説明

アイファインダモジュールを有するカメラシステム

【課題】アイファインダモジュールを備えたカメラにおける、観察者の一対の眼の位置の検出精度を改良する。
【解決手段】2つのアイファインダモジュールを有するカメラシステムの、各アイファインダモジュールは、少なくとも1つの対象面において観察者の眼の位置を検出し決定するためのカメラチップと、対物レンズを有するカメラを含み、カメラシステムは、表示装置の制御部に接続されている。対物レンズ(L)は、カメラチップ(C)の感光領域全体上への少なくとも1つの対象面(A、・・・、Am)のサブ領域(DA1、・・・、DAn)の順次の撮像および偏向のための制御可能なマイクロプリズムアレイ(EMPA)と結合され、サブ領域(DA1、・・・、DAn)は、対物レンズ(L)と制御可能なマイクロプリズムアレイ(EMPA)の組み合わせ(K)の焦点深度範囲内に位置する。適用分野は3D表示における表示装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイファインダモジュールを備えるカメラシステムによって広い対象面における観察者の眼の位置の検出に関し、各ファインダモジュールは、対物レンズとカメラチップを備えるカメラを含む。そのカメラシステムは、電気光学表示装置の制御部と接続されている。本発明は、さらに、観察者の眼の位置を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の適用される分野は、複数の観察者の位置の検出のための少なくとも2つのアイファインダモジュールを備えるカメラシステムを含み、その複数の観察者には、電気光学表示装置において、自動立体的に及び/又はホログラフ的に生成される3次元情報が与えられる。その情報は3D画像若しくは3Dビデオシーケンスでも良く、2次元若しくは3次元的に表示されたテキストと結合されても良い。そのような電気光学表示装置は、例えば、自動立体的若しくはホログラフ的な表示装置である。
【0003】
眼の位置の検出用の装置は、位置ファインダとして知られており、通常は、2つのカメラを備えるカメラシステムを含んでいる。その2つのカメラは、同じように設計された対物レンズとそれぞれの眼のためのカメラチップとを有している。対象面全体は、少なくとも2つの観察者の眼の検出を実現するアルゴリズムに従って走査される。顔が検出されると、そのアルゴリズムは、さらに、眼の瞳を見つけ、それらの位置を決定するパターン検出ルーチンを実行する。もし、それが観察者の眼を含むのであれば、対象面全体は、カメラチップ上に撮像されるであろう。観察者の眼のX、Y、Z座標は、2つの対象フィールドにおいて検出された瞳の位置を比較することによって計算される。これが可能である理由としては、2つのカメラが異なる位置からの観察者を見て、観察者の位置の特性であるオフセットを有するカメラチップ上にそれらを撮像するからである。観察者の眼の位置の座標は、制御部に送信される。制御部は、電気表示装置の一部分であり、検出された位置のために、所望の2D及び/又は3Dの画像コンテンツと、位置付けられた観察者の眼が画像コンテンツを見ることができるように要求される視界領域とを生成する。
【0004】
もし、大きな焦点距離を備える対物レンズが対象面を走査するために用いられた場合には、小さい対象フィールドのみが走査されることができ、観察者の眼は、高速走査で監視されるであろう。対物レンズの小さい焦点距離は結果として大きな対象フィールドとなるが、対物レンズの空間解像度は小さくなるであろう。なぜならば、対象フィールドのある領域は、カメラチップのより小さい画素上に撮像されるからである。空間解像度と対象フィールドサイズが固定的に相互に関係しているので、対物レンズの焦点距離を選択するとなると、対象面において対象フィールドのサイズと空間解像度との間で、妥協が見出されるべきである。大きな対象フィールドを備える高い空間解像度の組み合わせが理想であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、本発明の目的は、観察者の眼の位置を検出するために用いられ得る少なくとも2つのカメラを備えるカメラシステム用の対象面において大きな対象フィールドを実現することである。それによって、対物レンズの空間解像度を低減しなくてすむ。対象面の1対の眼は、極めて高速かつ正確に見つけられるであろう。そして、瞳は、複数対の眼のうちから明らかに検出され、そして、その位置が短時間で正確に決定されるであろう。
【0006】
本発明は、少なくとも2つのアイファインダモジュールを備えるカメラシステムに基づいており、各アイファインダモジュールは、少なくとも1つの対象面において観察者の眼の位置を検出して決定するための対物レンズとカメラチップを備えるカメラを含む。そして、そのカメラシステムは、表示装置の制御部に接続されている。それぞれのカメラに、多数のエレクトロウエッティング・セルを備える制御可能なマイクロプリズムアレイが割り当てられているという点で本発明により課題が解決される。対物レンズと制御可能なマイクロプリズムアレイは、カメラチップの感光領域全体に少なくとも1つの対象面のサブ領域の順次的な撮像と偏差用の制御可能な組み合わせを形成する。サブ領域は、制御可能な組み合わせの焦点深度範囲内に位置する。マイクロプリズムアレイは、多数のエレクトロウエッティングセルを含んでおり、光の伝播方向において見られる対物レンズ内か前のいずれかに配置される。
【0007】
エレクトロウエッティングセルは、どのように制御されるかということに依存して、プリズムの機能とマイクロプリズムアレイにおけるレンズの機能の両方を実現するマイクロプリズムを形成する。
【0008】
全体としてマイクロプリズムアレイは、好ましくは、適宜に制御される場合に、フレネルレンズの機能を実現する。
【0009】
制御部は、少なくとも一つの対象面と制御可能な組み合わせとの間の距離dに基づいて、カメラチップ上に撮像するためのフレネルレンズの焦点距離を制御する。ここで、少なくとも1つの対象面は、観察者の眼を備える少なくとも1つのサブ領域を含む。
【0010】
さらに、カメラシステムは、表示装置の制御部に接続され、制御可能な組み合わせを制御する制御モジュールを含む。本発明に係る実施例において、対象面におけるサブ領域の撮像用の組み合わせは、光学的に、連続的に若しくは段階的に制御される。もし、段階的に制御された場合には、カメラチップ上に撮像されるべきサブ領域の数は、それらのサブ領域において検出された観察者の眼の数、及び/又は、ある対象面から他の対象面への検出された観察者の眼の位置の変更に依存する。
【0011】
走査されるべきサブ領域は、隙間なく対象面の全体領域を覆う。カメラシステムは、好ましくは、自動立体的な3次元表現、及び/又は、ホログラフィック情報のための表示装置に統合される。
【0012】
本発明は、さらに、少なくとも2つのアイファインダモジュールを有するカメラシステムで観察者の眼の位置を検出する方法に関する。ここで、各アイファインダモジュールは、少なくとも1つの対象面での観察者の眼の位置を検出して決定するためのカメラチップと対物レンズを有するカメラを含む。ここで、カメラシステムは、表示装置の制御部に接続されている。本発明に係る方法は、対物レンズを対物レンズに配置された制御可能なマイクロプリズムアレイに組み合わせることによって、カメラチップの感光領域全体上への少なくとも1つの対象面のサブ領域の偏向とシーケンシャルな撮像によって特徴付けられる。ここで、サブ領域は、対物レンズとマイクロプリズムアレイの制御可能な組み合わせの焦点深度範囲以内に位置する。
【0013】
方法は、さらに、対象面におけるサブ領域の検出が表示装置の制御部に接続された制御モジュールによって連続的若しくは段階的に制御されるという点で特徴付けられる。さらなる方法の実施形態において、制御モジュールがプリズム機能とレンズ機能とが次々に実現されるようにマイクロプリズムアレイのマイクロプリズムを制御するという点で、検出されたサブ領域は、横方向と軸方向のオフセットを有する撮像面に撮像されて偏向される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1a】マイクロプリズムアレイを含むアイファインダモジュールを有する本発明に係るカメラシステムの第1の実施形態を示す図である。
【図1b】マイクロプリズムアレイがプリズム機能を実現するように制御される図1aの実施形態を示す図である。
【図2a】鋭い焦点領域においてレンズ機能を実現する、制御されたマイクロプリズムアレイを有するアイファインダモジュールを備える本発明に係るカメラシステムの第2の実施形態を示す図である。
【図2b】アイファインダモジュールの鋭い焦点領域が変更された場合の図2aの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、実施例と図面を用いて、以下より詳細に記述される。全ての図面は、概略図であり、上面図を示す。
【0016】
本発明に基づく眼の位置を検出するためのカメラシステムは、少なくとも2つのアイファインダモジュールと制御モジュールとを含む。アイファインダモジュールの両方とも、横方向オフセットを有する3D表現用の電子表示装置に配置される。観察者の眼は、表示装置の正面における異なった面に位置することができるので、アイファインダモジュールのカメラは中央の面で焦点が合う。この面を以下、対象面(object plane)という。マイクロプリズムアレイのレンズ機能によって、カメラを再調整する必要なく、複数の対象面間での変更が可能となる。各アイファインダモジュールは、さらに、マイクロプリズムアレイを含む。アイファインダモジュールは、制御モジュールにより制御される。制御モジュールは、表示装置の制御部に電気的に接続されている。観察者の眼の位置は、それゆえ、時分割多重処理において検出され得る。このことは、検出された顔の観察者の眼の位置情報が、表示装置の正面の所定の範囲において次々に決定され得ることを意味する。
【0017】
図1a、図1b、図2a、図2bに示される実施形態は、左眼若しくは右眼用のアイファインダモジュールの設計と機能を記述している。観察者の眼の位置が少なくとも2次元に決定され得るように、カメラシステムの第2のアイファインダモジュールは同じように設計され、他方の眼用の同じ機能を実現する。
【0018】
図1a及び図1bは、本発明に係るマイクロプリズムアレイEMPAを有するアイファインダモジュールの第1の実施例の概略を示す上面図である。図1bを参照すると、第1の実施形態において、アレイEMPAの全てのエレクトロウエッティングセル(EWセル)は、マイクロプリズムがアレイEMPAを実現するように制御される。アレイEMPAはここでは全体として、プリズムの光学機能を有している。全てのマイクロプリズムは、それらが同じ方向に光を偏向するように制御される。
【0019】
図1aは、カメラチップCと対物レンズLを有するカメラを含み、例えば、レンズエレメントの形で実現され得るアイファインダモジュールを概略的に示す図である。複数の制御可能なEWセルを有する制御可能なマイクロプリズムアレイEMPAは、光路において対物レンズLのすぐ正面に配置されている。アレイEMPAは、対物レンズLに統合されることもできる。図は、さらに、光路における、顔が内部で若しくは近傍で検出される対象面Aを示している。ここで、「近傍」とは、観察者が、対象面A’への対象面Aの撮像のための焦点深度範囲に対応する範囲内に位置されるべきであることを意味する。カメラチップCは、撮像面A’に対してできるだけ近くに配置される。対物レンズLと制御可能なマイクロプリズムアレイEMPAはともに、制御可能な組み合わせKを形成する。後者は、制御モジュールCMにより制御され、さらに、カメラチップCと表示装置の制御部(不図示)に接続されている。
【0020】
制御可能なEWセルは、異なる屈折性のインデックスにより特徴付けられる2以上の混合することができない液体を含む。ここで、界面は、2つの混合することができない液体間で生成される。セル壁に対する界面の接触角は、セル壁に配置される電極に電圧を印加することにより制御される。ここで、もし、液体の接触角と全てのセル壁が90°となるように、制御電圧が選択されると、界面は、光路に対して直角に位置する。入射光束は、それゆえ、偏向されずにマイクロプリズムアレイEMPAのEWセルを通過する。そのような状況が図1aに示されている。対象面Aのある点を対物レンズLを介して撮像面A’のある点に撮像する光路が点線で示されている。マイクロプリズムアレイEMPAは、偏向なしでビーム若しくは光束を送信するように切り換えられる。カメラチップCは、例えば、マトリクスで配置された感光性の画素を有するCCDチップであっても良い。それは、撮像面A’よりもより小さい。それゆえ、対象面Aのサブ領域DA1(図上の鎖線)のみがそれ上に撮像される。サブ領域DA1は、多少、顔よりも大きい。カメラチップCの全体の解像度は、このサブ領域DA1に対して有効である。単一の対象面Aは、いくつかのサブ領域DAnを含み、連続してカメラチップC上に撮像される。サブ領域DAnの撮像面A’は、その後、単一の面に横方向オフセットをもって撮像される。
【0021】
本実施例における再現スケールは、数メートルの大きさでの端部長A*A若しくはA*Bを有する領域が、数センチメートルの大きさでの端部長A’*A’若しくはA’*B’を有する領域の撮像面に撮像される。例えば、撮像面A’は、10cm*10cmのサイズを有しており、一方、撮像されるべき対象面A全体は、およそ3m(水平)*3m(垂直)である。再現スケールは、顔がサブ領域DA1に完全に含まれるように選択されるべきである。顔は、およそ30cm*30cmの次元を有しているので、カメラチップCは、およそ1cm*1cmのサイズを有している。この数値で示される例における再現スケールは、1:30である。
【0022】
所定の対象面Aにおいて少なくとも1つの観察者の顔を見つけるために、対象面A全体のサブ領域が既に上述されたアルゴリズムに従って連続的に走査される。もし、顔が検出されると、そのアルゴリズムはさらに、瞳を見つけるためのパターン検出を実行するであろう。
【0023】
図1aと比較して、観察者は、図1bにおける新たな位置に移動する。サブ領域DA2において検出された瞳は、ここで偏向されてカメラチップC上に撮像されなくてはならない。それゆえ、サブ領域DA2は、対物レンズLとマイクロプリズムアレイEMPAを含んだ組み合わせKによりカメラチップC上と撮像面A’に撮像される。このために、アレイEMPAのEWセルの界面は、それらが傾斜角を変更するように、制御モジュールCMにより提供される制御信号により制御される。それにより、アレイEMPAにおいてマイクロプリズムを形成する。界面の傾斜角は、例えば全てのEWセルにおいて同じであり、その結果、それらは所定の方法で入射光束を偏向する。対象面Aのサブ領域DA2(一点鎖線)は、カメラチップC上に完全に撮像され、図1aに示す状況と比べて例えば左へのオフセットがかけられて撮像面A’に撮像される。
【0024】
対象面におけるサブ領域は、連続的若しくは段階的に検出され得る。ここで、EWセルは、表示装置の制御部に接続された制御モジュールにより制御される。もし、EWセルが連続的に制御されると、同じサイズの複数のサブ領域DAnが対象面Aの領域全体で次々に連続的に検出されるように、界面の偏角が連続的に変わるであろう。これらのサブ領域DAnは、対象面A全体を隙間無く覆う。それらは、撮像面A’の異なる領域に次々に、しかし常にカメラチップC上に撮像される。カメラチップCの全体解像度は、それらのサブ領域それぞれに対して有効である。大きな対象面Aは、それゆえ、高解像で連続的に走査され撮像され得る。
【0025】
もし、連続的な制御方法が用いられた場合に、顔がサブ領域DAnそれぞれに位置するか否かに関わらず、対象面A全体が連続的に撮像される。しかしながら、段階的な制御がより好ましいと考えられる。ここで、実質的に顔を含むサブ領域DAnのみが撮像される。もし、EWセルが段階的に制御されると、対象面A全体がまず、マイクロプリズムアレイにより連続的に走査され、その結果、顔を含むサブ領域が見つけられる。眼の位置検出アルゴリズムの後続工程において、眼の正確な位置が、顔を含む検出されたサブ領域において決定される。その後、実質的に顔を含む対象面Aのサブ領域DAnのみが連続的に撮像される。それぞれの対象面は、長い間隔(例えば1秒毎)で、再度、全体的に走査されるであろう。その結果、人物が最初の位置から離れて十分に移動したか否かを、また、新たな人物が対象面に入ったか否かが見出される。
【0026】
制御モジュールCMの観察者の眼の検出位置の制御信号が、画像情報用の出力情報の提供のための入力情報を供給する。そして、それと同時に、観察者の左眼と右眼の検出位置用の視界領域の生成のための入力情報を供給する。入出力情報は、さらに、表示装置の制御部において処理されて同期される。
【0027】
マイクロプリズムアレイの大きな利点としては、極めて高速に切換えが行なわれ得ることである。このことは、極めて高速にそれぞれの対象面Anを走査することができ、極めて高速に複数の観察者の眼の位置を順次、決定することができる。カメラチップCの全体の解像度は、それぞれの対象面Anの撮像されるべきサブ領域DAnに対して有効であるので、それらのサブ領域は、付加的な手段を用いてカメラチップCの解像度を増加させる必要なしに高解像で、対物レンズLによって撮像面A’に撮像され得る。
【0028】
マイクロプリズムアレイEMPAの第2の実施形態が図2a及び2bに示される。本実施形態において、EWセルは、異なる電圧で制御され、アレイEMPAがなおマイクロプリズムを形成するように設計され、レンズの光学機能を実現する。このことは、制御可能なマイクロプリズムアレイEMAPの全てのEWセルの全体の効果がレンズの効果であることを意味する。EWセルの必ずしも全てのマイクロプリズムが同様に制御されるわけではない。個々のEWセルにおいて異なる傾斜があり、全ての界面が全体として制御可能なフレネルレンズを形成するように、界面が制御モジュールCMにより制御される。このことは、対象面Aが、アレイEMPAと対物レンズLとの制御可能な組み合わせKへの距離として置き換えられ、カメラチップCの面に焦点を合わせる方法で撮像されることが可能になる。観察者の眼の位置とカメラチップCへの方向におけるそれらの位置の変化がこのようにして検出される。
【0029】
レンズ機能を実現できるために、個々のEWセルがある焦点距離若しくは屈折力を有するフレネルレンズを形成するように制御モジュールCMにより、マイクロレンズアレイが制御される。フレネルレンズの屈折力と対物レンズLの屈折力は、逆数の値が制御可能な光学システムの全体の焦点距離fである全体の屈折力におおよそ付加される。この全体の焦点距離fで以って、距離dにおける面は一般的に、カメラチップCの面に撮像される。ここで、以下の方程式が近似適用される。
【0030】
1/f=1/d+1/c
ここで、cは、対物レンズLとカメラチップCとの間の距離である。ここで与えられる全ての距離は、制御可能な光学システムの主な面に関している。
【0031】
図2aは、レンズ機能を実現するための最初の状態を示す図である。制御可能な組み合わせKの全体の焦点距離fは、アレイEMPAへの距離d1を有する対象面A1が撮像面A1’とカメラチップC上に撮像されるように、制御モジュールCMにより制御される。フレネルレンズは、焦点距離が結果的にアレイEMPAのマイクロプリズムを制御することにより変更され得るように形成される。このことが図2bに示される。
【0032】
図2bを参照すると、アレイEMPAへの距離d3を有する対象面A3のサブ領域DA3が、変更された焦点距離によって、カメラチップC上と撮像面A3’に撮像され得る。サブ領域DA1とDA3の表面領域は、常にカメラチップCの表面全体に順次撮像されるが、新たに設定された焦点距離に依存して変化する。アイファインダモジュールの焦点深度は、このようにして、固定された焦点距離を有する対物レンズが有する焦点深度を超えて拡張され得る。
【0033】
上記2つの実施形態において記述された構成と方法の手順は、第3の実施形態において組み合わせることができる。対象面Aのサブ領域DAは、例えば、A3であり、顔を検出して撮像するためにアレイEMPAにより、この面における横方向および他の面における軸方向の両方に置き換えられ得る。その結果、表示装置の正面における動きが完了していない検出された顔の眼に追随できる。観察者のサブ領域DA3の最終的な位置は、その後、カメラチップC上に撮像される。所定の時間間隔内で、好ましくは1秒間に数回、時分割多重処理で検出と撮像が行なわれる。
【0034】
カメラシステムは、対象面に向けられた2つの同じアイファインダモジュールを有しているので、1つのアイファインダモジュールは、他と同時に、同様の手順が実行されなくてはならない。両方のアイファインダモジュールは、一度に対象面の同じサブ領域を検出して撮像しなくてはならない。制御部のコンピュータにとっては、カメラ位置のオフセットとその結果として起こる瞳の位置のオフセットとともに、瞳のX、Y、Z座標を計算することは可能である。
【0035】
本発明に係るアイファインダモジュールは、顔および対応する眼の位置を2、3次元で表示装置の正面で広範囲で異なる対象面において決定されることを可能とする。本発明によると、その面の小さなサブ領域のみがカメラシステムのカメラチップの感光表面の領域全体に撮像されるので、眼の検出は高解像度で可能である。
【0036】
本発明は、上述の観察者の眼の位置の検出のための実施形態に限定されず、当業者により本発明で網羅されるとみなされるいかなる組み合わせをも包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのアイファインダモジュールを有するカメラシステムであって、
各アイファインダモジュールは、少なくとも1つの対象面において観察者の眼の位置を検出し決定するためのカメラチップと対物レンズを有するカメラを含み、
前記カメラシステムは、表示装置の制御部に接続されており、
前記対物レンズ(L)は、前記カメラチップ(C)の感光領域全体上への少なくとも1つの対象面(A、・・・、Am)のサブ領域(DA1、・・・、DAn)の順次の撮像および偏向のための制御可能なマイクロプリズムアレイ(EMPA)と結合され、
前記サブ領域(DA1、・・・、DAn)は、対物レンズ(L)と制御可能なマイクロプリズムアレイ(EMPA)の制御可能な組み合わせ(K)の焦点深度範囲内に位置することを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記マイクロプリズムアレイ(EMPA)は、光の伝播方向において見られる前記対物レンズ(L)の前もしくは内に配置される多数のエレクトロウエッティングセルを含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記エレクトロウエッティングセルは、制御のされ方に依存して、前記マイクロプリズムアレイ(EMPA)においてレンズの機能とプリズムの機能の両方を実現するマイクロプリズムを形成することを特徴とする請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記マイクロプリズム(EMPA)は全体として、適切に制御される場合に、フレネルレンズの機能を実現することを特徴とする請求項3に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記少なくとも1つの対象面(Am)と前記制御可能な組み合わせ(K)との間での距離dに依存してカメラチップ(C)上への撮像用の前記フレネルレンズの前記焦点距離を制御し、前記少なくとも1つの対象面(Am)は、観察者の眼を有する少なくとも1つのサブ領域(DAn)を含むことを特徴とする請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項6】
制御モジュール(CM)が備えられ、前記表示装置の前記制御部に接続され、前記組み合わせ(K)を制御することを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記カメラチップ(C)上への対象面(A、・・・、Am)におけるサブ領域(DA1、・・・、DAn)の前記撮像のための前記組み合わせ(K)は光学的に、連続的若しくは段階的に制御されることを特徴とする請求項6に記載のカメラシステム。
【請求項8】
段階的な制御が実行される場合に、前記カメラチップ(C)上に撮像されるべきサブ領域(DA1、・・・、DAn)の数は、サブ領域において検出された観察者の眼の数、及び/又は、1つの対象面から他の対象面への前記検出された観察者の眼の位置の変更に依存することを特徴とする請求項7に記載のカメラシステム。
【請求項9】
前記サブ領域(DA1、・・・、DAn)は、隙間なく、対象面(Am)の前記表面領域全体を覆うことを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項10】
自動立体的、及び/又は、ホログラフ的な情報の前記3次元表現用の表示装置に統合されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項11】
少なくとも2つのアイファインダモジュールを有するカメラシステムを備えた観察者の眼の位置を検出する方法であって、
各アイファインダモジュールは、少なくとも1つの対象面において観察者の眼の位置を検出し決定するためのカメラチップと対物レンズを有するカメラを含み、
前記カメラシステムは、表示装置の制御部に接続されており、
前記カメラチップ(C)の感光領域全体上への少なくとも1つの対象面(A、・・・、Am)のサブ領域(DA1、・・・、DAn)の順次の撮像および偏向は、前記対物レンズ(L)を、前記対物レンズ(L)に割り当てられた制御可能なマイクロプリズムアレイ(EMPA)と結合されることによって実行され、
前記サブ領域(DA1、・・・、DAn)は、対物レンズ(L)とマイクロプリズムアレイ(EMPA)の制御可能な組み合わせ(K)の焦点深度範囲内に位置することを特徴とする方法。
【請求項12】
対象面(A、・・・、Am)におけるサブ領域(DA1、・・・、DAn)の前記検出は、前記表示装置の前記制御部に接続された制御モジュール(CM)により連続的もしくは段階的に制御されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
検出されたサブ領域(DA1、・・・、DAn)は、横方向および軸方向のオフセットを有する前記撮像面(A’、・・・、An’)に撮像されて偏向され、前記制御モジュール(CM)は、プリズム機能およびレンズ機能が次々に実現されるように、前記マイクロプリズムアレイ(EMPA)の前記マイクロプリズムを制御することを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【公開番号】特開2010−273323(P2010−273323A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−40900(P2010−40900)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(507230267)シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム (89)
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
【Fターム(参考)】