説明

GPSによって支援されたスタンド予約の電気乗り物

電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物であって、電気エネルギーユニットから電気走行駆動装置に電気駆動エネルギーが供給され、かつ電気エネルギーユニットが低い充電状況で充電または交換される乗り物を駆動するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、乗り物の駆動方法と、ナビゲーション機器と、乗り物エネルギー制御システムと、供給ステーションと、そのような乗り物に電気エネルギーを供給するためのインフラ構造と、適切な電気エネルギーユニットとに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物、特に自動車とボートを駆動するために電気を用いることが知られている。電気は、乗り物内でバッテリーまたは蓄電池(日常的には、乗り物の分野においては、蓄電池も広くバッテリーと言われる)に搭載され、電気モータを介して駆動に使われる。最近数年間ではリチウムイオン蓄電池が、容量が多くかつ出力が高い、電気乗り物駆動システムの基礎として定着している。
【0003】
原則的に、ほとんどの電気乗り物は、各コンセントで充電される。しかしながら、電気乗り物のための公共蓄電池充電スタンド網は、今後見込まれる激しい拡充段階においてすら、長い充電時間を前提としている。これにより、より長期の旅行の際には、入念なルートプランと時間プランが必要となる。特に、乗り物の航続距離に依存して、比較的長い充電休憩を考えに入れるべきである。たとえば商品名TWIKEとして知られる乗り物のような、電気消費が少ない軽電気自動車であっても、メーカー側の報告によれば、バッテリーのヴァージョンによっては、従来の3,5kW(230V/16A)の充電ステーションで、フル充電(95%)に1時間から3時間必要である。より出力の高いもしくはバッテリー容量の多い電気乗り物は、対応してより長い充電時間が必要である。
【0004】
蓄電池とその充電システムが、対応して設計されている限りにおいては、状況のある程度の改善は、動力用電気の接続によってもたらされる。最近数年間にスイスにおいてできた、ソーラー乗り物と電気乗り物用の、公共の充電スタンドのパーク・アンド・チャージ・システムは、たとえば、実施と保護に応じて、標準的に3,5kWまたは10kWを供給する。しかしながら、今後、長い航続距離を有する乗り物を、無理のない時間で充電するのであれば、それに対応して、すぐに電力網容量の限界まで酷使しかねない、より高い接続値が考えられる。その上、そのように急速な充電プロセスは、蓄電池にとっての高い負荷となり、蓄電池のタイプによっては、結局その寿命を限定しかねない。
【0005】
別のコンセプトは、乗り物全体または乗り物のバッテリーまたはモジュールに関する、いわゆるレンタルシステムを追求している。そのようなコンセプトをたとえば、電動アシスト自転車(Pedelec)(電気自転車)用の蓄電池交換ステーションを有するシュトゥットガルト市が、公共の人員短距離輸送の停車場で追求している(非特許文献1)。企業家シャイ・アガシの野心的なプロジェクト「ベタープレイス」は、充電・交換ステーションを有する、包括的な電気充電スタンド網をもくろんでいる(非特許文献2)。その際、4タイプの蓄電池をストックし、空になった蓄電池を短時間で交換する蓄電池交換ステーションが備えられる。
【0006】
しかしながら、電気乗り物のさらなる導入と普及は、なお障害に直面している。走行中にバッテリーが空になって立ち往生するのではないかという危惧が、一部にはある。この危惧は、以下の考慮に基づくものである。内燃機関を有する自動車のタンクが空になれば、確かに腹立たしいが、自動車故障サービス、予備ガソリン缶またはたとえばホースと親切な道路使用者の助けで、比較的簡単に直すことができる。それに対して、人里離れた路上で空の蓄電池を充電したりまたは交換するのは、より困難となる。性能のよい蓄電池は重量があるため、人里離れた路上での交換には、移動の手間が必要であり、かつ連絡を受けた自動車故障サービスが必要なタイプの蓄電池をストックしているかどうか不確実である。他の道路使用者のサポートは、実際、牽引に限られる。それゆえ電気乗り物では、最も近い適切なスタンドもしくは供給ステーションに間違いなく到達することが、自動車とは比べ物にならないほど重要である。
【0007】
スタンドの位置についての情報が記憶されておりかつ使用されるナビゲーションシステムが、すでに知られている。しかしながら、この情報だけでは、電気駆動装置には充分ではない。従来の燃料に比べて電気エネルギーユニット(蓄電池)のエネルギー密度が低いため、かつそれゆえ倉庫の容量をより多く必要とするため、および蓄電池の、考えられるタイプの多様性のために、供給を充分に確実にするには、従来の燃料の場合よりも高いロジスティックス費用が必要となる。それで、新規補給と、供給ステーション間での再分配と、蓄電池の局部的な充電との混合が、供給ステーションにおける、フル充電された蓄電池の継続的な排出と、空のもしくは部分的に空になった蓄電池の受け入れとをフレキシブルに考慮しつつ、行われるべきである。適切なタイプの蓄電池を充電するため、とりわけ交換するための供給ステーションそのものにおいて、必要な時に、フル充電された部品が使用できないということが起これば、乗り物の運転者は、時間をかけて充電し、ひいては供給ステーションに強制的に停車するしかない。特に不愉快なのは、宿泊施設のない完全自動のステーション、特にそのほかには人口が少なくかつ天候のよくない地域であることである。
【0008】
水域、特に大きめの内陸湖または海の沿岸近くの水域では、上述の危惧は、安全性の観点から特別に重要である。たとえばボーデン湖またはその他の湖のような大きめの水域で、ボートまたは船舶が電気で駆動されれば、突然水難に陥ることがないよう、いつも充電ステーションまたは蓄電池交換ステーションの航続距離内に留まることが重要である。他方で、具体的には必要でもないのに、過度の慎重さから常に供給スタンドの近くに留まることは煩わしい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「シュピーゲル オンライン」、2008年6月3日11時33分、「シュトゥットガルトが電気自転車ネットワークを計画(「Stuttgart plant Elektrofahrrad-Netzwerk」)」、インターネット(www.spiegel.de/auto/aktuell/0,1518,556352,00.html)
【非特許文献2】「マネジャー・マガツィーン・de」、2007年10月30日、「SAPの神童が帰ってきた(「Das SAP-Wunderkind kehrt zurueck」)」、インターネット(www.manager-magazin.de/it/artikel/0,2828,514273,00.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ本願発明の課題は、適切なスタンドもしくは供給ステーションに間違いなく到達できるようにする、エネルギー供給方法と乗り物制御システムと供給ステーションとインフラ構造と電気エネルギーユニットとルート発見方法とナビゲーション機器とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、独立請求項の特徴によって解決される。本発明の有利なさらなる形態は、従属請求項の対象を形成する。
【0012】
本発明に従えば、電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットとを備える乗り物であって、電気エネルギーユニットから電気走行駆動装置に電気駆動エネルギーが供給され、かつ電気エネルギーユニットが低い充電状況で充電または交換される乗り物を駆動するための方法は、以下のステップ、すなわち、
‐電気エネルギーユニットの充電状況を検出するステップと、
‐乗り物の現在位置を検出するステップと、
‐電気エネルギーユニットの充電状況を基にして、乗り物の航続距離を算出するステップと、
‐電気エネルギーユニットの再充電および/または交換のために設置されている供給ステーションのそれぞれの在庫を検出するステップであって、在庫が、少なくとも、供給ステーションにストックされている電気エネルギーユニットの数と充電状況とによって定義されているステップと、
‐供給ステーションが乗り物の航続距離内にあり、供給ステーションの在庫が所定の条件を満たし、特に所定の数の充電された電気エネルギーユニットが交換のために用意されている場合、少なくとも1つの供給ステーションを適切な供給ステーションとして決定するステップと、を備え、
‐その際、航続距離の算出および/または適切な供給ステーションの決定に必要なデータは、乗り物と少なくとも1つの供給ステーションとの間でおよび/または乗り物とセンターとの間でおよび/または供給ステーションとセンターとの間で通信され、少なくとも、乗り物と供給ステーションおよび/またはセンターとの間での通信は無線で行われる。
【0013】
本方法によって、乗り物での走行は、充分な数の充電された蓄電池を有する適切な供給ステーションに間違いなく到達するよう、計画されもしくは行われる。人里離れた路上での立ち往生を回避することができる。本発明は有利には、航続距離の算出および/または適切な供給ステーションの決定に必要なデータは、乗り物と少なくとも1つの供給ステーションおよび/またはセンターとの間で無線通信されることを特徴とする。この方法では、必要な算出と決定と記憶プロセスとを、センターまたは供給ステーションまたは乗り物の複数の計算部局で、中央でまたは分散してまたは分配して自由に選んで行うことが可能である。
【0014】
この目的のために、たとえば少なくとも、乗り物の位置と現在の航続距離とが同報送信され、その後すぐに適切な供給ステーションに関する情報が乗り物に送信される。この場合、供給ステーション(またはセンター)が算出の負荷を抱え、乗り物支援システムに決定の結果のみを供給する。他方、供給ステーションの在庫も、所定の範囲内に同報送信されてよい。この同報送信は、当該範囲内にある乗り物によって受信され、適切な供給ステーションを決定するための計算プロセスに加えられる。
【0015】
たとえば、走行中の予期しないほど高いエネルギー消費、または供給ステーションでの予期しない需要のピークのような特別な条件下では、乗り物の現在の航続距離内では、充分に補給された供給ステーションがもはや使用できないかもしれない。在庫が所定の条件を満たさない供給ステーションは、それが急速充電法による電気エネルギーユニットの充電のために設置されている場合、代わりに適切な供給ステーションとして決定されれば有利である。それで、充電時の考えられる時間の損失を限度内に抑えることができる。
【0016】
緊急の場合には、在庫が所定の条件を満たしておらず、かつ急速充電法による電気エネルギーユニットの充電のために設置されていない供給ステーションは、それが原則的に電気エネルギーユニットの充電のために設置されていれば、代わりに適切な供給ステーションとして決定されてよい。そのような供給ステーションは、走行の目的地にあれば、合理的に考慮に入れられてよい。なぜなら、そこではいずれにせよ、ある程度の停車時間が計画されていることが前提となり得るからである。
【0017】
好適には、利用者によって選択可能な走行目的地に基づいて、適切な供給ステーションとしての決定が行われるか、または適切として決定された供給ステーションは、選択された走行目的地に基づいて評価される。それで、適切な供給ステーションは目的地に合わせて選択されるが、一方、走行目的地から離れる供給ステーションを無視することができる。
【0018】
乗り物の現在位置から走行目的地の方向に最も遠くにある適切な供給ステーションが、所与の安全リザーブを考慮して目的の供給ステーションとして決定されれば、電気エネルギーユニットの容量は、最適に使用される。
【0019】
提案された方法の進行中に、乗り物の現在位置から走行目的地までの走行ルートが、適切な供給ステーションに基づいて算出され、それで本方法は、それ自体知られているナビゲーションシステムのルーティンに含まれる。その際、好ましくは、電気エネルギーユニットの容量を最適に利用するために、算出された走行ルート上で乗り物の現在位置から最も遠くにある適切な供給ステーションが、所与の安全リザーブを考慮して目的の供給ステーションとして決定される。
【0020】
利用者が走行ルート上の適切な供給ステーションを選択または不選択できたら、本方法はさらにフレキシブルなものになり得る。
【0021】
走行ルートの算出のステップと適切な供給ステーションの決定のステップを、好適には目的の供給ステーションを決定するステップと提供と選択または不選択のステップとを含めて反復して実行することによって、ルート発見の最適化が実現される。
【0022】
供給ステーションが乗り物にとって適切な供給ステーションとして決定されたならば、供給ステーションで、必要な数の電気エネルギーユニットを当該乗り物のために予約することが可能であり、予約は好適には、乗り物による具体的な照会に基づいて行われる。それで、一度適切として決定された供給ステーションは乗り物の到着時に、必要な数の(充電された)電気エネルギーユニットを用意していることが保証される。
【0023】
その際、決定された供給ステーションへの具体的な照会は、乗り物の利用者による確認に依存されれば、有利である。乗り物の利用者が別のルートまたは別の休憩リズムを優先する場合、誤予約を回避できる。ある供給ステーションが、唯一到達可能な適切な供給ステーションである場合、利用者による確認を配慮せずに予約が行われる。
【0024】
航続距離を算出するために、現在測定された乗り物速度、これまでの速度プロフィールおよび/または加速プロフィール、乗り物のエネルギー消費パラメータ、電気エネルギーユニットの充電・放電の特徴、たとえば好ましい運転行動のような運転者のデータ、走行ルートに沿った道のりのデータ、気象情報、交通状況の情報の、少なくとも1つの基準が用いられてよい。それで、道のりのための見込まれるエネルギー需要は、必要に応じて、充分な正確性を有して見積もられる。それゆえ、乗り物もしくは電気エネルギーユニットの航続距離を、充分な安全リザーブを有して最適に利用することが可能である。これは、電気駆動装置のフレキシブル性と、この駆動装置のコンセプトと供給コンセプトの容認度とを高める。なぜなら、エネルギーの蓄えが不意に尽きかけるということから利用者を守るからである。
【0025】
航続距離を算出するために、様々なパラメータに基づいて、複数の代替の速度プロフィールも外挿される。そのようなヴァリエーションは、1つまたは別の供給ステーションに到達するために必要な、維持されるべき運転行動についての指示、または特に省エネの走行道のりを、乗り物の利用者に与えることができる。
【0026】
ある供給ステーションが適しているかまたは適していないかの確定は、目下のかつ変わりやすい事情を常に考慮できるようにするために、好適には乗り物の走行中に継続して繰り返される。それゆえ、走行中に供給ステーションの適性に変化が生じた場合でも、または電気エネルギーユニットの充電状況が想定よりも早く減少した場合でも、適切な供給ステーションに間違いなく到達することができる。
【0027】
特に、現在想定されている走行ルートで、適切な供給スタンドに到達可能かどうかが、連続して検証される。もしそうでないなら、対抗策を講じることができる。この対抗策は、利用者の単なる情報に限定することができるが、具体的なヴァリエーションの顧慮または行動提案を含んでもよい。
【0028】
本方法のステップは、駆動の安全性の要求、データ保護、算出負荷、記憶装置の需要、電気消費などを計算できるようにするために、異なる規模で、乗り物の側で、1つまたは複数の供給ステーションの側でおよび/または管理センターの側で、中央でまたは分配して実行される。
【0029】
本方法のさらなる発展形態においては、乗り物の走行時間および/または全エネルギー消費量が最適化されるように、本方法に関与するすべての乗り物の走行ルートが、それぞれの利用者によって予め選択されかつ通知された、スタート地点と目的地点とによって定義される道のりに基づいて、動的に運用される。
【0030】
本発明の観点に従えば、上述の方法は、ナビゲーション機器で実施される。
【0031】
本願発明は、電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物であって、電気エネルギーユニットから電気走行駆動装置に電気駆動エネルギーが供給され、かつ電気エネルギーユニットが低い充電状況で充電または交換される乗り物のエネルギー供給を制御するための乗り物エネルギー制御システムに具現化される。乗り物エネルギー制御システムは、乗り物の位置を決定するための少なくとも1つの位置決定装置と、電気エネルギーユニットの充電状況を決定するための充電状況決定装置と、を備える。本発明の異なる観点に従えば、乗り物エネルギー制御システムはさらに、以下を備える。
‐充電状況決定装置によって決定された電気エネルギーユニットの充電状況に基づいて、乗り物の航続距離を算出するための航続距離算出装置と、エネルギー貯蔵装置の充電および/または交換のために設置されている供給ステーションと、当該供給ステーションのそれぞれの在庫であって、当該在庫が、少なくとも、供給ステーションにストックされている電気エネルギーユニットの数と充電状況とによって定義されている在庫とについての、無線通信ネットワークからの情報を無線受信するための受信装置と、供給ステーションが乗り物の航続距離内にあり、かつ、特に所定の数の充電された電気エネルギーユニットが交換のために用意されていて当該供給ステーションの在庫が所定の条件を満たしている場合に、供給ステーションを適切な供給ステーションとして決定するための適性決定装置、または、
‐電気エネルギーユニットと好適には乗り物の識別データおよび/または電気エネルギーユニットの充電/放電パラメータおよび/または乗り物のエネルギー消費パラメータが予め記憶されている記憶装置と、位置、電気エネルギーユニットの充電状況、電気エネルギーユニットと場合によっては乗り物の識別データ、電気エネルギーユニットの充電/放電パラメータと乗り物のエネルギー消費パラメータを含む情報を通信ネットワークに無線送信するための送信装置と、乗り物の現在の航続距離と、乗り物の航続距離内にあり、エネルギー貯蔵装置の充電および/または交換のために設置されておりかつそれに適した供給ステーションであって、特に所定の数の充電された電気エネルギーユニットが交換のために用意されていて在庫が所定の条件を満たしている供給ステーションのみが適切と決定されている、供給ステーションとについての、通信ネットワークからの情報を無線受信するための受信装置とである。
【0032】
上述の観点は、共通して実現されていてもよい。
【0033】
そのような乗り物エネルギー制御システムによって、上述の方法は、異なる割合で乗り物の側もしくは電気エネルギーユニットの側で実施され、もしくは必要なデータが、さらなる処理のために、離れた場合によっては中央の部局に通信される。送信もしくは受信されたデータは、算出負荷の分配に応じて、付加的な情報を含んでよい。
【0034】
乗り物の現在位置から、利用者によって選択可能な目的地までの走行ルートを検出するためのナビゲーション装置があれば、乗り物エネルギー制御システムによって本方法の部分的な態様を実現するために有利である。
【0035】
ナビゲーション装置は、たとえば高度プロフィール、カーブの具合、側方傾斜、道路の舗装と状態(特に摩擦係数)、速度制限、統計的に見込まれる交通量、交差点、合流点、信号機、踏切での必要なまたは見込まれる停車地点などのような道のりデータを、場合によっては平日、休日、休暇シーズン、および時間を考慮に入れて、準備することができる。この方法で、道のりデータを航続距離の算出に用いることが可能である。
【0036】
さらに、管理センターまたはラジオ放送局によって準備される交通情報を受信しかつ評価するための交通情報評価装置が備わっていてよい。この方法で、目下の交通データを航続距離の算出に用いることが可能である。
【0037】
さらに、管理センターまたはラジオ放送局によって準備される気象情報を受信しかつ評価するための気象情報評価装置および/またはたとえば温度、光の強度、湿度、水分、向かい風、追い風、横風などのような気象データを検知するための気象データ検知装置が備わっていてよい。この方法で、目下のおよび/または予報された気象データを、航続距離の算出と、見込まれる放電の算出および、乗り物が太陽光発電装置を備えている場合には、太陽光発電で発生する電気による考えられる充電の算出に用いることが可能である。
【0038】
交通情報および/または気象情報は、たとえばラジオ放送局からラジオを介して受信でき、かつ適切な形で、さらなる処理のために準備される。
【0039】
さらに、速度、縦加速度、縦減速度、横加速度、道路のグリップもしくはスリップなどのような特徴的な走行状況を検知するための走行状況検知装置が備わっていてよい。好適には、時間的な経過における特徴的な走行状況を記憶するための走行状況記憶装置が備わっている。この方法で、特にこれまでの経過における特徴的な走行状況を航続距離の算出に用いることが可能である。これは特に、特徴的な走行状況の時間的な経過に基づいて、現在の運転者の典型的な運転行動を説明するためのパラメータを決定するための運転者行動評価装置によって可能である。
【0040】
上述の方法の個々のステップがどこでかつどの割合で実行されるかによって、ナビゲーション装置によって準備された道のりデータ、および/または交通情報評価装置によって受信された交通情報、および/または気象情報評価装置によって受信されたまたは気象データ検知装置によって検知された気象データ、および/または走行状況検知装置によって検知された走行状況、および/または走行状況記憶装置に記憶された走行状況の経過、および/または運転者行動評価装置によって決定された行動パラメータを、管理センターおよび/または供給ステーションに送信するために、送信装置が設置されていてよい。この方法で、データを中央で処理することができ、乗り物の算出負荷を取り去ることができる。それゆえ、乗り物内のデータ処理装置を簡素化することができ、かつ省エネに設計することができる。
【0041】
本願発明は、電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ好適には交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物に電気エネルギーを供給するための供給ステーションにおいても具現化される。そのような供給ステーションは、以下を備える。すなわち、複数の電気エネルギーユニットを蓄えるための貯蔵設備と、乗り物内にある電気エネルギーユニットを貯蔵設備からの電気エネルギーユニットと交換するための少なくとも1つの交換装置と、乗り物内にある電気エネルギーユニットを充電するための少なくとも1つの充電装置と、貯蔵設備に蓄えられている電気エネルギーユニットの数と充電状況とによって定義されて、供給ステーションの在庫を確定するための在庫確定装置と、供給ステーション周辺の乗り物とおよび/または供給ステーション周辺の乗り物を介して管理センターとデータを交換するための通信装置である。
【0042】
そのような供給ステーションは、上述の方法を実行するために不可欠である。上述の方法は、異なる割合で供給ステーションの側で実施され、もしくは必要なデータが、さらなる処理のために、関与する乗り物または場合によっては中央の部局に通信される。
【0043】
好適には、供給ステーションは、複数のタイプの電気エネルギーユニットを取り扱うために設置されている。その際、在庫の確定は、電気エネルギーユニットの各タイプで個別に実行されることは、もちろんである。それで、特殊なタイプの蓄電池を有する乗り物からの照会に意図的に答えることができ、または在庫データを、蓄電池のタイプに従って乗り物の現場でフィルタにかけて処理することができる。
【0044】
好適には、通信装置が、在庫を知らせるデータを乗り物または管理センターに送信する。この場合、特定の乗り物に供給するための供給ステーションが適切かまたは不適切かの決定は、乗り物自身においてまたは管理センターにおいて行われる。その際、通信装置は、乗り物または管理センターからの在庫照会を受信した場合にのみ、在庫を知らせるデータを送信することができる。
【0045】
代替的には供給ステーションは、確定された在庫と、通信装置を介して受信された乗り物についてのデータとに基づいて、供給ステーションが乗り物に供給するのに適切かどうかを決定するための適性決定装置を備えてよく、受信されたデータは、乗り物の少なくとも1つの位置と、乗り物内にある電気エネルギーユニットの充電状況とを含んでおり、かつ通信装置は引き続いて、供給ステーションの決定された適性または不適性を知らせるデータを乗り物または管理センターに送信する。
【0046】
さらに、特定の乗り物のための電気エネルギーユニットを予約するための予約装置が備わっていてよい。この予約装置は、予約とその予約の取消しに関する、上述の方法のステップを実施することができる。
【0047】
供給ステーションには、急速充電に適した少なくとも1つの充電装置があってよい。それゆえ、照会してきた乗り物に適した電気エネルギーユニットが、供給ステーションでちょうど利用できないとしても、充電のための停車時間を許容限度内に抑えることができる。
【0048】
供給ステーションは好適には、貯蔵設備に蓄えられている電気エネルギーユニットを充電または充電回復させるための貯蔵・充電装置を備える。それで、電気エネルギーユニットは供給ステーションの現場で充電され、かつ供給ステーションと中央の貯蔵・分配スタンドとの間の規模が縮小される。その際、充電回復は周期的に行われる。なぜなら、電気エネルギーユニットが永続的に保存貯蔵される場合よりも、エネルギーが効率的に利用されるからである。充電は実質的には、電力網から電気エネルギーを利用できる場合、たとえば夜間に行われ、それで電力網の安定化と、過剰能力とピークの食い止めに貢献できる。全体としては、貯蔵設備の蓄電池の在庫は比較的安定しているべきである。複数の供給ステーションの貯蔵設備の持続的な装備は、計算装置、制御装置、通信装置を介して確保されている、対応するロジスティックスによって保証される。
【0049】
供給ステーションは、化石原料または次世代原料または再生資源から電気エネルギーを生み出すための電気エネルギー発生装置と、好適には、生み出された電気エネルギーを使用まで中間貯蔵するための電気エネルギー中間貯蔵装置と、を備えてよい。それで、電力網に依存せずに、蓄電池を充電することも保証される。他方で、過剰に生み出された電気エネルギーを電力網に供給することができ、それで再び、別の点で電力網の安定化のために、すなわち需要ピークの食い止めに利用することができる。立地によっては、風、太陽光、流水、潮の干満、波の力などが再生資源として考えられる。
【0050】
本願発明は、電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ好適には交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物に電気エネルギーを供給するためのインフラ構造においても具現化される。そのようなインフラ構造は、協力して上述の方法を実行するために設置されている、複数の上述の供給ステーションと、複数の上述の乗り物エネルギー制御システムと、場合によっては管理センターと、を備える。
【0051】
本願発明のさらなる観点は、電気エネルギーユニットの少なくとも1つの充電状況もその中に含まれる駆動状況を検知しかつ制御するための制御ユニットと、乗り物の外の部局と通信するための無線通信装置とを有する、再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットに関する。そのような電気エネルギーユニットは、そのタイプと充電状況についてのデータを、供給ステーションまたは管理センターに直接送信することができ、場合によっては適切かつ到達可能な供給ステーションについてのデータを受信することができる(通信は、地上でまたはたとえばGMSなどのような無線通信網を介して行われる)。その際、付加的に、電気エネルギーユニットを特定の乗り物に割り当てるために管理センターで用いられる識別データが伝達される。さらに、たとえば固定されて取り付けられたGPS受信機によって電気エネルギーユニットの現在位置を検出するための、または乗り物に搭載されているナビゲーション機器の位置データを評価するための電気エネルギーユニットが設置されていてよい。別の電気エネルギーユニットの無線通信装置と直接通信するための無線通信装置が設置されている場合、蓄電池は互いに通信し合うことができ、このレベルで予約照会を互いに制御し合うことができる。しかも無線通信装置は、外部の通信網を入れることなく供給ステーションと通信するためのリレーとして用いられる。電気エネルギーユニットは好適には、リチウムを使った電気化学的反応に基づく蓄電池である。
【0052】
本願発明の、上述のかつさらなる特徴、課題、利点は、添付の図に関連して作成された、具体的な実施形態の以下の記述からよりはっきりと明らかになるであろう。図に示されるのは以下である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】乗り物を有する道路網の概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスタンドの概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインフラ構造の概略図である。
【図4】本発明の実施形態に係る乗り物のエネルギー管理システムの概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る蓄電池ユニットの斜視図である。
【図6】図5の表示ユニットのディスプレーに表された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図中の表示は概略的であり、本発明を理解するために重要な特徴の再現に限定されるということを、指摘しておかなくてはならない。図で再現される寸法と縮尺とは、ただ図を明確にするためだけのものであり、決して限定的または強制的に理解されるべきものではないことも、指摘しておかなくてはならない。
【0055】
本願発明は、具体的な実施形態に基づいて記述される。
【0056】
図1において、複数の道路と交差点と分岐点と合流点とを有する道路網1が概略的に表されている。道路の1つに、同様に単に概略的に表されている乗り物2がある。
【0057】
道路網1の道路に沿って、複数のスタンド「T」がある。スタンドTは、以下により正確に説明される蓄電池充電ステーションと蓄電池交換ステーションとを備える。付加的にそこには、燃料用の給油ポンプが備わっていてよい。道路網には、乗り物2の走行のスタート地点「S」と目的地点「Z」とが記入されている。乗り物2の現在位置は、「P」で記されている。
【0058】
図1の概略図に従えば、乗り物2は、1つの電気モータ6によってそれぞれ駆動される4つの駆動輪4を備える。バッテリーもしくは蓄電池(以下、短く「Akku」と示す)8は、制御機器(V−ECU)10によって電気モータ6に伝達される、駆動装置のための電気エネルギーを供給する。
【0059】
駆動輪と電気モータの数は、本発明への影響がないように少し変更されてよい。それで、乗り物2の2つの車輪のみが駆動輪であってもよく、電気モータが1つだけであってもよく、その駆動モーメントが伝動装置を介して複数の駆動輪に分配される。
【0060】
蓄電池8は、ここではリチウムイオン蓄電池として実施されることになる。しかしながら、たとえば鉛ゲル蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池またはその他のような、別の電気化学に基づく蓄電池タイプも考えられる。2つまたは複数の蓄電池を備えることも可能である。
【0061】
蓄電池8は交換可能に構成されている。当該蓄電池は、任意的にモジュールとして手で切り離すことができ、または自動的に全体またはモジュール式に取り去りもしくは取り付けることができる。接触は、好適には形状接続的に、取り付けを有する作業工程で行われる。それで、危険な電圧が原則的に回避される。その際、たとえばモジュールの接触領域における機械的、電気的またはその他の安全も解決され、それによって蓄電池8はシステムから危険なく切り離すことができるだけでなく、たとえば蓄電池部が充電ステーションによって故障として検査される場合、安全規則と輸送規則に従って発送される(下記参照)。
【0062】
蓄電池8は搭載される充電システムなしに充電されるが、モジュールレベルでは、上位のマスターによって駆動されるかまたは乗り物のエネルギーマネジメントを介して制御される、適切なバッテリーマネジメントシステムを有する。
【0063】
図2は、本発明に係るスタンドの構築を概略的に示している。スタンドTは、充電ゾーン12と、交換ゾーン14と、貯蔵ゾーン16と、エネルギー管理ゾーン18と、に分かれている。
【0064】
充電ゾーン12は、進入路20と複数の充電場22とを備える。各充電場22には、充電自動装置24が配設されている。充電自動装置24はたとえば、柱状または箱状などに実施されており、充電ケーブル用の少なくとも1つのコンセントまたは固定して取り付けられた充電ケーブルを備える。充電自動装置24は、高性能の急速充電のために設計されているが、穏やかな充電のための低い充電性能も管理できる。乗り物2が充電場22にある場合、当該乗り物の蓄電池もしくは充電マネジメントシステムは、ケーブルを介して、付属の充電自動装置24に接合される。充電自動装置24で、充電プロセスの種類は蓄電池のタイプに基づいて選択されるか、または自動的に検出される。直接の支払いプロセスは、現金または小切手またはクレジットカードで、直接充電自動装置24でまたは個別の会計所で行うことができるか、または充電自動装置24で行われる利用者識別に基づいて、定期予約口座を介しての決済を行うことができる。
【0065】
交換または取り換えゾーン14は、2車線の進入路26と、サービスパイロン28と、を備える。サービスパイロン28には、全部で4つの操作自動装置30が設けられている。操作自動装置30は、サービスパイロン28の両側に備えられている4つの交換場32のそれぞれ1つに配設されている。(1つの変化形態では、複数の交換場32のために、操作自動装置30が1つだけ備えられていてよい。)
【0066】
各交換場32は、2つの路肩34と交換用溝36とを備える。交換用溝36は地下に設けられており、交換場32に乗り物がない場合は、安全上の理由から、落とし戸または引き戸(詳細に表されず)によって閉鎖可能である。蓄電池を交換するために、乗り物2は、空いている交換場32の路肩34に移動される。交換用溝36にはロボットがおり(詳細に表されず)、当該ロボットは、留め具と接続部と場合によっては覆いを外した後、乗り物の蓄電池8を下から切り離し、搬送機38によって貯蔵ゾーン16に輸送される。そこから、同様に搬送機38によって、新しい蓄電池8が交換用溝36に輸送され、ロボットによって乗り物2に取り付けられる。
【0067】
路肩34はここでは単に、地面に描かれたマークである。しかしながら、変形形態では、路肩34は、たとえば洗車設備自体から知られているような、交換場32で乗り物2を位置づけるための搬送装置を備えていてもよい。そのような搬送装置によって、乗り物は、自動的に交換プロセスのために位置づけ可能となる。
【0068】
操作自動装置30は、複数の機能を備える。ここで操作者は識別を行い、かつ交換プロセスを確認できる。さらにここで支払いも可能である。操作自動装置30は、識別プロセスと交換プロセスの進展もしくは成功または失敗も表示する。
【0069】
交換プロセスが失敗した場合のために、サービスパイロン28には、各交換場32のためにそれぞれ1つの充電接続部40も設けられている。充電接続部40は操作自動装置30を介して制御される。充電ゾーンの充電自動装置24とは異なって、交換ゾーン14の充電接続部40では、あまりに長時間交換場32を塞がないために、急速充電プロセスのみが可能である。
【0070】
貯蔵ゾーン16では、貯蔵庫42に仕切り棚44と検査場46とが備わっている。
【0071】
仕切り棚44は、複数のタイプ8Aから8Eの蓄電池のための複数の区画AからE、およびフレキシブルに使うための区画Fを備える。検査場46は、蓄電池8を検査し、かつ、仕切り棚44に運び入れるために引き渡すか、またはメンテナンスを要求するか、または搬出して廃棄するために用いられる。
【0072】
仕切り棚44の仕切りでは、蓄電池8が充電システムに接続されている。仕切り棚44の仕切りは、この目的のために接続部を備え、当該接続部は蓄電池8の端子に対応し、運び入れプロセスの中で自動的に、好適には形状接続的に、これらの端子と接触する。それで、蓄電池8は仕切り棚44の中で充電される。充電プロセスは、エネルギー効率と安全性と貯蔵ロジスティックスの観点に従って、自動的に実行される。永続的な保存貯蔵は、効率性の理由から、回避される。
【0073】
安全上の理由から、仕切り棚44の区画AからFは、場合によってはさらにより小さい部分にも分かれて、防火技術上、互いに隔絶されている。さらに、貯蔵ゾーン16全体と、搬送機38の領域全体と、交換用溝36は、場合によっては蓄電池8から流れ出る液体が床に浸透することに対する浴槽システムによって、隔離されている。
【0074】
エネルギー管理ゾーン18においては、中央エネルギー制御ユニット(P−ECU)48が、スタンドT内部のすべてのプロセスを制御し、電気エネルギーを、分配網50を介してそれぞれの消費者、特に充電ゾーン12の充電自動装置24と、交換ゾーン14の充電接続部40と、貯蔵ゾーン16の充電システムに分配する。
【0075】
変圧器52は、遠隔エネルギー網「N」から電気エネルギーを受け取り、それを利用可能な電圧に変換する。中間貯蔵装置54では、電気エネルギーがバッファされる。風車56は、発電機「G」によって、風のエネルギーから電気を生み出す。
【0076】
風車56は、地域的な電気エネルギー発生のための単なる1つの例である。同様に、地理的な状況によっては、ソーラーファーム、潮力発電所、波力発電所、ため池発電所、流水発電機、地熱発電機などが、再生エネルギー源を利用するために利用されてよい。地域的に再生エネルギー源から生み出される電力は、通例継続的には利用可能でないため、即座に消費しない場合には、それらの電力も中間貯蔵装置54にバッファされる。再生発電の他に、従来構造の自家発電所も備えられていてよい。
【0077】
最後に、管理センター、他のスタンド、衛星網または乗り物との通信を可能にするために(下記参照)、無線装置58が備わっている。
【0078】
図3は、本願発明に係るインフラ構造の構成を概略的に示している。多くの乗り物の代表として、乗り物2が、道路網1を走行している。道路網1には、本質的に図2の表現と、付随する記述とに従って実施されている、多数のスタンドTが設置されている。インフラ構造には、(外部の提供者からもたらされる)衛星通信網の人工衛星60と、管理センター「Z」も含まれている。
【0079】
乗り物2のアンテナ62とスタンドTのアンテナ64とを介して、乗り物の制御機器(V−ECU)10は、スタンドTの無線装置56と通信する。通信は、リレーとして用いられる人工衛星60を介しても行われてよい。同様に、衛星リレーを介して、V−ECU10とスタンドTの無線装置56とは、管理センターZと通信できる。
【0080】
図4は、乗り物2のエネルギーマネジメントシステムの概略的な構築を示している。特に、この図においては、蓄電池8と、車輪4の1つおよび付随する電気モータ6と多数の周辺装置とを有する乗り物のECU(V−ECU)10とが、示されている。
【0081】
蓄電池8は、内部で接続されている複数の貯蔵セル66を備える。蓄電池の負の(negativ)電位はマイナス端子68を介してアースされ、正の(positiv)電位はプラス端子70を介して乗り物ECU(V−ECU)10と接合されている。蓄電池制御ユニット(Bat−ECU)72は、それ自体知られた方法で、CPUとROMとRAMと内部バスとI/Oバスとによって構築されている(I/Oバスは、図の中ではBat−ECU72の外側の縁取りによって記号化される)。Bat−ECU72は、個々のセル66の電圧を監視し、充電補償(バランシング)を実行する。Bat−ECU72は、セル66の温度を受け入れる複数の温度感知器「シータ」と接合されており、冷却器74を制御し、当該冷却器74は、図においては、明確にするために送風機ファンとして記号化されているが、アクティブおよび/またはパッシブ冷却器の各形状を備えてよい。
【0082】
Bat−ECU10のCPUは、I/Oバスを介して、外部バス76と接合されており、当該外部バス76は、V−ECU10のI/Oバスとも接合されている。外部バス76は乗り物の基礎となるバスであり、V−ECU10への接合を必要とする、乗り物のあらゆる電気機器と接合されている。
【0083】
乗り物ECU(V−ECU)10は同様に、それ自体知られた方法で、CPUとROMとRAMと内部バスとI/Oバスとによって構築されている(I/Oバスは再び、V−ECU10の外側の縁取りによって記号化される)。乗り物ECUは、外部バス76と接合されているそのI/Oバスを介して、他の電気機器と通信する。V−ECU10はさらに、エネルギー制御器(CTRL)78を備え、当該エネルギー制御器78は、蓄電池8のプラス端子70および乗り物2の電気モータ6と接合されており、蓄電池8と電気モータ6との間の電気エネルギーの分配を制御する。制御ラインとデータラインと測定ラインとを区別するために、図においては、蓄電池8の電気エネルギーを伝達するためのライン接合は、二重実線で描かれている。
【0084】
運転者コマンドユニット80は、アクセルペダルとブレーキペダルとハンドルとを含み、運転者のコマンドを外部バス76に出力する。昔ながらの操作要素の代わりに、ジョイスティックでの解決法も備えられていてよい。
【0085】
4つの車輪4と電気モータ6の内、図においてはそれぞれ1つずつしか表されていない。電気モータは、車輪4を駆動するだけでなく、再生ブレーキモーメントも受容することができるモータ発電機(M/G)である。M/G6は、外部バス76を介して、V−ECU10のCPUから制御されて監視され、かつCTRL78を介して電気エネルギーを蓄電池8と交換する。電気モータ6は、アース電位との接合も備えている。さらに電気モータ6は、速度信号を伝える。
【0086】
電気モータ6の制御は、本質的に、運転者コマンドユニット80の信号に基づいて行われる。V−ECU10はしかしながら、運転者のコマンドに重ね合わされるASRとABSとESRとその他の制御プログラムも実施することができる。
【0087】
計器盤82は、円形計器とダイヤル計器と照明などによって、場合によっては多機能ディスプレー上にも、乗り物状況と走行状況を表示するために用いられる。
【0088】
慣性測定ユニット(GYRO)84は、乗り物2の縦加速度、横加速度、垂直加速度、回転加速度、偏加速度、振動加速度、および縦傾斜と側方傾斜を検知し、これらのデータを外部バス76を介してV−ECU10に伝える。
【0089】
多数のセンサの代わりとなっているセンサユニット86は、データ、特にたとえば温度、光の強度、湿度、水分、向かい風、追い風、横風などのような、乗り物2周辺の気象データを検知し、これらのデータを外部バス76を介してV−ECU10に伝える。
【0090】
通信装置(KOMM)88は、地上回線でまたは衛星に支援された回線で、供給ステーションおよび/または管理センターとの通信のために用いられる。当該通信装置88はアンテナ62と接合され、かつ外部バス76を介してV−ECU10と接合されている(図3参照)。通信装置は、V−ECU10自身にも組み入れられていてよい。
【0091】
アンテナ92を有するラジオ受信機(RADIO)90は、音声再生システム(詳細には表されず)を介して再生される、ラジオ放送局からの放送を受信するために用いられる。放送は、気象測定データと気象予報データと交通データ、すなわち特定の道路区間の交通状況についてのデータを含んでよい。ラジオ受信機90は、これらのデータを、場合によっては適切に解読した後に、外部バス76を介してV−ECU10に送る。
【0092】
ナビゲーション機器(NAVI)94はアンテナ96と表示および入力ユニット98を備え、外部バス76を介してV−ECU10と接合されている。アンテナ96を介して、たとえばGPSなどのようなナビゲーションシステムからのデータが受信され、当該データは、現在位置を検出するのに用いられる。ナビゲーション機器94は、地図データを記憶するための記憶ユニットを備え、乗り物の現在位置から、表示および入力ユニット98を介して利用者によって選択可能な目的地までの走行ルートを検出し、かつ表示および入力ユニット98上に表示させることができる。走行指示は、乗り物の音声再生システムまたは自らのスピーカー(詳細に表されず)を介して、同様に出力される。実際に存在する道路網を結合点と連絡路の形で符号化する地図データの他に、ナビゲーション機器94は、その記憶装置に、たとえば、高度プロフィール、カーブの具合、側方傾斜、道路の舗装と状態、交差点、合流点、信号機、踏切での必要なまたは見込まれる停車地点、速度制限、統計的に見込まれる交通量などのような拡張された道のりデータも、場合によっては日付(平日、休日、休暇日、休暇シーズンなどを考慮に入れて)と、時間(通勤ラッシュ、授業開始、授業終了などを考慮に入れて)とを含めて準備することができる。
【0093】
GPSナビゲーションの故障の際には、慣性測定ユニット84の出力値をチェーンナビゲーションに用いることができる。
【0094】
図4の構成要素の区分は、機能性と明確性の観点に従って行われ、例として理解されるべきである。アンテナ62,90,96は、唯一のアンテナユニットに統合されていてよく、異なる周波数帯または地上通信と衛星通信のための複数のアンテナも備えられていてよい。さらに、通信ユニット88とラジオ放送受信機90とナビゲーション機器とセンサユニット86と慣性測定装置84の部分または全体が統合され、V−ECU10に組み入れられ、またはさらに細分化されていてよい。
【0095】
本発明に係るシステムの駆動方法は、以下の通りである。その際、パッシブな駆動法とアクティブな駆動法とに違いがある。まずはパッシブな駆動法が記述される。
【0096】
Bat−ECU72は蓄電池8の充電状況を検出し、それをV−ECU10に伝達する。さらに、Bat−ECU72に、蓄電池8のタイプを示す、蓄電池8の識別データが記憶されている。付加的に、そこには、必要な場合に同様にV−ECU10に伝達される一義的な識別番号と、充電と放電の特徴などが記憶されていてよい。
【0097】
V−ECU10は、蓄電池8の充電状況から、乗り物の現在の航続距離を算出し、結果をナビゲーション機器94に伝達する。
【0098】
ナビゲーション機器94を介して乗り物の現在位置が検出され、V−ECU10に伝達される。(構成要素6,10,72,80,82,84,86,88,90,94間のデータ交換は、毎回詳細に指摘されなくても、常に外部バス76を介して行われる。)さらに、ナビゲーション機器94の表示および入力ユニット98を介して、走行目的地が入力される。ナビゲーション機器は、乗り物の現在位置からの走行ルートを決定し、それを表示および入力ユニット98に表示する。
【0099】
ナビゲーション機器94には、多数のスタンドTについてのデータが記憶されている。これらのデータは、道路網の中のスタンドTの位置と、充電ステーション24,40と交換ステーション14の数とタイプと、ストックされている蓄電池タイプA−Eなどを含んでいる(図2参照)。データは、たとえばCD−ROMまたはDVD−ROMまたはメモリカードまたはメモリスティックのような定期購入される記憶媒体の形で、ダウンロードによってまたはその他の方法によって、定期的にアップデートされる。蓄電池8の識別データと調整することによって、どのスタンドが、乗り物に搭載された蓄電池8の再充電および/または交換に合っているかが分かる。ナビゲーション機器94はこれらのスタンドから、算出された乗り物の航続距離内にある1つまたは複数のスタンドを適切として選択し、それを表示および入力ユニット98に表示する。その際、原則的に、乗り物の航続距離内にあるすべてのスタンドが選択されるか、または付加的かつ所与のおよび/または表示および入力ユニット98を介して選択可能な基準を満たすスタンドのみが選択される。あるスタンドが適切かどうかの付加的な基準として考慮されるのは以下である。
‐スタンドが直線距離で、入力された走行目的地の方向にあるかどうか、
‐スタンドが、算出された走行ルートに沿ってあるかどうか、
‐スタンドまでの走行で、乗り物の現在の航続距離が最適に利用されるかどうか(すなわち、スタンドが、適切な安全リザーブを考慮して最終地点にあるかどうか、しかし算出された走行ルート上で乗り物の航続距離内にあるかどうか)、
‐スタンドが交換ステーションを有しており、必要な蓄電池タイプを在庫しているかどうか(第1に優先される)、
‐スタンドが急速充電のために設置された充電ステーションを備えているかどうか(第2に優先される)、
‐スタンドがレストランを有しているかどうか、
‐スタンドが、宿泊施設を有しているかどうか、
などである。ルートの算出はその際、反復して行われるので、算出された走行ルートは常に適切なスタンドに至る。(複数回のバッテリー交換または複数回の充電が必要な、より長い道のりの場合は、それぞれのスタンドからの航続距離を算出するために、適切な安全域を考慮して、それぞれ1回のバッテリーのフル充電が基本となる。)
【0100】
スタンドは、その適性に応じて評価され、適性の度合いに応じて表示および入力ユニット98に異なって表される。ナビゲーション機器94の入力および出力ユニット98には付加的に、算出されたもしくは選択された走行ルートに沿った、適切と決定されたスタンドTが強調され、しかも航続距離内にあるスタンドは、航続距離外にあるスタンドとは異なって強調される。算出されたまたは選択された走行ルートから離れたところにあるスタンドも、そこへの到達の可能性に応じて異なって表されるが、走行ルート上にあるスタンドとは別に表される。それで乗り物2の運転者には、その走行路周辺の適切なスタンドの利用可能性を監視し、かつそこへの到達の可能性を評価することが可能となる。
【0101】
利用者に、スタンドの選択または不選択をさせてもよい。それによって、手動で決定されかつ個人的な理由から利用者によって不適切とみなされたスタンドを、ルート算出から締め出すことができる。それで、スタンドの検出と、選択/不選択と、ルート算出とを複数回実施することによって、適切な走行ルートが反復して算出される。
【0102】
これまで記述されたパッシブな駆動法は、乗り物の現在位置を検出するための、衛星ナビゲーション網との信号伝達プロセス以外は、適切なスタンドへのルート発見を遂行するために、通信プロセスを必要としなかった。
【0103】
さらなるアクティブな駆動法においては、電気乗り物での旅行の供給の確実性と計画の確実性とをさらに引き上げることが可能である。
【0104】
アクティブな駆動法においては、乗り物(すなわちV−ECU10)とスタンドの経営者のネットワークとの間での無線、地上、または衛星回線でのデータ交換と、スタンドでの、様々なタイプの蓄電池の在庫およびその充電状況の確定とが行われ、必要なタイプの蓄電池の数と充電状況とに基づいて、スタンドが適切かまたは不適切かが決定される。原則的に、スタンドの貯蔵庫に充分な数の必要なタイプの蓄電池が、フル充電された状態で用意されている場合にのみ、適切と認識される(例外はさらに以下に記述される)。いくつかの蓄電池タイプでは、フル充電された状態は、すでに、理論上可能な充電より下で、たとえば90%で達成されている。
【0105】
ネットワークは、スタンドTと、場合によっては管理センターZ(図3参照)と、システムに関与する乗り物2と、を備える。その際、どの部局の側で、スタンドTが乗り物2にとって適切かまたは適切でないかを決定することは、本願発明を適用可能にするために原則的に些細なことである。重要なのは、決定する部局が、該当するスタンドTの、少なくとも必要なタイプの蓄電池の数と充電状況とについて、かつ問題となっている乗り物2の現在位置と航続距離とについて、情報を与えられていることである。
【0106】
基本的な駆動法においては、乗り物2は、位置と航続距離と蓄電池タイプと充電状況に関する情報を、通信装置88を介して、無線到達距離内のスタンドTに伝達するか、または人工衛星リレー60を介して管理センターZに伝達し(図3参照)、当該管理センターZは、データを、人工衛星リレー60を介して、または固定回線(場合によっては有線)を介して、スタンドTに伝達する。データは、乗り物2周辺の妥当な範囲内の複数のスタンドに送信される。データが送信されるべきスタンドTは、蓄電池8のタイプとその最大のまたは現在の航続距離とに基づいて、たとえば管理センターZの側で選択されてよい。スタンドTの側では、データが通信装置58で受信され、必要なタイプの蓄電池がいくつあるかということと、それらがフル充電されて利用可能であるかどうかが、P−ECU48または貯蔵ゾーン16の専門の制御ユニットで確定される。その際、まだ充電中ではあるが、乗り物2の見込まれる到着までにフル充電されているであろう蓄電池も、考慮されてよい。スタンドTにある蓄電池の数と充電状況は、情報として、通信装置58を介して直接、または人工衛星リレー60を介して、場合によっては管理センターZと相互接続されて、乗り物2に伝達される。これらの情報は、乗り物2の通信装置88に受信され、V−ECU10に記憶され、さらに処理される。特に、情報は、スタンドが適切かまたは不適切かを決定するために用いられる。
【0107】
ヴァリエーションにおいては、走行ルートに関するデータも乗り物2から伝達され、スタンドTの側で、個別に乗り物にとって適切かまたは不適切かが決定され、スタンドTから伝達されたデータは、当該スタンドTが適切かまたはそうでないかという情報のみを含んでいる。
【0108】
センターの駆動法においては、システムのすべてのスタンドTの在庫についてのデータが、永続的に管理センターZに伝達される。同様に、蓄電池タイプと位置と航続距離とについてのデータ、場合によっては走行ルートデータと、システム内で移動する乗り物のさらなる情報も永続的に管理センターZに伝達される。管理センターZにおいて、乗り物2にとってスタンドTが適切かまたは不適切かが永続的に新たに算出され、この情報を含むデータが乗り物2に伝達される。この方法で、システム内のスタンドが適切かまたは不適切かを算出するための算出負荷が、管理センターZに移され、乗り物2の側では、もしくはそのナビゲーション機器94では、適切なスタンドについての情報を考慮した走行ルートの算出のみが行われる。
【0109】
同報送信駆動法においては、すべてのスタンドTが、在庫についてのデータを、所与の送信能力で、無線装置58もしくはそのアンテナ64を介して、ラジオ放送のやり方に従って送信し、当該データは、送信能力によって決定された、スタンドの周囲にいるすべての乗り物によって受信される。乗り物の側ではそれから、どのスタンドが適切でありまたはそうでないのかの決定が行われる。
【0110】
算出負荷は、別の方法でも分配されてよく、合理的には、駆動の安全性、データ保護、算出負荷、記憶装置の需要、電気消費などのような基準に基づいて最適化される。
【0111】
予約の駆動法においては、スタンドTにある1つまたは複数の蓄電池の予約受付と予約が行われる。必要なタイプの蓄電池の充分な在庫をスタンドTから知らされた乗り物が、そこに到着した時には、必要な蓄電池がなかった、なぜならそれらの蓄電池はその間に別の乗り物によって必要とされたから、というような状況が起こり得る。そのような状況を回避するために、乗り物2は予約照会を、選択されたスタンドTに送信する。選択は、乗り物2の運転者によって、ナビゲーション機器94の表示および入力ユニット98を介して行われるか、または選択された走行ルートに適切なスタンドTが1つしかない場合には、V−ECU10によって自動的に行われる。自動予約照会を取り消す前に、運転者による確認を受けることができる。スタンドTのP−ECU48では、それに続いて、照会された蓄電池の予約受付が行われる。それ以降、在庫を検出する際には、予約受付された蓄電池はもはや考慮されない。他の乗り物への引渡しも認められない。予約受付が新たに確認された後、スタンドTにあるそれぞれの蓄電池の予約が行われる。それゆえ乗り物2の運転者が、スタンドTに到着した際に、必要な数のフル充電された、必要なタイプの蓄電池があることが確実になる。
【0112】
たとえば乗り物2がすでに前のスタンドTで交換を行っていたり、または、蓄電池を交換することなくスタンドTを通過したために、予約された蓄電池が必要でなくなるということが起これば、予約取消しの通信が行われる。取消しが行われる前に、該当する乗り物もしくはその運転者による確認が取られる。しかも予約取消しの通信の開始は、乗り物が、さらに離れたところにある適切な供給ステーションにまで確実に達する航続距離を有する場合にのみ行われる。取消しは、予約が行われてから一定の時間が過ぎた後に自動的に行われてもよい。
【0113】
予約と取消しは、自動化された駆動法においては、完全自動で、すなわち運転者による確認なしに行われる。運転者は単に知らされ、予約が行われたスタンドに誘導される。特に、供給ステーションが、走行ルートの過程で、乗り物にとって到達可能な唯一の適切な供給ステーションであるならば、利用者による確認を考慮せずに予約が行われる。
【0114】
予約に関して、他の道路使用者の実際の需要を考慮するシステムも設置されている。それで、予約照会を考慮する場合に、現在の航続距離がより長い乗り物の照会と比べて、現在の航続距離がより短い乗り物の照会が優先される。特に、照会された交換ステーションにのみ到達可能な乗り物の照会は、さらに離れた交換ステーションに到達可能な乗り物の照会に比べて優先される。照会された交換ステーションにのみ到達可能な乗り物からの照会を受けた場合、さらに離れた交換ステーションに到達可能な乗り物のための予約が、自動的に取り消されてもよい。予約が取り消された乗り物は、その後別の適切なスタンドに誘導される。
【0115】
予約と取消しのためのプロセスも、管理センターZの計算ユニットで集中化されて実行される。本方法に関与しているすべての乗り物の走行ルートが、それぞれの利用者によって予め選択され、通知され、スタート地点と目的地点とによって定義された道のりに基づいて、乗り物の走行時間および/またはエネルギー総消費量が最適化されるように、動的に導かれる、完全に集中化されてコントロールされる駆動法も備えられている。乗り物の運転者は、この駆動法への関与を、手動で選択できる。
【0116】
電気エネルギーユニット8を有する乗り物2の航続距離の算出についてより詳細に検討される。
【0117】
充電状況に基づく航続距離の算出の際には、たとえば取るに足る障害のない平坦な道のりでは、通常の走行速度での平均的な航続距離を基礎とするのに充分である。そのために、たとえば、本方法を実施するデータ処理装置の記憶装置で、充電状況と平均的な航続距離との間の相関が、簡単な表の形で提供される。
【0118】
しかしながら、エネルギー消費は実際、多くの要因に依存する。それゆえ、それぞれの状態に合わせて、一方では適した判断を得るために、他方では充分な安全域を考慮することができるようにするために、乗り物、運転者、走行の道のり、外部の影響に関する多岐にわたる情報が、航続距離の算出時に考慮される。
【0119】
それゆえ、航続距離の算出のためにまず、車輪4の速度センサの出発値(場合によっては複数またはすべての車輪4の速度センサの出発値の平均値)、または電気モータ6の角度伝達器の出発値から得られる、現在測定される乗り物速度を基礎とする。付加的に、速度プロフィール、言い換えれば、最後の停車時点からまたは利用者によって選択可能な時点から測定されかつ記憶された、乗り物速度の経過であって、運転者の運転行動、ひいては今後見込まれるエネルギー消費の帰納的推理を許す経過が記憶される。過去の走行および/または、特定の道区間においてすでに過去に走行した速度プロフィールについての経験値から、運転者の速度プロフィールが引き出されてもよい。さらに、望ましい走行方法(スポーティー、急ぎ、節約してなど)が、運転者によって設定され、そのためにそれぞれ格納された速度領域および/または加速領域がアクセスされる。そのようにして得られたデータによって、走行のさらなる経過において見込まれる速度プロフィールとひいては見込まれるエネルギー消費の外挿が可能になる。
【0120】
乗り物2のエネルギー消費は、好適には現在測定されるまたは利用者によって予め入力された積荷の追加を考慮して、たとえば回転抵抗係数、空気抵抗係数、スプリングの特質、重量のような、不変の乗り物パラメータにも依存し、またモータ負荷特性(たとえば、モータの電気消費または効率として、回転モーメントと回転数とに依存して定義される)と、バッテリー放電特性(たとえば電気エネルギーユニットの充電損失として、電気と電圧とに依存して定義される)にも依存する。そのような値は、V−ECU10とBat−ECU72のROMに格納されており、乗り物の航続距離を算出するためにアクセス可能である。
【0121】
エネルギー消費は、走行ルートの道のりの具合、特に高度プロフィール(上り坂と下り坂)、カーブの具合、側方傾斜、道路の舗装と状態速度制限、統計的に見込まれる交通量、交差点、合流点、信号機、踏切での必要なまたは見込まれる停車地点などによっても、決定的な影響を受ける。そのようなデータは、場合によっては、平日、休日、休暇シーズン、および時間などを考慮に入れて、ナビゲーション機器94の記憶装置に格納されており、または管理センターZによって、V−ECU10による照会に対して準備され、同様にエネルギー消費の算出のために使われる。これらのデータは、ラジオ放送局からラジオ機器90を介して、または管理センターZから通信装置88を介して受信される、乗り物周辺および/または予想される走行ルートに沿った交通状態情報に基づいて改善される。
【0122】
さらに、エネルギー消費は、気象状態、特に風力と風向きとによって影響されるが、温度と降水もしくは水分も、たとえば車輪の回転抵抗またはバッテリー放電特性に影響しかねない。それゆえエネルギー消費を算出するために、ナビゲーション機器94の記憶装置に格納されている一般的な統計上の気象見込み値と、ラジオ放送局からラジオ機器90を介して、または管理センターZから通信装置88を介して受信される、気象予報値と気象データ、およびセンサユニット86からの測定値も使われる。
【0123】
乗り物に太陽光発電のためのソーラーモジュールが装備されているならば、乗り物2の航続距離を検出するために、太陽光発電で発生する電気による、蓄電池8の充電も考慮される。今後を外挿するために、その際、上で言及された気象データ特に明るさ、曇り、降水または霧に関する気象データと時刻とを用いてよい。
【0124】
航続距離を算出するために、様々なパラメータに基づいて、複数の代替の速度プロフィールも外挿される。特に、特定のスタンドに到達しなくてはならない場合、維持するべき特定の速度プロフィールが、利用者に予め与えられる。その際運転者は、代替の速度プロフィールを選択できる。
【0125】
適切なスタンドを考慮に入れたルート発見は、走行中、ループの形で継続して繰り返される。以前の算出結果に反して、適切なスタンドへの到達が問題となりかねないと判明した場合(予期しないほど高いエネルギー消費またはスタンドの予期しない混雑によって)、運転者は警告を受ける。調節された自動化度に応じて、具体的なヴァリエーションの計算と行動提案を含むさらなる対抗策が講じられる。まず、スタンドになお到達可能な、代替の走行ルートと速度プロフィールとが算出される。それで、おそらくは、特定の極端な速度範囲または加速範囲を放棄することで充分である。これは、行動提案として、または自動的なスロットル調整または制限の形でも行うことができる。次のステップとして、なお到達可能な代替の供給ステーションが決定される。その際、スタンドが急速充電装置を有していれば、場合によっては、充分な在庫という基準を放棄してよいか、または、そのようなスタンドにももはや到達不可能であれば、簡単な充電ができるスタンドが選択されてもよい。後者の場合には、レストランおよび/または宿泊施設を有するスタンドが優先される。緊急時には、さらなる道のりの過程でより適切なスタンドが利用可能であれば、スタンドTが適切であると決定するために、ただ部分的にのみ充電された蓄電池が考慮される。乗り物が手動の駆動サポートを有するならば(冒頭で言及されたTWIKEは、たとえばオプションのペダルアシスト駆動装置が入手可能である)、対抗策は、手動の駆動サポートを連続的にまたは特定の道のり区間で(たとえば上り坂でまたは向かい風の際に)使用するという提案も含んでよい。
【0126】
蓄電池8は、本発明の主旨においては、電気エネルギーユニットである。本発明はしかしながら、任意のエネルギー担体のエネルギーを乗り物の駆動に利用可能な、いかなる交換可能なユニットにも適用可能である。ルート発見法は、内燃機関を有する乗り物にすら適用可能である。乗り物を駆動するためのエネルギー担体の利用の可能性がぎりぎりである場合、すなわち、個々のスタンドの供給設備がおぼつかない場合、当該ルート発見法は常に合理的に適用される。
【0127】
スタンドTは、本発明の主旨においては、供給ステーションである。
【0128】
本発明は、内陸水域または海の沿岸近くの水域において、電気で駆動されるボートでも、有利に適用可能である。ここでも、ボートの船着場またはサービスポイントなどにある供給ステーションが、無線を介してV−ECUと、または、この目的のために適切な通信装置を装備されているBat−ECUと直接に通信し、蓄電池の充電状況と船着場の在庫とについての情報を交換する。本方法はその際、船舶航行で決定的な観点に適合されている。それで、航続距離を算出する際には、部分的に陸上車両に限定された、前述の特定のパラメータの代わりに、たとえば流れの抵抗、スクリュー効率、流れ方向、流れ速度などのような別のパラメータが用いられる。安全域は、知られた算出不能な天候の急変時に、場合によっては、大きく計測されている。手動の駆動サポートとして、ボートでは、たとえばオールでの駆動または補助帆装置が考えられる。本発明のそのような実施形態は、図5と図6とに基づいて記述される。
【0129】
図5は、この実施形態の蓄電池8’の斜視図を示している。ここに記述された実施例においては、蓄電池8’は、ボート用の駆動モータのエネルギー源を形成する。
【0130】
ホルダ100の中には、4つの貯蔵ブロック102が設けられており、当該貯蔵ブロック102はそれぞれ、複数のガルバニセル(詳細に表されず)から構築されており、適切な方法で互いに接続されている。蓄電池8’すなわち互いに接続された貯蔵ブロック102の総出力電圧は、ホルダ100に取り付けられている端子104,106に接している。
【0131】
各貯蔵ブロック102は、制御機器(Block−ECU)108を有し、当該貯蔵ブロック102はケーブル配線110によって内部と接合されている。Block−ECU108を介して、ブロック102内部のセル間のバランシング、すなわち充電補償が実行される。
【0132】
Block−ECU108は、すべての貯蔵ブロック102の上位制御を担当する、共通の制御機器(Bat−ECU)112と接合されている。特に、Bat−ECU112には、貯蔵ブロック102の充電状況についてのすべてのデータが集まっている。Bat−ECU112は、アンテナ114を備えており、当該アンテナ114を介して、たとえばGPSのようなナビゲーションシステムの人工衛星からの信号が受信される。Bat−ECU112は、これらの信号に基づいて、位置決定を実行する。アンテナ114を介して、Bat−ECU112は、供給ステーションとの通信も実行する。特に、Bat−ECU112は、アンテナ114を介して、供給ステーションの在庫データを受信する。前述の場合と同様に、Bat−ECU112は、アンテナ114を介して、充電状況データと位置データとを供給ステーションまたは管理センターへ送信する。
【0133】
Bat−ECU112はさらに、利用者インターフェース116と接合されている。利用者インターフェース116は、ディスプレー118と、複数の入力キー120とを備える。ディスプレー118には、符号Bの付いたボートが、水域G内に表されている。(ここで選択された図においては、水域全体がディスプレーに示されている。代替の拡大段階または縮小段階は、入力キー120によって選択可能である。)コンパスの針Kは北の方向を示し、一方で風向記号Wは現在の風向きを示している。(北の方向と風向きとを検出するための、たとえばセンサなどのような装置は、詳細には表されていない。)
【0134】
水域Gの岸辺には、蓄電池8’を交換するために設置されている7つの供給ステーションV1からV7が表されている。表されている状況では、供給ステーションV1,V2,V3,V5,V7は、黒丸で表されている。これは、Bat−ECU112が、現在の蓄電池の充電状況で、かつ風向きを考慮して、これらの供給ステーションに到達可能であると確定したことを意味する。到達可能なこれらの供給ステーションの内、供給ステーションV1,V3,V5,V7は、円で囲まれた符号が付いている。これは、Bat−ECU112が供給ステーションから通知された在庫に基づいて、当該供給ステーションでは、蓄電池8’を充電された蓄電池と交換可能であると確定したことを意味する。それに対し、供給ステーションV4,V6は、白丸でのみ表されている。これらの供給ステーションは、現在到達不可能である。
【0135】
利用者は入力キー120によって、一方ではディスプレー118の図を変更し、他方では到達の可能性の算出を予め設定することが可能である。それでたとえば、全速で到達可能な供給ステーションのみを考慮すべきであるか(たとえば悪天候が近づいてくるから)、または半速でまたはゆっくりとした航行でも到達可能な供給ステーションも考慮すべきかを入力することができる。
【0136】
本発明は、前述で具体的な実施例に基づいて記述された。本発明によって、充電可能なおよび/または交換可能なエネルギーユニットに基づいて、個々の機動性を充足する、都市部のまたは内海で利用可能なシステムが実現される。当該システムは、特に交換可能な電気蓄電池ブロックに適しており、ユニットは、構造的に連結された1つまたは複数のブロックから成っていてよい。
【0137】
走行ルートを動的に検出するための方法は一般的に、エネルギー担体の種類に関係なく、乗り物に適している。乗り物内でのエネルギー備蓄と、ルート発見の際の適切な供給ステーションの使用可能性とが取り入れられる、ナビゲーションシステムの駆動方法が記述されている。
【符号の説明】
【0138】
1 道路網
2 乗り物
4 駆動輪
6 電気モータ(M/G)
8、8’ 蓄電池
10 乗り物制御機器(V−ECU)
12 充電ゾーン
14 交換ゾーン
16 貯蔵ゾーン
18 エネルギー管理ゾーン
20 充電ゾーン12の進入路
22 充電場
24 充電自動装置
26 交換ゾーン14の進入路
28 サービスパイロン
30 操作自動装置
32 交換場
34 路肩
36 交換用溝
38 搬送機
40 充電接続部
42 貯蔵庫
44 仕分け棚
46 検査場
48 エネルギー制御ユニット(P−ECU)
50 分配網
52 変圧器
54 中間貯蔵装置
56 風車
58 無線装置
60 人工衛星
62 乗り物2もしくは通信装置88のアンテナ
64 スタンドTもしくは無線装置58のアンテナ
66 蓄電池8の貯蔵セル
68 マイナス端子
70 プラス端子
72 蓄電池制御ユニット(Bat−ECU)
74 冷却器
76 外部バス
78 エネルギー制御器(CTRL)
80 運転者コマンドユニット
82 計器盤
84 慣性測定ユニット(GYRO)
86 センサユニット
88 通信装置(KOMM)
90 ラジオ受信機(RADIO)
92 ラジオ受信機90のアンテナ
94 ナビゲーション機器(NAVI)
96 ナビゲーション機器94のアンテナ
98 表示および入力ユニット
100 蓄電池8’のホルダ
102 貯蔵ブロック
104、106 端子
108 Block−ECU
110 ケーブル配線
112 Bat−ECU
114 Bat−ECU112のアンテナ
116 利用者インターフェース
118 ディスプレー
120 入力キー
B ボート
G 発電機;水域
K コンパスの針
N 遠隔エネルギー網
P 現在位置
S スタート地点
T スタンド
V1−V7 供給ステーション
W 風向記号
Z 目的地点
上記の符号の説明は、記述の一部であることを、はっきりと指摘しておく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物であって、前記電気エネルギーユニットから前記電気走行駆動装置に電気駆動エネルギーが供給され、かつ前記電気エネルギーユニットが低い充電状況で充電または交換される乗り物を駆動するための方法であって、
前記電気エネルギーユニットの充電状況を検出するステップと、
前記乗り物の現在位置を検出するステップと、
前記電気エネルギーユニットの充電状況を基にして、前記乗り物の航続距離を算出するステップと、
前記電気エネルギーユニットの再充電および/または交換のために設置されている供給ステーションのそれぞれの在庫を検出するステップであって、該在庫が、少なくとも、供給ステーションにストックされている電気エネルギーユニットの数と充電状況とによって定義されているステップと、
供給ステーションが乗り物の航続距離内にあり、該供給ステーションの在庫が所定の条件を満たし、特に所定の数の充電された電気エネルギーユニットが交換のために用意されている場合、少なくとも1つの供給ステーションを適切な供給ステーションとして決定するステップと、
を有する方法であって、
航続距離の算出および/または適切な供給ステーションの決定に必要なデータは、前記乗り物と少なくとも1つの前記供給ステーションとの間でおよび/または前記乗り物とセンターとの間でおよび/または前記供給ステーションと前記センターとの間で通信され、少なくとも、前記乗り物と前記供給ステーションおよび/または前記センターとの間での通信は無線で行われる方法。
【請求項2】
少なくとも前記乗り物の位置と現在の航続距離とを同報送信するステップと、適切な供給ステーションに関する情報を前記乗り物に送信するステップと、をさらに特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
供給ステーションの在庫を、所定の範囲内に同報送信するステップをさらに特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
供給ステーションの在庫が所定の条件を満たしていない場合、該供給ステーションが、それが急速充電法による電気エネルギーユニットの充電のために設置されていれば、代わりに適切な供給ステーションとして決定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
供給ステーションの在庫が所定の条件を満たしておらず、かつ該供給ステーションが急速充電法による電気エネルギーユニットの充電のために設置されていない場合、前記供給ステーションは、それが原則的に電気エネルギーユニットの充電のために設置されていれば、代わりに適切な供給ステーションとして決定され、該供給ステーションは好適には、走行の目的地にあれば考慮に入れられることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
利用者によって選択可能な走行目的地に基づいて、適切な供給ステーションとしての決定が行われるか、または適切として決定された該供給ステーションは、選択された走行目的地に基づいて評価されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記乗り物の現在位置から走行目的地の方向に最も遠くにある適切な供給ステーションが、所与の安全リザーブを考慮して目的の供給ステーションとして決定されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記乗り物の現在位置から走行目的地までの走行ルートを、適切な供給ステーションに基づいて算出するステップをさらに特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
算出された走行ルート上で前記乗り物の現在位置から最も遠くにある適切な供給ステーションが、所与の安全リザーブを考慮して目的の供給ステーションとして決定されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
走行ルート上の適切な供給ステーションを利用者に選択または不選択させるステップをさらに特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
走行ルートの算出のステップと適切な供給ステーションの決定のステップとが、好適には目的の供給ステーションを決定するステップと提供と選択または不選択のステップとを含めて反復して実行されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
供給ステーションが乗り物にとって適切な供給ステーションとして決定された場合、必要な数の電気エネルギーユニットを、特に前記乗り物による照会に基づいて、該乗り物のために予約するステップを特徴とする方法であって、照会は好適には、前記乗り物の利用者による確認を必要とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記供給ステーションが前記乗り物にとって、唯一到達可能な適切な供給ステーションである場合、利用者による確認を配慮せずに予約が行われることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項14】
照会は、照会した前記乗り物の航続距離を考慮に入れて優先されることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項15】
前記乗り物であって、該乗り物のために予約が行われた乗り物が、予約を必要としなくなった場合、予約を取り消すステップを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
現在測定された少なくとも1つの乗り物速度、またはこれまでの速度プロフィール、または前記乗り物のエネルギー消費パラメータ、または運転者行動データ、または道のりパラメータ、または気象情報、または交通状況の情報に基づいて、航続距離が算出されることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
これまでの速度経過から外挿された将来の速度プロフィールに基づいて、航続距離が算出されることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
航続距離を算出するために、様々なパラメータに基づいて、複数の代替の速度プロフィールが外挿されることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
供給ステーションが適しているかまたは適していないかの確定は、前記乗り物の走行中に継続して繰り返されることを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
現在想定されている走行ルートで、適切な供給スタンドに到達可能かどうかを、連続して検証するステップと、もしそうでないなら、少なくとも警告を出すことを含む対抗策を講じるステップとをさらに特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項21】
本方法のステップは、前記乗り物の側で、1つまたは複数の供給ステーションの側でおよび/または管理センターの側で、分配して実行されることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
乗り物の走行時間および/または全エネルギー消費量が最適化されるように、本方法に関与するすべての乗り物の走行ルートが、それぞれの利用者によって予め選択されかつ通知された、スタート地点と目的地点とによって定義される道のりに基づいて、動的に運用されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項23】
乗り物に搭載するためのナビゲーション機器であって、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法を前記乗り物の側で実行するために設置されているナビゲーション機器。
【請求項24】
電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物であって、前記電気エネルギーユニットから前記電気走行駆動装置に電気駆動エネルギーが供給され、かつ前記電気エネルギーユニットが低い充電状況で充電または交換される乗り物のエネルギー供給を制御するための乗り物エネルギー制御システムであって、
前記乗り物の位置を決定するための位置決定装置と、
前記電気エネルギーユニットの充電状況を決定するための充電状況決定装置と、
前記充電状況決定装置によって決定された前記電気エネルギーユニットの充電状況に基づいて、前記乗り物の航続距離を算出するための航続距離算出装置と、
エネルギー貯蔵装置の充電および/または交換のために設置されている供給ステーションと、該供給ステーションのそれぞれの在庫であって、該在庫は、少なくとも、供給ステーションにストックされている電気エネルギーユニットの数と充電状況とによって定義されている在庫とについての、無線通信ネットワークからの情報を無線受信するための受信装置と、
供給ステーションが前記乗り物の航続距離内にあり、かつ、特に所定の数の充電された電気エネルギーユニットが交換のために用意されていて前記供給ステーションの在庫が所定の条件を満たしている場合に、該供給ステーションを適切な供給ステーションとして決定するための適性決定装置と、
を備える乗り物エネルギー制御システム。
【請求項25】
位置と航続距離とを含む情報を通信ネットワークに無線送信するための送信装置をさらに特徴とする乗り物エネルギー制御システムであって、
受信された情報は、前記乗り物の航続距離内にある供給ステーションについての情報を、該情報のみまたは特に特徴付けられた形で含む請求項25に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項26】
前記電気エネルギーユニットと好適には前記乗り物の識別データおよび/または前記電気エネルギーユニットの充電/放電パラメータおよび好適には前記乗り物のエネルギー消費パラメータが予め記憶されている記憶装置をさらに特徴とする乗り物エネルギー制御システムであって、
送信された情報は付加的に、前記電気エネルギーユニットと場合によっては前記乗り物の識別データ、前記電気エネルギーユニットの充電/放電パラメータと前記乗り物のエネルギー消費パラメータとを含み、かつ
受信された在庫に関する情報は単に、前記乗り物に搭載されている前記電気エネルギーユニットのタイプに対応するタイプの電気エネルギーユニットの在庫についての情報のみを含む請求項26に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項27】
電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物であって、前記電気エネルギーユニットから前記電気走行駆動装置に電気駆動エネルギーが供給され、かつ前記電気エネルギーユニットが低い充電状況で充電または交換される乗り物のエネルギー供給を制御するための乗り物エネルギー制御システムであって、
前記電気エネルギーユニットと好適には前記乗り物の識別データおよび/または前記電気エネルギーユニットの充電/放電パラメータおよび好適には前記乗り物のエネルギー 消費パラメータが予め記憶されている記憶装置と、
前記乗り物の位置を決定するための位置決定装置と、
前記電気エネルギーユニットの充電状況を決定するための充電状況決定装置と、
位置、前記電気エネルギーユニットの充電状況、前記電気エネルギーユニットと場合によっては前記乗り物の識別データ、前記電気エネルギーユニットの充電/放電パラメータと前記乗り物のエネルギー消費パラメータを含む情報を通信ネットワークに無線送信するための送信装置と、
前記乗り物の現在の航続距離と、前記乗り物の航続距離内にあり、エネルギー貯蔵装置の充電および/または交換のために設置されておりかつそれに適した供給ステーションであって、特に所定の数の充電された電気エネルギーユニットが交換のために用意されていて在庫が所定の条件を満たしている供給ステーションのみが適切と決定されている、供給ステーションとについての、通信ネットワークからの情報を無線受信するための受信装置と、
を備える乗り物エネルギー制御システム。
【請求項28】
前記乗り物の現在位置から、利用者によって選択可能な目的地までの走行ルートを検出するためのナビゲーション装置をさらに特徴とする乗り物エネルギー制御システムであって、該ナビゲーション装置は好適には、たとえば高度プロフィール、カーブの具合、側方傾斜、道路の舗装と状態、速度制限、統計的に見込まれる交通量、必要なまたは見込まれる停車地点のような道のりデータを、場合によっては曜日、日付および/または時間を考慮に入れて準備する請求項25から28のいずれか一項に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項29】
管理センターまたはラジオ放送局によって準備される交通情報を受信しかつ評価するための交通情報評価装置をさらに特徴とする請求項25から29のいずれか一項に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項30】
管理センターまたはラジオ放送局によって準備される気象情報を受信しかつ評価するための気象情報評価装置をさらに特徴とする請求項25から30のいずれか一項に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項31】
たとえば温度、光の強度、湿度、水分、向かい風、追い風、横風などのような気象データを検知するための気象データ検知装置をさらに特徴とする請求項25から31のいずれか一項に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項32】
速度、縦加速度、縦減速度、横加速度、道路のグリップもしくはスリップなどのような特徴的な走行状況を検知するための走行状況検知装置をさらに特徴とする請求項25から32のいずれか一項に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項33】
時間的な経過における特徴的な走行状況を記憶するための走行状況記憶装置をさらに特徴とする請求項33に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項34】
特徴的な走行状況の時間的な経過に基づいて、現在の運転者の典型的な運転行動を説明するためのパラメータを決定するための運転者行動評価装置をさらに特徴とする請求項34に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項35】
前記ナビゲーション装置によって準備された道のりデータ、および/または前記交通情報評価装置によって受信された交通情報、および/または前記気象情報評価装置によって受信されたまたは前記気象データ検知装置によって検知された気象データ、および/または前記走行状況検知装置によって検知された走行状況、および/または前記走行状況記憶装置に記憶された走行状況の経過、および/または前記運転者行動評価装置によって決定された行動パラメータを、前記管理センターおよび/または前記供給ステーションに送信するために、前記送信装置が設置されていることを特徴とする請求項29から35のいずれか一項に記載の乗り物エネルギー制御システム。
【請求項36】
電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ好適には交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物に電気エネルギーを供給するための供給ステーションであって、
複数の電気エネルギーユニットを蓄えるための貯蔵設備と、
乗り物内にある電気エネルギーユニットを前記貯蔵設備からの電気エネルギーユニットと交換するための少なくとも1つの交換装置と、
乗り物内にある電気エネルギーユニットを充電するための少なくとも1つの充電装置と、
前記貯蔵設備に蓄えられている電気エネルギーユニットの数と充電状況とによって定義されて、前記供給ステーションの在庫を確定するための在庫確定装置と、
前記供給ステーション周辺の乗り物とおよび/または前記供給ステーション周辺の乗り物を介して管理センターとデータを交換するための通信装置と、
を備える供給ステーション。
【請求項37】
前記供給ステーションが、複数のタイプの電気エネルギーユニットを取り扱うために設置されていることを特徴とする請求項37に記載の供給ステーション。
【請求項38】
前記通信装置が、在庫を知らせるデータを前記乗り物または前記管理センターに送信するために設置されていることを特徴とする請求項37または38に記載の供給ステーション。
【請求項39】
前記通信装置が、乗り物または前記管理センターからの在庫照会を受信した場合にのみ、在庫を知らせるデータを送信するために設置されていることを特徴とする請求項39に記載の供給ステーション。
【請求項40】
確定された在庫と、前記通信装置を介して受信された乗り物についてのデータとに基づいて、前記供給ステーションが前記乗り物に供給するのに適切かどうかを決定するための適性決定装置であって、受信されたデータは、前記乗り物の少なくとも1つの位置と、該乗り物内にある前記電気エネルギーユニットの充電状況とを含んでいる適性決定装置をさらに特徴とし、かつ、前記通信装置が、引き続いて、前記供給ステーションの決定された適性または不適性を知らせるデータを前記乗り物または前記管理センターに送信するために設置されていることを特徴とする請求項37から40のいずれか一項に記載の供給ステーション。
【請求項41】
特定の乗り物のための電気エネルギーユニットを、該乗り物の照会に基づいて予約するための予約装置をさらに特徴とする請求項37から41のいずれか一項に記載の供給ステーション。
【請求項42】
急速充電に適した少なくとも1つの充電装置があることを特徴とする請求項37から42のいずれか一項に記載の供給ステーション。
【請求項43】
前記貯蔵設備に蓄えられている電気エネルギーユニットを充電または充電回復させるための貯蔵・充電装置をさらに特徴とする請求項37から43のいずれか一項に記載の供給ステーション。
【請求項44】
化石原料または次世代原料または再生資源から電気エネルギーを生み出すための電気エネルギー発生装置と、好適には、生み出された電気エネルギーを使用まで中間貯蔵するための電気エネルギー中間貯蔵装置と、をさらに特徴とする請求項37から44のいずれか一項に記載の供給ステーション。
【請求項45】
電気走行駆動装置と、少なくとも1つの再充電可能かつ好適には交換可能な電気エネルギーユニットと、を備える乗り物に電気エネルギーを供給するためのインフラ構造であって、
請求項37から45のいずれか一項に記載の複数の供給ステーションと、
請求項25から36のいずれか一項に記載の複数の乗り物エネルギー制御システムと、
を備え、前記供給ステーションと前記乗り物エネルギー制御システムとは、協力して請求項1から44のいずれか一項に記載の方法を実行するために設置されているインフラ構造。
【請求項46】
管理センターをさらに特徴とするインフラ構造であって、該管理センターと前記供給ステーションと前記乗り物エネルギー制御システムとは、協力して請求項1から45のいずれか一項に記載の方法を実行するために設置されている請求項46に記載のインフラ構造。
【請求項47】
乗り物に電気駆動エネルギーを供給するための、再充電可能かつ交換可能な電気エネルギーユニットであって、
該電気エネルギーユニットの少なくとも1つの充電状況もその中に含まれる駆動状況を検知しかつ制御するための制御ユニットと、
前記乗り物の外の部局と通信するための無線通信装置と、
を備える電気エネルギーユニット。
【請求項48】
少なくとも前記電気エネルギーユニットのタイプの識別と、好適には該電気エネルギーユニットを搭載する前記乗り物への割り当てとを可能にする情報を記憶するための前記制御ユニットが設置されていることを特徴とする請求項48に記載の電気エネルギーユニット。
【請求項49】
前記電気エネルギーユニットの現在位置を検出するための、または前記乗り物に搭載されているナビゲーション機器の位置データを評価するための前記制御ユニットが設置されていることを特徴とする請求項48または49に記載の電気エネルギーユニット。
【請求項50】
請求項1から23のいずれか一項に記載の方法を乗り物の側で実行するための前記制御ユニットが設置されていることを特徴とする請求項48から50のいずれか一項に記載の電気エネルギーユニット。
【請求項51】
別の電気エネルギーユニットの無線通信装置と直接通信するための前記無線通信装置が設置されていることを特徴とする請求項48から51のいずれか一項に記載の電気エネルギーユニット。
【請求項52】
特にリチウムを使った電気化学的反応に基づく蓄電池であることを特徴とする請求項48から52のいずれか一項に記載の電気エネルギーユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−523551(P2012−523551A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503906(P2012−503906)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002070
【国際公開番号】WO2010/115573
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511173550)リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー (85)
【Fターム(参考)】