説明

MEMSデバイスの腐食防止および潤滑

MEMSデバイス等のためのシステムおよび方法は、親水性官能基を含む層を片側に含む、接触部分を有する構成要素と、層上に形成される被覆とを含むことができる。被覆は、層の親水性官能基と相互作用するように適合される親水性官能基を含むことができる。被覆はまた、被覆の親水性官能基の反対側に疎水性官能基を含むこともできる。層は、構成要素に結合することができ、被覆は、層に結合することができる。被覆は、蒸気形態である間に層上に形成されるように適合することができ、かつ潤滑剤を含むことができる。層は、酸化アルミニウム等の単原子層または多層であり得、被覆は、パーフルオロデカン酸等のフッ酸を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この説明は、微小電気機械システム(MEMS)等の機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSの1つの種類は、空間光変調器(SLM)デバイスであり、これは、入射光を微小鏡面板の配向に依存する方向に偏向させるように、静電トルクによって個々の微小鏡面板をトーションヒンジの周りで傾斜させることによって動作する。デジタルモード動作において、個々の微小鏡面板のそれぞれは、個々の鏡を選択的に回転させることによって「オン」または「オフ」にすることができる、画素としての機能を果たす。鏡は、正確な偏向角を確保するために、特定の着座位置で機械的に止めることができる。機能的微小鏡アレイは、機械的ストッパでの接触静トルク、すなわち「スティクション」に打ち勝ち、かつタイミングを制御して信頼性を確保するように、十分な静電トルクおよび機械的復元トルクを必要とする。SLMデバイスは、例えば、ビデオ画像を表示するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
MEMSデバイスにおいて、アクチュエータおよびセンサは、導電性材料から形成することができる。アクチュエータおよびセンサなどを通る電流フローは、電気化学的酸化および還元による腐食の結果として、MEMSデバイスの劣化を引き起こすか、またはこれに寄与する可能性がある。また、MEMSデバイスにおける接触面間の付着は、粘着を引き起こすか、またはこれに寄与するか、あるいはMEMSデバイスの動作を制限する可能性がある。MEMSデバイスは、例えば、その表面に形成される単数または複数の原子層もしくは分子層で実装することができる。被覆は、単層または多層に適用することができる。被覆は、活性化を伴わずに、または潤滑剤を放出する活性化を伴って使用することができる。層および被覆は、腐食、付着、またはその両方を軽減または防止するように、MEMSデバイスの残部と相互作用することができる。
【0004】
一般の態様において、本開示は、親水性官能基を含む層を片側に含む接触部分を有する第1の構成要素と、層上に形成される被覆とを含む、システムおよび方法に関する。被覆は、層の親水性官能基と相互作用するように適合される親水性官能基を含むことができる。被覆はまた、被覆の親水性官能基の反対側に疎水性官能基を含むこともできる。
【0005】
別の態様において、本開示は、第1の接触部分を有する機械デバイスを形成することと、第1の接触部分の側面上に層を形成することと、層に被覆を適用することとを含む、システムおよび方法に関する。層は、親水性官能基を含むことができ、被覆は、層の親水性官能基に結合するように適合される親水性官能基を含むことができる。被覆はまた、被覆の親水性官能基の反対側に親水性官能基を含むこともできる。
【0006】
実装例は、以下のうちの1つまたは複数を含み得る。層は、第1の構成要素の接触部分に化学的に結合することができる。層は、単原子層であり得、多層であり得、かつ酸化アルミニウム等の酸化物または窒化物を含むことができる。被覆は、カルボン酸官能基を含むことができ、かつパーフルオロデカン酸等のフッ酸を含むことができる。被覆の親水性官能基は、層の親水性官能基に結合する(比較的に弱く結合する等)ことができる。被覆は、蒸気形態である間に層上に形成されるように適合することができ、かつ高温にさらされた時に層に結合されるように適合することができる。被覆は、高温にさらされた時に潤滑剤を放出するように適合することができる。機械デバイスは、MEMSデバイスであり得、かつ空間光変調器であり得る。層は、機械デバイスの実質的に全体を覆うことができ、被覆は、層の実質的に全体を覆うことができる。被覆は、被覆の活性化に応じて、被覆の親水性官能基が層の親水性官能基に結合するように適合することができ、被覆は、層に比較的に弱く結合することができる。被覆を活性化することは、被覆の中に封入された潤滑剤を放出することを含むことができる。第2の構成要素は、第1の構成要素の接触部分の片側と取り外し可能に接触する、接触部分を含むことができる。
【0007】
層を形成することは、層を機械デバイスの表面に化学的に結合することを含むことができる。システムおよび方法は、被覆の親水性官能基が層の親水性官能基に結合するように、被覆を活性化することを含むことができる。被覆を活性化することは、被覆を高温にさらすことを含むことができる。システムおよび方法はまた、第2の接触部分を形成することであって、第2の接触部分は、第1の接触部分に近接し、かつ第1の接触部分に取り外し可能に接触するように構成される、ことも含むことができる。
【0008】
実装例は、以下の利点のうちの一部もしくは全てを提供することができ、またはそれらのいずれも提供できない場合がある。無機誘電層等の単層または多層は、陽極の酸化を低減または排除する等によって、耐食性を改善することができる。そのような無機多層および有機潤滑被覆の使用は、無機層単独または潤滑被覆単独のいずれかと比較して、改善された耐食性を提供することができる。無機層と連携した被覆の存在は、水および他の有機吸着物質をはじくことができ、それによって、陽極の酸化または他の腐食をさらに軽減する。有機単層または多層は、耐摩耗性を提供することができ、それによって、SLMユニットの有効寿命を延ばす。いくつかの実装例において、被覆と誘電層との間の弱い結合は、摩耗または損傷によって被覆が除去されてしまった層の部分を被覆が覆うことを可能にすることができる移動性を促進することができる。そのような表面移動性はまた、SLMユニットの腐食および耐摩耗性をさらに改善することもできる。無機層および被覆の使用は、スティクションを低減することができ、それによって、SLMユニットの確実な動作に必要な電圧を低減することができる。SLMユニットの移動可能な構成要素と静止構成要素との間の低い付着力および低い付着モーメントを達成することができる。静止摩擦は、最小化することができ、構成要素の粘着は、低減または防止することができる。さらに、層および被覆の使用は、デバイスの稼働寿命中の付着力の増加を最小化または防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、光を「オン」状態に反射する空間光変調器の一部分の概略断面図である。
【図1B】図1Bは、光を「オフ」状態に反射する図1aの空間光変調器の一部分の概略断面図である。
【図2】図2は、投影システムの長方形状の鏡のアレイの一部分の概略斜視図である。
【図3】図3は、空間光変調器の下部分の概略斜視図である。
【図4】図4は、図1aの空間光変調器の一部分の概略断面図である。
【図5】図5は、被覆および層の化学構造の概略図である。
【図6】図6は、SLMユニットを被覆するためのプロセスを表す流れ図である。
【0010】
種々の図面における同じ参照符号は、同じ要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
微小電気機械式アクチュエータおよびセンサは、典型的に、導電性材料から形成される。電圧がアクチュエータに印加された場合、またはセンサが電気信号を生成した場合に、電気化学的酸化および還元の結果として、これらのシステムおよびデバイスの中の電流フローが悪化する可能性があり、これは、腐食と称され得る。加えて、MEMSの表面が互に機械的に接触すると、表面間の付着力が、電気的に生成された復元力および機械的復元力よりも高くなる可能性がある。付着力は、これらの表面が分離することを妨げる可能性があり、MEMSの所望の動作を妨げる可能性がある。この開示は、腐食を制限して、スティクションを低減することに対処する。MEMSデバイスは、例えば、その表面に形成される1つまたは複数の原子層もしくは分子層で実装することができる。被覆は、単層または多層に適用することができる。被覆は、活性化を伴わずに、または潤滑剤を放出する活性化を伴って使用することができる。層および被覆は、腐食、付着、またはその両方を最小化または低減するように構成することができる。
【0012】
図1aは、光を「オン」状態に反射するSLMユニット100(本明細書で「SLMユニット」とも称される)の一部分の概略断面図である。SLMデバイスは、図1aに示されるものと同様の複数のSLMユニット100を含むことができる。SLMデバイスの実施例は、Pan他への米国特許第7,443,572号に記載されているようなものを含み、該特許は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。鏡面板120は、ヒンジ130上で電極154aに向かって傾斜する。照明光源(図示せず)から照明光182は、反射面に垂直である方向183に対する入射角θを形成する。反射光184は、鏡面板120の頂面124に垂直である方向において測定される角度θを有し、かつSLMユニット100を出射して、レンズ(図示せず)または他の表示構成要素等の標的186に向かうことができる。角度θおよびθは、互いに等しい。デジタル動作モードにおいて、図1aに示される構成は、本開示の目的に対して「オン」状態または「オン」位置と称することができる。
【0013】
図1bは、光を「オフ」状態に反射する図1aのSLMユニット100の概略断面図である。鏡面板120は、電極154aに向かって傾斜する。照明光182および偏向光184は、SLMユニットが「オフ」位置にある時には、角度θ’およびθ’を形成する。これらの角度は、鏡面板120の寸法、および鏡面板120の底面126と、本明細書でさらに説明される着座ポスト164a、164bまたは他の構造体の頂面162との間の空隙の関数であり得る。反射光184は、SLMユニット100を出射して、光吸収体188に向かう。デジタル動作モードにおいて、図1bに示される構成は、本開示の目的に対して「オフ」状態または「オフ」位置と称することができる。
【0014】
SLMユニット100は、底部分、中間部分、および上部分を含むものと考えることができる。SLMユニット100の底部分は、SLMデバイスの微小鏡アレイの中の各鏡面板120の動作を選択的に制御するために、ウエハ基板140と、アドレス指定回路170とを含むことができる。アドレス指定回路170は、メモリセルのアレイと、信号を通信するためのワード線/ビット線相互接続とを含むことができる。ウエハ基板140は、シリコン基板であり得、従来の相補形金属酸化膜半導体(CMOS)技術を使用して製造することができる。アドレス指定回路170は、低密度メモリアレイに類似するように製造することができる。電圧源V172は、鏡面板120および着座ポスト164a、164bの電圧電位を制御することができる。電圧源V174aは、電極154aの電圧電位を制御することができる。電圧源V174bは、電極154bの電圧電位を制御することができる。
【0015】
SLMユニット100の中間部分は、基板140の上に形成することができる。中間部分は、電極154a、154bと、ヒンジ支持ポスト134とを含むことができる。随意に、中間部分は、第1の着座ポスト164aと、第2の着座ポスト164bとを含むことができる。着座ポスト164a、164bは、固定的および垂直であり得、かつ基板140の上に形成することができる。製造を容易にするために、着座ポスト164a、164bは、電極154a、154bの最も高い頂面と同じ高さを有することができる。着座ポスト164a、164bは、「オン」状態から「オフ」状態、および「オフ」状態から「オン」状態への遷移ごとに、鏡面板120が着座するための機械的な着地を促進することができる。随意に、本明細書でさらに説明するブリッジばね129a、129bは、鏡面板120とともに形成するか、またはこれに取り付けることもでき、かつ鏡面板120の着地領域であることができる。それによって、ブリッジばね129a、129bは、着座ポスト164a、164bとともに、スティクションを最小化すること、またはこれに打ち勝つことを補助し、かつデバイスの信頼性を延ばし得る。スティクションは、鏡面板120とSLMユニット100の他の構成要素との間に相対的移動を引き起こすために必要とされる力を含む可能性がある。スティクションは、例えば、付着モーメントまたは付着力であり得、ヒンジ130、鏡面板120と他の構成要素との間の接触、その両方、または摩擦もしくは付着の他の要因と関連する可能性がある。いくつかの実装例において、着座ポスト164a、164bは、鏡面板120に電気的に接続することができる。そのような電気接続部は、SLMユニット100の動作中に鏡面板120と着座ポスト164a、164bとの間で起こり得る、電気アーク放電を低減または排除することができる。
【0016】
SLMユニット100の上部分は、鏡面板120を含むことができる。トーションヒンジ130は、鏡面板120の一部として製造することができ、かつ鏡面板120の頂面124からの最小距離に保たれることができる。トーションヒンジ130は、鏡面板が、鏡軸220(図2を参照)の周りを回転することが可能になるように構成することができる。鏡軸220と鏡面板120の頂面124との間の距離を最小化することによって、「オン」状態から「オフ」状態への角度遷移中の各鏡面板120の水平変位を最小化することができる。図1aおよび図1bに示される実装例において、鏡面板120は、3つの薄膜層122a、122b、122cを含む。薄膜層122a、122b、122cのそれぞれは、隣接する層とは異なる材料組成を有することができる。いくつかの実装例において、頂層122aは、反射型で、アルミニウム等の反射材料を含み、かつ、例えば、約60ナノメートル(nm)等の、約50〜100nmの間であり得る。
【0017】
鏡面板120の中間層122bは、ドープシリコン、低温アモルファスシリコン、金属、または金属合金等の数多くの導電性材料のうちの1つまたは複数から成ることができる。中間層122bは、例えば、約100〜200nm等の、約100〜500nmの間の厚さであり得る。代替として、中間層122bは、例えば、ドープシリコン、アモルファスシリコン、ニッケル、チタン、タンタル、タングステン、またはモリブデンのうちの1つまたは複数を含む、物理気相蒸着(PVD)またはスパッタリングによって蒸着される材料等の、別の低温蒸着材料を含むことができる。いくつかの実装例において、中間層122bは、2つ以上の金属等の、2つ以上の材料の複合層を含むことができる。空洞128a、128bは、底層122cの中にブリッジばね129a、129bを形成するように、中間層122bの中に形成することができ、ブリッジばね129a、129bは、着座ポスト164a、164bと整列するように位置付けることができる。
【0018】
鏡面板120の底層122cは、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ニッケル、それらのケイ素化合物、およびそれらの合金等の、電気機械材料に基づく金属薄膜等の、導電性材料を含むことができる。好適なチタン合金は、アルミニウム、ニッケル、銅、酸素、および/または窒素を含むことができる。底層122cのための別の好適な材料は、高ドープ伝導性非晶質シリコンであり得る。底層122cは、約50〜60nmの間の厚さ等の、約10〜100nmの間の厚さであり得る。ヒンジ130は、底層122cの一部として実装することができる。空洞128a、128bに露出される底層122cの部分によって形成されるブリッジばね129a、129bは、底層122cが着座ポスト164a、164bに接触した時に、空洞128a、128bの中に偏向するように構成することができる。それによって、空洞128a、128bに露出される底層122cの部分は、ばねとして機能することができ、本明細書でばねと称され得る。底層122cのこれらの部分によって加えられる力は、鏡面板120の接触状態からの分離、および「オン」状態と「オフ」状態との間の切り替えを促進することができる。いくつかの実装例において、鏡面板120の底層122cおよびトーションヒンジ130は、耐熱性金属、それらのケイ化物、またはそれらの合金のうちの1つから成る。耐熱性金属およびそれらのケイ化物は、CMOS半導体処理に適合しており、かつ比較的に良好な機械的特性を有することができる。これらの材料は、物理気相蒸着法(PVD)、化学気相蒸着法(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、または他の好適な技術によって蒸着することができる。3層薄膜鏡面板120は、例えば、約200〜300nmの間等の、約100nm〜約5000nmの間の総厚さを有することができる。図2は、長方形状の鏡板120を有するSLMユニット100のSLMアレイ200の一部分の概略斜視図である。図3は、SLMユニット100の下部分の概略斜視図である。図2および3を参照すると、鏡板120は、鏡板120が鏡軸220の周りを回転することができるように、トーションヒンジ130によって支持することができる。SLMデバイスの一部としてのSLMユニット100のアレイ200の中の近接する鏡板120間の空隙250は、比較的に小さくすることができる。例えば、SLMアレイ200の中の鏡板120間の空隙250は、例えば、0.5ミクロン未満に低減することができる。いくつかの実装例では、高い能動反射領域の充填率を達成するように、空隙250を最小化することが望ましくなる可能性がある。すなわち、空隙250が減少するにつれて、より高い割合の照明光182が鏡板120によって偏向光184として反射される可能性がある。基板140と鏡板120との間の空間は、下部空間260と称することができる。図3において、SLMユニット100は、鏡面板120を伴わずに例示目的のために示され、したがって、下部空間260が示されている。いくつかの実装例において、下部空間260は、空隙250だけを通して周囲環境270に露出される。
【0019】
SLMユニット100およびSLMアレイ200は、Panへの米国特許第7,388,708号に記載されているように製造することができ、該特許は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。微小鏡アレイを構成する際に使用する材料は、好ましくは、制御基板の中の事前製造された回路に損傷を与えるのを回避するように、典型的な製造プロセスの温度制限である、摂氏約400〜450度以下の温度で処理される。いくつかの実装例において、SLMユニット100の処理は、摂氏約150度以下の温度であり得る。
【0020】
前述のように、「オン」状態または「オフ」状態における鏡面板120のスティクションは、SLMユニット100の動作中に起こり得る。いくつかの事例において、表面の接触付着は、電極154a、154bと鏡面板120との間で生成される静電場によって加えられる静電力、ならびに機械的復元力の合計よりも大きくなり得る。そのような場合、SLMユニット100の鏡の粘着は、動作を中断させ、潜在的に、全てのSLMアレイ200またはSLMデバイス全体の交換が必要になり得る。表面の接触付着は、双極子間の相互作用、さらには、ブリッジばね129a、129bを伴う鏡面板120と着座ポスト164a、164bとの間に存在する水または有機材料のガス放出によって引き起こされ得、これは、そのような環境におけるスティクションによってデバイスの不具合を引き起こし得る。底層122cと着座ポスト164a、164bとの間の接触付着を低減するように、および動作中に機械的摩耗から界面を保護するように、鏡面板120の底面126および着座ポスト164a、164bの頂面162に潤滑剤を蒸着させることができる。いくつかの実装例において、潤滑剤は、熱的に安定していること、限定された蒸気圧を有すること、およびSLMユニット100を形成する電気機械材料と反応しないことが望ましいことがある。他の実装例では、潤滑剤を相互に機械的に接触する電気化学材料に付着させることが望ましいことがある。いくつかの実装例において、潤滑剤は、実質的にSLMユニット100の露出面全体に適用することができる。
【0021】
いくつかの実装例において、潤滑剤は、鏡面板120の底面126および着座ポスト164a、164bの頂面162に被覆される、フルオロカーボン薄膜であり得る。例えば、SLMユニット100は、摂氏約200度の基板温度で、CF等のフルオロカーボンに曝露することができる。別の実施例では、潤滑剤は、長鎖フルオロカーボン分子から成ることができ、これを気化させて気体を形成し、次いで、SLM上に凝縮させる。得られたフルオロカーボン被覆は、底層122cおよび着座ポスト164a、164bの界面への水の付着または接着を防止することができ、これは、湿潤または湿性周囲環境270における底層122cのスティクションを低減することができる。フルオロカーボン膜を底層120および着座ポスト164a、164bの接触部分に適用することで、双極子間の相互作用を低減することによって付着力を低減することができ、また、有機汚染物質の吸着も防止することができ、さらに、接触表面上の水の量を最小化することができ、それによって、スティクションが低減され得る。
【0022】
ブリッジばね129a、129b、トーションばね、頂層122a等の反射面、着座ポスト164a、164b、およびそれらに対する電気接続部の腐食も、SLMユニット100の動作中に起こる可能性がある。そのような腐食は、SLMユニット100の構成要素への、またはそこからの電流の流れによって生じる可能性があり、電気回路の陽極または陰極を構成する構成要素の腐食を含み得る。したがって、着座ポスト164a、164bおよび鏡面板120等のSLMユニット100の他の構成要素、ならびに着座ポスト164a、164bに対する電気接続部を絶縁することが望ましくなる可能性がある。絶縁は、誘電材料を使用して行うことができる。電流の流れを少なくするまたは阻止することによって、誘電体またはいくつかの他の好適な材料が酸化または他の腐食を軽減または防止することができる。代替として、腐食を起こし易い表面は、腐食せず、かつ腐食材料を水および酸素への曝露から保護する材料で覆われることができる。
【0023】
図4は、SLMユニット100の一部分の概略断面図であり、その上に形成される層430が示されている。説明の便宜上、図4は、必ずしも正しい縮尺で描画されているわけではない。いくつかの実装例において、層430は、無機の誘電体であり得る。層430は、着座ポスト164aの頂面162およびブリッジばね129aを含む底層122cの表面等の、SLMユニット100の表面の一部または全体に形成することができ、これは、空洞128aを覆う底層122cの一部分であり得る。層430は、原子層堆積(ALD)技術を使用してSLMユニット100の表面にコンフォーマルに形成することができ、層430は、厚さTを有することができる。厚さTは、実質的にSLMユニット100の露出面全体にわたって均一であり得る。いくつかの実装例において、層430は、5〜15の単原子層を含むことができる。着座ポスト164a、164bおよびブリッジばね129a、129bの露出面等の、SLMユニット100露出面を完全に覆うことが望ましいことがあるので、ALDによる層430の形成は、有利であり得る。例えば、完全に覆うことで、着座ポスト164a、164bまたはSLMユニット100の他の構成要素への、またはそこからの電流フローを少なくすること、または阻止することによって、陽極の酸化を軽減または防止することができる。すなわち、完全に覆われていない「ピンホール」、ボイド、またはSLMユニット100の構成要素が存在すると、そのようなピンホール、ボイド、または他の露出面等を通って電流が流れ得るので、層430の腐食防止性能を著しく損なう可能性がある。
【0024】
被覆450は、層430の露出側面435に適用することができ、被覆450は、単層または多層の有機被覆であり得る。例えば、層430が鏡面板120の底面126に形成された場合、被覆450は、底面126の反対側の層430の側面に適用することができる。被覆450は、鏡面板120の底面126が着座ポスト164aの頂面162に接触する、接触領域460を潤滑することができる。いくつかの実装例において、被覆450の露出側面452は、疎水性であり得る。この被覆450の疎水性特性は、SLMユニット100の下部空間460表面または他の部分に水、湿気、および有機吸着物質が存在することを低減または排除することができる。陽極が酸化するには湿気が必要になり得るので、疎水性被覆450の使用は、陽極の酸化を軽減または防止することができる。それによって、層430および被覆450がないユニットと比較して、SLMユニット100の稼働寿命が延長され得る。
【0025】
層430は、被覆450を保持するのに適合した材料を含むことができる。例えば、層430は、層430および被覆450の原子または分子間の引力を増加させる材料を含むことができる。被覆450は、層430に化学的に結合することができ、そのような化学的結合は、以下に説明するように、被覆450の活性化の後に起こり得る。いくつかの実装例において、被覆450は、層430に比較的に強く結合することができる。いくつかの他の実装例において、被覆450は、層430に比較的に弱く結合することができる。被覆450の比較的に弱い結合は、被覆450の表面移動を可能にすることができる。すなわち、被覆450が層430に比較的に弱く結合された場合、被覆450の分子は、層430上のある場所から別の場所に移動することができる。この被覆450の分子の移動は、被覆450に対する摩耗または損傷の「自己修復」を促進することができる。すなわち、被覆450の一部分が摩耗または損傷によって除去された場合、その部分の近隣のまたは近接する被覆450の分子が移動して被覆450を充填し、それによって、層430を完全に覆うことを促進することができる。他の場合において、潤滑剤の限定された蒸気圧または空洞の中の反スティクション被覆は、被覆分子の吸着によって、被覆450の損傷を修復することができる。この場合には、被覆450の表面移動が不要であり得る。
【0026】
随意に、SLMユニット100は、電極154a、154bおよび着座ポスト164a、164bの上に形成されるスペーサ480を含むことができる。スペーサ480は、厚さ100nmのPECVD二酸化シリコンのブランケット層として形成することができる。形成後、スペーサ480は、電極154a、154bの頂部を露出するように、方向性プラズマエッチングでブランケットエッチングすることができ、電極154a、154bおよび着座ポスト164a、164bの側面上にはスペーサ480が残る。エッチングの後のスペーサ480の膜厚は、基板140での厚さ100nmから、電極154a、154bおよび着座ポスト164a、164bの頂部での厚さ0nmまで変動し得る。いくつかの実装例において、スペーサ480は、電極154a、154bと他の構成要素との間の静電気による短絡を最小化または防止することができる。
【0027】
図5は、着座ポスト164aの頂面162上に形成される層430、ならびに層430およびブリッジばね129a上の同じ層に結合または吸着される被覆450の化学構造の概略図である。層430は、層430の露出側面435上に親水性官能基520を含むことができる。層430の親水性官能基520は、図5において文字「A」で表される。露出側面435は、層430がその上に形成される構成要素の反対側の層430の側面であり得る。層430は、親水性官能基520を有するあらゆる材料を含むことができる。いくつかの実装例において、層430は、酸化物を含むことができる。酸化物は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、または他の酸化物であり得る。層430は、親水性官能基520を有する複数の分子から成ることができる。
【0028】
いくつかの実装例において、層430の厚さT(図4を参照)は、小さくする(約15単層以下等、約5〜15単原子層の間等)ことができる。いくつかの実装例は、1単原子層等の、5単層未満の厚さTを有する層430を含むことができる。層430が酸化アルミニウムから成る場合の実装例において、層430の厚さTは、約2.0nm未満であり、他の場合では、約1.0nm未満であり得る。いくつかの実装例において、層430は、約0.2nm未満であり得る。層430の小さい厚さTは、層430が電極154a、154bを覆う場合の実装例で望ましいことがある。鏡面板120と電極154a、154bとの間に印加される電圧は、「オン」状態と「オフ」状態との間で鏡面板120を切り替えるための作動力を提供する。電極154a、154b上に層430が存在することで、電極154a、154b上に層430が存在しない場合に印加され得る静電力と比較して、鏡面板120に印加される静電力が減少し得る。厚くした層430の厚さTは、さらに減少した静電力をもたらし得る。したがって、層430の厚さTを厚くすると、鏡面板120の作動のために、鏡面板120と電極154a、154bとの間により大きい印加電圧が必要になる可能性がある。したがって、層430の厚さTは最小化するが、適切に腐食を最小化する厚さTを保つことが望ましいことがある。
【0029】
スパッタリングまたは化学蒸着等の数多くの材料蒸着技術は、特に直接的な「視線」上にない表面には、比較的に薄い層による表面の完全かつ連続的な被覆を確実に提供しない。むしろ、そのような技術では、いかなるピンホールまたはボイドも有しない完全な被覆を確保するために、典型的に、比較的に厚い層を蒸着しなければならない。加えて、スパッタリング等のいくつかの材料蒸着技術は、「視線」を基準とする蒸着を提供する。すなわち、表面と材料蒸着源との間の障害物は、材料がその表面に蒸着されることを妨げ得る。ALD技術は、他の材料蒸着技術では妨げられ得るまたは視線上にない場合がある表面に到達できる、気体または蒸気形態の前駆体を利用することができる。ALD技術は、Dennis M.Hausmann他の「Atomic Layer Deposition of Hafnium and Zirconium Oxides Using Metal Amide Precursors」(Chem.Mater.14(2002)4350−4358)にさらに記載されている。ALD技術は、完全でコンフォーマルかつ連続的な層430の形成を促進することができ、したがって、比較的に薄い層430の使用を促進することができる。
【0030】
ALDプロセスは、反応チャンバの中の表面を第1の前駆体に曝露することを含むことができる。第1の前駆体は、前駆体層を表面に均一かつコンフォーマルに形成することができる。次いで、反応チャンバを真空にして、表面と反応しなかった、またはこれに結合しなかった第1の前駆体分子を除去することができる。次いで、第2の前駆体を反応チャンバに導入することができる。第2の前駆体は、第1の前駆体と反応して、均一でコンフォーマルな単層を表面に形成することができる。第2の前駆体と第1の前駆体との反応は、1つの原子層だけが表面に結合されるように、自動制限的であり得る。したがって、1つのALDサイクルは、第1の前駆体を反応チャンバに導入すること、チャンバを真空にすること、第2の前駆体を反応チャンバに導入すること、再度チャンバを真空にすることを含むことができる。ALDサイクルは、追加の単層を既に形成された単層上に形成するために、繰り返すことができる。すなわち、追加のALDサイクルのそれぞれにおいて、追加の単層を、既に形成された露出単層の頂部に形成することができる。
【0031】
被覆450は、親水性官能基(B)530を含むことができ、かつ結合550によって、層430の親水性官能基520に物理的または化学的に結合することができる。結合550は、双極子間結合、共有結合、水素結合、または他の好適な結合であり得る。被覆450は、被覆450の親水性官能基530の反対側に疎水性官能基(C)540をさらに含むことができる。疎水性官能基は、図5において文字「C」で表される。被覆450は、親水性官能基530および疎水性官能基540を有する、複数の分子から成ることができる。被覆450は、親水性官能基530および疎水性官能基540を有する、あらゆる材料を含むことができる。いくつかの実装例において、被覆450は、カルボキシル(COOH)官能基等のカルボン酸官能基等の、親水性官能基530を含むことができる。被覆450は、シロキサン官能基、リン酸官能基、硫酸官能基、またはシラン官能基を含むことができる。さらに、いくつかの実装例において、被覆450は、CF等のフッ化化合物等の疎水性官能基540を含むことができ、好適な材料は、パーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロデカン酸(PFDA)、フルオロ−オクチル−トリクロロ−シラン(FOTS)、いくつかの他のフッ酸、またはいくつかの好適なフッ化化合物を含むことができる。そのような被覆450は、SynQuest Laboratories,Inc.(Alachua、Florida)によって製造されるPFDAを含むことができる。
【0032】
図6は、SLMユニット100を被覆するためのプロセス600を表す流れ図である。SLMユニット100は、第1の接触部分および第2の接触部分を有して、前述のように形成することができる(ステップ610)。第1の接触部分は、例えば、着座ポスト164a、164bのうちの1つまたは両方の頂面162であり得る。第2の接触部分は、例えば、ブリッジばね129a、129bの底面126の一部分であり得る。いくつかの実装例において、第1の接触部分および第2の接触部分のうちの1つまたは両方は、表面処理済みであり得る。例えば、着座ポスト164a、164bの頂面162およびブリッジばね129a、129bの底面126は、酸化物または窒化物で被覆することができる。そのような表面処理は、SLMユニット100の耐摩耗性を改善し得る。
【0033】
層430は、第1の接触部分上に形成することができる(ステップ620)。いくつかの実装例において、第1の接触部分上に形成する代わりに、またはそれに加えて、層430を第2の接触部分上に形成することができる。製造を容易にするために、層430はまた、SLMユニット100の実質的に表面全体に形成することもできる。ALDプロセス中の層430の形成は、コンフォーマルであり得る。すなわち、いくつかの実装例において、層430は、SLMユニット100の露出面全体に均一に形成することができる。この層430のコンフォーマル形成は、気体または蒸気形態の前駆体材料を導入することを含む、ALD技術によって促進することができる。さらに、ALDプロセスは、例えば、各ALDサイクル中に単一の単層だけがSLMユニット100上に形成されるように、自動制限的であり得る。多層は、複数のALDサイクルを実施することによって形成することができる。いくつかの実装例では、SLMユニット100の全てまたは実質的に全ての構成要素を腐食およびスティクションから保護するために、SLMユニット100の露出面全体または実質的に全体に層430を形成することが望ましいことがある。
【0034】
被覆450は、例えば気相または蒸気形態で、層430に適用することができる(ステップ630)。被覆450は、Seth Millerによって提出され、2008年3月13日に公開された、米国特許出願公開第2008/0062496 A1号に記載されているような、霧状形態で適用することもできる。しかしながら、いくつかの実装例では、例えば鏡面板間の空間250のサイズが小さいことにより、霧状または微粒状被覆450の材料が、下部空間460に適切に入り込むことができない場合がある。気相または蒸気形態で被覆450の材料を適用することは、層430の完全な被覆を促進することができる。また、いくつかの実装例では、層430への適用の際に、被覆450が不活性であること、例えば層430に結合しないことが望ましいことがある。例えば、SLMアレイ200を製造するためのウエハレベルの処理中に、活性被覆450が、SLMユニット100の構成要素の結合または他のプロセスステップを妨げる場合がある。SLMユニット100の他の構成要素の結合は、非結合または不活性の被覆450の材料が層430上に存在していても行われ得る。例えば、そのような被覆450の材料は、他の構成要素の結合を促進するように移動され得る。すなわち、そのような被覆450の材料は、SLMユニット100の他の構成要素のための結合領域から移動され得る。別の実施例として、被覆450の材料は、そのような被覆450の材料が非結合または不活性状態である間、SLMユニット100の他の構成要素の結合に使用される接着剤を妨害しない場合がある。いくつかの実装例において、層430は、被覆450の反スティクションおよび耐腐食特性等の特定の特性を最大にするために、完全に洗浄して汚染から保護することができる。すなわち、被覆から汚染を除去することは、被覆450の有効な適用および結合にとって重要であり得る。
【0035】
随意に、被覆450は、活性化することができ、それによって、被覆450を層430に結合することができる(ステップ640)。いくつかの実装例において、被覆450はそれ自体が潤滑剤であり(潤滑剤という用語は上記に説明済)、被覆450の活性化は、層430への被覆の結合を引き起こす。
【0036】
いくつかの実装例において、被覆450が気相から蒸着される時等は、いかなる活性化も不要である。被覆450の材料が液体または固体形態でデバイスの空洞に蒸着された場合、加熱による活性化は、被覆の分子を空洞の容積の中に放出することができ、これは、気相からの実質的に表面全体の被覆を促進することができる。被覆450の表面官能基と層430との間の化学結合はまた、高温で加熱することによって形成することもできる。
【0037】
いくつかの実装例において、潤滑剤は、PFDAを含むことができる。被覆450は、被覆450を高温にさらすことによって、またはいくつかの他の好適なプロセスによって活性化することができる。高温は、例えば、摂氏約50度から摂氏約250度以上であり得る。被覆450の結合は、自動制限的であり得る。すなわち、被覆450の層は、層430に適用することができ、その後、被覆450の材料はそれ自体に付着しない。いかなる特定の特徴にも限定されずに、この自動制限的な特徴は、一端に親水性官能基を有し、反対端に疎水性官能基を有する、被覆450の材料の使用に起因し得る。層430の親水性官能基520は、被覆450の親水性官能基530に結合することができる。次いで、他の被覆450材料の親水基530を、層430に結合した被覆450の材料に結合不可能であり得る。すなわち、層430に結合した被覆450の材料は、他の被覆450の材料の親水基に結合するために利用可能な未結合の親水基を持たない。いくつかの実装例において、被覆450の露出した疎水性基540は、追加の被覆材料を被覆450に加えるように十分強く、他の被覆450の材料の疎水性基に結合することができない。前述の実装例は、以下の利点のうちの一部もしくは全てを提供することができ、またはそれらのいずれも提供できない場合がある。無機誘電層等の単層または多層は、陽極の酸化を低減または排除する等によって、耐食性を改善することができる。そのような無機多層および有機潤滑被覆の使用は、無機層単独または潤滑被覆単独のいずれかと比較して、改善された耐食性を提供することができる。無機層と連携した被覆の存在は、水および他の有機吸着物質をはじくことができ、それによって、陽極の酸化または他の腐食をさらに軽減する。有機単層または多層は、耐摩耗性を提供することができ、それによって、SLMユニットの有効寿命を延ばす。いくつかの実装例において、被覆と誘電層との間の弱い結合は、摩耗または損傷によって被覆が除去されてしまった層の部分を被覆が覆うことを可能にすることができる、移動性を促進することができる。そのような表面移動性はまた、SLMユニットの腐食および耐摩耗性をさらに改善することもできる。無機層および被覆の使用は、スティクションを低減することができ、それによって、SLMユニットの確実な動作に必要な電圧を低減することができる。SLMユニットの移動可能な構成要素と静止構成要素との間の低い付着力および低い付着モーメントを達成することができる。静止摩擦は、最小化することができ、構成要素の粘着を低減または防止することができる。さらに、層および被覆の使用は、デバイスの稼働寿命中の付着力の増加を最小化または防止することができる。SLMユニットのいくつかの実装例において、約5〜10ナノニュートン(nN)以下程度の付着力を達成することができる。
【0038】
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」等の用語の使用は、単なる例示目的に過ぎず、本明細書に記載されるシステムの種々の構成要素と他の要素とを区別するためのものである。そのような用語の使用は、任意の他の構成要素の特定の配向を意味するものではない。同様に、任意の水平、垂直、または要素の配向または角度を表す任意の他の用語は、記載されている実装例に関連するものである。他の実装例では、同じまたは同様の要素は、場合によって、水平、垂直、または、記載されている任意の他の角度に配向することができる。
【0039】
いくつかの実施形態を説明してきた。それでもなお、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、種々の変形を行うことができるものと理解されよう。例えば、被覆は、粉状、霧状、または微粒状形態等の固相または液相で適用することができる。別の例として、層および被覆は、SLMデバイス以外のMEMS、ならびにMEMS以外の機械システムで使用することもできる。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械デバイスであって、
接触部分を有する第1の構成要素であって、該接触部分は、親水性官能基を含む層を片側に含む、第1の構成要素と、
該層上に形成された被覆と
を備え、
該被覆は、該層の親水性官能基と相互作用するように適合された親水性官能基を含み、該被覆は、該被覆の親水性官能基の反対側に疎水性官能基を含む、
機械デバイス。
【請求項2】
前記層は、前記第1の構成要素の前記接触部分に化学的に結合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記層は、単原子層である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記層は、多層である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記層は、酸化物または窒化物を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記酸化物は、酸化アルミニウムである、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記被覆は、カルボン酸官能基を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記被覆は、フッ酸を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記フッ酸は、パーフルオロデカン酸である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記被覆の親水性官能基は、前記層の親水性官能基に結合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記被覆は、前記層に比較的に弱く結合される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記被覆は、蒸気形態である間に前記層上に形成されるように適合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記被覆は、高温にさらされた場合に、前記層に結合するように適合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記被覆は、高温にさらされた場合に、潤滑剤を放出するように適合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記機械デバイスは、MEMSデバイスである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記機械デバイスは、空間光変調器である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記層は、前記機械デバイスの実質的に全体を覆い、前記被覆は、該層の実質的に全体を覆う、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記被覆は、該被覆を活性化することに応じて、前記被覆の親水性官能基が前記層の親水性官能基に結合するように適合される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記被覆を活性化することは、前記被覆を高温にさらすことを含む、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記被覆は、前記層に比較的に弱く結合される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項21】
前記被覆を活性化することは、前記被覆の中に封入された潤滑剤を放出することを含む、請求項18に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1の構成要素の接触部分の片側と取り外し可能に接触する、第2の構成要素の接触部分をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
被覆の方法であって、
第1の接触部分を有する機械デバイスを形成することと、
該第1の接触部分の側面上に層を形成することであって、該層は、親水性官能基を含む、ことと、
該層に被覆を適用することと
を含み、
該被覆は、該層の該親水性官能基に結合するように適合された親水性官能基を含み、該被覆は、該被覆の親水性官能基の反対側に疎水性官能基を含む、
方法。
【請求項24】
前記層を形成することは、前記層を前記機械デバイスの表面に化学的に結合することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記層は、単原子層を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記層は、酸化物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記酸化物は、酸化アルミニウムである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記被覆は、カルボン酸官能基を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記被覆は、フッ酸を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記酸は、パーフルオロデカン酸である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記機械デバイスは、MEMSデバイスである、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記層は、前記機械デバイスの実質的に全体を覆い、前記被覆は、該層の実質的に全体を覆う、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記被覆の親水性官能基が前記層の親水性官能基に結合するように、前記被覆を活性化することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記被覆を活性化することは、前記被覆を高温にさらすことを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記被覆は、前記層に比較的に弱く結合される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記被覆を活性化することは、前記被覆の中に封入された潤滑剤を放出することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
第2の接触部分を形成することをさらに含み、該第2の接触部分は、前記第1の接触部分の側面に近接し、かつ前記第1の接触部分に取り外し可能に接触するように構成されている、請求項23に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527015(P2012−527015A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510927(P2012−510927)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/034354
【国際公開番号】WO2010/132424
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511273012)スペイシャル フォトニックス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】