説明

アンテナモジュール、電子チューナモジュール、携帯通信機器

【課題】本発明は、小型化、製造コストの低減が可能なアンテナモジュール、電子チューナモジュール、携帯通信機器を提供する。
【解決手段】本発明に係るアンテナモジュール1は、信号を受信するためのアンテナ素子11と、該アンテナ素子11で受信する信号を共振させる共振発生部12と、該共振発生部12に接続され、アンテナ素子11で受信した信号から所定の周波数帯域の信号を除去するフィルタ部13とを備えている。フィルタ部13は、共振発生部12とフィルタ部13とのインピーダンスを整合するコイル13cを有し、フィルタ部13のコイル13cを用いて、アンテナ素子11の電気長を延長する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナモジュール、電子チューナモジュール、携帯通信機器に関し、特にアンテナ素子の長さが物理的に制限されているアンテナモジュール、電子チューナモジュール、携帯通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
波長λの信号をグランドプレーン型のアンテナ素子で受信する場合、必要となるアンテナ素子の長さは、λ/4の長さである。例えば、受信する信号の周波数帯域がVHF帯(90MHz〜108MHz、207.5MHz〜222MHz)やUHF帯(470MHz〜770MHz)の場合、自由空間で波長λは略0.4m〜4mとなるので、必要なアンテナ素子の長さは、0.1m〜1mとなる。しかし、携帯電話機等の携帯通信機器でVHF帯やUHF帯の信号を受信する場合、携帯通信機器のサイズの制約から0.1m〜1mの長さのアンテナ素子を搭載することは困難であった。
【0003】
そこで、特許文献1及び2には、アンテナ素子に伸長コイル(ローディングコイル)を直列接続した可変同調型アンテナモジュールが開示されている。伸長コイルは、アンテナ素子の長さを短くしても、電気的な長さとして、アンテナ素子がλ/4の長さを有しているようにするためのコイルである。ここで、アンテナ素子の電気的な長さを、アンテナ素子の電気長という。携帯通信機器に搭載するアンテナモジュールで、アンテナ素子の長さが制限されている場合であっても、特許文献1及び2に開示されている可変同調型アンテナモジュールを用いることで、VHF帯やUHF帯の信号を受信することができるように、実質的にアンテナ素子の電気長を0.1m〜1mに延長している。
【0004】
また、携帯通信機器では、通信に利用するための信号を送受信しており、例えば、携帯電話機の場合、多くは800〜900MHz帯の信号を送受信している。そのため、携帯電話機が、800MHz帯に近いUHF帯のテレビ放送の信号を受信するためのアンテナ素子を搭載している場合、該アンテナ素子で通信に利用するための信号が受信され、UHF帯のテレビ放送の信号の受信に影響を与える。
【0005】
特許文献3には、所定の周波数帯域の信号を除去することができる弾性表面波トラップフィルタ素子が開示されている。特許文献3に開示されている弾性表面波トラップフィルタ素子は、800MHz帯の信号を除去することができるように設定されており、弾性表面波トラップフィルタ素子をUHF帯のテレビ放送の信号を受信するためのアンテナ素子に接続して携帯電話機に搭載する。弾性表面波トラップフィルタ素子を搭載することで、通信に利用するための信号をアンテナ素子で受信した場合であっても除去することができ、UHF帯のテレビ放送の信号の受信に影響を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−113233号公報
【特許文献2】特許第4060746号
【特許文献3】国際公開2007/094139号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、伸長コイルは、Q値の高いコイルを用いる必要があるため、径の太い電線で形成する必要があり、大型化する。そのため、アンテナ素子の長さを短くすることができた場合であっても、伸長コイルを設ける場所を確保する必要があり、アンテナモジュールの小型化を妨げるという問題があった。
【0008】
また、アンテナ素子からチューナ部に至るまでの経路に、伸長コイル、弾性表面波トラップフィルタ素子等の部品を設ける必要があるため、アンテナモジュールが複雑になり、製造コストも増加するという問題があった。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、小型化、製造コストの低減が可能なアンテナモジュール、電子チューナモジュール、携帯通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係るアンテナモジュールは、信号を受信するためのアンテナ素子と、該アンテナ素子で受信する前記信号を共振させる共振発生部と、該共振発生部に接続され、前記アンテナ素子で受信した前記信号から所定の周波数帯域の前記信号を除去するフィルタ部とを備え、前記フィルタ部は、前記共振発生部と前記フィルタ部とのインピーダンスを整合するコイルを有し、該コイルを用いて、前記アンテナ素子の電気長を延長する。
【0011】
第1発明では、フィルタ部が有する、共振発生部とフィルタ部とのインピーダンスを整合するコイルを用いて、アンテナ素子の電気長を延長するので、アンテナ素子の電気長を延長するための伸長コイルをアンテナモジュールに設ける必要がない。そのため、アンテナモジュールの小型化、製造コストの低減が可能となる。
【0012】
また、第2発明に係るアンテナモジュールは、第1発明において、前記フィルタ部は、前記共振発生部と前記フィルタ部とのインピーダンスを整合する第1コイルと、前記フィルタ部と前記フィルタ部と接続される機器とのインピーダンスを整合する第2コイルとを有し、前記第1コイルは、前記共振発生部に直接接続され、前記第2コイルよりインダクタンスが大きくなるようにしてあり、前記第1コイルを用いて、前記アンテナ素子の電気長を延長する。
【0013】
第2発明では、第1コイルは、共振発生部に直接接続され、第2コイルよりインダクタンスが大きくなるようにしてあり、共振発生部とフィルタ部とのインピーダンスを整合する第1コイルを用いて、アンテナ素子の電気長を延長するので、第1コイルがアンテナ素子の電気長を延長するための伸長コイルの代わりにアンテナ素子の電気長を延長する。そのため、アンテナモジュールに、伸長コイルを設ける必要がなく、アンテナモジュールの小型化、製造コストの低減が可能となる。
【0014】
また、第3発明に係るアンテナモジュールは、第1又は第2発明において、VHF帯及びUHF帯の信号を同時に受信することが可能にしてある。
【0015】
第3発明では、VHF帯及びUHF帯の信号を同時に受信することが可能にしてあるため、広い周波数帯域の信号を受信することが可能なアンテナモジュールを提供することができる。
【0016】
また、第4発明に係る電子チューナモジュールは、第1乃至第3発明のいずれか一つに記載のアンテナモジュールと、該アンテナモジュールに接続され、前記アンテナモジュールで受信した信号を同調させることが可能なチューナ部とを備えている。
【0017】
第4発明では、第1乃至第3発明のいずれか一つのアンテナモジュールと、チューナ部とを備えているので、電子チューナモジュールの小型化、製造コストの低減が可能となる。
【0018】
また、第5発明に係る携帯通信機器は、第1乃至第3発明のいずれか一つに記載のアンテナモジュールを備えている。
【0019】
第5発明では、第1乃至第3発明のいずれか一つのアンテナモジュールを備えているので、携帯通信機器の小型化、製造コストの低減が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るアンテナモジュールは、フィルタ部が有する、共振発生部とフィルタ部とのインピーダンスを整合するコイルを用いて、アンテナ素子の電気長を延長するので、アンテナ素子の電気長を延長するための伸長コイルをアンテナモジュールに設ける必要がない。そのため、アンテナモジュールの小型化、製造コストの低減が可能となる。また、本発明に係るアンテナモジュールを備えている電子チューナモジュール及び携帯通信機器の小型化、製造コストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るアンテナモジュールの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るアンテナモジュールでフィルタ部の第1コイルのインダクタンスを33nHまで大きくした場合の信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態に係るアンテナモジュールでフィルタ部の第1コイルのインダクタンスを39nHまで大きくした場合の信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態に係るアンテナモジュールでフィルタ部の第1コイルのインダクタンスを47nHまで大きくした場合の信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示すグラフである。
【図5】従来のアンテナモジュールで、伸長コイルのインダクタンスを27nH、フィルタ部のコイルのインダクタンスを9.5nHにした場合の信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示すグラフである。
【図6】図2乃至図4に示すアンテナモジュールの信号の周波数に対する利得の波形と、図5に示す従来のアンテナモジュールの信号の周波数に対する利得の波形とを比較した結果を示す図表である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子チューナモジュールの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る携帯通信機器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュールの構成を示すブロック図である。図1に示すアンテナモジュール1は、信号を受信するためのアンテナ素子11、アンテナ素子11で受信する信号を共振させる共振発生部12、該共振発生部12に接続され、アンテナ素子11で受信した信号から所定の周波数帯域の信号を除去するフィルタ部13を備えている。アンテナモジュール1は、VHF帯(90MHz〜108MHz、207.5MHz〜222MHz)のマルチメディア放送の信号及びUHF帯(470MHz〜770MHz)のテレビ放送の信号を受信することができる。なお、アンテナモジュール1で受信することができる周波数帯域は、VHF帯及びUHF帯に限定されるものではなく、他の周波数帯域であっても良い。アンテナ素子11には、ホイップアンテナを用いる。なお、アンテナ素子11は、ホイップアンテナに限定されるものではなく、ヘリカルホイップアンテナ、ループアンテナ等であっても良い。
【0024】
共振発生部12は、コイル12aとコンデンサ12bとの並列回路であり、共振させる信号の周波数帯域がコイル12aのインダクタンスとコンデンサ12bの容量とで決まる。なお、コンデンサ12bに容量を可変することができるコンデンサを用いることで、共振発生部12で共振させる信号の周波数帯域を変更することができる。
【0025】
フィルタ部13は、弾性表面波トラップフィルタ素子であり、直列接続された四つの共振子13aと、それぞれの共振子13aの端子と接地端子との間に接続された五つの共振子13bと、共振発生部12側の二つの共振子13aと並列接続された第1コイル13cと、第1コイル13cと直列接続された第2コイル13dとを有している。なお、第2コイル13dは、共振発生部12側とは反対側の二つの共振子13aと並列接続されている。また、共振子13a、13bを含む弾性表面波トラップフィルタ素子には、例えば村田製作所製のSAEEL832MVA0F00を用いる。
【0026】
フィルタ部13は、共振子13a、13bで設定された周波数帯域の信号をトラップすることで、アンテナ素子11で受信した信号から所定の周波数帯域の信号を除去することができる。具体的に、フィルタ部13は、除去することができる信号の所定の周波数帯域を800MHz帯とすることで、携帯電話機の通信に利用するための信号(800MHz帯の信号)をアンテナ素子11で受信しても、UHF帯のテレビ放送の信号の受信に影響を与えないように除去することができる。また、第1コイル13cは、共振発生部12とフィルタ部13とのインピーダンスを整合し、第2コイル13dは、フィルタ部13とフィルタ部13と接続される機器とのインピーダンスを整合している。
【0027】
従来のアンテナモジュールでは、共振発生部の前段に伸長コイルを直列接続してアンテナ素子の電気長を0.1m〜1mに延長して、VHF帯及びUHF帯の信号を受信していた。しかし、本実施の形態に係るアンテナモジュール1では、共振発生部12の前段に伸長コイルを設けることなく、第1コイル13cを用いてアンテナ素子11の電気長を0.1m〜1mに延長している。第1コイル13cは、アンテナ素子11の電気長を延長する伸長コイルとしても機能させる必要があるため、第2コイル13dよりインダクタンスが大きくなるようにしてある。例えば、第1コイル13cのインダクタンスは33nH、第2コイル13dのインダクタンスは15nHとする。なお、従来のアンテナモジュールでは、インダクタンスが27nHの伸長コイルを用いた場合、第1コイルのインダクタンスは9.5nH、第2コイルのインダクタンスは15nHであった。
【0028】
次に、アンテナモジュール1に対するシミュレーションを行い、共振発生部12の前段に伸長コイルを設けることなく、フィルタ部13の第1コイル13cのインダクタンスを大きくすることでアンテナ素子11の電気長を0.1m〜1mに延長して、VHF帯及びUHF帯の信号を受信することができることを説明する。なお、アンテナモジュール1に対するシミュレーションとして、回路シミュレーションでは一般的なSPICE(Simularion Program with Integrated Circuit Emphasis)のAC解析機能を用いている。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュール1でフィルタ部13の第1コイル13cのインダクタンスを33nHまで大きくした場合の信号の周波数と、利得(本発明の実施の形態では損失を示している)及びリターンロスとの関係を示すグラフである。図3は、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュール1でフィルタ部13の第1コイル13cのインダクタンスを39nHまで大きくした場合の信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示すグラフである。図4は、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュール1でフィルタ部13の第1コイル13cのインダクタンスを47nHまで大きくした場合の信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示すグラフである。図5は、従来のアンテナモジュールで、伸長コイルのインダクタンスを27nH、フィルタ部の第1コイルのインダクタンスを9.5nHにした場合の信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示すグラフである。
【0030】
図2に示す信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係は、伸長コイル(インダクタンス=27nH)を設けることなく、第1コイル13cのインダクタンスを9.5nH(従来の第1コイルのインダクタンス)から33nHまで大きくした場合のアンテナモジュール1に対するシミュレーションを行った結果である。結果として得られた波形は、図5に示す従来のアンテナモジュールの信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示す波形と略同じとなり、アンテナモジュール1は、伸長コイル(インダクタンス=27nH)を設けることなく、第1コイル13cのインダクタンスを9.5nHから33nHまで大きくすることでアンテナ素子11の電気長を0.1m〜1mに延長して、VHF帯及びUHF帯の信号を受信することができることが分かる。なお、信号の周波数は、アンテナモジュール1で受信する信号の周波数を、利得は、アンテナ素子11を含むアンテナモジュール1全体の利得を、リターンロスは、アンテナ素子11側から測定した場合のアンテナモジュール1のインピーダンスの損失をそれぞれ示している。
【0031】
特に、図2に示す信号の周波数に対する利得の波形S21aは、図5に示す信号の周波数に対する利得の波形S21dと略同じである。一方、図2に示す信号の周波数に対するリターンロスの波形S11aは、図5に示す信号の周波数に対するリターンロスの波形S11dと比較して、最大値が略17Ωから略19Ωに増加しているが、全体の波形の形は略同じである。
【0032】
同様に、図3に示す信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係は、伸長コイル(インダクタンス=27nH)を設けることなく、第1コイル13cのインダクタンスを9.5nHから39nHまで大きくした場合のアンテナモジュール1に対するシミュレーションを行った結果である。結果として得られた波形は、図5に示す従来のアンテナモジュールの信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示す波形と略同じとなる。特に、図3に示す信号の周波数に対する利得の波形S21bは、図5に示す信号の周波数に対する利得の波形S21dと略同じである。一方、図3に示す信号の周波数に対するリターンロスの波形S11bは、図5に示す信号の周波数に対するリターンロスの波形S11dと比較して、最大値が略17Ωから略15Ωに減少しているが、全体の波形の形は略同じである。
【0033】
さらに、図4に示す信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係は、伸長コイル(インダクタンス=27nH)を設けることなく、第1コイル13cのインダクタンスを9.5nHから47nHまで大きくした場合のアンテナモジュール1に対するシミュレーションを行った結果である。結果として得られた波形は、図5に示す従来のアンテナモジュールの信号の周波数と、利得及びリターンロスとの関係を示す波形と略同じとなる。特に、図4に示す信号の周波数に対する利得の波形S21cは、図5に示す信号の周波数に対する利得の波形S21dと略同じである。一方、図4に示す信号の周波数に対するリターンロスの波形S11cは、図5に示す信号の周波数に対するリターンロスの波形S11dと比較して、最大値が略17Ωから略12Ωに減少しているが、全体の波形の形は略同じである。
【0034】
次に、図2乃至図4に示すアンテナモジュール1の信号の周波数に対する利得の波形S21a〜S21cと、図5に示す従来のアンテナモジュールの信号の周波数に対する利得の波形S21dとをさらに詳しく比較する。図6は、図2乃至図4に示すアンテナモジュール1の信号の周波数に対する利得の波形S21a〜S21cと、図5に示す従来のアンテナモジュールの信号の周波数に対する利得の波形S21dとを比較した結果を示す図表である。図6に示す図表は、波形S21d、及び波形S21a〜S21cの点A〜Dでの利得の値(dB)をそれぞれ表している。なお、点Aは、信号の周波数が0.21GHzの利得の値を、点Bは、信号の周波数が0.50GHzの利得の値を、点Cは、信号の周波数が0.60GHzの利得の値を、点Dは、信号の周波数が0.70GHzの利得の値をそれぞれ表している。
【0035】
図6に示すように、波形S21a、S21bは、波形S21dに対して利得が最大0.7dB(絶対値)の差であり、波形S21a、S21bは、波形S21dと略同じであることが分かる。また、波形S21cは、波形S21dに対して利得が点Dで2.3dB(絶対値)の差を有しているが、他の点A〜Cでは最大1.0dB(絶対値)の差である。そのため、波形S21cは、VHF帯及びUHF帯の信号の周波数のほとんどの範囲において波形S21dと略同じであることが分かる。
【0036】
以上のように、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュール1は、共振発生部12とフィルタ部13とのインピーダンスを整合する第1コイル13cを用いて、アンテナ素子11の電気長を延長するので、アンテナ素子11の電気長を延長するための伸長コイルをアンテナモジュール1に設ける必要がない。そのため、アンテナモジュール1の小型化、製造コストの低減が可能となる。また、第1コイル13cは、共振発生部12に直接接続され、第2コイル13dよりインダクタンスが大きくなるようにしてあり、共振発生部12とフィルタ部13とのインピーダンスを整合する第1コイル13を用いて、アンテナ素子11の電気長を延長するので、第1コイル13cが、アンテナ素子11の電気長を延長するための伸長コイルの代わりにアンテナ素子11の電気長を延長する。そのため、アンテナモジュール1は、伸長コイルを設ける必要がなく、アンテナモジュール1の小型化、製造コストの低減が可能となる。
【0037】
なお、フィルタ部13は、第1コイル13c及び第2コイル13dの二つのコイルを有する場合に限定されるものではなく、三つ以上のコイルを有する場合であっても良い。三つ以上のコイルを有する場合であっても、共振発生部12に直接接続される第1コイルは、他のコイルよりインダクタンスが大きくなるようにしてあり、第1コイルが伸長コイルの代わりにアンテナ素子11の電気長を延長する。
【0038】
次に、図7は、本発明の実施の形態に係る電子チューナモジュールの構成を示すブロック図である。図7に示す電子チューナモジュール2は、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュール1と、アンテナモジュール1に接続され、アンテナモジュール1で受信した信号を同調させることが可能なチューナ部20とを備えている。チューナ部20は、フィルタ部13を通過した信号のうち、所望の周波数を有する信号と同調する同調回路である。チューナ部20で同調させた信号に対して所定の処理を行うことで、図示していない表示装置でマルチメディア放送やテレビ放送を視聴することができる。なお、チューナ部20は、VHF帯の信号と同調することが可能なVHF帯の同調回路と、UHF帯の信号と同調することが可能なUHF帯の同調回路とを有している。そのため、アンテナモジュール1は、共振発生部12を介してVHF帯及びUHF帯の信号をチューナ部20に入力することで、チューナ部20がVHF帯の同調回路とUHF帯の同調回路とを切り替えることなく、VHF帯の信号とUHF帯の信号を同時に受信することが可能にしてある。
【0039】
次に、図8は、本発明の実施の形態に係る携帯通信機器の構成を示すブロック図である。図8に示す携帯通信機器3は、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュール1を備えている。さらに、図8に示す携帯通信機器3は、アンテナモジュール1に接続され、アンテナモジュール1で受信した信号を同調させることが可能なチューナ部20と、通信信号を送受信するためのアンテナ素子30と、アンテナ素子30に接続され、通信信号の送受信を制御するための通信制御部31と、チューナ部20及び通信制御部31と接続されたCPU32とを備えている。通信制御部31は、CPU32の制御信号に基づいて、通信信号の送受信を制御する。CPU32は、チューナ部20で同調させる信号の所望の周波数を制御する。なお、携帯通信機器3は、図8に示す構成に限定されるものではなく、他の構成要素が追加されても良い。
【0040】
以上のように、本発明の実施の形態に係るアンテナモジュール1を備えている電子チューナモジュール2及び携帯通信機器3の小型化、製造コストの低減が可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 アンテナモジュール
2 電子チューナモジュール
3 携帯通信機器
11、30 アンテナ素子
12 共振発生部
12a コイル
12b コンデンサ
13 フィルタ部
13a、13b 共振子
13c 第1コイル
13d 第2コイル
20 チューナ部
31 通信制御部
32 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を受信するためのアンテナ素子と、
該アンテナ素子で受信する前記信号を共振させる共振発生部と、
該共振発生部に接続され、前記アンテナ素子で受信した前記信号から所定の周波数帯域の前記信号を除去するフィルタ部と
を備え、
前記フィルタ部は、前記共振発生部と前記フィルタ部とのインピーダンスを整合するコイルを有し、
該コイルを用いて、前記アンテナ素子の電気長を延長することを特徴とするアンテナモジュール。
【請求項2】
前記フィルタ部は、前記共振発生部と前記フィルタ部とのインピーダンスを整合する第1コイルと、前記フィルタ部と前記フィルタ部と接続される機器とのインピーダンスを整合する第2コイルとを有し、
前記第1コイルは、前記共振発生部に直接接続され、前記第2コイルよりインダクタンスが大きくなるようにしてあり、前記第1コイルを用いて、前記アンテナ素子の電気長を延長することを特徴とする請求項1に記載のアンテナモジュール。
【請求項3】
VHF帯及びUHF帯の信号を同時に受信することが可能にしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナモジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアンテナモジュールと、
該アンテナモジュールに接続され、前記アンテナモジュールで受信した信号を同調させることが可能なチューナ部と
を備えていることを特徴とする電子チューナモジュール。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアンテナモジュールを備えていることを特徴とする携帯通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−74885(P2012−74885A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217643(P2010−217643)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】