説明

CB1拮抗薬としてのアリールアルキル尿素類

【課題】CB1拮抗薬を提供する。そのような化合物は、生体内または生体外でCB1活性を調節するのに使用することができ、食欲障害、肥満、および嗜癖障害を含めた、ヒト、飼い慣らされたコンパニオンアニマル、および家畜動物のCB1レセプター調節に応答する状態の治療に特に有用である化合物を提供する。そのような障害を治療するための医薬品組成物、およびその使用方法を、そのようなリガンドを受容体局在化研究および様々な生体外アッセイに使用するための方法として提供する。
【解決手段】CB1拮抗薬としてアリールアルキル尿素類を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にアリールアルキル尿素、および、カンナビノイド受容体−1(CB1)の調節に応答する病状を治療するための、そのような化合物の使用に関する。本発明はさらに、CB1に結合するその他の薬剤を同定するための試薬として、またCB1を検出し局在化させるためのプローブとして、そのような化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、先進国において最も一般的な栄養上の問題である。この状態は、重篤な健康状態(心血管疾患や糖尿病など)を発症する可能性を高めるので、また呼吸器疾患や変形関節炎、骨粗しょう症、胆嚢疾患、異脂肪症など非常に数多くの慢性状態を併発させるので、しばしば有害であると共に費用もかかる。しかし幸いにも、肥満によって引き起こされまたは悪化する状態の多くは、減量によって回復させまたは劇的に改善することができる。
【0003】
単なる行動上の問題(すなわち自発的な過食の結果)を考えると、肥満は現在、食物摂取の不完全な調節、食物によって誘発されるエネルギー消費、脂質と除脂肪同化作用とのバランスを含めた、複雑な多因子性疾患として認識されている。肥満の発症には、環境上および遺伝子的な因子も共にある役割を演じている。その結果、もっぱら行動修正に焦点を合わせた治療プログラムは、限られた効力しか発揮せず、95%を超える常習率に関連している。薬物療法は、現在、減量およびその後の体重管理の極めて重要な構成要素として見られている。
【0004】
肥満管理のための現在入手可能な処方薬は、一般に、満腹感を誘発させることによって、または食事脂肪の吸収を減少させることによって、体重を減少させる。しかしそのような薬物には、しばしば許容できない副作用がある。ドーパミン経路を介して作用する、より古いアドレナリン作動性減量薬(例えばアンフェタミン、メタンフェタミン、およびフェンメトラジン)などのいくつかは、それらの乱用の危険性があるのでもはや推奨されない。フェンフルラミンおよびデキスフェンフルラミンも、共に食欲を調節するのに使用されるセロトニン作動薬であるが、これらももはや使用することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、減量を促進させ、かつ体重増加を低下させまたは予防するための、より効果的な薬剤に対するニーズが存在する。さらに、アルコール依存症およびタバコ依存症の治療のためのより効果的な薬剤について、まだ対処されていないニーズがある。本発明は、このニーズを満たすものであり、その他の関連する利点をもたらすものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、CB1拮抗薬としてアリールアルキル尿素を提供する。そのような化合物は、一般に式Iを満たし、
【0007】
【化1】

またはそのような化合物の、医薬品として許容される塩である。
【0008】
式I中:
Rは
(a)(5または6員ヘテロアリール)C〜CアルキルまたはフェニルC〜Cアルキルで、それぞれRから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されているか;または
(b)(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれは、
(i)5〜7員炭素環または複素環に縮合されていてもよく、および
(ii)置換されていてもよく、好ましくは、Rから独立に選ばれた0〜4個の置換基であり;
Arは、フェニル、ナフチルまたは5〜10員のヘテロアリールであり、それぞれは置換されていてもよく、それぞれは、好ましくは、Rから独立に選択された0〜4個の置換基で置換されており;
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、
【0009】
【化2】

であり、ただしmは独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素、C〜Cアルキルおよび置換されていても良い4〜7員の複素環をQと共に形成する基から選択され;好ましくは、Mは、存在していないか、O、OC(=O)、OC(=O)O、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル、(5〜10員複素環)C〜Cアルキル、または4〜7員複素環をMと共に形成しており、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基でそれぞれ置換されており;
ある態様では、好ましくは、Rは無置換のベンジルではなく;または、
(c)隣接する環の炭素原子上に位置するRと共に縮合5〜7員炭素環または複素環を形成しており、置換されていてもよく、好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換されており;および
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、C(=O)、OC(=O)、C(=O)O、O−C(=O)O、S(O)、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素およびC〜Cアルキルから選択され;および
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換されている。
【0010】
ある態様では、上述の化合物は、非競合的CB1拮抗薬である。
【0011】
本発明はさらに、本明細書で述べた治療上有効な量の少なくとも1種の化合物を患者に投与する工程を含む、患者のCB1調節に応答する病状を治療するための方法を提供する。そのような病状には、例えば、食欲障害、肥満、アルコール依存症やニコチン依存症などの依存障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸疾患、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害、および骨量の減少が含まれる。
【0012】
他の態様では、本明細書で述べた少なくとも1種の化合物を、食欲を低下させる量だけ投与する工程を含む、患者の食欲を抑制するための方法が提供される。
【0013】
本発明はさらに、(a)式I(または本明細書で与えられる他の式)の化合物である第1の薬剤と、(b)CB1調節に応答する1種類以上の病状(例えば、食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸疾患、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害、または骨量の減少)の治療に適した第2の薬剤と、(c)生理的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬品組成物を提供する。
【0014】
本発明は、(a)容器内の、式I(または本明細書で与えられる他の式)の化合物を含む組成物と、(b)CB1調節に応答する1種類以上の病状の治療にこの組成物を使用するための取扱説明書とを含む、包装された医薬品製剤も提供する。
【0015】
さらに本明細書では、(a)CB1を、式I(または本明細書で与えられる他の式)の標識済み非競合的CB1拮抗薬および試験化合物に、この標識済み化合物とCB1との結合が可能になる条件下で接触させる工程と、(b)結合していない標識済み非競合的CB1拮抗薬および結合していない試験化合物を除去する工程と、(c)CB1に結合した標識済み非競合的CB1拮抗薬の量に対応するシグナルを検出する工程と、および(d)このシグナルを、試験化合物が存在しない状態でCB1に結合した標識済み非競合的CB1拮抗薬の量に対応する参照シグナルと、比較する工程とを含む、非競合的CB1拮抗薬を同定するための方法が提供される。
【0016】
他の態様では、本発明は、(a)化合物とCB1との結合が可能になる条件下、サンプルを、本明細書で述べる化合物と接触させる工程と、および(b)CB1に結合した化合物のレベルを検出する工程とを含む、サンプル中のCB1の存在または不存在を決定するための方法を提供する。
【0017】
さらに別の態様では、本発明は、中間体も含めて本明細書で開示される化合物を調製する方法を提供する。
【0018】
本発明の、これらおよびその他の態様は、以下の詳細な記述を参照することによって明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上述のように、本発明は、CB1拮抗薬を提供する。そのような化合物は、本明細書で述べる様々な状況において、生体外でまたは生体内で使用することができる。
【0020】
用語
化合物は、本明細書では一般に、標準的な命名法を使用して記述する。不斉中心を有する化合物の場合、(他に特に指示しない限り)光学異性体およびその混合物の全てが包含されると理解すべきである。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物はZ型およびE型で生ずる可能性があるが、この化合物の全ての異性体は、他に特に指示しない限り本発明に含まれる。化合物が様々な互変異性型で存在する場合、列挙される化合物は、いずれか1種の特定の互変体に限定されず、全ての互変異性型を包含するものとする。ある化合物は、本明細書では、変数(例えばR、Ar)を含む一般式を使用して記述する。他に特に指示しない限り、そのような式中の各変数は、その他の変数とは無関係に定義され、1つの式で複数回出現する任意の変数は、それぞれ出現するごとに独立に定義される。
【0021】
化合物の「医薬品として許容される塩」は、過剰な毒性または発癌性なしに、好ましくは刺激、アレルギー性応答、あるいはその他の問題または合併症なしに、人間または動物の組織に接触させて使用するのに適した酸または塩基の塩である。そのような塩には、アミンなどの塩基性残基の無機酸および有機酸の塩、ならびにカルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩が含まれる。特定の医薬品として許容される塩には、塩酸やリン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、および酢酸などのアルカン酸などであって、HOOC−(CH−COOH(式中、nは0〜4である)などの酸の塩が含まれるが、これらに限定するものではない。同様に、医薬品として許容される陽イオンには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム、およびアンモニウムが含まれるが、これらに限定するものではない。当業者なら、Reminton’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Pyblishing Company,Easton,PA,p.1418(1985)に列挙されているものも含めて、本明細書に提示される化合物に関するその他の、医薬品として許容される塩を理解するであろう。一般に、医薬品として許容される酸または塩基の塩は、任意の従来の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。簡単に言うと、そのような塩は、これら化合物の遊離酸または遊離塩基の形のものを、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中でまたは有機溶媒中であるいはこれら2種の混合物中で反応させることによって調製することができ、一般にはエーテルや酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルを使用することが好ましい。
【0022】
各式I(および本明細書で与えられる他の式)の化合物は、必ずしも必要ではないが水和物、溶媒和物または非共有錯体として配合できることが明らかにされよう。さらに、様々な結晶形態および多形体が、本発明の範囲内に含まれる。式Iおよび本明細書で与えられる他の式の化合物のプロドラッグも、本明細書に提示される。「プロドラッグ」は、本明細書中で与えられる式の構造要件を完全には満たしていなくてもよく、患者に投与した後に生体内で改変され、それによって式Iおよび本明細書で与えられる他の式の化合物を生成する化合物である。例えば、プロドラッグは、本明細書で与えられたような化合物のアシル化誘導体でよい。プロドラッグは、哺乳動物の被験体に投与されたときにヒドロキシ基、アミン基、またはスルフィドリル基が切断されて、遊離ヒドロキシ、アミノ、またはスルフィドリル基をそれぞれ形成する任意の基に結合された化合物を含む。プロドラッグの例には、本明細書に提示される化合物中のアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメート、およびベンゾエート誘導体が含まれるが、これらに限定するものではない。本明細書に提示される化合物のプロドラッグは、改変部分が生体内で切断されて親化合物が得られるように、化合物中に存在する官能基を改変することによって調製することができる。
【0023】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖飽和脂肪族炭化水素を指す。アルキル基には、メチルやエチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、または3−メチルペンチルなど、1〜8個の炭素原子を有する基(C〜Cアルキル)、1〜6個の炭素原子を有する基(C〜Cアルキル)、および1〜4個の炭素原子を有する基(C〜Cアルキル)が含まれる。「C〜Cアルキル」は、単一の共有結合(C)、あるいは1、2、3、または4個の炭素原子を有するアルキル基を指し;「C〜Cアルキル」は、単一の共有結合またはC〜Cアルキル基を指し;「C〜Cアルキル」は、単一の共有結合またはC〜Cアルキル基を指す。
【0024】
「アルキレン」は、上記にて定義したような2価のアルキル基を指す。C〜Cアルキレンは、単一の共有結合、あるいは1、2または3個の炭素原子を有するアルキレン基である。
【0025】
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素二重結合が存在している、直鎖または分枝鎖アルケン基を指す。アルケニル基には、エテニルやアリル、またはイソプロペニルなど、2〜8個、2〜6個、または2〜4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜Cアルケニル基、C〜Cアルケニル基、およびC〜Cアルケニル基が含まれる。「アルキニル」は、1つまたは複数の不飽和炭素−炭素結合を有しかつその少なくとも1つが三重結合である、直鎖または分子鎖アルキン基を指す。アルキニル基には、2〜8個、2〜6個、または2〜4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜Cアルキニル基、C〜Cアルキニル基、およびC〜Cアルキニル基が含まれる。
【0026】
「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、デカヒドロ−ナフタレニル、オクタヒドロ−インデニルなどの全ての環員が炭素である飽和または部分飽和環状基、または、シクロヘキセニルなどの前述の部分飽和変種である。ある種のシクロアルキル基は、環が3〜8個の環員を含有しかつその全てが炭素である、C〜Cシクロアルキルである。「(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル」は、単一の共有結合またはC〜Cアルキレン基を介して結合されたC〜Cシクロアルキル基である。
【0027】
本明細書で使用する「アルコキシ」とは、酸素橋を介して結合されたアルキル基を意味する。アルコキシ基には、1〜6個または1〜4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜Cアルコキシ基およびC〜Cアルコキシ基が含まれる。メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシは、具体的なアルコキシ基である。
【0028】
同様に、「アルキルチオ」は、硫黄橋を介して結合されたアルキル基を指す。
【0029】
「アルカノイル」という用語は、直鎖または枝分かれ状のアシル基(例えば、−(C=O)−アルキル)を指し、結合はケト基の炭素を通してなされている。アルカノイル基には、2〜8個、2〜6個、または2〜4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜Cアルカノイル基、C〜Cアルカノイル基、およびC〜Cアルカノイル基が含まれる。「Cアルカノイル」は、(C〜Cアルカノイルと共に)「C〜Cアルカノイル」という用語に包含される−(C=O)Hを指す。エタノイルはCアルカノイルである。
【0030】
「アルカノン」は、炭素原子が直鎖または分岐鎖アルキルの配置にあるケトン基である。「C〜Cアルカノン」、「C〜Cアルカノン」、および「C〜Cアルカノン」は、3〜8個、6個、または4個の炭素原子をそれぞれ有するアルカノンを指す。例として、Cアルカノン基は、構造−CH−(C=O)−CHを有する。
【0031】
同様に「アルキルエーテル」は、直鎖または分子鎖エーテル置換基を指す。アルキルエーテル基には、2〜8個、6個、または4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜Cアルキルエーテル基、C〜Cアルキルエーテル基、およびC〜Cアルキルエーテル基が含まれる。例として、Cアルキルエーテルは、構造−CH−O−CHを有する。
【0032】
「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニルを介して結合されたアルコキシ基を指す(すなわち、一般構造−C(=O)−O−アルキルを有する基)。アルコキシカルボニル基には、この基のアルキル部分に1〜8個、6個、または4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜C、C〜C、およびC〜Cアルコキシカルボニル基が含まれる。例えば、「Cアルコキシカルボニル」は、−C(=O)−O−CHを指す。
【0033】
本明細書で使用する「アルカノイルオキシ」は、酸素橋介して結合されたアルカノイル基を指す(すなわち、一般構造−O−C(=O)−アルキルを有する基)。アルカノイルオキシ基には、2〜8個、6個、または4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜C、C〜C、およびC〜Cアルカノイルオキシ基が含まれる。例えば、「Cアルカノイルオキシ」は−O−C(=O)−CHを指す。
【0034】
「アルキルスルホニル」は、硫黄原子が結合点である式−(SO)−アルキル基を指す。アルキルスルホニル基には、1〜6個または1〜4個の炭素原子をそれぞれ有するC〜Cアルキルスルホニル基およびC〜Cアルキルスルホニル基が含まれる。「C〜Cハロアルキルスルホニル」は、少なくとも1個のハロゲンで置換された1〜4個の炭素原子のアルキルスルホニル基(例えば、トリフルオロメチルスルホニル)である。
【0035】
「アルキルアミノ」は、一般構造−NH−アルキルまたは−N(アルキル)(アルキル)を有する第2級または第3級アミンを指し、各アルキルは、同じでも異なってもよい。そのような基には、例えば、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ基であって、各アルキルは同じでも異なってもよく、1〜8個の炭素原子を有していてもよく、ならびにモノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ基とモノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノ基が含まれる。
【0036】
「アルキルアミノアルキル」は、各アルキルが独立に選択される、アルキレン基を介して結合されたアルキルアミノ基を指す(すなわち、一般構造−アルキル−NH−アルキルまたは−アルキル−N(アルキル)(アルキル)を有する基)。そのような基には、例えば、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノC〜Cアルキル、モノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノC〜Cアルキル、およびモノ−およびジ−(C〜Cアルキル)アミノC〜Cアルキルであって、各アルキルが同じでも異なってもよいものが含まれる。「モノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノC〜Cアルキル」は、単一の共有結合またはC〜Cアルキレン基を介して結合されたモノ−またはジ−(C〜Cアルキル)アミノ基を指す。下式は、代表的なアルキルアミノアルキル基である。
【0037】
【化3】

「アミノカルボニル」という用語は、アミド基を指す(すなわち−C(=O)NH)。
【0038】
「アミノスルホニル」という用語は、スルホンアミド基を指す(すなわち−SONH)。
【0039】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0040】
「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基である(例えば、「C〜Cハロアルキル」基は1〜8個の炭素原子を有し;「C〜Cハロアルキル」基は、1〜6個の炭素原子を有する)。ハロアルキル基の例には、モノ−、ジ−、またはトリ−フルオロメチル;モノ−、ジ−、またはトリ−クロロメチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−フルオロエチル;モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−クロロエチル;および1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチルが含まれるが、これらに限定するものではない。典型的なハロアルキル基は、トリフルオロメチルおよびジフルオロメチルである。「ハロアルコキシ」という用語は、酸素橋を介して結合された、上記にて定義されたハロアルキル基を指す。「C〜Cハロアルコキシ」基は、1〜8個の炭素原子を有する。
【0041】
2個の文字または数の間ではないダッシュ(「−」)記号は、置換基の結合点を示すのに使用する。例えば−C(=O)NHは、炭素原子を介して結合される。
【0042】
「炭素環」は、それぞれが炭素環員しか持たない1〜3個の縮合環、ペンダント環、またはスピロ環を有する。典型的な場合、ある実施形態では、3〜8個の環員を含有した単環を有する炭素環(すなわちC〜C炭素環);4個または5個〜7個の環員を有する環(すなわちC〜C炭素環またはC〜C炭素環)が挙げられる。縮合環、ペンダント環、またはスピロ環を含む炭素環は、典型的には9〜14個の環員を含有する。炭素環は、任意選択で、示されるような様々な置換基で置換することができる。他に特に指示しない限り、炭素環は、シクロアルキル基(すなわち、各環が、上述のように飽和しまたは部分飽和している)またはアリール基(すなわち、この基の少なくとも1個の環が芳香族である)でよい。代表的な芳香族炭素環は、フェニル、ナフチル、およびビフェニルである。ある実施形態では、好ましい炭素環は、フェニルやC〜Cシクロアルキル基などの単環を有する。
【0043】
「複素環」(本明細書では「複素環基」とも呼ぶ)は、1〜3個の縮合環、ペンダント環、またはスピロ環を有し、その少なくとも1個は複素環式環である(すなわち1個または複数の環原子は、酸素、硫黄、および窒素から独立に選択されたヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である)。典型的な場合、複素環式環は、1、2、3、または4個のヘテロ原子を含み;ある実施形態では、各複素環式環が、環1個当たり1または2個のヘテロ原子を有する。各複素環式環は、一般に、3〜8個の環員を含有し(ある実施形態では、4個または5個〜7個の環員を有する環が挙げられる)、縮合環、ペンダント環、またはスピロ環を含む複素環は、典型的には9〜14個の環員を含有する。ある複素環は、環員として硫黄原子を含み;ある実施形態では、硫黄原子はSOまたはSOに酸化される。複素環は、任意選択で、示されるような様々な置換基で置換することができる。ある複素環は、5〜10員ヘテロアリール(単環式または2環式でよい)や6員ヘテロアリール(例えばピリジルやピリミジル)などのヘテロアリール基である(すなわち、この基の少なくとも1個の複素環式環が芳香族である)。その他の複素環は、ヘテロシクロアルキル基である(すなわち、芳香族の環はない)。
【0044】
本明細書で使用する「置換基」は、問題となっている分子内で原子に共有結合している分子部分を指す。例えば「環置換基」は、環員である原子(好ましくは、炭素原子や窒素原子)に共有結合しているハロゲンやアルキル基、ハロアルキル基、または以上で論じられるその他の基などの部分でよい。「置換」という用語は、分子構造内の水素原子を、本明細書に記載される置換基に代えることを指し、したがって、指定された原子の価数を超えることはなく、また化学的に安定な化合物(すなわち単離し、特徴付けし、生物活性に関して試験することができる化合物)が、この置換から得られるようになる。
【0045】
「任意選択で置換される(置換されても良い)」基は、置換されず、または水素以外によって1つまたは複数の利用可能な位置で置換され、典型的には1、2、3、4、または5位で1個または複数の適切な基(同じでも異なってもよい)で置換される。任意選択の置換は、「0〜X個の置換基により置換され」という文言によっても示されるが、Xは、可能な置換基の最大数である。ある任意選択で置換された基は、0〜2、3、または4個の独立に選択された置換基で置換される(すなわち、置換されず、または列挙される最大数までの置換基で置換される)。
【0046】
本明細書で使用する「CB1」は、Hoeche他(1991)New Biol.3(9):880〜85により報告されたヒトカンナビノイド受容体、ならびにその対立遺伝子変種、およびその他の種に見出されるその相同体を指す。
【0047】
「CB1拮抗薬」は、CB1によって媒介されるシグナル伝達を検出可能に阻害する化合物である。そのような阻害は、実施例8に示される代表的な作動薬誘導型GTP結合アッセイを使用して、決定することができる。好ましいCB1拮抗薬は、このアッセイにおいて2μM以下のIC50を有し、より好ましくは1μM以下であり、さらにより好ましくは100nM以下である。ある実施形態では、CB1拮抗薬は、CB1に特異的である(すなわち、優性末梢カンナビノイド受容体CB2を使用して実施される同様のアッセイでのIC50値は、2μMよりも大きく、かつ/またはIC50比(CB2/CB1)が少なくとも10であり、好ましくは100であり、より好ましくは少なくとも1000である)。CB1拮抗薬は、好ましくは最小限の作動薬活性を有する(すなわち、引き起こされるCB1の基礎活性の増加は、作動薬CP55,940の1つのEC50によって引き起こされ得る増加の5%未満であり、より好ましくは、実施例8で記述されるアッセイでは、検出可能な作動薬活性がない)。本明細書で記述されように使用されるCB1拮抗薬は、一般に無毒性である。
【0048】
「非競合的CB1拮抗薬」は、(1)10μMまでの拮抗薬濃度で、CB1作動薬(例えばCP55,940)とCB1との結合を検出可能に阻害せず、(2)作動薬によって誘発される最大の機能的応答を低下させる、CB1拮抗薬である。これら2つの条件を満たす化合物は、本明細書に提示されるアッセイを使用して同定することができる。そのような化合物は、一般に、実施例7に示される競合結合アッセイで、検出可能な活性を示さない。機能的アッセイでは、非競合的拮抗薬が、作動薬のEC50を変化させることなく作動薬によって誘発された最大限の機能的応答を、濃度依存的に低下させる。非競合的拮抗薬による機能的活性の抑制は、作動薬濃度を増加させることによって克服することができない(すなわち、拮抗薬の活性を克服することができない)。
【0049】
「治療上有効な量」(または用量)は、患者に投与した後に、認識可能な患者の利益をもたらす量である(例えば、治療がなされる状態から、検知し得る軽減がもたらされる)。そのような軽減は、依存症の1つまたは複数の症状あるいは食欲障害の緩和、あるいは減量の促進を含めた、任意の適切な基準を使用して検出することができる。食欲抑制の場合、治療上有効な量は、患者の報告によるかまたは実際の食物摂取量を使用して評価したときに、患者の食欲を低下させるのに十分である。そのような量を、本明細書では「食欲低下量」と呼ぶ。治療上有効な量または用量は、一般に、CB1媒介型シグナル伝達の検出可能な変化をもたらすのに十分な(本明細書で提示されるアッセイを使用して)、体液(血液や血漿、血清、CSF、滑液、リンパ、細胞間質液、涙、または尿など)中の化合物の濃度をもたらす。認識可能な患者の利益は、化合物が投与される徴候に応じて、1回分の用量を投与した後に明らかにすることができ、または所定の投与計画に従って治療上有効な用量を繰り返し投与した後に明らかにすることができる。
【0050】
「患者」は、本明細書に提示される化合物を用いて治療がなされる任意の個体である。患者には、ヒト、ならびにコンパニオンアニマル(例えばイヌおよびネコ)や家畜などのその他の動物が含まれる。患者は、CB1の調節に応答する状態の1つまたは複数の症状を経験する可能性があり、またはそのような症状が全くない可能性がある(すなわち治療は、そのような症状が発症する危険性があると見なされる患者では、予防的にすることができる)。
【0051】
CB1拮抗薬
上述のように、本発明は、食欲障害、肥満、および嗜癖障害の治療を含めた様々な状況において使用することができる、ある種のアリールアルキル尿素を提供する。そのような化合物は、生体外アッセイ(例えばCB1活性に関するアッセイ)で、CB1の検出および局在化用のプローブとして使用することもでき、非競合的CB1拮抗薬を含めたその他のCB1拮抗薬を同定するアッセイでも使用することができる。
【0052】
本明細書で提示される化合物は式Iを満たす。そのような化合物において、Arは、フェニル、ピリジルまたはピリミジルであり、このそれぞれは、結合点に対してメタまたはパラに独立に位置付けられた0〜3個の置換基で置換される。換言すれば、Arがフェニルである場合、Arは、置換されておらずあるいは3、4、および/または5位で置換されている。同様に、Arがピリジン−2−イルである場合、ピリジン−2−イルは置換されておらず、あるいは4、5および/または6位で置換されている。ピリミジン基
【0053】
【化4】

は、好ましくは2および/または6位で置換され、
【0054】
【化5】

は、好ましくは4、5および/または6位で置換される。好ましくは、各置換基は独立に、(a)ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであるか;または、(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜CアルカノイルオキシまたはC〜Cアルコキシカルボニルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルカノイルおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜2個の置換基で置換されている。
【0055】
そのような化合物において、Arは置換されていないフェニルであるか、1個または2個の置換基で置換されたフェニルであって、この置換基のそれぞれが結合点に対してメタまたはパラに位置付けられたものであり、それぞれは独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである。代表的なそのようなAr基には、例えば、フェニル、3−ジフルオロメトキシ−フェニル、4−ジフルオロメトキシ−フェニル、3−(C〜Cアルキル)フェニル、4−(C〜Cアルキル)フェニル、3−(C〜Cアルコキシ)フェニルおよび4−(C〜Cアルコキシ)フェニルが含まれる。
【0056】
ある種の化合物において、Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基で置換されたフェニルC〜Cアルキルである。他の化合物においては、Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルC〜Cアルキルおよび(6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから独立に選ばれた0〜3個の置換基で置換されている。さらなる化合物においては、Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれはフェニルまたは6員ヘテロアリール環に縮合されており、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基で置換されている。
【0057】
式Iのある種の化合物は、式Iaをさらに満足する。
【0058】
【化6】

ただし、R、RおよびRは独立に水素およびRから選択され、RおよびRの少なくとも一方は水素ではない。その種のような化合物の場合、R、RおよびRは独立に、水素、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルカノイルオキシおよびC〜Cアルコキシカルボニルから選ばれる。
【0059】
式IまたはIaのさらなる化合物は、式IIをさらに満足する。
【0060】
【化7】

ただし、Arはフェニルまたは6員ヘテロアリールで、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた1〜3個の置換基で置換されている。
【0061】
式Iaの式Iの他の化合物は、式IIIをさらに満足する。
【0062】
【化8】

ただし、RおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキルおよび(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル;または、RおよびRは、共に、C〜Cシクロアルキル基を形成しており;および
Arはフェニルまたは6員ヘテロアリールで、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた1〜3個の置換基で置換されている。
【0063】
式IIIのある種の化合物は、式IIIaをさらに満足する。
【0064】
【化9】

ただし、nは、1、2、3または4である。
【0065】
式IIIの他の化合物は、式IIIbをさらに満足する。
【0066】
【化10】

ただし、Rは、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり;および
は、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基を表している。
【0067】
式Iまたは式Iaのある種の化合物は、式IVをさらに満足する。
【0068】
【化11】

ただし、Arはフェニルまたは6員ヘテロアリールで、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた1〜3個の置換基で置換されており;および
それぞれのnは、独立に、0または1である。
【0069】
式Iまたは式Iaのある種の化合物は、式Vをさらに満足する。
【0070】
【化12】

ただし、XはCH、NまたはOで;およびnは0、1または2である。
【0071】
本明細書に提示される代表的な化合物には、下記の実施例で具体的に述べるものが含まれるが、これらに限定するものではない。本明細書に列挙される特定の化合物は、単なる代表的な例であり、本発明の範囲を限定するものではないことが明らかにされよう。さらに上述のように、本発明の全ての化合物は、遊離酸または遊離塩基として、あるいは医薬品として許容される塩として存在することができる。
【0072】
上述のように、本明細書に提示される化合物は、CB1拮抗薬である。そのようなある化合物は、非競合的CB1拮抗薬である。追加として、または代替例として、本明細書に提示されるある化合物は、CB1特異性を示す。CB1拮抗薬の活性は、実施例8で述べるような作動薬誘導型GTP結合アッセイを使用して確認することができる。そのようなアッセイは、CB1に対するCB1作動薬誘導型GTP結合に、試験化合物が及ぼす影響を決定するために、CB1含有細胞膜製剤(例えば、CB1を組換え可能に発現する昆虫細胞の膜の製剤)を用いる。簡単に言うと、CB1を含む第1の細胞膜製剤を、(i)標識済みGTP;(ii)CB1作動薬;および(iii)試験化合物に接触させて、試験膜製剤を得る。同時に、または順に、CB1を含む第2の細胞膜製剤を、(i)標識済みGDP;および(ii)CB1作動薬に接触させて、対照膜製剤を得る。標識済みGTPは、好ましくはGTPγ35Sであり、代表的なCB1作動薬はCP55,940である。そのような接触は、実施例8で述べる条件のように、CB1に対するGTP結合に適した条件下で行われる。標識済みGTPおよびCB1作動薬の濃度は、一般に、CB1作動薬の存在下、膜製剤に結合した標識済みGTPの量が検出可能に増加するのに十分な濃度である。そのような濃度は、通常の実験によって決定することができ、代表的な適切な濃度を実施例8に示す。一般に、試験化合物の濃度範囲を使用する(例えば、10−10M〜10−5Mに及ぶ)。
【0073】
膜製剤とのGTP結合が可能になるよう十分に接触させた後(例えばインキュベーション)、結合した標識済みGTPの量に対応する(表す)シグナルを検出する(典型的な場合、結合していない標識済みGTPを、洗浄ステップを介して最初に除去する)。換言すると、同時にまたは順に、(i)試験膜製剤中の、結合した標識済みGTPの量を表す試験シグナルを検出し、(ii)対照膜製剤中の、結合した標識済みGTPの量を表す対照シグナルを検出する。検出されたシグナルの性質は、使用した標識のタイプによって決定する。例えば、GTPが放射能標識される場合、検出されるシグナルは放射性崩壊である(例えば、液体シンチレーション分光測定を介して)。次いで試験化合物のCB1拮抗薬活性を、試験シグナルと対照シグナルとを比較することによって決定する。対照シグナルよりも低い試験シグナルは、試験化合物がCB1拮抗薬であることを示す。
【0074】
ある実施形態では、好ましい化合物は、カンナビノイド受容体に特異的である。これは、好ましい化合物が、100ナノモルを超える親和定数、好ましくは1マイクロモルを超え、より好ましくは4マイクロモルを超える親和定数で、カンナビノイド受容体以外(好ましくはCB1以外)のある受容体に結合するだけであり、そのような受容体を活性化するだけであり、またはそのような受容体の活性を阻害するだけであることを意味する。あるいは、または追加として、そのような化合物は、その他の非カンナビノイド細胞受容体に対するよりもCB1に対して200倍大きい親和性を示す。そのようなその他の非カンナビノイド細胞受容体には、ヒスタミン受容体、生物活性ペプチド受容体(NPY Y5などのNPY受容体を含む)、およびホルモン受容体(例えば、メラニン濃縮ホルモン受容体)が含まれる。そのような受容体に対する結合を評価するためのアッセイは周知であり、米国特許第6566367号の、実施例676の第82〜83欄におけるNPY受容体結合アッセイのその開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6566367号;およびPCT国際出願公開番号WO02/094799の、実施例2の第108〜109頁におけるMCH受容体結合アッセイのその開示が参照により本明細書に組み込まれるPCT国際出願公開番号WO02/094799に開示されているものが含まれる。
【0075】
様々な疾患および障害に向けた、本明細書に提示される化合物の有用性は、
Colombo他(1998)Life Sciences 63:113〜17と、VickersおよびKennett(2005)Curr.Drug.Targets 6:215〜23−食物摂取および減量(ラット)
Simiand他(1998)Behavioral Pharm.9:179〜181−甘い食物の摂取(マーモセット)
Rowland他(2001)Psychopharm.159:111〜16−食物摂取(ラット)
Arnone他(1997)Psychopharm.132:104〜106−スクロースおよびエタノールの摂取(マウス)
Colombo他(2004)Eur.J.Pharmacol.498:119〜23−アルコール誘導性(ラット)
Serra他(2002)Eur.J.Pharmacol.443:95〜97−アルコール欠乏作用(ラット)
Rubino他(2000)Life Sciences 22:2213〜29−オピエート禁断症候群(ラット)
Chaperon他(1998)Psychopharm.135:324〜32−自発運動量、場所の条件付け(ラット)
Abraham他(1993)J.Clin.Invest.93:776と、MilneおよびPiper(1995)Eur.J.Pharmacol.282:243−気管支過剰応答性(ヒツジおよびギニアピッグ)
Kadoi他(2005)British Journal of Anaesthesia 94(5):563〜68−敗血症性ショック(ラット)
Batkai他(2001)Nature Medicine 7(7):827〜32−肝硬変における血管拡張(ラット)
Tsusumi他(2000)Biol.Pharm.Bull.(Japan)23(5):657〜59−便秘(サル)
Kapur(2001)J.Pathology 194(3):277〜88−慢性偽性腸閉塞(げっ歯類)
などの(しかしこれらに限定することのない)、当技術分野で知られている動物疾患モデルで実証することができる。
【0076】
所望に応じ、本明細書に提示される化合物を、経口バイオアベイラビリティ(好ましい化合物は、治療上有効な用量が140mg/kg未満、好ましくは50mg/kg未満、より好ましくは30mg/kg未満、さらにより好ましくは10mg/kg未満、さらにより好ましくは1mg/kg未満、最も好ましくは0.1mg/kg未満になるような程度まで、経口的に生物利用可能である)、毒性(好ましい化合物は、治療上有効な量を被験体に投与したときに、無毒性である)、副作用(好ましい化合物は、治療上有効な量の化合物を被験体に投与したときに、プラセボに匹敵する副作用をもたらす)、血清タンパク質結合と、生体外および生体内での半減期(好ましい化合物は、Q.I.D.投薬、好ましくはT.I.D投薬、より好ましくはB.I.D投薬、最も好ましくは1日1回の投薬が可能になる生体内半減期を示す)を含むがこれらに限定することのない、ある薬理学的特性に関して評価することができる。さらに、血液脳関門の示差的浸透が望ましいと考えられる。当技術分野で周知の通常のアッセイは、これらの特性を評価し、特定の用途に優れた化合物を同定するのに使用することができる。例えば、バイオアベイラビリティの予測に使用されるアッセイは、Caco−2細胞単層を含めたヒト腸管細胞単層を横断する輸送を含む。ヒトにおける化合物の血液脳関門の浸透は、その化合物が与えられた(例えば静脈から)実験室用動物の、化合物の脳レベルから予測することができる。血清タンパク質結合は、アルブミン結合アッセイから予測することができる。化合物の半減期は、化合物の投薬の頻度に反比例する。化合物の生体外半減期は、本明細書で記述されるミクロソーム半減期のアッセイから予測することができる。
【0077】
上述のように、本明細書に提示される好ましい化合物は、無毒性である。一般に「無毒性」という用語は、相対的な意味で理解すべきであり、哺乳類(好ましくはヒト)への投与に関して米国食品医薬品局(「FDA」)によって認可されており、または確立された基準に沿って、哺乳類(好ましくはヒト)への投与に関してFDAによる認可を受け易い、任意の物質を指すものとする。さらに、非常に好ましい無毒性化合物は、一般に、下記の基準、すなわち(1)細胞ATPの生成を実質的に阻害せず、(2)心臓のQT間隔を実質的に延ばさず、(3)相当な肝臓腫脹を引き起こさず、または(4)肝酵素の相当な放出を引き起こさないという基準の、1つまたは複数を満たす。
【0078】
本明細書で使用する、細胞ATP生成を実質的に阻害しない化合物は、本明細書の実施例10で述べる基準を満たす化合物である。換言すれば、そのような100μMの化合物を用いて実施例10で述べたように処理した細胞は、未処理の細胞で検出されたATPレベルの少なくとも50%であるATPレベルを示す。さらに非常に好ましい実施形態では、そのような細胞は、未処理の細胞で検出されたATPレベルの少なくとも80%であるATPレベルを示す。
【0079】
心臓QT間隔を著しく延ばさない化合物は、化合物のEC50またはIC50に等しい血清濃度をもたらす用量を投与したときに、ギニアピック、ミニブタ、またはイヌにおいて、統計上有意な心臓QT間隔の延長をもたらさない(心電図記録法によって決定した場合)化合物である。ある好ましい実施形態では、非経口的にまたは経口的に投与された0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40、または50mg/kgの用量は、統計上有意な心臓QT間隔の延長をもたらさない。「統計上有意な」とは、ステューデントT検定などの、統計的有意性の標準的なパラメータアッセイを使用して測定したときに、有意性がp<0.1レベルでの、またはより好ましくはp<0.05レベルでの対照からの変動の結果を意味する。
【0080】
化合物は、この化合物のEC50またはIC50と同等の血清濃度をもたらす用量で、5〜10日間にわたって実験室用げっ歯類(例えばマウスまたはラット)を毎日処理した結果、体重に対する肝臓の比が、対応する対照よりも100%以下だけ増加する場合は、実質的な肝臓腫脹を引き起こさない。さらに非常に好ましい実施形態では、そのような用量は、対応する対照に対して75%または50%を超える肝臓腫脹を引き起こさない。非げっ歯類である哺乳類(例えばイヌ)を使用する場合、そのような用量は、体重に対する肝臓の比の増加を、対応する未処理の対照に対して50%を超えてもたらすべきではなく、好ましくは25%以下であり、より好ましくは10%以下である。そのようなアッセイでの好ましい用量には、非経口的にまたは経口的に投与される0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40、または50mg/kgが含まれる。
【0081】
同様に化合物は、この化合物のEC50またはIC50に等しい血清濃度をもたらす最小用量の2回の投与によって、実験室用げっ歯類におけるALT、LDH、またはASTの血清レベルがこれに対応するmock処理対照よりも100%を超えて上昇しない場合は、肝酵素の実質的な放出を促進させない。さらに非常に好ましい実施形態では、そのような用量は、対応する対照に対してそのような血清レベルを75%または50%を超えて上昇させない。あるいは化合物は、生体外肝細胞アッセイにおいて、この化合物のEC50またはIC50に等しい濃度(培地中、または生体外で肝細胞に接触しこの肝細胞と共にインキュベートされるようなその他の溶液中)で、培地中へのそのような肝酵素のいずれかの検出可能な放出が、対応するmock処理対照細胞での培地で見られる基準レベルを超えて生じない場合、肝酵素の実質的な放出を促進させない。さらに非常に好ましい実施形態では、そのような化合物の濃度がこの化合物のEC50またはIC50の5倍、好ましくは10倍である場合、培地中へのそのような肝酵素のいずれかの、基準レベルを超えた検出可能な放出がない。
【0082】
その他の実施形態では、ある好ましい化合物は、この化合物のEC50またはIC50に等しい濃度で、CYP1A2活性やCYP2A6活性、CYP2C9活性、CYP2C19活性、CYP2D6活性、CYP2E1活性、またはCYP3A4活性などのミクロソームのシトクロムP450酵素活性を阻害せず、または誘発しない。
【0083】
ある好ましい化合物は、この化合物のEC50またはIC50に等しい濃度では、染色体異常誘発性ではない(例えば、マウス赤血球前駆体細胞小核アッセイ、エイムス小核アッセイ、またはらせん小核アッセイなどを使用して決定したときに)。その他の実施形態では、ある好ましい化合物は、そのような濃度で姉妹染色分体交換を引き起こさない(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞で)。
【0084】
検出する目的で、以下により詳細に論じるように、本明細書に提示される化合物は、同位体標識しまたは放射能標識することができる。例えば、そのような化合物は、自然界で通常見出される原子質量または質量数とは異なった原子質量または質量数を有する同じ元素の原子によって置換される、1個または複数の原子を有することができる。本明細書に提示される化合物中に存在することのできる同位体の例には、HやH、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体が含まれる。さらに、重水素(すなわちH)などの重い同位体での置換によって、より大きな代謝安定性からもたらされる、ある治療上の利点を得ることができ、例えば、生体内半減期の延長または投薬要件の減少がもたらされ、したがって、いくつかの状況において好ましいと考えられる。
【0085】
CB1拮抗薬の調製
本明細書に提示される化合物は、一般に、標準的な合成方法を使用して調製することができる。一般に出発材料は、Sigma−Aldrich社(St.Louis、MO)などの供給業者から市販されており、または確立されたプロトコルを使用して市販の前駆体から合成することができる。例として、下記のスキームのいずれかに示されたものと類似した合成経路を、有機化学分野で知られている合成方法と共に、または当業者によって理解されるその変形例と共に使用することができる。それらの当業者は、下記のスキームにおける試薬および合成変換は、追加の式Iの化合物が生成されるように、容易に修正できることを認識するであろう。下記のスキームでの各変数は、本明細書に提示される化合物の説明と一致した任意の基を指す。
【0086】
保護基を必要とする場合、任意選択の脱保護ステップを用いることができる。T.GreeneによるProtecting Groups in Organic Synthesisに記載されているような、保護および脱保護に適した保護基および方法が周知である。保護/脱保護を必要とする化合物および中間体は、容易に明らかにされよう。
【0087】
下記のスキームおよび実施例で使用されるある定義には、
CDCl 重水素化クロロホルム
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DPPA ジフェニルホスポリルアジド
EtOAc 酢酸エチル
eq. 当量
H NMR プロトン核磁気共鳴
Hz ヘルツ
LC/MS 液体クロマトグラフィ/質量分析
MHz メガヘルツ
MS 質量分析
(M+1) 質量+1
δ 化学シフト
Ph フェニル
Pd(PPh テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)
が含まれる。
【0088】
スキーム1.式Iの化合物の調製
【0089】
【化13】

スキーム1は、容易に入手可能なアミノアリール化合物およびアリールイソシアネートから、式Iの化合物を調製するための方法を示す。この方法では、1当量のアリールイソシアネートを、適切な溶媒中でアルキルアミン誘導体と共に加熱する。この反応で一般に使用される溶媒には、トルエン、テトラヒドロフラン、およびジオキサンが含まれるが、これらに限定するものではない。当業者なら、溶媒および反応温度の選択は、様々な反応物質の組合せに対して反応が最適化されるように、変更できることを理解するであろう。
【0090】
スキーム2.Arがアリールまたはヘテロアリールで置換されている化合物の調製
【0091】
【化14】

スキーム2は、Arがアリール基またはヘテロアリール基(Ar)で置換されている式Iの化合物を調製するための方法を示す。スキーム2では、メタロアリール試薬(Ar−[M])との遷移金属触媒結合反応を介して、ハロアリール尿素を様々なアリール基に結合させる。適切な試薬/触媒の対には、アリールボロン酸/パラジウム(0)(Suzuki反応;MiyauraおよびSuzuki,Chemical Review 1995,95,2457)、およびアリールトリアルキルスタンナン/パラジウム(0)(Stille反応;Mitchell,Synthesis 1992,803)が含まれる。パラジウム(0)は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム(II)アセテート/トリ(o−トルイル)ホスフィン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)/トリ−tert−ブチルホスフィンまたはジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウム(0)などであるが、これらに限定することのない、金属/リガンドの対の様々な組合せで形成された触媒系である。ニッケル(II)は、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロニッケル(II)または[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)などのニッケル含有触媒を表す。
【0092】
ある実施形態では、本明細書に提示される化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を含有することができ、したがってこの化合物は、種々の立体異性体の形で存在することができる。そのような形は、例えばラセミ化合物、または光学的に活性な形にすることができる。上述のように、全ての立体異性体は、本発明に包含される。それにも関わらず、単一の鏡像異性体(すなわち、光学的に活性な形)を得ることが望ましいと考えられる。単一の鏡像異性体を調製するための標準的な方法には、ラセミ体の不斉合成および分割が含まれる。ラセミ体の分割は、例えば分割剤の存在下での結晶化や、例えばキラルHPLCカラムを使用したクロマトグラフィなどの、従来の方法によって実現することができる。
【0093】
化合物は、この合成を、放射性同位体である少なくとも1個の原子を含む前駆体を使用して実施することによって、放射能標識することができる。各放射性同位体は、炭素(例えば14C)、水素(例えばH)、硫黄(35S)、またはヨウ素(125I)であることが好ましい。トリチウムで標識された化合物は、基質としてこの化合物を使用した、トリチウム化酢酸中での白金触媒交換、トリチウム化トリフルオロ酢酸中での酸触媒交換、またはトリチウムガスとの不均一触媒交換を介した触媒作用によって、調製してもよい。さらに、ある前駆体を、トリチウムガスとのトリチウム−ハロゲン交換、不飽和結合のトリチウムガス還元、またはホウトリチウム化ナトリウム(sodium borotritide)を使用した還元に必要に応じてかけることができる。放射能標識した化合物の調製は、放射能標識したプローブ化合物の受託合成を専門とする放射性同位体供給業者によって、都合良く行うことができる。
【0094】
医薬品組成物
本発明は、本明細書に提示される1種または複数の化合物を、少なくとも1種の生理的に許容される担体または賦形剤と共に含む、医薬品組成物も提供する。医薬品組成物は、例えば、水、緩衝剤(例えば中性緩衝生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水)、エタノール、鉱油、植物油、ジメチルスルホキシド、炭水化物(例えばグルコース、マンノース、スクロース、またはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、アジュバント、ポリペプチド、またはグリシンなどのアミノ酸、酸化防止剤、EDTAなどのキレート剤、またはグルタチオン、および/または保存剤の1種または複数を含むことができる。さらに、その他の活性成分を(必ずしも必要ではないが)、本明細書に提示される医薬品組成物中に含めることができる。
【0095】
医薬品組成物は、例えば、吸入(例えば、鼻または経口)または局所、経口、直腸または非経口投与を含めた任意の適切な投与手法に合わせて配合することができる。本明細書で使用する非経口という用語は、皮下、皮内、血管内(例えば静脈内)、筋肉内、脊髄、頭蓋内、くも膜下、および腹膜内注射、ならびに任意の同様の注入技法を含む。ある実施形態では、経口使用に適した組成物が好ましい。そのような組成物には、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、硬質または軟質カプセル、シロップ、またはエリキシルが含まれる。その他の実施形態では、医薬品組成物を凍結乾燥物質として配合することができる。局所的投与用の製剤は、ある種の病状(例えば、火傷またはかゆみのような皮膚の病状の治療)に好ましい場合がある。膀胱中への直接投与(膀胱内投与)用の製剤は、尿失禁および過活動膀胱の治療に好ましい場合がある。吸入用の製剤は、吸入または吹送に適する粉末および液体、および噴霧に適する溶液および懸濁液を含む。
【0096】
経口使用を目的とした組成物は、さらに、魅力的で口当りのよい製剤を提供するために、甘味剤や着香剤、着色剤、および/または保存剤などの1種または複数の成分を含むことができる。錠剤は、この錠剤の製造に適した生理的に許容される賦形剤と混合した状態で、活性成分を含有する。そのような賦形剤には、例えば、錠剤にする材料の総重量を増やすための不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムおよびリン酸ナトリウム)、使用環境における非腑形速度を修正する顆粒化剤および崩壊剤(例えば、コーンスターチ、スターチ誘導体、アルギン酸およびカルボキシメチルセルロース塩)、粉末化された材料の粘着性を与える結合剤(例えば、デンプン、ゼラチン、アカシアおよびサッカロース、グルコース、デキストロースおよびラクトースのような糖)および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシーム、ステアリン酸およびタルク)が含まれる。錠剤は、乾燥顆粒化法、直接加圧法および湿潤顆粒化法を含む標準的な技術を使用して、製剤できる。錠剤は、被覆されていなくてもよく、公知の技法によって被覆されていてもよい。
【0097】
経口使用のための製剤は、活性成分を不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と混合した硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分を水または油媒体(例えばピーナツ油、液体パラフィン、またはオリーブ油)と混合した軟質ゼラチンカプセルとして提示してもよい。
【0098】
水性懸濁液は、活性材料を、懸濁剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴム)や分散剤または湿潤剤(例えば、レシチンなどの天然に生ずるホスファチド、ポリオキシエチレンステアレートなどのアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、ヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから得られた部分エステルとの縮合生成物、またはポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから得られた部分エステルとの縮合生成物)などの適切な1種類以上の賦形剤と混合した状態で含有する。水性懸濁液は、エチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートなどの1種または複数の保存剤、1種または複数の着色剤、1種または複数の着香剤、および/またはスクロースやサッカリンなどの1種または複数の甘味剤を含んでもよい。
【0099】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナツ油)または液体パラフィンなどの鉱油に懸濁させることによって、配合することができる。油性懸濁液は、蜜蝋や硬質パラフィン、またはセチルアルコールなどの増粘剤を含有することができる。上述のような甘味剤、および/または着香剤は、口当りがよい経口製剤を得るために添加することができる。そのような懸濁液は、アスコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって、保存することができる。
【0100】
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な、分散性の粉末および顆粒は、活性成分を、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1種または複数の保存剤と混合した状態で提供する。適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤は、上に例示される。甘味剤や着香剤、および着色剤などの追加の賦形剤が存在してもよい。
【0101】
医薬品組成物は、水中油エマルジョンとして配合してもよい。油性相は、植物油(例えばオリーブ油、またはラッカセイ油)、鉱油(例えば液体パラフィン)、またはこれらの混合物でよい。適切な乳化剤には、天然に生ずるゴム(例えばアカシアゴム、またはトラガカントゴム)、天然に生ずるホスファチド(例えば大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトールから得られたエステルまたは部分エステル)、無水物(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、脂肪酸およびヘキシトールから得られた部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が含まれる。エマルジョンは、1種または複数の甘味剤および/または着香剤を含んでもよい。
【0102】
シロップおよびエリキシルは、グリセロールやプロピレングリコール、ソルビトール、またはスクロースなどの甘味剤と共に配合することができる。そのような配合物は、1種または複数の緩和薬、保存剤、着香剤、および/または着色剤を含んでもよい。
【0103】
局所投与用の製剤は、典型的な場合、局所ビヒクルを、追加の任意選択の成分と共にまたはそのような成分なしで活性成分と組み合わせて含む。適切な局所ビヒクルおよび追加の成分は、当技術分野で周知であり、ビヒクルの選択は、特定の物理的形態および送達形態に左右されることが明らかにされよう。局所ビヒクルには、水;アルコール(例えばエタノールまたはイソプロピルアルコール)やグリセリンなどの有機溶媒;グリコール(例えばブチレン、イソプレン、またはプロピレングリコール);脂肪族アルコール(例えばラノリン);水および有機溶媒の混合物と、アルコールやグリセリンなどの有機溶媒の混合物;脂肪酸やアシルグリセロール(鉱油などの油と、天然または合成由来の脂肪を含む)、ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質、およびワックスなどの、脂質ベースの材料;コラーゲンやゼラチンなどの、タンパク質ベースの材料;シリコーンベースの材料(不揮発性および揮発性の両方);およびマイクロスポンジやポリマーマトリックスなどの炭化水素ベースの材料が含まれる。組成物はさらに、安定剤や懸濁化剤、乳化剤、粘度調節剤、ゲル化剤、保存剤、酸化防止剤、皮膚浸透増強剤、保湿剤、および徐放性材料など、施用される製剤の安定性または有効性が改善するようになされた1種または複数の成分を含むことができる。そのような成分の例は、Martindale−−The Extra Pharmacopoeia(Pharmaceutical Press,London 1993)およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Wiliams&Wilkins、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、2005年刊に記載されている。製剤は、ヒドロキシメチルセルロースやゼラチン−マイクロカプセルなどのマイクロカプセル、リポソーム、アルブミン微細球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、またはナノカプセルを含むことができる。
【0104】
局所製剤は、例えば固形分、ペースト、クリーム、泡、ローション、ゲル、粉末、水溶液、およびエマルジョンを含めた様々な物理形態に調製することができる。局所組成物の典型的な送達形態には、指を使用した施用;布やティシュ、スワブ、スティック、またはブラシなどの物理的アプリケータを使用した施用;噴霧(ミスト、エアロゾル、または泡の噴霧を含む);ドロッパ施用;散水;浸漬;および濯ぎが含まれる。制御放出ビヒクルを使用することもできる。
【0105】
医薬品組成物は、滅菌注射水性または油性懸濁液として調製することができる。本明細書に提示される化合物は、使用されるビヒクルおよび濃度に応じてビヒクル中に懸濁させまたは溶解することができる。そのような組成物は、上記にて述べたような適切な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って配合することができる。用いることができる許容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、1,3−ブタンジオール、リンガー液、および等張食塩液がある。さらに、滅菌不揮発性油を、溶媒または懸濁媒体として使用することができる。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含めた任意のブランドの不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射可能な組成物の調製に用途を見出しており、局所麻酔などのアジュバント、保存剤、および/または緩衝剤を、ビヒクル中に溶解することができる。
【0106】
医薬品組成物は、坐薬として配合してもよい(例えば尿道または直腸投与のため)。そのような組成物は、薬物と、適切な非刺激性賦形剤、すなわち通常温度では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で溶解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって、調製することができる。適切な賦形剤には、例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。坐薬には、例えば、尿道または直腸投与のための医薬品組成物の調製および投与に関する教示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6846823号に記載されるものが含まれる。
【0107】
吸入用組成物は、典型的な場合、乾燥粉末として投与することができる溶液、懸濁液、またはエマルジョンの形で、あるいは従来の噴射剤(例えばジクロロジフルオロメタン、またはトリクロロフルオロメタン)を使用するエアロゾルの形で提供することができる。
【0108】
医薬品組成物は、例えば経口、直腸、または皮下移植によって、あるいは目標部位での移植によって投与することができる、制御放出製剤(すなわち、カプセルや錠剤、または投与後の活性成分の放出を減速させかつ/または先に延ばす被覆付き錠剤などの製剤)として配合することができる。一般に、制御放出製剤は、胃腸管(または移植部位)での崩壊および吸収を遅らせるマトリックスおよび/またはコーティングを含み、それによって、より長い期間にわたる遅延作用または持続作用をもたらす。あるタイプの制御放出製剤は、少なくとも1種の活性成分が、一定速度である期間にわたって連続的に放出される徐放性製剤である。治療薬は、少なくとも4時間、好ましくは少なくとも8時間、より好ましくは少なくとも12時間の期間にわたって血液(例えば血漿)濃度が治療範囲内に維持され、しかし毒性レベルよりも低くなるような速度で放出されることが好ましい。
【0109】
制御放出は、活性成分と、それ自体で放出速度を変化させかつ/または制御放出コーティングの使用によって放出速度を変化させるマトリックス材料とを組み合わせることによって、実現することができる。放出速度は、(a)コーティングの厚さまたは組成を変化させること、(b)コーティング中の可塑剤の量または態様を変化させること、(c)放出変性剤などの追加の成分を含めること、(d)マトリックスの組成、粒径、または粒子形状を変化させること、および(e)コーティングを通して1つまたは複数の経路を提供することを含めた、当技術分野で周知の方法を使用して変えることができる。徐放性製剤中に含有されるモジュレータの量は、例えば投与方法(例えば移植部位)、放出の速度および期待される持続時間、治療されまたは予防される状態の性質に応じて異なる。
【0110】
それ自体で制御放出機能を発揮することができまたは発揮することができないマトリックス材料は、一般に、活性成分を支援する任意の材料である。例えば、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。活性成分は、剤形(例えば錠剤)の形成前に、マトリックス材料と組み合わせることができる。あるいは、または追加として、活性成分を、マトリックス材料を含む粒子、顆粒、球体、微細球、ビーズ、またはペレットの表面に被覆することができる。そのようなコーティングは、活性成分を水またはその他の適切な溶媒に溶解し、噴霧するなどの従来の手段によって実現することができる。任意選択で、コーティングの前に追加の成分を添加する(例えば、活性成分とマトリックス材料との結合を支援するために、または溶液を着色するために)。次いでマトリックスを、制御放出コーティングを付着させる前にバリア剤で被覆することができる。複数の被覆付きマトリックス単位は、必要に応じて、最終的な剤形が生成されるようにカプセル化することができる。
【0111】
ある実施形態では、制御放出は、制御放出コーティング(すなわち、活性成分を水性媒体中で制御速度で放出させることが可能なコーティング)の使用によって実現される。制御放出コーティングは、滑らかで、顔料およびその他の添加剤を支持することが可能であり、無毒性で、不活性であり、かつ不粘着性の、強力な連続被膜であるべきである。モジュレータの放出を調節するコーティングには、pH依存性のないコーティング、pH依存性コーティング(胃の中でモジュレータを放出するのに使用することができる)、および腸溶性コーティング(製剤を、胃の中を無傷のまま通過させて小腸に通すことが可能であり、そこでコーティングが溶解し、その内容物が身体に吸収される)が含まれる。複数のコーティングを用いることができることが、明らかにされよう(例えば、胃の中では用量の一部を放出させ、胃腸管に沿ってさらに一部を放出させる)。例えば、活性成分の一部を腸溶性コーティング上に被覆することができ、それによって、この活性成分が胃の中で放出され、それと同時にマトリックスコア内の活性成分の残りは腸溶性コーティングによって保護されており、GI管内を下るときにさらに放出される。pH依存性コーティングには、例えばシェラック、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸エステルコポリマー、およびゼインが含まれる。
【0112】
ある実施形態では、コーティングは疎水性材料であり、好ましくは投与後にゲル化剤の水和が減速するよう効果的な量で使用される。適切な疎水性材料には、アルキルセルロース(例えばエチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース)、セルロースエーテル、セルロースエステル、アクリルポリマー(例えばポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、アクリル酸およびメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、メタクリル酸アルカミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アンモニオコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびメタクリル酸グリシジルコポリマー)、および前述の混合物が含まれる。エチルセルロースの代表的な水性分散液には、例えばAQUACOAT(登録商標)(FMC Corp.,Philadelphia,PA)およびSURELEASE(登録商標)(Colorcon,Inc.,West Point,PA)が含まれ、これらはいずれも、製造業者の取扱説明書に従って基材に塗布することができる。代表的なアクリルポリマーには、例えば、様々なEUDRAGIT(登録商標)(Rohm America,Piscataway,NJ)ポリマーが含まれ、このポリマーは、製造業者の取扱説明書に従って単独で、または所望の放出プロファイルに応じて組み合わせて使用することができるものである。
【0113】
疎水性材料の水性分散液を含むコーティングの物理的性質は、1種または複数の可塑剤の添加によって改善することができる。アルキルセルロースに適した可塑剤には、例えば、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、およびトリアセチンが含まれる。アクリルポリマーに適した可塑剤には、例えば、クエン酸トリエチルやクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジプチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、およびトリアセチンが含まれる。
【0114】
制御放出コーティングは、一般に、水性分散液の形で噴霧するなど従来の技法を使用して付着される。必要に応じて、コーティングは、活性成分の放出を促進させるために細孔またはチャネルを含むことができる。細孔およびチャネルは、使用環境でコーティングから溶解し、抽出され、または浸出される、有機または無機材料の添加を含めた周知の方法によって生成することができる。そのようなある細孔形成材料には、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)やセルロースエーテル、合成水溶性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、およびポリエチレンオキシド)、水溶性ポリデキストロース、糖および多糖、およびアルカリ金属塩などの疎水性ポリマーが含まれる。あるいは、または追加として、制御放出コーティングは、米国特許第3845770号;第4034758号;第4077407号;4088864号;第4783337号;および第5071607号に記載されるような方法によって形成することができる、1個または複数のオリフィスを含むことができる。制御放出は、従来の技術を使用した経皮パッチの使用を通して実現してもよい(例えば、米国特許第4668232号参照)。
【0115】
制御放出製剤およびその成分の別の例は、例えば、米国特許第5524060号;第4572833号;第4587117号;第4606909号;第4610870号;第4684516号;第4777049号;第4994276号;第4996058号;第5128143号;第5202128号;第5376384号;第5384133号;第5445829号;第5510119号;第5618560号;第5643604号;第5891474号;第5958456号;第6039980号;第6143353号;第6126969号;第6156342号;第6197347号;第6387394号;第6399096号;第6437000号;第6447796号;第6475493号;第6491950号;第6524615号;第6838094号;第6905709号;第6923984号;第6923988号;および第6911217号に見出すことができ、このそれぞれは、制御放出剤形の調製に関するその教示が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0116】
上記投与形態の他にまたは上記投与形態と共に、本明細書に提示される化合物は、食物または飲料水に都合良く添加することができる(例えば、コンパニオンアニマル(イヌやネコなど)および家畜を含めたヒト以外の動物に投与するために)。動物の飼料および飲料水の組成物は、動物が、適切な量の組成物をその食餌と一緒に摂取するように配合することができる。この組成物は、飼料または飲料水に添加されるプレミックスとして存在させることも都合良いと考えられる。
【0117】
本発明において、化合物は、一般に、治療上有効な量で投与される。好ましい全身用量は、1日につき体重1kg当たり50mg以下であり(例えば、1日につき体重1kg当たり約0.001mgから約50mgに及ぶ)、経口用量は、一般に、静脈内用量よりも約5〜20倍高い(例えば、1日につき体重1kg当たり0.01から40mgに及ぶ)。
【0118】
単回投薬単位を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、例えば、治療を受ける患者および特定の投与形態に応じて変わることになる。投薬単位は、一般に、活性成分を約10μgから約500mg含有することになる。ある実施形態では、投薬単位は、患者のカロリー摂取量を低下させるのに十分な化合物の量(すなわち、食欲を低下させる量)を含有する。最適な投薬量は、通常の試験、および当技術分野で周知の手順を使用して確立することができる。
【0119】
医薬品組成物は、CB1調節に応答する状態を治療するのに使用することができる。そのような状態には、例えば:
食欲障害(例えば、過食障害、過食症、摂食障害);
肥満;
減量またはウェイトコントロール(例えば、カロリーまたは食物摂取の低下、および/または食欲抑制);
アルコール依存症(例えば、アルコール摂取の禁断症状、欲求低減、および再発予防に対する治療を含めたアルコール中毒、飲酒癖、および/またはアルコール依存症)、
ニコチン依存症(例えば、タバコ喫煙の欲求の低減および再発予防に対する治療を含めた喫煙中毒、禁煙、および/または喫煙依存症)、および
薬物依存症(例えば、オピオイド、バルビツール、大麻、コカイン、アンフェタミン、フェンシクリド、幻覚薬、および/またはベンゾジアゼピンなどの薬物による慢性の治療、あるいはそのような薬物の乱用)
などの嗜癖障害;
骨量減少(例えば、エストロゲン欠乏から生じる)
が含まれる。
【0120】
CB1調節に応答するその他の病状には、CNS障害(例えば不安、うつ病、パニック障害、双極性障害、精神病、統合失調症、行動中毒、認知症(物忘れ、アルツハイマー病、老人性認知症、血管性認知症、軽度認知障害、加齢に伴う認知低下、および軽度神経性認知障害を含む)、注意欠陥障害(ADD/ADHD)、健忘症、認知障害、記憶障害、神経変性、小脳および脊髄小脳障害、頭蓋外傷、強迫性障害、老年認知症、衝撃性)、胸腺障害、トゥーレット症候群、ハンチングトン舞踏病、レイノー症候群、末梢神経疾患、糖尿病(II型または非インスリン依存性)、緑内障、偏頭痛、発作障害、てんかん、歩行障害(薬剤によって誘発される運動障害、ジスキネジー、またはパーキンソン病)、呼吸器障害(喘息など)、胃腸障害(例えば胃腸の運動または腸の前進運動の機能不全、過敏性腸症候群、クローン病)、肝硬変、嘔吐、下痢、潰瘍、多発性硬化症、心血管障害、ジストニー、内毒素性ショック、出血性ショック、低血圧症、不眠症、内分泌系の障害、泌尿器または膀胱の障害、癌、感染性疾患、炎症、感染、癌、神経炎症(アテローム性動脈硬化症など)、ギラン−バレー症候群、ウイルス性脳炎、頭蓋外傷、敗血症または生殖障害が含まれる。ある実施形態では、薬剤は、食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸症候群、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害、および/または骨量の減少の治療に適切である。
【0121】
本明細書で提示されるある医薬品組成物は、式Iの化合物である第1の薬剤を、この第1の薬剤とは構造が異なりかつ問題とされる状態を治療するのに適した第2の薬剤と組み合わせて含む。ある実施形態では、第2の薬剤が式Iの化合物ではなく、他の実施形態では、第2の薬剤がCB1拮抗薬ではない。そのようなある組成物では、第2の薬剤は、食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸症候群、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害、および/または骨量の減少を治療するのに適している。そのような医薬品組成物中で使用される代表的な第2の薬剤には、MCH受容体拮抗薬やアポ−B/MTP阻害剤、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害剤、ペプチドYY−36またはその類似体、MCR−4作動薬、CCK−A作動薬、モノアミン再取込み阻害剤、交感神経様作動薬、βアドレナリン受容体作動薬、ドーパミン作動薬、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類似体、5−HT2c受容体作動薬、レプチンまたはその類似体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤、ボンベシン作動薬、ニューロペプチド−Y受容体拮抗薬、甲状腺模倣剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動薬、毛様体神経栄養因子、ヒトアグーチ関連タンパク質拮抗薬、グレリン受容体拮抗薬、ヒスタミン3受容体拮抗薬、およびニューロメディンU受容体作動薬などの抗肥満薬が含まれる。そのような薬剤には、例えばフェンテルミン、オルリスタット、およびシブトラミン(例えば、Meridia(登録商標)(Abbott Laboratories)として販売されているシブトラミンHCl一水和物)が含まれる。
【0122】
体重管理に使用されるある第2の薬剤は、MCH受容体拮抗薬である。そのようなMCH受容体拮抗薬は、サブマイクロモル濃度で、好ましくはナノモル濃度で、より好ましくはサブナノモル濃度で、MCHR1および/またはMCHR2とのMCH結合を検出可能に阻害することが好ましい(標準的な生体外MCH受容体リガンド結合アッセイおよび/またはカルシウム動態アッセイ使用して決定したとき)。ある好ましい実施形態では、本明細書で使用されるMCH受容体拮抗薬は、MCHR1に対するMCH結合を検出可能に阻害する。簡単に言うと、MCH受容体製剤を標識(例えば125I)MCHおよび非標識試験化合物と共にインキュベートする競合アッセイを行う。使用されるMCH受容体は、好ましくは哺乳類のMCHR1またはMCHR2であり、より好ましくはヒトまたはサルのMCHR1またはMCHR2である。MCH受容体製剤は、例えば、ヒトMCH受容体(例えば、Genbank Accession No.Z86090)、サルMCHR1(WO 03/060475の配列番号1で示されるMCHR1配列など)、またはヒトMCHR1/ヒトβ−2−アドレナリンキメラ受容体を組換え発現するHEK293細胞からの膜製剤でよい。MCH受容体拮抗薬とのインキュベーションの結果、拮抗薬が存在しない状態で結合した標識の量に比べて、MCH受容体製剤に結合した標識の量が低下する。好ましくは、MCH受容体拮抗薬は、MCH受容体でのKが1マイクロモル未満を示し、MCH受容体に特異的にかつ高い親和性で結合する。より好ましくは、そのような化合物は、MCH受容体でのKが500nM、100nM、20nM、または10nM未満である。
【0123】
ある実施形態では、MCHR拮抗薬は、2005年3月24日にUS 2005−0065162として公開された係属中の米国特許出願第10/152189号に記載されるように、置換1−ベンジル−4−アリールピペラジンおよびピペラジン類似体を含む。2002年11月28日にWO02/094799として公開された、対応するPCT出願、およびこの開示を、MCHR拮抗薬(第3〜5頁、20〜25頁、および74〜107頁)とその調製(第29〜42頁、および50〜73頁)に関するその教示について、参照により本明細書に組み込む。その他の実施形態では、本明細書で述べるように使用されるMCH受容体拮抗薬は、2003年1月9日に出願された係属中の米国特許出願第10/399499内に記載される置換ベンズイミダゾール類似体である。2003年7月24日にWO03/060475として公開された、対応するPCT出願、およびこの開示は、MCH受容体拮抗薬(第2〜5頁、表I(14〜19頁)および表II(38〜48頁))とその調製(第23〜24頁、および32〜38頁)に関するその教示を、参照により本明細書に組み込む。他の実施形態では、MCH受容体拮抗薬が、2003年1月9日に出願された係属中の米国特許出願第10/399111号に記載されている。2003年7月24日にWO03/059289号として公開された、対応するPCT出願、およびこの開示は、MCH受容体拮抗薬(第3〜4頁、および31〜50頁)とその調製(第19〜20頁、および28〜31頁)に関するその教示を、参照により本明細書に組み込む。別の実施形態では、MCH受容体拮抗薬には、米国特許第6569861号に記載されているものが含まれるが、フェニルシクロアルキルメチルアミノおよびフェニルアルケニルアミノMCH受容体拮抗薬(第3〜9欄および18〜19欄)とその調製(第16〜18欄)に関するその教示を、参照により本明細書に組み込む。さらに別のMCH受容体拮抗薬は、例えば、下記の公開されたPCT出願、すなわちWO03/097047、WO03/087046、WO03/087045、WO03/087044、WO03/072780、WO03/070244、WO03/047568、WO03/045920、WO03/045918、WO03/045313、WO03/035055、WO03/033480、WO03/015769、WO03/028641、WO03/013574、WO03/004027、WO02/089729、WO02/083134、WO02/076947、WO02/076929、WO02/057233、WO02/051809、WO02/10146、WO02/06245、WO02/04433、WO01/87834、WO01/82925、WO01/57070、WO01/21577、およびWO01/21169、ならびに日本国出願公開第2001−226269号に記載されている。上記事項は、MCH受容体拮抗薬の説明のための例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことが明らかにされよう。
【0124】
嗜癖障害の治療に適する代表的な第2の薬剤には、例えば、メタドン、LAAM(レボ−α−アセチル−メタドール)、ナルトレキソン(例えば、ReVia(商標))、オンダンセトロン(例えば、Zofran(登録商標))、セルトラリン(例えば、Zoloft(登録商標))、フルオキセチン(例えば、Prozac(登録商標))、ジアゼパム(例えば、Valium(登録商標))およびクロルジアゼポキシド(例えば、Librium)、バレニクリンおよびブプロプリオン(例えば、Zyban(登録商標)またはWellbutrin(登録商標))が含まれる。本明細書に提示される医薬品組成物中で使用される、その他の代表的な第2の薬剤には、ニコチン受容体部分作動薬、オピオイド拮抗薬、および/またはドーパミン作動薬が含まれる。
【0125】
医薬品組成物は、CB1調節に応答する状態を治療するために(例えば、食欲障害、肥満、および/または嗜癖障害、あるいは上述のその他の障害の治療)、包装することができる。包装した医薬品製剤は、一般に、治療上有効な量の上述の医薬品組成物を保持する容器と、患者のCB1調節に応答する状態を治療するためにこの組成物を使用することを示す取扱説明書(例えばラベリング)とを含む。ある実施形態では、包装した医薬品製剤は、本明細書に提示された1種または複数の化合物と1種または複数の追加の薬剤とを、同じパッケージ内に含み、すなわちこのパッケージ内の別々の容器に含み、あるいは同じ容器内に含む(すなわち混合物として)。好ましい混合物は、経口投与に向けて配合される(例えば、丸薬、カプセル、または錠剤などとして)。ある実施形態では、パッケージは、食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸症候群、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害、および/または骨量の減少の治療のために、成分を一まとめに扱うことを示すラベル保持表示を含む。
【0126】
使用方法
ある態様では、本発明は、患者のCB1調節に応答する状態を治療するための方法を提供する。患者は、そのような状態に冒されている可能性があり、または症状はないがそのような状態を発症する危険性があると見なすことができる。状態は、その状態または症状が、CB1活性の調節によって軽減し、弱まり、遅延し、またはその他の方法で改善する場合、「CB1調節に応答する」。そのような状態には、例えば、食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸疾患、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害、および骨量の減少、ならびに上述のその他の障害が含まれる。一般に、そのような方法は、本明細書に提示される少なくとも1種類の化合物を、治療上有効な量で、患者に投与する工程を含む。関連する態様では、本発明は患者の食欲を抑制する方法を提供し、式Iの少なくとも1種類の化合物を、治療上有効な量で、必要に応じて、患者に投与する工程を含む。
【0127】
本明細書で提示される化合物は、単独で、あるいは問題となっている障害を治療するのに適切な1種または複数の追加の薬剤と併せて投与できることが、明らかにされよう。併用療法では、式Iの化合物と追加の薬剤とを同じ医薬品組成物中に存在させることができ、またはどちらからか順に別々に投与することができる。そのような方法で使用される、代表的な追加の薬剤は、上述の第2の薬剤を含む。
【0128】
そのような併用療法で本明細書に提示される化合物の安定な投薬量は、一般に上述の通りである。任意の追加の薬剤の投薬量および投与方法は、例えば製造業者の取扱説明書に、またはPhysician’s Desk Referenceに見出すことができる。ある実施形態では、組み合わせて投与する結果、治療効果をもたらすのに必要とされる追加の薬剤の投薬量が減少する(すなわち、最小限の治療上有効な量の減少)。したがって、本発明の組合せまたは組合せ治療法での追加の薬剤の投薬量は、式Iの化合物と組み合わせずに薬剤を投与する場合に製造業者から推奨される最大用量よりも少ないことが好ましい。より好ましくは、この用量は、最大用量の3/4未満であり、さらに好ましくは1/2未満であり、非常に好ましくは1/4未満であるが、この用量は、本明細書に記載される組合せ投与なしで投与する場合、薬剤の投与に関して製造業者から推奨される最大用量の10%未満であることが最も好ましい。所望の効果を実現するのに必要な、式Iの化合物の用量は、追加の薬剤の用量および効力によって同様に影響を受ける可能性があることが明らかにされよう。
【0129】
患者への投与は、経口、局所、鼻、または経皮投与、あるいは静脈内、筋肉内、皮下、くも膜下、硬膜外、脳室内、または同様の注射を含めた上記にて論じた任意の手段を経ることができる。ある実施形態では、経口投与が好ましい(例えば、丸薬、カプセル、または錠剤などとして配合される)。
【0130】
治療計画は、使用される化合物および治療がなされる特定の状態に応じて変えることができる。一般に、毎日4回以下の投薬計画が好ましく、毎日1回または2回が特に好ましい。しかし、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルおよび治療計画は、用いられる特定化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、および排泄速度、薬物の組合せ、および治療を受ける特定の疾患の重症度を含めた様々な要因に左右されることが理解されよう。投薬量は、一般に上述の通りであり、概して、治療効果をもたらすのに十分な最小限の用量を使用することが好ましい。患者は一般に、治療または予防がなされる状態に適切な医学的または獣医学的基準を使用して、治療の有効性をモニタすることができる。例えば肥満の治療は、体重またはBMIに統計上有意な低下がもたらされる場合、効果的であると見なす。
【0131】
併用療法では、医薬品組成物を単回用量単位(例えば錠剤またはカプセル)に配合することができる。各単位は、式Iの化合物と第2の薬剤の両方を含有することができ、あるいは、各単位が単一の薬剤を含有し、それらの単位を同時投与することによって、併用療法を実現することができる。単回用量単位では、式Iの化合物および第2の薬剤(例えばMCH受容体拮抗薬)が、治療上有効な量(すなわち、式Iの化合物および第2の薬剤を、同時期に繰り返し定められた頻度で(例えば、何週間または何カ月間にわたり1日1〜4回)患者に投与したときに、患者がはっきり認識できる利益をもたらす量)で存在する。そのような利益には、BMIの低下、食欲または食物摂取量の低下、および/または減量など、上記にて述べたようなものが含まれる。第2の薬剤の治療上有効な量は、式Iの化合物だけを投与した後に観察される患者の利益と比較して、上述のように投与したときに上述のようなはっきり認識できる患者の利益をもたらす量である。同様に、式Iの化合物の治療上有効な量は、第2の薬剤だけを投与した後に観察される患者の利益と比較して、上述のように投与したときに上述のようなはっきり認識できる患者の利益をもたらす量である。本明細書で使用する「同時期に」は、CB1拮抗薬が体液中に存在すると同時に(治療濃度で)、第2の薬剤が患者の体液中に存在するような(治療濃度で)時間枠を指す。同時期投与を、本明細書では「同時投与」とも呼ぶ。
【0132】
併用療法における治療上有効な量は、単独で投与される薬剤の治療上有効な量よりも少なくてよいことが、明らかにされよう。ある実施形態では、第2の薬剤の治療上有効な量は、式Iの化合物が存在しない状態で同等の患者の利益が生ずるように投与する必要があると考えられる量よりも少ない。本明細書に提示される、ある組成物および方法では、少なくとも相加効果が観察される(すなわち患者の利益は、同量の第2の薬剤と式Iの化合物とを別々に投与することによって実現し得る利益を合わせたものである)。
【0133】
ある実施形態では、第2の薬剤の治療上有効な量は、MCHR拮抗薬に関する最大推奨用量(すなわち、製造業者または米国食品医薬品局(FDA)から推奨される最大用量)の3/4、1/2、1/4、または10%未満である。同様に、ある実施形態では、式Iの化合物の治療上有効な量は、第2の薬剤が存在しない状態で同等の患者の利益が得られるように投与する必要があると考えられる量よりも少ない。ある実施形態では、式Iの化合物の治療上有効な量は、式Iの化合物に関する最大推奨用量(すなわち、製造業者またはFDAから推奨される最大用量)の3/4、1/2、1/4、または10%未満である。
【0134】
他の実施形態では、第2の薬剤の治療上有効な量は、式Iの化合物を同時投与することなく実施した第2の薬剤の米国臨床試験において有効であることが証明された、第2の薬剤の最小限の用量よりも少ない(例えば治療上有効な量は、そのような臨床試験で有効であることが証明された最小限の用量の、95%未満、90%未満、75%未満、または50%未満である)。その他の実施形態では、式Iの化合物の治療上有効な量は、第2の薬剤を同時投与することなく実施したその化合物の米国臨床試験において有効であることが証明された、その化合物の最小限の用量よりも少ない(例えば治療上有効な量は、そのような臨床試験で有効であることが証明された最小限の用量の、95%未満、90%未満、75%未満、または50%未満である)。さらに別のそのような実施形態では、第2の薬剤と式Iの化合物の両方を、そのような臨床試験で有効であることが証明された最小限の用量よりも少ない用量で用いる。本明細書で使用する「臨床試験」という文言は、薬物の製造、使用、または販売を規制する連邦法の下、開発および情報の提供に関係した目的で行われるヒト被験体での実験的研究を指す。
【0135】
その他の実施形態では、第2の薬剤の治療上有効な量は、第2の薬剤を同時投与することなく使用される最小市場向け用量(患者サイズに合わせた)よりも少なく、かつ/または式Iの化合物の治療上有効な量は、第2の薬剤を同時投与することなく使用される最小市場向け用量(患者サイズに合わせた)よりも少ない。例えば、第2の薬剤および式Iの化合物の一方または両方の、治療上有効な量は、最小市場向け用量の95%未満、90%未満、75%未満、または50%未満でよい。そのようなある実施形態では、患者は、コンパニオンアニマル(例えばイヌまたはネコ)などのヒト以外の動物である。
【0136】
別の態様では、本発明は、本明細書に提示される化合物について、生体外および生体内での様々な非医薬的使用を提供する。例えばそのような化合物を標識し、CB1の検出および局在化用のプローブとして使用することができる(細胞製剤や、組織切片、製剤、またはその画分などのサンプル中で)。さらに、適切な反応性基(アリールカルボニルやニトロ、またはアジド基など)を含む本明細書に提示される化合物を、受容体結合部位の光親和性標識研究で使用することができる。さらに、本明細書に提示される化合物は、受容体活性に関するアッセイで正の対照として、あるいは候補薬剤がCB1に結合する能力を決定するための標準物質として、あるいは陽電子放出断層撮影(PET)による撮像または単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)用の放射性トレーサーとして使用することができる。そのような方法は、生物被験体のCB1受容体を特徴付けるのに使用することができる。例えば化合物は、様々な周知の技法(例えば、本明細書に記述されるトリチウムなどの放射性核種で放射能標識する)のいずれかを使用して標識し、サンプルと共に適切なインキュベート時間(例えば、結合の時間的経過を最初にアッセイすることによって決定される)でインキュベートすることができる。インキュベーションの後、結合していない化合物を除去し(例えば洗浄によって)、結合した化合物を、用いられた標識に適した任意の方法を使用して検出する(例えば、放射能標識された化合物のオートラジオグラフィーまたはシンチレーション計数;分光法を、ルミネセンス基および蛍光基を検出するのに使用することができる)。対照として、標識済み化合物およびより大量の(例えば10倍多い)非標識化合物を含有する対応サンプルを、同じ手法で処理することができる。試験サンプル中に残された、対照よりも大量の検出可能な標識は、サンプル中にCB1が存在することを示している。培養細胞または組織サンプル中のCB1の受容体オートラジオグラフィー(受容体マッピング)を含む検出アッセイは、KuharによるCurrent Protocols in Pharmacology(1998) John Wiley & Sons,New Yorkの第8.1.1〜8.1.9章に記載の通り行うことができる。
【0137】
本明細書に提示される化合物は、さらに、CB1のその他の非競合的拮抗薬を同定するためのアッセイで使用することができる。一般にそのような結合されたアッセイは、標準的な競合結合アッセイであり、標識済み化合物が試験化合物に取って代わられる。簡単に言うと、そのようなアッセイは、(a)化合物がCB1に結合する条件下で、式Iの放射能標識された化合物および試験化合物に接触させ、(b)結合していない標識済み化合物および結合していない試験化合物を除去し、(c)結合した標識済み化合物の量に対応するシグナルを検出し、(d)このシグナルを、試験化合物が存在しない状態で行われた同様のアッセイでの結合した標識済み化合物の量に対応する参照シグナルと比較することによって行われる。実際には、試験化合物が存在する以外は同一のアッセイを行うことで、参照シグナルとステップ(c)に記述されるシグナルとが一般に同時に得られ;さらに、多数の濃度の試験化合物を一般にアッセイにかける。非競合的拮抗薬の活性は、本明細書に記載される手順を使用して、結合した標識済み化合物の量が低下した、試験化合物で確認することができる。
【0138】
下記の実施例は、単なる例示を提供し、限定しようとするものではない。他に特に指示しない限り、全ての試薬および溶媒は標準的な商用級のものであり、さらなる精製を行わずに使用される。通常の変更を使用して、出発材料を様々に変えることができ、追加のステップを用いることによって、本明細書に提示されるその他の化合物を生成することができる。
【実施例】
【0139】
下記の実施例における質量分析データは、Waters 600ポンプ(Waters Corp.;Milford,MA)、Waters 996光ダイオードアレイ検出器、およびGilson 215オートサンプラー(Gilson,Inc.;Middleton,WI)を備えたMicromass飛行時間LCT(Micromass,Beverly MA)を使用して、正のイオン形態で得られたエレクトロスプレーMSである。OpenLynx Global Server(商標)、OpenLynx(商標)、およびAutoLynx(商標)処理を有するMassLynx(Advanced Chemistry Development,Inc;Toronto,カナダ)バージョン4.0ソフトウェアを、データの収集および解析のために使用する。MS条件は、下記の通りである:キャピラリー電圧=3.5kV;コーン電圧=30V、脱溶媒和およびソース温度=それぞれ350℃および120℃;質量範囲=181〜750、スキャン時間0.22秒およびスキャン間遅延0.05分。
【0140】
サンプル体積1マイクロリットルを、50×4.6mm Chromolith SpeedROD RP−18eカラム(Merck KGaA,Darmstadt,ドイツ)上に注入し、2相線形勾配を使用して6ml/分の流量で溶出する。サンプルを、220〜340nmのUV範囲にわたる全吸光度数を使用して検出する。溶出条件は:移動相A−水95%、メタノール5%、TFA 0.05%を含むものであり;移動相B−水5%、メタノール95%、TFA 0.025%を含むものである。下記の勾配を使用する:0〜0.5分でBが10〜100%、Bを100%で1.2分まで保持し、1.21分でBを10%に戻す。注入サイクルは2.15分である。
【0141】
<実施例1>
代表的なCB1拮抗薬の調製
この実施例は、代表的なアリールアルキル尿素の調製を示す。
【0142】
A.N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]尿素
【0143】
【化15】

3−フルオロフェニルアニリン(25mg)およびイソシアン酸3−ジフルオロメトキシフェニル(1当量)をトルエン(1mL)に溶かした溶液を、70℃で1時間加熱する。得られた白色固体を吸引濾過によって収集し、30分間吸引乾燥することによって、N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]尿素が白色固体として得られる。
【0144】
B.N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]尿素
【0145】
【化16】

DCM(3mL)中のイソシアン酸3−ジフルオロメトキシフェニル(100mg、0.54mmol)に3,5−ジフルオロフェニルアニリン(100mg、0.64mmol)を加え、混合物を室温で3時間攪拌する。混合物にヒドラジン(30μL)を添加し、周囲の温度で30分攪拌を続ける。得られた混合物を減圧下で濃縮、分取TLC(ヘキサン−酢酸エチル、1:1)で精製し、無色の油分を得る。その油分をDCM(1mL)に溶解し、この溶液にヘキサン(5mL)をゆっくり添加する。沈殿物を濾過し、減圧下で乾燥し、表題の化合物を白色固体として得る。H NMR:7.22(m、1H)、7.18(m、1H)、7.02(m、1H)、6.81(m、1H)、6.70(m、3H)、6.51(br s、1H)、4.81(br s、1H)、3.48(m、2H)、2.81(t、J=8Hz、2H)。
【0146】
C.N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−(2−フェニルシクロプロピル)尿素
【0147】
【化17】

2−フェニルシクロプロピルアニリン(25mg)およびイソシアン酸3−ジフルオロメトキシフェニル(1当量)をトルエン(1mL)に溶かした溶液を、周囲の温度で20分間振蕩する。得られた白色固体を吸引濾過によって収集し、吸引乾燥することによって、N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−(2−フェニルシクロプロピル)尿素を、白色固体として得る。H NMR:CDCl(300MHz)δ7.19〜7.35(m、5H)、7.05〜7.11(m、4H)、6.75〜6.79(m、1H)、6.47(t、J=75Hz、1H)、5.41(Br、1H)、2.71(m、1H)、2.15(m、1H)、1.33(m、2H)。
【0148】
<実施例2>
代表的なCB1拮抗薬の高速合成
この実施例は、代表的な、本明細書で与えられるアリールアルキル尿素の高速合成を示す。
【0149】
A.プロトコル1
【0150】
【化18】

アリールイソシアネート(トルエン中0.2Mを0.15mL)を反応バイアルに添加し、その後、アルキルアミン(トルエン中0.2Mを0.1mL)を添加する。反応容器を密閉し、16時間振動しながら70℃で加熱する。N−(3−アミノプロピル)モルホリンの溶液(酢酸エチル中0.2Mを0.5mL)を添加し、反応混合物を1時間、70℃で加熱する。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(0.3mL)で希釈し、シリカゲルSPEカートリッジに通して酢酸エチル(3.0mL)で溶出する。溶離液を蒸発させ、計量し、DMSO中10mMの濃度に希釈する。純度を、LC/MSを使用して評価する。
【0151】
B.プロトコル2−クルチウス転位
【0152】
【化19】

アリールカルボン酸の溶液(トルエン/5%v/v DIEA中0.2Mを0.15mL)に、ジフェニルホスホリルアジド(トルエン中2Mを0.12mL)添加する。反応容器を密閉し、振動しながら4時間、80℃で加熱する。反応混合物を冷却し、アリールアミン(トルエン中0.2Mを0.1mL)を添加し、反応混合物を室温で1時間振動する。反応混合物を、酢酸エチル(0.5mL)と1N NaOHとの間で分配する。上側の相を除去し、SCXカートリッジ上で精製して25%MeOH/EtOAc(3mL)で溶出する。この溶離液を蒸発させ、計量し、DMSO中10mMの濃度に希釈する。純度を、LC/MSを使用して評価する。
【0153】
<実施例3>
追加の代表的なCB1拮抗薬
通常の変更を使用して、出発材料を様々に変化させることができ、追加のステップを用いることによって、本明細書に提示されるその他の化合物を生成することができる。表Iに列挙される化合物は、そのような方法を使用して調製する。表I中の全ての化合物において、CB1のIC50は、本明細書の実施例8で記述されるように決定され、2マイクロモル以下である。「R.T.」は保持時間(分)であり、質量分析データ(MS)は上述のように作成し、これをM+1として示す。
【0154】
【表1.1】

【0155】
【表1.2】

【0156】
【表1.3】

【0157】
【表1.4】

【0158】
【表1.5】

【0159】
【表1.6】

【0160】
【表1.7】

【0161】
【表1.8】

【0162】
【表1.9】

<実施例4>
CB1発現のためのバキュロウイルス調製
この実施例は、CB1発現昆虫細胞を生成するのに使用される、組換えバキュロウイルスの調製を示す。
【0163】
ヒトCB1配列は、GenBankアクセション番号HSU73304を有しており、これは、Hoehe他(1991) New Biol.3(9):880〜85により報告された。ヒトCB1(hCB1)cDNAを、PCRを使用してヒト脳cDNAライブラリー(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)から増幅するが、このとき5’プライマーは、最適なKozak配列CCACCを含んでいる。得られたPCR産物を、多数のクローニング部位を使用してpcDNA3.1/V5−His−TOPO(Invitrogen Corp,Carlsbad,CA)にクローニングし、次いでBam/Xho部位でpBACPAK(BD Biosciences,Palo Alto,CA)にサブクローニングすることにより、hCB1バキュロウイルス発現ベクターが得られる。
【0164】
hCB1バキュロウイルス発現ベクターは、BACULOGOLD DNA(BD PharMingen,San Diego,CA)と共に、Sf9細胞に同時トランスフェクションがなされる。Sf9細胞培養上澄みを、トランスフェクション後3日目に収集する。組換えウイルスを含有する上澄みを、Grace塩が補われかつ4.1mMのL−Gln、3.3g/LのLAH、3.3g/Lの限外濾過したイーストレート、および10%の熱不活性化ウシ胎児血清が補われたHinkのTNM−FH昆虫培地(JRH Biosciences,Kansas City、MO)(以下、「昆虫培地」)で連続希釈し、組換えプラークのプラークアッセイを行う。4日後に組換えプラークを選択し、昆虫培地1ml中に収集して増幅を行う。各1ml体積の組換えバキュロウイルス(継代0で)を使用して、昆虫培地5ml中に2×10個のSf9細胞を含有する別のT25フラスコに感染させる。27℃でのインキュベーションから5日後に、上澄み培地をT25感染のそれぞれから収集して、継代1の接種材料として使用する。
【0165】
次いで7つの組換えバキュロウイルスクローンのうち2つを、2回目の増幅用に選択し、継代1ストック1mlを使用して、2個のT175フラスコに分けられた昆虫培地100ml内の1×10細胞に感染させる。感染から48時間後、各100mlの製剤からの継代2の培地を収集し、その力価に関してプラークアッセイを行う。2回目の増幅からの細胞ペレットを、以下に示す親和性結合によってアッセイにかけ、それによって組換え受容体発現を確認する。次いで3回目の増幅を、感染多重度0.1を使用して開始することにより、1リットルのSf9細胞を感染させる。感染から72時間後、上澄み培地を収集することにより、継代3のバキュロウイルスストックが得られる。
【0166】
残りの細胞ペレットを、親和性結合を目的としたアッセイにかける。放射リガンドは、飽和結合に関しては25pM〜5.0nMの[H]CP55,940であり、競合結合に関しては0.5nMであり(New England Nuclear Corp.,Boston,MA);hCB1発現バキュロウイルス細胞を使用し;アッセイ緩衝液は、50mM Tris(pH7.4)、120mM NaCl、5mM MgCl、0.5% BSA、および0.2mg/mlバシトラシンを含有し;濾過は、GF/C WHATMANフィルタ(使用前に2時間、0.3%無脂肪粉乳(HO)に事前に浸漬した)を使用して行い;このフィルタを、50mMの冷Tris(pH7.4)、5mLで2回洗浄する。
【0167】
継代3のバキュロウイルスストックの力価をプラークアッセイにより決定し、感染多重度、インキュベーション時間経過結合アッセイ実験を実施して、最適な受容体発現のための条件を決定する。
【0168】
<実施例5>
バキュロウイルス感染
対数増殖期Sf9細胞(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)に、組換えバキュロウイルスの1種または複数のストックを感染させ、その後、27℃で昆虫培地中で培養する。感染は、hCB1の発現を誘導するウイルスだけで実施し、またはこのウイルスと、3種のGタンパク質サブユニット発現ウイルスストック、すなわちその全てがBiosignal Inc.,Montreal,カナダから得られる1)ラットGαGタンパク質コード化ウイルスストック、2)ウシβ1G−タンパク質コード化ウイルスストック、および3)ヒトγ2Gタンパク質コード化ウイルスストックとを組み合わせて実施する。
【0169】
典型的なhCB1感染は、上記にて論じた10% 熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)が補われた昆虫培地で培養される、Sf9細胞を使用して実施する。より高い受容体およびGタンパク質(Gα、Gβ、Gγ)の発現は、Sf9細胞を、5%FBSおよび5%Gibco無血清培地(Invitrogen Corp.;Carlsbad,CA)を有する昆虫培地で培養した場合に得ることができる。最大のCB1発現および機能的活性は、Sf9細胞を、FBSを含まずかつ10%Gibco無血清培地を有する昆虫培地で培養した場合に実現される。感染は、感染多重度0.1:1.0:0.5:0.5で実施する。感染後72時間で、細胞懸濁液のサンプルに関し、トリパンブルー色素排除によって生存度を分析し、残りのSf9細胞を、遠心分離(3000rpm/10分/4℃)を介して収集する。
【0170】
<実施例6>
精製された組換え昆虫細胞膜
Sf9細胞ペレットを、均質化緩衝液(10mM HEPES、250mM スクロース、0.5μg/ml ロイペプチン、2μg/ml アプロチニン、200μM PMSF、および2.5mM EDTA、pH7.4)に再懸濁し、POLYTRONホモジナイザを使用して均質化する(設定5で30秒間)。ホモジネートを遠心分離にかけて(536×g/10分/4℃)、核をペレット化する。単離された膜を含有する上澄みを、清浄な遠心分離管内にデカントし、遠心分離にかけ(48000×g/30分、4℃)、得られたペレットを30mlの均質化緩衝液中に再懸濁する。この遠心分離および再懸濁ステップを、2回繰り返す。最終的なペレットを、5mM EDTAを含有する氷冷Dulbecco PBS中に再懸濁し、必要になるまで−80℃で凍結したアリコットとして貯蔵する。得られた膜製剤(以下、「P2膜」)のタンパク質濃度は、Bradfordタンパク質アッセイ(Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA)を使用して測定する。この測定によれば、細胞の1リットルの培養物で、典型的には全膜タンパク質が100〜150mg得られる。
【0171】
<実施例7>
放射能リガンド結合アッセイ
P2膜を、結合緩衝液(50mM Tris pH7.4、120mM NaCl、5mM MgCl、0.5% BSA、および0.2mg/ml バシトラシン)中に、Dounce均質化(密接した乳棒)によって再懸濁する。
【0172】
飽和結合分析では、25pM〜0.5nMの[H]CP55,940(New England Nuclear Corp.,Boston,MA)が入っているポリプロピレン管に、膜(10μg)を添加する。非特異的結合が、10μM CP55,940(Tocris Cookson Inc.,Ellisville,MO)の存在下で決定され、これは全結合の10%未満を占める。グアニンヌクレオチドが受容体親和性に及ぼす影響を評価する場合、GTPγSを、最終濃度50μMで2つの試験管に添加する。
【0173】
競合分析では、0.5nMの[H]CP55,940が入っているポリプロピレン管に、膜(10μg)を添加する。非放射能標識置換剤を、10−10Mから10−5Mに及ぶ濃度で個別のアッセイに添加することにより、最終体積0.250mLが得られる。非特異的結合は、10μM CP55,940の存在下で決定され、これは全結合の10%未満を占める。室温での1時間のインキュベーションの後、反応を、急速真空濾過によって停止させる。サンプルを、事前に浸漬した(使用前、0.3%無脂肪粉乳に2時間)GF/C WHATMANフィルタを通して濾過し、50mMの冷Tris(pH7.4)5mLで2回濯ぐ。残りの結合放射能を、γ計数によって定量する。KおよびHill係数(「nH」)は、SIGMAPLOTソフトウェア(SPSS Inc.,Chicago,IL)の支援により、Hillの方程式を測定値に当てはめることによって決定する。
【0174】
<実施例8>
作動薬誘導性GTP結合
この実施例は、CB1の作動薬および拮抗薬を同定するために、また逆作動活性を有するものから中性拮抗薬を区別するために、作動薬刺激性GTPガンマ35S結合(「GTP結合」)活性を使用することを示す。このアッセイは、拮抗薬化合物によって媒介された部分作動性を検出するのに使用することもできる。このアッセイで分析される化合物を、本明細書では「試験化合物」と呼ぶ。作動薬刺激性GTP結合活性は、下記の通り測定する:4種の独立したバキュロウイルスストック(1種はhCB1の発現を誘導し、3種は、ヘテロトリマーGタンパク質の3種のサブユニットのそれぞれの発現を誘導する)を使用して、実施例5で述べたようにSf9細胞の培養物に感染させる。
【0175】
精製した膜(実施例6で述べたような)上への作動薬刺激性GTP結合は、GTP結合により測定したときに受容体/Gタンパク質α−β−γの組合せが機能的応答をもたらすことを確認するために、CB1作動薬CP55,940を使用して最初に評価する。
【0176】
P2膜を、Dounce均質化(密接した乳棒)によってGTP結合アッセイ緩衝液(50mM Tris pH7.4、120mM NaCl、5mM MgCl、2mM EGTA、0.1% BSA、0.1mM バシトラシン、100KIU/mL アプロチニン、5μM GDP)中に再懸濁し、10μg タンパク質/反応管の濃度で反応管に添加する。10−12Mから10−6Mに及ぶ濃度で、増加用量の作動薬CP55,940を添加した後、100pM GTPガンマ35Sを添加することによって反応を開始させる。競合実験では、1nM CP55,940と共に、10−10Mから10−5Mに及ぶ濃度で非放射能標識試験化合物を個別のアッセイに添加することにより、最終体積0.25mLが得られる。
【0177】
室温で60分間インキュベートした後、GF/Cフィルタ(洗浄緩衝液、0.1% BSA中に事前に浸漬した)を通した真空濾過によって反応を停止させ、その後、氷冷洗浄緩衝液(50mM Tris pH7.0、120mM NaCl)で洗浄する。受容体結合(したがって膜結合)したGTPガンマ35Sの量は、結合放射能を測定することによって、好ましくは洗浄したフィルタの液体シンチレーション分光分析によって決定する。非特異的結合は、10mM GTPガンマ35Sを使用して決定し、これは典型的には全結合の5%未満である。データを、基礎(基準線)を超える%として表す。これらGTP結合実験の結果を、SIGMAPLOTソフトウェアおよび決定されたIC50を使用して分析する。次いでIC50を使用して、ChengおよびPrusoff(1973)Biochem Pharmacol.22(23):3099〜108に記載の通りKを生成する。
【0178】
中性拮抗薬は、CP55,940刺激性GTP結合活性を基準線に向けて低下させ、しかし基準線よりも下に低下させない試験化合物である(添加したCP55,940またはその他の作動薬が存在せず、また任意の試験化合物がさらに存在しないこのアッセイで、膜により結合されたGTPのレベルである)。
【0179】
対照的に、添加したCP55,940が存在しない状態では、CB1逆作動薬が、受容体含有膜のGTP結合活性を基準線よりも下に低下させる。拮抗薬活性を示す試験化合物が、CB1作動薬が存在しない状態でGTP結合活性を基準線の下まで低下させない場合、これは中性拮抗薬と特徴付けられる。
【0180】
このGTP結合アッセイで、添加したCP55,940が存在しない状態でGTP結合活性を基準線よりも高く上昇させる拮抗薬試験化合物は、部分作動薬活性を有することが特徴付けられる。好ましいCB1拮抗薬は、そのような条件下では、GTP結合活性を、作動薬CP55,940により引き出された最大応答の10%よりも高く上昇させず、好ましくは5%未満であり、最も好ましくは2%未満である。
【0181】
GTP結合アッセイは、CB2レセプターよりもCB1レセプターに向かう拮抗薬の選択性を決定するのに使用することもできる。CB2レセプターでの作動薬刺激性GTP結合活性は、CB1に関して既に述べたように測定するが、ただしhCB1の代わりにhCB2が使用される。そして、選択性を評価するために、そのようなアッセイの結果を、hCB1を使用するアッセイの結果と比較する。
【0182】
<実施例9>
克服可能性のアッセイ
あるCB1レセプター拮抗薬は、作動薬誘導性GTPγ35S結合作用に関して克服することができない。克服可能性を評価するために、Dounce均質化(密接した乳棒)によって、GTP結合アッセイ緩衝液(50mM Tris pH7.4、120mM NaCl、5mM MgCl、2mM EGTA、10μg/ml サポニン、0.1% BSA、0.1mM バシトラシン、100KIU/mL アプロチニン、5μM GDP)中にP2膜を再懸濁し、10μg タンパク質/反応管の濃度で反応管に添加する。10−12Mから10−5Mに及ぶ濃度での作動薬用量−応答曲線(典型的にはCP55,940)を、試験化合物が存在しない状態で、または試験化合物が、競合GTPγ35S結合で測定したときの試験化合物のIC50の100×までのいくつかの用量の1つで存在する状態で実行する。反応を、100pM GTPγ35Sの添加によって開始させることにより、最終体積0.25mLが得られる。室温で90分間インキュベートした後、GF/Cフィルタ(洗浄緩衝液、0.1% BSA中に事前に浸漬する)を通した真空濾過によって反応を停止させ、その後、氷冷洗浄緩衝液(50mM Tris pH7.0、120mM NaCl)で洗浄する。受容体結合(したがって膜結合)したGTPγ35Sの量を、結合放射能を測定することによって、好ましくは洗浄したフィルタの液体シンチレーション分光分析によって決定する。非特異的結合は、10μM GTPγSを使用して決定し、これは典型的には全結合の5%未満である。データを、基礎(基準線)を超える%として表す。これらGTP結合実験の結果は、SIGMAPLOTソフトウェアを使用して都合良く分析することができる。克服可能性試験化合物は、作動薬の最大機能応答に影響を及ぼすことなく、作動薬のEC50を右に(より弱く)シフトさせるものである。克服可能性のない拮抗薬試験化合物は、IC50の100倍程度の濃度で、hCB1作動薬のEC50に対して著しい効果を発揮せず、受容体の作動薬刺激性GTPγ35S結合応答を著しく低下させまたは完全になくす。
【0183】
<実施例10>
MDCK細胞毒性アッセイ
この実施例は、Madin Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞の細胞毒性アッセイを使用した、化合物毒性の評価を示す。
【0184】
試験化合物1μLを、透明底部96ウェルプレート(Packard,Meriden,CT)の各ウェルに添加して、このアッセイで化合物の最終濃度10μM、100μM、または200μMを得る。試験化合物を含まない溶媒を、対照ウェルに添加する。
【0185】
MDCK細胞、ATCC No.CCL−34(American Type Culture Collection,Manassas,VA)を、ATCC生成情報シートに従って、滅菌状態で維持する。集密MDCK細胞をトリプシン処理し、収集し、温めた(37℃)培地(VITACELL最小必須培地イーグル、ATCCカタログ#30−2003)で0.1×10細胞/mLの濃度に希釈する。希釈した細胞100μLを各ウェルに添加するが、細胞を含まない温かい培地100μLが入っている5つの標準曲線対照ウェルは除く。次いでプレートを、常に撹拌しながら2時間にわたり、95% O、5% CO中で37℃でインキュベートする。インキュベーションの後、哺乳類細胞溶解溶液(Packard(Meriden,CT)製、ATP−LITE−MルミネセントATP検出キット)50μLをウェルごとに添加し、これらのウェルをPACKARD TOPSEALステッカーで覆い、プレートを、適切な振盪器で2分間、約700rpmで振盪させる。
【0186】
毒性を引き起こす化合物は、未処理の細胞よりもATP生成を低下させることになる。ATP−LITE−MルミネセントATP検出キットは一般に、処理済みおよび未処理のMDCK細胞でのATP生成を測定するために、製造業者の取扱説明書に従って使用される。PACKARD ATP−LITE−M試薬は、室温と平衡になることが可能である。平衡になったら、凍結乾燥した基質溶液を基質緩衝溶液(キットから)5.5mLに溶いて元に戻す。凍結乾燥したATP標準溶液を脱イオン水に溶いて元に戻すことにより、10mMのストックが得られる。5つの対照ウェルでは、連続希釈したPACKARD標準物質10mLを標準曲線対照ウェルのそれぞれに添加することにより、後続ウェルのそれぞれで最終濃度200nM、100nM、50nM、25nM、および12.5nMが得られる。PACKARD基質溶液(50μL)を全てのウェルに添加し、次いでこれらを覆い、プレートを、適切な振盪器上で2分間、約700rpmで振盪させる。白色PACKARDステッカーを各プレートの底部に取着し、プレートをホイルで包んで暗所に10分間置くことにより、サンプルを暗順応させる。次いでルミネセンスを、ルミネセンス計数器(例えば、PACKARD TOPCOUNTマイクロプレートシンチレーションおよびルミネセンス計数器、またはTECAN SPECTRAFLUOR PLUS)および標準曲線から計算されたATPレベルを使用して、22℃で測定する。試験化合物で処理した細胞中のATPレベルを、未処理の細胞について決定されたレベルと比較する。好ましい試験化合物10μMで処理した細胞は、未処理の細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であるATPレベルを示す。試験化合物の濃度100μMを使用する場合、好ましい試験化合物で処理した細胞は、未処理の細胞で検出されたATPレベルの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%のATPレベルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の病状を治療する方法であって、
該症状は、食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸疾患、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害または骨量の減少であり、
該方法は、治療上有効な量の少なくとも1種類の下式の化合物または医薬品として許容されるその塩を患者に投与する工程を含む。
【化1】

(式中、Rは
(a)(5または6員ヘテロアリール)C〜CアルキルまたはフェニルC〜Cアルキルで、それぞれRから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されているか;または
(b)(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれは、
(i)5〜7員炭素環または複素環に縮合されていてもよく、および
(ii)Rから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されており;
Arは、Rから独立に選択された0〜4個の置換基でそれぞれ置換されたフェニル、ナフチルまたは5〜10員のヘテロアリールであり;
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、OC(=O)、OC(=O)O、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素、C〜Cアルキルおよび置換されていても良い4〜7員の複素環をQと共に形成する基から選択され;
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル、(5〜10員複素環)C〜Cアルキル、または4〜7員複素環をMと共に形成しており、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基でそれぞれ置換されており;
は無置換のベンジルではなく;または、
(c)隣接する環の炭素原子上に位置するRと共に、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換された縮合5〜7員炭素環または複素環を形成しており;および
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、C(=O)、OC(=O)、C(=O)O、O−C(=O)O、S(O)、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素およびC〜Cアルキルから選択され;および
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換されている。)
【請求項2】
Arは、フェニル、ピリジルまたはピリミジルであり、それぞれは、結合点に対して独立にメタまたはパラ位である0〜3個の置換基で置換されており、各置換基は独立に、
(a)ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであるか;または
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜CアルカノイルオキシまたはC〜Cアルコキシカルボニルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルカノイルおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜2個の置換基で置換されている請求項1記載の方法。
【請求項3】
Arはフェニルであり、置換されていないか1個または2個の置換基で置換されており、それぞれは結合点に対してメタまたはパラ位であり、それぞれは独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されたフェニルC〜Cアルキルである請求項1ないし3いずれか記載の方法。
【請求項5】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルC〜Cアルキルおよび(6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項1ないし3いずれか記載の方法。
【請求項6】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれはフェニルまたは6員ヘテロアリール環に縮合されており、それぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項1ないし3いずれか記載の方法。
【請求項7】
前記化合物は、下式を有する請求項1記載の方法。
【化2】

(式中、R、RおよびRは、独立に、水素およびRから選択され、RおよびRの少なくとも一方は水素ではない。)
【請求項8】
、RおよびRは、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルカノイルオキシおよびC〜Cアルコキシカルボニルから選択される請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記化合物は、下式を有する請求項7記載の方法。
【化3】

(式中、Arはフェニルまたは6員ヘテロアリールで、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている。)
【請求項10】
前記化合物は、下式を有する請求項7記載の方法。
【化4】

(式中、RおよびRは、独立に、水素、C〜Cアルキルおよび(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルから選択されるか;または、
およびRは、C〜Cシクロアルキル基を共に形成しており;および
Arはフェニルまたは6員ヘテロアリールで、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている。)
【請求項11】
前記化合物は、下式を有する請求項10記載の方法。
【化5】

(式中、nは、1、2、3または4である。)
【請求項12】
前記化合物は、下式を有する請求項10記載の方法。
【化6】

(式中、Rは、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり;および
は、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基を表す。)
【請求項13】
前記化合物は、下式を有する請求項7記載の方法。
【化7】

(式中、Arはフェニルまたは6員ヘテロアリールで、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されており;および
それぞれのnは独立に0または1である。)
【請求項14】
前記化合物は、下式を有する請求項7記載の方法。
【化8】

(式中、Xは、CH、NまたはOで;およびnは、0、1または2である。)
【請求項15】
前記化合物は、
N−(4−ブチルフェニル)−N’−(1−フェニルプロピル)ウレア;
N−(4−エチルフェニル)−N’−(2−フェニルエチル)ウレア;
N−(4−エチルフェニル)−N’−(2−フェニルエチル)ウレア;
N−(3−シクロヘキシル−2−フェニルプロピル)−N’−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−(2−メトキシベンジル)ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−(4−メトキシベンジル)ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)ベンジル]−N’−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ウレア;
N−[2−(2−クロロフェニル)エチル]−N’−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ウレア;
N−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−N’−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ウレア;
N−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−N’−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−{2−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−{2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]ウレア;
N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−N’−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3−メトキシフェニル)エチル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3−エトキシフェニル)エチル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(2,4−ジメトキシフェニル)エチル]ウレア;
N−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]ウレア;
メチル4−{[({[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]メチル}ベンゾエート;
テトラ−ブチル4−{[({[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート;
N−[(3S)−1−ベンジルピロリジン−3−イル]−N’−[4−(ジフルオロメトキシ)フェニル]ウレア;
N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−(4−メトキシベンジル)ウレア;
メチル4−{[({[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]メチル}ベンゾエート;
N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]ウレア;
N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−(2−フェニルシクロプロピル)ウレア;
N−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−N’−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)エチル]ウレア;
N−(3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル)−N’−[3−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−N’−[4−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[4−(メチルチオ)フェニル]−N’−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)ウレア;
N−(3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イル)−N’−[4−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[4−(メチルチオ)フェニル]−N’−(6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−5−イル)ウレア;
N−(4−エチルフェニル)−N’−[2−(3−メチルフェニル)エチル]ウレア;
N−(4−エチルフェニル)−N’−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]ウレア;
N−(4−エチルフェニル)−N’−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]ウレア;
N−(3−フルオロ−4−メチルフェニル)−N’−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]ウレア;
N−[2−(3−メチルフェニル)エチル]−N’−(4−ニトロフェニル)ウレア;
N−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]−N’−(4−ニトロフェニル)ウレア;
N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N’−(4−ニトロフェニル)ウレア;
N−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−N’−(4−ニトロフェニル)ウレア;
N−[2−(3−メチルフェニル)エチル]−N’−[3−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]−N’−[3−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N’−[3−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−N’−[3−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[2−(3−メチルフェニル)エチル]−N’−[4−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[2−(2−フルオロフェニル)エチル]−N’−[4−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−N’−[4−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−[2−(4−フルオロフェニル)エチル]−N’−[4−(メチルチオ)フェニル]ウレア;
N−(4−メチルフェニル)−N’−(2−フェニルオクチル)ウレア;
N−(4−フルオロフェニル)−N’−(2−フェニルオクチル)ウレア;
N−(4−シアノフェニル)−N’−(2−フェニルオクチル)ウレア;
N−(3−シアノフェニル)−N’−(2−フェニルオクチル)ウレア;
N−(3−シクロペンチル−2−フェニルプロピル)−N’−(4−ニトロフェニル)ウレア;または
N−(4−ニトロフェニル)−N’−(2−フェニルヘプチル)ウレア
である請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記病状は、食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸疾患またはクローン病である請求項1ないし15いずれか記載の方法。
【請求項17】
前記病状は、肥満、過食症、アルコール依存症またはニコチン依存症である請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記病状は、肥満である請求項17記載の方法。
【請求項19】
(i)下式の化合物または医薬品として許容されるその塩である第1の薬剤と;
【化9】

(式中、Rは
(a)(5または6員ヘテロアリール)C〜CアルキルまたはフェニルC〜Cアルキルで、それぞれRから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されているか;または
(b)(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれは、
(i)5〜7員炭素環または複素環に縮合されていてもよく、および
(ii)Rから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されており;
Arは、Rから独立に選択された0〜4個の置換基でそれぞれ置換されたフェニル、ナフチルまたは5〜10員のヘテロアリールであり;
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、OC(=O)、OC(=O)O、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素、C〜Cアルキルおよび置換されていても良い4〜7員の複素環をQと共に形成する基から選択され;
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル、(5〜10員複素環)C〜Cアルキル、または4〜7員複素環をMと共に形成しており、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基でそれぞれ置換されており;
は無置換のベンジルではなく;または、
(c)隣接する環の炭素原子上に位置するRと共に、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換された縮合5〜7員炭素環または複素環を形成しており;および
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、C(=O)、OC(=O)、C(=O)O、O−C(=O)O、S(O)、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素およびC〜Cアルキルから選択され;および
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換されている。)
(ii)食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸疾患、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害または骨量の減少を治療するのに適切な第2の薬剤と;および
(iii)生理的に許容される担体または賦形剤と
を含む医薬品組成物。
【請求項20】
前記第2の薬剤は、MCH受容体拮抗薬、アポ−B/MTP阻害剤、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1阻害剤、ペプチドYY−36またはその類似体、MCR−4作動薬、CCK−A作動薬、モノアミン再取込み阻害剤、交感神経様作動薬、βアドレナリン受容体作動薬、ドーパミン作動薬、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類似体、5−HT2c受容体作動薬、レプチンまたはその類似体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤、ボンベシン作動薬、ニューロペプチド−Y受容体拮抗薬、甲状腺模倣剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動薬、毛様体神経栄養因子、ヒトアグーチ関連タンパク質拮抗薬、グレリン受容体拮抗薬、ヒスタミン3受容体拮抗薬またはニューロメディンU受容体作動薬から選択された抗肥満薬である請求項19記載の医薬品組成物。
【請求項21】
前記抗肥満薬は、フェンテルミン、オルリスタットまたはシブトラミンである請求項20記載の医薬品組成物。
【請求項22】
前記第2の薬剤は、ニコチン受容体部分作動薬、オピオイド拮抗薬またはドーパミン作動薬である請求項19記載の医薬品組成物。
【請求項23】
前記第2の薬剤は、嗜癖障害を治療するのに適切であり、前記薬剤は、メタドン、LAAM、ナルトレキソン、オンダンセトロン、セルトラリン、フルオキセチン、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、バレニクリンおよびブプロピオンから選択される請求項19記載の医薬品組成物。
【請求項24】
Arは、フェニル、ピリジルまたはピリミジルであり、それぞれは、結合点に対して独立にメタまたはパラ位である0〜3個の置換基で置換されており、各置換基は独立に、
(a)ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであるか;または
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜CアルカノイルオキシまたはC〜Cアルコキシカルボニルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルカノイルおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜2個の置換基で置換されている請求項19ないし23いずれか記載の医薬品組成物。
【請求項25】
Arはフェニルであり、置換されていないか1個または2個の置換基で置換されており、それぞれは結合点に対してメタまたはパラ位であり、それぞれは独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである請求項19ないし24いずれか記載の医薬品組成物。
【請求項26】
Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されたフェニルC〜Cアルキルである請求項19ないし25いずれか記載の医薬品組成物。
【請求項27】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルC〜Cアルキルおよび(6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項19ないし25いずれか記載の医薬品組成物。
【請求項28】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれはフェニルまたは6員ヘテロアリール環に縮合されており、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項19ないし25いずれか記載の医薬品組成物。
【請求項29】
前記化合物は、下式を有する請求項25記載の医薬品組成物。
【化10】

(式中、R、RおよびRは、独立に、水素およびRから選択され、RおよびRの少なくとも一方は水素ではない。)
【請求項30】
(i)下式の化合物または医薬品として許容されるその塩を、生理的に許容される担体または賦形剤と併せて含む医薬品組成物と、
【化11】

(式中、Rは
(a)(5または6員ヘテロアリール)C〜CアルキルまたはフェニルC〜Cアルキルで、それぞれRから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されているか;または
(b)(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれは、
(i)5〜7員炭素環または複素環に縮合されていてもよく、および
(ii)Rから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されており;
Arは、Rから独立に選択された0〜4個の置換基でそれぞれ置換されたフェニル、ナフチルまたは5〜10員のヘテロアリールであり;
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、OC(=O)、OC(=O)O、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素、C〜Cアルキルおよび置換されていても良い4〜7員の複素環をQと共に形成する基から選択され;
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル、(5〜10員複素環)C〜Cアルキル、または4〜7員複素環をMと共に形成しており、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基でそれぞれ置換されており;
は無置換のベンジルではなく;または、
(c)隣接する環の炭素原子上に位置するRと共に、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換された縮合5〜7員炭素環または複素環を形成しており;および
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、C(=O)、OC(=O)、C(=O)O、O−C(=O)O、S(O)、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素およびC〜Cアルキルから選択され;および
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換されている。)
(ii)食欲障害、肥満、嗜癖障害、喘息、肝硬変、敗血症、過敏性腸疾患、クローン病、うつ病、統合失調症、記憶障害、認知障害、運動障害または骨量の減少を治療するために前記組成物を使用する取扱説明書と
を含む包装された医薬品製剤。
【請求項31】
Arは、フェニル、ピリジルまたはピリミジルであり、それぞれは、結合点に対して独立にメタまたはパラ位である0〜3個の置換基で置換されており、各置換基は独立に、
(a)ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであるか;または
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜CアルカノイルオキシまたはC〜Cアルコキシカルボニルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルカノイルおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜2個の置換基で置換されている請求項30記載の包装された医薬品製剤。
【請求項32】
Arはフェニルであり、置換されていないか1個または2個の置換基で置換されており、それぞれは結合点に対してメタまたはパラ位であり、それぞれは独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである請求項30または31記載の包装された医薬品製剤。
【請求項33】
Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されたフェニルC〜Cアルキルである請求項30ないし32いずれか記載の包装された医薬品製剤。
【請求項34】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルC〜Cアルキルおよび(6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項30ないし32いずれか記載の包装された医薬品製剤。
【請求項35】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれはフェニルまたは6員ヘテロアリール環に縮合されており、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項30ないし32いずれか記載の包装された医薬品製剤。
【請求項36】
前記化合物は、下式を有する請求項30記載の包装された医薬品製剤。
【化12】

(式中、R、RおよびRは、独立に、水素およびRから選択され、RおよびRの少なくとも一方は水素ではない。)
【請求項37】
(i)CB1と、標識済みの非競合的CB1拮抗薬および試験化合物とを、該CB1拮抗薬をCB1に結合させることが可能な条件下で接触させる工程と、
ただし、該CB1拮抗薬は下式の化合物または医薬品として許容されるその塩であり、
【化13】

(式中、Rは
(a)(5または6員ヘテロアリール)C〜CアルキルまたはフェニルC〜Cアルキルで、それぞれRから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されているか;または
(b)(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれは、
(i)5〜7員炭素環または複素環に縮合されていてもよく、および
(ii)Rから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されており;
Arは、Rから独立に選択された0〜4個の置換基でそれぞれ置換されたフェニル、ナフチルまたは5〜10員のヘテロアリールであり;
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、OC(=O)、OC(=O)O、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素、C〜Cアルキルおよび置換されていても良い4〜7員の複素環をQと共に形成する基から選択され;
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル、(5〜10員複素環)C〜Cアルキル、または4〜7員複素環をMと共に形成しており、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基でそれぞれ置換されており;
は無置換のベンジルではなく;または、
(c)隣接する環の炭素原子上に位置するRと共に、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換された縮合5〜7員炭素環または複素環を形成しており;および
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、C(=O)、OC(=O)、C(=O)O、O−C(=O)O、S(O)、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素およびC〜Cアルキルから選択され;および
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換されている。)
(ii)結合していない標識済みの非競合的CB1拮抗薬および試験化合物を除去する工程と、
(iii)CB1に結合した標識済みの非競合的CB1拮抗薬の量に対応するシグナルを検出する工程と、
(iv)該シグナルを、試験化合物が存在しない状態でCB1に結合した標識済みの非競合的CB1拮抗薬に対応する参照シグナルと比較する工程と
を含みそこから非競合的CB1拮抗薬を同定する非競合的CB1拮抗薬の同定方法。
【請求項38】
患者に食欲抑制量の少なくとも1種の下式の化合物または医薬品として許容されるその塩を投与する工程と、
そして、該患者の食欲を抑制する工程と
を含む患者の食欲を抑制するための方法。
【化14】

(式中、Rは
(a)(5または6員ヘテロアリール)C〜CアルキルまたはフェニルC〜Cアルキルで、それぞれRから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されているか;または
(b)(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルで、それぞれは、
(i)5〜7員炭素環または複素環に縮合されていてもよく、および
(ii)Rから独立に選ばれた0〜4個の置換基で置換されており;
Arは、Rから独立に選択された0〜4個の置換基でそれぞれ置換されたフェニル、ナフチルまたは5〜10員のヘテロアリールであり;
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、OC(=O)、OC(=O)O、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素、C〜Cアルキルおよび置換されていても良い4〜7員の複素環をQと共に形成する基から選択され;
は、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、フェニルC〜Cアルキル、(5〜10員複素環)C〜Cアルキル、または4〜7員複素環をMと共に形成しており、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基でそれぞれ置換されており;
は無置換のベンジルではなく;または、
(c)隣接する環の炭素原子上に位置するRと共に、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cアルキルスルホニルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換された縮合5〜7員炭素環または複素環を形成しており;および
それぞれのRは独立に
(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル、アミノスルホニルまたは−COOHであるか;
(b)式L−M−Qの基であるか、ただし
Lは、存在していないか、C〜Cアルキレンであり;
は、存在していないか、O、C(=O)、OC(=O)、C(=O)O、O−C(=O)O、S(O)、N(R)、C(=O)N(R)、C(=NH)N(R)、N(R)C(=O)、N(R)C(=NH)、N(R)C(=O)O、OC(=O)N(R)、N(R)S(O)、S(O)N(R)またはN[S(O)]S(O)であり;ただし、mは、独立に、出現するごとに、0、1および2から選択され;Rは、独立に、出現するごとに、水素およびC〜Cアルキルから選択され;および
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、オキソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜3個の置換基で置換されている。)
【請求項39】
Arは、フェニル、ピリジルまたはピリミジルであり、それぞれは、結合点に対して独立にメタまたはパラ位である0〜3個の置換基で置換されており、各置換基は独立に、
(a)ハロゲン、ヒドロキシまたはシアノであるか;または
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜CアルカノイルオキシまたはC〜Cアルコキシカルボニルであり、それぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルカノイルおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択された0〜2個の置換基で置換されている請求項38記載の方法。
【請求項40】
Arはフェニルであり、置換されていないか1個または2個の置換基で置換されており、それぞれは結合点に対してメタまたはパラ位であり、それぞれは独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである請求項38または39記載の方法。
【請求項41】
Rは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されたフェニルC〜Cアルキルである請求項38ないし40いずれか記載の方法。
【請求項42】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシカルボニル、C〜Cハロアルコキシ、フェニルC〜Cアルキルおよび(6員ヘテロアリール)C〜Cアルキルから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項38ないし40いずれか記載の方法。
【請求項43】
Rは、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(3〜8員ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、それぞれはフェニルまたは6員ヘテロアリール環に縮合されており、ハロゲン、C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選ばれた0〜3個の置換基によって置換されている請求項38ないし40いずれか記載の方法。
【請求項44】
前記化合物は、下式を有する請求項38記載の方法。
【化15】

(式中、R、RおよびRは、独立に、水素およびRから選択され、RおよびRの少なくとも一方は水素ではない。)

【公表番号】特表2008−519078(P2008−519078A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540374(P2007−540374)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/039474
【国際公開番号】WO2006/052542
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(500080421)ニューロゲン コーポレイション (3)
【氏名又は名称原語表記】NEUROGEN CORPORATION
【Fターム(参考)】