説明

めっき方法及び電子装置

【課題】結晶破壊やめっき剥離を起こし難い金属めっきを形成することができるめっき方法及びそのような金属めっきを備える電子装置を提供すること。
【解決手段】開口16aが形成されるとともに、前記開口16aの内周面が裏面側から表面側に向かうほど前記開口側に大きく迫り出すレジストパターン16を形成する工程と、前記レジストパターンに形成される前記開口を充填する金属めっき18を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はめっき方法及び電子装置に関し、特に、金属めっきの外周面の形状制御に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置などの各種電子装置においては、電極上に金などによるめっき処理を施すことで、放熱性を向上させることができる。図5は、半導体装置の電極に金めっき処理を施す従来の方法を示している。同図(a)に示すように、シリコンなどの基板100上には酸化シリコンなどの絶縁保護膜102が、例えば熱CVD法により形成されており、その表面には部分的に電極104が形成されている。電極104は、例えばTi/Pt/AuからなりEB蒸着法により形成される。この電極104上に金めっきを施すために、まず電極104上に開口106aが位置するようにパターニングされたレジストパターン106(めっきレジスト)を、絶縁保護膜102及び電極104上に形成する(同図(a)。ここで、レジストパターン106には、例えばインクやドライフィルムが用いられ、開口106aの内周面は、矢印PAに示されるように電極104側に向かうほど開口106a側に迫り出す順テーパ状をなしたり、或いは矢印PBに示されるように垂直に切り立ったりしている。
【0003】
この状態で電解めっき(電気めっき)法により金めっき処理を施すと、開口106aを充填するようにして金めっき108が形成される(同図(b))。その後、レジストパターン106を除去することで、金めっき108が電極104上に形成された半導体装置を得ることができる(同図(c))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法によると、レジストパターン106の開口106aの内周面が順テーパ状をなしたり、垂直に切り立ったりしているため、それに応じて金めっき108の外周面も逆テーパー状をなしたり(図5(c)の矢印EA)、垂直に切り立ったりしている(同図(c)の矢印EB)。このため、従来のめっき方法による金めっき108では、その周縁部に応力が集中してしまい、そこから結晶破壊や金属剥がれを起こしやすいという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、結晶破壊や金属めっき剥がれを起こし難い金属めっきを形成することができるめっき方法及びそのような金属めっきを備える電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るめっき方法は、開口が形成されるとともに、前記開口の内周面が裏面側から表面側に向かうほど前記開口側に大きく迫り出すレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンに形成される前記開口を充填する金属めっきを形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明によると、レジストパターンに形成される開口は、その内周面が裏面側から表面側に向かうほど前記開口側に大きく迫り出す。開口は例えば電子装置の電極上に形成される。このようなレジストパターンは、例えばリフトオフ用として公知であるフォトレジスト材料を用いることで、形成することができる。そして、例えば電解めっき法などの方法により、この開口を充填する金属めっきを形成することで、外周面が表面側から裏面側に向かうほど側方に大きく迫り出す金属めっきを形成することができ、これにより結晶破壊やめっき剥がれを起こし難い金属めっきを実現できる。
【0008】
また、本発明に係る電子装置は、電極と、前記電極上に形成され、その外周面が表面側から裏面側に向かうほど側方に大きく迫り出す金属めっきと、を含むことを特徴とする。本発明によると、結晶破壊やめっき剥がれを起こし難い金属めっきを含む電子装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るめっき方法を示す工程図である。同図(a)に示すように、本方法により電極に金めっきが施される半導体装置は、例えばシリコンなどの基板10上に酸化シリコンなどの絶縁保護膜12が形成され、さらにその上には部分的に電極14が形成されてなる。電極14は、例えばTi/Pt/Auからなっており、例えばEB蒸着法により形成される。この電極14上に金めっきを施すために、まず電極14上に開口16aが位置するようにパターニングされたレジストパターン16(めっきレジスト)を、絶縁保護膜12及び電極14上に形成する。開口16aは、矢印H1に示されるように、その内周面が裏面側(図中下側)から表面側(図中上側)に向かうほど前記開口の中心側に大きく迫り出す逆テーパー状をなす。このようなレジストパターン16は、リフトオフ用として公知であるフォトレジスト材料を流用することで容易に形成できる。例えば、特開2003−287905号公報には、逆テーパー状の縁部を形成可能なレジスト材料として、(A)光線による露光、又は露光と引き続く熱処理によって架橋する成分、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)露光する光線を吸収する化合物を少なくとも一種含有する、アルカリ現像型のネガ型感光性レジストが開示されている。
【0011】
このようにしてレジストパターン16を形成した後、電極14におけるレジストパターン16で覆われていない部分に電解めっき法により金めっき処理を施す。つまり金イオンを含む水溶液を開口16a内に満たしてから電極14に通電することで、開口16aを充填するようにして金めっき18を形成することができる。同図(b)は、金めっき18が形成された状態を示している。その後、レジストパターン16を除去することで、同図(c)の矢印E1に示されるように、外周面が表面側から裏面側に向かうほど側方に大きく迫り出す、順テーパー状をなす金めっき18を得ることができる。このようにして金属めっき18の外周面を順テーパー状とすれば、金めっき18の周縁部に応力が集中せず、結晶破壊やめっき剥がれを起こし難くできる。
【0012】
また、金めっきの外周面は順テーパー状に限る必要はなく、外周面が表面側から裏面側に向かうほど側方に大きく迫り出す形状であれば、どのような形状であってもよく、それに応じて、レジストパターンとしては、裏面側から表面側に向かうほど前記開口側に大きく迫り出す形状(オーバーハング状)であれば、どのような形状であってもよい。
【0013】
例えば、リフトオフ用として公知である2層レジストを流用することで、表面側から裏面側に向かうほど側方に段々と大きく迫り出す階段状の外周面を備えた金めっきを実現することができる。図2は、このような金めっきを形成する方法を示す工程図である。同図(a)の矢印H2に示されるように、この方法ではレジストパターン17として、電極14上に位置する開口17aの内周面に段差が形成され、かつ裏面側から表面側に向かうほど開口17aの中心側に内周面が段々と大きく迫り出すものが用いられる。このようなレジストパターン17は、例えば特開2003−287905号公報に開示されているようなリフトオフ用のフ2層レジストを流用することで、容易に形成することができる。この文献には、(A)水酸基及び/又はカルボキシル基を有するラジカル重合体、(B)キノンジアジド基含有化合物および(C)溶剤を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物から形成された第1のレジスト膜と、(D)フェノール性水酸基を有する重合体、(E)キノンジアジド基含有化合物および(F)溶剤を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物から形成された第2のレジスト膜と、によって2層レジストを形成する方法が開示されている。この2層レジストを用いることで、レジストパターン17を複数の層から構成するとともに、各層の開口17a側を、裏面側の層から表面側の層に向かうほど開口17a側に段々と大きく迫り出すようにできる。
【0014】
同図(b)に示すようにこの状態で開口17aを充填する金めっき19を形成し、その後、同図(c)に示すようにレジストパターン17を除去することで、外周面が表面側から裏面側に向かうほど側方に段々と大きく迫り出す金めっき19を電極14上に形成し、金めっき19の周縁部を階段状とすることができる。このようにしても、金属めっき19の周縁部に応力が集中しないようにでき、結晶破壊やめっき剥離を防止できる。
【0015】
以上説明しためっき方法は、各種電子装置のめっきに適用することができる。例えば、図3には半導体レーザの電極上に、図1に示される順テーパ状の外周面を備える金めっき18を形成する工程が示されている。
【0016】
図3に示される半導体レーザでは、例えば導波路であるメサ13が形成された燐火インジウム基板10上に該メサ13を挟むようにして2つのパッド11が形成され、このパッド11は絶縁保護膜12により覆われている(同図(a))。この状態で、電極14をパッド11の上方からメサ13の上方に形成する。そして、電極14及び絶縁保護膜12上にレジストパターン16を形成する(同図(b))。このレジストパターン16には、各電極14上に位置する開口16aが形成されており、この開口16aを充填する金めっき18が例えば電解めっき法により形成される(同図(c)。その後、レジストパターン16を除去することにより、外周面が順テーパー状の金めっき18を備えた半導体レーザを得ることができる。これにより、結晶破壊やめっき剥離の起こり難い半導体レーザを実現できる。
【0017】
また、図4には半導体レーザの電極上に、図2に示される階段状の外周面を備える金めっき19を形成する工程が示されている。同図に示すように、半導体レーザのめっきレジストとして2層レジストであるレジストパターン17を形成し、その開口17aにめっき処理を施すことで、周縁部が階段状の金めっき19を電極14上にしても、結晶破壊やめっき剥離の起こり難い半導体レーザを実現できる。
【0018】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、以上の説明では本発明を金めっきに適用する例を示したが、他の金属によるめっきにも本発明は同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るめっき方法を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るめっき方法を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るめっき方法を半導体レーザに適用する例を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係るめっき方法を半導体レーザに適用する例を示す図である。
【図5】従来のめっき方法を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
10 基板、12,14 電極、13 メサ、16,17 レジストパターン、18,19 金めっき。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されるとともに、前記開口の内周面が裏面側から表面側に向かうほど前記開口側に大きく迫り出すレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンに形成される前記開口を充填する金属めっきを形成する工程と、
を含むことを特徴とするめっき方法。
【請求項2】
請求項1に記載のめっき方法において、
前記開口の内周面は、逆テーパー状をなす、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項3】
請求項1に記載のめっき方法において、
前記レジストパターンは複数の層からなり、
前記各層の前記開口側は、裏面側の前記層から表面側の前記層に向かうほど前記開口側に段々と大きく迫り出す、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のめっき方法において、
前記レジストパターンを除去する工程をさらに含む、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のめっき方法において、
前記開口は、電子装置の電極上に形成される、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のめっき方法において、
前記金属めっきは、電解めっき法により形成される、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項7】
電極と、
前記電極上に形成され、その外周面が表面側から裏面側に向かうほど側方に大きく迫り出す金属めっきと、
を含むことを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−138224(P2009−138224A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314953(P2007−314953)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】