説明

IMPDH酵素のインヒビター

【課題】新規IMPDH酵素のインヒビターの提供。
【解決手段】本発明は、IMPDHを阻害する化合物に関する。本発明は、上記化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明の化合物及び医薬組成物は、IMPDH酵素活性を阻害するために特によく適合させており、そしてそれ故、有利には、IMPDH−仲介過程のための治療剤として使用されうる。本発明は、本発明の化合物及び関連化合物を使用してIMPDHの活性を阻害する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本願は、1999年3月19に出願された米国プロビジョナル出願第60/125,507号、及び2000年1月7日に出願された米国プロビジョナル出願第60/174,882号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、IMPDHを阻害する化合物に関する。本発明は、上記化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明の化合物及び医薬組成物は、IMPDH酵素活性を阻害するために特によく適合されており、そしてそれ故、有利には、IMPDH−仲介過程のための治療剤として使用されうる。本発明は、本発明の化合物及び関連化合物を用いたIMPDH活性の阻害方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
生物におけるヌクレオチドの合成は、その生物内の細胞が分裂し、そして複製することを要求する。哺乳動物におけるヌクレオチド合成は、2つの経路の中の1を通じて達成されうる:新規(de novo)合成経路又はサルベージ経路。異なる細胞タイプが、異なった程度でこれらの経路を使用している。
【0004】
イノシン−5′−モノホスフェート・デヒドロゲナーゼ(IMPDH;EC 1.1.1.205)は、グアニン・ヌクレオチドの上記新規合成に係わる酵素である。IMPDHは、イノシン−5′−モノホスフェート(IMP)からキサントシン−5′−モノホスフェート(XMP)へのNAD依存性酸化を触媒する〔Jackson R.C. et. al., Nature, 256. pp. 331-333, (1975)〕。
【0005】
IMPDHは、真核生物、ベクテリア、及び原生動物においていたるところにある〔Y. Natsumeda & S.F. Carr, Ann. N.Y. Acad., 696, pp. 88-93 (1993)〕。その原核生物の形態は、ヒト酵素と30〜40%の配列同一性を共有する。I型とII型といわれる、ヒトIMPDHの2つのアイソ形態が、同定され、そして配列決定されている〔F.R. Collart and E. Huberman, J. Biol. Chem., 263, pp. 15769-15772, (1988); Y. Natsumeda et al., J. Biol. Chem., 265, pp. 5292-5295, (1990)〕。各々が514アミノ酸であり、そしてそれらは、84%の配列同一性を共有する。両IMPDH I型とII型が溶液中で活性テトラマーを形成し、56kDa のサブユニット分子量をもつ〔Y. Yamada et al., Biochemistry, 27, pp. 2737-2745 (1988)〕。
【0006】
グアノシン・ヌクレオチドの上記新規合成、そしてそれ故IMPDHの活性は、B−及びT−リンパ球において特に重要である。これらの細胞は、マイトジェン(mitogen)又は抗原に対する増殖応答を開始させるために必要なヌクレオチドの十分なレベルを作り出すために、サルベージ経路よりもむしろ上記新規経路に依存する〔A.C. Allison et. al., Lancet II, 1179, (1975)、及びA.C. Allison et al., Ciba Found. Symp., 48, 207, (1977)〕。従って、IMPDHは、他の細胞の増殖を阻害せずに上記免疫系を選択的に阻害するための魅力的な標的である。
【0007】
免疫抑制は、例えば、(サイクロスポリン及びFK−506による阻害される)ホスファターゼ・カルシニューリン;(レフルノミド(leflunomide)及びブレキナール(brequinar)による阻害される)ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ、ピリミジンの生合成に係わる酵素;(ラパマイシン(rapamycin)により阻害される)キナーゼFRAP;及び(デオキシスペルグアリン(deoyspergualin)により阻害される)熱ショック・タンパク質hsp70を含むさまざまな酵素を阻害することにより達成されてきた。〔B.D. Kahan, Immunological Reviews, 136, pp. 29-49 (1993); R.E. Morris, The Journal of Heart and Lung Transplantation, 12(6), pp. S275-S286 (1993)を参照のこと〕。
【0008】
IMPDHの阻害剤も知られている。米国特許第5,380,879号及び同第5,444,072号、並びにPCT公開WO94/01105及び同WO94/12184は、ヒトのIMPDH I型(Ki=33nM)、及びII型(Ki=9nM)の強力、非競合的、可逆的阻害剤としてマイコフェノール酸(mycophenolic acid(MPA))及びいくつかのその誘導体を記載している。MPAは、マイトジョン又は抗原に対するB−及びT−細胞の応答をブロックすることが証明されている〔A.C. Allison et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 696, 63, (1993)〕。
【0009】
免疫抑制剤、例えば、MPAは、移植拒絶及び自己免疫疾患の治療における有用な医薬である。〔R.E. Morris, Kidney Intl., 49, Suppl. 53, S-26, (1996)〕。しかしながら、MPAは、不所望の薬理学的特性、例えば、胃腸毒性を特徴とする。〔L.M. Shaw, et al., Therapeutic Drug Monitoring, 17, pp. 690-699, (1995)〕。
【0010】
ヌクレオチド・アナログ、例えば、チアゾフリン(tiazofurin)、リバビリン(ribavirin)、及びミゾリビン(mizoribine)も、IMPDHを阻害する〔L. Hedstrom, et al. Biochemistry, 29, pp. 849-854 (1990)〕。しかしながら、これらの化合物は、IMPDHに対する特異性を欠くという欠点をもっている。
【0011】
マイコフェノレート・モフェティル(mycophenolate mofetil)、インビボにおいて遊離MPAを速く解放するプロドラッグが、腎臓移植後の急性胃同種移植片拒絶を防止するとして最近認可された。〔L.M. Shaw, et al., Therapeutic Drug Monitoring, 17, pp. 690-699, (1995); H.W. Sollinger, Transplantation, 60, pp. 225-232 (1995)〕。しかしながら、いくつかの臨床的観察が、この医薬の治療的能力を制限している。〔L.M. Shaw, et al., Therapeutic Drug Monitoring, 17, pp. 690-699, (1995)〕。MPAは、インビボにおいてその不活性グルクロニド(glucronide)に速く代謝される。〔A.C. Allison and E.M. Eugui, Immunological Reviews, 136, pp. 5-28 (1993)〕。次に、このグルクロニドは、腸肝循環を経験して、胃腸管内でのMPAの蓄積を引き起こし、そこでは、それは、免疫系に対するそのIMPDH阻害活性を発揮することができない。これは、上記医薬のインビボにおける効力をかなり低下させ、一方において、その不所望の胃腸副作用を高める。
【0012】
より最近になって、異なるクラスのIMPDH阻害剤が、PCT公開WO97/40028及び同WO98/40381中に記載された。
【0013】
IMPDHが他の代謝事件において役割を演じていることも知られている。IMPDHの活性上昇が、速く増殖するヒト白血球細胞系その他の腫瘍細胞系において観察されており、これは、IMPDHが抗癌及び免疫抑制化学療法のための標的であることを示している〔M. Nagai et al., Cancer Res., 51, pp. 3886-3890, (1991)〕。IMPDHは、平滑筋細胞の増殖においても役割を演じていることも示されている。このことは、IMPDHの阻害剤、例えば、MPA又はラパマイシン(rapamycin)が、再狭窄又は他の過増殖性血管疾患において有用でありうることを示している〔C.R. Gregory et al., Transplantation, 59, pp. 655-61 (1995);PCT公開WO94/12184;及びPCT公開WO94/01105〕。
【0014】
さらに、IMPDHは、いくつかのウィルスに感染した細胞系におけるウィルスの複製において役割を演じていることが示されている。〔S.F. Carr, J. Biol. Chem., 268, pp. 27286-27290 (1993)〕。リンパ球並びにリンパ腫及び腫瘍細胞系と同様に、サルベージではなく新規経路が、ウィルスの複製過程において決定的であるということが示唆される。
【0015】
従って、改良された薬理学的特性をもつ強力なIMPDH阻害剤についての必要性がある。このような阻害剤は、免疫抑制剤、抗癌剤、抗血管過増殖剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗乾癬、及び抗ウィルス剤としての治療能力をもつであろう。
【発明の開示】
【0016】
本発明の要約
本発明は、IMPDHの阻害剤として有用である、化合物、及び医薬として許容されるその誘導体を提供する。本発明の化合物は、単独で、又は他の治療剤又は予防剤、例えば、抗−ウィルス剤、抗炎症剤、抗生物質、並びに移植拒絶及び自己免疫の治療又は予防のための免疫抑制剤とともに、使用されることができる。
【0017】
さらに、上記化合物は、単独で、又は他の剤との組合せにおいて、抗ウィルス、抗腫瘍、抗癌、抗炎症剤、抗真菌剤、抗乾癬免疫抑制化学療法、及び再狭窄療法養生法のための治療及び予防剤として、有用である。
【0018】
本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物、並びに免疫抑制剤とともに追加のIMPDH化合物を含む多成分組成物をも提供する。本発明は、IMPDHの阻害のために、本発明の化合物、及び他の関連化合物を使用する方法をも提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の詳細な説明
本明細書中に記載する本発明をより深く理解するために、以下の詳細な説明を記載する。本説明中、以下の略号を使用する:
名称 試薬又は断片
Ac アセチル
Me メチル
Et エチル
Bn ベンジル
CDI カルボニルジイミダゾール
DBU 1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデク−7−
エン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPA ジフェニル・ホスホリル酸
EDc 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカル
ボジイミド・ヒドロクロリド
EtOAc 酢酸エチル
IPA イソプロピル・アルコール
MeCN アセトニトリル
THF テトラヒドロフラン
TEA トリエチルアミン
t−bu tert−ブチル
BOC ブチルオキシカルボニル
以下の用語を本明細書中、使用する:
特にことわらない限り、本明細書中に使用するとき、用語“−SO2 −”、及び“−S(O)2 −”は、スルホン又はスルホン誘導体(すなわち、両付随基がSに結合する)をいい、スルフィネート・エステルをいわない。
【0020】
用語“ハロ”又は“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の基をいう。
【0021】
用語“免疫抑制剤”は、免疫応答阻害活性を有する化合物又は医薬をいう。このような剤の例は、サイクロスポリンA(cyclosporin A)、FK506、ラパマイシン(rapamycin)、レフルノミド(leflunomide)、デオキシスペルグアリン(deoxyspergualin)、プレドニゾン(prednisone)、アザチオプリン(azathioprine)、マイコフェノレート・モフェティル(mycophenolate mofetil)、OKT3、ATAG、インターフェーロン(interferon)、及びミゾリビン(mizoribine)を含む。
【0022】
用語「インターフェロン」は、すべての型のインターフェロン(アルファ、ベータおよびガンマ型を含めてしかしそれらに限定されない)を指す。
【0023】
IMPDH媒介疾患は、IMPDH酵素が疾患の代謝経路において調節的役割を演じるいかなる疾患状態をも指す。IMPDH媒介疾患の例は、移植片拒絶反応および自己免疫疾患(リウマチ様関節炎、多発性硬化症、若年型糖尿病、ぜん息および炎症性腸疾患のような)、並びに炎症性疾患、癌、ウイルス性複製疾患および脈管疾患を包含する。
【0024】
たとえば、本発明の化合物、組成物およびそれらを用いる方法は、移植片拒絶反応(たとえば、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(島細胞)、骨髄、角膜、小腸および皮膚の同種移植片並びに心臓弁の異種移植片)、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、若年型糖尿病、ぜん息、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、狼瘡、真性糖尿病、重症筋無力症、乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏症、肺炎、眼ブドウ膜炎、肝炎、グレーヴズ病、橋本甲状腺炎、ベーチェットまたはシェーグレン症候群(乾燥性の眼/口)、悪性または免疫溶血性貧血、特発性副腎不全症、多腺性自己免疫症候群および糸球体腎炎、硬皮症、扁平苔癬、白斑(皮膚の色素脱失)、自己免疫性甲状腺炎および肺胞炎、炎症性疾患(変形性関節症、急性膵臓炎、慢性膵臓炎、ぜん息および成人呼吸促進症候群のような)の処置において、並びに癌および腫瘍(充実性腫瘍、リンパ腫および白血病のような)、脈管疾患(再狭窄症、狭窄症およびアテローム硬化症のような)、およびDNAおよびRNAのウイルス性複製疾患(レトロウイルス性疾患およびヘルペスのような)の処置において用いられ得る。
【0025】
加えて、IMPDH酵素はまた細菌中に存在すると知られており、かくして細菌の成長を調節し得る。かかるものとして、ここにおいて記載されたIMPDH阻害体化合物、組成物および方法は、単独でまたは他の抗生剤と組み合って細菌感染の処置または予防において有用であり得る。
【0026】
ここにおいて用いられている用語「処置」は、患者における特定の障害の症状の緩和または特定の障害と関連した確認可能な測定値の向上を指す。ここにおいて用いられている用語「患者」は、ヒトを含めて哺乳類を指す。
【0027】
用語「HBV」、「HCV」および「HGV」は、それぞれB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスおよびG型肝炎ウイルスを指す。
【0028】
一つの具体的態様によれば、本発明は、式Aの化合物
【0029】
【化1】

【0030】
〔ここで、
1およびR2の各々は、独立的に、水素;−CF3;−(C1〜C6)直鎖状または分岐状アルキル;−(C2〜C6)直鎖状または分岐状アルケニルまたはアルキニル;−(C1〜C6)直鎖状または分岐状アルキル−R7;−[(C2〜C6)直鎖状または分岐状アルケニルまたはアルキニル]−R7、または−R7から選択され;かつR1およびR2の少なくとも一方は、−(C1〜C6)直鎖状または分岐状アルキル−R7;−[(C2〜C6)直鎖状または分岐状アルケニルまたはアルキニル]−R7、または−R7であり;上記のアルキル、アルケニルまたはアルキニルのいずれかにおける四つまでの水素原子は、随意にかつ独立的に、R3により置き換えられ;あるいは
その代わりにR1およびR2は一緒になってテトラヒドロフラニルを形成し、しかもR9が水素、(R)−メチル、(R)−エチルまたは(R)−ヒドロキシメチルであるとき該テトラヒドロフランにおける一つの水素原子は−OR6または−R7により置き換えられ、そしてR9が(S)−メチル、(S)−エチルまたは(S)−ヒドロキシメチルであるとき該テトラヒドロフランにおける一つの水素原子は随意に−OR6または−R7により置き換えられ;
9が水素、(R)−メチル、(R)−エチルまたは(R)−ヒドロキシメチルでありかつR1およびR2の各々が独立的に水素、置換されていない−(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキルまたは置換されていない−(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニルであるときは、−CH(R1)R2により表される該化合物の部分は、C5〜C12直鎖状または分岐状アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり;
各R3は、独立的に、ハロ、CN、−OR4または−N(R52から選択され;
4は、水素、−(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル、−(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル、−[(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル]−R7、−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]−R7、−C(O)−[(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル]、−C(O)−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]、−C(O)−[(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル]−N(R82、−C(O)−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]−N(R82、−P(O)(OR82、−P(O)(OR8)(R8)、−C(O)−R7、−[(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル]−CN、−S(O)2N(R52または−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]−CNから選択され;
各R5は、独立的に、水素、−(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル、−(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル、−[(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル]−R7、−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]−R7、−[(C1〜C6)直鎖状アルキル]−CN、−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]−CN、−[(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル]−OR4、−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]−OR4、−C(O)−(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル、−C(O)−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]、−C(O)−R7、−C(O)O−R7、−C(O)O−(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキル、−C(O)O−[(C2〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニル]、−S(O)2−(C1〜C6)直鎖状もしくは分岐状アルキルまたは−S(O)2−R7から選択され;あるいは
同じ窒素原子に結合されているときの二つのR5部は、該窒素原子と共に一緒になって3〜7員の複素環式環を形成し、しかも該複素環式環は随意に、独立的にN、O、S、S(O)またはS(O)2から選択された1〜3個の追加的ヘテロ原子を含有し;
6は、−C(O)−CH3、−CH2−C(O)−OH、−CH2−C(O)−O−tBu、−CH2−CNまたは−CH2−C≡CHから選択され;
各R7は、単環式または二環式環系であり、しかも該環系において
i. 各環は、独立的にC、N、OまたはSから選択された3〜7個の環原子を含み、
ii. 4個より多くない環原子が、N、OまたはSから選択され、
iii. いずれのCH2も、随意にC(O)で置き換えられ、
iv. いずれのSも、随意にS(O)またはS(O)2で置き換えられ;
各R8は、独立的に、水素または−[C1〜C4]直鎖状もしくは分岐状アルキルから選択され;
該化合物におけるいずれの環系においても、環原子に結合された三つまでの水素原子は、随意にかつ独立的に、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、(C1〜C4)直鎖状もしくは分岐状アルキル、O−(C1〜C4)直鎖状もしくは分岐状アルキル、(C2〜C4)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニルまたはO−(C2〜C4)直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニルで置き換えられ;またいずれの環系も、随意に、ベンゾ縮合され;
9は、水素、(R)−メチル、(S)−メチル、(R)−エチル、(S)−エチル、(R)−ヒドロキシメチルまたは(S)−ヒドロキシメチルから選択され;
10は、−C=Nまたは5−オキサゾリルから選択され;そして
11は、ハロ、−O−(C1〜C3)直鎖状アルキルまたは−O−(C2〜C3)直鎖状アルケニルもしくはアルキニルから選択される〕を提供する。
【0031】
1またはR2のいずれかまたは両方をエステル化することにより形成されるプロドラッグもまた、式(A)の範囲内にある。かかるプロドラッグの例は、下記に記載されている表1における化合物143〜156である。
【0032】
ここにおいて用いられている用語「単環式環系」は、飽和、部分不飽和および完全不飽和環構造を包含する。ここにおいて用いられている用語「二環式環系」は、各環が独立的に飽和、部分不飽和および完全不飽和である系を包含する。本発明の化合物において有用な単環式および二環式環系の例は、シクロペンタン、シクロペンテン、インダン、インデン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、ナフタレン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、キノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、1,8−ナフチリジン、2,6−ナフチリジン、2,7−ナフチリジン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、1,10−フェナトロリン、ジベンゾピラン、1−ベンゾピラン、フェノチアジン、フェノキサジン、チアントレン、ジベンゾ−p−ジオキシン、フェノキサチイン、フェノキサチオニン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロピアン、ピラン、ベンゾピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジヒドロピリジン、ジヒドロピラン、1−ピリンジン、キヌクリジン、トリアゾロピリジン、β−カルボリン、インドリジン、キノリジジン、テトラヒドロナフテリジン、ジアザフェナントレン、チオピラン、テトラヒドロチオピラン、ベンゾジオキサン、フラン、ベンゾフラン、テトラヒドロフラン、ピロール、インドール、チオフェン、ベンゾチオペン、カルバゾール、ピロリジン、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、テトラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイソオキサゾールおよびプリンを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0033】
上記の記載内に入る追加的単環式および二環式構造は、A.R.KatritzkyおよびC.W.Rees編者「Comprehensive Heterocyclic Chemistry:複素環式化合物の構造、反応、合成および使用,Vol.1〜8」,Pergamon Press,ニューヨーク(1984)(その開示は参照によりここに合体される)に見られ得る。
【0034】
複素環は複素環のいずれの原子によっても該化合物の残部に結合され得て安定な構造の生成をもたらすことになる、ということが理解されるべきである。
【0035】
ここにおいて用いられている用語「環原子」は、環を構成する骨格原子を指す。かかる環原子は、C、N、OまたはSから選択され、そして2または3個の他のかかる環原子(二環式環系における或る環原子の場合3個)に結合される。用語「環原子」は、水素を包含しない。
【0036】
用語「−[(C1〜C6)直鎖状または分岐状アルキル]−X」および「−[(C2〜C6直鎖状または分岐状アルケニルまたはアルキニル]−X」(ここで、Xは、該アルキル、アルケニルまたはアルキニルに結合されているときに指摘されるものである)は、1個またはそれ以上のX基が該アルキル、アルケニルまたはアルキニル鎖にいずれかの末端において結合され得る、ということを表す。
【0037】
一つの好ましい具体的態様によれば、本化合物は、式(I)
【0038】
【化2】

【0039】
〔ここで、R1およびR2は、上記に定義されたとおりである〕
または式(IA)
【0040】
【化3】

【0041】
〔ここで、
9は、(R)−メチル、(S)−メチル、(R)−エチル、(S)−エチル、(R)−ヒドロキシメチルまたは(S)−ヒドロキシメチルから選択され、そして
1、R2、R10およびR11は、上記に定義されたとおりである〕
を有する。
【0042】
式IAの一層好ましい具体的態様によれば、R9は、(S)−メチル、(S)−エチルまたは(S)−ヒドロキシメチルメチルから選択される。最も好ましくは、R9は(S)−メチルである。R9が(S)−メチル、(S)−エチルまたは(S)−ヒドロキシメチルメチルから選択されかつ−CH(R1)R2により表される化合物の部分がC1〜C4直鎖状もしくは分岐状アルキルまたはC2〜C4直鎖状もしくは分岐状アルケニルもしくはアルキニルである化合物は、WO97/40028に記載された化合物の部類に入る。しかしながら、出願人は、R9における(S)配向部の存在が驚くべきかつ予期されないほど増大されたIMPDH阻害活性を付与ということを見出した。
【0043】
式IAの別の好ましい具体的態様によれば、R11は、O−メチル、O−エチルまたはO−イソプロピルから選択される。
【0044】
式(I)および(IA)の一層好ましい具体的態様によれば、R1またはR2の少なくとも一方は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、フェニル、ピリジル、
【0045】
【化4】

【0046】
〔ここで、nは、0または1である〕
から選択される。
【0047】
式IAの更に一層好ましい具体的態様によれば、R1またはR2の一方は水素、エチルまたはフェニルから選択されそしてR1またはR2の他方は−CH2OH、−CH2CN、−CH2CH2CNまたはCH2N(CH2CH32から選択され、あるいはR1およびR2は一緒になって3−テトラヒドロフラニル部を形成する。
【0048】
式Iの別の好ましい具体的態様によれば、R1およびR2は一緒になって、−OR6により置換されている3−テトラヒドロフラニル部を形成する。
【0049】
別の好ましい具体的態様によれば、式Aの化合物は、下記の表1に記載されたもののいずれかから選択される。
【0050】
【表1】

【表1−1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
【表9】

【0059】
【表10】

【0060】
【表11】

【0061】
【表12】

【0062】
【表13】

【表13−1】

【0063】
【表14】

【0064】
【表15】

【0065】
【表16】

【0066】
【表17】

【0067】
【表18】

【0068】
【表19】

【0069】
【表20】

【0070】
【表21】

【0071】
【表22】

【0072】
【表23】

【0073】
【表24】

【0074】
【表25】

【0075】
【表26】

【0076】
【表27】

【0077】
【表28】

【0078】
【表29】

【0079】
【表30】

【0080】
上記の表において、或る化合物は、塩として示されている。該表中のいずれの与えられた記入事項に記載された化合物の範囲も、描かれた化合物のすべての型をカバーし、示された塩のみではない、ということが理解されるべきである。
【0081】
立体化学が特定的に指摘されていない場合、本発明の化合物は、1個またはそれ以上の不整炭素原子を含有し得、そしてかくしてラセミ化合物およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。これらの化合物のすべてのかかる異性体型は、別段指摘されていなければ、本発明に明白に包含される。各立体形成炭素は、RまたはS立体配置を有し得る。
【0082】
本発明により考えられている置換基および変数の組合わせは、安定な化合物の形成をもたらすことになるもののみである。ここにおいて用いられている用語「安定な」は、製造並びにここにおいて詳述された目的のために(たとえば、哺乳類への治療的もしくは予防的投与、またはアフィニティークロマトグラフィーの適用において用いるために)有用であるのに十分な期間の完全性の維持を可能にするのに十分な安定性を有する化合物を指す。典型的には、かかる化合物は、水分または他の化学的反応性の条件の不存在下で40℃またはそれ以下の温度において少なくとも1週間安定である。
【0083】
ここにおいて用いられる本発明の化合物は、それらの製薬上許容され得る誘導体またはプロドラッグを包含すると定義される。「製薬上許容され得る誘導体またはプロドラッグ」は、受容者への投与にて本発明の化合物を与える(直接的にまたは間接的に)ことが可能であるところの、本発明の化合物のいかなる製薬上許容され得る塩、エステル、エステルの塩または他の誘導体をも意味する。特に好ましい誘導体およびプロドラッグは、かかる化合物が哺乳類に投与されるときに本発明の化合物の生物学的利用能を増大するもの(たとえば、経口投与された化合物が血液中により容易に吸収されるのを可能にすることにより)または親種に関して生物学的コンパートメント(たとえば、脳またはリンパ系)への親化合物の送達を高めるものである。好ましいプロドラッグは、水溶解性または腸管膜を通じての能動輸送を高める基が本発明の化合物の構造に付いている誘導体を包含する。
【0084】
本発明の化合物の製薬上許容され得る塩は、製薬上許容され得る無機および有機酸および塩基から誘導されたものを包含する。適当な酸塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩を包含する。塩基塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウムおよびカリウム塩のような)、アルカリ土類金属塩(カルシウムおよびマグネシウム塩のような)、有機塩基との塩(ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンのような)およびアミノ酸(アルギニン、リシンのような)との塩、等を包含する。
【0085】
また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド(メチル、エチル、プロピルおよびブチルクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドのような)、ジアルキルサルフェート(ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルサルフェートのような)、長鎖ハロゲン化物(デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドのような)、アラルキルハライド(ベンジルおよびフェネチルブロマイドのような)、等のような薬剤で四級化され得る。それにより、水または油に可溶なまたは分散可能な製品が得られる。
【0086】
本発明の化合物は、慣用の技法を用いて合成され得る。有利には、これらの化合物は、好都合には、容易に入手できる出発物質から合成される。一層特定的には、本発明の化合物は、実施例1および2に記載されたスキームにより、当業者に容易に明らかである改変でもって合成され得る。
【0087】
本発明の化合物は、選択的な生物学的性質を高めるために、適切な官能基を付けることにより変性され得る。かかる変性は、当該技術において知られており、そして所与の生物学的コンパートメント(たとえば、血液、リンパ系、中枢神経系)中への生物学的浸透を増大するもの、経口利用可能性を増大するもの、注射による投与を可能にするために溶解性を増大するもの、代謝を変えるものおよび排泄速度を変えるものを包含する。
【0088】
本発明の新規化合物は、IMPDHに対する優秀な配位子である。従って、これらの化合物は、IMPDH酵素を標的としそして阻害することが可能である。阻害は、たとえばIMPデヒドロゲナーゼHPLC検定(IMPおよびNADからのXMPおよびNADHの酵素的生成を測定する)およびIMPデヒドロゲナーゼ分光光度検定(NADからのNADHの酵素的生成を測定する)[C.Montero等,Clinica Chimica Acta,238,pp.169〜178(1995)参照]含めて、様々な方法により測定され得る。
【0089】
本発明の組成物は、本発明の化合物またはその塩;免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質または抗脈管異常増殖化合物から選択された追加的薬剤;および製薬上許容され得る担体、助剤または賦形剤を含む。本発明の別の組成物は、本発明の化合物またはその塩;および製薬上許容され得る担体、助剤または賦形剤を含む。かかる組成物は、随意に、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質または抗脈管異常増殖化合物から選択された追加的薬剤を含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、製薬組成物である。
【0090】
用語「製薬上許容され得る担体または助剤」は、本発明の化合物と一緒に患者に投与され得しかも該化合物の治療量を送達するのに十分な投与量にて投与されるとき該化合物の薬理学的活性を破壊せずかつ無毒である担体または助剤を指す。
【0091】
本発明の製薬組成物において用いられ得る製薬上許容され得る担体、助剤および賦形剤は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化性薬物送達系(SEDDS)(dα−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネートのような)、製薬投薬量形態において用いられる界面活性剤(トゥイーンのような)または他の同様なポリマー送達マトリックス、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンのような)、緩衝物質(リン酸塩のような)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩類または電解質(プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウムのような)、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ロウ、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を包含するが、しかしそれらに限定されない。α−、β−およびγ−シクロデキストリンのようなシクロデキストリン、または2−および3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含めてヒドロキシアルキルシクロデキストリンもしくは他の可溶化誘導体のような化学変性誘導体もまた、本発明の化合物の送達を高めるために有利に用いられ得る。
【0092】
本発明の製薬組成物は、経口的に、腸管外に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、鼻に、頬に、膣にまたは埋没レザバーを経て投与され得る。我々は、経口投与または注射による投与を好む。本発明の製薬組成物は、いかなる慣用の無毒で製薬上許容され得る担体、助剤または賦形剤をも含有し得る。ある場合には、処方物のpHは、処方化合物またはその送達形態の安定性を高めるために、製薬上許容され得る酸、塩基または緩衝剤で調整され得る。ここにおいて用いられている用語腸管外は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、鞘内、病巣内および頭蓋内注射または注入技法を包含する。
【0093】
製薬組成物は、無菌の注射可能な製剤の形態にあり得、たとえば、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液としてである。この懸濁液は、適当な分散または湿潤剤(たとえばトゥイーン80のような)および懸濁剤を用いて当該技術において知られた技法に従って処方され得る。無菌の注射可能な製剤はまた、たとえば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、無毒の腸管外に許容され得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。用いられ得る許容され得る賦形剤および溶媒の中には、マンニット、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒質として慣用的に用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含めていかなる無刺激性不揮発性油も用いられ得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油のような天然の製薬上許容され得る油と同様に(特に、それらのポリオキシエチル化変性物にて)、注射可能物の製造において有用である。これらの油性溶液または懸濁液はまた、Ph.Helv.すなわちPharmacopeia Helveticaに記載されているもののような長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤もしくは同様なアルコールまたはカルボキシメチルセルロース、または乳濁液もしくは懸濁液のような製薬上許容され得る投薬量形態の処方において通常用いられる同様な分散剤を含有し得る。トゥイーンもしくはスパンのような他の通常用いられる界面活性剤および/もしくは他の同様な乳化剤、または製薬上許容され得る固体、液体もしくは他の投薬量形態の製造において通常用いられる生物学的利用能向上剤もまた、処方の目的のために用いられ得る。
【0094】
本発明の製薬組成物は、カプセル、タブレット、乳濁液並びに水性の懸濁液、分散液および溶液を含めてしかしそれらに限定されないいかなる経口的に許容され得る投薬量形態にても、経口的に投与され得る。経口使用用のタブレットの場合、通常用いられる担体は、ラクトースおよびトウモロコシデンプンを包含する。ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤もまた、典型的には添加される。カプセル形態にての経口投与について、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンを包含する。水性の懸濁液および/または乳濁液が経口的に投与される場合、活性成分は、油相中に懸濁または溶解されそして乳化および/または懸濁剤と一緒にされ得る。所望されるなら、或る甘味および/または風味および/または着色剤は添加され得る。
【0095】
本発明の製薬組成物はまた、直腸投与のために坐薬の形態にて投与され得る。これらの組成物は、本発明の化合物を、室温において固体であるがしかし直腸の温度において液体でありそしてそれ故直腸中で溶融して活性成分を放出する適当な非刺激性賦形剤と混合することにより製造され得る。かかる物質は、カカオ脂、蜜ロウおよびポリエチレングリコールを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0096】
本発明の製薬組成物の局所投与は、所望の処置が局所施用により容易にアクセス可能な域または器官を伴う場合特に有用である。皮膚への局所施用について、製薬組成物は、担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する適当な軟膏にて処方されるべきである。本発明の化合物の局所投与用の担体は、鉱油、液状石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化性ロウおよび水を包含するが、しかしそれらに限定されない。その代わりに、製薬組成物は、適当な乳化剤でもって担体中に懸濁または溶解された活性化合物を含有する適当なローションまたはクリームにて処方され得る。適当な担体は、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルロウ、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を包含するが、しかしそれらに限定されない。本発明の製薬組成物はまた、直腸坐薬用処方によりまたは適当な浣腸用処方物にて下方腸管に局所的に施用され得る。局所的経皮性のパッチもまた、本発明に包含される。
【0097】
本発明の製薬組成物は、鼻用エーロゾルまたは吸入により投与され得る。かかる組成物は、製薬処方技術において周知の技法に従って製造され、そしてベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または当該技術において知られた他の可溶化もしくは分散剤を用いて、食塩水中の溶液として製造され得る。
【0098】
1日当たり約0.01mg/kg体重と約100mg/kg体重の間好ましくは1日当たり約0.5mg/kg体重と約75mg/kg体重の間の、ここにおいて記載されたIMPDH阻害化合物の投薬量レベルは、IMPDH媒介疾患の予防および処置のための単治療および/または組合わせ治療において有用である。典型的には、本発明の製薬組成物は、1日当たり約1回から約5回またはその代わりに連続注入として投与される。かかる投与は、慢性または急性治療として用いられ得る。単一投薬量形態を作るために担体物質と一緒にされ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与態様に依存して変動する。典型的製剤は、約5%から約95%の活性化合物(w/w)を含有する。好ましくは、かかる製剤は、約20%から約80%の活性化合物を含有する。
【0099】
本発明の組成物が本発明のIMPDH阻害剤と1種またはそれ以上の追加的治療または予防剤との組合わせを含む場合、IMPDH阻害剤および追加的薬剤は両方共、単治療投薬計画において通常投与される投薬量の約10%と100%の間一層好ましくは約10%と80%の間の投薬量レベルにて存在すべきである。追加的薬剤は、複投与量投薬計画の一部として、本発明の化合物とは別個に投与され得る。その代わりに、該薬剤は、本発明の化合物と一緒に混合されて単一組成物にされた単一投薬量形態の一部であり得る。
【0100】
一つの具体的態様によれば、本発明の製薬組成物は、追加的免疫抑制剤を含む。追加的免疫抑制剤の例は、シクロスポリンA、FK506、ラパマイシン、レフルノミド、デオキシスパガリン、プレドニソン、アザチオプリン、マイコフェノレートモフェチル、OKT3、ATAG、インターフェロンおよびミゾリビンを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0101】
別の具体的態様によれば、本発明の製薬組成物は、抗癌剤を追加的に含み得る。抗癌剤の例は、シスプラチン、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、アムサクリン、ミトザントロン、テニパシド、タキソール、コルヒチン、シクロスポリンA、フェノチアジン、インターフェロンおよびチオキサンテンを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0102】
更なる別の具体的態様によれば、本発明の製薬組成物は、抗ウイルス剤を追加的に含み得る。抗ウイルス剤の例は、シトベン、ガンシクロビル、ホスホノギ酸三ナトリウム、リバビリン、d4T、ddI、AZTおよびアシルクロビルを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0103】
更に更なる別の具体的態様によれば、本発明の製薬組成物は、抗脈管異常増殖剤を追加的に含み得る。抗脈管異常増殖剤の例は、ロバスタチンのようなHMG
Co−Aレダクターゼ阻害剤、トロンボキサンA2シンテターゼ阻害剤、エイコサペンタン酸、シプロステン、トラピジル、ACE阻害剤、低分子量ヘパリン、マイコフェノール酸、ラパマイシンおよび5−(3′−ピリジニルメチル)ベンゾフラン−2−カルボキシレートを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0104】
患者の状態の改善時に、必要なら、維持投与量の本発明の化合物、組成物または組合わせが投与され得る。引き続いて、投与の投薬量もしくは頻度または両方が、処置がやめられるべきである所望のレベルまで症状が緩和された時改善状態が保たれるレベルまで、症状の関数として減じられ得る。しかしながら、患者は、疾患の症状の再発という根拠で長期基準での間欠処置を必要とし得る。
【0105】
当業者は認識するように、上記に列挙された投与量より低いまたは高い投与量が必要とされ得る。いかなる特定の患者についての特定の投薬量および処置用投薬計画も、用いられる特定化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食事、投与時機、排泄速度、薬物の組合わせ、疾患の重さおよび進行、疾患に対する患者の素因および処置医師の判断を含めて、様々な因子に左右される。
【0106】
別の具体的態様において、本発明は、哺乳類におけるIMPDH媒介疾患を処置または予防する方法であって、上記に記載された製薬組成物および組合わせのいずれかを該哺乳類に投与する工程を含む該方法を提供する。製薬組成物が活性成分として本発明のIMPDH阻害剤のみを含む場合、かかる方法は、抗炎症剤、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤または抗脈管異常増殖化合物から選択された薬剤を該哺乳類に投与する工程を追加的に含み得る。かかる追加的薬剤は、IMPDH阻害剤組成物の投与の前に、同時にまたは後に該哺乳類に投与され得る。
【0107】
好ましい具体的態様において、これらの方法は、哺乳類において免疫応答を抑制するのに有用である。かかる方法は、移植片拒絶反応(たとえば、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(島細胞)、骨髄、角膜、小腸および皮膚の同種移植片並びに心臓弁の異種移植片)、対宿主性移植片病、並びにリウマチ様関節炎、多発性硬化症、若年型糖尿病、ぜん息、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、狼瘡、真性糖尿病、重症筋無力症、乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏症、肺炎、眼ブドウ膜炎、グレーヴズ病、橋本甲状腺炎、ベーチェットまたはシェーグレン症候群(乾燥性の眼/口)、悪性または免疫溶血性貧血、特発性副腎不全症、多腺性自己免疫症候群、糸球体腎炎、硬皮症、扁平苔癬、白斑(皮膚の色素脱失)、自己免疫性甲状腺炎および肺胞炎のような自己免疫疾患を含めて、疾患を処置または予防するのに有用である。
【0108】
これらの方法は、本発明の化合物と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を哺乳類に投与する工程を含む。好ましい実施形態において、この特定の方法は、追加の免疫抑制薬と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する追加の工程を含む。
【0109】
あるいは、この方法は、本発明の化合物と追加の免疫抑制薬と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する工程を含む。
【0110】
別の好ましい実施形態において、これらの方法は、哺乳類におけるウィルスの複製を抑制するために有用である。こうした方法は、例えば、オルトミクソウィルス(インフルエンザウィルスA型およびB型)、パラミクソウィルス(呼吸系発疹ウィルス)(RSV)、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)ウィルス)、麻疹およびパラインフルエンザ3型)、ヘルペスウィルス(HSV−1、HSV−2、HHV−6、HHV−7、HHV−8、エプスタイン−バーウィルス(EBV)、サイトメガロウィルス(HCMV)および水痘−帯状疱疹ウィルス(VZV))、レトロウィルス(HIV−1、HIV−2、HTLV−1、HTLV−2)、フラビウィルスおよびペスチウィルス(黄熱病ウィルス(YTV)、C型肝炎ウィルス(HCV)、デング熱ウィルス、ウシウィルス性下痢ウィルス(BVDV)、ヘパトトロフィックウィルス(A型肝炎ウィルス(HAV)、B型肝炎ウィルス(HBV)、D型肝炎ウィルス(HDV)、E型肝炎ウィルス(HEV)、G型肝炎ウィルス(HGV)、クリミア−コンゴ出血性熱ウィルス(CCHF)、ブンヤウィルス(プンタトロ(Punta Toro)ウィルス、リフトバレー熱ウィルス(RVFV)および砂バエ熱シチリアウィルス)、ハンターン(hantaan)ウィルス、キャラパル(Caraparu)ウィルス)、ヒト乳頭腫ウィルス、脳炎ウィルス(ラクロッセウィルス)、アレナウィルス(フニンウィルスおよびタカリベウィルス)、レオウィルス、水疱性口内炎ウィルス、ライノウィルス、エンテロウィルス(ポリオウィルス、コクサッキーウィルス、脳心筋炎ウィルス(EMC))、ラッサ熱ウィルス、トガウィルス(シンドビスウィルスおよびセムライクフォレスト(Semlike Forest)ウィルス)、ポックスウィルス(ワクシニアウィルス)、アデノウィルス、ルビオラ(rubiola)および風疹、による感染によって引き起こされたDNAおよびRNAウィルス病の治療または予防に際して有用である。
【0111】
これらの方法は、本発明の化合物と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を哺乳類に投与する工程を含む。好ましい実施形態において、この特定の方法は、追加の抗ウィルス薬と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する追加の工程を含む。
【0112】
あるいは、この方法は、本発明の化合物と追加の抗ウィルス薬と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する工程を含む。
【0113】
もう一つの別の好ましい実施形態において、これらの方法は、哺乳類における血管細胞高増殖(hyperproliferation)を抑制するために有用である。こうした方法は、再狭窄、狭窄、artherosclerosisおよび他の高増殖ウィルス病を含む疾病の治療または予防に際して有用である。
【0114】
これらの方法は、本発明の化合物と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を哺乳類に投与する工程を含む。好ましい実施形態において、この特定の方法は、追加の抗血管高増殖薬と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する追加の工程を含む。
【0115】
あるいは、この方法は、本発明の化合物と追加の抗血管高増殖薬と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する工程を含む。
【0116】
もう一つの別の好ましい実施形態において、これらの方法は、哺乳類における腫瘍および癌を抑制するために有用である。こうした方法は、リンパ腫、白血病および他の癌形態などの腫瘍および悪性腫瘍を含む疾病の治療または予防に際して有用である。
【0117】
これらの方法は、本発明の化合物と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を哺乳類に投与する工程を含む。好ましい実施形態において、この特定の方法は、追加の抗腫瘍薬または抗癌剤と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する追加の工程を含む。
【0118】
あるいは、この方法は、本発明の化合物と追加の抗腫瘍薬または抗癌剤と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する工程を含む。
【0119】
もう一つの別の好ましい実施形態において、これらの方法は、哺乳類における炎症および炎症性疾患を抑制するために有用である。こうした方法は、変形性関節症、急性膵臓炎、慢性膵臓炎、喘息および成人呼吸窮迫症候群を含む疾病の治療または予防に際して有用である。
【0120】
これらの方法は、本発明の化合物と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を哺乳類に投与する工程を含む。好ましい実施形態において、この特定の方法は、追加の抗炎症薬と薬学的に許容できる補助薬とを含む組成物を前記哺乳類に投与する追加の工程を含む。
【0121】
本発明がより完全に理解されるために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は説明のみを目的とし、本発明の範囲を限定するとして決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0122】
実施例1
化合物41の合成
A.C4の合成
【0123】
【化5】

【0124】
氷酢酸(46mL)、無水酢酸(46mL、485ミリモル)および2−メチル−5−ニトロアニソール(10.0g、60ミリモル)の0℃溶液に、濃H2SO4(6.9mL)を滴下した。添加が完了すると直ぐに、CrO3(8.08g、80.8ミリモル)を分割して60分にわたり添加した。0℃でさらに15分にわたる攪拌後に、反応混合物を氷上に注ぎ、得られた沈殿物を濾過によって単離し、冷H2Oでリンスした。ヘキサン中の15〜50%EtOAcの傾斜で溶離するフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、8.14g(24%、回収された出発材料に基づいて51%)のC1が白色固形物として生じた。1H NMRは必要な構造のものと一致した。
【0125】
【化6】

【0126】
ジオキサン(100mL)中のC1(81.94g、307ミリモル)の攪拌懸濁液を濃HCl(20mL)で処理し、一晩還流の状態で加熱した。室温に冷却すると、製品C2が40.65g(73.1%)の収量で淡黄色結晶質固体として沈殿した。濾液を約80mLの体積に濃縮し、ヘキサンの添加によって溶液から収量8.91g(16.0%)で製品結晶の第2の生成物を得た。両方のバッチは1H NMRおよびTLC分析で同じであり、必要な材料のそれと一致した。C2の合計収量は49.56g(89.1%)であった。
【0127】
【化7】

【0128】
C2(456mg、2.51ミリモル)、トシルメチルイソシアニド(490mg、2.51ミリモル)およびK2CO3(347mg、251ミリモル)の溶液をメタノールに溶解し、1.5時間にわたり還流まで加熱した。その後、製品混合物を真空で濃縮し、CH2Cl2に再溶解し、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、再び真空で濃縮した。再結晶化(Et2O/ヘキサン)を介して精製された製品C3を収量375mg(68%)で得た。1H NMRは必要な構造のものと一致した。
【0129】
【化8】

【0130】
EtOAc(150mL)中のC3(4.214g、19.1ミリモル)の溶液を10%Pd/C(1.05g、C3の25重量%)で処理し、40psi(276X103Pa)のH2(g)(パー水素添加装置)に一晩供した。反応混合物を濾過し真空で濃縮した。30〜40%EtOAc/ヘキサンの傾斜で溶離するフラッシュクロマトグラフィーを介して、純粋の製品C4を3.4g(93%)の収量で得た。1H NMRは必要な構造のものと一致した。
【0131】
B.化合物I113の合成
【0132】
【化9】

【0133】
3−アミノベンジルアミン(826mg、6.87ミリモル)およびトリエチルアミン(2.39mL、17.18ミリモル)の溶液をジ−t−ブチルジカーボネート(1.50g、6.87ミリモル)で処理し、混合物を室温で2時間にわたり攪拌した。その後、反応をCH2Cl2で希釈し、NaHCO3(aq)、水およびブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、真空で濃縮した。ヘキサン中の25%EtOAcで溶離するフラッシュクロマトグラフィーによって、純粋のE1を200mg(46%)の収量で得た。1H NMRは必要な構造のものと一致した。
【0134】
【化10】

【0135】
C4(150mg、0.789ミリモル)および1,1−ジカルボニルイミジアゾール(160mg、0.986ミリモル)の溶液をTHF(5mL)中で混合し、室温で6時間にわたり攪拌した。イミダゾールの沈殿を認めた。その後、E1(351mg、1.58ミリモル)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(97mg、0.789モル)をこれに添加し、混合物を一晩還流し、均質溶液が生じた。室温に冷却すると直ぐに、反応をEtOAc(20mL)で希釈し、KHSO4(aq)、水およびブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。ヘキサン中の20−30−35%アセトンの傾斜で溶離するフラッシュクロマトグラフィーを介して、純粋のI113を164mg(47%)の収量で得た。1H NMR(500MHz、d6−DMSO)δ8.90(s)、8.75(s)、8.38(s)、7.60(d)、7.51(s)、7.3〜7.46(m)、7.21〜7.27(t)、7.05(dd)、6.87(d)、4.12(d)、3.93(s)、1.44(s)。Rf0.21(5%MeOH/CH2Cl2)。
【0136】
C.化合物I168の合成
【0137】
【化11】

【0138】
CH2Cl2(1mL)中のI113(250mg、5.76ミリモル)の懸濁液を室温において数当量のトリフルオロ酢酸を用いて滴下方式で処理し、90分にわたり攪拌した。得られた溶液を真空でストリッピングし、CH2Cl2およびメタノールで滴定した。濾過によって純粋の製品I168を258mg(99%)の収量で単離した。1H NMRは必要な構造のものと一致した。
【0139】
D.化合物41の合成
THF(1.0mL)中の1−メトキシ−2−プロパノール(75mg、832ミリモル)の室温溶液に、固体1,1’−カルボニルジイミダゾール(121mg、749μモル)を一度に添加した。得られた混合物を室温で一晩攪拌し、その後、TEA(174μL、1.25ミリモル)、固体化合物I168(376mg、832μモル)およびDMF(1.0mL)で逐次処理した。得られて溶液を室温で1日攪拌し、その後、酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで逐次洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。その後、粗製品をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、97.5/1.5CH2Cl2)によって精製した。その後、クロマトグラフ処理した製品をエチルエーテル/酢酸エチルの9/1混合物で砕いて、化合物45(65mg、収率56%)が白色粉末状固体として生じた。
1H NMR(500MHz、アセトン−d6):8.34(s、IH)、8.21(s、1H)、8.12(s、1H)、7.67(s、1H)、7.65(dd、1H)、7.50(d、1H)、7.47(d、1H)、7.43(s、1H)、7.25(dd、1H)、7.10(dd、1H)、6.97(d、1H)、6.68(m、1H)、4.92(m、IH)、4.32(d、2H)、4.01(s、3H)、3.43(dd、1H)、3.33(dd、1H)、3.31(s、3M)、1.18(d、3H)。
【0140】
本発明の他の化合物は、工程Cにおいて1−メトキシ−2−プロパノールの代わりに適切なアルコール[すなわち、HO−CH(R1)(R2)]を用いて類似の方式で製造することができる。
【0141】
実施例2
化合物169の製造
A.左手側カップリング中間体(R10=シアノ)の製造
【0142】
【化12】

【0143】
シアン化銅(I)(7.2g、80.8ミリモル)をNMP(70mL)中の2−ブロモ−5−ニトロアニソール(I)(15g、64.6ミリモル)と混合し、N2雰囲気下で150℃に一晩加熱した。混合物をセライトで処理し、室温に冷却し、その後、EtOAcおよび1.0N・NaOHで希釈し、放置して15分にわたり攪拌した。EtOAc入りセライト詰め物を通して不均質混合物を濾過し、相を分離し、水相をEtOAcで3回洗浄した。混合有機相を1.0N・NaOH、水およびブラインで逐次洗浄し、その後、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。粗製品をCH2Cl2に溶解し、シリカゲルの短い詰め物を通して濾過して、固形物と殆ど着色した不純物を除去し、その後、真空で濃縮して、II(10.41g、90%)が茶色がかったオレンジ色の固体として生じた。
1H NMR(500MHz、CDCl3):7.90(d、IH)、7.84(s、1H)、7.77(d、1H)、4.07(s、3H)。
【0144】
EtOAc−EtOH(220−15mL)中のII(7.2g、40.4ミリモル)の室温溶液に、10%Pd/C(1.8g)を添加し、不均質黒色混合物が生じた。反応をH2の1気圧(バルーン)下に置き、55℃に加温し、一晩攪拌した。反応を室温に冷却し、濾過を介して触媒を除去し、濾液を真空で濃縮して、III(5.56g、93%)が結晶質固体として生じた。
1H NMR(500MHz、CDCl3):7.29(d、IH)、6.22(d、1H)、6.17(s、1H)、4.20(ブロードs、2H)、3.85(s、3H)。
【0145】
EtOAc(20mL)および飽和NaHCO3(〜1M、16mL)中のフェニルクロロホルメート(1.6mL、12.82ミリモル)の室温二相混合物に、EtOAc(10mL)中の溶液としてIII(950mg、6.41ミリモル)を10分にわたって添加した。得られた不均質混合物を室温で30分にわたり攪拌し、その後、相を分離した。有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、EtOAc入りシリカゲル詰め物を通して濾過し、真空で濃縮して、濃厚油が生じた。得られた油をトルエン(30mL)中で希釈し、ヘキサン(30mL)で処理し、厚い(thick)沈殿物が生じた。この混合物を30分にわたり攪拌し、濾過し、固形物を1:1のトルエン:ヘキサンで洗浄し、その後、ヘキサン単独で洗浄し、高真空下で一定重量に乾燥して、IV(1.65g、96%)が白色粉末として生じた。
1H NMR(500MHz、dmso−d6):10.76(s、IH)、7.69(d、1H)、7.44(d、1H)、7.40(d、1H)、7.26(m、3H)、7.15(d、1H)、3.85(s、3H)。
【0146】
B.右手側カップリング中間体(R9=S−メチル)の製造
【0147】
【化13】

【0148】
EtOH(2L)中のV(200g、1.21ミリモル)の室温溶液に、NaBH4(50.3g、1.33モル)を分割して30分にわたり添加し、内温を40℃を超えて上昇させなかった。反応を放置して室温で4時間にわたり攪拌した。その後、反応を水(〜100mL)で冷却し、真空で濃縮し、EtOAcで希釈し、水で2回洗浄し、飽和NaHCO3で1回洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、VI(191.7g、95%)が黄色っぽい粉末として生じた。
1H NMR(500MHz、CDCl3):8.21(s、IH)、8.09(d、1H)、7.70(d、1H)、7.49(dd、1H)、5.01(dd、1H)、2.45(s、1H)、1.52(d、3H)。
【0149】
VI(181g、1.08モル)の室温溶液に、反応温度を45℃より下にしておくために十分に遅い速度でDPPA(250mL、1.16モル)を添加した。一旦DPPAの添加が完了すると、反応温度を45℃より下にしておくために十分に遅い速度で混合物をDBU(177mL、1.18モル)で処理した。添加が完了すると直ぐに、反応を60℃に加温し、その温度で一晩維持した。得られた二相混合物を室温に冷却し、水、その後0.5M・HClで逐次洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、黄色−緑色油が生じ、それをさらに精製しなかった。
1H NMR(500MHz、CDCl3):8.21(s、IH)、8.18(d、1H)、7.68(d、1H)、7.56(q、1H)、4.76(dd、1H)、1.59(d、3H)。
【0150】
THF−水(80mL−10mL)中のVII(8.17g、42.51ミリモル)の室温溶液に、THF(20mL)中の溶液としてPh3P(12.3g、46.76ミリモル)を10分にわたり添加した。窒素の発生は直ちに起き、添加全体を通して一定であった。その後、反応を65℃に一晩加熱し、その後、室温に冷却した。粗混合物を真空で濃縮し、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過した。得られた濾液を室温において10分にわたり1N・HCl/Et2Oで処理し、沈殿物が生成した。混合物を室温で15分にわたり攪拌し、その後濾過した。固形物をEt2Oで洗浄して黄色粉末が生じた。粗アミン塩酸塩をブライン/EtOAc中に懸濁させ、室温において10N・NaOH(5mL、50モル)で処理した。すべての固形物が溶解するまで、得られた混合物を室温で攪拌した。相を分離し、水相をEtOAcで2回洗浄し、混合有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。粗アミンをMeOH(50mL)中で希釈し、MeOH(450mL)中のL−(+)−酒石酸(5.33g、35.33モル)の還流溶液に添加した。沈殿物が直ちに形成し、その後、15分にわたり還流するとMeOH混合物に溶解した。内温を50℃に下げ、そこで一晩維持した。その後、内温を30℃に下げ、もう24時間にわたり維持し、その後、室温でもう24時間にわたり維持した。得られた結晶(スパイク)を濾過し、MeOHおよびEt2Oで洗浄し、濾過液を捨てた。得られた結晶を200mLの還流MeOHに溶解し、上述したように徐々に冷却し、濾過し、MeOHで、その後Et2Oで洗浄し、VIII(2.21g、20%)の第1の生成物が白色固体として生じた。濾過液を真空で濃縮し、固形物を50mLの還流MeOHに溶解し、上述したように徐々に冷却し、濾過し、MeOHおよびEt2Oで洗浄して、VIII(1.50g、13%)の第2の生成物が白色固体として生じた。光学的純度を各生成物の対応するフェニルカルバメートに基づいて>97%eeであると決定した。
【0151】
ダイセル化学(Daicel Chemical Industries)によって製造され、キラルテクノロジーズ(Chiral Technologies)から購入されたChiralcel ODカラム(0.46cmX25cm)を用いて鏡像異性体過剰を決定した。用いられた移動相はイソクラチック中の70:30のヘキサン:IPA混合物であり、そのイソクラチックは上述したヘキサン:IPA混合物に溶解したフェニルカルバメートの1−2mg/mlの3〜4μl注入を用いて0.8mg/分の流量で65分に使い尽くされた。必要なS−メチル鏡像異性体は、214、254、280nmの波長で監視している間に〜47.2分で最初に溶離する一方で、必要でないR−メチル鏡像異性体は、〜51.7分で溶離(comes off)する。
【0152】
すべてのサンプルをダイオードアレー検出器付のHewlett Packard Series1050HPLCで試験した。
【0153】
EtOAc(20mL)およびブライン(20mL)中のVIII(1.11g、3.51ミリモル)の不均質懸濁液に、室温で10N・NaOH(0.77mL、7.72ミリモル)を添加した。すべての塩が溶解するまで、得られた混合物を室温で攪拌した。その後、相を分離し、水相をEtOAcで洗浄した。混合有機相をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮した。粗ニトロ−ベンジルアミンを7M・NH3−MeOH(20mL)中で希釈し、20%Pd(OH)2−Cを添加し、H2の45psi(310X103Pa)下に5時間にわたり置いた。得られた混合物を濾過して触媒を除去し、真空で濃縮し、CH2Cl2で一回共沸蒸留し、その後、高真空下に置いてIX(455mg、95%)が蝋状白色固体として生じた。
1H NMR(500MHz、dmso−d6):6.91(dd、IH)、6.56(s、1H)、6.50(d、1H)、6.38(d、1H)、4.90(ブロードs、2H)、3.82(q、1H)、3.31(ブロードs、2H)、1.18(d、3H)。
【0154】
C.化合物169の製造
【0155】
【化14】

【0156】
3−(R)−ヒドロキシペンタニトリル(212mg、2.14モル)の室温溶液に、CDI(521mg、3.21ミリモル)を一度に添加した。得られた混合物を室温で1時間にわたり攪拌し、その後、固体シリカゲルで処理した。不均質混合物を10分にわたり激しく攪拌し、4:1のEtOAc:IPA入りシリカゲルの短い詰め物を通して濾過し、真空で濃縮し、MeCNで2回共沸蒸留し、その後、MeCN(2mL)中のIX(350mg、2.57ミリモル)と混合し、室温で1日攪拌した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、水、その後ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフ処理(シリカゲル、1/2?1/3?0/1のヘキサン/EtOAc?4/1 EtOAc/IPA)して、X(472mg、84%)が透明濃厚油として生じた。
1H NMR(500MHz、dmso−d6):7.73(d、IH)、6.94(dd、1H)、6.51(s、1H)、6.47(d、1H)、6.38(d、1H)、4.98(ブロードs、2H)、4.67(m、1H)、4.49(m、1H)、2.82(m、2H)、1.62(m、2H)、1.27(d、3H)、0.89(dd、3H)。
【0157】
EtOAc(5mL)中のX(470mg、1.80ミリモル)の室温溶液に、IV(440mg、1.63ミリモル)およびTEA(0.23mL、1.63ミリモル)を添加した。得られた混合物を還流まで加熱し、その温度で6時間にわたり攪拌した。得られた粗混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、ブライン/1N・HClで、その後ブライン単独で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、真空で濃縮し、そしてフラッシュクロマトグラフ処理(シリカゲル、1/1?1/2?1/3?1/4?0/1のヘキサン/EtOAc?4/1 EtOAc/IPA)して、169(740mg、100%)が白色泡状固体として生じた。
1H NMR(500MHz、dmso−d6):9.21(s、IH)、8.84(s、1H)、7.93(d、1H)、7.59(d、1H)、7.51(s、1H)、7.41(s、1H)、7.29(d、1H)、7.23(dd、IH)、7.01(d、1H)、6.92(d、1H)、4.69(m、1H)、4.63(m、1H)、3.89(s、3H)、2.82(m、2H)、2.62(m、2H)、1.31(d、3H)、0.90(t、3H)。
【0158】
実施例3
IMPDH活性抑制アッセイ
マガサニク(Magasanik)[マガサニク(B.Magasanik)ら,J.Biol.Chem.,226,p.339(1957)、その開示は本明細書に引用して援用する]によって最初に報告された方法の改訂方法に従って、TMPデヒドロゲナーゼ活性を検定(assay)した。NADHの形成に起因する340nm(?340は6220M-1cm-1である)における吸光度の増加を監視することにより、酵素活性を分光光度法で測定した。反応混合物は、0.1M燐酸カリウム8.0、0.5mM・EDTA、2mM・DTT、200μM・IMPおよび15〜50nMの濃度での酵素(IMPDHヒトII型)を含有していた。この溶液を37℃で10分にわたり保温(incubate)する。200μMの最終濃度までNADを添加することにより反応を開始し、初期速度を340nmでの吸光度の直線増加を10分にわたり追跡することにより測定する。標準分光光度計(経路の長さ1cm)における読みに関して、キュベット内の最終体積は1.0mLである。アッセイは、96ウェルの微量定量プレート形式にも適応されており。この場合、すべての試薬の濃度は同じままであり、最終体積を200μlに減少させる。
【0159】
抑制剤の分析のために、対象化合物を20mMの最終濃度までDMSOに溶解し、2〜5%(v/v)の最終体積での酵素によるプレインキュベーションのために初期アッセイ混合物にそれを添加する。NADの添加によって反応を開始し、初期速度を上のように測定する。種々の量の抑制剤の存在下で初期速度を測定し、ヘンダーソン(Henderson)(ヘンダーソン(Henderson),P.J.F.(1972)Biochem.J.127,321)の強束縛式を用いてデータを当てはめることにより、Ki決定を行う。
【0160】
これらの結果を表2に示している。カテゴリー「A」は10nM以下のKIを示し、カテゴリー「B」は10より大きく50nMより小さいKIを示し、カテゴリー「C」は50nM以上のKIを示す。「ND」は、抑制活性を決定しなかったことを示す。
【0161】
【表31】

【0162】
【表32】

【0163】
本発明の他の化合物もIMPDH抑制活性を有する。
【0164】
実施例4
細胞アッセイ
A.抹消血液単核細胞(PBMC)の単離
抗凝血剤としてヘパリンを用いて、ヒト静脈血を正常健康ボランティアから抜き取った。標準条件を用いてフィコールパック比重遠心法またはCPTチューブ(ベクトン−ディッキンソン(Becton−Dickinson))遠心法によってPBMCを血液から単離した。PBMCを回収し、洗浄し、完全なRPMI中に再懸濁させ、カウントし、1X106細胞/mLに希釈した。
【0165】
B.PBMCおよび脾細胞増殖アッセイ
5X104細胞(ヒトPBMC T細胞に関して)または1X105細胞(ヒトPBMC B細胞に関して)を96ウェルのプレートのウェル当たりに添加した。T細胞アッセイの場合、フィトヘムアグルチニン(PHA)を細胞用のウェル当たり10〜20μg/mLの最終濃度まで添加した。B細胞アッセイの場合、プロテインA(SPAS)をウェル当たり2μg/mLの最終濃度まで添加した。
【0166】
抑制剤ストックの連続4倍希釈溶液を完全なRPMI中で作製し、化合物の最終濃度が20μM〜20nMの範囲であるように細胞に添加した一方で、DMSOを0.1%の最終濃度で維持した。その後、細胞を3日にわたり保温(incubate)した。すべてのサンプルを3回試験した。トリチウム化チミジン(0.4μCi/ウェル)をアッセイの最後の24時間にわたり添加した。細胞をBetaplateフィルター上で回収し、シンチレーションカウンタ内でカウントした。SoftMax Pro(登録商標)(モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices))カウンターソフトウェアパッケージを用いて、細胞の増殖を50%だけ抑制するために必要な化合物の濃度(IC50値)を計算した。
【0167】
これらのアッセイの結果を表3に示している。カテゴリー「A」は100nM以下のIC50を示し、カテゴリー「B」は100より大きく1000nMより小さいIC50を示し、カテゴリー「C」は1000nM以上のIC50を示す。「ND」は、上述した細胞アッセイにおいて抑制活性を決定しなかったことを示す。
【0168】
【表33】

【0169】
【表34】

【0170】
実施例5
抗ウィルスアッセイ
化合物の抗ウィルス効率を種々の試験管内アッセイおよび生体内アッセイにおいて評価することが可能である。例えば、試験管内ウィルス複製アッセイにおいて化合物を試験することが可能である。試験管内アッセイは、全体の細胞または単離された細胞成分を用いることが可能である。生体内アッセイは、ウィルス病に関する動物モデルを含む。こうした動物モデルの例には、HBVまたはHCV感染に関する齧歯動物モデル、HBV感染に関するWoodchuckモデルおよびHCV感染に関するチンパンジーモデルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0171】
本発明者らは本発明の多くの実施形態を提示してきた一方で、本発明の方法を利用する他の実施形態を提供するために本発明者らの基本構成を変更できないことは明らかである。従って、実施例を用いて提示された特定の実施形態でなく本明細書に添付した請求の範囲によって、本発明の範囲は定義されるべきであることは認められるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(IA):
【化1】

{式中、R1又はR2内の1は水素、エチル又はフェニルから選ばれ;そしてR1又はR2の内の他は−CH2OH,−CH2CN,−CH2CH2CN又は−CH2N(CH2CH32から選ばれ、又はR1とR2は一緒になって、3−テトラヒドロフラニル環を形成し;
9は(S)−メチル、(S)−エチル、又は(S)−ヒドロキシメチルから選ばれ;
10は−C≡N又は5−オキサゾールイルから選ばれ;そして
11はハロ、−O−(C1−C3)直鎖アルキル、又は−O−(C2−C3)直鎖アルケニル又はアルキニルから選ばれる。}
で表される化合物。
【請求項2】
9が(S)−メチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
11がO−メチル、O−エチル又はO−イソプロピルから選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下の:
【化2】

【化3】

【化4】

から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物169である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
IMPDHを阻害するために有効な量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物及び医薬として許容される担体、アジュバント又は媒体を含む医薬組成物。
【請求項7】
免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウィルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質又は抗血管過増殖化合物から選ばれる追加の剤をさらに含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
哺乳動物においてIMPDH−仲介疾患又は症状を治療又は予防するための請求項6又は7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記IMPDH−仲介疾患又は症状が、移植拒絶、移植片対宿主病又は自己免疫疾患から選ばれる、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
追加の免疫抑制剤をさらに含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物におけるウィルス複製を阻害するための、請求項6又は7に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記哺乳動物が、オルソミクソウィルス、パラミクソウィルス、ヘルペスウィルス、レトロウィルス、フラビウィルス、ペスチウィルス、肝栄養性(hepatotrophic)ウィルス、ブニャウィルス(bunyavirus)、ハンターン(Hantaan)ウィルス、カラパル(Caraparu)ウィルス、ヒト乳頭腫ウィルス、脳炎ウィルス、アレナ(arena)ウィルス、レオウィルス(reovirus)、水疱性口内炎(vesicular stomatitis)ウィルス、ライノウィルス(rhinovirus)、エンテロウィルス(enterovirus)、ラッサ病(Lassa fever)ウィルス、トガウィルス(togavirus)、ポックスウィルス(poxvirus)、アデノウィルス(adenovirus)、はしか(rubiola)、又は風疹(rubella)から選ばれるウィルスにより引き起こされるウィルス感染に羅っている、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
追加の抗ウィルス剤をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物における血管細胞過増殖を阻害するための請求項6又は7に記載の医薬組成物。
【請求項15】
再狭窄、狭窄症、アテローム性動脈硬化症又は他の過増殖性血管疾患の治療又は予防に有用である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
追加の抗血管過増殖剤をさらに含む請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
哺乳動物における腫瘍及び癌を阻害するための請求項6又は7に記載の医薬組成物。
【請求項18】
リンパ腫、白血病、及び他の形態の癌を治療に有用である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
追加の抗腫瘍又は抗癌剤をさらに含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
哺乳動物における炎症又は炎症性疾患を阻害するための請求項6又は7に記載の医薬組成物。
【請求項21】
骨関節炎、急性膵炎、慢性膵炎、喘息又は成人呼吸困難症候群を治療又は予防に有用である、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
追加の抗炎症剤をさらに含む請求項21に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2008−255116(P2008−255116A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98934(P2008−98934)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【分割の表示】特願2000−606236(P2000−606236)の分割
【原出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】