説明

ORL1レセプターに対する親和性を有するスピロ環状シクロヘキサン誘導体

本発明は、スピロ環状シクロヘキサン誘導体, その製造方法、この化合物を含む医薬及びスピロ環状シクロヘキサン誘導体を医薬の製造に使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピロ環状シクロヘキサン誘導体, その製造方法, この化合物を含む医薬及びスピロ環状シクロヘキサン誘導体を医薬の製造に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘプタデカペプチド ノシセプチンは、ORL1(オピオイド レセプター様)レセプターの内因性リガンドである(非特許文献1)。このレセプターはオピオイドレセプターのファミリーに属し、そして脳及び脊髄のさまざまな領域に見出され, そしてORL1レセプターに対する高い親和性を有する。ORL1レセプターはμ、κ及びδオピオイドレセプターに相似し、ノシセプチンペプチドのアミノ酸配列は公知のオピオイドペプチドのアミノ酸配列と著しい類似性を示す。ノシセプチンによって誘発された、レセプターの活性化はGi/o蛋白質との結合を経てアデニラートシクラーゼの阻害を生じる(非特許文献1)。
【0003】
ノシセプチンペプチドは、種々の動物実験で急性侵害受容(pronociceptive)及び痛覚過敏活性を示す(非特許文献2)。この知見をストレス誘発された無痛覚の阻害として説明することができる(非特許文献3)。これに関連して、ノシセプチンペプチドの抗不安活性も検出することができた(非特許文献4)。
【0004】
別の部位に関して、種々の動物実験でノシセプチンの抗侵害受容効果も特に髄腔内投与後示すことができた。ノシセプチンは種々の苦痛モデル、たとえばマウスのテイル−フリック−テスト(Tail-Flick-Test)(非特許文献5)で抗侵害受容的に作用する。同様に神経障害性苦痛に対する実験で、ノシセプチンの抗侵害受容作用を検出することができた。これは脊髄神経の軸索切断後ノシセプチンの作用効果が増加する場合に限って特に興味深いことである。このことは古典的オピオイドと対照的にその作用効果がこの条件下で減少することを示す(非特許文献6)。
【0005】
更にORL1−レセプターは、別の生理学的又は病態生理学的プロセスの調節に関与する。これに特に学習及び記憶形成(非特許文献7)、聴力(非特許文献8)並びに多くのその他の過程が含まれる。Calo 等 (非特許文献9)の抜粋記事に、ORL1−レセプターがその役割を果たすか又は高い確率でその役割を果たすことができる適応症又は生物学的事象に関する概要が記載されている。特に次のものが挙げられる:痛覚麻痺、食物摂取の刺激及び調節、μ−アゴニスト、例えばモルヒネに関する作用、禁断症状の治療、オピオイドの中毒潜在性の軽減、抗不安、運動活性の調節、記憶障害、てんかん;神経伝達物質、特にグルタマート、セロトニン及びドパミンの放出の調節、及びそれに伴う神経変性疾患、心臓血環系の影響、勃起の喚起、利尿、抗ナトリウム排泄増加、電解質−調節、動脈血圧、貯水疾患、腸管運動(下痢)、気道の弛緩作用、利尿反射(尿失禁)。さらに、食欲不振薬、鎮痛薬(オピオイドと共に投与することも)又は向知性薬(Nootropika)としてのアゴニスト及びアンタゴニストの使用が議論されている。
【0006】
したがってORL1-レセプターに結合し、そしてこれを活性化するか又は阻害する化合物の使用可能性はさまざまである。しかしこれと共に、苦痛治療の領域で、しかもまた上記適応症の別の治療領域でまさにオピオイドレセプター、たとえばμ-レセプター, しかもまたこれらのオピオイド-レセプターの別のサブタイプ, すなわちδ及びκレセプターが重要な役割を果たす。したがってこの化合物がこれらのオピオイドレセプターにも効果を示すならば、好都合である。
【非特許文献1】Meunier 等、Nature 377, 1995, p. 532-535。
【非特許文献2】Reinscheid等、Science 270, 1995, p.792-794; Hara等,Br. J. Pharmacol. 121, 1997, p.401-408。
【非特許文献3】Mogil等、Neurosci. letters 214,1996, p. 131-134; 並びにNeuroscience 75, 1996,p.333-337。
【非特許文献4】Jenck等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 1997, 14854-14858。
【非特許文献5】King等、Neurosci. Lett., 223, 1997, 113-116。
【非特許文献6】Abdulla及びSmith, J.Neurosci. 18, 1998, p.9685-9694。
【非特許文献7】Manabe等, Nature, 394,1997, p.577-581。
【非特許文献8】Nishi等、EMBO J., 16, 1997, p. 1858-1864。
【非特許文献9】Br.J. Pharmacol., 129, 2000, 1261 - 1283。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ノシセプチン/ORL1-レセプター系に作用し、それにより特に当該技術水準によればこれらの系と関連する種々の疾患の治療用医薬として適するか、又は前記の適応症での使用に適する医薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって本発明の対象は、そのラセミ化合物;そのエナンチオマー、そのジアステレオマー, そのエナンチオマー又はそのジアステレオマーの混合物 又は 個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物; その塩基及び(又は)生理学的に許容し得る酸の塩又はカチオンの形にある、一般式I
【0009】
【化1】

I
【0010】
{式中、
R1及びR2は相互に無関係にH; CHO; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示すか、又は
基R1及び R2は一緒になって CH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR11CH2CH2 又は (CH2)3-6を示し,
この際、R11は、H; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示し、
R3 は、ヘテロアリール又はC1-3-ヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されている);を示し、
W はNR4, O又はS を示し、
そして
R4 はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(それぞれ置換されているか又は置換されていない); C1-3-アルキル-基を介して結合するアリール, ヘテロアリール又はシクロアルキル(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); COR12; SO2R12 を示し、
この際R12 はH; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); OR13; NR14R15を示し、
R5 は =O; H; COOR13, CONR13, OR13; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又はC1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R6 はH; F, Cl, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R5 及び R6 は一緒になって (CH2)n (n = 2, 3, 4, 5 又は 6)を示し, この場合個々の水素原子は F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, CN 又は C1-5-アルキル によって置換されていてもよく、
R7, R8, R9及び R10 は相互に無関係にH, F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル, C3-8-シクロアルキル(置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
この際R13 はH; C1-5-アルキル (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R14 及び R15 は相互に無関係に H; C1-5-アルキル , (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R14 及び R15 は一緒になって CH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR16CH2CH2 又は (CH2)3-6を形成し,
この場合 R16 はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
XはO, S, SO, SO2 又は NR17 を示し、
R17 はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状)、 COR12 又は SO2R12 を示す。}
で表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体である。
【0011】
種々の基, たとえばR7, R8, R9及びR10の包括範囲並びにこれらの置換基に対する基、たとえばOR13, SR13, SO2R13又はCOOR13の包括範囲において、置換基, たとえばR13は2種以上の基, たとえばR7, R8, R9及びR10に関して1つの物質内で異なる意味をもつことができる。
【0012】
本発明の化合物は、ORL1-レセプターに, しかもまた別のオピオイドレセプターセプターへの良好な結合を示す。
【0013】
用語"C1-5-アルキル" 及び "C1-3-アルキル" は、本発明の範囲において非環式の飽和及び不飽和の、1, 2, 3, 4 又は 5 個のC-原子又は1, 2 又は 3 個のC-原子を有する炭化水素残基(分枝状又は非分枝状及び置換されていないか又は1回以上置換されていてよい), すなわちC1-5-アルカニル, C2-5-アルケニル 及び C2-5-アルキニル又はC1-3-アルカニル, C2-3-アルケニル及びC2-3-アルキニルを含む。その際、アルケニルは少なくとも1個のC-C-二重結合を、そしてアルキニルは少なくとも1個の C-C-三重結合を有する。アルキルはメチル, エチル, n-プロピル, 2-プロピル, n-ブチル, イソ-ブチル, sec.-ブチル, tert.-ブチル, n-ペンチル, イソ-ペンチル, ネオ-ペンチル, n-ヘキシル, 2-ヘキシル; エチレニル (ビニル), エチニル, プロペニル (-CH2CH=CH2, -CH=CH-CH3, -C(=CH2)-CH3), プロピニル (-CH-C≡CH, -C≡C-CH3), 1,1-ジメチルエチル, 1,1-ジメチルプロピル, ブテニル, ブチニル, ペンテニル及びペンチニルを含む群から選ばれるのが好ましい。
【0014】
用語“シクロアルキル“ 又は "C3-8-シクロアルキル" は、本発明の目的に関して3, 4, 5, 6, 7 又は 8 個の炭素原子を有する環状炭化水素を意味し、この際この炭化水素は飽和又は不飽和 (しかし芳香族でない), 置換されていないか又は 1回以上置換されていてよい。シクロアルキルに関して、この概念は飽和又は不飽和 (しかし芳香族でない) シクロアルキルを含み、この基中で1又は2個の炭素原子がヘテロ原子S, N 又は O によって置換されている。C3-8-シクロアルキルは,シクロプロピル, シクロブチル, シクロペンチル, シクロヘキシル, シクロヘプチル, シクロオクチル, シクロペンテニル, シクロヘキセニル, シクロヘプテニル及び シクロオクテニル, しかもまたテトラヒドロピラニル, ジオキサニル, ジオキソラニル, モルホリニル, ピペリジニル, ピペラジニル, ピラゾリノニル及びピロリジニルを含む群から選ばれるのが好ましい。
【0015】
表現(CH2)3-6は、-CH2-CH2-CH2-, -CH2-CH2-CH2-CH2-, -CH2-CH2-CH2-CH2-CH2- 及び CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2- を意味する。
【0016】
用語 "アリール" は、本発明の範囲において、環系のうちの1つにもヘテロ原子のない、少なくとも1種の芳香族環を有する炭素環状環系、特にフェニル類, ナフチル類及びフェナントレニル類, フルオロアンスレニル類, フルオレニル類, ランダニル類及びテトラリニル類を意味する。アリール-基は、その他の飽和, (一部)不飽和又は芳香族環系として縮合することができる。各アリール-基は置換されていないか又は1回以上置換されていてよく、この際アリール-置換基は同一か又は異なって、アリールの各々の任意の及び可能な位置にあることができる。フェニル- 又はナフチル-基が好ましい。
【0017】
用語"ヘテロアリール" は、少なくとも1種, 場合により2, 3, 4 又は 5種のヘテロ原子を含む5-, 6- 又は 7-員の環状芳香族基を意味し、この際ヘテロ原子は同一か又は異なり、そしてヘテロ環は置換されていないか又は1回以上置換されていてよい; ヘテロ環が置換されている場合、置換基は同一か又は異なって、ヘテロアリールの各々の任意の及び可能な位置にあることができる。ヘテロ環は二環状又は多環状系の一部であってもよい。好ましいヘテロ原子は窒素, 酸素及び硫黄である。ピロリル, インドリル, フリル(フラニル), ベンゾフラニル, チエニル(チオフェニル), ベンゾチエニル, ベンゾチアゾジアゾリル, ベンゾチアゾリル, ベンゾトリアゾリル, ベンゾジオキソラニル, ベンゾジオキサニル, フタラジニル, ピラゾリル, イミダゾリル, チアゾリル, オキサゾリル, イソオキサゾリル, ピリジニル, ピリダジニル, ピリミジニル, ピラジニル, ピラニル, インダゾリル, プリニル, インドリジニル, キノリニル, イソキノリニル, キナゾリニル, カルバゾリル, フェナジニル, フェノチアジニル又はオキサジアゾリルを含む群から選ばれるのが好ましい。この際一般構造式Iで表わされる化合物への結合は、ヘテロアリール基の各任意の及び可能な環構成員を介して行うことができる。
【0018】
"アルキル" に関連して、本発明の範囲において“置換された”という用語は、F, Cl, Br, I, -CN, NH2, NH-アルキル, NH-アリール, NH-ヘテロアリール, NH-シクロアルキル, NH-アルキル-アリール, NH-アルキル-ヘテロアリール, NH-アルキル-OH, N(アルキル)2, N(アルキル-アリール)2, N(アルキル-ヘテロアリール)2, N(シクロアルキル)2, N(アルキル-OH)2, NO2, SH, S-アルキル, S-アリール, S-ヘテロアリール, S-アルキル-アリール, S-アルキル-ヘテロアリール, S-シクロアルキル, S-アルキル-OH, S-アルキル-SH, OH, O-アルキル, O-アリール, O-ヘテロアリール, O-アルキル-アリール, O-アルキル-ヘテロアリール, O-シクロアルキル, O-アルキル-OH, CHO, C(=O)C1-6-アルキル, C(=S)C1-6-アルキル, C(=O)アリール, C(=S)アリール, C(=O)C1-6-アルキル-アリール, C(=S)C1-6-アルキル-アリール, C(=O)-ヘテロアリール, C(=S)-ヘテロアリール, C(=O)-シクロアルキル, C(=S)-シクロアルキル, CO2H, CO2-アルキル, CO2-アルキル-アリール, C(=O)NH2, C(=O)NH-アルキル, C(=O)NHアリール, C(=O)NH-シクロアルキル, C(=O)N(アルキル)2, C(=O)N(アルキル-アリール)2, C(=O)N(アルキル-ヘテロアリール)2, C(=O)N(シクロアルキル)2, SO-アルキル, SO2-アルキル, SO2NH2, SO3H, PO(O-C1-6-アルキル)2, Si(C1-6-アルキル)3, Si(C3-8-シクロアルキル)3, Si(CH2-C3-8-シクロアルキル)3, Si(フェニル)3, シクロアルキル, アリール又はヘテロアリールによって1個以上の水素基が置換されることを意味し, この際“多数回置換された”基とは、異なる及び同一の原子に多数回、たとえば2又は3回置換されている基を意味し、たとえば3回、たとえばCF3又は -CH2CF3の場合のように同一のC−原子が置換されている基、あるいは-CH(OH)-CH=CH-CHCl2の場合のように異なる位置で置換されている基を意味する。多数回置換は同一置換基又は異なる置換基によって行うことができる。場合により置換基それ自体が置換されていてもよい;したがって、-Oアルキルは特に-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-OHも含む。
【0019】
"アリール", "ヘテロアリール" 並びに "シクロアルキル" に関して、本発明の範囲において、 "1回以上置換された" なる用語は環系の水素原子1個以上がF, Cl, Br, I, CN, NH2, NH-アルキル, NH-アリール, NH-ヘテロアリール, NH-アルキル-アリール, NH-アルキル-ヘテロアリール, NH-シクロアルキル, NH-アルキル-OH, N(アルキル)2, N(アルキル-アリール)2, N(アルキル-ヘテロアリール)2, N(シクロアルキル)2, N(アルキル-OH)2, NO2, SH, S-アルキル, S-シクロアルキル, S-アリール, S-ヘテロアリール, S-アルキル-アリール, S-アルキル-ヘテロアリール, S-シクロアルキル, S-アルキル-OH, S-アルキル-SH, OH, O-アルキル, O-シクロアルキル, O-アリール, O-ヘテロアリール, O-アルキル-アリール, O-アルキル-ヘテロアリール, O-シクロアルキル, O-アルキル-OH, CHO, C(=O)C1-6-アルキル, C(=S)C1-6-アルキル, C(=O)アリール, C(=S)アリール, C(=O)-C1-6-アルキル-アリール, C(=S)C1-6-アルキル-アリール, C(=O)-ヘテロアリール, C(=S)-ヘテロアリール, C(=O)-シクロアルキル, C(=S)-シクロアルキル, CO2H, CO2-アルキル, CO2-アルキル-アリール, C(=O)NH2, C(=O)NH-アルキル, C(=O)NHアリール, C(=O)NH-シクロアルキル, C(=O)N(アルキル)2, C(=O)N(アルキル-アリール)2, C(=O)N(アルキル-ヘテロアリール)2, C(=O)N(シクロアルキル)2, S(O)-アルキル, S(O)-アリール, SO2-アルキル, SO2-アリール, SO2NH2, SO3H, CF3, =O, =S; アルキル, シクロアルキル, アリール及び(又は)ヘテロアリールによって、1種の原子又は場合により種々の原子(この際置換基は場合によりそれ自体置換されていてもよい)で、1回以上, たとえば 2-, 3- 4- 又は 5回置換されることを意味する; その際多数回置換は同一か又は異なる置換基によって行われる。
【0020】
“塩”なる用語は、本発明の有効物質のあらゆる形態を意味し、この際これはイオン形をとるか又は荷電され、対向イオン(カチオン又はアニオン)とカップリングするか又は溶解された状態にある。この用語は有効物質と他の分子及びイオンの錯体、特にイオン交換作用を経て錯化された錯体を含むと解される。この用語(及びこれは本発明の好ましい実施態様でもある)は、生理学的に許容し得る塩、特にカチオン又は塩基との生理学的に許容し得る塩及び、アニオン又は酸との生理学的に許容し得る塩あるいは生理学的に許容し得る酸と又は生理学的に許容し得るカチオンと共に形成される塩を意味する。
【0021】
アニオン又は酸との生理学的に許容し得る塩の概念は、本発明の範囲においてカチオンとして少なくとも1種の本発明の化合物−−−ほとんど、たとえば窒素がプロトン化されている−−−−と少なくとも1種のアニオンとの塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。これは本発明の範囲において生理学的に許容し得る酸と共に形成される塩、すなわち各々の有効物質と無機酸又は有機酸との塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。特定の酸の生理学的に許容し得る塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、サッカリン酸、モノメチルセバシン酸、5-オキソ-プロリン, ヘキサン-1-スルホン酸, ニコチン酸, 2-, 3- 又は 4-アミノ安息香酸, 2,4,6-トリメチル-安息香酸, α−リポン酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び(又は)又はアスパラギン酸の塩である。塩酸塩,クエン酸塩及び半クエン酸塩(ヘミシトラート)が特に好ましい。
【0022】
生理学的に許容し得る酸と共に形成される塩なる用語は、本発明の範囲においてアニオンとしてそれぞれの有効物質と無機酸又は有機酸との塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。その塩酸塩及びクエン酸塩が特に好ましい。生理学的に許容し得る酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、サッカリン酸、モノメチルセバシン酸、5-オキソ-プロリン, ヘキサン-1-スルホン酸, ニコチン酸, 2-, 3- 又は 4-アミノ安息香酸, 2,4,6-トリメチル-安息香酸, α−リポン酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び(又は)又はアスパラギン酸の塩である。
【0023】
カチオン又は塩基との生理学的に許容し得る塩なる用語は、本発明の範囲においてアニオンとして少なくとも1種の本発明の化合物[大抵(脱プロトン化された)酸]と少なくとも1種のカチオン、好ましくは無機のカチオンとの塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩、しかもまた(モノ−)又は(ジ−)ナトリウム塩、(モノ−)又は(ジ−)カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩が特に好ましい。
【0024】
生理学的に許容し得るカチオンと共に形成される塩なる用語は、本発明の範囲においてアニオンとしてそれぞれの化合物の少なくとも1種と少なくとも1種の無機のカチオンとの塩を意味し、これは生理学的に−−特にヒト及び(又は)哺乳類に使用した場合−−−許容し得る。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩、しかもまたアンモニウム塩、特にしかも(モノ−)又は(ジ−)ナトリウム塩、(モノ−)又は(ジ−)カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩が特に好ましい。
【0025】
本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の好ましい実施態様に対して、
R1及びR2が相互に無関係にH; C1-2-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない);(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示すか、又は
基R1及びR2は一緒になってCH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR11CH2CH2 又は(CH2)3-6を示す。
【0026】
本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の別の好ましい実施態様に対して、
R1及びR2は相互に無関係にH, C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている)又はCHO を示すか及び(又は)
R3はヘテロアリール(それぞれ 置換されていないか又は環が1回以上置換されている)を示し、
R5はH, C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)又はCOOR13 を示し、
R6はH又はC1-5-アルキルを示し、
R7, R8, R9及び R10 が相互に無関係にH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている);F, Cl, Br, I, CF3, OH, OCH3, NH2, COOH, COOCH3, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2を示す。
【0027】
本発明によれば一般式I
{式中
WはNR4, O 又はS を示し、そしてXはO, S, SO, SO2又はNR17, 好ましくはO 又は N R17を示し、
R1及びR2は相互に無関係にH; C1-4-アルキル(分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない);又はCHOを示し、
R3はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R4はH; C1-3-アルキル(1回以上置換されているか又は置換されていない); CO(CH2)mH (m=0〜2)を示すか及び(又は)
R5及びR6はそれぞれHを示すか及び(又は)
R7, R8, R9 及び R10は相互に無関係にH; C1-5-アルキル, OC1-3-アルキル(それぞれ分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている);F, Cl, Br, I, CF3, OH, SH, SCH3, OCH3, NH2, COOH, COOCH3, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2を示す。}
で表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体も好ましい。但し、WがNR4を、そしてXがOを示す化合物が特に好ましい。
【0028】
本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の特に好ましい実施態様に対して、
R1及びR2は相互に無関係にH又はCH3 を示し、この際R1及びR2は同時にHでない。
【0029】
本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の特に好ましい実施態様に対して、R3はチエニル又はピリジルを示す。
【0030】
本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の特に好ましい実施態様に対して、
5はH, CH3, COOCH3 又はCH2OHを示し、
基R6はHを示し、
基R7,R8, R9 及びR10はHを示すか、
又は
基R7, R8, R9 及びR10 のうちの1つはH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); F, Cl, Br, I, OH, OCH3, COOH, COOCH3, NH2, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2 を示し、一方残りの基はHを示すか,
又は
基R7 R8, R9及びR10のうちの2つは相互に無関係にH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); F, Cl, Br, I, OH, OCH3, COOH, COOCH3, NH2, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2 を示し、一方残りの基はH を示す。
【0031】
更に、化合物(式中、W はNR4を示し、XはOを示し、そしてR4はH, CH3, C2H5, アセチル, フェニル, ベンジル又はCOR12, 特にHを示す。)Iが特に好ましい。
【0032】
本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の特に好ましい実施態様に対して、
R1及びR2はCH3 を示し、R3はチエニル又はピリジルを示すか、及び(又は)基R5, R6, R7, R9及びR10はHを示し、そして基R8 はH又はFを示す。
【0033】
スピロ環状シクロヘキサン誘導体は、つぎの群:
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレン
2-アセチル-1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレン
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2-オキサ-9-チアフルオレン
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ-[3,4-b]インドール ヘミシトラート, 非極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ-[3,4-b]インドール シトラート, 極性ジアステレオ異性体
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール ジメタンスルホナート; 極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート; 非極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール ヘミシトラート; 非極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート; 極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ヘミシトラート; 非極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート; 極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ジメタンスルホナート; 極性ジアステレオマー
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ヘミシトラート; 非極性ジアステレオマー
1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]インドール シトラート
1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート
1,1-[3-メチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]インドール シトラート
1,1-[3-メチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート
から選ばれる化合物(場合によりそれらの混合物としても)が特に好ましい。
【0034】
本発明の物質は、たとえば様々な疾患に関連して問題となるORL1-レセプターに作用し, それゆえこれは医薬中の医薬有効物質として適する。したがって、本発明の別の対象は、少なくとも1種の本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体, 並びに場合により適当な添加物及び(又は)助剤及び(又は)場合によりその他の有効物質を含む医薬である。
【0035】
本発明の医薬は、少なくとも1種の本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体と共に、場合により適当な添加剤及び(又は) 助剤、たとえばまた担体材料, 増量剤、溶剤、希釈剤、着色料及び(又は)結合剤を含み、そして液状医薬として注射用溶液、滴剤、又は液剤の形で、半固形医薬として顆粒、錠剤、ペレット、パッチ、カプセル、硬膏剤又はエアゾールの形で投与することができる。助剤の選択及びその使用される量は、その医薬が経口、皮下、腸管外、静脈内、腹腔内、経皮、筋肉内、鼻腔内、バッカル、直腸又は局所に、たとえば皮膚の、粘膜の及び眼の感染媒体に投与されねばならないかどうかに依存する。経口投与に、たとえば錠剤、糖衣錠、カプセル、顆粒、ペレット、滴剤、液剤及びシロップの形の製剤、非経口、外用及び吸入投与に、溶液、懸濁液、容易に再構成可能な乾燥調製物並びにスプレーの形の製剤が最適である。場合により皮膚浸透を促進する剤の添加下に溶解された形でデポ剤としての又は硬膏剤としての本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体は、適当な経皮適用調合物である。経口又は経皮投与可能な調合物形態は、本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を遅延された状態で遊離することができる。本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を非経口長期デポ形態、たとえばインプラント又は埋め込まれたポンプの形でも使用することができる。原則的に本発明の医薬に、当業者に周知のその他の有効物質を更に添加することができる。
【0036】
患者に投与すべき有効物質の量は、患者の体重、投与の種類、症状及び病気の重さに依存して変化する。少なくとも1種の本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、通常 0,00005〜50 mg/kg, 好ましくは0,001 〜0,5 mg/kg投与することができる。
【0037】
本発明の医薬の前記形態のすべてに対して、この医薬が少なくとも1種のスピロ環状シクロヘキサン誘導体が更に別の有効物質, 特にオピオイド, 好ましくは強いオピオイド, 特にモルヒネ, 又は麻酔薬、好ましくはヘキソバルビタール又はハロタンを含む場合、特に好ましい。
【0038】
医薬の好ましい形態で、 含まれる本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体は純粋なジアステレオマー及び(又は)エナンチオマーとして, ラセミ化合物として又は ジアステレオマー及び(又は) エナンチオマーの非-等モル又は等モル混合物として存在する。
【0039】
従来技術の冒頭の記載から明らかなように、ORL1-レセプターは特に苦痛発生で確認される。したがって本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を苦痛, 特に急性、神経障害性又は慢性苦痛の治療用医薬の製造に使用することができる。
【0040】
したがって本発明の別の対象は、スピロ環状シクロヘキサン誘導体を苦痛, 特に急性、内臓性、神経障害性又は慢性苦痛の治療用医薬の製造に使用する方法である。
【0041】
薬理学的試験において、本発明の化合物は特にオピオイド-乱用の治療に適するが, 筋弛緩剤又は麻酔剤としても使用されうることが注目される。したがって本発明のその他の対象は、本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、アルコールー及び(又は)麻薬−及び(又は)薬物−中毒及び(又は)依存症を治療するための医薬の製造に、又は筋弛緩剤又は麻酔剤としての医薬の製造に、又はオピオイド鎮痛剤又は麻酔剤を用いる治療での併用投与用医薬の製造に、又はオピオイドの禁断症状の治療及び(又は)潜在的嗜癖の軽減用医薬の製造に使用する方法である。
【0042】
本発明のその他の対象は、本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、不安状態、ストレス及びストレスと関連する症候群、うつ病、癲癇、アルツハイマー病、老人性痴呆症、一般的な認知機能障害、学習及び記憶障害(向知性薬として)、性的機能障害、心臓血環疾患、低血圧症、高血圧症、耳鳴り、掻痒症、偏頭痛、聴力障害、腸運動障害、摂食障害、食欲不振、脂肪過多症、運動障害、下痢、悪液質、尿失禁を治療するための医薬の製造に、又は抗痙攣剤としての医薬の製造に、又は利尿薬又は抗ナトリウム排泄増加薬又は抗不安薬の製造に、運動活性モジュレーション用医薬の製造に、神経伝達物質の分布のモジュレーション及びこれに付随する神経変性疾患の治療用医薬の製造に使用する方法である。
【0043】
その際、使用される本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体が純粋なジアステレオマー及び(又は)エナンチオマーとして, ラセミ化合物として又は ジアステレオマー及び(又は) エナンチオマーの非-等モル又は等モル混合物として存在する場合、前記使用方法のうちの1つにおいて好ましいといえる。
【0044】
本発明の別の対象は、本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体又は本発明の医薬の治療上有効な薬用量の投与によって苦痛、特に慢性苦痛の治療を必要とする、ヒトでない哺乳類又はヒトを、特に上記適応症の1つで、治療する方法にある。
【0045】
本発明の別の対象は、次の記載及び実施例に記載されている様に本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を製造する方法である。その際、特に次の主たる方法で挙げられる、次の工程を有する本発明のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の製造方法が適当である。
【0046】
この際 X, W, R1, R2, R3, R5, R6, R7, R8, R9 及び R10 は、式Iで表わされる本発明の化合物に対して記載した意味を有し,
そして
R01及びR02は、式Iで表わされる本発明の化合物のR1及び R2に対して記載した意味を有し、そして付加的に相互に無関係に保護基を示すことができる:
【0047】
【化2】

【0048】
一般式Ia で表わされる化合物を製造するために、一般式 Aで表わされるケトン類と一般式Bで表わされるヘテロ芳香族化合物を、酸又はそのトリメチルシリルエステル, たとえばトリフルオロメタンスルホン酸-トリメチルシリルエステル, 酢酸, リン酸, メタンスルホン酸 又は トリフルオロ酢酸の添加下に、適当な溶剤, たとえばジクロロエタン, ジクロロメタン, クロロホルム, アセトニトリル, ジエチルエーテル又はニトロメタン中で反応させる。
【0049】
適当な4-アミノシクロヘキサノンの製造は、文献から公知である(Lednicer等, J. Med. Chem., 23, 1980, 424-430; WO 0290317; US 4065573)。
【0050】
あるいはその製造を次の反応式にしたがって行う。この際X, W, R3, R5, R6, R7, R8, R9及びR10は式Iで表わされる本発明の化合物に対して記載した意味を有し、そしてR01及びR02は式Iで表わされる本発明の化合物に対するR1及びR2の意味を有し、付加的に相互に無関係に保護基を示すことができる。
【0051】
【化3】

【0052】
一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはNR17及びR17COR12又はSO2R12を示す。)を一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはNHを示す。)の反応によって、塩基, たとえばトリエチルアミンの添加下に無水物又は酸クロライドとの反応によって得ることができる。この反応をマイクロ波照射下に実施するのが好ましい。
【0053】
一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはSO又はSO2 を示す。)を、一般式Iで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはSを示す。)を酸化剤, たとえばH2O2と反応させることによって得ることができる。
【0054】
スピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、R3は3-チエニルを示し、R1 はCH3 を示し、そしてR2はHを示す。)を次の反応式にしたがって製造することができる。この際R及びR’‘ は相互に無関係に保護基を示す:
【0055】
【化4】

【0056】
この方法おいて、当業者に周知の方法にしたがって、たとえば不活性溶剤、たとえばベンゼン中で, 開始剤、たとえば 過酸化ベンゾイルの添加下、場合により加温下にN-ブロモスクシンイミドを用いて臭素化することによって, 3-メチルチオフェンのメチル基中に、離脱基, たとえばハロゲン, 好ましくは臭素を導入することができる。
【0057】
得られた生成物, たとえば3-ブロモメチルチオフェンを、シアニド供給源, たとえばシアン化ナトリウムの使用下に, たとえば第四級アンモニウム塩、たとえばテトラブチルアンモニウムブロマイドの存在下で, 場合により加温下に, 対応するニトリルに変える。
【0058】
得られたチオフェン-3-イル-アセトニトリルを過剰のアクリルエステル又は3-ブロモプロピオン酸エステルの存在下で, 好ましくは2,3モル-当量の3-ブロモプロピオン酸エチルエステルと, 並びに塩基, たとえばナトリウムアミドの存在下に, 非プロトン性溶剤, たとえばトルエン中で反応させ, この際場合により 加温することができる。
【0059】
得られた5-シアノ-2-オキソ-5-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボン酸エステルを当業者に周知の方法にしたがって, 好ましくは濃塩酸及び氷酢酸からなる混合物中での還流加熱によってけん化し、ついで脱カルボキシル化することができる。
【0060】
得られた4-オキソ-1-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボニトリルのケト基を当業者に周知の方法にしたがって保護基で保護することができ、好ましくはアセタール化によって、特に好ましくはエチレンジオキシ保護基に変えることによって, さらに特に好ましくはケトンをトルエン中でエチレングリコール及び酸性触媒, たとえばパラ-トルエンスルホン酸の存在下に加温下で、好ましくは還流下で加熱することによって保護することができる。
【0061】
得られた8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボニトリル を当業者に周知の方法にしたがってニトリル基をたとえば塩基性媒体中で、好ましくは水酸化ナトリウムを用いてエチレングリコール中で還流下にけん化することによって対応するカルボン酸に変えることができる。
得られた8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸を当業者に周知の方法にしたがって対応するイソシアネートに, 好ましくはクルチウス転位の方法にしたがって進行する変換によって変えることができる。その際カルボン酸をアジドリン酸ジフェニルエステルを用いてトリエチルアミンの存在下アニソール中で還流加温下にイソシアネートに変えるのが好ましい。
【0062】
得られた8-イソシアナト8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカンをたとえば水素化リチウムアルミニウムを用いて非プロトン性溶剤, 好ましくはテトラヒドロフラン中で対応するメチルアミノ-化合物に変えることができる。このようにして得られたメチル-(8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デク-8-イル)-アミンを酸触媒によって脱保護して、4-メチルアミノ-4-チオフェン-3-イル-シクロヘキサノンとし、ついでたとえば一般式Bで表わされる化合物と反応させてスピロ環状シクロヘキサン誘導体と反応させることができる。[CS1]
【実施例】
【0063】
次の実施例は本発明をさらに詳細に説明するために用いるが、一般的な発明思想を制限するものではない。
【0064】
製造された化合物の収率は最適化されていない。
【0065】
全ての温度は未修正である。
【0066】
「エーテル」の記載はジエチルエーテルを意味し、「EE」は酢酸エチルを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し, 「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、そして「THF」はテトラヒドロフランを意味する。「当量」の記載は質量当量を意味し、「rac.」はラセミ性を意味し、「Vol.%」は容量%を意味し、「m%」は質量%を意味し、「M」はモル/lで表わされる濃度を示す。
【0067】
カラムクロマトグラフィーの固定相として、シリカゲル(シリカゲル 60)(0.040〜0.063mm)(E.メルク社、ダルムシュタット)を使用した。
【0068】
薄層クロマトグラフィー試験は、HPTLC−既製プレート(HPTLC−既成プレート,シリカゲル 60 F 254,E.メルク社,ダルムシュタット)を用いて実施した。
【0069】
クロマトグラフィー試験のための溶離剤の混合比は常に容量/容量で表示した。
【0070】
例1: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレン, ジアステレオ異性体混合物
4-ジメチルアミノ-4-ピリジン-2-イルシクロヘキサノン(4,37g, 20mmol)及び2-(1H-インドール-3-イル)-エチルアミン ("トリプタミン", 3,2g, 20mmol) をアルゴン下で乾燥MeOH (200ml)に溶解させる。24 時間の反応時間後、MeOHを蒸留し、黄色油状残留物を1,2-ジクロロエタン(200ml)に懸濁させ, トリフルオロ酢酸(20ml)を添加し、2時間室温で攪拌する。後処理のために、 混合物を水(100ml)で希釈し、NaOH (5mol/l)でpH 11に調整する。EE (50ml)の添加後、攪拌と同時に白色固体が沈殿し, これをフリットを介して吸引濾取する。固体を水(3×25ml)で洗浄し、減圧で乾燥させる。1,1-(3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン)-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレンがジアステレオ異性体混合物として得られる(4,9gの白色固体, 融点122-125℃)。
【0071】
例2: 2-アセチル-1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレン
例1にしたがって得られた1,1-(3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン)-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレン(200mg, 0,56mmol)をピリジン(5ml)に溶解させ, 無水酢酸(484μL, 5,6 mmol)を滴下して、5日間室温で攪拌する。後処理のために、ピリジンを 回転蒸発器で蒸留し, 残留物を水(10ml)で希釈し, 5MNaOHでpH11に調整し、EE (3 × 10 ml)で抽出する。一緒にされた有機抽出物から固体が沈殿し、これを吸引濾取して、乾燥させる。160mgのジアステレオ異性体純粋な白色固体が得られる。このうちの150mg (0,37mmol)を熱いエタノール(10 ml)に溶解させ、エタノール(1 ml)中にクエン酸(72 mg, 0,37mmol)を有する同様に熱い溶液を添加する。約5℃に冷却後、混合物を4時間放置し, ついで蒸発乾固する。2-アセチル-1,1-(3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン)-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレンのシトラートが収率222mgで得られる(白色泡、融点108-112℃)。
【0072】
例3: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2-オキサ-9-チアフルオレン シトラート
アルゴン下で、4-ジメチルアミノ-4-ピリジン-2-イルシクロヘキサノン (218mg, 1mmol)及び2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イルエタノール(178 mg, 1mmol)を無水DCM (5 ml)に溶解させ, メタンスルホン酸 (3 ml)を添加して、混合物を3日間室温で攪拌する。後処理のために、反応混合物に氷(5g)及び水(30 ml)を添加する。炭酸水素ナトリウム(4,4g, 52mmol)で中和及び5MNaOH(1ml)の添加後、DCM (10 ml)を添加し, 有機相を分離し、水性相をDCM (2 × 30ml)で抽出する。一緒にされた有機相を乾燥後蒸発させ、 残留物(375mg)をシリカゲル (45 g, 溶離剤: EE/メタノール10:1、ついで4:1, その時メタノール)上でクロマトグラフィー分離する。粗生成物を収量143 mg (0,377 mmol) で白色固体(融点155-168℃)として得られ、エタノール(10 ml)に50℃で溶解されたこの固体に暖かいエタノール(3 ml)に溶解されたクエン酸(72 mg, 0,377 mmol)を添加し, 2時間室温で攪拌し、蒸発させて5mlにする。その際沈殿した固体を吸引濾取して、エタノール(2×1ml)で洗浄する。1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2-オキサ-9-チアフルオレンのシトラートが収量179 mgで得られる(白色固体, 融点189-191℃)。
【0073】
例 4: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]インドール ヘミシトラート, 非極性ジアステレオマー
4-ジメチルアミノ-4-ピリジン-2-イルシクロヘキサノン(654mg, 3mmol)及び2-(1H-インドール-3イル)-エタノール("トリプトホール",483mg, 3mmol)をDCM (50 ml) 中に予め入れ, 3 分以内にメタンスルホン酸 (400μL, 6,2 mmol)を添加して、70時間室温で攪拌する。後処理のために、反応混合物に2M NaOH (15ml)を添加し, 20分攪拌し, 有機相を分離し、残存する水性相をジクロロメタン (3 × 20ml)で振り出す。一緒にされた有機相を水 (2 × 30 ml)で洗浄し, 乾燥させ, 濾過して、蒸発させる。得られた残留物をシリカゲル (60 g, EE/エタノール 2 : 1)上でクロマトグラフィー分離し、 目的生成物の非極性ジアステレオ異性体の塩基が収量123mgで得られる。このうちの108mg(0,3mmol)を熱いエタノール(15 ml)に溶解させ, 同様に熱いエタノール性クエン酸溶液(58 mg, 1 ml中に0,3 mmol)を添加し、混合物を12時間5℃で放置する。生じた固体を吸引濾取する。1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの非極性ジアステレオ異性体のヘミシトラートが収量79mgで得られる(白色固体, 融点255-260℃)。
【0074】
例 5: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート, 極性ジアステレオ異性体
例 4に記載したように、1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの極性ジアステレオ異性体415mgが得られる。このうちの400 mg (1,1mmol)を熱いエタノール (12 ml)に溶解させ、熱いエタノール性クエン酸溶液 (全部で211 mg, 2 ml 中で1,1mmol )を添加する。混合物を2 時間5℃で放置し、ついで蒸発乾固する。1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの極性ジアステレオ異性体のシトラートが収量612mgで得られる(白色ガラス状固体, 融点96-100℃)。
【0075】
例 6: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール ジメタンスルホナート
及び
例 7: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート
4-ジメチルアミノ-4-(2-チエニル)-シクロヘキサノン (223 mg, 1 mmol)及び2-(1H-インドール-3イル)-エタノール (161 mg, 1 mmol) を無水DCMに溶解させ、メタンスルホン酸 (0,071 ml, 1,1 mmol) を添加する。16 時間室温で攪拌し, この際1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの極性ジアステレオマーがジメタンスルホナートとして沈殿する(例 6)。淡褐色固体が収率25 % (117 mg; 融点132℃)で得られる。
【0076】
濾液に1M NaOH (20 ml)を添加し、16 時間室温で攪拌する。有機相を分離し, 水性相をDCMで抽出して、一緒にされた有機相を蒸発させる。その際 物質混合物が得られ, これをクロマトグラフィー分離する [シリカゲル G (20 g); EE/メタノール 8:1]。その際、1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの非極性ジアステレオ異性体が収率54 % (196 mg, 融点235-238℃)で, 極性ジアステレオ異性体が収率10 % (38 mg)で得られる。
【0077】
そのシトラートの製造のために、1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール (170 mg, 0,46 mmol)の非極性ジアステレオ異性体を加温下にエタノール (50 ml)に溶解させ、エタノール (5 ml)中のクエン酸 (98 mg, 0,51 mmol)を添加する。1時間室温で攪拌する。そのシトラート (例 7) が無色化合物として収率60% (153 mg; 融点222-225℃)で生じる。
【0078】
例 8: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール ヘミシトラート
及び
例 9: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート
4-ジメチルアミノ-4-(3-チエニル)-シクロヘキサノン (223 mg, 1 mmol)及び2-(1H-インドール-3イル)-エタノール (161 mg, 1 mmol)を無水DCM (50 ml)に溶解させ、メタンスルホン酸 (0,13 ml, 2,0 mmol) を添加する。混合物を2日間室温で攪拌する。1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの極性ジアステレオ異性体の一部がメタンスルホナートとして沈殿する。固体を吸引濾取し、DCMで洗浄し、収率12 % (55 mg)で得られる。濾液に0,5M NaOH (20 ml)を添加し、2 時間室温で攪拌する。その際1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの非極性ジアステレオ異性体 が無色固体として沈殿し、濾過後収率38%(138 mg)(融点291-294℃)で得られる。濾液の有機相を分離し、水性相をDCM (2×20 ml)で抽出する。一緒にされた有機相はジアステレオ異性体混合物(184 mg, 50%)を生じる。メタノール(10 ml)の添加後、1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの極性ジアステレオ異性体 (45 mg, 12 %, 融点235-238℃)のみが溶解され, 残留物は非極性ジアステレオ異性体である。
【0079】
シトラートの製造のために、1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドールの非極性ジアステレオ異性体(111 mg, 0,3 mmol) をエタノール (35 ml)に加温下で50℃で懸濁させ、エタノール (5 ml)中のクエン酸(60 mg, 0,31 mmol)を添加する。16時間室温で攪拌する。沈殿したヘミシトラート(例 8)を吸引濾取し、エタノール(2×5ml)で洗浄する。無色化合物が収率79 % (110 mg; 融点246-250℃) で得られる。
【0080】
極性ジアステレオ異性体(81 mg, 0,22 mmol)をエタノール (20 ml)に溶解させ, エタノール (3 ml)中のクエン酸(46 mg, 0,24 mmol)を添加し、ついで16時間室温で攪拌する。澄明な混合物を蒸発させて3 mlにし, ジエチルエーテル(40 ml)を添加し、15分室温で攪拌する。極性シトラートが無色固体と収率63 % (77 mg; 融点245-248℃)で沈殿する。
【0081】
例 10: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ヘミシトラート
及び
例 11: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート
4-ジメチルアミノ-4-(2-チエニル)-シクロヘキサノン (223 mg, 1 mmol)及び5-フルオロ-2-(1H-インドール-3イル)-エタノール (179 mg, 1 mmol)を無水DCM(50 ml)中に予め入れ、メタンスルホン酸(0,13 ml, 2,0 mmol)を添加する。混合物を20時間室温で攪拌し、ついで 0,5M NaOH (20 ml)を添加し、2時間室温で攪拌する。有機相を分離し、水性相をDCMで抽出する。有機相から、1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール(382 mg)のジアステレオ異性体混合物が得られる。これらをプロパン-2-オール(70 ml)から再結晶させる。その際非極性ジアステレオ異性体が沈殿する(165 mg, 43%)。濾液から蒸発後にジアステレオ異性体混合物を単離する(211 mg)。これらの混合物のクロマトグラフィー分離 [シリカゲルG (40 g); EE/シクロヘキサン1:1 (400 ml), EE (400 ml), EE/メタノール 4:1 (300 ml)] 後、非極性ジアステレオ異性体 (67 mg, 17 %, 融点225-230℃)及び極性ジアステレオ異性体 (110 mg, 29 %, 融点197-202℃)が無色固体として得られる。
【0082】
シトラートの製造のために、 非極性ジアステレオ異性体 (165 mg, 0,43 mmol)をエタノール (50 ml)に加温下で懸濁させ、エタノール (5 ml)中のクエン酸 (93 mg, 0,48 mmol)を添加する。30分50℃で、ついで16 時間室温で攪拌する。ヘミシトラートを吸引濾取し、エタノールで洗浄する。無色化合物が収率54% (111 mg; 融点 199-201℃)で得られる (例 10)。
【0083】
極性ジアステレオ異性体 (91 mg, 0,236 mmol)をエタノール (15 ml)に40℃で溶解させ, エタノール (5 ml)中のクエン酸 (52 mg, 0,27 mmol)を添加し、2時間室温で攪拌する。溶液を蒸発させて3 mlにし, ついでエーテル(40 ml)を添加し、ついで16時間室温で攪拌する。極性ヘミシトラートが無色固体として収率93 % (106 mg; 融点137-140℃)で沈殿する(例11)。
【0084】
例 12: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ジメタンスルホナート
及び
例 13: 1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ヘミシトラート
4-ジメチルアミノ-4-(3-チエニル)-シクロヘキサノン (446,6 mg, 2 mmol)及び5-フルオロ-2-(1H-インドール-3-イル)エタノール (394,4 mg, 2 mmol)を無水1,2-ジクロロエタン (30 ml)に溶解させ、メタンスルホン酸 (0,13 ml, 2 mmol)を添加する。混合物を20 時間 室温で攪拌する。ついで沈殿した極性ジアステレオ異性体のメタンスルホナートを吸引濾取し、1,2-ジクロロエタンで洗浄する。淡褐色固体が収率76 % (733 mg; 融点143-145℃)で得られる(例12)。
【0085】
濾液に1M NaOH (30 ml) を添加し、2時間室温で攪拌する。その際非極性ジアステレオ異性体が無色固体として沈殿し、収率8 % (58,5 mg)で得られる。濾液の相を分離し、水性相をDCMで抽出する。一緒にされた有機相はジアステレオ異性体混合物 (300,3 mg)を含有する。
【0086】
そのシトラートの製造のために、ジアステレオ異性体混合物 (126 mg, 0,33 mmol) を加温下に50℃でエタノール (100 ml)に懸濁させ、エタノール (5 ml)中のクエン酸 (69,2 mg, 0,36 mmol)を添加し、2 時間室温で攪拌し、ついで一晩10℃で貯蔵する。非極性ジアステレオ異性体の沈殿したヘミシトラートを吸引濾取する。無色化合物 が収率60 % (94 mg; 融点227-229℃)で得られる(例13)。
【0087】
例14: 1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート
4-メチルアミノ-4-チオフェン-2-イル-シクロヘキサノン (418,6 mg, 2,0 mmol)及び2-(1H-インドール-3-イル)-エタノール (322,4 mg, 2,0 mmol)を50mlのDCMに溶解させ、急速にトリフルオロメタンスルホン酸 (0,18 ml, 2,03 mmol)を添加する。20時間室温で攪拌後、混合物を20分20mlの2M NaOHと共に攪拌する。有機相を分離し、水性相をDCMで抽出する。一緒にされた有機相を減圧で蒸発乾固して、残留物をメタノールに懸濁させる。無色固体を吸引濾取し, 収量363mg (51%)で1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]インドールが得られる。
【0088】
そのシトラートの製造のために、1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]インドール (352 mg, 1,0 mmol)を熱いエタノール (30 ml) に溶解させ、熱いエタノール (5 ml)中のクエン酸 (200 mg, 1,04 mmol)を添加する。15時間5℃で放置する。沈殿したシトラートを吸引濾取し、無色化合物として収率69% (377mg; 融点201-203℃)で得られる(例14)。
【0089】
例 15: 1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート
4-メチルアミノ-4-チオフェン-2-イル-シクロヘキサノン(418,6mg, 2,0mmol)及び 2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-エタノール(358,3 mg, 2,0mmol)を50mlのDCMに溶解させ、急速にトリフルオロメタンスルホン酸 (0,18 ml, 2,03 mmol) を添加する。20時間室温で攪拌後、混合物を20分20mlの2M NaOHと共に攪拌する。有機相を分離し、水性相をDCMで抽出する。一緒にされた有機相を減圧で蒸発乾固して、残留物をメタノールに懸濁させる。無色固体を吸引濾取し,収量697mg(94%)で 1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドールが得られる。
【0090】
そのシトラートの製造のために、スピロ環状エーテル(680 mg, 1,84 mmol)を熱いエタノール (50 ml)に溶解させ、熱いエタノール (10 ml)中のクエン酸 (384 mg, 2,0 mmol)を添加する。15時間5℃で放置する。沈殿したシトラートを吸引濾取し、無色化合物として収率67% (694mg; 融点207-209℃)で得られる(例15)。
【0091】
3-ブロモメチルチオフェン
N-ブロモスクシンイミド(35,6 g; 0,20 mol)及び過酸化ベンゾイル(0,4g; 0,0013mol) を90分以内に90℃で乾燥ベンゼン中の3-メチルチオフェン(22g; 0,203mol)及び過酸化ベンゾイル(0,4g; 0,0013mol)の混合物に少しずつ添加する。反応の終了(薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、0℃に冷却して、濾過する。濾液を減圧で蒸発させる。34gの3-ブロモメチルチオフェン(赤褐色液体)が得られる。
【0092】
チオフェン-3-イル-アセトニトリル
ナトリウムシアニド(12,03g;0,25mol)及び触媒量のテトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイドを、ジクロロメタン(175ml)中の3-ブロモメチルチオフェン(29 g; 0,16 mol)と水(50ml)との混合物に添加する。反応混合物を還流下に攪拌する。反応の終了(薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、有機相を分離し、水洗し(3 x 500 ml), 乾燥させて(硫酸ナトリウム) 、減圧で蒸発させる。カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル, n-ヘキサン中で3%酢酸エステル)によって、9gのチオフェン-3-イル-アセトニトリル (44 %; 赤褐色液体)が生じる。
【0093】
5-シアノ-2-オキソ-5-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
350mlのトルエンに溶解されたチオフェン-3-イル-アセトニトリル (27,5 g; 0,22 mol)に、3-ブロモプロピオン酸エチルエステル(96,14 g;0,53mol)を添加する。ついでナトリウムアミド(74,03 g;1,9 mol)を1時間以内に0〜10℃で少しづつ分けて添加する。その後、反応混合物を約1時間還流下に攪拌する。反応の終了(薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、過剰のナトリウムアミドを酢酸/水(500ml; 2:1)を用いて0〜5℃で分解する。有機相を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液(300 ml)で中和し, 乾燥させて(硫酸ナトリウム)、減圧で蒸発させる。40gの5-シアノ-2-オキソ-5-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(黄色液体)が得られる。
【0094】
4-オキソ-1-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボニトリル
濃塩酸(200 ml)及び氷酢酸 (400 ml)からなる混合物に溶解された5-シアノ-2-オキソ-5-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(40 g; 0,14 mol) を攪拌下に約4時間還流加熱する。反応の終了(薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、水(100 ml)を添加し、苛性ソーダ水溶液 (200 ml)で中和し、ついで酢酸エステル(2 x 400 ml)で抽出する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液(200 ml)及び水(100 ml)で洗浄し, 乾燥させて(硫酸ナトリウム)、減圧で蒸発させる。カラムクロマトグラフィー精製(シリカゲル, n-ヘキサン中で25%酢酸エステル)によって、12,5 gの4-オキソ-1-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボニトリル(42%; 青黄色固体)が生じる。
【0095】
8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボニトリル
トルエン(500ml)に溶解された4-オキソ-1-チオフェン-3-イル-シクロヘキサンカルボニトリル(22 g; 0,107mol)に、触媒量のパラ-トルエンスルホン酸及びエチレングリコール (13,3 g; 0,21 mol)を添加する。反応混合物を約2時間還流下に攪拌する。反応の終了(薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、トルエン相を分離し,炭酸水素ナトリウム溶液(200 ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、ついで減圧で蒸発させる。25gの8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボニトリル(95%;無色固体)が得られる。
【0096】
8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸
エチレングリコール(226 ml)に溶解された8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボニトリル(25 g; 0,095mol)に、水酸化カリウム(28g; 0,5 mol) を添加する。反応混合物を約12時間還流下に攪拌する。反応の終了 (薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、反応混合物を希塩酸でpH 約1に調整する。生じた沈殿を濾過して、乾燥させる。15gの8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸 (55 %; 青黄色固体)が得られる。
【0097】
8-イソシアナト-8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン
アニソール(160 ml)中に溶解された8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン-8-カルボン酸(15g; 56 mmol)に、アジドリン酸ジフェニルエステル(15,4 g; 56 mmol)及びトリエチルアミン(5,66 g; 55 mmol)を添加する。反応混合物を2 時間90〜100℃に加熱する。反応の終了 (薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、カラムクロマトグラフィーによって精製する(シリカゲル, n-ヘキサン中で10%酢酸エステル)。6gの8-イソシアナト-8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカンが得られる(41%; 無色液体)。
【0098】
メチル-(8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デク-8-イル)-アミン
乾燥THF(70 ml)中に溶解された8-イソシアナト-8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デカン(6g; 22,6 mmol)に、水素化リチウムアルミニウム (1,7g)を0〜5℃で少しづつ分けて添加する。反応混合物を約1,5時間還流下に攪拌する。反応の終了 (薄層クロマトグラフィーによる反応コントロール)後、過剰の水素化リチウムアルミニウムを飽和硫酸ナトリウム水溶液(20 ml)で分解させる。生じる沈殿をセルライトを介して濾過する。濾液を蒸発させ、ついで酢酸エステルで抽出する(3 x 100 ml)。有機相を分離し, 乾燥させ(硫酸ナトリウム)、減圧で蒸発させる。カラムクロマトグラフィー精製 (シリカゲル, n-ヘキサン中で50%酢酸エステル) によって、2,5 gのメチル-(8-チオフェン-3-イル-1,4-ジオキサ-スピロ[4.5]デク-8-イル)-アミン(43%; 白色の, 低沸点固体)を生じる。
【0099】
例16: 1,1-[3-メチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート
例16を例14と同様に4-メチルアミノ-4-チオフェン-3-イル-シクロヘキサノン及び2-(1H-インドール-3-イル)-エタノールを製造する。
【0100】
例17: 1,1-[3-メチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート
例17を例15と同様に4-メチルアミノ-4-チオフェン-3-イル-シクロヘキサノン 及び2-(5-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-エタノールから製造する。
【0101】
本発明の化合物の有効性試験
ORL1-結合の測定
一般式Iで表わされるシクロヘキサン誘導体を組み換えCHO-ORL1-細胞の膜を用いた3H-ノシセプチン/オルファニンFQとのレセプター結合アッセイで試験する。このテストシステムはArdati等 (Mol. Pharmacol., 51, 1997, p. 816-824)によって提案された方法したがって実施する。3H-ノシセプチン/オルファニンFQの濃度はこの試験の場合に0.5 nMである。この結合アッセイを、50 mM Hepes, pH 7,4, 10 mM MgCl2及び1 mM EDTA中でそれぞれ200μlの仕込み物あたり膜タンパク質それぞれ20μgを用いて実施する。ORL1-レセプターへの結合は、それぞれ1mgのWGA-SPA Beads (Amersham-Pharmacia, フライブルグ)の使用下に室温でこの仕込み物を1時間インキュベートし、ついでシンチレーションカウンターのTrilux (Wallac, フィンランド)中で測定することによって決定される。この親和性を、表1中にc=1μMでナノモル Ki-値としてか又は%阻害率として記載する。
【0102】
μ-結合の測定
ヒト μ-オピアートレセプターに対するレセプター親和性を、マイクロタイタープレート中の均質な混合物の形で測定する。このためにCHO-K1-細胞-------- これはヒトμ-オピエートレセプター を発現する(RB-HOM-receptor membran-Praparation、NEN社, Zaventem, ベルギー)-------- のレセプター膜調製物 (250 μlの インキュベーション混合物あたり15-40 μg の蛋白質)を用いて希釈された供試化合物の系統的希釈物を、1 nmol/l の 放射性リガンド [3H]-ナロキソン (NET719, NEN社, Zaventem, ベルギー) 並びに1 mgのWGA-SPA-Beads (Wheat germ agglutinin SPA Beads、Amersham/Pharmacia社, フライブルグ, ドイツ)の存在下に全容量 250 μlで 90 分間室温でインキュベートする。インキュベーション緩衝液として、0,05 重量%ナトリウムアジド及び 0,06 重量% ウシ血青アルブミンが補充された50 mmol/l のトリス-HClを使用する。非特異性結合の測定のために、更に25 μmol/l のナロキソンを添加する。90分のインキュベート時間の終了後、マイクロタイタープレートを20 分間1000 gで遠心分離し、放射能をβ-カウンター (Microbeta-Trilux, PerkinElmer Wallac社, フライブルグ, ドイツ) で測定する。放射性リガンドの置換率(die prozentuale Verdraengung)をヒトμ-オピアートレセプターへのその結合から1 μmol/l の供試化合物濃度で測定し、特異結合の阻害率 (%阻害) を示す。一部ずつ、百分率変位から出発して一般式Iで表わされる供試化合物の種々の濃度によって、放射性リガンドの50-%置換を生じさせる IC50 阻害濃度を計算する。Cheng-Prusoff-式を用いて換算することによって供試化合物に対するKi-値を得る。
【0103】
【表1】

【0104】
マウスに関するテイルフリック試験(Tail-Flick-Test)での痛覚麻痺試験
マウスをそれぞれ、別々にテストケージに入れ、尾の付け根にランプ(Tail-flick-Typ 50/08/1.bc, Labtec, Dr. Hess)の焦点を合わせた熱光線を照射する。このランプの強さは、ランプをつけてから尾の突然の痙攣動作までの時間(苦痛潜時)が未処理のマウスの場合に3〜 5秒となるように調整した。本発明の化合物を含む溶液又はその都度の比較溶液の投与の前に、これらのマウスを5分間の間に2回予備試験し、この測定の平均値を前処理平均値として算出する。
【0105】
次いで、一般式Iで表わされる本発明の化合物の溶液及び比較溶液を静脈内投与する。苦痛測定を静脈内投与後のそれぞれ10分、20分、40分及び60分に行う。この痛覚麻痺作用を、下記式にしたがって苦痛潜時(最大に起こりうる抗侵害受容作用効果%)の増加率として測定した。
【0106】
[(T1-T0)/(T2-T0)] x 100
この場合、時間T0は投与前の潜在時間を表し、時間T1は有効物質組み合わせの投与後の潜在時間を示し、時間T2は最大露光時間(12秒)を示す。
【0107】
【表2】

【0108】
例7に関して、別の作用としてマウスに筋弛緩及び麻酔が生じるのを観察した。
【0109】
例7は純粋なμ-オピオイド(たとえばモルヒネ)に比べて減少したプレイス プリファレンス(Place Preference)を示す (Platzpraeferenz:Tzschentke, T.M. 1998, Prog. Neurobiol. , 56, 613 672参照)。
【0110】
マウスのジャンプ禁断症状
マウスのジャンピングテスト: Saelens等の方法(1971)にしたがって肉体的依存性の測定試験
供試化合物を全体で7回2日間かけて腹腔内に投与する。5回投与を一日目9:00, 10:00, 11:00, 13:00 及び15:00の時間に行い、そして二日目9:00 及び11:00の時間に行う。最初の3回投与を上昇する薬用量(投薬パターン)で行い、ついでその後三番目の薬用量で投与する。禁断症状を最後物質投与後2時間でナロキソン30 mg/kg (i.p.)を用いて促進する。その直後、動物を個々に透明な観察箱(高さ40cm, 直径15 cm) に入れ、ジャンプ反応を15分間それぞれ5-分間隔で数える。モルヒネをある薬用量で比較/標準として用いる。
【0111】
禁断症状の数量化は、ナロキソン投与後0〜10分のジャンプ数に関して行われる。 10分あたり10回より多くのジャンプをする、グループあたりの動物数を測定し、“% 陽性動物(positve Tiere)”として記録する。更に、そのグループにおける平均ジャンプ回数を算出する。1グループにつき12 匹の動物を使用する。
【0112】
次の図表は、例 7に関してマウスにおいてナロキソン誘発された禁断症状の薬用量依存特性を示す。
【0113】
【表3】

【0114】
禁断症状は完全に抑制される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのラセミ化合物;そのエナンチオマー、そのジアステレオマー, そのエナンチオマー又はそのジアステレオマーの混合物又は個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物; その塩基及び(又は)生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にある、一般式I
【化1】


I
{式中、
R1及びR2は相互に無関係にH; CHO; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); 又はC1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示すか、又は
基R1 及び R2 は一緒になって CH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR11CH2CH2又は (CH2)3-6 を示し,
この際、R11は、H; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない)を示し、
R3 は、ヘテロアリール又はC1-3-ヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されている);を示し、
W はNR4, O又はS を示し、
そして
R4 はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(それぞれ置換されているか又は置換されていない); C1-3-アルキル-基を介して結合するアリール, ヘテロアリール又はシクロアルキル(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); COR12 ; SO2R12を示し、
この際R12はH; C1-5-アルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和, 1回以上置換されているか又は置換されていない); アリール又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれ1回以上置換されているか又は置換されていない); OR13; NR14R15 を示し、
R5は =O; H; COOR13, CONR13, OR13; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又はC1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R6はH; F, Cl, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R5及び R6 は一緒になって (CH2)n (n = 2, 3, 4, 5 又は 6)を示し, この場合個々の水素原子は F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, CN 又は C1-5-アルキル によって置換されていてもよく、
R7, R8, R9 及び R10 は相互に無関係にH, F, Cl, Br, I, NO2, CF3, OR13, SR13, SO2R13, SO2OR13, CN, COOR13, NR14R15; C1-5-アルキル, C3-8-シクロアルキル(置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
この際R13はH; C1-5-アルキル (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R14及び R15 は相互に無関係に H; C1-5-アルキル , (それぞれ飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C3-8-シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の, 置換されていないか又は1回以上置換されている); アリール又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている); 又は C1-3-アルキルを介して結合するアリール, C3-8-シクロアルキル 又はヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
又は R14 及び R15 は一緒になって CH2CH2OCH2CH2, CH2CH2NR16CH2CH2 又は (CH2)3-6を形成し,
この場合 R16はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
XはO, S, SO, SO2 又は NR17 を示し、
R17はH; C1-5-アルキル(飽和又は不飽和, 分枝状又は非分枝状)、 COR12 又は SO2R12 を示す。}
で表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項2】
R1 及び R2が相互に無関係にH, C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている)又はCHO を示すか及び(又は)
R3 がヘテロアリール(それぞれ置換されていないか又は環が1回以上置換されている)を示す、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項3】
R5がH, C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている)又はCOOR13 を示し、そしてR6 がH又はC1-5-アルキルを示す、請求項1又は2のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項4】
R7,R8, R9 及び R10 が相互に無関係にH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている);F, Cl, Br, I, CF3, OH, OCH3, NH2, COOH, COOCH3, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2を示す、請求項1-3のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項5】
WがNR4, O 又はSを示し、 そしてXがO, S, SO, SO2 又は NR17 を示し、
R1及びR2が相互に無関係にH; C1-4-アルキル(分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない);又はCHOを示し、
R3がヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R4がH; C1-3-アルキル(1回以上置換されているか又は置換されていない); CO(CH2)mH (m=0〜2)を示すか及び(又は)
R5 及び R6がそれぞれHを示すか及び(又は)
R7, R8, R9 及び R10 が相互に無関係にH; C1-5-アルキル, OC1-3-アルキル(それぞれ分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている);F, Cl, Br, I, CF3, OH, SH, SCH3, OCH3, NH2, COOH, COOCH3, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2を示す、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項6】
R1及び R2 が相互に無関係に H 又は CH3 を示し、この際R1 及び R2 は同時にHでない、請求項1-5のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項7】
WがNR4を示し、そしてXがOを示し、
R1及びR2が相互に無関係にH; C1-4-アルキル(分枝状又は非分枝状, 1回以上置換されているか又は置換されていない);又はCHOを示し、
R3がヘテロアリール(置換されていないか又は1回以上置換されている)を示し、
R4がH; C1-3-アルキル(1回以上置換されているか又は置換されていない); CO(CH2)mH (m=0〜2)を示すか及び(又は)
R5 及び R6がそれぞれHを示すか及び(又は)
R7, R8, R9 及び R10が相互に無関係にH; C1-5-アルキル, OC1-3-アルキル(それぞれ分枝状又は非分枝状, 飽和又は不飽和, 置換されていないか又は1回以上置換されている);F, Cl, Br, I, CF3, OH, SH, SCH3, OCH3, NH2, COOH, COOCH3, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2を示す、請求項1-5のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項8】
R3がチエニル又はピリジルを示す、請求項1-6のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項9】
5がH, CH3, COOCH3 又はCH2OHを示し、
基R6がHを示し、
基R7,R8, R9 及びR10 がHを示すか、
又は
基R7, R8, R9 及びR10 のうちの1つがH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); F, Cl, Br, I, OH, OCH3, COOH, COOCH3, NH2, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2 を示し、一方残りの基がHを示すか,
又は
基R7R8, R9 及びR10のうちの2つが相互に無関係にH; C1-5-アルキル(分枝状又は非分枝状, 置換されていないか又は1回以上置換されている); F, Cl, Br, I, OH, OCH3, COOH, COOCH3, NH2, NHCH3又はN(CH3)2又はNO2 を示し、一方残りの基がH を示す、請求項1〜8のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項10】
R1及びR2がCH3を示し、そしてR3がチエニル又はピリジルを示す、請求項1-9のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項11】
WがNR4を示し、XがOを示し、そしてR4がH, CH3, C2H5, アセチル, フェニル, ベンジル又はCOR12 を示す、請求項1-10のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項12】
次の群:
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレン、
2-アセチル-1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2,9-ジアザフルオレン、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-3,4-ジヒドロ-1H-2-オキサ-9-チアフルオレン、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ-[3,4-b]インドール ヘミシトラート, 非極性ジアステレオ異性体、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(ピリジン-2-イル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ-[3,4-b]インドール シトラート, 極性ジアステレオ異性体、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール ジメタンスルホナート; 極性ジアステレオマー、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート; 非極性ジアステレオマー、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール ヘミシトラート; 非極性ジアステレオマー、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]インドール シトラート; 極性ジアステレオマー、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ヘミシトラート; 非極性ジアステレオマー、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート; 極性ジアステレオマー、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ジメタンスルホナート; 極性ジアステレオマー、
1,1-[3-ジメチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール ヘミシトラート; 非極性ジアステレオマー、
1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]インドール シトラート、
1,1-[3-メチルアミノ-3-(2-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート、
1,1-[3-メチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]インドール シトラート、
1,1-[3-メチルアミノ-3-(3-チエニル)ペンタメチレン]-1,3,4,9-テトラヒドロ-ピラノ[3,4-b]-6-フルオロインドール シトラート
から選ばれる化合物(場合によりそれらの混合物としても)からなる、請求項1-11のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体。
【請求項13】
一般式A
【化2】

(式中、 基 R01 及び R02 はR2 に記載した意味を有し、そして付加的に保護基を示すことができる。)
で表わされる出発化合物を, 酸又はそのトリメチルシリルエステル, たとえばトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル, トリフルオロメタンスルホン酸, 酢酸, リン酸, メタンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸の添加下に, 適当な溶剤, たとえばジクロロエタン, ジクロロメタン, クロロホルム, アセトニトリル, ジエチルエーテル又はニトロメタン中で, 一般式B
【化3】

(式中、基R1-R10 は請求項1 に定義された通りである。)
で表わされる出発化合物と反応させることを特徴とする、請求項1-12のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体の製造方法。
【請求項14】
スピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはNHを示す。)を塩基, たとえばトリエチルアミンの添加下に, 無水物又は酸クロライドと好ましくマイクロ波照射下に反応させる、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはNR17を示し、そしてR17はCOR12又はSO2R12 を示す。)の製造方法。
【請求項15】
スピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、Xは Sを示す。)を酸化剤, たとえばH2O2を用いて酸化させる、請求項1記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体(式中、XはSO 又は SO2 を示す。)の製造方法。
【請求項16】
一般式Ib
【化4】

で表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体の製造方法において、チオフェン-3-イル-アセトニトリルをアクリルエステル又は3-ブロモプロピオン酸エステルと反応させ, けん化し, 脱カルボキシル化し、ついで保護基で保護し, ニトリル基をけん化によってカルボン酸とし、ついでイソシアネートとし, ついで還元剤, たとえば水素化リチウムアルミニウムと反応させ、保護基の除去後に酸又はそのトリメチルシリルエステル、たとえばトリメチルスルホン酸トリメチルシリルエステル, トリフルオロメタンスルホン酸, 酢酸, リン酸, メタンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸の添加下に, 適当な溶剤, たとえばジクロロエタン、ジクロロメタン, クロロホルム, アセトニトリル, ジエチルエーテル又はニトロメタン中で, 一般式B
【化5】

で表わされる出発化合物と反応させる、上記一般式Ibで表わされるスピロ環状シクロヘキサン誘導体の製造方法。
【請求項17】
場合により、そのラセミ化合物、任意の混合割合でのその純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの形にある、その酸又はその塩基の形にあるか、又はその塩の形にある、特に生理学的に許容し得る塩又は生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にあるか、又はその溶媒和物、特に水和物の形にある、請求項 1〜12のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体少なくとも1種を含み、並びに場合により適当な添加剤及び(又は)助剤及び(又は)場合によりその他の有効物質を含む医薬。
【請求項18】
場合により、そのラセミ化合物、任意の混合割合でのその純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの形にある、その酸又はその塩基の形にあるか、又はその塩の形にある、特に生理学的に許容し得る塩又は生理学的に許容し得る酸又はカチオンの塩の形にあるか、又はその溶媒和物、特に水和物の形にある、請求項 1〜12のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を苦痛、特に急性神経障害のあるいは慢性苦痛の治療用医薬の製造に使用する方法。
【請求項19】
請求項 1〜12のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、アルコールー及び(又は)麻薬−及び(又は)薬物−中毒及び(又は)依存症を治療するための医薬の製造に、又は筋弛緩剤又は麻酔剤としての医薬の製造に、又はオピオイド鎮痛剤又は麻酔剤を用いる治療での併用投与用医薬の製造に、又はオピオイドの禁断症状の治療及び(又は)潜在的嗜癖の軽減用医薬の製造に使用する方法。
【請求項20】
請求項 1〜12のいずれか1つに記載のスピロ環状シクロヘキサン誘導体を、不安状態、ストレス及びストレスと関連する症候群、うつ病、癲癇、アルツハイマー病、老人性痴呆症、一般的な認知機能障害、学習及び記憶障害(向知性薬として)、性的機能障害、心臓血環疾患、低血圧症、高血圧症、耳鳴り、掻痒症、偏頭痛、聴力障害、腸運動障害、摂食障害、食欲不振、脂肪過多症、運動障害、下痢、悪液質、尿失禁を治療するための医薬の製造に、又は抗痙攣剤としての医薬の製造に、又は利尿薬又は抗ナトリウム排泄増加薬又は抗不安薬の製造に、運動活性モジュレーション用医薬の製造に、神経伝達物質の分布のモジュレーション及びこれに付随する神経変性疾患の治療用医薬の製造に使用する方法。

【公表番号】特表2007−515446(P2007−515446A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546040(P2006−546040)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014539
【国際公開番号】WO2005/066183
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】