその薬学的に許容される塩

【課題】グルカゴン受容体に拮抗作用を有する新規な3−(4−置換アルキル−フェニル)−2−フランカルボン酸誘導体およびその薬学的に許容される塩の提供。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。[式中、環Aは、フェニレン等;Rは、(置換)C6−10アリール基等;RおよびRは、水素原子またはC1−4アルキル基;Rは、水素原子、ハロゲン原子等;RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子等;Xは、NR等であり;Rは、水素原子等;Rは、シアノ基またはニトロ基;nは、1等である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルカゴン受容体に拮抗作用を有する新規な3−(4−置換アルキル−フェニル)−2−フランカルボン酸誘導体およびその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病が2つのホルモンの異常に起因する疾患、すなわち絶対的あるいは相対的インスリン欠乏と相対的グルカゴン過剰からなる、ということは広く信じられている。インスリン欠乏は糖利用の障害をきたし、グルカゴン過剰は糖の過剰産生を起こす。どちらの状況も糖尿病患者の高血糖状態に寄与する。
したがって、グルカゴン作用の阻害は糖尿病患者の血糖値を下げるのに合理的な方法である。理論上は、グルカゴン作用の抑制は、血中グルカゴン濃度を低下させるか、肝臓でのグルカゴン作用に拮抗させることによって行うことができる。前者は、α細胞からのグルカゴン産生や分泌を抑制するか、循環血中のグルカゴンを中和することによって達成できる。後者は、有効なグルカゴン受容体拮抗薬の投与によって達成できる(非特許文献1)。これまでに、低分子のグルカゴン受容体拮抗薬が種々提案され、動物糖尿病モデルで血糖値を減少させることが報告されている 。しかし、臨床上使用されている化合物は現在までのところ存在せず、薬効面や安全性面の観点からより優れた化合物の開発が期待されている。グルカゴン受容体拮抗薬としては、例えば、下記化合物(BAY 27−9955:非特許文献2;NMC 25−0926:非特許文献3)などが報告されているが、これらは、いずれも2−フランカルボン酸ヒドラジド構造を有しておらず、本発明の化合物とは構造が異なる。
【0003】
【化1】

【0004】
一方、2−フランカルボン酸ヒドラジド構造を有する化合物としては、下記化合物が挙げられる(特許文献1)。
【0005】
【化2】

【0006】
〔式中、Aは、下記式(a)で表される基
【0007】
【化3】

【0008】
〔式中、R及びRの一方は、シアノ基、ニトロ基等を意味し、
及びRの他方は、水素原子又はハロゲン原子を意味する。〕等を意味し、
及びRの一方は、基:−D−(X)m−R、アリール基等を意味し、
及びRの他方は、基:−E−(Y)n−R、水素原子、アリール基等を意味し、
は、水素原子、ハロゲン原子等を意味し、
D及びEは、同一又は異なって、アリレン(arylene)基を意味し、
X及びYは、同一又は異なって、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−OSO−、−NR−、−CO−、−CH=CH−、−C≡C−、−CONH−、−NHCO−、−NHCOO−、−OCHCONH−又は−OCHCO−を意味し、
及びRは、同一又は異なって、C1−10アルキル基、アリールC1−4アルキル基、ヘテロアリールC1−4アルキル基等を意味するが、アリールC1−4アルキル基又はヘテロアリールC1−4アルキル基におけるアルキル部分は、ヒドロキシで置換されていてもよく、
は、水素原子又はC1−10アルキルカルボニル基を意味し、
m及びnは、それぞれ独立して0又は1を意味する。
但し、上記アリール基、アリール部分、ヘテロアリール基、ヘテロアリール部分及びアリレン(arylene)基は、ハロゲン、ヒドロキシ等から選択される1〜4個の原子又は基で置換されていてもよい。〕
【0009】
特許文献1には、多数の化合物が具体的に開示されている。しかし、3−フェニル−2−フランカルボン酸ヒドラジド誘導体において、フラン環の3位に4−アルキルフェニル基を有する化合物は、下記6化合物しか開示されていない。
【0010】
【化4】

【0011】
これらの化合物(化合物A〜F)は、いずれも4−アルキルフェニル基を部分構造とする化合物であるものの、該アルキルはいずれも非置換である。従って、かかる4−アルキルフェニル基のアルキルにアニリノ基又はアリールオキシ基で置換された化合物は、具体的に開示されていない。一方、特許文献1に開示された2−フランカルボン酸ヒドラジド誘導体のグルカゴン受容体拮抗作用は決して満足できるものではなく、より強力な拮抗作用を有する化合物の創製が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】:国際公開第03/064404号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】:Joslin's Diabetes Mellitus, 14th edition, Joslin Diabetes Center, 2005, 179-193
【非特許文献2】:Diabetlogia, 2001, 44, 2018-2024
【非特許文献3】:Diabetlogia, 2007, 50, 21453-1462
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
すなわち、既存のグルカゴン受容体拮抗作用を有する化合物よりも、強力な拮抗作用を有する化合物を見出すこと及びかかるグルカゴン受容体拮抗作用に基づく優れた糖尿病治療薬を見出すことが本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、2−フランカルボン酸ヒドラジド誘導体の周辺化合物について鋭意研究した結果、驚くべきことに3−(4−置換アルキル−フェニル)−2−フランカルボン酸誘導体が従来技術を顕著に超えるグルカゴン受容体拮抗作用を有することを見出した。本発明は、以下の通りである。
【0016】
項1:式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0017】
【化5】

【0018】
[式中、環Aは、C3−8シクロアルキレン、フェニレン、または下記
【0019】
【化6】

からなる群から選択される1のヘテロアリーレンであり;
は、置換されていてもよいC6−10アリール基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基、または置換されていてもよいへテロ環基であり;
およびRは、同一または異なって、水素原子、またはC1−4アルキル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−4アルキル基であり;
およびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、置換されていてもよいC3−8シクロアルコキシ基、置換されていてもよいC1−4アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC3−6シクロアルキルカルボニル基、置換されていてもよいC1−4アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいC6−10アリール基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基、置換されていてもよいC6−10アリールカルボニル基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールカルボニル基、置換されていてもよいC7−14アラルキル基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールC1−4アルキル基、または置換されていてもよいヘテロ環基であり;
Xは、酸素原子、硫黄原子、またはNRであり;
は、水素原子、またはC1−4アルキル基であり;
は、シアノ基、またはニトロ基であり;
nは、1〜4の整数である。]
【0020】
項2:環Aが、下記
【0021】
【化7】

で表される群から選択される1の基である項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0022】
項3:環Aが、下記
【0023】
【化8】

で表される群から選択される1の基である項1または項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0024】
項4:環Aが、1,4−フェニレンである項1〜項3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0025】
項5:環Aが、2,5−ピリジレンである項1〜項3のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0026】
項6:Rが、C6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、
(e)カルボキシル基、および
(f)シアノ基からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、または5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、および
(e)カルボキシル基からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)である、項1〜項5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0027】
項7:Rが、C6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、および
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)からなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)である、項1〜項6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0028】
項8:RおよびRが、共に水素原子である、項1〜項7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0029】
項9:Rが、水素原子であり、Rが、C1−4アルキル基である、項1〜項7のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0030】
項10:Rが、メチル基である、項9に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0031】
項11:Rが、水素原子、またはハロゲン原子である、項1〜項10のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0032】
項12:Rが、水素原子である、項11に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0033】
項13:RおよびRが、共に水素原子である、項1〜項12のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0034】
項14:Xが、NRである、項1〜項13のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0035】
項15:Rが、水素原子である、項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0036】
項16:Rが、シアノ基である、項1〜項15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0037】
項17:Rが、ニトロ基である、項1〜項15のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0038】
項18:nが、1である、項1〜項17のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0039】
項19:下記化合物群から選択される項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩:
3−(4−{1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−[4−(1−{[4−(1,1,1−トリメチルメチル)フェニル]アミノ}エチル)フェニル]−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−エチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−プロピルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−[4−(1−{[4−(2−プロピル)フェニル]アミノ}エチル)フェニル]−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−フルオロニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−メチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−メトキシフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3,4−ジメチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−フルオロ−4−メチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−フルオロ−3−メチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3,5−ジフルオロメチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(2,3−ジフルオロメチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−クロロ−4−メチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−エトキシカルボニルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−エトキシカルボニルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3,4−ジフルオロメチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−クロロ−3−フルオロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−フルオロ−5−メチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3−シアノ−4−フルオロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−{4−[(1−フェニルエチル)アミノ]フェニル}−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−フルオロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3,4−ジクロロメチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(3,5−ジクロロメチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(2,4−ジクロロメチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−[4−(1−{[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]アミノ}エチル)フェニル]−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−{4−[1−(フェニルアミノ)プロピル]フェニル}−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−エチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(3−シアノ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{1−[(4−メチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(3−シアノ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{(1R)−1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{(1R)−1−[(4−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド)、
3−(4−{(1R)−1−[(3,5−ジフルオロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、
3−(4−{(1R)−1−[(4−エチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド、及び
3−(5−{1−[(4−フルオロフェニル)アミノ]エチル}ピリジン−2−イル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド。
【0040】
項20:式(II)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0041】
【化9】

【0042】
[式中、環Aは、下記
【0043】
【化10】

で表される群から選択される1の基であり;
12は、
1:C6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、
(e)カルボキシル基、および
(f)シアノ基からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、または
2:5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、および
(e)カルボキシル基からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)であり;
82は、シアノ基、またはニトロ基であり;
は、酸素原子、硫黄原子、またはNR72であり;
72は、水素原子、またはC1−4アルキル基である。]
【0044】
項21:環Aが、1,4−フェニレンである、項20に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0045】
項22:環Aが、2,5−ピリジレンである、項20に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0046】
項23:R12が、
1:C6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、および
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)である、項20〜項22のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0047】
項24:R82が、ニトロ基である、項20〜項23に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0048】
項25:Xが、NR72であり、R72が、水素原子である、項20〜項24のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0049】
項26:式(III)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0050】
【化11】

【0051】
[式中、R13は、
1:C6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、
(e)カルボキシル基、および
(f)シアノ基からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、または
2:5員〜10員のヘテロアリール基(該基は、
(a))C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)である。]
【0052】
項27:項1〜項26のいずれか一項に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0053】
項28:高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、高トリグリセライド血症、高リポ蛋白血症、高コレステロール血症、動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心血管障害、高血圧、心肥大、消化管障害、肥満、肥満による糖尿病、メタボリックシンドローム、及び糖尿病性合併症からなる群から選択される症状及び疾患の予防及び/又は治療に用いられる、項1〜項26のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【0054】
項29:項1〜項26のいずれか一項に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有する糖尿病治療剤。
【0055】
項30:活性成分として項1〜項26のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を患者に投与することを特徴とする、高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、高トリグリセライド血症、高リポ蛋白血症、高コレステロール血症、動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心血管障害、高血圧、心肥大、消化管障害、肥満、肥満による糖尿病、メタボリックシンドローム、及び糖尿病性合併症からなる群から選択される症状及び疾患の治療又は予防方法。
【発明の効果】
【0056】
式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩(本発明化合物と称する場合もある。)は、強いグルカゴン受容体拮抗作用を有し、グルカゴンが関与する症状及び疾患、例えば高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、高トリグリセライド血症、高リポ蛋白血症、高コレステロール血症、動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心血管障害、高血圧、心肥大、消化管障害、肥満、肥満による糖尿病、メタボリックシンドローム、糖尿病性合併症(白内障、網膜症、角膜症、神経障害、腎症、末梢循環障害、脳血管障害、虚血性心疾患、動脈硬化症等)等の症状及び疾患の予防及び/又は治療に適用することができる。加えて、毒性も低いので医薬品として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書において「置換基」の定義における炭素の数を、例えば、「C1−6」などと表記する場合もある。具体的には、「C1−6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキル基と同義である。
【0058】
本明細書において「基」なる用語は、1価基を意味する。例えば、「アルキル基」は、1価の飽和炭化水素基を意味する。また、本明細書における置換基の説明において、「基」なる用語を省略する場合もある。
「置換されていてもよい」または「置換されている」で定義される基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はなく、1または複数である。また、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。また、本明細書において、「置換されていてもよい」または「置換されている」なる用語を特に明示していない基については、「非置換」の基を意味する。例えば、「C1−6アルキル」とは、「非置換のC1−6アルキル」であることを意味する。
【0059】
「ハロゲン原子」は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等が挙げられる。
【0060】
「C1−6アルキル基」は、炭素数1〜6個を有する直鎖または分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C1−4アルキル基」が挙げられる。「C1−6アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。「C1−4アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等が挙げられる。
【0061】
「C2−6アルケニル基」は、炭素数2〜10個を有し、二重結合を1個含む直鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素基を意味する。具体的には、例えば、ビニル、プロペニル、メチルプロペニル、ブテニルまたはメチルブテニル等が挙げられる。
【0062】
「C2−6アルキニル基」は、炭素数2〜6個を有し、三重結合を1個含む直鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素基を意味する。例えば、具体的には、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、2−ブチニル、ペンチニルまたはヘキシニル等が挙げられる。
【0063】
「C3−8シクロアルキル基」は、炭素数3〜8個を有する環状の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C3−6シクロアルキル基」、更に好ましくは「C5−6シクロアルキル基」が挙げられる。「C3−8シクロアルキル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル等が挙げられる。「C3−6シクロアルキル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
【0064】
「C3−8シクロアルキルC1−4アルキル基」は、前記「C1−4アルキル基」に前記「C3−8シクロアルキル基」が置換した基を意味する。好ましくは、「C3−6シクロアルキルC1−4アルキル基」が挙げられる。「C3−8シクロアルキルC1−4アルキル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、またはシクロオクチルメチル等が挙げられる。
【0065】
「C3−8シクロアルキレン」は、炭素数3〜8個を有する環状の飽和炭化水素における二価基を意味する。好ましくは、「C3−6シクロアルキレン」である。「C3−8シクロアルキレン」の具体例としては、例えば、1,2−シクロプロピレン等が挙げられる。
【0066】
環Aにおける「C3−8シクロアルキレン」、「フェニレン」および「ヘテロアリーレン」のフラン環との結合位置は、特に限定されることはない。例えば、2,5−ピリジレンである場合には、2位または5位のいずれかの置換位置でフラン環の3位と結合してもよい。
【0067】
「C6−10アリール基」は、炭素数6〜10個を有する芳香族炭化水素基を意味する。「C6−10アリール基」の具体例としては、例えば、フェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチル等が挙げられる。好ましくはフェニルが挙げられる。尚、該基には、フェニルとC5−6シクロアルキル環とが縮環した基も包含され、該C5−6シクロアルキル部分は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を含んでいてもよい。但し、フェニルとC5−6シクロアルキル環とが縮環する多環式アリール基の場合には、フェニルのみが「基」の結合手を有する。具体例としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0068】
【化12】

【0069】
前記式において環を横切る結合手は、「基」が該環における置換可能な位置で結合することを意味する。
【0070】
「C7−14アラルキル基」とは、「C6−10アリールC1−4アルキル基」を意味し、前記「C1−4アルキル基」に前記「C6−10アリール基」が置換した基を意味する。好ましくは、「C7−10アラルキル基」(フェニルC1−4アルキル基)が挙げられる。「C7−14アラルキル基」の具体例としては、例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピルまたは1−ナフチルメチル等が挙げられる。
【0071】
「ヘテロアリール基」としては、例えば、5員〜10員の単環式もしくは多環式の芳香族基等が挙げられ、該基は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同じまたは異なって1個以上(例えば1〜4個)含有する。「多環式のヘテロアリール基」としては、2もしくは3環式の基が好ましく、2環式の基がより好ましい。多環式のヘテロアリール基は、前記単環式のへテロアリール基と芳香族環(ベンゼン、ピリジンなど)または非芳香族環(シクロヘキシルなど)とが縮環したものを含む。「ヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0072】
【化13】

【0073】
前記式において環を横切る結合手は、「基」が該環における置換可能な位置で結合することを意味する。例えば、下記式
【0074】
【化14】

【0075】
のヘテロアリール基の場合には、2−フリル基、または3−フリル基であることを意味する。
【0076】
更に、「ヘテロアリール基」が多環式の基である場合において、例えば、下記式
【0077】
【化15】

【0078】
で表される場合には、2−ベンゾフリル、または3−ベンゾフリルの他に、4−、5−、6−または7−ベンゾフリルであってもよい。但し、芳香環と非芳香族環(ピペリジンなど)とが縮環する多環式へテロアリール基の場合には、芳香環のみが「基」の結合手を有する。例えば、下記式
【0079】
【化16】

【0080】
で表される「多環式のヘテロアリール基」の場合には、「基」が2−、3−、または4−位で結合することを意味する。
【0081】
「ヘテロアリールC1−4アルキル基」とは、前記「C1−4アルキル基」に前記「ヘテロアリール基」が置換した基を意味する。該ヘテロアリール部分としては、前記のへテロアリール基として例示した具体例と同じものが挙げられる。「ヘテロアリールC1−4アルキル基」の具体例としては、例えば、2−ピリジルメチルなどが挙げられる。
【0082】
「C1−6アルコキシ基」の「C1−6アルキル」部分は、前記「C1−6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1−4アルコキシ基」等が挙げられる。「C1−6アルコキシ基」の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。「C1−4アルコキシ基」の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
【0083】
「C3−8シクロアルコキシ基」の「C3−8シクロアルキル」部分は、前記「C3−8シクロアルキル」と同義である。好ましくは、「C3−6シクロアルコキシ基」等が挙げられる。「C3−8シクロアルコキシ基」の具体例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ等が挙げられる。
【0084】
「C6−10アリールオキシ基」の「C6−10アリール」部分は、前記「C6−10アリール」と同義である。「Cアリールオキシ」(フェニルオキシ)が好ましい。「C6−10アリールオキシ基」の具体的としては、フェノキシ、1−ナフチルオキシまたは2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0085】
「C7−14アラルキルオキシ基」(C6−10アリールC1−4アルキルオキシ基)の「C7−14アラルキル」部分は、前記「C7−14アラルキル」と同義である。好ましくは、「C7−10アラルキルオキシ基」(「フェニルC1−4アルキル基」)などが挙げられる。「C7−14アラルキルオキシ基」の具体例としては、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、ナフチルメチルオキシ等が挙げられる。
【0086】
「ヘテロアリールオキシ基」の「ヘテロアリール」部分は、前記「ヘテロアリール」と同義である。「ヘテロアリールオキシ基」の具体例としては、例えば、ピリジルオキシ等が挙げられる。
【0087】
「C1−4アルコキシカルボニル基」は、前記「C1−4アルコキシ基」がカルボニル基に結合した基を意味する。具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、2−プロポキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
【0088】
「C3−8シクロアルコキシカルボニル基」は、前記「C3−8シクロアルコキシ基」がカルボニル基に結合した基を意味する。好ましくは、「C3−6シクロアルコキシカルボニル基」である。具体的には、シクロプロピルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0089】
「C1−4アルキルカルボニル基」は、前記「C1−4アルキル基」がカルボニル基に結合した基を意味する。具体的には、例えばアセチル、プロピオニルまたはブチリル等が挙げられる。
【0090】
「C3−8シクロアルキルカルボニル基」は、前記「C3−8シクロアルキル基」がカルボニル基に結合した基を意味する。好ましくは、「C3−6シクロアルキルカルボニル基」等が挙げられ、「C3−8シクロアルキルカルボニル基」の具体例としては、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、アダマンチルカルボニルまたはノルボルニルカルボニル等が挙げられる。
【0091】
「C6−10アリールカルボニル基」とは、前記「C6−10アリール基」がカルボニル基に結合した基を意味する。「C6−10アリール」部分は、前記「C6−10アリール基」と同義である。好ましくは、「Cアリールカルボニル基」(フェニルカルボニル基)が挙げられる。「C6−10アリールカルボニル基」の具体例としては、例えば、ベンゾイル、1−ナフトイルまたは2−ナフトイル等が挙げられる。
【0092】
「ヘテロアリールカルボニル基」の「ヘテロアリール」部分は、前記「ヘテロアリール」と同義である。「ヘテロアリールカルボニル基」の具体例としては、例えば、ピリジルカルボニル等が挙げられる。
【0093】
「C7−14アラルキルカルボニル基」とは、前記「C7−14アラルキル基」がカルボニル基に結合した基を意味する。「C7−14アラルキル」部分は、前記「C7−14アラルキル基」と同義である。好ましくは、「Cアラルキルカルボニル基」(ベンジルカルボニル基)が挙げられる。「C7−14アラルキルカルボニル基」の具体例としては、例えば、ベンジルカルボニル等が挙げられる。
【0094】
「C7−14アラルキルオキシカルボニル基」の「C7−14アラルキル」部分は、前記「C7−14アラルキル基」と同じである。「C7−14アラルキルオキシカルボニル基」の具体例としては、例えば、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0095】
「C1−4アルキルカルボニルオキシ基」の「C1−4アルキル」部分は、前記「C1−4アルキル基」と同義である。具体例としては、例えば、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシなどが挙げられる。
【0096】
「C3−6シクロアルキルカルボニルオキシ基」の「C3−6シクロアルキル」部分は、前記「C3−6シクロアルキル基」と同義である。具体例としては、例えば、シクロプロピルカルボニルオキシ、シクロブチルカルボニルオキシ、シクロペンチルカルボニルオキシなどが挙げられる。
【0097】
「C1−4アルキルカルボニルアミノ基」は、前記「C1−4アルキルカルボニル基」がアミノ基に結合した基を意味する。具体的には、例えばメチルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0098】
「C1−4アルキルスルホニル基」の「C1−4アルキル」部分は、前記「C1−4アルキル」と同義である。「C1−4アルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル等が挙げられる。
【0099】
「C3−6シクロアルキルスルホニル基」の「C3−6シクロアルキル」部分は、前記「C3−6シクロアルキル」と同義である。「C3−6シクロアルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピルスルホニル等が挙げられる。
【0100】
「C6−10アリールスルホニル基」の「C6−10アリール」部分は、前記「C6−10アリール」と同義である。「C6−10アリールスルホニル基」の具体例としては、例えば、フェニルスルホニル等が挙げられる。
【0101】
「C7−14アラルキルスルホニル基」の「C7−14アラルキル」部分は、前記「C7−14アラルキル」と同義である。「C7−14アラルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、ベンジルスルホニル等が挙げられる。
【0102】
「C3−8シクロアルキレン」は、前記「C3−8シクロアルキル基」の2価基を意味する。具体例としては、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、1,3−シクロペンチレン、1,2−、1,3−、又は1,4−シクロヘキシレン、または1,5−シクロヘプチレンなどが挙げられる。
【0103】
「ヘテロ環基」としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種の原子を1〜3個有する5員もしくは6員のヘテロ環基が挙げられる。該基は、飽和へテロ環基または部分不飽和のヘテロ環基のいずれであってもよい。前記窒素原子、酸素原子および硫黄原子はいずれも環を構成する原子である。具体的には、ピラニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソチオモルホリニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、オキソイミダゾリジニル、ジオキソイミダゾリジニル、オキソオキサゾリジニル、ジオキソオキサゾリジニル、ジオキソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニルまたはテトラヒドロピリジニル等が挙げられる。
【0104】
前記「へテロ環基」は、6員の芳香族炭化水素または6員の不飽和へテロ環と縮合環を形成してもよい。例えば、前掲の5員もしくは6員の「ヘテロ環基」と6員の芳香族炭化水素または6員の不飽和へテロ環が縮合した二環式の11もしくは12員の「飽和ヘテロ環」が挙げられる。6員の芳香族炭化水素としては、ベンゼンなどが挙げられる。6員の不飽和へテロ環としては、ピリジン、ピリミジンまたはピリダジン等が挙げられる。具体的には、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロプリニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾジオキサニル、イソインドリニル、インダゾリル、ピロロリジニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、テトラヒドロナフチリジニルまたはテトラヒドロピリドアゼピニル等が挙げられる。
【0105】
「環状アミノ基」は、前記「へテロ環基」において、該環の窒素原子が直接「基」の結合手となる基を意味する。好ましくは、4員〜7員であり、より好ましくは、5員〜7員であり、更に好ましくは5員もしくは6員である。具体例としては、例えば、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノオキシド、チオモルホリノジオキシド、ピペラジノ等が挙げられる。
【0106】
「環状アミノ基」は、6員の芳香族炭化水素または6員の不飽和へテロ環と縮合環を形成してもよい。具体例としては、下記で表される「基」等が挙げられる。
【0107】
【化17】

【0108】
「ヘテロ環オキシ基」の「ヘテロ環」部分は、前記「ヘテロ環基」と同義である。「ヘテロ環オキシ基」の具体例としては、例えば、ピラニルオキシ等が挙げられる。
【0109】
「置換されていてもよいアミノ基」とは、アミノ基、モノ−もしくはジ−置換されたアミノ基、および環状アミノ基を意味する。
【0110】
「モノ−もしくはジ−置換されたアミノ基」は、「C1−6アルキル」、「C3−6シクロアルキル」、「C3−6シクロアルキルC1−4アルキル」、、「C7−14アラルキル」、「C1−4アルキルカルボニル」、「C3−6シクロアルキルカルボニル」、および「C1−4アルキルスルホニル」からなる群から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されたアミノ基を意味する。
【0111】
「モノ−もしくはジ−置換されたアミノ基」の具体例としては、例えば、
「モノ−もしくはジ−(C1−6アルキル)で置換されたアミノ基」(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなど)、
「モノ−もしくはジ−(C3−6シクロアルキル)で置換されたアミノ基」(例えば、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、ジシクロプロピルアミノ、ジシクロブチルアミノ、シクロジペンチルアミノなど)、
「モノ−(C3−6シクロアルキルC1−4アルキル)で置換されたアミノ基」(例えば、シクロプロピルメチルアミノ、シクロブチルメチルアミノ、シクロペンチルメチルアミノなど)、
「(C1−4アルキル)(C7−14アラルキル)で置換されたアミノ基」(例えば、N−メチル−N−ベンジルアミノ、N−エチル−N−ベンジルアミノなど)、
「(C3−6シクロアルキル)(C7−14アラルキル)で置換されたアミノ基」(例えば、N−シクロプロピル−N−ベンジルアミノ、N−シクロペンチル−N−ベンジルアミノ、N−シクロヘキシル−N−ベンジルアミノなど)、
「N−(C1−4アルキルカルボニル)−N−(C1−6アルキル)−アミノ基」(例えば、N−メチル−N−メチルカルボニルアミノなど)等が挙げられる。
【0112】
「置換されていてもよいC1−6アルキル基」、 「置換されていてもよいC1−6アルコキシ基」、 「置換されていてもよいC1−4アルキルカルボニル基」および 「置換されていてもよいC1−4アルコキシカルボニル基」における置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)シアノ基、
(c)C3−6シクロアルキル基、
(d)水酸基、
(e)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(f)C3−6シクロアルキルオキシ基、
(g)C6−10アリールオキシ基、
(h)C7−14アラルキルオキシ基、
(i)ホルミル基、
(j)C1−4アルキルカルボニル基、
(k)C3−6シクロアルキルカルボニル基、
(l)C6−10アリールカルボニル基、
(m)C7−14アラルキルカルボニル基、
(n)ホルミルカルボニルオキシ基、
(o)C1−4アルキルカルボニルオキシ基、
(p)C3−6シクロアルキルカルボニルオキシ基、
(q)カルボキシル基、
(r)C1−4アルコキシカルボニル基、
(s)C3−6シクロアルコキシカルボニル基、
(t)アミノ基、
(u)モノ−置換されたアミノ基(該基は、
(u1)C1−6アルキル基、
(u2)C3−6シクロアルキル基、
(u3)C3−6シクロアルキルC1−4アルキル基、
(u4)C7−14アラルキル基、
(u5)C1−4アルキルカルボニル基、
(u6)C3−6シクロアルキルカルボニル基、または
(u7)C1−4アルキルスルホニル基で置換される。)、
(v)ジ−置換されたアミノ基(該基は、前記(u1)〜(u7)から選択される同種または異種の2個の基で置換される。)、
(w)へテロ環基、
(x)置換されていてもよいアミノカルボニル基、または
(y)置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基などが挙げられる。尚、これらの置換基リストに限定されることはない。
【0113】
前記「置換されていてもよいアミノカルボニル基」とは、「置換されていてもよいアミノ」がカルボニルに結合した記を意味する。ここにおいて、「置換されていてもよいアミノ」は、アミノ基、モノ−置換されたアミノ基、ジ−置換されたアミノ基、または4員〜7員の環状アミノ基を意味する。
【0114】
「モノ−もしくはジ−置換されたアミノカルボニル基」の具体例としては、「モノ−もしくはジ−アミノカルボニル」部分が、前記「モノ−もしくはジ−置換されたアミノ」の具体例と同じものが挙げられる。
【0115】
前記「置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基」の「置換されていてもよいアミノカルボニル」部分は、前記「置換されていてもよいアミノカルボニル基」と同義である。具体例としては、例えば、アミノカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0116】
「置換されていてもよいC2−6アルケニル基」および「置換されていてもよいC2−6アルキニル基」における置換基としては、例えば、前記(a)〜(s)およびC1−4アルキルからなる群から選択される1個の基等が挙げられる。
【0117】
「置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基」、「置換されていてもよいC3−8シクロアルキルオキシ基」、「置換されていてもよいC3−8シクロアルキルカルボニル基」および「置換されていてもよいC3−8シクロアルキルオキシカルボニル基」における置換基としては、例えば、前記(x)、ハロゲン原子、C1−4アルコキシで置換されていてもよいC1−4アルキル基およびC6−10アリール基(該アリール基は、ハロゲン原子、C1−4アルキル、水酸基、またはC1−4アルコキシで置換されていてもよい。)からなる群から選択される1個の基等が挙げられる。
【0118】
「置換されていてもよいC6−10アリール基」、「置換されていてもよいC6−10アリールカルボニル基」、「置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式へテロアリール基」および「置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式へテロアリールカルボニル基」における置換基としては、例えば、
(a1)ハロゲン原子、
(b1)ニトロ基、
(c1)シアノ基、
(d1)C1−4アルキル基(該基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(e1)水酸基、および
(f1)C1−4アルコキシ基(該基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(g1)C3−6シクロアルキルオキシ基、
(h1)C6−10アリールオキシ基、
(i1)C6−10アリール基、
(j1)スルホニル基、
(k1)C1−4アルコキシスルホニル基、
(l1)C3−6シクロアルコキシスルホニル基、
(m1)C6−10アリールオキシスルホニル基、
(n1)C7−14アラルキルオキシスルホニル基、
(o1)5員もしくは6員の単環式へテロアリールオキシ基、
(p1)へテロ環オキシ基、
(q1)アミノ基(該基は、前記u1〜u7から選択される同種または異種の1〜2個の基で置換されていてもよい。)、
(r1)5員〜7員環状アミノ基、
(s1)置換されていてもよいアミノカルボニル基、および
(t1)置換されていてもよいアミノカルボニルオキシ基からなる群から選択される基等が挙げられる。尚、これらの置換基リストに限定されることはない。
【0119】
「置換されていてもよいC7−14アラルキル基」のアリール部分および「置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールC1−4アルキル基」におけるヘテロアリール部分の置換基としては、例えば、前記(a1)〜(t1)からなる群から選択される基等が挙げられる。
【0120】
「へテロ環基」の置換基としては、例えば、
(a2)ハロゲン原子、
(b2)水酸基、
(c2)ニトロ基、
(d2)シアノ基、
(e2)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(f2)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(g2)カルボキシル基、
(h2)C1−4アルコキシカルボニル基、
(i2)C3−6シクロアルコキシカルボニル基、
(j2)アミノ基(C1−4アルキルで置換されていてもよい。)、
(k2)C6−10アリール基、
(l2)アミノカルボニル基、
(m2)C1−4アルキルカルボニルアミノ基、
(n2)オキソ基、または
(o2)チオキソ基などが挙げられる。
該「ヘテロ環基」または「ヘテロ環」は、上記置換基において同種または異種の基が2個置換していてもよい。
【0121】
「薬学的に許容される塩」としては、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基塩;アルギニン塩、ベンザチン塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リシン塩、メグルミン塩、オラミン塩、トロメタミン塩などの有機塩基塩が挙げられる。
【0122】
また、本発明には、式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、そのプロドラッグが含まれる。また、これらの水和物またはエタノール溶媒和物等の溶媒和物も含まれる。さらに、本発明には、あらゆる態様の結晶形のものも包含される。
【0123】
本明細書における「式(I)の化合物のプロドラッグ」なる用語は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により式(I)の化合物に変換する化合物、例えば、酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして式(I)の化合物に変化する化合物;胃酸等により加水分解を起こして式(I)の化合物に変化する化合物を意味する。
【0124】
式(I)の化合物は、互変異性体として存在する場合もあり得る。従って、本発明は、式(I)の化合物の互変異性体も包含する。
【0125】
本発明化合物は、少なくとも一つの不斉炭素原子を有する場合もあり得る。従って、本発明は、本発明化合物のラセミ体のみならず、これらの化合物の光学活性体も包含する。本発明の化合物が、2個以上の不斉炭素原子を有する場合、立体異性を生じる場合がある。従って、本発明は、これらの化合物の立体異性体およびその混合物も包含する。
【0126】
本発明の好適な化合物について説明する。本発明化合物において、Rは、
6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、
(e)カルボキシル基、および
(f)シアノからなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されている。)が好ましい。
【0127】
環Aは、1,4−フェニレンが好ましい。
【0128】
およびRにおいて、Rは、水素原子であり、Rは、C1−4アルキル基が好ましく、Rは、メチル基がより一層好ましい。
【0129】
は、水素原子、またはハロゲン原子が好ましく、水素原子がより一層好ましい。
【0130】
およびRは、共に水素原子が好ましい。
【0131】
Xは、NRが好ましく、Rは、水素原子が好ましい。
【0132】
は、ニトロ基が好ましい。
【0133】
上記の他に本発明の好ましい態様について説明する。
(1)式(II)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0134】
【化18】

【0135】
[式中、R12、XおよびR82は、前掲と同じである。]
【0136】
(2)式(III)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【0137】
【化19】

【0138】
[式中、R13は、前掲と同じである。]
【0139】
(3)式(II)および式(III)において、下記
【0140】
【化20】

で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩(式中の記号は、前掲と同じ。)が好ましい。
【0141】
以下に、本発明における式(I)で表される化合物の製造法について、例を挙げて説明するが、本発明はもとよりこれらに限定されるものではない。
【0142】
式(I)で表される化合物は、公知化合物から公知の方法を組み合わせることにより合成することができる。例えば、次の方法により合成できる。
【0143】
【化21】

[R9aは、C1−4アルキル基であり、R9bは、水素原子、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシで置換されているC1−4アルキル基、C6−10アリール基、C7−14アラルキル基、またはC1−4アルキルカルボニル基であり、R、R、R、R、R、R、X及びnは、前掲と同じある。]
【0144】
工程1:
化合物(A)とヒドラジン・一水和物を反応することで、化合物(B)を得る。反応に用いるヒドラジン・一水和物は、化合物(A)に対して1〜30当量、好ましくは1〜10当量を用いる。
【0145】
この反応は溶媒中で有利に行われ、通常反応に影響を与えない溶媒中で行われる。溶媒としては、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノールなど)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)が挙げられ、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンが好ましい。
【0146】
反応温度は0〜150℃、好ましくは30〜100℃である。反応時間は、1時間〜36時間、好ましくは1時間〜4時間である。
【0147】
工程2:
化合物(B)と化合物(C)を反応することで、式(I)で表される化合物を得る。反応に用いる化合物(C)は、化合物(B)に対して0.8〜3当量、好ましくは0.8〜1.5当量を用いる。
【0148】
本反応は、市販品として入手可能な化合物(C)と市販品として入手可能な化合物(例えば、塩化チオニル、オキザリルクロリド、三塩化リン、五塩化リン、N,N'−カルボニルジイミダゾール,トリクロロアセチルクロリド、ジフェニルホスホリルアジド、塩化ジフェニルホスフィニル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、ピバロイルクロリドなど)を公知の方法により酸ハロゲン化物、混合酸無水物、または反応性の高い化合物(例えば、アシルイミダゾ−ル、アシルアジドなど)に変換した後に、化合物(B)と反応させてもよい。また、化合物(C)と前記化合物を、同時に反応させてもよい。更に市販品として入手可能な化合物(N)(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N'−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドおよびその塩酸塩、ベンゾトリアゾール−1−イル−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム)と市販品として入手可能な化合物(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド)を適当に組み合わせるか、または化合物(N)単独で化合物(B)および化合物(C)と同時に反応させてもよい。
【0149】
溶媒は反応に影響を与えないものであれば特定されないが、非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒としては、ニトリル系溶媒(アセトニトリルなど)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、エステル系溶媒(ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチルなど)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、炭化水素系溶媒(ヘキサン、ベンゼン、トルエンなど)が挙げられるが、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンが好ましい。
【0150】
反応温度は−20〜100℃、好ましくは0〜80℃である。反応時間は、0.5時間〜36時間、好ましくは1時間〜3時間である。
【0151】
化合物(C)においてR9bが水素原子以外の化合物を用いる場合には、化合物(B)との反応後に、公知の方法を用いて脱保護反応を行うことにより式(I)で表される化合物を得ることができる。
【0152】
化合物(A)は下記に示す方法により製造することができる。
【0153】
【化22】

[R9cは、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシで置換されているC1−4アルキル基、C7−14アラルキル基、C1−4アルキルカルボニル基、C7−14アラルキルカルボニル基、C1−4アルコキシカルボニル基、C7−14アラルキルオキシカルボニル基、t−ブチルジメチルシリル基またはメチルジフェニルシリル基、であり、R9dはジヒドロキシボリル基、C1−4ジアルコキシボリル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル基、1,3,2−ジオキサボロリナニル基、4,4,6−トリメチル−1,3,2−ジオキサボロリナニル基、5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボロリナニル基、1,3,2−ベンゾジオキサボロリル基であり、Yは、ハロゲン原子であり、R、R、R、R、R、R、R9a、R9b、X及びnは、前掲と同じある。]
【0154】
工程3:
XがNRである場合には、化合物(D)を適当なアミノ基保護試薬、適当な塩基および適当な溶媒と共に反応させることによって化合物(E)を得る。また、Xが、酸素原子又は硫黄原子の場合には、化合物(D)を適当なアルコール保護試薬又はチオール保護試薬を、適当な塩基および適当な溶媒と共に反応させることによって化合物(E)を得る。
【0155】
反応で用いるアミノ基保護試薬は、例えばベンジルクロロホルメートおよびジ−t−ブチルジカーボネートが挙げられ、化合物(D)に対して、0.8〜3当量、好ましくは0.8〜2当量を用いる。塩基としては、水酸化ナトリウムなどが挙げられ、化合物(D)に対して、0.8〜3当量、好ましくは0.8〜2当量を用いる。適当な溶媒としては、テトラヒドロフラン、水およびそれらの混合溶媒などが挙げられる。反応温度は通常0℃〜80℃で、好ましくは0℃〜20℃である。
【0156】
アルコール基の保護反応及びチオール基の保護反応は、Protective Groups in Organic Synthesisの記載の試薬、方法を用いて行うことができる。
【0157】
工程4:
化合物(E)と適当なボロン酸試薬を適当な金属触媒、塩基および溶媒中で反応させることで化合物(F)を得る。
【0158】
反応で用いるボロン酸試薬は、例えばビス(ピナコラート)ジボロン、ビス(ネオペンチルグリコラート)ジボロン、ビス(ヘキシレングリコラート)ジボロンが挙げられ、化合物(E)に対して1〜2当量、好ましくは1〜1.3当量を用いる。金属触媒としては、例えば[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン付加物が挙げられ、化合物(E)に対して0.001〜1当量、好ましくは0.001〜0.1当量を用いる。塩基としては、例えば酢酸カリウムが挙げられ、化合物(E)に対して1〜10当量、好ましくは1〜5当量を用いる。反応温度は、通常0℃〜200℃で、好ましくは20℃〜100℃である。
【0159】
反応は、溶媒中で有利に行われる。溶媒は反応に影響を与えないものであれば特定されない。アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリルなど)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、炭化水素系溶媒(ヘキサン、ベンゼン、トルエンなど)、ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、ジメチルスルホキシドが好ましい。
【0160】
工程5:
化合物(F)と化合物(G)を適当な金属触媒、配位子、塩基および溶媒中で反応させることで化合物(H)を得る。化合物(G)を化合物(F)に対して0.6〜3当量、好ましくは0.7〜2当量を用いる。
【0161】
反応に用いる金属触媒としては、パラジウムが好ましい。パラジウムを含有する金属触媒(パラジウム触媒)としては、ビス(トリ−O−トリルホスフィン)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムカーボンに代表される0価のパラジウム化合物が挙げられる。特に好ましいのは、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムで、化合物(F)に対して0.001〜1当量、好ましくは0.001〜0.1当量を用いる。
【0162】
反応に用いる塩基は、反応で用いる塩基は、アルカリ金属塩のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)、または炭酸アルカリ金属塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム)が好ましく、特に、炭酸セシウムが好ましい。化合物(F)に対して0.8〜3当量、好ましくは1〜2当量を用いる。
【0163】
反応は、溶媒中で有利に行われる。溶媒は反応に影響を与えないものであれば特定されない。水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリルなど)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、炭化水素系溶媒(ヘキサン、ベンゼン、トルエンなど)およびそれらの混合溶媒などが挙げられる。
【0164】
反応温度は25〜200℃、好ましくは50〜120℃である。反応時間は、0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間である。
【0165】
工程6:
化合物(H)のR9cを脱保護することで化合物(J)を得る。脱保護反応は、Protective Groups in Organic Synthesisに記載の方法に従って行うことができる。
【0166】
工程7:
化合物(J)と化合物(K)を金属触媒(遷移金属)存在下で反応することで化合物(A)を得る。化合物(K)は、化合物(J)に対して0.8〜3当量、好ましくは0.8〜2当量を用いる。化合物(K)としては、例えば、フェニルブロミド、4−ブロモトルエン、3−ブロモトルエン、4−ブロモアニソール、3−ブロモアニソール、1−ブロモ−3−クロロベンゼン、1−ブロモ−4−クロロベンゼン、1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン、1−ブロモ−2,3−ジフルオロベンゼン、1−ブロモ−3,4−ジフルオロベンゼン、4−ブロモ−1,2−ジメチルベンゼン、4−ブロモ−2−フルオロトルエン、5−ブロモ−2−フルオロトルエン、4−ブロモ−2−フルオロアニソール、5−ブロモ−2−クロロトルエン、4−ブロモ−1−クロロ−2−フルオロベンゼン、4−ブロモ−2−クロロ−1−フルオロベンゼン、3−ブロモ−5−フルオロトルエン、5−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリル、エチル 4−ブロモベンゾエート、エチル 3−ブロモベンゾエート、1−ブロモ−4−フルオロベンゼン、1−ブロモ−3,4−ジクロロベンゼン、1−ブロモ−2,4−ジクロロベンゼン、1−ブロモ−3,5−ジクロロベンゼン、5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン、1−ブロモ−4−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−n−プロピルベンゼン、1−ブロモ−4−イソプロピルベンゼン、1−ブロモ−4−(1,1,1−トリメチルメチル)ベンゼン、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンなどが挙げられる。
【0167】
反応で用いる塩基は、アルカリ金属塩のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)、または炭酸アルカリ金属塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム)が好ましく、特に、カリウムtert−ブトキシドが好ましい。
【0168】
反応に用いる塩基は、化合物(J)に対して0.8〜3当量、好ましくは1〜2当量を用いる。
【0169】
反応は、溶媒中で有利に行われる。溶媒は反応に影響を与えないものであれば特定されない。アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリルなど)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)、炭化水素系溶媒(ヘキサン、ベンゼン、トルエンなど)などが挙げられる。好ましいのは、炭化水素系溶媒(ヘキサン、ベンゼン、トルエンなど)である。
【0170】
反応に用いる金属触媒としての遷移金属は、パラジウム、ニッケル、銅などが好ましく、パラジウムが特に好ましい。パラジウムを含有する金属触媒(パラジウム触媒)としては、パラジウムアセテート、パラジウムクロリド、パラジウムブロミド、パラジウムアセチルアセトネート、パラジウムプロピオネート、パラジウム(シクロオクタジエン−1,5)ジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド 、パラジウムニトレート、パラジウムクロリドビス(ベンゾニトリル)に代表される2価のパラジウム化合物およびビス(トリ−O−トリルホスフィン)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムカーボンに代表される0価のパラジウム化合物が挙げられる。好ましいのは、パラジウムアセテートである。
【0171】
反応に用いるパラジウム触媒は、化合物(K)に対して0.001〜1当量、好ましくは0.001〜0.1当量を用いる。
【0172】
金属触媒を用いる場合には、配位子を用いてもよい。反応に用いる配位子としては、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、1−[2−[ビス(tert−ブチル)ホスフィノ]フェニル]−3,5−ジフェニル−1H−ピラゾール、5−(ジtert−ブチルホスフィノ)−1',3',5'−トリフェニル−1'H−[1,4']ビピラゾール、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',4',6'−トリイソプロピルジフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2',4',6'−トリイソプロピルジフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジイソプロピルジフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2',6'−ジメトキシジフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ジフェニルなどが挙げられる。好ましいのは、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチルである。
【0173】
反応に用いる配位子は、化合物(J)に対して0.001〜1当量、好ましくは0.001〜0.1当量を用いる。
【0174】
反応温度は25〜150℃、好ましくは50〜100℃である。反応時間は、0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜8時間である。
【0175】
本発明化合物は、光学活性中心を有するものも含まれる。従って、光学活性中心を有する本発明化合物は、得られるラセミ体を公知の方法(例えば、分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法など)を用いて物理的または化学的にその光学対掌体に分割することができる。または、光学活性の出発原料を用いて得ることもできる。
【0176】
本発明化合物は、グルカゴン受容体拮抗作用を有することから、グルカゴンが関与する症状及び疾患、例えば高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、高トリグリセライド血症、高リポ蛋白血症、高コレステロール血症、動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心血管障害、高血圧、心肥大、消化管障害、肥満、肥満による糖尿病、メタボリックシンドローム、糖尿病性合併症(白内障、網膜症、角膜症、神経障害、腎症、末梢循環障害、脳血管障害、虚血性心疾患、動脈硬化症等)等の治療または予防薬として有用である。特に糖尿病、とりわけ、2型糖尿病の治療または予防薬として有用である。
【0177】
これらの予防・治療剤の投与経路は経口、非経口のいずれでもよい。
本発明化合物を前記治療剤(医薬)として用いる場合、本発明化合物の含有量は、医薬全体の0.1〜100重量%である。
本発明化合物を含有する医薬の投与量は、投与対象、投与ルート、疾患などにより異なるが、例えば、これらを糖尿病などの治療薬として成人(約60kg)に経口投与する場合、本発明化合物として、約0.01〜1000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは0.1〜100mg投与することが好ましい。これらの量は1日1回〜数回に分けて投与することができる。
本発明化合物を含有する医薬は、食前投与、食間投与、食後投与または就寝前投与のいずれでもよい。
【0178】
本発明で用いられる製剤は、活性成分として本発明化合物以外に、薬学的に許容される成分を含有していてもよい。この成分としては、例えば、賦形剤、安定剤などが挙げられる。これらの成分は本発明の目的が達成され得る限り特に限定されず、適宜適当な配合割合で使用が可能である。剤形の具体例としては、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、カプセル剤(マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、吸入剤、軟膏、点眼剤などが用いられる。これらの製剤は常法(例えば、日本薬局方記載の方法など)に従って調製される。
【0179】
具体的には、錠剤は、本発明の化合物をそのまま、または賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤と混合して均等にしたものを、適当な方法で顆粒とした後、滑沢剤などを加えて圧縮成型するか、あるいは、本発明の化合物をそのまま、または賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤と混合して均等にしたものを直接圧縮成型して製造することができる。または、あらかじめ製した顆粒にそのまま、もしくは適当な添加剤を加えて均等に混合した後、圧縮成型しても製造することができる。
【0180】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0181】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
【0182】
結合剤としては、例えば、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0183】
崩壊剤としては、例えば、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
【0184】
注射剤は、本発明化合物の一定量を、水性溶剤の場合は注射用水、生理食塩水、リンゲル液など、非水性溶剤の場合は通常植物油などに溶解、懸濁もしくは乳化して一定量とするか、または本発明化合物の一定量をとり、注射用の容器に密封して製造することができる。
【0185】
経口用製剤の担体としては、例えば、デンプン、D−マンニトール、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの、製剤分野において常用されている物質が用いられる。注射用担体としては、例えば、蒸留水、生理食塩水、グルコース溶液、輸液剤などが用いられる。その他、製剤一般に用いられる添加剤を適宜添加することもできる。
【0186】
本発明化合物は、その効果の増強を目的として、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いてもよい。本発明化合物および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明化合物と併用薬剤の合剤としてもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤との配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜5000重量部用いればよい。
【0187】
糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤など)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾン塩酸塩、トログリタゾン、ロシグリタゾンマレイン酸塩、GI−262570、JTT−501、MCC−555、YM−440、KRP−297、CS−011等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、MBI−3253等)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン塩酸塩等)、インスリン分泌促進剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド等のスルホニルウレア剤;レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドの速効型インスリン分泌促進剤等:GPR119アゴニスト等)、GLP−1、GLP−1アナログ(エキセナタイド、リラグルタイド、SUN−E7001、AVE010、BIM−51077、CJC1131等)、GLP−1分泌促進剤(例、GPR120アゴニスト等)、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、β3アゴニスト(例、GW−427353B、N−5984等)、DPPIV阻害剤(例、シタグリプチンリン酸塩水和物、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、SYR−322等)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、グルコキナーゼ活性化剤)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095等)、11β-HSD1阻害剤(例、INCB−13739、AMG−221、JTT−654、BVT−3498等)、アディポネクチンまたはその受容体作動薬、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬、AMPK活性化薬等が挙げられる。
【0188】
糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポレスタット、ミナレスタット、フィダレスタット、ラニレスタット、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3、BDNF等)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリンメシル酸塩等)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン等)が挙げられる。
【0189】
高脂血症治療剤としては、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチンカルシウム水和物、フルバスタチンナトリウム、イタバスタチンカルシウム、ロスバスタチンカルシウム等)、スクアレン合成酵素阻害剤、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤(例、エゼチミブ等)等が挙げられる。
【0190】
降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリルマレイン酸塩、アラセプリル、デラプリル塩酸塩、リジノプリル、イミダプリル塩酸塩、ベナゼプリル塩酸塩、シラザプリル水和物、テモカプリル塩酸塩、トランドラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、オルメサルタンメドキソミル、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、プラトサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン等)、カルシウム拮抗剤(例、ニカルジピン塩酸塩、マニジピン塩酸塩、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニルバジピン、アムロジピンベシル酸塩等)、ACE/NEP阻害剤(例、オマパトリラート、ファシドトリル等)、β遮断薬(例、アテノロール、ビソプロロール、ベタキソロール、メトプロロール等)、α遮断薬(例、ウラピジル、テラゾシン、ドキサゾシン、ブナゾシン等)、αβ遮断薬(例、アモスラロール、アロチノロール、ラベタロール、カルベジロール等)、レニン阻害剤(例、アリスキレン等)、アルドステロン受容体拮抗薬(例、スピロノラクトン、エプレレノン等)等が挙げられる。
【0191】
抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、SR−141716A等;カンナビノイド受容体拮抗薬(例、リモナバン等);グレリン拮抗薬;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849等);ニューロペプチドY拮抗薬(例、S−2367、CP−422935等))、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等が挙げられる。
【0192】
利尿剤としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0193】
併用薬剤は、好ましくはインスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤、インスリン分泌促進剤、DPPIV阻害剤、GLP−1、GLP−1アナログ、GLP−1分泌促進剤等である。上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用いてもよい。
【0194】
本発明化合物が、併用薬剤と組み合せて使用される場合には、これらの薬剤の使用量は、薬剤の副作用を考えて安全な範囲内で低減できる。したがって、これらの薬剤により引き起こされるであろう副作用は安全に防止できる。
【実施例】
【0195】
以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。化合物の同定は、LC−MSスペクトル、NMRスペクトルなどにより行った。
【0196】
参考例および実施例において使用したシリカゲルクロマトグラフィーは、山善社製シリカゲルSiOHである。Gilson HPLC Systemの精製条件は、カラム[YMC CombiPrep ODS-A,(S-5um, 12nm, 20mm X 50mm)]、流速35mL/分、UV検出[220および254nm]、溶出溶媒としてA : 0.35%トリフルオロ酢酸/アセトニトリルおよびB : 0.05%トリフルオロ酢酸/水を使用した。
【0197】
参考例1:3−(4−アセチルフェニル)−2−フランカルボン酸エチルの製造−
【0198】
【化23】

【0199】
3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(21.9g)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液に4−アセチルフェニルボロン酸(24.6g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(5.8g)、炭酸セシウム(48.9g)および水(100mL)を加え窒素雰囲気下、72時間加熱還流した。放冷し、反応液の水層部分を酢酸エチルで抽出した後、この抽出液および反応液の有機層をあわせ硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層を減圧下濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、標記化合物21.6gを固体として得た。
なお、3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチルの合成は、WO 03/064404の参考例1に記載の方法に従って合成した。
【0200】
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 1.32 (t, J=7.1 Hz, 3H), 2.64 (s, 3H), 4.33 (q, J=7.1Hz, 2H), 6.65 (d, J=2.0Hz, 1H), 7.61 (d, J=2.0Hz, 1H), 7.68 (m, 2H), 8.00 (m, 2H)
【0201】
参考例2:3−(4−{1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸ヒドラジドの製造−
【0202】
【化24】

【0203】
(1)参考例1の標記化合物(1g)にメタノール(10mL)および酢酸(3mL)を加えた後、3−クロロアニリン(0.74g)を加えた。続いてピコリンボラン(0.62g)を加えた後、40℃で5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液をpHが8以上になるまで加えた後、酢酸エチルで抽出した。分取した有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥を行った後、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、1.2gの油状物を得た。
(2)上記油状物(1.2g)を1,4−ジオキサン(2mL)およびエタノール(1mL)の混合溶媒で溶解した後、ヒドラジン一水和物(1.3mL)を加え3時間加熱還流した。放冷し反応液に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、標記化合物0.78gを白色アモルファスとして得た。
【0204】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.41 (d, J=6.8Hz, 3H), 4.42 (s, 2H), 4.50 (quintet, J=6.8Hz, 1H), 6.45 (dd, J=8.0, 2.0Hz, 2H), 6.51 (t, J=2.0Hz, 1H), 6.54 (d, J=6.8Hz,1H), 6.85 (d, J=2.0Hz, 1H), 6.97 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.36 (m, 2H), 7.67 (m, 2H), 7.79 (d, J=2.0Hz, 1H), 9.60 (s, 1H)
【0205】
参考例3:4−(メトキシメトキシ)−3−ニトロ安息香酸の製造−
【0206】
【化25】

【0207】
(1)4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸(10g)のアセトン(100mL)溶液に炭酸カリウム(18.9g)を加えた後、氷冷下メトキシメチルクロリド(11g)を滴下した。室温で2時間撹拌後、吸引濾取し濾紙上の固体をアセトン(150mL)で洗浄した。濾液と洗浄液をあわせて減圧下濃縮し油状物を得た。
(2)上記油状物のメタノール(50mL)溶液に4mol/L水酸化ナトリウム水溶液(27.3mL)を適下した。室温で2時間撹拌後、反応液に硫酸水素カリウム水溶液を加えた。析出固体を濾取し、固体を水で洗浄した後、70℃で8時間減圧乾燥し標記化合物11.5gを白色固体として得た。
【0208】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 3.41 (s, 3H), 5.44 (s, 2H), 7.50 (d, J =8.8Hz, 1H), 8.15 (dd, J=8.8, 2.0Hz, 1H), 8.33 (d, J=2.0Hz, 1H), 13.33 (s, 1H)
【0209】
参考例4:3−(4−アセチルフェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0210】
【化26】

【0211】
(1)参考例1の標記化合物(6.5g)のトルエン(150mL)溶液にp−トルエンスルホン酸(0.22g)、エチレングリコール(5mL)を加え、Dean−Stark装置を付け10時間加熱還流した。放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣へヒドラジン一水和物(10mL)およびエタノール(45mL)を加えた後、8時間加熱還流した。放冷後、水を加えクロロホルムで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、白色固体4.9gを得た。
(2)上記白色固体(4.9g)および参考例3の標記化合物(4.4g)の混合物へN,N−ジメチルホルムアミド(300mL)およびテトラヒドロフラン(100mL)を加えた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(3.8g)を加え窒素雰囲気下、室温で1昼夜撹拌した。反応液へ水を加え、析出固体を濾取し濾紙上の固体を水洗した。濾液と洗浄液をあわせクロロホルムで抽出した後、この有機層へ濾取した固体を溶解させ硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮することで白色固体を6.3g得た。
(3)上記白色固体(6.3g)のアセトン(200mL)溶液へ塩酸(4mL)および水(5mL)を加えた後、50℃で3時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、標記化合物5.05gを白色個体として得た。
【0212】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 2.59 (s, 3H), 7.05 (d, J=2.0Hz, 1H), 7.24 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.88 (m, 2H), 7.96 (m, 2H), 8.01 (d, J=2.0Hz, 1H), 8.06 (dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 8.46 (d, J=2.2Hz, 1H), 10.50 (s, 1H), 10.56 (s, 1H), 11.79 (s, 1H)
【0213】
参考例5:3−シアノ−4−[(2,2−ジメチルプロパノイル)オキシ]安息香酸の製造の製造−
【0214】
【化27】

【0215】
(1)3−シアノ−4−メトキシ安息香酸メチル(70g)と塩酸ピリジン(128.3g)の混合物を180℃で1時間撹拌した。反応液に氷水(1L)を加え析出固体を濾取した後、酢酸エチルから再結晶し、48.1gの結晶を得た。
(2)上記固体(3.26g)のアセトン(30mL)溶液にピバル酸無水物(8.93mL)を加えた後、トリエチルアミン(6.13mL)を室温で滴下した。室温で3時間撹拌した後、反応液を氷冷した3mol/L塩酸水溶液中に加えpHを1とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣にヘキサン(500mL)を加え撹拌後、固体を濾取し、ヘキサン(200mL)で固体を洗浄し、標記化合物3.12gを白色固体として得た。
【0216】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.35 (s, 9H), 7.58 (d, J=8.5Hz, 1H), 8.27 (dd, J =8.5, 2.2Hz, 1H), 8.38 (d, J=2.2Hz, 1H), 13.57 (s, 1H)
【0217】
参考例6:3−ブロモ−2−フランカルボン酸t−ブチルの製造−
【0218】
【化28】

【0219】
(1)3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(60g)へテトラヒドロフラン(250mL)、メタノール(250mL)および水(250mL)を加えた後、室温にて水酸化ナトリウム(20g)を加え同温で1昼夜撹拌した。反応液へ濃塩酸をpHが1となるまで加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、60gの白色固体を得た。
(2)ジクロロメタン(500mL)へ硫酸マグネシウム(108g)を加えた後、室温で硫酸(30mL)を滴下し、同温で15分撹拌した。この反応液へ(1)で得た白色固体(60g)およびt−ブチルアルコール(105mL)を室温で加え1昼夜撹拌した。反応液をセライト濾過した後、濾液へ氷冷下、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液をpHが8以上となるまで加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮することで標記化合物51.9gを茶褐色油状物として得た。
【0220】
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 0.90 (s, 9H), 6.56 (d, J=2.0Hz, 1H), 7.46 (d, J=2.0Hz, 1H)
【0221】
参考例7:3−{4−[(1R)−1−アミノエチル]フェニル}−2−フランカルボン酸t−ブチルの製造−
【0222】
【化29】

【0223】
(1)(R)−(+)−1−(4−ブロモフェニル)エチルアミン(23.3g)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液へ1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(130mL)および水(70mL)を加えた。これに氷冷下、ベンジルクロロホルメート(18.6mL)を滴下した後、室温で1昼夜撹拌した。反応液の水層を酢酸エチルで抽出した後、反応液の有機層とあわせて飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮を行った。残渣ヘキサンを加え室温で撹拌した後、濾取して31.6gの白色固体を得た。
(2)上記白色固体(10.1g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(10g)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン付加物(0.74g)、酢酸カリウム(8.92g)およびジメチルスルホキシド(200mL)の混合物を、窒素雰囲気下、80℃で7時間加熱撹拌した。放冷後、反応液をセライト濾過し、セライト上の固体を酢酸エチルで洗浄した。濾液と洗浄液をあわせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、11.8gの白色固体を得た。
(3)上記白色固体(11.8g)、3−ブロモ−2−フランカルボン酸t−ブチル(7.8g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.8g)および炭酸セシウム(12.3g)の混合物へテトラヒドロフラン(50mL)および水(10mL)を加えた後、1昼夜加熱還流した。放冷後、反応液をセライト濾過した。濾液を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、8.2gの黒色油状物を得た。
(4)上記黒色油状物(8.2g)のエタノール(70mL)溶液へ10%パラジウム炭素(4g)を加えた後、常温にて水素を加えながら撹拌した。反応液をセライト濾過した後、濾液を減圧下濃縮して標記化合物5.5gを黒色油状物として得た。
【0224】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.24 (d, J=6.6Hz, 3H), 1.41 (s, 9H), 4.00 (quintet, J=6.6Hz, 1H), 6.80 (d, J=1.7Hz, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.48 (m, 2H), 7.91 (d, J=1.7Hz, 1H)
【0225】
参考例8:3−(4−{(1R)−1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸ヒドラジドの製造−
【0226】
【化30】

【0227】
(1)参考例7の標記化合物(2.05g)、酢酸パラジウム(240mg)、rac−2,2´−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1´−ビナフチル (1.33g)、ナトリウム−t−ブトキシド(1.03g)および1−クロロ−3−ブロモベンゼン(1.64g)のトルエン溶液(70mL)を窒素雰囲気下、80℃で4時間撹拌した。放冷後、反応液へSHシリカゲル(富士シリシア製)を加え10分間撹拌し、セライト濾過した。濾液を減圧下濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、1.66gの黄色アモルファスを得た。
(2)上記黄色アモルファス(1.66g)のメタノール(10mL)溶液へ硫酸(0.53mL)を加え、1昼夜加熱還流した。放冷後、4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(0.5mL)を加え10時間撹拌した。続いてトリエチルアミン(2mL)およびヒドラジン一水和物(2mL)を加えた後、4時間加熱還流した。放冷後、反応液を減圧下濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、標記化合物1.2gを白色アモルファスとして得た。
【0228】
参考例9:3−(4−{(1S)−1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸ヒドラジドの製造−
【0229】
【化31】

【0230】
出発原料に(S)−(+)−1−(4−ブロモフェニル)エチルアミンを用い、参考例7および参考例8と同様に反応・処理して標記化合物を得た。
【0231】
参考例10:3−{4−[(4−メチルフェノキシ)メチル]フェニル}−2−フランカルボン酸ヒドラジドの製造−
【0232】
【化32】

【0233】
(1)3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(16g)のN,N−ジメチルホルムアミド(300mL)溶液に4−ヒドロキシメチルフェニルボロン酸(16.7g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(4.2g)、炭酸セシウム(35g)および水(10mL)を加え窒素雰囲気下、100℃で20時間加熱した。放冷後、反応液の水層部分を酢酸エチルで抽出した。この抽出液および反応液の有機層をあわせ硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、13gの白色固体を得た。
(2)上記白色固体(13g)のジクロロメタン(50mL)およびジエチルエーテル(50mL)の混合溶液へ氷冷下、3臭化リン(3mL)を滴下し同温で30分撹拌した。反応液へ氷水を加え酢酸エチルで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、10gの白色固体を得た。
(3)上記白色固体(1g)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液へ4−メチルフェノール(0.38g)および炭酸セシウム(1.58g)を加え80℃で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、1.0gの白色アモルファスを得た。
(4)上記白色アモルファス(0.8g)へエタノール(1.5mL)、1,4−ジオキサン(2mL)およびヒドラジン一水和物(0.9mL)を加えた後、4時間加熱還流した。反応液へ水を加え析出固体を濾取することで標記化合物0.8gを白色固体として得た。
【0234】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 2.21 (s, 3H), 4.45 (s, 2H), 5.07 (s, 2H), 6.87 (d, J=2.0Hz, 1H), 6.89 (m, 2H), 7.07 (m, 2H), 7.42 (m, 2H), 7.74 (m, 2H), 7.82 (d, J=2.0Hz,1H), 9.64 (s, 1H)
【0235】
参考例11:3−(5−アセチル−ピリジン−2−イル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド塩酸塩の製造−
【0236】
【化33】

【0237】
(1)5−アセチル−2−ブロモピリジン(3.5g)のトルエン(20mL)溶液にp−トルエンスルホン酸(0.24g)およびエチレングリコール(4mL)を加えDean−Stark装置を付け8時間加熱還流した。放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、3.2gの白色固体を得た。
(2)上記白色固体(4g)のジエチルエーテル(30mL)溶液へ−78℃で2.5mol/L n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(8mL)を滴下した。−40℃以下で30分撹拌した後、塩化トリブチルすず(6mL)を加え、室温で1昼夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥および減圧下濃縮を行った。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、2.8gの無色油状物を得た。
(3)上記無色油状物(2.8g)のトルエン(100mL)溶液に3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(1.3g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(0.21g)およびリチウムクロリド(0.76g)を加え4.5時間加熱還流した。放冷後、反応液をシリカゲル濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、1gの黄色油状物を得た。
(4)上記黄色油状物(1g)のエタノール(30mL)溶液へヒドラジン一水和物(20mL)を加え8時間加熱還流した。反応液に水を加えクロロホルムで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥および減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、0.69gの白色固体を得た。
(5)上記白色固体(0.65g)および参考例3の標記化合物(0.55g)をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)およびテトラヒドロフラン(20mL)の混溶液へ加えた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(。0.48g)を加え窒素雰囲気下、室温で1昼夜撹拌した。反応液へ水を加えクロロホルムで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥および減圧下濃縮した。残渣をアセトン(100mL)で溶解した後、塩酸(1.5mL)を加え50℃で5時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にメタノール(1mL)、クロロホルム(10mL)、酢酸エチル(10mL)およびジエチルエーテル(50mL)を加えた後、析出固体を濾取することで、標記化合物0.71gを淡黄色固体として得た。
【0238】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 2.66 (s, 3H), 7.27 (d, J=8.5Hz, 1H), 7.39 (d, J=2.0Hz, 1H), 8.09 (d, J=2.0Hz, 1H), 8.10 (dd, J=8.3, 2.2Hz, 1H), 8.33 (d, J=8.3Hz, 1H), 8.45 (dd, J=8.5, 2.2Hz, 1H), 8.51 (d, J=2.2Hz, 1H), 9.25 (d, J=2.2Hz, 1H), 11.06 (s, 1H), 11.86 (s, 1H), 12.96 (s, 1H)
【0239】
参考例12:3−(ピリジン−3−イル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド塩酸塩の製造−
【0240】
【化34】

【0241】
(1)3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(0.2g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液にピリジン−3−ボロン酸(0.15g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(53mg)、炭酸セシウム(0.89g)および水(1mL)を加え窒素雰囲気下、4時間加熱還流した。放冷後、反応液へSHシリカゲル(富士シリシア製)を加え10分間撹拌し、セライト濾過した。濾液を減圧下濃縮後、残渣に酢酸エチルを加え1mol/L塩酸水で抽出した。抽出した水層へ飽和炭酸ナトリウム水溶液をpHが9となるまで加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮することで0.21gの白色固体を得た。
(2)上記白色固体(0.21g)へエタノール(3.5mL)およびヒドラジン一水和物(1mL)を加えた後、1昼夜加熱還流した。放冷後、析出固体を濾取することで0.11gの白色固体を得た。
(3)上記白色固体(0.11g)のN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)溶液へ参考例3の標記化合物(0.18g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.16g)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.11g)およびトリエチルアミン(0.15mL)を加え室温にて18時間撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、0.16gの黄色固体を得た。
(4)上記黄色固体(0.16g)に2−プロパノール(4mL)、1,4−ジオキサン(2mL)、クロロホルム(8mL)およびメタノール(1mL)を加え、続いて4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(1.5mL)を加え室温にて9時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にメタノール(1mL)およびジエチルエーテル(10mL)を加え、析出固体を濾取することで0.13g黄色固体を得た。
【0242】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 7.23 (d, J=2.0Hz, 1H), 7.31 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.99 (t, J=5.4Hz, 1H), 8.07 (dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 8.14 (d, J=2.2Hz, 1H), 8.76 (d, J=5.4Hz, 1H), 8.83 (d, J=5.4Hz, 1H), 9.24 (s, 1H), 10.66 (s, 1H), 10.70 (s, 1H), 11.95 (s, 1H)
【0243】
参考例13〜17:の製造−
【0244】
対応するボロン酸化合物を出発原料とし参考例12と同様に反応・処理して表6に示す参考例13〜17の化合物を得た。
【0245】
【化35】

【0246】
【表1】

【0247】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、カラム[YMC CombiScreen ODS-A(S-5um, 12nm, 4.6mm X 50mm)]、流速3.5mL/分、UV検出[220nm]、溶出条件は溶出溶媒として[A : 0.05%トリフルオロ酢酸/水、B :0.35%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル]を以下のグラジエント[0.0-1.0分 A 90%, 1.0-4.7分 Linear gradient from A 90% to 1%, 4.7-5.7min A 1%, 5.7-6.1 min Linear gradient from A 1% to 90%, 6.1-7.1 min Linear gradient from A 90% to 100%, 7.1-7.2 min A 100%]で送液した。
【0248】
実施例1:3−(4−{1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0249】
【化36】

【0250】
3−ヒドロキシ−4−ニトロ安息香酸(0.38g)の酢酸エチル(5mL)溶液に塩化チオニル(0.74g)を加えた後、2時間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮し、酢酸エチルおよびテトラヒドロフランで共沸した後、残渣をテトラヒドロフラン(5mL)で溶解し、参考例2の標記化合物(0.7g)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液へ室温で滴下した。同温で1昼夜撹拌した後、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を加え30分撹拌した。反応液へジイソプロピルエーテルを加えた後、分取した水層へ1mol/Lクエン酸水溶液をpHが7以下になるまで加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)に付し、標記化合物0.81gを橙色アモルファスとして得た。
【0251】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.40 (d, J=6.6Hz, 3H), 4.50 (quintet, J=6.6Hz, 1H), 6.44 (dd, J=8.3, 2.0Hz, 2H), 6.51 (t, J=2.0Hz, 1H), 6.53 (d, J=6.6Hz, 1H), 6.95 (d, J=2.0Hz, 1H), 6.97 (t, J=8.3Hz, 1H), 7.23 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.69 (m, 2H), 7.93 (d, J=2.0Hz, 1H), 8.06 (dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 8.46 (d, J=2.2Hz, 1H), 10.38 (s, 1H), 10.50 (s, 1H), 11.77 (s, 1H)
【0252】
実施例2:3−[4−(1−{[4−(1,1,1−トリメチルメチル)フェニル]アミノ}エチル)フェニル]−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0253】
【化37】

【0254】
対応する原料化合物を用い参考例2および実施例1と同様に反応・処理して標記化合物を得た。
【0255】
LC−MS:543.2(M+1)、1.26分(保持時間)
【0256】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、カラム[Waters ACQUITY UPLC BEH C18 (1.7um, 2.1mm X 50mm)]、流速0.75mL/分、UV検出[220および254nm]、溶出条件は溶出溶媒としてA : 0.05%ギ酸水溶液およびB : 0.05%ギ酸メタノール溶液を使用し、以下の条件[0.0-1.3分 Linear gradient from B 25% to 99%]で送液した。
【0257】
実施例3〜5
対応する原料化合物を用い参考例2および実施例1と同様に反応・処理して得られたアモルファスを酢酸エチルで溶解し、4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液を加え室温で撹拌した。析出固体を濾取し、表1に示す実施例3〜5の化合物を得た。
【0258】
【化38】

【0259】
【表2】

【0260】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、実施例2と同様である。
【0261】
実施例6: 3−(4−{1−[(3−フルオロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造
【0262】
【化39】

【0263】
参考例4の標記化合物(20.5mg)にメタノール(2mL)および酢酸(1mL)の混合溶媒を加えた後、3−フルオロアニリン(8.4mg)を加えた。続いてピコリンボラン(26.7mg)を加えた後、40℃で7時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチル(5mL)で抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮した。残渣をGilson HPLC Systemで精製後、溶媒を減圧下濃縮して得た残渣を1,4−ジオキサンで溶解し、4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(5μL)を加え減圧下濃縮した。残渣に1,4−ジオキサンを加えた後、凍結乾燥し標記化合物7.68mgを固体として得た。(DSR-26653)
【0264】
LC−MS:505.5(M+1)、4.06分(保持時間)
【0265】
LC−MSスペクトルに用いたクロマトグラフィーの条件は、カラム[Shiseido CAPCELL PAK C18 ACR (S-5um, 4.6mm X 50mm)]、流速3.5mL/分、UV検出[220および254nm]であり、溶出溶媒[A : 0.35%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル、B : 0.05%トリフルオロ酢酸/水]を以下のグラジエント[0.0-0.5分 A 10%, 0.5-4.8分 Linear gradient from A 10% to 99%, 4.8-5.0min A 99%]で送液した。
【0266】
実施例7〜14
対応する原料化合物を用い実施例6と同様に反応・処理して表2に示す実施例7〜14の化合物を得た。
【0267】
【化40】

【0268】
【表3】

【0269】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、実施例6と同様である。
【0270】
実施例15〜37
対応する原料化合物を用い実施例6と同様に反応・処理して得られたアモルファスを酢酸エチルで溶解し、トリフルオロ酢酸を加え室温で撹拌した。析出固体を濾取し、表3に示す実施例16〜37の化合物を得た。
【0271】
【化41】

【0272】
【表4】

【0273】
【表5】

【0274】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、実施例6と同様である。
【0275】
実施例38〜44
対応する原料化合物を用い実施例6と同様に反応・処理して表4に示す実施例38〜44の化合物を得た。
【0276】
【化42】

【0277】
【表6】

【0278】
実施例45:3−{4−[1−(フェニルアミノ)プロピル]フェニル}−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0279】
【化43】

【0280】
(1)4'−ブロモプロピオフェノン(5g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(6.6g)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン付加物(0.86mg)、酢酸カリウム(6.9g)およびジメチルスルホキシド(60mL)の混合物を窒素雰囲気下、80℃で1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)を加え、水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、6.6gの白色固体を得た。
(2)上記白色固体(6.6g)、3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(5g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.3g)および炭酸セシウム(18.6g)の混合物へトラヒドロフラン(50mL)および水(1mL)を加えた後、6時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、SHシリカゲル(富士シリシア製)を加え室温で撹拌した後、吸引濾過した。濾紙上の残渣をクロロホルムで洗浄した後、濾液と洗浄液をあわせて減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、5.9gの黄色固体を得た。
(3)上記黄色固体(5.7g)へアニリン(8.85g)、メタノール(25mL)および酢酸(2mL)を加えた後、ピコリンボラン(10.2g)を加え40℃で3時間撹拌した。反応液に室温で1mol/L塩酸水溶液(30mL)を加え1時間撹拌した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液をpHが10以上になるまで加えた。反応液に水(100mL)を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣へエタノール(100mL)およびヒドラジン一水和物(20mL)を加えた後、加熱還流を1昼夜行った。反応液へ水を加え、クロロホルムで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、1.52gの白色固体を得た。
(4)上記白色固体(1.5g)、参考例3の標記化合物(1g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.2g)およびテトラヒドロフラン(10mL)の混合物へN−ジイソプロピルエチルアミン(1.1mL)を加え室温で1昼夜撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、1.5gのアモルファスを得た。
(5)上記アモルファス(1.5g)の2−プロパノール(3mL)溶液に4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(4mL)を加え室温で1昼夜撹拌した。反応液へ飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をpHが8以上になるまで加えた後、飽和硫酸水素カリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮することで標記化合物0.99gを白色固体として得た。
【0281】
LC−MS:501.1(M+1)、3.17分(保持時間)
【0282】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、参考例16〜17と同様である。
【0283】
実施例46:3−(4−{1−[(4−エチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(3−シアノ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド塩酸塩の製造−
【0284】
【化44】

【0285】
(1)対応する原料化合物を用い参考例2と同様の反応・処理を行って得た3−(−{1−[(4−エチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸ヒドラジド(0.2g)のN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に参考例5の標記化合物(0.14g)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.13g)を加え窒素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)に付し、0.26gのアモルファスを得た。
(2)上記アモルファスのメタノール(2mL)溶液へ氷冷下、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え同温で2時間撹拌した。反応液へ1mol/Lクエン酸水溶液をpHが7以下になるまで加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣を酢酸エチルで溶解し、4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液を加え室温で撹拌した後、析出固体を濾取し、標記化合物0.18gを固体として得た。
【0286】
LC−MS:495.5(M+1)、0.98分(保持時間)
【0287】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、実施例2と同様である。
【0288】
実施例47:3−(4−{1−[(4−メチルフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(3−シアノ−4−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド塩酸塩の製造−
【0289】
【化45】

【0290】
対応する原料化合物を用い参考例2および実施例46と同様に反応・処理して標記化合物を得た。
【0291】
LC−MS:480.9(M+1)、0.88分(保持時間)
【0292】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、実施例2と同様である。
【0293】
実施例48:3−(4−{(1R)−1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0294】
【化46】

【0295】
(1)参考例3の標記化合物(0.77g)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に参考例8の標記化合物(1.2g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.65g)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.45g)、トリエチルアミン(0.5mL)を加え室温にて14時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、1.91gの淡黄色アモルファスを得た。
(2)上記淡黄色アモルファス(1.91g)のメタノール(5mL)および1,4−ジオキサン(15mL)の混合溶液に4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(2mL)を室温で加え、同温で10時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、酢酸エチル、1mol/Lクエン酸水溶液を順次加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、残渣にジイソプロピルエーテルを加え減圧下濃縮した。残渣へジイソプロピルエーテル(30mL)およびメタノール(6mL)を加え70℃で加熱撹拌した。放冷後、析出固体を濾取することで標記化合物1.15gを黄色固体として得た。
【0296】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.40 (d, J=6.8Hz, 3H), 4.50 (quintet, J=6.8Hz, 1H), 6.44 (dd, J=8.0, 2.0Hz, 2H), 6.50 (d, J=2.0Hz, 1H), 6.53 (d, J=6.8Hz, 1H), 6.94 (d, J=2.0Hz, 1H), 6.97 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.23 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.68 (m, 2H), 7.93 (d, J=1.7Hz, 1H), 8.05 (dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 8.46 (d, J=2.2Hz, 1H), 10.37 (s, 1H), 10.50 (s, 1H), 11.73 (s, 1H)
【0297】
実施例49〜51
【0298】
対応する原料化合物を用い実施例48と同様に反応・処理して表5に示す実施例49〜51の化合物を得た。
【0299】
【化47】

【0300】
【表7】

【0301】
実施例52:3−(4−{(1S)−1−[(3−クロロフェニル)アミノ]エチル}フェニル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0302】
【化48】

【0303】
参考例9の標記化合物を用い実施例48と同様に反応・処理して標記化合物を得た。
【0304】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.40 (d, J=6.8Hz, 3H), 4.50 (quintet, J=6.8Hz, 1H), 6.44 (dd, J=8.0, 2.0Hz, 2H), 6.50 (d, J=2.0Hz, 1H), 6.53 (d, J=6.8Hz, 1H), 6.94 (d, J=2.0Hz, 1H), 6.97 (t, J=8.0Hz, 1H), 7.23 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.37 (m, 2H), 7.68 (m, 2H), 7.93 (d, J=1.7Hz, 1H), 8.05 (dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 8.46 (d, J=2.2Hz, 1H), 10.37 (s, 1H), 10.50 (s, 1H), 11.73 (s, 1H)
【0305】
実施例53:3−(5−{1−[(4−フルオロフェニル)アミノ]エチル}ピリジン−2−イル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0306】
【化49】

【0307】
参考例11の標記化合物(50mg)へ4−フルオロアニリン(0.12g)、メタノール(8mL)ジオキサン(5mL)および酢酸(1mL)を加えた後、ピコリンボラン(0.18g)を加え70℃で1昼夜撹拌した。反応液に1mol/L飽和炭酸ナトリウム水溶液をpHが10以上になるまで加え、クロロホルムで洗浄した後、水層へ飽和硫酸水素カリウム水溶液をpHが7になるまで加えクロロホルムで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した後、残渣へ酢酸エチルおよびヘキサンを順次加え析出した固体を濾取することで標記化合物5.6mgを黄色固体として得た。
【0308】
LC−MS:506.2(M+1)、2.99分(保持時間)
【0309】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、参考例16〜17と同様である。
【0310】
実施例54:3−(5−{1−[(4−エチルフェニル)アミノ]エチル}ピリジン−2−イル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0311】
【化50】

【0312】
対応する原料化合物を用い実施例53と同様に反応・処理して標記化合物を得た。
【0313】
LC−MS:516.3(M+1)、3.11分(保持時間)
【0314】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、参考例16〜17と同様である。
【0315】
実施例55:3−{4−[(4−メチルフェノキシ)メチル]フェニル}−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド
【0316】
【化51】

【0317】
参考例11の標記化合物を用い実施例1と同様に反応・処理して標記化合物を得た。
【0318】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 2.21 (s, 3H), 5.08(s, 2H), 6.89 (m, 2H), 6.97 (d, J=2.0Hz, 1H), 7.07 (m, 2H), 7.23 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.43 (m, 2H), 7.75 (m, 2H), 7.96 (d, J=2.0Hz, 1H), 8.06 (dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 8.46 (d, J=2.2Hz, 1H), 10.41 (s, 1H), 10.53(s, 1H), 11.76 (s, 1H)
【0319】
実施例56:3−(6−{1−[(4−フェニル)アミノ]エチル}ピリジン−3−イル)−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0320】
【化52】

【0321】
(1)5−ブロモ−3−シアノピリジン(4g)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液へ、0℃で3mol/Lメチルマグネシウムクロリド−テトラヒドロフラン溶液(8mL)を滴下した。室温で1昼夜撹拌した後、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣のトルエン(150mL)へp−トルエンスルホン酸(0.1g)、エチレングリコール(6mL)を加え、Dean−Stark装置を付け1昼夜加熱還流した。放冷後、水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、2gの茶色固体を得た。
(2)上記茶色固体(2g)のジエチルエーテル(10mL)溶液へ−78℃で2.5mol/L n−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(8mL)を滴下した。−40℃以下で30分撹拌した後、塩化トリブチルすず(3.6mL)を加え、室温で1昼夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥および減圧下濃縮を行った。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、2.1gの無色油状物を得た。
(3)上記無色油状物(2.1g)のトルエン(100mL)溶液に3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(0.83g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(0.13g)およびリチウムクロリド(0.48g)を加え1昼夜加熱還流した。放冷した後、飽和フッ化カリウム水溶液を加え、続いてSHシリカゲル(富士シリシア製)を加え10分間撹拌し、セライト濾過した。セライト上の固体を酢酸エチルで洗浄した後、濾液と洗浄液をあわせて減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、0.65gの黄色油状物を得た。
(4)上記黄色油状物(0.65g)のエタノール(15mL)溶液へヒドラジン一水和物(3mL)を加え5時間加熱還流した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥および減圧下濃縮した。残渣のテトラヒドロフラン(50mL)溶液へ参考例3の標記化合物(1.5g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.23g)およびN−ジイソプロピルエチルアミン(1.2mL)を加え窒素雰囲気下、室温で1昼夜撹拌した。反応液へ水を加えクロロホルムで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥および減圧下濃縮した。残渣をアセトン(15mL)で溶解し塩酸(1mL)を加えた後、50℃で6時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮することで、0.46gの茶色固体を得た。
(5)上記茶色固体(60mg)へアニリン(37mL)、メタノール(3mL)および酢酸(0.5mL)を加えた後、ピコリンボラン(43mg)を加え40℃で1昼夜撹拌した。反応液に室温で1mol/L塩酸水溶液(30mL)を加え1時間撹拌した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液をpHが10以上になるまで加えた。反応液に飽和硫酸水素カリウム水溶液をpHが7になるまで加えクロロホルムで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、標記化合物22.4mgを茶色固体として得た。
【0322】
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6) δ: 1.44 (d, J=6.8Hz, 3H), 4.51 (quintet, J=6.8Hz, 1H), 6.45 (m, 1H), 6.50 (m, 2H), 6.97 (m, 2H), 7.04 (d, J=1.7Hz, 1H), 7.22 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.39 (d, J=8.0Hz, 1H), 8.00 (d, J=1.7Hz, 1H), 8.04 (dd, J=8.8, 2.2Hz, 1H), 8.04 (dd, J=8.0, 2.0Hz, 1H), 8.45 (d, J=2.2Hz, 1H), 8.82 (d, J=2.0Hz, 1H), 10.49 (s, 1H), 10.53 (s, 1H), 11.77 (s, 1H)
【0323】
実施例57:3−[3−フルオロ−4−({[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]アミノ}メチル)フェニル]−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジド塩酸塩の製造−
【0324】
【化53】

【0325】
(1)3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(0.36g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に3−フルオロ−4−ホルミルフェニルボロン酸(0.3g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(80.9mg)、炭酸セシウム(1.4g)および水(0.5mL)を加え窒素雰囲気下、4時間加熱還流した。放冷後、反応液へSHシリカゲル(富士シリシア製)を加え10分間撹拌し、セライト濾過した。濾液を減圧下濃縮後、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、0.46gの白色固体を得た。
(2)上記白色固体(100mg)および5−アミノ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン(92.4mg)の混合物にメタノール(5mL)、酢酸(1mL)およびクロロホルム(3mL)を加えた後、ピコリンボラン(81.3mg)を加え40℃で1昼夜撹拌した。反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液をpHが8以上になるまで加えた後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥を行った後、減圧下濃縮した。残渣へエタノール(10mL)およびヒドラジン一水和物(2mL)を加えた後、3時間加熱還流した。反応液に水を加えクロロホルムで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム)に付し、78.4mgの無色アモルファスを得た。
(3)上記無色アモルファス(75mg)および参考例3の標記化合物(46.4mg)へテトラヒドロフラン(5mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)を加えた後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(443.7mg)を加え、室温にて1昼夜撹拌した。反応液に水を加え酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、89.1mgの無色アモルファスを得た。
(4)上記無色アモルファス(85mg)へ2−プロパノール(2mL)および4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(2mL)を加え室温にて1昼夜撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にメタノール(1mL)およびジエチルエーテル(10mL)を加え、析出固体を濾取することで51.5mg淡黄色固体を得た。
【0326】
LC−MS:560.2(M+1)、3.51分(保持時間)
【0327】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、参考例16〜17と同様である。
【0328】
実施例58:3−{(5−[(フェニルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0329】
【化54】

【0330】
(1)3−ブロモ−2−フランカルボン酸エチル(0.5g)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液に5−ホルミルチオフェン−3−ボロン酸(0.46g)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.13g)、炭酸セシウム(2.23g)および水(1mL)を加え窒素雰囲気下、4時間加熱還流した。放冷後、反応液へSHシリカゲル(富士シリシア製)を加え10分間撹拌し、セライト濾過した。濾液を減圧下濃縮後、残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣へジエチルエーテルおよびヘキサンを加え撹拌後、析出固体を濾取することで0.58gの茶色固体を得た。
(2)上記黄色固体(0.2g)メタノール(4mL)、クロロホルム(4mL)および酢酸(2mL)を加えた後、アニリン(80μL)およびピコリンボラン(10.2g)を順次加え40℃で3時間撹拌した。反応液に室温で1mol/L塩酸水溶液(30mL)を加え1時間撹拌した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液をpHが10以上になるまで加えた。反応液に水(100mL)を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮することで茶色油状物を0.3g得た。
(3)上記茶色油状物(0.26g)へエタノール(3.5mL)およびヒドラジン一水和物(1mL)を加えた後、16時間加熱還流した。反応液を放冷し反応液へ酢酸エチルを加え飽和食塩水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、0.2gの無色油上物を得た。
(4)上記無色油状物(0.2g)、参考例3の標記化合物(0.16g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.16g)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.11g)およびジクロロメタン(6mL)の混合物へトリエチルアミン(0.13mL)を加え室温で1昼夜撹拌した。反応液へ水を加え酢酸エチルで抽出した後、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した。この有機層を減圧濃縮した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に付し、0.12gの淡黄色の固体を得た。
(5)上記淡黄色固体(0.12g)へ2−プロパノール(5mL)、クロロホルム(1mL)および1,4−ジオキサン(2mL)を加えた後、4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(1.5mL)を加え室温で1昼夜撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にメタノール(1mL)およびジエチルエーテル(10mL)を加え、析出固体を濾取することで標記化合物71mgを淡黄色固体として得た。
【0331】
LC−MS:479.0(M+1)、3.09分(保持時間)
【0332】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、参考例16〜17と同様である。
【0333】
実施例59:3−{(5−[(フェニルアミノ)メチル]−フラン−2−イル}−2−フランカルボン酸2−(4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾイル)ヒドラジドの製造−
【0334】
【化55】

【0335】
対応する出発原料を用い実施例65と同様に反応・処理して標記化合物を得た。
【0336】
LC−MS:463.3(M+1)、2.97分(保持時間)
【0337】
LC−MSスペクトルのクロマトグラフィーの条件は、参考例16〜17と同様である。
【0338】
以下に、試験例を挙げて本発明化合物のグルカゴン受容体拮抗薬としての有用性を支持する効果について説明する。
【0339】
試験例1 −グルカゴン結合阻害試験−
受容体結合阻害試験実施時の反応溶液の組成は、Bioorg. Med. ChemLett., 1992, 12, 915-918に記載の方法に準じて、以下の方法に従って実施した。3-[125I]iodotyrosyl10)Glucagonとラット肝臓細胞膜は以下の方法にしたがって入手または調製した。
【0340】
(3-[125I]iodotyrosyl10)Glucagon は、パーキンエルマー社(英国)で以下の方法に従って作製された。クロラミン-T法でglucagon(ペプチド研究所)を[125I]ラベルし、HPLCで(3-[125I]iodotyrosyl10)Glucagonを分離した。Refference dateで3.7 MBq/mLの放射活性になるように、10 mM citric acid、5% lactose, 0.2% cystein-HClおよび 0.25% BSAを含む水溶液に溶解した後、凍結乾燥した標品をパーキンエルマー社(英国)より購入した。0.3TIU/mL aprotinin水溶液に、refference dateで3.7 MBq/mLの放射活性になるように再度溶解し、-15℃から-40℃で凍結保存し使用した。
【0341】
実験生物学講座6、細胞分画法、31−33ページ (丸善株式会社)の方法に従いSDラットの肝臓より細胞膜を調製した。得られた細胞膜は-70℃から-85℃で凍結保存し使用した。
【0342】
室温で溶解した後にヒスコトロン(株式会社マイクロテック・ニチオン)を用いてけん濁した細胞膜を、1mg/mL BSA(シグマアルドリッチ)、0.1mg/mL bacitracin(和光純薬(株))、1%DMSO、0.01%酢酸、50pM(3-[125I]iodotyrosyl10)Glucagonを含む50mM Tris-HCl buffer(pH7.2)(何れも最終濃度で(3-[125I]iodotyrosyl10)Glucagonの放射活性は測定日で計算した)に加え、全量を0.2mLとして反応を開始させ、25℃で120分間インキュベートした。添加した(3-[125I]iodotyrosyl10)Glucagonのうち、10%が全結合量になるように、細胞膜濃度を調整した。
【0343】
塩酸を添加してpH7.2に調製した0.3%ポリエチレンイミン(シグマアルドリッチ(株))で15分以上浸したGF/Cフィルター(Whatman International Ltd.、英国)で、反応溶液を吸引濾過することにより膜に結合した(3-[125I]iodotyrosyl10)Glucagonを回収し、フィルターを氷冷した50mM Tris-HCl buffer(pH7.4)で3回洗浄し、フィルターの放射活性をγカウンター(1470 WIZARD γ−カウンティング)(Wallac(株))で測定した。全結合量より10μMグルカゴン((株)ペプチド研究所)存在下での非特異的結合量を差し引いて特異的結合量とした。
【0344】
試験化合物非存在下での特異的結合量を100%として、試験化合物各濃度における阻害率(%)を求め、50%結合阻害濃度(IC50値)を非線形最小二乗法で算出した。結果を下記表8に示す。
【0345】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0346】
式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩(本発明化合物と称する場合もある。)は、強いグルカゴン受容体拮抗作用を有し、グルカゴンが関与する症状及び疾患、例えば高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、高トリグリセライド血症、高リポ蛋白血症、高コレステロール血症、動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心血管障害、高血圧、心肥大、消化管障害、肥満、肥満による糖尿病、メタボリックシンドローム、糖尿病性合併症(白内障、網膜症、角膜症、神経障害、腎症、末梢循環障害、脳血管障害、虚血性心疾患、動脈硬化症等)等の症状及び疾患の予防及び/又は治療に適用することができる。加えて、毒性も低いので医薬品として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩。

[式中、環Aは、C3−8シクロアルキレン、フェニレン、または下記

からなる群から選択される1のヘテロアリーレンであり;
は、置換されていてもよいC6−10アリール基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基、または置換されていてもよいへテロ環基であり;
およびRは、同一または異なって、水素原子、またはC1−4アルキル基であり;
は、水素原子、ハロゲン原子、またはC1−4アルキル基であり;
およびRは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキル基、置換されていてもよいC2−6アルケニル基、置換されていてもよいC2−6アルキニル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、置換されていてもよいC3−8シクロアルコキシ基、置換されていてもよいC1−4アルキルカルボニル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルキルカルボニル基、置換されていてもよいC1−4アルコキシカルボニル基、置換されていてもよいC3−8シクロアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいC6−10アリール基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基、置換されていてもよいC6−10アリールカルボニル基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールカルボニル基、置換されていてもよいC7−14アラルキル基、置換されていてもよい5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリールC1−4アルキル基、または置換されていてもよいヘテロ環基であり;
Xは、酸素原子、硫黄原子、またはNRであり;
は、水素原子、またはC1−4アルキル基であり;
は、シアノ基、またはニトロ基であり;
nは、1〜4の整数である。]
【請求項2】
環Aが、下記

で表される群から選択される1の基である請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aが、1,4−フェニレンである請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
環Aが、2,5−ピリジレンである請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、C6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、
(e)カルボキシル基、および
(f)シアノ基からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)、または5員〜10員の単環式もしくは多環式ヘテロアリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、
(d)C1−4アルキコキシカルボニル基、および
(e)カルボキシル基からなる群から選択される同一または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、C6−10アリール基(該基は、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1−4アルキル基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)、および
(c)C1−4アルコキシ基(1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。)からなる群から選択される同種または異種の1〜3個の基で置換されていてもよい。)である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
およびRが、共に水素原子である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、水素原子であり、Rが、C1−4アルキル基である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
が、メチル基である、請求項8に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、水素原子、またはハロゲン原子である、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が、水素原子である、請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
およびRが、共に水素原子である、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Xが、NRである、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、水素原子である、請求項13に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
が、シアノ基である、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
が、ニトロ基である、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
nが、1である、項1〜項16のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項19】
高血糖、耐糖能異常、インスリン抵抗性症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、高脂血症、高トリグリセライド血症、高リポ蛋白血症、高コレステロール血症、動脈硬化症、グルカゴノーマ、急性膵炎、心血管障害、高血圧、心肥大、消化管障害、肥満、肥満による糖尿病、メタボリックシンドローム、及び糖尿病性合併症からなる群から選択される症状及び疾患の予防及び/又は治療に用いられる、請求項1〜請求項18のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物。
【請求項20】
請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含有する糖尿病治療剤。

【公開番号】特開2012−188352(P2012−188352A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164739(P2009−164739)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】