説明

PLL回路、PLL回路無線通信機、及びPLL回路のロック検出方法

【課題】デジタル回路で構成出来、ロック検出のエラーやロストの発生を抑制することが出来ると共に、検出時間を短縮することが出来るPLL回路、無線通信機、及びロック検出方法を提供する。
【解決手段】ウィンドウ幅の異なる複数のロック検出部6b−1〜6b−nによる検出結果を用いて検出を行う。ロック判定部7は、複数のロック検出部6b−1〜6b−nによる検出結果に基づいて、ロック状態の検出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、PLL回路、無線通信機、及びPLL回路のロック状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話から車のキーロックに至るまで、現在様々な分野で無線通信が用いられているが、無線通信を行う無線機には通常PLL回路が使用されている。
無線機にPLL回路を用いることは古くから行われており、そのための様々な提案がなされている。例えば特許文献1には、同期検出回路を備える同期検波方式のPLL回路で、同期検出回路がジッターや雑音であやまって非同期検出をしないよう構成したものが開示されている。
【0003】
小型の無線機では、電池やバッテリー等で動くので、これら電力源の寿命を延ばすためには、PLL回路においても消費電力を押さえる必要がある。そのためPLL回路では、動作開始時に、発振周波数が安定したロック状態になったのをなるべく早く検出できれば、ロック検出後に通信を行うので、消費電力を押さえることが出来る。
【0004】
従来のPLL回路のロック検出は、位相比較器の出力パルス(XUP/DOWN)をカウントする方法、またはVCOの制御電圧の変動を検出する方法が用いられていた。
このうち位相比較器の出力パルスをカウントする方法は、PLL回路の引込が収束すると位相比較器の2種類の出力パルスXUP/DOWMのパルス数が等しくなることでロック状態を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−035039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した位相比較器の出力パルスをカウントする方法は、確実にロック検出を行うには、検出時間としてリファレンスクロックで数千パルス程度必要とした。そして検出時間を短くすると、引き込みが完了する前に誤ってロック状態を検出してしまうという問題があった。
【0007】
また従来の方法では、ロック状態を検出後に再びロックが外れたと判定する、いわゆるロストが発生する問題もあった。
本発明はデジタル回路で構成出来、ロック検出のエラーやロストの発生を抑制することが出来ると共に、検出時間を短縮することが出来るPLL回路、無線通信機、及びロック検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるPLL回路は、基本周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号との位相差を比較する位相比較部と、前記位相差に基づいて前記位相比較部から出力される位相差情報を検出する感度が異なる複数のロック検出部と、前記複数のロック検出部による検出結果に基づいて、前記PLL回路のロック状態を判定するロック判定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明によるPLL回路無線通信機は、PLL回路と、前記PLL回路の出力を増幅してアンテナに出力する増幅部とを有し、前記PLL回路は、基本周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号の位相差を比較する位相比較部と、前記位相差に基づいて前記位相比較部から出力される位相差情報を検出する感度が異なる複数のロック検出部と、前記複数のロック検出部による検出結果に基づいて、前記PLL回路のロック状態を判定するロック判定部とを有することを特徴とするPLL回路無線通信機。
【0010】
また本発明による、PLL回路のロック検出方法は、前記PLL回路を構成する位相比較部から比較結果として出力される2つの信号内のパルスを複数の感度で検出し、前記複数の感度による検出結果に基づいてロック検出を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明はロック検出のエラーやロストの発生を抑制することが出来ると共に、検出時間を短縮することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】位相比較器の出力パルスカウント方式のロック検出部を備えた一般的なPLL回路の原理ブロック図である。
【図2】本実施形態のPLL回路の構成を示すブロック図である。
【図3】ロック検出部の構成を示す図である。
【図4】図3のロック検出部によるロック検出のタイムチャートを示す図である。
【図5】ロック検出部の状態遷移を示す図である。
【図6】ロック検出部の動作をシミュレートした場合の各信号を示す図である。
【図7】2つのロック検出部を備えたPLL回路を示す図である。
【図8】図7のPLL回路の動作を示すタイムチャートである。
【図9】相関部から出力される信号CDTCの変化率によってロック判定を行うロック判定部の構成を示す図である。
【図10】図8のロック判定部を用いたPLL回路によるロック検出結果を示す図である。
【図11】ロック検出部の第2の形態を示す図である。
【図12】第2の形態のロック検出部内の信号、及び入出力される信号のタイミングを示すタイムチャートである。
【図13】第3の実施形態のロック検出部の構成を示す図である。
【図14】本実施形態におけるPLL回路を用いた通信機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
以下の例では、本実施形態におけるPLL回路を、発振周波数を基準クロックの整数比で設定するInteger−PLL (IPLL)ではなく、発振周波数を固定小数点フォーマットで設定するFractional−N PLL (FPLL)に適用した場合を例として説明する。
【0014】
FPLLは、基準クロック(Refclk)を分周せずに高分解能で発振周波数を設定できる。従って基準クロックを分周するIPLLよりもフィードバックループが高速に応答する。
【0015】
またFPLLは、発振周波数の分解能が高く、ループ応答が早いという特徴がある。よって収束が早く、起動からロックするまでが高速なので、ロック検出を早くすることによる効果が大きい。例えば通信機等でロック検出を起動のトリガとしている構成の場合、引き込みが完了した直後にロック状態を検出することでパワーダウンからの動作復帰時間を短縮することができる。
【0016】
図1は、位相比較器の出力パルスカウント方式のロック検出部を備えた一般的なPLL回路の原理ブロック図である。
同図のPLL回路10aは、位相比較器(PFD)1、チャージポンプ(CP)2、ループフィルタ(LPF)3、電圧制御発振部(VCO)4、分周部5、及びロック検出部6aを有している。
【0017】
位相比較器1は、不図示の基本クロック発振器から入力される水晶振動子の発振に基づく固有周波数の基準クロック信号(Ref clock)と、分周部5によって分周された帰還信号を比較し、2つの信号の周波数差及び位相差に基づいたパルス信号(XUP/DOWN信号)をチャージポンプ2に出力する。位相比較器2は、基準クロック信号に対してフィードバック信号が遅れている場合XUP信号をパルス出力し、逆に基準クロック信号に対してフィードバック信号が進んでいる場合DOWN信号をパルス出力する。
【0018】
チャージポンプ2は、位相比較器1で検出された位相差を電圧制御発振部4のための制御信号(制御電圧)に変換するものである。チャージポンプ2は、位相比較器1から出力される2つのパルス信号(XUP/DOWN信号)に基づいた制御信号を、ループフィルタ3に出力する。このチャージポンプ2の出力信号は、直流成分にパルス成分が含まれたものであり、その直流成分はパルス信号の周波数変動にともなって変化し、パルス成分はパルス信号の位相差に基づいて変化する。
【0019】
ループフィルタ3は、チャージポンプ2の出力信号を平滑して高周波成分を除去した出力信号を電圧制御発振部4に制御電圧として出力する。電圧制御発振部4は、ループフィルタ3から入力される制御電圧に応じた周波数の出力信号foutを外部回路に出力すると共に、分周部5に出力する。
【0020】
分周部5は、電圧制御発振部4の出力foutを分周して位相比較器2に出力する回路である。この分周部5は、外部からの指示に基づいて自由に分周比を切換えることが出来、この分周比を変えることによって、出力信号foutの発振周波数を制御することが出来る。なおPLL回路10aがFPLLの場合、分周部5による分周比は、基準周波数との比が整数でない分数分周比となる。FPLLのPLL回路10aの場合、分周部5は、分周比を細かく変更することで実質的に分数分周を行うことで実現できる。例えば、2分周と3分周とを繰り返すことで、実質的に2.5分周を実現できる。
【0021】
ロック検出部6aは、位相比較器1から出力されるパルス信号(XUP/DOWN信号)をカウントして、特定期間内に2つの信号のパルス数が一致したならば、ロック検出を示すLCDT信号を出力する。
【0022】
本実施形態のPLL回路は、位相比較器から出力される信号のパルスカウントを行う方式のロック検出部を複数備える。そして各ロック検出部は、パルスを検出する検出時間(以下ウィンドウという)がそれぞれ異なる。
【0023】
ロック検出部のウィンドウ幅を大きくすると、ロストの頻度は小となるが検出時間は大きくなる。逆にウィンドウ幅を小さくすると、検出時間は小さくなるがエラーの頻度は大きくなる。
【0024】
本実施形態のPLL回路では、ウィンドウ幅の異なる複数のロック検出部による検出結果を用いて、ロック検出を行う。
図2は、本実施形態のPLL回路の構成を示すブロック図である。
【0025】
図2のPLL回路10bを図1のPLL回路10aと比較すると、位相比較器1、チャージポンプ2、ループフィルタ3、電圧制御発振部(VCO)4、及び分周部5については基本的に図1のPLL回路10aのものと実質的に同じものなので、同じ符号を付し、また説明は省略する。
【0026】
図1のPLL回路10aと図2のPLL回路10bを比較すると、PLL回路10bは、複数のロック検出部6b−1〜6b−n及びロック判定部7を更に有している。
複数のロック検出部6b−1〜6b−nは、それぞれウィンドウ幅が異なる。ロック判定部7は、各ロック検出部6b−1〜6b−nの検出結果に基づいて、PLL回路10bがロックしたのを検出する。
【0027】
図3は、ロック検出部6bの構成を示す図である。
同図において、ロック検出部6bには、位相比較器1から出力されるXUP/DOWN信号が入力され、このXUP/DOWN信号それぞれの立ち上がりエッジをカウントすることによりロック検出を行う。
【0028】
同図において、ロック検出部6bは、XUP信号のパルス数をカウントするXUPカウンタ(xupcnt)11、DOWN信号のパルス数をカウントするDOWNカウンタ(downcnt)12、XUPカウンタ11とDOWNカウンタ12の出力の論理積を取るAND回路13、外部から与えられる設定値WDTC[2:0]、信号ENDTCに基づいて、ロック検出部6bのウィンドウ幅を変更したり出力を制御したりするコントロールロジック(Control Logic)14、及びロック検出出力LCDTを生成するフリップフロップ15を有している。
【0029】
XUPカウンタ11及びXDOWNカウンタ12は、位相比較器1から出力されるXUP信号及びDOWN信号のパルス数をカウントするカウンタで、カウント数が規定値(例えば2ビットカウンタなら3)になると‘1’を出力する。またコントロールロジック14からCLR信号が入力されるとカウント値がクリアされ、最初からカウントをやり直す。AND回路13は、通常は‘0’(フリップフロップ15のCLR)をフリップフロップ15に出力し、UPカウンタ11及びDOWNカウンタ12の両方が規定値をカウントすると‘1’(フリップフロップ15のSET)をフリップフロップ15に出力する。
【0030】
コントロールロジック14は、基準クロックRefclkに同期して稼働するコントローラで、事前に設定されるウィンドウ幅WDTCの値に基づいた周期でUPカウンタ11とDOWNカウンタ12にCLR信号を出力する。またコントロールロジック14は、外部からロック検出部6bにイネーブル信号(ENDTC)として‘1’が入力されているときは、フリップフロップ15に対してUPDATE信号を出力してフリップフロップ15をアップデートし、イネーブル信号として‘0’が入力されると、フリップフロップ15へのUPDATE信号の入力を止め、ロック検出部6bをディスネーブル状態とする。
【0031】
フリップフロップ15は、基準クロックRefclkに同期して稼働するフリップフロップである。フリップフロップ15は、AND回路13からの信号が‘0’(CLR)のときは、ロックを検出していないので、ロック検出出力LCDTとして‘0’を、AND回路13からの信号が‘1’(SET)のときは、XUP信号とDOWN信号のパルス数が同数となっており、ロックが検出されたので、ロック検出出力LCDTとして‘1’を出力する。
【0032】
このようにロック検出部6bは、設定値WDTCの値のウィンドウ幅で位相比較器1から出力されるXUP/DOWN信号のパルス数をカウントし、両者が一致したならばロック検出出力LCDTを‘1’にする。
【0033】
また図2のPLL回路10bは全てデジタル回路としてもよい。
なお図2の構成では、XUP信号のパルス数とDOWN信号のパルス数が完全に一致したときに、ロック検出部6bはロック検出出力LCDTを‘1’にするが、両者が略一致するとロック検出出力LCDTを‘1’にする構成としても良い。
【0034】
図4は、図3のロック検出部6bによるロック検出のタイムチャートを示す図である。
同図は、ロック検出部6bに対してウィンドウ幅の値WDTCとして基準クロックRefclk10クロック分が指定されており、またUPカウンタ11及びDOWNカウンタ12が4までカウントできるカウンタであった場合を例として示している。
【0035】
同図において、フィードバック信号が遅れていることを示すXUP信号が(1)、(2)、・・・と入力されてゆくと、それに伴いXUPカウンタ11の値(UPCNT)も1、2、・・・とカウントされてゆく。同様にフィードバック信号が進んでいることを示すDOWN信号が(1)、(2)、・・・と入力されてゆくと、それに伴いDOWNカウンタ12の値(UPCNT)も1、2、・・・とカウントされてゆく。なおUPカウンタ11及びDOWNカウンタ12は、4までしかカウントできないので、UP信号やDOWN信号として(5)、(6)が入力されても、UPカウンタ11及びDOWNカウンタ12の値は4のままである。
【0036】
ウィンドウ幅は、基準クロックRefclk10クロック分なので、ロック検出部6bではST10でロック検出の判定がなされる。本例では、2つのカウンタ値が共に4なので、ロック検出がされ、ロック検出出力LCDTが‘1’になる。
【0037】
図5は、ロック検出部6bの状態遷移を示す図である。
同図においてPLL回路10b全体のリセット信号であるXRSTとロック検出部6bのイネーブル信号であるENDTCが共に‘0’のときは初期状態(ST=0)のままである。XRSTとENDTCが共に‘1’となると、ロック検出部6bは稼働し、ST1、ST2、・・・と状態は遷移してゆき、WDTCとして設定している値が、基準クロックRefclkのカウント数と一致したとき、PLLロック判定に状態が遷移する。同図では、WDTCの値が8、14、及び15のときを示しており、それぞれST8、ST14及びST15のときPLLロック判定に状態が遷移する。
【0038】
図6は、ロック検出部6bの動作をシミュレートした場合の各信号を示す図である。
同図には、基準クロック(REFCLK)、位相比較器1から入力されるXUP信号/DOWN信号、電圧制御発振部4に入力される制御電圧VCTRL信号、ロック検出部6bの出力であるLDTC信号が表示されている。
【0039】
同図を見ると、VCTRL信号が上昇しているときXUP信号が、また下降しているときDOWN信号が多く出力され、一定状態にあるときはXUP信号とDOWN信号がほぼ均一に出力されていることが分かる。
【0040】
このXUP/DOWN信号をカウントして生成されるロック検出部6bの出力LDTC信号は、ロック状態の誤検出や一度ロック状態を検出したのが解除されるいわゆるロストを生じている。
【0041】
このようにウィンドウ幅を狭くすると、ロック検出部6bは、ロック状態の誤検出を行ったり、ロストが生じたりする。
そこで本実施形態におけるPLL回路10bでは、それぞれウィンドウ幅の異なる複数のロック検出部6bによる検出結果を用いて、ロック検出を行う。
【0042】
図7は、2つのロック検出部6c−1、6c−2を備えたPLL回路10cを示す図である。
同図において、狭いウィンドウ幅が設定されているロック検出部6c−1と広いウィンドウ幅が設定されているロック検出部6c−2の出力はロック判定部7cに入力されている。
【0043】
ロック判定部7cは、狭いウィンドウ幅のロック検出部6c−1の出力が入力されるシフトレジスタ(SFRN)21、広いウィンドウ幅のロック検出部6c−2の出力が入力されるシフトレジスタ(SFRW)22、及び2つのシフトレジスタ21、22の出力が入力され、これら入力の移動平均加算を算出する相関部23、及び相関部23から出力される移動平均加算による値と閾値RFLVLを比較し、相関部23の出力が閾値RFLVL以上となったらロック検出を示すLock信号を‘1’にする比較判定部24を備えている。
【0044】
この図7のPLL回路10cの動作を図8のタイムチャートを用いて説明する。
図8のタイムチャートには、狭いウィンドウ幅のロック検出部6c−1の出力LCDTN−out、広いウィンドウ幅のロック検出部6c−2の出力LCDTW−out、及び相関器23の出力CDTCが開示されている。
【0045】
狭いウィンドウ幅でロック検出を行った結果を示すLCDTN−outでは、相対的に早くロック状態が検出される。しかし相対的に誤検出を生じやすく、また一度ロック状態が検出された後にロック状態から外れる、いわゆるロストが生じる可能性も高い。
【0046】
一方、広いウィンドウ幅でロック検出を行った結果を示すLCDTW−outでは、相対的にロック状態が検出されるのが遅い。しかし相対的に誤検出や、ロストは生じにくい。
【0047】
なおこの狭いウィンドウ幅、及び広いウィンドウ幅の大きさは、PLL回路10cがロックするまでの発振出力foutのうねりの周期や使用環境等によって適宜な値が設定される。そしてこのうねりの周期は、PLL回路10cのループの特性(チャージポンプ2や電圧制御発振部4の利得、ループフィルタ3の伝達関数等によって決まる)によって決まる。
【0048】
以下の説明では、ロック検出部6c−1に設定する狭いウィンドウ幅は、上記うねりの周期の1/10を、ロック検出部6c−2に設定する広いウィンドウ幅は、上記うねりの周期の1/4を設定したものとする。
【0049】
本実施形態におけるPLL回路10cでは、ロック判定部7cがこの2種類のウィンドウ幅による検出結果を用いて、PLL回路10cがロックしたかどうかを判定する。
ロック判定部7cでは、ウィンドウ幅が狭く設定されたロック検出部6c−1からの出力LCDTN−outがシフトレジスタ21に、またウィンドウ幅が広く設定されたロック検出部6c−2からの出力LCDTW−outがシフトレジスタ22に蓄積される。相関部23は、この2つのシフトレジスタ21、22内に蓄積された値を移動平均加算し、加算値を電圧値に変換し、信号CDTCを出力する。
【0050】
図8のタイムチャートに、信号CDTCの例を示す。
ロック検出部6c−1からの出力LCDTN−out及びロック検出部6c−2からの出力LCDTW−outは、図7のシフトレジスタ21、22に蓄積される。相関部23は、このシフトレジスタに蓄積された値を用いてLCDTN−out及びLCDTW−outの値の移動平均加算値を求める。例えばシフトレジスタ21、22が4ビットのシフトレジスタでシフトレジスタ21には‘1100’が、またシフトレジスタ22には‘0101’が蓄積されていたとすると、相関部23は{(1+1+0+0)+(0+1+0+1)}/8=0.5を算出し、この値の電圧値の信号を出力信号CDTLとして比較判定部24に出力する。
【0051】
図8には、LCDTN−out、LCDTW−out及びCDTLの状態が示されている。
LCDTN−out及びLCDTW−outがロック検出を示す状態が続くと信号CDTLの値は上昇してゆく。比較判定部24は、この信号CDTLの値をモニタし、閾値RFLVL以上となったなら、ロック検出したことを示すLock信号を‘1’にする。
【0052】
このように本実施形態におけるPLL回路10cでは、ウィンドウ幅の異なる複数のロック検出部6cによる検出結果を用いてロック検出を行っている。
これにより、ウィンドウ幅を広くした場合より、早くロック検出を行うことが出来、またウィンドウ幅を狭くしたときより誤検出やロストが生じる可能性が小さい。
【0053】
次に、図7に示したロック判定部7cより、より早くロック検出が可能なロック判定部7dについて説明する。
このロック判定部7dは、相関部23から出力される信号CDTCの大きさではなく、信号CDTCの変化率(傾き)によってロック判定を行う。
【0054】
図9は、相関部23から出力される信号CDTCの変化率(傾き)によってロック判定を行うロック判定部7dの構成を示す図である。なお同図において、シフトレジスタ21、22、及び相関部23の構成は図7を用いて説明したものと、基本的に同じものなので図9では省略している。またこのロック判定部7dは、入力される信号CDTCをサンプリングしてデジタル処理を行うが、このサンプリングのための回路も、図9では説明簡略化のために省略している。
【0055】
図9のロック判定部7dは、図7のロック判定部7cの構成に加え、第1の遅延回路(Z-1)31、第2の遅延回路(Z-n)32、減算回路33、第3の遅延回路(Z-1)34、シフタ35、及び第4の遅延回路(Z-1)36を有している。
【0056】
これらの構成要素のうち、第1の遅延回路31、第3の遅延回路34、及び第1の遅延回路31は入力されるデータを1サンプリングサイクルだけ遅延させる遅延回路である。また第2の遅延回路32は、入力されるデータをnサンプリングサイクルだけ蓄積する回路である。このnの値は任意の値で、第4の遅延回路36の出力状態から事前に求めた適宜な値である。減算回路33は、第2の遅延回路32の出力値から第1の遅延回路31の出力値を減算するものである。シフタ35は、第3の遅延回路34の出力値をnビット右シフトし、値を1/2n とするものである。このシフタ35による右シフトによって、下位ビットを除き、判定部24で扱うデータのビット長を短くすることにより誤判定を抑制する。
【0057】
判定部24は、第4の遅延回路36から出力される値と、事前に設定されている閾値RFLVLを比較し、両者が一致、若しくはほぼ一致した場合、ロック検出を示すLock信号を出力する。
【0058】
なお図9の構成では、相関部23の出力信号CDTCを微分する構成であるが、判定部24に与えられる閾値RFLVLに信号CDTCの微分値に基づいた値を用いて出力信号CDTCを評価することにより動的に閾値RFLVLが変動するように構成しても良い。
【0059】
図10は、図8のロック判定部7dを用いたPLL回路10dによるロック検出結果を示す図である。
同図には、図1に示した1つのロック検出部6aによって、ロック検出を行った場合のロック検出信号LCDT41、ウィンドウ幅を狭く設定されたロック検出部6c−1の出力LCDTN−out42、ウィンドウ幅を広く設定されたロック検出部6c−2の出力LCDTW−out43、相関部23dの出力値44、出力値44の微分値45、及びロック判定部7dの出力値46が示されている。
【0060】
同図に示すようにロック判定部7dの出力値46は、微分値45を模擬した値を示している。この出力値46が特定値以上となった時点47で、ロック判定部7dはロックを検出したと判定し、Lock信号を出力する。
【0061】
これにより本実施形態におけるPLL回路10dでは、より短い時間でロック検出を行うことが出来ると共に、ロック検出のエラーやロストの発生を抑制することが出来る。
次にロック検出回路6の第2の形態について説明する。
【0062】
図11は、ロック検出部の第2の形態を示す図である。
この第2の形態のロック検出部6eは、図3のロック検出部6bのように、XUP/DOWN信号のパルス数をカウントしてロック検出を行うのではなく、XUP/DOWN信号のパルス幅をカウントしてロック検出を行う。
【0063】
図11のロック検出部6eは、位相比較器2からのXUP/DOWN信号の他に、電圧制御発振部4の出力foutが入力される。そしてこのfoutを用いてXUP/DOWN信号のパルス幅をfoutのパルス数に変換して、このパルス数をカウントする。
【0064】
同図において、ロック検出部6eは、NOT回路51、AND回路52、AND回路53、XUPカウンタ(xupcnt)54、DOWNカウンタ(xdwncnt)55、第1の比較器(Comparator1)56、第2の比較器(Comparator2)57、AND回路58、コントロールロジック(Control Logic)59、及びフリップフロップ(F/F)60を備えている。
【0065】
NOT回路51は、負論理信号であるXUP信号を反転させる。AND回路52、53は、XUP/DOWN信号のパルス幅をfoutのパルス数に変換する。XUPカウンタ54は、AND回路52から出力されるパルス信号のパルス数をカウントするカウンタである。DOWNカウンタ55は、AND回路53から出力されるパルス信号のパルス数をカウントするカウンタである。第1の比較器56は、XUPカウンタ54の出力するパルス幅カウント値(PXUPnum)とパルス幅判定値(Pwdth)を比較し、パルス幅カウント値の方が大きかった場合AND回路58に‘1’を出力する。第2の比較器57は、DOWNカウンタ55の出力するパルス幅カウント値(PDWNnum)とパルス幅判定値(Pwdth)を比較し、パルス幅カウント値の方が大きかった場合、AND回路58に‘1’を出力する。AND回路58は、第1の比較器56と第2の比較器57による比較の結果のANDを取る。コントロールロジック59は、ロック検出部6e全体を制御するもので、外部から与えられる設定値(パルス幅判定値Pwdth)、信号ENDTCに基づいて、ロック検出部6bのウィンドウ幅を変更したり出力を制御したりする。フリップフロップ60は、AND回路58の出力に基づいて、ロック検出出力LCDTを生成する。
【0066】
位相比較器2から出力されるXUP/DOWN信号のパルス幅を、電圧制御発振部4から出力される高い周波数の信号foutをクロックとしてカウントし、そのカウント値を積算する。
【0067】
XUP信号は負論理なのでNOT回路51に入力した後、DOWN信号はそのままで、それぞれAND回路52、53に入力して信号foutとのANDを取り、パルス幅をパルス数に変換する。そしてAND回路52の出力のパルス数をXUPカウンタ54でカウントし、またAND回路53の出力のパルス数をDOWNカウンタ55でカウントする。XUPカウンタ54及びXDOWNカウンタ55は、カウント数をそのまま出力するカウンタで、その出力値は第1の比較器56及び第2の比較器57に入力される。
【0068】
またコントロールロジック59は、予め設定されているENDTC値に基づいた周期でCLR信号をXUPカウンタ54、DOWNカウンタ55、及びフリップフロップ60に出力する。XUPカウンタ54及びXDOWNカウンタ55は、コントロールロジック59からCLR信号が入力されるとカウント値がクリアされ、最初からカウントをやり直す。
【0069】
第1の比較器56及び第2の比較器57は、予め設定されているパルス幅判定値Pwdthと、UPカウンタ54及びDOWNカウンタ55によるカウント値を比較し、一般的にカウント値の積算結果パルス幅判定値Pwdthと一致すると‘1’を出力する。AND回路58は第1の比較器56と第2の比較器57の出力を入力とし、第1の比較器56と第2の比較器57の出力が共に‘1’となったとき、フリップフロップ60をセットする信号‘1’を出力する。
【0070】
フリップフロップ60の出力であるLCDTが‘1’となるときは、AND回路58から‘1’が出力されるときである。このときは、UPカウンタ54とDOWNカウンタ55のカウント値がパルス幅判定値に達したとき、すなわち、位相比較器1から出力されるUP信号とDOWN信号のパルス幅が共に特定値(パルス幅判定値Pwdth)に達したときである。よって、ロック検出部6eは、ENDTC値として設定されたウィンドウ幅において、UP/DOWN信号のパルス幅をカウントし、その積算結果が特定値以上となったならPLL回路10eのロック状態を検出したとしてLCDT信号を‘1’にする。
【0071】
なお図11の構成では、XUP信号のパルス幅に相当するパルス数の積算値とDOWN信号のパルス幅に相当するパルス数の積算値が完全に一致したときに、ロック検出部6eはロック検出出力LCDTを‘1’にするが、両者が略一致するとロック検出出力LCDTを‘1’にする構成としても良い。
【0072】
図12は、図11のロック検出部6e内の信号、及び入出力される信号のタイミングを示すタイムチャートである。
同図に示すように、XUP/DOWN信号は、基準クロック(Refclk)に同期して出力され、ロック検出部6eでは、XUP信号が‘0’のときのパルス幅と、DOWN信号が‘1’のときのパルス幅が、ロック検出部6eを用いたPLL回路10eの出力信号foutのパルス数によってカウントされる。
【0073】
図12中、最初のXUP信号のパルスまでは、XUPカウンタ54の出力は、それまでカウントした値n0 を出力し、最初のXUP信号のパルス以降はn0 に最初のXUP信号のパルス幅に相当する値n1 を加えたn0 +n1 が次のパルスまでの間XUPカウンタ54から出力され、次のパルス以降はn0 +n1 にそのパルス幅に相当する値n2 を加えた値n0 +n1 +n2 が出力される。同様にDOWNカウンタ55は、最初のDOWN信号のパルスまではそれまでカウントした値m0 を出力し、最初のDOWN信号のパルス以降はm0 に最初のDOWN信号のパルス幅に相当する値m1 を加えたm0 +m1 が次のパルスまでの間DOWNカウンタ55から出力され、次のパルス以降はm0 +m1 にそのパルス幅に相当する値m2 を加えた値m0 +m1 +m2 が出力される。
【0074】
このようにロック検出部6eでは、UP/DOWN信号のパルス数ではなく、パルス幅からロック状態の検出を行うので、パルス数による検出より、より正確にロック検出を行うことが出来る。
【0075】
次に第3の実施形態のロック検出部について説明する。
図13は、第3の実施形態のロック検出部6fの構成を示す図である。
第3の実施形態のロック検出部6fは、2つのウィンドウ幅を(W_WDTC、N_WDTC)設定することが出来、ウィンドウ幅を途中で変更して、ロック検出の感度を変更することが出来る構成となっている。
【0076】
図13のロック検出部6fは、ウィンドウ幅の設定値としてW_WDTCが設定されているときのXUP信号とDOWN信号をカウントする第1のカウンタ(W_xupcnt)71及び第3のカウンタ(W_dwncnt)73、ウィンドウ幅の設定値としてN_WDTCが設定されているときのXUP信号とDOWN信号をカウントする第2のカウンタ(N_xupcnt)72及び第4のカウンタ(N_dwncnt)74、第1のセレクタ(Selector)75、第2のセレクタ(Selector)76、AND(and)回路77、コントロールロジック(Control Logic)78、及びフリップフロップ(F/F)79を有している。
【0077】
このように第3の実施形態のロック検出部6fは、2組のカウンタ71と73、及び72と74を備え、それぞれ異なったウィンドウ幅で位相比較器1から出力されるUP/DOWN信号のパルス数をカウントする。そして第1乃至第4のカウンタ71、72、73、74は、カウント数が規定値になると‘1’を出力する。また第1乃至第4のカウンタ71、72、73、74は、コントロールロジック78からW_WDTCの値に基づいたW_CLRやN_WDTCの値に基づいたN_CLR信号が入力されると、カウント値がクリアされ、最初からカウントをやり直す。
【0078】
第1のセレクタ75は、外部から入力されるWINDOW_SEL信号に基づいて、第1のカウンタ71の出力か第2のカウンタ72の出力を選択して、AND回路77に出力する。同様に第2のセレクタ76は、WINDOW_SEL信号に基づいて、第3のカウンタ73の出力か第4のカウンタ74の出力を選択して、AND回路77に出力する。このWINDOW_SEL信号によるセレクタ75及び76の選択によって、ロック検出部6fのウィンドウ幅が切り替わる。この切り替えは、WINDOW_SEL信号がウィンドウ幅としてW_WDTCによる値を選択しているときは、第1及び第3のカウンタ71、73の出力が選択され、WINDOW_SEL信号がウィンドウ幅としてN_WDTCによる値を選択しているときは、第2及び第4のカウンタ72、74の出力が選択される。
【0079】
AND回路77は、第1のセレクタ75及び第2のセレクタ76が選択出力した値のANDを取る。AND回路77は、2つの入力が共に1となったとき、即ちUP信号とDOWN信号のカウント値が共に規定値以上となったときフィリップフロップ79に‘1’(set)を出力する。フリップフロップは、基準クロック(REFCLK)に同期して、AND回路77からの入力が‘1’(set)のときは‘1’を、‘0’(reset)のときは‘0’をLCDT信号として出力する。
【0080】
このような構成のロック検出部6fが用いられているPLL回路10fでは、まず狭いウィンドウ幅の設定(N_WDTC)でロック検出を行い、ロック状態にあるのが確定となった後は、図8に示すように、広いウィンドウ幅の設定(W_WDTC)に変更して、感度を鈍くする。これによって、ロック検出後にロストが生じるのを防ぐことが出来る。
【0081】
なお図13に示したロック検出部6fの構成は一例であり、ロック検出部6fの趣旨を分かりやすくするために2組のカウンタを備える構成としている。しかし第3の実施形態のロック検出部6fの構成は、このようなものに限定されるものではなく、1組のカウンタを備え、それらのカウンタがW_WDTCによるウィンドウ幅のときとN_WDTCによるウィンドウ幅のときの両方の場合でパルス数若しくはパルス幅をカウントするように構成しても良い。
【0082】
次に本実施形態におけるPLL回路を用いた通信機について説明する。
図14は、本実施形態におけるPLL回路を用いた通信機の構成を示すブロック図である。
【0083】
同図において、通信機80は、上述してきた本実施形態におけるPLL回路81の他に、パワーアンプ82、VCO制御部(VCO CAL)83、クロックジェネレータ(CLK GEN)84、及びクロックドライバ85を有している。またPLL回路81は、位相比較器91、チャージポンプ92、ループフィルタ93、電圧制御発振部(VCO)94、分周部95、ロック検出部96、及びロック判定部97を有している。このうち電圧制御発振部94には外部から電源とインダクタ87が、またチャージポンプ92には電源が接続されている。
【0084】
パワーアンプ82は、PLL回路81の出力foutを増幅して、外部に接続されている送信アンテナ86から送信波を出力するものである。またパワーアンプ82は、PLL回路81内のロック判定部97が出力するLock信号に基づいて送信アンテナ86への出力のON/OFFを行う。VCO制御部83は、PLL回路81内の電圧制御発振部94の発振周波数を初期設定する等の制御を行うものである。VCO制御部83は、複数の内部レジスタを備え、それらの設定に基づいて稼働する。この内部レジスタには、VCO制御部83を動作させるか否かの切り替えを設定するCALENレジスタ、電圧制御発振部94の発振周波数の最大値を設定するPHEFレジスタ、電圧制御発振部94の発振周波数の最小値を設定するPHELレジスタ、電圧制御発振部94の発振周波数のデフォルト値を設定するDSLPレジスタ等がある。これら内部レジスタの設定は、通信機80の外部の制御回路によって設定される。クロックジェネレータ84は、クロックドライバ85から出力されるクロック信号を複数に分岐したり、周波数を分周したりするものである。クロックドライバ85は、通信機80に接続されている水晶振動子に電圧を印加して、クロック信号を発振させるものである。
【0085】
このような構成の通信機80において、電源が投入されるとPLL回路81から信号foutが発振されるが、foutの周波数が安定し、ロックが検出されるまで、Lock信号は‘0’となっている。Lock信号が‘0’となっている間、パワーアンプ82は、送信アンテナ86への出力を止める。そしてLock信号が‘1’となり、ロック状態が検出されたならば、パワーアンプ82は、送信アンテナ86へ送信波を出力する。
【0086】
このように本実施形態におけるPLL回路81を用いた通信機では、Lock信号が‘1’となったとき送信波を出力するが、本実施形態におけるPLL回路81は、過渡応答の瞬間をロック状態として検出することが出来るので、通信機80は電源投入から送信波発振までの時間を短くすることが出来る。よって、送信に要する電力を小さくすることが出来、電池等の電源の使用時間を伸ばすことが出来る。
【0087】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
PLL回路であって、
基本周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号との位相差を比較する位相比較部と、
前記位相差に基づいて前記位相比較部から出力される位相差情報を検出する感度が異なる複数のロック検出部と、
前記複数のロック検出部による検出結果に基づいて、前記PLL回路のロック状態を判定するロック判定部と、
を備えることを特徴とするPLL回路。
(付記2)
前記感度は、前記位相比較器が前記位相差に基づいて出力されるパルスのカウント期間期間であることを特徴とする付記1に記載のPLL回路。
(付記3)
前記ロック判定部は、複数の前記ロック検出部からの出力値の移動平均加算を行い、当該移動平均加算の結果から得られる判定値と閾値とを比較することによって前記ロック状態の検出を行うことを特徴とする付記1に記載のPLL回路。
(付記4)
前記ロック判定部は、複数の前記ロック検出部それぞれからの出力値を格納するシフトレジスタ部を更に備え、前記移動平均加算は、前記各シフトレジスタ部内の値の加算平均を行うことによって実現することを特徴とする付記3に記載のPLL回路。
(付記5)
前記判定値は、前記移動平均加算の結果であることを特徴とする付記3に記載のPLL回路。
(付記6)
前記判定値は、前記移動平均加算の結果の時間的変化値であることを特徴とする付記3に記載のPLL回路。
(付記7)
前記閾値は、前記移動平均加算の結果を時間微分して求めることを特徴とする付記3に記載のPLL回路。
(付記8)
前記ロック検出部は、前記感度を変更できることを特徴とする付記1に記載のPLL回路。
(付記9)
前記ロック判定部がロック状態の検出を判定すると、複数の前記ロック検出部は、前記感度を小さくすることを特徴とする付記8に記載のPLL回路。
(付記10)
前記位相比較器は、前記位相差情報として、前記基本周波数信号の位相が前記フィードバック信号の位相よりも進んでいる場合に対応する第1パルス、及び前記基本周波数信号の位相が前記フィードバック信号の位相よりも遅れている場合に対応する第2パルスを出力し、
前記ロック検出部は、前記カウント期間における前記第1パルスのパルス数及び前記第2パルスのパルス数のカウントに基づいて、前記ロック検出を行うことを特徴とする付記2に記載のPLL回路。
(付記11)
前記位相比較器は、前記位相差情報として、前記基本周波数信号の位相が前記フィードバック信号の位相よりも進んでいる場合に対応する第1パルス、及び前記基本周波数信号の位相が前記フィードバック信号の位相よりも遅れている場合に対応する第2パルスを出力し、
前記ロック検出部は、前記前記第1パルスのパルス幅及び前記第2パルスのパルス幅に基づいて、前記ロック検出を行うことを特徴とする付記1に記載のPLL回路。
(付記12)
前記PLL回路は、Fractional−N PLLであることを特徴とする付記1に記載のPLL回路。
(付記13)
PLL回路と、
前記PLL回路の出力を増幅してアンテナに出力する増幅部と
を有し、
前記PLL回路は、
基本周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号の位相差を比較する位相比較部と、
前記位相差に基づいて前記位相比較部から出力される位相差情報を検出する感度が異なる複数のロック検出部と、
前記複数のロック検出部による検出結果に基づいて、前記PLL回路のロック状態を判定するロック判定部と
を有することを特徴とするPLL回路無線通信機。
(付記14)
また本発明によるPLL回路のロック検出方法は、基準周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号との位相差に基づいて前記PLL回路に含まれる位相比較部から出力される位相差情報を複数の感度で検出し、前記複数の感度による検出結果に基づいてロック検出を行う、ことを特徴とする。
【符号の説明】
【0088】
1、91 位相比較器
2、92 チャージポンプ
3、93 ループフィルタ
4、94 電圧制御発振部
5、95 分周部
6a、6b、6e、96 ロック検出部
7、7c、97 ロック判定部
10a、10b、10f、81 PLL回路
11、54 XUPカウンタ
12、55 DOWNカウンタ
13、52、53、58、77 AND回路
14、59 コントロールロジック
15、60 フリップフロップ
21、22 シフトレジスタ
23 相関部
24 比較判定部
51 NOT回路
56 第1の比較器
57 第2の比較器
71 第1のカウンタ
72 第2のカウンタ
73 第3のカウンタ
74 第4のカウンタ
75 第1のセレクタ
76 第2のセレクタ
80 通信機
82 パワーアンプ
83 VCO制御部
84 クロックジェネレータ
85 ドライバ
86 送信アンテナ
87 インダクタ
88 水晶振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLL回路であって、
基本周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号との位相差を比較する位相比較部と、
前記位相差に基づいて前記位相比較部から出力される位相差情報を検出する感度が異なる複数のロック検出部と、
前記複数のロック検出部による検出結果に基づいて、前記PLL回路のロック状態を判定するロック判定部と、
を備えることを特徴とするPLL回路。
【請求項2】
前記感度は、前記位相比較器が前記位相差に基づいて出力されるパルスのカウント期間期間であることを特徴とする請求項1に記載のPLL回路。
【請求項3】
前記ロック検出部は、前記感度を変更できることを特徴とする請求項1に記載のPLL回路。
【請求項4】
PLL回路と、
前記PLL回路の出力を増幅してアンテナに出力する増幅部と
を有し、
前記PLL回路は、
基本周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号の位相差を比較する位相比較部と、
前記位相差に基づいて前記位相比較部から出力される位相差情報を検出する感度が異なる複数のロック検出部と、
前記複数のロック検出部による検出結果に基づいて、前記PLL回路のロック状態を判定するロック判定部と
を有することを特徴とするPLL回路無線通信機。
【請求項5】
PLL回路のロック検出方法であって、
基準周波数信号と前記PLL回路のフィードバック信号との位相差に基づいて前記PLL回路に含まれる位相比較部から出力される位相差情報を複数の感度で検出し、
前記複数の感度による検出結果に基づいてロック検出を行う
ことを特徴とするPLL回路のロック検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−200064(P2010−200064A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43449(P2009−43449)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】