説明

EP4受容体アゴニストとしての2−ピロリドン

本発明はプロスタグランジンE2受容体のEPサブタイプの強力な選択的アゴニストと、緑内障及び患者の眼の眼圧上昇に関連する他の症状の治療におけるその使用又は製剤に関する。本発明は更に骨芽細胞及び破骨細胞の骨モデリング及びリモデリングプロセスを媒介するための本発明の化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
緑内障は過度の眼圧上昇により眼の正常な機能が得られなくなる眼の変性疾患である。その結果、視神経乳頭が損傷し、視覚機能の不可逆的低下に至る恐れがある。治療しないと、緑内障は最終的に失明に至ることがある。高眼圧症、即ち視神経乳頭損傷又は特徴的緑内障視野欠損を伴わない眼圧上昇症状は現在では緑内障発病の最初期に過ぎないと大多数の眼科医に考えられている。
【0002】
過去に緑内障の治療に使用されていた薬剤の多くは不十分であることが分かっている。初期の緑内障治療法はピロカルピンを使用していたが、局所副作用があるため、この薬剤は有益であるにも拘わらず、第一選択薬剤としては不十分である。より最近では、多くのβ−アドレナリンアンタゴニストが眼圧低下に有効であることが臨床医に認められている。これらの薬剤の多くはこの目的に有効であるが、患者によっては有効でなかったり、十分有効でない場合もある。これらの薬剤の多くは用量を増すと他の特徴(例えば膜安定化作用)も現われるため、慢性眼科用には許容できず、心血管作用を生じる場合もある。
【0003】
炭酸脱水酵素阻害剤と呼ばれる薬剤は炭酸脱水酵素を阻害することにより房水形成を低下させる。このような炭酸脱水酵素阻害剤は全身及び局所経路により眼圧上昇を治療するために現在使用されているが、これらの薬剤を特に全身経路で使用する現在の治療はまだ副作用がある。局所的に有効な炭酸脱水酵素阻害剤は米国特許第4,386,098号;4,416,890号;4,426,388号;4,668,697号;4,863,922号;4,797,413号;5,378,703号;5,240,923号及び5,153,192号に開示されている。
【0004】
プロスタグランジンとプロスタグランジン誘導体も眼圧を下げることが知られている。プロスタグランジンにはA、B、C、D、E、F、G、I及びJ系列を含む数種のタイプがある(EP0561073A1)。米国特許第4,883,819号(Bito)は眼圧低下におけるPGA、PGB及びPGCの使用と合成について記載している。米国特許第4,824,857号(Gohら)は眼圧低下におけるPGDとその誘導体(C−10を窒素で置換した誘導体を含む)の使用と合成について記載している。米国特許第5,001,153号(Uenoら)は眼圧を低下させるための13,14−ジヒドロ−15−ケトプロスタグランジンとプロスタグランジン誘導体の使用と合成について記載している。米国特許第4,599,353号は眼圧低下におけるエイコサノイド及びエイコサノイド誘導体(プロスタグランジン及びプロスタグランジン阻害剤を含む)の使用について記載している。WO00/38667、WO99/32441、WO99/02165、WO00/38663、WO01/46140、EP0855389、JP2000−1472、米国特許第6,043,275号及びWO00/38690も参照。
【0005】
プロスタグランジン及びプロスタグランジン誘導体はブドウ膜強膜流出量を増加することにより眼圧を下げることが知られている。F型及びA型両者のプロスタグランジンがこれに該当する。本発明はブドウ膜強膜流出経路とE系列プロスタグランジン(PGE)によりIOP低下を助長することができる他のメカニズムを介してIOPを低下させる化合物に特に着目する。EP受容体の4種の公認サブタイプがIOPを低下させる効果を調節すると考えられている(EP,EP,EP及びEP;J.Lipid Mediators Cell Signaling,Vol.14,pages 83−87(1996))。J.Ocular Pharmacology,Vol.4,1,pages 13−18(1988);J.Ocular Pharmacology and Therapeutics,Vol.11,3,pages 447−454(1995);J.Lipid Mediators,Vol.6,pages 545−553(1993);米国特許第5,698,598号及び5,462,968号並びにInvestigative Ophthalmology and Visual Science,Vol.31,12,pages 2560−2567(1990)も参照。本発明はEPサブタイプ受容体のアゴニストである化合物に特に着目する。
【0006】
眼圧を下げるためにプロスタグランジン又はその誘導体を使用する際の一つの問題はこれらの化合物が眼圧の初期増加を誘導することが多く、眼の色が変化し、眼の周囲の一部の組織が増殖する場合があることである。
【0007】
以上のように、緑内障及び眼圧上昇の治療薬は現在数種のものがあるが、これらの薬剤の効力と副作用プロフィルは理想的ではない。従って、副作用が殆ど又は全くない有効な新規治療薬が依然として必要とされている。
【0008】
ヒト及び他の哺乳動物では種々の疾患が異常又は過剰な骨量減少に関係がある。このような疾患としては限定されないが、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、リウマチ様関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症、及び多発性骨髄腫が挙げられる。これらの疾患のうちで最も一般的なものの1つは骨粗鬆症であり、閉経後の女性に最も多発する。骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微小構造変質を特徴とし、その結果として骨が脆くなり、骨折し易くなる全身性骨格疾患である。骨粗鬆症による骨折は高齢者の罹患率と死亡率の主要原因である。骨粗鬆症による骨折は女性の50%と男性の3分の1に及ぶ。高齢者の多くは骨密度が低下しており、骨折の危険が大きい。骨粗鬆症及び骨吸収に関連する他の疾患は予防と治療の両面が大いに必要とされている。骨粗鬆症及び骨量低下に関連する他の疾患は一般に慢性症状であるため、適切な療法は一般に慢性治療が必要であると考えられる。
【0009】
骨形成及び吸収プロセスには骨芽細胞及び破骨細胞と呼ばれる2種類の細胞が夫々関与している。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むH.Fleisch,Bisphosphonates In Bone Disease,From The Laboratory To The Patient,3rd Edition,Parthenon Publishing(1997)参照。
【0010】
骨芽細胞は骨表面に位置する細胞である。これらの細胞から有機性骨基質が分泌され、その後、石灰化する。フッ化物、副甲状腺ホルモン、及び所定のサイトカイン(例えばプロスタグランジン)等の物質が骨芽細胞に刺激作用を与えることが知られている。しかし、現在の研究の目的は骨芽細胞の骨形成活性を選択的に増加又は刺激する治療薬を開発することである。
【0011】
破骨細胞は通常は皮質骨もしくは小柱骨の表面又は皮質骨の内側に位置する大型の多核細胞である。破骨細胞は細胞と骨の間に配置された閉鎖密閉微小環境内に骨を吸収する。破骨細胞の動員と活性は一連のサイトカインとホルモンにより誘導されることが知られている。ビスホスホネートは破骨細胞骨吸収の選択的阻害剤であるため、異常骨吸収に起因又は関連する種々の全身又は局所骨疾患の治療又は予防に重要な治療薬であることもよく知られている。しかし、ビスホスホネートは有用であるが、破骨細胞の骨吸収活性を阻害する他の治療薬を開発することも研究者に望まれている。
【0012】
PGE系列等のプロスタグランジンはヒトを含む哺乳動物で骨形成を刺激し、骨量を増加することが知られている。EP、EP、EP、及びEPと呼ばれる4種の異なる受容体サブタイプが骨芽細胞と破骨細胞の骨モデリング及びリモデリングプロセスを媒介すると考えられている。骨における主要プロスタグランジン受容体はEPであり、サイクリックAMPによるシグナリングによりその効果を発揮すると考えられている。
【0013】
本発明では、更に式IのEPサブタイプ受容体のアゴニストが骨形成の刺激に有用であることが判明した。
【0014】
WO02/24647、WO02/42268、EP1132086、EP855389、EP1114816、WO01/46140及びWO01/72268はEPアゴニストを開示している。
【発明の開示】
【0015】
(発明の要約)
本発明はプロスタグランジンE2受容体のEPサブタイプの強力な選択的アゴニスト、その製剤、並びに緑内障及び患者の眼の眼圧上昇に関連する他の症状の治療におけるその使用に関する。本発明は哺乳動物種、特にヒトの眼に神経保護効果を提供するための前記化合物の使用にも関する。本発明は更に骨芽細胞及び破骨細胞の骨モデリング及びリモデリングプロセスを媒介するための前記化合物の使用に関する。
【0016】
特に、本発明は構造式I:
【0017】
【化8】

[式中、Y
1)CHCH
2)CHCH、又は
3)
【0018】
【化9】

であり;
YはC(O)又はCH(OH)であり;
Aは(CHであり;
nは1、2、3、又は4であり;
Wは結合、非置換C1−6アルキレン、又は1、2、3、もしくは4個のハロゲン原子で置換されたC1−6アルキレンであり;
Zは
1)O、
2)S、
3)
【0019】
【化10】

4)HC=CH、
5)C≡C、又は
6)結合であり;
Qはジ置換アリール又はヘテロアリール環であり、環の1個の環原子は部分:
【0020】
【化11】

に結合しており、別の環原子は部分:
【0021】
【化12】

に結合しており;

COR
OH、
CN、
(CH1−3CO
C(O)NHSO
SO
(CH0−4SO
CFSONH
SONH
SONHCOR
PO(OR
1−4アルコキシ、
ヒドロキシメチルケトン、又は
(CH0−4であり、ここでRは置換されていないか又は1〜3個のR基で置換されており;

1)C1−6アルキル、
2)(CH0−86−10アリール、
3)(CH0−8
4)(CH0−83−8シクロアルキル、
5)O−C1−10アルキル、
6)O−C6−10アリール、
7)O−R
8)O−C3−10シクロアルキルであり、ここでアリール、R、及びシクロアルキルは置換されていないか又は1〜3個のR基で置換されており;
及びR
1)ハロゲン、及び
2)C1−6アルキルから構成される群から独立して選択されるか、又は
及びRはそれらが結合する炭素原子と一緒にC3−7シクロアルキル環を形成し;

1)水素、
2)OH、
3)CHOH、
4)C1−6アルコキシ、
5)NHPO
6)NHR
7)NHSO、又は
8)NRはであり;
及びRは水素、C1−6アルキル、及びC3−8シクロアルキルから構成される群から独立して選択され;
は水素、C6−10アリール、R、及びC1−4アルキルから構成される群から選択され;
はC(O)R10又はSO10であり;
10は水素、C6−10アリール、又はC1−4アルキルであり;
及びR
1)C1−6アルコキシ、
2)置換されていないか又は
a)C1−6アルコキシ、
b)C1−6アルキルチオ、
c)CN、
d)OH、もしくは
e)CF
で置換されたC1−6アルキル、
3)CF
4)ニトロ、
5)アミノ、
6)シアノ、
7)C1−6アルキルアミノ、
8)ハロゲン、
9)OR
10)OCH、及び
11)CHORから構成される群から独立して選択され;

1)C6−10アリール、
2)R、又は
3)C3−8シクロアルキルであり;
、R、R及びR
1)O、SもしくはNから構成される群から独立して選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子をもつ環原子数5、6もしくは7の安定な単環式ヘテロアリール環、又はO、SもしくはNから構成される群から独立して選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子をもつ環原子数8、9、10、もしくは11の安定な二環式ヘテロアリール環、および
2)1、2、3、もしくは4個の環原子がO、S及びNから選択されるヘテロ原子である環原子数3〜10の安定な単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキル環系又は安定な飽和単環式もしくは二環式環系から構成される群から独立して選択される。]をもつ新規EPアゴニスト、又は医薬的に許容可能なその塩に関する。
【0022】
本発明の化合物はキラル中心をもつことができ、ラセミ化合物、ラセミ混合物及び個々のジアステレオマー、又はエナンチオマーとして存在することができ、全異性形が本発明に含まれる。本発明の化合物は多形結晶形でもよく、全多形結晶形が本発明に含まれる。本発明の化合物は互変異性形でもよく、全互変異性形が本発明に含まれる。
【0023】
本発明は上記化合物のプロドラッグ形も含む。活性薬剤のエステル誘導体等のプロドラッグは、温血動物の血流に吸収されると分解して薬剤形を放出し、改善された治療効果を薬剤に発揮させる化合物誘導体である。プロドラッグはアンタゴニストの通常投与量よりも少量を投与すればよい。プロドラッグは経口投与することができる。プロドラッグは胃腸系を通過する間に構造的完全性を維持し、細胞に有効に送達される。プロドラッグは代謝反応により活性酸を形成した後、血小板受容体部位と相互作用する。
【0024】
本発明の上記及び他の側面は本発明全体を精査することにより理解されよう。
【0025】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物及び医薬的に許容可能なその塩の1クラスでは、YはCHCHであり、YはCH(OH)である。
【0026】
このクラスのサブクラスでは、Aは(CH1−3であり、Wは結合又は(CH1−3である。
【0027】
このサブクラスの1グループでは、1)RはCOOH又はテトラゾールであり、2)Rはフェニルであり、3)R及びRはハロゲンであるか、又はR及びRはそれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピル環を形成する。
【0028】
このグループのサブグループでは、Qは
【0029】
【化13】

から構成される群から選択される。
【0030】
このサブグループの1ファミリーでは、Qは
【0031】
【化14】

から構成される群から選択される。
【0032】
上記ファミリーの構造において、
【0033】
【化15】

はQにおいて上記に定義した変数Z及びWが結合している原子を表す。
【0034】
上記サブグループの例を以下に挙げる。
【0035】
【化16】


(1)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)チオフェン−2−カルボン酸
(2)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[5−(1H−テトラゾール−5−イル)チエン−2−イル]プロピル}ピロリジン−2−オン
(3)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−チアゾール−2−カルボン酸
(4)2−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−チアゾール−5−カルボン酸
(5)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[5−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]プロピル}ピロリジン−2−オン
(6)2−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−チアゾール−4−カルボン酸
(7)[5−(2−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チエン−2−イル]酢酸
(8)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{2−[5−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)チエン−2−イル]エチル}ピロリジン−2−オン
(9)2−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−オキサゾール−5−カルボン酸
(10)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−3−ヒドロキシ−3−(1−フェニルシクロプロピル)プロプ−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)チオフェン−2−カルボン酸
(11)(5R)−5−[(1E)−3−ヒドロキシ−3−(1−フェニルシクロプロピル)プロプ−1−エニル]−1−{3−[5−(1H−テトラゾール−5−イル)チエン−2−イル]プロピル}ピロリジン−2−オン
(12)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボン酸
(13)4−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)安息香酸
(14)3−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)安息香酸
(15)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]プロピル}ピロリジン−2−オン
(16)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]プロピル}ピロリジン−2−オン
(17)3−[5−({(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}メチル)チエン−2−イル]プロパン酸
(18)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({5−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]チエン−2−イル}メチル)ピロリジン−2−オン
(19)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({4−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロピル]チエン−3−イル}メチル)ピロリジン−2−オン
(20)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]チエン−2−イル}メチル)ピロリジン−2−オン
(21)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}メチル)ピロリジン−2−オン
(22)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]ベンジル}ピロリジン−2−オン。
【0036】
以下、特に指定しない限り、以下に定義する用語を使用して本発明を詳細に説明する。
【0037】
本明細書で使用する「治療有効量」なる用語は所望治療レジメンに従って投与した場合に所望治療効果もしくは応答を誘発するか又は所望効果を提供する本発明の式IのEP受容体サブタイプアゴニスト、又は他の活性剤の量を意味する。異常骨吸収の治療に関する好ましい治療有効量は骨形成を刺激する量である。同様に、高眼圧症又は緑内障の治療に関する好ましい治療有効量は眼圧を低下及び/又は高眼圧症及び/又は緑内障を治療するために有効な量である。
【0038】
本明細書で使用する「医薬的に許容可能」なる用語は毒性又は安全性の観点からヒトを含む哺乳動物に投与するのに一般に適していることを意味する。
【0039】
「プロドラッグ」なる用語は投与及び吸収後に所定代謝プロセスを介して本発明の薬剤をin vivo放出する薬剤前駆体である化合物を意味する。本発明の化合物のプロドラッグの非限定的な1例は酸官能基が患者に投与後に容易に加水分解されるような構造をもつピロリジノン基の酸である。代表的なプロドラッグとしては遊離CHCOOH基(場合により、例えば−CHCOO−Na+等の医薬的に許容可能な塩の形態でもよい)が一般に環系、好ましくは芳香族又は複素環式芳香族環系に結合した非麻酔性鎮痛剤/非ステロイド系抗炎症薬である酢酸誘導体が挙げられる。
【0040】
「アルキル」なる用語は特に指定しない限り、1価アルカン(炭化水素)から誘導される基を意味し、特に指定しない限り、炭素原子数1〜10である。直鎖、分枝鎖又は環式のいずれでもよい。好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。アルキル基がアルキル基で置換されていると言う場合には、「分枝鎖アルキル基」と同義に使用する。対応する2価基を「アルキレン」基と言い、例えばメチレン、エチレン等が挙げられる。
【0041】
エチニレン(例えば−CH=CH−)等のアルケニレンを含む変数は特に指定しない限り、「CHCH」により表される。
【0042】
「アルコキシ」なる用語はC−Cアルキル−O−を意味し、アルキル基は場合により本明細書に記載するように置換されている。アルコキシ基の例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びその異性基である。
【0043】
「ハロゲン」又は「ハロ」なる用語は塩素、フッ素、ヨウ素又は臭素を意味する。
【0044】
「アリール」なる用語は芳香族環を意味し、例えば、フェニル、置換フェニル等と縮合環(例えば、ナフチル、フェナントリル等)が挙げられる。従って、アリール基は少なくとも6個の原子をもつ少なくとも1個の環を含み、このような環が5個まで存在し、22個までの原子を環に含み、隣接炭素原子又は適切なヘテロ原子間に交互(共振)二重結合をもつ。好ましいアリール基はフェニル、ナフチル及びフェナントリルである。特に指定しない限り、アリール環は置換されていなくてもよいし、−CF、−CN、C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)、−NO、−NR、−SO、SONR、−CONR又はCORの1種以上で置換されていてもよく、R及びRは水素及びC1−4アルキルから独立して選択される。好ましい置換アリールとしてはフェニルとナフチルが挙げられる。
【0045】
「ヘテロシクロアルキル」なる用語は特に指定しない限り、環原子数3〜10の安定な飽和単環式又は二環式環系を意味し、2〜6個の環原子は炭素原子であり、1〜4個の環原子はO、S又はNから選択されるヘテロ原子である。特に指定しない限り、シクロアルキル環は置換されていなくてもよいし、C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、及びハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)の1種以上で置換されていてもよい。
【0046】
「シクロアルキル」なる用語は特に指定しない限り、指定炭素原子数の環式アルキル基(非芳香族)を意味し、例えば、C3−7シクロアルキルは炭素原子数3、4、5、6、又は7である。特に指定しない限り、シクロアルキル環は置換されていなくてもよいし、C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、及びハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)の1種以上で置換されていてもよい。例としてはシクロプロピル、シクロブチル、及びシクロペンチルが挙げられる。
【0047】
「ヘテロ原子」なる用語は独立して選択されるO、S又はNを意味する。
【0048】
「ヘテロアリール」なる用語は特に指定しない限り、O、S又はNから構成される群から独立して選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含み、炭素又は窒素原子が結合点である環原子数5、6もしくは7の不飽和単環式芳香族炭化水素基、又は環原子数8、9、10、もしくは11の不飽和二環式芳香族基を意味する。この種の例は、ピロール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、テトラゾール、及びオキサジンである。特に指定しない限り、ヘテロアリール環は置換されていなくてもよいし、C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、アミノ、及びハロゲン(例えばF、Cl、Br、又はI)の1種以上で置換されていてもよい。本発明の目的では、テトラゾールは全互変異性形を含む。第1の窒素及び酸素又は硫黄と共に付加窒素原子が存在していてもよい(例えば、チアジアゾール)。
【0049】
二環式ヘテロアリール環としては、一方又は両方の環がヘテロ原子を含む二環式環系が挙げられる。限定するものではないが、この用語は一方の環が1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含み、他方の環がベンゼン環である系を含む。
【0050】
二環式ヘテロシクロアルキル環としては、一方又は両方の環がヘテロ原子を含む二環式環系が挙げられる。限定するものではないが、この用語は一方の環が1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含み、他方の環がヘテロ原子を含まない系を含む。
【0051】
ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール環は任意ヘテロ原子又は炭素原子に結合し、安定な構造を形成することができる。このような環の例としては限定されないが、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニル、及びトリアゾリルが挙げられる。
【0052】
「ジ置換アリール又はヘテロアリール環」なる用語は2個の環炭素原子に置換基が結合しており、水素原子が結合していないアリール及びヘテロアリール環を意味し、例えば2,5−置換チオフェン、フラン、及びチアゾールや、1,2−、1,3−及び1,4−置換ベンゼンが挙げられる。このようなジ置換環としては限定されないが、下記構造のものが挙げられる。
【0053】
【化17】

【0054】
1好適態様では、ジ置換アリール環は、
【0055】
【化18】

である。
【0056】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0057】
【化19】

である。
【0058】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0059】
【化20】

である。
【0060】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0061】
【化21】

である。
【0062】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0063】
【化22】

である。
【0064】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0065】
【化23】

である。
【0066】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0067】
【化24】

である。
【0068】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0069】
【化25】

である。
【0070】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0071】
【化26】

である。
【0072】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0073】
【化27】

である。
【0074】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0075】
【化28】

である。
【0076】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0077】
【化29】

である。
【0078】
別の好適態様では、ジ置換ヘテロアリール環は、
【0079】
【化30】

である。
【0080】
Qが下式:
【0081】
【化31】

に示すような置換ヘテロアリール環を含むと定義する場合には、「(Z)」及び「(W)」は変数「Z」及び「W」を表し、Qにおいてこれらの変数が結合している原子を明示する。
【0082】
本明細書で使用する「置換」なる用語は指定原子上の1個以上の任意水素が指定原子の通常の原子価を越えない範囲で指定基から選択された基で置換されており、置換の結果として安定な化合物を形成していることを意味する。置換基がケト(即ち=O)である場合には、原子上の2個の水素が置換されている。
【0083】
本明細書で使用する「アゴニスト」なる用語は式IのEPサブタイプ化合物がEP受容体と相互作用し、天然アゴニストPGE2に比較して最大、最大以上又は最大以下の効果を生じることを意味する。Goodman and Gilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,9 edition,1996,chapter 2参照。
【0084】
本発明の別の態様は式IのEPアゴニストと場合により医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する組成物に関する。
【0085】
本発明の更に別の態様は式IのEPアゴニストと場合により医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する組成物の投与、好ましくは局所又は洞内投与により眼圧上昇を低下又は緑内障を治療するための方法に関する。眼圧上昇又は緑内障又はその併発症の治療用医薬の製造のための式Iの化合物の使用も本発明に含まれる。
【0086】
本発明は更に式Iの化合物を含有する医薬組成物の製造方法に関する。
【0087】
本発明は更に式Iの化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物の製造方法に関する。
【0088】
本発明の化合物はPGE受容体、特にEPサブタイプ受容体と強く結合してこれに作用するため、緑内障と高眼圧症の予防及び/又は治療に有用である。
【0089】
ドライアイは数百万人が罹患している一般眼表面疾患である。ドライアイは多数の無関係の病因に起因すると思われるが、共通の結果として涙液膜が破れ、眼の外側露出表面から水分が蒸発する。(Lemp,Report of the Nation Eye Institute/Industry Workshop on Clinical Trials in Dry Eyes,The CLAO Journel,21(4):221−231(1995))。眼の表面はムチンにより保護され、潤滑にされているが、結膜細胞及び/又は角膜上皮細胞によるムチン産生の低下がドライアイの原因の1つである(Gipson and Inatomi,Mucin genes expressed by ocular surface epithelium.Progress in Retinal and Eye Research,16:81−98(1997))。ヒト結膜上皮細胞で機能的EP受容体が発見されており(参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第6,344,477号参照)、ヒト角膜上皮細胞(Progress in Retinal and Eye Research,16:81−98(1997))及び結膜細胞(Darttら Localization of nerves adjacent to goblet cells in rat conjunctiva.Current Eye Research,14:993−1000(1995))のどちらもムチンを分泌できることが認められている。従って、式Iの化合物はドライアイの治療に有用である。
【0090】
黄斑浮腫は眼の後極の非常に重要な中心視覚野における網膜内の腫脹である。網膜内に液が溜まると、神経成分が相互に分離すると共に局所血液供給源から分離し、その領域の視覚機能が休止する傾向がある。IOPを低下させるEPアゴニストは黄斑浮腫又は黄斑変性等の黄斑疾患の治療に有用であると考えられる。従って、本発明の別の側面は黄斑浮腫又は黄斑変性の治療方法である。
【0091】
緑内障は視神経の進行性萎縮であり、眼圧(IOP)上昇に関連していることが多い。しかし、神経保護効果をもつ薬剤を使用することにより必ずしもIOPを悪化させずに緑内障を治療することが可能である。Arch.Ophthalmol.Vol.112,Jan 1994,pp.37−44;Investigative Ophthamol.& Visual Science,32,5,April 1991,pp.1593−99参照。IOPを低下させるEPアゴニストは神経保護効果を提供するのに有用であると考えられる。また、これらのアゴニストはIOPを低下させることにより網膜及び視神経乳頭血流速度を増加し、網膜及び視神経酸素量を増加させるためにも有用であると考えられ、総合的に視神経健康に有益である。従って、本発明は式IのEPアゴニストを使用することにより網膜及び視神経乳頭血流速度を増加するため、又は網膜及び視神経酸素圧を増加するため、又は神経保護効果を提供するため、又はその組み合わせ効果を提供するための方法にも関する。
【0092】
本発明で製造される化合物は医薬的に許容可能な適切な公知賦形剤と容易に配合し、有効なIOP低下を達成するためにヒトを含む哺乳動物に投与可能な組成物とすることができる。従って、本発明は治療を必要とする患者に式Iの化合物の1種を単独又はβ−アドレナリン遮断薬(例えばチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール)、副交感神経興奮薬(例えばピロカルピン)、交感神経興奮薬(例えばエピネフリン、アイオピジン、ブリモニジン、クロニジン、パラアミノクロニジン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例えばドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド又はブリンゾラミド);プロスタグランジン(例えばラタノプロスト、トラボプラスト、ウノプロストン、レスキュラ、S1033(米国特許第5,889,052号;5,296,504号;5,422,368号;及び5,151,444号に記載されている化合物));降圧脂質(例えばルミガン及び米国特許第5,352,708号に記載されている化合物);米国特許第4,690,931号に開示されている神経保護剤、特にWO94/13275に記載されているようなエリプロディル及びR−エリプロディル(メマンチンを含む);又はPCT/US00/31247に記載されているような5−HT2受容体のアゴニスト、特に1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−インダゾール−6−オールフマレート及び2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンと併用投与することによる高眼圧症又は緑内障の治療方法に関する。
【0093】
本発明は更に治療を必要とする患者に式Iの化合物の1種を単独又はβ−アドレナリン遮断薬(例えばチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール)、副交感神経興奮薬(例えばピロカルピン)、交感神経興奮薬(例えばエピネフリン、アイオピジン、ブリモニジン、クロニジン、パラアミノクロニジン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例えばドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド又はブリンゾラミド);プロスタグランジン(例えばラタノプロスト、トラボプラスト、ウノプロストン、レスキュラ、S1033(米国特許第5,889,052号;5,296,504号;5,422,368号;及び5,151,444号に記載されている化合物));降圧脂質(例えばルミガン及び米国特許第5,352,708号に記載されている化合物);米国特許第4,690,931号に開示されている神経保護剤、特にWO94/13275に記載されているようなエリプロディル及びR−エリプロディル(メマンチンを含む);又はPCT/US00/31247に記載されているような5−HT2受容体のアゴニスト、特に1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−インダゾール−6−オールフマレート及び2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンと併用投与することにより、網膜及び視神経乳頭血流速度を増加するため、又は網膜及び視神経酸素圧を増加するため、又は神経保護効果を提供するため又はその組み合わせ効果を提供するための方法に関する。網膜及び視神経乳頭血流速度を増加するため、又は網膜及び視神経酸素圧を増加するため、又は神経保護効果を提供するため又はその組み合わせ効果を提供するための医薬の製造における式Iの化合物の使用も本発明に含まれる。
【0094】
本発明は更に治療を必要とする患者に式Iの化合物の1種を単独又はβ−アドレナリン遮断薬(例えばチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール)、副交感神経興奮薬(例えばピロカルピン)、交感神経興奮薬(例えばエピネフリン、アイオピジン、ブリモニジン、クロニジン、パラアミノクロニジン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例えばドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド又はブリンゾラミド);プロスタグランジン(例えばラタノプロスト、トラボプラスト、ウノプロストン、レスキュラ、S1033(米国特許第5,889,052号;5,296,504号;5,422,368号;及び5,151,444号に記載されている化合物));降圧脂質(例えばルミガン及び米国特許第5,352,708号に記載されている化合物);米国特許第4,690,931号に開示されている神経保護剤、特にWO94/13275に記載されているようなエリプロディル及びR−エリプロディル(メマンチンを含む);Maxi−Kチャネル遮断薬(例えばペニトレムA、パスパリシン、カリブドトキシン、イベリオトキシン又はいずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むUSSN60/389,205(出願日2002年6月17日、代理人整理番号21121PV)、60/389,222(出願日2002年6月17日、代理人整理番号21092PV)、60/458,981(出願日2003年3月27日、代理人整理番号21101PV4)、60/424790(出願日2002年11月8日、代理人整理番号21260PV)、60/424808(出願日2002年11月8日、代理人整理番号21281PV)、09/765716(出願日2001年1月17日)、09/764738(出願日2001年1月17日)並びにPCT公開WO02/077168及びWO02/02060863に開示されているもの);又はPCT/US00/31247に記載されているような5−HT2受容体のアゴニスト、特に1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−インダゾール−6−オールフマレート及び2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンと併用投与することにより、黄斑浮腫又は黄斑変性を治療するための方法に関する。黄斑浮腫又は黄斑変性用医薬の製造における式Iの化合物の使用も本発明に含まれる。
【0095】
本発明の化合物は神経障害性疼痛の治療にも使用することができる。神経障害性疼痛症候群は神経損傷後に発病し、元の損傷が治癒した後も数カ月又は数年間にわたって疼痛が続くこともある。神経損傷は末梢神経、後根、脊髄又は脳の所定領域に発生する可能性がある。神経障害性疼痛症候群は疼痛を誘発する疾患又はイベントに従って伝統的に分類されている。神経障害性疼痛症候群としては糖尿病性神経症;座骨神経痛;非特異的腰痛;多発性硬化症疼痛;線維筋肉痛;HIV関連神経症、ヘルペス後神経痛;三叉神経痛;及び物理的外傷、切断、癌、毒素又は慢性炎症症状に起因する疼痛が挙げられる。これらの症状は治療が困難であり、数種の薬剤が制限された効力をもつことは知られているが、完全な疼痛抑制が達成されることは稀である。神経障害性疼痛の症状は驚くほど多様であり、自然衝撃及び電撃痛、又は持続灼熱痛などと表現されることが多い。更に、「チクチクする感じ」(知覚異常及び知覚不全)、非毒性刺激に対する過敏症(熱、冷温、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後の持続疼痛感覚(痛覚過敏)又は選択感覚経路の欠失もしくは欠損(痛覚鈍麻)等の通常無痛感覚に関連する疼痛もある。
【0096】
本発明の化合物は急性腎不全、慢性腎不全、結腸癌、大腸炎、及びHIV潜伏の治療にも使用することができる。
【0097】
本発明で使用されるEPアゴニストは治療有効量を静脈内、皮下、局所、経皮、非経口、又は当業者の公知の他の任意方法により投与することができる。眼科用医薬組成物は溶液、懸濁液、軟膏、クリーム又は固体インサートとして眼に局所投与できるように製造することが好ましい。この化合物の眼科用製剤は0.001〜5%、特に0.001〜0.1%の医薬を含有することができる。眼圧低下、緑内障治療、血流速度又は酸素圧増加に有効な用量であるならば、例えば約10%以上の高用量を使用することもできる。単独投与では、0.001〜5.0mg、好ましくは0.005〜2.0mg、特に0.005〜1.0mgの化合物をヒトの眼に投与することができる。
【0098】
化合物を含有する医薬製剤は非毒性医薬有機キャリヤー、又は非毒性医薬無機キャリヤーと配合すると使用し易い。典型的な医薬的に許容可能なキャリヤーは例えば水、水と水混和性溶媒(例えばアルカノール又はアラルカノール、植物油、落花生油、ポリアルキレングリコール、石油系ゼリー、エチルセルロース、オレイン酸エチル、カルボキシメチル−セルロース、ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸イソプロピル及び他の許容可能な慣用キャリヤー)の混合物である。医薬製剤は更に乳化剤、防腐剤、湿潤剤、結合剤(例えば、ポリエチレングリコール200、300、400及び600、カーボワックス1,000、1,500、4,000、6,000及び10,000)、抗細菌成分(例えば第四級アンモニウム化合物、低温殺菌性をもつことが知られており、使用に無害なフェニル水銀塩、チメロサール、メチル及びプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール)、緩衝成分(例えば硼酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸緩衝液)及び他の慣用成分(例えばモノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、オレイン酸塩、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、スルホ琥珀酸ジオクチルナトリウム、モノチオグリセロール、チオソルビトール、エチレンジアミン四酢酸等)等の非毒性助剤も添加することができる。更に、本発明の目的には慣用リン酸緩衝液ビークルシステム、等張硼酸ビークル、等張塩化ナトリウムビークル、等張硼酸ナトリウムビークル等の適切な眼科用ビークルをキャリヤー媒体として使用することができる。医薬製剤は微粒子製剤の形態でもよい。医薬製剤は固体インサートの形態でもよい。例えば、固体水溶性ポリマーを医薬用キャリヤーとして使用することができる。インサートを形成するために使用されるポリマーは任意水溶性非毒性ポリマーとすることができ、例えば、セルロース誘導体(例えばメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、(ヒドロキシ低級アルキルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);アクリレート(例えばポリアクリル酸塩、エチルアクリレート、ポリアクリルアミド);天然物質(例えばゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカントガム、カラヤガム、コンドラス、寒天、アラビアガム);澱粉誘導体(例えば酢酸澱粉、ヒドロキシメチル澱粉エーテル、ヒドロキシプロピル澱粉)、並びに他の合成誘導体(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、中和カルボポール及びキサンタンガム、ゲランガム、及び前記ポリマーの混合物)とすることができる。
【0099】
本発明の製剤を投与するのに適した対象としては霊長類、ヒト及び他の動物、特にヒトと家畜(例えばネコ、ウサギ及びイヌ)が挙げられる。
【0100】
医薬製剤は使用に無害な抗細菌成分(例えばチメロサール、塩化ベンズアルコニウム、メチル及びプロピルパラベン、臭化ベンジルドデシニウム、ベンジルアルコール、又はフェニルエタノール);緩衝成分(例えば塩化ナトリウム、硼酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸緩衝液);及び他の慣用成分(例えばモノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、エチレンジアミン四酢酸等)等の非毒性助剤を添加することができる。
【0101】
眼科用溶液又は懸濁液は眼内に許容可能なIOPレベルを維持するために必要な頻度で投与することができる。哺乳動物の眼には1日1〜3回投与することが予想される。
【0102】
局所眼内投与には、本発明の新規製剤は溶液、ジェル、軟膏、懸濁液又は固体インサートの形態とすることができ、単位用量が治療有効量の活性成分又は併用療法の場合には所定の複数成分を含むように製剤化される。
【0103】
本発明の化合物は骨芽細胞と破骨細胞の骨モデリング及びリモデリングプロセスを媒介するためにも有用である。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むPCT US99/23757(出願日1999年10月12日)参照。骨における主要プロスタグランジン受容体はEPであり、サイクリックAMPを介するシグナリングによりその効果を発揮すると考えられている。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むIkeda T,Miyaura C,Ichikawa A,Narumiya S,Yoshiki S and Suda T 1995,In situ localization of three subtypes(EP,EP and EP)of prostaglandn E receptors in embryonic and newborn mice.,J Bone Miner Res 10(sup 1):S 172参照。骨モデリング及びリモデリングプロセスを媒介するための医薬の製造における式Iの化合物の使用も本発明に含まれる。
【0104】
従って、本発明の別の目的は治療を必要とする哺乳動物に治療有効量の式IのEP受容体サブタイプアゴニストを投与することを含む、哺乳動物における骨形成(即ちosteogenesis)の刺激方法を提供することである。
【0105】
本発明の更に別の目的は治療有効量の式IのEP受容体サブタイプアゴニストとビスホスホネート活性剤を哺乳動物に投与することを含む、必要とする哺乳動物における骨形成の刺激方法を提供することである。骨形成の刺激用医薬の製造における式Iの化合物の使用も本発明に含まれる。
【0106】
本発明の更に別の目的は治療有効量の式IのEP受容体サブタイプアゴニストとビスホスホネート活性剤を含有する医薬組成物を提供することである。
【0107】
本発明の別の目的は治療有効量の式IのEP受容体サブタイプアゴニストを哺乳動物に投与することを含む、該当治療又は予防を必要とする哺乳動物における異常骨吸収に関連する疾患状態もしくは症状を治療するか又はこのような症状に罹患する危険を減らす方法を提供することである。異常骨吸収に関連する疾患状態もしくは症状を治療するか又はこのような症状に罹患する危険を減らすための医薬の製造における式Iの化合物の使用も本発明に含まれる。
【0108】
異常骨吸収に関連する疾患状態又は症状としては限定されないが、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、リウマチ様関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症、及び多発性骨髄腫が挙げられる。
【0109】
治療有効量の式IのEP受容体サブタイプアゴニストとビスホスホネート活性剤を投与することを含む方法では、式IのEP受容体サブタイプアゴニストとビスホスホネート活性剤の同時及び順次投与のいずれも本発明の範囲に含むものとする。一般に、ビスホスホネート活性剤基準で5又は10mgのビスホスホネート活性剤を含有する製剤を製造する。順次投与では、アゴニストとビスホスホネートのどちらを先に投与してもよい。順次投与のサブクラスでは、アゴニストとビスホスホネートを一般に24時間以内に投与する。更に別のサブクラスでは、アゴニストとビスホスホネートを一般に相互に約4時間以内に投与する。
【0110】
本発明で有用なビスホスホネート活性剤の非限定的な例としては以下のものが挙げられる。
【0111】
アレンドロン酸,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸;
アレンドロネート(アレンドロン酸ナトリウム又はアレンドロン酸一ナトリウム三水和物とも言う),4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸一ナトリウム三水和物;
アレンドロン酸とアレンドロネートはいずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,922,007号(Kieczykowskiら,発行日1990年5月1日);5,019,651号(Kieczykowskiら,発行日1991年5月28日);5,510,517号(Dauerら,発行日1996年4月23日);5,648,491号(Dauerら,発行日1997年7月15日)に記載されている;
参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,970,335号(Isomuraら,発行日1990年11月13日)に記載されているようなシクロヘプチルアミノメチレン−1,1−ビスホスホン酸,YM175,Yamanouchi(シマドロネート);
1,1−ジクロロメチレン−1,1−ジホスホン酸(クロドロン酸)とその二ナトリウム塩(クロドロネート,Procter and Gamble)はいずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むベルギー特許第672,205号(1966)とJ.Org.Chem 32,4111(1967)に記載されている;
1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(EB−1053);
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸);
1−ヒドロキシ−3−(N−メチル−N−ペンチルアミノ)プロピリデン−1,1−ビスホスホン酸はBM−210955,Boehringer−Mannheim(イバンドネート)とも呼ばれ、参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,927,814号(発行日1990年5月22日)に記載されている;
6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン−l,1−ビスホスホン酸(ネリドロネート);
3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(オルパドロネート);
3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン−1,1−ビスホスホン酸(パミドロネート);
[2−(2−ピリジニル)エチリデン]−1,1−ビスホスホン酸(ピリドロネート)は参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,761,406号に記載されている;
1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(リセドロネート);
参照によりその開示内容全体を本明細書に組込む米国特許第4,876,248号(Breliereら,発行日1989年10月24日)に記載されているような(4−クロロフェニル)チオメタン−1,1−ビスホスホン酸(チルドロネート);並びに
1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン−1,1−ビスホスホン酸(ゾレンドロネート)。
【0112】
本発明で有用なビスホスホネート活性剤の非限定的なクラスはアレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、チルドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート、オルパンドロネート、リセドロネート、ピリドロネート、パミドロネート、ゾレンドロネート、医薬的に許容可能なその塩、及びその混合物から構成される群から選択される。
【0113】
この場合の上記クラスの非限定的なサブクラスはアレンドロネート、医薬的に許容可能なその塩、及びその混合物から構成される群から選択される。
【0114】
サブクラスの非限定的な1例はアレンドロン酸一ナトリウム三水和物である。
【0115】
本発明では、骨刺激に関しては、一般に所望治療効果が達成されるまで十分な期間にわたってアゴニストを投与する。本明細書で使用する「所望効果が達成されるまで」なる用語は媒介される疾患又は症状に求められる臨床又は医学的効果が臨床医又は研究者により観察される時点まで選択した投与スケジュールに従って1又は複数の治療剤を連続投与することを意味する。本発明の方法では、骨量又は構造に所望変化が観察されるまで化合物を連続投与する。このような場合には、骨量の増加の達成又は異常骨構造を正常骨構造で置換することが所望目的である。疾患状態又は症状の危険を減らす方法では、望ましくない症状を予防するために必要な期間にわたって化合物を連続投与する。このような場合には、骨量密度の維持を目的とすることが多い。投与期間の非限定的な例は約2週間から哺乳動物の終生とすることができる。ヒトでは、投与期間は約2週間からヒトの終生とすることができ、好ましくは約2週間〜約20年間、より好ましくは約1か月〜約20年間、より好ましくは約6か月〜約10年間、最も好ましくは約1年間〜約10年間である。
【0116】
本発明の化合物は骨量低下、骨折、骨粗鬆症、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症、パジェット病、骨代謝回転異常亢進、歯周病、歯欠損、骨折、リウマチ様関節炎、人工器官周囲の骨溶解、骨形成不全症、転移性骨疾患、悪性高カルシウム血症、及び多発性骨髄腫の治療又は予防に有用な公知薬剤と併用しても有用である。骨粗鬆症及び他の骨疾患の治療又は予防に有用な他の薬剤と本発明で開示する化合物の併用も本発明の範囲に含まれる。当業者は薬剤と該当疾患の特定特徴に基づいてどの薬剤組み合わせが有用であるかを判断することができよう。このような薬剤としては、有機ビスホスホネート;カテプシンK阻害剤;エストロゲン又はエストロゲン受容体モジュレーター;アンドロゲン受容体モジュレーター;破骨細胞プロトンATPアーゼ阻害剤;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤;インテグリン受容体アンタゴニスト;骨芽細胞同化剤(例えばPTH);カルシトニン;ビタミンD又は合成ビタミンD類似体;及び医薬的に許容可能なその塩及び混合物が挙げられる。好ましい組み合わせの1例は本発明の化合物と有機ビスホスホネートである。別の好ましい組み合わせは本発明の化合物とエストロゲン受容体モジュレーターである。別の好ましい組み合わせは本発明の化合物とエストロゲンである。別の好ましい組み合わせは本発明の化合物とアンドロゲン受容体モジュレーターである。別の好ましい組み合わせは本発明の化合物と骨芽細胞同化剤である。
【0117】
異常骨吸収及び眼疾患の治療に関して、式Iのアゴニストは一般に約0.001nM〜約100μMのEC50値をもつが、用量と投与経路によってはこの範囲外の活性のアゴニストでも有用な場合もある。本発明のサブクラスでは、アゴニストは約0.01μM〜約10μMのEC50値をもつ。本発明の別のサブクラスでは、アゴニストは約0.1μM〜約10μMのEC50値をもつ。EC50は当業者に周知のアゴニスト活性の一般尺度であり、最大効果の2分の1、即ち50%を生じるために必要なアゴニストの濃度又は用量として定義される。いずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むGoodman and Gilman’s,The Pharmacologic Basis of Therapeutics,9th edition,1996,chapter 2,E.M.Ross,Pharmacodynamics,Mechanisms of Drug Action and the Relationship Between Drug Concentration and Effect、及びPCT US99/23757(出願日1999年10月12日)も参照。
【0118】
以下、実施例により本発明を例証するが、以下の実施例により本発明を制限するものではない。本発明の各化合物はEPアゴニストであり、多数の生理的眼及び骨疾患に有用である。
【0119】
本明細書では以下の略称を使用する場合がある。
【0120】
略称
表記
CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール
DHP:4−ジヒドロ−2H−ピラン
LiOH:水酸化リチウム
NaBH4:ホウ水素化ナトリウム
NaH:水素化ナトリウム
nBu3SnN3:アジドトリブチル錫
PG:保護基
TBSCI:塩化tert−ブチルジメチルシリル
TsOH:p−トルエンスルホン酸。
【0121】
本発明に記載する化合物は以下の一般スキームに従って製造することができる。全変数は特に指定しない限り、上記に定義した通りである。
【0122】
【化32】

【0123】
以下、特定実施例により本発明の化合物の製造を更に例証する。上記一般手順と実施例に例示する手順に従い、規定変数の代替基をもつ本発明の化合物を製造することもでき、例えば下記手順に従い、5−(3−ブロモプロピル)チオフェン−2−カルボン酸メチルの代わりに5−(3−ブロモプロピル)ベンジル−2−カルボン酸メチル又は5−(3−ブロモプロピル)チアゾール−2−カルボン酸メチルを使用し、対応するピロリジノンを製造することができる。
【実施例1】
【0124】
5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)チオフェン−2−カルボン酸(9及び10)
以下のスキームに従って化合物9及び10の製造を行った。
【0125】
【化33】


1の製造は文献手順に従って実施した(Tetrahedron 1994,6221参照)。
【0126】
(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−オキソ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−(4−メトキシベンジル)ピロリジン−2−オン(2)
−72℃で塩化オキサリル(544μL)をジメチルスルホキシド(480μL)のCHCl(14ml)溶液に滴下し、混合物をこの温度で20分間撹拌した。次に(5R)−5−(ヒドロキシメチル)−1−(4−メトキシベンジル)ピロリジン−2−オン(714mg,3.04mmol)のCHCl(10ml)溶液をゆっくりと加え、−72℃で1時間撹拌した。次にトリエチルアミン(2.0ml)を滴下し、混合物を0℃まで昇温させた。水を加え、生成物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮乾涸した。これを次段階でそのまま使用した。H NMR(アセトン−d)δ9.50(s,1H),7.20(d,2H),6.90(d,2H),4.80(d,1H),4.14(d,1H),4.06(m,1H),3.79,(s,3H),2.20−2.45(m,3H),2.12(m,1H)。
【0127】
3,3−ジフルオロ−2−オキソ−3−フェニルプロピルホスホン酸ジメチル(1982年3月16日発行米国特許第4,320,136号)(2.076g)の0℃THF(17mL)溶液にカリウムtert−ブトキシド(963mg)を加え、混合物を更に1時間0℃で撹拌した。次に混合物に(2R)−1−(4−メトキシベンジル)−5−オキソピロリジン−2−カルボアルデヒドのTHF(10mL)溶液をカニューレで加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌し、飽和NHClでクエンチした。次に混合物を酢酸エチル(3x)で抽出し、有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。20%アセトン/トルエンを溶出溶媒として残渣をクロマトグラフィーにより精製すると、所望生成物2が得られた。
【0128】
5−(4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニル−ブト−1−エニル)−1−(4−メトキシ−ベンジル)−ピロリジン−2−オン(3)
2(8.2g,21.2mmol)の80mL CHCl溶液にトルエン(10.6mL,10.6mmol)中1M(S)−CBSを加え、−40℃まで冷却し、カテコールボラン(6.8mL,63.8mmol)のCHCl(20mL)溶液を滴下した。溶液を−40℃で1時間撹拌した後、−20℃まで2時間昇温させた。反応混合物を−20℃にて1N HClでクエンチし、4時間室温で撹拌した。相分離し、有機相を1N HCl、HO、1N NaOH、ブラインで順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。40−50%酢酸エチル/ヘキサンを使用して化合物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、所望生成物3が薄黄色油状物として得られた。MS(M+1)388.2。
【0129】
(5R)−5−((1E)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4,4−ジフルオロ−4−フェニルブト−1−エニル)−1−(4−メトキシベンジル)ピロリジン−2−オン(4)
3(365mg)の室温DMF(3mL)溶液にイミダゾール(139mg)を加え、次いでTBSCl(220mg)を加えた。混合物を週末の間撹拌した後、水でクエンチした。混合物をエーテル(3x)で抽出し、水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル:ヘキサン)により精製すると、化合物4が得られた。
【0130】
(5R)−5−((1E)−3−{[tetr−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4,4−ジフルオロ−4−フェニルブト−1−エニル)ピロリジン−2−オン(5)
4(359mg)の0℃アセトニトリル(20mL)溶液にCAN(2g)、水(2mL)を加え、混合物を室温まで4時間昇温させた。混合物をエーテル(3x)で抽出し、水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%−75%−100%酢酸エチル)により精製すると、化合物5が得られた。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.50−7.40(m,5H),5.70−5.65(m,2H),4.50−4.42(m,1H),4.20−4.13(m,1H),2.37−2.30(m,3H),1.80−1.70(m,1H),0.87(s,9H),−0.05(d,6H)。
【0131】
5−{3−[(2R)−2−((1E)−3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−4,4−ジフルオロ−4−フェニルブト−1−エニル)−5−オキソピロリジン−1−イル]プロピル}チオフェン−2−カルボン酸メチル(6)
NaH 60%(30mg)のDMF(2mL)溶液に5(182mg)のDMF(2mL)溶液と、5−(3−ブロモプロピル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(200mg)のDMF(1.5mL)溶液と、NaI(30mg)を加えた。混合物を50℃で3時間撹拌した。室温まで冷却後、混合物を飽和NHClでクエンチし、酢酸エチル(3x)で抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出すると、所望生成物6が得られた。
【0132】
5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(7及び8)
6(230mg)のTHF(5mL)溶液にTBAF(THF,0.6mL中1.0M)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製すると、化合物7(低極性)及び8(高極性)の混合物が得られた。ヘキサン中30%イソプロパノールを使用して異性体をHPLC(Chiralpak AD(登録商標))により分離した。異性体7 H NMR(400MHz,CDCl):δ7.65(d,1H),7.49−7.42(m,5H),6.83(d,1H),5.72−5.60(m,2H),4.61−4.55(m,1H),4.08−4.02(m,1H),3.88(s,3H),3.54−3.46(m,1H),2.89−2.78(m,3H),2.40−2.32(m,2H),2.21−2.14(m,1H),1.87−1.77(m,2H),1.70−1.63(m,1H)。異性体8 H NMR(400MHz,CDCl):δ7.65(d,1H),7.49−7.43(m,5H),6.83(d,1H),5.72−5.61(m,2H),4.61−4.54(m,1H),4.07−4.02(m,1H),3.88(s,3H),3.54−3.47(m,1H),2.87−2.79(m,3H),2.44−2.28(m,2H),2.22−2.13(m,1H),1.89−1.76(m,2H),1.72−1.64(m,1H)。
【0133】
標記化合物:5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)チオフェン−2−カルボン酸(9及び10)
メタノール(4.7mL)、水(1mL)及びLiOH(0.5mL,1.0M)中のエステル7又は8の混合物を室温でN下に一晩撹拌し、濃縮すると、標記化合物がリチウム塩として得られた。塩をエーテルで洗浄し、HCl(1.0N)で酸性化し、酢酸エチル(3x)で抽出した。抽出液を水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、標記化合物9(低極性)又は10(高極性)が得られた。MS(−ESI):m/z 434.1(M−1)。
【0134】
ウサギ及びサルの眼圧(IOP)に対するEPアゴニストの効果
動物−本試験では投薬を受けたことがない雄Dutch Beltedウサギと雌カニクイザルを使用する。本試験の動物実験は米国国立衛生研究所(National Institute of Health)と米国視覚眼科学会(Association for Research in Vision and Ophthalmology)の決議による研究用動物の使用に関するガイドラインに従う。全実験手順はMerck and Companyの所内動物実験委員会に承認された。
【0135】
薬剤製造及び投与−薬剤濃度は活性成分(基準)で表す。本発明の化合物を生理食塩水に溶かし、ウサギ試験では0.01、0.001、0.0001%とし、サル試験では0.05、0.005%とする。薬剤又はビークルアリコート(25μl)を片眼又は両眼に局所投与する。片眼投与では、反対側の眼に等容量の食塩水を投与する。不快感を最小限にするために、眼圧測定の前にプロパラカイン(0.5%)を角膜に投与する。空気眼圧計(Alcon Applanation Pneumatonograph)又は同等装置を使用して眼圧(IOP)を記録する。
【0136】
統計分析−薬剤又はビークル投与直前に測定した基線レベルからのIOPの変化として結果を表し、平均±標準偏差を求める。同等時間間隔で薬剤投与動物とビークル投与動物の応答の間の対応のないデータと、同側と対側の眼の間の対応のあるデータについてスチューデントのt検定を使用して統計比較を行う。ダネットの「t」検定を使用して「t−0」値からの差としてデータの有意差も調べる。星印はp<0.05の有意差レベルを示す。
【0137】
ウサギの眼圧測定−体重2.5〜4.0kgの雄Dutch Beltedウサギを12時間明/暗サイクルとウサギ飼料で飼育する。全実験は日周リズムに関する変動を最小限にするように同一時刻に実施する。投与前にIOPを測定した後、本発明の化合物又はビークル(1滴25μl)を片眼又は両眼に滴下し、点眼から30、60、120、180、240、300、及び360分後にIOPを測定する。場合により、ビークルのみを両眼に投与した同数の動物を評価し、平行対照として薬剤投与動物と比較する。
【0138】
サルの眼圧測定−Leeら(1985)の方法を使用してアルゴンレーザーシステム(Coherent NOVUS 2000,Palo Alto,米国)で線維柱帯網の光凝固により体重2〜3kgの雌カニクイザルに右眼の片側高眼圧症を誘発する。眼圧(IOP)の長期上昇の結果、緑内障患者と同様の視神経乳頭変化が生じる。IOP測定のために、実験の間はサルを拘束椅子で座位に保つ。各IOP測定の約5分前に塩酸ケタミン(3〜5mg/kg)の筋肉内注射により動物を軽く麻酔し、IOPを記録する前に0.5%プロパラカイン1滴を滴下した。IOPは空気眼圧計(Alcon Applanation Tonometer)又はDigilab空気眼圧計(Bio−Rad Ophthalmic Division,Cambridge,MA,米国)を使用して測定する。IOPは投与前と一般に投与から30、60、124、180、300、及び360分後に測定する。一般に投与の2又は3日前に同時点の基線値も取得する。投与は本発明の化合物(0.05及び0.005%)又はビークル(食塩水)1滴25μlを滴下する。同一動物の試験前には少なくとも1週間の休薬期間を設ける。正常眼圧(高眼圧の対側)の眼も高眼圧の眼と全く同様に処置する。両眼のIOP測定値を同一時点の対応する基線値と比較する。結果を平均±標準偏差(mmHg)として表す。本発明の化合物の眼科用活性範囲は0.01〜100,000nMである。
【0139】
放射性リガンド結合アッセイ−これらの化合物を試験するために使用したアッセイは以下に記載するように、Abramovitz M,Adam M,Boie Y,Carriere M,Denis D,Godbout C,Lamontagne S,Rochette C,Sawyer N,Tremblay NM,Belley M,Gallant M,Dufresne C,Gareau Y,Ruel R,Juteau H,Labelle M,Ouimet N,Metters KM.The utilization of recombinant prostanoid receptors to determine the affinities and selectivities of prostaglandins and related analogs.Biochim Biophys Acta 2000 Jan 17;1483(2):285−293の記載にほぼ従って実施した。
【0140】
ヒト胚性腎(HEK)293(EBNA)細胞株におけるプロスタノイド受容体の安定発現−全長コーディング配列に対応するプロスタノイド受容体(PG)cDNAを哺乳動物発現ベクターpCEP4(Invitrogen)の適当な部位にサブクローニングした。Qiagenプラスミド作製キット(QIAGEN)を使用してpCEP4PGプラスミドDNAを作製し、製造業者の指示に従ってLipofectAMINE(登録商標)(GIBCO−BRL)を使用してHEK293(EBNA)細胞にトランスフェクトした。10%熱不活化胎仔ウシ血清、1mMピルビン酸ナトリウム、100U/mlペニシリン−G、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン、250μg/ml活性GENETICIN(登録商標)(G418)(いずれもLife Technologies,Inc./BRL製品)及び200μg/mlハイグロマイシン(Calbiochem)を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)でcDNAとハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するHEK293(EBNA)細胞を選択した。クローニングリング法を使用する選択下に2〜3週間増殖後に個々のコロニーを単離した後にクローン細胞株に増殖させた。受容体cDNAの発現を受容体結合アッセイにより評価した。HEK293(EBNA)細胞を空気中6%COの加湿雰囲気下に37℃にて補充DMEM完全培地で増殖させた後に回収し、分画遠心(いずれも4℃にて1000xgで10分間の後に160,000xgで30分間)により膜調製した後にプロテアーゼ阻害剤(2mM弗化フェニルメチルスルホニル,10μM E−64,100μMロイペプチン及び0.05mg/mlペプスタチン)の存在下に氷上で30分間800psiにて窒素キャビテーションにより細胞を溶解した。1mM EDTAを添加した10mM HEPES/KOH(pH7.4)にDounceホモジナイザー(Dounce A;10ストローク)により160,000xgペレットを約5〜10mg/ml蛋白質で再懸濁し、液体窒素で凍結させ、−80℃で保存した。
【0141】
プロスタノイド受容体結合アッセイ−プロスタノイド受容体結合アッセイは1mM EDTA、10mM MgCl(EPサブタイプ)又は10mM MnCl(DP,FP,IP及びTP)及び放射性リガンド[EPサブタイプには0.5〜1.0nM[H]PGE(181Ci/mmol),DPには0.7nM[H]PGD(115Ci/mmol),FPには0.95nM[H]PGF2α(170Ci/mmol),IPには5nM[H]イロプロスト(16Ci/mmol)、TPには1.8nM[H]SQ 29548(46Ci/mmol)]を添加した10mM MES/KOH(pH6.0)(EPサブタイプ,FP及びTP)又は10mM HEPES/KOH(pH7.4)(DP及びIP)中で最終インキュベーション容量0.2mlとなるように実施した。EPアッセイには100μM GTPγSも添加した。160,000xgフラクションからの膜蛋白質(EPには約30μg、EPには20μg、EPには2μg、EPには10μg、FPには60μg、DPには30μg、IPには10μg、TPには10μg)を添加することにより反応を開始した。リガンドをジメチルスルホキシド(MeSO)に加え、全インキュベーションで1%(v/v)の一定に維持した。対応する非放射性プロスタノイド1μMの存在下で非特異的結合を測定した。60分間(EPサブタイプ,FP及びIP)又は30分間(DP及びTP)30℃(EPサブタイプ,DP,FP及びTP)又は室温(IP)でインキュベーションを行い、EDTA非添加アッセイインキュベーション緩衝液(4℃)で予め湿潤させた96ウェルUnifilter GF/C(Canberra Packard)で迅速濾過し、Tomtec Mach III 96ウェル半自動セルハーベスターを使用して回収した。フィルターを同一緩衝液3〜4mlで洗浄し、90分間55℃で乾燥し、Ultima Gold F(Canberra Packard)50μlを添加し、1450 MicroBeta(Wallac)を使用してシンチレーション計数により個々のフィルターに結合した残留放射能を測定した。非特異的結合を合計結合から差し引くことにより特異的結合を計算した。特異的結合は合計結合の90〜95%であり、使用した放射性リガンドと蛋白質の濃度に対して直線的であった。合計結合はインキュベーション培地に添加した放射性リガンドの5〜10%であった。本発明の化合物の骨用活性範囲は0.01〜100,000nMである。
【0142】
骨吸収アッセイ
動物手順−mRNA局在実験では、5週齢Sprague−Dawleyラット(Charles River)をCOにより安楽死させ、その脛骨と頭蓋冠を摘出し、軟組織を除去し、すぐに液体窒素で凍結させる。EP調節実験では、6週齢ラットにビークル(滅菌水中7%エタノール)又は同化用量のPGE(Cayman Chemical,Ann Arbor,MI,同一ビークル中3〜6mg/kg)を腹腔内に単回注射する。動物を注射後の数時点で安楽死させ、その脛骨及び頭蓋冠と、肺及び腎組織試料を液体窒素で凍結させる。
【0143】
細胞培養−RP−1骨膜細胞は4週齢Sprague−Dawleyラットの脛骨由来骨膜細胞初代培養物から自然に不死化し、10%胎仔ウシ血清(JRH Biosciences,Lenexa,KS)を添加したDMEM(BRL,Gaithersburg,MD)で培養する。これらの細胞は初期培養では骨芽細胞表現型マーカーを発現しないが、コンフルエントに達すると、I型コラーゲン、アルカリホスファターゼ及びオステオカルシンを発現し、鉱化細胞外基質を産生する。RCT−1とRCT−3はコラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ併用消化により胎仔ラット頭蓋冠から遊離した細胞からSV−40ラージT抗原により不死化したクローン細胞株である。RCT−1細胞は最初の10分の消化中に遊離した細胞(フラクションI)に由来し、10%胎仔ウシ血清と0.4mg/mlG418(BRL)を添加したRPMI 1640培地(BRL)で培養する。これらの細胞はレチノイン酸処理後に分化し、骨芽細胞形質を発現する。RCT−3細胞は骨芽細胞集積フラクションIII細胞から不死化し、5%胎仔ウシ血清と0.4mg/ml G418を添加したF−12培地(BRL)で培養する。TRAB−11細胞も成体ラット脛骨からSV40ラージT抗原により不死化し、10%FBSと0.4mg/ml G418を添加したRPMI 1640培地で培養する。ROS17/2.8ラット骨肉腫細胞は5%FBSを添加したF−12で培養する。骨芽細胞集積(フラクションIII)初代胎仔ラット頭蓋冠細胞は19日齢ラット胎仔の頭蓋冠のコラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ消化により得られる。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むRodanら,Growth stimulation of rat calvaria osteoblastic cells by acidic FGF,Endocrinology,121,1919−1923(1987)参照。30〜50分間消化中に細胞(フラクションIII)が遊離し、5%FBSを添加したF−12培地で培養する。P815(マウス肥満細胞腫)細胞は10%FBSを添加したイーグルMEMで培養し、NRK(正常ラット腎繊維芽細胞)細胞は10%FBSを添加したDMEMで培養し、夫々EP発現の陽性及び陰性対照として使用する。いずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むAbramovitzら,Human prostanoid receptors:cloning and characterization.In:Samulesson B.ら編,Advances in prostaglandin,Thrombosznes and leukotriene research,vol.23,pp.499−504(1995)及びde Larcoら,Epithelioid and fibroblastic rat kidney cell clones:EGF receptors and the effect of mouse sarcoma virus transformation,Cell Physiol,94,335−342(1978)参照。
【0144】
ノーザンブロット分析−凍結骨試料を組織ホモジナイザーにより粉砕後にイソチオシアン酸グアニジニウム−フェノール−クロロホルム法を使用して脛骨骨幹端又は骨幹と頭蓋冠から全RNAを抽出する。参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むP.Chomczynskiら,Single−step method of RNA isolation by acid guanidium thiocyanate−phenol−chloroform extraction.,Analyt Biochem,162,156−159(1987)参照。RNA試料(20mg)を0.9%アガロース/ホルムアミドゲルで分離し、ナイロン膜(Boehringer Mannheim,ドイツ)に転写する。0.5mg/ml超音波処理サケ精子DNA(Boehringer)を添加したHybrisol I(Oncor,Gaithersburg,MD)中で膜を42℃で3時間プレハイブリダイズさせ、Rediprimeキット(Amersham)を使用してランダムプライミングにより[32P]−dCTP(Amersham,Buckinghamshire,英国)で標識したラットEP及びマウスEPcDNAプローブと42℃でハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション後に、膜を室温にて合計1時間2xSSC+0.1%SDSで4回及び55℃にて1時間0.2xSSC+0.1%SDSで1回洗浄した後、増感紙を使用して−70℃でKodak XAR 2フィルムに感光させる。フィルムを現像後、結合したプローブを80℃の0.1%SDSで2回除去し、膜をローディング対照としてヒトGAPDH(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)cDNAプローブ(Clontech,Palo Alto,CAから購入)とハイブリダイズさせる。
【0145】
in−situハイブリダイゼーション−凍結した脛骨を7mm厚に冠状に切断し、切片を荷電スライド(Probe On Plus,Fisher Scientific,Springfield,NJ)にマウントし、ハイブリダイゼーションまで−70℃に維持する。Riboprobe IIキット(Promega Madison,WI)を使用してcRNAプローブを35S−UTPgS(ICN,Costa Mesa,CA)で標識する。50℃で一晩ハイブリダイゼーションを行う。いずれも参照によりその開示内容全体を本明細書に組込むM.Weinrebら,Different pattern of alkaline phosphatase,osteopontin and osteocalcin expression in developing rat bone visualized by in−situ hybridization,J.Bone Miner Res.,5,831−842(1990)及びD.Shinarら,Expression of alphaν and beta3 integrin subunits in rat osteoclasts in situ,J.Bone Miner.Res.,8,403−414(1993)参照。ハイブリダイゼーションと洗浄後に、42℃水中6%グリセロールで2:1に希釈したIlford K5エマルションに切片を浸漬し、4℃の暗所で12〜14日間露出する。15℃の水で1:1に希釈したKodakD−19でスライドを現像し、定着させ、蒸留水で洗浄し、ヘマトキシリン染色後にグリセロール−ゼラチン(Sigma)でマウントする。明視野又は暗視野法を使用して染色切片を顕微鏡(Olympus,Hamburg,ドイツ)で観察する。
【0146】
骨芽細胞株と骨組織におけるEPの発現−骨芽細胞集積初代ラット頭蓋冠細胞、胎仔ラット頭蓋冠もしくは成体ラット脛骨に由来する不死化骨芽細胞株及び骨芽細胞骨肉腫細胞株を含む種々の骨由来細胞でEP及びEPmRNAの発現を試験する。ラット骨肉腫細胞株ROS17/2.8を除き、骨芽細胞及び細胞株の殆どは有意量の3.8kb EPmRNAを示す。この知見に一致して、ROS 17/2.8細胞ではPGEは細胞内cAMPに効果がないが、RCT−3及びTRAB−11細胞では顕著に誘導される。その分化を促進するレチノイン酸でRCT−1細胞を処理すると、EPmRNAレベルは低下する。NRK繊維芽細胞はEPmRNAを発現しないが、陽性対照として使用したP815肥満細胞腫細胞は多量のEPmRNAを発現する。EPmRNAとは対照的に、骨芽細胞及び細胞株は全RNA試料で検出可能な量のEPmRAを発現しない。骨芽細胞におけるEPmRNAの発現と同様に、EPは5週齢ラットの脛骨と頭蓋冠から単離した全RNAでも発現される。他方、脛骨軸に由来するRNAにEPmRNAは検出されない。
【0147】
PGEはRP−1骨膜細胞と成体ラット脛骨でEPmRNAの発現を誘導する。−PGEは骨芽細胞と骨組織におけるシクロオキシゲナーゼ2発現のアップレギュレーションによりそれ自体の産生を促進し、従って、それ自体の効果を自己増幅する。PGEはEPmRNAレベルも増加する。成体ラット脛骨骨膜の初代培養物から不死化したRP−1細胞を試験する。これらの細胞はコンフルエントに達すると、骨芽細胞表現型マーカーを発現し、ヌードマウスに移植すると、鉱化骨基質を形成する。試験した他の骨芽細胞と同様に、RP−1骨膜細胞は3.8kb EP転写産物を発現する。PGE(10−6M)で処理すると、EPmRNAレベルは迅速に増加し、処理後2時間でピークに達する。PGEは分化の進んだRCT−3細胞ではEPmRNAレベルに効果がなく、PGEによるEP発現の細胞型特異的調節を示唆している。EPmRNAはPGE処理前又は後にRP−1細胞で発現されない。PGEがEPmRNAレベルを骨組織でin vivo調節するか否かを試験するために、5週齢雄ラットにPGE(3〜6mg/Kg)を注射する。PGEの全身投与により脛骨骨幹のEPmRNAレベルは迅速に増加し、注射後2時間でピークに達した。脛骨骨幹端と頭蓋冠でもEPmRNAに対するPGEの同様の効果が観察される。PGEは骨形成骨膜細胞でin vitro及び骨組織でin vivoのEPmRNAレベルを細胞型特異的及び組織特異的に誘導する。PGEはRP−1細胞でも骨組織でもEPmRNAを誘導しない。
【0148】
骨組織におけるEPmRNA発現の局在−骨でEPを発現する細胞を局在するためにin situハイブリダイゼーションを使用する。対照実験(ビークル注射)ラットでは、骨髄細胞で低レベルのEP発現しか検出されない。単一同化用量のPGEを投与すると、骨髄細胞におけるEPの発現は増加した。骨髄上の銀粒子の分布は均一ではなく、骨幹端の多くの領域に塊状又はパッチ状で存在する。脛骨骨幹端内では、EP発現は二次海綿質領域に限定されており、一次海綿質領域には認められない。同様の切片とセンスプローブ(陰性対照)のハイブリダイゼーションはシグナルを全く示さない。EPは骨芽細胞ではin vitro発現され、骨髄細胞ではin vivo発現され、そのリガンドであるPGEによりアップレギュレートされる。
【0149】
アゴニスト活性−アゴニスト活性を測定するための標準方法を使用して、細胞培養とEP受容体細胞を含まないシステムで本発明の化合物を評価し、化合物のアゴニスト活性をそのEC50値として測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、Y
1)CHCH
2)CHCH、又は
3)
【化2】

であり;
YはC(O)又はCH(OH)であり;
Aは(CHであり;
nは1、2、3、又は4であり;
Wは結合、非置換C1−6アルキレン、又は1、2、3、もしくは4個のハロゲン原子で置換されたC1−6アルキレンであり;
Zは
1)O、
2)S、
3)
【化3】

4)HC=CH、
5)C≡C、又は
6)結合であり;
Qはジ置換アリール又はヘテロアリール環であり、環の1個の環原子は部分:
【化4】

に結合しており、別の環原子は部分:
【化5】

に結合しており;

COR
OH、
CN、
(CH1−3CO
C(O)NHSO
SO
(CH0−4SO
CFSONH
SONH
SONHCOR
PO(OR
1−4アルコキシ、
ヒドロキシメチルケトン、又は
(CH0−4であり、ここでRは置換されていないか又は1〜3個のR基で置換されており;

1)C1−6アルキル、
2)(CH0−86−10アリール、
3)(CH0−8
4)(CH0−83−8シクロアルキル、
5)O−C1−10アルキル、
6)O−C6−10アリール、
7)O−R
8)O−C3−10シクロアルキルであり、ここでアリール、R、及びシクロアルキルは置換されていないか又は1〜3個のR基で置換されており;
及びR
1)ハロゲン、及び
2)C1−6アルキルから構成される群から独立して選択されるか、又は
及びRはそれらが結合する炭素原子と一緒にC3−7シクロアルキル環を形成し;

1)水素、
2)OH、
3)CHOH、
4)C1−6アルコキシ、
5)NHPO
6)NHR
7)NHSO、又は
8)NRはであり;
及びRは水素、C1−6アルキル、及びC3−8シクロアルキルから構成される群から独立して選択され;
は水素、C6−10アリール、R、及びC1−4アルキルから構成される群から選択され;
はC(O)R10又はSO10であり;
10は水素、C6−10アリール、又はC1−4アルキルであり;
及びR
1)C1−6アルコキシ、
2)置換されていないか又は
a)C1−6アルコキシ、
b)C1−6アルキルチオ、
c)CN、
d)OH、もしくは
e)CF
で置換されたC1−6アルキル、
3)CF
4)ニトロ、
5)アミノ、
6)シアノ、
7)C1−6アルキルアミノ、
8)ハロゲン、
9)OR
10)OCH、及び
11)CHORから構成される群から独立して選択され;

1)C6−10アリール、
2)R、又は
3)C3−8シクロアルキルであり;
、R、R及びR
1)O、SもしくはNから構成される群から独立して選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子をもつ環原子数5、6もしくは7の安定な単環式ヘテロアリール環、又はO、SもしくはNから構成される群から独立して選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子をもつ環原子数8、9、10、もしくは11の安定な二環式ヘテロアリール環、および
2)1、2、3、もしくは4個の環原子がO、S及びNから選択されるヘテロ原子である環原子数3〜10の安定な単環式もしくは二環式ヘテロシクロアルキル環系又は安定な飽和単環式もしくは二環式環系から構成される群から独立して選択される。]をもつ化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項2】
がCHCHであり、YがCH(OH)である請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項3】
Aが(CH1−3であり、Wが結合又は(CH1−3である請求項2に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項4】
1)RがCOOH又はテトラゾールであり、2)Rがフェニルであり、3)R及びRが水素及びハロゲンから構成される群から独立して選択されるか、又はR及びRはそれらが結合する炭素と一緒にシクロプロピル環を形成する請求項3に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項5】
Qが
【化6】

から構成される群から選択される請求項4に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項6】
Qが
【化7】

から構成される群から選択される請求項5に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項7】
(1)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)チオフェン−2−カルボン酸、
(2)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[5−(1H−テトラゾール−5−イル)チエン−2−イル]プロピル}ピロリジン−2−オン、
(3)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−チアゾール−2−カルボン酸、
(4)2−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−チアゾール−5−カルボン酸、
(5)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[5−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]プロピル}ピロリジン−2−オン、
(6)2−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−チアゾール−4−カルボン酸、
(7)[5−(2−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}エチル)チエン−2−イル]酢酸、
(8)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{2−[5−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)チエン−2−イル]エチル}ピロリジン−2−オン、
(9)2−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3−オキサゾール−5−カルボン酸、
(10)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−3−ヒドロキシ−3−(1−フェニルシクロプロピル)プロプ−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)チオフェン−2−カルボン酸、
(11)(5R)−5−[(1E)−3−ヒドロキシ−3−(1−フェニルシクロプロピル)プロプ−1−エニル]−1−{3−[5−(1H−テトラゾール−5−イル)チエン−2−イル]プロピル}ピロリジン−2−オン、
(12)5−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボン酸、
(13)4−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)安息香酸、
(14)3−(3−{(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}プロピル)安息香酸、
(15)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]プロピル}ピロリジン−2−オン、
(16)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]プロピル}ピロリジン−2−オン、
(17)3−[5−({(2R)−2−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−5−オキソピロリジン−1−イル}メチル)チエン−2−イル]プロパン酸、
(18)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({5−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]チエン−2−イル}メチル)ピロリジン−2−オン、
(19)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({4−[3−(1H−テトラゾール−5−イル)プロピル]チエン−3−イル}メチル)ピロリジン−2−オン、
(20)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]チエン−2−イル}メチル)ピロリジン−2−オン、
(21)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−({4−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]−1,3−チアゾール−2−イル}メチル)ピロリジン−2−オン、及び
(22)(5R)−5−[(1E)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−4−フェニルブト−1−エニル]−1−{3−[2−(1H−テトラゾール−5−イル)エチル]ベンジル}ピロリジン−2−オン、並びに、
医薬的に許容可能なその塩から構成される群から選択される請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
高眼圧症を治療、緑内障を治療、黄斑浮腫を治療、黄斑変性を治療、網膜及び視神経乳頭血流速度を増加、網膜及び視神経圧を増加、神経保護効果を提供又はドライアイを治療することにより眼圧上昇に関連する疾患を治療する方法であって、前記治療を必要とする患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物、又は医薬的に許容可能なその塩を投与することを含む前記方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩、および医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する局所組成物。
【請求項10】
組成物がキサンタンガム又はゲランガムを含有する請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が溶液又は懸濁液である請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
β−アドレナリン遮断薬、副交感神経興奮薬、Maxi−Kチャネル遮断薬、交感神経興奮薬、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジン、降圧脂質、神経保護剤、及び5−HT2受容体アゴニストから構成される群から選択される活性成分を製剤に添加して患者に投与することを更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
β−アドレナリン遮断薬がチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、又はレボブノロールであり、副交感神経興奮薬がピロカルピンであり、Maxi−Kチャネル遮断薬がペニトレムA、パスパリシン、カリブドトキシン、又はイベリオトキシンであり、交感神経興奮薬がエピネフリン、ブリモニジン、アイオピジン、クロニジン、又はパラアミノクロニジンであり、炭酸脱水酵素阻害剤がドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド又はブリンゾラミドであり、プロスタグランジンがラタノプロスト、トラボプラスト、ウノプロストン、レスキュラ又はS1033であり、降圧脂質がルミガンであり、神経保護剤がエリプロディル、R−エリプロディル又はメマンチンであり、5−HT2受容体アゴニストが1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−インダゾール−6−オールフマレート又は2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
薬物療法に使用するための請求項1から7のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項15】
眼圧上昇に関連する疾患の治療用医薬の製造における請求項1から7のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又は医薬的に許容可能なその塩の使用。
【請求項16】
選択的EP受容体アゴニストとしての請求項1から7のいずれか一項に記載の式Iの化合物、又は医薬的に許容可能なその塩の使用。

【公表番号】特表2006−505572(P2006−505572A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545645(P2004−545645)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001620
【国際公開番号】WO2004/037786
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(599086618)メルク フロスト カナダ アンド カンパニー (8)
【Fターム(参考)】