説明

アセトアミド立体異性体

式で表される化合物は、可逆性閉塞性気道疾患などと関連する気管支収縮の治療において気管支拡張薬として有用な、水安定性持続型β選択的アドレナリン受容体アゴニストである。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、米国仮出願第60/966,438号(2007年8月28日出願)の優先権を主張する。前記出願の全開示は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、新規なアセトアミド立体異性体と、アセトアミド立体異性体を製造する方法と、アセトアミド立体異性体を含む医薬組成物と、療法における、特に可逆性閉塞性気道疾患(喘息、嚢胞性線維症及び慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎及び気腫を含む)が含まれるがこれに限定されるものではない)と関連する気管支収縮の治療におけるアセトアミド立体異性体の使用とに関するものである。
【発明の背景】
【0003】
可逆性閉塞性気道疾患と関連する気管支収縮にかかっている患者は、気管支平滑筋をリラックスさせるために、一般に気管支拡張薬を用いて治療される。
【0004】
今日一般に使われている気管支拡張薬は、2つに分類される。すなわち、β−選択的アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、アルブテロール(サルブタモール)、サルメテロール、及びフォルモテロール)、並びに、ムスカリン受容体アンタゴニスト(例えば、イプラトロピウム及びチオトロピウム)である。
【0005】
β−選択的アドレナリン受容体アゴニストは、副作用を引き起こすことがあり、これらの副作用は、一部分はβ−アドレナリン受容体の活性化によることがある。従って、β−アドレナリン受容体に対するアゴニストの選択性は、非常に重要である。なぜなら、それにより、与えることができる用量が制限され、その結果、気管支拡張の大きさ及び投与の頻度が影響されるからである。
【0006】
作用時間が長いことが、薬を飲むのに使う時間を最小限に抑えるためだけでなく、不都合な時間(例えば、仕事中、授業中又は夜間)に、薬を飲まなければならないのを避けるためにも、患者にとって重要である。つい最近のβ−選択的アドレナリン受容体アゴニストのいくつか(特に、サルメテロール及びフォルモテロール)は、通常、約12時間という長い作用時間を有する。フォルモテロールは、作用発現が速いという特別な利点も有する。しかしながら、フォルモテロールは、極めて良く効くために、このことが、エーロゾル投与により投与後の均一な薬物送達をもたらすような方法(すなわち、用量含量均一性)で、定量吸入器を用いる投与に対しては特に、製剤化を非常に困難にしている。更に、フォルモテロールは、水溶液中で不安定であり、このことは、その製造後の貯蔵寿命の大部分の間、ネブライザー(噴霧器)を用いる投与用液剤を冷蔵保存しなければならないということを意味する。
【0007】
フォルモテロールは、α−アミノメチルベンジルアルコール誘導体のグループの中の一つである。これについては、1970年代の初期に、特許出願が提出されており、例えば、GB1415256がある。恐らくは、この化合物の製剤化に伴う困難のために、商品化するのに長い時間がかかったのである。化合物は、2つのキラル中心を含有し、従って、4つの立体異性体形態で存在し、単離することができる。この化合物は、最初、活性(R,R)−及び不活性(S,S)−異性体のラセミ混合物として、乾燥粉末製剤で商品化され、次に、最近では、活性(R,R)−異性体として、ネブライザー溶液で商品化された。フォルモテロールの(S,R)異性体が活性であることは、例えば、米国特許第6,303,145号明細書からも知られている。しかしながら、(R,R)−異性体のように、この化合物は、周囲温度では、水溶液中で不安定であり、従ってネブライザー溶液は、冷蔵保存する必要があるだろう。
【発明の要約】
【0008】
驚くべきことには、(S,R)−フォルモテロール中のメトキシ基をヒドロキシ基で置き換え、且つホルミル基の水素原子をメチル基で置き換えることにより、特に魅力的な組み合わせの特性を有する異性体が得られることが、今や見出された。
【0009】
従って、或る観点によれば、本発明は、式(I):
【化1】

で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0010】
式(I)で表される化合物は、化学名N−[2−ヒドロキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]フェニル]アセトアミドで表すこともできる。
【0011】
式(I)で表される異性体は、特に有利な特性を所有することが見出されている。特に、それは、β−アドレナリン受容体に対しては良好だがあまり高くない親和性、β−アドレナリン受容体を超えてβ−アドレナリン受容体に対する高い選択性、長い作用時間、及び周囲温度の水溶液中での良好な安定度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】アセチルコリンの影響に関して、N−[2−ヒドロキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]フェニル]アセトアミドの気道抵抗に対する効果を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明により提供される化合物が異性体であることは理解されるであろう。この異性体は、鏡像異性体的に純粋な形態で、又はそれの1以上の他の異性体との混合物の状態で存在し、単離することができる。本発明は、GB1,415,256に記載されるラセミ混合物以外の、任意の異性体混合物中の本異性体を提供するものである。特定の実施態様においては、異なる効力を示す可能性があり結果的に混合物の効力に著しい変形形態をもたらす(R,R)−鏡像異性体を、本異性体は実質的に含まない。本異性体は、(R,S)−異性体との1:1ジアステレオマー混合物として存在することができるが、しかし最も好ましくは鏡像異性体的に純粋な(すなわち、実質的にその他のすべての異性体を含まない)ものである。例えば、本異性体は、存在するすべての3−アセチルアミノ−4−ヒドロキシ−α−フェニルエチル)アミノメチルベンジルアルコールのうちの、重量で少なくとも50%を含むことができ、好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%を含むことができる。
【0014】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容可能な塩」は、無機酸及び有機酸を含む薬学的に許容可能な比較的非毒性の酸から調製される塩を指す。適切な酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、クエン酸、リン酸二水素(dihydrogenphosphoric acid)、エテンスルホン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イソ酪酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、炭酸一水素(monohydrogencarbonic acid)、リン酸一水素(monohydrogenphosphoric acid)、硫酸一水素(monohydrogensulfuric acid)、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、フタル酸、プロピオン酸、スベリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸及びo−トルエンスルホン酸)などが挙げられる(例えば、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,66:1−19(1977);Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts,Wiley VCH,(2002)を参照のこと)。更に挙げられるのは、酸性の性格を所有するその他の比較的非毒性の化合物の塩、例えば、アミノ酸(例えば、アルギニン)及びその他の化合物(例えば、アスピリン、イブプロフェン、及びサッカリン)の塩である。酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、所望の酸そのままか又は適切な不活性溶媒中の所望の酸の十分な量と接触させることにより得ることができる。固体としては、塩は、結晶形変態又は無定形変態で存在することができる。
【0015】
本発明の化合物は、重水素化形態で、すなわち、例えばアセチル基にある1以上の水素原子が、重水素で置き換えられている形態で製造することもできる。
【0016】
更に、式(I)で表される化合物のアセチル基を、フルオロアセチル基(すなわちアセチル基の水素原子のうちの1、2又は3個が、フッ素原子で置き換えられている)で置き換えることができることも考えられる。そのような化合物は、アセチル化合物の製造のための本明細書に記載する方法に似た方法により製造することができる。
【0017】
アセトアミド異性体及び薬学的に許容可能なその塩は、一般式(II):
【化2】

(式中、Pは、水素原子又はヒドロキシル保護基を表す)
で表される化合物を、一般式(III):
【化3】

(式中、Pは、水素原子又はヒドロキシル保護基を表し、Pは、ベンジル型アミン保護基を表す)
で表される化合物と反応させて、一般式(IV):
【化4】

で表される化合物又はその塩を得て、次に、任意の保護基P、P及びPを除去して、必要な場合には、薬学的に許容可能な酸付加塩を形成させることを含む方法により製造することができる。
【0018】
保護基は、例えば、Green et al.,“Protective Groups in Organic Chemistry,”(Wiley,2nded.1991)に記載されている、任意の適切な保護基であることができる。ヒドロキシル保護基の例としては、アラルキル基(例えば、ベンジル基)、及びトリアルキルシリル基(例えば、t−ブチル−ジメチルシリル基(TBDMS))が挙げられる。ベンジル型アミン保護基の例は、場合により1個以上の、例えば、1、2又は3個の置換基(例えば、ハロ基、(1〜4C)アルキル基及び(1〜4C)アルコキシ基から選択される置換基)によりベンゼン環上に場合により置換されているベンジル基;又は、例えば、置換されていないベンジル基である。
【0019】
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との間の反応は、便利には、2つの化合物を一緒に融解することにより、例えば、110〜130°Cの範囲で加熱することにより行なわれる。
【0020】
、P及びPにより表される任意の保護基は、従来の手順を用いて除去することができる。例えば、ベンジル基は、パラジウム炭素の存在下に接触水素化することにより除去することができ、トリアルキルシリル基は、テトラブチルアンモニウムフルオリドで処理することにより除去することができる。
【0021】
式(II)で表される化合物は、式(V):
【化5】

(式中、Zは、臭素原子などの脱離原子又は脱離基を表す)
で表される化合物を、塩基、例えば、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸カリウム)と反応させることにより製造することができる。
【0022】
式(V)で表される化合物は、式(VI):
【化6】

で表される化合物を、キラル補助基(例えば、(1S,2R)−1−アミノ−2−インダノール)の存在下に、例えば、ボランを用いて立体選択的に還元し、次に、ニトロ基をアミノ基に還元して、得られたアミノ基を、アセチル化することにより製造することができる。
【0023】
一般式(III)で表される化合物は、一般式(VII):
【化7】

で表される化合物を、三臭化ホウ素と反応させて、式(VIII):
【化8】

で表される化合物を得ることにより製造することができる。
次いでヒドロキシル基を、ハロゲン化トリアルキルシリル(例えば、t−ブチルジメチルシリルクロリド)との反応により、保護することができる。
【0024】
前記方法の最終生成物中に存在するすべての3−アセチルアミノ−4−ヒドロキシ−α−フェニルエチル)アミノメチルベンジルアルコールのうちで、式(I)で表される化合物が占める重量パーセンテージが、用いる出発物質の鏡像異性体純度及び用いる任意の鏡像異性体精製工程(例えば、キラル液体クロマトグラフィー)に依存するものであることは理解されるであろう。
【0025】
一般式(IV)で表される中間体は、新規であると考えられ、本発明の更なる観点として提供される。
【0026】
従って、別の観点によれば、本発明は、本明細書に記載する式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩を、薬学的に許容可能な担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明による医薬組成物は、経口投与、粘膜投与(例えば、鼻、舌下、膣、頬又は直腸)、非経口投与又は経皮投与の任意の都合のよい経路による患者への投与に適合させることができる。前記組成物は、例えば、溶液、懸濁液、粉末、錠剤、エーロゾル製剤、ロゼンジ、坐剤、エマルジョン、硬若しくは軟ゼラチンカプセル又はシロップ剤の形態であることができる。式(I)で表される化合物は、担体に溶解されるか、担体により希釈されるか、あるいは、担体により支持されることができる。従って、担体は、式(I)で表される化合物のための支持体、例えばカプセル、小袋(sachet)、紙又はその他の製薬容器であることができる。
【0028】
或る実施態様においては、医薬組成物は、ネブライザーを用いる投与に適合した水溶液である。水性製剤は、等張性であることができ、安定のために最適pHで緩衝化することができる。噴霧療法のための水性製剤は、遊離塩基若しくは不溶性塩若しくはシクロデキストリン付加物のナノ粒子懸濁液又は微粉化懸濁液であることもできる。
【0029】
別の実施態様においては、医薬組成物は、定量吸入器を用いる投与に適合したエーロゾル製剤であり、前記エーロゾル製剤が、適当な噴射剤、複数の噴射剤の組み合わせ、又は噴射剤(単数又は複数)と許容可能な共溶媒若しくは他の可溶化剤との組み合わせを有する溶液中に、結晶形態のアセトアミド異性体及び噴射剤を含むものである。
【0030】
噴射剤は、エーロゾル製剤に使用される任意の適切な噴射剤、例えば、ヒドロフルオロアルカン(HFA;例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134)若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227))、又は、複数の噴射剤の組み合わせであることができる。HFA134が好ましい。噴射剤は、エーロゾル製剤の少なくとも90重量%を占めることができ、エーロゾル形成を促進するために、更に、とりわけ不活性ガスを含むこともできる。
【0031】
エーロゾル製剤は、更に界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、懸濁液にアセトアミド異性体を安定化して分散するのに役立ち、定量吸入器中の弁潤滑剤としても役立ち得る。それは、エーロゾル製剤に使用される任意の適切な界面活性剤であることができる。エーロゾル製剤に使用される界面活性剤の例は、米国特許第5,225,183号明細書に記載されている。前記明細書は、参照することにより本明細書に組み込まれる。好ましい界面活性剤は、オレイン酸である。界面活性剤は、それが存在する場合、一般に、1:100〜1:10(界面活性剤:アセトアミド異性体)の量で、好ましくは約1:20の量で、存在することができる。
【0032】
エーロゾル製剤は、更に共溶媒を含むことができる。エーロゾル製剤中の共溶媒の機能は、噴射剤への溶解度が乏しい可能性がある界面活性剤の溶解を促進することである。それは、エーロゾル製剤に使用される任意の適切な担体であることができる。グリセリン又はエタノールのような共溶媒を使用することができる。好ましい共溶媒は、エタノールであり、特に脱水エタノールである。エタノール含量は、便利には、重量でエーロゾル製剤の最大30%まで、例えば2〜6%であることができる。
【0033】
定量吸入器は、通常、エーロゾル製剤を含有するキャニスター(入れ物)、絞り弁、弁軸、及び弁軸を受け入れるアクチュエータを備える。使用にあたり、患者は、キャニスターをアクチュエータ中に押し下げて、吸入する。それにより、所定の製剤用量が投与され、患者の肺中に取り込まれる。
【0034】
従って、更なる観点によれば、本発明は、本明細書に記載するエーロゾル製剤を含有するキャニスター、絞り弁、及びアクチュエータを備える定量吸入器を提供する。
【0035】
好ましくは、キャニスター内側は、例えば保護ポリマーでコーティングされるか、又はそうでない場合には、製剤とキャニスターとの間の化学的・物理的相互作用を最小化するように処理される。吸入器は、好ましくは、0.2〜0.60mmの範囲の直径を有する開口部を有する。
【0036】
更に別の実施態様においては、医薬組成物は、吸入法又はガス注入法(inhalation or insufflation)に適した乾燥粉末形態にある。組成物は、アセトアミド異性体結晶単独(例えば、空気動力学的中央粒子径(mass median aerodynamic diameter)1〜10ミクロン、好ましくは2〜7ミクロンを有する)を含むか、あるいは、適切な薬学的に許容可能な担体(単数)又は担体(複数)と一緒にブレンド、共沈殿、共結晶化若しくは噴霧乾燥したアセトアミド異性体を含むことができる。適切な薬学的に許容可能な担体としては、無制限に、1以上の天然の若しくは合成の炭水化物(例えば単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖)、ポリオール、アミノ酸、及びタンパク質、の溶媒和物、及び/又はそれらの薬学的に許容可能なエステル、アセタール、若しくは塩の形態にあるもの(そのような誘導体が存在する場合)が挙げられる。担体は、好ましくはラクトース、より好ましくはラクトース一水和物である。乾燥粉末組成物は、吸入器若しくは注入器(inhaler or insufflator)によってそこから投与することができる単位投薬形態(例えば、カプセル若しくはカートリッジ(例えばゼラチンの)、又はブリスターパック中の単位投薬形態)で存在することができる。乾燥粉末組成物は、吸入器若しくは注入器によって計量される複数回投薬形態(multi dose form)、又は連続投与デバイス内で所定の個別用量に予め計量される複数回投薬形態で存在することができる。
【0037】
便利には、乾燥粉末製剤は、複数回用量(multidose)乾燥粉末吸入器を用いて投与する。
【0038】
従って、本発明は、複数回用量乾燥粉末吸入器も提供するものであって、前記アセトアミド異性体の乾燥粉末エーロゾル製剤を含有する乾燥粉末リザーバー、及び計量室を備える、前記吸入器を提供する。
【0039】
本発明による式(I)で表される化合物は、ステロイド類(例えば、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、フルニソリド、モメタゾン、ブデソニド又はフルチカゾン)、及び、ムスカリン受容体アンタゴニスト(例えば、イプラトロピウム、チオトロピウム又はグリコピロレート)から選択される1以上の他の活性成分とともに共投与することができる。従って、或る実施態様においては、本発明による医薬組成物は、更にステロイド及び/又はムスカリン受容体アンタゴニスト及び/又は新規なメカニズムを有するコントローラー薬又は気管支拡張薬を含むことができる。
【0040】
別の実施態様においては、本発明による医薬組成物は、更に抗炎症薬(例えば、腫瘍壊死因子α(TNFα)の阻害薬、ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害薬、並びに炎症誘発性インターロイキン(例えば、IL4及びIL13)に対する抗体)を含むことができる。
【0041】
別の実施態様においては、本発明による医薬組成物は、更に粘液溶解薬(例えば、クロモグリケート、アセチルシステイン、アルギニン、又は2−メルカプトエタンスルホネート)を含むことができる。
【0042】
別の観点によれば、本発明は、気管支収縮性疾患(bronchoconstrictive disease)を治療する方法、すなわち式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩の有効量を治療の必要な患者に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0043】
気管支収縮性疾患は、例えば、慢性閉塞性肺疾患(例えば、気腫又は気管支炎)、嚢胞性線維症、又は喘息であることができる。
【0044】
患者は、ヒト、あるいは、ヒト以外の哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、メウシ、ヒツジ又はブタ)であることができ、好ましくは、患者は、ヒトである。
【0045】
投与する化合物の量は、種、患者の体重及び年齢、及び治療される病態の重症度など多くの因子に依存するであろう。例えば、ヒトに投与する用量は、アセトアミド異性体75〜5,000μg(遊離塩基として計算する)を含有することができる。前記用量は、例えば、1日につき1回又は2回投与することができる。
【0046】
別の観点によれば、本発明は、治療に使用するための式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0047】
更に別の観点によれば、本発明は、慢性閉塞性肺疾患の治療のための医薬の製造における、式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩の使用を提供する。
【0048】
なお、更なる観点によれば、本発明は、慢性閉塞性肺疾患の治療のための、又は気管支拡張薬として使用するための、式(I)で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩及び薬学的に許容可能な担体を含有する医薬組成物を提供する。
【0049】
前述の発明は、説明の目的のためにいくつか詳細に記載してきたが、本明細書に記載する発明の範囲から逸脱することなく変更及び修正がなされ得ることは、当業者には容易に明らかであろう。
【実施例】
【0050】
以下の実施例は、本発明を説明する。
【0051】
THFはテトラヒドロフランを表し、EtOAcは酢酸エチル表し、EtOはジエチルエーテルを表す。
【0052】
実施例1
《N−[2−ヒドロキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−フェニル]アセトアミド》
【0053】
《工程A) (1S)−1−(3−ニトロ−4−ベンジルオキシフェニル)−2−ブロモエタン−1−オール》
【化9】

THF(160mL)中の(1S,2R)−1−アミノ−2−インダノール(400mg,2.68mmol)の冷(5℃)溶液を、THF(20mL)中のボラン−ジエチルアニリン錯体(7.0g,43mmol)の冷(0℃)溶液に滴下した。全部添加後、得られた溶液を、(0℃)で30分間撹拌し、次いで2−ブロモ−4’−ベンジルオキシ−3’−ニトロアセトフェノン(20.0g,57.1mmol)を、30分間にわたり3回に分けて添加した。得られた溶液を、<5℃で1時間撹拌し、アセトン(17mL)の滴下によりクエンチし、次いで一晩放置して周囲温度まで温めた。反応混合物を真空中で濃縮して残渣を得、これをトルエン(100mL)に溶解して、連続的に10%HSO(2x45mL)、HO(2x45mL)及び飽和ブライン(1x40mL)で洗浄した。有機層を、MgSO上で乾燥し、清澄化し、次いで〜40mLの容積まで真空中で濃縮した。ヘプタン(45mL)をゆっくり添加して、濃厚スラリーを得た。固体をフィルター上に集めて、ヘプタン(2x5mL)で洗浄した。この物質を温トルエン(〜50mL)に溶解して、溶液を清澄化し、次いでヘプタン(50mL)で希釈した。得られた混合物を30分間撹拌して、固体を集め、ヘプタン(2x5mL)で洗浄し、次いで真空中で恒量まで乾燥して、18.9g(94.0%)の表題化合物を得た。
【0054】
《工程B) (1S)−1−(3−アミノ−4−ベンジルオキシフェニル)−2−ブロモエタン−1−オール》
【化10】

トルエン(40mL)及びTHF(40mL)中の工程A)の生成物(18.7g,53.1mmol)の溶液を、PtO(370mg)を含有するパルシェーカーボトルに添加した。この混合物を、H(50psi,344.74kpa)雰囲気下に振盪して、反応を完結させた(18時間)。触媒を濾過により除去して、濾液を濃縮して、油状物を得た。カラムクロマトグラフィー(1kgシリカゲル,CHCl/MeOH,19:1で充填し溶離する)により、11.9g(69.6%)の表題化合物を得た。
【0055】
《工程C) (1S)−1−(3−アセトアミド−4−ベンジルオキシフェニル)−2−ブロモエタン−1−オール》
【化11】

【0056】
ピリジン(100mL)中の工程Bの生成物(10.0g,31.0mmol)の溶液を、周囲温度で10分間撹拌した。無水酢酸(3.16g,30.9mmol)を添加して、反応混合物を周囲温度で30分間撹拌し、次いで40℃で4.5時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、次いで真空中で濃縮して、残渣を得た。この物質をCHCl(120mL)と10%HCl水溶液(50mL)に分配した。水層をCHCl(50mL)で抽出した。合わせた有機層を連続的にHO(1x100mL)及びブライン(1x100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、清澄化し、次いで真空中で濃縮して、濃厚スラリーを得た。ヘキサン(60mL)で希釈後、固体をフィルター上に集め、ヘキサン(2x20mL)で洗浄し、次いで真空中で恒量まで乾燥して、9.4g(83%)の物質を白色固体として得た。
【0057】
《工程D) (1S)−1−(3−アセトアミド−4−ベンジルオキシフェニル)−エポキシエタン》
【化12】

【0058】
MeOH(15mL)及びTHF(15mL)中の工程Cの生成物(2.5g,6.9mmol)の溶液を、KCO(1.3g,9.4mmol)で処理して、得られた混合物を周囲温度で2.5時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、残渣を得、これをHO(50mL)とEtOAc(50mL)に分配した。水層を、EtOAc(50mL)で抽出した。合わせた有機抽出液をHO(50mL,ひとつまみのKCOで処理して塩基性にする)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、清澄化し、次いで真空中で濃縮して、残渣を得、これを真空中で恒量まで乾燥して、1.84g(94%)を得た。この物質を、更に精製することなく次の反応工程に使用した。
【0059】
《工程E) [(1R)−N−ベンジル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−アミン》
【化13】

【0060】
CHCl(25mL)中の[(1R)−N−ベンジル−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]アミン(5.30g,20.8mmol)の溶液に、BBr/CHCl(25.0mL,1.0M,25.0mmol)溶液を0.5時間にわたりゆっくり添加した。添加後、混合物を周囲温度で22時間撹拌した。水(125mL)を添加し、続いて2.5M NaOH水溶液(15mL)をpH6まで添加した。混合物をEtOAc(4x200mL)で抽出し、有機層を乾燥(NaSO)して、濃縮した。残渣(3.9g)をCHCl(120mL)とともに摩砕し、次いで濃縮乾固して、表題化合物(3.8g,76%)を得た。
【0061】
《工程F) [(1R)−N−ベンジル−2−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−1−メチルエチル]アミン》
【化14】

【0062】
DMF(30.0mL)中の工程E)の生成物(3.20g,13.3mmol)、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(3.59g,23.8mmol)、及びイミダゾール(2.86g,42.0mmol)の溶液を、周囲温度で18時間撹拌した。混合物を濃縮乾固して、残渣をEtOAc(200mL)とNaHCO飽和水溶液(200mL)に分配した。水層を分離して、再びEtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、油状物を得た。油状物をシリカゲル(100g,1:1 EtOAc:ヘキサンで溶離する)によりクロマトグラフを行ない、表題化合物(4.0g,85%)を黄褐色油状物として得た。
【0063】
《工程G) N−[2−ベンジルオキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[N’−ベンジル−[(1R)−2−(4−t−ブチルジメチルシリルオキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−フェニル]アセトアミド》
【化15】

【0064】
工程D)の生成物(1.75g,6.18mmol)及び工程F)の生成物(2.20g,6.19mmol)の混合物を、ゆっくり110℃まで加熱して、完全な溶液を得た。反応溶液を120℃で20時間加熱した。TLC(EtOAc/ヘキサン,1:1)で、推定5%の出発物質の残存が示された。加熱を120℃で5時間継続し、次いで溶液を周囲温度まで冷却して、ヘキサン/EtOAc(2:1)で充填し溶離するシリカゲル(200g)カラム上でクロマトグラフを行なった。精製された物質を含有する画分を合わせて、清澄化し、次いで真空中で濃縮して、表題化合物を黄色油状物、3.4g(86%)として得た。
【0065】
《工程H) N−[2−ベンジルオキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[N’−ベンジル−[(1R)−2−(4−t−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]フェニル]アセトアミド》
【化16】

【0066】
5〜10℃のTHF(22mL)中の工程G)の生成物(2.20g,3.44mmol)の撹拌した溶液に、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド/THF(1.0M,4.50mL,4.50mmol)溶液を添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌してから(注記2)、TLC(1:1 EtOAc/ヘキサン)で、の完全消費が示された。反応混合物をEtOAc(300mL)で希釈して、HO(4x200mL)で脱イオン化し、次いで乾燥(MgSO)し、濾過し、濃縮して、粗製(2.3g)を得た。粗製物質を、1:1 EtOAc/ヘキサンで充填し溶離するフラッシュシリカゲル(82g,2.7x35cm)カラムにより精製した。精製された生成物を含有する画分を合わせて、濃縮して、無色粘性油状物を得た。油状物をEtO(3x25mL)と共蒸発させて、表題化合物(919mg,51%)を白色固体として得た。
【0067】
《工程I) N−[2−ヒドロキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]フェニル]アセトアミド》
【化17】

【0068】
工程H)の生成物(900mg,1.72mmol)、パラジウム炭素(500mgの10wt%Pd)及びEtOH(45mL)の混合物を、H(50psi,344.74kpa)雰囲気下に22時間振盪した。混合物を清澄化し、次いで真空中で濃縮して、油状残渣を得た。残渣を、EtOAc(100mL)及びEtOAc/CHCl(1:1,100mL)と共蒸発させて、白色固体(536mg)を得た。固体のTLC(4:1 CHCl/MeOH)は、いくらかの上位Rf不純物を示した。固体をCHCl(20mL)/MeOH(1mL)に溶解し、次いで低温度で〜10mLまで濃縮した。ヘキサン(〜20mL)を添加して、混合物を再び低温度で濃縮して、懸濁液を得た。EtO(5mL)、EtOAc(5mL)及びヘキサン(5mL)の混合物を添加して、混合物を濃縮して、スラリーを得た。このスラリーをヘキサン(25mL)で希釈して、懸濁液を室温で0.5時間激しく撹拌した。固体を集めて、ヘキサン(25mL)で洗浄して、表題化合物(318mg,54%)を得た;m.p.97−100℃,前軟化しながら融解(補正なし)。MS m/z:[M+H+]345.1。1HNMRスペクトルは帰属した構造と一致した。
【0069】
β及びβ放射性リガンド結合アッセイ
アドレナリンβ及びβ受容体に対する試験化合物の親和性を、それぞれヒト組換えβ及びβ受容体(CHO細胞に発現する)において、[125I]−シアノピドロール又は[H]−CGP−12177の特異的結合を置換する化合物の能力を評価することにより調べる。IC50は、放射性リガンドの特異的結合を50%阻害する濃度として定義する。Kは、IC50及び放射性リガンドの既知のKから計算される(Cheng and Prusoffの式)。
【0070】
この試験において、実施例1の化合物は、β受容体に対しては20μMの濃度においても特異的結合を30%しか阻害せず、>20μMのKを与え、β受容体に対しては2.21μMのKを与えることが分かった。β/β結合比は、>9であることが分かった。
【0071】
比較として、アルフォルモテロール、及びフォルモテロールの(S,R)異性体に対して見出された値は、それぞれ、0.155μM(β)、0.004μM(β)及び41(β/β)、並びに2.50μM(β)、0.075μM(β)及び33(β/β)であった。
【0072】
固有活性アセスメント(β
試験化合物の固有活性は、CHO細胞に発現するヒト組換えβ受容体からのcAMP産生を増加させる、その能力を評価することにより算定する。データは、プロカテロール誘発性cAMP増加に比較して、応答%として表す。
【0073】
実施例1の化合物は、71%の固有活性を有することが分かった。
【0074】
比較として、アルフォルモテロール及び(S,R)−フォルモテロールは、それぞれ98%及び91%の固有活性を有することが分かった。
【0075】
β及びβアドレナリン作動活性(機能)
【0076】
アドレナリンβ受容体における機能作動性は、Dunkin Hartleyモルモットから単離した右心房の陽性周期変動効果により証明される。50%最大効果を与える濃度がEC50である。
【0077】
アドレナリンβ受容体における機能作動性は、Dunkin Hartleyモルモットから単離した気管の自発性緊張の弛緩により証明される。50%最大効果を与える濃度がEC50である。
【0078】
これらの試験において、30μMの濃度でも心拍数の32%増加しか見られなかったので、β機能アッセイについては実施例1の化合物に対するEC50は測定できなかった。しかしながら、実施例1の化合物は、β受容体については120nMのEC50を有することが分かった。β/β機能比は、>250であることが分かった。
【0079】
比較として、アルフォルモテロールについて見出された値は、3nM(β)、0.041nM(β)及び75であった。
【0080】
緩衝水溶液中の安定度
溶液の調製:各試験化合物について、次の溶液を調製する。
・溶液Aは、〜30mgの試験化合物から、150mLの0.005Mクエン酸緩衝液(pH5.0)(〜0.2mg/mL)中に調製する。
・溶液Bは、次のように調製する:溶液Aの約30mL分割量を、分離した容器に移して、溶液のpHを1N HCl(〜0.2mL)でpH3.0に調整する。
・溶液Cは、次のように調製する:溶液Aの約30mL分割量を、分離した容器に移して、溶液のpHを1N NaOH(〜0.2mL)でpH〜8.0に調整する。
注記:pH調整に使用する1N HCl又は1N NaOHの容積は無視できるので、溶液A、B及びC中の試験化合物濃度は同じであった。
【0081】
保存計画
・上の溶液を調製したらすぐに、各溶液の分割量を11個のバイアル中に移した。そのうち、9個のバイアルを−20℃で保存して、各1個をそれぞれ30℃及び40℃で保存する。
・下のリストに記載する間隔毎に、2個のバイアルを−20℃の貯蔵庫から取り出して、それぞれ30℃及び40℃で保存する。
・対応する保存条件下(30℃又は40℃)の週を下の表に示す。
《表》

【0082】
12週目に、−20℃で保存した最後のバイアルを取り出して、室温まで加温した。これが0日目の溶液である。
【0083】
試料の分析:12週目に、すべての溶液を、pH5における0日目の溶液を標準溶液として用いるHPLC方法によりアッセイする。試験化合物を、UV検出器を備えるHPLCによりアッセイする(方法条件については表1を参照のこと)。
【表1】

【表2】

【0084】
結論:pH3又は5においては、実施例1の化合物は、30℃で保存するとき、少なくとも12週間は非常に安定であることが分かった。
【0085】
【表3】

表3の化合物
【化18】

表3において、Ki値は、Rex16細胞(β1)又はCHO細胞(β2)に発現する組換えヒト輸送体を用いて確かめた。β2におけるアルフォルモテロールに対するKiは、3.76nMであった。Ki値が与えられない化合物については、検討した最高濃度における特異的結合の阻害パーセンテージを括弧に入れる。β機能活性EC50は、Dunkin Hartleyモルモットから単離した心房における50nMイソプロテレノールの応答に比較して、結果的に心房拍動数において50%増加をもたらす濃度である。括弧内の値は、30μMの濃度における心房拍動数の増加%である。化合物A(35%)、及び化合物B(31%)は、30μM濃度においてβ拮抗作用の兆候を示した。β機能活性EC50は、Dunkin Hartleyモルモットから単離した気管における15nMイソプロテレノールにより誘発される応答に比較して、結果的に自発性緊張の50%弛緩をもたらす濃度である。固有活性は、ヒトβ2アドレナリン受容体を発現するCHO細胞におけるプロカテロールの応答に比較して、cAMPの増加を表す。表3においては、α1=α1アドレナリン受容体、SERT=5−HT輸送体、及びNT=試験せず、を表す。二次スクリーニングの結果においては、化合物を、72アッセイのパネルにおいて、特異的結合又は活性(CYP450s;シトクロムP450類)を阻害する、その能力について評価した。表示した対象は、>50%の特異的結合又は活性が測定されたものだけである。

図1は、アセチルコリン(Ach)誘発性の影響に関して、式1:
【化19】

で表される化合物、すなわち、N−[2−ヒドロキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]フェニル]アセトアミドの気道抵抗に対する効果を示す。図1において、N−[2−ヒドロキシ−5−[(1S)−1−ヒドロキシ−2−[[(1R)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]フェニル]アセトアミドが、気管支収縮に対して有効であることを理解することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で表される化合物又は薬学的に許容可能なその塩。
【請求項2】
N−[2−ヒドロキシ−5−[1−ヒドロキシ−2−[[(2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]アミノ]エチル]−フェニル]アセトアミドの異性体混合物であって、少なくとも90重量%の異性体:
【化2】

を含む、前記異性体混合物。
【請求項3】
式:
【化3】

で表される化合物を製造する方法であって、前記方法が、一般式(II):
【化4】

(式中、Pは、水素原子又はヒドロキシル保護基を表す)
で表される化合物を、一般式(III):
【化5】

(式中、Pは、水素原子又はヒドロキシル保護基を表し、Pは、ベンジル型アミン保護基を表す)
で表される化合物と反応させて、一般式(IV):
【化6】

で表される化合物又はその塩を得て、次に、任意の保護基P、P及びPを除去し、必要な場合には、薬学的に許容可能な酸付加塩を形成させることを含む、前記方法。
【請求項4】
一般式(IV):
【化7】

(式中、P及びPはそれぞれ、水素原子又はヒドロキシル保護基を表し、Pは、水素原子又はベンジル型アミン保護基を表すが、但し、P、P及びPのうち少なくとも1つは保護基を表すものとする)
で表される化合物又はその塩。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の化合物及び薬学的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項6】
ステロイドを更に含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ステロイドが、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、フルニソリド、モメタゾン、ブデソニド又はフルチカゾンである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ムスカリン受容体アンタゴニストを更に含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ムスカリン受容体アンタゴニストが、イプラトロピウム又はチオトロピウムである、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
抗コリン作用を更に含む、請求項5〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
抗コリン作用がグリコピロレートである、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
粘液溶解を更に含む、請求項5〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
粘液溶解が、クロモグリケート、アセチルシステイン、アルギニン、又は2−メルカプトエタンスルホネートである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
抗炎症薬を更に含む、請求項5〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
抗炎症薬が、腫瘍壊死因子α(TNFα)又はジペプチジルペプチダーゼIVの阻害薬、及び/又は、炎症誘発性インターロイキン(例えば、IL4及びIL13)に対する抗体である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物の有効量を、治療の必要な患者に投与することを含む、可逆性閉塞性気道疾患と関連する気管支収縮を治療する方法。


【図1】
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【公表番号】特表2010−538010(P2010−538010A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523136(P2010−523136)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/074653
【国際公開番号】WO2009/032764
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(500114922)セプラコール インク. (14)
【氏名又は名称原語表記】Sepracor Inc.
【Fターム(参考)】