説明

ナビゲーション装置、旅行時間算出方法、およびプログラム

【課題】設定された経路についての旅行時間の見積もりの精度を高めることができるナビゲーション装置20を提供する。
【解決手段】本発明のナビゲーション装置20は、道路の情報を格納するリンクデータ格納部28と、車両の現在位置を算出する現在位置算出部27と、出発地点から目的地点までの経路を探索する経路探索部24と、経路誘導を行う経路誘導部25と、渋滞情報を外部の渋滞情報配信局11から受信する渋滞情報受信部21と、リンクの旅行時間を外部の旅行時間配信局12から取得する旅行時間取得部22と、誘導経路に含まれるそれぞれのリンクについて、当該リンクが渋滞区間に含まれる場合には、渋滞情報配信局11から受信した旅行時間を用い、当該リンクが渋滞区間に含まれない場合には、旅行時間配信局12から取得した旅行時間を用いて、誘導経路の旅行時間を算出してユーザに通知する旅行時間算出部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載され、設定された経路の旅行時間を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、それぞれの車両の走行位置や、走行速度、走行時刻等を含む交通情報を収集し、収集した交通情報を統計処理することにより、所定の区間の旅行時間等を算出して、各車両に提供するプローブカーシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−269669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各車両から提供された交通情報を統計処理することにより算出された旅行時間は、対象となる道路の平均的な旅行時間であり、その道路に渋滞が発生した場合、プローブカーシステムによって提供される旅行時間の情報を使用すると、実際の旅行時間との差が大きくなる場合がある。
【0005】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、設定された経路についての旅行時間の見積もりの精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明は、道路が区分された区間ごとの道路情報を記憶する記憶手段と、道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段で探索された経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分手段と、移動体から発信されるプローブ情報に基づく区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信手段と、プローブ情報受信手段によって受信した旅行時間を利用することにより、区分手段によって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
【0007】
また、第2の発明は、道路が区分された区間ごとの道路情報を記憶する記憶手段と、道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、経路探索手段で探索された経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分手段と、移動体から発信されるプローブ情報に基づく区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信手段と、プローブ情報以外の情報に基づく区間ごとの旅行時間に関する情報を取得する区間情報取得手段と、プローブ情報受信手段によって受信した旅行時間を利用することにより、区分手段によって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算手段と、区間情報受信手段によって受信した旅行時間を利用することにより、区分手段によって渋滞区間に区分された経路上の区間の旅行時間を演算する渋滞区間演算手段と、非渋滞区間演算手段によって演算された非渋滞区間の旅行時間と、渋滞区間演算手段によって演算された渋滞区間の旅行時間と、を利用して経路の旅行時間を演算する経路時間演算手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
【0008】
また、第3の発明は、道路が区分された区間ごとの記道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、経路探索ステップで探索された経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分ステップと、移動体から発信されるプローブ情報に基づく区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信ステップと、プローブ情報以外の情報に基づく区間ごとの旅行時間に関する情報を取得する区間情報取得ステップと、プローブ情報受信ステップによって受信した旅行時間を利用することにより、区分ステップによって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算ステップと、区間情報受信ステップによって受信した旅行時間を利用することにより、区分ステップによって渋滞区間に区分された経路上の区間の旅行時間を演算する渋滞区間演算ステップと、非渋滞区間演算ステップによって演算された非渋滞区間の旅行時間と、渋滞区間演算ステップによって演算された渋滞区間の旅行時間と、を利用して経路の旅行時間を演算する経路時間演算ステップとを備えることを特徴とする旅行時間算出方法を提供する。
【0009】
また、第4の発明は、コンピュータをナビゲーション装置として機能させるプログラムであって、道路が区分された区間ごとの記道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索部と、経路探索部で探索された経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分部と、移動体から発信されるプローブ情報に基づく区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信部と、プローブ情報以外の情報に基づく区間ごとの旅行時間に関する情報を取得する区間情報取得部と、プローブ情報受信部によって受信した旅行時間を利用することにより、区分部によって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算部と、区間情報受信部によって受信した旅行時間を利用することにより、区分部によって渋滞区間に区分された経路上の区間の旅行時間を演算する渋滞区間演算部と、非渋滞区間演算部によって演算された非渋滞区間の旅行時間と、渋滞区間演算部によって演算された渋滞区間の旅行時間と、を利用して前記経路の旅行時間を演算する経路時間演算部とを備えることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のナビゲーション装置によれば、設定された経路についての旅行時間の見積もりの精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】リンクデータ格納部28に格納されるリンクテーブル280の構造の一例を示す図である。
【図3】平均速度算出部26による平均速度の算出方法を説明するための概念図である。
【図4】ナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】旅行時間算出処理(S200)の一例を示すフローチャートである。
【図6】ナビゲーション装置20の機能を実現するコンピュータ40の一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態にかかるナビゲーションシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。ナビゲーションシステム10は、アンテナ13、アンテナ14、入力装置15、表示装置16、スピーカ17、センサ18、およびナビゲーション装置20を備える。
【0014】
渋滞情報配信局11は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)等に用いられる配信局であり、渋滞区間およびその区間の旅行時間を示す情報を含む渋滞情報を、FM多重放送や電波ビーコン等により各車両に配信する。
【0015】
旅行時間配信局12は、例えばプローブカーシステム等に用いられる配信局であり、当該システムに参加する複数のユーザの車両から、車両の走行位置や、走行速度、走行時刻等を含むプローブ情報を受信し、受信した複数のプローブ情報を統計処理することによってそれぞれのリンクの旅行時間を算出する。そして、旅行時間配信局12は、算出したそれぞれのリンクの旅行時間を、各車両からの要求に応じて無線通信により提供する。
【0016】
ナビゲーション装置20は、渋滞情報受信部21、旅行時間取得部22、旅行時間算出部23、経路探索部24、経路誘導部25、平均速度算出部26、現在位置算出部27、およびリンクデータ格納部28を有する。
【0017】
リンクデータ格納部28には、道路を示すリンクに関する情報を格納するリンクテーブルや地図データ等が格納されている。リンクテーブルには、例えば図2に示すように、リンクに関するデータが、所定の地図領域毎のメッシュデータ281として格納されている。それぞれのメッシュデータ281には、それぞれのメッシュを識別するメッシュID282およびメッシュ内のリンクに関するデータであるリンクデータ283等が含まれる。
【0018】
それぞれのリンクデータ283には、それぞれのリンクを識別するリンクID284、リンクの開始ノード座標285、リンクの終了ノード座標286、リンクの道路種別287、リンク長288、リンクの開始ノードに接続されている他のリンクの識別情報である開始接続リンク289、およびリンクの終了ノードに接続されている他のリンクの識別情報である終了接続リンク290等が格納されている。また、リンクデータ格納部28には、統計的に求められたリンクごとの旅行時間が格納されている。
【0019】
センサ18は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機や、方位センサ、距離センサ、車速センサ等であり、測地衛星から送信されたGPS信号や、車両の進行方位、車両の移動距離、車速等を測定し、測定情報を平均速度算出部26および現在位置算出部27に供給する。
【0020】
現在位置算出部27は、センサ18から供給された測定情報およびリンクデータ格納部28に格納されたリンクデータに基づいて、ナビゲーション装置20が搭載された車両が所定距離(例えば10m)移動する毎に、例えばマップマッチング等により当該車両の現在位置を算出し、算出した車両の現在位置を示す情報を旅行時間算出部23、経路探索部24、経路誘導部25、および平均速度算出部26に提供する。
【0021】
渋滞情報受信部21は、アンテナ13を介して、渋滞情報配信局11から渋滞情報を受信し、受信した渋滞情報を旅行時間算出部23に供給する。旅行時間取得部22は、旅行時間算出部23から指示されたリンクの旅行時間をアンテナ14を介して旅行時間配信局12に要求し、当該リンクの旅行時間を旅行時間配信局12が提供可能であれば、アンテナ14を介して当該リンクの旅行時間を旅行時間配信局12から取得して旅行時間算出部23に提供する。
【0022】
経路探索部24は、出発地点、目的地点、および経由地点の座標や、探索条件等を含む探索情報を、タッチパネル等の入力装置15を介してユーザから受け付けた場合に、リンクデータ格納部28内のリンクデータを参照し、当該探索情報に基づいて、例えばダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて、経由地点を通り出発地点から目的地点へ至る経路を探索し、探索結果を表示装置16に表示する。
【0023】
そして、経路探索部24は、入力装置15を介してユーザから探索された経路を指定する情報を受け付けた場合に、ユーザによって指定された経路を誘導経路として旅行時間算出部23および経路誘導部25へ送る。誘導経路には、当該誘導経路を構成するリンクのリンクIDが含まれている。なお、経路探索部24は、車両の現在位置を出発地点として経路探索を実行してもよい。
【0024】
また、経路探索部24は、誘導中の経路と車両の現在位置との関係が予め定められた条件を満たした場合(例えば誘導経路から車両の現在位置までの距離が100m以上離れた場合等)に、誘導経路を再度探索し、再探索した誘導経路を旅行時間算出部23および経路誘導部25へ送る。
【0025】
経路誘導部25は、経路探索部24から誘導経路を示す情報を受け取った場合に、リンクデータ格納部28に格納されている、車両の現在位置付近の地図データを取得し、取得した地図データで示される地図上に車両の現在位置を示すカーマークを表示することにより、経路誘導を実行する。
【0026】
そして、経路誘導部25は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置およびリンクデータ格納部28に格納されているリンクデータを参照して、誘導経路上において、車両の前方所定距離以内に、進行方向を指示すべき案内地点が存在する場合に、当該案内地点に関する画像を表示装置16に表示すると共に、誘導を示す音声をスピーカ17を介して再生することにより、進むべき方向を案内する。
【0027】
平均速度算出部26は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置と、リンクデータ格納部28内のリンクデータとを参照し、車速センサ等のセンサ18からの測定情報をもとにして、走行中のリンクにおける平均速度を算出して旅行時間算出部23に提供する。
【0028】
例えば、図3に示すように、車両が、リンク30を走行した後に、ノード31において当該リンク30に接続しているリンク32上を走行してカーマーク33の位置にある場合、平均速度算出部26は、カーマーク33がノード34を通過するまで、ノード31からカーマーク33の位置までの区間Lにおける車両の平均速度を、リンク32の平均速度として算出して旅行時間算出部23に提供する。
【0029】
旅行時間算出部23は、経路探索部24から誘導経路を示す情報を受け取った場合に、当該誘導経路内のそれぞれのリンクについて、下記の処理を実行することにより、それぞれのリンクの旅行時間を特定し、誘導経路内の全てのリンクの旅行時間を合計して、誘導経路の総旅行時間を算出して表示装置16に表示する。
【0030】
まず、旅行時間算出部23は、誘導経路の中で対象となるリンクを1つ選択し、渋滞情報受信部21を介して提供された渋滞情報を参照して、選択したリンクが渋滞区間に含まれているか否かを判定する。選択したリンクが渋滞区間に含まれている場合、旅行時間算出部23は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置と、リンクデータ格納部28内のリンクデータとを参照し、選択したリンク上を車両が走行中か否かを判定する。
【0031】
選択したリンク上を車両が走行中である場合、旅行時間算出部23は、当該選択したリンクのリンク長をリンクデータ格納部28から取得し、平均速度算出部26によって算出された平均速度と、取得したリンク長とを掛け合わせることにより、当該選択したリンクの旅行時間を算出する。
【0032】
一方、選択したリンク上を車両が走行中でない場合、旅行時間算出部23は、渋滞情報受信部21を介して提供された渋滞情報を参照して、選択したリンクの旅行時間を算出する。例えば、9kmの渋滞区間に3つのリンクが含まれており、それぞれのリンクの長さが、2km、3km、および4kmである場合、渋滞区間の旅行時間が45分であるならば、旅行時間算出部23は、2kmのリンクについては45×2÷9=10分、3kmのリンクについては45×3÷9=15分、4kmのリンクについては45×4÷9=20分と算出して、その中から対象となるリンクの旅行時間を抽出する。
【0033】
また、選択したリンクが渋滞区間に含まれていない場合、旅行時間算出部23は、選択したリンクの旅行時間を、旅行時間取得部22を介して旅行時間配信局12に要求する。そして、旅行時間配信局12から旅行時間が提供された場合、旅行時間算出部23は、提供された旅行時間を、選択した旅行時間とする。
【0034】
一方、選択したリンクについては十分なプローブ情報が収集されていない等の理由により、当該リンクについての旅行時間が旅行時間配信局12から提供されなかった場合、旅行時間算出部23は、選択したリンクの旅行時間をリンクデータ格納部28から取得する。
【0035】
このように、渋滞中であれば、実際に走行した実績を元にリンクの旅行時間を算出し、走行中でない他のリンクについては、渋滞情報を用いるため、ナビゲーション装置20は、渋滞中のリンクにおいて、より精度の高い旅行時間の見積もりを実現することができる。
【0036】
また、リンクデータ格納部28内のリンクデータに含まれている旅行時間は、所定の時点で作成されたものであり、その後に敷設された他の道路や、その後に建設された施設等による交通量の変化が考慮されていない場合が多い。そのため、旅行時間算出部23は、渋滞中でない場合には、旅行時間配信局12からの情報が存在するリンクについては、そちらを優先的に採用する。これにより、ナビゲーション装置20は、より精度の高い旅行時間の見積もりを実現することができる。
【0037】
また、渋滞情報受信部21を介して提供された、誘導経路内の渋滞情報が更新された場合、または、経路探索部24によって誘導経路が再度探索された場合、旅行時間算出部23は、再び誘導経路の総旅行時間を算出し直す。この場合、車両は誘導経路上をある程度走行していると考えられるため、旅行時間算出部23は、車両が現在位置しているリンクにおける未走行の部分を含む、車両の現在位置から目的地までの誘導経路に含まれるリンクの旅行時間を合計することにより、誘導経路の総旅行時間を算出する。
【0038】
図4は、ナビゲーション装置20の動作の一例を示すフローチャートである。電源が投入される等の所定のタイミングで、ナビゲーション装置20は、本フローチャートに示す動作を開始する。
【0039】
まず、経路探索部24は、入力装置15を介して、出発地点、目的地点、および経由地点の座標や、探索条件等を含む探索情報を、ユーザから受け付けたか否かを判定することにより、経路探索を指示されたか否かを判定する(S100)。ユーザから経路探索が指示された場合(S100:Yes)、経路探索部24は、リンクデータ格納部28内のリンクデータを参照し、当該探索情報に基づいて、例えばダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて、出発地点から目的地点までの経路を探索し(S101)、探索結果を平均速度算出部26に表示する。
【0040】
次に、経路探索部24は、入力装置15を介してユーザから探索された経路を指定する情報を受け付けたか否かを判定することにより、誘導経路が決定されたか否かを判定する(S102)。ユーザから経路探索が指示されていない場合(S100:No)、または、誘導経路が決定されなかった場合(S102:No)、経路探索部24は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0041】
誘導経路が決定された場合(S102:Yes)、経路探索部24は、決定された誘導経路を旅行時間算出部23および経路誘導部25へ送る。そして、旅行時間算出部23は、後述する旅行時間算出処理を実行する(S200)。そして、経路誘導部25は、リンクデータ格納部28に格納されている、車両の現在位置付近の地図データと共に、車両の現在位置にカーマークを表示することにより、経路誘導を開始する。
【0042】
次に、経路誘導部25は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置およびリンクデータ格納部28に格納されているリンクデータを参照して、誘導経路上において、車両の前方所定距離以内に案内地点が存在するか否かを判定する(S103)。車両の前方所定距離以内に案内地点が存在する場合(S103:Yes)、経路誘導部25は、当該案内地点は、既に案内済みの案内地点か否かを判定する(S104)。
【0043】
未だ案内が行われていない案内地点である場合(S104:No)、経路誘導部25は、当該案内地点に関する画像を表示装置16に表示すると共に、誘導を示す音声をスピーカ17を介して再生することにより、進むべき方向を案内し(S105)、当該案内地点を案内済みとして記憶して、再びステップS103に示した処理を実行する。
【0044】
車両の前方所定距離以内に案内地点が存在しない場合(S103:No)、または、当該案内地点が既に案内済みの案内地点である場合(S104:Yes)、経路探索部24は、再探索の条件が満たされた(例えば誘導経路から車両の現在位置までの距離が100m以上離れた等)か否かを判定する(S106)。
【0045】
再探索条件が満たされた場合(S106:Yes)、経路探索部24は、車両の現在位置およびリンクデータに基づいて誘導経路を再度探索し(S109)旅行時間算出部23は、再びステップS200に示す処理を実行する。
【0046】
再探索条件が満たされていない場合(S106:No)、旅行時間算出部23は、渋滞情報受信部21を介して提供された、誘導経路内の渋滞情報が更新されたか否かを判定する(S107)。渋滞情報が更新された場合(S107:Yes)、旅行時間算出部23は、再びステップS200に示す処理を実行する。
【0047】
渋滞情報が更新されていない場合(S107:No)、経路誘導部25は、ユーザから経路誘導の終了が指示された、あるいは、車両が目的地付近に到着した等の理由により経路誘導を終了するか否かを判定する(S108)。経路誘導を終了する場合(S108:Yes)、経路探索部24は、再びステップS100に示した処理を実行する。一方、経路誘導を続行する場合(S108:No)、経路誘導部25は、再びステップS103に示した処理を実行する。
【0048】
図5は、旅行時間算出処理(S200)の一例を示すフローチャートである。
【0049】
まず、旅行時間算出部23は、経路探索部24によって探索された誘導経路に含まれるリンクの中で、未選択のリンクを1つ選択し(S201)、渋滞情報受信部21を介して提供された渋滞情報を参照して、選択したリンクが渋滞区間に含まれているか否かを判定することにより、選択したリンクが渋滞しているか否かを判定する(S202)。
【0050】
選択したリンクが渋滞している場合(S202:Yes)、旅行時間算出部23は、現在位置算出部27によって算出された車両の現在位置とリンクデータ格納部28内のリンクデータとを参照し、選択したリンク上を車両が走行中か否かを判定する(S203)。
【0051】
選択したリンク上を車両が走行中である場合(S203:Yes)、旅行時間算出部23は、当該選択したリンクのリンク長をリンクデータ格納部28から取得し、平均速度算出部26によって算出された平均速度と、取得したリンク長とを掛け合わせることにより、当該選択したリンクの旅行時間を算出する(S204)。
【0052】
次に、旅行時間算出部23は、経路探索部24によって探索された誘導経路に含まれる全てのリンクを選択したか否かを判定する(S210)。経路探索部24によって探索された誘導経路に含まれるリンクの中で、未選択のリンクが存在する場合(S210:No)、旅行時間算出部23は、再びステップS210に示した処理を実行する。
【0053】
経路探索部24によって探索された誘導経路に含まれる全てのリンクを選択した場合(S210:Yes)、旅行時間算出部23は、誘導経路内の全てのリンクの旅行時間を合計して、誘導経路の総旅行時間を算出して表示装置16に表示し(S211)、旅行時間算出部23は、本フローチャートに示した旅行時間算出処理を終了する。
【0054】
また、ステップS203において、選択したリンク上を車両が走行中でない場合(S203:No)、旅行時間算出部23は、渋滞情報受信部21を介して提供された渋滞情報を参照して、選択したリンクの旅行時間を算出し(S205)、ステップS210に示した処理を実行する。
【0055】
ステップS202において、選択したリンクが渋滞していない場合(S202:No)、旅行時間算出部23は、選択したリンクの旅行時間を、旅行時間取得部22を介して旅行時間配信局12に要求し(S206)、旅行時間配信局12から旅行時間が提供されたか否かを判定する(S207)。
【0056】
選択したリンクの旅行時間が旅行時間配信局12から提供された場合(S207:Yes)、旅行時間算出部23は、旅行時間配信局12から提供された旅行時間を、選択したリンクの旅行時間とし(S208)、ステップS210に示した処理を実行する。
【0057】
選択したリンクの旅行時間が旅行時間配信局12から提供されなかった場合(S207:No)、旅行時間算出部23は、選択したリンクの旅行時間をリンクデータ格納部28内のリンクデータから取得し(S209)、ステップS210に示した処理を実行する。
【0058】
図6は、ナビゲーション装置20の機能を実現するコンピュータ40の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、HDD(Hard Disk Drive)44、受信器45、入力インターフェイス(I/F)46、出力インターフェイス(I/F)47、およびメディアインターフェイス(I/F)48を備える。
【0059】
CPU41は、ROM43またはHDD44に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM43は、コンピュータ40の起動時にCPU41によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ40のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。HDD44は、CPU41によって実行されるプログラムを格納する。受信器45は、アンテナを介して受信した渋滞情報またはリンクの旅行時間を示す情報をCPU41に提供する。
【0060】
入力インターフェイス46は、入力装置15またはセンサ18からの信号を受信してCPU41へ送る。CPU41は、入力インターフェイス46を介して、入力装置15およびセンサ18を制御し、入力インターフェイス46を介して、入力装置15またはセンサ18から信号を取得する。
【0061】
出力インターフェイス47は、CPU41から取得したデータを、表示装置16またはスピーカ17へ出力する。CPU41は、出力インターフェイス47を介して、表示装置16およびスピーカ17を制御し、生成したデータを、出力インターフェイス47を介して表示装置16またはスピーカ17へ出力する。
【0062】
メディアインターフェイス48は、記録媒体49に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM42を介してCPU41に提供する。CPU41は、当該プログラムを、メディアインターフェイス48を介して記録媒体49からRAM42上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体49は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0063】
コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、渋滞情報受信部21、旅行時間取得部22、旅行時間算出部23、経路探索部24、経路誘導部25、平均速度算出部26、現在位置算出部27、およびリンクデータ格納部28の各機能を実現する。また、ROM43またはHDD44には、リンクデータ格納部28内のデータが格納される。
【0064】
コンピュータ40は、これらのプログラムを、記録媒体49から読み取って実行するが、他の例として、CPU41は、受信器45を介してこれらのプログラムを取得して実行するようにしてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0066】
上記説明から明らかなように、本実施形態のナビゲーションシステム10によれば、設定された経路についての旅行時間の見積もりの精度を高めることができる。
【0067】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上記した実施形態において、旅行時間算出部23は、渋滞情報配信局11から配信された、誘導経路内の渋滞情報が更新された場合、または、経路探索部24によって誘導経路が再度探索された場合に、旅行時間算出部23は、誘導経路の総旅行時間を再び算出したが、本発明はこれに限られない。
【0069】
例えば、旅行時間算出部23は、さらに、経路誘導部25によって経路誘導が開始された後、所定時間(例えば10分)が経過する毎、または、車両が所定距離(例えば1km)走行する毎に、誘導経路の総旅行時間を再度算出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10・・・ナビゲーションシステム、11・・・渋滞情報配信局、12・・・旅行時間配信局、13・・・アンテナ、14・・・アンテナ、15・・・入力装置、16・・・表示装置、17・・・スピーカ、18・・・センサ、20・・・ナビゲーション装置、21・・・渋滞情報受信部、22・・・旅行時間取得部、23・・・旅行時間算出部、24・・・経路探索部、25・・・経路誘導部、26・・・平均速度算出部、27・・・現在位置算出部、28・・・リンクデータ格納部、30・・・リンク、31・・・ノード、32・・・リンク、33・・・カーマーク、34・・・ノード、35・・・リンク、40・・・コンピュータ、41・・・CPU、42・・・RAM、43・・・ROM、44・・・HDD、45・・・受信器、46・・・入力インターフェイス、47・・・出力インターフェイス、48・・・メディアインターフェイス、49・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路が区分された区間ごとの道路情報を記憶する記憶手段と、
前記道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索された前記経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分手段と、
移動体から発信されるプローブ情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信手段と、
前記プローブ情報受信手段によって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分手段によって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記記憶手段は、
統計によって求められた前記区間ごとの旅行時間を道路情報として記憶し、
前記非渋滞区間演算手段は、
前記プローブ情報受信手段が前記非渋滞区間についての前記旅行時間に関する情報を受信できないとき、前記記憶手段に記憶された前記区間ごとの旅行時間を利用することにより、前記非渋滞区間の旅行時間を演算する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1記載のナビゲーション装置において、
前記プローブ情報以外の情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を取得する区間情報取得手段と、
前記区間情報受信手段によって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分手段によって渋滞区間に区分された前記経路上の区間の旅行時間を演算する渋滞区間演算手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3記載のナビゲーション装置において、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
現在位置検出手段で検出された現在位置が、前記渋滞区間に存在するか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記区間情報取得手段は、
道路付近に設置されたセンサからの情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を受信し、
前記渋滞区間演算手段は、
前記現在位置が前記渋滞区間に存在しないとき、前記道路付近に設置されたセンサからの情報に基づく前記区間ごとの旅行時間を利用することにより、前記渋滞区間の旅行時間を演算する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4記載のナビゲーション装置において、
前記渋滞区間演算手段は、前記区間情報取得手段によって、道路付近に設置されたセンサからの情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報が受信される都度、前記渋滞区間の旅行時間を演算する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項3記載のナビゲーション装置において、
現在位置を検出する現在位置検出手段と、
現在位置検出手段によって検出された現在位置の移動速度を検出する速度検出手段と、
を備え、
前記渋滞区間演算手段は、
前記現在位置が前記渋滞区間に存在するとき、前記検出された移動速度と前記道路情報に含まれる区間ごとの距離情報とを利用することにより、前記渋滞区間の旅行時間を演算する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
道路が区分された区間ごとの道路情報を記憶する記憶手段と、
前記道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段で探索された前記経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分手段と、
移動体から発信されるプローブ情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信手段と、
前記プローブ情報以外の情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を取得する区間情報取得手段と、
前記プローブ情報受信手段によって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分手段によって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算手段と、
前記区間情報受信手段によって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分手段によって渋滞区間に区分された前記経路上の区間の旅行時間を演算する渋滞区間演算手段と、
前記非渋滞区間演算手段によって演算された非渋滞区間の旅行時間と、前記渋滞区間演算手段によって演算された渋滞区間の旅行時間と、を利用して、前記経路の旅行時間を演算する経路時間演算手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7記載のナビゲーション装置において、
前記非渋滞区間演算手段は、
所定時間ごとに前記非渋滞区間の旅行時間を演算し、
前記渋滞区間演算手段は、
所定時間ごとに前記渋滞区間の旅行時間を演算する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項7記載のナビゲーション装置において、
現在位置の移動量を検出する移動検出手段、を備え、
前記非渋滞区間演算手段は、
現在位置が所定距離移動するごとに前記非渋滞区間の旅行時間を演算し、
前記渋滞区間演算手段は、
現在位置が所定距離移動するごとに前記渋滞区間の旅行時間を演算する、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
道路が区分された区間ごとの記道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
前記経路探索ステップで探索された前記経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分ステップと、
移動体から発信されるプローブ情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信ステップと、
前記プローブ情報以外の情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を取得する区間情報取得ステップと、
前記プローブ情報受信ステップによって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分ステップによって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算ステップと、
前記区間情報受信ステップによって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分ステップによって渋滞区間に区分された前記経路上の区間の旅行時間を演算する渋滞区間演算ステップと、
前記非渋滞区間演算ステップによって演算された非渋滞区間の旅行時間と、前記渋滞区間演算ステップによって演算された渋滞区間の旅行時間と、を利用して前記経路の旅行時間を演算する経路時間演算ステップと、
を備えることを特徴とする旅行時間算出方法。
【請求項11】
コンピュータをナビゲーション装置として機能させるプログラムであって、
道路が区分された区間ごとの記道路情報に基づき、目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部で探索された前記経路を渋滞区間と非渋滞区間とに区分する区分部と、
移動体から発信されるプローブ情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を受信するプローブ情報受信部と、
前記プローブ情報以外の情報に基づく前記区間ごとの旅行時間に関する情報を取得する区間情報取得部と、
前記プローブ情報受信部によって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分部によって非渋滞区間に区分された区間の旅行時間を演算する非渋滞区間演算部と、
前記区間情報受信部によって受信した前記旅行時間を利用することにより、前記区分部によって渋滞区間に区分された前記経路上の区間の旅行時間を演算する渋滞区間演算部と、
前記非渋滞区間演算部によって演算された非渋滞区間の旅行時間と、前記渋滞区間演算部によって演算された渋滞区間の旅行時間と、を利用して前記経路の旅行時間を演算する経路時間演算部と、
を備えることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−203796(P2010−203796A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46713(P2009−46713)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】