説明

アニオン性エチルメタクリレートコポリマー及びその使用

本発明は、エチルメタクリレート、少なくとも1種類のα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物及び少なくとも1種類のモノエチレン性不飽和カルボン酸を重合して含んでいるコポリマーに関する。本発明は、さらにまた、少なくとも1種類のそのようなタイプのコポリマーを含んでいる化粧品及び医薬品、並びに、それらのコポリマーの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチルメタクリレート、少なくとも1種類のα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物及び少なくとも1種類のモノエチレン性不飽和カルボン酸を含んでいるコポリマー、少なくとも1種類のそのようなコポリマーを含んでいる化粧品組成物及び医薬組成物、並びに、それらのコポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
膜形成特性を有するポリマーは、医薬分野及び化粧品分野において、様々な用途に用いられてきた。
【0003】
調剤学においては、それらは、例えば、固形剤形のためのコーティング又は結合剤としての役目を果たす。
【0004】
化粧品中では、膜形成特性を有するポリマーは、とりわけ、毛髪のセット、毛髪の構造の改善及び毛髪の整形に使用される。それらは、例えば、乾いているときと濡れているときの櫛のとおり易さ(combability)、手触り感、輝き及び外観を改善するためのコンディショナーとして働き、また、毛髪に対して帯電防止特性を付与する。セット用樹脂として使用するための膜形成性ポリマーに課せられる条件は、例えば、強い保持力(高大気湿度においてさえ)、高い曲げ剛性及び弾性、毛髪から洗い落とすことができること、製剤中の適合性、並びに、それで処理した毛髪の感触が心地良いことなどである。種々の特性の複合的なプロフィールを有する製品を提供することは、多くの場合、困難である。従って、本質的に滑らかで、不粘着性の膜を形成可能なヘア化粧品組成物用の膜形成性ポリマー、特に、優れたセット作用を有し、同時に、毛髪に対して良好な感覚的特性(例えば、弾性、心地良い感触及びボリュームなど)を付与するヘア化粧品組成物用の膜形成性ポリマーが求められている。
【0005】
ヘアスプレー製剤では、良好な噴射剤ガス適合性、低VOC製剤(VOC=揮発性有機化合物)中での使用に対する適合性、優れた噴霧性、水中又は水性/アルコール性溶媒混合物中における良好な溶解性、及び、良好に洗い落とされ得る能力も、求められる。
【0006】
アルカリ性条件下では水溶性である(メタ)アクリレートに基づくコポリマーは、しばしば、化粧品の分野においてヘアセット用組成物として使用される。
【0007】
EP-A 331994には、(a)40〜60重量%のC3-C12-アルキルメタクリレートと(b)20〜40重量%のC4-C10-N-アルキル置換アクリルアミドと(c)10〜25重量%の(メタ)アクリル酸のコポリマーを含んでいるヘアセット用調製物が記載されている。(a)イソブチルメタクリレートと(b)N-t-オクチルアクリルアミドと(c)アクリル酸のコポリマーを使用するのが好ましい。
【0008】
EP-A 491629には、(a)4〜6重量%のアクリル酸、(b)42〜52重量%のN-ビニルピロリドン、(c)15〜25重量%のN-t-ブチルアクリルアミド及び(d)20〜26重量%のエチルメタクリレートからなる中和されたテトラポリマーを含んでいるエーロゾル調製物が記載されている。
【0009】
DE 2817369には、モノマー単位のうちの少なくとも3がメタクリル酸構造を有しているコポリマーが記載されており、ここで、コポリマーは、22〜64モル%のN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、13〜72モル%のメチルメタクリレート、6〜23モル%のメタクリル酸及び0〜22モル%の少なくとも1種類のN-置換アルキル(メタ)アクリルアミドからなる。
【0010】
EP-A 62002には、(a)アルキル部分内に1〜4個の炭素原子を有しているN-アルキルアクリルアミド又は N-アルキルメタクリルアミド(40〜60重量%)を(b)アクリル酸又はメタクリル酸のC1-C4-ヒドロキシアルキルエステル又は、好ましくは、C1-C4-アルキルエステル(35〜50重量%)及び(c)α,β-不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸(3〜11重量%)と共重合させることにより調製されるターポリマーが記載されている。
【0011】
DE 3227334には、(メタ)アクリル酸の少なくとも1種類のC2-C20-アルキルエステル(20〜75重量部)、中性的に反応する少なくとも1種類の窒素含有水溶性モノマー(5〜50重量部)、少なくとも1種類のカチオン性基含有モノマー(1〜25重量部)、並びに、(a)、(b)及び(c)と共重合可能な少なくとも1種類のオレフィン性不飽和C3-C5-カルボン酸(1〜25重量部)をラジカル重合させることにより得られるコポリマーが記載されており、ここで、コポリマーは、「Fikentscher」に従ってエタノール中で25℃で測定した場合、15〜75のK値を有する。
【0012】
DE 4223006には、(a)30〜80重量%のアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル(ここで、これらは、いずれの場合にも、ホモポリマーとしては、20℃を超えるガラス転移温度を有する)又はアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの混合物(ここで、この混合物は、共重合中に20℃を超えるガラス転移温度を有するコポリマーを生成する)、(b)5〜25重量%のアクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物、及び、(c)10〜45重量%のN-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム又はそれらの混合物をフリーラジカル形成性重合開始剤の存在下で共重合させることによって得ることができるコポリマー(ここで、コポリマーは、遊離カルボン酸基の形態では、10〜80のK値(「H. Fikentscher」に従って、エタノール中の1重量%濃度の溶液中で25℃で測定)を有し、また、コポリマーは、沈澱重合法により調製される)を膜形成剤として含んでいるヘアトリートメント組成物が記載されている。
【0013】
EP-A 805169には、
(a) 30〜72重量%のt-ブチルアクリレート又はt-ブチルメタクリレート又はそれらの混合物;
(b) 10〜28重量%のアクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの混合物;
及び
(c) 0〜60重量%のラジカル共重合可能な少なくとも1種類のさらなるモノマー;
の混合物をラジカル重合させることにより得ることができるコポリマーが記載されている。
【0014】
本出願の優先日には未公開であったドイツ特許出願(ファイルリファレンス 10357486.7)には、
(a) t-ブチルアクリレート及び/又はt-ブチルメタクリレート;
(b) 一般式:
【化1】

【0015】
[式中、
R1は、H又はC1-C4-アルキルであり;
R2及びR3は、互いに独立して、H若しくはC1-C4-アルキルであるか、又は、R2とR3はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員のヘテロ環であってもよく;
但し、基R1、基R2及び基R3の炭素原子の合計は、4以下である]
で表される少なくとも1種類のα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物;
及び
(c) アクリル酸;
を含んでいるモノマー混合物をラジカル重合させることにより得ることができるコポリマーが記載されている。
【0016】
EP-A 256458には、
(a) 20〜60重量%のビニルピロリドン;
(b) 20〜60重量%のアクリルアミド(ここで、アクリルアミドは、N原子上でモノアルキル化又はジアルキル化されていて、アルキルラジカル中に1〜8個の炭素原子を有している)又はその混合物;
(c) 5〜60重量%のアクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル若しくはヒドロキシアルキルエステル(ここで、エステルは、アルキルラジカル中に1〜4個の炭素原子を有しているか、又は、ヒドロキシアルキルラジカル中に2〜4個の炭素原子を有している)若しくはそれらエステルの混合物、又は、3〜12重量%のアクリル酸若しくはメタクリル酸、又は、2〜48重量%のアクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル若しくはヒドロキシアルキルエステル(ここで、エステルは、アルキルラジカル中に1〜4個の炭素原子を有しているか、又は、ヒドロキシアルキルラジカル中に2〜4個の炭素原子を有している)若しくはそれらエステルの混合物及び3〜12重量%のアクリル酸若しくはメタクリル酸(ここで、「重量%」は、モノマーの総重量に基づいている);
をラジカル重合させることにより得られる、ヘア固着剤として使用するためのコポリマーが記載されている(ここで、コポリマーは、炭素原子数1〜4の低級アルコールに可溶性であり、また、15〜75のK値を有する)。
【発明の開示】
【0017】
環境規制がより厳しくなり、また、生態学的な自覚が育つにつれ、例えばヘアスプレーなどにおいて、揮発性有機成分(VOC)の割合を低くすることがますます求められるようになった。
【0018】
VOCガイドライン(溶媒ガイドライン)によれば、VOCは、293.15Kで0.01kPa以上の蒸気圧を有し、特定の使用条件下では、相当する揮発性を示す揮発性有機化合物である。
【0019】
ヘアスプレー中のVOC含有量は、本質的に、非水性溶媒及び噴射剤によって決まる。従って、非水性溶媒の代わりに、溶媒として水がますます頼みとされるようになってきた。しかしながら、有機溶媒を水で置き換えることには、特にヘアスプレー製剤の分野において、問題が伴っている。
【0020】
かくして、対応するVOC規制を満足する従来技術の上 記膜形成性ポリマーの製剤は、例えば、噴霧できないか又はさらに希釈して初めて噴霧可能であり、従って、ヘアスプレー中での使用に対しては限られた適合性しか有しない。その結果、得られた膜は、必要とされる機械的特性を有しないものとなる場合があり、従って、毛髪に対するセット作用が不充分で保持力に乏しいものとなる場合がある。
【0021】
ヘアセット用樹脂に課せられた条件は、例えば、高大気湿度下における強い保持力、弾性、毛髪から良好に洗い落とすことができること、製剤中における適合性、形成された膜が最大限の滑らかさを有し且つ粘着性が低いこと、及び、それで処理された毛髪が心地良い感触を有することである。スプレー製剤の場合、微細な噴霧パターンを形成するために、小さな液滴が均質に分配されることも特に求められる。種々の特性の複合的なプロフィールを有する製品を提供することは、多くの場合、困難である。
【0022】
本発明の目的は、使用に際して、高大気湿度下で強い保持力を示し、毛髪から良好に洗い落とすことが可能であり、低VOC製剤中で適合性を示し、良好なレオロジー特性(例えば、高い曲げ剛性及び弾性)を示し、形成された膜は最大限の滑らかさを示すとともに粘着性は低く、及び、それで処理された毛髪は心地良い感触を有し、また、低VOCスプレー調製物中で使用される場合には良好な噴霧パターンを生み出す、低VOC化粧品調製物に適したポリマーを提供することであった。
【0023】
この目的は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート、又は、50〜80重量%のエチルメタクリレートと一般式(I):
【化2】

【0024】
[式中、R1は、H又はCH3であり;R2は、C1-C4-アルキルである]
で表される少なくとも1種類の化合物との混合物;
(b) 3〜25重量%の一般式(II):
【化3】

【0025】
[式中、
R3は、H又はC1-C4-アルキルであり;
R4及びR5は、互いに独立して、H若しくはC1-C4-アルキルであるか、又は、R4とR5はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員のヘテロ環であってもよく;
但し、基R3、基R4及び基R5の炭素原子の合計は、4以下である]
で表される少なくとも1種類のα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物;
(c) 15〜35重量%の少なくとも1種類のモノエチレン性不飽和カルボン酸;
(d) 適切な場合には、0〜20重量%のラジカル重合可能なさらなるモノマー(ここで、モノマーは、(a)、(b)及び(c)とは異なっている);
を含み、
モノマー混合物Mは、少なくとも20重量%のエチルメタクリレートを含んでいる、
モノマー混合物Mのラジカル重合により得ることができるコポリマーを提供することを通して達成される。
【0026】
以下の記載においては、アクリル酸及びメタクリル酸から誘導され得る化合物は、場合により、アクリル酸から誘導された化合物にシラブル「(メタ)」を付け加えて手短に称されている。
【0027】
本発明の目的のために、水溶性モノマー及び水溶性ポリマーは、20℃で少なくとも1g/Lの量が水に溶解するモノマー及びポリマーを意味するものと理解される。水分散性モノマー及び水分散性ポリマーは、剪断力(例えば、撹拌による剪断力)が適用されている条件下で崩壊して分散性粒子となるモノマー及びポリマーを意味するものと理解される。親水性モノマーは、好ましくは、水溶性であるか、又は、少なくとも水分散性である。本発明のコポリマーは、一般に、水溶性である。
【0028】
本発明のコポリマーは、特に有利なことに、化粧品組成物(特に、ヘアトリートメント組成物)中での使用に適している。それらは、好ましくは、強い保持力を有する弾性的なヘアスタイルを作るのに役立つ。有利には、それらは、さらに、噴射剤ガスとの適合性が良好であること、及び、水又は水性/アルコール性溶媒混合物における溶解性が良好であることを特徴とする。従って、それらは、高含有量の噴射剤ガス(VOC 少なくとも85重量%)を有するヘアスプレーが得られるように製剤化することが可能であるか、又は、低VOC値(一般に、組成物の総重量に基づいて、55重量%以下)の製剤が得られるように製剤化することが可能である。いずれの場合も、ヘアスプレー製剤は、噴霧性が極めて良好であること、及び、毛髪から極めて良好に洗い流すことができるということを特徴とする。
【0029】
成分(a)
成分(a)は、エチルメタクリレートであるか、又は、エチルメタクリレートとエチルメタクリレートとは異なる少なくとも1種類のさらなるモノマーの混合物であり、ここで、エチルメタクリレートとは異なる少なくとも1種類のさらなるモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、メチルエタクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピルエタクリレート、エチルエタクリレート、イソプロピルエタクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチルエタクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルエタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソブチルエタクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ブチルエタクリレートからなる群から選択される。
【0030】
本発明のコポリマーは、重合に使用されるモノマーの総重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも55重量%、特に好ましくは、少なくとも60重量%で、且つ、80重量%以下、好ましくは、75重量%以下、特に、70重量%以下の成分(a)を、共重合された形態で含んでいる。
【0031】
成分(a)としては、エチルメタクリレートが好ましい。
【0032】
エチルメタクリレートが、成分(a)として、さらなる(メタ)アクリレートとの混合物中に存在している場合、重合される全モノマーからなるモノマー混合物M中のエチルメタクリレートの割合は、少なくとも20重量%である。
【0033】
成分(b)
成分(b)として、コポリマーは、一般式(I)で表されるα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の少なくとも1種類のアミドを共重合された形態で含んでいる。好ましくは、一般式(I)の化合物において、基R2及び基R3は、両方ともHであるか、又は、基R2と基R3のうちの一方がHであり且つ他方はC1-C4-アルキルである。
【0034】
好ましくは、一般式(I)で表されるアミドは、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸としてのアクリル酸、メタクリル酸又はエタクリル酸に由来する。好ましくは、成分(b)は、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)アクリルアミド、N-(s-ブチル)アクリルアミド、N-(t-ブチル)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルピペラジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン及びそれらの混合物から選択される。
【0035】
好ましくは、成分(b)は、一般式(II)[式中、R4はHであり、R5はH又はC1-C4-アルキルである]に相当する。従って、一般式(II)[ここで、一般式(II)に含まれている窒素原子は、少なくとも1個の水素原子を有している]で表される成分(b)が好ましい。
【0036】
成分(b)は、好ましくは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)アクリルアミド、N-(s-ブチル)アクリルアミド、N-(t-ブチル)アクリルアミド及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
成分(b)は、さらに好ましくは、メタクリルアミド及び/若しくはN-(t-ブチル)アクリルアミドを含んでいるか、又は、前記成分のうちの1からなるか、又は、メタクリルアミドとN-(t-ブチル)アクリルアミドの混合物である。
【0038】
重合に使用されるモノマーの総重量に基づいて、本発明のコポリマーは、少なくとも2重量%、好ましくは、少なくとも4重量%、特に好ましくは、少なくとも7重量%で、且つ、25重量%以下、好ましくは、20重量%以下、特に好ましくは、16重量%以下、特に、12重量%以下の、共重合された形態にある成分(b)を含んでいる。
【0039】
成分(c)
重合に使用されるモノマーの総重量に基づいて、本発明のコポリマーは、成分(c)として、少なくとも15重量%、好ましくは、少なくとも18重量%、特に好ましくは、少なくとも20重量%で、且つ、35重量%以下、好ましくは、30重量%以下、特に好ましくは、27重量%以下、特に、25重量%以下の少なくとも1種類のモノエチレン性不飽和カルボン酸を、重合された形態で含んでいる。
【0040】
コポリマーを調製するためには、モノエチレン性不飽和カルボン酸(c)は、部分的に脱プロトン化された形態又は完全に脱プロトン化された形態で使用することができる。その場合、それらの対イオンは、好ましくは、下記に記載してある重合中のpH又は得られたポリマーのpHを調整するための塩基から誘導させる。
【0041】
モノエチレン性不飽和カルボン酸(c)は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α-クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸及びフマル酸からなる群から選択される。成分(c)としては、さらに、4〜10個の炭素原子、好ましくは、4〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和ジカルボン酸の半エステル、例えば、マレイン酸の半エステル、例えば、モノメチルマレエートなども挙げることができる。(c)としては、さらにまた、上記酸の塩、特に、ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩なども挙げることができる。成分(c)は、そのままで使用することが可能であるか、又は、互いの混合物として使用することも可能である。記載されている重量比は、全て、酸形態についてのものである。
【0042】
成分(c)は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α-クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸及びそれらの混合物からなる群から選択され、特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの二成分混合物からなる群から選択され、特に、メタクリル酸である。
【0043】
本発明は、好ましくは、成分(c)がメタクリル酸からなるか又はメタクリル酸と少なくとも1種類のさらなるモノエチレン性不飽和カルボン酸の混合物からなる本発明のコポリマーを提供する。
【0044】
特に、(c)は、メタクリル酸であるか、又は、メタクリル酸とアクリル酸の混合物である。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、メタクリル酸の少なくとも1種類のさらなるモノエチレン性不飽和カルボン酸に対する重量比は、少なくとも1より大きく、好ましくは、2より大きく、特に好ましくは、3より大きい。
【0046】
本発明の好ましい実施形態は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 2〜15重量%のメタクリルアミド;
及び
(c) 15〜25重量%のメタクリル酸と1〜10重量%のアクリル酸の混合物;
を含んでいるモノマー混合物Mをラジカル重合させることにより得ることができるコポリマーである。
【0047】
本発明の好ましい別の実施形態は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 3〜25重量%のN-t-ブチルアクリルアミド;
及び
(c) 15〜30重量%のメタクリル酸;
を含んでいるモノマー混合物Mをラジカル重合させることにより得ることができるコポリマーである。
【0048】
本発明の好ましい別の実施形態は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 3〜25重量%のN-t-ブチルアクリルアミド;
及び
(c) 15〜25重量%のメタクリル酸と1〜10重量%のアクリル酸の混合物;
を含んでいるモノマー混合物Mをラジカル重合させることにより得ることができるコポリマーである。
【0049】
成分(d)
本発明のコポリマーには、0〜10重量%のラジカル重合可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1種類の化合物を、共重合された形態で含ませることができる。
【0050】
好ましくはこの成分(d)は、1分子当たり1のカチオン生成性基及び/又はカチオン性基を含む。
【0051】
成分(d)のカチオン生成性基及び/又はカチオン性基は、好ましくは、窒素含有基、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基並びに第4級アンモニウム基などである。窒素含有基は、好ましくは、第3級アミノ基である。好ましくは、重合には、非荷電形態にある化合物(d)を使用する。しかしながら、荷電形態にあるものを使用するのも適している。荷電しているカチオン性基は、例えばアミン窒素から、プロトン化により、例えば、一塩基性カルボン酸又は多塩基性カルボン酸(例えば、乳酸若しくは酒石酸、又は、鉱酸、例えば、リン酸、硫酸及び塩酸)を用いたプロトン化により、生成させることができる。
【0052】
好ましくは、成分(d)は、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とアミノアルコール(ここで、アミノアルコールは、そのアミン窒素においてモノアルキル化又はジアルキル化されていてもよい)のエステル;α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とジアミン(ここで、ジアミンは、少なくとも1の第1級アミノ基又は第2級アミノ基を有している)のアミド;N,N-ジアリルアミン;N,N-ジアリル-N-アルキルアミン及びその誘導体;ビニル置換窒素ヘテロ環及びアリル置換窒素ヘテロ環;ビニル置換ヘテロ芳香族化合物及びアリル置換ヘテロ芳香族化合物;及びそれらの混合物から選択される。
【0053】
好適な化合物(d)は、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とアミノアルコールのエステルである。好ましいアミノアルコールは、アミン窒素がC1-C8-モノアルキル化又はC1-C8-ジアルキル化されているC2-C12-アミノアルコールである。これらのエステルの好適な酸成分は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、モノブチルマレエート及びそれらの混合物である。アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を使用するのが好ましい。特に好ましい化合物(d)は、N-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-(n-プロピル)アミノエチル(メタ)アクリレート、N-(n-ブチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、N-(t-ブチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びN,N-ジメチルアミノシクロヘキシル(メタ)アクリレートである。化合物(d)としては、特に、N-(t-ブチル)アミノエチルアクリレート及びN-(t-ブチル)アミノエチルメタクリレートが使用される。
【0054】
好適なモノマー(d)は、さらにまた、上記α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とジアミン(ここで、ジアミンは、少なくとも1の第1級アミノ基又は第2級アミノ基を有している)のアミドである。1つの第3級アミノ基と1つの第1級又は第2級アミノ基を有しているジアミンが好ましい。モノマー(d)としては、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]メタクリルアミド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]アクリルアミド及びN-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]メタクリルアミドを使用するのが好ましい。特に好ましくは、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド及び/又はN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを使用する。
【0055】
好適なモノマー(d)は、さらにまた、N,N-ジアリルアミン及びN,N-ジアリル-N-アルキルアミン並びにそれらの酸付加塩である。ここで、アルキルは、好ましくは、C1-C24-アルキルである。例えば、N,N-ジアリル-N-メチルアミンを使用するのが好ましい。
【0056】
好適なモノマー(d)は、さらにまた、ビニル置換及びアリル置換窒素ヘテロ環、例えば、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール誘導体、例えば、N-ビニル-2-メチルイミダゾール、ビニル置換及びアリル置換ヘテロ芳香族化合物、例えば、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-アリルピリジン、4-アリルピリジン及びそれらの塩などである。
【0057】
好適なモノマー(d)は、さらにまた、一般式(II)[式中、R1〜R3は、水素、C1-C4-アルキル又はフェニルである]で表されるN-ビニルイミダゾールである。
【化4】

【0058】
一般式(II)で表される化合物の例を、下記表1に挙げる。
【表1】

【0059】

【0060】
Me=メチル
Ph=フェニル
特に好ましいのは、N-(t-ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルイミダゾール及びそれらの混合物から選択された成分(d)の化合物である。
【0061】
本発明のコポリマーは、共重合された形態にある少なくとも1種類のモノマー(d)を、重合に使用されるモノマーの総重量に基づいて、10重量%以下、特に好ましくは、7重量%以下、特に、5重量%以下しか含まない。モノマー(d)が使用される場合、それは、好ましくは、少なくとも0.5重量%の量、特に好ましくは、少なくとも2重量%の量、特に、少なくとも3重量%の量である。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明のコポリマーは、(a)エチルメタクリレート、(b)メタクリルアミド及び/又はN-(t-ブチル)アクリルアミド、(c)メタクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸の混合物、並びに、適切な場合には、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)アミノエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール及びそれらの混合物からなる群から選択されるさらなるモノマー(d)を、共重合された形態で含んでいる。
【0063】
本発明の好ましい実施形態は、
(a) 60〜75重量%のエチルメタクリレート;
(b) 7〜15重量%の少なくとも1種類の化合物(b);
(c) 18〜27重量%の少なくとも1種類の化合物(c);
及び
(d) 0〜15重量%の少なくとも1種類の化合物(d);
を含んでいるコポリマーである。
【0064】
本発明の好ましい別の実施形態は、
(a) 60〜70重量%のエチルメタクリレート;
(b) 8〜12重量%の少なくとも1種類の化合物(b);
(c) 20〜25重量%の少なくとも1種類の化合物(c);
及び
(d) 0〜10重量%の少なくとも1種類の化合物(d);
を含んでいるコポリマーである。
【0065】
本発明の好ましい別の実施形態は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 2〜15重量%のメタクリルアミド;
(c) 15〜25重量%のメタクリル酸及び1〜10重量%のアクリル酸;
を含んでいるコポリマーである。
【0066】
本発明の好ましい別の実施形態は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 3〜25重量%のN-(t-ブチル)アクリルアミド;
(c) 15〜30重量%のメタクリル酸;
を含んでいるコポリマーである。
【0067】
本発明の好ましい別の実施形態は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 3〜25重量%のN-(t-ブチル)アクリルアミド;
(c) 15〜25重量%のメタクリル酸及び1〜10重量%のアクリル酸;
を含んでいるコポリマーである。
【0068】
本発明の好ましい別の実施形態は、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 3〜25重量%のN-(t-ブチル)アクリルアミド;
(c) 15〜30重量%のメタクリル酸;
及び
(d) 1〜7重量%の、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)アミノエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマー;
を含んでいるコポリマーである。
【0069】
本発明のコポリマーには、さらに、成分(a)〜成分(d)とは異なっていて且つそれらと共重合可能な、少なくとも1種類のモノマー(e)を、共重合された形態で含ませることができる。
【0070】
成分(e)は、好ましくは、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とC1-C30-アルカノール及びC1-C30-アルカンジオールのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とC2-C30-アミノアルコール(ここで、アミノアルコールは、第1級アミノ基又は第2級アミノ基を有している)のアミド、N-ビニルラクタム、飽和モノカルボン酸のN-ビニルアミド、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の第1級アミドとそのN-アルキル誘導体及びN,N-ジアルキル誘導体、ビニルアルコール及びアリルアルコールとC1-C30-モノカルボン酸のエステル、ビニルエーテル、ビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、C1-C8-モノオレフィン、少なくとも2の共役二重結合を有する非芳香族炭化水素並びにそれらの混合物から選択される。
【0071】
モノマー(e)として適しているN-ビニルラクタムは、置換されていないN-ビニルラクタム、及び、例えば1以上のC1-C6-アルキル置換基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチルなど)を有していてもよい、N-ビニルラクタム誘導体である。そのようなものとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタムなどを挙げることができる。好ましい実施形態では、本発明のコポリマーは、共重合された形態のN-ビニルラクタムを含んでいない。
【0072】
モノマー(e)として適しているN-ビニルアミド化合物は、例えば、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド及びN-ビニルブチルアミドなどである。好ましい実施形態では、本発明のコポリマーは、共重合された形態のN-ビニルアミド化合物は含んでいない。
【0073】
好適なさらなるモノマー(e)は、さらにまた、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルエタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリレート及び3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリレートである。
【0074】
好適なさらなるモノマー(e)は、さらにまた、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2-ヒドロキシエチルエタクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3-ヒドロキシブチルアクリルアミド、3-ヒドロキシブチルメタクリルアミド、4-ヒドロキシブチルアクリルアミド、4-ヒドロキシブチルメタクリルアミド、6-ヒドロキシヘキシルアクリルアミド、6-ヒドロキシヘキシルメタクリルアミド、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリルアミド及び3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリルアミドである。
【0075】
好適なモノマー(e)は、さらにまた、ポリエーテルアクリレートである。ポリエーテルアクリレートは、本発明の目的のためには、一般に、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とポリエーテロールのエステルを意味するものと理解される。好適なポリエーテロールは、末端ヒドロキシル基を有し且つエーテル結合を含んでいる直鎖又は分枝鎖の物質である。一般に、それらの分子量は、約150〜20000の範囲にある。好適なポリエーテロールは、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン及びアルキレンオキシドコポリマーである。アルキレンオキシドコポリマーを調製するのに適切なアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、1,2-ブチレンオキシド及び2,3-ブチレンオキシドである。アルキレンオキシドコポリマーは、共重合されたアルキレンオキシド単位を、ランダムに分布している状態で含み得るか、又は、ブロックの形態で含み得る。エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーが好ましい。
【0076】
成分(e)として、一般式(III):
【化5】

【0077】
[式中、
アルキレンオキシド単位の順序は任意であり;
k及びlは、互いに独立して、0〜1000の整数であり、kとlの合計は少なくとも5であり;
R4は、水素、C1-C30-アルキル又はC5-C8-シクロアルキルであり;
R5は、水素又はC1-C8-アルキルであり;
Y2は、O又はNR6であり、ここで、R6は、水素、C1-C30-アルキル又はC5-C8-シクロアルキルである]
で表されるポリエーテルアクリレートが好ましい。
【0078】
好ましくは、kは、1〜500の整数、特に、3〜250の整数である。好ましくは、lは、0〜100の整数である。
【0079】
好ましくは、R5は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル又はn-ヘキシルであり、特に、水素、メチル又はエチルである。
【0080】
好ましくは、式(III)中のR4は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシル、デシル、ラウリル、パルミチル又はステアリルである。
【0081】
好ましくは、式(III)中のY2は、O又はNHである。
【0082】
好適なポリエーテルアクリレート(e)は、例えば、上記で記載したα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及び/又はα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸並びにその酸塩化物、アミド及び無水物とポリエーテロールの重縮合生成物である。好適なポリエーテロールは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド及び/又はエピクロロヒドリンを水又は短鎖アルコールR4-OHなどのスターター分子(starter molecule)と反応させることにより、容易に調製することができる。アルキレンオキシドは、個別的に使用するか、順に使用するか、又は、混合物として使用することができる。ポリエーテルアクリレート(e)は、本発明に従って使用されるポリマーを調製するために、単独で使用するか、又は、混合して使用することができる。
【0083】
好適なさらなるモノマー(e)は、エチルメタクリレートとは異なる、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸のエステル、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、メチルエタクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピルエタクリレート、エチルエタクリレート、イソプロピルエタクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチルエタクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルエタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソブチルエタクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ブチルエタクリレート、2-ペンチル(メタ)アクリレート、3-ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセレニル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレイニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ウレイド(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びそれらの混合物などである。
【0084】
好ましいモノマー(e)は、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びα,β-エチレン性不飽和ジカルボン酸とC1-C4-アルカノールのエステルである。
【0085】
好適なさらなるモノマー(e)は、さらにまた、N-(n-ブチル)メタクリルアミド、N-(s-ブチル)メタクリルアミド、N-(t-ブチル)メタクリルアミド、N-(n-ペンチル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ヘプチル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(t-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ノニル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-デシル)(メタ)アクリルアミド、N-(n-ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-ミリスチル(メタ)アクリルアミド、N-ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N-アラキニル(メタ)アクリルアミド、N-ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N-リグノセレニル(メタ)アクリルアミド、N-セロチニル(メタ)アクリルアミド、N-メリシニル(メタ)アクリルアミド、N-パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、N-オレイル(メタ)アクリルアミド、N-リノリル(メタ)アクリルアミド、N-リノレニル(メタ)アクリルアミド、N-ステアリル(メタ)アクリルアミド、N-ラウリル(メタ)アクリルアミドである。
【0086】
好適なさらなるモノマー(e)は、さらにまた、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート及びそれらの混合物である。
【0087】
好適なさらなるモノマー(e)は、さらにまた、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルフルオリド、ビニリデンフルオリド及びそれらの混合物である。
【0088】
上記で挙げたさらなるモノマー(e)は、個別的に使用するか、又は、所望される任意の混合物の形態で使用することができる。
【0089】
本発明のコポリマーは、共重合された形態にある少なくとも1種類のモノマー(e)を、重合に使用されるモノマーの総重量に基づいて、10重量%以下、特に好ましくは、7重量%以下、特には、5重量%以下しか含有しない。モノマー(e)を使用する場合、それは、好ましくは、少なくとも0.5重量%、特に好ましくは、少なくとも2重量%、特には、少なくとも3重量%の量である。
【0090】
架橋剤(f)
必要に応じて、本発明のコポリマーには、共重合された形態にある少なくとも1種類の架橋剤(即ち、2つ以上のエチレン性不飽和非共役二重結合を有する化合物)を含ませることができる。
【0091】
好ましくは、架橋剤は、重合に使用されるモノマーの総重量に基づいて、0.01〜3重量%の量で、特に好ましくは、0.1〜2重量%の量で使用される。
【0092】
適する架橋剤(f)は、例えば、少なくとも二価のアルコールのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエーテル又はビニルエーテルなどである。ここで、親アルコールのOH基は、完全に又は部分的に、エーテル化又はエステル化されていてもよい。しかしながら、架橋剤は、少なくとも2のエチレン性不飽和基を含んでいる。
【0093】
親アルコールの例は、二価アルコール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ブト-2-エン-1,4-ジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2,5-ジメチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノエステル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシプロピル)フェニル]プロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、3-チオペンタン-1,5-ジオール、並びに、いずれの場合も200〜10000の分子量を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラヒドロフランである。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのホモポリマーの他に、エチレンオキシドのブロックコポリマー、又は、プロピレンオキシドのブロックコポリマー、又は、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基を組み込まれた形態で含んでいるコポリマーのブロックコポリマーを使用することも可能である。2つより多いOH基を有している親アルコールの例は、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリエトキシシアヌル酸、ソルビタン及び糖(例えば、スクロース、グルコース、マンノース)である。もちろん、それぞれ、対応するエトキシレート又はプロポキシレートとして、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応に続いて、多価アルコールを用いることも可能である。多価アルコールを、エピクロロヒドリンと反応させることにより、最初に、対応するグリシジルエーテルに変換することも可能である。
【0094】
好適なさらなる架橋剤(f)は、ビニルエステル、又は、一価不飽和アルコールとエチレン性不飽和C3-C6-カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸)のエステルである。そのようなアルコールの例は、アリルアルコール、1-ブテン-3-オール、5-ヘキセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、9-デセン-1-オール、ジシクロペンテニルアルコール、10-ウンデセン-1-オール、シンナミルアルコール、シトロネロール、クロチルアルコール又はシス-9-オクタデセン-1-オールである。しかしながら、一価不飽和アルコールを多塩基性カルボン酸(例えば、マロン酸、酒石酸、トリメリト酸、フタル酸、テレフタル酸、クエン酸又はコハク酸)でエステル化することも可能である。
【0095】
好適なさらなる架橋剤(f)は、不飽和カルボン酸と上記多価アルコールのエステル、例えば、オレイン酸、クロトン酸、ケイヒ酸又は10-ウンデセン酸のエステルである。
【0096】
好適なさらなる架橋剤(f)は、ウレタンジアクリレート及びウレエタンポリアクリレートであり、例えばLaromer(登録商標)の名称で、市販されている。
【0097】
好適な架橋剤(f)は、さらにまた、少なくとも2つの二重結合(ここで、二重結合は、脂肪族炭化水素の場合には、共役していてはならない)を有している、直鎖又は分枝鎖の線状又は環状の脂肪族又は芳香族の炭化水素、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、4-ビニル-1-シクロヘキセン若しくはトリビニルシクロヘキサンなどであるか、又は、200〜20000の分子量を有するポリブタジエンなどである。
【0098】
好適なさらなる架橋剤(f)は、少なくとも二官能性のアミンのアクリルアミド、メタクリルアミド及びN-アリルアミンである。そのようなアミンは、例えば、1,2-ジアミノメタン、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,12-ドデカンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミン又はイソホロンジアミンなどである。同様に好適なのは、アリルアミンと不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)又は上記で記載した少なくとも二塩基性のカルボン酸のアミドである。
【0099】
トリアリルアミン塩及びトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、例えば、トリアリルメチルアンモニウムクロリド又はメチルスルフェートなども、適切な架橋剤(f)である。
【0100】
尿素誘導体、少なくとも二官能性のアミド、シアヌレート又はウレタン(例えば、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素又は酒石酸アミドなど)のN-ビニル化合物、例えば、N,N'-ジビニルエチレン尿素又はN,N'-ジビニルプロピレン尿素なども適している。
【0101】
好適なさらなる架橋剤(f)は、ジビニルジオキサン、テトラアリルシラン又はテトラビニルシランである。
【0102】
もちろん、上記で記載した化合物(f)の混合物を使用することも可能である。水溶性架橋剤(f)を使用するのが好ましい。
【0103】
使用するのが特に好ましい架橋剤(f)は、例えば、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミン塩及びトリアリルアルキルアンモニウム塩、ジビニルイミダゾール、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、N,N'-ジビニルエチレン尿素、多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸との反応生成物、ポリアルキレンオキシドのメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル、又は、エチレンオキシド及び/若しくはプロピレンオキシド及び/若しくはエピクロロヒドリンと反応させた多価アルコールのメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルなどである。
【0104】
特に極めて好ましい架橋剤(f)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミド、N,N'-ジビニルエチレン尿素、トリアリルアミン塩及びトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、並びに、グリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン若しくはグリセロールのアクリル酸エステル、又は、エチレンオキシド及び/又はエピクロロヒドリンと反応させたグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン若しくはグリセロールのアクリル酸エステルである。
【0105】
本発明の好ましい実施形態は、
(a) 40〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 5〜20重量%のメタクリルアミド及び/又はN-(t-ブチル)アクリルアミド;
(c) 15〜30重量%のメタクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸の混合物;
(d) 0〜10重量%のN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド;
を含んでいるモノマー混合物Mをラジカル重合させることにより得ることができるコポリマーである。
【0106】
本発明の特に好ましい実施形態は、
(a) 60〜70重量%のエチルメタクリレート;
(b) 7〜15重量%のメタクリルアミド;
(c) (c1) 12〜18重量%のメタクリル酸;
(c2) 4〜9重量%のアクリル酸;
(d) 1〜3重量%のN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド;
を含んでいるモノマー混合物Mをラジカル重合させることにより得ることができるコポリマーである。
【0107】
コポリマーの調製
本発明のコポリマーは、例えば、溶液重合、沈澱重合、懸濁重合又は乳化重合などにより、調製することができる。そのような調製方法は、基本的には当業者には知られている。溶液重合により調製するのが好ましい。
【0108】
重合に関して好ましい溶媒は、水性溶媒、例えば、水、及び、水と水混和性溶媒との混合物などであり、ここで、水混和性溶媒は、例えば、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、n-ヘキサノール及びシクロヘキサノール、並びに、グリコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール、並びに、二価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、数平均分子量約3000以下のポリエチレングリコール、グリセロール及びジオキサンのメチルエーテル又はエチルエーテルなどである。
【0109】
重合は、特に好ましくは、水中で行うか、又は、水/アルコール混合物中で、例えば、水/エタノール混合物中で行う。
【0110】
重合は、基本的に、使用するモノマーに由来するpHで実施可能である。重合に、少なくとも1種類のN-ビニルラクタムを使用する場合(=成分(e))、重合媒体のpHは、好ましくは、5〜8の値、好ましくは、6〜7の値に調整する。重合の始めから終わりまで、pHを上記範囲内に維持するのが有利である。重合の前、重合中又は重合後にpHを調整するのに適しているものは、基本的には、全ての無機塩基又は有機塩基(及び、適切な場合には、酸)、特に、塩を形成する可能性を有していることは別として、モノマーと反応しない無機塩基又は有機塩基(及び、適切な場合には、酸)である。適切な塩基は、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、並びに、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、並びに、アミノアルコール、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン又は2-アミノ-2-メチルプロパノールなどである。pHを調整するためには、少なくとも1種類の第3級アミンを使用するのが好ましく、ここで、第3級アミンは、特に、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの混合物から選択される。重合を行うために、少なくとも1種類のN-ビニルラクタムを使用する場合(=成分(e))、重合媒体のpHは、好ましくは、N,N-ジメチルエタノールアミンを用いて調整する。
【0111】
重合温度は、好ましくは、約30〜120℃の範囲、特に好ましくは、40〜100℃の範囲である。重合は、通常、大気圧下で実施するが、減圧下又は高圧下で実施することも可能である。適切な圧力の範囲は、1〜5バールである。
【0112】
共重合に関し、モノマーは、フリーラジカルを形成する開始剤を用いて重合させることができる。
【0113】
本発明において使用し得るラジカル重合のための開始剤は、その目的に関して慣習的に使用されるペルオキソ及び/又はアゾ化合物、例えば、アルカリ金属ペルオキシジスルフェート又はアンモニウムペルオキシジスルフェート、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、t-ブチルペルピバレート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルマレエート、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルバメート、ビス-(o-トルオイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペルアセテート、ジ-t-アミルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)ヒドロクロリド(Wako Pure Chemicals Industries, Ltd.製 V50)、又は、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などである。開始剤混合物又はレドックス開始剤系、例えば、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ナトリウムペルオキソジスルフェート、t-ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、t-ブチルヒドロペルオキシド/ナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート、H2O2/CuIなども適している。
【0114】
分子量を調節するために、重合を少なくとも1種類の調整剤の存在下で実施することができる。使用し得る調整剤は、当業者には公知の慣用される化合物、例えば、硫黄化合物、例えば、メルカプトエタノール、2-エチルヘキシルチオグリコレート、チオグリコール酸又はドデシルメルカプタン、及び、トリブロモクロロメタン、又は、生成されるポリマーの分子量に対して調整効果を有する別の化合物などである。好ましい調整剤は、システインである。
【0115】
残留しているモノマーの含有量が少ない可能な限り純粋なポリマーを得るために、重合(主重合)を行った後で、後重合ステップを実施することができる。その後重合は、主重合と同じ開始剤系の存在下で実施するか、又は、異なった開始剤系の存在下で実施することができる。好ましくは、後重合は、少なくとも主重合と同じ温度で実施し、好ましくは、それより高い温度で実施する。必要に応じ、重合の後で、又は、第1の重合ステップと第2の重合ステップの間で、反応混合物を、水蒸気を用いたストリッピング又は水蒸気蒸留に付すことができる。
【0116】
重合は、原理上は、使用するモノマーに由来するpHで実施可能である。重合に、少なくとも1種類のN-ビニルラクタムを使用する場合(=成分(e))、重合媒体のpHは、好ましくは、5〜8の値、好ましくは、6〜7の値に調節する。重合の始めから終わりまで、pHを上記範囲内に維持するのが有利である。重合の前、重合中又は重合後にpHを調節するのに適しているものは、原理上は、全ての無機塩基又は有機塩基(及び、適切な場合には、酸)、特に、塩を形成する可能性を有していることは別として、モノマーと反応しない無機塩基又は有機塩基(及び、適切な場合には、酸)である。適切な中和剤については、以下に記載する。
【0117】
ポリマーの調製において、有機溶媒を使用する場合、これは、当業者に知られている慣習的な方法で、例えば、減圧下における蒸留により除去することができる。
【0118】
中和
さらに、存在するポリマーは、部分的に又は完全に中和することができる。ポリマーを特にヘア化粧品調製物中で使用するためには、部分的に又は完全に中和することが有利である。
【0119】
好ましい実施形態では、ポリマーは、例えば、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも30%、さらに好ましくは、少なくとも40%、特に好ましくは、少なくとも50%、特に極めて好ましくは、少なくとも70%、特には、少なくとも95%中和する。
【0120】
特に好ましい実施形態では、ポリマーは、少なくとも99%中和する。最も好ましくは、中和は、少なくとも100%である。
【0121】
中和剤を等量より多い量で添加することも有利であり、ここで、等量(equivalent amount)は、ポリマー内の中和が可能な全ての基を中和するのに必要とされる量を意味するものと理解される。
【0122】
中和は、以下のものを用いて実施することができる:
・ アルカノールラジカル内に2〜5個の炭素原子を有しているモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミン(ここで、これらは、適切な場合には、エーテル化形態にある)、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、モノ-n-プロパノールアミン、ジ-n-プロパノールアミン及びトリ-n-プロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、並びに、ジ(2-メトキシエチル)アミン;
・ 2〜5個の炭素原子を有しているアルカンジオールアミン、例えば 2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、及び、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール;
又は、
・ 全体で5〜10個の炭素原子を有している第1級アルキルアミン、第2級アルキルアミン又は第3級アルキルアミン、例えば、N,N-ジエチルプロピルアミン、又は、3-ジエチルアミノ-1-プロピルアミン。
【0123】
中和のための適切なアルカリ金属水酸化物は、主として、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであり、また、水酸化アンモニウムも適切である。
【0124】
良好な中和の結果は、多くの場合、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、N,N-ジメチルアミノエタノール又は3-ジエチルアミノ-1-プロピルアミンを用いて達成される。
【0125】
本発明の調製物及び組成物の中のポリマーを中和するのに適しているものは、特に、アミノ基含有シリコーンポリマーである。好適なアミノ基含有シリコーンポリマーは、例えば、WO97/32917のシリコーン-アミノポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、製品Silsoft(登録商標)A-843(ジメチコンビスアミノヒドロキシプロピルコポリオール)及び製品Silsoft(登録商標)A-858(トリメチルシリルアモジメチコンコポリマー)(いずれも、Witco)などである。さらに、EP-A 1035144の中和ポリマー(neutralization polymer)、特に、EP-A 1035144の請求項12に記載されているシリコーン含有中和ポリマーも適している。
【0126】
得られた液状ポリマー組成物は、例えば、噴霧乾燥、流動噴霧乾燥、ドラム乾燥又は凍結乾燥などの、様々な乾燥方法によって粉末形態に変換することができる。噴霧乾燥を用いるのが好ましい。このような方法で得られた乾燥ポリマー粉末は、有利には、それぞれ水の中に溶解させるか又は再分散させることにより、再度、水溶液又は水分散液に変換することができる。粉末状のコポリマーは、貯蔵安定性が向上し、輸送のオプションが簡単になるという利点を有しており、また、一般に、微生物による攻撃を受けにくくなる。
【0127】
化粧品組成物及び医薬組成物
上記で記載したコポリマーは、化粧品組成物及び医薬組成物の調製に非常に適している。それらは、本発明において、例えば、ボディケア用の調製物中における高分子膜形成剤(polymeric film former)として働き、これは、皮膚、毛髪、爪などの角質表面用の化粧品調製物における適用を包含し、また、マウスケア調製物における適用も包含する。それらは、非常に広範囲の化粧品調製物に普遍的に使用し、製剤化することができる。また、それらは、慣習的な成分と適合する。特に、本発明のコポリマーは、ヘア化粧品組成物の調製に適している。従来技術により知られている慣習的なポリマーと比較して、それらは、有利には、(高い大気湿度においてさえ)強い保持力を有し且つ弾性的なヘアスタイルを作り出すのに適している。本発明のコポリマーは、さらにまた、噴射剤ガスとの適合性が良好であること、水又は水性/アルコール性溶媒混合物における溶解性が良好であること、低VOC製剤中で使用するのに適していること、及び、良好に洗い流すことができるということによっても特徴付けられる。さらに、それらは、通常、良好なコンディショニング特性をも有している。即ち、それらは、それらにより処理された毛髪の、知覚特性、例えば、手触り、ボリューム、取扱い性(handability)などを改善する。本発明のコポリマーに基づくヘアスプレー製剤は、優れたレオロジー特性と良好な噴霧性により特徴付けられる。
【0128】
化粧品的に又は製薬上許容される担体(B)
本発明の組成物は、
(i) 水;
(ii) 水混和性有機溶媒、好ましくは、C2-C4-アルカノール、特に、エタノール;
(iii) 油、脂肪、蝋;
(iv) C6-C30-モノカルボン酸と一価、二価又は三価のアルコールのエステル(ここで、エステルは、(iii)とは異なっている);
(v) 非環式又は環式の飽和炭化水素;
(vi) 脂肪酸;
(vii) 脂肪アルコール;
(viii) 噴射剤ガス;
及び
それらの混合物;
から選択される化粧品的に又は製薬上許容される担体(B)を含んでいる。
【0129】
本発明の組成物は、例えば、以下のものから選択される油又は脂肪成分(B)を有している:低極性の炭化水素、例えば、鉱油;線状飽和炭化水素、好ましくは、8個を超える炭素原子の線状飽和炭化水素、例えば、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなど;環状炭化水素、例えば、デカヒドロナフタレン;分枝鎖炭化水素;動物油及び植物油;蝋;蝋エステル;ワセリン;エステル、好ましくは、脂肪酸のエステル、例えば、C1-C24-モノアルコールとC1-C22-モノカルボン酸のエステル、例えば、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸n-プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸n-プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキサコサニル、パルミチン酸オクタコサニル、パルミチン酸トリアコンタニル、パルミチン酸ドトリアコンタニル、パルミチン酸テトラトリアコンタニル、ステアリン酸ヘキサコサニル、ステアリン酸オクタコサニル、ステアリン酸トリアコンタニル、ステアリン酸ドトリアコンタニル、ステアリン酸テトラトリアコンタニル;サリチレート、例えば、C1-C10-サリチレート、例えば、サリチル酸オクチル;安息香酸エステル、例えば、安息香酸C10-C15-アルキル、安息香酸ベンジル;化粧品用の他のエステル、例えば、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、C10-C15-アルキルラクテートなど;及び、それらの混合物。
【0130】
好適なシリコーン油(B)は、例えば、線状ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、環状シロキサン及びそれらの混合物などである。ポリジメチルシロキサン及びポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は、好ましくは、約1000〜150000g/molの範囲内である。好ましい環状シロキサンは、4員〜8員の環を有している。好適な環状シロキサンは、例えばシクロメチコンの名称で、市販されている。
【0131】
好ましい油又は脂肪成分(B)は、以下のものから選択される:パラフィン及びパラフィン油;ワセリン;天然油脂、例えば、ヒマシ油(castor oil)、ダイズ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ゴマ油、アボカド油、カカオ脂、扁桃油、杏仁油、ヒマシ油(ricinus oil)、タラ肝油、豚ラード、鯨蝋、鯨蝋油(spermaceti oil)、マッコウ鯨油、小麦麦芽油、マカデミアンナッツ油、月見草油、ホホバ油;脂肪アルコール、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコール;脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、並びに、これらとは異なる飽和、不飽和及び置換脂肪酸;蝋、例えば、蜜蝋、カルナバ蝋、カンデリラ蝋(candililla wax)、鯨蝋、並びに、上記で記載した油及び脂肪成分の混合物。
【0132】
化粧品的に及び製薬上適合性の好適な油及び脂肪成分(B)は、「Karl-Heinz Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and formulations of cosmetics], 2nd edition, Verlag Huthig, Heidelberg, pp.319-355」に記載されており、ここで、それを参照する。
【0133】
好適な親水性担体(B)は、以下のものから選択される:水、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する1価アルコール、2価アルコール又は多価アルコール、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなど。
【0134】
本発明の化粧品組成物は、皮膚化粧品組成物、ヘア化粧品組成物、皮膚科的組成物、衛生学的組成物又は医薬組成物であり得る。上記で記載したコポリマーは、膜形成特性を有しているので、特に、ヘア化粧品及び皮膚化粧品用の添加剤として適している。
【0135】
好ましくは、本発明の組成物は、スプレー、ゲル、フォーム、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、ローション、乳液又はペーストの形態にある。必要に応じて、リポソーム又はミクロスフェアを使用することも可能である。
【0136】
本発明の好ましい実施形態では、組成物の揮発性有機成分含有量は、80重量%以下、好ましくは、55重量%以下、特に、30重量%以下である。従って、好ましい組成物は、低VOC標準(low-VOC standard)、即ち、VOC-80標準及びVOC-55標準に相当する組成物である。
【0137】
本発明の化粧品的に活性な組成物又は製薬上活性な組成物には、さらに、化粧品的及び/又は皮膚科的に活性な成分並びに助剤も含有させることができる。
【0138】
好ましくは、本発明の化粧品組成物は、上記で定義した少なくとも1種類のコポリマー(=成分(A))、上記で定義した少なくとも1種類の担体(B)、及び、それらとは異なり、化粧品的に活性な成分、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、香油、シックナー(thickener)、ヘアポリマー、ヘアコンディショナー、スキンコンディショナー、グラフトポリマー、水溶性又は水分散性のシリコーン含有ポリマー、光保護剤、ブリーチ剤、ゲル形成剤、ケア剤、着色剤(colorant)、ティント剤(tinting agent)、タンニング剤(tanning agent)、染料、顔料、増粘剤(bodying agent)、保湿剤、再グリース剤(regreasing agent)、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、皮膚軟化剤及び柔軟剤から選択される少なくとも1種類の成分を含んでいる。
【0139】
シックナー
そのような製剤における慣習的なシックナーは、架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、多糖及びその誘導体、例えば、キサンタンガム、寒天、アルギネート又はチロース、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシカルボキシメチルセルロース、脂肪アルコール、モノグリセリド及び脂肪酸、ポリビニルアルコール、並びに、ポリビニルピロリドンである。非イオン性シックナーを用いるのが好ましい。
【0140】
化粧品的及び/又は皮膚科的に活性な成分
化粧品的及び/又は皮膚科的に活性な好適な成分は、例えば、着色活性成分、皮膚及び毛髪用顔料(pigmentation agent)、ティント剤、タンニング剤、ブリーチ剤、角質硬化性物質(keratin-hardening substance)、抗菌活性成分、光フィルター活性成分、忌避活性成分、充血性物質(hyperemic substance)、角質溶解性及び角質柔軟化物質、抗フケ活性成分、消炎薬、角質化物質、抗酸化活性成分及びフリーラジカルスカベンジャーとして作用する活性成分、皮膚保湿性物質(moisturizing or humectant substance)、再グリース活性成分、抗紅斑性(antierythematous)活性成分又は抗アレルギー性活性成分、並びに、それらの混合物などである。
【0141】
紫外線の自然照射又は人為的な照射を伴うことなく皮膚を日焼けさせるのに適している、人為的に皮膚をタンニングさせる活性を有する成分は、例えば、ジヒドロキシアセトン、アロキサン及びクルミ殻抽出物などである。適切な角質硬化性物質は、一般に、制汗薬においても使用される活性成分であり、例えば、硫酸カリウムアルミニウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、乳酸アルミニウムなどである。抗菌活性成分は、微生物を破壊するか及び/又はそれらの増殖を阻害するために使用され、従って、防腐剤として作用し且つ体臭の発生やその強度を抑えるデオドラント物質としても作用する。そのようなものには、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸などの、当業者には公知の慣用される防腐剤などがある。そのような脱臭性物質は、例えば、リシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロールアミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジンなどである。
【0142】
好適な光フィルター活性成分は、紫外線B領域及び/又は紫外線A領域の紫外線を吸収する物質である。好適な紫外線フィルターは、例えば、2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンであり、ここで、アリール基は、いずれの場合にも、少なくとも1の置換基(ここで、置換基は、好ましくは、ヒドロキシ、アルコキシ、特に、メトキシ、アルコキシカルボニル、特に、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニル、並びに、それらの混合物から選択される)を有することができる。さらにまた、p-アミノ安息香酸エステル、ケイヒ酸エステル、ベンゾフェノン類及びカンファー誘導体や、紫外線を妨げる顔料、例えば、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛なども適している。
【0143】
UV光保護フィルターの例は、以下のとおりである。
【表2】

【0144】
組み合わせることが可能なさらなる光保護剤は、とりわけ、以下の化合物である。
【化6】

【0145】

【0146】

【0147】

【0148】
紫外線を妨げる顔料、例えば、二酸化チタン、タルク及び酸化亜鉛なども適している。
【0149】
本発明の調製物中で使用するのに適している光保護剤は、さらにまた、EP-A 1084696の段落[0036]〜[0053]に明記されている化合物である。その全内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【0150】
もちろん、本発明の調製物中で使用可能な特定のUV光保護フィルターのリストは、限定的なものではない。
【0151】
抗菌薬
さらに、抗菌薬も本発明の調製物中で使用することができる。一般に、そのようなものとしては、グラム陽性細菌に対して特異的な作用を示す全ての適切な防腐剤、例えば、トリクロサン(2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル)、クロルヘキシジン(1,1'-ヘキサメチレンビス[5-(4-クロロフェニル)ビグアニド)及びTTC(3,4,4'-トリクロロカルバニリド)などがある。
【0152】
第4級アンモニウム化合物も、概ね、同様に適切であるが、それらは、好ましくは、消毒石鹸及びウォッシングローションに使用する。
【0153】
多くの種類の香料も抗菌特性を有している。グラム陽性細菌に対して特別の効果を有する特定の組合せは、いわゆる脱臭香料(deodorant perfume)といわれている組成物に使用される。
【0154】
非常に多くの種類の精油又はその特有の成分、例えば、クローブ油(オイゲノール)、ハッカ油(メントール)又はサイム油(チモール)なども、優れた抗菌効果を示す。
【0155】
抗菌効果を示す上記物質は、一般に、約0.1〜0.3重量%の濃度で使用される。
【0156】
好適な忌避活性成分は、特定の動物(特に、昆虫)を、ヒトに寄せ付けないようにするか又はヒトから追い払うことができる化合物である。そのようなものとしては、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミドなどを挙げることができる。
【0157】
好適な充血性物質は、皮膚を介して血流を刺激するが、そのような物質は、例えば、精油、例えば、ドワーフパイン、ラベンダー、ローズマリー、ジュニパーベリー、ローストチェスナット(roast chestnut)抽出物、カバノキの葉の抽出物、マリゴールド抽出物、酢酸エチル、カンファー、メントール、ペパーミント油、ローズマリー抽出物、ユーカリ油などである。
【0158】
好適な角質溶解性及び角質柔軟化物質は、例えば、サリチル酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸及びその塩、硫黄などである。
【0159】
好適な抗フケ活性成分は、例えば、硫黄、硫黄ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、硫黄リシノールポリエトキシレート、亜鉛ピリチオン、アルミニウムピリチオンなどである。好適な消炎薬は、皮膚の炎症を阻止するが、そのような消炎薬は、例えば、アラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール(dragosantol)、カモミール抽出物、パンテノールなどである。
【0160】
本発明の化粧品組成物は、化粧品的に及び/又は製薬上活性な成分として(及び、適切な場合には、さらに助剤として)、少なくとも1種類の化粧品的に又は製薬上許容されるポリマーを含有し得る。
【0161】
さらなるポリマーとして好ましいアニオン性ポリマーは、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸のホモポリマー及びコポリマー並びにそれらの塩である。そのようなものには、「Carbomer」のINCI名で入手し得るような、アクリル酸の架橋ポリマーも包含される。アクリル酸のそのような架橋ホモポリマーは、例えば、「Carbopol(登録商標)」の名称で、BF GOODRICHから市販されている。「Carbopol(登録商標)Ultrez 21」(Noveon製)などの、疎水性的に変性された架橋ポリアクリレートポリマーも好ましい。
【0162】
好適なさらなるアニオン性ポリマーのさらに別の例は、アクリル酸とアクリルアミドのコポリマー及びその塩、ポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、水溶性又は水分散性のポリエステル、ポリウレタン並びにポリ尿素である。特に好適なポリマーは、(メタ)アクリル酸とポリエーテルアクリレート(ここで、ポリエーテル鎖の末端は、C8-C30-アルキルラジカルである)のコポリマーである。そのようなものとしては、例えば、アクリレート/ベヘネス-25 メタクリレートコポリマーなどがあり、これは、Aculyn(登録商標)の名称でRohm und Haasから入手可能である。特に好適なポリマーは、さらにまた、t-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸のコポリマー(例えば、Luvimer(登録商標)100P)、エチルアクリレートとメタクリル酸のコポリマー(例えば、Luviumer(登録商標) MAE)、N-t-ブチルアクリルアミド、エチルアクリレート、アクリル酸のコポリマー(Ultrahold(登録商標)8, strong)、酢酸ビニル、クロトン酸及び適切な場合にはさらにビニルエステルのコポリマー(例えば、Luviset(登録商標)グレード)、無水マレイン酸コポリマー(適切な場合には、アルコール、アニオン性ポリシロキサン(例えば、カルボキシ官能基を有するもの)、t-ブチルアクリレート、メタクリル酸と反応させる)(例えば、Luviskol(登録商標)VBM)、アクリル酸及びメタクリル酸と疎水性モノマー(例えば、メタ(アクリル酸)のC4-C30-アルキルエステル、C4-C30-アルキルビニルエステル、C4-C30-アルキルビニルエーテル及びヒアルロン酸)のコポリマーである。アニオン性ポリマーの例は、さらにまた、例えばResyn(登録商標)(National Starch)及びGafset(登録商標)(GAF)の名称で市販されているもののような、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、並びに、例えばLuviflex(登録商標)(BASF)の商品名で入手可能な、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマーである。好適なさらなるポリマーは、Luviflex(登録商標)VBM-35(BASF)の名称で入手可能なビニルピロリドン/アクリレートターポリマー、及び、スルホン酸ナトリウム含有ポリアミド又はスルホン酸ナトリウム含有ポリエステルである。
【0163】
さらに、好適なアニオン性ポリマーの群には、例えば、以下のものが包含される:Balance(登録商標)CR(National Starch;アクリレートコポリマー)、Balance(登録商標)0/55(National Starch;アクリレートコポリマー)、Balance(登録商標)47(National Starch;オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、Aquaflex(登録商標)FX64(ISP;イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー)、Aquaflex(登録商標)SF-40(ISP/National Starch;VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー)、Allianz(登録商標)LT-120(ISP;Rohm & Haas;アクリレート/C1-2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー)、Aquarez(登録商標)HS(Eastman;ポリエステル-1)、Diaformer(登録商標)Z-400(Clariant;メタクリロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー)、Diaformer(登録商標)Z-711(Clariant;メタクリロイルエチル N-オキシド/メタクリレートコポリマー)、Diaformer(登録商標)Z-712(Clariant;メタクリロイルエチル N-オキシド/メタクリレートコポリマー)、Omnirez(登録商標)2000(ISP;エタノール中のポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノエチルエステル)、Amphomer(登録商標)HC(National Starch;アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、Amphomer(登録商標)28-4910(National Starch;オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、Advantage(登録商標)HC 37(ISP;ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのターポリマー)、Advantage(登録商標)LC55及びLC80又はLC A及びLC E、Advantage(登録商標)Plus(ISP;VA/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー)、Aculyne(登録商標)258(Rohm & Haas;アクリレート/ヒドロキシルエステルアクリレートコポリマー)、Luviset(登録商標)P.U.R.(BASF, ポリウレタン-1)、Luviflex(登録商標)Silk(BASF)、Eastman(登録商標)AQ 48(Eastman)、Styleze(登録商標)CC-10(ISP;VP/DMAPAアクリレートコポリマー)、Styleze(登録商標)2000(ISP;VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー)、DynamX(登録商標)(National Starch;ポリウレタン-14 AMP-アクリレートコポリマー)、Resyn(登録商標)XP(National Starch;アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、Fixomer(登録商標)A-30(Ondeo Nalco;ポリメタクリル酸(及び)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、Fixate(登録商標)G-100(Noveon;AMP-アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー)。
【0164】
好適なさらなるポリマーは、さらにまた、US 3,405,084に記載されている、ビニルピロリドンと(C1-C10-アルキル-、シクロアルキル-及びアリール(メタ)アクリレート)とアクリル酸のターポリマーである。好適なさらなるポリマーは、さらにまた、EP-A-0257444及びEP-A-0480280に記載されている、ビニルピロリドンとt-ブチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸のターポリマーである。好適なさらなるポリマーは、さらにまた、DE-A-4223066に記載されている、少なくとも1種類の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸並びにN-ビニルピロリドン及び/又はN-ビニルカプロラクタムを共重合された形態で含んでいるコポリマーである。これらの文献の開示内容は、参照により本明細書に組み入れる。
【0165】
カルボン酸基を含んでいる好適なポリマーは、さらにまた、カルボン酸基を含んでいるポリウレタンである。
【0166】
EP-A-636361には、ポリシロキサンブロックとポリウレタン/ポリ尿素ブロック(ここで、これは、カルボン酸及び/又はスルホン酸基を有する)を有する好適なブロックコポリマーが開示されている。好適なシリコーン含有ポリウレタンは、WO 97/25021及びEP-A-751162にも記載されている。適切なポリウレタンは、DE-A-4225045(これは、参照により、その全体を本明細書に組み入れる)にも記載されている。
【0167】
それらのポリウレタンは、基本的には、以下のものから構成されている:
(i) 1分子当たり2個以上の活性水素原子を含んでいる少なくとも1種類の化合物;
(ii) 少なくとも1種類の、カルボン酸基含有ジオール又はその塩;
及び
(iii) 少なくとも1種類のポリイソシアネート。
【0168】
成分(i)は、例えば、ジオール、ジアミン、アミノアルコール又はそれらの混合物である。それらの化合物の分子量は、好ましくは、約56〜280の範囲内にある。必要に応じて、分子の最大で3モル%までは、トリオール又はトリアミンで置き換えることができる。
【0169】
使用可能なジオール(i)は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメチロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール及びそれらの混合物である。ネオペンチルグリコール及び/又はシクロヘキサンジメチロールを使用するのが好ましい。好適なアミノアルコール(i)は、例えば、2-アミノエタノール、2-(N-メチルアミノ)エタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、1-エチルアミノブタン-2-オール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、4-メチル-4-アミノペンタン-2-オールなどである。好適なジアミン(i)は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン及び1,6-ジアミノヘキサン、並びに、α,ω-ジアミノポリエーテル(これは、アンモニアを用いてポリアルキレンオキシドをアミノ化することにより調製することができる)である。
【0170】
成分(i)は、さらにまた、約300〜5000の範囲、好ましくは、約400〜4000の範囲、特に、500〜3000の範囲内の数平均分子量を有するポリマーであってもよい。使用可能なポリマー(i)は、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテロール及びそれらの混合物である。ポリエーテロールは、好ましくは、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフランなどであるか、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであるか、又は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとブチレンオキシドのブロックコポリマー(これは、共重合されたアルキレンオキシド単位をランダムに分布している状態で含んでいるか、又は、ブロックの形態で含んでいる)である。好適なポリテトラヒドロフラン(i)は、酸性触媒(例えば、硫酸又はフルオロ硫酸)の存在下でテトラヒドロフランをカチオン重合させることにより調製することができる。そのような調製方法は、当業者には知られている。使用可能なポリエステルジオール(i)は、好ましくは、約400〜5000の範囲、好ましくは、約500〜3000の範囲、特に、約600〜2000の範囲内の数平均分子量を有している。好適なポリエステルジオール(i)は、ポリウレタンの調製に慣習的に使用されている全てのポリエステルジオールであり、特に、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、Naスルホイソフタル酸又はKスルホイソフタル酸など)に基づくポリエステルジオール、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸又はコハク酸など)に基づくポリエステルジオール、及び、脂環式ジカルボン酸(例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸)に基づくポリエステルジオールである。好適なジオールは、特に、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4-ジメチロールシクロヘキサンなどである。
【0171】
1分子当たり2個の活性水素原子及び少なくとも1のカルボン酸基を有している好適な化合物(ii)は、例えば、ジメチロールプロパン酸、及び、ジメチロールプロパン酸を含んでいる混合物である。
【0172】
成分(iii)は、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族の慣習的なポリイソシアネート、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート及び2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体混合物、o-キシリレンジイソシアネート及びm-キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、並びに、それらの混合物、特に、イソホロンジイソシアネート及び/又はジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。必要に応じて、分子の最大で3モル%までは、トリイソシアネートで置き換えることができる。
【0173】
好適なさらなるポリマーは、さらにまた、カチオン性ポリマーである。そのようなものとしては、例えば、ポリクオタニウムのINCI名を有するカチオン性ポリマー、例えば、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Care)、硫酸ジエチルで4級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold);カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4及びポリクオタニウム-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)及びキトサンなどがある。好適なカチオン性(4級化)ポリマーは、さらにまた、Merquat(登録商標)(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドをベースとするポリマー)、Gafquat(登録商標)(ポリビニルピロリドンを第4級アンモニウム化合物と反応させることにより生成される第4級ポリマー)、Polymer(登録商標)JR(カチオン性基を有するヒドロキシエチルセルロース)、及び、植物性カチオン性ポリマー、例えば、グアーポリマー、例えば、Rhodia製のJaguar(登録商標)グレードなどである。
【0174】
好適なさらなるポリマーは、さらにまた、両性ポリマー又は双性イオン性ポリマー、例えば、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/t-ブチルアミノエチルメタクリレート/2-ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー(これは、Amphomer(登録商標)(National Starch)の名称で入手可能である)、並びに、例えば、ドイツ特許出願DE 3929973、DE 2150557、DE 2817369及びDE 3708451などに開示されている双性イオン性ポリマーである。アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリル酸又はメタクリル酸コポリマー並びにそのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩は、好ましい双性イオン性ポリマーである。好適なさらなる双性イオン性ポリマーは、メタクロイルエチルベタイン/メタクリレートコポリマー(これは、Amersette(登録商標)(AMERCHOL)の名称で市販されている)、及び、ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートとN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレートとアクリル酸のコポリマー(Jordapon(登録商標))である。
【0175】
さらなるポリマーとして適している中性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタム及びN-ビニルピロリドンとの別のコポリマー、ポリエチレンイミン及びその塩、ポリビニルアミン及びその塩、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸の塩及び誘導体などである。そのようなものとしては、例えば、Luviflex(登録商標)Swing(ポリ酢酸ビニルとポリエチレングリコールの部分的に加水分解されたコポリマー, BASF)などがある。
【0176】
好適なポリマーは、さらにまた、非イオン性の水溶性又は水分散性のポリマー又はオリゴマー、例えば、ポリビニルカプロラクタム、例えば、Luviskol(登録商標)Plus(BASF)、又は、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、特に、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)とのコポリマー、例えば、Luviskol(登録商標)VA 37(BASF);ポリアミド、例えば、DE-A-4333238に記載されているような、例えば、イタコン酸と脂肪族ジアミンに基づくポリアミドなどである。
【0177】
好適なポリマーは、さらにまた、シロキサンを含んでいる非イオン性の水溶性又は水分散性のポリマー、例えば、ポリエーテルシロキサン、例えば、Tegopren(登録商標)(Goldschmidt)又はBelsil(登録商標)(Wacker)などである。
【0178】
本発明の医薬組成物の製剤基剤は、好ましくは、製薬上許容される助剤を含んでいる。製薬上許容される助剤は、製薬や食品技術の分野及び関連する分野における使用が知られている助剤であり、特に、関係する薬局方(例えば、DAB Ph. Eur. BP NF)に挙げられている助剤、及び、その特性により生理学的用途から除外されていることのない他の助剤である。
【0179】
適切な助剤は、以下のものであり得る:滑沢剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、防腐剤、酸化防止剤、抗刺激性物質、キレート化剤、乳化安定剤、皮膜形成剤、ゲル形成剤、臭気マスキング剤、樹脂、親水コロイド、溶媒、溶解性促進剤、中和剤、浸透性促進剤、顔料、4級アンモニウム化合物、再グリース剤(regreasing agent)、過グリース剤(supergreasing agent)、軟膏基剤、クリーム基剤、オイル基剤、シリコーン誘導体、安定化剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、乳白化剤、シックナー、蝋、可塑剤、白油。これに関連した一実施形態は、例えば、文献「Fiedler, H.P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete [Lexicon of auxiliaries for pharmacy, cosmetics and related fields], 4th edition, Aulendorf: ECV-Editio-Kantor-Verlag, 1996」に記載されているような、専門的知識に基づく。
【0180】
本発明の皮膚科的組成物を調製するために、活性成分を、適切な助剤(賦形剤)と混合するか又は適切な助剤(賦形剤)で希釈することができる。賦形剤は、活性成分のためのビヒクル、担体又は媒体として働き得る、固体、半固体又は液体の物質であることができる。必要に応じ、さらなる助剤を当業者に既知の方法で混合する。さらに、上記ポリマー及び多価電解質複合体は、調剤における助剤として適しており、好ましくは、固体剤形用のコーティング若しくは結合剤として又はコーティング若しくは結合剤中の助剤として適している。それらは、クリーム剤中で使用することも可能であり、また、錠剤のコーティング及び錠剤の結合剤として使用することも可能である。
【0181】
医薬調製物
本発明の1つの主題は、本発明のポリマーと製薬上慣習的な活性成分及び添加剤を含んでいる医薬組成物に関する。
【0182】
固体の医薬投与剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、ペレット剤、顆粒剤、結晶剤など)は、非常に様々な理由で、コーティングが施される。即ち、膜で被覆される。従って、例えば、悪い臭い及び味は、マスクすることが可能であり、また、嚥下可能性を改善することができる。コーティングの結果として、活性成分の安定性を増大させることが可能であるが、それは、錠剤の内部へ入ってくる水蒸気と酸素が低減するからである。その投与剤形は、見た目がよくなり、また、染料を組み入れることにより、識別性をよくすることができる。さらに、特に、フィルムコーティングに基づいて、活性成分の放出速度を調節することができる。
【0183】
一般に、即時放出剤形と持続放出剤形は区別される。
【0184】
即時放出剤形の場合、錠剤の崩壊と投与剤形からの活性成分の放出は、可能であれば、コーティングに影響されるべきではなく、従って、フィルムコーティングは、胃液中で迅速に溶解しなければならない。さらに、それは、優れたフィルム特性を有していなければならない。フィルムコーティングが、製薬上の加工処理(特に、製剤化)中に生じる機械的影響、並びに、輸送及び/又は貯蔵中にも生じる機械的影響に対して、耐えることができるように、引張強さ及び破断点伸びは高くあるべきである。
【0185】
即時放出錠剤をコーティングするのに頻繁に使用される1つの生成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、その濃度が高くなるにつれて、水溶液中で急速に粘性が増大する。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)も同様の挙動を示す。
【0186】
錠剤をコーティングするための膜形成剤溶液は、微細に霧化されなくてなならず、また、生じた液滴は、錠剤の表面を充分に湿らせなくてはならず且つ容易に噴霧されなくてはならないので、その粘度は、特定の限界(150〜250mPas)を超えるべきではない。この限界は、噴霧ノズルの種類と器具に依存する。従って、HPMCの場合、比較的低い膜形成剤濃度のみ使用することが可能である。
【0187】
文献に記載されているPharmacoat(登録商標)606(Shin-etsu)の推奨濃度は、5〜7重量%である(「Pharmaceutical Coating Technology, Ed. Graham Cole, Taylor and Francis Ltd. 1995」、及び、製造元による技術データシート)。そのように噴霧濃度が低いと、加工時間が比較的長くなり、従って、コスト高になる。
【0188】
さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、とりわけ、濡れ性(wetting behavior)、顔料結着力、膜の機械的特性、吸湿性、水蒸気及び酸素に対する透過性、溶出速度、並びに、被膜錠剤(film tablet)とコアの間の崩壊時間の差に関して、さらなる欠点も有している。
【0189】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース製の被膜は弾力性が小さいので、湿潤条件で貯蔵した場合、コアが膨潤する結果として、しばしば、被膜錠剤が裂壊する。可塑剤を用いたとしても、この問題に関する著しい改善は得られない。それどころか、可塑剤の使用により被膜が粘着性になる可能性が有り、また、可塑剤が移動する結果として、錠剤の特性が変わる可能性がある。
【0190】
活性成分の効果を時間的に延ばすことを目的とした、長期間にわたって薬物を放出する経口剤形(一般には、持続放出剤形)は、ますます重要になっている。そのような経口剤形により、有利には、服用回数の減少による患者のコンプライアンスの改善、血漿ピークを回避することによる副作用の低減、血中の薬物レベルの均一性の向上及び局所刺激の回避がもたらされる。水不溶性であるが半透性であるか又は孔を含んでいる膜(その膜を通して薬物が拡散する)でコーティングされている薬物含有コア製剤に加えて、薬物をマトリックス中に包埋することによっても、放出を制御及び延長することが可能である。さらに、イオン交換樹脂及び治療システム(例えば、OROS)を使用することも可能である。
【0191】
薬物を親水コロイドマトリックス中に包埋することにより、特に、簡単で費用効率が高い調製と薬物の高い安全性という利点がもたらされるが、それは、投与量の急速放出が起こり得ないからである。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸又はアルギネート及びキサンタンなどの、一般的に使用される助剤は、適用上の欠点を有している。そのような欠点は、流動性が不充分であること(これは、直接的な打錠の妨げとなる)、薬物の放出が浸透圧(塩含有量)に依存すること、及び、薬物の放出が放出媒体のpHに依存することである。このことは、HPMCに対して当てはまり、また、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタン及びアルギネートに対しても当てはまる。キサンタンを使用した場合は、さらに、錠剤の硬度が低いものとなり、アルギネートを直接打錠すると、得られた成形体は、ほんの僅かな持続放出特性(最大で8時間)しか有しないものとなる。天然の膨潤性材料(例えば、アルギネート)は、全体的に、投入量の変動性が大きい。
【0192】
医薬投与剤形においては、加工特性及び機械的強度を増すために、結合剤が使用される。結合剤は、通常、錠剤、顆粒剤及びペレット剤において使用されて、流動性を向上させ、破壊抵抗を増大させ、また、脆弱性を低減させる。
【0193】
マルトデキストリン又はポリビニルピロリドンなどの現在使用されている結合剤では、多くの場合、破壊抵抗及び脆弱性が不満足なものとなる。別の結合剤、例えば、デンプンペースト及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などは、それらの粘度が高いという理由により、低濃度においてのみ使用可能である。
【0194】
さらに、皮膚若しくは粘膜に適用されるか又は全身的に付加される溶液剤及びスプレー剤においては、膜形成性助剤が使用される。その例は、創傷治療用調製物やスプレー包帯剤(spray dressing)などであり、さらに、無傷の皮膚又は粘膜に適用するための調製物などである。その際、皮膚は膜で保護され、活性成分は、皮膚内に浸透することができるか及び/又は皮膚を通して浸透することができる。
【0195】
経皮治療システムの場合、及び、創傷プラスターの場合、上記で記載した投与剤形の場合と同様に、充分な柔軟性が必要とされるが、現在利用可能な製品はそのような柔軟性を有していない。必要とされる柔軟性を達成するためには、可塑剤を使用することも可能であるが、そのような可塑剤の使用は、毒物学的理由及び製薬上の理由に関して、望ましいものではない。
【0196】
本発明の目的は、上記で記載した欠点のない、医薬調製物におけるコーティング、結合剤及び/又は膜形成剤としての水溶性ポリマー又は水分散性ポリマーを提供することであった。
【0197】
驚くべきことに、本発明のポリマーは、医薬調製物において使用するのに適しているということが見いだされた。
【0198】
本発明のポリマーは、医薬調製物におけるコーティング、結合剤及び膜形成剤として特に適しており、また、医薬調製物における活性成分放出マトリックスとしても特に適している。
【0199】
本発明のポリマーは、非常に多くの医薬調製物において使用可能である。
【0200】
コーティングされた調製物の例としては、フィルム錠剤、フィルムミクロ錠剤(film microtablet)、糖衣錠剤、被覆トローチ剤(coated pastille)、カプセル剤、結晶剤(crystal)、顆粒剤又はペレット剤などを挙げることができる。
【0201】
結合剤含有調製物は、例えば、錠剤、ミクロ錠剤、コア剤(core)、顆粒剤及びペレット剤などである。
【0202】
さらに、本発明のポリマーは、皮膚又は粘膜に適用されると膜を形成するスプレー剤及び溶液剤の調製にも使用することができる。
【0203】
その例は、創傷用スプレー包帯剤、消毒スプレー剤、糸状菌発育阻止剤を含んでいる溶液剤、口腔用スプレー剤(mouth spray)又は抗生物質を含んでいるローション剤などである。経皮治療システムにおいて使用することも可能である。
【0204】
本発明のポリマーは、脂肪親和性表面を迅速に湿らせ、優れた保護コロイド特性を有している。それらは、懸濁液及びエマルション中に含ませた場合、分散層の粒子状に堆積してそれらを安定化させる。従って、それらは、湿潤性助剤として使用可能であり、また、分散系における安定化剤として使用可能である。
【0205】
本発明のポリマーは、水に溶けにくい薬物と相互作用する結果として、それら薬剤の溶解性と溶出速度を向上させる。その結果、それら薬物の再吸収性(resorbability)及び生体利用能が改善される。この有利な効果は、例えば、活性成分が溶解された形態では存在していない投与剤形(例えば、錠剤、顆粒剤、懸濁液剤など)で、明らかである。
【0206】
本発明のポリマーは、適切な場合には、別の助剤と組み合わせた状態においても、活性成分と一緒に加工処理して、ポリマー-活性成分溶融物を得ることが可能であり、得られた溶融物は、押し出してカレンダ加工に付して医薬を得るか、又は、押し出した後、粉砕して顆粒若しくは粉末とし、次いで、剤形に加工処理する(例えば、圧縮して、錠剤とする)。その際、本発明のポリマーにより、上記ですでに記載した特性が、調製物に導入される。
【0207】
種々の医薬調製物において、本発明のポリマーは、優れた方法で、以下の機能を実現することができる:
分散助剤、懸濁助剤、湿潤剤、溶けにくい薬物のための可溶化剤、乳化剤、結晶化阻害剤、固化防止活性成分、保護コロイド、粘膜との接触を長期化及び強化するための生体用接着剤、拡散助剤(spreading auxiliary)、粘度調節剤、薬物を含む固溶体を調製するための助剤、持続放出製剤中で活性成分の放出を調節するための助剤。
【0208】
本発明のポリマーの溶解度は、中和の程度を適切に選択することにより、特定の範囲内で調節可能である。
【0209】
従って、水に不溶性であるか又は水に僅かしか溶解しないが水に対して分散性である本発明のポリマーも、持続放出ポリマー(slow-release polymer)として使用することが可能である。
【0210】
本発明のポリマーは、坐剤及び膣用丸薬(vaginal globuli)の製造に使用される場合、一方では、製造された投与剤形の柔軟性を保証し、他方では、崩壊と活性成分の溶出を促進する。本発明のポリマーは、活性成分を含んでいる膜で粘膜を被覆し、それにより、吸収が増強される。
【0211】
錠剤は、使用する助剤及び活性成分、貯蔵時間、並びに、貯蔵条件(例えば、温度及び湿度)に応じて、様々な程度まで膨潤する。コアが膨潤する場合、堅いフィルムコーティングには、亀裂が入る。従って、膜形成剤の弾性は、重要なパラメータである。
【0212】
本発明のポリマー(適切な場合には、中和されている)は、純粋な形態で、又は、慣習的な助剤と一緒に、活性成分を含んでいるコアに適用することができる。慣習的な助剤は、例えば、着色のための着色顔料、適用範囲を拡大するための白色顔料(例えば、二酸化チタン)、脱粘着剤(detackifier)としてのタルク及び二酸化ケイ素、可塑剤としてのポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、並びに、湿潤作用を向上させるための様々な界面活性物質(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート 80、プルロニック類及びクレモフォール類)などである。例として挙げた上記物質は、何ら限定を表すものではない。胃液中で溶解可能なフィルムコーティングに適する公知の添加剤は、全て、使用可能である。
【0213】
使用し得るコーティング方法は、慣習的な方法、例えば、流動床又は横型ドラムコーター(horizontal drum coater)中でのコーティング、並びに、浸漬コーティング法及びパンコーティング法である。本発明のポリマーは、錠剤への適用の他に、別の医薬調製物(例えば、顆粒剤、ペレット剤、結晶剤又はカプセル剤など)をコーティングするのにも使用可能である。この新規コーティングは、は、5〜200μm、好ましくは、10〜100μmの、慣習的な厚さで適用する。
【0214】
結合剤として使用される場合、加工処理方法に応じて、湿った結合剤と乾燥した結合剤は区別される。後者は、とりわけ、直接打錠において、及び、乾式造粒法又は圧密化において使用される。これらの場合、結合剤を活性成分と混合し、適切な場合には、さらに、助剤と混合し、次いで、直接打錠に付すか、又は、造粒若しくは圧密化に付す。
【0215】
これとは対照的に、湿式造粒法の場合、活性成分と助剤の混合物を、結合剤の水溶液で湿らせるか又は有機溶媒で湿らせ、その湿った塊状物をスクリーンを通して押出し、次いで、乾燥させる。湿らせることと乾燥させることは、例えば流動床式造粒におけるように、同時に行うことも可能である。
【0216】
最適な加工処理のためには、結合剤は、粘度の低い溶液とならなければならない。それは、粘性の高い溶液では、得られる顆粒が不均一になるからである。
【0217】
結合剤は、均一で、硬く、耐摩耗性の顆粒剤又は錠剤をもたらすべきである。破壊抵抗性は、錠剤にとって特に重要であるが、それは、多くの活性成分を圧縮することは困難であり、従って、機械的安定性が不充分な錠剤が得られるからである。
【0218】
さらに、剤形の崩壊性及び活性成分の放出速度が結合剤から受ける悪影響は、無視できる程度であるべきである。
【0219】
最も一般に使用される結合剤の例は、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル/ビニルピロリドンコポリマー、ゼラチン、デンプンペースト、マルトデキストリン、ヒドロキシアルキル化及びカルボキシアルキル化セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び、天然ゴムの類、例えば、アラビアゴム、ペクチン又はアルギネートなどである。
【0220】
これらの結合剤の多くは、溶液状態における粘度が高く、加工処理が困難である。粘度が高いということは、造粒しようとする粉末化粒子が不充分に且つ不均質に湿り、その結果、顆粒強度が不充分となり且つ粒度分布が望ましくないものとなることを意味する。
【0221】
多くの結合剤は、さらに、吸湿性であり、水を吸収すると膨潤する。その結果、顆粒剤及び錠剤の特性が劇的に変化してしまう。
【0222】
驚くべきことに、スルホン基を含んでいるスルホン化ポリマーは、優れた結合効果を有し、さらに、製剤の総量の0.5〜20重量%の範囲、好ましくは、1〜10重量%の範囲の濃度では、崩壊に対するその影響は無視できる程度であるということが分かった。さらに、それは、良好な湿潤特性を有しているので、溶解性が低い活性成分の放出を向上させることが可能である。そのポリマー溶液の粘度が比較的低いことも強調すべきである。
【0223】
必要に応じて、皮膚化粧品調製物及び/又はヘア化粧品調製物に適している製薬上許容される添加剤及び助剤も、もちろん、医薬品調製物で使用することができる。
【0224】
上記ポリマーを結合剤として使用すれば、特に優れた機械的安定性を有し且つ長期間にわたり保存しても安定な顆粒剤及び錠剤が得られる。
【0225】
本発明の好ましいさらに別の実施形態は、皮膚洗浄用組成物である。
【0226】
好ましい皮膚清浄用組成物は、液体からゲルの粘稠度を有する石鹸、例えば、透明石鹸、高級石鹸、デオドラント石鹸、クリーム石鹸、ベビー石鹸、皮膚保護石鹸(skin protection soap)、研磨石鹸(abrasive soap)及び合成洗剤、ペースト石鹸、潤滑石鹸(lubricating soap)及び洗浄用ペースト、液体洗浄剤、シャワー及び浴用調製物、例えば、洗浄用ローション、シャワーバス及びシャワーゲル、フォームバス、オイルバス及びスクラブ洗浄調製物、シェービングフォーム、シェービングローション及びシェービングクリームなどである。
【0227】
本発明の好ましいさらに別の実施形態は、皮膚をケア及び保護するための化粧品組成物、ネイルケア組成物又は装飾的化粧品用調製物である。
【0228】
好適な皮膚化粧品組成物は、例えば、フェイストニック、フェイスマスク、デオドラントその他の化粧ローションなどである。装飾的化粧品で使用するための組成物には、例えば、コンシーラースティック、舞台用メーキャップ、マスカラ及びアイシャドー、口紅、コールペンシル、アイライナー、ほお紅、パウダー及びペンシル型眉墨などが包含される。
【0229】
さらに、本発明のコポリマーは、毛穴洗浄用の毛穴パック(nose strip)中で使用可能であり、抗ニキビ組成物、忌避剤、シェービング組成物、脱毛組成物、陰部ケア組成物及びフットケア組成物中で使用可能であり、また、ベビーケア組成物中で使用可能である。
【0230】
本発明のスキンケア組成物は、特に、W/O又はO/Wスキンクリーム、昼用及び夜用クリーム、アイクリーム、フェイスクリーム、抗シワクリーム、保湿クリーム、漂白クリーム、ビタミンクリーム、スキンローション、ケアローション及び保湿ローションである。
【0231】
本発明のコポリマーに基づく皮膚化粧品組成物及び皮膚科的組成物は、有利な効果を示す。ポリマーは、とりわけ、皮膚の加湿及びコンディショニングに寄与し、また、皮膚の感触の改善に寄与する。ポリマーは、さらにまた、製剤におけるシックナーとしても作用し得る。本発明のポリマーを添加することにより、特定の製剤における皮膚適合性が少なからず改善され得る。
【0232】
皮膚化粧品組成物及び皮膚科的組成物は、好ましくは、本発明による少なくとも1種類のコポリマーを、組成物の総重量に基づいて、約0.001〜30重量%の量で、好ましくは、0.01〜20重量%の量で、特に極めて好ましくは、0.1〜12重量%の量で含んでいる。
【0233】
特に、本発明のコポリマーに基づく光保護組成物は、ポリビニルピロリドンのような慣習的な助剤と比較して、紫外線吸収成分の滞留時間を長くするという特性を有する。
【0234】
使用分野に応じて、本発明の組成物は、スキンケアに適した形態、例えば、クリーム、フォーム、ゲル、スティック、ムース、乳液、スプレー(ポンプスプレー又は噴射剤を含むスプレー)又はローションの形態で適用することができる。
【0235】
皮膚化粧品調製物には、本発明のコポリマー及び適切な担体の他に、上記で記載したような、皮膚化粧品で慣習的に使用されているさらなる活性成分及び助剤を含ませることもできる。そのようなものとしては、好ましくは、以下のものを挙げることができる:乳化剤、防腐剤、香油、化粧品活性成分、例えば、フィタントリオール、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、レチノール、ビサボロール、パンテノール、光保護剤、ブリーチ剤、着色剤、ティント剤、タンニング剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、安定化剤、pH調節剤、染料、塩類、シックナー、ゲル形成剤、増粘剤、シリコーン、保湿剤、再グリース剤、及び、さらに別の慣習的な添加剤。
【0236】
皮膚化粧品組成物及び皮膚科的組成物の好ましい油成分及び脂肪成分は、上記で記載した鉱油及び合成油、例えば、パラフィン、シリコーン油、並びに、8個を超える炭素原子を有する脂肪族炭化水素、動物油及び植物油、例えば、ヒマワリ油、ココナッツ油、アボカド油、オリーブ油、ラノリン、又は、蝋、脂肪酸、脂肪酸エステル、例えば、C6-C30-脂肪酸のトリグリセリド、蝋エステル、例えば、ホホバ油、脂肪アルコール、ワセリン、水素化ラノリン及びアセチル化ラノリン、並びに、それらの混合物である。
【0237】
本発明のコポリマーは、特定の特性を設定しようとする場合、慣習的なポリマーと混合することも可能である。
【0238】
例えば、手ざわり、拡展性、耐水性及び/又は活性成分と助剤(例えば、顔料など)の結合を改善するなど、特定の特性を設定するために、皮膚化粧品調製物及び皮膚科的調製物に、さらに、シリコーン化合物に基づくコンディショニング物質を含有させることもできる。適するシリコーン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン又はシリコーン樹脂などである。
【0239】
上記化粧品調製物又は皮膚科的調製物は、当業者には公知の慣習的な方法により調製する。
【0240】
好ましくは、上記化粧品組成物及び皮膚科的組成物は、エマルション、特に、油中水型(W/O)エマルション又は水中油型(O/W)エマルションの形態にある。しかしながら、別のタイプの製剤、例えば、水分散液(hydrodispersion)、ゲル、油、オレオゲル(oleogel)、多層エマルション(例えば、W/O/Wエマルション又はO/W/Oエマルション)、無水軟膏及び軟膏基剤などを選択することも可能である。
【0241】
エマルションは、既知方法で製造する。エマルションは、本発明の少なくとも1種類のコポリマーの他に、一般に、慣習的な成分、例えば、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、並びに、特に、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸、ラノリン及びその誘導体、天然若しくは合成油又は蝋を含み、また、水の存在下においては、乳化剤も含む。エマルションのタイプに特異的な添加剤の選択、及び、好適なエマルションの調製については、例えば、「Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika [Fundamentals and formulations of cosmetics], Huthig Buch Verlag, Heidelberg, 2nd edition, 1989, third part」(これは、参照により本明細書に組み入れる)に記載されている。
【0242】
好適なエマルション、例えば、スキンクリームなどに適するエマルションは、一般に、油相又は脂肪相中の好適な乳化剤系を用いて乳化される水相を含んでいる。その水相を調製するために、本発明のコポリマーを用いることができる。
【0243】
エマルションの脂肪相中に存在させ得る好ましい脂肪成分としては、以下のものを挙げることができる:炭化水素油、例えば、パラフィン油、ピュアセリンオイル、ペルヒドロスクアレン、及び、これら油中のミクロクリスタリンワックスの溶液;動物油又は植物油、例えば、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ラノリン及びその誘導体、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、カリテ(karite)油、ホプロステツス(hoplostethus)油;大気圧下での蒸留開始点が約250℃で、蒸留終点が410℃である鉱油、例えば、ワセリン油;飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル又はミリスチン酸セチル、ステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸エチル又はパルミチン酸イソプロピル、オクタン酸トリグリセリド又はデカン酸トリグリセリド、及び、リシノール酸セチル。
【0244】
脂肪相には、さらにまた、別の油に可溶性のシリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサ及びシリコーングリコールコポリマー、脂肪酸並びに脂肪アルコールを含ませることもできる。
【0245】
本発明のコポリマーの他に、蝋、例えば、カルナバ蝋、カンデリラ蝋、蜜蝋、ミクロクリスタリンワックス、オゾケライト蝋、並びに、オレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸及びステアリン酸のCa塩、Mg塩及びAl塩を使用することもできる。
【0246】
さらに、本発明のエマルションは、O/Wエマルションの形態にあることも可能である。そのようなエマルションは、通常、油相、油相を水相中で安定化させる乳化剤、及び、通常は濃厚化形態にある水相を含んでいる。適切な乳化剤は、好ましくは、O/W乳化剤、例えば、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステル又は部分的にエステル化されたグリセリドなどである。
【0247】
好ましいさらに別の実施形態によれば、本発明の組成物は、シャワージェル、シャンプー製剤又は浴用剤である。
【0248】
そのような製剤は、本発明の少なくとも1種類のコポリマーと、主界面活性剤としての通常のアニオン界面活性剤と、補助界面活性剤としての両性及び/又は非イオン性界面活性剤を含んでいる。好適なさらに別の活性成分及び/又は助剤は、一般に、脂質、香油、染料、有機酸、防腐剤及び酸化防止剤、並びに、シックナー/ゲル形成剤、スキンコンディショナー、及び、保湿剤から選択される。
【0249】
それらの製剤は、好ましくは、製剤の総重量に基づいて、2〜50重量%、好ましくは、5〜40重量%、特に好ましくは、8〜30重量%の界面活性剤を含んでいる。
【0250】
洗浄剤、シャワー用調製物及び浴用剤においては、ボディクレンジング組成物に慣習的に用いられている全てのアニオン界面活性剤、中性界面活性剤、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤を用いることができる。
【0251】
好適なアニオン界面活性剤は、例えば、以下のものである:アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、並びに、アンモニウム塩及びトリエタノールアミン塩。アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、分子中に、1〜10のエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位、好ましくは、1〜3のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0252】
そのようなものとしては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどを挙げることができる。
【0253】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジアセテート又はアルキルアンホジプロピオネートなどである。
【0254】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はナトリウムココアンホプロピオネートなどを用いることができる。
【0255】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、直鎖又は分枝鎖であり得るアルキル鎖中に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール又はアルキルフェノールと、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物などである。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モル当たり約6〜60モルである。また、アルキルアミンオキシド、モノアルキルアルカノールアミド、ジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシド又はソルビタンエーテルエステルも適している。
【0256】
さらに、洗浄剤、シャワー用調製物及び浴用剤には、慣習的なカチオン界面活性剤、例えば、4級アンモニウム化合物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリドなどを含ませることもできる。
【0257】
さらに、シャワーゲル/シャンプー製剤には、シックナー(例えば、塩化ナトリウム、PEG-55、プロピレングリコールオレエート、PEG-120メチルグルコースジオレエートなど)、並びに、防腐剤、さらなる活性成分及び助剤、並びに、水を含ませることもできる。
【0258】
本発明の特に好ましい実施形態は、ヘアトリートメント組成物である。
【0259】
本発明のヘアトリートメント組成物は、好ましくは、本発明の少なくとも1種類のコポリマーを、組成物の総重量に基づいて約0.1〜30重量%の範囲の量、好ましくは、0.5〜20重量%の範囲の量で含んでいる。
【0260】
本発明のヘアトリートメント組成物は、好ましくは、セットフォーム、ヘアムース、ヘアゲル、シャンプー、ヘアスプレー、ヘアフォーム、エンドフルイド(end fluid)、パーマ用中和剤、染毛剤及びブリーチ剤又は「ホットオイル・トリートメント」の形態にある。上記ヘア化粧品調製物は、適用分野に応じて、(エーロゾル)スプレー、(エーロゾル)フォーム、ゲル、ゲルスプレー、クリーム、ローション又はワックスの形態で適用することができる。ここで、ヘアスプレーは、エーロゾルスプレーと、さらに、噴射剤ガスを含まないポンプスプレーの両方を包含する。ヘアフォームは、エーロゾルフォームと、さらに、噴射剤ガスを含まないポンプフォームの両方を包含する。ヘアスプレー及びヘアフォームは、好ましくは、主として水溶性成分若しくは水分散性成分を含んでいるか、又は、水溶性成分若しくは水分散性成分のみを含んでいる。本発明のヘアスプレー及びヘアフォーム中で使用される化合物が水分散性である場合、それらは、通常、1〜350nmの粒径、好ましくは、1〜250nmの粒径を有する水性微小分散液(aqueous microdispersion)の形態で適用することができる。これら調製物の固形成分含有量は、ここでは、通常、約0.5〜20重量%の範囲である。これらの微小分散液は、一般に、安定化させるために、乳化剤又は界面活性剤を必要としない。
【0261】
本発明のヘア化粧品製剤は、好ましい実施形態では、以下のものを含んでいる:
(a) 0.05〜20重量%の本発明の少なくとも1種類のコポリマー;
(b) 20〜99.95重量%の水及び/又はアルコール;
(c) 0〜50重量%の少なくとも1種類の噴射剤ガス;
(d) 0〜5重量%の少なくとも1種類の乳化剤;
(e) 0〜3重量%の少なくとも1種類のシックナー;
及び
(f) 25重量%以下のさらなる成分。
【0262】
アルコールは、化粧品において慣用される全てのアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノールなどを意味するものと理解される。
【0263】
さらなる成分は、化粧品において慣習的な添加剤、例えば、噴射剤、消泡剤、界面活性化合物、即ち、界面活性剤、乳化剤、フォーム形成剤及び安定化剤などを意味するものと理解される。使用される界面活性化合物は、アニオン性、カチオン性、両性又は中性であり得る。慣習的なさらに別の成分は、さらにまた、例えば、防腐剤、香油、乳白化剤、活性成分、UVフィルター、ケア物質、例えば、パンテノール、コラーゲン、ビタミン類、タンパク質加水分解物、α-ヒドロキシカルボン酸、β-ヒドロキシカルボン酸、タンパク質加水分解物、安定化剤、pH調節剤、染料、粘度調節剤、ゲル形成剤、染料、塩類、保湿剤、再グリース剤、錯化剤、及び、慣習的なさらなる添加剤などであり得る。
【0264】
化粧品組成物に好適な成分は、全て、適切な場合には、ヘア化粧品組成物にも使用し得る。
【0265】
そのようなものには、さらに、化粧品において知られている全てのスタイリングポリマー及びコンディショニングポリマーも包含され、それらは、非常に特別な特性を設定しようとする場合、本発明のポリマーと組み合わせて使用することができる。
【0266】
特定の特性を設定するために、上記調製物には、さらに、シリコーン化合物に基づくコンディショニング物質も含ませることができる。好適なシリコーン化合物は、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂、又は、ジメチコンコポリオール(CTFA)及びアミノ官能性シリコーン化合物、例えば、アモジメチコン(CTFA)などである。
【0267】
本発明のコポリマーは、ヘアスタイリング調製物におけるセット剤として、特に、ヘアスプレー(エーロゾルスプレー及び噴射剤ガスを含まないポンプスプレー)及びヘアフォーム(エーロゾルフォーム及び噴射剤ガスを含まないポンプフォーム)におけるセット剤として、特に適している。
【0268】
好ましい実施形態では、スプレー調製物は、
(a) 0.1〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のコポリマー;
(b) 20〜99.9重量%の水及び/又はアルコール;
(c) 0〜70重量%の少なくとも1種類の噴射剤;
(d) 0〜20重量%のさらなる成分;
含有している。
【0269】
噴射剤は、ヘアスプレー及びエーロゾルフォームに慣習的に使用されている噴射剤である。プロパン/ブタン混合物、ペンタン、ジメチルエーテル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、二酸化炭素、窒素又は圧縮空気が好ましい。
【0270】
本発明の好ましいエーロゾルヘアフォームの製剤は、
(a) 0.1〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のコポリマー;
(b) 55〜99.8重量%の水及び/又はアルコール;
(c) 5〜20重量%の噴射剤;
(d) 0.1〜5重量%の乳化剤;
(e) 0〜10重量%のさらなる成分;
を含有している。
【0271】
使用し得る乳化剤は、ヘアフォームに慣習的に使用されている全ての乳化剤である。好適な乳化剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性又は両性であり得る。
【0272】
エーロゾルフォームに特に適している噴射剤は、プロパン、ブタン、ペンタン又はHFC-152aなどの(適切な場合にはハロゲン化されている)炭化水素とジメチエーテルの混合物である。
【0273】
非イオン性乳化剤の例(INCI名)は、ラウレス、例えば、ラウレス-4;セテス、例えば、セテス-1、ポリエチレングリコールセチルエーテル;セテアレス、例えば、セテアレス-25、ポリグリコール脂肪酸グリセリド、ヒドロキシル化レシチン、脂肪酸のラクチルエステル、アルキルポリグリコシドである。
【0274】
カチオン性乳化剤の例は、セチルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム二水素リン酸、セチルトリモニウムクロリド、セチルトリモニウムブロミド、ココトリモニウムメチルスルフェート、クオタニウム-1〜クオタニウム-x(INCI)である。
【0275】
アニオン性乳化剤は、例えば、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩、並びに、アンモニウム塩及びトリエタノールアミン塩からなる群から選択することができる。上記アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、分子内に、1〜10のエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位、好ましくは、1〜3のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0276】
スタイリングゲルに好適な本発明の調製物は、例えば、以下の組成を有することができる:
(a) 0.1〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のコポリマー;
(b) 80〜99.85重量%の水及び/又はアルコール;
(c) 0〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量%のゲル形成剤;
(d) 0〜20重量%のさらなる成分。
【0277】
しかしながら、ゲル形成剤の使用は、ゲルの特異的なレオロジー特性又は別の適用特性を確立するのに有利であり得る。使用可能なゲル形成剤は、化粧品に慣習的に使用されている全てのゲル形成剤である。そのようなものとしては、僅かに架橋されているポリアクリル酸、例えば、カルボマー(INCI)、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性セルロース(cationically modified cellulose)、多糖類、例えば、キサンタンガム、(カプリル/カプリン酸)トリグリセリド、ナトリウムアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-32(及び)パラフィナムリクイダム(INCI)、ナトリウムアクリレートコポリマー(及び)パラフィナムリクイダム(及び)PPG-1 トリデセス-6、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、ステアレス-10 アリルエーテルアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム-37(及び)パラフィナムリクイダム(及び)PPG-1 トリデセス-6、ポリクオタニウム-37(及び)プロピレングリコールジカプレートジカプリレート(及び)PPG-1 トリデセス-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-44などを挙げることができる。
【0278】
本発明のコポリマーは、コンディショナーとして、化粧品調製物中で使用することができる。
【0279】
上記で定義されている本発明のコポリマーは、好ましくは、セット剤及び/又はコンディショニング剤として、シャンプー製剤中で使用することができる。好ましいシャンプー製剤は、
(a) 0.05〜10重量%の本発明の少なくとも1種類のコポリマー;
(b) 25〜94.95重量%の水;
(c) 5〜50重量%の界面活性剤;
(c) 0〜5重量%のさらなるコンディショナー;
(d) 0〜10重量%のさらなる化粧品成分;
を含有している。
【0280】
シャンプーで慣習的に使用されている全てのアニオン界面活性剤、中性界面活性剤、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤を、上記シャンプー製剤中で使用することができる。
【0281】
好適なアニオン界面活性剤は、例えば、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N-アルコイルサルコシネート、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、α-オレフィンスルホネート、特に、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩、並びに、アンモニウム塩及びトリエタノールアミン塩である。上記アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは、分子内に、1〜10のエチレンオキシド単位又はプロピレンオキシド単位、好ましくは、1〜3のエチレンオキシド単位を有することができる。
【0282】
好適な化合物の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミンなどである。
【0283】
好適な両性界面活性剤は、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホジアセテート又はアルキルアンホジプロピオネートなどである。
【0284】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン又はナトリウムココアンホプロピオネートなどを使用することができる。
【0285】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、直鎖又は分枝鎖であり得るアルキル鎖内に6〜20個の炭素原子を有する脂肪族アルコール又はアルキルフェノールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの反応生成物などである。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モル当たり、約6〜60モルである。さらに、アルキルアミンオキシド、モノアルキルアルカノールアミド、ジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド又はソルビタンエーテルエステルも適している。
【0286】
さらに、シャンプー製剤は、慣用されるカチオン界面活性剤、例えば、4級アンモニウム化合物、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリドなどを含有し得る。
【0287】
シャンプー製剤では、特定の効果を得るために慣用されるコンディショナーを本発明のコポリマーと組み合わせて用いることができる。そのようなものとしては、例えば、ポリクオタニウムのINCI名を有する上記で挙げたカチオン性ポリマー、特に、ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Care)、硫酸ジエチルで4級化されたN-ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold);カチオン性セルロース誘導体(ポリクオタニウム-4及びポリクオタニウム-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクオタニウム-7)などを挙げることができる。タンパク質加水分解物、及び、シリコーン化合物に基づくコンディショニング物質、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン又はシリコーン樹脂などを用いることもできる。好適なさらに別のシリコーン化合物は、ジメチコンコポリオール(CTFA)及びアミノ官能性シリコーン化合物、例えば、アモジメチコン(CTFA)などである。さらにまた、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(INCI)などのカチオン性グアー誘導体も使用することができる。
【0288】
本発明は、さらに、薬物中における助剤としての、好ましくは、固形剤形のためのコーティングとしての又はコーティング中における、レオロジー特性を改変するための、界面活性化合物としての、接着剤としての又は接着剤中における、並びに、織物工業、製紙業、印刷業及び皮革工業のためのコーティングとしての又はコーティング中における、上記で定義されているコポリマーの使用を提供する。
【0289】
以下の非限定的な実施例を参照することにより、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0290】
【表3】

【0291】
一般的な調製方法:エタノール/水(2:1)中における溶液重合
実施例 No.17
組成(EMA/MAM/MAS/AS/NtBAEMA = 65/7/22/3/3)を有するポリマーの30重量%濃度エタノール/水[2.1:1]溶液500gの調製
【表4】

【0292】
還流冷却器、内部温度計及び4つの独立した給送装置を有する器具を撹拌しながら、それに、16.6gのフィード1、0.85のフィード2、27gの水及び40gのエタノールを最初に投入し、得られた混合物を撹拌しながら約65℃まで加熱した。重合が開始した後(重合の開始は、粘度が僅かに上昇することから分かる)、フィード1の残りを3時間かけて添加し、フィード2の残りを67℃で4時間かけて添加した。その反応溶液を、70℃でさらに約2時間、後撹拌した。フィード3を、約70℃で、30分間かけて計量供給した。そのポリマー混合物を、80℃でさらに約2時間、後重合させた。得られたポリマー溶液を、10分間かけて、フィード4中のAMPで中和した。これにより、500gの約30重量%濃度水性エタノール性ポリマー溶液が得られた。
【0293】
同じ方法で、下記実施例1〜実施例20のポリマーを調製した。モノマーについて記載されている量は、「重量%」による。
【表5】

【0294】
* 100%中性化は、2種類の中和剤「AMP」及び「TEA」を組み合わせて、80+20中性化又は50+50中性化により達成される。
【0295】
K値の測定
K値は、「Fikentscher, Cellulosechemie, vol.13, pp.58〜64(1932)」に従って、水性/エタノール性溶液又はエタノール性溶液中で25℃で測定したが、それは、分子量を測定することに相当する。ポリマーの水性/エタノール性溶液又はエタノール性溶液は、溶液100mL中に1gのポリマーを含んでいる。ポリマーが水性分散液の形態にある場合、溶液100mL中にポリマー1gの濃度となるように、その分散液のポリマー含有量に応じて、適切な量の分散液に、100mLになるまでエタノールを継ぎ足す。
【0296】
K値は、「Micro-Ubbelohde capillary type M Ic」(Schott製)で測定した。
【0297】
曲げ剛性の測定
曲げ剛性を測定するために、本発明ポリマーの3.0重量%濃度の溶液を調製する。曲げ剛性の測定は、20℃、相対湿度65%で、毛髪の5〜10の房(それぞれ、約3g、長さ24cm)に対して実施する。乾燥した毛髪の房を秤量し、それを、3%濃度のポリマー溶液に浸漬した。その際、浸すことと取り出すことを3回行って、均一な分布を確保した。余分な膜形成剤溶液を親指と人差し指の間で取り除き、次いで、その毛髪の房を濾紙の間で押しつぶすことにより注意深く圧搾する。次いで、その毛髪の房を、断面が丸くなるように、手で形を整え、20℃、相対湿度65%の人工気象室内で、一晩乾燥させる。実験は、20℃、相対湿度65%の人工気象室内で、引張/圧縮試験装置を用いて実施した。毛髪の房を、サンプルホルダーの2つの円筒ロール上に対称的に配置する。次いで、その毛髪の房を、丸いパンチを用いて正確にその中央で上方から40mmまで曲げる(高分子膜の破損)。これに必用な力を、秤量セル(50N)を用いて測定し、ニュートンで表す。
【表6】

【0298】
応用実施例
実施例1:
【表7】

【0299】
上記実施例は、実施例2〜実施例4及び実施例10〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 80 エーロゾルヘアスプレーが得られる。
【0300】
実施例2:
【表8】

【0301】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 80 エーロゾルヘアスプレーが得られる。
【0302】
実施例3:
【表9】

【0303】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 80 エーロゾルヘアスプレーが得られる。
【0304】
実施例4:
【表10】

【0305】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 55 エーロゾルヘアスプレーが得られる。
【0306】
実施例5:
【表11】

【0307】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 55 エーロゾルヘアスプレーが得られる。
【0308】
実施例6:
【表12】

【0309】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 55 エーロゾルヘアスプレーが得られる。
【0310】
実施例7:
【表13】

【0311】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 55 ポンプスプレーが得られる。
【0312】
実施例8:
【表14】

【0313】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 55 ポンプスプレーが得られる。
【0314】
実施例9:
【表15】

【0315】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 55 ポンプスプレーが得られる。
【0316】
実施例10:
【表16】

【0317】
調製:計量し、撹拌しながら溶解させる。容器に詰め、噴射剤ガスを加える。
【0318】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するVOC 55 ポンプスプレーが得られる。
【0319】
実施例11:
【表17】

【0320】
調製:相1及び相2を計量し、別々に均質化する。次いで、相2をゆっくりと撹拌しながら相1の中に入れる。ほとんど透明で、安定なゲルが形成される。
【0321】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するAculyn 28含有ヘアゲルが得られる。
【0322】
実施例12:
【表18】

【0323】
調製:相1及び相2を計量し、別々に均質化する。次いで、相2をゆっくりと撹拌しながら相1の中に入れる。本質的に透明で、安定なゲルが形成される。
【0324】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するヒドロキシエチルセルロース含有ヘアゲルが得られる。
【0325】
実施例13:
【表19】

【0326】
調製:相1及び相2を計量し、別々に均質化する。次いで、相2をゆっくりと撹拌しながら相1の中に入れる。本質的に透明で、安定なゲルが形成される。
【0327】
上記実施例は、実施例15〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するコンディショナーシャンプーが得られる。
【0328】
実施例14:
【表20】

【0329】
調製:油相及び水相を別々に計量し、約80℃の温度で均質化する。次いで、水相をゆっくりと撹拌しながら油相の中に入れ、撹拌しながら、ゆっくりと室温まで冷却する。
【0330】
上記実施例は、実施例15〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有する標準的なO/Wクリームが得られる。
【0331】
特に記載しない限り、下記に示す個々の成分の量は、重量%による。
【0332】
実施例15:
【表21】

【0333】
調製:相Aの成分を混合させる。相Bを膨潤させ、撹拌しながら相Aの中に入れ、均質化する。相Cを用いて中和し、再度均質化する。
【0334】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するサンスクリーンゲルが得られる。
【0335】
実施例16:
【表22】

【0336】
調製:相Aと相Bを別々に約80℃まで加熱する。相Bを撹拌しながら相Aの中に入れ、均質化する。約40℃まで冷却し、相Cを添加し、短時間、再度均質化する。容器に詰める:3.5バール(20℃)で、90%活性成分及び10%(プロパン/ブタン)。
【0337】
上記実施例は、実施例2〜実施例7のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するボディーローションフォームが得られる。
【0338】
実施例17:
【表23】

【0339】
調製:全て一緒に計量し、次いで、溶解するまで撹拌する。容器に詰める:90部の活性物質及び10部のプロパン/ブタン(25:75)混合物。
【0340】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するシェービングフォームが得られる。
【0341】
調製:相Aを溶解させる。相Bを相Aの中に振りまき、溶解させる。相Cを添加し、減圧下に室温で約45分間撹拌する。
【0342】
上記実施例は、実施例2〜実施例7のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有する歯磨き粉が得られる。
【0343】
実施例18b:
【表24】

【0344】
調製:全ての成分を一緒に秤量し、溶解するまで撹拌する。
【0345】
上記実施例は、実施例2〜実施例7のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するシャワーゲルが得られる。
【0346】
実施例18b:
【表25】

【0347】
調製:相Aの成分を計量し、溶解させる。pHを6〜7に調整する。
【0348】
上記実施例は、実施例2〜実施例7のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するシャワーゲルが得られる。
【0349】
実施例19:
【表26】

【0350】
調製:相Aの成分を計量し、溶解させて、透明な溶液を得る。
【0351】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有する透明なシャワーゲルが得られる。
【0352】
実施例20:
【表27】

【0353】
調製:相Aの成分を混合させる。相Bの成分を順次添加し、混合させる。pHを6〜7に調整する。
【0354】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するシャワーバス(shower bath)が得られる。
【0355】
実施例21:
【表28】

【0356】
調製:相Aの成分を計量し、透明になるまで溶解させる。相Bの成分を順次添加し、混合させる。
【0357】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有する液体石鹸が得られる。
【0358】
実施例22:
【表29】

【0359】
調製:相Aを膨潤させる。相Bを溶解させる。相Bを撹拌しながら相Aの中に入れる。
【0360】
上記実施例は、実施例2〜実施例22のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するフレッシュニングゲル(freshening gel)が得られる。
【0361】
実施例23:
【表30】

【0362】
調製:相Aと相Bを混合し、噴射剤ガスと一緒に容器に詰める。
【0363】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するエーロゾルヘアフォームが得られる。
【0364】
実施例24:
【表31】

【0365】
調製:相Aの成分を混合させる。相Bの成分を順次添加し、溶解させて、透明な溶液とする。
【0366】
上記実施例は、実施例2〜実施例7のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するポンプムースが得られる。
【0367】
実施例25:
【表32】

【0368】
調製:全てを一緒に計量し、溶解するまで撹拌する。次いで、容器に詰める。
【0369】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するエーロゾルフォームが得られる。
【0370】
実施例26:
【表33】

【0371】
調製:全てを一緒に計量し、溶解するまで撹拌する。次いで、容器に詰める。ダークブロンド及び褐色の毛髪にのみ適している。
【0372】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するカラースタイリングムースが得られる。
【0373】
実施例27:
【表34】

【0374】
調製:相Aを混合させる。相Bを撹拌しながら相Aの中に入れる。相Cを添加し、溶解するまで撹拌する。
【0375】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するポンプヘアフォームが得られる。
【0376】
実施例28:
【表35】

【0377】
調製:全てを混合し、均質化する。15分間、後撹拌する。
【0378】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するアクアワックスが得られる。
【0379】
実施例29:
【表36】

【0380】
調製:成分を計量し、溶解させる。pHを6〜7に調整する。
【0381】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するシャンプーが得られる。
【0382】
実施例30:
【表37】

【0383】
調製:成分を計量し、溶解させる。pHを6〜7に調整する。
【0384】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有するふけ取りシャンプーが得られる。
【0385】
実施例31:
【表38】

【0386】
調製:成分を計量し、溶解させる。pHを6〜7に調整する。
【0387】
上記実施例は、実施例2〜実施例20のポリマーを用いて繰り返すことができる。いずれの場合にも、優れた特性を有する透明なシャワーゲルが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー混合物Mをラジカル重合させることにより得られるコポリマーであって、ここで、モノマー混合物Mは、
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート、又は、50〜80重量%のエチルメタクリレートと一般式(I):
【化1】

[式中、
R1は、H又はCH3であり;
R2は、C1-C4-アルキルである]
で表され且つエチルメタクリレートとは異なる少なくとも1種類の化合物との混合物;
(b) 2〜25重量%の一般式(II):
【化2】

[式中、
R3は、H又はC1-C4-アルキルであり;
R4及びR5は、互いに独立して、H若しくはC1-C4-アルキルであるか、又は、R4とR5はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、4員〜7員のヘテロ環であってもよく;
但し、基R3、基R4及び基R5の炭素原子の合計は、4以下である]
で表される少なくとも1種類のα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物;
(c) 15〜35重量%の少なくとも1種類のモノエチレン性不飽和カルボン酸;
(d) 適切な場合には、0〜20重量%のラジカル重合可能なさらなるモノマー(ここで、モノマーは、(a)、(b)及び(c)とは異なっている);
を含み、
モノマー混合物Mは、少なくとも20重量%のエチルメタクリレートを含んでいる、前記コポリマー。
【請求項2】
(a)が、エチルメタクリレートであるか、又は、エチルメタクリレートとt-ブチルアクリレートを含む混合物若しくはエチルメタクリレートとt-ブチルアクリレートからなる混合物である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
一般式(II)において、R4がHであり、且つ、R5がH又はC1-C4-アルキルである、請求項1又は2に記載のコポリマー。
【請求項4】
(b)が、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)アクリルアミド、N-(s-ブチル)アクリルアミド、N-(t-ブチル)アクリルアミド及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項5】
(b)が、メタクリルアミド及び/若しくはN-(t-ブチル)アクリルアミドを含んでいるか、又は、メタクリルアミド及び/若しくはN-(t-ブチル)アクリルアミドからなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項6】
(c)が、メタクリル酸からなるか、又は、メタクリル酸と少なくとも1種類のさらなるモノエチレン性不飽和カルボン酸の混合物からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項7】
(c)が、メタクリル酸であるか、又は、メタクリル酸とアクリル酸の混合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項8】
メタクリル酸の前記少なくとも1種類のさらなるモノエチレン性不飽和カルボン酸に対する重量比が、少なくとも1より大きく、好ましくは2より大きい、請求項6又は7に記載のコポリマー。
【請求項9】
成分(1.d)として、ラジカル重合可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合と1分子当たり少なくとも1のカチオン生成性及び/又はカチオン性の基を有している少なくとも1種類の化合物を共重合された形態で含んでいる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項10】
(a)が、エチルメタクリレートであり;
(b)が、メタクリルアミド及び/又はN-(t-ブチル)アクリルアミドであり;
(c)が、メタクリル酸であるか、又は、メタクリル酸とアクリル酸の混合物であり;
及び、適切な場合には、
(d)が、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)アミノエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーである;
請求項1〜9のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項11】
(a) 60〜75重量%のエチルメタクリレート;
(b) 7〜15重量%の少なくとも1種類の化合物(b);
(c) 18〜27重量%の少なくとも1種類の化合物(c);
及び
(d) 0〜15重量%の少なくとも1種類の化合物(d);
を含んでいる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項12】
(a) 60〜70重量%のエチルメタクリレート;
(b) 8〜12重量%の少なくとも1種類の化合物(b);
(c) 20〜25重量%の少なくとも1種類の化合物(c);
及び
(d) 0〜10重量%の少なくとも1種類の化合物(d);
を含んでいる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項13】
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 2〜15重量%のメタクリルアミド;
(c) 15〜25重量%のメタクリル酸及び1〜10重量%のアクリル酸;
を含んでいる、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項14】
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 3〜25重量%のN-(t-ブチル)アクリルアミド;
(c) 15〜30重量%のメタクリル酸;
を含んでいる、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項15】
(a) 50〜80重量%のエチルメタクリレート;
(b) 3〜25重量%のN-(t-ブチル)アクリルアミド;
(c) 15〜25重量%のメタクリル酸及び1〜10重量%のアクリル酸;
を含んでいる、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項16】
(a)が、50〜80重量%のエチルメタクリレートであり;
(b)が、3〜25重量%のN-(t-ブチル)アクリルアミドであり;
(c)が、15〜30重量%のメタクリル酸であり;
及び
(d)が、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-(t-ブチル)アミノエチルメタクリレート、ビニルイミダゾール及びそれらの混合物からなる群から選択される、1〜7重量%のモノマーである;
請求項1〜10のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項17】
(A) 請求項1〜16のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のコポリマー;
及び、
(B) 化粧品的に又は製薬上許容される少なくとも1種類の担体;
を含んでいる、化粧品組成物又は医薬組成物。
【請求項18】
成分(B)が、
(i) 水;
(ii) 水混和性有機溶媒、好ましくは、C2-C4-アルカノール、特に、エタノール;
(iii) 油、脂肪、蝋;
(iv) C6-C30-モノカルボン酸と一価、二価又は三価のアルコールのエステルであって、(iii)とは異なるエステル;
(v) 非環式又は環式の飽和炭化水素;
(vi) 脂肪酸;
(vii) 脂肪アルコール;
(viii) 噴射剤ガス;
及び
それらの混合物;
から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
化粧品的に活性な成分、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、香油、シックナー、ヘアポリマー、ヘアコンディショナー、スキンコンディショナー、グラフトポリマー、水溶性又は水分散性のシリコーン含有ポリマー、光保護剤、ブリーチ剤、ゲル形成剤、ケア剤、着色剤、ティント剤、タンニング剤、染料、顔料、増粘剤、保湿剤、再グリース剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、皮膚軟化剤及び柔軟剤から選択され、成分(A)及び成分(B)とは異なっている少なくとも1種類の添加剤を含んでいる、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
ゲル、フォーム、スプレー、ムース、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、ローション、乳液又はペーストの形態にある、請求項17〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が有している揮発性有機成分の割合が、80重量%以下、好ましくは、55重量%以下である、請求項17〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
皮膚洗浄用組成物、皮膚をケア及び保護するための組成物、ネイルケア組成物、装飾的化粧品用調製物及びヘアトリートメント組成物における、請求項1〜16のいずれか1項に記載のコポリマーの使用。
【請求項23】
セット剤及び/又はコンディショナーとしての、ヘアトリートメント組成物における請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記組成物が、ヘアゲル、シャンプー、セットフォーム、ヘアトニック、ヘアスプレー又はヘアフォームの形態にある、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
薬物における助剤としての、好ましくは、固形剤形のためのコーティングとしての又はコーティング中における、レオロジー特性を改変するための、界面活性化合物としての、接着剤としての又は接着剤中における、並びに、織物工業、製紙業、印刷業及び皮革工業のためのコーティングとしての又はコーティング中における、請求項1〜16のいずれか1項に記載のコポリマーの使用。

【公表番号】特表2008−517121(P2008−517121A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537199(P2007−537199)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011239
【国際公開番号】WO2006/045508
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】