説明

FRP複合物を製造する方法

【課題】重トウ繊維を含む、低コストのFRP複合物を生成するプロセス、およびこれらの一様な含浸および効率的な結合方法を提供すること。
【解決手段】本発明による繊維強化プラスチック(FRP)複合物を製造する方法は、重トウ繊維に低粘度樹脂を含浸させるステップを含む。この方法は、レーストラッキングを排除し、安価で良好な性能のFRP複合物が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチック(Fibre-Reinforcement Plastecs:FRP)複合物(composite)、それを製造するプロセス、およびそのようなプロセスを実施する装置に関する。具体的には、本発明は、「乾燥スポット(dry spot)」のない重トウ(heavy tow)(厚い束)のFRP複合物、「レーストラッキング(racetracking)」を防止することによってそのような複合物を製造するプロセス、およびそのようなプロセスを実施する装置に関する。本発明を適用する結果、良好な性能を呈示する低コストのFRP複合物が製造される。
【背景技術】
【0002】
複合物材料、および具体的にはCFRP(Carbon Fibre-Reinforcement Plastecs、炭素繊維強化プラスチック)複合物材料は、木材、スチール、アルミニウムなどの従来の材料と比較して、低重量、優れた強度、および高い剛性を特徴とする。これらの理由のために、航空宇宙、建設、自動車の産業からスポーツおよび医療分野にわたる多くの応用分野において使用されている。
【0003】
たとえば、1970年代、スポーツの優秀な製造業者は、釣竿、ゴルフ・クラブ、テニス・ラケットの製造において、CFRP複合物を使用し始めた。1990年代、ボーイングおよびエアバスなどの商用航空機製造業者は、航空機の重量を低減して、高性能飛行機械を有するために、1次構造部品および2次構造部品についてCFRP複合物を採用し始めた。現在、高強度および低重量であることにより、これらのCFRPは、構造の強化に使用することができ、それらの使用は、建物および土木工学の分野に拡大しつつある。医療分野も、x線検査機器、さらには義肢について複合物を使用する。他の応用分野では、CFRP複合物の性能は、ラップトップ、LCDプロジェクタ、カメラなど、家庭用電子器具および機器の重量の低減に寄与している。
【0004】
複合物材料の使用が着実に発展している1つのセクタは、自動車産業である。これまで、CFRP複合物は、レーシング・カーにとって必要不可欠であった。しかし、環境問題に対する関心が増大した結果、これらの複合物を商用大量生産車に使用しようとする傾向がある。実際、複合物材料は、車両の重量を低減し、したがって燃料効率を上げ、COの排出を低減することについて、優れた可能性を提供する。
【0005】
従来のFRP製造プロセスは、引抜き成形(pultrusion)プロセスまたは樹脂成形(resin moulding)プロセスを含む。樹脂注入成形(Resin Transfer Moulding:RTM)プロセスは、数十年にわたり使用されてきた。RTMプロセスは、複合物部品を作成する最適な方法の1つであり、自動車産業では1年あたり低コストかつ高体積の500〜50000部品、ならびに航空宇宙産業では1年あたりより高い性能かつより低い体積の50〜5000部品を独自に達成することができる。
【0006】
RTMプロセスは、かなり簡単である。2部品マッチドダイ(matched-metal)型(または器具)が作成される。プレフォームが、型の中に配置され、型は閉鎖される。次いで、樹脂が、低圧下において注入ポートを経て型の中にポンピングされる。型および樹脂の両方とも、応用分野に必要であるように加熱することができる。
【0007】
従来、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の両方が、複合物材料を生成するために使用されている。しかし、構造応用分野では、熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂の機械的特性を常に欠いていた。主に、不十分な繊維含浸(impregnation)および繊維接着の欠如により、この性能ギャップが生じる。CFRP複合物の製造において通常使用される熱可塑性樹脂は、通常100〜1000Pa・sの高粘度で開始され、したがって、含浸は、困難な作業となる。一方、熱可塑性樹脂は、リサイクルすることができるという利点を提供し、環境的には、これは重要になる。
【0008】
低粘度熱可塑性樹脂が、最近開発された。たとえば、特許文献1は、衝撃強度および延性などの重要な機械的特性を低下させずに、低い固有の粘度を有するポリアリレン・エーテルを高性能アモルファス熱可塑性ポリマーに追加し、高度に改善された溶融流れ特性をそのようなポリマーに提供することを記載している。
【0009】
RTMにより、短いサイクル時間を有する複雑で高品質の複合物部品を作成することができる。しかし、さらに複雑さを部品に導入することによって、プレフォームの縁に沿った含浸中の樹脂のレーストラッキングなど、妨害が導入される確率も高くなる。レーストラッキングは、樹脂が、型の縁に沿ってこの領域におけるより低い繊維体積の割合のためにより迅速に進行して、低抵抗を流れに提供する現象である。深刻なレーストラッキングがある場合、出て行く樹脂は、繊維のいくらかを迂回して、複合物内において乾燥スポットを生成することがある。この結果、FRP複合物の品質は不十分になる。
【0010】
他の可能な妨害は、RTMプロセス中の繊維の変位である。たとえば、基質の粘度が過度に低く、かつ時間スケールが長い場合、成形圧力により、樹脂は積層(laminate)からスクイーズ(squeeze)される可能性がある。代替として、過度に高い粘度が短い持続時間と組み合わされることにより、流れのパターンに対して繊維を調節することができないことがあり、結果としてひずみが生じることがある。
【0011】
これらの妨害は、ファブリックのタイプ、樹脂のタイプ、プレフォームの製造方法、空洞型における繊維の変位、および繊維の分布の関数である。FRP構成要素の振舞いに対する衝撃は、非常に重要であり、したがって、その排除は、高性能応用分野には必須である。
【0012】
レーストラッキングを排除する努力が、特許文献2において記載されている。実際、そこには、レーストラッキングの欠陥のないCFRPの真空バッグ製造方法が記載されている。本発明では、「レーストラッキング」は、ファブリックを特定のパターンに切断して、わずかに異なる方式でカバー・プレートを支持することによって、防止することができる。本発明では、500mPa・s未満の粘度を有する樹脂を使用することが可能である。
【0013】
しかし、あらゆる構造において高性能FRP構成要素を導入することは、未加工材料および製造プロセスのコストに著しく依存する。これまで、FRP包含材料のコストは、非常に高く、一般的な消費者にはしばしば法外であった。したがって、そのような製造プロセスのコストを低減する多大な努力が、製造者にとっては高い優先順位であった。たとえば、特許文献3は、航空機構造部材として使用される炭素繊維ファブリックからCFRP複合物を製造するプロセスを記載しており、プロセスのコストは、中庸トウ(moderate tow)(12Kから24K)のより安価な炭素繊維を使用することによって低減される。
【0014】
樹脂注入成形は、複合物を大量生産する選択肢の方法であるので、レーストラッキングの欠陥を排除し、圧力注入システムを使用するときのファブリックの変位を低減し、また、製造プロセスのコストを低減することによって、改良されたFRP複合物を製造することが依然として必要である。
【特許文献1】米国特許第6673872号
【特許文献2】米国特許第6406660号
【特許文献3】特開2003−020542号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記で記述された問題、ならびに広範なコスト低減およびプロセス改良を考慮して、本発明は、重トウ繊維を含む低コストFRP複合物を生成するプロセス、および「レーストラッキング」を排除する、これらの重トウ繊維を一様に含浸させ、効率的に結合する方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下の記述では、炭素繊維に言及する。しかし、本発明は、他の繊維強化プラスチック複合物の使用に適用されることが可能であることを理解されたい。たとえば、プロセスは、ガラス繊維が厚い束として使用されるガラス繊維強化プラスチックの製造に適用することもできる。
【0017】
本発明は、一態様において、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)複合物の製造プロセスを提供し、プロセスは、重トウ炭素繊維に低粘度樹脂を含浸させることを含む。
【0018】
本発明のプロセスにおいて使用される炭素繊維は、他の繊維、好ましくはガラス繊維と組み合わされることが可能である。
【0019】
本発明のプロセスにおいて使用される繊維は、24000フィラメント以上のトウを有することが好ましい。
【0020】
本発明のプロセスにおいて使用される繊維は、さらに積層化およびマルチコンパクト化(multi-compacted)されることが可能である、インタレース点(interlacing point)を有する織られたファブリック・シートの形態とすることが可能である。ファブリック・シートの繊維の体積含有量は、30%未満である。
【0021】
本発明のプロセスにおいて繊維を含浸させるために使用される樹脂は、低粘度を有することが好ましい。
【0022】
本発明のプロセスによる樹脂による繊維の含浸は、樹脂をファブリック・シートに注入することによって実施されることが好ましい。
【0023】
樹脂を繊維に注入することは、ファブリック領域の任意の箇所において実施されることが可能であり、注入側と樹脂の流れの下流側との圧力差は、段階的に増大されることが可能である。
【0024】
樹脂の流れの方向は、重力に対抗していてもよく、繊維の配向に対して垂直ではないことが好ましい。
【0025】
ファブリック・シートは、樹脂の注入前に、型の縁において圧締めされることが好ましい。
【0026】
ファブリック・シートが配置される型の縁は、低減された空洞高さ(reduced cavity high)を有することが好ましい。低減された空洞高さにおける繊維の体積の割合は、55%を超えないことが好ましく、50%を超えないことが最も好ましい。
【0027】
本発明は、他の態様において、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)複合物の製造プロセスを提供し、プロセスは、注入側から下流側に向かって、炭素繊維に樹脂を含浸させることを含み、注入側の圧力は、段階的に増大される。
【0028】
他の態様において、本発明は、上記で記述されたプロセスによって製造されるCFRP複合物を提供する。本発明のプロセスは、繊維の体積含有量が30%未満であるCFRP複合物をもたらすことが好ましい。
【0029】
CFRP複合物を製造するために、低粘度を有する重トウ炭素繊維を使用することも、本発明によって提供される。
【0030】
他の態様において、本発明は、そのような複合物の製造手段を提供し、手段は、繊維または繊維ファブリックが配置される縁において低減された空洞高さを有する型と、繊維または繊維ファブリックの変位を防止する圧締め(clamping)機構と、樹脂が段階的な圧力の増大下においてファブリックに注入される圧力ランプ注入システムとを備える。樹脂は、繊維または繊維ファブリックに直接注入されることが好ましい。
【0031】
他の態様において、本発明は、上記で記述されたプロセスによるCFRP複合物の製造装置を提供する。
【0032】
次に、CFRP複合物の製造に使用される装置を含めて、CFRP複合物の生成プロセスに言及する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、繊維強化プラスチック(FRP)複合物の製造プロセスを対象とする。プロセスは、繊維に樹脂を含浸させることである。
【0034】
再び、以下の記述は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に関するが、本発明は、ガラス繊維強化プラスチック(Glass Fibre Reinforced Plastics:GFRP)など、他の繊維強化プラスチックの製造に使用されることも可能である。
【0035】
炭素繊維(グラファイト繊維とも呼ばれる)は、産業的には、ポリアクリロニトリル繊維またはピッチから生成される。これらの開始材料の酸化に続いて、炭素化/グラファイト化の段階があり、炭素繊維フィラメントが得られ、次いで、炭素繊維フィラメントは、トウを形成するためにグループ化される。
【0036】
本発明の「重トウ(heavy tow)」繊維は、少なくとも24000フィラメントを含む繊維トウを指す。
【0037】
本発明の繊維は、いずれも本発明の応用分野に適している多くの異なる方式においてアセンブルすることができる。たとえば、テープ、ストリップ、ファブリック、またはさらには単一トウなどの一方向構成を使用することができる。繊維は、撚り糸(twisted yarn)、非撚り糸(untwisted yarn)、または無撚り糸(non-twisted yarn)として使用することができる。さらに、トウは、インタレース点を有する布に織ることができる。織られたファブリック(マット、ニット・ファブリックなどの形態にある)は、均衡させる、または多軸とすることが可能である。織りのスタイルは、平面織り、綾織り、またはサテン織りとすることが可能である。
【0038】
炭素繊維の他に、ガラス繊維、アルミナ繊維、または窒化ケイ素繊維などの無機繊維、あるいはアラミド繊維またはナイロンなどの有機繊維が使用されることが可能である。これらの繊維は、長い繊維、短い繊維、織られたファブリック、マットレス、またはこれらの組み合わせとすることが可能であり、炭素繊維において秩序的または無秩序的に構成されることが可能である。これらは、ガラス繊維であることが好ましい。
【0039】
本発明の応用分野の通常の樹脂は、エポキシ樹脂およびビニル・エステル樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいはナイロン、ポリカーボネート、ならびに反応してポリマーなどになるモノマーまたはオリゴマーなどの熱可塑性樹脂である。
【0040】
本発明の樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。本明細書において使用される際に、「熱可塑性樹脂(thermoplastic resin)」という用語は、熱に暴露されるとき柔らかくなり、室温に冷却されるとき元の状態に戻るポリマーを含むことを意味する。熱可塑性樹脂の例には、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、およびスチレン)樹脂、アクリル/PMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン樹脂、EVA(エチレン・ビニル・アセテート)樹脂、HDPE(高密度ポリエチレン)樹脂、LDPE(低密度ポリエチレン)樹脂、LLDPE(線形低密度ポリエチレン)樹脂、マスターバッチ樹脂、ナイロン、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレン・テレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリエチレン・テレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、酸化ポリフェニレン樹脂、ポリプロピレン(ホモポリマーおよびコポリマー)樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリスチレン(結晶および衝撃)樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂がある。
【0041】
熱硬化性に対する熱可塑性の主な利点は、無期限の貯蔵寿命、良好な強靭性、および処理が物理的変形のみに関するということである。化学は関与せず、したがって、延長硬化サイクルは必要ではない。その結果、簡略化された品質制御手続きによる迅速で低コストの製造が可能である。
【0042】
本発明において使用される樹脂は、含浸時の低粘度を特徴とする。注入される樹脂の粘度は、50mPa・s未満であることが好ましい。
【0043】
本発明のプロセスにおいて、上記で記述された繊維を備える織られたファブリックのシートは、CFRP複合物を形成する繊維が織られたファブリックのベース材料を得るために、型に組み込まれるのに必要な特定の形状に切断される。プレフォームの形状は、型に完全にはめ込まれ、したがって図6に示される樹脂の巨視的レーストラッキングを回避するように、的確に切断されることが好ましい。層化されるシートの数は、複合物に望ましい構造または外見に応じて選択される。
【0044】
いくつかのシートが使用される場合、積層は、均質な繊維領域を提供するようにマルチコンパクト化されることが好ましい。レイアップのコンパクト化は、トラップされた空気を除去するために、一時真空バッグおよび真空を適用することによって実施される。そのようなコンパクト化の反復は、本発明の低粘度樹脂を含浸させることができる均質繊維領域を提供する。
【0045】
次いで、ファブリック・シートは、以下で記述される方式で型に圧締めされ、型は閉鎖され、熱が加えられて、樹脂は、加圧下において注入される。
【0046】
本発明の含浸プロセスにおいて低粘度樹脂を使用することにより、高流量が得られる。そのような高流量は、圧力を加えることによって増大させることもでき、ファブリックが変位することになることがある。樹脂の高流量によって生じるファブリックの変位を回避するために、本発明は、いくつかの解決法を教示する。
【0047】
第1に、繊維ファブリックは、型に圧締めされることが好ましい。器具の縁は、空洞高さより低いことが好ましく(図2参照)、縁における繊維体積含有量は、55%未満であることが好ましく、50%未満であることが最も好ましい。
【0048】
第2に、繊維ファブリックは、炭素繊維が樹脂の流れに垂直ではないような配向において型に配置されることが好ましい(図4aおよび4b参照)。図3に示されるような樹脂の流れに対する繊維の垂直配向の結果、図5に示されるようにファブリックが変位することがある。それに関して、インタレース点を有する織りファブリックを使用することも好ましい。
【0049】
本発明では、積層の繊維体積含有量は、30%未満であることが可能である。従来の製造方法(30%〜60%)において使用されるより少ない繊維体積含有量の結果、空洞における繊維の分布は、通常、非一様になる。たとえば、繊維束自体内の繊維体積含有量は高いが、繊維体積含有量は、異なるファブリック層間では低い。従来の製造方法では、より少ない繊維体積含有量の結果、図7に示されるような積層間レーストラッキング(すなわち、比較的高粘度の樹脂の場合でさえ、より速く樹脂が流れる)が生じ、したがって、繊維の含浸はより悪くなる。したがって、高流量が使用されるときでも、繊維の含浸を改善するために、本発明では非常に低粘度の樹脂を使用することが好ましい。
【0050】
繊維の含浸をさらに最適化するために、樹脂は、ファブリックにおいて直接注入されることが好ましい。また、樹脂の注入に適用される圧力は、次の圧力増大の前に、樹脂の流れの前面が均衡されるのを可能にするように、段階的に増大されることが好ましく、その結果、含浸はより良好になる(図10参照)。通常、樹脂は、15psiから250psiのいずれかにおいて注入される。
【0051】
ファブリック・シートが完全に含浸された後、樹脂は、硬化し、CFRP複合物を型から外すことができる。本発明の結果として得られるCFRP複合物は、図9に示されるように、「乾燥スポット」がない。現行方法により含浸された繊維との比較を図8において見ることができる。
【0052】
仕上げ動作は、構成要素のほぼ正味の形状、および型によって供給される良好な表面完成品のために、最小限となる。
【0053】
上記で記述されたプロセスを実施するために使用される製造装置は、樹脂を注入する入り口を有する2部分型であることが好ましく(図1参照)、型は、縁において低減された空洞高さを有する(図2参照)。
【0054】
したがって、上記で記述された製造装置を使用して実施される本発明のプロセスにより、高品質低コストCFRP複合物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】樹脂注入入り口が示されている型の上面図である。
【図2】樹脂注入側の空洞高さが低減されている型の断面図である。
【図3】繊維が樹脂の流れに垂直である型の上面図である。
【図4a】繊維が樹脂の流れに平行である型の上面図である。
【図4b】繊維が樹脂の流れに垂直ではないように構成される型の上面図である。
【図5】繊維が樹脂の高流量のために変位している型の上面図である。
【図6】樹脂の巨視的なレーストラッキングが生じる型の上面図である。
【図7】ファブリック層間における積層内レーストラッキングの断面図である。
【図8】現行技術で得られる重トウ含浸炭素繊維の図である。
【図9】本発明の技術で得られる重トウ含浸炭素繊維の図である。
【図10】本発明において使用される異なる圧力ランプを示す圧力対時間のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化プラスチック(FRP)複合物を製造する方法であって、
重トウ繊維に低粘度樹脂を含浸させるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記繊維が、炭素繊維またはガラス繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素繊維が、他のタイプの繊維と組み合わされる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記他のタイプの繊維が、ガラス繊維である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素繊維または他の繊維のトウが、24000フィラメント以上である、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記繊維が、インタレース点を有するファブリック・シートに織られる、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ファブリック・シートが、マルチコンパクト化される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ファブリック・シートの前記繊維の体積含有量が、60%未満であり、好ましくは30%未満である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
含浸時に前記樹脂が、50mPa・s未満の粘度を有する、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂が、熱可塑性樹脂である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記含浸が、前記樹脂を前記ファブリック・シートに注入することによって実施される、請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂の注入点が、直接前記ファブリック領域内にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記樹脂の流れ前面における圧力が以後の圧力増大の前に均衡されるように、前記樹脂が、段階的に圧力増大されて注入される、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記注入された樹脂の流れ前面が、重力に対抗する、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記注入された樹脂の流れ方向が、前記繊維の配向に垂直ではない、請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記ファブリックが、樹脂の注入前に型の縁において締め付けられる、請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記型の前記縁が、低減された空洞高さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記低減された空洞高さにおける繊維体積の割合が、55%を超えず、好ましくは50%を超えない、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
繊維強化プラスチック(FRP)複合物を製造する方法であって、
注入側から下流側に向けて繊維に樹脂を含浸させ、前記注入側の圧力が、段階的に増大されるステップを含む、方法。
【請求項20】
圧力増大間の時間間隔が、順次圧力増大前に下流側にわたって流れ前面の圧力が均衡されるようなものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記繊維が、炭素繊維またはガラス繊維である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の方法によって獲得可能なFRP複合物。
【請求項23】
前記複合物における繊維の体積含有量が、60%未満であり、好ましくは30%未満である、請求項22に記載のFRP複合物。
【請求項24】
FRP複合物の製造のための重トウ繊維および低粘度樹脂の使用方法。
【請求項25】
繊維または繊維ファブリックが内部に配置される型の縁において低減された空洞高さと、前記繊維または繊維ファブリックの変位を防止する締め付け機構と、樹脂が段階的な圧力の増大下において前記型に注入される圧力ランプ注入システムと、を備えるFRP複合物を製造する装置。
【請求項26】
前記樹脂が、段階的な圧力の増大下において前記繊維または繊維ファブリックに直接注入される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の方法を実施するように設計されるFRPを製造する製造装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−213059(P2006−213059A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19986(P2006−19986)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】