説明

しわ、細かいすじ及び発汗過多の治療のための組成物及び伝達方法

【課題】老化並びに発汗過多の皮膚科学的徴候を治療、予防、縮小、阻害及び/または改善するための組成物の安全、有効及び新規な成分の提供。
【解決手段】治療の必要な患者に、しわ及び/または細かいすじを予防、改良、縮小及び/または除去するのに有効な量で1つ以上のリモノイド成分を含む組成物を投与する皮膚のしわ及び/または細かいすじを治療する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉及び神経細胞及び組織の神経筋接合部でそれらの作用を働く活性剤としての成分を含む、皮膚及びパーソナルケアの組成物及び方法に一般に関する。これらの組成物及び方法は、皮膚のしわ、細かいすじ(line)及び発汗過多の治療及び予防に特に適している。さらに特に、本発明は、筋肉のレベルで働きそしてこれらの組成物の使用特に局所的使用の結果として筋肉の弛緩に影響する植物または果実の成分を含む組成物に関する。これらの成分は、例えばリモノイド例えばMelia Toosendan Sieb.Et.Zucc.(センダン(Chinaberry tree))からのトーセンダニン(toosendan)及びMelia Azadirachta(ニーム(Neem tree))からのアザジラキチン(azadirachtin)のようなMaliaecae科からの植物アルカロイドを含む。本発明は、さらに、活性成分を、筋肉層にさらに容易に達せしめそして好ましくは顔面の筋肉より好ましくは顔面の表情の筋肉の神経筋接合部のレベルで機能ささせるようにこれら組成物を伝達して、皮膚科学的老化の徴候、例えば皮膚のしわ、細かいすじ、ひだ及び眉間のしわを予防、縮小、改良及び/または除去することを含む治療をし、発汗過多を治療、予防または縮小させ、及び/または皮膚の審美的外観を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
局所的適用に関する多数の治療及び組成物が、自然または環境の原因、例えば老化の過程(すなわち、内因性老化)、日光への曝露またはそれから生ずる紫外線照射(外因性老化)などにしばしば伴う皮膚の皮膚科学的症状を改良する技術で紹介されている。他の因子例えば不適切なケア及び/または食事、ストレス、栄養不足、顔面運動の繰り返し及び遺伝的素因も、細かいすじ、眉間のしわ、ひだ、くぼみ及びしわのような有害な皮膚の症状の発展の原因になる。
【0003】
ポピュラーなカルチャー及びトレンド、ファッション産業や多くの分野の現代のメディアは、しわ、細かいすじなどのない皮膚特に顔面の皮膚に反映される、わかわかしい外観を奨励かつ促進している。現代では、男性も女性も、可能な限り長くわかいかつしわのない外観を維持することを望み、その結果、例えば細かいすじ、くぼみ及びしわの形でそれら自体明らかになる老化(及び/または日光への曝露)の徴候を予防、縮小、改良または排除することを求めている。この目的で現在通常利用できる製品は、代表的に、単にモイスチャライズ化し、細胞の成長を促進し、皮膚を圧迫する細胞外マトリックス(例えばコラーゲン、エラスチンまたはグリコサミノグリカンの合成を増大または促進することにより)を膨脹させることによって、皮膚に作用する剤を含む。皮下筋肉及び/または神経組織のカルシウムチャンネルに作用するカルシウムチャンネル阻害剤も、その収縮がしわの形成を伴う皮下及び/皮内の組織を弛緩及び/または伸長させる組成物の成分として記載されている(特許文献1)。
【0004】
発汗過多に影響し、予防し及び/または縮小させるパーソナルケア製品例えば発汗抑制剤及びデオドラントにおいて使用される活性成分及び成分を含む組成物は、また、一般に広く用いられている。これらの組成物は、発汗、ヒトの発汗に伴う身体の悪臭特に腋臭を縮小かつ予防するように提供され、そして理想的には皮膚への局所的適用後の発汗の処理に有効である成分を含まねばならない。発汗抑制剤は、例えばアルミニウム及びジルコニウムの塩収斂性の塩の作用により、発汗を阻害することにより補助的な身体の悪臭と闘うが、デオドラントは、化学品及び微生物により攻撃されそれにより悪臭を生ずる脂肪酸を生成する汗の成分の分解から生ずる不快な臭を中和する。
【0005】
発汗抑制剤またはデオドラントを日常的に使用することにより、かなりの数の使用者が、これらの組成物中の活性な塩並びに皮膚の感受性のために、発汗抑制剤またはデオドラントが適用される感受性に富む皮膚または身体の表面において痛み及び/または刺激を経験している。専門家により理解されているように、デオドラントは、一般に、発汗抑制剤より皮膚への刺激が弱い。それは、デオドラントは発汗を抑制するのではなく、むしろ汗の分解生成物を中和するからである。しかし、これにもかかわらず、デオドラントは、感受性に富む皮膚を刺激し、特にシェービングの結果或る部分(例えばわきの下)で傷つけられている皮膚を刺激する。また、デオドラントは、他の汗をかきやすい部分(例えば足、手のひら、股間)に使用することが難しい。これらのパーソナルケア製品が広く使用されていることから、有効な発汗抑制剤及びデオドラント組成物が、使用者の身体及び皮膚への刺激が低くて、発汗及び身体の悪臭を阻害、予防または縮小させることが望まれる。
【0006】
皮膚の種々の局所的治療に記述された組成物の多くは、表面的に過ぎない有効性をもたらすか、または刺激のような有害な副作用を使用者の皮膚に生ずる成分例えばアルファ−ヒドロキシ酸(「AHA」)を含む。事実、細かいすじ及び/またはしわを縮小させるいくつかの通常使用されている組成物及び方法は、AHA、例えばグリコール酸、乳酸、酒石酸及びクエン酸及びこれらの塩を含むか、またはそれらは全トランスレチノン酸としても知られているトレチノインまたはレチノール(ビタミンA)またはアスコルビン酸(ビタミンC)を含み、これらのすべては、さらなる改良なしに、他のファクターのなかで、しばしば皮膚のpHの低下により、前記の不利益な効果を招く。最大の有効性をもたらすか、または前記のタイプの有害な作用を予防するために、皮膚の治療及びケアのための組成物及び処方物の新規かつ別の成分が望まれる。
【0007】
ヒトの皮膚は、2つの主な区画からなる。すなわち、表面の外側の区画である表皮とより深い区画である真皮とからなる。最も外側の表皮の皮膚層は、典型的に、或る程度の保護を皮膚に与えているが、細かいすじ及びしわは、皮膚のこの部分で容易に見ることができる。表皮及び真皮は、光による損傷の有害な作用の矢面にたつことになる。自然のヒトの表皮は、ヒトの身体において皮膚の必須の保護の役割をもたらすように働く。真皮は、表皮に固体及び栄養の支持をもたらすが、主に、線維芽細胞及び細胞外マトリックス(コラーゲン、エラスチン及びグリコサミノグリカン(「GAG」)を含む物質から主として構成される)からなる。さらに、真皮は、白血球、マスト細胞、組織マクロファージ、血管、筋肉細胞及び神経繊維を含む。
【0008】
顔面の皮膚筋肉は、顔面神経の運動神経の求心性によりコントロールされる。皮下組織の小葉間中隔は、横紋筋組織すなわち筋肉層を構成している線維をそれらの内に含む。筋線維芽細胞と呼ばれる皮膚の線維芽細胞の亜群が、筋肉細胞及び組織のものに類似した収縮性の特性を有することが知られている。
【0009】
ボツリヌス毒素(また商品名Botox(商標)、Allergen、Irvine,Calif.として知られている)は、現在、しわ及び細かいすじを治療するのに広くおこなわているが、それは最初れん縮を治療するのに使用された。この毒素は、神経細胞の神経伝達を特異的に阻害し、それにより収縮した筋肉を弛緩させることによって筋肉の痙縮の状態に作用する(例えば、非特許文献1、特許文献1)。ボツリヌス毒素は、また、皮下に注射されたとき、眉間のしわに作用できる(非特許文献2、特許文献1参照)。しかし、ボツリヌス毒素及びこの物質を含む製品または治療の長期にわたる使用に関する有害な作用の完全な範囲は、まだ十分に確立されていない。ボツリヌス毒素の治療は、多数の副作用(一過性の疲労、嚥下障害、頚部の衰弱、嗄声及び局所的な痛みを含む)と伴う。さらに、初めボツリヌス毒素に反応した多くの患者は、次に治療に反応しなくなる。(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
皮膚への適用好ましくは局所的な適用のための組成物及び処方物中で有効な活性剤として使用される新規な成分は、スキンケア治療及び処置並びに個人的な使用製品の分野での種々の用途について企業及び消費者に有益である。
【0011】
種々の異なった目的に働く植物の抽出物及び物質は、Maliaecae及びRutaceae科のリモノイド成分を含む。リモノイドは、柑橘果実例えばレモン、ライム、オレンジ及びグレープフルーツに苦味成分として見いだされる化学的に関連するトリテルペン誘導体の群である。それらは、また、成熟した果実組織及び種子中にグルコース誘導体として存在し、そして柑橘類に存在する主な二次代謝物の1つである。これらの植物物質のさらに特定の例は、植物アルカロイドであるトーセンダン(Melia Toosendan Sieb.Et.Zucc.すなわちセンダン(Chinaberry tree)から)及びアザジラキチン(Melia Azadirachtaすなわちニーム(Neem tree)から)を含む。リモノイドは、殺菌性(例えば、特許文献3及び4)並びに実験動物における抗腫瘍性及び抗発癌性の作用(例えば、特許文献5−7)を有することが知られている。D環に結合しているフラン部分は、化学的発癌性のグルタチオン−S−トランスフェラーゼ酵素系を解毒するのに特異的に働く(非特許文献3)。
【0012】
柑橘類果実の組織及び果汁製造の副生物例えば果皮及び煮詰めたシロップは、リモノイドグルコシドの源であり、そして柑橘類の種子は、高濃度のリモノイドのアグリコン及びグリコシドの両者を含む。果実組織中のリモノイドアグリコンは、果実の成長及び成熟の最後の段階中次第に消失する。38種のリモノイドアグリコンが柑橘類から単離されている。リモノイドは、3つの異なった形で存在し、すなわちジラクトンは開いたD環の形(モノラクトン)、リモノエートA環ラクトン及びグリコシドの形として存在する(例えば、特許文献6参照)。モノラクトン及びグリコシドのみが果実組織中に存在する(非特許文献4)。
【0013】
アグリコン及びグリコシドの両者の抽出及び単離の方法は、種々のリモノイドの濃縮した源を得るのに確立されている(非特許文献5)。
【0014】
【特許文献1】米国特許6344461
【特許文献2】米国特許出願2002/00812914
【特許文献3】米国特許6372239
【特許文献4】米国特許5885600
【特許文献5】米国特許5370873
【特許文献6】米国特許6239114
【特許文献7】米国特許6251400
【非特許文献1】A.Blitzer et al、1993,Arch.Otolaryngol.Head Neck Surg.119;118−122
【非特許文献2】J.D.Carruthers,1992,J.Dermatol.Surg.Oncol.18:17−21
【非特許文献3】Lam et al、1994,Food Technology,48:104−108
【非特許文献4】Hasegawa et al,1994,In:Food Phytochemicals for Cancer Prevention I,Eds M−T.Huang et al,American Chemical Society,198−207
【非特許文献5】Lam,L.K.T.et al,1994,In:Food Phytochemicals for Cancer Prevention,Eds.M.Huang,T.Osawa,C.Ho and R.T.Rosen,ACS Symposium Series 546,p.209
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
老化並びに発汗過多の皮膚科学的徴候を治療、予防、縮小、阻害及び/または改善するための組成物の安全、有効及び新規な成分は、皮膚のための治療の処方物及び製品にとり有利であろう。本明細書で記載されるように、しわなどの治療並びに皮膚のためのパーソナルケア製品のための新規かつ有利な方法及び組成物並びにそれらの作用の態様は、本発明により提供される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、皮膚の皮膚科学的老化の徴候及び結果特にしわ及び細かいすじを治療(予防、縮小、改良及び/または除去することを含む)すること及び/または皮膚の審美的外観を改善することに有効であることが新しく分かった植物由来の成分を含む組成物及び方法を提供する。さらに、これらの成分は、発汗過多(または発汗または汗)及びそれに伴う作用例えば悪臭を治療(予防、改良及び/または縮小させることを含む)するために組成物及び方法中で使用されるために提供される。さらに特に、活性成分(または本明細書では活性の剤、構成部分、構成要素、試薬または化合物ともよばれる)は、Maliaecae科の植物などから得られるリモノイドである。本発明により使用されるリモノイドの例(限定されない)は、植物アルカロイドすなわち、Melia Toosendan Sieb.Et.Zucc.(Chinaberry treeとしてより普通に知られている) Ku Lian Pi抽出物またはMelia azedarachからのトーセンダニン;及びMelia Azadirachta(Neem treeまたはAzacdiracta indicaとしてより普通に知られている)からのアザジラキチンを含む。これらの植物物質は、筋肉及び神経細胞及び組織の神経筋接合部(NMJ)でのそれらの作用及び例えばNMJにおけるアセチルコリン放出を阻害するための汗腺の線維での作用により筋肉例えば顔面の表情筋肉の弛緩または脱収縮によって、しわ、細かいすじ及び皮膚科学的老化の他の徴候(すなわち内因性老化)または皮膚の日光の曝露(すなわち外因性老化)のための治療、並びに発汗過多の治療における使用をもたらすことが新しく分かった。
【0017】
本明細書で使用されるとき、用語治療は、皮膚のしわ、細かいすじ、ひだ、くぼみ、眉間のしわなどに特に関して、老化及び日光の曝露の皮膚科学的作用を予防、縮小、改良、改善、軽減及び/または除去することを含み包含することを理解すべきである。本発明は、口の両側に走っている「マリオネット」すじ、並びに額のすじ及び眉間の縦のすじの治療(上記で定義した)をさらに包含する。本発明の組成物及び方法は、また、身体(顔面、額、頚、腕、手、脚、膝、足、胸、背中、股間、尻などを含むがこれらに限定されない)の多数の領域での皮膚の皮膚科学的症状の治療(上記で定義した)に使用するのに好適である。
【0018】
発汗過多を治療、予防または縮小することに加えて、老化した皮膚のしわ、細かいすじ、ひだ、眉間のしわ及び他の徴候の治療に有用であると新しく決定された物質を含む組成物、処方物及び方法を提供するのが本発明の他の局面である。これらの物質は、例えば適用部位の筋肉及び神経細胞または組織層例えば顔面、頚、腕、足または手または汗腺が存在する皮膚の皮膚層における神経筋接合部(NMJ)で好ましくは働くことにより、本発明に従ってそれらの有効性を働かせる。さらに特に、リモノイド成分(すなわち、化学的活性物例えばトーセンダニンまたはアザジラキチン、またはそれらの組み合わせ)は、収縮した筋肉の弛緩または脱収縮を次に生ずる骨格筋のNMJでのアセチルコリンの放出をブロックまたは阻害する。収縮した筋肉は、細かいすじ、しわなどの形成を伴う。
【0019】
本発明によれば、物質は、一般に、植物アルカロイド、またはMaliaecae科のリモノイドを含む。さらに特に、リモノイドは、トーセンダニン及びアザジラキチンからなり、それらは、骨格筋のNMJでアセチルコリンの放出を阻害し、それにより例えば顔面の表情筋肉または特に活動過多の顔面の表情筋肉を弛緩して、老化、皮膚の長期にわたる日光の曝露、日光または光曝露に伴う紫外線照射から生ずる審美的に不快なしわ、眉間のすじ、細かいすじ、ひだ、くぼみまたは頚のしわなど を治療、予防、縮小、改良及び/または除去することは従来知られていなかった。
【0020】
さらに、或る筋肉特に顔面の筋肉の収縮または過剰の収縮が、しわ、細かいすじなどの外観に関係していることが理解されているため、本明細書で開示されたようなリモノイドの新しく決定された作用によるこれら筋肉の弛緩及び/またはこれら筋肉の収縮のコントロールまたは調節は、しわ、細かいすじなどの治療、予防、縮小、改良または除去において枢要な機能を働くことができる。
【0021】
本発明によれば、リモノイド物質は、局所的に適用される日焼け止め、抗酸化剤、抗炎症剤、化粧品(メークアップを含む)、抗老化処方物例えば細かいすじ及び/またはしわ用のクリーム、局所薬、皮膚浸透剤、発汗抑制剤、デオドラントなどを含むがこれらに限定されない組成物を含む。また、本発明によれば、種々の製品の形例えば経皮剤例えばパッチなどのこれらの組成物に処方される成分、構成要素または化合物は、特に局所投与において、包含される。
【0022】
本発明の他の局面は、顕著な刺激を含むことなく好ましくは局所投与用のリモノイド物質を含む組成物を提供する。さらに、これらの組成物は、好ましくは、例えばリポソーム、ミクロスフェア、経皮パッチなどのような標的伝達系の使用(これらに限定されない)によって好ましくは伝達されて、活性物は適用の領域例えば顔面または頚の筋肉層、または汗腺が存在している皮膚の層例えば腋の下、足、手などにさらに容易に達しそして影響する。リポソーム処方物を含むリモノイド成分を含む組成物は、皮下、皮内の直接注射によりまたはイオン泳動により投与されて、筋肉の弛緩または脱収縮を要する部位で活性剤を貯蔵する。
【0023】
その局面の他のものでは、本発明は、以下のものすなわち皮膚科学的老化、特に暦年、化学線またはホルモンの老化の少なくとも1つを治療(予防、改良及び/または縮小することを含む)することにより、皮膚の審美的外観を改善できる、リモノイド含有組成物及びその方法を提供する。改善は、好ましくは、本明細書で記述したリモノイド成分の1つ以上を含む製品または処方物の局所適用後生ずる。
【0024】
本発明の他の局面は、神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリン放出を縮小またはブロックするのに有効な量で神経筋接合部(NMJ)を含む部位にアセチルコリン拮抗剤を含む組成物を適用し、神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリン放出の縮小またはブロックは、同時に、筋肉細胞または組織の収縮(または収縮性)を縮小またはブロックし、それによりしわ、細かいすじ、深いしわ、ひだ、眉間のすじまたは皮膚科学的老化、活性の高い顔面の表情筋肉または光曝露の他の徴候の形成を治療、予防、縮小、改良または除去することからなる、しわ、細かいすじ、深いしわ、眉間のすじまたは皮膚科学的老化または皮膚の光曝露の他の徴候を縮小、予防、治療または改良する方法を提供する。好ましくは、アセチルコリン拮抗剤は、リモノイド成分、より好ましくはMaliaecae科のリモノイド成分そして最も好ましくはトーセンダニンまたはアザジラキチンである。
【0025】
本発明の他の局面は、神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリン放出を縮小またはブロックするのに有効な量で、神経筋接合部(NMJ)を含む部位好ましくは汗腺の線維でアセチルコリン拮抗剤を含む組成物を適用することからなる、発汗過多または発汗特に過剰の発汗を縮小、予防、治療または改良する方法を提供し、神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリン放出の縮小またはブロックは、同時に、汗腺と関連する真皮の細胞の収縮(または収縮性)を縮小またはブロックし、それにより発汗過多または発汗を縮小、予防、治療または改良する。好ましくは、アセチルコリン拮抗剤は、リモノイド成分、より好ましくはMaliaecae科のリモノイド成分そして最も好ましくはトーセンダニンまたはアザジラキチンである。
【0026】
本発明のさらなる局面、特徴及び利点は、本発明の詳細な説明を読むと、よりよく理解されるだろう。
【0027】
本発明は、暦年及び/またはホルモンの老化によるまたは皮膚の光曝露(例えば日光または紫外線の照射に対する)による皮膚の皮膚科学的老化特にしわ、眉間のしわ、ひだ及び細かいすじに関する徴候及び結果を治療(予防、縮小、改良、阻害、緩和及び/または除去)する;及び/または皮膚の審美的外観を改善するのに有効であることが新しく分かった成分を含む新規な組成物及び方法を提供する。これらの成分は、発汗過多(発汗または汗)及びその関連する作用例えば悪臭及び非審美的外観を治療(予防、改良、阻害及び/または縮小)する組成物及び方法において使用されるためにさらに提供される。
【0028】
さらに特に、本発明の成分(また活性剤、構成成分、構成要素、試薬、物質または化合物と本明細書ではよばれる)は、好ましくはMaliaecae科の植物などから得られるリモノイドである。本発明により使用されるリモノイドの限定されない例は、植物アルカロイドすなわち、Melia Toosendan Sieb.Et.Zucc.( Chinaberry tree またはMelia azedarachとしてより普通に知られている)からのトーセンダニン;及びMelia Azadirachta(Neem treeまたはAzacdiracta indicaとしてより普通に知られている)からのアザジラキチンを含む。アザジラキチンは、テトラノルトリテルペノイドタイプのリモノイドである。これらの植物物質は、暦年及び/またはホルモンの老化によるまたは皮膚の日光の曝露による皮膚科学的老化のしわ、細かいすじ、ひだ、眉間のしわ及び他の徴候の治療、予防、縮小、阻害、改善及び/または排除、並びに発汗過多の治療における使用のための組成物及び方法の有効な成分であることが新しく分かった。
【0029】
本発明によれば、理論により束縛されることを望まないが、リモノイド成分は、骨格筋細胞及び組織の神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリンの放出を阻害、ブロック、縮小または予防し、それにより筋肉例えば顔面の運動または表情に関連する筋肉または汗腺の線維を弛緩するそれらの能力によってそれらの作用を働かせる。神経及び筋肉の細胞(骨格筋細胞)の両者は、電気的に励起され、そしてこれらのタイプの細胞間の接合部はNMJとして知られている。骨格筋を刺激する運動神経の刺激は、またアセチルコリンの放出を生じさせ、さらにそのアセチルコリンは次に骨格筋を刺激して収縮させることが、長年にわたって知られている。従って、アセチルコリンは、神経筋接合部で神経伝達物質として同定されている(例えば、B.Alberts et al.1989,Molecular Biology of the Cell,2版、19章、The Nervous System,Garland Publishing,Inc.NY.pp.1075以降参照)。本発明により提供されるのは、特に本発明の組成物及び方法で使用されるとき、骨格筋のNMJでのアセチルコリンの放出を阻害、縮小、ブロックまたは予防し、それにより筋肉好ましくは顔面の表情または運動と関連するものを弛緩するとして本発明で新しくいわれるリモノイド成分である。また汗腺の線維におけるアセチルコリン放出を阻害できることにより、本明細書で記載されたリモノイド成分を含む組成物及び方法は、過剰の発汗または発汗過多を縮小、治療及び/または予防できる。
【0030】
筋肉細胞によるアセチルコリン放出を阻害するリモノイド成分の能力は、皮下または皮内の筋肉及び/または神経組織の筋肉繊維を弛緩しそれによりしわ並びに細かいすじ、ひだ、眉間のしわなどを減じるように、運動収縮の調節をもたらす。顔面または手、足などのような領域の皮下または皮内の筋肉細胞の収縮または高度の収縮を弛緩または予防することによって、リモノイド及びリモノイド含有組成物は、筋肉の収縮がしわなどの形成に関係する領域の皮膚の表面を有効に滑らかにすることができる。従って、もし筋肉細胞の収縮性がしわ、細かいすじなどの形成に関連するならば、本発明の組成物中のリモノイド活性物による皮下または皮内の筋肉組織の収縮性の弛緩または脱収縮は、収縮している筋肉組織をゆるめるかまたはやわらげ、そしてしわ、細かいすじなどを緩和、縮小、改良、阻害または補正するように働く。皮膚の皮下または皮内の筋肉細胞または組織の収縮は、本明細書で記述したように、しわ、細かいすじなど(暦年及び/またはホルモンの老化及び/または光曝露による老化の可視の皮膚科学的作用の少なくともいくつかを構成する)を顕在化する。
【0031】
従って、その態様の1つにおいて、本発明は、発汗過多の治療、予防または縮小に加えて、しわ、細かいすじ、ひだ、眉間のしわ及び皮膚の老化及び/または光曝露の他の徴候の治療に有用であることが新しく分かった成分好ましくはリモノイド成分を含む組成物、処方物及び方法を包含する。身体の種々の領域の皮膚は、本発明の組成物の治療及び/または受容を受けやすく、顔面、額、頚、腕、脚、手、足、胴(胸)、背中などを含む。
【0032】
植物由来物質は、例えば適用部位例えば顔面、頚、腕、足、手または胸の皮膚での筋肉及び神経細胞及び組織におけるそしてそのまわりのような神経筋接合部(NMJ)で、または汗腺が配置されている皮膚の皮膚層において、好ましくは働くことによって本発明に従ってそれらの有効性を作用する。本発明により、物質は、一般に、植物アルカロイドであるMaliaecae科のリモノイドを含む。さらに特に、リモノイドは、植物アルカロイドであるトーセンダニン及びアザジラキチンからなる。本発明以前には、これらの物質は、骨格筋のNMJでのアセチルコリン放出を阻害し、それにより審美的に不快なしわ、眉間のすじ、細かいすじ、ひだ、眉間のしわ、頚のしわなど(暦年及び/またはホルモンの老化、日光への皮膚の長期または過剰の曝露、光曝露に伴う紫外線照射または過剰に動く表情の筋肉による老化から生ずる)を伴う筋肉を弛緩させることは従来知られておらず、または認識されていなかった。
【0033】
一般に、本発明の目的のために、物質例えば上記の組成物のリモノイド成分は、それが収縮された筋肉細胞または組織例えば皮下または皮内の筋肉組織に弛緩作用を明らかにし、及び/またはNMJでのアセチルコリン放出への阻害作用を示すと認識されている。収縮された筋肉細胞及び組織は、しわ、細かいすじなどの形成に関連がある。例えばNMJでのアセチルコリン放出を阻害またはブロックするリモノイドの作用により、収縮された筋肉の弛緩または脱収縮は、皮膚の表面または微起伏を滑らかにし、それにより皮膚の収縮された筋肉組織により生ずるしわ及び細かいすじなどの形成の予防、改良、縮小及び/または補正を行うのに働く。
【0034】
本発明の組成物に使用するために、リモノイド植物アルカロイドは、化学的に合成できる。別の方法として、これらの植物アルカロイドは、植物から抽出できる。抽出されるとき、それらは、純粋な形、半純粋な形であるか、または精製されていない植物抽出物の成分である。例えば、トーセンダニンは、植物Melia Toosendan Sieb.Et.Zucc. またはMelia azedarach L.から抽出できる。アザジラキチンは、植物Melia azadirachta L.から抽出できる。いくつかの構造上の類似性の結果、アザジラキチンは、トーセンダニンの機能に似ている。さらに、本発明の組成物は、しわなど及び発汗過多と闘う所望の効果を達成するために処方される植物アルカロイドの組み合わせからなる。活性成分としてのアルカロイドは、複数のメカニズム及びシグナルトランスダクション経路を経てそれらの作用を働かせる。
【0035】
本発明の組成物に含まれるリモノイド植物アルカロイドは、多量に工業的スケールで化学的に合成できる。別の方法として、アルカロイドは、植物からの天然の原料から抽出できる。任意かつすべての製造法が使用でき、本明細書で参考として引用される米国特許出願10/040242に開示されているような、培養した植物種子細胞の使用を含む。アルカロイドの抽出のレベル及び純度の程度は変化できる。例えば、未精製の植物抽出物は、本発明で使用できる。水中または有機溶媒中の特定の植物アルカロイドの溶解度に応じて、抽出方法はそれぞれのアルカロイドについて異なる。原料の植物物質からのアルカロイドの2つの抽出法は、有機溶媒の抽出、及び水性の有機溶媒の抽出(米国特許6372239に開示されている)を含む。有機抽出法は、有機溶媒の流れに対して植物原料を洗いそして抽出する工程を含む。有機溶媒の例は、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、キシレン及び石油エーテルを含むが、これらに限定されない。別の方法として、アルカロイドは、一部または完全に精製できる。アルカロイドの化学的合成は、抽出及び精製の必要がない。
【0036】
本発明によれば、リモノイド成分は、局所的に適用される処方物、抗酸化剤、抗炎症剤、日焼け止め、化粧品(メークアップを含む)、抗老化処方物例えば細かいすじ及び/またはしわ用のクリーム、局所薬、皮膚浸透増強剤、発汗抑制剤、デオドラントなどを含むがこれらに限定されない組成物を含む。また、本発明によれば、リモノイド成分及びこれらの組成物を含む追加の成分は、種々の製品の形に処方される。好ましくは、組成物は、特に局所投与用の、標的伝達系例えば経皮剤(例えばパッチなど)に製造される。
【0037】
本発明は、好ましくは生きている動物組織(ヒトの組織を含む)との接触、及び使用者に実質的に有害な生理学的作用例えば刺激のない局所投与に好適な製薬上許容できる化粧品または皮膚科学的処方で、1つ以上のリモノイド成分を含む組成物を包含する。従って、本発明の組成物は、鋭敏な皮膚に特に適している。
【0038】
本発明により包含される組成物は、好ましくは、ローション、ゲル、クリームとしての任意の化粧品及び/または皮膚科学的に好適な形で提供されるか、または経皮パッチ中に配合され、そしてまた軟膏またはオイルベース並びに噴霧可能な液体の形で提供される。本発明の組成物に関する他の好適な化粧品の形は、例えば、エマルション、ムース、リップバーム、リップグロス、ローション、マスク、軟膏、ポマード、溶液、乳清、スプレイ、または小さいペーパータオルを含む。さらに、本発明により包含される組成物は、当業者により通常使用かつ知られている1つ以上の両立できる化粧品として許容できる助剤、例えば着色剤、香料、エモリエント、保湿剤、保存剤、ビタミン、キレート剤、濃厚化剤など、並びに他の植物成分例えばアロエ、カモミールなどそして下記のものを含むことができる。組成物は、好ましくは、1日1または2回局所的に適用される。毎日の適用は、2週間まで、4週間またはそれ以上の期間である。
【0039】
日焼け止め処方物を包含する1つの態様では、リモノイド成分を含む組成物は、さらに、例えばアボベンゾン、シンナミン酸誘導体(例えばオクチルメトキシシンナメート)、サルチル酸オクチル、オキシベンゾン、酸化チタン、酸化亜鉛及びまたはこれらの組み合わせのような成分を含むことができるが、これらに限定されない。これらの処方物は、また好ましくは、アルファヒドロキシ酸、オキサ酸、オキサ二酸及びこれらの混合物または組み合わせを含むことができる。
【0040】
本発明の組成物は、また、他の添加物または物質を含むリポソーム、及び/または投与後より特異的に部位に達しまたは残るように改変されたリポソーム中に処方される。別の方法として、リモノイド含有組成物は、 NMJでのアセチルコリン放出の阻害及び同時の収縮された筋肉の弛緩から生ずるしわ、細かいすじなどの縮小、改善、予防及び/または除去の必要のある部位で皮下(s.c.)または皮内(i.d.)に注射できる。
【0041】
本発明で使用するのに好適な製薬上または生理学的に許容できる組成物は、活性の成分、構成成分または物質が目指す目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物を含む。例として、本発明の組成物では、リモノイド成分は、組成物の全重量に基づいて約0.0001−約10重量%の量で存在する。さらに好ましくは、本発明の組成物は、約0.0005−約5重量%の量で1つ以上のリモノイド成分を含む。最も好ましくは、本発明の組成物は、全組成物の約0.001−約1重量%の量で1つ以上のリモノイド成分を含む。
【0042】
有効な投与量または量の決定は、当業者の能力内のものである。治療に有効な投与量は、例えば症状さらに特にしわ、細かいすじ、深いしわなどを治療、予防、改良、縮小または除去する、本発明に従って同定される活性成分例えばリモノイド成分の量とされる。個々の必要な治療に関するファクターを考慮する実施者は、的確な投与量を決定する。投与量及び投与は、充分なレベルの活性成分をもたらすか、または所望の効果を維持するように調節される。典型的に考慮されるファクターは、個人の特別な必要の程度、患者の一般的な健康、年令、体重及び個人の性別、食事、時間及び投与の頻度、医薬の組み合わせ、反応の感度、及び許容度/治療に対する反応を含む。一般的なガイドとして、長期に作用する製薬組成物は、特別な処方物の半減期及びクリアランス率に応じて、1日1回、2−4日毎、1週間毎または2週間毎1回投与できる。これらの投与のレベルでの変化は、当業者に充分に理解されているような最適化の標準の実験の手順を使用して調節できる。伝達の特別な投与量及び方法に関するガイダンスは文献により提供され、そして一般に当業者に利用できる。当業者は、活性なリモノイド成分の性質例えば構造、組成に応じて異なる処方物を使用する。
【0043】
発汗抑制またはデオドラント組成物及びパーソナル使用用の処方物中の抗発汗過多剤としてのリモノイドに特に関して、これらの製品は、広範囲の投与の形、例えばスティック、ゲル、ロール・オン、エロゾル及びクリームを含む。これらの投与の形は、溶媒(通常非水性)中、または多相の分散物またはエマルション(活性成分がいくつかの連続相に分散しているか、または可溶化した活性成分が連続相を構成している)中の活性成分の溶液を含む。皮膚上に最低の肉眼で見える残存物を残す天然に見える製品を製造するために、清澄かつ透明な発汗抑制剤例えばスティックまたはゲルが利用できる。実質的に無水である清澄かつ透明なゲル化した発汗抑制のスティックは、典型的に、活性物質、必須成分として安定剤を含み、そしてゲル化剤例えばジベンジリデンモノソルビトールアセタール中でゲル化される(例えば米国特許5376363参照)。他の組成物は、異なるタイプのゲル化剤例えばポリアミドゲル化剤中の発汗抑制活性物質を提供する(例えば米国特許5500209)。
【0044】
本発明の組成物は、以下の少なくとも1つを治療することにより審美的外観への改善を生ずる。皮膚科学的老化特に暦年、活性線またはホルモンの老化の徴候、または外因性老化例えば日光への曝露の徴候。特に、皮膚の審美的外観への改善は、以下の少なくとも1つを含む。顔面のすじをより目立たないように見えることにすること、顔面のすじ及び/またはしわをふくらんだように感じさせること、眼窩下のすじ及び/または眼窩骨膜のすじの外観を改善すること、目尻のしわの外観を改善すること、しわ、特に頬、額(例えば眼間のしわ、眼の上の水平のしわ)及び/または口のまわり(例えばマリオネット線)そして特に深いしわ、ひだ及びしわの外観を縮小及び/または消失させること、皮膚のたるみを改善すること、細かいすじ及び/または深いすじ、ひだ及びしわを縮小及び/または除去すること、例えばそれがしわ/すじを縮小する程度まで皮膚を滑らかにすること。
【0045】
本発明により包含されるのは、好適な皮膚浸透増強剤とともにまたはなしで、パッチなどのような伝達の経皮の態様である。本発明により具体化される方法及び組成物は、それにより1つ以上のリモノイド成分が経皮システムで有効に投与できる手段を提供する。しばしば、局所的吸収が劣った化合物または高い投与のレベルで要求される化合物は、経皮的に伝達される。従って、皮膚へ組成物または処方物(しばしば皮膚浸透増強剤組成物とともに)を伝達する経皮手段は、当業者に周知である経皮パッチまたは同様な装置のそれである。これら装置の例は、米国特許5146846、5223262、4820724、4379454及び4956171に開示されている。これらの記述はこれらに制限されることを意味しない。皮膚上へ組成物を貯蔵及び伝達しそして活性な組成物を形成する経皮の態様は、本発明の態様の目的には好都合でありしかも適している。好ましくは、局所的なパッチが使用されるとき、パッチは長期間望ましい領域に適用される。好ましくは、長い期間は、1時間より長く、さらに好ましくは、長い期間は、例えば使用者が睡眠中であるとき、1晩である。
【0046】
本発明の特別な態様は、標的伝達システム例えばリポソーム、マイクロスフエア(例えば米国特許5770222参照)、経皮パッチなどの使用によって記述された組成物の伝達に関しており、リモノイド活性物は、適用領域例えば顔面または頚の筋肉層、または汗腺が存在する皮膚の皮膚層(例えば腋の下、足、手など)に容易に達しそして影響を与える。リポソーム処方物を含むリモノイド成分を含む組成物は、また、皮下または皮内に直接注射することにより投与されて、アセチルコリン放出阻害により筋肉の弛緩または脱収縮を要する部位で活性剤をより精密に貯えることができる。
【0047】
リポソーム及びリポソームを含む伝達システム及び媒体は、当業者に周知である。簡単にいえば、リポソームは、水溶液の顕著なフラクションを捕捉したモノラメラまたはマルチラメラのリピド小胞である。リポソームの小胞性のマイクロ貯槽は、エマルション内に懸濁される種々の水溶性の物質を含むことができる(例えば、G.Gregorius(Ed.)1991,Liposome Technology,Vols.I,II,III,CRC Press,Boca Raton,Florida;Davis S.S.及びWalker I.M.,1987,Methods in Enzymology,149:51−64;Mayhew E.et al.,1987,Methods in Enzymology,149:64−77;及びShafer−Korting M.et al.,1989,J.Am.Acad.Dermatol.21:1271−1275に概説されている)。リポソームの調製及び生物学的システムにおけるリポソームの種々の用途は記述されている(例えば、米国特許4708861、4224179及び4235871)。従って、これらのリポソームは、本明細書で記載したように任意の皮膚科学または化粧品の組成物中に処方できる。
【0048】
本明細書で記載したように活性剤としてのリモノイド成分に加えて、生理学的に許容できる製薬組成物は、好適な製薬上許容できる担体、希釈剤または助剤(製薬的に使用できる製品中への活性化合物の加工を助ける補助剤を含む)を含むことができる。処方物及び投与の技術に関する詳細は、Remington´s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.Easton,PA)の最新版に提供されている。本発明のリモノイド成分を含む製薬組成物は、当業者に周知の方法、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥の方法で製造できる。
【0049】
もし応用可能ならば、製薬組成物は、塩として提供でき、そして多くの酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、琥珀酸などを含むがこれらに限定されない)により形成できる。塩は、対応する遊離塩基の形よりも水性溶媒または他のプロトン溶媒に溶解し勝ちである。他の場合では、製品は凍結乾燥した粉末である。
【0050】
本発明の局所組成物の好ましい態様は、また以下の少なくとも1つを含む。表面平滑剤、皮膚膨張剤、光学的ディフューザー、日焼け止め、剥離促進剤または抗酸化剤。
【0051】
表面平滑剤は、皮膚の滑らかさを増進しそして細かいすじ及び粗いしわの外観を減らす機能的な利点をもたらす。例は、ミリスチン酸イソプロピル、ワセリン、ラノリン酸イソプロピル、シリコーン(例えば、メチコーン、ジメチコーン)またはこれらの任意の混合物を含むが、これらに限定されない。表面平滑剤は、好ましくは、組成物の全重量の約0.1−約50重量%で存在する。皮膚膨張剤は、皮膚へのコラーゲン増加剤として働く。好適かつ好ましい皮膚膨張剤の例は、パルミトイルオリゴペプチドである。皮膚膨張剤の他の例(これらに限定されない)は、コラーゲン及び/またはグリコサミノグリカン(GAG)増加剤を含む。皮膚膨張剤は、好ましくは、組成物の全重量の約0.1−約20重量%で存在する。
【0052】
光学的ディフューザーは、皮膚の表面の光の量を変化させ、例えばすじ及びしわの肉眼によるぼやけ及び軟化をもたらす粒子である。本発明で使用できる光学的ディフューザーの例は、窒化硼素、雲母、ナイロン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン粉末、絹雲母、シリカ、シリコーン粉末、タルク、テフロン、二酸化チタン、酸化亜鉛またはこれらの任意の混合物を含むが、これらに限定されない。光学的ディフューザーは、好ましくは、組成物の全重量の約0.01−20重量%で存在する。
【0053】
他の態様では、本発明は、損傷する紫外線から皮膚を保護する日焼け止めを含む。説明すると、日焼け止めは、単一の日焼け止めまたは日焼け止めの組み合わせの何れかを使用することによってUVA及びUVBの両者の保護をもたらす。本発明の組成物で使用できる日焼け止めのなかで、アボベンゾン、シンナミン酸誘導体(例えばシンナミン酸オクチルメトキシ)、サルチル酸オクチル、オキシベンゾン、二酸化チタン、酸化亜鉛またはこれらの任意の混合物または組み合わせである。好ましくは、日焼け止めは、組成物の全重量の約1−約30重量%で存在する。特に、日焼け止めの添加は、包装中及び/または適用後の皮膚に存在する間、組成物及び/またはその成分の光分解を予防/縮小するので好ましい。
【0054】
日焼け止めを含む本発明の組成物は、以下の少なくとも1つを含む皮膚の審美的外観に追加の改善をもたらすことは理解されるだろう。ひどい日焼けを最低にする、日焼けを最低にする、赤色を縮小する、及びさらなるしわの発展を縮小する。局所組成物が夜間寝る前に適用されることを目的としているならば、日焼け止め剤の追加は好ましくないことが理解されるだろう。
【0055】
本発明の組成物は、また1つ以上の剥離促進剤を有することができる。本発明で使用できる剥離促進剤の好適な例は、角質剥離剤すなわち落屑、剥離または洗浄の性質を有する活性剤、または皮膚の角質層を軟化できる活性剤;アルファ(α)及び/またはベータ(β)ヒドロキシ酸;過酸化ベンゾイル;ケト酸例えばピルビン酸、2−オキソプロパン酸、2−オキソブタン酸、及び2−オキソペンタン酸;オキサ酸(米国特許5847003及び5834513に開示されているもの、その記述は本明細書において参考として引用される);尿素;レチノイド;またはこれらの任意の混合物を含む。これらのしわ防止または細かいすじ防止の活性剤は、例えば組成物の全重量に関して約0.0001−5重量%の量で処方できる。
【0056】
さらに特に、ヒドロキシ酸は、α−ヒドロキシ酸またはβ−ヒドロキシ酸(線状、分枝状、環状、飽和または不飽和のいずれか)を含むが、これらに限定されない。これらの物質の炭素に基づく骨格の水素原子は、ハロゲン、ハロゲン含有アルキル、アシル、アシルオキシ、アルコキシカルボニルまたはアルコキシ基(2−18個の炭素原子を有する)により置換されることができる。好適なヒドロキシ酸は、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、2−ヒドロキシアルカン酸、マンデル酸、サリチル酸及びこれらのアルキル誘導体を含み、5−n−オクタノイルサルチル酸、5−n−ドデカノイルサルチル酸、5−n−デカノイルサルチル酸、5−n−オクチルサルチル酸、5−n−ヘプチルオキシサルチル酸、4−n−ヘプチルオキシサルチル酸及び2−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸またはこれらのアルコキシ誘導体例えば2−ヒドロキシ−3−メチルオキシ安息香酸を含む。レチノイドの例は、レチノン酸(例えば全トランスまたは13−シス)及びその誘導体、レチノール(ビタミンA)及びそのエステル、例えばレチノールパルミテート、レチノールアセテート及びレチノールプロピオネート及びこれらの塩を含むが、これらに限定されない。好ましい剥離促進剤は、3、6、9−トリオキサウンデカンジオン酸、グリコール酸、乳酸またはこれらの任意の混合物である。他の酸例えばオキサ酸(例えば米国特許6069169)及びオキサ二酸(例えば米国特許5932229)は、本発明の組成物に含まれる。
【0057】
本発明が剥離促進剤を含むとき、組成物は、典型的に、組成物の全重量に基づいて、約0.5−30重量%、好ましくは約1−約15重量%、さらに好ましくは約2−約10重量%そして最も好ましくは約4重量%の剥離促進剤を含む。
【0058】
抗酸化剤は、特に、皮膚からフリーラジカルを捕捉して環境を侵略するものから皮膚を保護する機能を行う。本発明で使用できる抗酸化剤の例は、フェノール性ヒドロキシ官能基を有する化合物、例えばアスコルビン酸及びその誘導体/エステル;ベータ−カロテン;カテキン;クルクミン;フェルール酸誘導体(例えばエチルフェルレートまたはナトリウムフェルレート);没食子酸誘導体(例えば、プロピルガレート);リコペン;レダクチン酸;ロスマリン酸;タンニン酸;テトラヒドロクルクミン;トコフェロール及びその誘導体;尿酸;またはこれらの任意の混合物を含む。他の好適な抗酸化剤は、還元型または非還元型の何れかの1つ以上のチオール(−SH)基を有するもの、例えばグルタチオン、リポ酸、チオグリコール酸、及び他のスルフヒドリル化合物である。抗酸化剤は、無機物例えば重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、亜硫酸塩、または硫黄を含む他の無機塩及び酸であってもよい。本発明の組成物は、組成物の全重量の約0.001−約10重量%、そしてさらに好ましくは約0.001−約5重量%で抗酸化剤を含むことができる。
【0059】
本発明の組成物は、また以下の成分、添加物または助剤の1つ以上を含むことができる。麻酔薬、抗アレルギー薬、抗かび薬、抗敗血症薬、キレート剤、着色剤、染料、粘滑剤、皮膚軟化剤、乳化剤、香料、充填剤、湿潤剤、潤滑剤、モイスチャーライザー、pH調節剤、顔料変更剤、保存料、皮膚浸透増強剤、安定剤、界面活性剤、濃厚化剤、粘度改変剤、親水性または親油性のゲル化剤、ビタミン、またはこれらの任意の混合物。これらの種々の成分、添加物、助剤または活性剤の量は、化粧品または製薬の分野で好都合に使用されているものであり、例えば、それらは組成物の全重量の約0.01−20%を占める。さらに、助剤、成分、添加物または活性剤は、脂肪の相、液相及び/またはリピド小胞中にそれらの性質に応じて導入できる。
【0060】
本発明の1つ以上の成分は、好ましくは、化粧品として許容できる媒体(すなわち、媒体、希釈剤または担体)に含まれる。局所適用を包含する態様では、本発明の組成物は、ヒトの皮膚と両立できる媒体を含む。組成物は、水性、アルコール性または水性/アルコール性に基づく溶液、軟膏、ローション、ゲル、水中油、油中水または水−油−水の三重のエマルション(クリームまたはゲルの外観を有する)、ミクロエマルションまたはエロゾルとして処方できる。その上、組成物は、上記のように、イオン性及び/または非イオン性のリピドを含む小胞性の分散物の形でもよい。これらの製薬組成物に好適な投与単位は、業界で使用されている従来の知識及び技術に従って処方される。
【0061】
さらに特に、局所適用用の組成物は、好ましくは顔面、頚、手、足または身体の他の領域のための皮膚用の保護ケア組成物の形である。これらの例(これらの限定されない)は、日中のクリームまたはローション、夜間のクリームまたはローション、日焼け止めクリーム、ローションまたはオイル、ボディミルク、メークアップ(ファンデーション)、人工日焼け組成物及び脱毛剤を含む。
【0062】
もし本発明の組成物がエマルションならば、そのなかに含まれる脂肪物質の部分は、組成物の約5−80重量%、好ましくは約5−50重量%に及ぶ。エマルションの形の組成物に使用される脂肪物質及び乳化剤は、化粧品または製薬の分野で従来使用されているもの1つ以上である。脂肪物質の例(これらに限定されない)は、鉱油(例えば石油ジェリー)、植物油及びその水素化誘導体、動物油、合成油(例えばペルヒドロスクワレン)、シリコーン油(例えばポリジメチルシロキサン)及びフルオロ油を含む。脂肪物質の他の例は、脂肪アルコール(例えばステアリルアルコールまたはセチルアルコール)、脂肪酸(例えばステアリン酸)及びワックスを含む。
【0063】
乳化剤は、典型的に、組成物の全重量に関して約0.3−30重量%そして好ましくは約0.5−30重量%の量で本発明の組成物中に存在する。
【0064】
1つの態様では、本発明は、少なくとも1つのリモノイド成分またはそれを含む組成物の有効量を投与して、NMJでの神経細胞によるアセチルコリンの放出を阻害またはブロックして皮下の筋肉特に顔面の表情の筋肉を弛緩及び/または脱収縮し、それにより皮膚を滑らかまたはしわをとることに関し、NMJでの神経細胞によるアセチルコリン放出の阻害は、筋肉好ましくは顔面の表情筋肉の弛緩または脱収縮に相当する。
【0065】
他の態様では、本発明は、細かいすじ、しわ、及び/または皮膚の老化または光曝露の他の皮膚科学的作用を治療する方法を包含し、化粧品及び/または皮膚科学的に許容できる媒体中のリモノイドを含む組成物を細かいすじ、しわ及び/または皮膚の老化の他の皮膚科学的作用を治療、縮小、予防及び/または改良するのに有効な量で皮膚に適用することからなる。この方法において、リモノイドは、好ましくは、Maliaecae科の一員であり、さらに好ましくは、リモノイドは植物アルカロイドであり、最も好ましくはトーセンダニン、アザジラキチンまたはこれらの組み合わせである。リモノイド含有組成物の適用は、好ましくは局所である。さらに、組成物は、好ましくは、直接的な伝達の態様、例えば水性組成物または経皮パッチの局所適用によって適用される。
【0066】
さらに他の態様では、本発明は、発汗過多または発汗を治療する方法を包含しており、化粧品及び/または皮膚科学的に許容できる媒体中のリモノイドを含む組成物を細かいすじ、発汗過多または発汗を治療、縮小、予防及び/または改良するのに有効な量で皮膚に適用することからなる。この方法において、リモノイドは、好ましくは、Maliaecae科の一員であり、さらに好ましくは、リモノイドは植物アルカロイドであり、最も好ましくはトーセンダニン、アザジラキチンまたはこれらの組み合わせである。リモノイド含有組成物の適用は、好ましくは局所である。
【0067】
本発明の他の態様は、皮膚の審美的外観を改善する方法に関し、そして皮膚の審美的外観を改善するのに有効な量で1つ以上のリモノイド成分を含む組成物を皮膚に適用するかまたは伝達の直接的態様によって導入することからなる。この態様によれば、審美的外観における改善は、皮膚科学的老化の徴候のような少なくとも1つの症状の治療を含む。皮膚科学的老化は、暦年の老化、活性線の老化、ホルモンの老化またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0068】
当業者により理解されるように、本発明のリモノイド成分を含む組成物からなる美容の治療は、例えば、これらの組成物を投与する従来の技術に従って本明細書に記載された化粧品組成物を局所的に適用することによって実施できる。日常的かつ普通に実施されている技術は、クリーム、ローション、ゲル、乳清、軟膏、発汗抑制剤またはデオドラントの皮膚への適用を包含し、また適用の1つの形としての噴霧も含まれる。
【0069】
以下の実施例は、当業者に本発明を説明しそして本発明の方法の詳細を提供するために、本発明の特定の局面を記述している。実施例は、本発明及びその種々の局面の理解及び実施に有用な特定の方法を単に提供することから、実施例は、本発明を制限するものと考えてはならない。
【実施例1】
【0070】
本発明の植物アルカロイドは、米国特許6372239(その内容はその全体を本明細書に参考として引用され、そして以下に記述される)に記載されているように、有機溶媒の抽出または水性溶媒−有機溶媒の抽出の方法を使用することによって天然の原料から抽出できる。
【0071】
種子細胞培養。植物種子細胞は、胚の組織から原則的に抽出される。種子細胞を次に培養する。全種子細胞は、次に細胞壁の破壊または破砕によって壊されて、広範囲の植物細胞成分が取り出される。種子細胞培養は、米国特許出願10/040242(その全部を本明細書で参考として引用する)にさらに開示されている。
【0072】
有機溶媒抽出。有機抽出方法は、有機溶媒の流れに対して植物材料を連続的に洗浄かつ抽出する工程を含む。有機溶媒の例は、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、キシレン及び石油エーテルを含むが、これらに限定されない。例えば、有機溶媒抽出は、抽出機で行うことができる。所望の1つ以上のアルカロイドを含む植物から集めた原料、例えば葉、樹皮、種子、果実及び/または根は、まず小さい粒子のサイズに砕かれ、次に測定可能な装入機によって原料用の入口から抽出機に入れられる。植物材料は、抽出機中の押し出し機により押され、そして徐々に前進する。有機溶媒(例えばエタノール)を、廃物放出出口の頂部で溶媒の入口を経て機械に添加される。重力及び平衡の差により、溶媒は、原料入口に向かって流れ、材料を浸漬しそして溶媒入口の反対の側から流れでる。植物材料及び溶媒がそれぞれに対して反対の方向に移動するため、植物材料は、低濃度の抽出した1つ以上のアルカロイドを含む溶液中に常に浸漬される。平衡の結果、高収率の1つ以上の植物アルカロイドが、低濃度の溶液に対する植物材料の連続抽出により達成できる。
【0073】
抽出の時間は、好ましくは、約1−8時間、さらに好ましくは約2−6時間、そして最も好ましくは約3−5時間である。抽出の温度は、好ましくは、約30−90℃、さらに好ましくは約40−70℃そして最も好ましくは約50−60℃である。集めた抽出物は、次に微濾過にかけて屑を除き、そして固体含量が約25−45%に達するまで溶媒を蒸留することにより濃縮される。蒸留された溶媒は、抽出用に再使用される。
【0074】
水性溶媒−有機溶媒抽出。所望の1つ以上のアルカロイドを含む植物から集めた原料、例えば植物の葉、樹皮、種子及び/または根をまず砕いて小さい粒子のサイズにする。砕いた植物材料を、酸性またはアルカリ性(塩基性)の条件下で所望の1つ以上のアルカロイドの溶解度及び安定性に応じて、酸性またはアルカリ性である水溶液に浸漬する。酸性条件下の抽出では、酸例えば塩酸または硫酸を、約3%(w/v)の濃度で水に加える。アルカリ性条件下の抽出では、アルカリ例えば水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを水に添加する。
【0075】
抽出の時間は、好ましくは、約1−8時間、さらに好ましくは約2−6時間そして最も好ましくは約3−5時間である。抽出の温度は、好ましくは約30−90℃、さらに好ましくは約40−70℃そして最も好ましくは約50−60℃である。抽出物は、次に集められそして微濾過されて屑を除く。アルカリ性剤(例えばアンモニア)または酸性剤(例えば硫酸)を抽出物に添加して集めた抽出物の酸度またはアルカリ度に応じてpHを調節することにより、溶液を中和する。有機溶媒を次に中和した溶液に添加して水性相から有機相にアルカロイドを抽出する。これら有機溶媒の例は、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール及びキシレンを含むが、これらに限定されない。有機溶媒に溶解した1つ以上の抽出したアルカロイドを、固体含量が約50−80%に達するまで、濃縮する。
【0076】
異なる種類のアルカロイドを含む異なる植物がともに混合され抽出されることに注意すべきである。混合抽出のこの方法は、好ましくは、エタノールのような抽出に使用される溶媒の同様な溶解度によりアルカロイドを含む植物を抽出するのに使用できる。抽出されたアルカロイドの混合物は、濃縮されそして適切な溶媒中に貯蔵される。
【0077】
トーセンダニンは、574.60の分子量を有し、無色の結晶であり、メタノール、クロロホルム及び石油エーテルに溶解し、そして244−245℃の融点を有する。Malia toosendan Sieb.et Zucc.からのトーセンダニンの抽出では、 Malia toosendan Sieb.et Zucc.からの乾燥した種子を砕きそしてメタノールで抽出する。微濾過そして濃縮後、トーセンダニンを含む抽出物をテレピン油に移し、冷たい暗所に貯蔵する。トーセンダニンの含量は、典型的に、この方法により20%のオーダーである。
【0078】
植物材料例えばニーム種子からアザジラキチンを抽出する方法は、K.S.HollaのH1541に記載されており、その内容はそれの全部を本明細書で参考として引用する。
【0079】
本発明により使用されるリモノイドを得るための植物抽出物は、市販されている。例えば、Ku Lian Pi抽出物(トーセンダニンを含む)は、Premier Specialties Inc.、Middlesex、NJから入手できる。 Ku Lian Piは、 Malia toosendan Sieb.et Zucc.またはM.azedarach Lの樹皮及び根の皮層の中国名であり、この物質はまたCortex Meliaeとも呼ばれる。さらに、ニーム種子細胞ブロスは、Phyton Inc.Ithaca、NYから入手できる。ニーム抽出物は、Carlisle International Corp.NYから入手できる。
【実施例2】
【0080】
リモノイドを含む化粧品の臨床上の評価
1つ以上のリモノイド成分例えばトーセンダニンまたはアザジラキチンを含む局所的に投与される組成物の安全性及び有効性は、組成物を含む化粧処方物の単一投与量の投与後ヒトの患者において検討される。軽度から中位の額のすじ及びしわを有する10−15人のパネリスト(好ましくは35−50歳)を選ぶ。テストされる患者は、最初に、ベースラインの深さ及びしわの程度を確立するためになされた皮膚の複製を有する。
【0081】
抗しわ組成物の有効性をテストするための皮膚科学的なテストは、当業者に周知である。任意のこのテストは、本発明にとり有用であろう。例えば、可撓性の「硬化しない」材料例えばラテックスの層は、皮膚に適用される。皮膚から「硬化した」材料を取り除くと、皮膚に隣接した側は、肉眼的にまたは機器によるかの何れかで評価されて、治療前のしわの程度を決定する。皮膚の同じ領域を次に治療後評価して、しわの数または深さにおける変化があったかどうかを決定する。
【0082】
次の日に、研究者は、患者の額の約6cmの半吸蔵領域にわたって0.6gの製品(140mg/gのリモノイド成分の濃度で)を適用する。製品の処方は、好ましくは、水溶性物質の浸透を増加させるようにデザインされた処方からなる。製品は、1時間患者の皮膚におかれる。1時間の露出後、皮膚の複製をとって前日からの変化を評価する。さらに、患者は、額の皮膚及び眉をアクチブに収縮させるかどうかを質問されて処方物の全体の有効性及び効力を決定する。
【実施例3】
【0083】
本発明によるリモノイド成分を含む組成物は、1つ以上の皮膚科学関連皮膚症状に対するその効果を評価するために調製される。組成物は、油及び水のエマルションの形であり、そして以下の成分を含む。
【0084】
【表1】

【実施例4】
【0085】
本発明によるリモノイド成分を含む組成物は、1つ以上の皮膚科学関連皮膚症状に対するその効果を評価するために調製される。組成物は、油及び水のエマルションの形であり、そして以下の成分を含む。
【0086】
【表2】

【実施例5】
【0087】
本発明によるリモノイド成分を含む組成物は、1つ以上の皮膚科学関連皮膚症状に対するその効果を評価するために調製される。組成物は、水/シリコーンのエマルションの形であり、そして以下の成分を含む。
【0088】
【表3】

【実施例6】
【0089】
本発明によるリモノイド成分を含む組成物は、1つ以上の皮膚科学関連皮膚症状に対するその効果を評価するために調製される。組成物は、ゲルの形であり、そして以下の成分を含む。
【0090】
【表4】

【実施例7】
【0091】
本発明によるリモノイド成分を含む組成物は、1つ以上の皮膚科学関連皮膚症状に対するその効果を評価するために調製される。組成物は、クリンジングクリームの形であり、そして以下の成分を含む。
【0092】
【表5】

【実施例8】
【0093】
本発明によるリモノイド成分を含むリポソーム組成物は、以下のように製造される。
【0094】
【表6】

【0095】
本明細書で引用されたすべての特許、特許出願、発行された文献、アブストラクト、書籍、参考のマニュアル及びアブストラクトの内容は、本発明が関連する技術の状態をさらに詳述するために、それらの全体を参考として本明細書に引用される。
【0096】
種々の変化は、本発明の範囲及び趣旨から離れることなく、上述した主題において行うことができるため、上記の記述に含まれたかまたは請求の範囲で規定された主題は、本発明の説明として解釈されることを目的とする。本発明の多くの改変及び変化は、上記の教示からみて可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療の必要な患者に、しわ及び/または細かいすじを予防、改良、縮小及び/または除去するのに有効な量で1つ以上のリモノイド成分を含む組成物を投与することを特徴とする皮膚のしわ及び/または細かいすじを治療する方法。
【請求項2】
組成物が局所組成物である請求項1の方法。
【請求項3】
該組成物が、しわ及び/または細かいすじを予防、改良、縮小及び/または除去するのに有効な期間適用される請求項2の方法。
【請求項4】
1つ以上のリモノイド成分が、トーセンダニン、アザジラキチンまたはこれらの組み合わせから選ばれる請求項1の方法。
【請求項5】
組成物が少なくとも1週間毎日1回適用される請求項3の方法。
【請求項6】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0001−約10重量%の量で存在する請求項1の方法。
【請求項7】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0005−約5重量%の量で存在する請求項1の方法。
【請求項8】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.001−約1重量%の量で存在する請求項1の方法。
【請求項9】
組成物が、化粧品または皮膚科学的に許容できる媒体、担体または希釈剤を含む請求項1の方法。
【請求項10】
組成物が、さらに日焼け止めを含む請求項1の方法。
【請求項11】
日焼け止めが、アボベンゾン、シンナミン酸誘導体、サルチル酸オクチル、オキシベンゾン、酸化チタン、酸化亜鉛及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項10の方法。
【請求項12】
シンナミン酸誘導体がオクチルメトキシシンナメートである請求項11の方法。
【請求項13】
組成物が、アルファヒドロキシ酸、オキサ酸及びオキサ二酸からなる群から選ばれた成分をさらに含む請求項10の方法。
【請求項14】
組成物が、経皮パッチを経て投与される請求項1の方法。
【請求項15】
組成物が皮下または皮内に注射される請求項1の方法。
【請求項16】
組成物がイオン泳動を経て投与される請求項1の方法。
【請求項17】
組成物が顔面に適用され、そしてリモノイド成分が、顔の表情の筋肉の神経筋接合部でのアセチルコリン放出を阻害し、それによりマリオネット線、額のしわまたは眉間のしわに伴う筋肉を弛緩する請求項1の方法。
【請求項18】
皮膚の審美的外観を改善するのに有効な量で1つ以上のリモノイド成分を含む組成物を皮膚に局所的に適用することを特徴とする皮膚の審美的外観を改善する方法。
【請求項19】
審美的外観の改善が、顔面のすじをさらに目立たないように見えることにすること、顔面のすじ及び/またはしわをふくらんだように感じさせること、眼窩下のすじ及び/または眼窩骨膜のすじの外観を改善すること、目尻のしわの外観を改善すること、しわの外観を縮小及び/または消失させること、細かいすじ及び/または深いすじ、ひだ、深いしわ及びくぼみを縮小及び/または除去すること、皮膚を滑らかにすること並びにこれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項18の方法。
【請求項20】
皮膚が感受性のある皮膚である請求項18の方法。
【請求項21】
組成物が、少なくとも1週間毎日少なくとも1回局所に適用される請求項18の方法。
【請求項22】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0001−約10重量%の量で存在する請求項18の方法。
【請求項23】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0005−約5重量%の量で存在する請求項18の方法。
【請求項24】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.001−約1重量%の量で存在する請求項18の方法。
【請求項25】
組成物が、化粧品または皮膚科学的に許容できる媒体、担体または希釈剤を含む請求項1の方法。
【請求項26】
組成物が、リポソーム伝達媒体で投与される請求項18の方法。
【請求項27】
リポソーム伝達媒体中の組成物が、局所に投与される請求項26の方法。
【請求項28】
組成物が、経皮パッチを経て投与される請求項18の方法。
【請求項29】
組成物がイオン泳動を経て投与される請求項18の方法。
【請求項30】
組成物が、さらに日焼け止めを含む請求項18の方法。
【請求項31】
日焼け止めが、アボベンゾン、シンナミン酸誘導体、サルチル酸オクチル、オキシベンゾン、酸化チタン、酸化亜鉛及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項30の方法。
【請求項32】
シンナミン酸誘導体がオクチルメトキシシンナメートである請求項11の方法。
【請求項33】
組成物が、アルファヒドロキシ酸、オキサ酸及びオキサ二酸からなる群から選ばれた成分をさらに含む請求項30の方法。
【請求項34】
神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリン放出をブロックまたは低下させるのに有効な量で、その必要のあるヒトにアセチルコリン放出阻害剤を含む組成物を提供し、神経筋接合部でのアセチルコリン放出の該阻害または低下は、筋肉組織の収縮を同時に阻害または低下させ、それにより皮膚のしわ、細かいすじ、または深い眉間のすじを治療、予防、縮小、改良及び/または除去することを特徴とする皮膚のしわ、細かいすじ、または深い眉間のすじを治療、予防、縮小、改良及び/または除去する方法、
【請求項35】
アセチルコリン放出阻害剤が1つ以上のリモノイド成分である請求項34の方法。
【請求項36】
1つ以上のリモノイド成分が、トーセンダニン、アザジラキチンまたはこれらの組み合わせから選ばれる請求項35の方法。
【請求項37】
組成物が皮膚に局所に適用される請求項34の方法。
【請求項38】
組成物が、リポソーム伝達媒体または経皮パッチに含まれる請求項34の方法。
【請求項39】
組成物が日焼け止めをさらに含む請求項34の方法。
【請求項40】
日焼け止めが、アボベンゾン、シンナミン酸誘導体、サルチル酸オクチル、オキシベンゾン、酸化チタン、酸化亜鉛、アルファヒドロキシ酸、オキサ酸、オキサ二酸及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた1つ以上の成分をさらに含む請求項39の方法。
【請求項41】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0001−約10重量%の量で存在する請求項35の方法。
【請求項42】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0005−約5重量%の量で存在する請求項35の方法。
【請求項43】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.001−約1重量%の量で存在する請求項35の方法。
【請求項44】
治療の必要のある患者に、発汗過多を治療または縮小するのに有効な量で1つ以上のリモノイド成分を含む組成物を投与することを特徴とする発汗過多を治療または縮小させる方法。
【請求項45】
1つ以上のリモノイド成分が、トーセンダニン、アザジラキチンまたはこれらの組み合わせから選ばれる請求項44の方法。
【請求項46】
アセチルコリン放出阻害剤を含む組成物を、その必要があるヒトに、汗腺の線維の神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリン放出を阻害または低下させるのに有効な量で提供し、神経筋接合部(NMJ)でのアセチルコリン放出の該阻害または低下が、汗腺の線維の筋肉組織の収縮を縮小させ、それにより発汗過多を治療、予防、縮小、改良及び/または除去することを特徴とする発汗過多を治療、予防、縮小及び/または改善する方法。
【請求項47】
アセチルコリン放出阻害剤が、1つ以上のリモノイド成分である請求項46の方法。
【請求項48】
1つ以上のリモノイド成分が、トーセンダニン、アザジラキチンまたはこれらの組み合わせから選ばれる請求項48の方法。
【請求項49】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0001−約10重量%の量で存在する請求項47の方法。
【請求項50】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.0005−約5重量%の量で存在する請求項47の方法。
【請求項51】
1つ以上のリモノイド成分が、組成物の全重量の約0.001−約1重量%の量で存在する請求項47の方法。
【請求項52】
組成物が皮膚に局所に適用されて、腋の下、顔面、足及び手の過剰の発汗を治療、予防、縮小、改良及び/または除去する請求項46の方法。

【公表番号】特表2006−514657(P2006−514657A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565599(P2004−565599)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040660
【国際公開番号】WO2004/060326
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】