説明

h−PRUNEを過剰発現する腫瘍の転移を予防及び治療するためのh−PRUNEの酵素阻害剤の使用

本発明は、h−PRUNEの酵素阻害剤の使用、及びh−PRUNEを過剰発現する腫瘍の転移の予防及び治療のスクリーニング方法、及び前記転移の予後のための診断キットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、h−PRUNEを過剰発現する腫瘍の転移を予防及び治療するためのh−PRUNEの酵素阻害剤の使用、前記阻害剤のスクリーニング方法、及び転移の検出のための診断キットに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、乳房膿瘍、肉腫、メラノーマ、神経芽細胞腫の転移を予防及び治療するためのh−PRUNEの酵素阻害剤の使用、及び前記阻害剤のスクリーニング方法に関する。さらに、本発明は、前記腫瘍の転移の診断キットに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトPRUNE(h−PRUNE)タンパク質は、DHHスーパーファミリーに属し、これは、細菌の核RecJ並びに酵母及び細菌のピロホスファターゼなどのいくつかのホスホエステラーゼを含む(Aravind他、1998年)。
【0004】
DHHスーパーファミリーは、それぞれのグループ内に、但し様々なグループにまたがらずに、非常によく保存されている−C末端モチーフに基づき2つの主要なグループに分けることができる。このスーパーファミリーのすべてのメンバーは、イオン結合に関わり、ホスホエステル化に触媒作用を及ぼすことが予測される高く保存されている荷電アミノ酸残基を含む4つの他のモチーフを有する。これらの主要な特性は、第3のモチーフ、つまりDHH(Asp−His−His)であり、このスーパーファミリーはそれにちなんで名付けられている。
【0005】
RecJタンパク質は、DNA修復タンパク質であり、他のヌクレアーゼ及びきちんと特徴付けされていない細菌タンパク質と共に、第1のグループに属しているが、PRUNE及びポリホスファターゼは第2のグループに属している。
【0006】
ショウジョウバエの遺伝子PRUNEは、元々、野生型のハエの真っ赤な目とは対照的に、ドロソプテリンの減少による目の茶色がかった紫色を示す突然変異表現型に基づいて特徴付けられたものである(Timmons他、1996年)。同型接合型PRUNE突然変異体は生存可能であり、繁殖可能であるが、羽根を生じさせる成虫原基の正しい形成に干渉する少なくとも1つの単一突然変異コピーの存在下で擬似黒色腫瘍を発症することにより致命的である(awd/K−pn、PRUNEのキラーともいう)。
【0007】
ヒトは、awd遺伝子(nm23)の最大8個までのオーソログをコードし、そのうち少なくとも4つは、ヌクレオシド三リン酸からヌクレオシド二リン酸へのリン酸基転移に触媒作用を及ぼす活性ヌクレオシド二リン酸キナーゼ(NDKP)についてコードする(Lombardi他、2000年)。
【0008】
いくつかの腫瘍及び高増殖性細胞は、nm23−H1 mRNA及びそのタンパク質を過剰発現し、ほとんどの場合、この過剰発現は、癌の初期段階に連関している。乳癌は、その生物学的異質性及び治療に対する反応性が広範であることのため、臨床管理が難しい複雑な疾患である(Keen他、2003年)。腫瘍形成の根底にある分子レベルのメカニズムに関する知識が向上したことで、病変発症の様々な段階における様々な癌予後と相関関係を有するますます増えるバイオマーカーの同定が可能になり、その結果、最も好適な治療上の処置を選べるようになった(Keen他、Domchek他、2002年)。
【0009】
原発性乳癌の場合に現在使用されている十分に確立された予後因子には、リンパ節転移、書式学的所見、癌の大きさ、エストロゲン及びプロゲステロン受容体の状態、増殖指数、核又は組織学的グレードがある(Kuru他、2003年、Morabito他、2003年)。腫瘍病変発症におけるその後の段階の予後のためのマーカーとして使用されるその後の変換、侵襲性、及び転移プロセスに関わる新しい分子を用意すると有益であろう。
【0010】
乳癌及びメラノーマでは、ヒトnm23−H1の高い発現は、転移能の減少に関連する(Florenes他、1992年)。乳癌の特異ケースについては、転移の広がりは、実質的にすべての癌死亡に関与している。
【0011】
侵襲性腫瘍細胞になるには、その接着性を変え、原発腫瘍内の他の細胞との接触を緩め、腫瘍細胞が侵襲する組織の宿主細胞の細胞外マトリックスとの新しい接触を確立する必要がある。この文脈において、腫瘍細胞の周囲のプロテアーゼ活性の調節は、重要な役割を果たす。原発腫瘍から移行し、循環系から出て、二次器官のコロニー形成を行うために、腫瘍細胞は、運動性機能を取得する必要もある。
【0012】
今日まで、複数の転移抑制遺伝子が分離され、特徴付けられている(Steeg他、2003年)。このグループ内では、nm23は、腫瘍乳腺細胞内で過剰発現したときに細胞運動性の減少を引き起こし(Freije他、1997年、Hartsough他、2001年、Freije他、1997年)、足場非依存性コロニー形成に影響を及ぼし、分化を引き起こす(Kantor他、1993年、Leone他、1993年、Howlett他、1994年、Hart−sough他、1998年、Lombardi他、2000年)ことが知られている。さらに、悪性乳癌細胞系クローンMDA−C100におけるnm23−H1の過剰発現は、その転移性表現型をin vitroとin vivoの両方で減らすことが実証されている(Hartsough他、2000年、Mao他、2001年、Tseng他、2001年)。
【0013】
本発明者は、以前の研究で、h−PRUNEとnm23−H1との間の相互作用、及びnm23H1−S120G突然変異によるこの相互作用の阻害を実証した(Reymond他、1999年)。さらに、h−PRUNEの複数のコピーの増幅の結果、細胞増殖が引き起こされ、高レベルのh−PRUNE発現は、中又は低nm23−H1レベルに比べて、肉腫及び乳癌腫瘍の悪性度増大と相関関係があることが開示されている(Forus他、2001年)。
【0014】
したがって、腫瘍及びその転移の治療及び予防に都合よく使用されるh−PRUNEの酵素活性を阻害するのに好適な化合物を提供することが必要であることは、h−PRUNEの過剰発現により特徴付けられることは明らかである。
【0015】
そこで、本発明の著者は、特に乳癌の転移に特に相関する、治療酵素作用阻害の影響を受けやすい、h−PRUNEの新しい酵素活性を確認した。実際、著者は、h−PRUNEが、基質としてのcAMPに対する親和性がcGMPよりも優先するサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性を有し、これは何らかのホスホジエステラーゼ阻害剤により効果的に抑制されることを発見した。
【0016】
さらに、本発明の著者により実施された研究を通して、h−PRUNE酵素は、複数の組織内の転移性腫瘍のnm−23発現の同時減少を伴って過剰発現することになることが突き止められた。さらに、乳房腫瘍モデルにおけるnm23H1との物理的タンパク質間相互作用による、cAMP−PDE h−PRUNEの活性増大と細胞運動性との間の直接的相関関係も見つかった。この発見は、細胞増殖及び腫瘍転移プロセスの抑制におけるnm23−H1の防御機能の修正をもたらすh−PRUNEとnm23−H1との間の相互作用の重要性を示している。
【0017】
本発明の他の態様によれば、乳癌の臨床的発症の予後に対する潜在的独立マーカーとしてのh−PRUNEの考えられる役割は、乳癌患者グループ内でのh−PRUNEタンパク質及びnm23−H1の発現の分布を研究することにより評価された。特に、h−PRUNE過剰発現は、様々な分析された臨床例間で均質的に分布し、例えば、腫瘍型、組織学的サイズ、エストロゲン及びプロゲステロン受容体反応性、リンパ節転移などの他の因子から独立して予後マーカーとしてタンパク質を有利に使用する機会が得られる。新しいマーカーの同定は、採用すべき目標治療の選択に関して、転移能を有する腫瘍を同定し、乳癌に悩む患者をより効果的に管理するために使用することができる。
【0018】
h−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害を評価する好適なスクリーニング法を通じて試験されたいくつかのホスホジエステラーゼ(PDE)のうち、抗凝血性について既に知られている薬剤は、in vitroと乳房細胞モデルの両方において、IC50に関してh−PRUNE活性を阻害する最高の能力を示した。また、スクリーニングにおけるビンポセチン及び3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)は、h−PRUNE阻害に対しIC50の有望な値を示しており、この選択からのデータは、上述の3つの成分の構造上類似の誘導体及び異性体に対するスクリーニングの取り扱いを示唆している。
【0019】
最後に、多くの転移性の乳房の腫瘍のin vivo分析から、h−PRUNEタンパク質の高いレベルとnm23−H1発現の負の調節との間の直接的相関関係の存在が確認されており、その結果、臨床的追跡研究で報告されているように遠隔転移形成が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の目的は、例えば、乳癌、肉腫、神経芽細胞腫、前立腺腫瘍、膵臓腫瘍、結腸腫瘍、直腸腫瘍、髄芽細胞腫、上皮腫、肝癌(epatocarcinoma)、T細胞又はB細胞リンパ腫、骨髄腫、及びメラノーマなどの、h−PRUNEの過剰発現によって特徴付けられる腫瘍転移の予防及び治療用の薬剤を製造するために、h−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤を使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
特に、本発明は、以下の一般式(I)を有するh−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤に関する。
【化1】


式中、R1及びR2は、同じ又は異なり、アミノアルコール、アミノアルキル、コレステロールからなる群から選択することができ、
R3及びR4は、同じ又は異なり、複素環式芳香族又は芳香環からなる群から選択することができる。好ましくは、複素環式芳香族環は、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、モルホリンからなる群から選択することができる。本発明の好ましい一実施形態では、R1及び/又はR2は、ジエタノールアミンであり、R3及び/又はR4は、ピリミジンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のより好ましい一実施形態では、R1及びR2は、ジエタノールアミンであり、R3及びR4は、ピリミジンであり、阻害剤は、ジピリダモールである。
【0023】
本発明は、さらに、ビンポセチン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、IC261及び誘導体、構造類似物、及びその異性体からなる群から選択することができるh−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤の使用に関する。
【0024】
さらに、本発明の目的は、アミノ酸配列NIIHGSDSVESAEKE(配列番号9)を含むペプチドであるh−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤の使用である。特に好ましい一実施形態では、前記ペプチドは、さらに、前述のアミノ酸配列の下流に、浸透性に関わり、配列GGGYGRKKRRQRRRを有する他のペプチドを含む。したがって、浸透性があることを特徴とするペプチドは、配列NIIHGSDSVESAEKEGGGYGRKKRRQRRR(配列番号10)を含む。
【0025】
本発明の他の目的は、ペプチドが、アミノ酸配列NIIHGSDSVESAEKE(配列番号9)を含み、特定の一実施形態では、ペプチドは、アミノ酸配列NIIHGSDSVESAEKEGGGYGRKKRRORRR(配列番号10)を含むことであり、配列GGGYGRKKRRORRRがあるため浸透性を有することを特徴とする。
【0026】
本発明の他の目的は、h−PRUNE阻害化合物のスクリーニング方法であり、これは以下のステップを含む。
a)少なくとも1つのホスホエステラーゼ(PDE)阻害化合物又は誘導体、構造類似物、又はその異性体を選択するステップ、
b)0.05μMから10μMの範囲の濃度の前記少なくとも1つの化合物を、1つのh−PRUNE過剰発現細胞系に投与するステップ、
c)h−PRUNEのサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の定量分析を行い、及び/又は細胞運動性対前記少なくとも1つの化合物及び化学誘引物質の濃度の分析を行い、及び前記ホスホジエステラーゼ活性を0.01から1pmol/min−1/ug−1の間の値に阻害し、及び/又は前記運動を200から1200細胞の間の値まで阻害することができる化合物を選択するステップ。
【0027】
前記活性の阻害剤として試験した化合物によるh−PRUNEのサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害は、前記の化合物に対するIC50の評価により確定することができる。
【0028】
h−PRUNEを過剰発現する細胞系は、MDA−C100 435 prune #4(10/12/2004にジェノアのCBAに寄託)である。
【0029】
h−PRUNEのサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の定量分析は、c−AMP及び/又はc−GMP基質の加水分解試験により実施できる。前記基質は、0.008μMから1μMの範囲の濃度で使用される。
【0030】
本発明の他の目的は、少なくとも同定された1つの化合物、又はその誘導体、構造類似物、又は異性体を、1つ又は複数の補助剤及び/又は薬理学的に許容される賦形剤と共に、混合する追加のステップd)を含む、上述のような方法を含む薬剤組成物を製造する方法である。
【0031】
さらに、本発明は、h−PRUNEの過剰発現により特徴付けられる腫瘍の転移の予防及び治療用の薬剤を製造するための、前記腫瘍は乳癌、肉腫、神経芽細胞腫、及びメラノーマである、上で定義されたような方法に従って選択されたh−PRUNE阻害化合物の使用に関する。
【0032】
本発明の他の目的は、免疫学的アッセイ、FISH分析、リアルタイムPCR、in situハイブリッド形成法によりh−PRUNE過剰発現により特徴付けられる腫瘍の転移を診断するため生物試料中のh−PRUNEを検出する方法である。特に、前記方法は、以下のステップを含むことができる。
a)例えば、組織切片又は生体液などの前記生物試料を、放射性同位体、蛍光分子、又は酵素で標識付けできる少なくとも1つのモノクローナル若しくはポリクローナル抗h−PRUNE抗体と接触させるステップ、
b)抗原抗体複合体を検出するステップ、
c)抗原抗体複合体の定量分析を行うステップ。
【0033】
抗原抗体複合体の検出及び定量分析は、免疫組織化学分析、免疫沈降分析、免疫蛍光検査分析、ELISA分析、免疫ブロット分析により実施することができる。
【0034】
リアルタイムPCRによりh−PRUNE過剰発現により特徴付けられる腫瘍の転移を診断するため生物試料中のh−PRUNEを検出する方法に関して、特異的プライマーは、5’−AGAGATCTTGGACAGGCAAACT−3’(配列番号1)、3’−CCATGTTGACACAGTCCAGGAT−5’(配列番号2)、又はその相補配列である。
【0035】
in situハイブリッド形成法を使用して過剰発現により特徴付けられる腫瘍の転移を診断するため生物試料中のh−PRUNEを検出する方法に関して、標識プローブは、オリゴヌクレオチド配列CTGCATGGAACCATC(配列番号3)又はその相補配列又はTをUで置き換えた配列を含むことができる。
【0036】
リアルタイムPCRの前記標識プローブは、線形又は円形プローブとすることができ(TaqMan、ハイブリッド形成プローブ、分子ビーコン)、標識付けは、少なくとも1つの放射性同位体及び/又は蛍光色素により実施できる。少なくとも1つの蛍光色素(放射若しくは励起型)、好ましくは6FAM(6−カルボキシフルオレセイン)による標識付けは、プローブオリゴヌクレオチド配列の3’及び/又は5’末端で実施できる。
【0037】
本発明の他の目的は、例えば、放射性同位体、蛍光分子、又は酵素で標識付けできる、少なくとも1つのモノクローナル又はポリクローナル抗h−PRUNE抗体を含む、h−PRUNE過剰発現により特徴付けられる腫瘍(例えば、乳癌、肉腫、神経芽細胞腫、メラノーマ、前立腺癌、直腸結腸癌など)の転移を診断するため生物試料中のh−PRUNEを検出するための診断キットである。
【0038】
診断キットは、それとは別に、配列5’−AGAGATCTTGGACAGGCAAACT−3’(配列番号1)、3’−CCATGTTGACACAGTCCAGGAT−5’(配列番号2)、又はその相補配列を含むことができるh−PRUNEの特異的プライマーをいくつか含むことができる。
【0039】
最後に、診断キットは、オリゴヌクレオチド配列CTGCATGGAACCATC(配列番号3)又はその相補配列又はTをUで置き換えた配列を含むことができるリアルタイムPCR又はin situハイブリッド形成用の少なくとも1つの標識オリゴヌクレオチドプローブを備えることができる。
【0040】
リアルタイムPCR用の前記標識オリゴヌクレオチドプローブは、線形及び/又は円形プローブであり、標識付けは、少なくとも1つの放射性同位体及び/又は蛍光色素、好ましくは6F AM(6カルボキシフルオレセイン)を使用することができ、プローブのオリゴヌクレオチド配列の3’及び/又は5’末端で実施することができる。
【0041】
本発明の他の目的は、IgM免疫グロブリンクラスに属し、4G3/4クローン(10/12/2004にジェノアのCBAに寄託)により産生されることを特徴とする、h−PRUNE組換えタンパク質を認識し、選択的に結合することができるモノクローナルマウス抗体である。このクローンは、NH末端でマルトース結合タンパク質(pMAL5構造)を含む融合構造内のh−PRUNE組換えタンパク質全体によるマウスへの免疫付与を通じて得られた。タンパク質は、マルトースアフィニティカラムクロマトグラフィーを通じて精製され、その後、1つのブースターが精製タンパク質100μgを含む5つのブースターと共に、2匹のマウスに注射された。
【0042】
さらに、本発明は、アミノ酸配列NH−Ala−Leu−Glu−Glu−Ala−Val−Ala−Glu−Val−Leu−Asp−His−Arg−Pro−Ile−Glu−Pro−Lys−COOH(配列番号4)又はその一部を含むウサギ免疫に使用されるペプチドを認識し、選択的に結合することを特徴とする、h−PRUNE(A59)ウサギポリクローナル抗体に関する。
【0043】
本発明の他の目的は、オリゴヌクレオチド配列5’−AGAGATCTTGGACAGGCAAACT−3’(配列番号1)、3’−CCATGTTGACACAGTCCAGGAT−5’(配列番号2)、又はその相補配列のうちの少なくとも1つを含むリアルタイムPCRによるh−PRUNE増幅用の特異的プライマーを提供することである。
【0044】
最後に、本発明は、配列CTGCATGGAACCATC(配列番号3)又はその相補配列又はTをUで置き換えた配列を含む、リアルタイムPCR又はin situハイブリッド形成用のh−PRUNE特異オリゴヌクレオチドプローブに関する。
【0045】
リアルタイムPCR用の前記オリゴヌクレオチドプローブは、線形及び/又は円形プローブであり、少なくとも1つの放射性同位体及び/又は蛍光色素、好ましくは6FAM(6−カルボキシフルオレセイン)で標識付けすることができ、前記標識付けは、プローブのオリゴヌクレオチド配列の3’及び/又は5’末端で実施することができる。
【0046】
本発明は、好ましいいくつかの実施形態により、付属の図面の図を特に参照しつつ、例示により、但し制限することなく、説明される。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
h−PRUNEの構造及び機能分析
材料と方法
タンパク質配列分析
アメリカ国立バイオテクノロジーセンター(NIH、ベテスダ)のタンパク質配列の非冗長データベースは、PSI−BLASTプログラムを使用して繰り返し検索した(Altschul他、1997年)。タンパク質配列の多重整列は、T_coffeeプログラム(Notredame他、1993年)を使用して構築され、PSI−BLASTプログラムの結果に基づいて補正された。
【0048】
Philip Fitchプログラム及びMolphyパッケージProtMLプログラムを使用して系統樹が構築された。
【0049】
SWISS−PDB−viewerソフトウェアを使用して、タンパク質構造のホモロジーモデリングを実施し、タンパク質バックボーンの衝突が最小になるようにテンプレートとの整列を手作業で調整した。エネルギーの最小化は、シップル様の力場を使用するGROMOSプログラムを使用して実施された。
【0050】
MOLSCRIPTプログラムを使用して、リボン構造タンパク質の図を作成した。
【0051】
細胞培養
HEK−293及びMDA−MB−435細胞は、37℃、CO 5%でウシ胎児血清10%、ペニシリン100単位/ml、及びストレプトマイシン100μg/mlを補ったDulbeccoの改変イーグル培地で培養した。
【0052】
バキュロウイルス(Baculovirus)におけるタンパク質発現及び精製
Baculovirus Expression System(Invitrogen)を使用してタンパク質発現を実施した。要するに、h−PRUNE、nm23−H1、及びnm23−H1(Mac Donald他、1996年)及びh−PRUNE突然変異体h−PRUNEΔ、D28A、D106A、D179A、D28A−D106A、D28A−D106A−D126A、D28A−Δ、4DΔ(D28A−D106A−Δ−D179A)をコードするcDNAをEcoRI/Xhol消化pFastBac−Htaベクターにサブクローニングした。
【0053】
h−PRUNE突然変異体cDNAを生成するために、h−PRUNE構造の特定部位の突然変異誘発を取扱説明書に従ってQuikChange IIIキット(Stratagene)を使用して実施した(実施例2を参照)。
【0054】
ウイルス感染及び精製条件については、Garzia及びcoIl(2003年)で説明されている。
【0055】
その後、ヒスチジンタグ付きh−PRUNE及びh−PRUNEΔを、10mM Tris HClpH8.0緩衝液を使用してMonoQ HR 5/5カラム(Amersham)上で精製した。カラム溶離は、0から0.8MのNaClの直線勾配で20分にわたり、流量1ml/分で実施した。画分をさらに10mM Tris HCl、pH8.0緩衝液に対して透析し、活性について試験した。
【0056】
分離されたタンパク質の純度を、SDS Page電気泳動分析により測定した。
【0057】
h−PRUNEホスホジエステラーゼ活性の同定及び特徴付け
PDE活性は、Fisher他、1998年により説明されているcAMP/cGMP検出アッセイにより、シンチレーションアッセイ(AmershamPharmacia Biotech)により測定した。
【0058】
基質として所望の濃度のcAMP又はcGMPを含む100μlのアッセイ緩衝液(50mM Tris HCl、pH7.4、8.3mM MgCI、1.7mM EGTA)を使用し、30℃で試料を希釈、インキュベートした(非標識対H標識の比=3:1)。
【0059】
培地のみを含むブランクを含み、すべての反応を3通り実施し、基質回転率25%未満(経験により決定)となるインキュベート時間の間進行させた。
【0060】
50μlのケイ酸イットリウムSPAビーズ(Amersham)を加えて反応を終結させた。
【0061】
メーカープロトコルに従って検出された放射性標識産物の量について酵素活性を計算した。陰性対照として、モチーフIll領域(Apotech Corporation、CH)に対するA59ポリクローナル抗体と共にプレインキュベートした、h−PRUNE及びh−PRUNEΔ突然変異体を使用した。
【0062】
特に、h−PRUNE及びh−PRUNE突然変異体のPDE活性については、精製酵素200ngを、10分間、30℃でインキュベートした。
【0063】
及びVmax値によるLineweaver−Burkプロットは、5〜40分にわたり基質濃度範囲(0.05〜10.0μM)及び一定量の希釈酵素での加水分解を測定することにより決定された。初期速度を、基質濃度毎に計算し、後者に対してプロットし、それにより、速度パラメータを決定した。
【0064】
h−PRUNE PDE活性に対する異なる緩衝液及びnm23活性の影響を調べ、阻害研究を実施するために、実施例2の「材料と方法」の節で報告されているように、PDEアッセイを改変した。
【0065】
in vitro細胞運動性アッセイ
h−PRUNE、h−PRUNEΔ、h−PRUNE4DΔ、及びヒトPDE5Aを過剰発現する安定なMDAクローンを、実施例2の「材料と方法」の節で説明されているように生成し、分析した。
【0066】
in vivoの転移プロセスの阻害を示すnm23−H1過剰発現細胞系(MDA−H1−177)と共に、既に説明されているように(Leo他、1993年)、対照の乳癌細胞系MDA−C100を細胞運動性アッセイで使用した。
【0067】
細胞運動性は、化学誘引物質として作用させる最終濃度としてそれぞれ0.25%、0.5% FCS、2.5、及び5.0ng/mlのフィブロネクチン(Sigma)使用し、6ウェルのトランスウェル技術(Corning−Costar)を用いて決定した(詳細については、実施例2の「材料と方法」の節を参照)。
【0068】
統計分析
PDE活性及び細胞運動性活性を含むすべてのアッセイは、http://www.graphpad.com/〜quickcalcs/index.cfmに用意されているT検定を使用して妥当性を確認した。
【0069】
FISH及びHIC分析、腫瘍の臨床例のコレクション、TNM選択は、実施例2の「材料と方法」の節で報告されている。
【0070】
結果
h−PRUNEの構造及び機能分析
ITERATIVEタンパク質データベース検索(PSI−BLAST)を、h−PRUNEタンパク質について実施し、これにより、統計的に有意な期待値で、PRUNEの真核生物オーソログ、続いて、様々な細菌からの無機ピロホスファターゼ、及びRecJヌクレアーゼを含む様々な生物からのDHHタンパク質を回収することができる(図1、パネルC)。
【0071】
BLASTCLUSTプログラム及び系統発生分析を使用し、最尤法を使用するDHHタンパク質のクラスタリングから、PRUNEタンパク質(ヒト及びショウジョウバエ)が、無機ピロホスファターゼと共に、第2のDHHファミリーに属していることがわかる(図1、パネルA)。
【0072】
DHHタンパク質の2つのファミリーは、DHHスーパーファミリーに典型的な4つの保存モチーフを含む共通のN末端ドメインを共有するが、これらは、C末端ドメインにより互いに区別される。共有されるN末端ドメインは、平行なベータシートを伴うアルファ/ベータ折り畳みを有し、DXD(モチーフ−I)、D(モチーフ−II)、DHH(モチーフ−III)、及びD/E(モチーフ−IV)の形態の絶対保存要素を含む(図1、パネルA及びB)。
【0073】
これらの残基はすべて、このドメインの同じ面にあり、これらが一緒になって、少なくとも2つの二価陽イオンをキレートする触媒部位を形成する。PRUNEタンパク質は、形態DHRをこのファミリーの他のすべてのメンバーで観察される正準DHH(モチーフ−III)の置換として含む(図1、パネルA)。
【0074】
両方のDHHファミリーにおいて、C末端ドメインは、5つのストランドからなるコアシートを含み、そのうちの4つは2つのβストランドヘアピンを形成する。しかし、DHHタンパク質の第1のファミリーと第2のファミリーとの間のC末端ドメインの違いは、2つのスーパーファミリーの基質特異性の著しい一因となる可能性がある。さらに、DHHモジュール、哺乳類PRUNEのC末端ドメインは、非球状伸展を含み、その中に、リン酸化反応の調整を行う役割を果たしうるいくつかの保存セリンがある。
【0075】
h−PRUNEの構造分析から、RecJ(Yama−gata他、2002年)及びピロホスファターゼ(Ahn他、2001年)との類似性がわかり、そのため、後者に対する潜在的類似活性が示唆される。
【0076】
しかし、awd/K−pn様NDPKの強い相乗作用は、PRUNEタンパク質がヌクレオチドなどの代替基質を有する可能性があることを示唆した。
【0077】
DHHファミリーに関する進化論的研究から、ホスホエステラーゼは、様々なホスホエステラーゼ及び加水分解酵素ドメインを含む多数のタンパク質折り畳みから誘導されることがわかっている。これらは、古典的なシグナリングPDEが認識されるHD折り畳み(PDE1−11)(Aravind他、1998年)、PdsA様PDEが誘導される金属βラクタマーゼ折り畳み(Galperin他、1999年、Aravind他、1999年)、及びIcc様PDEが誘導されるカルシニューリン様ホスホエステラーゼ折り畳み(Aravind他、1998年)を含む。
【0078】
DHH触媒ドメインは、これらの他のファミリーとは際立って異なる折り畳みを有し、PDEのまったく新しいクラス全体を潜在的に定義する可能性のある複数の類似金属キレーティング残基(アスパラギン酸及びヒスチジン)を含む。この仮説を検証するために、潜在的PDE活性についてh−PRUNEが発現され、精製され、分析された。
【0079】
h−PRUNE PDE活性の同定及び特徴付け
h−PRUNEがサイクリックヌクレオチド(cAMP及びcGMP)のホスホエステル結合を加水分解する能力を調べるために、h−PRUNEのクローンを作成し、バキュロウイルス(Baculovirus)発現系を使用して発現した。His−tag付きh−PRUNE及びh−PRUNEΔ、モチーフIII領域内に生成された突然変異(DHRP126−129AAAA)を、アフィニティクロマトグラフィーにより精製した。
【0080】
PDEアッセイを使用して、精製h−PRUNE触媒活性を特徴付けし、特異基質を決定した。
【0081】
図2、パネルAに示されているように、h−PRUNEは、著しいPDE活性を有し、これは、cGMP基質よりもcAMPについて高いが、h−PRUNEΔは、この活性が40%減少することを示している。陽性対照としてPDE2を使用し、陰性対照は、両方とも、A59特異ポリクローナル抗体及びh−PRUNEΔと共にプレインキュベートされたh−PRUNEであった。
【0082】
PDE検出活性を確認するために、h−PRUNE及びh−PRUNEΔをヒトHEK−293細胞内で一時的に過剰発現し、次いで、免疫沈降し、PDEアッセイを免疫沈降タンパク質について実施した。
【0083】
これらの結果から、h−PRUNE精製タンパク質は、昆虫由来であろうとヒト細胞由来であろうと、PDE活性を示すことがわかる。
【0084】
触媒部位に潜在的に関わるアミノ酸を同定するために、h−PRUNE PDE活性に影響を及ぼす単一及び複数の部位で突然変異分析を実施した。DHH特徴モチーフ(図1、パネルB)のすべてのアスパラギン酸残基を単独と組合せの両方で突然変異させた(図2、パネルB)。突然変異体は、バキュロウイルス(Baculovirus)発現系を使用して発現され、均質になるように精製された(精製収量80%)。
【0085】
cAMP−PDE活性についてタンパク質を検査したところ、h−PRUNE4DΔ(D28A、D106A、Δ、D179A)突然変異体活性の80%減少が観察された。つまり、D28、D126、H127、R128、P129、及びD179アミノ酸は、h−PRUNE PDE活性について本質的であることがわかり、したがって、それらが触媒部位の一部である可能性は最も高いことを示している。その代わりに、モチーフIIのD106A突然変異は、h−PRUNE PDE活性に影響を及ぼさなかった。
【0086】
値を定義するために、高い精製収量(90%)のイオン交換クロマトグラフィー(Mono−Qカラム)を使用した別の精製ステップによりHis−tag付きh−PRUNEタンパク質を均質になるように精製した。K及びVmax値は、基質濃度範囲(0.05〜10.0μM)内で固定量の精製酵素によるヌクレオチド加水分解を測定し、反応の線形的部分のデータ点を考察することにより決定された。cAMPとcGMPは両方とも、h−PRUNEの基質であり、K値0.9±0.03μM及び2.3±0.11μMをそれぞれ示す(図2、パネルC及びD)。
【0087】
基質回転率の最大値(Vmax)は、cAMP及びcGMPに対しそれぞれ12.8±0.5pmol×分−1×μg−1、及び16.1±0.8pmol×分−1×μg−1の精製酵素であることがわかった。
【0088】
そのため、DHHスーパーファミリーのタンパク質に対するサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の証拠が指摘された。h−PRUNE活性に対する緩衝液の影響を調べるために、同じ塩の存在下でTris HCl及びHEPES緩衝液を試験したところ、Tris HCl緩衝液の存在下でより高いPDE活性が観察された(図2、パネルE)。
【0089】
DHHタンパク質のイオン依存性を考察する際に、PDE cAMPアッセイにおけるh−PRUNEのMg2+及びMn2+イオン依存性を評価した。Tris HCl緩衝液中のh−PRUNEの活性が高いことが判明したが、オキソ還元反応を避けるHEPSE緩衝液の存在下でPDEアッセイを実施し、高い濃度の2つの異なる二価イオンを使用した。
【0090】
イオンを含まない緩衝液でいくらかのPDE活性が測定されたが、Mg2+はh−PRUNE PDE活性を刺激し(図2、パネルE)、対照的に、MnClの存在下では、この活性は阻害される。さらに、野生型タンパク質と同様、h−PRUNEΔ突然変異体はMg2+イオンでは活性化されず(図2、パネルF)、したがって、ホスホジエステラーゼ活性には、h−PRUNEΔ突然変異体で修正されるモチーフIIIが必要であることが示される。結論として、h−PRUNE cAMP−PDE活性がMg2+イオン濃度の陽性の影響を受けることが示された。
【0091】
安定な乳房MDA h−PRUNEクローン及び細胞運動性との相関関係
nm23−H1抗運動性及び転移抑制活性を調整するh−PRUNE機能を調べるために、乳癌MDA−C100及びH1−177細胞モデルを採用した(Hartsough他、2000年、Mao他、2001年、Tseng他、2001年)。
【0092】
MDA435−C100細胞(高転移性乳癌細胞、ATCC)に、LTR含有プラスミド構造(哺乳類の細胞内にエコトロピックレトロウイルスを発生させるために使用されるpBabe構造)内でh−PRUNE遺伝子cDNAのトランスフェクションを行い、トランスフェクションの後、異なるピューロマイシン耐性クローンが得られ(培養20日目にクローンを分離する)、プラスミド抗生物質耐性が生じ、LTRプロモーターの下でそのh−PRUNE cDNA過剰発現について選択された。
【0093】
MDA−C100細胞内のh−PRUNE cDNA(クローン#3及び#4、これは最後に10/12/2004にジェノアのCBAに寄託)、h−PRUNEΔ cDNA(クローン#10及び#11)、h−PRUNE4DΔ cDNA(クローン#19及び#20)、及びPDE5A cDNA(クローン#14及び#16)を過剰発現するいくつかの安定なクローンが生成された。nm23−H1を過剰発現するMDA−HI−177(クローン#7及び#8)、nm23H1−P96Sを過剰発現するMDA(クローン#4及び#5)、及びnm23H1−S120Gを過剰発現するMDA(クローン#2及び#3)におけるh−PRUNE cDNAを安定化させた。
【0094】
これらのクローンのいくつかは、TaqMan技術によるリアルタイムPCR分析を使用してh−PRUNE mRNAの発現レベルを決定するように特徴付けられた(図3、パネルA)。定量分析及びコピー数外挿により、mRNA発現のそのレベルについて4つのクローンを選択し、標的基準遺伝子(GAPDH)と比較した(図3、パネルB)。
【0095】
さらに、Western blot分析を実施して、h−PRUNE、nm23、及びPDE5Aタンパク質の発現レベルを同定した(図3、パネルC)。
【0096】
次に、トランスウェル細胞培養チャンバを使用して生成された安定なクローンの細胞運動性について分析した(Freije他、1997年、Hartsough他、2001年、Freije他、1997年)。6個の独立クローン(MDA−C−100、MDA−PRUNEクローン#3及び#4、10/12/2004にジェノアのCBAに寄託、MDA−H1−177−PRUNEクローン#7及び#8、MDA−1l−177)を分析した。MDA−PRUNEクローンは、対照細胞系MDA−C100と比較したときに運動性が2倍に増大する(図3、パネルD)。
【0097】
MDA−H1−177−PRUNEクローンについて観察された値は、nm23−H1だけを過剰発現する細胞系MDA−HI−177と比較して2.2倍増大する(図3、パネルD)。クローンMDA−H1−177観察値は、既に報告されているようにMDA−C100細胞系に比べて少なくとも40%だけ減少し(Hartsough他、2001年)、そこで、細胞運動性の阻害についてnm23−H1の役割が確認される。
【0098】
細胞運動性へのh−PRUNE PDE活性の寄与を調べるために、MDA−C100、MDA−H1−177、MDA−PRUNE(10/12/2004にジェノアのCBAに寄託されたクローン#3及び#4)、MDA−PRUNEΔ(クローン#10及び#11)、及びMDA−PRUNE4DΔ(クローン#19及び#20)に関する運動アッセイを実施した。これらの突然変異体が選択されたのは、h−PRUNE PDE活性に影響を及ぼす異なる能力があるためである。
【0099】
両方ともMDA−PRUNE安定なクローンと比べて、MDA−PRUNEΔ及びMDA−PRUNE4DΔクローン内の細胞運動性の40%及びほぼ完全(90%)の減少がそれぞれ観察された。h−PRUNE PDE活性が乳癌細胞系内の細胞運動性に単独で関与するかどうかを確認するために、MDA−C100(MDA−PDE5Aクローン#14及び#16)のきちんと特徴付けられたPDE(PDE5A)を過剰発現するクローンを試験した。両方のPDE5A過剰発現クローンにおいて細胞運動性の増大は観察されず(図3、パネルE)、したがってh−PRUNE PDE活性のみがこの従来の細胞モデルにおいて細胞運動性を引き起こすことができることを示している。
【0100】
さらに、報告されたのは(Freije他、1997年、Hartsough他、2001年、Freije他、1997年)、nm23H1−S120G(h−PRUNEと相互作用しない突然変異体)(Reymond他、1999年)及びnm23H1−P96S(h−PRUNEを結合する能力を保持している突然変異体)タンパク質が、細胞運動性を引き起こすことができるということであった。
【0101】
h−PRUNEがある場合及びない場合について突然変異体を過剰発現する細胞運動性活性におけるh−PRUNEの役割を調べ、これと細胞運動性との相関関係を求めた。MDA−nm23H1−S120G−PRUNEクローンは、MDA−C100対照細胞系と比較してほぼ60%の運動の増大を示しているが、MDA−nm23H1−P96S−PRUNEクローンは、MDA−C100細胞と比較したときに200%の運動増大を示している(図3、パネルF)。
【0102】
結論として、MDA−C100内のh−PRUNEの過剰発現は細胞運動性を高め、h−PRUNEは、nm32−H1の抗運動性を戻すことができ、それにより、細胞運動性を促進する。この効果は、h−PRUNEがh−PRUNE相互作用障害nm23H1−S120G突然変異体の存在下で過剰発現されたときには観察されず、そのため、細胞運動性の増大に関してnm23−H1−h−PRUNE複合体の役割が推定される。
【0103】
in vitro及びin vivoのh−PRUNE PDE活性
h−PRUNE及びnm23−H1が物理的に相互作用することを(Mac Donald他、1996年)考察し、nm23sがh−PRUNEのPDE活性、及びnm23−h−PRUNE相互作用の生化学的な意義に影響を及ぼしうるかどうかを調べた。これは、nm23−H1をh−PRUNE精製タンパク質と共にプレインキュベートし、cAMP−PDE活性をin vitroで測定することにより行った。
【0104】
h−PRUNE PDE活性は、nm23−H1の存在下で対照に対し最大2倍までの増大を示した。さらに、この増大した活性が物理的相互作用によるものであることを確認するために、別のnm23突然変異体を試験した。非相互作用突然変異体nm23H1−S120G(図4、パネルA)は、h−PRUNE PDE活性を高めることができず、対照的に、それほどではないにせよ、相互作用突然変異体nm23H1−P96Sは、h−PRUNE PDE活性をほとんど野生型nm23−H1として高めた。これは、既に報告されているように、h−PRUNEとの結合アフィニティが低いため可能である(Reymond他、1999年)。
【0105】
他の対照実験として、nm23−H1タンパク質の存在下でh−PRUNEΔ PDE活性を試験したが、それは、これら2つのタンパク質が共免疫沈降アッセイ時に相互作用しないからである。h−PRUNEΔ PDE測定活性には増大は見られない(図4、パネルA)。
【0106】
これらの結果から、h−PRUNEとnm23−H1の直接的物理的相互作用とh−PRUNE PDE活性の増大との間に相関関係のあることが実証される。さらに、免疫沈降タンパク質に関する特異h−PRUNE cAMP−PDE活性について運動アッセイで使用されるそれぞれの安定なクローンを分析した(図4、パネルB)。
【0107】
これらの分析の結果として、MDA−PRUNEクローンでは、MDA−C100と比べて、cAMP−PDE活性の増大は8倍である。その代わりに、MDA−PRUNEAクローンでは、MDA−PRUNEと比較してcAMP−PDE活性の減少は0.5倍であり、これは、細胞運動性と相関関係を有する(図4、パネルB)。
【0108】
さらに、MDA−h−PRUNEクローンのh−PRUNE PDE活性は、安定二重MDA−H1−177−PRUNEのと比べて、1.4倍の増大であることがわかった(図4、パネルB)。
【0109】
これらの結果から、h−PRUNE PDE活性と細胞運動性との間に直接的な相関関係のあることがわかる。さらに、MDA−nm23H1−S120G−PRUNEクローンでは、h−PRUNE PDE活性の減少はMDA−nm23H1−P96S−PRUNEと比べて3倍であり、したがって、h−PRUNE cAMP−PDE活性、細胞運動性、及びタンパク質間相互作用の間に直接的相関関係のあることが示される。結論として、細胞運動性に著しい影響を及ぼす、h−PRUNE PDE機能とタンパク質間相互作用の間の直接的相関関係が指摘された。
【0110】
h−PRUNEのPDE阻害剤研究及び細胞運動性への影響
細胞内のh−PRUNE cAMP PDE活性の生理学的役割を同定するために、選択的PDE阻害剤のパネルを試験し、h−PRUNEタンパク質活性に影響及ぼすものがあるかどうかを確認した。
【0111】
h−PRUNEがcAMPを加水分解する能力は、ジピリダモール(PDE5、PDE6、PDE9、PDE10、及びPDE11に対し作用することが既に知られている)により選択的に阻害された。h−PRUNE PDE活性のジピリダモール阻害について測定されたIC50は、0.78±0.05μMであり、この値は、他の選択的PDE阻害値(PDE5、PDE9、PDE10)に比べて低い(高い特異性)。PDE6及びPDE11では、IC50値は、h−PRUNEよりも低い(図5、パネルA)。
【0112】
h−PRUNEは、さらに、IBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン)(IC50 40.2±0.8μM)、非選択的特異的PDE阻害剤、及びビンポセチン(IC50 22.3±1.1μM)、PDE1C特異阻害剤に対し中程度に敏感である。
【0113】
この研究で使用されたいくつかの他の阻害剤は、他のPDEに対するIC50値の場合よりも100倍高い濃度で適用された場合でも、c−AMP h−PRUNE加水分解活性には影響を及ぼさなかった。阻害研究の結果は、図5、パネルAにまとめられている。
【0114】
上に示されているデータは、さらに、生理学的阻害をin vitroで研究するためにMDA−MB−435乳癌細胞系で検証された。
【0115】
これは、h−PRUNE過剰発現MDAクローン、及び、上述のようにh−PRUNE PDE活性の部分的減少(40%)のため(図2、パネルA及びB)追加の対照としてMDA−PRUNEΔクローンを使用し、ジピリダモールが活性を阻害し、細胞運動性に関連付けることができる程度を確認するように選択された。
【0116】
MDA−PRUNE及びPRUNEΔクローンの両方を、ジピリダモール(8μM、IC50の場合よりも10倍高い濃度)と共に24時間の間インキュベートし、完全な酵素不活性を得て、上述のように運動アッセイを繰り返した。
【0117】
ジピリダモールによる処理の後、MDA−PRUNE及びMDA−PRUNEΔクローンは、それぞれ、40%及び20%の平均運動減少を示したが、これから、阻害剤は、h−PRUNE PDE活性に対し作用し、そのため、細胞運動性の実質的減少を引き起こすことがわかる(図5、パネルB)。
【0118】
転移患者における乳癌研究
h−PRUNEの発癌の役割をin vivoで確認するために、転移が報告された59症例を無作為に選択した(解剖学的な疾患の程度を説明するTNM分類によるTxNxMI(Hejna他、1999年))。
【0119】
診断時又は追跡調査中に転移を示した原発腫瘍組織症例を含む組織多重アレイ(TMA)について分析を実施した(少なくとも5年分の追跡調査、診断日:1992〜97)。
【0120】
FISH分析では、h−PRUNE(279−H19)をプローブとして含むPACを使用して、三染色体又はそれ以上のコピー数を有する59例中22例(37%)の腫瘍症例を明らかにし、h−PRUNEゲノム領域の増幅を示した。nm23−H1をプローブとして含むPACを使用して全部で55件の分析症例において、1つの二染色体のみが観察され、増幅は観察されなかった(図6、パネルA)。
【0121】
さらに、h−PRUNE及びnm23−H1をそれぞれ認識する2つの抗体(A59、K73)を使用して、TMAに関する免疫組織化学分析を実施した。正常であるだけでなく、転移性癌組織のないことについてのFISH及び免疫組織化学分析が報告された。
【0122】
免疫組織病理学グレーディングにより、22例のすべて(37%)において、h−PRUNE染色体領域の細胞遺伝的増幅の後、nm23−H1の低又は中発現レベルとは対照的に、高いh−PRUNEタンパク質発現も強調されており、そのため、乳房転移形成の約1/3は、機能を抑制するnm23−H1転移の同時減少レベルを有するh−PRUNE増幅及び過剰発現の両方によるものと考えられることを示唆している。
【0123】
さらに、7例(12%)は、h−PRUNE増幅を示さず、高いh−PRUNEタンパク質レベルを有するが、nm−23H1レベルは低い(図6、パネルD)。これは、遺伝子増幅とは無関係のh−PRUNE過剰発現の代替メカニズムの存在を示唆している。
【0124】
これらのデータは、乳癌のh−PRUNEタンパク質の転移促進役割を示す。
【0125】
(実施例2)
乳房MDAの安定なクローンの遺伝子発現プロファイル
材料と方法
突然変異体作成
以下のオリゴヌクレオチドを使用して、h−PRUNE突然変異体を生成した。
【化2】

【0126】
突然変異ヌクレオチドは、太字で示され、変更されたコドンは、下線が引かれている。すべての突然変異は、DNA塩基配列決定法により確認された。
【0127】
h−PRUNE PDEホスホジエステラーゼ活性の特徴付け
h−PRUNE PDE活性に対する緩衝液の影響を調べるために、Tris HCl 50mM(pH7.4)、又はHEPES緩衝液50mM(pH7.5)を使用し、MgClの濃度を上昇させて(0、1、2、4、8、16、及び32mM)、PDEアッセイを改変した。
【0128】
イオン存在の効果を調べるために、HEPES緩衝液50mM(pH7.5)(オキソ還元反応を避けるため)中で、MgCl又はMnCI塩の濃度を高くしつつ(1、2、4、8、16、32、及び64mM)、PDEアッセイを実施した。陰性対照として、h−PRUNEΔを、h−PRUNEと同じ条件で使用した。イオンが存在しない場合のh−PRUNE活性は、Tris HCl 50mM(pH7.4)、EGTA 1.7mM、又は50HEPES緩衝液(pH7.5)、EGTA 1.7mMに対しタンパク質の長い透析の後に試験された。
【0129】
h−PRUNE PDE活性に対するnm23(NDPK)活性の影響は、精製h−PRUNEを様々なnm23(70%精製収量、−H1、−h1−S120G、又は−H1−P96S)と共にプレインキュベートしてアッセイを実施することにより調べた。
【0130】
h−PRUNEΔに対するnm23−H1の可能な効果は、精製された突然変異体タンパク質をnm23−H1と共にプレインキュベートし、PDEアッセイを実施することにより試験した。
【0131】
阻害剤研究に関して、8つの異なる潜在的阻害剤、つまり、シロスタマイド、ジピリダモール、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)、ミルリノン、ロリプラム、ビンポセチン、スリンダク、及びザプリナスト(シグマ)を試験した。
【0132】
低濃度のcAMP(0.01μM)を使用して、IC50をKに近似した。すべての阻害研究は、3通りに実施し、3回繰り返した。
【0133】
安定なクローン分析
h−PRUNE、h−PRUNEΔ、及びh−PRUNE4DΔ cDNAを、N末端のHis−tagで修正されたEcoRI/Xhol消化pBABEベクターにサブクローニングした。ヒトPDE5A cDNAは、同じHis−tag付きベクターにクローニングするために、EcoRI及びXhoI制限末端を加えることによりPCR増幅された。
【0134】
MDA−C100、MDA−H1−177、MDA−nm23H1−S120G、及びMDAnm23H1−P96Sクローンは、pBABE−h−PRUNE発現ベクターによりトランスフェクションが行われた。MDA−C100クローンは、pBABE−h−PRUNEΔ、pBABE−h−PRUNE4DΔ、及びpBABE−h−PDE5A発現ベクターによりトランスフェクションが行われた。
【0135】
取扱説明書に従ってLipofectamine(Invitrogen)を使用することにより、トランスフェクションを実施した。ウシ胎児血清10%、ペニシリン100単位/mI、ストレプトマイシン100μg/ml、及びピューロマイシン2μg/ml(シグマ)を含むDulbeccoの改変イーグル培地(DMEM)でトランスフェクションを選択した。
【0136】
大量のトランスフェクションを行った細胞系を作成するために、100個のピューロマイシン耐性コロニーを含むプレートをトリプシン処理し、そうして細胞系を設定した。
【0137】
いくつかのピューロマイシン耐性pBABE−h−PRUNE、pBABE−h−PRUNEΔ、pBABE−h−PRUNE4DΔ、及びpBABE−PDE5Aクローンを、MDAクローンについて分離し、リアルタイムPCR及びWestern blot分析の両方によりトランスフェクションを行い、特徴付けを行った。
【0138】
リアルタイムPCR分析では、個々の細胞クローン(MDA−C100、MDA−H1−177、MDA−H1S120G、MDA−H1P96S細胞系、複数のh−PRUNE−及びh−PRUNEΔ安定なクローン)を75cmのフラスコ内で濃度7−9×10細胞で播種した。
【0139】
TRIZOL(登録商標)(Invitrogen)によりmRNAを抽出して精製し、その後、ABI PRISM 7000計測器(Applied Biosystems)を使用してTaqMan定量リアルタイムPCR検出システムにより分析した。遺伝子プライマー対を合成し(Applied Biosystems:NME1−P/N 4331182;GAPDH)、Assay on Designを使用して、h−PRUNEとh−PRUNEΔ遺伝子の両方について6FAMプローブ配列(6−カルボキシフルオレセイン)を構築した。
【化3】

【0140】
複数のクローンを選択し、基準標的と比べて、定量分析及びコピー数外挿によりmRNA発現レベルについて分析した。
【0141】
Western blot分析では、緩衝液中の15μgのタンパク質溶解物をポリアクリルアミドゲル10%(w/v)又は12.5%(w/v)についてSDS−PAGEにより分析し、PVDF膜(イモビロン−P、ミリポア)上にエレクトロブロットした。h−PRUNEのh−PRUNE特異ポリクローナル(A59、モチーフIII領域に対し発生)、nm23−H1のnm23−H1(クローンNM301、H1アイソフォームに特異的、サンタクルス)、及びPDE5A抗体のHis−tag(QIAGEN)に対するPenta−Hisで溶解物をそれぞれ免疫検出した。
【0142】
ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGでインキュベートした後、視覚化が増強された化学発光(Amersham)により実施された。11個の細胞系、つまり、MDA−PRUNE(クローン#3及び#4)、MDA−H1−177−PRUNE(クローン#7及び#8)、MDA−nm23H1−S120G−PRUNE(クローン#2及び#3)、MDA−nm23H1−P96S−PRUNE(クローン#4及び#5)、及びMDA−PRUNEΔ(クローン#11)、MDA−PRUNE4DΔ(クローン#19)、MDA−PDE5A(クローン#14)を選択し、タンパク質をWestern blots上で正規化した。
【0143】
in vitro細胞運動性アッセイ
トランスウェル技術を使用した(6ウェル−Coming−Costar)。下側ウェルでは、BSA 0.1%、ペニシリン100単位/ml、ストレプトマイシン100μg/ml、HEPES緩衝液(運動培地)5mM、及び希釈化学誘引物を含むDMEM 2.5mlをインキュベートし、上側ウェルでは、CO 5%を使用し、37℃で、細胞を3時間インキュベートした。引き付け手順の後、細胞を固定し、メーカープロトコル(Coming−Costar)に従ってGill n°1ヘマトキシリン液で着色し、最終的に顕微鏡を使って細胞をカウントした。
【0144】
FISH分析
ニックトランスレーション法によりdUTP−Cy3(赤色)で標識されたPAC 279−H19(PRUNE−染色体1q21.3)及び厚さ4mmのホルマリン固定パラフィン包埋組織片でニックトランスレーション法によりdUTP−FluorX(緑色)で標識された対照pUC177(pUC177はDr.M.Rocchiが提供した)。
【0145】
細胞核は、4’,6−ジアミジノ−2−フェニル−インドール(DAPI)により対比染色した。それぞれの症例について2つの異なる実験を実施した。COHU Video and Cytovisionソフトウェアを備えるOlympusコンピュータ化落射蛍光顕微鏡を使用してデジタル画像を取り込んだ。損なわれていない、保存状態のよい、重なりのない核上のハイブリッド形成シグナルは、少なくとも2人の独立の研究者により評価された。
【0146】
IHC分析
MDA腫瘍は、特異A59 h−PRUNEポリクローナル及びnm23−H1抗体でそれぞれ免疫検出された(クローンK73、H1及びH2アイソフォームに対し特異的、Apotech Corporation、CH)。
【0147】
免疫組織化学染色の強度を使用し、腫瘍試料を、顕微鏡の下で分析された細胞の少なくとも20%に存在する場合に陽性として分類した(h−PRUNE及びnm23−H1タンパク質発現に対し強い+++、中++、広く弱い染色+又は負0(存在しない、又は集中して弱い染色))。
【0148】
腫瘍症例のコレクション及びTNM選択
最低5年分の追跡調査結果を有する患者を含む腫瘍症例が、SassariのAUSL1によって収集された。TNMシステム分類は、Sobinによって説明されているようにこの研究に応用され(Hejna他、1999年)、疾患の解剖学的程度を説明するために使用され、また3つの成分、原発腫瘍の程度に対応するT(T0からT4)、所属リンパ節転移の有無及び程度に対応するN(N0からN4)、及び遠隔転移の有無を表すM(M0又はM1)の評価に基づく。59件の腫瘍乳房症例のコレクションは、TxNxM1陽性として分類された。
【0149】
乳房細胞クローンでの遺伝子発現
以下の手順によりプローブ作製を実施した。
【0150】
MDA−H1−177−PRUNE(クローン#8)及びMDA−H1−177クローンからTRIZOL(登録商標)法によりRNAを抽出した。以下の変更と共にAmersham CyScribe First Strand cDNA Labelling Kitを使用して15から20μgの範囲の全RNAテンプレートに標識した。
【0151】
逆転写時間を3時間に延ばした。その後、37℃で、30分の間、Rnase−Hによりプローブを消化した。
【0152】
残留RNAを除去するため、反応混合物をNaOH 0.25Mで20分間インキュベートし、その後、MOPS 2.8Mで中和した。組み込まれているCy染料の量を、Cy5とCy3の両方について計算した。標識されたCy3及びCy5標的は、等量分結合され、スライド上にハイブリッド形成された。
【0153】
組み込まれているCy染料の50pモル未満を含むプローブは、ハイブリッド形成に使用されなかった。
【0154】
標準ハイブリッド形成プロトコルをこのスライドに適用した。独立の2組の実験を実施した。
【0155】
走査及び画像解析
それぞれ、Medway Far 2000−I及びMedia Cybernetics社のArray Proソフトウェアにより、走査及び画像解析を実施した。スキャナ感度は、900から1000の範囲に保持され、飽和及び低強度の両方を補正した。16ビット形式の画像を処理した。
【0156】
データマイニング
2つの実験条件の間の遺伝子発現の観察された相違点の統計的有意性を確定するために、それぞれの実験を3通り実施した。
【0157】
データ有意性及びばらつきを説明するために、いくつかの反復実験に対しT検定を実施した。Webページhttp://www.igb.uci.edu/servers/cybertで入手できるCyber−Tツールを使用して、この検定を適用した。p=0.05でのカットオフ値を使用した。この分析の結果として、異なるデータセットにおいてほぼ5%の疑陽性が期待される。この検定に合格したデータセットのみを使用した(T検定の後のデータ選択)。
【0158】
結果
nm23−H1を単独で、及び/又はh−PRUNEと組み合わせて過剰発現する安定なクローンの遺伝子発現プロファイルを検証するために、19,000遺伝子セットを含む出来合のアレイを使用して遺伝子アレイ研究を実施した。このアレイは、ガラススライド上にスポットされたヒトUnigene cDNAデータセットを含む(カナダ、オンタリオ州、Array facility、http://www.microarrays.ca/)。
【0159】
MDA−H1−177及びMDA−H1−177−PRUNE(クローン#8)クローンからのRNAを使用して、ハイブリッド形成を実施した。それぞれの乳癌クローンについて独立の2組の実験を実施し、T検定値(p=0.05)を外挿した(http://www.tigem.it/zollo/cancercell/supplemental/array.html)。
【0160】
転移プロセスに関わる複数の遺伝子の発現レベルは、表1に示されているように、MDA−H1−177クローンと比べて、MDA−H1−177−PRUNE(クローン#8)において区別される形で調整されることがわかった。表1は、安定細胞乳房クローンについて実施されたアレイ実験をまとめたものであり、左から右への列、ID番号、Unigene基準番号、及びヒト染色体上の位置を含む遺伝子同定、独立の2つの実験が2通りに実施された後のMDA−H1−177/MDA−H1−177−PRUNEクローン#8のアレイデータ間の関係、標準偏差及びp値を含むT検定値、遺伝子の書誌学的参照、対応する転移のプロセスとして報告されている。
【0161】
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】


【表1−5】

【0162】
腫瘍形成及び転移プロセスに関与し、遺伝子発現分析において著しく変更される、複数の遺伝子を選択し、代替方法によるその発現レベルを確認した。
【0163】
リアルタイムPCR実験を11個の遺伝子について実施した(遺伝子プライマー対は、ジーンバンクID配列から選択された)。これらの選択された遺伝子のうち7及び4は、それぞれ、MDA−H1−177−PRUNEクローン(クローン#8)において上方及び下方制御されることがわかった。発現がチップアレイとPCRリアルタイムの両方により確認された、安定h−PRUNE過剰発現クローンのレベルで区別されるそのような遺伝子発現を表2に報告する。
【0164】
上述の細胞モデルでは、細胞骨格再編成(ホスファチジルイノシトール4−キナーゼ型ii)、プロテアーゼ活性(プロテアソーム26sサブユニット、nedd4結合タンパク質)、腫瘍形成(I−プラスチン、rab1b、braca1関連タンパク質(brap2))、タンパク質リン酸化反応、及び核輸送(カゼインキナーゼii 1−ckip1相互作用タンパク質)に関与することが知られている遺伝子の上方制御が見つかった。
【0165】
下方制御は、細胞外マトリックス接触又は細胞粘着(プラコフィリン、LIM)、細胞骨格再編成(プラキン)、及び腫瘍抑制活性(EXT1)に関与する4つの遺伝子で見つかっており、そのような証拠を表2にまとめた。この表は、安定h−PRUNE過剰発現MDAクローン内の異なる遺伝子発現を報告したもので、左から右へ、ジーンバンクID同定、遺伝子名、独立の2つの実験を2通りに実施した後のクローン#8/クローン#177のアレイ発現値間の関係、アレイ発現のP値、リアルタイムPCRにより値を設定されたクローン#8/クローン#177のアレイ発現値間の関係、リアルタイムPCRのP値、相関関係のある細胞生物学的プロセスの列が報告されている。
【0166】
【表2−1】


【表2−2】

【0167】
要約すると、腫瘍形成に結びつくプロセスに関与する遺伝子が、発現レベルでは著しく変更されて、そのため、h−PRUNEがこの乳癌細胞系のより高い発癌能に寄与する決定要因のあることを示していることが発見されたということである。
【0168】
結論
DHHスーパーファミリーに属している2つのタンパク質、つまり、RecJヌクレアーゼ及び無機ピロホスファターゼに基づく構造解析により、h−PRUNEは金属イオン依存性ホスホエステラーゼ活性を有する可能性が示唆される。ホスホエステラーゼのDHHファミリーの構造解析及び進化論的タンパク質畳み込み研究の結果として、哺乳類h−PRUNEはサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性を有することが証明された。
【0169】
h−PRUNEは、ヌクレオチド上で機能することが知られている、NDPK活性を有するnm23−H1アイソフォームと相互作用するので、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の特徴付けと細胞シグナリングにおける役割に注目が集中した。DHHファミリーの保存モチーフIII内の置換を含むh−PRUNEΔ突然変異体は、PDE活性の減少を示す(図2、パネルA、B、F)。
【0170】
様々な部位の単一又は複数の突然変異分析から、モチーフIIIのイスチジン(127)、アルギニン(128)、及びプロリン(129)、並びにそれぞれモチーフI、III、及びIV内に存在するアスパラギン酸D28、D126、D179の突然変異のみがh−PRUNE PDE活性に実質的な影響を及ぼし、したがって、h−PRUNE PDE触媒部位への関与の可能性が高いことを示すことがわかった。
【0171】
保存モチーフIII領域は、タンパク質モデリングにより予測されるとおりMg2+イオンの結合に関与しており(図1、パネルB)、さらに、in vitro機能アッセイでは、h−PRUNEも、非存在(図2、パネルE)、又は低金属イオン濃度(図2、パネルF)で機能することができることが観察された。
【0172】
h−PRUNE及びnm23sタンパク質レベルは、肉腫及び乳癌腫瘍において不平衡であることが実証され、h−PRUNEはnm23−H1抗転移性機能をマイナス方向に調整することができることを示唆している。h−PRUNE発現の増大は、これらの腫瘍及び癌の進行の悪性度に直接相関する(Forus他、2001年)。複数の報告書において、nm23−H1の抗転移活性は、NDPK活性と無関係である(Steeg他、1993年、Wagner 1997年)と主張しているため、本発明者らは、原発腫瘍部位から遠くへ移動するために癌細胞が獲得する第1の細胞機能の1つを表す、細胞運動性に対するh−PRUNEの影響を調査した。
【0173】
h−PRUNE PDE活性がこれらの現象に直接関与することを確認するため、h−PRUNE、h−PRUNEΔ、及びh−PRUNE4DΔを、乳癌モデルにおいて過剰発現させたところ、野生型タンパク質の過剰発現は、細胞運動性を誘発するが、そのPDE機能(h−PRUNEΔ、h−PRUNE4DΔ)の減少は細胞運動性の減少に対応していることが観察された。
【0174】
逆に、突然変異体h−PRUNE4DΔの80% PDE活性減少及びMDAクローン内のその過剰発現は、細胞運動性の著しい増大を引き起こさないことが観察され、したがって、他の潜在的h−PRUNE活性が運動増大に関与することは除外される。
【0175】
他の細胞内の特徴付けされたPDEは細胞移動に関連していなかったとしても、MDAの安定なクローン内のPDE活性の増大が細胞運動性に寄与する可能性があるかどうかが調査された。この目的のために、PDE5Aは、同じ細胞モデル内で過剰発現され、細胞運動性に対する影響について試験された。ジピリダモール(IC50 0.9μM)に対する感度について選択されたPDE5Aは、MDA乳房細胞運動性に影響を及ぼさず、そこで、h−PRUNE PDE機能のみが乳癌細胞の細胞運動性の増大に関与することが示される。
【0176】
さらに、高いnm23−H1発現背景におけるh−PRUNE過剰発現は、運動表現型の減少を示し、h−PRUNEだけを過剰発現する細胞と比べてh−PRUNE PDE活性を下げることが観察された。h−PRUNE PDE活性は、nm23−H1との相互作用の後in vitroで増大されるが(図4、パネルA)、この効果はin vivoでは観察されなかった。これらの減少は、MDA−PRUNEクローンと比較してもMDA−H1−177−PRUNE内に大量のnm23−H1が存在するということにより説明できる(図3、パネルB)。
【0177】
これは、PRUNE−nm23H1複合体形成にマイナスの影響を及ぼす可能性があり、これは異なるオリゴマー及び/又は翻訳後修飾nm23−H1フォーム(例:セリンリン酸化反応)の存在に依存する可能性がある(Steeg他、2003年)。
【0178】
nm23抗転移性機能に対するh−PRUNEのマイナスの調整は、タンパク質間相互作用の結果としてのPDE活性の増大によるものであるとの仮説を検証するために、h−PRUNE PDE活性に対する2つのnm23−H1突然変異体の効果を調べた。これらのタンパク質突然変異体は、h−PRUNEと物理的に相互作用できるnm23H1−P96S、及びh−PRUNEと相互作用しないnm23H1−S120Gであり(Reymond他、1999年)、両方の突然変異体は、乳癌細胞内でトランスフェクションが行われ(MDA−435)、それらはnm23−H1野生型タンパク質の内生抗運動効果を抑制することができる(Frije他、1997年、Mac Donald他、1996年)。
【0179】
さらに、nm23−H1−S120Gなどの高nm23発現系内でh−PRUNEを過剰発現する乳癌細胞は、nm23−H1−P96S系内の過剰発現h−PRUNE細胞と比較して細胞運動性が低いことが示された。
【0180】
したがって、これら2つのタンパク質間の物理的相互作用は、運動促進に関与しうることが実証された。さらに、h−PRUNE−nm23−H1−S120Gクローンは、h−PRUNEとnm23−H1−P96Sの両方を過剰発現するクローン内で観察されるPDE値と比較してPDE活性がほぼ66%低く(図4、パネルB)、そのため、タンパク質間相互作用、h−PRUNE cAMP−PDE活性、及び細胞運動性効果の間に相関関係があることを決定的に示している。
【0181】
知られているPDE阻害剤がh−PRUNE PDE活性に対抗して選択的に機能することができたかどうかを理解するために、8つのPDE阻害剤一組を試験したところ、ジピリダモールがh−PRUNE PDE活性を阻害することができ、著しいIC50値を有することが発見された。
【0182】
さらに、ジピリダモールを使用すると、安定なh−PRUNE乳房クローンの運動が著しく低下し、またそれほどではないが、h−PRUNEΔ過剰発現クローンの運動も低下した(図5、パネルB)。ジピリダモール及び類似の薬剤などの抗凝血剤は、細胞が毛細血管壁に粘着するのを阻害することを通じて血液凝固伝導路活性に機能干渉を加えるというのが一般的見解である。ここで報告した結果に照らして、ジピリダモールを使用することは、広がっている乳癌転移に対する予防及び治療薬となりうると考えることは論理的である。
【0183】
さらに、細胞運動性活性に関するin vitro観察データは、TxNxM1患者からの有意な数の乳癌組織を使用してin vivoで確認された。遠隔転移を示す症例のうち59件の腫瘍症例では、h−PRUNEは、22の症例(37%)でコピー数が増幅され、過剰発現されることがわかったが、nm23−H1は、すべての分析症例において、低いレベルで発現されていることがわかった(図6、パネルB、C、D)。
【0184】
予備データは、h−PRUNEの過剰発現を有する患者間の全生存率の統計的に有意な減少により推論されるように、乳癌のh−PRUNEのマイナスの予後の役割を示している。提示されたデータは、h−PRUNEが転移に関与する遺伝子を上方制御し、その活性は悪性度の高い腫瘍挙動の危険性をin vivoで高めることを示しており、したがって、乳癌患者の臨床転帰に対しマイナスの寄与をする。報告された結果は、h−PRUNE前転移悪性腫瘍機能を阻止するために乳癌の治療の際に使用されるh−PRUNE PDE活性を選択的に阻害することができる薬剤を実現する可能性として、重要な薬理学的帰結を有する。さらに、MDA−H1−177クローンと比較した場合に発現が乳房MDA−H1−177−PRUNE(クローン#8)内で変更された腫瘍形成及び転移プロセスに関与する11個の遺伝子を、アレイ発現により分析し、リアルタイムPCRにより妥当性の検証を行った。提示される結果は、h−PRUNE過剰発現に相関するMDA乳癌細胞系の悪性度及び転移能の追加の証拠となる(実施例2)。
【0185】
全体として、これらの結果は、nm23−H1抗転移性機能にマイナスの影響を及ぼす細胞運動性及び転移の促進に対するh−PRUNEの役割を明確にしている。癌の進行におけるh−PRUNEの役割を研究するために使用されるモデルでは、一般に、腫瘍細胞の増幅を必要とする。
【0186】
この増幅は、細胞質区画のh−PRUNE PDE活性の増大をもたらし、nm23の転移機能の抑制剤にマイナスの影響を及ぼす。h−PRUNE PDE活性の活性化は、nm23−H1タンパク質との物理的相互作用によるものであり、複合体形成の結果、遊離nm23−H1形態レベルの実質的減少が生じ、それにより、細胞増殖、細胞運動性、及び転移プロセスに影響が及ぶ(図7)。
【0187】
(実施例3)
浸潤性乳癌の診断におけるh−PRUNE過剰発現の役割の研究
材料と方法
患者
この研究では、組織学的検査により乳癌と診断された患者を含めた。スイスのバーゼル大学病院の2つのアーカイブから、それぞれ地方倫理委員会とサッサリ大学の病理学協会の承認を得て症例を取り出した。第1のアーカイブは、1,531件の浸潤性腺管癌、310件の浸潤性小葉癌、69件の粘液性癌腫、65件の管状腺癌、48件の髄様癌、及び86件の他の種類の浸潤癌を含んでいた。そこで、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍試料を、バーゼル大学病院の病理学協会、バーゼルの臨床病理学協会、及びチューリッヒのTriemli病院から入手した。第2のアーカイブは、307件の浸潤性腺管癌、69件の浸潤性小葉癌、12件の粘液性癌腫、24件の他の種類の浸潤癌を含んでいた。
【0188】
診断、治療、再発、無病生存率、及び最終対照の時間の疾患段階を含む、それぞれの患者の臨床病理学的特徴はすべて、バーゼル及びサッサリの登録所から取得した。
【0189】
病理病期、腫瘍直径、及びリンパ節の状況は、一次病理学報告書から得られた。臨床データは、2,299例について10年間の追跡調査の後に入手でき(中央値、56カ月、範囲、2〜120カ月)、15年間の追跡調査の後の臨床データは、222人の患者について入手できた(中央値、138カ月、範囲、121〜176カ月)。この研究のための標本及びデータは、バーゼル大学病院とサッサリ大学の両方の倫理委員会によって承認された。
【0190】
組織多重アレイ(TMA)
TMA構成については、既に説明されている(Simon他、2001年、Simon他、2002年)。要約すると、半自動ロボット高精度計測器を使用して、組織ドナーの代表的な腫瘍領域から直径0.6mmの組織円筒をパンチし、それぞれ342から522の個別試料を含む6つの異なるパラフィンブロック内に配置するということである。その結果得られるTMAブロックの4つのマイクロメートル切片をコーティングされたセクションシステムに移動する(Instrumedics Inc.、ニュージャージー州ハッケンサック)。多重アレイ化試料上の腫瘍組織の存在は、ヘマトキシリンエオシン染色により検証された。組織マイクロアレイは、それぞれの患者の乳癌の異なる領域からの少なくとも2つの切片と共に対照として正常組織を含んでいた。
【0191】
免疫組織化学(IHC)
抗h−PRUNE特異モノクローナル(クローン4G3/4、1から351のアミノ酸の組換え融合タンパク質に対して、Apotech Corporation、CH)及び抗nm23−H1(クローンK73、−H1アイソフォーム特異、Apotech Corporation、CH)抗体を使用して、ホルマリン固定パラフィン包埋組織片を免疫染色した。取付説明書に従い、また知られているプロトコルに従って、Vectastain Elite ABC Kit(Vector Laboratories Inc.)を使用して、免疫組織化学分析を実施した(Forus他、2001年、D’angelo他、2003年)。
【0192】
健康な乳房細胞の代表的な対照組織病理学切片を染色することにより最適化されたIHCプロトコルを確立した。正常な乳房組織では、nm23−H1タンパク質は、均質的に発現されるが、h−PRUNEの発現は、存在しないか、又は低強度であった。
【0193】
多重アレイ上に2通りに無作為に配置された54個の正常試料を使用することにより染色を半定量的に評価し、免疫組織化学染色の強度及び分配を使用し、h−PRUNEとnm23発現の両方について腫瘍試料を陽性(強[+++]から中[++]の染色、腫瘍細胞の大半により均一に分配又は与えられる)又は陰性(非存在又は弱染色[+])として分類した。
【0194】
FISH分析
知られているプロトコルに従ってパラフィン包埋TMA切片を処理した(Simon他、2002年:Muresu他、2002年)。
【0195】
染色体1q21.3上に局在するh−PRUNE遺伝子領域にまたがるPAC 279−H19クローン、及び染色体17q21.3上に局在するnm23−H1遺伝子に特異的な、DNA/BACクローンを、dUTP−CY3(赤色)を使用するニックトランスレーション法で標識し、プローブとして使用した。pUCI77は染色体1q12上のペリセントロメア領域に対応し、pZ17−14は染色体17のセントロメア領域に対応し、クローンは、dCTP−FluorX(緑色)を使用するニックトランスレーション法により標識され、対照として使用された。
【0196】
細胞核は、4’,6−ジアミジノ−2−フェニル−インドール(DAPI)により対比染色された。それぞれの症例について2つの異なる実験を実施した。
【0197】
DAPI、Cy3(オレンジ)又はFluorX(Vysis)の励起用の適切なフィルタ、及びCOHU Video and Cytovisionソフトウェアを備えるOlympus BX−61落射蛍光顕微鏡を使用してデジタル画像を取り込んだ。少なくとも100個の損なわれていない、保存状態のよい、重なりのない核上のハイブリッド形成シグナルは、少なくとも2人の研究者により評価された。
【0198】
統計的分析
この研究には、変数及びカテゴリとして、病理学的原発腫瘍サイズ(pT)、病理学的リンパ腺状況(pN)、転移の存在(M)、エストロゲン及びプロゲステロン受容体(それぞれER及びPR)の状況、診断時の年齢、組織学的腫瘍種類、及び全生存(外科手術時を開始時点として計算する)を含めた。特に、リンパ腺及び受容体の状況は、多数の症例の中では利用できなかったが、それは、これらの変数は研究対象に患者を含めるうえで必要なかったからである。
【0199】
生存データ解析を統計パッケージEgret(バージョン2.0.3)で実施した。生の死亡及び腫瘍特異的死亡発生率を検閲データとして使用して、Cox回帰モデルを実施した。
【0200】
全生存の時間は、月で表し、独立変数(h−PRUNE、nm23−H1、pT、pN)は、3つの年齢グループ23〜44(N=252)、45〜64(N=1,146)、及び65〜98(N=1123)として階層化した。
【0201】
h−PRUNE及びnm23−H1免疫組織化学データを細分してKaplan Meier推定を実施した。
【0202】
Pearsonのχ二乗検定を使用し、病理的パラメータ(組織学的腫瘍種類、pT、pN、M、ER、PR)との関連でh−PRUNE及びnm23−H1発現評価を実施した。試料比率分析の正確な係数を計算し、有意なパラメータ(0.05レベル未満)すべてを決定した。分析はすべて、統計パッケージSPSS/7.5 for Windows(登録商標)を使用して実施した。
【0203】
結果
組織学的に証明されている乳癌診断及び利用可能な追跡調査データのある2,109人の患者の保管されている組織からのTMA切片について、h−PRUNE及びnm23−H1発現レベルと共に、h−PRUNE染色体コピー数の評価を実施した。412人の乳癌患者からの追加のTMA切片(つまり、そのTNM分類が利用できた)をh−prune免疫染色について評価した。患者の大半は、腺管癌を組織学的変異体として有し(1,883人、73%)、年齢は診断時に60歳を超えていた(1,425人、57%)。59カ月の中央値期間(範囲2〜176)をカバーするそれぞれの患者の臨床的追跡調査結果のデータが利用可能であり、患者の大半は、まだ生存しており(1,716人、68%)、ごく少数の患者のみがこの研究時点において追跡調査で失われた(12人、0.5%)。2つの特異抗体(それぞれ4G3/4及びK73モノクローナルAbクローン)を使用して免疫組織化学分析により、h−PRUNE及びnm23−H1タンパク質の発現を評価した。図9(パネルA及びB)は、一連の多重組織アレイ内のh−PRUNEタンパク質の染色の代表的実施例を示している。
【0204】
h−PRUNEタンパク質の強陽性細胞質染色(h−PRUNE+と呼ばれる)は、2,463個の試験腫瘍の大半(1,340人、54%)において観察され(58人の患者については評価しなかった)、nm23−H1タンパク質の陽性細胞質免疫染色は、2,061個の試験腫瘍のうち615(30%)個において観察された。h−PRUNE及びnm23−H1発現について評価された2,061個の腫瘍組織では、陽性免疫染色の逆分布が観察された[1,180(57%)の乳癌はh−PRUNE+であったが、615(30%)個はnm23−H1+であった]。表3には、浸潤性乳癌に存在するh−PRUNE及びnm23−H1タンパク質についての免疫組織化学分析(IHC)の結果が報告されている。h−PRUNEとnm23−H1発現との間に統計的相関関係は観察されなかった。
【0205】
【表3】

【0206】
異なる病理組織学的パラメータに基づき、患者のサブグループ(2109人の乳癌患者)内のh−PRUNE及びnm23−H1タンパク質発現の分布を評価した。h−PRUNE又はnm23−H1発現と腫瘍の種類(腺管と小葉)、pT、pN、ER、及びPR反応性の間に有意な相関関係は観察されなかった(表4)。
【0207】
【表4−1】


【表4−2】

【0208】
乳癌患者の1,016件の腫瘍について蛍光in situハイブリッド形成(FISH)分析を実施した。染色体1q21.3のところでh−PRUNEゲノム領域に対応するPACクローン(279−H19)及び1q12染色体のところでペリセントロメア領域に対応する対照クローンをプローブとして使用した。分析された核内の20%超の1q21.3のところの複数のFISHシグナルは、173件(17%)の症例にあることがわかった(表5、図9C)。セントロメアに対し少なくとも2つの遺伝子コピーを有する症例及び複数のセントロメアシグナルが存在するため染色体1全体の多染色体性を有する乳癌を考察したところ、染色体1q21.3のところで非常に低いレベルのh−PRUNE増幅が観察された(1,016件のうち68症例、6.7%)。これは、遺伝子増幅メカニズムが少ない数の乳癌症例で発生することを示している。h−pruneゲノム領域でのDNAコピー数の増大は、三染色体性(p=0.027)又は四染色体性(p=0.033)を有する腫瘍における陽性h−prune免疫染色の存在に対する有効統計的相関関係に有意に関連する(表5)。しかし、このような細胞遺伝学的変更の頻度の低いことから、関与する代替病原性経路がh−PRUNE活性化及び乳癌のh−prune体性発現の増大を決定することが示唆される。
【0209】
【表5】

【0210】
h−pruneと臨床病理学的パラメータとの相関関係
乳癌におけるh−PRUNE過剰発現の臨床病理学的役割を評価するために、2,109件の乳癌症例の系列(病的原発腫瘍情報及び最大15年分の臨床追跡データのすべてを含む、表4)と412件の乳癌症例の系列(完全なTNM分類及び最大10年分の臨床追跡データを含む、表6)の両方を使用して、浸潤性原発乳房腫瘍について、免疫組織化学的分析を実施した。
【0211】
【表6】

【0212】
さらに、2,109人の患者の部分集合から取った腫瘍切片も、nm23−H1発現について、免疫組織化学分析により調査した(表7)。
【0213】
【表7−1】


【表7−2】

【0214】
この後者の部分集合は、遠隔転移の存在についての情報を与えることがなく、リンパ腺の状況に関する情報は、リンパ節転移の存在(N+)又は非存在(N−)に関してそのような乳癌患者について部分的に利用可能であった(陽性h−prune免疫染色は、210/482[44%]のN+症例、及び179/496[36%]のN−症例、P=0.109で観察され、同じように、nm23−H1+免疫染色についての統計的相関関係は、これら2つのグループについては見られなかった)。したがって、それぞれのパラメータの予後値は、生存分析に基づいて決定された。
【0215】
2002年12月に、疾患のため782人(31%)の患者が死亡したが、全体の生存期間の中央値は、59カ月であり、生存患者の追跡は72カ月である。Pearsonのχ二乗検定を使用し、いくつかの病理的パラメータ、つまり組織学的種類、腫瘍格付け(ElstonとEllisによって標準化されたとおり)、pT、ER、PR、及び(利用可な場合)pN、及びMとの関連でh−prune及びnm23−H1免疫染色を評価した。h−prune又はnm23−H1発現と腫瘍の種類(腺管と小葉)、組織学的グレード、pT、ER、及びPR反応性の間に統計的に有意な相関関係は観察されなかった(表4)。代わりに、412人の乳癌患者の系列において陽性h−prune免疫染色は進行性リンパ腺状況(N〜Nグループ、p=0.017)又は遠隔転移の存在(Mグループ、p=0.029)との有意な相関関係を有していた(表6)。この系列の統計分析により、h−prune過剰発現と原発腫瘍サイズとの間の有意な関連の非存在が確認された(表6)。
【0216】
疾患段階及び診断時の年齢に応じて調整されたCoxモデルを使用したが、h−prune過剰発現(HR 0.61、95% Cl 0.31〜1.18、p=0.144)又はnm23−H1(RR 0.98、95% Cl 0.90〜1.07、p=0.158)の予後値は観察されなかった(表8及び9、図10)。
【0217】
【表8】

【0218】
全体として、腫瘍格付け、原発腫瘍サイズ、及び腋窩リンパ腺状況は、乳癌患者のこの系列における予後に密接に相関するパラメータである(表8及び9)。
【0219】
したがって、結論として、h−pruneマーカーは、進行乳癌状況に関連付けられ、N1からN2状況に移るときのリンパ節状況の新しいマーカーと考えることができる。
【0220】
(実施例4)
NM23 HI及びH2リン酸化反応、及びh−prune cAMP−PDE活性のin vivo阻害を引き起こすh−pruneとの複合体の形成を阻害するIC261の使用に関する研究
材料と方法
in vitro及びin vivoのnm23H1及びH2タンパク質は、カゼインキナーゼ1δによりリン酸化され、リン酸化反応は複合体の形成に介在することを示す研究(図11)。
【0221】
方法−in vitro
リン酸化反応in vitro、相互作用アッセイ、及びホスホ−nm23抗体の生成。100ngの量の精製された組換えnm23及びその突然変異体を、Garzia他(2003年)で説明されているように、1時間の間、30℃で、CKI標準反応緩衝液内でインキュベートした。その後nm23リン酸化タンパク質を、5%BSAを補った共IP標準緩衝液内でh−pruneと共にインキュベートした。h−pruneタンパク質は、h−pruneのモチーフIII上のペプチドに対してポリクローナル抗体A59で免疫沈降した。リン酸化されているか、又はh−prune結合されてないnm23の異なる突然変異体の存在は、同時にh−prune及びnm23タンパク質を検出する抗His tail抗体(Qiagen)で実施される免疫沈降でのその後のWestern blot分析により検出された。
【0222】
K73ポリクローナル抗体は、免疫原として、nm23−H1タンパク質からの位置S122でリン酸化されたN115からE127のホスホペプチドを使用して得られ、抗血清は、非選択的抗体における結果として得られるタンパク質Aのカラム上のIgG精製、及び免疫原として使用されるホスホペプチド(NIIHGSDSVKSAE)上の他のアフィニティ精製の後に使用された。この第2の手順は、メーカーのプロトコルに従ってAffi−gel 25樹脂(biorad)でDMSO中に溶解された脱塩リン脂質1mgの架橋結合を通じて実施された。その後、結合樹脂を、リン酸化され、既に精製されたもので免疫されたウサギの血清を使用するアフィニティ精製に使用し、直接Affigel結合ペプチドカラムに塗布された、抗体まで濃縮されたIgGペプチド(K73ポリクローナル抗体)をカラムにより吸着した。カラムは、100mM Tris HCl 10ml(pH8)、500mM NaC 10ml、10mM Tris HCl 10ml(pH8)、10mM Tris HCl 10ml(pH8)をそれぞれ使用して、カラムml毎に洗浄した。0.1Mのグリシン(pH3)で溶離を実施した。
【0223】
方法−in vivo
In situタンパク質消化及びMALDI分析
トリプシン、ジチオトレイトール、及びヨードアセトアミドをSigmaから入手した。トリフルオロ酢酸(TFA)−HPLC、純度99%は、Carlo Erbaからのものである。最高純度の他のすべての試薬及び溶媒は、Bakerから入手した。
【0224】
SDSゲルから切り取り、milliQ水グラジエントで2回洗浄した、クマシーブルーで染色したタンパク質について分析を行った。摘出した染色物をまずCANで洗浄し、その後、0.1Mの重炭酸アンモニウムで洗浄した。その後、溶液を除去し、洗浄を2回繰り返した。タンパク質試料を、45分間、56℃で、ジチオトレイトール(DTT)内のインキュベートにより還元した。説明されているように、ACN/AMBICによる洗浄で還元緩衝液を除去した。暗所で、室温で、39分間、55mMのヨードアセトアミドのインキュベートにより遊離システインをアルキル化した。重炭酸アンモニウムとACNでゲル粒子を洗浄した。10mMの重炭酸アンモニウム(pH8.0)中のトリプシン(12.5ng/μl)を使って酵素消化を行った。ゲル断片を4時間の間、4℃でインキュベートした。その後、トリプシン溶液を除去し、緩衝液の新しいアリコートを加えた。試料を、18時間の間、37℃でインキュベートした。完全ゲル再水和に十分な最低限の反応体積を使用した。その後、室温で50%のACN中の10mMの重炭酸アンモニウム及び0.1%のTFAを使用してゲル粒子を洗浄することによりペプチドを抽出した。
【0225】
Applied Biosystem Voyager DE−PRO計測器及び新しいVoyager MALDI TOF/TOF質量分析計を使用して、MALDI−TOF質量分析結果を記録した。ペプチド及びアルファ−シアノ−ヒドロキシ桂皮酸(ACN中10mg/ml/水中0.1% TFA、2:1、v/v)の混合液を金属板に塗布し、室温で乾燥させた。外部標準を使用して、質量較正を実施した。メーカーが用意したソフトウェアを使用して第1のデータを分析し、モノアイソトピック質量として報告した。
【0226】
図3に示されている結果は、リン酸化反応がない場合に、その部位のnm23H1及びnm23H2タンパク質はh−pruneとの複合体を形成しないことを示している。
【0227】
h−prune過剰発現クローンの細胞運動性研究
IC261による阻害に関する研究
MDA−PRUNE #3及びMDA−PRUNE #4細胞クローン及びMDA−435C−100細胞(対照細胞)を、8μMのジピリダモール又は50μMのIC261(カゼインキナーゼIδ及びε阻害剤、Calbiochem、英国ノッティンガム)でそれぞれ24時間又は8時間かけて処理した。その後、0.5%の胎児血清FCS濃度を化学誘引物質として使用して、細胞運動性アッセイを「boiden and chamber」細胞に適用した。その後、顕微鏡を使って細胞の数を数え、得られたデータに統計分析を適用した(図13A)。
【0228】
顕微鏡を使って細胞を数えたところ、細胞運動性値は、すべて2通りに実施した5回の独立アッセイで算術平均±SDである(MDA−クローンprune#3及び#4/MDA−クローンprune#3及び#4、但しIC261 p<0.002)。
【0229】
in vitro細胞運動性アッセイ
安定h−prune過剰発現MDAクローンはD’Angelo他、2004年で説明されているようにして得られた。対照MDA−C100乳癌細胞系を、細胞運動性アッセイで使用した(Leone他、1993a、Leone他、1993b)。細胞運動性は、0.5% FCS、最終濃度を化学誘引物質として使用するトランスウェル技術(6ウェル、Corning−Costar)を使用して決定された(D’Angelo他、2004年を参照)。in vitro h−prune阻害運動アッセイは以下のように実施された。MDA−prune(クローン#3及び#4)及びMDA−C100を、ジピリダモール(8μM、IC50に関して10倍高い濃度)で24時間の間インキュベートし、完全な酵素不活性をもたらし、同じ細胞系をIC261により50μMの濃度で8時間の間インキュベートしたが、この条件では、細胞死のシグナルなしでnm23リン酸化反応の最高の減少を観察することができ、その後、運動アッセイを上述のように繰り返した。すべての結果は、すべて2通りに実施された5回の独立の実験の平均である。統計分析は、サイトhttp://www.graphpad.com/quickcaics/index.cfmで入手できる低下されたT検定法で実施され、P<0.05の値は、統計的に有意であると考えられる。
【0230】
h−prune過剰発現細胞の、IC261投与を受けるcAMP−PDEの全含量に関する研究
MDA−Prune#4細胞は、そのようなものとしてあるか、又は50μM IC261で8時間の間処理された。その後、細胞を溶解し、Amersham「シンチレーション近接アッセイ」法を使用してそのcAMP−PDE全含量について試験した。IC261の存在下で、組換えh−pruneのcAMPホスホジエステラーゼ活性(図13B、右)の改変は検出されなかったが、prune過剰発現MDA prune #4クローンにおけるcAMP−PDE活性の全含量をきめ細かく下げることができ、h−prune及びnm23複合体が細胞PDE−cAMP増大(図13B、左)に関与することを示し、またそのような複合体は、in vivoでIC261により阻害できることが指摘された。
【0231】
A.PDE活性アッセイとcAMP
PDE活性は、シンチレーション近接アッセイ(Amersham−Pharmacia Biotech)で測定された。試料、MDA−prune#4全抽出物の20μg、及び対照として使用されるMDA−C100抽出物を、基質として所望のcAMP濃度を含む(非標識と3H−標識比3:1)アッセイ緩衝液(50mMのTris HCl[PH7.4]、8.3mM MgCl、1.7mM EGTA)100μlの中で30℃でインキュベートした。単独の緩衝液を含むブランクを含むすべての反応を、3通り実施し、基質回転率25%未満(経験により決定)となるインキュベート時間の間進行させた。50μlのケイ酸イットリウムSPAパール(Amersham)を加えて反応を急冷した。発見された放射性同位体標識産物量に対する酵素活性を、メーカープロトコルに従って計算した。IC261による処理は、上述の運動アッセイの場合と同じであった。
【0232】
結果
得られた結果は、IC261を使用してカゼインキナーゼ1δを阻害することにより、nm23−H1及びH2リン酸化反応を阻害し、したがって、h−pruneタンパク質とのin vivoの結合を阻害する可能性があることを示している。したがって、この薬剤を使用することにより、h−prune−nm23複合体の形成を阻害することが可能であり、これは最後にカゼインキナーゼIによる8120、8122、8125領域(NIIHGSDSVESAEKE)内のリン酸化反応に依存する。この研究では、IC261を使用して、nm23H1及びH2のh−pruneへの結合を阻害し、タンパク質複合体由来の細胞運動性を阻害することができる。
【0233】
新しい手順では、細胞内に浸透でき、in vivoでリン酸化されたnm23−H1及びH2の割当量を横取りする、h−pruneの結合に関して競合する新しいペプチドの使用を予測でき、その配列は、8120、8122、及び8125セリンのnm23−H1及びH2範囲のアミノ酸配列から導かれる(実施例H1:NIIHGSDSVESAEKEの後にHIV TATタンパク質の領域の浸透ペプチド配列が続く。GGGYGRKKRRQRRR、純度95%がPRIMMによって合成される)。そのような、又は類似のペプチドは、H1及びH2野生型タンパク質上でカゼインキナーゼIリン酸化反応とin vivoで競合し、h−prune複合体形成及び細胞内のh−prune cAMP−PDE活性の増大及び最終的に細胞運動性の誘発に関与するリン酸化されたnm23の割当量を減らすことができる。また、(H1−:SDEIGKVSENIAHSEの後に続く浸透ペプチド配列GGGYGRKKRRQRRR)と呼ばれるカゼインキナーゼIクランブルの認識配列を有する対照ペプチドを合成した。この技術を使用し、in vivoでh−pruneとnm23との間の相互作用の阻害をより特異的に標的にすることが可能である。
【0234】
(実施例5)
h−pruneに対するモノクローナル抗体の作成(4G3/4、10/12/2004にジェノアのCBAに寄託)
尾部のN末端で融合され、pMaltoseベクターを通じて大腸菌(E.Coli)内で生成される、h−pruneタンパク質は、精製されたゲルであった。マウスに5週間の間免疫し(1回注射でタンパク質100μg)、何らかのハイブリドーマ培養を用意するために脾臓を取り出した。免疫及び分析のためにタンパク質抗原約2mgが必要であった。Primmは、タンパク質が利用できなかった場合の免疫用に接合合成ペプチドを提供することができる。モノクローナル抗体の開発及び生産は、以下の異なるフェーズで規定される。
− ペプチド合成及びペプチド接合(必要な場合)。
− ペプチド約10mgの合成、純度>70%
− ペプチド3〜4mgを担体タンパク質に接合(抗原として)
− ELISAスクリーニング用にペプチド1〜2mgを異なる担体タンパク質に接合
【0235】
フェーズI(1.5カ月)
3 BALB/cのマウスを抗原で免疫。免疫された動物の血清の特異免疫グロブリンの定量滴定の手順。次の脾臓細胞の融合に対する免疫反応及び動物選択のELISAアッセイ。
【0236】
フェーズII(2カ月)
脾臓摘出及び脾細胞と骨髄症細胞との融合、最も陽性のクローンのELISA凍結を介したハイブリドーマ選択。
【0237】
フェーズIII(1〜1.5カ月)
限界希釈法による陽性クローン(1/2又は4)のクローニング及びサブクローニング。ハイブリドーマの凍結(2アリコート/クローン)。アリコートの解凍後の存続可能性、生産性、及び安定性アッセイ。
【0238】
フェーズIV(1〜1.5カ月)
浮遊物0.5lからの細胞培養のmAb 0.5〜4mgの生成及び精製。
【0239】
選択されたハイブリドーマは、ハイブリドーマ培養浮遊物から精製されたネズミIgMを生産する。免疫細胞化学に使用されるmAbの量は、1:100から300μg/mlに希釈されたmAb溶液に等しい。抗体は、ヒトとネズミの両方のpruneに作用し認識する。内生タンパク質の検出は、ICC、IF、及びWestern blotを使用して実施される(図14)。
【0240】
抗体精製は、以下のIgM精製プロトコルに従って実施された。溶解細胞の浮遊物を1ml/分の流れに曝した。HiTrap IgMを、5体積の20mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、0.8M (NH)2SO(緩衝液A)、5体積の20mMリン酸ナトリウム(pH7.4)(緩衝液B)、5体積の20mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、30%イソプロパノール(緩衝液C)で平衡化した(1ml、Amersham−Pharmacia)。ELISAアッセイをペプチド及び精製されたタンパク質全体に対し実施し、生成された抗原及びクローン選択の特異性を決定した。
【0241】
カラム内にハイブリドーマ浮遊物を導入し、3つの緩衝液と共に溶離プロセスを3回繰り返し、そこで、カラムを15体積の緩衝液A(15ml)で洗浄し、カラム溶離を12体積の緩衝液B(12ml)で行い(1ml画分の回収)、280nmの画分吸収度を読み取り、0.1O.D.未満の吸収度の画分を回収し、4℃で一晩、1×PBS緩衝液に対し12000〜14000の間のカットオフの管で画分透析を行う。カラムを再生するには、7mlの緩衝液Cを使用する。緩衝液B+20%エタノールでカラムを保存する。
(参考文献)
【表9−1】


【表9−2】


【表9−3】

【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1A】DHHファミリーのホスホエステラーゼ配列の多重整列を示す図であり、4つのジェネリックモチーフ(generic motif)(I−IV)及び第2のドメインにマッピングする2つの異なるサブファミリーのモチーフ診断を別々に示しており、数字は、それぞれのタンパク質配列内の第1の整列残基の位置及び異なる要素間の距離を示す。
【図1B】PPASE及びRecJタンパク質の結晶構造に基づくh−PRUNEタンパク質の「リボン」構造。矢印は、アスパラギン酸残基(D)を示す。
【図1C】RecJタンパク質の「リボン」構造。矢印は、アスパラギン酸残基(D)を示す。
【図2A】cAMP及びcGMP基質上のh−PRUEN PDE活性の同定を示す図である。
【図2B】単一及び複数の突然変異の分析結果のヒストグラムは、h−PRUNEタンパク質の潜在的触媒部位をマッピングしている。
【図2C】Lineweaver−Burkプロットで、それぞれ基質としてcAMPについてK及びVmaxを決定している。
【図2D】Lineweaver−Burkプロットで、それぞれ基質としてcGMPについてK及びVmaxを決定している。
【図2E】cAMP−PDE活性は、Mg2+の高い濃度で2つの異なる緩衝液の存在下で測定された。
【図2F】cAMP−PDE活性は、Mg2+(黒色点)又はMn2+(白色点)の高い濃度の存在下で測定された。h−PRUNE(実線)及びh−PRUNEΔ(散在する点の線形)が示されている。
【図3A】安定したクローン分析及びin vitro運動アッセイを示す図である。リアルタイムPCR定量分析によるh−PRUNE及びnm23−H1遺伝子のmRNA発現の試験。関連するΔCt値が示されている。
【図3B】リアルタイムによるmRNA発現の検出。m−RNAのコピー数が報告される。
【図3C】h−PRUNE、nm23−H1、及びHis−tag特異抗体をそれぞれ(PDE5Aについて)使用するWestern blot分析は、それぞれの個別細胞クローン内に発現されたタンパク質の量を示している。
【図3D】MDA C−100(対照)、MDA H1−177、MDA−PRUNE、及びMDA−H1−177−PRUNE細胞系の細胞運動性は、それぞれh−PRUNE(クローン#3及び#4)単独又はh−PRUNEとnm23−H1(クローン#7及び#8)を過剰発現する。
【図3E】MDA C−100(対照)、MDA−PRUNE(クローン#3及び#4)、MDA−PRUNEΔ(クローン#10及び#11)、MDA−PRUNE4DΔ(クローン#19及び#20)、MDA−PDE5A(クローン#14及び#16)、及びMDA−H1−177細胞系の細胞運動性。
【図3F】MDA C−100(対照)、MDA−nm23H1−S120G、MDA−nm23H1−S120G−PRUNE(クローン#2及び#3)、MDA−nm23H1−P96S、MDA−nm23H1−P96S−PRUNE(クローン#4及び#5)細胞系の細胞運動性、単独又はh−PRUNEとの過剰発現nm23−H1突然変異体。
【図4】nm23タンパク質の存在下でのin vitro及びin vivoのh−PRUNE PDE活性分析、h−PRUNE及びh−PRUNEΔ cAMP−PDE活性を示す図である(パネルA).パネルBの表には、タンパク質溶解物全体で細胞pmol×min−1×μg−1として測定されたh−PRUNE PDE活性の値が報告されている。
【図5】PDEの阻害活性並びにMDA C−100(対照)、MDA−PRUNE(クローン#3及び#4)、及びMDA PRUNEΔ(クローン#10及び#11)細胞系の運動の分析結果を表す運動ヒストグラムの図である(パネルA)。パネルBの表には、IC50の値として表されている、8つの試験阻害剤による異なるPDE上の阻害活性が報告されており、最後の列には、いくつかの最も感度の高い化合物に対するh−PRUNE IC50値が示されている。
【図6】乳房の腫瘍に関連する転移のin vivo分析、h−PRUNE(左)とnm23−H1(右)の増幅を示すMTA(多重組織アレイ)のFISH分析を示す図である(パネルA)。中及び低(0/+)nm23−HI発現レベル(右)と対比したh−PRUNE高発現(+++)腫瘍(左)の2つのグループの免疫組織化学の分析(IHC)の倍率100×及び200×(パネルB、C)。59 TNM乳癌患者に実施されたFISH分析とIHC分析の結果表(パネルD)。
【図7】乳癌のh−PRUNE前転移性機能を表すモデルを示す図である。
【図8】正常な乳房組織と腫瘍乳房組織を比較するFISH分析及び免疫組織化学分析を示す図である。パネルAには、正常組織及び腫瘍組織(左)と腫瘍はあるが転移していない組織(右)の両方のh−PRUNEコピー数を特徴付けることができるMTAのFISH分析が示されており、パネルBには、低h−PRUNE発現(+)腫瘍の2つのグループについて実施される免疫組織化学分析の倍率が報告されている。
【図9】乳癌のh−PRUNEの発現及び細胞遺伝分析を示す図である。パネルAでは、TMAセクションで実施されるh−PRUNE発現に対する免疫組織化学分析及び陽性(a)及び陰性(b)のh−PRUNE免疫染色の倍率40×が示されている。パネルBには、h−PRUNE/PAC279−h19をプローブとして、pUCI77を対照として使用する同じ試料に関するFISH分析が報告されている。
【図10】h−PRUNE及びnm23−H1発現に関するKaplan−Meier生存分析を示す図である。乳癌のすべての患者は、nm23−H1(A)及びh−PRUNE(B)免疫染色を受けた。h−PRUNE陽性乳癌は、腋窩リンパ節転移が存在する場合(C)又は存在しない場合(D)のものである。
【図11A】バキュロウイルス(baculovirus)生成h−PRUNEタンパク質のin vitro免疫沈降及びカゼインキナーゼδin vitroのリン酸化された、及びリン酸化されていない、nm32H1を示す図であり、in vitro免疫沈降を介した複合体形成を示すためにS120−125領域内の複数の単一突然変異が生成された。タンパク質は、バキュロウイルスで合成された組換えタンパク質の末端NHに存在する抗HIS抗体を使用してWestern blotにより目に見えるようになっている。レーン1及び2は、組換えタンパク質を対照として示している。免疫沈降は、A−59抗h−pruneポリクローナル抗体を使用して実施され、検出は、抗Hisタグ(prune/nm32)ポリクローナル抗体を伴うW.B.により実施された。
【図11B】タンパク質配列及びタンパク質のMALDI−MSを示す図であり、リン酸化陽性セリン(phosphorylation−positive serines)は太字で示されている。
【図11C】SDS Pageゲル精製及びトリプシン処理の後、MALDI−MS分子量プロファイル分析に送られる、pcDNA−HA−nm23H2構造及び抗体を認識する抗HAを使用するCOS7発現nm23−H2を示す図であり、ペプチド及びその分子量の同定は、1つ又は2つのリン酸化反応に対応する質量増大がある、Voyager質量分析計を使用して実施された。(80ダルトン、160ダルトン)。
【図12】図12Aは、リン酸化ペプチドに対し数回アフィニティ精製された、ウサギで得られる、nm23H1リン酸化領域に対応するペプチドを認識するK73ポリクローナル抗体を示す図であり、レーン1及びレーン2は、バキュロウイルス生成nm23H1及びH2組換えタンパク質が、カゼインキナーゼδによりin vitroでリン酸化されたときに、IgG濃縮特異K73抗体を認識するリン酸化セリンにより認識されることを示している。これらのデータは、K73特異抗体によるセリン120〜125領域内の特異リン酸化反応の存在を示している。図12Cは、MDA H1177が、実施例4で説明されているように、様々な時点において、IC261 50mMolでインキュベートされ、全抽出物30mgが、リン酸化ペプチドに対し精製されたK73ポリクローナル抗体と共にnm32のリン酸化反応について分析されたことを示す図である。レーン6(0hで与えられた)は、レーン1で使用され、37℃でICP 10Uにより1時間処理された、抽出物30mgを示している。図12Dは、MDA C100が、6時間かけて、IC261により2つの異なる濃度で処理され、h−pruneは、A59ポリクローナル抗体で免疫沈降され、nm23−H1との相互作用は、moAb抗nm23H1 moAb(NOVOCASTRA)を介して検出されたことを示す図である。レーン1及び5は、組換えh−prune WB陽性対照20ng及びMDAH1177細胞抽出物20ngをそれぞれ示している。
【図13】図13Aは、ジピリダモール、IC261又はジピリダモール及びIC261による処置の後の細胞運動性値(5つの独立複製アッセイについては算術平均±SD)を示す図である。図13B(左下)は、IC261が存在していると、複合体が細胞内のPDE−cAMP増大に関わることを示すMDA prune #4細胞内の直鎖化cAMPの内容(cAMP−PDE活性の全内容)を変えることを示す図である。実際、図13B(右下)は、IC261が存在しているときにin vitroの組換えh−pruneタンパク質は、その生物活性を修正しないことを示しており、比活性度値は未処理タンパク質に類似している。これらのデータから、IC261は、h−prune−nm23複合体を阻害し、後者は、MDA prune #4で明らかなように、ホスホジエステラーゼ活性のin vivo増大に関与することがわかる。
【図14】prune特異モノクローナル抗体(4G3/4)を使用するWestern blotによるh−prune検出を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
h−PRUNEの過剰発現を特徴とする腫瘍転移の予防及び治療用の薬剤を製造するためのh−Pruneサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤の使用。
【請求項2】
h−pruneサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤は、一般式(I)
【化1】


[式中、R1及びR2は、同じ又は異なり、アミノアルコール、アミノアルキル、コレステロールからなる群から選択することができ、
R3及びR4は、同じ又は異なり、複素環式芳香族又は芳香環からなる群から選択することができる]を有する請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記複素環式芳香族環は、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、モルホリンからなる群から選択することができる請求項2に記載の使用。
【請求項4】
R1及び/又はR2は、ジエタノールアミンである請求項2及び3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
R3及び/又はR4は、ピリミジンである請求項2から4までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記阻害剤は、ジピリダモールである請求項2から5までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
h−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤は、ビンポセチン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、IC261及び誘導体、構造類似物、及びその異性体からなる群から選択される請求項1に記載の使用。
【請求項8】
h−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤は、アミノ酸配列
NIIHGSOSVESAEKE(配列番号9)
を含むペプチドである請求項1に記載の使用。
【請求項9】
h−PRUNEサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の阻害剤は、アミノ酸配列NIIHGSOSVESAEKE GGGYGRKKRRORRR(配列番号10)を含むペプチドであり、浸透性のあることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項10】
h−PRUNEの過剰発現を特徴とする腫瘍は、乳癌、肉腫、神経芽細胞腫、前立腺腫瘍、膵臓腫瘍、結腸腫瘍、直腸腫瘍、髄芽細胞腫、上皮腫、肝癌、T細胞又はB細胞リンパ腫、骨髄腫及びメラノーマ、及び肺腫瘍である請求項1から9までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
次のアミノ酸配列
NIIHGSOSVESAEKE(配列番号9)
を含むペプチド。
【請求項12】
浸透性であることを特徴とする、アミノ酸配列
NIIHGSOSVESAEKEGGGYGRKKRRQRRR(配列番号10)を含むペプチド。
【請求項13】
h−PRUNE阻害化合物のスクリーニング方法であって、
a)少なくとも1つのホスホエステラーゼ(PDE)阻害化合物又は誘導体、構造類似物、又はその異性体を選択するフェーズと、
b)0.05μMから10μMの範囲の濃度の前記少なくとも1つの化合物を、h−PRUNEを過剰発現する細胞系に投与するフェーズと、
c)h−PRUNEのサイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性の定量分析を行い、及び/又は細胞運動性対前記少なくとも1つの化合物及び化学誘引物質の濃度の分析を行い、前記ホスホジエステラーゼ活性を0.01から1pmol/min−1/ug−1の間の値に阻害し、及び/又は前記運動を細胞200から1200個の間の値を達成するまで阻害することができる化合物を選択するフェーズと
を含むスクリーニング方法。
【請求項14】
前記細胞系は、MDA−C100 435 prune #4である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記定量分析は、c−AMP及び/又はc−GMP基質の加水分解試験により実施される請求項13及び14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記基質は、0.008μMから1μMの範囲の濃度で使用される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
免疫学的アッセイ、FISH分析、リアルタイムPCR、in situハイブリッド形成法によるh−PRUNE過剰発現を特徴とする腫瘍の転移を診断するために生物試料中のh−PRUNEを検出する方法。
【請求項18】
a)前記生物試料を、少なくとも1つの抗h−PRUNE抗体と接触させるステップと、
b)抗原抗体複合体を検出するステップと、
c)抗原抗体複合体の定量分析を行うステップと
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生物試料は、組織切片又は生体液である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗h−PRUNE抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体である請求項17から19までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗h−PRUNE抗体は、放射性同位体、蛍光分子、又は酵素で標識されている請求項17から20までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
抗原抗体複合体の前記検出及び定量分析は、免疫組織化学分析、免疫沈降分析、免疫蛍光検査分析、ELISA分析、免疫ブロット分析により実施される請求項18に記載の方法。
【請求項23】
h−PRUNEに特異的なPCRリアルタイムプライマーは、配列
5’−AGAGATCTTGGACAGGCAAACT−3’(配列番号1)、
3’−CCATGTTGACACAGTCCAGGAT−5’(配列番号2)、
又はその相補配列を含む請求項17に記載の方法。
【請求項24】
リアルタイムPCR又はin situハイブリッド形成法の標識プローブは、オリゴヌクレオチド配列
CTGCATGGAACCATC(配列番号3)、
又はその相補配列又はTがUで置き換えられた配列を含む請求項17に記載の方法。
【請求項25】
リアルタイムPCRの前記標識プローブは、線形又は円形プローブである請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プローブは、少なくとも1つの放射性同位体及び/又は蛍光色素で標識されている請求項24及び25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記プローブは、5’及び/又は3’で少なくとも1つの蛍光色素で標識されている請求項24から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記蛍光色素は、6−カルボキシフルオレセインである請求項24から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの抗h−PRUNE抗体、又はh−PRUNEに特異的なプライマーの対又はh−PRUNEに特異的な標識オリゴヌクレオチドプローブを含む、h−PRUNE過剰発現を特徴とする腫瘍の転移の診断のための生物試料中のh−PRUNEを検出するための診断キット。
【請求項30】
h−PRUNE過剰発現を特徴とする前記腫瘍は、乳癌、肉腫、神経芽細胞腫、メラノーマである請求項29に記載の診断キット。
【請求項31】
前記抗h−PRUNE抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体である請求項29及び30のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項32】
前記抗h−PRUNE抗体は、放射性同位体、蛍光分子、又は酵素で標識されている請求項31に記載の診断キット。
【請求項33】
h−PRUNEに特異的な前記プライマーの対は、配列
5’−AGAGATCTTGGACAGGCAAACT−3’(配列番号1)、
3’−CCATGTTGACACAGTCCAGGAT−5’(配列番号2)、
又はその相補配列を含む請求項29に記載の診断キット。
【請求項34】
リアルタイムPCR又はin situハイブリッド形成法の前記標識オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチド配列
CTGCATGGAACCATC(配列番号3)、
又はその相補配列又はTがUで置き換えられた配列を含む請求項29に記載の診断キット。
【請求項35】
リアルタイムPCRの前記標識オリゴヌクレオチドプローブは、線形又は円形プローブである請求項34に記載の診断キット。
【請求項36】
前記オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも1つの放射性同位体及び/又は蛍光色素で標識されている請求項34及び35のいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項37】
前記プローブは、5’及び/又は3’で少なくとも1つの蛍光色素で標識されている請求項34から36までのいずれか一項に記載の診断キット。
【請求項38】
前記蛍光色素は、6−カルボキシフルオレセインである請求項37に記載の診断キット。
【請求項39】
h−PRUNE組換えタンパク質を認識し、選択的に結合することができ、IgM免疫グロブリンクラスに属し、4G3/4クローン(10/12/2004にジェノアのCBAに寄託)により産生されることを特徴とするモノクローナルマウス抗体。
【請求項40】
アミノ酸配列
NH−Ala−Leu−Glu−Glu−Ala−Val−Ala−Glu−Val−Leu−Asp−His−Arg−Pro−IIe−Glu−Pro−Lys−COOH(配列番号4)
又はその一部を含む、免疫に使用されるペプチドを認識し、選択的に結合することを特徴とするh−PRUNEのウサギからのポリクローナル抗体。
【請求項41】
オリゴヌクレオチド配列
5’−AGAGATCTTGGACAGGCAAACT−3’(配列番号1)、
3’−CCATGTTGACACAGTCCAGGAT−5’(配列番号2)、
又はその相補配列の少なくとも1つを含む、リアルタイムPCRを介したhPRUNE増幅のための特異的プライマー。
【請求項42】
配列
CTGCATGGAACCATC(配列番号3)、
又はその相補配列又はTがUで置き換えられた配列を含む、リアルタイムPCR又はin situハイブリッド形成法のためのh−PRUNEに特異的なオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項43】
前記プローブは、線形又は円形プローブである請求項42に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項44】
前記プローブは、少なくとも1つの放射性同位体及び/又は蛍光色素で標識されている請求項42及び43のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項45】
前記プローブは、5’及び/又は3’で少なくとも1つの蛍光色素で標識されている請求項42から44までのいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項46】
前記蛍光色素は、6−カルボキシフルオレセインである請求項45に記載のオリゴヌクレオチドプローブ。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−513940(P2007−513940A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543723(P2006−543723)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000689
【国際公開番号】WO2005/056043
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506198492)
【Fターム(参考)】