説明

H級共鳴電気外科手術発電機

【課題】電気外科手術デバイスと共に使用する発電機を提供すること。
【解決手段】第一の電圧レールと第二の電圧レールとの間に電気的に配置された利得ステージと、利得ステージの入力に動作可能に結合された電圧供給源と、増幅器の動作パラメータを感知することと、動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサ信号を受信することと、その信号に応答して、駆動制御信号を電圧供給源に提供することとを行うように適合されたコントローラと、利得ステージの出力が第一の電圧レールの電圧と第二の電圧レールの電圧との間に入るとき、対応する出力電圧を供給するように構成され、出力電圧が第一の電圧レールの電圧より大きいか、または第二の電圧レールの電圧より小さいときには、ピーク電圧出力を供給するように構成される、増幅器出力とを備えている、発電機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
1.技術分野
本開示は、生物学的組織にエネルギーを提供するためのシステムに関し、より詳細には、電気外科手術手順の間に使用するエネルギーを増幅するための改善された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
エネルギーベースの組織処置は当該分野で周知である。様々な種類のエネルギー(例えば、電気エネルギー、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、低温エネルギー、熱エネルギー、レーザエネルギーなど)が組織に適用され、所望の結果を達成する。電気外科手術は、高無線周波数電気電流を外科手術部位に印加して、組織を切断し、組織を切除し、組織を凝結し、または組織を密封することを含む。モノポーラ電気外科手術において、ソース電極またはアクティブ電極は、無線周波数エネルギーを、電気外科手術発電機から組織に送達し、リターン電極は、電流を発電機に戻すように運ぶ。モノポーラ電気外科手術において、ソース電極は、典型的に、外科医によって保持される外科手術器具の一部であり、処置される組織に適用される。患者リターン電極は、アクティブ電極から遠隔に配置されて、電流を発電機に戻すように運ぶ。
【0003】
切除は、モノポーラ手順においてもっとも一般的であり、癌処置の分野では特に有用であり、ここでは1つ以上の(通常細長い円柱形形状を有する)RF切除針電極が、生物体に挿入され、罹患した器官の腫瘍領域に配置される。このような針電極の典型的な形態は、絶縁シースを組み込み、この絶縁シースから、露出した(絶縁されていない)先端が延びる。RFエネルギーが、リターン電極と挿入された切除電極との間に提供されるとき、RF電流は、針電極から、体を通って流れる。典型的には、電流密度は、針電極の先端近くで非常に高く、このことは、周囲の組織を加熱し破壊する傾向がある。
【0004】
バイポーラ電気外科手術において、ハンドヘルド器具の複数の電極のうちの一方は、アクティブ電極として機能し、もう一方は、リターン電極として機能する。リターン電極が、アクティブ電極の非常に近くに配置されることにより、電気回路は、2つの電極(例えば、電気外科手術鉗子)の間に形成される。この態様において、印加される電気電流は、電極のすぐ隣に位置決めされた体組織に限定される。電極が互いから十分に離れているときには、電気回路は開いており、したがって、離れている電極のうちのいずれかによる体組織との意図的でない接触によって電流は流れない。
【0005】
一般的に使用される電力増幅器は不十分であることが公知である。例えば、A/B級マイクロ波電力増幅器は、典型的に、約35%の効率を示す。すなわち、250Wの外科手術信号を達成するために、A/B級電力増幅器は、約714Wの電力を必要とし、この714Wの電力のうちの464Wは、熱エネルギーとして散逸する。結果として生じる熱は、管理することが困難になり、かさばって費用のかかる冷却システム(例えば、ファンおよび熱シンク)の使用を必要とし得る。さらに、余分な熱は、発電機の他の構成要素に対する熱応力を引き起こし得、発電機の寿命を短くし、信頼性を減少させ、維持費用を増加させる。さらに、A/B級増幅器は、クロスオーバー歪みを示し得、このクロスオーバー歪みは、望ましくない高調波を外科手術信号に導入し、このことは、許容可能な限界を超過した無線周波数干渉を引き起こすことが公知である。
【0006】
電気外科手術は、大きさおよび熱シンクの必要性を低減するために非常に高い変換効率を維持しながら、非常に広い範囲の電圧および電流を必要とするので、いくつかの電気外科手術デバイスは、C級またはE級出力によって駆動される同調された共鳴回路を使用する。しかしながら、このような配列は、品質係数またはQ係数が、回路に適用される負荷と共に変化し、このことが出力において所望の電圧または電流を維持することを困難にするという不都合な点を有する。この不都合な点は、負荷の不足減衰状況または高Q状況に対する、出力における極端な「リンギング」または望ましくない「リンギング」として現れ得る。A/B級の出力は、これらの出力インピーダンスが典型的にかなり小さいので、この不都合な点を受けない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
本開示は、発電機のための装置を提供する。本開示にしたがうと、発電機は、第一の電圧レールと第二の電圧レールとの間に電気的に配置された利得ステージであって、この利得ステージは、入力と出力とを含む、利得ステージと、この利得ステージの入力に動作可能に結合され、駆動制御信号に応答して利得ステージの入力に入力信号を提供するように構成された電圧供給源と、増幅器の動作パラメータを感知することと、動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサ信号を受信することと、少なくとも1つのセンサ信号に応答して、駆動制御信号を電圧供給源に提供することとを行うように適合されたコントローラとを含む。増幅器出力が提供され、増幅器出力は、利得ステージの出力が該第一の電圧レールの電圧と該第二の電圧レールの電圧との間に入るとき、第一の電圧レールおよび第二の電圧レールに対応する出力電圧を供給するように構成され、出力電圧が第一の電圧レールの電圧より大きいか、または第二の電圧レールの電圧より小さいときには、ピーク電圧出力を供給するように構成されている。
【0008】
他の実施形態において、利得ステージは、プッシュプル構成で配列された少なくとも2つの利得要素を有するA/B級増幅器をさらに含む。少なくとも2つの利得要素は、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタおよび横方向拡散金属酸化物半導体からなる群より選択される。センサは、出力電圧またはバイアス電流を感知するように構成されている。利得ステージは、また、バイアス回路を含み得、コントローラは、バイアス回路に動作可能に結合し、バイアス制御信号に応答してバイアス回路にバイアス電圧を提供するように構成され、コントローラは、少なくとも1つのセンサ信号に応答してバイアス制御信号をバイアスコントローラに提供する。
【0009】
別の実施形態において、電圧供給源と、利得ステージと、H級共鳴増幅器と、少なくとも1つのスイッチと、電圧供給源の出力を制御することとパルス幅変調信号に基づいて少なくとも1つのスイッチを制御することとを行うように動作可能なコントローラとを有する電気外科手術発電機が提供される。少なくとも1つのスイッチは、電界効果トランジスタであり得る。電気外科手術発電機は、また、増幅器の動作パラメータを感知することと、動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように動作可能な少なくとも1つのセンサをさらに含み得る。
【0010】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
第一の電圧レールと第二の電圧レールとの間に電気的に配置された利得ステージであって、該利得ステージは、入力と出力とを含む、利得ステージと、
該利得ステージの入力に動作可能に結合され、駆動制御信号に応答して該利得ステージの入力に入力信号を提供するように構成された電圧供給源と、
増幅器の動作パラメータを感知することと、該動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように構成された少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つのセンサ信号を受信することと、該少なくとも1つのセンサ信号に応答して、該駆動制御信号を該電圧供給源に提供することとを行うように適合されたコントローラと、
該利得ステージの出力が該第一の電圧レールの電圧と該第二の電圧レールの電圧との間に入るとき、該第一の電圧レールおよび該第二の電圧レールに対応する出力電圧を供給するように構成され、該出力電圧が該第一の電圧レールの電圧より大きいか、または該第二の電圧レールの電圧より小さいときには、ピーク電圧出力を供給するように構成される、増幅器出力と
を備えている、発電機。
(項目2)
上記利得ステージは、A/B級増幅器をさらに含む、上記項目に記載の発電機。
(項目3)
上記利得ステージは、プッシュプル構成に配列された少なくとも2つの利得要素を備えている、上記項目のいずれかに記載の発電機。
(項目4)
上記少なくとも2つの利得要素は、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタおよび横方向拡散金属酸化物半導体からなる群より選択される、上記項目のいずれかに記載の発電機。
(項目5)
上記センサは、出力電圧を感知するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の発電機。
(項目6)
上記センサは、バイアス電流を感知するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の発電機。
(項目7)
上記利得ステージは、バイアス回路を含み、上記コントローラは、該バイアス回路に動作可能に結合し、バイアス制御信号に応答して該バイアス回路にバイアス電圧を提供するように構成され、該コントローラは、上記少なくとも1つのセンサ信号に応答してバイアス制御信号をバイアスコントローラに提供する、上記項目のいずれかに記載の発電機。
(項目8)
電圧供給源と、
利得ステージと、
H級共鳴増幅器と、
少なくとも1つのスイッチと、
該電圧供給源の出力を制御することと、パルス幅変調信号に基づいて、該少なくとも1つのスイッチを制御することとを行うように動作可能なコントローラと
を備えている、電気外科手術発電機。
(項目9)
上記少なくとも1つのスイッチは、電界効果トランジスタである、上記項目に記載の電気外科手術発電機。
(項目10)
上記増幅器の動作パラメータを感知することと、該動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように動作可能な少なくとも1つのセンサをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の電気外科手術発電機。
【0011】
(摘要)
電気外科手術デバイスと共に使用する発電機が提供される。発電機は、第一の電圧レールと第二の電圧レールとの間に電気的に配置された利得ステージを有し、この利得ステージは、入力と出力とを含む。この利得ステージの入力に動作可能に結合され、駆動制御信号に応答して利得ステージの入力に入力信号を提供するように構成された電圧供給源もまた提供される。発電機は、また、増幅器の動作パラメータを感知することと、動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように構成された1つ以上のセンサと、センサ信号を受信することと、センサ信号に応答して、駆動制御信号を電圧供給源に提供することとを行うように適合されたコントローラとを有する。利得ステージの出力が第一の電圧レールの電圧と第二の電圧レールの電圧との間に入るとき、第一の電圧レールおよび第二の電圧レールに対応する出力電圧を供給するように構成され、電圧出力が第一の電圧レールの電圧より大きいか、または第二の電圧レールの電圧より小さいときには、ピーク電圧出力を供給するように構成されている。
【0012】
本開示の上記および他の局面、特徴および利点は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を考慮すると、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、様々な器具タイプと共に使用する本開示にしたがう電気外科手術システムの概略的なブロック図である。
【図1B】図1Bは、様々な器具タイプと共に使用する本開示にしたがう電気外科手術システムの概略的なブロック図である。
【図2】図2は、本開示の実施形態にしたがうH級共鳴RF電気外科手術発電機の概略的なブロック図である。
【図3】図3は、本開示の実施形態にしたがう並列共鳴変換器の概略的なブロック図である。
【図4】図4は、本開示の実施形態にしたがうH級共鳴RF電気外科手術発電機の電圧出力を表すグラフである。
【図5】図5は、本開示の実施形態にしたがうH級共鳴RF電気外科手術発電機の電圧出力を表すグラフである。
【図6】図6は、本開示の実施形態にしたがうH級共鳴RF電気外科手術発電機の概略的なブロック図である。
【図7】図7は、本開示の別の実施形態にしたがう発電機の概略的なブロック図である。
【図8】図8は、本開示の実施形態にしたがう図7の発電機に印加された信号に対するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が添付の図面を参照して以下に記載されるが、開示される実施形態は本開示の単なる例示(様々な形態で具現化され得る)であることが理解されるべきである。周知の機能または構造は、不必要な詳細で本開示を不明瞭にすることを避けるために、詳細には記載されない。したがって、本明細書に開示される具体的な構造的詳細および機能的詳細は、限定する物として解釈されるべきではないが、単に特許請求の範囲の基礎として、そして実際に任意の適切に詳述された構造において本開示を当業者が様々に使用する教示のための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0015】
本開示にしたがう発電機は、切除、モノポーラおよびバイポーラ電気外科手術手順(脈管密封手順を含む)を行い得る。発電機は、さまざまな電気外科手術器具(例えば、モノポーラアクティブ電極、リターン電極、バイポーラ電気外科手術鉗子、フットスイッチなど)とインターフェースをとる複数の出力を含み得る。さらに、発電機は、様々な電気外科手術モード(例えば、切断、混合、分離など)および手順(例えば、モノポーラ、バイポーラ、脈管密封)に特に適した無線周波数電力を発生させるように構成された電子回路を含む。
【0016】
図1Aは、本開示の一実施形態にしたがうモノポーラ電気外科手術システム1の概略的な図である。システム1は、患者Pの組織を処置するための1つ以上の電極を有する電気外科手術器具2を含む。器具2は、1つ以上のアクティブ電極(例えば、電気外科手術切断プローブ、切除電極など)を含むモノポーラ型の器具である。電気外科手術RFエネルギーは、供給線4を介して発電機20によって器具2に供給され、この供給ライン4は、発電機20のアクティブ端子212(図7)に接続され、器具2が組織を凝結し、切除し、そして/または他の方法で処置することを可能にする。エネルギーは、発電機20のリターン端子211(図7)において、リターンライン8を介してリターン電極6を通って発電機20に戻される。アクティブ端子212およびリターン端子211は、器具2およびリターン電極6のプラグ(明示的に図示せず)とインターフェースをとるように構成されたコネクタであり、プラグは、それぞれ、供給ライン4およびリターンライン8の端部に配置される。
【0017】
システム1は、患者Pとの全接触面積を最大化することによって、組織損傷の機会を最小化するように配列された複数のリターン電極6を含み得る。さらに、発電機20およびリターン電極6は、組織損傷の機会をさらに最小化するために、組織と患者との間に十分な接触が存在することを確実にするために、いわゆる「組織と患者」接触をモニタリングするように構成され得る。一実施形態において、アクティブ電極6は、液体環境で動作するように使用され得、ここで、組織は電解質溶液内に浸漬される。
【0018】
図1Bは、本開示にしたがうバイポーラ電気外科手術システム3の概略的な図である。システム3は、患者Pの組織を処置するための1つ以上の電極を有するバイポーラ電気外科手術鉗子10を含む。電気外科手術鉗子10は、対向する顎部材を含み、この対向する顎部材は、それぞれ、その中に配置された、アクティブ電極14とリターン電極16とを有する。アクティブ電極14およびリターン電極16は、ケーブル18を介して発電機20に接続され、ケーブル18は、それぞれ、アクティブ端子212およびリターン端子211に結合された供給ライン4およびリターンライン8を含む(図7)。電気外科手術鉗子10は、コネクタ21において発電機20に結合され、コネクタ21は、ケーブル18の端部に配置されたプラグを介したアクティブ端子212およびリターン端子211への接続(例えば、ピン)を有し、ここで、プラグは、供給ライン4およびリターンライン8からの接触を含む。
【0019】
図2は、本開示の実施形態にしたがうH級共鳴増幅器200の例を用いる発電機20の概略的な図を示す。H級増幅器は、無限に変更可能な供給レールを作り出す。このことは、レールがいかなる時間においても出力信号よりも数ボルトだけ大きくなるように供給レールを変調することによってなされる。典型的には線形A/B級トポロジーである出力ステージは、すべての時間において、その最大効率で動作する。共鳴スイッチモード変換器が、トラッキングレールを作り出すために使用され得る。(特に正弦波形に対する)有意な効率利得は、H級共鳴増幅器を用いて達成され得る。図2に示されるように、デジタル信号プロセッサ(DSP)信号シンセサイザ201は、入力電圧を提供し、バイアスおよびプレドライバ増幅器203に結合される。入力電圧は、正弦波に類似した波形を有するが、必ずしも正弦波に限定されない。入力電圧に対する波形は、三角波、方形波、一連のパルス、パルス幅変調(PWM)信号または電気外科手術発電機を駆動するために使用される任意の他の波形であり得る。
【0020】
しかしながら、H級共鳴の最良の効率は、正弦波形によって得られる。このことは、図5にグラフによって例示され、ここでは、奇数次高調波(add−order harmonic)を含む波形は、基本波の正弦波のエンベロープ内に含まれなければならない。この補償は、DSP信号シンセサイザ201によって行われ得る。
【0021】
入力電圧は、H級共鳴増幅器200の電圧利得ステージ203、増幅器204および増幅器205に送られる。電圧利得ステージ203は、入力電圧を増幅し、増幅された電圧を出力としてA/B級増幅器208に提供する。電圧利得ステージ203は、電圧供給源201と患者との間に患者の絶縁を提供するために変圧器を含み得る。代替的に、絶縁が、増幅器200の出力に提供され得る。電圧利得ステージ203は、また、バイアス回路を含み得、バイアス回路は、A/B級増幅器208にバイアス電圧を提供するようにコントローラ214によって制御され得る。203および208によって形成された組み合わされた電力増幅器は、開ループまたは閉ループで稼働し(run)得る。閉ループ動作は、フィードバックネットワーク202の追加によって達成され得る。
【0022】
増幅器208は、プッシュプル構成において2つのトランジスタを含み得、電圧利得ステージ203の別個の構成要素の一部であり得る。増幅器208内の2つのトランジスタは、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、および横方向拡散金属酸化物半導体であり得る。
【0023】
増幅器204および205は、C級、E級またはF級増幅器であり得るか、これらは、PWM D級共鳴増幅器であり得、その例が図3に示される。PWM D級共鳴増幅器250は、DSP信号シンセサイザ201から信号を受信し、PWMコントローラ252に入力され、このPWMコントローラ252はPWM信号(V(t)で示される)を電界効果トランジスタ(FET)Q8に出力する。インダクタLおよびキャパシタCを備えているローパスフィルタ254は、Q8の方形波出力の平均値をわたして、VCP(t)として示される波形を生成する。電圧供給源Vは、DCオフセットを提供し、その結果、VOUTはV未満にはならない。オプションのフィードバック経路が提供され得、このフィードバック経路は、信号をPWMコントローラ252に提供する前に、伝達関数HFBをVCP(t)に適用する。
【0024】
増幅器204および205は、図4に示されるように、正の電圧および負の電圧の電力供給レールを提供する。図4において、正の電圧の電力供給レール(+V(t))302および負の電圧の電力供給レール(−V(t))304は、出力電圧306を追跡する。図4に示されるように、出力電圧が+V未満であるか、または、−Vより大きい場合には、増幅器200の出力は、+Vまたは−Vであり、この出力は発電機内の線形デバイスに適用されることにより、線形デバイスを順方向バイアスにおいて維持する。ピークが出力電圧306において現れる場合、供給レール302および304はまたピークを有する(peak)。
【0025】
H級共鳴RF電気外科手術発電機のより完全な実装が図6に提供される。非ピーク動作の間に、電流は、ダイオードD5およびD7をそれぞれ通って+Vおよび−Vから流れる。ピークが、A/B級増幅器208においてトランジスタQ1およびQ2の基部に現れる場合、並列の共鳴出力L1,C1およびL2,C2は、代替的に、スイッチネットワークM1,D1およびM2,D2のパルス幅変調によって起動される(図3のV(t)およびVCP(t)波形を参照)。AC出力は、次に、D4およびD6によって整流される。インダクタLCCおよび抵抗器RCCは、高い容量性負荷のためにRF電気外科手術発電機内に含まれ得、一方でキャパシタCLCおよび抵抗器RLCが高い誘導性負荷のために含まれ得る。
【0026】
発電機20は、発電機20を制御するための適切な入力制御(例えば、ボタン、アクチベータ、スイッチ、タッチスクリーンなど)を含む。さらに、発電機20は、ユーザに種々の出力情報(例えば、強度設定、処置完了インジケータなど)を提供するための1つ以上のディスプレイスクリーンを含み得る。制御は、ユーザがRFエネルギーの電力、波形、ならびに所望の組織効果に依存して変化する許容される最大のアークエネルギーのレベル、および特定のタスク(例えば、凝結、組織密封、強度設定など)に適した所望の波形を達成する他のパラメータを調整することを可能にする。器具2は、また、複数の入力制御を含み得、複数の入力制御は、発電機20の特定の入力制御により冗長であり得る。器具2に入力制御を配置することは、発電機20との相互作用を必要とせずに、外科手術手順の間にRFエネルギーパラメータのより簡単でより速い修正を可能にする。
【0027】
特に、アクティブ端子212は、高RFエネルギーの連続的またはパルス状態のいずれかの正弦波形を生成する。アクティブ端子212は、複数の波形を生成するように構成され、複数の波形は、様々なデューティサイクル、ピーク電圧、波高因子、および他の適切なパラメータを有する。特定のタイプの波形は、特定の電気外科手術モードに適している。例えば、アクティブ端子212は、切断モードにおいて100%のデューティサイクルの正弦波形を生成し、この波形は、組織を切除し、融合し、切開することに最良に適しており、そして凝結モードにおいて1%〜25%のデューティサイクルの波形を生成し、この波形は、出血を止めるために組織を焼灼するために最良に使用される。
【0028】
発電機20は、様々な種類の電気外科手術器具(例えば、器具2、電気外科手術鉗子10など)を収容する複数のコネクタを含み得る。さらに、発電機20は、コネクタ間でRFエネルギーの供給を切り替えるためにスイッチング機構(例えば、リレー)を含むことによってモノポーラモードまたはバイポーラモードで動作し得、その結果、例えば、器具2が発電機20に接続されるとき、モノポーラプラグのみがRFエネルギーを受容する。
【0029】
コントローラ214は、メモリ216に動作可能に接続されたマイクロプロセッサ215を含み、このメモリ216は、揮発型メモリ(例えば、RAM)および/または不揮発型メモリ(例えば、フラッシュメディア、ディスクメディアなど)であり得る。コントローラ214は、出力ポートを含み、この出力ポートは、可変DSP信号シンセサイザ201、+V端子221、−V端子222、+HVDC端子206および/または−HVDC端子207に動作可能に結合され、コントローラ214が、開ループスキームおよび/または閉ループスキームのいずれかにしたがって発電機20の出力を制御することを可能にする。当業者は、マイクロプロセッサ215が、本明細書において議論される計算を行うように適合された任意の論理プロセッサまたはアナログ回路(例えば、制御回路)によって置き換えられ得ることを認識する。
【0030】
発電機20は、閉ループ制御スキームおよび/または開ループ制御スキームを実装し得、閉ループ制御スキームおよび/または開ループ制御スキームは、種々の組織およびエネルギー特性(例えば、組織インピーダンス、組織温度、出力電流および/または出力電圧など)を測定し、フィードバックをコントローラ214に提供する複数のセンサを有するセンサ回路212を含む。電流センサは、アクティブ電流経路またはリターン電流経路のいずれかあるいはその両方に配置され得、電圧はアクティブ電極において感知され得る。次いで、コントローラ214は、適切な信号をDSP信号シンセサイザ201、電圧利得ステージ203、+V端子221、−V端子222、+HVDC端子206および/または−HVDC端子207に伝送し、これらは、次いで、選択されたモードにしたがって変わる最大許容可能エネルギーを用いることによって、それぞれAC電力供給またはDC電力供給を調整する。コントローラ214は、また、発電機20または器具2の入力制御から入力信号を受信する。コントローラ214は、発電機20による電力出力を調整するために入力信号を利用し、そして/またはコントローラ214上で他の制御機能を行う。
【0031】
センサ回路212は、アクティブ端子212によって供給された電気電流(I)および電圧(V)をリアルタイムで測定して、所定のサンプリング期間の間の整合正弦波持続期間および整合非正弦波持続期間の両方の間の電気外科手術プロセスを特徴付け、前者は、短い持続期間(例えば、半周期)であり、後者は長い持続期間(例えば、15周期)である。このことは、測定された電気特性が、フィードバック制御を達成するために、動的入力制御変数として使用されることを可能にする。電流値および電圧値は、また、他の電気パラメータ(例えば、電力(P=V*I)およびインピーダンス(Z=V/I))を導出するために使用され得る。センサ回路212は、また、電流波形および電圧波形の特性を測定し、その形状を決定する。
【0032】
図7は、本開示の別の実施形態にしたがう電気外科手術発電機300の概略図を示す。発電機300は、発電機20と同様に、電圧供給源201と、バッファ202と、電圧利得ステージ203と、+HVDC供給206と、−HVDC供給207とを有する。さらに、発電機は、上述のセンサ212と類似のセンサ312と、図2に関して上記されたコントローラ214、マイクロプロセッサ215およびメモリ216といくぶん類似する、マイクロプロセッサ315およびメモリ316を有するコントローラ314とを有する。
【0033】
発電機300において、電圧利得ステージ203の出力は、+VIN端子および−VIN端子においてA/B級増幅器305に送られる。図2に示されるような並列共鳴変換器を使用する代わりに、発電機300は、アクティブな電界効果トランジスタ(FET)スイッチ301、302、303および304によるフルブリッジにおいて駆動される直列−並列変換器またはLCLC変換器を利用する。コントローラ314は、図8に示されるように、位相シフトされたPWMタイミング信号をFETスイッチ301、302、303および304に供給する。PWM信号のデューティサイクル(例えば、D=0.75)は、VOUTがD・HVDCに比例するように、電圧出力に影響を与える。デューティサイクルは、位相シフトされたPWM変換器におけるオーバーラップの量によって決定される。信号A’が信号Bとオーバーラップするとき、電流はFET301からFET304に流れ、信号B’が信号Aとオーバーラップするとき、電流はFET303からFET302に流れる。図8に示されるように、信号AおよびA’ならびにBおよびB’は、180°位相シフトされ、時間tだけオフセットされる。
【0034】
構成要素L、C、LおよびCは、位相シフトされたPWMデューティサイクルと電力レールHVDCとの乗算に比例する共鳴出力増幅を提供するように選択される。端子30は、正の電圧バイアス(+V)を供給し、この電圧バイアスは、バイアス電流を増幅器305に供給するために必要とされる小さいDCバイアス電圧である。+Vは、インダクタLに結合され、フロート電圧を提供し、このフロート電圧は、線形級増幅器305に供給される。負の電圧バイアス(−V)307は、また、増幅器305に結合され、バイアス電流を増幅器305に供給する。インダクタLは、出力が平衡であるかまたは不平衡であるかに基づいて、増幅器305と端子307との間に結合され得る。インダクタLは、出力が低入力または零入力(±V未満)において平衡であるときに接続される。
【0035】
本開示のいくつかの実施形態が、図面に示され、そして/または本明細書において議論されてきたが、本開示は、当該分野が許容する限り広いものであることと、本明細書が同様に読まれることとが意図されるので、本開示はいくつかの実施形態に限定されることを意図されない。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきではないが、単に特定の実施形態の例示であると解釈されるべきである。特許請求の範囲は、ハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実施形態を包含し得る。当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲および精神内の他の修正を想定する。
【符号の説明】
【0036】
20 発電機
200 H級共鳴増幅器
201 デジタル信号プロセッサ(DSP)信号シンセサイザ
202 フィードバックネットワーク
203 バイアスおよびプレドライバ増幅器
204、205 増幅器
208 A/B級増幅器
214 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電圧レールと第二の電圧レールとの間に電気的に配置された利得ステージであって、該利得ステージは、入力と出力とを含む、利得ステージと、
該利得ステージの入力に動作可能に結合され、駆動制御信号に応答して該利得ステージの入力に入力信号を提供するように構成された電圧供給源と、
増幅器の動作パラメータを感知することと、該動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように構成された少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つのセンサ信号を受信することと、該少なくとも1つのセンサ信号に応答して、該駆動制御信号を該電圧供給源に提供することとを行うように適合されたコントローラと、
該利得ステージの出力が該第一の電圧レールの電圧と該第二の電圧レールの電圧との間に入るとき、該第一の電圧レールおよび該第二の電圧レールに対応する出力電圧を供給するように構成され、該出力電圧が該第一の電圧レールの電圧より大きいか、または該第二の電圧レールの電圧より小さいときには、ピーク電圧出力を供給するように構成される、増幅器出力と
を備えている、発電機。
【請求項2】
前記利得ステージは、A/B級増幅器をさらに含む、請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記利得ステージは、プッシュプル構成に配列された少なくとも2つの利得要素を備えている、請求項2に記載の発電機。
【請求項4】
前記少なくとも2つの利得要素は、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタおよび横方向拡散金属酸化物半導体からなる群より選択される、請求項3に記載の発電機。
【請求項5】
前記センサは、出力電圧を感知するように構成されている、請求項1に記載の発電機。
【請求項6】
前記センサは、バイアス電流を感知するように構成されている、請求項1に記載の発電機。
【請求項7】
前記利得ステージは、バイアス回路を含み、前記コントローラは、該バイアス回路に動作可能に結合し、バイアス制御信号に応答して該バイアス回路にバイアス電圧を提供するように構成され、該コントローラは、前記少なくとも1つのセンサ信号に応答してバイアス制御信号をバイアスコントローラに提供する、請求項6に記載の発電機。
【請求項8】
電圧供給源と、
利得ステージと、
H級共鳴増幅器と、
少なくとも1つのスイッチと、
該電圧供給源の出力を制御することと、パルス幅変調信号に基づいて、該少なくとも1つのスイッチを制御することとを行うように動作可能なコントローラと
を備えている、電気外科手術発電機。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスイッチは、電界効果トランジスタである、請求項8に記載の電気外科手術発電機。
【請求項10】
前記増幅器の動作パラメータを感知することと、該動作パラメータに対応するセンサ信号を提供することとを行うように動作可能な少なくとも1つのセンサをさらに備えている、請求項8に記載の電気外科手術発電機。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109663(P2011−109663A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256166(P2010−256166)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(510011673)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (57)
【Fターム(参考)】