説明

アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置

【課題】製造における可動部の形状ばらつきを従来よりも小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができるアクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】光スキャナー1は、揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動板21と、可動板21から延出し、かつ可動板21の揺動に伴って捩り変形する連結部23、24と、連結部23、24を支持する支持部22と、可動板21の板面に固着された磁石411、412と、通電により磁石411、412に作用する磁界を発生させて可動板21を揺動させるコイル42とを有し、可動板21は、その板厚方向からの平面視にて、揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の突出部215、216と、揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の突出部213、214とを有する十字状をなし、磁石411、412は、突出部213、214に固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置に関する。
アクチュエーターとしては、捩り振動子を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1には、可動板(可動部)と、支持枠(支持部)と、可動板を支持枠に対して捩り揺動可能に支持する1対の弾性支持部(連結部)とを有し、各弾性支持部が2本の棒(梁部材)で構成された光偏向器が開示されている。
このような可動板、支持枠および1対の弾性支持部は、主面がシリコンの(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより一体形成される。
【0002】
また、特許文献1に係る光偏向器では、可動板が平面視にて八角形をなしている。このような平面視形状をなす可動板は、揺動軸から離れた位置での可動板の質量を小さくし、慣性モーメントを低減できるという利点がある。
しかし、平面視形状が八角形をなす可動板は、前述したような異方性エッチングを用いて製造した場合、結晶面との関係から、形状のばらつきが大きくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−79243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、製造における可動部の形状ばらつきを従来よりも小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができるアクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のアクチュエーターは、揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部は、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部に固着された磁石を含むことを特徴とする。
このように構成されたアクチュエーターによれば、製造における可動部の形状ばらつきを従来よりも小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。
【0006】
本発明のアクチュエーターでは、前記磁界発生部は、2つの磁石を含み、前記2つの磁石は、一方の磁石が前記1対の第2突出部のうちの一方の第2突出部に固着され、他方の磁石が前記1対の第2突出部のうちの他方の第2突出部に固着されていることが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみを抑制することができる。
【0007】
本発明のアクチュエーターでは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記各磁石の長さは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記各第2突出部の長さと等しいかそれよりも長いことが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う可動部全体の動たわみを抑制することができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記磁界発生部は、前記1対の第2突出部のうちの一方の第2突出部に固着されるとともに、前記1対の第2突出部のうちの他方の第2突出部に固着された磁石を含むことが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみを抑制することができる。
【0008】
本発明のアクチュエーターでは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記磁石の長さは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記可動部の長さに等しいことが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う可動部全体の動たわみを抑制することができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記磁石は、前記第2突出部の前記連結部に接続される縁部に固着されていることが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみを効果的に抑制することができる。
【0009】
本発明のアクチュエーターでは、前記磁石は、前記可動部の前記板面における前記第2突出部の全域に固着されていることが好ましい。
これにより、可動部の揺動に伴う各第2突出部の動たわみをより効果的に抑制することができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記各第1突出部の長さをaとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記磁石の長さをCとしたときに、C≧(A−2a)/2なる関係を満たすことが好ましい。
これにより、可動部の動たわみを効果的に抑えることができる。
【0010】
本発明のアクチュエーターでは、C≦A−2aなる関係を満たすことが好ましい。
これにより、可動部の動たわみをより効果的に抑えることができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記可動部の前記板厚方向からの平面視における外形は、主として、前記揺動軸に平行な線分と、前記揺動軸に対して垂直な線分とで構成されていることが好ましい。
これにより、製造における可動部の形状ばらつきを小さくすることができる。
【0011】
本発明のアクチュエーターでは、前記可動部、前記支持部および前記連結部は、シリコン基板を異方性エッチングすることにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、形状ばらつきを小さくして、可動部、支持部および1対の連結部を容易に形成することができる。
本発明のアクチュエーターでは、前記可動部の板面は、シリコンの(100)面で構成されていることが好ましい。
これにより、板面が(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより、形状ばらつきを小さくして、可動部、支持部および1対の連結部を容易に形成することができる。
【0012】
本発明の光スキャナーは、光反射性を有する光反射部を備え、かつ揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部は、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部に固着された磁石を含むことを特徴とする。
このように構成された光スキャナーによれば、製造における可動部の形状ばらつきを小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、光を出射する光源と、
前記光源からの光を走査する光スキャナーと、を備え、
前記光スキャナーは、
光反射性を有する光反射部を備え、かつ揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部は、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部に固着された磁石を含むことを特徴とする。
このように構成された画像形成装置によれば、製造における可動部の形状ばらつきを小さくして、可動部の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。そのため、安価に、高品位な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図である。
【図2】図1中のA−A線断面図である。
【図3】図1に示す光スキャナーの可動板を説明するための平面図である。
【図4】図1中のB−B線断面図である。
【図5】図1に示す光スキャナーの可動板および磁石を説明するための裏面図である。
【図6】磁石を省略した場合における可動板(可動部)の動たわみ形状を示す図である。
【図7】図1に示す光スキャナーの製造方法を説明する断面図である。
【図8】図1に示す光スキャナーの製造方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
【図14】本発明の第7実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
【図15】本発明の画像形成装置の実施形態(プロジェクター)を示す概略図である。
【図16】本発明の画像形成装置の実施形態(ヘッドアップディスプレイ)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のアクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、本発明のアクチュエーターを光スキャナーに適用した場合を例に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の光スキャナーの第1実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)を示す平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示す光スキャナーの可動板を説明するための平面図、図4は、図1中のB−B線断面図である。また、図5は、図1に示す光スキャナーの可動板および磁石を説明するための裏面図、図6は、磁石を省略した場合における可動板(可動部)の動たわみ形状を示す図である。さらに、図7および図8は、それぞれ、図1に示す光スキャナーの製造方法を説明する断面図である。なお、以下では、説明の便宜上、図2、4、7、8の上側を「上」、下側を「下」ともいう。
【0017】
図1に示すように、光スキャナー1は、振動系を有する基体2と、基体2を支持する支持体3と、基体2の振動系を振動させる駆動部4とを有する。
また、基体2は、光反射部211が設けられた可動板(可動部)21と、可動板21から延出する1対の連結部23、24と、1対の連結部23、24とを支持する支持部22とを有している。支持部22は連結部23、24を介して可動板21を支持しているとも言え、1対の連結部23、24は可動板21と支持部22とを連結しているとも言える。
このような光スキャナー1では、駆動部4の駆動力により、各連結部23、24を捩り変形させながら、可動板21を連結部23、24に沿った所定の揺動軸まわりに揺動させる。これにより、光反射部211で反射した光を所定の一方向に走査することができる。
【0018】
以下、光スキャナー1を構成する各部を順次詳細に説明する。
[基体]
基体2は、前述したように、光反射部211が設けられた可動板21と、可動板21を支持する支持部22と、可動板21と支持部22とを連結する1対の連結部23、24とを有する。
【0019】
このような基体2は、シリコンを主材料として構成されており、可動板21、支持部22および連結部23、24が一体的に形成されている。より具体的には、基体2は、後に詳述するように、板面がシリコンの(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより形成されたものである。このような異方性エッチングにより、シリコンの(111)面をエッチング停止層として利用して簡単かつ高精度に、可動板21、支持部22および1対の連結部23、24を形成することができる。なお、シリコン基板としては、一般的に単結晶シリコン基板が用いられる。
【0020】
また、このような基体2の上面および下面は、それぞれ、シリコンの(100)面で構成されている。また、支持部22の内周面、可動板21の側面、および、各連結部23、24の側面の軸線Xに平行な部分は、それぞれ、シリコンの(111)面で構成されている。
また、シリコンは軽量かつSUSなみの剛性を有するため、基体2がシリコンを主材料として構成されていることにより、優れた振動特性を有する基体2が得られる。また、シリコンは後述するようにエッチングにより高精度な寸法精度で加工が可能であるので、シリコン基板を用いて基体2を形成することにより、所望の形状(所望の振動特性)を有する基体2を得ることができる。
【0021】
以下、基体2についてさらに詳述する。
支持部22は、図1に示すように、枠状をなしている。より具体的には、支持部22は、四角環状をなしている。このような支持部22は、1対の連結部23、24を介して可動板21を支持する。なお、支持部22の形状としては、1対の連結部23、24を介して可動板21を支持することができれば、特に限定されず、例えば、各連結部23、24に対応して分割された形状をなしていてもよい。
このような支持部22の内側には、可動板21が設けられている。
【0022】
可動板21は、板状をなしている。また、本実施形態では、可動板21は、可動板21の板厚方向からの平面視(以下、単に「平面視」ともいう)にて、四角形(本実施形態では正方形)の4つの角部をそれぞれ欠損した形状(十字状)をなしている。これにより、可動板21の上面の光反射部211の面積(光反射領域)を十分に確保しつつ、可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。また、このような可動板21は後に詳述するようにシリコン基板を異方性エッチングすることにより、簡単かつ高精度に形成することができる。
【0023】
より具体的に説明すると、図3に示すように、可動板21は、本体部212と、この本体部212から軸線Xに平行な方向に両側へ突出する1対の突出部213、214(第2突出部)と、本体部212から軸線Xに垂直な方向(線分Yに平行な方向)に両側に突出する1対の突出部215、216(第1突出部)とで構成されている。これにより、可動板21は、板厚方向からの平面視にて十字状をなす。
【0024】
そして、可動板21の外周に沿った方向における突出部213と突出部215との間には、欠損部251が形成されている。また、可動板21の外周に沿った方向における突出部213と突出部216との間には、欠損部252が形成されている。また、可動板21の外周に沿った方向における突出部214と突出部216との間には、欠損部254が形成されている。また、可動板21の外周に沿った方向における突出部214と突出部215との間には、欠損部253が形成されている。
【0025】
言い換えると、可動板21の板厚方向からの平面視において、可動板21の外周に沿って、欠損部251、突出部213、欠損部252、突出部216、欠損部254、突出部214、欠損部253、突出部215がこの順で並んで設けられている。
また、欠損部251と欠損部252とは突出部213を介して対向している。また、欠損部252と欠損部254とは突出部216を介して対向している。また、欠損部253と欠損部254とは突出部214を介して対向している。また、欠損部251と欠損部253とは突出部215を介して対向している。
【0026】
このような突出部213〜216および欠損部251〜254は、それぞれ、可動板21の板厚方向からの平面視にて四角形をなしている。なお、図1、3では、各欠損部251〜254の平面視形状が正方形をなす状態を一例として図示している。可動板21の十字状の外形における角部には、所定の結晶面だけではなく複数の結晶面が現れるため角部は厳密には直角とならず、各欠損部251〜254は厳密には四角形ではない。しかし、本実施形態においては、上記の状態を含めて各欠損部251〜254は四角形であるとみなす。
【0027】
このような可動板21の板厚方向からの平面視における外形は、主として、可動板21の揺動軸(軸線X)に平行な線分と、可動板21の揺動軸(軸線X)に対して垂直な線分(線分Yに平行な線分)とで構成されている。これにより、後述するようにシリコン基板を異方性エッチングすることにより、可動板21を簡単かつ高精度に形成することができる。なお、可動板21の十字状の外形における角部には、所定の結晶面だけではなく複数の結晶面が現れる。従って、可動板21の板厚方向からの平面視における角部の外形は軸線Xまたは線分Yに必ずしも平行な線分とならない。すなわち、可動板21の板厚方向からの平面視における外形は、少なくとも上記の可動板21の角部を除いて、軸線Xに平行な線分と線分Yに平行な線分とで構成されている。なお、ここで、線分Yは、可動板21の板面に平行で、かつ、軸線Xに対して垂直な線分であって、可動板21の中心を通る線分である。
【0028】
また、可動板21は、平面視にて可動板21の揺動軸(軸線X)に対して対称な形状をなしている。これにより、簡単に、可動板21の重心を可動板21の揺動軸上に位置させ、可動板21の揺動を円滑なものとすることができる。
また、可動板21は、平面視にて可動板21の中心Pを通りかつ可動板21の揺動軸(軸線X)に対して垂直な線分Yに対して対称な形状をなしている。これにより、可動板の設計が容易となる。
【0029】
また、可動板21の板面は、シリコンの(100)面で構成されている。これにより、後述するように板面が(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより、可動板21、支持部22および1対の連結部23、24を簡単かつ高精度に形成することができる。
また、可動板21の側面は、主として、シリコンの(111)面で構成されている。これにより、後述するように板面が(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより、シリコンの(111)面をエッチングの停止層として利用し、可動板21、支持部22および1対の連結部23、24を簡単かつ高精度に形成することができる。なお、可動板21の板厚方向からの平面視における外形の角部においては、可動板21の側面は(111)面以外の結晶面を含んでいる。従って、可動板21の側面は、少なくとも当該角部における側面を除いて、シリコンの(111)面で構成されている。
【0030】
また、可動板21の側面には、横断面がV字状をなす溝217が形成されている。これにより、可動板21の慣性モーメントを低減することができる。また、このような溝は、板面が(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより、シリコンの(111)面をエッチングの停止層として利用し、簡単かつ高精度に形成することができる。
【0031】
また、可動板21の板厚方向からの平面視における揺動軸(軸線X)に対して垂直な方向(以下、「線分Y方向」とも言う)での長さをAとし、可動板21の揺動軸(軸線X)に平行な方向(以下、「軸線X方向」とも言う)での長さをBとし、各欠損部251〜254の線分Y方向に沿った長さをaとし、各欠損部251〜254の軸線X方向に沿った長さをbとしたとき、下記式(A)、(B)をそれぞれ満たす。
【0032】
【数1】

【0033】
上記式(A)、(B)をそれぞれ満たすことにより、可動板21の光反射部211の光反射に必要な面積を確保しつつ、可動板21の揺動時における慣性モーメントを効率的に低減することができる。
これに対し、長さa、bが前記下限値未満であると、それぞれ、可動板21の揺動時における慣性モーメントを低減する効果が小さい傾向となる。そのため、可動板21の厚さによっては、可動板21の動撓みが大きくなり、光スキャナー1の光学特性を低下させる場合がある。
【0034】
一方、長さa、bが前記上限値を超えると、可動板21の光反射部211の面積を効率的に用いることができず、光反射部211での反射光の強度が小さくなる傾向を示す。
なお、図3では、上記式(A)、(B)を満たし、a、bをそれぞれ最大とした場合の可動板21Aを鎖線で示し、a、bをそれぞれ最小とした場合の可動板21Bを二点鎖線で示している。
【0035】
以下、上記式(A)、(B)について簡単に説明する。
図3に示すように平面視にて可動板21に光Lの円形または楕円形のスポットが内接する場合、各欠損部251〜254が光Lのスポットの外側で面積が最大となるのは、a=(1−1/√2)A、b=(1−1/√2)Bである。
また、かかる場合、欠損部251〜254を形成する効果が発揮される範囲において、aが最大となりbが最小となるのは、軸線Xに対して30°傾斜した線分と光Lのスポットの外周縁との交点P2に各欠損部251〜254の角P3が位置するときである。
【0036】
また、かかる場合、欠損部251〜254を形成する効果が発揮される範囲において、aが最小となりbが最大となるのは、軸線Xに対して60°傾斜した線分と光Lのスポットの外周縁との交点P1に各欠損部251〜254の角P3が位置するときである。
さらに、光Lとして通常用いられるレーザーのスポット径の有効範囲は、一般的にピーク輝度の1/e以上の範囲とされる。したがって、その有効範囲が光反射部211内に収まっていれば、理想的な光反射を行うことができる。
【0037】
ただし、実際のレーザーは、上記有効範囲の外側であっても、若干の光が存在し、a、bが上記値に対して若干小さかったり大きかったりしても、実使用上問題なく許容できる。
具体的には、上述したように求めたa、bの許容値を−20%以上+200%以下とすることができる。
以上のようなことから、上記式(A)、(B)が得られる。
【0038】
このような可動板21の上面には、光反射性を有する光反射部211が設けられている。一方、可動板21の下面には、後述する駆動部4の永久磁石41(磁界発生部)が設けられている。なお、永久磁石41については、後述する駆動部4の説明において詳述する。
各連結部23、24は、軸線Xに沿って長い長手形状をなしており、弾性変形可能に構成されている。また、連結部23および連結部24は可動板21を介して対向している。このような連結部23、24は、それぞれ、可動板21を支持部22に対して揺動可能とするように、可動板21と支持部22とを連結している。1対の連結部23、24は、軸線Xに沿って同軸的に設けられており、この軸線Xを揺動軸として、可動板21が支持部22に対して揺動する。
【0039】
本実施形態では、図1に示すように、連結部23は、1対の梁部材231、232で構成されている。同様に、連結部24は、1対の梁部材241、242で構成されている。以下、連結部23について代表的に説明し、連結部24については、連結部23と同様であるので、その説明を省略する。
各梁部材231、232は、軸線Xに沿って設けられているとともに、軸線Xを介して対向している。また、各梁部材231、232は、軸線Xに垂直な断面における横断面形状が平行四辺形をなしている。
【0040】
より具体的には、各梁部材231、232の横断面の外形は、それぞれ、シリコンの(100)に沿った1対の辺と、シリコンの(111)面に沿った1対の辺とで構成された平行四辺形をなしている。すなわち、梁部材231は、上面2311および下面2312がそれぞれシリコンの(100)面で構成され、1対の側面2313、2314がそれぞれシリコンの(111)面で構成されている。同様に、梁部材232は、上面2321および下面2322がそれぞれシリコンの(100)面で構成され、1対の側面2323、2324がそれぞれシリコンの(111)面で構成されている。ここで、側面2313、2314、2323、2324は、それぞれ、シリコンの(111)面で構成されているので、基体2の上面または下面(すなわちシリコンの(100)面)に対する傾斜角θが54.73°となっている。このような横断面形状をなす各梁部材231、232は、板面がシリコンの(100)面で構成されたシリコン基板を異方性エッチングすることにより簡単かつ確実に形成することができる。
【0041】
このように連結部23の外表面がシリコンの(100)面および(111)面で構成されていると、後述するようにシリコンの(111)面をエッチングの停止層として利用し、簡単かつ高精度に連結部23を形成することができる。
また、梁部材231、232は、軸線Xに平行な方向からみたときに(言い換えると、図4に示す断面でみたとき)、上下に延び軸線Xを通る線分に対して対称な形状をなしている。
【0042】
また、図4に示す断面において、連結部23全体の幅(梁部材231の側面2313と梁部材232の側面2323との面間距離)は、下側から上側に向けて拡がっている。また、図4に示す断面において、梁部材231と梁部材232との間の距離(隙間の幅)は、下側から上側に向けて拡がっている。
すなわち、1対の梁部材231、232間の距離は、可動板21の揺動軸に平行な方向からみたときに、可動板21の一方の面側から他方の面側に向けて(本実施形態では下側から上側に向けて)漸増している。
【0043】
[支持体]
支持体3は、前述した基体2を支持する機能を有する。また、支持体3は、後述する駆動部4のコイル42を支持する機能をも有する。
この支持体3は、上方に開放する凹部31を有する箱状をなしている。言い換えると、支持体3は、板状をなす板状部32と、その板状部32の上面の外周部に沿って設けられた枠状をなす枠状部33とで構成されている。
【0044】
このような支持体3の上面のうち凹部31の外側の部分、すなわち、枠状部33の上面には、前述した基体2の支持部22の下面が接合されている。これにより、基体2の可動板21および1対の連結部23、24と支持体3との間には、可動板21の揺動を許容する空間が形成されている。
このような支持体3の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、石英ガラス、パイレックスガラス(「パイレックス」は登録商標)、テンパックスガラス等のガラス材料や、単結晶シリコン、ポリシリコン等のシリコン材料、LTCC(低温焼結セラミックス)等が挙げられる。
また、基体2と支持体3との接合方法としては、支持体3の構成材料、形状等に応じて適宜決められるものであり、特に限定されないが、接着剤を用いた方法、陽極接合法、直接接合法等が挙げられる。
【0045】
[駆動部]
駆動部4は、永久磁石41(磁界発生部)およびコイル42を有し、前述した基体2の可動板21を電磁駆動方式(より具体的にはムービングマグネット型の電磁駆動方式)により揺動駆動させるものである。電磁駆動方式は、大きな駆動力を発生させることができる。そのため、電磁駆動方式を採用する駆動部4によれば、低駆動電圧化を図りつつ、可動板21の振れ角を大きくすることができる。
【0046】
永久磁石41は、可動板21の下面に例えば接着剤を介して固定(固着)されている。
特に、永久磁石41は、前述した可動板21の各突出部213、214(第2突出部)に固着されている。この永久磁石41は、可動板21を補強する機能をも有する。これにより、可動板21の動たわみを抑えることができる。
より具体的に説明すると、図5に示すように、永久磁石41は、互いに分離して設けられた2つの磁石411、412を含む。そして、一方の磁石411は、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着され、他方の磁石412は、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。このように永久磁石41が各突出部213、214に固着されていることにより、可動板21の揺動に伴う各突出部213、214の動たわみを抑制することができる。その結果、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。なお、図5では、説明の便宜上、磁石411、412に斜線を付して示している。
【0047】
また、磁石411、412は、それぞれ、長手形状をなしており、平面視にて軸線Xに対して直交する方向に延在するように設けられている。このような磁石411、412は、それぞれ、長手方向に磁化しており、長手方向の一方側がS極、他方側がN極となっている。このような磁石411、412の両端部は、軸線Xから離れたところに位置する。そのため、コイル42が発生する磁界の作用により、可動板21により大きなトルクを与えることができる。
【0048】
ここで、図6に基づいて、永久磁石41を省略した場合の可動板21の動たわみについて簡単に説明する。なお、図6では、可動板21の中心を原点とし、軸線Xに平行な座標軸をx軸とし、線分Yに平行な座標軸をy軸とし、x軸およびy軸の双方に直交する座標軸をz軸としたとき、可動板21の第1象限に属する部位が+z側に変位する方向に可動板21が軸線Xを揺動軸として揺動する場合の可動板21の第1象限に属する部位の動たわみ形状を理想面であるxy平面からのずれとして示している。
【0049】
永久磁石41を省略した場合、図6に示すように、可動板21が軸線Xを揺動軸として揺動するとき、可動板21の中央部側の部分(特に、可動板21の軸線Xから遠位の端部)が理想面に対して進んで動く。これに対し、可動板21の連結部23、24側の部分が理想面に対して遅れて動く。
すなわち、可動板21の連結部23、24側の部分は、理想面に対して、可動板21の中央部側の部分とは反対側に撓む。
【0050】
このような知見のもと、可動板21の各突出部213、214(第2突出部)に永久磁石41が固着されていることにより、突出部213、214の剛性が高められ、その結果、前述したような可動板21の連結部23、24側の部分の動たわみを抑制することができる。また、可動板21の各突出部213、214(第2突出部)に永久磁石41が固着されていることにより、可動板21の中央部側の部分の動たわみも抑制することができる。
【0051】
これに対し、仮に可動板21の各突出部213、214に永久磁石41が固着されていないと、可動板21の本体部212に永久磁石41が固着されていたとしても、前述したような突出部213、214の動たわみが発生するので、可動板21の光反射部211が理想面に対して大きくずれてしまう。
また、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各磁石411、412の長さ(図5に示すD1)は、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各突出部213、214の長さ(図5に示すb)と同等である。これにより、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。
【0052】
特に、磁石411は、突出部213の連結部23に接続される縁部に固着され、同様に、磁石412は、突出部214の連結部24に接続される縁部に固着されている。これにより、突出部213の連結部23に接続される縁部の剛性が効果的に高められ、可動板21の揺動に伴う各突出部213、214の動たわみを効果的に抑制することができる。
また、磁石411は、可動板21の板面(上面)における各突出部213の全域に固着され、同様に、磁石412は、可動板21の板面(上面)における各突出部214の全域に固着されている。これにより、可動板21の揺動に伴う各突出部213、214の動たわみをより効果的に抑制することができる。
【0053】
また、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して垂直な方向の可動板21の長さをAとし、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して垂直な方向の各突出部215、216の長さをaとし、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して垂直な方向の磁石411、412の長さをCとしたときに、C≧(A−2a)/2なる関係を満たす。これにより、可動板21の動たわみを効果的に抑えることができる。
【0054】
これに対し、C<(A−2a)/2なる関係となる場合、永久磁石41が可動板21を補強する効果を得ることができない。また、C<(A−2a)/2なる関係となる場合、永久磁石41の必要な磁力を確保しようとすると、永久磁石41の厚さが厚くなりすぎて、可動板21および永久磁石41からなる質量の重心が軸線Xから大きくずれ、可動板21の振動特性の悪化を招いてしまう。
【0055】
また、C≦A−2aなる関係を満たす。すなわち、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して垂直な方向の磁石411、412の長さは、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して垂直な方向の本体部212(図5にて二点鎖線で示すFの領域)の長さと同等かそれよりも短い。これにより、可動板21の軸線Xに対して遠位の端部の質量を低減し、可動板21の動たわみをより効果的に抑えることができる。特に、本実施形態では、C=A−2aなる関係を満たす。そのため、各突出部213、214の動たわみを効果的に抑制することができる。
【0056】
また、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の可動板21の長さをBとし、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各突出部213、214の長さをbとし、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の永久磁石41の長さ(磁石411の磁石412とは反対側の端と、磁石412の磁石411とは反対側の端との間の長さ)をDとしたときに、D=B−2bなる関係を満たす。
【0057】
ここで、磁石411、412は、可動板21の板厚方向からの平面視において、軸線Xに平行な1対の辺と、軸線Xに直交する1対の辺とを含む四角形をなしている。これにより、前述したような平面視形状が十字状をなす可動板21を永久磁石41により効果的に補強することができる。なお、永久磁石41の平面視形状は、図示のものに限定されず、例えば、円形、楕円形をなしていてもよいし、三角形、五角形等の他の多角形をなしていてもよい。
このような磁石411、412としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石などの、硬磁性体を着磁してなる磁石を好適に用いることができる。
【0058】
コイル42は、支持体3の凹部31の底面311上に、可動板21と対向するように設けられている。これにより、コイル42は、可動板21に対して離間して固定配置され、コイル42が発生する磁界を永久磁石41に効果的に作用させることができる。このコイル42は、図示しない電源に電気的に接続されており、電源から周期的に変化する電圧(交番電圧、間欠的な直流等)が印加されるようになっている。そして、コイル42は、通電により永久磁石41に作用する磁界を発生させて可動板21を揺動させる。
このような駆動部4によって、次のように可動板21が揺動する。
【0059】
まず、図示しない電源によりコイル42に例えば交番電圧を印加する。これにより、コイル42の上側(可動板21側)がN極、下側がS極となる第1の磁界と、コイル42の上側がS極、下側がN極となる第2の磁界とが、交互にかつ周期的に発生する。
第1の磁界では、永久磁石41のS極側がコイル42に引きつけられ、反対にN極側がコイル42から遠ざかるように、可動板21が軸線Xを中心に図2にて反時計回りに揺動する(第1の状態)。反対に、第2の磁界では、永久磁石41のN極側がコイル42に引きつけられ、反対にS極側がコイル42から遠ざかるように、可動板21が軸線Xを中心に図2にて時計回りに揺動する(第2の状態)。このような第1の状態と第2の状態とが交互に繰り返され、可動板21が軸線Xを中心に揺動する。
【0060】
(アクチュエーターの製造方法)
以上のような光スキャナー1は、例えば、次のようにして製造することができる。以下、本発明のアクチュエーターの製造方法の一例として、図7および図8に基づいて、光スキャナー1の製造方法を説明する。なお、図7および図8は、それぞれ、図2に対応する断面で示されている。
光スキャナー1の製造方法は、基体2を形成する工程を有する。
【0061】
以下、光スキャナー1の製造方法を詳細に説明する。
−A1−
まず、図7(a)に示すように、シリコン基板102を用意する。
このシリコン基板102は、後述するエッチングを経ることにより基体2となるものである。
具体的には、シリコン基板102は、その主面がシリコンの(100)面で構成されたものである。
【0062】
−A2−
次に、図7(b)に示すように、シリコン基板102の上面上に窒化膜71を形成するとともに、シリコン基板102の下面上に窒化膜72を形成する。
この窒化膜71、72は、それぞれ、例えば、SiNで構成されている。
また、窒化膜71、72の形成方法は、ぞれぞれ、特に限定されないが、例えば、プラズマCVD等の気相成膜法を用いることができる。
また、窒化膜71、72の厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上0.2μm以下程度である。
なお、窒化膜71、72に代えて、SiOで構成された酸化膜を例えば熱酸化法により形成してもよい。
【0063】
−A3−
次に、図7(c)に示すように、窒化膜71上にレジスト膜81を形成する。
このレジスト膜81は、ポジ型またはネガ型のレジスト材料で構成されている。
−A4−
次に、レジスト膜81を露光および現像することにより、レジスト膜81の可動板21、支持部22および1対の連結部23、24の形成領域に対応した部分が残存するように、レジスト膜81の一部を除去する。これにより、図7(d)に示すように、開口811を有するレジスト膜81Aを得る。なお、図7(d)では図示しないが、レジスト膜81Aには、1対の梁部材231、232の上端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
【0064】
−A5−
次に、レジスト膜81Aをマスクとして用いて、窒化膜71の一部をエッチングにより除去する。これにより、図7(e)に示すように、開口711を有する窒化膜71Aを得る。なお、図7(e)では図示しないが、窒化膜71Aには、1対の梁部材231、232の上端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
上記エッチング(開口711の形成方法)としては、特に限定されないが、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)、CFを用いたドライエッチング等が挙げられる。
【0065】
−A6−
次に、レジスト膜81Aを除去する。これにより、図7(f)に示すように、シリコン基板102は、その上面が窒化膜71Aで覆われ、下面が窒化膜72で覆われた状態となる。
レジスト膜81Aの除去方法としては、特に限定されないが、例えば、硫酸による洗浄、Oアッシング等が挙げられる。
【0066】
−A7−
次に、図8(a)に示すように、窒化膜72上にレジスト膜82を形成する。
このレジスト膜82は、ポジ型またはネガ型のレジスト材料で構成されている。
−A8−
次に、レジスト膜82を露光および現像することにより、レジスト膜82の可動板21、支持部22および1対の連結部23、24の形成領域に対応した部分が残存するように、レジスト膜82の一部を除去する。これにより、図8(b)に示すように、開口821を有するレジスト膜82Aを得る。なお、図8(b)では図示しないが、レジスト膜82Aには、1対の梁部材231、232の下端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
【0067】
−A9−
次に、レジスト膜82Aをマスクとして用いて、窒化膜72の一部をエッチングにより除去する。これにより、図8(c)に示すように、開口721を有する窒化膜72Aを得る。なお、図8(c)では図示しないが、窒化膜72Aには、1対の梁部材231、232の下端同士の間の隙間に対応して形成された開口も形成されている。
上記エッチング(開口721の形成方法)としては、特に限定されないが、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)、CFを用いたドライエッチング等が挙げられる。
【0068】
−A10−
次に、レジスト膜82Aを除去する。これにより、図8(d)に示すように、シリコン基板102は、その上面が窒化膜71Aで覆われ、下面が窒化膜72Aで覆われた状態となる。
レジスト膜82Aの除去方法としては、特に限定されないが、例えば、硫酸による洗浄、Oアッシング等が挙げられる。
【0069】
−A11−
次に、窒化膜71A、72Aをマスクとして用いて、シリコン基板102を異方性エッチングする。これにより、図8(e)に示すように、基体2を得る。すなわち、本工程の異方性エッチングでは、第1のマスクである窒化膜72Aと第2のマスクである窒化膜71Aとを介してシリコン基板102をその両面側から異方性エッチングすることにより、可動板21、支持部22および1対の連結部23、24を形成する。
上記異方性エッチング(基体2の形成方法)は、特に限定されないが、例えば、KOH水溶液等を用いたウェットエッチングにより行うことができる。
【0070】
−A12−
次に、窒化膜71A、72Aを除去する。これにより、図8(f)に示すように、基体2の上面および下面が露出した状態となる。
窒化膜71A、72Aの除去方法としては、特に限定されないが、例えば、リアクティブイオンエッチング(RIE)、CFを用いたドライエッチング、熱りん酸によるウェットプロセス等が挙げられる。
また、必要に応じて、基体2の角部を丸める処理を行う。
【0071】
かかる処理(丸め処理)は、特に限定されないが、例えば、フッ酸と硝酸と酢酸(または水)とによる等方性エッチング、熱処理(減圧下、1000〜1200℃程度、Hを導入したAr雰囲気下)等が挙げられる。
次に、図8(g)に示すように、可動板21の下面に、接着剤を介して永久磁石41(磁石411、412)を固定する。なお、可動板21の下面に、接着剤を介して硬磁性体を固定し、その後、この硬磁性体を着磁することにより、永久磁石41としてもよい。
【0072】
また、可動板21の上面に、金属膜を形成し、光反射部211を形成する。この金属膜の形成方法としては、特に限定されず、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、金属箔の接合等が挙げられる。
また、図示しないが、支持体3上にコイル42を設け、支持体3と基体2とを接合する。
以上の工程により、光スキャナー1が得られる。
【0073】
以上説明したような第1実施形態に係る光スキャナー1(アクチュエーター)によれば、可動板21が平面視にて十字状をなしているので、可動板21の光反射領域を確保しながら、可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減することができる。
また、このような平面視形状をなす可動板21は、シリコン基板を異方性エッチングすることにより簡単かつ高精度に形成することができる。
また、可動板21の突出部213、214が永久磁石41により補強されるため、この点でも、可動板21の動たわみを抑えることができる。
【0074】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第2実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0075】
第2実施形態の光スキャナーは、磁石の形状および大きさが異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1Aは、図9に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41A(磁界発生部)を有する。
【0076】
永久磁石41Aは、互いに分離して設けられた2つの磁石411A、412Aを含む。そして、一方の磁石411Aは、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着され、他方の磁石412Aは、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。
本実施形態では、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各磁石411A、412Aの長さ(図9に示すD1)は、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各突出部213、214の長さ(図9に示すb)よりも長い。これにより、可動板21の連結部23、24側の部分の動たわみだけでなく、可動板21の中央部側の部分の動たわみを効果的に抑制することができる。その結果、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。
以上説明したような第2実施形態の光スキャナー1Aによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
【0077】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第3実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0078】
第3実施形態の光スキャナーは、磁石の形状および大きさが異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1Bは、図10に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41B(磁界発生部)を有する。
【0079】
永久磁石41Bは、1つの磁石で構成され、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着されるとともに、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。これにより、可動板21の揺動に伴う各突出部213、214の動たわみを抑制することができる。
特に、永久磁石41Bは、可動板21の本体部212にも固着されている。これにより、可動板21の連結部23、24側の部分の動たわみだけでなく、可動板21の中央部側の部分の動たわみを効果的に抑制することができる。その結果、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。
【0080】
また、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の永久磁石41B(磁界発生部)の長さ(図10に示すD)は、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の可動板21の長さ(図10に示すB)に等しい。これにより、可動板21の揺動に伴う可動板21全体の動たわみを抑制することができる。
本実施形態では、永久磁石41Bは、可動板21の板厚方向からの平面視にて、軸線Xに平行な1対の辺と、軸線Xに直交する1対の辺とを含む四角形をなしている。そして、永久磁石41Bは、各突出部215、216には固着されずに、可動板21の板面における本体部212および各突出部213、214の全域に固着されている。
以上説明したような第3実施形態の光スキャナー1Bによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
【0081】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第4実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0082】
第4実施形態の光スキャナーは、磁石の形状および大きさが異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1Cは、図11に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41C(磁界発生部)を有する。
【0083】
永久磁石41Cは、互いに分離して設けられた2つの磁石411C、412Cを含む。そして、一方の磁石411Cは、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着され、他方の磁石412Cは、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。
本実施形態では、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各磁石411C、412Cの長さ(図11に示すD1)は、可動板21の板厚方向からの平面視における軸線Xに対して平行な方向の各突出部213、214の長さ(図11に示すb)より短いが、磁石411Cは、突出部213の連結部23に接続される縁部に固着され、同様に、磁石412Cは、突出部214の連結部24に接続される縁部に固着されている。
以上説明したような第4実施形態の光スキャナー1Cによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
【0084】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第5実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0085】
第5実施形態の光スキャナーは、磁石の形状および大きさが異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1Dは、図12に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41D(磁界発生部)を有する。
【0086】
永久磁石41Dは、互いに分離して設けられた2つの磁石411D、412Dを含む。そして、一方の磁石411Dは、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着され、他方の磁石412Dは、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。
本実施形態では、磁石411Dは、突出部213の連結部23と接続する縁部を除いて可動板21に固着され、同様に、磁石411Dは、突出部213の連結部23と接続する縁部を除いて可動板21に固着されている。
以上説明したような第5実施形態の光スキャナー1Dによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
【0087】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
図13は、本発明の第6実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第6実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0088】
第6実施形態の光スキャナーは、磁石の形状および大きさが異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1Eは、図13に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41E(磁界発生部)を有する。
【0089】
永久磁石41Eは、1つの磁石で構成され、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着されるとともに、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。
本実施形態では、永久磁石41Eは、その中央部に厚さ方向に貫通する貫通孔413が形成されている。これにより、永久磁石41E全体の質量を抑えつつ、永久磁石41Eの剛性を高めることができる。
以上説明したような第6実施形態の光スキャナー1Eによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
【0090】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
図14は、本発明の第7実施形態に係る光スキャナー(アクチュエーター)の可動板および磁石を説明するための裏面図である。
以下、第7実施形態の光スキャナーについて、前述した実施形態の光スキャナーとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0091】
第7実施形態の光スキャナーは、磁石の形状および大きさが異なる以外は、第1実施形態の光スキャナー1とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の光スキャナー1Fは、図14に示すように、可動板21の板面に固着された永久磁石41F(磁界発生部)を有する。
【0092】
永久磁石41Fは、1つの磁石で構成され、1対の突出部213、214のうちの一方の突出部213に固着されるとともに、1対の突出部213、214のうちの他方の突出部214に固着されている。
本実施形態では、永久磁石41Fは、可動板21の板厚方向からの平面視にて、軸線Xに平行な方向の途中に、軸線Xに対して垂直な方向の幅が他の部分(軸線Xに平行な方向での端部)よりも狭い部分414を有する。これにより、永久磁石41E全体の質量および揺動時の可動板21の慣性モーメントを抑えつつ、永久磁石41Eの剛性を高めることができる。
【0093】
以上説明したような第7実施形態の光スキャナー1Fによっても、光反射領域を確保しながら可動板21の揺動時の慣性モーメントを低減するとともに、可動板21の寸法精度を簡単に優れたものとすることができる。
以上説明したような光スキャナーは、例えば、プロジェクター、レーザープリンター、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。その結果、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
【0094】
(画像形成装置)
ここで、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
(プロジェクター)
図15は、本発明の画像形成装置の実施形態(プロジェクター)を示す概略図である。なお、以下では、説明の便宜上、スクリーンSCの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。
【0095】
図15に示すプロジェクター9は、レーザーなどの光を照出する光源装置91と、クロスダイクロイックプリズム92と、1対の本発明の光スキャナー93、94(例えば、光スキャナー1と同様の構成の光スキャナー)と、固定ミラー95とを有している。
光源装置91は、赤色光を照出する赤色光源装置911と、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913とを備えている。
【0096】
クロスダイクロイックプリズム92は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
このようなプロジェクター9は、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから、図示しないホストコンピューターからの画像情報に基づいて照出された光をクロスダイクロイックプリズム92で合成し、この合成された光が、光スキャナー93、94によって走査され、さらに固定ミラー95によって反射され、スクリーンSC上でカラー画像を形成するように構成されている。
【0097】
ここで、光スキャナー93、94の光走査について具体的に説明する。
まず、クロスダイクロイックプリズム92で合成された光は、光スキャナー93によって横方向に走査される(主走査)。そして、この横方向に走査された光は、光スキャナー94によってさらに縦方向に走査される(副走査)。これにより、2次元カラー画像をスクリーンSC上に形成することができる。このような光スキャナー93、94として本発明の光スキャナーを用いることで、極めて優れた描画特性を発揮することができる。
【0098】
ただし、プロジェクター9としては、光スキャナーにより光を走査し、対象物に画像を形成するように構成されていれば、これに限定されず、例えば、固定ミラー95を省略してもよい。
このように構成されたプロジェクター9によれば、前述した光スキャナー1と同様の構成の光スキャナー93、94を備えるので、安価に、高品位な画像を得ることができる。
【0099】
(ヘッドアップディスプレイ)
図16は、本発明の画像形成装置の実施形態(ヘッドアップディスプレイ)を示す概略図である。なお、以下では、前述したプロジェクター9と同様の構成については、その説明を省略する。
図16に示すヘッドアップディスプレイ9Aは、自動車、飛行機等の移動体において、各種情報をフロントウインドウSC1に投影する装置である。
【0100】
このヘッドアップディスプレイ9Aは、赤色光源装置911、青色光源装置912および緑色光源装置913と、クロスダイクロイックプリズム92と、1対の本発明の光スキャナー93、94と、固定ミラー95Aとを有している。
ここで、固定ミラー95Aは、凹面ミラーであり、光スキャナー94からの光をフロントウインドウSC1に投影する。すると、移動体の操縦者は、フロントウインドウSC1に対して前方に位置する仮想面SC2に虚像として表示像を視認することができる。
【0101】
以上、本発明のアクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のアクチュエーター、光スキャナーおよび画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0102】
また、前述した実施形態では、可動板が平面視において揺動軸およびそれに垂直な線分の少なくとも一方に対して対称な形状をなす場合を説明したが、これに限定されず、可動板が平面視において揺動軸およびそれに垂直な線分のいずれに対しても非対称な形状をなしていてもよい。
また、前述した実施形態では、本発明のアクチュエーターを光スキャナーに適用した場合を例に説明したが、本発明のアクチュエーターは、これに限定されず、例えば、光スイッチ、光アッテネータ等の他の光学デバイスに適用することも可能である。
【0103】
また、前述した実施形態では、可動部と支持部とを連結する各連結部が1対の梁部材で構成されている場合を例に説明したが、これに限定されず、各連結部は、1つの梁部材で構成されていてもよいし、3つ以上の梁部材で構成されていてもよい。
例えば、各連結部が1つの梁部材で構成される場合であっても、その梁部材の横断面が台形状をなすものとすると、前述した実施形態と同様、(100)シリコン基板をエッチングすることにより、高精度に連結部を形成することができる。
【0104】
また、前述した実施形態では各連結部が可動部の揺動軸に平行に延在する長手形状をなす場合を説明したが、これに限定されず、例えば、各連結部はその途中の少なくとも一部または1箇所が屈曲または湾曲した形状をなしていてもよい。
また、前述した実施形態では可動部の板厚方向からの平面視における形状は、可動部の各第2突出部に磁石が固着していれば、前述した実施形態に限定されず、例えば、円形、楕円形、五角形以上の多角形であってもよい。また、磁石は、可動部の各第2突出部に磁石が固着していれば、磁石の可動部側の面の一部が可動部に固着していなくてもよい。
また、前述した実施形態では可動部に固着された磁石の数が1つまたは2つである場合を説明したが、可動部に固着された磁石の数は、これに限定されず、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1‥‥光スキャナー 1A‥‥光スキャナー 1B‥‥光スキャナー 1C‥‥光スキャナー 1D‥‥光スキャナー 1E‥‥光スキャナー 1F‥‥光スキャナー 2‥‥基体 3‥‥支持体 4‥‥駆動部 9‥‥プロジェクター 9A‥‥ヘッドアップディスプレイ 21‥‥可動板 21A‥‥可動板 21B‥‥可動板 22‥‥支持部 23‥‥連結部 24‥‥連結部 31‥‥凹部 32‥‥板状部 33‥‥枠状部 41‥‥永久磁石 41A‥‥永久磁石 41B‥‥永久磁石 41C‥‥永久磁石 41D‥‥永久磁石 41E‥‥永久磁石 41F‥‥永久磁石 42‥‥コイル 43‥‥コイル 71‥‥窒化膜 71A‥‥窒化膜 72‥‥窒化膜 72A‥‥窒化膜 81‥‥レジスト膜 81A‥‥レジスト膜 82‥‥レジスト膜 82A‥‥レジスト膜 91‥‥光源装置 92‥‥クロスダイクロイックプリズム 93‥‥光スキャナー 94‥‥光スキャナー 95‥‥固定ミラー 95A‥‥固定ミラー 102‥‥シリコン基板 102A‥‥シリコン基板 211‥‥光反射部 212‥‥本体部 213‥‥突出部 214‥‥突出部 215‥‥突出部 216‥‥突出部 217‥‥溝 231‥‥梁部材 232‥‥梁部材 241‥‥梁部材 242‥‥梁部材 251‥‥欠損部 252‥‥欠損部 253‥‥欠損部 254‥‥欠損部 311‥‥底面 411‥‥磁石 411A‥‥磁石 411C‥‥磁石 411D‥‥磁石 412‥‥磁石 412A‥‥磁石 412C‥‥磁石 412D‥‥磁石 413‥‥貫通孔 414‥‥部分 711‥‥開口 721‥‥開口 811‥‥開口 821‥‥開口 911‥‥赤色光源装置 912‥‥青色光源装置 913‥‥緑色光源装置 2311‥‥上面 2312‥‥下面 2313‥‥側面 2314‥‥側面 2321‥‥上面 2322‥‥下面 2323‥‥側面 2324‥‥側面 L‥‥光 P‥‥中心 P1‥‥交点 P2‥‥交点 P3‥‥角 SC‥‥スクリーン SC1‥‥フロントウインドウ SC2‥‥仮想面 X‥‥軸線 Y‥‥線分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部は、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部に固着された磁石を含むことを特徴とするアクチュエーター。
【請求項2】
前記磁界発生部は、2つの磁石を含み、前記2つの磁石は、一方の磁石が前記1対の第2突出部のうちの一方の第2突出部に固着され、他方の磁石が前記1対の第2突出部のうちの他方の第2突出部に固着されている請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項3】
前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記各磁石の長さは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記各第2突出部の長さと等しいかそれよりも長い請求項2に記載のアクチュエーター。
【請求項4】
前記磁界発生部は、前記1対の第2突出部のうちの一方の第2突出部に固着されるとともに、前記1対の第2突出部のうちの他方の第2突出部に固着された磁石を含む請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項5】
前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記磁石の長さは、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して平行な方向の前記可動部の長さに等しい請求項4に記載のアクチュエーター。
【請求項6】
前記磁石は、前記第2突出部の前記連結部に接続される縁部に固着されている請求項1ないし5のいずれかに記載のアクチュエーター。
【請求項7】
前記磁石は、前記可動部の前記板面における前記第2突出部の全域に固着されている請求項6に記載のアクチュエーター。
【請求項8】
前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記可動部の長さをAとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記各第1突出部の長さをaとし、前記板厚方向からの平面視における前記揺動軸に対して垂直な方向の前記磁石の長さをCとしたときに、C≧(A−2a)/2なる関係を満たす請求項1ないし7のいずれかに記載のアクチュエーター。
【請求項9】
C≦A−2aなる関係を満たす請求項8に記載のアクチュエーター。
【請求項10】
前記可動部の前記板厚方向からの平面視における外形は、主として、前記揺動軸に平行な線分と、前記揺動軸に対して垂直な線分とで構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載のアクチュエーター。
【請求項11】
前記可動部、前記支持部および前記連結部は、シリコン基板を異方性エッチングすることにより形成されたものである請求項1ないし10のいずれかに記載のアクチュエーター。
【請求項12】
前記可動部の板面は、シリコンの(100)面で構成されている請求項11に記載のアクチュエーター。
【請求項13】
光反射性を有する光反射部を備え、かつ揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部は、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部に固着された磁石を含むことを特徴とする光スキャナー。
【請求項14】
光を出射する光源と、
前記光源からの光を走査する光スキャナーと、を備え、
前記光スキャナーは、
光反射性を有する光反射部を備え、かつ揺動軸まわりに揺動可能な板状の可動部と、
前記可動部から延出し、かつ前記可動部の揺動に伴って捩り変形する連結部と、
前記連結部を支持する支持部と、
前記可動部の板面に固着された磁石を含む磁界発生部と、
前記磁石に作用する磁界を発生させて前記可動部を揺動させるコイルとを有し、
前記可動部は、前記可動部の板厚方向からの平面視にて、前記揺動軸に対して垂直な方向で両側へ突出する1対の第1突出部と、前記揺動軸に対して平行な方向で両側に突出する1対の第2突出部とを有する十字状をなし、
前記磁界発生部は、前記第2突出部に固着された磁石を含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−46529(P2013−46529A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184070(P2011−184070)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】