説明

CFTRモジュレーターとしてのピリジル誘導体

ABCトランスポーターは、このトランスポーターの欠損、標的細胞からの薬物輸送の防止、およびABCトランスポーター活性の調節が有利であり得る他の疾患への介入に関連する疾患の処置のための重要な潜在的薬物標的を提示する。本発明は、式(I)


のATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターまたはそのフラグメント(嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンスレギュレーター(「CFTR」)が挙げられる)のモジュレーター、これらの組成物、およびそれを用いる方法に関する。本発明はまた、このようなモジュレーターを使用して、ABCトランスポーター媒介疾患を処置する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、ATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターまたはそのフラグメント(嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンスレギュレーター(「CFTR」)が挙げられる)のモジュレーター、これらの組成物、およびそれを用いる方法に関する。本発明はまた、このようなモジュレーターを使用して、ABCトランスポーター媒介疾患を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ABCトランスポーターは、広範な種々の薬理学的因子、潜在的に毒性である薬物、および生体異物、ならびに陰イオンの輸送を調節する、膜トランスポータータンパク質のファミリーである。ABCトランスポーターは、細胞のアデノシン三リン酸(ATP)を結合し、そしてそれらの特異的活性のために使用する、相同膜タンパク質である。これらのトランスポーターのうちのいくつかは、多剤耐性タンパク質(MDR1-P糖タンパク質、または多剤耐性タンパク質MRP1のような)として発見され、悪性がん細胞を化学療法剤から守る。現在までに、48種のABCトランスポーターが同定されており、そしてそれらの配列同一性および機能に基づいて、7つのファミリーに分類されている。
【0003】
ABCトランスポーターは、身体内での種々の重要な生理学的役割を調節し、そして有害な環境化合物に対する防御を提供する。このことに起因して、ABCトランスポーターは、このトランスポーターの欠損、標的細胞からの薬物輸送の防止、およびABCトランスポーター活性の調節が有利であり得る他の疾患への介入に関連する疾患の処置のための重要な潜在的薬物標的を提示する。
【0004】
疾患に共通して関連するABCトランスポーターファミリーの1つのメンバーは、cAMP/ATP媒介陰イオンチャネルであるCFTRである。CFTRは、種々の細胞型(吸収細胞および分泌上皮細胞が挙げられる)において発現され、これらの細胞において、CFTRは、膜を横切る陰イオン流、ならびに他のイオンチャネルおよびタンパク質の活性を調節する。上皮細胞において、CFTRが正常に機能することは、身体全体(呼吸組織および消化組織が挙げられる)にわたる電解質輸送の維持のために重要である。CFTRは、約1480のアミノ酸からなり、これらのアミノ酸は、膜貫通ドメイン(各々が、6つの膜貫通らせんおよびヌクレオチド結合ドメインを含む)の縦列反復からなるタンパク質をコードする。これらの2つの膜貫通ドメインは、複数のリン酸化部位を有する大きい極性の調節(R)ドメインにより連結される。これらのリン酸化部位は、チャネル活性および細胞内輸送を調節する。
【0005】
CFTRをコードする遺伝子が同定および配列決定されている(非特許文献1および非特許文献2を参照のこと)、(非特許文献3)。この遺伝子の欠損は、CFTRの変異を引き起こし、嚢胞性線維症(「CF」)(ヒトにおける最も一般的な致死性遺伝疾患)を生じる。嚢胞性線維症は、米国における約2,500人に1人の乳児を冒している。一般的な米国民において、1千万人までの人が、明らかな疾病の影響なしで、欠損遺伝子の単一のコピーを有する。逆に、CF関連遺伝子の2つのコピーを有する個体は、CFの消耗性かつ致死性の影響(慢性肺疾患が挙げられる)を患う。
【0006】
嚢胞性線維症を患う患者において、呼吸上皮において内因的に発現されたCFTRの変異は、先端での陰イオン分泌の低下をもたらし、イオンおよび流体の輸送の不釣合いを引き起こす。その結果として生じる陰イオン輸送の減少は、肺における増大した粘膜蓄積および付随する微生物感染に寄与し、これは最終的に、CF患者の死を引き起こす。呼吸疾患に加えて、CF患者は代表的に、胃腸の問題および膵臓の機能不全を患い、これは、処置されないままにされる場合、死をもたらす。さらに、嚢胞性線維症を患う男性の大部分は、不妊症であり、そして受胎能が、嚢胞性線維症を患う女性において低下している。CF関連遺伝子の2つのコピーの重大な影響とは対照的に、CF関連遺伝子の1つのコピーを有する個体は、コレラに対する抵抗性、および下痢から生じる脱水症に対する抵抗性の増加を示す。これはおそらく、集団における、CF遺伝子の比較的高い頻度を説明する。
【0007】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析は、種々の疾患を引き起こす変異を明らかにした(非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6;非特許文献7)。現在までに、1000を超える、CF遺伝子における疾患を引き起こす変異が同定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も関連が深い変異は、CFTRアミノ酸配列の508位におけるフェニルアラニンの欠失であり、通常、ΔF508-CFTRと称される。この変異は、嚢胞性線維症の症例の約70%において起こり、そして重篤な疾患に関連する。
【0008】
ΔF508-CFTRにおける残基508の欠失は、発生期のタンパク質が正しくフォールディングすることを防ぐ。このことは、変異タンパク質が小胞体(「ER」)を出ること、および原形質膜に輸送されることを不可能にする。その結果、膜内に存在するチャネルの数が、野生型CFTRを発現する細胞において観察されるよりもはるかに少ない。損なわれた輸送に加えて、変異は、欠損したチャネル開閉を生じる。膜内のチャネル数の減少と欠損した開閉とが一緒になって、上皮を横切る陰イオン輸送の減少をもたらし、欠損したイオン輸送および流体輸送をもたらす(非特許文献8)。しかし、研究は、膜内の減少した数のΔF508-CFTRが、野生型CFTRより低いものの、機能的であることを示した(非特許文献9;Denningら(前出);非特許文献10)。ΔF508-CFTRに加えて、欠損輸送、合成、および/またはチャネル開閉を生じる、CFTRにおける他の疾患を引き起こす変異は、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされて、陰イオン分泌を変化させ得、そして疾患の進行および/または重篤度を改変し得る。
【0009】
CFTRは、陰イオンに加えて種々の分子を輸送するが、この役割(陰イオンの輸送)は、上皮を横切ってイオンおよび水を輸送する重要な機構の1つのエレメントを代表することが明らかである。他のエレメントとしては、上皮Na+チャネル、ENaC、Na+/2Cl-/K+共輸送体、Na+-K+-ATPaseポンプおよび基底外側膜K+チャネルが挙げられ、これらは、細胞内への塩化物の取り込みを担う。
【0010】
これらのエレメントは、一緒に働いて、細胞内でのそれらの選択的発現および局在により、上皮を横切る直接的輸送を達成する。塩化物吸収は、先端の膜に存在するENaCおよびCFTR、ならびに細胞の基底外側表面に発現されるNa+-K+-ATPaseポンプおよびClチャネルの、協調した活性により起こる。管腔側からの塩化物の二次的な能動輸送は、細胞内塩化物の蓄積をもたらし、これは次いで、Cl-チャネルを通って細胞から受動的に離れ得、方向付けられた(vectorial)輸送を生じる。基底外側表面のNa+/2Cl-/K+共輸送体、Na+-K+-ATPaseポンプおよび基底外側膜K+チャネル、ならびに管腔側のCFTRの配置は、管腔側のCFTRを介する塩化物の分泌を調整する。水はおそらく、それ自体では決して能動的に輸送されないので、上皮を横切る水の流れは、ナトリウムおよび塩化物の大きい流れにより生じる、小さい経上皮浸透圧勾配に依存する。
【0011】
嚢胞性線維症に加えて、CFTR活性の調節は、CFTRの変異によって直接的には引き起こされない他の疾患(例えば、CFTRにより媒介される分泌疾患および他のタンパク質フォールディング疾患)のために有利であり得る。これらとしては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼乾燥疾患、およびシェーグレン症候群が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
COPDは、進行性であって完全には可逆的ではない気流制限により特徴付けられる。気流制限は、粘液過分泌、気腫、および細気管支炎に起因する。変異体または野生型のCFTRの活性化は、粘膜過分泌およびCOPDにおいて一般的である損なわれた粘液線毛クリアランスの潜在的な処置を与える。具体的には、CFTRを横切る陰イオン分泌の増加は、気道表面液体内への流体輸送を容易にして、粘膜を水和し得、シリア線毛周囲の流体粘度を最適化し得る。これは、増強された粘液線毛クリアランスおよびCOPDに関連する症状の低下をもたらす。眼乾燥疾患は、涙液の産生の低下、ならびに異常な涙液膜の脂質、タンパク質およびムチンのプロフィールにより特徴付けられる。眼乾燥には多数の原因が存在し、これらのうちのいくつかとしては、年齢、レーシック眼手術、関節炎、薬物適用、化学的/熱的火傷、アレルギー、ならびに嚢胞性線維症シェーグレン症候群などの疾患が挙げられる。CFTRを介する陰イオン分泌の増加は、眼を囲む角膜内皮細胞および分泌腺からの流体輸送を増強して、角膜の水和を増大させる。これは、眼乾燥疾患に関連する症状の軽減を補助する。シェーグレン症候群とは、免疫系が体中の水分産生腺(眼、口腔、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣および消化管が挙げられる)を攻撃する、自己免疫疾患である。症状としては、眼、口腔、および膣の乾燥、ならびに肺疾患が挙げられる。この疾患はまた、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、全身性硬化症、および多発性筋炎(polymypositis)/皮膚筋炎に関連する。防御的なタンパク質輸送は、処置の選択肢が制限されている疾患を引き起こすと考えられる。CFTR活性の調節は、疾患により影響を受けた種々の器官を水和し得、そして関連する症状を上昇させることを補助し得る。
【0013】
上で議論されたように、ΔF508-CFTRにおける残基508の欠失は、発生期のタンパク質が正しくフォールディングすることを防ぎ、その結果として、この変異タンパク質がERを出て原形質膜に輸送されることを不可能にすると考えられる。その結果として、不充分な量の成熟タンパク質が原形質膜に存在し、そして上皮組織内の塩化物輸送が有意に低下する。実際に、ER機構によるABCトランスポーターの欠損ERプロセシングのこの細胞現象は、CF疾患についてのみではなく、広範な他の孤立性疾患および遺伝した疾患についての基礎であることが示されている。ER機構が機能不全になり得る2つの様式は、分解をもたらすタンパク質のER送出へのカップリングの損失によるか、またはこれらの欠損/ミスフォールディングタンパク質のER蓄積によるかのいずれかである[非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15]。ER機能不全の第一のクラスに関連する疾患は、嚢胞性線維症(上で議論されたようなミスフォールディングΔF508-CFTRに起因する)、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン;非Pizバリアントに起因する)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-フィブリン溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症)、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー病)、ムコ多糖体症(リソソームプロセシング酵素に起因する)、サンドホフ/テイ-サックス病(β-ヘキソサミニダーゼに起因する)、クリグラー-ナジャー病II型(UDP-グルクロニル-シアル酸-トランスフェラーゼ(UDP-glucuronyl-sialyc-transferase)に起因する)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリンレセプターに起因する)、ラロン型小人症(成長ホルモンレセプターに起因する)、ミエロペルオキシダーゼ(myleoperoxidase)欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ腹甲状腺ホルモンに起因する)、黒色腫(チロシナーゼに起因する)である。ER機能不全の後者のクラスに関連する疾患は、グリカノーシス(glycanosis)CDG 1型、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン(PiZバリアント)に起因する)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型のプロコラーゲンに起因する)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンに起因する)、ACT欠損症(α1-抗キモトリプシンに起因する)、尿崩症(DI)、ニューロフィジール(neurophyseal)DI(バソプレシン(vasopvessin)ホルモン/V2-レセプターに起因する)、腎性(neprogenic)DI(水チャネルIIに起因する)、シャルコー-マリー-ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22に起因する)、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病(Perlizaeus-Merzbacher disease)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因する))、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、数種のポリグルタミン神経障害(例えば、ハンティングトン病)、脊髄小脳(spinocerebullar)失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体(dentatorubal pallidoluysian)、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに海綿状脳障害(例えば、遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する))、ファブリー病(リソソームα-ガラクトシダーゼAに起因する)、シュトロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼乾燥疾患、およびシェーグレン症候群である。
【0014】
CFTR活性のアップレギュレーションに加えて、CFTRモジュレーターによる陰イオン分泌の減少は、分泌促進物質で活性化された塩化物輸送の結果として上皮の水の輸送が劇的に増加している分泌性下痢の処置のために有利であり得る。その機構は、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を包含する。
【0015】
下痢には多数の原因が存在するが、過剰な塩化物輸送から生じる下痢の疾患の主要な結果は全てに対して共通であり、脱水症、アシドーシス、損なわれた成長および死が挙げられる。
【0016】
急性下痢および慢性下痢は、世界の多くの地域における主要な医療問題を提示している。下痢は、5歳未満の小児の栄養失調の重要な要因であり、かつ死亡の主要な原因である(5,000,000人の死/年)。
【0017】
分泌性下痢はまた、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性炎症性腸疾患(IBD)の患者において危険な状態である。工業国から発展途上国への1600万人の旅行者が、毎年下痢を発症しており、下痢の重篤度および症例の数は、旅行の国および地域に依存して変動する。
【0018】
家畜動物およびペット(例えば、ウシ、ブタおよびウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコおよびイヌ)の下痢(diarrhea)(下痢(scour)としてもまた公知)は、これらの動物の主要な死因である。下痢は、任意の主要な移行(例えば、離乳または物理的移動)から、ならびに種々の細菌感染またはウイルス感染に応答して生じ得、そして一般に、その動物の生涯の最初の数時間以内に起こる。
【0019】
下痢を引き起こす最も一般的な細菌は、K99毛抗原を有する腸毒性E-coli(ETEC)である。下痢の一般的なウイルス性原因としては、ロタウイルスおよびコロナウイルスが挙げられる。他の感染性因子としては、とりわけ、クリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫、およびサルモネラが挙げられる。
【0020】
ロタウイルス感染の症状としては、水っぽい便の排出、脱水症および脱力が挙げられる。コロナウイルスは、新生動物においてより重篤な疾病を引き起こし、そしてロタウイルス感染より高い死亡率を有する。しかし、しばしば、若い動物は、一度に1つより多くのウイルス、またはウイルスと細菌性微生物との組み合わせに感染し得る。このことは、疾患の重篤度を劇的に増大させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Gregory,R.J.ら(1990)Nature 347:382-386
【非特許文献2】Rich,D.P.ら(1990)Nature 347:358-362
【非特許文献3】Riordan,J.R.ら(1989)Science 245:1066-1073
【非特許文献4】Cutting,G.R.ら(1990)Nature 346:366-369
【非特許文献5】Dean,M.ら(1990)Cell 61:863:870
【非特許文献6】Kerem,B-S.ら(1989)Science 245:1073-1080
【非特許文献7】Kerem,B-Sら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8447-8451
【非特許文献8】Quinton,P.M.(1990),FASEB J.4:2709-2727
【非特許文献9】Dalemansら(1991),Nature Lond.354:526-528
【非特許文献10】PasykおよFoskett(1995),J.Cell.Biochem.270:12347-50
【非特許文献11】Aridor Mら,Nature Med.,5(7),pp 745-751(1999)
【非特許文献12】Shastry,B.S.ら,Neurochem.International,43,pp 1-7(2003)
【非特許文献13】Rutishauser,J.ら,Swiss Med Wkly,132,pp 211-222(2002)
【非特許文献14】Morello,JPら,TIPS,21,pp.466-469(2000)
【非特許文献15】Bross P.ら,Human Mut.,14,pp.186-198(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、ABCトランスポーター活性のモジュレーター、および哺乳動物の細胞膜におけるABCトランスポーターの活性を調節するために使用され得るその組成物が必要とされている。
【0023】
このようなABCトランスポーター活性のモジュレーターを使用して、ABCトランスポーター媒介疾患を処置する方法が必要とされている。
【0024】
哺乳動物のエキソビボ細胞膜においてABCトランスポーター活性を調節する方法が必要とされている。
【0025】
哺乳動物の細胞膜においてCFTRの活性を調節するために使用され得る、CFTR活性のモジュレーターが必要とされている。
【0026】
このようなCFTR活性のモジュレーターを使用して、CFTR媒介疾患を処置する方法が必要とされている。
【0027】
哺乳動物のエキソビボ細胞膜において、CFTR活性を調節する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の要旨)
本発明の化合物、およびその薬学的に受容可能な組成物が、ABCトランスポーター活性(特に、CFTR活性)のモジュレーターとして有用であることがここで見出された。これらの化合物は、一般式I:
【0029】
【化1】

を有するか、またはその薬学的に受容可能な塩であり、一般式Iにおいて、RN、環A、環B、W、Rw、R1、n、w、およびxは、以下に記載されている。
【0030】
これらの化合物および薬学的に受容可能な組成物は、種々の疾患、障害、または状態(嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-フィブリン溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症)、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー病)、ムコ多糖体症、サンドホフ/テイ-サックス病、クリグラー-ナジャー病II型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG 1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(di)、ニューロフィジールdi、腎性DI、シャルコー-マリー-ツース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、数種のポリグルタミン神経障害(例えば、ハンティングトン病)、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに海綿状脳障害(例えば、遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病)、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼乾燥病、およびシェーグレン病が挙げられるが、これらに限定されない)を処置するため、または重篤度を低下させるために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物の一般的説明:
本発明は、式I:
【0032】
【化2】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に関し、式Iにおいて、
RNは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
Aは、必要に応じて置換された3員〜7員の単環式環であり;
Bは、脂環式、アリール、複素環式、およびヘテロアリールからなる群より選択される5員〜7員の環に必要に応じて縮合しており;
R1は、ハロ、アルキル、OH、アルコキシ、チオアルキル、トリフルオロメトキシであるか;あるいは
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【0033】
【化3】

を形成し;
ここでJは、CH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択され;
Wは独立して、結合、または必要に応じて置換された(C1〜C6)アルキリデン鎖であり、ここでWの2つまでのメチレン単位が独立して、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、または-NR'-により置き換えられ;
R'は独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、NO2、N(R)2、CF3、OCF3、OH、OR、C(O)N(R)2、C(O)R、CO2R、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-ヘテロシクロアルキル、または必要に応じて置換された、脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、CN、NO2、CF3、OCF3、OR、OC(O)R、OC(O)N(R)2、SR、S(O)R、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、N(R)2、NRC(O)R、NRCO2R、NRC(O)N(R)2、NRSO2R、B(OH)2、またはNRSO2N(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;
wは、0および4を含めて0〜4の整数であり;そして
xは、0および5を含めて0〜5の整数であり;ただし、Wが結合であり、そしてRwが脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリールである場合、-W-Rwは、ピリジル環の3位または4位に結合している。
【0034】
(化合物および定義)
本発明の化合物は、上に一般的に記載された化合物を包含し、そしてさらに、本明細書中に開示されるクラス、サブクラス、および種により説明される。本明細書中で使用される場合、以下の定義が、他に示されない限り適用されるべきである。
【0035】
用語「ABCトランスポーター」とは、本明細書中で使用される場合、ABCトランスポータータンパク質または少なくとも1つの結合ドメインを含むそのフラグメントであって、そのタンパク質またはそのフラグメントがインビボまたはインビトロで存在するものを意味する。用語「結合ドメイン」とは、本明細書中で使用される場合、モジュレーターに結合し得るABCトランスポーター上のドメインを意味する。例えば、Hwang,T.C.ら,J.Gen.Physiol.(1998):111(3),477-90を参照のこと。
【0036】
用語「CFTR」とは、本明細書中で使用される場合、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンスレギュレーターまたはそのレギュレーター活性が可能な変異体を意味し、ΔF508 CFTRおよびG551D CFTRが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、CFTR変異体についてhttp://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照のこと)。
【0037】
用語「調節」とは、本明細書中で使用される場合、測定可能な量だけ増加または減少させることを意味する。
【0038】
本発明の目的で、化学元素は、Periodic Table of the Elements,CAS版,Handbook of Chemistry and Physics,第75版に従って識別される。さらに、有機化学の一般的原理は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、ならびに「March's Advanced Organic Chemistry」,第5版,編者:Smith,M.B.およびMarch,J.,John Wiley & Sons,New York:2001に記載されており、これらの全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0039】
本明細書中に記載される場合、本発明の化合物は、1つ以上の置換基(例えば、上で一般的に説明されたようなもの、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種により例示されるようなもの)で必要に応じて置換され得る。語句「必要に応じて置換された」は、語句「置換または非置換の」と交換可能に使用されることが理解される。一般に、用語「置換された」は、用語「必要に応じて」が先行しようとしまいと、所定の構造内の水素ラジカルの、特定された置換基のラジカルでの置き換えをいう。他に示されない限り、必要に応じて置換された基は、その基の各置換可能な位置において置換基を有し得、そして任意の所定の構造における1つより多くの位置が、特定された群から選択される1つより多くの置換基で置換され得る場合、その置換基は、全ての位置において同じであっても異なっていてもいずれでもよい。本発明により想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な化合物または化学的に実施可能な化合物の形成を生じる組み合わせである。用語「安定な」とは、本明細書中で使用される場合、化合物の生成、検出、および好ましくは、それらの回収、精製、および本明細書中に開示される目的のうちの1つ以上のための使用を可能にする条件に供される場合に、実質的に変化しない化合物をいう。いくつかの実施形態において、安定な化合物または化学的に実施可能な化合物とは、40℃以下の温度で維持される場合に、水分または他の化学反応性条件の非存在下で、少なくとも1週間、実質的に変化しない化合物である。
【0040】
用語「脂肪族」または「脂肪族基」または「アルキル」とは、本明細書中で使用される場合、分子の残りの部分への1つの結合点を有する、完全に飽和であるかまたは1つ以上の不飽和単位を含む、直鎖(すなわち、非分枝)または分枝の、置換または非置換の炭化水素鎖、あるいは完全に飽和であるかまたは1つ以上の不飽和単位を含むが芳香族ではない、単環式炭化水素または二環式炭化水素(本明細書中で「炭素環」「脂環式」または「シクロアルキル」ともまた称される)を意味する。他に特定されない限り、脂肪族基は、1個〜20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1個〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1個〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1個〜6個の脂肪族炭素原子を含み、そしてなお他の実施形態において、脂肪族基は、1個〜4個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、「脂環式」(または「炭素環」または「シクロアルキル」)とは、完全に飽和であるかまたは1つ以上の不飽和単位を含むが芳香族ではなく、分子の残りの部分への単一の結合点を有し、二環式環系における任意の個々の環が3個〜7個の環員を有する、単環式C3〜C8炭化水素または二環式C8〜C12炭化水素をいう。適切な脂肪族基としては、直鎖または分枝鎖の、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびこれらのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
用語「ヘテロ脂肪族」とは、本明細書中で使用される場合、1つまたは2つの炭素原子が独立して、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素のうちの1つ以上で置き換えられている、脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換であっても非置換であってもよく、分枝であっても非分枝であってもよく、環式であっても非環式であってもよく、そして「複素環」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ脂環式」基、または「複素環式」基を包含する。
【0042】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」、または「複素環式」とは、本明細書中で使用される場合、1つまたは複数の環員が独立して選択されるヘテロ原子である、非芳香族の単環式、二環式、または三環式の環系を意味する。いくつかの実施形態において、「複素環」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ脂環式」基、または「複素環式」基は、3個〜14個の環員を有し、ここで1つ以上の環員は、酸素、硫黄、窒素、およびリンからなる群より独立して選択されるヘテロ原子であり、そしてその系における各環が、3個〜7個の環員を含む。
【0043】
用語「ヘテロ原子」とは、ホウ素、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素のうちの1つ以上を意味する(窒素、硫黄、リン、またはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の第四級化形態;あるいは複素環式環の置換可能な窒素(例えば、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおいてのような)、NH(ピロリジニルにおいてのような)またはNR+(N-置換ピロリジニルにおいてのような))を包含する)。
【0044】
用語「不飽和」とは、本明細書中で使用される場合、その部分が1つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0045】
用語「アルコキシ」、または「チオアルキル」とは、本明細書中で使用される場合、酸素原子(「アルコキシ」)または硫黄原子(「チオアルキル」)を介して炭素主鎖に結合している、先に定義されたようなアルキル基をいう。
【0046】
用語「ハロ脂肪族」および「ハロアルコキシ」とは、1つ以上のハロゲン原子で置換されている、事情に応じて脂肪族またはアルコキシを意味する。用語「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、またはIを意味する。ハロ脂肪族の例としては、-CHF2、-CH2F、-CF3、-CF2-、またはペルハロアルキル(例えば、-CF2CF3)が挙げられる。
【0047】
単独でか、あるいは「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」においてのようにより大きい部分の一部として使用される、用語「アリール」とは、合計で5個〜14個の環員を有し、その系における少なくとも1つの環が芳香族であり、そしてその系における各環が3個〜7個の環員を含む、単環式環系、二環式環系、および三環式環系をいう。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。用語「アリール」はまた、以下に定義されるようなヘテロアリール環系をいう。
【0048】
単独でか、あるいは「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」においてのようにより大きい部分の一部として使用される、用語「ヘテロアリール」とは、合計で5個〜14個の環員を有し、その系における少なくとも1つの環が芳香族であり、その系における少なくとも1つの環が1つ以上のヘテロ原子を含み、そしてその系における各環が3個〜7個の環員を含む、単環式環系、二環式環系、および三環式環系をいう。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。
【0049】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)は、1つ以上の置換基を含み得る。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基は、ハロゲン;-Ro;-ORo;-SRo;1,2-メチレン-ジオキシ;1,2-エチレンジオキシ;Roで必要に応じて置換されたフェニル(Ph);Roで必要に応じて置換された-O(Ph);Roで必要に応じて置換された-(CH2)1〜2(Ph);Roで必要に応じて置換された-CH=CH(Ph);-NO2;-CN;-N(Ro)2;-NRoC(O)Ro;-NRoC(O)N(Ro)2;-NRoCO2Ro;-NRoNRoC(O)Ro;-NRoNRoC(O)N(Ro)2;-NRoNRoCO2Ro;-C(O)C(O)Ro;-C(O)CH2C(O)Ro;-CO2Ro;-C(O)Ro;-C(O)N(Ro)2;-OC(O)N(Ro)2;-S(O)2Ro;-SO2N(Ro)2;-S(O)Ro;-NRoSO2N(Ro)2;-NRoSO2Ro;-C(=S)N(Ro)2;-C(=NH)-N(Ro)2;および-(CH2)0〜2NHC(O)Roからなる群より選択され、ここでRoの各独立した存在は、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、非置換5員〜6員ヘテロアリール環もしくは複素環式環、フェニル、-O(Ph)、および-CH2(Ph)からなる群より選択されるか、または上の定義にかかわらず、同じ置換基上または異なる置換基上のRoの2つの独立した存在は、各Ro基が結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄からなる群より独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する3員〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環、またはヘテロアリール環を形成する。Roの脂肪族基上の必要に応じた置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、およびハロC1〜4脂肪族からなる群より選択され、Roの上記C1〜4脂肪族基の各々は、置換されていない。
【0050】
脂肪族基またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環式環は、1つ以上の置換基を含み得る。脂肪族基またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環式環の飽和炭素上の適切な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上に列挙された置換基からなる群より選択され、そしてさらに、=O、=S、=NNHR*、=NN(R*)2、=NNHC(O)R*、=NNHCO2(アルキル)、=NNHSO2(アルキル)、および=NR*が挙げられ、ここで各R*は独立して、水素および必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族からなる群より選択される。R*の脂肪族基上の必要に応じた置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、およびハロ(C1〜4脂肪族)からなる群より選択され、ここでR*の上記C1〜4脂肪族基の各々は、置換されていない。
【0051】
非芳香族複素環式環の窒素上の必要に応じた置換基は、-R+、-N(R+)2、-C(O)R+、-CO2R+、-C(O)C(O)R+、-C(O)CH2C(O)R+、-SO2R+、-SO2N(R+)2、-C(=S)N(R+)2、-C(=NH)-N(R+)2、および-NR+SO2R+からなる群より選択され;ここでR+は、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換された-O(Ph)、必要に応じて置換された-CH2(Ph)、必要に応じて置換された-(CH2)1〜2(Ph);必要に応じて置換された-CH=CH(Ph);または酸素、窒素、および硫黄からなる群より独立して選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5員〜6員のヘテロアリール環もしくは複素環式環であるか、あるいは上の定義にかかわらず、同じ置換基上または異なる置換基上のR+の2つの独立した存在は、各R+基が結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄からなる群より独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する3員〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環、またはヘテロアリール環を形成する。R+の脂肪族基またはフェニル環上の必要に応じた置換基は、NH2、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)2、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、およびハロ(C1〜4脂肪族)からなる群より選択され、ここでR+の上記C1〜4脂肪族基の各々は、置換されていない。
【0052】
用語「アルキリデン鎖」とは、完全に飽和であっても1つ以上の不飽和単位を有してもよく、そして分子の残りの部分への2つの結合点を有する、直鎖または分枝鎖の炭素鎖をいう。用語「スピロシクロアルキリデン」とは、完全に飽和であっても1つ以上の不飽和単位を有してもよく、そして同じ環炭素原子から分子の残りの部分への2つの結合点を有する、炭素環式環をいう。
【0053】
上で詳述されたように、いくつかの実施形態において、Ro(またはR+、あるいは本明細書中で同様に定義される他の任意の可変物)の2つの独立した存在は、各可変物が結合している原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄からなる群より独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する、3員〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環、またはヘテロアリール環を形成する。Ro(またはR+、あるいは本明細書中で同様に定義される他の任意の可変物)の2つの独立した存在が、各可変物が結合している原子と一緒になる場合に形成される、例示的な環としては、a)同じ原子に結合し、この原子と一緒になって環を形成する、Ro(またはR+、あるいは本明細書中で同様に定義される他の任意の可変物)の2つの独立した存在(例えば、N(Ro)2であり、ここでRoの両方の存在は、窒素原子と一緒になって、ピペリジン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、またはモルホリン-4-イル基を形成する);およびb)異なる原子に結合し、これらの原子の両方と一緒になって環を形成する、Ro(またはR+、あるいは本明細書中で同様に定義される他の任意の可変物)の2つの独立した存在(例えば、フェニル基がORoの2つの存在で置換されている場合
【0054】
【化4】

、これらのRoの2つの存在は、これらが結合している酸素原子と一緒になって、縮合6員酸素含有環:
【0055】
【化5】

を形成する)が挙げられるが、これらに限定されない。Ro(またはR+、あるいは本明細書中で同様に定義される他の任意の可変物)の2つの独立した存在が、各可変物が結合している原子と一緒になる場合、種々の他の型の環が形成され得ること、および上に詳述された例が限定であることは意図されないことが理解される。
【0056】
他に記載されない限り、本明細書中に記載される構造はまた、その構造の全ての異性(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形態(例えば、各不斉中心についてのR配置およびS配置、(Z)および(E)の二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)の配座異性体)を包含することが意図される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。他に記載されない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。さらに、他に記載されない限り、本明細書中に記載される構造はまた、1つ以上の同位体が富化された原子の存在のみが異なる化合物を包含することを意図される。例えば、ジュウテリウムまたはトリチウムによる水素の置き換え、あるいは13C富化炭素または14C富化炭素による炭素の置き換え以外には本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析道具またはプローブとして有用である。
【0057】
(例示的な化合物の説明)
1つの実施形態において、本発明は、式I:
【0058】
【化6】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に関し、式Iにおいて、
RNは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
Aは、必要に応じて置換された3員〜7員の単環式環であり;
Bは、脂環式、アリール、複素環式、およびヘテロアリールからなる群より選択される5員〜7員の環に必要に応じて縮合しており;
R1は、ハロ、アルキル、OH、アルコキシ、トリフルオロメトキシであるか;あるいは
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【0059】
【化7】

を形成し;
ここでJは、CH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択され;
Wは独立して、結合または(C1〜C6)アルキリデン鎖であり、ここでWの2つまでのメチレン単位は独立して、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、または-NR'-により置き換えられ;
R'は独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、または複素環式であり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、NO2、N(R)2、CF3、OCF3、OH、OR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、CN、NO2、CF3、OCF3、OR、OC(O)R、OC(O)N(R)2、SR、S(O)R、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、N(R)2、NRC(O)R、NRCO2R、NRC(O)N(R)2、NRSO2R、B(OR)2、またはNRSO2N(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;
wは、0および4を含めて0〜4の整数であり;そして
xは、0および5を含めて0〜5の整数であり;
ただし、Wが結合であり、そしてRwが脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリールである場合、-W-Rwは、ピリジル環の3位または4位に結合している。
【0060】
別の実施形態において、本発明は、Aが
【0061】
【化8】

からなる群より選択され、ここで
R3は、アルキル、アルカリール、アリール、またはヘテロアリールであり;そして
qは、0および4を含めて0〜4の整数である、式Iの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、Aは
【0062】
【化9】

である。さらなる実施形態において、Aは
【0063】
【化10】

である。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、xが2である、式Iの化合物および付随する定義に関する。
【0065】
別の実施形態において、本発明は、R1がハロである、式Iの化合物および付随する定義に関する。別の実施形態において、R1はクロロである。別の実施形態において、R1はアルキルである。別の実施形態において、R1はメチルである。別の実施形態において、R1はOHである。別の実施形態において、R1はアルコキシである。さらなる実施形態において、R1はメトキシである。別の実施形態において、R1はチオアルキルである。別の実施形態において、R1はチオメチルである。さらなる実施形態において、R1はトリフルオロメトキシである。
【0066】
別の実施形態において、本発明は、隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【0067】
【化11】

を形成し;ここでJがCH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択される、式Iの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、JはCH2である。さらなる実施形態において、JはCF2である。
【0068】
別の実施形態において、本発明は、RNがHまたはアルキルである、式Iの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、RNはHである。さらなる実施形態において、RNはアルキルである。
【0069】
別の実施形態において、本発明は、wが0である、式Iの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、wは1である。さらなる実施形態において、wは2である。
【0070】
別の実施形態において、本発明は、nが1である、式Iの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、nは2である。
【0071】
別の実施形態において、本発明は、Wが結合である、式Iの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、Wは、必要に応じて置換された(C1〜C6)アルキリデン鎖である。さらなる実施形態において、Wは-CH2-である。さらなる実施形態において、Wは-NH-である。さらなる実施形態において、Wは-O-である。さらなる実施形態において、Wは-CO-である。さらなる実施形態において、Wは-OCH2-である。
【0072】
別の実施形態において、本発明は、RwがHである、式Iの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、RwはOHである。さらなる実施形態において、Rwは複素環式である。さらなる実施形態において、Rwはアリールである。さらなる実施形態において、Rwはフェニルである。さらなる実施形態において、Rwはヘテロアリールである。さらなる実施形態において、Rwはピリジルである。さらなる実施形態において、Rwはアルコキシである。さらなる実施形態において、Rwはシクロアルキルである。さらなる実施形態において、Rwはシクロヘキシルである。
【0073】
別の実施形態において、本発明は、-W-Rwが非環式である、式Iの化合物および付随する定義に関する。別の実施形態において、-W-Rwは、アリール環、ヘテロアリール環、脂環式環、またはヘテロ脂環式環である。さらなる実施形態において、-W(Rw)nは、以下:
-F、-CH3、-CH2CH3、-CN、-CF3、-CONH2、-CH2CH(CH3)2
【0074】
【化12】

【0075】
【化13】

から選択される。
【0076】
さらなる実施形態において、-W(Rw)nは、以下:
【0077】
【化14】

から選択される。
【0078】
別の実施形態において、本発明は、式Ia:
【0079】
【化15】

を有する化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に関し、式Iaにおいて、
JはCH2またはCF2であり;
Wは独立して、結合または(C1〜C6)アルキリデン鎖であり、ここでWの2つまでのメチレン単位は独立して、-CO-、-O-、または-NR'-により置き換えられ;
R'は独立して、Hまたはアルキルであり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、N(R)2、CF3、OH、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、OR、CO2R、C(O)N(R)2、SO2N(R)2、B(OR)2、またはN(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;そして
wは、0および4を含めて0〜4の整数であり;
ただし、Wが結合であり、そしてRwが脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリールである場合、-W-Rwは、ピリジル環の3位または4位に結合している。
【0080】
別の実施形態において、本発明は、JがCH2である、式Iaの化合物および付随する定義に関する。さらなる実施形態において、JはCF2である。
【0081】
別の実施形態において、本発明は、-W-Rwが非環式である、式Iaの化合物および付随する定義に関する。別の実施形態において、本発明は、-W-Rwがアリール環、ヘテロアリール環、脂環式環、またはヘテロ脂環式環である、式Iaの化合物および付随する定義に関する。
【0082】
別の実施形態において、本発明は、-W(Rw)nが以下:
-F、-CH3、-CH2CH3、-CN、-CF3、-CONH2、-CH2CH(CH3)2
【0083】
【化16】

【0084】
【化17】

【0085】
【化18】

から選択される、式Iaの化合物および付随する定義に関する。
【0086】
さらなる実施形態において、-W(Rw)nは、以下:
【0087】
【化19】

から選択される。
【0088】
別の実施形態において、本発明は、式Ib:
【0089】
【化20】

を有する化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に関し、式Ibにおいて、
R1は、ハロ、アルキル、OH、アルコキシ、チオアルキル、トリフルオロメトキシであるか;あるいは
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【0090】
【化21】

を形成し;
ここでJは、CH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択され;
Wは、-NR、-CO-、または-CH2-であり;
R'は独立して、Hまたはアルキルであり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、N(R)2、CF3、OH、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、OR、CO2R、C(O)N(R)2、SO2N(R)2、B(OR)2、またはN(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;そして
xは、0および5を含めて0〜5の整数である。
【0091】
別の実施形態において、本発明は、隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【0092】
【化22】

を形成し、そしてJがCH2である、式Ibの化合物および付随する定義に関する。別の実施形態において、JはCF2である。
【0093】
別の実施形態において、本発明は、-W(Rw)nが以下:
-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2
【0094】
【化23】

【0095】
【化24】

から選択される、式Ibの化合物および付随する定義に関する。
【0096】
別の実施形態において、本発明は、式Ic:
【0097】
【化25】

を有する化合物、またはその薬学的に受容可能な塩に関し、式Icにおいて、
R1は、ハロ、アルキル、OH、アルコキシ、チオアルキル、トリフルオロメトキシであるか;あるいは
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【0098】
【化26】

を形成し;
ここでJは、CH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択され;
Wは、-NR'、-CO-、または-CH2-であり;
R'は独立して、Hまたはアルキルであり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、N(R)2、CF3、OH、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、OR、CO2R、C(O)N(R)2、SO2N(R)2、B(OR)2、またはN(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;そして
xは、0および5を含めて0〜5の整数である。
【0099】
別の実施形態において、本発明は、隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【0100】
【化27】

を形成し、そしてJがCH2である、式Icの化合物および付随する定義に関する。別の実施形態において、JはCF2である。
【0101】
別の実施形態において、本発明は、-W(Rw)nが以下:
-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2
【0102】
【化28】

【0103】
【化29】

から選択される、式Icの化合物および付随する定義に関する。
【0104】
別の実施形態において、本発明は、表1の化合物に関する。
【0105】
【表1−1】

【0106】
【表1−2】

【0107】
【表1−3】

【0108】
【表1−4】

【0109】
【表1−5】

【0110】
【表1−6】

【0111】
【表1−7】

別の実施形態において、本発明は、(i)本発明の化合物;および(ii)薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物に関する。別の実施形態において、この薬学的組成物は、粘液溶解剤、気管支拡張薬(bronchodialator)、抗生物質、抗感染薬剤、抗炎症剤、CFTR補正因子(corrector)、および栄養剤からなる群より選択されるさらなる薬剤をさらに含有する。
【0112】
別の実施形態において、本発明は、細胞の膜においてABCトランスポーターを調節する方法に関し、この方法は、この細胞を本発明の化合物と接触させる工程を包含する。別の実施形態において、このABCトランスポーターはCFTRである。
【0113】
別の実施形態において、本発明は、ABCトランスポーター活性に関連する、患者における状態、疾患、または障害を処置する方法に関し、この方法は、この患者に本発明の化合物を投与する工程を包含する。別の実施形態において、このABCトランスポーターはCFTRである。別の実施形態において、この状態、疾患、または障害は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-フィブリン溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症)、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー病)、ムコ多糖体症、サンドホフ/テイ-サックス病、クリグラー-ナジャー病II型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG 1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(di)、ニューロフィジールdi、腎性DI、シャルコー-マリー-ツース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、数種のポリグルタミン神経障害(例えば、ハンティングトン病)、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに海綿状脳障害(例えば、遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病)、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼乾燥病、およびシェーグレン病から選択される。
【0114】
別の実施形態において、本発明は、インビトロまたはインビボで、生物学的サンプル中のABCトランスポーターまたはそのフラグメントの活性を測定する際に使用するためのキットに関し、このキットは、(i)本発明の化合物を含有する第一の組成物;ならびに(ii)指示書であって、a)この組成物をこの生物学的サンプルと接触させること;およびb)ABCトランスポーターまたはそのフラグメントの活性を測定することについての指示書を備える。
【0115】
(一般合成スキーム)
式Iの化合物は、当該分野における周知の方法により調製され得る。以下に、式Iの化合物の調製のための例示的な方法を図示する。以下のスキームIは、式Iの化合物についての例示的な合成方法を図示する。
【0116】
(合成スキーム)
本発明の化合物は、公知の方法により、スキームI〜IVに図示されるように調製され得る。
【0117】
【化30】

【0118】
【化31】

【0119】
【化32】

;あるいは、
【0120】
【化33】

【0121】
【化34】

当業者は、本発明の種々の置換基のために適切な合成経路が、これらの反応条件および工程のようなものであることを容易に理解する。
【0122】
(使用、処方および投与)
(薬学的に受容可能な組成物)
上で議論されたように、本発明は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用であり、従って、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-フィブリン溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症)、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー病)、ムコ多糖体症、サンドホフ/テイ-サックス病、クリグラー-ナジャー病II型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG 1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(DI)、ニューロフィジールDI、腎性DI、シャルコー-マリー-ツース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、数種のポリグルタミン神経障害(例えば、ハンティングトン病)、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに海綿状脳障害(例えば、遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する))、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼乾燥疾患、およびシェーグレン症候群などの疾患、障害または状態の処置において有用な、化合物を提供する。
【0123】
従って、本発明の別の局面において、薬学的に受容可能な組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書中に記載されるような化合物のいずれかを含有し、そして必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含有する。特定の実施形態において、これらの組成物は、必要に応じて、1つ以上のさらなる治療剤をさらに含有する。
【0124】
本発明の化合物のうちの特定のものは、処置のための遊離形態で存在し得るか、または適切である場合、その薬学的に受容可能な誘導体として存在し得ることもまた、理解される。本発明によれば、薬学的に受容可能な誘導体としては、薬学的に受容可能な塩、エステル、このようなエステルの塩、あるいは必要とされる患者への投与の際に、他の点では本明細書中に記載されるような化合物、またはその代謝産物もしくは残基を、直接的にかまたは間接的に提供し得る、他の任意の付加体または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う塩をいう。「薬学的に受容可能な塩」とは、レシピエントへの投与の際に、本発明の化合物または阻害的に活性なその代謝産物もしくは残基を、直接的または間接的のいずれかで提供し得る、本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩を意味する。本明細書中で使用される場合、用語「阻害的に活性なその代謝産物もしくは残基」とは、その代謝産物もしくは残基がまた、ATP結合カセットトランスポーターのインヒビターであることを意味する。
【0126】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、薬学的に受容可能な塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19(本明細書中に参考として援用される)に詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適切な無機酸および無機塩基、ならびに有機酸および有機塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に受容可能な、非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)と形成されたか、あるいは当該分野において使用される他の方法(例えば、イオン交換)を使用することにより形成された、アミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN+(C1〜4アルキル)4塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の第四級化を想定する。水溶性または水分散性、あるいは油溶性または油分散性の生成物が、このような第四級化により得られ得る。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切である場合、非毒性のアンモニウム塩、第四級アンモニウム塩、ならびに対イオン(例えば、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオン)を使用して形成されるアミン陽イオンが挙げられる。
【0127】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルをさらに含有し、これらのキャリア、アジュバント、またはビヒクルは、本明細書中で使用される場合、所望の特定の投薬形態に合うような、任意の全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤などを包含する。Remington's Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を処方する際に使用される種々のキャリア、およびこれらの調製のための公知の技術を開示する。任意の従来のキャリア媒体が本発明の化合物と非適合性である場合(例えば、任意の望ましくない生物学的影響を生じること、または薬学的に受容可能な組成物の他の任意の成分と有害な様式で相互作用することによる)を除いて、その使用は、本発明の範囲内であることが想定される。薬学的に受容可能なキャリアとして働き得る材料のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、もしくはソルビン酸カリウム)、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックコポリマー、羊毛脂、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐剤蝋);油(例えば、落花生油、綿実油;ベニバナ油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油およびダイズ油);グリコール(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、ならびに他の非毒性適合性滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられるが、これらに限定されず、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、矯味矯臭剤および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤もまた、処方者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
【0128】
(化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用)
なお別の局面において、本発明は、ABCトランスポーター活性に関連する状態、疾患、または障害を処置する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ABCトランスポーター活性の欠損に関連する状態、疾患、または障害を処置する方法を提供し、この方法は、式(I)の化合物を含有する組成物を、その処置を必要とする被験体(好ましくは、哺乳動物)に投与する工程を包含する。
【0129】
特定の好ましい実施形態において、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン;非Pizバリアントに起因する)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-フィブリン溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症)、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー病)、ムコ多糖体症(リソソームプロセシング酵素に起因する)、サンドホフ/テイ-サックス病(β-ヘキソサミニダーゼに起因する)、クリグラー-ナジャー病II型(UDP-グルクロニル-シアル酸-トランスフェラーゼに起因する)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリンレセプターに起因する)、ラロン型小人症(成長ホルモンレセプターに起因する)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ腹甲状腺ホルモンに起因する)、黒色腫(チロシナーゼに起因する)を処置する方法を提供する。ER機能不全の後者のクラスに関連する疾患は、グリカノーシスCDG 1型、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン(PiZバリアント)に起因する)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型のプロコラーゲンに起因する)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンに起因する)、ACT欠損症(α1-抗キモトリプシンに起因する)、尿崩症(DI)、ニューロフィジールDI(バソプレシンホルモン/V2-レセプターに起因する)、腎性DI(水チャネルIIに起因する)、シャルコー-マリー-ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22に起因する)、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因する))、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、数種のポリグルタミン神経障害(例えば、ハンティングトン病)、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに海綿状脳障害(例えば、遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する))、ファブリー病(リソソームα-ガラクトシダーゼAに起因する)、シュトロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼乾燥疾患、およびシェーグレン症候群であり、上記哺乳動物に、有効量の式(I)の化合物、または上に記載されたようなその好ましい実施形態を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0130】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明は、嚢胞性線維症を処置する方法を提供し、この方法は、上記哺乳動物に、有効量の式(I)の化合物、または上に記載されたようなその好ましい実施形態を含有する組成物を投与する工程を包含する。
【0131】
本発明によれば、化合物または薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、嚢胞性線維症、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン;非Pizバリアントに起因する)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-フィブリン溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症)、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー病)、ムコ多糖体症(リソソームプロセシング酵素に起因する)、サンドホフ/テイ-サックス病(β-ヘキソサミニダーゼに起因する)、クリグラー-ナジャー病II型(UDP-グルクロニル-シアル酸-トランスフェラーゼに起因する)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリンレセプターに起因する)、ラロン型小人症(成長ホルモンレセプターに起因する)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ腹甲状腺ホルモンに起因する)、黒色腫(チロシナーゼに起因する)のうちの1つ以上を処置するため、またはその重篤度を低下させるために有効な量である。ER機能不全の後者のクラスに関連する疾患は、グリカノーシスCDG 1型、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン(PiZバリアント)に起因する)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型のプロコラーゲンに起因する)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンに起因する)、ACT欠損症(α1-抗キモトリプシンに起因する)、尿崩症(DI)、ニューロフィジールDI(バソプレシンホルモン/V2-レセプターに起因する)、腎性DI(水チャネルIIに起因する)、シャルコー-マリー-ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22に起因する)、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因する))、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、数種のポリグルタミン神経障害(例えば、ハンティングトン病)、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに海綿状脳障害(例えば、遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する))、ファブリー病(リソソームα-ガラクトシダーゼAに起因する)、シュトロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼乾燥疾患、およびシェーグレン症候群である。
【0132】
これらの化合物および組成物は、本発明の方法によれば、嚢胞性線維症、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン;非Pizバリアントに起因する)、遺伝性ヘモクロマトーシス、凝固-フィブリン溶解欠損症(例えば、プロテインC欠損症)、1型遺伝性血管浮腫、脂質プロセシング欠損症(例えば、家族性高コレステロール血症)、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、リソソーム蓄積症(例えば、I細胞病/偽性ハーラー病)、ムコ多糖体症(リソソームプロセシング酵素に起因する)、サンドホフ/テイ-サックス病(β-ヘキソサミニダーゼに起因する)、クリグラー-ナジャー病II型(UDP-グルクロニル-シアル酸-トランスフェラーゼに起因する)、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリンレセプターに起因する)、ラロン型小人症(成長ホルモンレセプターに起因する)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ腹甲状腺ホルモンに起因する)、黒色腫(チロシナーゼに起因する)のうちの1つ以上を処置するため、またはその重篤度を低下させるために有効な任意の量および任意の投与経路を使用して、投与され得る。ER機能不全の後者のクラスに関連する疾患は、グリカノーシスCDG 1型、遺伝性気腫(α1-抗トリプシン(PiZバリアント)に起因する)、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I型、II型、IV型のプロコラーゲンに起因する)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノーゲンに起因する)、ACT欠損症(α1-抗キモトリプシンに起因する)、尿崩症(DI)、ニューロフィジールDI(バソプレシンホルモン/V2-レセプターに起因する)、腎性DI(水チャネルIIに起因する)、シャルコー-マリー-ツース症候群(末梢ミエリンタンパク質22に起因する)、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病(βAPPおよびプレセニリンに起因する))、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、数種のポリグルタミン神経障害(例えば、ハンティングトン病)、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに海綿状脳障害(例えば、遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病(プリオンタンパク質プロセシング欠損に起因する))、ファブリー病(リソソームα-ガラクトシダーゼAに起因する)、シュトロイスラー−シャインカー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、眼乾燥疾患、およびシェーグレン症候群である。
【0133】
必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、および一般的状態、感染の重篤度、特定の薬剤、その投与方法などに依存して、被験体ごとに変動する。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で処方される。表現「投薬単位形態」とは、本明細書中で使用される場合、処置されるべき患者のために適切な薬剤の物理的に分離した単位をいう。しかし、本発明の化合物および組成物の毎日の総使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、担当する医師により決定されることが理解される。任意の特定の患者または生物についての特定の有効用量レベルは、種々の要因(処置される障害およびその障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および食事;使用される特定の化合物の投与時間、投与経路、および排出率;処置の持続時間;使用される特定の化合物と組み合わせてかまたは同時に使用される薬物、ならびに医学分野において周知である同様の要因が挙げられる)に依存する。用語「患者」とは、本明細書中で使用される場合、動物(好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである)を意味する。
【0134】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、処置される感染の重篤度に依存して、ヒトおよび他の動物に、経口的に、直腸に、非経口的に、槽内に、鞘膜内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏剤、またはドロップなどにより)、頬に、経口スプレーまたは経鼻スプレーとしてなどで投与され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、被験体の体重1kgあたり約0.01mg〜約50mg、そして好ましくは、約1mg〜約25mgの投薬レベルで、1日あたり、または1日に1回以上、経口投与または非経口投与され得る。
【0135】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップおよびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、これらの液体投薬形態は、当該分野において通常使用されている不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤であり、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物)を含有し得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、ならびに芳香剤などのアジュバントを含有し得る。
【0136】
注射可能な調製物(例えば、滅菌注射可能な水性懸濁液または油性懸濁液)が、公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、処方され得る。滅菌注射可能調製物はまた、非毒性の非経口受容可能な希釈剤または溶媒中の、滅菌注射可能な溶液、懸濁液またはエマルジョン(例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液など)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒のうちでもとりわけ、水、リンゲル液(U.S.P.)および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌された不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。この目的で、任意のブランドの不揮発性油(合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドが挙げられる)が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能物質の調製において使用される。
【0137】
注射可能な処方物は、例えば、細菌保持フィルタを通しての濾過によって、または滅菌固体組成物(これは、使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射可能媒体に溶解もしくは分散され得る)の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
【0138】
本発明の化合物の効果を延長させる目的で、皮下注射または筋肉内注射からのこの化合物の吸収を遅くすることが、しばしば望ましい。このことは、水溶性が乏しい結晶性材料または非晶質材料の液体懸濁物の使用によって、達成され得る。この場合、この化合物の吸収の速度は、その溶解速度に依存し、この溶解速度は、結晶のサイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物形態の遅延された吸収は、この化合物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることにより達成される。注射可能なデポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中の、化合物の微細カプセル化マトリックスを形成することにより、作製される。化合物対ポリマーの比、および使用される特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が挙げられる。デポー注射可能処方物はまた、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を捕捉することにより、調製される。
【0139】
直腸投与または膣投与のための組成物は、好ましくは、坐剤であり、坐剤は、本発明の化合物を、適切な非刺激性の賦形剤またはキャリア(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤蝋)と混合することにより調製され得る。この賦形剤またはキャリアは、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸または膣の腔内で融解し、そして活性化合物を放出する。
【0140】
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な、薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/あるいはa)充填剤または賦形剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア)、c)保湿剤(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ポテトスターチまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のシリケート、ならびに炭酸ナトリウム)、e)溶解遅延剤(例えば、パラフィン)、f)吸収加速剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土)、ならびにi)滑沢剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)ならびにこれらの混合物)と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含有し得る。
【0141】
類似の型の固体組成物はまた、賦形剤(ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなど)を使用して、軟ゼラチンカプセルおよび硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングまたはシェル(例えば、腸溶コーティングおよび薬剤処方分野において周知である他のコーティング)を用いて調製され得る。これらは必要に応じて、不透明化剤を含有し得、そしてまた、活性成分を、腸管の特定の部分のみで、または優先的に、必要に応じて遅延様式で放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質および蝋が挙げられる。類似の型の固体組成物はまた、賦形剤(ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなど)を使用して、軟ゼラチンカプセルおよび硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。
【0142】
活性化合物はまた、上記のような1つ以上の賦形剤を用いた微小カプセル化形態であり得る。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングおよびシェル(例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび薬剤処方分野において周知である他のコーティング)を用いて調製され得る。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプン)と混合され得る。このような投薬形態はまた、通常の実施であるように、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、打錠滑沢剤および他の打錠助剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロース))を含有し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含有し得る。これらは必要に応じて、不透明化剤を含有し得、そしてまた、活性成分を、腸管の特定の部分のみで、または優先的に、必要に応じて遅延様式で放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質および蝋が挙げられる。
【0143】
本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための投薬形態としては、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリア、および必要とされ得るような任意の必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。眼用処方物、点耳薬および点眼薬もまた、本発明の範囲内であると想定される。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を想定し、これらの経皮パッチは、身体への化合物の制御された送達を提供するというさらなる利点を有する。このような投薬形態は、化合物を適切な媒体に溶解または分散させることにより調製される。吸収増強剤もまた、皮膚を通る化合物の流れを増大させるために使用され得る。その速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることのいずれかによって、制御され得る。
【0144】
上に一般的に記載されたように、本発明の化合物は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用である。従って、いずれの特定の理論によっても束縛されることを望まないが、これらの化合物および組成物は、ABCトランスポーターの過剰活性または不活性が疾患、状態、または障害に関連する、疾患、状態、または障害を処置するため、またはその重篤度を低下させるために、特に有用である。ABCトランスポーターの過剰活性または不活性が特定の疾患、状態、または障害に関連する場合、その疾患、状態、または障害はまた、「ABCトランスポーターにより媒介される疾患、状態または障害」と称され得る。従って、別の局面において、本発明は、ABCトランスポーターの過剰活性または不活性が疾患状態に関連する、疾患、状態、または障害を処置するか、またはその重篤度を低下させる方法を提供する。
【0145】
ABCトランスポーターのモジュレーターとして本発明において利用される化合物の活性は、当該分野および本明細書中の実施例に一般的に記載される方法に従って、アッセイされ得る。
【0146】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物は、併用療法において使用され得ること、すなわち、これらの化合物および薬学的に受容可能な組成物は、1つ以上の他の所望の治療剤または医療手順と同時にか、その前にか、またはその後に投与され得ることもまた理解される。併用治療計画において使用するための治療(治療剤または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療および/または手順と、達成されるべき所望の治療効果との適合性を考慮する。使用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成し得る(例えば、本発明の化合物が同じ障害を処置するために使用される別の薬剤と同時に投与され得る)か、または異なる効果(例えば、任意の有害な影響の制御)を達成し得ることもまた、理解される。本明細書中で使用される場合、特定の疾患または状態を処置または防止するために通常投与されるさらなる治療剤は、「処置される疾患または状態のために適切である」ことが既知である。
【0147】
1つの実施形態において、さらなる薬剤は、粘液溶解剤、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染薬剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーター、または栄養剤から選択される。
【0148】
別の実施形態において、さらなる薬剤は、ゲンタマイシン、クルクミン、シクロホスファミド、4-フェニルブチレート、ミグルスタット(miglustat)、フェロジピン、ニモジピン、フィロキシンB(Philoxin B)、ゲニエステイン(geniestein)、アピゲニン(Apigenin)、cAMP/cGMPモジュレーター(例えば、ロリプラム、シルデナフィル、ミルリノン、タダラフィル(tadalafil)、アムリノン、イソプロテレノール、アルブテロール、およびアルメテロール(almeterol))、デオキシスペルグアリン(deoxyspergualin)、HSP 90インヒビター、HSP 70インヒビター、プロテオソームインヒビター(例えば、エポキソマイシン(epoxomicin)、ラクタシスチン(lactacystin))などから選択される化合物である。
【0149】
別の実施形態において、さらなる薬剤は、WO 2004028480、WO 2004110352、WO 2005094374、WO 2005120497、またはWO 2006101740に開示される化合物である。
【0150】
別の実施形態において、さらなる薬剤は、CFTR調節活性を示すベンゾ(c)キノリジニウム誘導体、またはCFTR調節活性を示すベンゾピラン誘導体である。
【0151】
別の実施形態において、さらなる薬剤は、US7202262、US6992096、US20060148864、US20060148863、US20060035943、US20050164973、WO2006110483、WO2006044456、WO2006044682、WO2006044505、WO2006044503、WO2006044502、またはWO2004091502に開示される化合物である。
【0152】
別の実施形態において、さらなる薬剤は、WO2004080972、WO2004111014、WO2005035514、WO2005049018、WO2006002421、WO2006099256、WO2006127588、またはWO2007044560に開示される化合物である。
【0153】
別の実施形態において、さらなる薬剤は、米国特許出願番号11/165,818(米国特許出願公開第2006/0074075号として公開され、2005年6月24日に出願され、その全体が本明細書中に参考として援用される)に開示される化合物から選択される。別の実施形態において、さらなる薬剤は、N-(5-ヒドロキシ-2,4-ジtert-ブチル-フェニル)-4-オキソ-1H-キノリン-3-カルボキサミドである。これらの組み合わせは、本明細書中に記載される疾患(嚢胞性線維症が挙げられる)を処置するために有用である。これらの組み合わせはまた、本明細書中に記載されるキットにおいて有用である。
【0154】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性薬剤として含有する組成物において通常投与される量以下である。好ましくは、本開示の組成物中のさらなる治療剤の量は、その薬剤を唯一の治療活性薬剤として含有する組成物に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0155】
本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な組成物はまた、移植可能な医療デバイス(例えば、プロテーゼ、人工弁、脈管移植片、ステントおよびカテーテル)のためのコーティングのための組成物に組み込まれ得る。従って、本発明は、別の局面において、移植可能デバイスをコーティングするための組成物を包含し、この組成物は、上に一般的に記載された本発明の化合物、ならびに本明細書中のクラス内およびサブクラス内の化合物、ならびにこの移植可能デバイスをコーティングするために適切なキャリアを含有する。なお別の局面において、本発明は、上に一般的に記載された本発明の化合物、ならびに本明細書中のクラス内およびサブクラス内の化合物、ならびに移植可能デバイスをコーティングするために適切なキャリアを含有する組成物でコーティングされた、移植可能デバイスを包含する。適切なコーティング、およびコーティングされた移植可能デバイスの一般的な調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。これらのコーティングは、代表的に、生体適合性ポリマー材料(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびこれらの組み合わせ)である。これらのコーティングは、必要に応じて、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはこれらの組み合わせ適切なトップコートによりさらに覆われて、組成物に制御放出特徴を付与し得る。
【0156】
本発明の別の局面は、生物学的サンプルまたは患者(例えば、インビトロまたはインビボ)において、ABCトランスポーター活性を調節することに関し、この方法は、この患者に式Iの化合物またはこの化合物を含有する組成物を投与する工程、あるいはこの生物学的サンプルを式Iの化合物またはこの化合物を含有する組成物と接触させる工程を包含する。用語「生物学的サンプル」としては、本明細書中で使用される場合、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、もしくは他の体液またはその抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
生物学的サンプルにおけるABCトランスポーター活性の調節は、当業者に公知である種々の目的のために有用である。このような目的の例としては、生物学的現象および病理学的状態におけるABCトランスポーターの研究;ならびにABCトランスポーターの新たなモジュレーターの比較評価が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
なお別の実施形態において、インビトロまたはインビボで陰イオンチャネルの活性を調節する方法が提供され、この方法は、このチャネルを式(I)の化合物と接触させる工程を包含する。好ましい実施形態において、この陰イオンチャネルは、塩化物チャネルまたは重炭酸チャネルである。ほかの好ましい実施形態において、この陰イオンチャネルは、塩化物チャネルである。
【0159】
代替の実施形態によれば、本発明は、細胞の膜における機能的ABCトランスポーターの数を増加させる方法を提供し、この方法は、この細胞を式(I)の化合物と接触させる工程を包含する。用語「機能的ABCトランスポーター」とは、本明細書中で使用される場合、輸送活性の能力を有するABCトランスポーターを意味する。好ましい実施形態において、この機能的ABCトランスポーターはCFTRである。
【0160】
別の好ましい実施形態によれば、ABCトランスポーターの活性は、膜内外電位差を測定することにより測定される。生物学的サンプルにおける膜を横切る電位を測定するための手段は、当該分野において公知である方方のうちのいずれか(例えば、光学膜電位アッセイまたは他の電気生理学的方法)を使用し得る。
【0161】
光学膜電位アッセイは、GonzalezおよびTsienにより記載された電位感受性FRETセンサ(Gonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J 69(4):1272-80、ならびにGonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269-77を参照のこと)を、蛍光変化を測定するための器具類(例えば、電圧/イオンプローブリーダー(VIPR)(Gonzalez,J.E.,K.Oadesら(1999)「Cell-based assays and instrumentation for screening ion-channel targets」Drug Discov Today 4(9):431-439を参照のこと))と組み合わせて利用する。
【0162】
これらの電圧感受性アッセイは、膜可溶性電圧感受性色素であるDiSBAC2(3)と、蛍光リン脂質であるCC2-DMPE(これは、原形質膜の外側リーフレットに付着し、FRETドナーとして働く)との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化に基づく。膜電位(Vm)の変化は、負に荷電したDiSBAC2(3)を原形質膜を横切って再分布させ、そしてCC2-DMPEからのエネルギー移動の量がこれに従って変化する。蛍光放出の変化は、VIPRTM IIを使用して監視され得、これは、96ウェルまたは384ウェルのマイクロタイタープレート内の細胞ベーススクリーンを管理するように設計された、一体化された液体折り扱い器および蛍光検出器である。
【0163】
別の局面において、本発明は、インビトロまたはインビボで生物学的サンプルのABCトランスポーターまたはそのフラグメントの活性を測定する際に使用するためのキットを提供し、このキットは、(i)式(I)または上記実施形態のうちのいずれかの化合物を含有する組成物;ならびに(ii)指示書であって、a)この組成物をこの生物学的サンプルと接触させること、およびb)このABCトランスポーターまたはそのフラグメントの活性を測定することの指示書を備える。1つの実施形態において、このキットは、a)さらなる組成物を生物学的サンプルと接触させること;b)このさらなる化合物の存在下でABCトランスポーターまたはそのフラグメントの活性を測定すること、およびc)このさらなる化合物の存在下でのABCトランスポーターの活性と、式(I)の化合物の存在下でのABCトランスポーターの密度とを比較することについての指示書をさらに備える。好ましい実施形態において、このキットは、CFTRの密度を測定するために使用される。
【0164】
本明細書中に記載される本発明がより完全に理解され得るように、以下の実施例が記載される。これらの実施例は説明の目的のみであり、本発明を限定すると決して解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0165】
(1-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-シクロプロパンカルボン酸の調製)
【0166】
【化35】

2-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)アセトニトリル(5.10g、31.7mmol)、1-ブロモ-2-クロロ-エタン(9.00mL、109mmol)、およびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(0.181g,0.795mmol)の混合物を70℃で加熱し、次いで、50%(wt./wt.)の水性水酸化ナトリウム(26mL)をこの混合物にゆっくりと添加した。この反応物を70℃で24時間撹拌し、次いで、130℃で48時間加熱した。その暗褐色の反応混合物を水(400mL)で希釈し、そして等体積の酢酸エチルで1回、および等体積のジクロロメタンで1回抽出した。この塩基性水溶液を濃塩酸で1未満のpHまで酸性化し、そして沈殿物を濾過し、そして1M塩酸で洗浄した。その固体材料をジクロロメタン(400mL)に溶解し、そして等体積の1M塩酸で2回、および塩化ナトリウムの飽和水溶液で1回抽出した。その有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そしてエバポレーションにより乾固させて、白色〜わずかにオフホワイトの固体を得た(5.23g,80%)。ESI-MS m/z計算値206.1、実測値207.1(M+1)+。保持時間2.37分。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.07-1.11(m,2H),1.38-1.42(m,2H),5.98(s,2H),6.79(m,2H),6.88(m,1H),12.26(s,1H)。
【0167】
(1-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-シクロプロパンカルボン酸の調製)
【0168】
【化36】

(工程a: 2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-カルボン酸メチルエステル)
5-ブロモ-2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール(11.8g,50.0mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[Pd(PPh3)4,5.78g,5.00mmol]の、アセトニトリル(30mL)およびトリエチルアミン(10mL)を含有するメタノール(20mL)中の溶液を、一酸化炭素雰囲気下(55PSI)75℃(油浴温度)で15時間撹拌した。冷却した反応混合物を濾過し、そしてその濾液をエバポレーションにより乾固させた。その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、粗製2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-カルボン酸メチルエステル(11.5g)を得、これを次の工程において直接使用した。
【0169】
(工程b: (2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-メタノール)
20mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解した粗製2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-カルボン酸メチルエステル(11.5g)を、無水THF(100mL)中の水素化アルミニウムリチウム(4.10g,106mmol)の懸濁物に0℃でゆっくりと添加した。次いで、この混合物を室温まで温めた。室温で1時間撹拌した後に、この反応混合物を0℃まで冷却し、そして水(4.1g)で処理し、続いて水酸化ナトリウム(10%水溶液,4.1mL)で処理した。得られたスラリーを濾過し、そしてTHFで洗浄した。合わせた濾液をエバポレーションにより乾固させ、そしてその残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-メタノール(7.2g,38mmol,2工程にわたって76%)を無色油状物として得た。
【0170】
(工程c: 5-クロロメチル-2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール)
塩化チオニル(45g,38mmol)を、ジクロロメタン(200mL)中の(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-メタノール(7.2g,38mmol)の溶液に、0℃でゆっくりと添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、エバポレーションにより乾固させた。その残渣を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)とジクロロメタン(100mL)との間で分配した。分離した水層をジクロロメタン(150mL)で抽出し、そしてその有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレーションにより乾固させて、粗製5-クロロメチル-2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)を得、これを次の工程において直接使用した。
【0171】
(工程d: (2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-アセトニトリル)
粗製5-クロロメチル-2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール(4.4g)およびシアン化ナトリウム(1.36g,27.8mmol)の、ジメチルスルホキシド(50mL)中の混合物を、室温で一晩攪拌した。この反応混合物を氷に注ぎ、そして酢酸エチル(300mL)で抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そしてエバポレーションにより乾固させて、粗製(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-アセトニトリル(3.3g)を得、これを次の工程において直接使用した。
【0172】
(工程e: 1-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-シクロプロパンカルボニトリル)
水酸化ナトリウム(50%水溶液,10mL)を、粗製(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-アセトニトリル、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(3.00g,15.3mmol)、および1-ブロモ-2-クロロエタン(4.9g,38mmol)の混合物に、70℃でゆっくりと添加した。この混合物を70℃で一晩撹拌し、その後、この反応混合物を水(30mL)で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そしてエバポレーションにより乾固させて、粗製1-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-シクロプロパンカルボニトリルを得、これを次の工程において直接使用した。
【0173】
(工程f: 1-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-シクロプロパンカルボン酸)
1-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-シクロプロパンカルボニトリル(直前の工程からの粗製物質)を、10%水性水酸化ナトリウム(50mL)中で2.5時間還流した。冷却した反応混合物をエーテル(100mL)で洗浄し、そしてその水相を2M塩酸でpH2まで酸性化した。沈殿した固体を濾過して、1-(2,2-ジフルオロ-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-シクロプロパンカルボン酸を白色固体として得た(0.15g,4工程にわたって1.6%)。ESI-MS m/z計算値242.04、実測値241.58(M+1)+;1H NMR(CDCl3)δ7.14-7.04(m,2H),6.98-6.96(m,1H),1.74-1.64(m,2H),1.26-1.08(m,2H)。
【0174】
以下の表2は、市販されていたかまたは上記方法により調製された、カルボン酸構築ブロックのリストを含む。
【0175】
【表2】

((6-アミノピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メタノンの調製)
【0176】
【化37】

(工程a: 6-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-ニコチンアミド)
6-クロロ-ニコチン酸(94.5g,0.6mol)のジクロロメタン(1000mL)中の溶液に、N2雰囲気下-25℃で、N-メチルモルホリン(181.8g,1.8mol)を添加し、続いてクロロギ酸イソブチル(81.9g,0.6mol)を添加した。この混合物を15分間撹拌し、次いで、O,N-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(64.35g,0.66mol)を添加した。この混合物を-25℃で30分間撹拌し、そしてゆっくりと室温まで温めた。この混合物を室温でさらに1時間撹拌し、そしてNaHCO3の飽和溶液(800mL)を添加した。分離した水層をジクロロメタン(500mL×3)で抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄した。その溶媒をエバポレートして粗製生成物を得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物である6-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-ニコチンアミドを白色固体として得た(56g,46.6%)。
【0177】
(工程b: (6-クロロピリジン-3-イル)-(2-メトキシフェニル)-メタノン)
1-ブロモ-2-メトキシ-ベンゼン(49.2g,0.263mol)の乾燥THF(500mL)中の溶液に、n-BuLi(ヘキサン中2.5M,105mL,0.263mol)をN2雰囲気下-78℃で滴下した。この混合物をこの温度で1時間撹拌し、次いで、6-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-ニコチンアミド(50g,0.25mol)のTHF(100mL)中の溶液を滴下した。この反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌し、次いで、NH4Clの飽和溶液(300mL)でクエンチした。分離した水層を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下でエバポレートして粗製生成物を得、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、(6-クロロピリジン-3-イル)-(2-メトキシフェニル)-メタノンを白色固体として得た(31g,47.6%)。
【0178】
(工程c: (6-アミノ-ピリジン-3-イル)-(2-メトキシフェニル)-メタノン)
6-クロロ-ピリジン-3-イル)-(2-メトキシ-フェニル)-メタノン(30g,0.121mol)、のエタノール(150ml)および無水アンモニア(100ml)中の溶液をボンベに入れ、そして145℃で16時間加熱した。その溶媒を減圧中で除去し、そしてその残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、(6-アミノ-ピリジン-3-イル)-(2-メトキシフェニル)-メタノン(18g,65.2%)を得た。1H NMR(DMSO-d6):δ:8.12(s,1H,),7.68(d,J=8.8Hz,1H),7.47(t,J=7.2,1H),7.21(d,J=7.2,1H),7.13(d,J=7.2,1H),7.03(d,1H),6.96(br,2H),6.44(d,J=8.8,1H),3.69(s,3H)。MS(ESI)m/e(M+H+)229.27。
【0179】
(5-(2-メトキシベンジル)ピリジン-2-アミンの調製)
【0180】
【化38】

(工程a: (6-アミノピリジン-3-イル)-(2-メトキシフェニル)-メタノール)
(6-アミノ-ピリジン-3-イル)-(2-メトキシ-フェニル)-メタノン(14g,61.4mol)のCH3OH(150mL)中の溶液に、NaBH4(3.48g,92.1mmol)を0℃で少しずつ添加した。この添加が完了した後に、この反応物を室温まで温め、そして室温で1時間撹拌した。その溶媒を減圧中で除去し、そして水(100mL)をその残渣に添加した。この混合物をジクロロメタン(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3の飽和溶液ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして減圧中で濃縮して、粗製生成物を得、これをさらに精製せずに次の工程において直接使用した。
【0181】
(工程b: 5-(2-メトキシ-ベンジル)-ピリジン-2-イルアミン)
前の工程からの粗製化合物、Et3SiH(57g,491mmol)およびTFA(112g,982mmol)の、CH2Cl2(150mL)中の混合物を室温で一晩攪拌した。過剰なEt3SiH、TFAおよびCH2Cl2を減圧下で除去した。その残渣を水中で撹拌し、その固体沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルおよび石油エーテルで洗浄して、5-(2-メトキシ-ベンジル)-ピリジン-2-イルアミンをTFA塩として得た(5g,2工程について24.8%)。1H NMR(DMSO-d6):δ13.5(br,1H),7.93(brs,2H),7.75-7.73(m,2H),7.22(t,J=8.0Hz,1H),7.19(d,J=7.2Hz,1H),6.98(d,J=8.0Hz,1H),6.90-6.86(m,2H),3.77(s,2H),3.76(s,3H)。MS(ESI)m/e(M+H+)215.27。
【0182】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0183】
【化39】

1-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-シクロプロパンカルボン酸(41mg,0.20mmol)を、窒素下でオーブン乾燥させたフラスコに入れた。塩化チオニル(0.3mL)およびN,N-ジメチルホルムアミド(0.03mL)を添加し、そしてその溶液を室温で10分間撹拌した。過剰な塩化チオニルを減圧下で除去し、そして得られた固体を無水ピリジン(1mL)に懸濁させた。次いで、この溶液を、ピリジン-2-アミン(19mg,0.20mmol)の無水ピリジン(1mL)中の溶液にゆっくりと添加した。得られた混合物を110℃で15時間撹拌した。次いで、粗製生成物を濾過し、エバポレートして乾固させ、N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、そして0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水中0%〜99%のアセトニトリルの勾配を利用する逆相分取液体クロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を得た(5.9mg,0.021mmol,10%)。ESI-MS m/z計算値282.1、実測値283.1(M+1)+。保持時間2.13分。
【0184】
(1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-メチルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0185】
【化40】

1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボン酸(2.32g,9.58mmol)を、窒素下でオーブン乾燥させたフラスコに入れた。塩化チオニル(3mL)およびN,N-ジメチルホルムアミド(0.3mL)を添加し、そしてその溶液を室温で30分間撹拌した。過剰な塩化チオニルを減圧下で除去し、そして得られた固体を無水ジクロロメタン(10mL)に懸濁させた。次いで、この溶液を、トリエチルアミン(4.11mL,29.5mmol)を含有する無水ジクロロメタン(10mL)中の5-メチルピリジン-2-アミン(0.798g,7.38mmol)の溶液にゆっくりと添加した。得られた混合物を室温で15時間撹拌した。次いで、粗製生成物を、塩酸の1M水溶液で2回、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で2回、そして最後に、塩化ナトリウムの飽和水溶液で2回洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、エバポレートしてほぼ乾固させ、次いで、ヘキサン中0%〜30%の酢酸エチルの勾配を利用して120gのシリカゲルで精製して、純粋な生成物を得た(1.20g,3.60mmol,48.7%)。ESI-MS m/z計算値332.1、実測値333.1(M+1)+。保持時間1.48分。
【0186】
以下の表3に列挙される化合物を、上に記載された様式と類似の様式で、適切な反応物質から作製した:
【0187】
【表3−1】

【0188】
【表3−2】

【0189】
【表3−3】

(N-(5-(2-メトキシベンゾイル)ピリジン-2-イル)-1-(4-メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0190】
【化41】

1-(4-メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸(19.2mg,0.100mmol)および(6-アミノピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メタノン(22.8g,0.100mmol)を、トリエチルアミン(0.042mL,0.300mmol)を含有するN,N-ジメチルホルムアミド(DMF,0.7mL)に溶解した。O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU,38.0mg,0.100mmol)を添加し、そしてその溶液を70℃で72時間撹拌した。次いで、この混合物を、0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水中0%〜99%のアセトニトリルの勾配を利用する逆相分取液体クロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を得た(4.2mg,0.010mmol,10%)。ESI-MS m/z計算値402.2、実測値403.5(M+1)+。保持時間3.50分。
【0191】
以下の表4に列挙される化合物を、N-(5-(2-メトキシベンゾイル)ピリジン-2-イル)-1-(4-メトキシフェニル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で、適切な反応物質から作製した:
【0192】
【表4−1】

【0193】
【表4−2】

【0194】
【表4−3】

(3-(2-(1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)-5-メチルピリジン-4-イル)安息香酸)の調製)
【0195】
【化42】

(工程a: 3-(3-メチルピリジン-4-イル)安息香酸tert-ブチル)
4-クロロ-3-メチルピリジン(2.00g,15.7mmol)、3-(tert-ブトキシカルボニル)フェニルボロン酸(5.42g,24.4mmol)、炭酸カリウムの2M水溶液(31.4mL,62.8mmol)、およびパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(Pd(PPh3)4,0.906g,0.784mmol)を、1,2-ジメトキシエタン(DME,150mL)に懸濁させた。得られた混合物を撹拌し、そして80℃で60時間加熱した。その粗製反応混合物を室温まで冷却し、次いで、層を分離した。その有機層をエバポレートして乾固させ、次いで、ヘキサン中0%〜70%の酢酸エチルの勾配を利用して、120gのシリカゲルで精製して、純粋な生成物を淡黄色油状物として得た(3.02g,11.2mmol,71.4%)。
【0196】
(工程b: 4-(3-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-3-メチルピリジン1-オキシド)
3-(3-メチルピリジン-4-イル)安息香酸tert-ブチル(0.500g,1.86mmol)を、ジクロロメタン(0.800mL)と30%過酸化水素(0.421mL)との混合物に溶解した。メチルトリオキソレニウム(VII)(2.3mg,0.92mmol)を添加し、そしてこの反応混合物を激しく5時間撹拌した。次いで、層を分離し、そしてその有機層を亜硫酸ナトリウムで処理し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その粗製生成物を濾過し、エバポレートして乾固させ、そしてさらに精製せずに使用した。ESI-MS m/z計算値285.1、実測値286.1(M+1)+。保持時間1.22分。
【0197】
(工程c: 3-(2-アミノ-5-メチルピリジン-4-イル)安息香酸tert-ブチル)
4-(3-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-3-メチルピリジン1-オキシド(0.467g,1.64mmol)を、ピリジン(0.53mL)とアセトニトリル(15mL)との混合物に窒素雰囲気下で溶解した。4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(0.406g,2.13mmol)を添加し、そしてその反応混合物を75℃で72時間撹拌した。次いで、エタノールアミン(7mL)を添加し、そしてこの反応混合物を室温で5分間撹拌した。この粗製生成物を、ジクロロメタンと重炭酸ナトリウムの飽和水溶液との間で分配した。層を分離し、そしてその有機層を塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、ヘキサン中0%〜100%の酢酸エチルの勾配を利用して40gのシリカゲルで精製して、純粋な生成物を得た(0.169g,0.594mmol,36.3%)。ESI-MS m/z計算値284.2、実測値285.1(M+1)+。1.28分の保持時間。1H NMR(400.0MHz,DMSO-d6)δ7.94-7.91(m,1H),7.84(s,1H),7.79(d,J=1.7Hz,1H),7.62-7.56(m,2H),6.33(s,1H),5.78(s,2H),1.99(s,3H),1.55(s,9H)。
【0198】
(工程d: 3-(2-(1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)-5-メチルピリジン-4-イル)安息香酸tert-ブチル)
1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボン酸(144mg,0.593mmol)を、窒素下でオーブン乾燥させたフラスコに入れた。塩化チオニル(1mL)およびN,N-ジメチルホルムアミド(0.1mL)を添加し、そしてその溶液を室温で30分間撹拌した。過剰な塩化チオニルを減圧下で除去し、そして得られた固体を2mLの無水ジクロロメタンに懸濁させた。次いで、この溶液を、トリエチルアミン(0.165mL,1.19mmol)を含有する5mLの無水ジクロロメタン中の3-(2-アミノ-5-メチルピリジン-4-イル)安息香酸tert-ブチル(129mg,0.454mmol)の溶液にゆっくりと添加した。得られた混合物を室温で15時間撹拌した。この粗製生成物をエバポレートして乾固させ、次いで、ヘキサン中0%〜40%の酢酸エチルの勾配を利用して12gのシリカゲルで精製して、純粋な生成物を黄色固体として得た(162mg,0.319mmol,70.3%)。ESI-MS m/z計算値508.2,実測値;509.1(M+1)+保持時間2.22分。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.85(s,1H),8.18(s,1H),7.98-7.96(m,1H),7.89(s,1H),7.82(d,J=1.6Hz,1H),7.64-7.62(m,2H),7.57(d,J=1.6Hz,1H),7.42(d,J=8.3Hz,1H),7.34(dd,J=1.7,8.3Hz,1H),2.14(s,3H),1.55(s,9H),1.51-1.49(m,2H)1.19-1.15(m,2H)。
【0199】
(工程e: 3-(2-(1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)-5-メチルピリジン-4-イル)安息香酸)
3-(2-(1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)-5-メチルピリジン-4-イル)安息香酸tert-ブチル(40.mg,0.079mmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(0.500mL)を添加し、そしてこの反応混合物を室温で1時間撹拌した。その粗製反応混合物をエバポレートして乾固させて、純粋な生成物を得た。ESI-MS m/z計算値452.1,実測値;453.0(M+1)+保持時間1.64分。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1H NMR(400.0MHz,DMSO-d6)d 9.01(s,1H),8.22(s,1H),8.03-8.00(m,1H),7.89(d,J=2.5Hz,2H),7.68-7.64(m,2H),7.58(d,J=1.6Hz,1H),7.43(d,J=8.3Hz,1H),7.35(dd,J=1.7,8.3Hz,1H),2.18(s,3H),1.54-1.51(m,2H),1.21-1.17(m,2H)。
【0200】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(シクロヘキシルメチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0201】
【化43】

(工程a: 1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド)
塩化チオニル(2.5mL,34.7mmol)中の1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボン酸(2.4g,11.6mmol)に、N,N-ジメチルホルムアミド(0.1mL)を添加した。この反応混合物を室温で30分間撹拌し、その後、それをエバポレートして乾固させて、酸塩化物を得た。
【0202】
ピリジン(10mL)中の6-ブロモピリジン-2-アミン(2.0g,11.6mmol)に、この酸塩化物を添加した。この反応物を100℃で12時間加熱した。この反応物をジクロロメタン(30mL)で希釈し、そして1NのNaOH(3×20mL)で洗浄した。その有機物をNa2SO4で乾燥させ、そしてエバポレートして乾固させた。その粗製材料をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中0%〜50%の酢酸エチルで溶出)により精製して、生成物を得た(2.9g,8.0mmol,70%)。ESI-MS m/z計算値360.01、実測値361.1(M+1)+。保持時間3.59分。
【0203】
(工程b: 1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(シクロヘキシルメチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド)
THF(0.8mL,0.4mmol)中0.5Mの(シクロヘキシルメチル)亜鉛(II)ブロミドの溶液に、[1,1’-ビス(ビフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(8mg,0.01mmol)を添加し、そしてこの反応物を窒素下で20分間撹拌した。1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(36mg,0.1mmol)を添加し、そしてこの反応物に150℃でマイクロ波を10分間照射した。この反応を、飽和塩化アンモニウム溶液(2mL)および飽和エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩溶液(2mL)でクエンチした。この混合物を30分間撹拌し、その後、これをジクロロメタン(3×4mL)で抽出した。その有機物をNa2SO4で乾燥させ、そしてエバポレートした。その粗製生成物をDMSO(1mL)に溶解し、そして0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水中0%〜99%のアセトニトリルの勾配を利用する逆相分取液体クロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を得た(20mg,0.05mmol,50%)。ESI-MS m/z計算値378.19、実測値379.1(M+1)+;保持時間3.55分。
【0204】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-イソブチルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0205】
【化44】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-イソブチルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび塩化イソブチル亜鉛(II)から、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(シクロヘキシルメチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0206】
(N-(6-(ベンジルアミノ)-5-メチルピリジン-2-イル)-1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0207】
【化45】

(工程a: N-(6-クロロ-5-メチルピリジン-2-イル)-1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)
塩化チオニル(17mL,233mmol)中の1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボン酸(18.8g,78mmol)に、N,N-ジメチルホルムアミド(0.2mL,2.6mmol)を添加した。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。過剰な塩化チオニルおよびN,N-ジメチルホルムアミドを減圧中で除去し、そして得られた酸塩化物を次の工程にお家直接使用した。
【0208】
6-クロロ-5-メチルピリジン-2-アミン(11.1g,78mmol)およびトリエチルアミン(22.0mL,156mmol)のジクロロメタン(100mL)中の溶液に、1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボニルクロリド(20.3g,78mmol)のジクロロメタン(50mL)中の溶液を添加した。得られた反応混合物を室温で18時間撹拌した。次いで、この反応混合物を、1N水性NaOH(2×200mL)、1N水性HCl(1×200mL)および飽和水性NaHCO3(1×200mL)で洗浄した。その有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そしてエバポレートして、生成物を得た(26.9g,73.3mmol,2工程で94%)。ESI-MS m/z計算値366.06、実測値367.3(M+1)+。保持時間2.19分。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.30(s,1H),7.89-7.87(m,1H),7.78-7.76(m,1H),7.54-7.53(m,1H),7.41-7.39(m,1H),7.33-7.30(m,1H),2.26(s,3H),1.52-1.49(m,2H),1.19-1.16(m,2H)。
【0209】
(工程b. N-(6-(ベンジルアミノ)-5-メチルピリジン-2-イル)-1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)
ベンジルアミン(0.5mL,4.6mmol)に、N-(6-クロロ-5-メチルピリジン-2-イル)-1-(2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド(37mg,0.1mmol)を添加し、そしてこの反応混合物に170℃でマイクロ波を60分間照射した。その粗製生成物を、0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水中0%〜99%のアセトニトリルの勾配を利用する逆相分取液体クロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を得た。ESI-MS m/z計算値437.4、実測値438.3(M+1)+;保持時間1.83分。
【0210】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(2-メトキシフェニルアミノ)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0211】
【化46】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(72mg,0.2mmol)、XANTPHOS(7.00mg,0.008mmol)、KtBuO(31mg,0.28mmol)、(DPPF)2PdCl2・CH2Cl2(33.00mg,0.24mmol)、および2-メトキシアニリン(30mg,0.24mmol)に、1,4-ジオキサン(0.400mL)およびトリエチルアミン(0.200mL)を添加した。この反応混合物を、マイクロ反応器中150℃で10分間加熱した。得られた材料を室温まで冷却した。その溶媒を減圧下でエバポレートした。得られた混合物をジクロロメタンに溶解し、そしてH2Oで洗浄した。その有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、そして減圧下でエバポレートした。その粗製生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(2-メトキシフェニルアミノ)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを得、次いで、これをMeOH中のHClで処理して、HCl塩を形成した(2.4mg,0.0055mmol,2.7%)。ESI-MS m/z計算値403.1、実測値404.5(M+1)+;保持時間3.01分。
【0212】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-((2-メトキシフェニル)(メチル)アミノ)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0213】
【化47】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-((2-メトキシフェニル)(メチル)アミノ)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(2-メトキシフェニルアミノ)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、2-メトキシ-N-メチルアニリンを1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドと反応させることにより、合成した。
【0214】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンゾイルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0215】
【化48】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-シアノピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(61.00mg,0.20mmol)のTHF(1mL)中の溶液に、0℃で、エーテル中のフェニルマグネシウムブロミド(133μL,3M,0.40mmol)の溶液をゆっくりと添加し、そしてこの反応混合物を室温まで温め、そして室温で80時間撹拌した。塩酸(1M)をこの反応物質に添加した。その生成物を、酢酸エチルを使用して抽出した。その有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、そして減圧下でエバポレートした。その粗製生成物をDMSO(1mL)に溶解し、濾過し、そして逆相分取HPLCにより精製して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンゾイルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドをTFA塩として得た(18mg,0.035mmol,18%)。ESI-MS m/z計算値386.1、実測値387.1(M+1)+;保持時間3.45分。
【0216】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(4-メトキシベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0217】
【化49】

(DPPF)2PdCl2・CH2Cl2(17mg,0.02mmol)に、THF中の(4-メトキシベンジル)亜鉛(II)クロリド(1.60mL,0.5M,0.80mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で添加し、そして室温で5分間撹拌した。これに、THF(800μL)中の1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(72mg,0.20mmol)の溶液を窒素雰囲気下でゆっくりと添加した。この反応物をマイクロ反応器中150℃で10分間加熱した。得られた材料を室温まで冷却した。Na2EDTAおよび飽和水性NH4Clをこの反応物質に添加し、そして室温で30分間撹拌した。その生成物を、ジクロロメタンを使用して抽出した。その有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、そして減圧下でエバポレートした。その粗製生成物をDMSO(1mL)に溶解し、濾過し、そして逆相分取HPLCにより精製して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(4-メトキシベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドをTFA塩として得た(27mg,0.052mmol,26%)。ESI-MS m/z計算値402.2、実測値403.0(M+1)+;保持時間3.24分。
【0218】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(2-クロロベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0219】
【化50】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(2-クロロベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(4-メトキシベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、(2-クロロベンジル)亜鉛(II)クロリドを1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドと反応させることにより、合成した。
【0220】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(2-メチルベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0221】
【化51】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(2-メチルベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(VRT-810361)を、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-(4-メトキシベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、(2-メチルベンジル)亜鉛(II)クロリドを1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドと反応させることにより、合成した。
【0222】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0223】
【化52】

(工程a: 1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド)
1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボン酸(9.50g,46.00mmol)に、塩化チオニル(10.00mL,138.00mmol)およびDMF(4滴)を添加し、そしてこの反応混合物を撹拌し、そして60℃で30分間加熱した。過剰な塩化チオニルを減圧下でエバポレートした。その酸塩化物の一部(14.4mmol)をピリジン(10mL)に溶解し、そしてピリジン(10mL)中の5-ブロモピリジン-2-アミン(14.4mmol)にゆっくりと添加した。この反応混合物を110℃で1時間30分撹拌した。ピリジンを減圧下でエバポレートした。得られた混合物をジクロロメタン(100mL)に溶解し、そして1NのNaOH(3×25mL)で洗浄した。その有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、そして減圧下でエバポレートした。その粗製生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを得た(4.20g,11.7mmol,81%)。
【0224】
(工程b: 1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド)
THF中のベンジル亜鉛(II)ブロミド(1.60mL,0.5M,0.8mmol)の溶液および(DPPF)2PdCl2・CH2Cl2(17mg,0.02mmol)を、室温で20分間、窒素雰囲気下で撹拌した。これに、THF(800μL)中の1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(72mg,0.20mmol)の溶液を添加し、そしてこの反応混合物をマイクロ反応器中150℃で10分間加熱した。得られた材料を室温まで冷却した。Na2EDTAおよび飽和水性NH4Clをこの反応物質に添加し、そして室温で20分間撹拌した。その生成物を、ジクロロメタンを使用して抽出した。その有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、そして減圧下でエバポレートした。その粗製生成物をDMSO(1mL)に溶解し、濾過し、そして逆相分取HPLCにより精製して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドをTFA塩として得た(15mg,0.031mmol,15%)。ESI-MS m/z計算値372.1、実測値373.1(M+1)+;保持時間7.14分。
【0225】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(2,6-ジクロロベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0226】
【化53】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(2,6-ジクロロベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを(2,6-ジクロロベンジル)亜鉛(II)クロリドと反応させることにより、合成した。
【0227】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(シクロヘキシルメチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0228】
【化54】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(シクロヘキシルメチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを(シクロヘキシルメチル)亜鉛(II)ブロミドと反応させることにより、合成した。
【0229】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-イソブチルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0230】
【化55】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-イソブチルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドをイソブチル亜鉛(II)ブロミドと反応させることにより、合成した。
【0231】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(4-メトキシベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0232】
【化56】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(4-メトキシベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを(4-メトキシベンジル)亜鉛(II)クロリドと反応させることにより、合成した。
【0233】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(2-クロロベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0234】
【化57】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(2-クロロベンジル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ベンジルピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの手順を使用して、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ブロモピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを(2-クロロベンジル)亜鉛(II)クロリドと反応させることにより、合成した。
【0235】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(2-メトキシフェニルアミノ)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0236】
【化58】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-ヨードピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(816mg,0.200mmol)を、炭酸セシウム(91.2mg,0.0280mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.8mg,0.0020mmol)、2-メトキシアニリン(0.027mL,0.24mmol)、および(9,9-ジメチル-9H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)(XANTPHOS,2.3mg,0.0040mmol)を含有する1,4-ジオキサン(0.4mL)およびトリエチルアミン(0.2mL)に懸濁させた。この反応混合物を100℃で15時間加熱した。次いで、粗製生成物を濾過し、エバポレートして乾固させ、N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、そして0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水中0%〜99%のアセトニトリルの勾配を利用する逆相分取液体クロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を得た(2.6mg,0.0049,2.4%)。ESI-MS m/z計算値403.2、実測値404.5(M+1)+。保持時間2.73分。
【0237】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0238】
【化59】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(2-メトキシベンゾイル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(0.50g,1.2mmol)を25mLのメタノールに懸濁させた。水素化ホウ素ナトリウム(0.454g,12.0mmol)を少しずつ添加した。1時間攪拌した後に、この反応混合物をエバポレートして乾固させ、そしてヘキサン中15%〜70%の酢酸エチルの勾配を利用して40gのシリカゲルで精製して、純粋な生成物を白色固体として得た(0.2125g,0.5078mmol,42%)。ESI-MS m/z計算値418.6、実測値419.3(M+1)+。保持時間2.59分。
【0239】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((3-ヒドロキシプロポキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0240】
【化60】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド(41.8mg,0.100mmol)を、4-メチルベンゼンスルホン酸水和物(pTsOH,23.8mg,0.125mmol)およびプロパン-1,3-ジオール(9.89mg,0.130mmol)を含有する2mLのトルエンに懸濁させた。次いで、この反応混合物をマイクロ反応器中140℃で5分間加熱した。次いで、粗製生成物を濾過し、エバポレートして乾固させ、N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解し、そして0.05%トリフルオロ酢酸を含有する水中0%〜99%のアセトニトリルの勾配を利用する逆相分取液体クロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を得た(26.5mg,0.0556mmol,55.6%)。ESI-MS m/z計算値476.5、実測値477.3(M+1)+。保持時間2.71分。
【0241】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0242】
【化61】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび2-(ジメチルアミノ)エタノールから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((3-ヒドロキシプロポキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0243】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0244】
【化62】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび2-(ピペリジン-1-イル)エタノールから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((3-ヒドロキシプロポキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0245】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(プロポキシ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0246】
【化63】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(プロポキシ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドおよびプロパン-1-オールから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((3-ヒドロキシプロポキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0247】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-(ジイソプロピルアミノ)エトキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0248】
【化64】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-(ジイソプロピルアミノ)エトキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび2-(ジイソプロピルアミノ)エタノールから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((3-ヒドロキシプロポキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0249】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(2-モルホリノエトキシ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0250】
【化65】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(2-モルホリノエトキシ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドおよび2-モルホリノエタノールから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((3-ヒドロキシプロポキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0251】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-ヒドロキシエトキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0252】
【化66】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-ヒドロキシエトキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(ヒドロキシ(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドおよびエタン-1,2-ジオールから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((3-ヒドロキシプロポキシ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0253】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0254】
【化67】

(工程a: メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)
メタンスルホニルクロリド(56μl,0.72mmol)を、1-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-シクロプロパンカルボン酸{5-[ヒドロキシ-(2-メトキシ-フェニル)-メチル]-ピリジン-2-イル}-アミド(50mg,0.12mmol)およびDIEA(24μl,0.14mmol)のジクロロメタン(2ml)中の混合物に、0℃でゆっくりと添加した。この反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をさらに精製せずに次の工程のために使用した。
【0255】
(工程b: 1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミド)
(メタンスルホン酸6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチル(0.12mmol)をNMP(2ml)に溶解し、続いてTHF(600μl,0.12mmol)中2Mのジメチルアミンの溶液およびDIEA(21μl,0.12mmol)を添加した。この反応混合物を周囲温度で16時間維持した。得られた混合物をHPLC精製に供して、目標物質のトリフルオロ酢酸塩(55mg,82%)を無色固体として得た。1H-NMR(DMSO):δ8.43(s,1H),δ8.40(d,J=2Hz,1H),δ8.06(d,J=8.7Hz,1H),δ7.96(dd,J=2Hz,J=8.7Hz,1H),δ7.56(bd,J=6.5Hz,1H),δ7.39(bt,J=6.5Hz,1H),δ7.05-7.11(m,3H),δ6.96(s,2H),δ6.05(s,2H),δ5.68(bm,1H),δ3.85(s,3H),δ2.75(s,6H),δ1.42-1.45(m,2H),δ1.13-1.16(m,2H)。
【0256】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(メチルアミノ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0257】
【化68】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(メチルアミノ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびメチルアミンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0258】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((エチル(メチル)アミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0259】
【化69】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((エチル(メチル)アミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびN-メチルエタンアミンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0260】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(ピロリジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0261】
【化70】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(ピロリジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびピロリジンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0262】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジエチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0263】
【化71】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジエチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびジエチルアミンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0264】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(ピペリジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0265】
【化72】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(ピペリジン-1-イル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびピペリジンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0266】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0267】
【化73】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(((R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよび(R)-3-ヒドロキシピロリジンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0268】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(モルホリノ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0269】
【化74】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-メトキシフェニル)(モルホリノ)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびモルホリンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0270】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0271】
【化75】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよび4-ヒドロキシピペリジンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0272】
(1-((6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの調製)
【0273】
【化76】

1-((6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピロリジン-2-カルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびピロリジン-2-カルボキサミドから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0274】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(((S)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0275】
【化77】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-(((S)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよびピペリジンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0276】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2,6-ジメチルモルホリノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0277】
【化78】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2,6-ジメチルモルホリノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよび2,6-ジメチルモルホリンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0278】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0279】
【化79】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよび2-(メトキシメチル)ピロリジンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0280】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0281】
【化80】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよび2-(ピペラジン-1-イル)エタノールから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0282】
(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((4-(2-メトキシエチル)ピペラジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの調製)
【0283】
【化81】

1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドを、メタンスルホン酸(6-(1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)シクロプロパンカルボキサミド)ピリジン-3-イル)(2-メトキシフェニル)メチルおよび1-(2-メトキシエチル)ピペラジンから、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-N-(5-((ジメチルアミノ)(2-メトキシフェニル)メチル)ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキサミドの様式と同じ様式で調製した。
【0284】
上記実施例により調製された本発明の化合物の特徴的データを、以下に記載する。
【0285】
【表5−1】

【0286】
【表5−2】

【0287】
【表5−3】

(化合物のΔF508-CFTR補正特性を検出および測定するためのアッセイ)
(化合物のΔF508-CFTR調節特性をアッセイするための膜電位光学方法)
このアッセイは、蛍光プレートリーダー(例えば、FLIPR III,Molecular Devices,Inc.)をNIH 3T3細胞における機能的ΔF508-CFTRの増加についての読み出しとして使用して、膜電位の変化を測定するために蛍光電圧感知色素を利用する。この応答の駆動力は、細胞が事前に化合物で処理され、引き続いて電圧感知色素を負荷された後の、1回の液体添加工程によるチャネル活性化と関連する塩化物イオン勾配の作製である。
【0288】
(補正化合物の同定)
F508-CFTRに関連する輸送欠損を補正する低分子を同定するために、単一付加HTSアッセイ形式を開発した。細胞を含むアッセイプレートを、組織培養インキュベーター内で、37℃、5%CO2、90%湿度で約2時間〜4時間インキュベートする。次いで、細胞は、これらのアッセイプレートの底部に接着した後に、化合物曝露の準備ができる。
【0289】
細胞を、37℃、5%CO2、90%湿度で、試験化合物の存在下または非存在下(ネガティブコントロール)で、組織培養インキュベーター内で無血清培地中で16時間〜24時間インキュベートした。引き続いて、これらの細胞をKrebs Ringers溶液で3回すすぎ、そして電圧感知再分布色素を負荷した。ΔF508-CFTRを活性化させるために、10μMのフォルスコリンおよびCFTR増強剤であるゲニステイン(20μM)を、Cl-を含まない培地と一緒に各ウェルに添加した。Cl-を含まない培地の添加は、ΔF508-CFTR活性化に応答するCl-流出を促し、そして生じる膜脱分極を、電圧センサ色素を使用して光学的に監視した。
【0290】
(増強剤化合物の同定)
ΔF508-CFTRの増強剤を同定するために、二重添加HTSアッセイ形式を開発した。このHTSアッセイは、蛍光電位感知色素を利用して、温度補正したΔF508 CFTR NIH 3T3細胞におけるΔF508 CFTRの開口(コンダクタンス)の増加の尺度として、FLIPR III上の膜電位の変化を測定する。この応答のための駆動力は、細胞が事前に増強剤化合物(またはDMSOビヒクルコントロール)で処理され、引き続いて再分布色素を負荷された後の、FLIPR IIIなどの蛍光プレートリーダーを用いる1回の液体添加工程におけるフォルスコリンでのチャネル活性化と関連するCl-イオン勾配である。
【0291】
溶液:
浴溶液#1:(mMで)NaCl 160、KCl 4.5、CaCl2 2、MgCl2 1、HEPES 10、NaOHを用いてpH7.4。
【0292】
塩化物を含まない浴溶液:浴溶液#1中の塩化物塩をグルコン酸塩で置き換える。
【0293】
(細胞培養)
ΔF508-CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学測定のために使用する。2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β-ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを補充したダルベッコ改変イーグル培地中で、175cm2の培養フラスコ中で5% CO2および90%の湿度で37℃に維持する。全ての光学アッセイについて、これらの細胞を約20,000/ウェルで、384ウェルのマトリゲルコーティングされたプレートに播種し、そして37℃で2時間培養し、その後、増強剤アッセイのために27℃で24時間培養した。補正アッセイのために、これらの細胞を、27℃または37℃で、化合物ありまたはなしで16時間〜24時間培養した。
【0294】

(化合物のΔF508-CFTR変調特性をアッセイするための電気生理学的アッセイ)
(1.Ussingチャンバアッセイ)
Ussingチャンバ実験を、ΔF508-CFTRを発現する分極気道上皮細胞に対して実施して、光学アッセイにおいて同定されたΔF508-CFTRモジュレーターをさらに特徴付けた。非CF気道上皮およびCF気道上皮を気管支組織から単離し、以前に記載されたように培養し(Galietta,L.J.V.,Lantero,S.,Gazzolo,A.,Sacco,O.,Romano,L.,Rossi,G.A.,およびZegarra-Moran,O.(1998)In Vitro Cell.Dev.Biol.34,478-481)、そしてNIH3T3順化培地で予めコーティングしたCostar(登録商標)SnapwellTMフィルタにプレートした。4日後、先端部の培地を除去し、そして細胞を、空気と液体との界面で使用前に14日間より長く培養した。これにより、完全に分化した柱細胞の単層が生じ、これらは、線毛を有し、このことは、気道上皮に特徴的な特徴である。非CF HBEを、いかなる既知の肺疾患も有さない非喫煙者から単離した。CF-HBEを、ΔF508-CFTRについて均質化した患者から単離した。
【0295】
Costar(登録商標)SnapwellTM細胞培養インサート上で増殖させたHBEをUssingチャンバ(Physiologic Instruments,Inc.,San Diego,CA)内に設置し、そして先端に対する基底外側のCl-勾配の存在下での経上皮抵抗および短絡電流(ISC)を、電圧クランプシステム(Department of Bioengineering,University of Iowa,IA)を使用して測定した。手短に言えば、HBEを電圧クランプ記録条件下(Vhold=0mV)37℃で試験した。基底外側溶液は、(mMで)145 NaCl、0.83 K2HPO4、3.3 KH2PO4、1.2 MgCl2、1.2 CaCl2、10グルコース、10 HEPES(NaOHでpHを7.35に調整した)を含有し、そして先端溶液は、(mMで)145 グルコン酸Na、1.2 MgCl2、1.2 CaCl2、10グルコース、10 HEPES(NaOHでpHを7.35に調整した)を含有した。
【0296】
(補正化合物の同定)
代表的なプロトコルは、先端膜に対する基底外側のCl-濃度勾配を利用した。この勾配を設定するために、通常のリンゲル液を基底外側膜に対して使用し、一方で、先端NaClを等モル量のグルコン酸ナトリウム(NaOHでpH7.4であることを滴定した)で置き換えて、上皮を横切る大きいCl-濃度勾配を与えた。全ての実験を、インタクトな単層を用いて実施した。ΔF508-CFTRを完全に活性化させるために、フォルスコリン(10μM)、PDEインヒビターであるIBMX(100μM)およびCFTR増強剤であるゲニステイン(50μM)を先端側に添加した。
【0297】
他の細胞型において観察されたように、FRT細胞およびヒト気管支上皮細胞(ΔF508-CFTRを発現する疾患CF患者(CF-HBE)から単離された)の低温でのインキュベーションは、原形質膜におけるCFTRの機能的密度を増加させる。補正化合物の活性を決定するために、これらの細胞を、試験化合物と一緒に37℃で24時間〜48時間インキュベートし、引き続いて、3回洗浄し、その後、記録した。化合物で処理された細胞のcAMP媒介ISCおよびゲニステイン媒介ISCを37℃コントロールに対して標準化し、そしてwt-HBEにおけるCFTR活性の百分率活性として表した。細胞を補正化合物と一緒に予備インキュベートすることにより、cAMP媒介ISCおよびゲニステイン媒介ISCは、37℃コントロールと比較して有意に増加した。
【0298】
(増強剤化合物の同定)
代表的なプロトコルは、先端膜に対する基底外側のCl-濃度勾配を利用した。この勾配を設定するために、通常のリンゲル液を基底外側膜に対して使用し、一方で、先端NaClを等モル量のグルコン酸ナトリウム(NaOHでpH7.4であることを滴定した)で置き換えて、上皮を横切る大きいCl-濃度勾配を与えた。フォルスコリン(10μM)および全ての試験化合物を、細胞培養インサートの先端側に添加した。推定ΔF508-CFTR増強剤の効力を、既知の増強剤であるゲニステインの効力と比較した。
【0299】
(2.パッチ-クランプ記録)
ΔF508-NIH3T3細胞における総Cl-電流を、以前に記載されたような穿孔パッチ記録構成(Rae,J.,Cooper,K.,Gates,P.,およびWatsky,M.(1991)J.Neurosci.Methods 37,15-26)を使用して監視した。電圧-クランプ記録を、22℃で、Axopatch 200Bパッチ-クランプ増幅器(Axon Instruments Inc.,Foster City,CA)を使用して実施した。ピペット溶液は、(mMで)150 N-メチル-d-グルカミン(NMDG)-Cl、2 MgCl2、2 CaCl2、10 EGTA、10 HEPES、および240μg/mlアンホテリシン-B(HClでpHを7.35に調整した)を含有した。細胞外培地は、(mMで)150 NMDG-Cl、2 MgCl2、2 CaCl2、10 HEPES(HClでpHを7.35に調整した)を含有した。パルス発生、データ獲得、および分析を、Digidata 1320 A/DインターフェースをClampex 8(Axon Instruments Inc.)と組み合わせて備えるPCを使用して実施した。ΔF508-CFTRを活性化させるために、10μMのフォルスコリンおよび20μMのゲニステインを浴に添加し、そして電流-電圧の関係を30秒ごとに監視した。
【0300】
(補正化合物の同定)
原形質膜における機能的ΔF508-CFTRの密度を増加させる、補正化合物の活性を決定するために、本発明者らは、上記穿孔パッチ記録技術を使用して、補正化合物での処理の24時間後の電流密度を測定した。ΔF508-CFTRを完全に活性化させるために、10μMのフォルスコリンおよび20μMのゲニステインを細胞に添加した。本発明者らの記録条件下で、27℃で24時間のインキュベーション後の電流密度は、37℃で24時間のインキュベーション後に観察された電流密度より高かった。これらの結果は、原形質膜におけるΔF508-CFTRの密度に対する低温インキュベーションの公知の効果と一致する。CFTR電流密度に対する補正化合物の影響を決定するために、これらの細胞を、10μMの試験化合物と一緒に、37℃で24時間インキュベートし、そしてその電流密度を、27℃および37℃のコントロールと比較した(%活性)。記録前に、これらの細胞を細胞外記録培地で3回洗浄して、あらゆる残留試験化合物を除去した。10μMの補正化合物とのプレインキュベーションは、cAMP依存性電流およびゲニステイン依存性電流を、37℃のコントロールと比較して有意に増加させた。
【0301】
(増強剤化合物の同定)
ΔF508-CFTRを安定に発現するNIH3T3細胞においてΔF508-CFTR増強剤が巨視的ΔF508-CFTR Cl-電流(IΔF508)を増加させる能力もまた、穿孔パッチ記録技術を使用して調査した。光学アッセイから同定した増強剤は、IΔF508の用量依存性増加を惹起し、類似の潜在力および効力が、光学アッセイにおいて観察された。試験した細胞全てにおいて、増強剤適用前および適用中の逆転電位は、およそ-30mVであり、これは、計算されたECl(-28mV)である。
【0302】
(細胞培養)
ΔF508-CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、全細胞記録のために使用する。2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β-ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを補充したダルベッコ改変イーグル培地中で、175cm2の培養フラスコ中で5% CO2および90%の湿度で37℃に維持する。全細胞記録のために、2,500個〜5,000個の細胞をポリ-L-リジンコーティングガラスカバースリップ上に播種し、そして増強剤の活性を試験するために使用する前に27℃で24時間〜48時間培養し;そして補正化合物ありまたはなしで、補正因子の活性を測定するために37℃でインキュベートした。
【0303】
(3.単一チャネル記録)
NIH3T3細胞において発現された、wt-CFTRおよび温度補正されたΔF508-CFTRの開口活性を、以前に記載されたような切除された内外反転(inside-out)膜パッチ記録(Dalemans,W.,Barbry,P.,Champigny,G.,Jallat,S.,Dott,K.,Dreyer,D.,Crystal,R.G.,Pavirani,A.,Lecocq,J-P.,Lazdunski,M.(1991)Nature 354,526-528)を使用して、Axopatch 200Bパッチ-クランプ増幅器(Axon Instruments Inc.)を使用して観察した。ピペットは、(mMで):150 NMDG、150アスパラギン酸、5 CaCl2、2 MgCl2、および10 HEPES(Tris塩基でpHを7.35に調整した)を含有した。浴は、(mMで):150 NMDG-Cl、2 MgCl2、5 EGTA、10 TES、および14 Tris塩基(HClでpHを7.35に調整した)を含有した。切除後、wt-CFTRとΔF508-CFTRとの両方を、1mMのMg-ATP、75nMのcAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA;Promega Corp.Madison,WI)の触媒サブユニット、および10mMのNaFを添加することにより活性化させて、タンパク質ホスファターゼを阻害し、これは、電流低下を防止した。ピペット電位を80mVに維持した。チャネル活性を、2個以下の活性チャネルを含む膜パッチから分析した。同時の開口の最大数が、実験経過中の活性チャネルの数を決定した。単一チャネル電流振幅を決定するために、ΔF508-CFTR活性の120秒から記録されたデータを100Hzで「オフラインで」フィルタリングし、次いで、全点振幅ヒストグラムを構築するために使用し、これらのヒストグラムを、Bio-Patch Analysisソフトウェア(Bio-Logic Comp.France)を使用して、マルチガウス関数に当てはめた。全微視的電流および開口可能性(Po)を、チャネル活性の120秒から決定した。Poを、Bio-Patchソフトウェアを使用して、または関係Po=I/i(N)(ここでI=平均電流、i=単一チャネル電流振幅、およびN=パッチ内の活性チャネルの数)から決定した。
【0304】
(細胞培養)
ΔF508-CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切除した膜のパッチ-クランプ記録のために使用する。これらの細胞を、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1×NEAA、β-ME、1×pen/strep、および25mM HEPESを補充したダルベッコ改変イーグル培地中で、175cm2の培養フラスコ中で5% CO2および90%の湿度で37℃に維持する。単一チャネル記録のために、2,500個〜5,000個の細胞をポリ-L-リジンコーティングガラスカバースリップ上に播種し、そして使用する前に27℃で24時間〜48時間培養した。
【0305】
表1の化合物は、上記アッセイにおいて測定される場合に、補正活性を示すことが見出された。
【0306】
本発明の化合物は、ATP結合カセットトランスポーターのモジュレーターとして有用である。上記手順を使用して、本発明の化合物の活性(すなわち、EC50)を測定し、そして表6に示す。
【0307】
【表6−1】

【0308】
【表6−2】

【0309】
【表6−3】

【0310】
【表6−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化82】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩であって、式Iにおいて:
RNは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり;
Aは、必要に応じて置換された3員〜7員の単環式環であり;
Bは、脂環式、アリール、複素環式、およびヘテロアリールからなる群より選択される5員〜7員の環に必要に応じて縮合しており;
R1は、ハロ、アルキル、OH、アルコキシ、チオアルキル、トリフルオロメトキシであるか;あるいは
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化83】

を形成し;
ここでJは、CH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択され;
Wは独立して、結合または(C1〜C6)アルキリデン鎖であり、ここでWの2つまでのメチレン単位が独立して、-CO-、-O-、-S-、-SO2-、または-NR'-により置き換えられ;
R'は独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、または複素環式であり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、NO2、N(R)2、CF3、OCF3、OH、OR、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、CN、NO2、CF3、OCF3、OR、OC(O)R、OC(O)N(R)2、SR、S(O)R、SO2R、SO2N(R)2、SO3R、C(O)R、CO2R、C(O)N(R)2、N(R)2、NRC(O)R、NRCO2R、NRC(O)N(R)2、NRSO2R、B(OR)2、またはNRSO2N(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;
wは、0および4を含めて0〜4の整数であり;そして
xは、0および5を含めて0〜5の整数であり;
ただし、Wが結合であり、そしてRwが脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリールである場合、-W-Rwは、ピリジル環の3位または4位に結合している、
化合物。
【請求項2】
Aが、
【化84】

からなる群より選択され、ここで、
R3は、アルキル、アルカリール、アリール、またはヘテロアリールであり;そして
qは、0および4を含めて0〜4の整数である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが
【化85】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが
【化86】

である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、クロロ、メチル、OH、メトキシ、チオメトキシ、およびトリフルオロメトキシからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化87】

を形成し;ここでJがCH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
JがCH2である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
JがCF2である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
RNがHまたはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Wが結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Wが必要に応じて置換された(C1〜C6)アルキリデン鎖である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Wが、-CH2-、-NH-、-O-、-CO-、および-OCH2-からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Rwが、H、OH、複素環式、アリール、フェニル、ヘテロアリール、ピリジル、アルコキシ、シクロアルキル、およびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
-W-Rwが非環式である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
-W-Rwが、アリール環、ヘテロアリール環、脂環式環、またはヘテロ脂環式環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
-W(Rw)nが以下:
-F、-CH3、-CH2CH3、-CN、-CF3、-CONH2、-CH2CH(CH3)2
【化88】

【化89】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
-W(Rw)nが以下:
【化90】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
式Ia:
【化91】

を有するかまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の化合物であって、式Iaにおいて:
JはCH2またはCF2であり;
Wは独立して、結合、またはR2で必要に応じて置換された(C1〜C6)アルキリデン鎖であり、ここでWの2つまでのメチレン単位は独立して、-CO-、-O-、または-NR'-により置き換えられ;
R'は独立して、Hまたはアルキルであり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、N(R)2、CF3、OH、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、OR、CO2R、C(O)N(R)2、SO2N(R)2、B(OR)2、またはN(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;そして
wは、0および4を含めて0〜4の整数であり;
ただし、Wが結合であり、そしてRwが脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリールである場合、-W-Rwは、ピリジル環の3位または4位に結合している、
化合物。
【請求項19】
JがCH2である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
JがCF2である、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
-W-Rwが非環式である、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
-W-Rwが、アリール環、ヘテロアリール環、脂環式環、またはヘテロ脂環式環である、請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
-W(Rw)nが以下:
-F、-CH3、-CH2CH3、-CN、-CF3、-CONH2、-CH2CH(CH3)2
【化92】

【化93】

から選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項24】
-W(Rw)nが以下:
【化94】

から選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項25】
式Ib:
【化95】

を有するかまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の化合物であって、式Ibにおいて:
R1は、ハロ、アルキル、OH、アルコキシ、チオアルキル、トリフルオロメトキシであるか;あるいは
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化96】

を形成し;
ここでJは、CH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択され;
Wは、-NR'、-CO-、または-CH2-であり;
R'は独立して、Hまたはアルキルであり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、N(R)2、CF3、OH、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、OR、CO2R、C(O)N(R)2、SO2N(R)2、B(OR)2、またはN(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;
wは、0および4を含めて0〜4の整数であり;そして
xは、0および5を含めて0〜5の整数である、
化合物。
【請求項26】
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化97】

を形成し、そしてJがCH2である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化98】

を形成し、そしてJがCF2である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
-W(Rw)nが以下:
-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2
【化99】

【化100】

から選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
式Ic:
【化101】

を有するか、またはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1に記載の化合物であって、式Icにおいて:
R1は、ハロ、アルキル、OH、アルコキシ、チオアルキル、トリフルオロメトキシであるか;あるいは
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化102】

を形成し;
ここでJは、CH2、CF2、またはC(CH3)2からなる群より選択され;
Wは、-NR'、-CO-、または-CH2-であり;
R'は独立して、Hまたはアルキルであり;
RWは独立して、H、ハロ、CN、N(R)2、CF3、OH、CO2R、C(O)N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-OR、-O(C1〜C6)アルキリデン-N(R)2、-O(C1〜C6)アルキリデン-複素環式、または必要に応じて置換された脂肪族、脂環式、アリール、アリールオキシ、複素環式、もしくはヘテロアリールであり、ここで置換される場合、Rwは、2個までのR2で置換されており;
R2は、ハロ、OR、CO2R、C(O)N(R)2、SO2N(R)2、B(OR)2、またはN(R)2であり;
Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは1または2であり;
wは、0および4を含めて0〜4の整数であり;そして
xは、0および5を含めて0〜5の整数である、
化合物。
【請求項30】
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化103】

を形成し、そしてJがCH2である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
隣接する原子上の2つのR1が一緒になって、
【化104】

を形成し、そしてJがCF2である、請求項29に記載の化合物。
【請求項32】
-W(Rw)nが以下:
-CH3、-CH2CH3、-CH2CH(CH3)2
【化105】

【化106】

から選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が表1から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
(i)請求項1に記載の化合物;および
(ii)薬学的に受容可能なキャリア、
を含有する、薬学的組成物。
【請求項35】
粘液溶解剤、気管支拡張薬、抗生物質、抗感染薬剤、抗炎症剤、CFTR補正因子、および栄養剤からなる群より選択されるさらなる薬剤をさらに含有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
細胞の膜におけるABCトランスポーターを調節する方法であって、該細胞を請求項1に記載の化合物と接触させる工程を包含する、方法。
【請求項37】
前記ABCトランスポーターがCFTRである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
患者における、ABCトランスポーター活性に関連する状態、疾患、または障害を処置する方法であって、該患者に、請求項1〜33のいずれか1項に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項39】
前記ABCトランスポーターがCFTRである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記状態、疾患、または障害が、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、プロテインC欠損症などの凝固-フィブリン溶解欠損症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症などの脂質プロセシング欠損症、1型乳び血症、無β−リポタンパク血症、I細胞病/偽性ハーラー病などのリソソーム蓄積症、ムコ多糖体症、サンドホフ/テイ-サックス病、クリグラー-ナジャー病II型、多発性内分泌腺症/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、黒色腫、グリカノーシスCDG 1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠損症、尿崩症(di)、ニューロフィジールdi、腎性DI、シャルコー-マリー-ツース症候群、ペリツェーウス−メルツバッヒャー病、アルツハイマー病などの神経変性疾患、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上形成、ピック病、ハンティングトン病などの数種のポリグルタミン神経障害、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィ、ならびに遺伝性クロイツフェルト-ヤーコブ病などの海綿状脳障害、ファブリー病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼乾燥病、およびシェーグレン病から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
インビトロまたはインビボで生物学的サンプルにおけるABCトランスポーターまたはそのフラグメントの活性を測定する際に使用するためのキットであって、
(i)請求項1に記載の化合物を含有する第一の組成物;ならびに
(ii)指示書であって、
a)該組成物を該生物学的サンプルと接触させること;
b)該ABCトランスポーターまたはそのフラグメントの活性を測定すること、
についての指示書、
を備える、キット。

【公表番号】特表2011−516420(P2011−516420A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502011(P2011−502011)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/038203
【国際公開番号】WO2009/123896
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】