FRP成形体の補強構造及びその製造方法
【課題】FRP補強体のFRP成形体への接着時の作業性を向上し、また比較的廉価の汎用型を用いてFRP補強体の補強体側片の高さを容易に変更可能とし、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体を作製する。
【解決手段】FRP成形体22が曲面を有する板状に成形される。FRP補強体16は、FRP成形体22の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びて設けられ、かつFRP補強体16の長手方向に直交する断面がFRP成形体22とともに閉断面に形成される。このFRP補強体16の補強体主部16aが平面帯状に形成される。補強体主部16aの両側縁に一対の補強体側片16b,16bがそれぞれ連設され、これらの補強体側片16b,16bの他側縁がFRP成形体22の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成される。
【解決手段】FRP成形体22が曲面を有する板状に成形される。FRP補強体16は、FRP成形体22の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びて設けられ、かつFRP補強体16の長手方向に直交する断面がFRP成形体22とともに閉断面に形成される。このFRP補強体16の補強体主部16aが平面帯状に形成される。補強体主部16aの両側縁に一対の補強体側片16b,16bがそれぞれ連設され、これらの補強体側片16b,16bの他側縁がFRP成形体22の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維補強プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、以下、FRPという)により成形された車両のウインドデフレクタやエンジンフード等のFRP成形体を補強するための構造と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、補強リブを有するFRP成形物を成形するための一方の成形型の補強リブ成形部に強化繊維マットを介在させた後に補強材を配置し、この補強材の上方に補強材とは別の独立気泡のヒケ防止シートを補強リブ全幅にわたって敷設し、更に引け防止シートに強化繊維マットを介在させた状態で他方の成形型を当接させて成形型内に樹脂を注入硬化させるFRP成形物の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このFRP成形物の製造方法では、上記一方の成形型である下型に上記他方の成形型である上型を当接させて形成されたキャビティに、樹脂を注入することにより、FRP成形物を製造するRIM法(Resin Injection Molding法)が用いられる。
このように構成されたFRP成形物の製造方法では、補強リブ内に埋設した補強材により成形品の補強がなされ、補強リブの幅と略同じか或いはそれ以上の幅を有するヒケ防止シートによってヒケを防止できるようになっている。
【0003】
一方、所定の形状の下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸固着する工程を手作業で行うHLU法(Hand Lay Up法)でFRP成形体を製造する方法が知られている。このHLU法を用いて車両のキャブのルーフパネルに取付けられるウインドデフレクタを製造する方法を例に挙げる。図13に示すように、ウインドデフレクタ114は、ルーフパネル113aの前縁及び両側縁を覆う第1デフレクタ111と、ルーフパネル113aの中央及び後縁を覆う第2デフレクタ112とを備える。第1デフレクタ111は、前方から後方にかけて曲率が大きく変化する曲面に形成された第1デフレクタ本体121と、この第1デフレクタ本体121の前部裏面に接着された第1FRP補強体131と、第1デフレクタ本体121の前部裏面から後部裏面にかけて接着された第2FRP補強体132とを有する(図13及び図14)。また第2デフレクタ112は、上方に突出する曲面を有する比較的広い面積の板状に形成された第2デフレクタ本体122と、この第2デフレクタ本体122の裏面に接着されたFRP補強体116とを有する(図11及び図12)。
【0004】
先ず第2デフレクタ112の製造方法を説明する。
(1-a) 第2デフレクタ本体122の作製
第2デフレクタ本体122に相応する形状に加工された第2本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2デフレクタ本体122が得られる(図11及び図12)。
(1-b) FRP補強体116の作製
FRP補強体116を成形するための補強体用下型118に長方形状のガラスマット116cを被せ、このガラスマット116cに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部116dを形成する(図9及び図10)。上記補強体用ガラスマット116cの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、補強体用ガラスマット116cと樹脂部116dとを積層した構造の半乾きのFRP補強体116が得られる。
(1-c) FRP補強体116の第2デフレクタ本体122への接着
半乾きのFRP補強体116を半乾きの第2デフレクタ本体122裏面の曲面に押付ける(図11及び図12)。このときFRP補強体116が第2デフレクタ本体122裏面の曲面に相応する形状に変形され、半乾きの樹脂部116dの接着力によりFRP補強体116が第2デフレクタ本体122裏面に一時的に固定される。この状態で接着用FRPシート117を用いてFRP補強体116を第2デフレクタ本体122の裏面に接着する。
【0005】
次に第1デフレクタ111の製造方法を説明する。
(2-a) 第1デフレクタ本体121の作製
第1デフレクタ本体121に相応する形状に加工された第1本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1デフレクタ本体121が得られる(図13及び図14)。
(2-b) 第1FRP補強体131の作製
第1FRP補強体131を成形するための第1補強体用下型に長方形状のガラスマットを被せ、ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記第1補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第1補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1FRP補強体131が得られる(図13及び図14)。
(2-c) 第1FRP補強体131の第1デフレクタ本体121への接着
半乾きの第1FRP補強体131を半乾きの第1デフレクタ本体121裏面の曲面に押付ける(図13及び図14)。このとき第1FRP補強体131が第1デフレクタ本体121裏面の曲面に相応する形状に変形され、半乾きの樹脂部の接着力により第1FRP補強体131が第1デフレクタ本体121裏面に一時的に固定される。この状態で第1接着用FRPシート141を用いて第1FRP補強体131を第1デフレクタ本体121の裏面に接着する。
【0006】
(2-d) 第2FRP補強体132の作製
第2FRP補強体132を成形するための第2補強体用下型に長方形状のガラスマットを被せ。ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記第2補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第2補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2FRP補強体132が得られる(図13及び図14)。
(2-e) 第2FRP補強体132の第1デフレクタ本体121への接着
半乾きの第2FRP補強体132を半乾きの第1デフレクタ本体121裏面の曲面に押付ける(図13及び図14)。このとき第2FRP補強体132が第1デフレクタ本体121裏面の曲面に相応する形状に変形され、半乾きの樹脂部の接着力により第2FRP補強体132が第1デフレクタ本体121裏面に一時的に固定される。この状態で第2接着用FRPシート142を用いて第2FRP補強体132を第1デフレクタ本体121の裏面に接着する(図13及び図14)。
【特許文献1】特開平5− 11724号公報(請求項1、明細書第2頁左欄第22行目〜同頁左欄25行目、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載されたFRP成形物の製造方法では、補強リブを有するFRP成形物全体を成形するための大型の上型及び下型を必要とするため、製造コストが大幅に増大し、FRP成形物の種類が多く、しかも製作数量が少ない場合には適さないという不具合があった。
また、上記特許文献1に記載されたFRP成形物の製造方法では、補強リブに埋設される補強材やヒケ防止シートを必要とするため、部品点数が増大し、部品管理が煩わしくなる問題点もあった。
また、上記HLU法を用いたウインドデフレクタの製造方法では、半乾きのFRP補強体を半乾きのデフレクタ本体裏面の曲面に押付けるとき、FRP補強体を第1デフレクタ本体裏面の曲面に相応する形状に変形させなければならず、FRP補強体の弾性力によりFRP補強体が第1デフレクタ本体裏面から剥がれるおそれがあり、この場合FRP補強体のFRP成形体への接着時の作業性が低下する問題点があった。
更に、上記HLU法を用いたウインドデフレクタの製造方法では、第1FRP補強体の第1補強体側片が全長にわたって比較的低く一定に形成され、第2FRP補強体の第2補強体側片が全長にわたって比較的高く一定に形成されているため、第1FRP補強体の後部と第2FRP補強体の前部との結合部に段差が発生してしまい、この結合部に応力集中が発生してしまうおそれがあった。
本発明の第1の目的は、FRP補強体のFRP成形体への接着時の作業性を向上できる、FRP成形体の補強構造及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型のみを用いても、FRP補強体の補強体側片の高さを変更することにより、各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体を得ることができる、FRP成形体の補強構造の製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、FRP補強体同士を段差なくスムーズに結合することにより、この結合部に応力集中が発生するのを防止できる、FRP成形体の補強構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、図3〜図6に示すように、曲面を有する板状に成形されたFRP成形体21,22と、FRP成形体21,22の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びかつ長手方向に直交する断面がFRP成形体21,22とともに閉断面に形成されたFRP補強体16,31,32とを備えたFRP成形体の補強構造の改良である。
その特徴ある構成は、FRP補強体16,31,32が、平面帯状に形成された補強体主部16a,31a,32aと、一側縁が補強体主部16a,31a,32aの両側縁にそれぞれ連設され他側縁がFRP成形体21,22の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成された一対の補強体側片16b,31b,32bとを有するところにある。
この請求項1に記載されたFRP成形体の補強構造では、FRP補強体16,31,32のFRP成形体21,22への接着時にFRP補強体16,31,32を殆ど変形させることなく、FRP補強体16,31,32をFRP成形体21,22に一時的に固定できる。またFRP補強体16,31,32の補強体側片16b,31b,32bの高さを変更することにより、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体16,31,32を作製できる。
【0009】
請求項2に係る発明は、図1〜図4に示すように、曲面を有する板状に成形されたFRP成形体21,22を補強するFRP補強体16,31,32の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマット16cを作製する工程と、FRP補強体16を成形するための所定の補強体用下型18に補強体用ガラスマット16cを被せる工程と、補強体用ガラスマット16cに樹脂液を塗布して含浸する工程と、含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、補強体用ガラスマット16cの被せ工程と樹脂液の含浸工程と樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体16,31,32を作製する工程と、半乾きのFRP補強体16,31,32をFRP成形体21,22の曲面に押付ける工程とを含むFRP成形体の補強構造の製造方法である。
この請求項2に記載されたFRP成形体の補強構造の製造方法では、FRP補強体16,31,32を作製するために、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型18のみを用いても、FRP補強体16,31,32のFRP成形体21,22への接着時にFRP補強体16,31,32を殆ど変形させることなく、FRP補強体16,31,32をFRP成形体21,22に一時的に固定できる。またFRP補強体16,31,32の補強体側片16b,31b,32bの高さを変更することにより、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体16,31,32を作製できる。更にFRP補強体31,32同士を結合するときに、この結合部に段差を発生させずに、FRP補強体31,32をスムーズに結合することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、図8に示すように、FRP補強体56を成形するための所定の補強体用下型18に補強体用ガラスマットを被せる工程と、補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸する工程と、含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、補強体用ガラスマットの被せ工程と樹脂液の含浸工程と樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体56を作製する工程と、半乾きのFRP補強体56の一対の補強体側片56bの先端縁をFRP成形体の曲面に合せて切断する工程と、FRP補強体56をFRP成形体の曲面に押付ける工程とを含むFRP成形体の補強構造の製造方法である。
この請求項3に記載されたFRP成形体の補強構造の製造方法では、FRP補強体56を作製するために、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型18のみを用いても、FRP補強体56のFRP成形体への接着時にFRP補強体56を殆ど変形させることなく、FRP補強体56をFRP成形体に一時的に固定できる。またFRP補強体56の補強体側片56bの高さを変更することにより、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体56を作製できる。更にFRP補強体56同士を結合するときに、この結合部に段差を発生させずに、FRP補強体56をスムーズに結合することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、FRP成形体を補強するFRP補強体の補強体主部を平面帯状に形成し、補強体主部の両側縁に一対の補強体側片の一側縁をそれぞれ連設し、更にこれらの補強体側片の他側縁をFRP成形体の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成したので、FRP補強体のFRP成形体への接着時にFRP補強体を殆ど変形させずに、FRP補強体をFRP成形体に一時的に固定できる。この結果、FRP補強体のFRP成形体への一時的な固定時に、FRP補強体がFRP成形体から離れることがないので、固定FRP補強体のFRP成形体への接着作業性を向上できる。またFRP補強体の補強体側片の高さを容易に変更することができるので、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体を作製できる。この結果、FRP成形体の各部の強度に合せてFRP補強体の補強体側片の高さを変更することにより、各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体が得られる。
【0012】
またFRP成形体を補強するFRP補強体の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマットを作製した後に、この補強体用ガラスマットを補強体用下型に被せる工程と補強体用ガラスマットに樹脂液を含浸する工程と樹脂液を半乾きにする工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体を作製し、この半乾きのFRP補強体をFRP成形体の曲面に押付ければ、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型のみを用いても、FRP補強体のFRP成形体への接着時にFRP補強体を殆ど変形させずに、FRP補強体をFRP成形体に一時的に固定できる。この結果、FRP補強体のFRP成形体への一時的な固定時に、FRP補強体がFRP成形体から離れることがないので、上記と同様に固定FRP補強体のFRP成形体への接着作業性を向上できる。またFRP補強体の補強体側片の高さを容易に変更することができるので、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体を作製できる。この結果、FRP成形体の各部の強度に合せてFRP補強体の補強体側片の高さを変更することにより、上記と同様に各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体が得られる。またFRP補強体同士を結合するときに、この結合部に段差が発生することなく、FRP補強体をスムーズに結合することができるので、FRP補強体の結合部に応力集中が発生するのを防止できる。
更に補強体用ガラスマットを補強体用下型に被せる工程と補強体用ガラスマットに樹脂液を含浸する工程と樹脂液を半乾きにする工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体を作製し、この半乾きのFRP補強体の一対の補強体側片の先端縁をFRP成形体の曲面に合せて切断した後に、FRP補強体をFRP成形体の曲面に押付ければ、上記と同様に、固定FRP補強体のFRP成形体への接着作業性を向上でき、各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体が得られるとともに、FRP補強体の結合部に応力集中が発生するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図5及び図7に示すように、トラクタ10のキャブ13のルーフパネル13a上面には、FRPにより形成されたウインドデフレクタ14が取付けられる。このウインドデフレクタ14は、ルーフパネル13aの前縁及び両側縁を覆う第1デフレクタ11と、ルーフパネル13aの中央及び後縁を覆う第2デフレクタ12とを備える(図5及び図7)。第2デフレクタ12は、上方に突出する曲面を有する比較的広い面積の板状に形成された第2デフレクタ本体22と、この第2デフレクタ本体22の裏面に接着されたFRP補強体16とを有する(図3及び図4)。このFRP補強体16は第2デフレクタ本体22の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びて設けられ、FRP補強体16の長手方向に直交する断面が第2デフレクタ本体22とともに閉断面に形成される。またFRP補強体16は、平面帯状に形成された補強体主部16aと、一側縁が補強体主部16aの両側縁にそれぞれ連設された一対の補強体側片16b,16bとを有する。平面帯状の補強体主部16aはFRP補強体16の長手方向に平行な断面(以下、長手方向断面という)及び長手方向に直交する断面(以下、直交断面という)がいずれも直線状に形成される。また一対の補強体側片16b,16bの他側縁は第2デフレクタ本体22の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成される。これらの補強体側片16b,16bの高さは、長手方向の中央が最も高く、長手方向の両端に向うに従って次第に低くなるように形成される。なお、図3中の符号17はFRP補強体16を第2デフレクタ本体22の裏面に接着するための接着用FRPシートである。この接着用FRPシート17はFRP補強体16の外面から第2デフレクタ本体22の裏面にわたって設けられる。
【0014】
一方、第1デフレクタ11は、前方から後方にかけて曲率が大きく変化する曲面に形成された第1デフレクタ本体21と、この第1デフレクタ本体21の前部裏面に接着された第1FRP補強体31と、第1デフレクタ本体21の前部裏面から後部裏面にかけて接着された第2FRP補強体32とを有する(図5及び図6)。第1デフレクタ本体21の前部は、前方に突出するとともに、トラクタの進行方向に平行な断面(以下、進行方向断面という)における曲率が極めて大きい曲面を有する板状に形成される。また第1デフレクタ本体21の中央部は、上方に突出するとともに、進行方向断面における曲率が比較的小さい曲面を有する板状に形成される。更に第1デフレクタ本体21の後部は、前側が上方に突出しかつ後側が下方に突出するとともに、進行方向断面における曲率が極めて大きい断面略逆S字状の曲面を有する板状に形成される。第1FRP補強体31は、長さが比較的短く形成され、第1デフレクタ本体21の前部裏面にトラクタの進行方向に延びて設けられる。第2FRP補強体32は、長さが比較的長く形成され、第1デフレクタ本体21の前部裏面から後部裏面にかけてトラクタの進行方向に延びて設けられる。第1FRP補強体31は、直交断面が第1デフレクタ本体21とともに閉断面に形成される。また第1FRP補強体31は、平面帯状に形成された第1補強体主部31aと、一側縁が第1補強体主部31aの両側縁にそれぞれ連設された一対の第1補強体側片31b,31bとを有する。平面帯状の第1補強体主部31aは長手方向断面及び直交断面がいずれも直線状に形成される。また一対の第1補強体側片31b,31bの他側縁は第1デフレクタ本体21の曲面に沿う曲線、即ち極めて曲率の大きい曲線にそれぞれ形成される。これらの第1補強体側片31b,31bの高さは、前端が最も低く、後方に向うに従って次第に高くなるように形成される。なお、図6中の符号41は第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21の裏面に接着するための第1接着用FRPシートである。この第1接着用FRPシート41は第1FRP補強体31の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にわたって設けられる。
【0015】
第2FRP補強体32の前部は第1FRP補強体31の後部に連結される、即ち第2FRP補強体32の前部は第1FRP補強体31の後部に嵌入される(図5及び図6)。第2FRP補強体32は、直交断面が第1デフレクタ本体21とともに閉断面に形成される。また第2FRP補強体32は、平面帯状に形成された第2補強体主部32aと、一側縁が第2補強体主部32aの両側縁にそれぞれ連設された一対の第2補強体側片32b,32bとを有する。平面帯状の第2補強体主部32aは長手方向断面及び直交断面がいずれも直線状に形成される。また一対の第2補強体側片32b,32bの他側縁は第1デフレクタ本体21の曲面に沿う曲線、即ち前部から中央にかけて比較的曲率が小さく後部で曲率が大きく変化し反転する曲線にそれぞれ形成される。これらの第2補強体側片32b,32bの高さは、前端が最も低く、後方に向うに従って次第に高くなり、更に後方に向うと急激に低くなるように形成される。なお、図6中の符号42は第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21の裏面に接着するための第2接着用FRPシートである。この第2接着用FRPシート42は第2FRP補強体32の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にわたって設けられる。
【0016】
このように構成された第2デフレクタ12の製造方法を説明する。
(1-a) 第2デフレクタ本体22の作製
第2デフレクタ本体22に相応する形状に加工された第2本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。ガラスマットとしてはガラス繊維の不織布を用いることが好ましく、樹脂液としては不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2デフレクタ本体22が得られる(図3及び図4)。
【0017】
(1-b) FRP補強体16の作製
先ずFRP補強体16の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマット16cを作製した後に、FRP補強体16を成形するための補強体用下型18に補強体用ガラスマット16cを被せる(図1及び図2)。補強体用下型18はこの下型の長手方向に直交する断面が略凸字状に形成される。次に補強体用ガラスマット16cに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部16dを形成する。補強体用ガラスマット16c及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。更に上記補強体用ガラスマット16cの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、補強体用ガラスマット16cと樹脂部16dとを積層した構造の半乾きのFRP補強体16が得られる。
【0018】
(1-c) FRP補強体16の第2デフレクタ本体22への接着
半乾きのFRP補強体16を半乾きの第2デフレクタ本体22裏面の曲面に押付ける(図3及び図4)。このときFRP補強体16の補強体側片16bの先端縁が第2デフレクタ本体22裏面の曲面に相応する形状に形成されているため、FRP補強体16を殆ど変形させることなく、半乾きの樹脂部16dの接着力によりFRP補強体16を第2デフレクタ本体22裏面に一時的に固定でき、FRP補強体16が第2デフレクタ本体22から離れることがない。この状態で接着用FRPシート17を用いてFRP補強体16を第2デフレクタ本体22の裏面に接着する。具体的には、FRP補強体16の外面から第2デフレクタ本体22の裏面にかけて接着用ガラスマットを被せ、この接着用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。接着用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記接着用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返す。これによりFRP補強体16を第2デフレクタ本体22の裏面にする接着用FRPシート17が形成される。
【0019】
このように製造された第2デフレクタ12では、第2デフレクタ本体22が外側に突出する曲面を有しかつFRP補強体16が第2デフレクタ本体22の裏面に接着される。このときFRP補強体16の長手方向中央の補強体側片16bの高さを高くしたので、この部分の第2デフレクタ本体22の剛性を向上できる。即ち、FRP補強体16を作製するための型として、補強体用上型を用いずに、比較的廉価な汎用型である補強体用下型18のみを用いても、FRP補強体16の補強体側片16bの高さを容易に変更できるので、直交断面形状の自由度の高いFRP補強体16を作製でき、各部の強度に過不足なく最適な強度を有する第2デフレクタ12が得られる。
【0020】
次に第1デフレクタ11の製造方法を説明する。
(2-a) 第1デフレクタ本体21の作製
第1デフレクタ本体21に相応する形状に加工された第1本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1デフレクタ本体21が得られる(図5及び図6)。
【0021】
(2-b) 第1FRP補強体31の作製
先ず第1FRP補強体31の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより第1補強体用ガラスマットを作製した後に、第1FRP補強体31を成形するための第1補強体用下型に第1補強体用ガラスマットを被せる。第1補強体用下型はこの下型の長手方向に直交する断面が略凸字状に形成される。次に第1補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第1補強体用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。更に上記第1補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第1補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1FRP補強体31が得られる(図5及び図6)。
【0022】
(2-c) 第1FRP補強体31の第1デフレクタ本体21への接着
半乾きの第1FRP補強体31を半乾きの第1デフレクタ本体21裏面の曲面に押付ける。このとき第1FRP補強体31の第1補強体側片31bの先端縁が第1デフレクタ本体21裏面の曲面に相応する形状に形成されているため、第1FRP補強体31を殆ど変形させることなく、半乾きの樹脂部の接着力により第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21裏面に一時的に固定でき、第1FRP補強体31が第1デフレクタ本体21から離れることがない。この状態で第1接着用FRPシート41を用いて第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する(図6)。具体的には、第1FRP補強体31の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にかけて第1接着用ガラスマットを被せ、この第1接着用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第1接着用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記第1接着用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返す。これにより第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する第1接着用FRPシート41が形成される。
【0023】
(2-d) 第2FRP補強体32の作製
先ず第2FRP補強体32の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより第2補強体用ガラスマットを作製した後に、第2FRP補強体32を成形するための第2補強体用下型に第2補強体用ガラスマットを被せる(図1)。第2補強体用下型はこの下型の長手方向に直交する断面が略凸字状に形成される。次に第2補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第2補強体用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。更に上記第2補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第2補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2FRP補強体32が得られる(図5及び図6)。
【0024】
(2-e) 第2FRP補強体32の第1デフレクタ本体21への接着
半乾きの第2FRP補強体32を半乾きの第1デフレクタ本体21裏面の曲面に押付ける。このとき第2FRP補強体32の第2補強体側片32bの先端縁が第1デフレクタ本体21裏面の曲面に相応する形状に形成されているため、第2FRP補強体32を殆ど変形させることなく、半乾きの樹脂部の接着力により第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21裏面に一時的に固定でき、第2FRP補強体32が第1デフレクタ本体21から離れることがない。この状態で第2接着用FRPシート42を用いて第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する(図6)。具体的には、第2FRP補強体32の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にかけて第2接着用ガラスマットを被せ、この第2接着用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第2接着用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記第2接着用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返す。これにより第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する第2接着用FRPシート42が形成される。
【0025】
このように製造された第1デフレクタ11では、第1デフレクタ本体21の前部が外側に突出する曲面を有しかつ第1FRP補強体31が第1デフレクタ本体21の前部裏面に接着される。このとき第1FRP補強体31の後部の第1補強体側片31bの高さを高くしたので、この部分の第1デフレクタ本体21の剛性を向上できる。また第1デフレクタ本体21の中央部から後部にかけて外側に突出した後内側に突出する曲面を有しかつ第2FRP補強体32が第1デフレクタ本体21の裏面に接着される。このとき第2FRP補強体32の長手方向中央の第2補強体側片32bの高さを高くしたので、この部分の第2デフレクタ本体21の剛性を向上できる。即ち、第1及び第2FRP補強体31,32を作製するための型として、第1及び第2補強体用上型を用いずに、比較的廉価な汎用型である第1及び第2補強体用下型のみを用いても、第1及び第2FRP補強体31,32の第1及び第2補強体側片31b,32bの高さを容易に変更できるので、直交断面形状の自由度の高い第1及び第2FRP補強体31,32をそれぞれ作製でき、各部の強度に過不足なく最適な強度を有する第1デフレクタ21が得られる。更に第1FRP補強体31の後部と第2FRP補強体32の前部がスムーズに結合されているので、第1FRP補強体31と第2FRP補強体32との結合部に応力集中が発生するのを防止できる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、補強体用下型に補強体用ガラスマットを被せる前に、FRP補強体の展開形状に合わせてガラスマットを切断して補強体用ガラスマットを作製したが、図8に示すように、ガラスマットをFRP補強体56の展開形状に合わせる切断を行わずに略長方形の状態で補強体用下型18に被せ、上記実施の形態と同様にガラスマットの被せ工程と樹脂液の含浸工程と樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きの補強体用側片56bの側端縁を切断していない未処理のFRP補強体56を作製した後に、この半乾きのFRP補強体56の一対の補強体側片56bの先端縁を第2デフレクタの曲面に合せて切断してもよい。図8において図1と同一符号は同一部品を示す。
また、上記実施の形態では、FRP補強体を第2デフレクタ本体の裏面に接着するために接着用FRPシートを用い、第1及び第2FRP補強体を第1デフレクタ本体の裏面に接着するために第1及び第2接着用FRPシートをそれぞれ用いたが、これらのFRPシートを用いずに接着剤で接着してもよい。
更に、上記実施の形態では、FRP成形体としてトラクタのキャブのルーフパネル上に設けた第1及び第2デフレクタ本体を挙げたが、曲面を有する板状のFRP成形体であれば、バスのエンジンフードやバスのフロントパネル等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明実施形態のFRP製のウインドデフレクタのデフレクタ本体を補強するためのFRP補強体の製造過程を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明のFRP補強体により補強されたデフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図7のC−C線断面図である。
【図6】本発明の第1及び第2FRP補強体により補強された第1デフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【図7】そのウインドデフレクタが取付けられたキャブを含むトラクタの斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態のFRP補強体を製造する工程を示す工程図である。
【図9】従来例を示す図1に対応するFRP補強体の製造過程を示す斜視図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】従来のFRP補強体により補強されたデフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【図12】図11のE−E線断面図である。
【図13】従来例を示す図5に対応する断面図である。
【図14】従来の第1及び第2FRP補強体により補強された第1デフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
16,56 FRP補強体
16a 補強体主部
16b 補強体側片
16c 補強体用ガラスマット
18 補強体用下型
21 第1デフレクタ本体(第1FRP成形体)
22 第2デフレクタ本体(第2FRP成形体)
31 第1FRP補強体
32 第2FRP補強体
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維補強プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、以下、FRPという)により成形された車両のウインドデフレクタやエンジンフード等のFRP成形体を補強するための構造と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、補強リブを有するFRP成形物を成形するための一方の成形型の補強リブ成形部に強化繊維マットを介在させた後に補強材を配置し、この補強材の上方に補強材とは別の独立気泡のヒケ防止シートを補強リブ全幅にわたって敷設し、更に引け防止シートに強化繊維マットを介在させた状態で他方の成形型を当接させて成形型内に樹脂を注入硬化させるFRP成形物の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このFRP成形物の製造方法では、上記一方の成形型である下型に上記他方の成形型である上型を当接させて形成されたキャビティに、樹脂を注入することにより、FRP成形物を製造するRIM法(Resin Injection Molding法)が用いられる。
このように構成されたFRP成形物の製造方法では、補強リブ内に埋設した補強材により成形品の補強がなされ、補強リブの幅と略同じか或いはそれ以上の幅を有するヒケ防止シートによってヒケを防止できるようになっている。
【0003】
一方、所定の形状の下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸固着する工程を手作業で行うHLU法(Hand Lay Up法)でFRP成形体を製造する方法が知られている。このHLU法を用いて車両のキャブのルーフパネルに取付けられるウインドデフレクタを製造する方法を例に挙げる。図13に示すように、ウインドデフレクタ114は、ルーフパネル113aの前縁及び両側縁を覆う第1デフレクタ111と、ルーフパネル113aの中央及び後縁を覆う第2デフレクタ112とを備える。第1デフレクタ111は、前方から後方にかけて曲率が大きく変化する曲面に形成された第1デフレクタ本体121と、この第1デフレクタ本体121の前部裏面に接着された第1FRP補強体131と、第1デフレクタ本体121の前部裏面から後部裏面にかけて接着された第2FRP補強体132とを有する(図13及び図14)。また第2デフレクタ112は、上方に突出する曲面を有する比較的広い面積の板状に形成された第2デフレクタ本体122と、この第2デフレクタ本体122の裏面に接着されたFRP補強体116とを有する(図11及び図12)。
【0004】
先ず第2デフレクタ112の製造方法を説明する。
(1-a) 第2デフレクタ本体122の作製
第2デフレクタ本体122に相応する形状に加工された第2本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2デフレクタ本体122が得られる(図11及び図12)。
(1-b) FRP補強体116の作製
FRP補強体116を成形するための補強体用下型118に長方形状のガラスマット116cを被せ、このガラスマット116cに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部116dを形成する(図9及び図10)。上記補強体用ガラスマット116cの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、補強体用ガラスマット116cと樹脂部116dとを積層した構造の半乾きのFRP補強体116が得られる。
(1-c) FRP補強体116の第2デフレクタ本体122への接着
半乾きのFRP補強体116を半乾きの第2デフレクタ本体122裏面の曲面に押付ける(図11及び図12)。このときFRP補強体116が第2デフレクタ本体122裏面の曲面に相応する形状に変形され、半乾きの樹脂部116dの接着力によりFRP補強体116が第2デフレクタ本体122裏面に一時的に固定される。この状態で接着用FRPシート117を用いてFRP補強体116を第2デフレクタ本体122の裏面に接着する。
【0005】
次に第1デフレクタ111の製造方法を説明する。
(2-a) 第1デフレクタ本体121の作製
第1デフレクタ本体121に相応する形状に加工された第1本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1デフレクタ本体121が得られる(図13及び図14)。
(2-b) 第1FRP補強体131の作製
第1FRP補強体131を成形するための第1補強体用下型に長方形状のガラスマットを被せ、ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記第1補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第1補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1FRP補強体131が得られる(図13及び図14)。
(2-c) 第1FRP補強体131の第1デフレクタ本体121への接着
半乾きの第1FRP補強体131を半乾きの第1デフレクタ本体121裏面の曲面に押付ける(図13及び図14)。このとき第1FRP補強体131が第1デフレクタ本体121裏面の曲面に相応する形状に変形され、半乾きの樹脂部の接着力により第1FRP補強体131が第1デフレクタ本体121裏面に一時的に固定される。この状態で第1接着用FRPシート141を用いて第1FRP補強体131を第1デフレクタ本体121の裏面に接着する。
【0006】
(2-d) 第2FRP補強体132の作製
第2FRP補強体132を成形するための第2補強体用下型に長方形状のガラスマットを被せ。ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。上記第2補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第2補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2FRP補強体132が得られる(図13及び図14)。
(2-e) 第2FRP補強体132の第1デフレクタ本体121への接着
半乾きの第2FRP補強体132を半乾きの第1デフレクタ本体121裏面の曲面に押付ける(図13及び図14)。このとき第2FRP補強体132が第1デフレクタ本体121裏面の曲面に相応する形状に変形され、半乾きの樹脂部の接着力により第2FRP補強体132が第1デフレクタ本体121裏面に一時的に固定される。この状態で第2接着用FRPシート142を用いて第2FRP補強体132を第1デフレクタ本体121の裏面に接着する(図13及び図14)。
【特許文献1】特開平5− 11724号公報(請求項1、明細書第2頁左欄第22行目〜同頁左欄25行目、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載されたFRP成形物の製造方法では、補強リブを有するFRP成形物全体を成形するための大型の上型及び下型を必要とするため、製造コストが大幅に増大し、FRP成形物の種類が多く、しかも製作数量が少ない場合には適さないという不具合があった。
また、上記特許文献1に記載されたFRP成形物の製造方法では、補強リブに埋設される補強材やヒケ防止シートを必要とするため、部品点数が増大し、部品管理が煩わしくなる問題点もあった。
また、上記HLU法を用いたウインドデフレクタの製造方法では、半乾きのFRP補強体を半乾きのデフレクタ本体裏面の曲面に押付けるとき、FRP補強体を第1デフレクタ本体裏面の曲面に相応する形状に変形させなければならず、FRP補強体の弾性力によりFRP補強体が第1デフレクタ本体裏面から剥がれるおそれがあり、この場合FRP補強体のFRP成形体への接着時の作業性が低下する問題点があった。
更に、上記HLU法を用いたウインドデフレクタの製造方法では、第1FRP補強体の第1補強体側片が全長にわたって比較的低く一定に形成され、第2FRP補強体の第2補強体側片が全長にわたって比較的高く一定に形成されているため、第1FRP補強体の後部と第2FRP補強体の前部との結合部に段差が発生してしまい、この結合部に応力集中が発生してしまうおそれがあった。
本発明の第1の目的は、FRP補強体のFRP成形体への接着時の作業性を向上できる、FRP成形体の補強構造及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型のみを用いても、FRP補強体の補強体側片の高さを変更することにより、各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体を得ることができる、FRP成形体の補強構造の製造方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、FRP補強体同士を段差なくスムーズに結合することにより、この結合部に応力集中が発生するのを防止できる、FRP成形体の補強構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、図3〜図6に示すように、曲面を有する板状に成形されたFRP成形体21,22と、FRP成形体21,22の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びかつ長手方向に直交する断面がFRP成形体21,22とともに閉断面に形成されたFRP補強体16,31,32とを備えたFRP成形体の補強構造の改良である。
その特徴ある構成は、FRP補強体16,31,32が、平面帯状に形成された補強体主部16a,31a,32aと、一側縁が補強体主部16a,31a,32aの両側縁にそれぞれ連設され他側縁がFRP成形体21,22の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成された一対の補強体側片16b,31b,32bとを有するところにある。
この請求項1に記載されたFRP成形体の補強構造では、FRP補強体16,31,32のFRP成形体21,22への接着時にFRP補強体16,31,32を殆ど変形させることなく、FRP補強体16,31,32をFRP成形体21,22に一時的に固定できる。またFRP補強体16,31,32の補強体側片16b,31b,32bの高さを変更することにより、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体16,31,32を作製できる。
【0009】
請求項2に係る発明は、図1〜図4に示すように、曲面を有する板状に成形されたFRP成形体21,22を補強するFRP補強体16,31,32の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマット16cを作製する工程と、FRP補強体16を成形するための所定の補強体用下型18に補強体用ガラスマット16cを被せる工程と、補強体用ガラスマット16cに樹脂液を塗布して含浸する工程と、含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、補強体用ガラスマット16cの被せ工程と樹脂液の含浸工程と樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体16,31,32を作製する工程と、半乾きのFRP補強体16,31,32をFRP成形体21,22の曲面に押付ける工程とを含むFRP成形体の補強構造の製造方法である。
この請求項2に記載されたFRP成形体の補強構造の製造方法では、FRP補強体16,31,32を作製するために、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型18のみを用いても、FRP補強体16,31,32のFRP成形体21,22への接着時にFRP補強体16,31,32を殆ど変形させることなく、FRP補強体16,31,32をFRP成形体21,22に一時的に固定できる。またFRP補強体16,31,32の補強体側片16b,31b,32bの高さを変更することにより、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体16,31,32を作製できる。更にFRP補強体31,32同士を結合するときに、この結合部に段差を発生させずに、FRP補強体31,32をスムーズに結合することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、図8に示すように、FRP補強体56を成形するための所定の補強体用下型18に補強体用ガラスマットを被せる工程と、補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸する工程と、含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、補強体用ガラスマットの被せ工程と樹脂液の含浸工程と樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体56を作製する工程と、半乾きのFRP補強体56の一対の補強体側片56bの先端縁をFRP成形体の曲面に合せて切断する工程と、FRP補強体56をFRP成形体の曲面に押付ける工程とを含むFRP成形体の補強構造の製造方法である。
この請求項3に記載されたFRP成形体の補強構造の製造方法では、FRP補強体56を作製するために、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型18のみを用いても、FRP補強体56のFRP成形体への接着時にFRP補強体56を殆ど変形させることなく、FRP補強体56をFRP成形体に一時的に固定できる。またFRP補強体56の補強体側片56bの高さを変更することにより、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体56を作製できる。更にFRP補強体56同士を結合するときに、この結合部に段差を発生させずに、FRP補強体56をスムーズに結合することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、FRP成形体を補強するFRP補強体の補強体主部を平面帯状に形成し、補強体主部の両側縁に一対の補強体側片の一側縁をそれぞれ連設し、更にこれらの補強体側片の他側縁をFRP成形体の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成したので、FRP補強体のFRP成形体への接着時にFRP補強体を殆ど変形させずに、FRP補強体をFRP成形体に一時的に固定できる。この結果、FRP補強体のFRP成形体への一時的な固定時に、FRP補強体がFRP成形体から離れることがないので、固定FRP補強体のFRP成形体への接着作業性を向上できる。またFRP補強体の補強体側片の高さを容易に変更することができるので、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体を作製できる。この結果、FRP成形体の各部の強度に合せてFRP補強体の補強体側片の高さを変更することにより、各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体が得られる。
【0012】
またFRP成形体を補強するFRP補強体の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマットを作製した後に、この補強体用ガラスマットを補強体用下型に被せる工程と補強体用ガラスマットに樹脂液を含浸する工程と樹脂液を半乾きにする工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体を作製し、この半乾きのFRP補強体をFRP成形体の曲面に押付ければ、補強体用上型を用いずに比較的廉価な汎用型である補強体用下型のみを用いても、FRP補強体のFRP成形体への接着時にFRP補強体を殆ど変形させずに、FRP補強体をFRP成形体に一時的に固定できる。この結果、FRP補強体のFRP成形体への一時的な固定時に、FRP補強体がFRP成形体から離れることがないので、上記と同様に固定FRP補強体のFRP成形体への接着作業性を向上できる。またFRP補強体の補強体側片の高さを容易に変更することができるので、長手方向に直交する断面形状の自由度の高いFRP補強体を作製できる。この結果、FRP成形体の各部の強度に合せてFRP補強体の補強体側片の高さを変更することにより、上記と同様に各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体が得られる。またFRP補強体同士を結合するときに、この結合部に段差が発生することなく、FRP補強体をスムーズに結合することができるので、FRP補強体の結合部に応力集中が発生するのを防止できる。
更に補強体用ガラスマットを補強体用下型に被せる工程と補強体用ガラスマットに樹脂液を含浸する工程と樹脂液を半乾きにする工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体を作製し、この半乾きのFRP補強体の一対の補強体側片の先端縁をFRP成形体の曲面に合せて切断した後に、FRP補強体をFRP成形体の曲面に押付ければ、上記と同様に、固定FRP補強体のFRP成形体への接着作業性を向上でき、各部の強度に過不足なく最適な強度を有するFRP成形体が得られるとともに、FRP補強体の結合部に応力集中が発生するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図5及び図7に示すように、トラクタ10のキャブ13のルーフパネル13a上面には、FRPにより形成されたウインドデフレクタ14が取付けられる。このウインドデフレクタ14は、ルーフパネル13aの前縁及び両側縁を覆う第1デフレクタ11と、ルーフパネル13aの中央及び後縁を覆う第2デフレクタ12とを備える(図5及び図7)。第2デフレクタ12は、上方に突出する曲面を有する比較的広い面積の板状に形成された第2デフレクタ本体22と、この第2デフレクタ本体22の裏面に接着されたFRP補強体16とを有する(図3及び図4)。このFRP補強体16は第2デフレクタ本体22の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びて設けられ、FRP補強体16の長手方向に直交する断面が第2デフレクタ本体22とともに閉断面に形成される。またFRP補強体16は、平面帯状に形成された補強体主部16aと、一側縁が補強体主部16aの両側縁にそれぞれ連設された一対の補強体側片16b,16bとを有する。平面帯状の補強体主部16aはFRP補強体16の長手方向に平行な断面(以下、長手方向断面という)及び長手方向に直交する断面(以下、直交断面という)がいずれも直線状に形成される。また一対の補強体側片16b,16bの他側縁は第2デフレクタ本体22の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成される。これらの補強体側片16b,16bの高さは、長手方向の中央が最も高く、長手方向の両端に向うに従って次第に低くなるように形成される。なお、図3中の符号17はFRP補強体16を第2デフレクタ本体22の裏面に接着するための接着用FRPシートである。この接着用FRPシート17はFRP補強体16の外面から第2デフレクタ本体22の裏面にわたって設けられる。
【0014】
一方、第1デフレクタ11は、前方から後方にかけて曲率が大きく変化する曲面に形成された第1デフレクタ本体21と、この第1デフレクタ本体21の前部裏面に接着された第1FRP補強体31と、第1デフレクタ本体21の前部裏面から後部裏面にかけて接着された第2FRP補強体32とを有する(図5及び図6)。第1デフレクタ本体21の前部は、前方に突出するとともに、トラクタの進行方向に平行な断面(以下、進行方向断面という)における曲率が極めて大きい曲面を有する板状に形成される。また第1デフレクタ本体21の中央部は、上方に突出するとともに、進行方向断面における曲率が比較的小さい曲面を有する板状に形成される。更に第1デフレクタ本体21の後部は、前側が上方に突出しかつ後側が下方に突出するとともに、進行方向断面における曲率が極めて大きい断面略逆S字状の曲面を有する板状に形成される。第1FRP補強体31は、長さが比較的短く形成され、第1デフレクタ本体21の前部裏面にトラクタの進行方向に延びて設けられる。第2FRP補強体32は、長さが比較的長く形成され、第1デフレクタ本体21の前部裏面から後部裏面にかけてトラクタの進行方向に延びて設けられる。第1FRP補強体31は、直交断面が第1デフレクタ本体21とともに閉断面に形成される。また第1FRP補強体31は、平面帯状に形成された第1補強体主部31aと、一側縁が第1補強体主部31aの両側縁にそれぞれ連設された一対の第1補強体側片31b,31bとを有する。平面帯状の第1補強体主部31aは長手方向断面及び直交断面がいずれも直線状に形成される。また一対の第1補強体側片31b,31bの他側縁は第1デフレクタ本体21の曲面に沿う曲線、即ち極めて曲率の大きい曲線にそれぞれ形成される。これらの第1補強体側片31b,31bの高さは、前端が最も低く、後方に向うに従って次第に高くなるように形成される。なお、図6中の符号41は第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21の裏面に接着するための第1接着用FRPシートである。この第1接着用FRPシート41は第1FRP補強体31の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にわたって設けられる。
【0015】
第2FRP補強体32の前部は第1FRP補強体31の後部に連結される、即ち第2FRP補強体32の前部は第1FRP補強体31の後部に嵌入される(図5及び図6)。第2FRP補強体32は、直交断面が第1デフレクタ本体21とともに閉断面に形成される。また第2FRP補強体32は、平面帯状に形成された第2補強体主部32aと、一側縁が第2補強体主部32aの両側縁にそれぞれ連設された一対の第2補強体側片32b,32bとを有する。平面帯状の第2補強体主部32aは長手方向断面及び直交断面がいずれも直線状に形成される。また一対の第2補強体側片32b,32bの他側縁は第1デフレクタ本体21の曲面に沿う曲線、即ち前部から中央にかけて比較的曲率が小さく後部で曲率が大きく変化し反転する曲線にそれぞれ形成される。これらの第2補強体側片32b,32bの高さは、前端が最も低く、後方に向うに従って次第に高くなり、更に後方に向うと急激に低くなるように形成される。なお、図6中の符号42は第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21の裏面に接着するための第2接着用FRPシートである。この第2接着用FRPシート42は第2FRP補強体32の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にわたって設けられる。
【0016】
このように構成された第2デフレクタ12の製造方法を説明する。
(1-a) 第2デフレクタ本体22の作製
第2デフレクタ本体22に相応する形状に加工された第2本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。ガラスマットとしてはガラス繊維の不織布を用いることが好ましく、樹脂液としては不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2デフレクタ本体22が得られる(図3及び図4)。
【0017】
(1-b) FRP補強体16の作製
先ずFRP補強体16の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマット16cを作製した後に、FRP補強体16を成形するための補強体用下型18に補強体用ガラスマット16cを被せる(図1及び図2)。補強体用下型18はこの下型の長手方向に直交する断面が略凸字状に形成される。次に補強体用ガラスマット16cに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部16dを形成する。補強体用ガラスマット16c及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。更に上記補強体用ガラスマット16cの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、補強体用ガラスマット16cと樹脂部16dとを積層した構造の半乾きのFRP補強体16が得られる。
【0018】
(1-c) FRP補強体16の第2デフレクタ本体22への接着
半乾きのFRP補強体16を半乾きの第2デフレクタ本体22裏面の曲面に押付ける(図3及び図4)。このときFRP補強体16の補強体側片16bの先端縁が第2デフレクタ本体22裏面の曲面に相応する形状に形成されているため、FRP補強体16を殆ど変形させることなく、半乾きの樹脂部16dの接着力によりFRP補強体16を第2デフレクタ本体22裏面に一時的に固定でき、FRP補強体16が第2デフレクタ本体22から離れることがない。この状態で接着用FRPシート17を用いてFRP補強体16を第2デフレクタ本体22の裏面に接着する。具体的には、FRP補強体16の外面から第2デフレクタ本体22の裏面にかけて接着用ガラスマットを被せ、この接着用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。接着用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記接着用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返す。これによりFRP補強体16を第2デフレクタ本体22の裏面にする接着用FRPシート17が形成される。
【0019】
このように製造された第2デフレクタ12では、第2デフレクタ本体22が外側に突出する曲面を有しかつFRP補強体16が第2デフレクタ本体22の裏面に接着される。このときFRP補強体16の長手方向中央の補強体側片16bの高さを高くしたので、この部分の第2デフレクタ本体22の剛性を向上できる。即ち、FRP補強体16を作製するための型として、補強体用上型を用いずに、比較的廉価な汎用型である補強体用下型18のみを用いても、FRP補強体16の補強体側片16bの高さを容易に変更できるので、直交断面形状の自由度の高いFRP補強体16を作製でき、各部の強度に過不足なく最適な強度を有する第2デフレクタ12が得られる。
【0020】
次に第1デフレクタ11の製造方法を説明する。
(2-a) 第1デフレクタ本体21の作製
第1デフレクタ本体21に相応する形状に加工された第1本体用下型にガラスマットを被せ、このガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1デフレクタ本体21が得られる(図5及び図6)。
【0021】
(2-b) 第1FRP補強体31の作製
先ず第1FRP補強体31の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより第1補強体用ガラスマットを作製した後に、第1FRP補強体31を成形するための第1補強体用下型に第1補強体用ガラスマットを被せる。第1補強体用下型はこの下型の長手方向に直交する断面が略凸字状に形成される。次に第1補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第1補強体用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。更に上記第1補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第1補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第1FRP補強体31が得られる(図5及び図6)。
【0022】
(2-c) 第1FRP補強体31の第1デフレクタ本体21への接着
半乾きの第1FRP補強体31を半乾きの第1デフレクタ本体21裏面の曲面に押付ける。このとき第1FRP補強体31の第1補強体側片31bの先端縁が第1デフレクタ本体21裏面の曲面に相応する形状に形成されているため、第1FRP補強体31を殆ど変形させることなく、半乾きの樹脂部の接着力により第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21裏面に一時的に固定でき、第1FRP補強体31が第1デフレクタ本体21から離れることがない。この状態で第1接着用FRPシート41を用いて第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する(図6)。具体的には、第1FRP補強体31の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にかけて第1接着用ガラスマットを被せ、この第1接着用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第1接着用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記第1接着用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返す。これにより第1FRP補強体31を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する第1接着用FRPシート41が形成される。
【0023】
(2-d) 第2FRP補強体32の作製
先ず第2FRP補強体32の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより第2補強体用ガラスマットを作製した後に、第2FRP補強体32を成形するための第2補強体用下型に第2補強体用ガラスマットを被せる(図1)。第2補強体用下型はこの下型の長手方向に直交する断面が略凸字状に形成される。次に第2補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この含浸した樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第2補強体用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。更に上記第2補強体用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返すことにより、第2補強体用ガラスマットと樹脂部とを積層した構造の半乾きの第2FRP補強体32が得られる(図5及び図6)。
【0024】
(2-e) 第2FRP補強体32の第1デフレクタ本体21への接着
半乾きの第2FRP補強体32を半乾きの第1デフレクタ本体21裏面の曲面に押付ける。このとき第2FRP補強体32の第2補強体側片32bの先端縁が第1デフレクタ本体21裏面の曲面に相応する形状に形成されているため、第2FRP補強体32を殆ど変形させることなく、半乾きの樹脂部の接着力により第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21裏面に一時的に固定でき、第2FRP補強体32が第1デフレクタ本体21から離れることがない。この状態で第2接着用FRPシート42を用いて第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する(図6)。具体的には、第2FRP補強体32の外面から第1デフレクタ本体21の裏面にかけて第2接着用ガラスマットを被せ、この第2接着用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸した後に、この樹脂液を半乾きにして樹脂部を形成する。第2接着用ガラスマット及び樹脂液の樹脂としては上記(1-a)に記載したものと同一のものが用いられる。上記第2接着用ガラスマットの被せ工程と上記樹脂液の含浸工程と上記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返す。これにより第2FRP補強体32を第1デフレクタ本体21の裏面に接着する第2接着用FRPシート42が形成される。
【0025】
このように製造された第1デフレクタ11では、第1デフレクタ本体21の前部が外側に突出する曲面を有しかつ第1FRP補強体31が第1デフレクタ本体21の前部裏面に接着される。このとき第1FRP補強体31の後部の第1補強体側片31bの高さを高くしたので、この部分の第1デフレクタ本体21の剛性を向上できる。また第1デフレクタ本体21の中央部から後部にかけて外側に突出した後内側に突出する曲面を有しかつ第2FRP補強体32が第1デフレクタ本体21の裏面に接着される。このとき第2FRP補強体32の長手方向中央の第2補強体側片32bの高さを高くしたので、この部分の第2デフレクタ本体21の剛性を向上できる。即ち、第1及び第2FRP補強体31,32を作製するための型として、第1及び第2補強体用上型を用いずに、比較的廉価な汎用型である第1及び第2補強体用下型のみを用いても、第1及び第2FRP補強体31,32の第1及び第2補強体側片31b,32bの高さを容易に変更できるので、直交断面形状の自由度の高い第1及び第2FRP補強体31,32をそれぞれ作製でき、各部の強度に過不足なく最適な強度を有する第1デフレクタ21が得られる。更に第1FRP補強体31の後部と第2FRP補強体32の前部がスムーズに結合されているので、第1FRP補強体31と第2FRP補強体32との結合部に応力集中が発生するのを防止できる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、補強体用下型に補強体用ガラスマットを被せる前に、FRP補強体の展開形状に合わせてガラスマットを切断して補強体用ガラスマットを作製したが、図8に示すように、ガラスマットをFRP補強体56の展開形状に合わせる切断を行わずに略長方形の状態で補強体用下型18に被せ、上記実施の形態と同様にガラスマットの被せ工程と樹脂液の含浸工程と樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きの補強体用側片56bの側端縁を切断していない未処理のFRP補強体56を作製した後に、この半乾きのFRP補強体56の一対の補強体側片56bの先端縁を第2デフレクタの曲面に合せて切断してもよい。図8において図1と同一符号は同一部品を示す。
また、上記実施の形態では、FRP補強体を第2デフレクタ本体の裏面に接着するために接着用FRPシートを用い、第1及び第2FRP補強体を第1デフレクタ本体の裏面に接着するために第1及び第2接着用FRPシートをそれぞれ用いたが、これらのFRPシートを用いずに接着剤で接着してもよい。
更に、上記実施の形態では、FRP成形体としてトラクタのキャブのルーフパネル上に設けた第1及び第2デフレクタ本体を挙げたが、曲面を有する板状のFRP成形体であれば、バスのエンジンフードやバスのフロントパネル等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明実施形態のFRP製のウインドデフレクタのデフレクタ本体を補強するためのFRP補強体の製造過程を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明のFRP補強体により補強されたデフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図7のC−C線断面図である。
【図6】本発明の第1及び第2FRP補強体により補強された第1デフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【図7】そのウインドデフレクタが取付けられたキャブを含むトラクタの斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態のFRP補強体を製造する工程を示す工程図である。
【図9】従来例を示す図1に対応するFRP補強体の製造過程を示す斜視図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】従来のFRP補強体により補強されたデフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【図12】図11のE−E線断面図である。
【図13】従来例を示す図5に対応する断面図である。
【図14】従来の第1及び第2FRP補強体により補強された第1デフレクタ本体を裏側から見た要部斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
16,56 FRP補強体
16a 補強体主部
16b 補強体側片
16c 補強体用ガラスマット
18 補強体用下型
21 第1デフレクタ本体(第1FRP成形体)
22 第2デフレクタ本体(第2FRP成形体)
31 第1FRP補強体
32 第2FRP補強体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面を有する板状に成形されたFRP成形体(21,22)と、前記FRP成形体(21,22)の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びかつ長手方向に直交する断面が前記FRP成形体(21,22)とともに閉断面に形成されたFRP補強体(16,31,32,56)とを備えたFRP成形体の補強構造において、
前記FRP補強体(16,31,32,56)が、平面帯状に形成された補強体主部(16a,31a,32a)と、一側縁が前記補強体主部(16a,31a,32a)の両側縁にそれぞれ連設され他側縁が前記FRP成形体(21,22)の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成された一対の補強体側片(16b,31b,32b,56b)とを有することを特徴とするFRP成形体の補強構造。
【請求項2】
曲面を有する板状に成形されたFRP成形体(21,22)を補強するFRP補強体(16,31,32)の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマット(16c)を作製する工程と、
前記FRP補強体(16,31,32)を成形するための所定の補強体用下型(18)に前記補強体用ガラスマット(16c)を被せる工程と、
前記補強体用ガラスマット(16c)に樹脂液を塗布して含浸する工程と、
前記含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、
前記補強体用ガラスマット(16c)の被せ工程と前記樹脂液の含浸工程と前記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体(16,31,32)を作製する工程と、
前記半乾きのFRP補強体(16,31,32)をFRP成形体(21,22)の曲面に押付ける工程と
を含むFRP成形体の補強構造の製造方法。
【請求項3】
FRP補強体(56)を成形するための所定の補強体用下型(18)に前記補強体用ガラスマットを被せる工程と、
前記補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸する工程と、
前記含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、
前記補強体用ガラスマットの被せ工程と前記樹脂液の含浸工程と前記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体(56)を作製する工程と、
前記半乾きのFRP補強体(56)の一対の補強体側片(56b)の先端縁を前記FRP成形体の曲面に合せて切断する工程と、
前記FRP補強体をFRP成形体の曲面に押付ける工程と
を含むFRP成形体の補強構造の製造方法。
【請求項1】
曲面を有する板状に成形されたFRP成形体(21,22)と、前記FRP成形体(21,22)の曲面にこの曲面に沿って所定の方向に延びかつ長手方向に直交する断面が前記FRP成形体(21,22)とともに閉断面に形成されたFRP補強体(16,31,32,56)とを備えたFRP成形体の補強構造において、
前記FRP補強体(16,31,32,56)が、平面帯状に形成された補強体主部(16a,31a,32a)と、一側縁が前記補強体主部(16a,31a,32a)の両側縁にそれぞれ連設され他側縁が前記FRP成形体(21,22)の曲面に沿う曲線にそれぞれ形成された一対の補強体側片(16b,31b,32b,56b)とを有することを特徴とするFRP成形体の補強構造。
【請求項2】
曲面を有する板状に成形されたFRP成形体(21,22)を補強するFRP補強体(16,31,32)の展開形状に合わせてガラスマットを切断することにより補強体用ガラスマット(16c)を作製する工程と、
前記FRP補強体(16,31,32)を成形するための所定の補強体用下型(18)に前記補強体用ガラスマット(16c)を被せる工程と、
前記補強体用ガラスマット(16c)に樹脂液を塗布して含浸する工程と、
前記含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、
前記補強体用ガラスマット(16c)の被せ工程と前記樹脂液の含浸工程と前記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体(16,31,32)を作製する工程と、
前記半乾きのFRP補強体(16,31,32)をFRP成形体(21,22)の曲面に押付ける工程と
を含むFRP成形体の補強構造の製造方法。
【請求項3】
FRP補強体(56)を成形するための所定の補強体用下型(18)に前記補強体用ガラスマットを被せる工程と、
前記補強体用ガラスマットに樹脂液を塗布して含浸する工程と、
前記含浸した樹脂液を半乾きにする工程と、
前記補強体用ガラスマットの被せ工程と前記樹脂液の含浸工程と前記樹脂液の半乾き工程とを2回又は3回以上繰返して半乾きのFRP補強体(56)を作製する工程と、
前記半乾きのFRP補強体(56)の一対の補強体側片(56b)の先端縁を前記FRP成形体の曲面に合せて切断する工程と、
前記FRP補強体をFRP成形体の曲面に押付ける工程と
を含むFRP成形体の補強構造の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−290585(P2007−290585A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121616(P2006−121616)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】
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