説明

アルミニウムへの電気メッキ方法

この発明は、アルミニウム表面を清浄化すること、腐食性のニトレート化合物を実質的に含まず、過酸素化合物を含む酸性エッチング溶液に前記アルミニウム表面を接触させること、前記アルミニウム表面を、6〜60g/lの亜鉛及び100〜500g/lのヒドロキシイオンを含むジンケート処理溶液に接触させることを含んでなる、その後のメッキのためにアルミニウム表面をジンケート処理する方法に関する。廃棄物処理を簡単にするため、酸性エッチング溶液は有害な無機フルオリド化合物を実質的に含まない。この発明は、図2、特にステップ6を参照することによって理解することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
この発明は、アルミニウムへの電気メッキの技術分野に属する。特に、この発明はジンケート処理方法(zincating methods)に関し、より特にこの発明は、アルミニウムコアの内側接地面(aluminum core internal ground planes)を有する複層プリント配線基板に、メッキされたスルーホールを形成する方法に関する。
【0002】
(背景技術)
アルミニウムの金属メッキする方法には、メッキのためにアルミニウムを調製することに、時間及びコストがかかる前処理プロセスを要する。メッキを適用する最も一般的な方法はジンケート処理方法であって、その方法は清浄化されたアルミニウム表面に、亜鉛の浸漬被覆(immersion coating)を適用する方法である。アルミニウム処理の典型的な金属メッキでは、アルミニウム基材を最初に清浄化して汚れ及び油脂分を除き、その後、エッチングしてジンケート処理被覆を付着させるのに好適な基材を提供する。エッチングした基材は、それから硝酸によりスマット除去(desmutting)されて表面の酸化アルミニウムが除去される。アルミニウム基材はそれからジンケート処理された後、金属メッキされる。ジンケート層は、その後の金属メッキ操作において無くなる一時的な被覆である。最初のジンケート層が硝酸によってストリップされ、その後に第2のジンケート層がアルミニウム基材に適用される、複式ジンケート処理(double zincate procedure)が一般に用いられている。複式ジンケート処理は第1の亜鉛被覆を適用した後、50%硝酸に浸漬してその亜鉛をストリップする。その後、第2の亜鉛被覆を適用するが、その第2の亜鉛被覆は第1の亜鉛被覆と比べてより均一である。アルミニウムのスマット除去及び複式ジンケート処理に用いられる硝酸は銅を積極的にエッチングするため、通常のジンケート処理溶液はプリント配線基板の製造に使用することができない。
【0003】
標準的なジンケートプロセスは、緩衝化されたアルカリ性清浄化溶液中、77℃(170°F)で1〜3分間処理すること、その後、水酸化ナトリウムエッチング溶液中、55℃(130°F)で0.50〜1分間処理することの2段階で、アルミニウム表面をアルカリエッチングすることから始まる。アルカリエッチングによってアルミニウム表面にスマットが残され、そのスマットは、強酸、例えば50%硝酸溶液、若しくは25%熱硫酸の後での50%硝酸溶液、又は硝酸3部及びフッ化水素酸1部の溶液によって除去される。スマット除去の後、ジンケート処理溶液中に浸漬することによって、アルミニウム表面は亜鉛によって被覆される。ジンケート処理溶液は、一般に、120〜500g/lの水酸化ナトリウム、20〜100g/lの酸化亜鉛、10〜60g/lのロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)若しくはその他の錯化能ある有機酸塩、例えばグルコネート及びサリチレート及び添加物、例えば硝酸ナトリウム、銅、鉄若しくはニッケル塩を含んでなる。
【0004】
単位面積あたり高い要素密度(component density)を有するプリント回路基板は、放熱(dissipating heat)の手段を必要とする。この問題点の複雑さは、半導体産業がより小さな寸法のパッケージへと機能及び電子的処理を図る場合に、より増大する。最も重要な問題点の1つは、プリント配線基板及び要素から熱を除去すること、並びにプリント配線基板と要素との間に信頼できる接続を維持することである。2つの最も一般的なアプローチは、外側のパッシブなヒートシンク及び内側のアクティブなヒートシンクである。
【0005】
外側のパッシブなヒートシンクはプリント配線基板の外側層に接合された金属プレートである。金属プレートはアルミニウム又は銅のいずれであってもよい。放熱は、ヒートシンク材料、材料の厚み、及びヒートシンクとプリント配線基板との間の接合材料の放熱特性に依存する。外側のパッシブなヒートシンク面は、低密度でメッキされたスルーホールを有する構成を必要としており、そのことが主たる問題点である。
【0006】
内側のアクティブなヒートシンク面は、接地面及びヒートシンクの2つの機能を果たし得る。内側の接地面及びヒートシンクとして用いられる銅プレートは、プリント配線基板内でラミネートされ、ドリルで穴あけされ、メッキされて、電気的及び熱的な要求について二重のサポートを提供する。しかしながら、適切な放熱のために要求される厚い銅プレートは重量があり、重量に敏感な用途には限定されて用いられている。
【0007】
米国特許第4,601,916号(アラチンギ(Arachtingi))には、アルミニウムコアのプリント配線基板が記載されている。アルミニウムコアは、銅クラッドプリプレグの両側にラミネートされている。ドリル穴あけによって、銅クラッド及びアルミニウムコアを通るホールが形成されている。ホールの壁部に露出するアルミニウム表面はエポキシ樹脂によって電気泳動的に被覆され、常套の技術によってプリント回路パターン及びメッキされたスルーホールが形成される。Arachtingiの方法には、アルミニウムコアへの電気的な接続を有するメッキされたスルーホールを形成することは含まれないので、アルミニウムコアはパッシブなサポートである。
【0008】
米国特許第5,538,616号(アライ(Arai))は、プリント配線基板、例えば、メッキされたスルーホールによって連絡されているアルミニウム導体である内側のアルミニウム導体を有する複層プリント配線基板を製造する方法に関する。Araiの方法では、スルーホールが設けられている複層ラミネートは、パラジウム/スズ触媒により処理されている。その後、ラミネートは、アルカリ清浄化溶液及び酸清浄化溶液に付されて、露出するアルミニウム表面がエッチングされる。酸清浄化溶液に続いて、ラミネートは硝酸ニッケル及び硝酸ナトリウムを含む熱い酸性溶液により処理される。アライは、この熱い酸性硝酸ニッケル処理によってアルミニウムの表面に、サブミクロンのインターバルでの微細なニッケルによる置換を生じさせることを提案している。このニッケルは、無電解ニッケルメッキによる更なる成長のベースとなる。無電解ニッケルメッキの後で、スルーホールは常套の銅電気メッキによってメッキされる。
【0009】
アライの酸性清浄化溶液は、50g/lアンモニウムビフルオリド(酸性フッ化アンモニウム)及び20%硝酸溶液である。ニッケル置換処理は、酸性硝酸処理でもある。硝酸溶液は、銅表面、例えば銅クラッドラミネートを強く攻撃し、銅表面をエッチング及びピッチングし、有害な窒素酸化物のヒューム(煙霧(fume))を発生させる。アライは無電解ニッケルメッキの前に銅表面をマスキングすることは示していない。無電解ニッケルメッキの前にこれらの表面をマスキングしない限り、外側の銅表面は無電解ニッケルによってメッキされる。マスキングすること及び続いてそのマスクをストリッピングすることは、方法に余分な工程を加えることになり得る。外側の銅表面をマスキングしなければ、無電解ニッケル層(メッキ)によって表面の導体パターンはエッチングされることになる。複層プリント配線基板においては必要とされるが、無電解ニッケルメッキによる微細なパターンのエッチングはきわめて困難である。それは、ニッケル層を攻撃するために強いエッチャントが必要とされること及びニッケル層と銅層との間に腐食性電池(corrosion cell)が形成されることによる。酸性フルオリド溶液、例えばアンモニウムビフルオリド(酸性フッ化アンモニウム)は非常に有害であって、その使用及びそれらを含む廃棄物溶液の処理には、特別な予防措置を取る必要がある。これらの理由から、アライの方法は、プリント配線基板の分野では受け入れられなかった。
【0010】
(発明の概要)
この発明の1つの目的は、アルミニウム基材をジンケート処理する方法を提供することである。この方法は、環境にやさしくなく(従ってフレンドリーでなく)、そして廃棄物の処理が困難である酸フルオリド及び硝酸の使用を防止する方法である。
【0011】
この発明は、アルミニウム表面を清浄化すること、過酸素化合物を含んでなり、腐食性のニトレート化合物を実質的に含まない酸性エッチング溶液に前記アルミニウム表面を接触させること、並びに、前記アルミニウム表面を6〜60g/lの亜鉛及び100〜500g/lのヒドロキシイオンを含むジンケート処理溶液に接触させることを含んでなる、その後にメッキを施すためのアルミニウム表面のジンケート処理方法に関する。酸性エッチング溶液は、廃棄物処理を簡単にするため、有害な無機フルオリド化合物を実質的に含まないこともあり得る。
【0012】
この発明は、1つの要旨において、有機ラミネート上のプリント配線基板であって、アルミニウム導体層(conductor layer)及び銅メッキされたスルーホールを有するプリント配線基板を製造する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つのアルミニウム導体及び前記アルミニウム導体に連絡するホールを有するラミネートを供給する工程;露出するアルミニウム導体及びホール壁部を清浄化する工程;露出するアルミニウム導体及びホール壁部に酸性エッチング溶液を接触させる工程であって、前記酸性エッチング溶液は腐食性のニトレート化合物を実質的に含まない工程;露出するアルミニウム導体をジンケート処理溶液に接触させる工程であって、該ジンケート処理溶液は6〜60g/lの亜鉛及び100〜500g/lのヒドロキシイオンを含む工程;アルカリ性メッキ溶液中でアルミニウム導体に銅を電気メッキする工程;ホール壁部を金属被覆(metallizing)する工程;ホール壁部を電気メッキして、銅メッキされたスルーホールを形成する工程;並びに銅メッキされたスルーホールを有するラミネートを処理して最終的なプリント配線基板を形成する工程を含んでなる。
【0013】
本発明のジンケート処理方法は、アルカリ清浄化溶液中でアルミニウム表面のエッチングをすることから始まり、その後、水酸化ナトリウムエッチング溶液中での短いエッチング、又は酸性清浄化溶液処理のいずれかを行う。これらの処理によってアルミニウム表面にスマットが残され、そのスマットは非硝酸性ストリッパー(non-nitric acid stripper)溶液中でストリップされる。非硝酸性ストリッパー溶液(ニトレート化合物を実質的に含まないストリッパー溶液)は、過酸素化合物、例えば過硫酸塩又はペルオキソ硫酸塩等の水溶液である。そのようなストリッパー溶液の1つには、ペルオキソ一硫酸カリウムの25g/l溶液がある。ペルオキソ一硫酸カリウムは、デュポン社(DuPont)からオキゾン(Oxone)(登録商標)として、及びデグッサ・コーポレイション(Degussa Corp.)(ニュージャージー州、Parsippany)からキャロースト(Caroat)(登録商標)として入手することもできる。ストリッパー又はエッチング溶液の後には、濯ぎを行う。
【0014】
ペルオキソ一硫酸カリウムストリッパーは、一般に10〜100g/lのペルオキソ一硫酸カリウムを含有しており、好ましい濃度は20〜30g/lである。スマット除去(desmutting)の後、ジンケート処理溶液に浸漬することによって、アルミニウム表面を亜鉛によって被覆する。ジンケート処理溶液は、一般に、120〜500g/lの水酸化ナトリウム、20〜100g/lの酸化亜鉛、10〜60g/lのロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)又はその他の錯体生成能を有する有機酸塩(complexing organic acid salts)、例えばグルコネート及びサリチレート及び添加物、例えば硝酸ナトリウム、銅、鉄若しくはニッケル塩を含んでなる。
【0015】
本発明の生成物及び本発明の生成物を製造する方法は、少なくとも1つのアルミニウム導体層又はアルミニウムコアを有するプリント配線基板及び両面プリント配線基板にも適用することができる。しかしながら、本発明は、複数の信号層及び1又はそれ以上のアルミニウムヒートシンク及び/又は接地面を有する高密度複層プリント配線基板に特に好適である。
【0016】
アルミニウム接地面を有する複層ボードの製造において、内側の信号面(層)は、銅クラッド基材上に所望のパターンのエッチングを行うことによる常套の方法で製造することができる。信号面(層)及び外側の銅クラッド層は、銅接地面へのラミネートを行う場合に用いられる方法と同じ方法にて、アルミニウム接地面へラミネートされる。ラミネートの後、外側銅クラッド層、信号面(層)及びアルミニウム接地面を通って、必要とされるスルーホールがドリル穴あけされる。必要とされるめくらビアもドリル穴あけされる。
【0017】
アルミニウムヒートシンク/接地面を有するメッキされたスルーホールを形成するためには、アルミニウム並びに導体層どうしの間の絶縁誘電体及び銅導体に電気メッキを施す必要がある。
【0018】
アルミニウムコア複層を製造する方法の概要を、図1に示す。エッチングされた内側導体層、プリプレグ、アルミニウム層及び外側銅クラッド層を互いに組み立てて、ラミネートする。複層ラミネートにスルーホールを穴あけする。
【0019】
穴あけした後、図2に示すようなメッキ処理のために、スルーホールの調製を行う。最初のステップにおいて、複層パネルをメッキ用のラックに装着する。ステップ2は、アルカリ性清浄化溶液への浸漬である。循環ポンプを用いてアルカリ性清浄化溶液を撹拌してもよい。好適なアルカリ性清浄化溶液は、よく知られており、広く入手することができる。そのような溶液の1つには、55℃(130°F)で35〜45g/lの濃度のアトテック・ベーシクリーン(Atotech Basiclean)LP(登録商標)が含まれる。アトテック(Atotech)(登録商標)製品は、アトテック・ユー・エス・エイ社(Atotech USA Inc.)(サウスカロライナ州、ロックヒル、オーバービュー・ドライブ1750番)から入手することができる。図2において、ステップ3の濯ぎに続いて、複層パネルをステップ4の酸性清浄化溶液の中に浸漬させる。好適な酸性清浄化溶液の1つには、43℃(110°F)の温度及び145−225g/lの濃度のアトテック・アシッド・クリーナー(Atotech Acid Cleaner)AF(登録商標)がある。ステップ5は濯ぎであって、濯ぎ液は空気撹拌することができる。ステップ6は、非硝酸性ストリッパー溶液である。非硝酸性ストリッパー溶液は室温にて操作することができ、循環ポンプによって撹拌することができる。非硝酸性ストリッパー溶液は、過酸素化合物、例えば過硫酸塩又はペルオキソ硫酸塩の水溶液である。そのようなストリッパーの1つには、ペルオキソ一硫酸カリウムの25g/l溶液がある。ペルオキソ一硫酸カリウムは、デュポン社(DuPont)からオキゾン(Oxone)(登録商標)として入手することも、デグッサ・コーポレイション(Degussa Corp.)(ニュージャージー州、Parsippany)からキャロースト(Caroat)(登録商標)として入手することもできる。ストリッパー又はエッチング溶液の後には濯ぎを行い、その際に空気攪拌することができる(図2、ステップ7)。
【0020】
ペルオキソ一硫酸カリウムストリッパーは、一般に10〜100g/lのペルオキソ一硫酸カリウムを含有しており、好ましい濃度は20〜30g/lである。ストリッパー中の銅濃度は、時間と共に増大することになる。銅濃度が4g/l以上になるとストリッパーの有効性は低下し、銅濃度を3g/l以下に制御することが好ましい。
【0021】
図2において、ステップ8はジンケート処理溶液である。この発明を実施しようとする当業者は、硝酸及び/又はフッ化水素酸を実質的に含まないスマット除去溶液によって処理されたアルミニウム表面に用いるのに好適なジンケート処理溶液を選択するであろう。当業者はまた、硝酸ストリッパーを使用する「ダブルジンケート(double zincate)」プロセスを用いることなく、適切な亜鉛被覆を適用するジンケート処理溶液を選択するであろう。非硝酸性ストリッパーを用いて「ダブルジンケート」プロセスを採用することもできるが、シングルジンケートプロセスが好ましい。ジンケート処理溶液は、金属処理業者への商業的供給業者から入手できるものの中から選択することができる。好ましいジンケート処理溶液は、酸化亜鉛5〜50g/l、ヒドロキシイオン50〜125g/lを含有する。より好ましいジンケート処理溶液は、酸化亜鉛6〜15g/l、ヒドロキシイオン55〜80g/lを含有する。好適な市販のジンケート処理溶液には、タスケム・インコーポレイテッド(Taskem,Inc.)社(オハイオ州、ブルックリン・ハイツ、ヴァン・エップ・ロード(Van Epps Rd)、4639番)からのオプチボンド(Optibond)(登録商標)A&Bがある。オプチボンド溶液は、32〜38℃(90〜100°F)にて、それぞれ6〜12g/l及び110〜160g/lの濃度の酸化亜鉛及び水酸化ナトリウムと共に使用することができ、循環ポンプによって混合することができる。
【0022】
図2に示すように、ステップ8のジンケート処理に続いて、濯ぎ(ステップ9)を行い、その後、ステップ10にて、ジンケート処理したアルミニウムをアルカリ性銅メッキ浴中で電気メッキする。好ましいアルカリ性銅メッキ浴は銅シアニド浴である。銅シアニドメッキ浴は、30〜75g/lの銅シアニド、50〜100g/lのナトリウムシアニド(又は60〜120g/lのカリウムシアニド)、30〜60g/lの炭酸ナトリウム(又は炭酸カリウム)及び30〜100g/lのロッシェル塩を含有する。好ましいアルカリ性銅ストライク処方(copper strike formulation)は、40g/lの銅シアニド、90g/lのナトリウムシアニド、25g/lの炭酸ナトリウム及び80g/lのロッシェル塩である。この銅ストライク浴は、60℃(140°F)の温度及び1.3A/dm(12A/ft)の電流密度にて用いることができる。ストライク浴からの銅析出物は、2〜5μm(0.1−0.2mil)の厚さであるべきである。図2に示すように、アルカリ性銅ストライクの後では、濯ぎ(ステップ11、12)、乾燥(ステップ13)及び取り外し(ステップ14)を行う。ステップ11は、通常は、ドラッグアウト(長期使用浴)又は非循環濯ぎである。ステップ12は、室温にて操作するランニング・リンス(running rinse)である。場合により、ステップ12の後で、図1に示すように、アルカリ性銅ストライクは酸性銅ストライクによって強化すること(reinforced)ができる。ブライト・アシッド・コパー(Bright acid copper)メッキ溶液は、プリント配線基板産業において一般的に用いられている。そのようなブライト・アシッド・コパーメッキ浴の1つとして、アトテック・ユー・エス・エイ・インコーポレイテッド社((サウスカロライナ州、ロックヒル、オーバービュー・ドライブ1750番)からのアトテックBLCTが用いられる。ブライト・アシッド・コパーメッキ浴からのストライク析出物は、2〜5μm(0.1〜0.2mil)の厚さであってよい。
【0023】
図1に示すように、複層プリント配線基板は、常套の複層プリント配線基板処理を受ける。スルーホール導電性のためのスルーホールの誘電体層の金属被覆(metallization)は、米国特許第4,683,036号(モリッセイら(Morrissey et al.))に示されているような、パラジウム処理された表面への直接的メッキ処理、又はグラファイト処理、触媒作用及び無電解銅メッキ処理によって行うことができる。スルーホールを金属被覆した後、ドライフィルム・レジストによって外側銅層に回路イメージ・パターンを形成する。スルーホール及び外側回路パターンは、ブライト・アシッド・コパーによって電気的にメッキされ、その後電解ハンダメッキがなされる。外側回路パターンに選択的エッチングレジストが適用され、コンタクト・エリア(contact areas)は露出して残される。コンタクト・エリアからスズ/鉛メッキがストリップされる。スズ/鉛メッキを除いた後、コンタクト・エリアをニッケル及び金によってメッキする。アルミニウム基材のエッジ部及び露出領域も、場合により、ニッケル又はニッケル及び金によってメッキすることができる。レジストをストリップし、外側銅層をエッチングして、表面導体部(surface conductors)を形成する。好ましいエッチャントは、プリント配線基板産業において一般的に用いられているアンモニア性銅エッチャント(ammonical copper etchant)である。ハンダメッキされた表面を溶融させてスズ/鉛メッキのリフローを行い、滑らかで輝いた仕上がりにする。複層ボードを寸法にカットし、露出するアルミニウムをケムコート(Chemcoat)により保護し、又は金の筆メッキ(gold brush plating)により保護し、最終検査がなされる。
【0024】
図3は、複層プリント配線基板において、スルーホールのメッキされたアルミニウムコアの断面図を示しており、スルーホール銅メッキはアルミニウム層にしっかりと接合されている。図3において、複層ラミネートのエポキシ誘電体を符号1で示しており、スルーホールは符号2で示しており、符号3はアルミニウム層を示しており、符号4は内側層の銅導体である。外側層のエッチングされた銅導電性パターンは符号5で示しており、アルカリ性銅ストライク浴から析出させた銅は符号6で示している。銅スルーホールメッキは符号7で示しており、ハンダメッキを符号8で示している。
【0025】
内側アルミニウム導体層を有する複層プリント配線基板は、アルカリ性銅メッキの代わりに、無電解ニッケルストライクを用いて製造することもできる(図2、ステップ10)。スルーホールの壁部を清浄化し、露出するアルミニウムを非硝酸性ストリップ溶液(図2、ステップ6)によって処理し、;濯ぎ;ジンケート処理溶液によって処理し(図2、ステップ8);濯ぎ、その後無電解ニッケルメッキを行う。銅金属は無電解ニッケルメッキには触媒作用を有さないので、外側銅層はニッケルによってメッキされない。必要な場合には、外側銅層の予期せぬ活性化の防止を確実に行うため、外側銅層をマスク被覆したり、ニッケルの析出を防止する正の電気的バイアスをかけたりすることができる。無電解ニッケルストライクを行って最終的な複層プリント配線基板を形成した後は、常套の処理を行う。
【0026】
複層プリント配線基板には、方法の好適な変更によって、めくらビアを設けること、銅のみの表面とすること又はその他の金属の表面とすることもできる。これらの変更は、当業者にはよく知られている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明による複層プリント配線基板を製造するための全体のプロセスフローのチャートである。
【図2】図2は、アルミニウム基材にジンケート処理及び銅メッキをするためのプロセスフローを示す図である。
【図3】図3は、アルミニウム接地面を有する複層プリント配線基板におけるメッキされたスルーホールの断面を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その後のメッキのためにアルミニウム表面をジンケート処理する方法であって、
アルミニウム表面を清浄化すること;
過酸素化合物を含む酸性エッチング溶液であって、腐食性のニトレート化合物を実質的に含まない酸性エッチング溶液に前記アルミニウム表面を接触させること;
前記アルミニウム表面をジンケート処理溶液に接触させることであって、該ジンケート処理溶液は6〜60g/lの亜鉛及び100〜500g/lのヒドロキシイオンを含むこと
を含んでなる方法。
【請求項2】
酸性エッチング溶液は無機フルオリド化合物を実質的に含まない請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記過酸素化合物が、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソ二硫酸塩、及びペルオキソ硫酸塩からなる群から選ばれる請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記過酸素化合物が、過硫酸ナトリウム又はモノ過硫酸カリウムである請求項3記載の方法。
【請求項5】
ジンケート処理溶液は5〜50g/lの酸化亜鉛及び50〜125g/lのヒドロキシイオンを含み、好ましい場合には、ジンケート処理溶液は6〜15g/lの酸化亜鉛及び55〜80g/lのヒドロキシイオンを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記アルミニウム表面は、少なくとも1つのアルミニウム導体層を有する有機ラミネートプリント配線基板上の複層プリント配線基板の一部である請求項1記載の方法。
【請求項7】
請求項6記載のアルミニウム導体層を有するプリント配線基板を製造する方法であって、
少なくとも1つのアルミニウム導体及び前記アルミニウム導体に連絡するホールを有するラミネートを供給する工程;
露出するアルミニウム導体及びホール壁部を清浄化する工程;
露出するアルミニウム導体及びホール壁部に酸性エッチング溶液を接触させる工程であって、該酸性エッチング溶液は腐食性のニトレート化合物を実質的に含まない工程;
露出するアルミニウム導体をジンケート処理溶液に接触させる工程であって、該ジンケート処理溶液は6〜60g/lの亜鉛及び100〜500g/lのヒドロキシイオンを含む工程;
アルカリ性メッキ溶液中でアルミニウムに銅を電気メッキする工程;
ホール壁部を金属被覆する工程;
ホール壁部を電気メッキして、銅メッキされたスルーホールを形成する工程;並びに
銅メッキされたスルーホールを有するラミネートを処理して最終的なプリント配線基板を形成する工程
を含んでなる方法。
【請求項8】
露出するアルミニウム導体及びホール壁部を清浄化する工程は、アルカリ性清浄化溶液に接触させることを含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
露出するアルミニウム導体及びホール壁部を清浄化する工程は、酸性清浄化溶液に接触させることを更に含む請求項8記載の方法。
【請求項10】
アルカリ性メッキ溶液は、銅シアニドメッキ浴を含んでなる請求項7記載の方法。
【請求項11】
ホール壁部を酸性硫酸銅メッキ浴からの銅の層によって電気メッキして、銅メッキされたスルーホールを形成する請求項7記載の方法。
【請求項12】
請求項7記載のアルミニウム導体層を有するプリント配線基板を製造する方法であって、
少なくとも1つのアルミニウム導体及び前記アルミニウム導体に連絡するホールを有するラミネートを供給する工程;
露出するアルミニウム導体及びホール壁部を清浄化する工程;
露出するアルミニウム導体及びホール壁部に酸性エッチング溶液を接触させる工程であって、前記酸性エッチング溶液は腐食性のニトレート化合物を実質的に含まない工程;
露出するアルミニウム導体をジンケート処理溶液に接触させる工程であって、該ジンケート処理溶液は6〜60g/lの亜鉛及び100〜500g/lのヒドロキシイオンを含む工程;
露出するアルミニウム導体を無電解ニッケルメッキ溶液中でニッケルによりメッキする工程;
ホール壁部を金属被覆する工程;
ホール壁部を電気メッキして、銅メッキされたスルーホールを形成する工程;並びに
銅メッキされたスルーホールを有するラミネートを処理して、最終的なプリント配線基板を形成する工程
を含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−523263(P2007−523263A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554183(P2006−554183)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/004932
【国際公開番号】WO2005/080633
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506279388)タイコ・プリンテッド・サーキット・グループ・リミテッド・パートナーシップ (1)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Printed Circuit Group LP
【Fターム(参考)】