説明

fac配位により高効率で[M(OH2)3(CO)3]+標識化するために生体分子にカップリングさせるための、Nεおよび/またはNαで誘導体化され、金属および有機保護されたL−ヒスチジン

本発明は、生体分子の放射性金属トリカルボニルによる標識化に使用できる新規ヒスチジン誘導体に関する。新しい誘導体は、Nεで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、Nαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、NεおよびNαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、Nεで誘導体化されているか;または、Nαで誘導体化されているか;または、NεおよびNαで誘導体化されているか;または、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されている、ヒスチジンを有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、fac配位により放射性金属トリカルボニル[M(OH(CO)で標識化するための、アミノ酸やペプチドなどの生体分子にカップリングできる新しいヒスチジン誘導体に関する。
【0002】
放射性医薬目的での生物学的に活性な分子の99mTcによる標識化は、研究の激しい分野である。商業的に入手できる放射性イメージング用の灌流剤は、癌細胞上に高密度で発現される様々な受容体のより正確な標的化を可能にする標識化ベクターにより補完されなければならない。今まで、数種の化合物が予備治験(pre-clinical trial)中であるが、商業的に適用されたものはない。
【0003】
多くの化学的および生物学的困難を克服しなければならない。化学的には、標的化ベクターは、i)適切な99mTcまたは他の放射性核種用のキレーターで誘導体化されなければならず、ii)高い比活性(低いベクター濃度)で標識化され、最終的に、その物理化学的特性およびその対応する受容体への親和性を保持するべきである。日常的な使用には、標識化過程は、好ましくは単一の段階で実施されなければならない。
【0004】
様々な操作が文献から利用可能であり、ペプチド、特にhynicのアプローチは有望に思われるが、臨床承認に必要とされる明確に定義された化合物が欠如しているという欠点を有する。
【0005】
本発明者らは、最近、有機金属性アコイオン[99mTc(OH(CO)のワンポット合成を提示し(Alberto et al., J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 3135)、様々な生体分子および特にペプチドの標識化について、この錯体フラグメントの使用の多用途性を示した。
【0006】
このカルボニルのアプローチの主な利点の1つは、配位子のタイプのみで定まる非常に高い比活性を有する十分に確定した錯体を入手できることである。ペプチド鎖中のN−末端ヒスチジンなどの天然産生二座配位子は、[99mTc(OH(CO)で効率的に標識化できる。比活性に関する改良は、低配位子濃度での標識化を可能にする、α−アミノ基を介する末端ヒスチジンの導入であった。
【0007】
しかしながら、このタイプの二官能性キレーターは、比較的高い新油性を有し、その合成は困難である。
【0008】
従って、本発明の目的は、様々に誘導体化されたヒスチジンを提供することであり、それは、最小の合成作業と最大の標識化効率をもって、いかなる任意のペプチド内または上へのその導入を可能にするものである。
【0009】
本発明者らは、錯体[99mTc(his)(CO)]は親水性であるので、ヒスチジンをイミダゾール環中のε−窒素で誘導体化するのが適切であると考えた。この官能化は、高い効率の三脚型(tripodal)配位部位をもとのまま残すが、依然として生体分子中のアミンまたはカルボキシル基へのカップリングを可能にする。最後に、[99mTc(his)(CO)]の合成は、[99mTcOから単一の段階で実施できるので、ヒスチジンはまた、配位子に影響を与えないワンポットの標識化操作の要件も満たす。
【0010】
従って、本発明は、以下のいずれかであるヒスチジンを含む、ヒスチジン誘導体に関する:
a)Nεで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
b)Nαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
c)NεおよびNαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
d)Nεで誘導体化されているか;または、
e)Nαで誘導体化されているか;または、
f)NεおよびNαで誘導体化されているか;または、
g)少なくともNαで、場合によりNδでも保護されている。
【0011】
εおよび/またはNαは、−(CH−Rで誘導体化されている。式中、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10、好ましくは、1、2、3、4または5で、Rは、−NH、−COOR、−OH、−Xまたは−X'−生体分子から選択される基であり、ここで、X'は、COOHとNHとの、NHとCOOHとの、OHとPh−OH(Phは、リン酸化ペプチドまたはグリコシルホスフェートなどの生体分子上のリン酸基である)との、またはXと生体分子上の求電子性官能基、特にS、OHまたはアミンとの反応、に由来する結合を有するカップリングブロック(coupling block)であり、Rは、H、t−ブチルまたはペンタフルオロフェニルである。Xは、ハロゲン化物、アジド化合物、疑似ハロゲン化物(pseudohalide)、ホスフェート、チオール、シリルから適切に選択される。
【0012】
εおよびNαのいずれかまたは両方は、生体分子で誘導体化できる。これは、いかなる生体分子でもよく、特に、抗体などのポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、糖、ビタミンなどである。適する生体分子の例は、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート(octreotate)、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体である。
【0013】
該生体分子は、Nεおよび/またはNαに直接カップリングさせることができるか、または、Nεおよび/またはNαは、最初に式−(CH−R(式中、Rは上記定義の通りである)の基で誘導体化することができる。
【0014】
αおよびNδは、カルボニルで保護でき、かくして6員尿素環を形成させられる。あるいは、Nα、Nδおよびカルボキシル基を金属トリカルボニルで保護する。
【0015】
これらの2つの保護形態は、−(CH−Rでの誘導体化を行うときに特に有用である。その後この基をさらに生体分子で誘導体化するときに、元の保護を、アミン保護基、特にFmoc、Cbz、BOC、Teoc、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルによるNαの保護、およびエステル化によるカルボキシル基の保護で置き換えてもよい。
【0016】
全誘導体化段階の完了後、ヒスチジン誘導体を脱保護し、その後、放射性標識化金属トリカルボニルに配位させ、標識化生体分子を得ることができる。
【0017】
放射性標識化金属トリカルボニルは、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から適切に選択される。
【0018】
本発明のさらなる態様によると、生体分子のカップリングは、Nε上の−(CH)n−Rが−(CH−COO−ペンタフルオロフェニルエステルとして誘導体化される場合に大いに助長されることが判明した。この誘導体化は、Nε上のCOOHの活性化を導く。このことは、生体分子自体がカップリングを競合するかもしれない遊離カルボン酸を有する場合に、いかなる修飾もなく生体分子と直接コンジュゲート(conjugation)する可能性をもたらす。上記の状況では、Nαおよびカルボキシル部分を保護する。
【0019】
本発明は、特に、以下の構造式の1つを有するヒスチジン誘導体に関する。
【化1】

【0020】
【化2】

【0021】
そのさらなる態様によると、本発明は、特許請求するヒスチジン誘導体にカップリングした生体分子に関する。該ヒスチジンは、生体分子の末端にあっても、その内部にあってもよい。あるいは、NεおよびNαの両方を生体分子で誘導体化して、二量体または二官能性分子を導くことができる。二官能性分子の例は、生体分子の片側が抗体または受容体へのリガンドなどの標的化機能を有し、生体分子の他方の側がその毒性のために使用される分子である。他の組合せも本発明の一部である。そのような二官能性分子は、例えば、腫瘍の標的化処置に使用できる。腫瘍への標的化は、処置すべき腫瘍の近傍に、毒性の生体分子および放射性金属をもたらす。
【0022】
適する生体分子は、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体である。
【0023】
本発明に至る研究の中で、Nα、Nδおよび−COO保護ヒスチジン中のNεにアセチル基を導入してモデル化合物Nε−(CHCOOH)−ヒスチジン誘導体9を得るために、2つの異なる経路が見いだされた。本発明の化合物は、ヒスチジン誘導体9と同様に、ペプチドなどの生物活性分子中のアミノ基にカップリングできる。そのようなバイオコンジュゲートの完全な脱保護後、ヒスチジンは、効率的に[99mTc(OH(CO)または[Re(OH(CO)97Ru(OH(CO)2+に面幾何学的(facial geometry)に配位する3つの配位部位を提供する。
【0024】
従って、本発明はまた、本発明のヒスチジン誘導体の製造方法も提供し、それは、
a)ヒスチジンを提供すること;
b)少なくともNαを、そして場合によりカルボキシルおよびNδを保護すること;
c)NεおよびNαの少なくとも1つを誘導体化すること;および、
d)保護基を脱保護すること、
を含む。
【0025】
本方法はさらに、段階e)脱保護化合物を標識化し、標識化化合物を得ること、を含み得る。
【0026】
本方法では、NαおよびNδをカルボニル基で保護し、かくして6員尿素環を形成し得るか、または、カルボキシル、NαおよびNδを金属、特に金属トリカルボニルに配位させ得る。
【0027】
εおよび/またはNαの誘導体化は、−(CH−Rで実施できる。式中、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10、好ましくは、1、2、3、4または5、Rは、−NH、−COOR、−OH、−Xまたは−X'−生体分子から選択される基であり、ここで、X'は、COOHとNH、NHとCOOH、OHとPh−OH(Phは、リン酸化ペプチドまたはグリコシルホスフェートなどの生体分子上のリン酸基である)、またはXと生体分子上の求電子性官能基、特にS、OHまたはアミン、の反応に由来する結合を有するカップリングブロックであり、Rは、H、t−ブチルである。あるいは、Nεおよび/またはNαは、生体分子で直接誘導体化できる。
【0028】
尿素環を利用して保護を達成し、−(CH−Rの誘導体化をNで行う場合、該環は、生体分子の導入に先立ち開環してもよい。その場合、カルボキシルをエステル化により保護し、Nαを、Fmoc、Cbz、BOC、Teoc、メチルオキシカルボニルまたはエチルオキシカルボニル基などのアミン保護基で保護する。
【0029】
誘導体化を助長するために、Nε上の−(CH−Rを、最初に−(CH−COO−ペンタフルオロフェニルエステルとして誘導体化してもよい。
【0030】
本方法が誘導体を標識化する段階を含む場合、これは、放射性標識化金属トリカルボニル、特に[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される放射性標識化金属トリカルボニルを用いて適切に行う。
【0031】
ε位での選択的誘導体化は、このように、NαおよびNδをカルボニル基で同時に保護して6員尿素を形成することにより、好都合に達成された。環状尿素環のFm−OHによる開環、モデルとしての9へのフェニルアラニンの第一級アミンを介する9へのカップリング、および1段階での全保護基の除去は、フェニルアラニンのヒスチジン誘導体をもたらし、それは、10−5Mで99mTcにより非常に高い収率で、10−6Mでも約50%収率で標識化できる。アニリンが9にカップリングした[Re(CO)との錯体のX線構造は、ヒスチジンの面配置(facial arrangement)を裏付ける。
【0032】
第2の経路は、下記のスキームに示す通り、[Re(CO)部分を保護基として直接適用する。
【化3】

【0033】
これは、金属フラグメントが有機官能基の保護基として使用されるまれな例の1つである。
【0034】
ヒスチジンへの配位は、Nα、Nδおよび−COOを単一の段階で保護し、その後のBrCHCOOH(R)によるNεでのアルキル化、フェニルアラニンへのカップリングおよび[Re(CO)の[ReOへの酸化的脱保護は、ヒスチジンがフェニルアラニンにアセチルアミドを介してNεでカップリングしている、対応するバイオコンジュゲート(bioconjugate)をもたらす。
【0035】
両方法とも、ヒスチジンを生体分子に、その3つの配位部位を保持したまま導入する便利な経路を与える。これらの操作は、垂れ下がった(pendant)アミンを有するいかなる生体分子にも適用可能であり、新規放射性医薬または逆転ペプチド(inversed peptide)の開発を可能にする。
【0036】
従って、ヒスチジンがイミダゾール環のNεを介して標的化分子に連結している場合、[99mTc(OH(CO)による生体分子の高収率の標識化がμMの濃度で可能である。そのような誘導体を産生するための2つの好都合な戦略が実現化されており、一方は、[Re(CO)3コアを、ヒスチジン中の3つの官能基のための有機金属保護基として用いる。この鍵となる化合物は、生体分子中のいかなるアミノ基にもカップリングさせることができ、水中で[99mTcOから単一の段階で標識化できる。このことは、新しい放射性医薬の開発を可能にする。
【0037】
選ばれる誘導体化法は、カップリングさせようとする生体分子によって決まる。尿素環の開環は、酸性pHおよび還元条件を必要とするが、一般的に、生体分子のカップリングに先立って実施される。この方法は、ビタミンなど、そのような条件に耐えられる生体分子に適する。あるいは、ポリペプチドは、金属カルボニルで保護されているヒスチジンにカップリングさせることができる。
【0038】
下記の実施例では、非常に効率的かつ生物学的に安定な生体分子の標識化のための、様々なタイプのヒスチジン誘導体を挙げる。
【0039】
αおよびNδは、単一の段階で保護でき、さらなる誘導体化のためにNεを遊離のまま残す。Nαでの誘導体化は同様に可能である。
【0040】
【化4】

【0041】
左の分子は、NαおよびNδが保護されNεが誘導体化(右側の分子で示す)のために残されたヒスチジンを示す。Nεでの誘導体化(アルキル化など)は、アミン、カルボキシレート、ハロゲン化物などであり得る垂れ下がった官能基を介して生体分子にカップリングできる様々な誘導体をもたらす。この種の合成は、本質的に文献公知である (R. Jain, et al, J. Chem. Soc., Dalton Trans, 1994, 2815)。脱保護後、Nαを介して[M(CO)に三脚型配位する可能性のあるヒスチジン誘導体が残る:
【化5】

【0042】
脱保護前に、分子1をいかなる種類の生体分子にカップリングさせることもできる。従って、Rは生体分子でもあり得る。次いで、脱保護により、再び三脚型ヒスチジン配位子を含有する生体分子を得る。この配位子は、99mTcまたは188Reによる標識化に関して最高の効率のものであり、ほぼn.c.a.レベルでの生体分子の標識化を可能にする。
【0043】
以下は、モデルペプチド配列にカップリングした三脚型ヒスチジンの例である:
【化6】

【0044】
合成技法と生体分子標識の組合せは新規であり、高収率は予想外である。さらに、本発明によると、非常に強力なカルボニル配位子を、今や非常に容易に生体分子にカップリングさせることができる。上述のタイプの誘導体は、その物理化学的特性を保持したまま、本質的にいかなる生体分子にもカップリングできる。本発明によるやり方でカップリングしたヒスチジンは、天然の配位子である。
【0045】
さらに、本発明のヒスチジン誘導体は、ペプチド鎖の向きを反転させるのに使用できる。通常のペプチド配列は、例えば以下の構造式を有する:
【化7】

【0046】
本発明のヒスチジン誘導体を利用して、反転配列を産生でき、2つのN末端および二座his配位子を得ることができる:
【化8】

【0047】
あるいは、2つのC末端を有する反転配列および二座his配位子を得ることができる:
【化9】

【0048】
ヒスチジン誘導体は、配列を反転させずにペプチド鎖に、例えば配列中に二座ヒスチジン配位子を有する以下の通常配列に、含まれることもできる:
【化10】

【0049】
この場合、二座の天然配位子を通常のペプチド配列に含めることが可能である。このペプチド鎖への包含は、今まで実現しなかった新しい種類の標識化をもたらす。
【0050】
構造中のNαでの修飾は、準天然ヒスチジンをもたらす。NαまたはNεのいずれかでの誘導体化は、以下の通りに選択的に可能である:
【化11】

【0051】
αとNεの両方での誘導体化は、同時に可能である。様々な官能基(生体分子も含む)を導入し(左)、脱保護後に三官能性ヒスチジンを得、次いで、それにより三官能性三脚型ヒスチジン配位子を得る(右):
【化12】

【0052】
あるいは、RまたはRのいずれかでのペプチド配列のカップリングは、通常(下)または反転(上)であり得るペプチド配列中に三座ヒスチジンを含めることを可能にする。
【化13】

【0053】
両戦略は、高効率かつ強力なヒスチジン配位子を適用することにより、低分子の標識化も可能にする。これは、即ち、アミノ酸または低酸素造影剤などの他の低分子の標識化に使用できる。[Tc(his−R)(CO)]錯体は、その結果、親水性の高いものである。このことは一般に生体分子に有利である。
【0054】
本願では、構造式IないしXVIIIに記載の化合物は、一般化された構造であることに留意すべきである。以下の表1は、各一般式の特徴の組合せをまとめたものである。
【0055】
【表1】

1=Nεで誘導体化
2=Nαで誘導体化
3=NεおよびNαで誘導体化
4=誘導体化せず
A=6員環を利用して保護
B=金属トリカルボニルを利用して保護
C=COOH上のエステルおよびNα上のアミン保護基により保護
D=脱保護したCOOHおよび標識化用の列CからのNαを有する式
太字=生体分子のない式
イタリック=生体分子のある式
np=あり得ない
【0056】
出願人の意図は、本明細書において、nの値で表されるアルキル鎖長およびNαおよび/またはNε上の様々な置換基Rの全ての可能な組合せを開示することである。下記は、全ての可能なnおよびRの組合せを列挙した表2である。いくつかの化合物では、以下に列挙した組合せの2つのいかなる組合せも可能である。
【0057】
【表2】

【0058】
生体分子を直接ヒスチジンにカップリングさせず、Nεおよび/またはNαを最初に誘導体化する場合、以下のnおよびRの組合せが可能である。
【表3】

【0059】
NH−BMは、ヒスチジン誘導体のNεおよび/またはNα上のNHを生体分子のCOOHにカップリングさせることを意味する。CO−BMでは、ヒスチジン誘導体のNεおよび/またはNα上のCOOHを生体分子のNHにカップリングさせる。O−BMは、ヒスチジン誘導体のNεおよび/またはNα上のOHを、生体分子のリン酸エステルまたはエーテル連結基の形成により、生体分子上のPh−OHまたはハロゲン化物にカップリングさせることを意味する。そしてX'−BMは、ヒスチジン誘導体のNεおよび/またはNα上のハロゲン化物、アジド、疑似ハロゲン化物(pseudohalide)、ホスフェート、チオールまたはシリルを、生体分子上のS、OHまたはアミンにカップリングさせることを意味する。
【0060】
本発明を以下の本発明をいかようにも限定しないことを意図する実施例で、さらに例示説明する。実施例では、生体分子の標識化のモデル系を記載する。同じやり方で、アミノ酸やペプチドなどの他の生体分子を標識化できることに留意すべきである。実施例では、以下の図面を参照する:
図1:3のオルテップ(Ortep)プロット、50%の確率で描かれた楕円体。
図2:6のオルテッププロット、50%の確率で描かれた楕円体、不斉ユニットの2つの分子の一方を示す。
図3:13のオルテッププロット、50%の確率で描かれた楕円体、不斉ユニットの2つの分子の一方を示す。
【0061】
実施例
実施例1
αおよびNδを保護した尿素−ヒスチジンの合成(スキーム1)
5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−c]ピリミジン−7−カルボン酸メチルエステル(分子3)
文献に従い、僅かな改変を加えてこの化合物を製造した(R. Jain et al. Tetrahedron, 1996, 52, 5363)。DMF(80ml)中のL−ヒスチジンメチルエステル(2.73g、11.28mmol)の溶液に、ImCO(1.88g、11.61mmol)を室温で添加した。反応混合物を70℃に6時間加熱し、室温に冷却し、ゆっくりと1M NaHCO水性溶液(250ml)に注いだ。いくらかの固体が水層から沈殿した。それをCHClで抽出した。抽出の間に、沈殿はCHClに完全に溶解した。
【0062】
合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、3を白色固体(1.35g、61%)として得た。Rf = 0.2 (EtOAc 100%); 1H NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ = 8.01 (s, 1H; CHim), 6.77 (s, 1H; CHim), 6.61 (br.s, 1H; NH), 4.37-4.34 (m, 1H; CHCO), 3.67 (s, 3H; OCH3), 3.25-3.23 (m, 2H; CH2CH); 13C NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ = 172.1, 149.2, 135.4, 126.9, 125.9, 53.6, 53.5, 23.7; MS (ESI): m/z(%): 195.73 (100) [M+], 167.8 (35), 135.8 (24); C8H9N3O3 (195.18)の元素分析、計算値 (%): C 49.23, H 4.62, N 21.54; 実測値: C 49.32, H 4.77, N 21.24。
X線構造解析に適する結晶は、EtOAcからゆっくりと蒸発させることにより得られた。
【0063】
実施例2
εへのカルボキシレート官能基の導入(スキーム1)
2−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−7−メトキシカルボニル−5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロイミダゾ[1,5−c]ピリミジン−2−イウム;臭化物(分子4)
ブロモ酢酸tert−ブチルエステル(0.57ml、3.86mmol)を、CHCN(25ml)中の3(250mg、1.28mmol)の溶液に添加した。反応混合物を24時間還流させ、室温に冷却し、真空で濃縮した。残渣をEtO(2x10ml)およびTHF(2x5ml)で洗浄し、真空で乾燥させ、4を白色粘着性固体として得、さらなる精製をせずに次の段階で使用した。1H NMR (300 MHz, D2O, 20℃): δ = 9.39 (s, 1H; CHim), 7.40 (s, 1H; CHim), 5.05 (s, 2H; CH2Nim), 4.78-4.61 (m, 1H; CHCO), 3.63 (s, 3H; OCH3), 3.42-3.39 (m, 2H; CH2CH), 1.39 (s, 9H; tBu); MS (ESI): m/z (%): 309.40 (13) [M+-HBr], 253.80 (100) [M+-HBr-(CH2=C(CH3)2)]。
【0064】
実施例3
ε保護ヒスチジンの製造(スキーム1)
メチルN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−1−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)ヒスチジネート(分子6)
THF(50ml)中の粗製の4(390mg)の溶液に、DIPEA(0.52ml、3.01mmol)およびBnOH(2.1ml、20.08mmol)を添加した。16時間還流した後、反応溶液を室温に冷却し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、6を白色固体として得た(260mg、3から62%)。Rf = 0.15 (CH2Cl2/MeOH 45:1); 1H NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ = 7.39-7.32 (m, 6H; 5 x CHph, CHim), 6.78 (s, 1H; CHim), 6.66 (br.d, J = 7.8 Hz, 1H; NH), 5.06 (s, 2H; CH2-Bn), 4.58 (s, 2H; CH2Nim), 4.42 (q, J = 2.6 Hz, 1H; CHCO), 3.62 (s, 3H; OCH3), 2.96 (t, J = 5.26 Hz, 2H; CH2CH); 13C NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ = 173.2, 168.3, 157.0, 139.1, 138.2, 137.8, 129.5, 129.0, 128.9, 119.2, 83.2, 67.2, 66.9, 55.2, 52.7, 49.3, 30.2, 28.2; MS (ESI): m/z (%): 417.53 (100) [M+]; C21H27N3O6 (417.48)の元素分析、計算値 (%): C 60.43, H 6.47, N 10.07; 実測値: C 60.43, H 6.57, N 9.97。
X線構造解析に適する結晶は、EtOAcへの1−ヘキセンの蒸気拡散法により得られた。
【0065】
実施例4
脱保護された官能基を有するヒスチジン化合物の製造および生体分子へのカップリング(スキーム2)
メチルN−[(ベンジルオキシ)カルボニル]−1−{2−[(1−エトキシカルボニル−2−フェニルエチル)アミノ]−2−オキソエチル}ヒスチジネート(分子10a)
CHCl/TFA(2:2ml)中の6(140mg、0.34mmol)の溶液を、2.5時間、室温で撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、真空でさらに乾燥させた。残渣、即ち粗製の化合物8を、CHCl(10ml)に溶解し、EtNを滴下して添加することにより中和した。BOP(148mg、0.34mmol)およびEtN(46μl、0.34mmol)を反応混合物に添加した。45分後、CHCl(10ml)中のフェニルアラニン−エチルエステル(84.6mg、0.37mmol)およびEtN(51μl、0.37mmol)の溶液をゆっくりとシリンジにより添加した。反応混合物を、さらに2.5日間室温で撹拌した。溶液をCHCl(30ml)で希釈し、1N HCl溶液(20ml)、1N NaHCO(20ml)、塩水(20ml)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、10aを無色油状物として得た(162mg、90%)。Rf = 0.2 (CH2Cl2/MeOH 40:1); 1H NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ = 7.37-7.28 (m, 9H; 2 x 4H-CHph, CHim), 7.16 (d, J = 8.23 Hz, 2H; 2 x CHph), 6.77 (br.d, J = 7.65 Hz, 1H; NH), 6.69-6.66 (m, 2H; CHim, NH), 5.05 (s, 2H; CH2-Bn), 4.61 (dt, J = 7.86 Hz, 1H; CH-Phe), 4.52 (s, 2H; CH2Nim), 4.43-4.41 (m, 1H; CHCO), 4.11 (q, J = 7.15 Hz, 2H; CH2CH3), 3.62 (s, 3H; OCH3), 3.10 (dd, J = 8.19 Hz, 1H; CH2-Phe), 2.99-2.93 (m, 3H; CH2-Phe, CH2CH), 2.57 (s, N-CH3), 1.18 (t, J = 7.13 Hz, 3H; CH3); 13C NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ = 173.3, 172.0, 167.8, 157.0, 139.1, 138.3, 138.2, 137.8, 130.4, 129.5, 129.4, 129.0, 128.9, 127.9, 118.9, 67.2, 62.2, 55.2, 54.8, 52.8, 49.9, 38.0, 30.3, 14.5; MS (ESI): m/z (%): 537.53 (100) [M++H]; C28H32N4O7+0.5[N(CH3)2]3P=O+0.5H2O (634.5)の元素分析、計算値(%): C 58.63, H 6.62, N 12.14; 実測値: C 58.98, H 6.89, N 12.48。
【0066】
【化14】

【0067】
【化15】

【0068】
実施例5
[Re(CO)保護ヒスチジン中のNεでの官能基の導入(スキーム3)
Re錯体(16a)
アセトニトリル(25ml)中の錯体14(25mg、0.059mmol)およびCsCO(20.4mg、0.065mmol)の溶液に、アセトニトリル(5ml)中のエチルブロモアセテート(29.5mg、0.176mmol)を添加した。反応混合物を35℃で1.5時間加熱した。氷酢酸を混合物に添加して中和した。標準的後処理の後、粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、錯体16a(30mg、90%)を得た。Rf = 0.15 (EtOAc/EtOH 5:1); 1H NMR (300 MHz, CD3CN, 20℃): δ = 7.95 (s, 1H; CHim), 6.92 (s, 1H; CHim), 4.78 (s, 2H; CH2Nim), 4.23-4.16 (q, J = 7.1 Hz, 2H; CH2CH3), 3.91-3.87 (m, 1H; CHCO), 3.21-2.98 (q, 2H; CH2CH), 1.28-1.23 (t, J = 7.5 Hz, 3H; CH3); 13C NMR (300 MHz, CD3CN, 20℃): δ = 199.5, 197.8, 197.8, 181.8, 168.8, 143.4, 135.7, 120.9, 63.0, 52.6, 49.4, 28.7, 14.4; MS (ESI): m/z (%): 511.8 (100) [M++H], 1020.7 (55) [2M+]; C15H18N3O7Re (510.5)の元素分析、計算値(%): C 30.59, H 2.76, N 8.23; 実測値: C 30.84, H 3.0, N 8.06。
【0069】
Re錯体(16b)
製造は、化合物16aと同様である。アセトニトリル(25ml)中の化合物14(25mg、0.059mmol)およびCsCO(20.4mg、0.065mmol)に、tert−ブチルブロモアセテート(34.5mg、0.176mmol)を添加した。反応混合物を35℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空下で乾燥させ、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/EtOH 5:1)により精製し、錯体16b(29mg、90%)を得た。1H NMR (300 MHz, CD3CN, 20℃) δ = 7.93 (s, 1H; CHim), 6.90 (s, CHim), 4.65(s, 2H; CH2Nim), 3.94-3.25 (m, 1H; CHCO), 3.27-3.23 (q, 2H; CH2CH), 1.45 (s, 9H; tBu); 13C NMR (CD3CN) δ = 181.3, 167.3, 143.1, 135.2, 120.6, 83.8, 52.3, 49.7, 28.5, 28.0, 27.8; MS (ESI): m/z (%): 539.9 (100) [M+], 1076.8 (50); C15H18N3O7Re (538.5)の元素分析、計算値 (%): C 33.43, H 3.34, N 7.80; 実測値: C 33.30, H 3.85, N 7.68。
【0070】
Re錯体15
エステル基を加水分解するために、化合物16a(30mg、0.057mmol)をメタノール(5mL)およびLiOH(0.5M、2ml)の溶液中、終夜、室温で撹拌し、化合物16b(15mg、0.028mmol)を塩化メチレン(2ml)およびトリフルオロ酢酸(2ml)の溶液中、2時間、室温で撹拌した。2つの粗製物質をカラムクロマトグラフィー(EtOH/THF/AcOH 10:1:0.1)により精製し、錯体15(各々95%および90%)を得た。
【0071】
実施例6
[Re(CO)保護ヒスチジン中のカルボキシレート基への生体分子のカップリングおよび[Re(CO)保護基の除去(スキーム4)
Re錯体17
CHCl/DMF(3:0.2ml)の混合溶液中の錯体15(8mg、0.02mmol)の溶液に、BOP(7.4mg、0.02mmol)およびEtN(2μl、0.02mmol)を室温で添加した。30分後、CHCl(2ml)中のフェニルアラニン−エチルエステル(4mg、0.02mmol)およびEtN(2μl、0.02mmol)の溶液を、シリンジで滴下して錯体溶液に添加した。反応混合物を終夜撹拌した。反応溶液を真空で濃縮した。残渣をジエチルエーテル(2x5ml)で処理した。白色固体をTHF(10ml)に溶解し、不溶性固体を濾過した。濾液を真空で濃縮し、錯体17のエチルエステルを得た(75%)。1H NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ= 7.8 (s, 1H; CHim), 7.34-7.21 (m, 5H; CHph), 6.8 (s, 1H; CHim), 4.63-4.59 (m, 1H; CHCO), 4.53 (d, 2H; CH2Nim), 4.08 (q, 2H; CH2CH3), 3.92-3.88 (m, 1H; CH-His), 3.18-3.10 (2 x dd, 2H; CH2-His, CH2-Phe), 3.05-2.96 (2 x dd, 2H; CH2-His, CH2-Phe), 1.17 (t, 3H; CH3); 13C NMR (500 MHz, CD3CN, 25℃): δ = 198.1, 196.6, 196.5, 180.4, 170.8, 165.5, 142.0, 136.7, 134.3, 129.4, 128.4, 126.8, 124.9, 120.3, 119.6, 61.2, 54.1, 51.4, 49.2, 37.2, 27.7, 13.4; IR (KBr):ν = 2020, 1886, 1733, 1636 cm-1; MS (ESI): m/z (%): 659 (100) [M++H]; C22H24N4O8Re (658.6)の元素分析、計算値 (%): C 40.12, H 3.67, N 8.51; 実測値: C 39.31, H 3.83, N 8.25。
【0072】
錯体のエチルエステル基を、上述の通り、錯体を0.5M LiOHおよびMeOH(1:2)の混合溶液中、終夜、室温で撹拌することにより加水分解し、錯体17を定量的に得た。
【0073】
錯体17および15からのレニウムの酸化の一般操作
化合物17または15(HO中5mM、500μl)の溶液および酸(HCl、TFAまたは酢酸)溶液(HO中、1.0、0.1または0.01M、70μl)を容器に入れ、密封し、窒素で脱気した(10分間)。H(HO中、0.43、0.86または1.29M、60μl)を脱気した容器に添加し、続いてサンプルを50℃で加熱した。反応混合物のモニタリングは、HPLCにより250nmで実行し、そこでは反応混合物(10μL)をHPLCに、4、8、24および48時間、またはスペクトル中でレニウム錯体が見えなくなるまで注入した。反応条件の有効性を、過レニウム酸塩の形成に対してレニウム錯体のピーク面積比を測定することにより算出した。レニウム錯体がもはや観察されなくなったら、反応混合物を二酸化マンガンで処理して残留Hを反応混合物から除去し、ワットマン0.2μm濾紙で濾過し、99mTc標識化に使用する、溶液中の配位していない配位子を得た。
【0074】
【化16】

【0075】
【化17】

【0076】
実施例7
εに垂れ下がった−NH基を有するヒスチジンの製造(スキーム5)
3−{1−[3−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−プロピル]−1H−イミダゾール−4−イル}−2−(3−トリメチルシラニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸メチルエステル(分子18)
MeCN(40ml)中の3(196mg;1.0mmol)およびN−Fmoc−3−ヨードプロピルアミン(1.22g;3.0mmol)の混合物を、還流で4.5日間加熱した。化合物3の尿素誘導体がTLCで検出されなくなったら、反応混合物を真空で濃縮し、白色固体を得た。固体物質をMeCN(40ml)に再溶解し、2−トリメチルシリルエタノール(355mg;3.0mmol)およびdipea(259mg;2.0mmol)を添加した。得られた混合物を、室温、N下で16時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、続いてカラムクロマトグラフィー(シリカ;EtOAc)により精製した。収量:316mg(2段階で53%)の泡状無色固体。
実測値: C, 62.1; H, 6.2; N, 9.5; Calc. for C31H40N4O6Si: C, 62.8; H, 6.8; N 9.5; νmax (KBr)/cm-1 3329br NH, 1730s, 1698vs C=O; δH (300.8 MHz; CD3CN) 7.82 (2H, 疑似-d, 2 x ArH), 7.64 (2H, 疑似-d, 2 x ArH), 7.38 (3H, m, 2 x ArH + N2CHHis), 7.32 (2H, 疑似-t, 2 x ArH), 6.79 (1H, s, CHHis), 6.55 (1H, d, J 7.5, NH), 5.68 (1H, br s, NH), 4.35 (3H, 重複する m, OCH2-Fmoc + CαH), 4.22 (1H, t, J 6.6, OCH2CH-Fmoc), 4.07 (2H, m, CH2), 3.87 (2H, m, CH2), 3.60 (3H, s, OCH3), 2.99 (2H, m, CH2), 2.90 (2H, m, CβH2), 1.85 (2H, m, CH2), 0.93 (2H, m, CH2), 0.01 (s, 9H, Si-(CH3)3). δC (CD3CN; 75.47 MHz) 173.7 (C=Oエステル), 157.7, 157.6 (2x C=Oアミド), 145.5, 142.2 (2 x ArCq), 138.4 (CHis), 128.9, 128.3 (2 x ArCH), 126.4 (CHis), 121.2, 118.6 (2 x ArCH), 118.1 (CHis), 66.9, 63.7, 55.3, 52.7, 48.3, 44.9, 38.6, 32.1, 30.1, 18.3, 1.4 (Si(CH3)3); m/z (ESI-pos., MeOH) 343, 371, 533, 593 [M+H]+
【0077】
3−[1−(3−アミノ−プロピル)−1H−イミダゾール−4−イル]−2−(3−トリメチルシラニル−プロピオニルアミノ)−プロピオン酸メチルエステル(分子19)
化合物18(255mg;0.43mmol)を1/1DMF/NEt混合物(8ml)に溶解した。混合物を1時間室温で撹拌した後、溶媒を真空で除去した。分取HPLC(C−18ecカラム;TFA緩衝液)により精製し、化合物19を無色泡状固体として、そのトリフルオロアセテート塩として得た。収量:190mg(91%)。
δH (300.08 MHz; CD3CN) 8.59 (1H, s, N2CHHis), 7.95 (3H, br, NH3+), 7.26 (1H, s, CHHis), 6.56 (1H, d, J 8.4 Hz, NH), 4.43 (1H, m, CαH), 4.24 (2H, t, J 6.9 Hz, CH2), 4.05 (2H, m, CH2), 3.68 (3H, s, OCH3), 3.22 (1H, m, CβH), 3.06 (1H, m, CβH), 2.95 (2H, t, J 6.9, CH2), 2.21 (2H, m, CH2), 0.89 (2H, m, CH2), 0.00 (9H, s, Si-(CH3)3); δC (75.47 MHz; CD3CN): 172.7 (C=Oエステル), 162.2 (q, JC, F 34.6, CF3), 157.7 (C=Oアミド), 135.9, 132.4, 120.7 (3 x CHis), 64.0, 54.6, 53.2, 47.0, 37.3, 28.6, 27.6, 18.2 (OCH3, Cα, Cβ + 5 x CH2), 1.5 (Si-(CH3)3); m/z (ESI-pos.; MeOH): 343.1, 370.8 ([M+H]+, C16H30N4O4Si は 371.2 を要する) 762 [2M+Na]+
【0078】
実施例8
ヒスチジン誘導体中のアミノ基への生体分子のカップリング(スキーム5)
a)ビオチン:D−(+)−ビオチン(35mg;0.14mmol)を、DMF/NEt(2.5ml)の4/1(v/v)混合物に溶解した。この混合物に、DMF(2ml)中の化合物19(91mg;0.19mmol)の溶液を添加し、続いてTBTU(46mg;0.14mmol)を添加した。混合物を45分間室温で撹拌した後、真空で蒸発乾固させた。残渣を2M NaHCO(20ml)に溶かし、CHCl(3x20ml)で抽出した。合わせた有機層を0.5M HCl(20ml)、HO(20ml)および塩水(2x20ml)で洗浄した。溶媒の除去後、化合物20を無色泡状固体として得た。収量:67mg(78%;ビオチンと比較して)。
【0079】
δH (300.08 MHz; CD3OD) 7.60 (1H, s, N2CHHis), 6.95 (1H, s, CHHis), 4.48 (1H, m), 4.41 (1H, m), 4.29 (1H, m), 4.09 (2H, m), 3.98 (2H, m), 3.69 (3H, s, OCH3), 3.16 (3H, 重複する-m, CH2 + H), 2.95-2.78 (5H, 重複する-m, 2 x CH2 + H), 2.70 (1H, m), 2.19 (2H, m, CH2), 1.93 (2H, m, CH2), 1.63 (4H, m, 2 x CH2), 1.43 (2H, m, CH2), 0.94 (2H, m, CH2), 0.01 (9H, s, Si-(CH3)3; δC (75.47 MHz; CD3OD): 176.4, 174.3 (C=Oエステル + N2C=O), 166.3, 158.9 (C=Oアミド), 138.5, 138.3, 118.7 (ArCHis), 64.2, 64.4, 61.7, 57.1, 55.7, 52.8, 45.7, 41.1, 37.4, 36.8, 31.9, 31.1, 29.8, 29.5, 26.8, 18.6 (10 x CH2, Cα, Cβ, OCH3, 3 x CH), 1.5 (Si-(CH3)3; m/z (FAB+; NBA) 597.2898 (M+, C26H45N6O6SiS は 597.2891を要する)。
【0080】
b)エンケファリンに:DMF(1.5ml)およびNEt(0.5ml)中の精製した化合物19(39mg;0.08mmol)および保護エンケファリン(85mg;0.08mmol)の溶液に、TBTU(25mg;0.08mmol)を添加した。混合物を45分間RTで撹拌し、真空で乾燥するまで濃縮した。化合物をHPLC(ラン1:C8−カラム;50mM TRIS緩衝液;ラン2:C8−カラム;TFA緩衝液)で精製した。収量:42mg(49%)の化合物21、ガラス状固体として。
δH (500.25 MHz; CD3OD) 8.77 (1H, s, N2CHHis), 7.43 (1H, s, CHHis), 7.28 (4H, m, 4 x ArH), 7.20 (1H, m, ArH), 7.12 (2H, 疑似-d, 2 x ArH), 6.90 (2H, 疑似-d, 2 x ArH), 4.52 (1H, m, CαH), 4.49 (1H, m, CαH), 4.22-4.09 (7H, 重複する m, 2 x CαH + 2 x CH2), 3.85 (2H, m, CH2-Gly), 3.78 (2H, m, CH2-Gly), 3.73 (3H, s, OCH3), 3.25-3.02 (9H, 重複する m, 2 x CH2 + 3 x CβH), 2.84 (1H, m, CβH), 2.04 (1H, m, CH2-CH2-CH2), 1.71 (1H, m, CγH-Leu), 1,56 (2H, m, CβH2), 1.36 (9H, s, OC(CH3)3), 1.28 (9H, s, OC(CH3)3), 0.94 (3H, d, J 6.3, Leu-CH3), 0.89 (3H, d, J 6.3, Leu-CH3); δC (90.5 MHz; CD3OD) 175.5, 175.1, 174.2 172.9, 172.6, 158.7, 158.2 (C=O,), 155.4, 138.3, 136.4, 133.6, 130.9, 130.2, 129.6, 128.0, 125.2, 121.2 (all ArC), 81.0, 79.6 (Cq), 64.5, 58.0, 57.5, 54.4, 53.2, 47.6, 44.1, 41.0, 38.1, 38.0, 36.3, 30.8, 29.2, 28.7, 28.2, 25.9, 23.5, 21.7, 18.6, -1.5 (CH, CH2 および CH3;); m/z (FAB+ ; NBA)1064.5789 ([M+H]+, C53H82N9O12Si は 1064.5852 を要する)。
【0081】
【化18】

【0082】
実施例9
εおよびNαへの2つの官能基のカップリング(スキーム6)
2,6−Bis−tert−ブトキシカルボニルメチル−7−メトキシカルボニル−5−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−c]ピリミジン−2−イウム;臭化物(分子22)
NaH13mg(0.307mmol)を、乾燥DMF(2ml)に0℃で懸濁した。DMF(1ml)中の60mg(0.307mmol)の化合物3の溶液を、ゆっくりと滴下して添加した。反応混合物を、0℃で30分間、室温でさらに1時間、気体が発生しなくなるまで撹拌した。反応溶液を再度0℃に冷却した。ブロモ酢酸tert−ブチルエステル0.07ml(0.461mmol)をシリンジで非常にゆっくりと冷却条件で添加した。溶液を0℃で30分間、室温でさらに2時間撹拌した。化合物3がTLCで検出されなくなったら、ブロモ酢酸tert−ブチルエステル0.14ml(0.921mmol)をもう一度滴下して添加した。反応混合物を70℃に終夜加熱した。反応をTLCでモニターした。15時間の加熱の後、溶液を室温に冷却し、真空で濃縮した。粗製残渣をジエチルエーテルで2回処理して過剰の臭化物を除去し、真空で乾燥させた。粗製化合物22をさらに精製せずに次の段階に使用した。MS(ESI):m/z:424.56[M−Br]
【0083】
2−[tert−ブトキシカルボニルメチル−(9H−フルオレン−9−イル−メトキシカルボニル)−アミノ]−3−(1−tert−ブトキシカルボニルメチル−1H−イミダゾール−4−イル)−プロピオン酸メチルエステル(分子23)
粗製の化合物22をアセトニトリル(10ml)に室温で溶解した。Fm−OH181mg(0.921mmol)およびDIPEA0.08ml(0.461mmol)を添加した。24時間室温で撹拌した後、反応溶液を1N HCl溶液の添加により中和し、減圧下で濃縮した。残渣をCHClに溶解し、水で1回、1N HCl溶液で1回抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物23を得た(収率:化合物3から40−50%)。
【0084】
【化19】

【0085】
実施例10
活性化ヒスチジン誘導体の製造
2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−3−(1−ペンタフルオロフェニルオキシカルボニルメチル−1H−イミダゾール−4−イル)プロピオン酸メチルエステル(分子24):化合物9(0.198mmol)をTHF(3ml)に溶解し、ピリジンを添加して溶液をpH6−7に中和した。ピリジン0.03ml(0.396mmol)を添加した。その後、THF(2ml)中のトリフルオロ酢酸ペンタフルオロ−フェニルエステル(TFA−Pfp)111mg(0.396mmol)の溶液をシリンジで滴下して非常にゆっくりと室温で添加した。反応混合物を室温で19時間撹拌した後、溶液を真空で濃縮した。粗製残渣をジクロロメタンに溶解し、0.5N HClで1回、0.5N NaCOで1回、そして塩水で1回抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、真空で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物24を得た。(収率:55%);MS(ESI):m/z:615.78[M+H]
【化20】

【0086】
実施例11
ヒスチジン誘導体のペプチドへの一般的カップリング操作
カップリング:化合物9または24をカップリング反応に使用した。これらの配位子の一方(通常0.02−0.08mmol)を、DMFに溶解し、EtNまたはDIPEA(0.03−0.1mmol)を塩基として添加した。化合物9の場合、配位子のカルボン酸基が30分以内に室温で活性化されるように、BOPまたはTBTU(通常0.025−0.09mmol)をカップリング試薬として添加した。その後、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、RGDまたはボンベシンなどのペプチド(通常0.01−0.02mmol)のDMF溶液をシリンジで滴下して添加した。化合物24の場合、カップリング試薬なしで、ペプチド溶液を塩基添加後すぐに添加した。化合物24は、Phe−Gly−OH、Gly−Pro−OH、ガストリン(構造中に7個の遊離COOH)またはTOCA−OHのように、ペプチドが遊離カルボン酸基を有する場合により安定である。ペプチドに応じて、反応混合物を2−18時間撹拌した。反応をHPLCによりモニターした。ペプチドがHPLCで検出できなくなったら、反応溶液を真空で濃縮した。粗製残渣を分取HPLCにより精製し、生成物をMSに付した。
【0087】
脱保護:ヒスチジンをコンジュゲートしたペプチド(通常0.003−0.006mmol)をピペリジン(1ml)に室温で溶解した。30−40分間撹拌した後、反応混合物を氷冷水(3ml)に注いだ。白色固体フルビン(fulvine)を濾過し、水(1ml)ですすいだ。水性溶液を真空で濃縮し、全ての、即ちFmocおよびメチルエステルの脱保護生成物として白色固体を得、それをさらに精製せずに標識化に使用した。
【0088】
標識化:コンジュゲートの溶液(水またはリン酸緩衝液(pH7.4)中、10−3または10−4M、100μl)を容器に入れた。次いで、[99mTc(CO)(HO)(900μl)の溶液をその容器に添加した(総濃度:10−4または10−5M)。溶液を90℃に30分間ないし1時間加熱した。通常、標識化は、定量的、30分間以内、10−4Mの濃度で、および、20ないし50%、30分間以内、10−5Mの濃度で行った。(ベータ)−ヘアピンループペプチドの場合、そのコンジュゲートは、10−5Mの濃度でも30分間以内に定量的標識化を示した。
【0089】
実施例12
一般的標識化操作
有機合成またはレニウム酸化経路を通して得られた配位子の溶液(HO中10−3または10−4M、100μl)を、容器に添加し、次いでそれを密封し、窒素ガス流で10分間脱気した。[99mTc(CO)(HO)(900μl)の溶液を容器にシリンジを介して添加し、容器を70−90℃に30分間加熱して対応する[99mTc(CO)錯体である[(5)99mTc(CO)]および[(11)99mTc(CO)]を、放射性検出を伴うHPLCを介して高収率で得た。全結果を表4に記載する。
【0090】
【表4】

【0091】
[a]:標識化は1時間以内に定量的に行われた。酸化由来の配位子5、75℃、30分間の収率は85%であった。
[b]:標識化は1.5時間後に64%収率に達した。
[c]:酸化由来の配位子11は、90℃、30分間で、収率88%を示した。
[d]:酸化由来の配位子11は、90℃、30分間で、収率73%を示した。
[e]:標識化は、1.5時間後に収率65%以上に達した。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、3のオルテッププロット、50%の確率で描かれた楕円体である。
【図2】図2は、6のオルテッププロット、50%の確率で描かれた楕円体、不斉ユニットの2つの分子の一方を示す。
【図3】図3は、13のオルテッププロット、50%の確率で描かれた楕円体、不斉ユニットの2つの分子の一方を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒスチジン誘導体であって、
a)Nεで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
b)Nαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
c)NεおよびNαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
d)Nεで誘導体化されているか;または、
e)Nαで誘導体化されているか;または、
f)NεおよびNαで誘導体化されているか;または、
g)少なくともNαで、場合によりNδでも保護されている、
のいずれかであるヒスチジンを含む、ヒスチジン誘導体。
【請求項2】
εおよび/またはNαが、(CH−Rで誘導体化されている〔式中、n=0−10、好ましくは1−5で、Rは、−NH、−COOH、−OH、−Xまたは−X'−生体分子から選択される基であり、ここで、X'は、COOHとNHとの、NHとCOOHとの、OHとPh−OH(但し、Phは、リン酸化ペプチドまたはグリコシルホスフェートなどの生体分子上のリン酸基である)との、またはXと、生体分子上の求電子性官能基、特にS、OHまたはアミンとの反応、に由来する結合を有するカップリングブロック(coupling block)である〕、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項3】
Xが、ハロゲン化物、アジド化合物、疑似ハロゲン化物(pseudohalide)、ホスフェート、チオール、シリルから選択される、請求項2に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項4】
εおよび/またはNαが生体分子で誘導体化されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項5】
該生体分子が、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体から選択される、請求項2に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項6】
該生体分子が、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体から選択される、請求項4に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項7】
αおよびNδがカルボニルで保護され、かくして6員尿素環を形成している、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項8】
α、Nδおよびカルボキシル基が、金属トリカルボニルで保護されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項9】
αが、アミン保護基、特にFmoc、Cbz、BOC、Teoc、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで保護され、カルボキシル基がエステル化により保護されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項10】
α、Nδおよびカルボキシル基が脱保護され、その代わりに放射性標識化金属トリカルボニルに配位している、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項11】
α、Nδおよびカルボキシル基が脱保護され、その代わりに放射性標識化金属トリカルボニルに配位している、請求項2に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項12】
α、Nδおよびカルボキシル基が脱保護され、その代わりに放射性標識化金属トリカルボニルに配位している、請求項3に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項13】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項10に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項14】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項11に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項15】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項12に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項16】
εが、−(CH)n−COO−ペンタフルオロフェニルで誘導体化されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体(請求項1の代わりに、請求項2がより妥当ではないか)。
【請求項17】
αおよびカルボキシルが保護されている、請求項16に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項18】
以下の構造式:
【化1】

【化2】

【化3】

の1つを有する、ヒスチジン誘導体。
【請求項19】
請求項1に記載のヒスチジン誘導体にカップリングした生体分子。
【請求項20】
該生体分子が、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体から選択される、請求項19に記載の生体分子。
【請求項21】
該生体分子が、放射性標識化金属トリカルボニルで標識化されている、請求項19に記載の生体分子。
【請求項22】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載のヒスチジン誘導体の製造方法であって、
a)ヒスチジンを提供すること;
b)少なくともNαを、そして場合によりカルボキシルおよびNδを保護すること;
c)NεおよびNαの少なくとも1つを誘導体化すること;および、
d)保護基を脱保護すること、
を含む、方法。
【請求項24】
段階e)脱保護した化合物を標識化し、標識化化合物を得ることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
αおよびNδをカルボニル基で保護し、かくして6員尿素環を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
カルボキシル、NαおよびNδが、金属、特に金属トリカルボニルに配位する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
カルボキシルがエステル化により保護され、Nαが、アミン保護基、特にFmoc、Cbz、BOC、Teoc、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで保護される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
εおよび/またはNαが、(CH−Rで誘導体化されている〔式中、n=0−10、好ましくは1−5で、Rは、−NH、−COOH、−OH、−Xまたは−X'−生体分子から選択される基であり、ここで、X'は、COOHとNHとの、NHとCOOHとの、OHとPh−OH(但し、Phは、リン酸化ペプチドまたはグリコシルホスフェートなどの生体分子上のリン酸基である)との、またはXと、生体分子上の求電子性官能基、特にS、OHまたはアミンとの反応、に由来する結合を有するカップリングブロックである〕、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
εおよび/またはNαが生体分子で誘導体化される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
εが−(CH−COO−ペンタフルオロフェニルで誘導体化される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
該化合物が放射性標識化金属トリカルボニルで標識される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項31に記載のヒスチジン誘導体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒスチジン誘導体であって、
a)Nεで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
b)Nαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
c)NεおよびNαで誘導体化され、少なくともNαで、場合によりNδでも保護されているか;または、
d)Nεで誘導体化されているか;または、
e)Nαで誘導体化されているか;または、
f)NεおよびNαで誘導体化されているか;または、
g)少なくともNαで、場合によりNδでも保護されている、
のいずれかであるヒスチジンを含む、ヒスチジン誘導体。
【請求項2】
εおよび/またはNαが、(CH−Rで誘導体化されている〔式中、n=0−10、好ましくは1−5で、Rは、−NH、−COOH、−OH、−Xまたは−X'−生体分子から選択される基であり、ここで、X'は、COOHとNHとの、NHとCOOHとの、OHとPh−OH(但し、Phは、リン酸化ペプチドまたはグリコシルホスフェートなどの生体分子上のリン酸基である)との、またはXと、生体分子上の求電子性官能基、特にS、OHまたはアミンとの反応、に由来する結合を有するカップリングブロック(coupling block)である〕、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項3】
Xが、ハロゲン化物、アジド化合物、疑似ハロゲン化物(pseudohalide)、ホスフェート、チオール、シリルから選択される、請求項2に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項4】
εおよび/またはNαが生体分子で誘導体化されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項5】
該生体分子が、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体から選択される、請求項2に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項6】
該生体分子が、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体から選択される、請求項4に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項7】
αおよびNδがカルボニルで保護され、かくして6員尿素環を形成している、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項8】
α、Nδおよびカルボキシル基が、金属トリカルボニルで保護されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項9】
αが、アミン保護基、特にFmoc、Cbz、BOC、Teoc、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで保護され、カルボキシル基がエステル化により保護されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項10】
α、Nδおよびカルボキシル基が脱保護され、その代わりに放射性標識化金属トリカルボニルに配位している、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項11】
α、Nδおよびカルボキシル基が脱保護され、その代わりに放射性標識化金属トリカルボニルに配位している、請求項2に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項12】
α、Nδおよびカルボキシル基が脱保護され、その代わりに放射性標識化金属トリカルボニルに配位している、請求項3に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項13】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項10に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項14】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項11に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項15】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項12に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項16】
εが、−(CH)n−COO−ペンタフルオロフェニルで誘導体化されている、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項17】
αおよびカルボキシルが保護されている、請求項16に記載のヒスチジン誘導体。
【請求項18】
以下の構造式:
【化1】

【化2】

【化3】

の1つを有する、ヒスチジン誘導体。
【請求項19】
請求項1に記載のヒスチジン誘導体にカップリングした生体分子。
【請求項20】
該生体分子が、ボンベシン、メラノコルチンなどの(アルファ)−MSHペプチド、オクトレオテート、ソマトスタチン、インターロイキン−8(IL8)、CCK、(ベータ)−ヘアピンループペプチド、ニューロテンシン、ビオチン、前立腺膜特異抗原(pmsa)に対するモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体から選択される、請求項19に記載の生体分子。
【請求項21】
該生体分子が、放射性標識化金属トリカルボニルで標識化されている、請求項19に記載の生体分子。
【請求項22】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項21に記載の生体分子
【請求項23】
請求項1に記載のヒスチジン誘導体の製造方法であって、
a)ヒスチジンを提供すること;
b)少なくともNαを、そして場合によりカルボキシルおよびNδを保護すること;
c)NεおよびNαの少なくとも1つを誘導体化すること;および、
d)保護基を脱保護すること、
を含む、方法。
【請求項24】
段階e)脱保護した化合物を標識化し、標識化化合物を得ることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
αおよびNδをカルボニル基で保護し、かくして6員尿素環を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
カルボキシル、NαおよびNδが、金属、特に金属トリカルボニルに配位する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
カルボキシルがエステル化により保護され、Nαが、アミン保護基、特にFmoc、Cbz、BOC、Teoc、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで保護される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
εおよび/またはNαが、(CH−Rで誘導体化されている〔式中、n=0−10、好ましくは1−5で、Rは、−NH、−COOH、−OH、−Xまたは−X'−生体分子から選択される基であり、ここで、X'は、COOHとNHとの、NHとCOOHとの、OHとPh−OH(但し、Phは、リン酸化ペプチドまたはグリコシルホスフェートなどの生体分子上のリン酸基である)との、またはXと、生体分子上の求電子性官能基、特にS、OHまたはアミンとの反応、に由来する結合を有するカップリングブロックである〕、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
εおよび/またはNαが生体分子で誘導体化される、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
εが−(CH−COO−ペンタフルオロフェニルで誘導体化される、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
該化合物が放射性標識化金属トリカルボニルで標識される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
該放射性標識化金属トリカルボニルが、[99mTc(OH(CO)、[188Re(OH(CO)および[97Ru(OH(CO)2+から選択される、請求項31に記載のヒスチジン誘導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−527167(P2006−527167A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505358(P2006−505358)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004683
【国際公開番号】WO2004/097406
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(501393966)ウニヴェルジテート・チューリッヒ (13)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITAET ZUERICH
【Fターム(参考)】